説明

高粘度凍結乾燥食品

【課題】
本発明は、湯を注ぐだけでダマにならずにすばやく溶解して粘度を発現する、ポタージュスープ類、シチュー類、カレー類、及びあんかけ類などの高粘度凍結乾燥食品を製造するための方法を提供するものである。
【解決手段】
高粘度食品を凍結乾燥するに先立ち、未変性澱粉と乳化剤を混合することにより、湯で溶かしたときに従来にない高粘度を示す食品を得ることができる。
具体的には、調理食品の調味液及び具材に乳化剤を添加し、60℃以下に冷却した後、未変性澱粉を混合する。乳化剤は60℃冷却後に添加しても良い。個食用トレイに充填し、凍結乾燥を行うことで高粘度凍結乾燥食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯にすばやく溶ける高粘度凍結乾燥食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湯戻し可能な即席凍結乾燥食品として、コンソメスープや味噌汁など低粘度のものは、多数の製品が既に市販されており、これらは、湯を注いだ後のわずかな攪拌でもとの風味及び外観を復元することができる。しかし、復元後に比較的高い粘性が求められるポタージュスープ等の高粘度食品については、湯戻し時に溶解性が悪く、ダマが発生しやすい問題点があったため、従来から溶解性、復元性改善の研究が進められ、各種の方法が提案されている。例えば、澱粉及び水と共に、モノグリセリド、モノグリセリドとポリカルボン酸とのエステルという特定の乳化剤が含まれる食品を加熱調理し、澱粉をα化した後に凍結乾燥することにより、高粘度食品の加熱調理時に澱粉と乳化剤の複合体を形成させておく方法(特許文献1)や、十分に冷却したスープベースに、澱粉、デキストリン、ガム類などの増粘剤を均一に分散させた後凍結乾燥する方法(特許文献2)、また、濃縮スープ中間材料からなる凍結乾燥物を、油脂材料及び澱粉質材料の加熱溶融物で被覆する方法(特許文献3)等が提案されている。このような技術開発により、粘性のある食品についても復元性のある簡便な凍結乾燥食品が生み出されてきている。
しかしながら、これらの技術によっても、実際に、湯戻しのみでダマにならずに復元することが確認された食品は、薄めのポタージュスープ程度のわずかに「とろみ」を感じる程度の食品であった。これら従来技術を用いて更に高粘度を出そうとすると凍結乾燥する容量が多くなり価格が障害になってとても実用化に耐えられるものではなかった。
このように、従来の技術は、濃厚なポタージュスープ類、シチュー類、カレー類、及びあんかけ類など、復元後に高い粘性が求められる高粘度食品の即席化のための凍結乾燥技術としては、依然として不充分なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−266778号公報
【特許文献2】特開平7−147943号公報
【特許文献3】特開昭61−166386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、湯を注ぐだけでダマにならずにすばやく復元して粘度を発現する、ポタージュスープ類、シチュー類、カレー類、及びあんかけ類などの高粘度凍結乾燥食品及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高粘度食品を凍結乾燥するに先立ち、未変性澱粉と乳化剤を混合することにより、湯で溶かしたときに従来にない高粘度を示す食品を提供することができたものである。
具体的には、ポタージュスープ類、シチュー類、カレー類、及びあんかけ類などの高粘度食品の調味液及び具材に乳化剤を添加し、60℃以下に冷却した後、未変性澱粉を混合する。乳化剤は冷却後に添加しても良い。次いで、この混合原料を個食用トレイに充填し、冷凍後、常法通り凍結乾燥を行う。
この方法により、沸騰水を注ぎ攪拌するだけで、ダマ・ママコを形成することなく本来の高粘度食品に復元することができた。
以上の知見を得たことで、本発明を完成することができた。
【0006】
したがって、本発明は以下の通りのものである。
〔1〕 未変性澱粉及び乳化剤が配合された高粘度調理食品の凍結乾燥物からなる即席凍結乾燥食品であって、前記未変性澱粉が、調理食品原料を加熱調理後に60℃以下に冷却された後で添加されていることを特徴とする、復元時に80mPa・S以上の粘性を有する即席凍結乾燥食品。
〔2〕 乳化剤の全量もしくは一部が、調理食品原料が加熱調理される前に添加され、残量が加熱調理後の60℃以下に冷却された後に添加されていることを特徴とする、前記〔1〕に記載の即席凍結乾燥食品。
〔3〕 調理食品原料中の具材の全部又は一部が、他の調理食品原料とは別に加熱調理され60℃以下に冷却された後、未変性澱粉と共に添加されていることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の即席凍結乾燥食品。
〔4〕 前記凍結乾燥物を復元する際の希釈倍率が1.1〜10倍である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の即席凍結乾燥食品。
〔5〕 未変性澱粉及び乳化剤が配合された、復元時に80mPa・S以上の粘性を有する即席凍結乾燥食品の製造方法であって、下記の(1)〜(4)の工程を含む方法;
(1)調理食品原料又はさらに乳化剤の全量もしくは一部を含む調理食品原料に水を加えて加熱調理し、液状調味ベースを調製する工程、
(2)上記工程(1)で得られた液状調味ベースを60℃以下にまで冷却する工程、
(3)60℃以下に冷却した液状調味ベースに、未変性澱粉又はさらに乳化剤の全量もしくは上記工程(1)での残量を添加して混合し、高粘度調理食品を製造する工程、
(4)上記工程(3)で得られた高粘度調理食品を、容器又は個食用トレイに充填して凍結乾燥する工程。
〔6〕 調理食品原料中の具材を別に調理し、60℃以下に冷却後、前記工程(3)において、液状調味ベースに添加して混合することを特徴とする、前記〔5〕に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ポタージュスープ類、シチュー類、カレー類、及びあんかけ類など、粘度80mPa・S以上の高粘度食品の凍結乾燥食品であって、湯を注ぐだけでダマにならずにすばやく復元して高粘度を発現する凍結乾燥食品を提供することができた。特に、コンパクトな濃縮型の固形タイプでありながら粘度80mPa・S以上の高粘度を達成できたのは本発明がはじめてであり、また、粘度2,000mPa・S以上の高粘度食品の凍結乾燥食品を提供できたのも本発明がはじめてである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1及び比較例1における凍結乾燥物の希釈倍率と復元後の粘度
【図2】本発明の方法で作製した凍結乾燥物と特許文献1の方法で作製した凍結乾燥物の希釈倍率と復元後の粘度
【図3】凍結乾燥物に用いた乳化剤のHLB値と復元後の高粘度食品の粘度の関係。
【図4】凍結乾燥物に用いた乳化剤の添加量と復元後の粘度の関係。乳化剤(ショ糖ステアレートHLB5)の添加量を変化させて作製した凍結乾燥物を同じ湯量で復元後の高粘度食品の粘度を示す。
【図5】凍結乾燥物に用いた未変性澱粉の添加量と復元後の粘度の関係。未変性馬鈴薯澱粉の添加量を変化させて作製した凍結乾燥物を同じ湯量で復元したときの高粘度食品の粘度を示す。
【図6】本発明の方法で作製した凍結乾燥物を、種々の量の湯で復元したときの粘度の変化
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.本発明における「高粘度食品」
本発明においては、粘性を有する「高粘度食品」を凍結乾燥してブロック状の凍結乾燥食品とし、摂食時に湯をかけて攪拌するだけで、ダマ・ママコを発生せずにすばやく粘性を含め本来の「高粘度食品」を再現することを目指すものである。
本発明において「高粘度食品」というとき、粘度が80mPa・S以上の粘度を有する食品を指し、具体的には、ポタージュスープ、カレー、シチューなどの他、ミートソース、五目あんかけ、八宝菜、麻婆豆腐など「とろみ」付の調味食品などが挙げられる。また、本発明においてはじめて達成された2,000mPa・S以上の粘度を有する食品を特に「超高粘度食品」ということもある。
また、本発明は、粘度80mPa・S以上の「高粘度食品」を、濃縮してコンパクトなブロック状凍結乾燥食品とし、摂食時に熱湯で濃縮分を希釈して復元させる場合を含むものであるが、このような濃縮率(すなわち希釈倍率)が1.0よりも大きい(好ましくは、1.1倍以上)のブロック状凍結乾燥食品を特に「濃縮タイプ」の「高粘度食品」ということもある。本発明の「濃縮タイプ」の「高粘度食品」としては、10倍以下まで可能であり、好ましくは5倍以下の濃縮率(希釈倍率)が好ましい。1.1〜2.0倍程度の濃縮率(希釈倍率)であれば、2,000mPa・S以上の「超高粘度食品」を提供することも可能である。80〜2,000mPa・S程度の通常の高粘度食品であれば、1.5〜4.0倍程度に濃縮する方(希釈倍率1.5〜4.0)がコンパクトな「濃縮タイプ」製品を提供できるので好ましい。ここで、希釈倍率とは、凍結乾燥前の調味液及び具材の容量(トレイ容量)に対する、乾燥後の凍結乾燥物を復元するのに必要な湯量の倍率をいう。製造工程中では同じ倍率で濃縮していることになるので「濃縮率」ということもできる。
なお、本発明で用いる「粘度」のmPa・S値は、下記2.粘度の測定法で述べる単一円筒型回転粘度計を用いた測定法(60〜80℃の条件下)により得られた値を指す。
【0010】
2.粘度の測定法
本発明においては、粘度の測定は、JAXA((独)宇宙航空研究開発機構)が定めた宇宙日本食認証に係る品質検査の操作手順(粘度検査編)に準じて行った。
具体的な試験方法は以下の通りである。
<機器>
単一円筒型回転粘度計(東機産業社製、RB80L型粘度計):毎分12回転の設定で測定可能。
試料容器:粘度計メーカーが少量測定用に用意しているアダプター容器、または粘度計のローター(あるいはスピンドル)が入る深さの任意の容器。
<操作>
(1)粘度計の回転軸を鉛直に固定し、装置のゼロ補正を行う。時々は粘性既知のオイル(粘度校正に市販されているJS10からJS100くらいのものが推奨される。)等で校正する。
(2)ローターと、U字型ガードを取り付ける。少量試料アダプターを用いる場合は、ガードは必要ない。ローターの装置定数を確かめる。下に述べる基準の、12rpmにおいて1500mPa・S付近の粘度測定には、M2ローターが適するが、より低粘度では大きいローター(M1)、高粘度のものには小さいローター(M3、M4)を用いる。取扱説明書に従い各ローターに合ったプログラムを設定する。
(3)凍結乾燥サンプルは所定量の沸騰水をビーカーに投入した直後に凍結乾燥サンプルを入れ、スターラーで1,000rpm、1分間攪拌し、具材がある場合はメッシュパスした液体を試料容器に投入する。
(4)復元後の凍結乾燥サンプルを試料容器に投入後、即座に粘度計のローターをローター軸の目盛り線の深さまで入れる。12rpmで回転させ、2分後の粘度計の示度を読む。示度は粘度計の各ローターの測定範囲に対して80%前後を指すときが最も誤差が小さくなる。極端に低い示度の場合は、より大きいローターに取り替える必要がある。また、測定温度によるばらつきをなくすために、約60〜80℃の範囲内で測定を行う。
(5)なお、均質な液状だけではなく、液中に小さく硬い固形物が存在する試料の場合は値のばらつきが大きくなる。均質な場合以上に繰り返し測定を行う。固形物が存在する試料には、ローターとガード、または装置添付のアダプター内壁間との距離が小さいとうまく測定できないので、メッシュパスした液体を測定する。
<測定例>
上記測定法で測定した一般的な高粘度食品の大まかな粘度値を下記に示す。
・ポタージュスープ: 約80〜1,000mPa・S程度
・シチュー: 約3,000mPa・S以上程度
・カレー: 約3,500mPa・S以上程度
・あんかけ: 約2,000mPa・S以上程度
【0011】
3.「復元性」評価方法
本発明においては、「高粘度食品」のブロック状の凍結乾燥食品を、湯をかけて攪拌するだけで、すばやく本来の「高粘度食品」の食感を再現できる「復元性」を達成することを目指すものである。つまり、本発明において、「復元性」というとき、凍結乾燥したブロック状の食品に湯をかけた時に、攪拌するだけですばやく溶けて本来の粘性食品の食感を再現することをいうが、「復元性」を評価する際の基準として、凍結乾燥したブロック状の食品の形の崩れやすさを「崩壊性」と呼び、ダマやママコの発生しにくさを「溶解性」と呼ぶこともある。
「崩壊性」及び「溶解性」の観点での評価は、対象となるブロック状の凍結乾燥食品を沸騰水添加、及び攪拌工程でダマを作ることなく確実に溶解するかどうかを目視により確認する。
具体的には、所定量の沸騰水をビーカーに投入し直後に凍結乾燥ブロックを入れ、スターラーで1,000rpm、1分間攪拌し解け残りを目視で判断する。その時、ブロックが全く溶解しない場合を『×』、ブロックの形状は崩れるがダマ、ママコが確認された場合を『△』、ブロックがダマ、ママコなく完全に溶解した場合を『○』とする。
【0012】
4.本発明の未変性澱粉原料
本発明で「未変性澱粉」というとき、穀類、芋類などの食用植物から採取後精製されたα化される前の生澱粉を指す。本発明で用いられる未変性澱粉の原料としては、食用に用いられる澱粉であって、糊化温度が100℃(沸騰水の温度)以下である澱粉であれば何でも良く、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、豆類澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、くず澱粉等が挙げられ、これらの澱粉を複数組み合わせて用いてもよい。
特に、糊化温度が低く(75℃以下)、高粘度を発現する澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、くず澱粉等が好ましい。
未変性澱粉の添加量は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して0.1〜20w/v%であり、好ましくは0.2〜15w/v%、より好ましくは0.2〜10w/v%である。
2,000mPa・S以上の「超高粘度食品」の場合は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して1〜10w/v%添加するのが好ましい。
1.1倍以上の濃縮タイプの高粘度食品の場合は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して2〜10w/v%添加するのが好ましい。
【0013】
5.本発明で用いる乳化剤
本発明で用いられる乳化剤はHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)値が1〜12、好ましくはHLB1〜8、より好ましくはHLB3〜5の範囲内であり、食品添加物として認可されている乳化剤であれば何でもよく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセライド、ポリグリセライド)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール(PG)脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの合成添加物であっても、大豆や卵黄から採られるレシチン、牛乳を原料とするカゼインナトリウムなどの天然物であってもよく、それらの混合物を用いてもよい。特に好ましいHLB3〜5の範囲の乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
これらの乳化剤の添加量は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して0.001〜15w/v%、好ましくは0.0015〜15w/v%、より好ましくは0.015〜9w/v%である。
【0014】
6.本発明の高粘度凍結乾燥食品の製造方法
(1)製品の配合割合
本発明が対象とする高粘度食品に使用する未変性澱粉と乳化剤の添加量は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して、未変性澱粉0.1〜20w/v%、乳化剤0.001〜15w/v%である。
【0015】
(2)本発明の即席凍結乾燥食品の製造方法
復元時に80mPa・S以上の粘性を呈する本発明の高粘度食品の凍結乾燥品の製造方法は以下の通りである。
(ア)調味液及び具材からなる調理食品原料(調味液原料)、またはさらに乳化剤の全量もしくは一部を含んだ調理食品原料に水を加えて加熱調理し、液状調味ベースを調製する。ここで、濃縮タイプの場合は、あらかじめ添加水分を少なく設定するか、煮込むことで所望の希釈倍率に調製する。なお、具材は、調味液と別に調理し、次の工程(イ)で60℃以下に冷却後、未変性澱粉の添加前後において加えてもよい。
(イ)上記工程(ア)で得られた液状調味ベースを、60℃以下に冷却し、未変性澱粉と乳化剤をできるだけ均一になるように混合して高粘度食品を得る。なお、乳化剤の全量若しくは一部が前記(ア)の調理食品原料にあらかじめ添加されている場合は、未変性澱粉のみ、または未変性澱粉と乳化剤の残量が添加されることになる。この段階で、別に調理され60℃以下に冷却した具材を添加してもよい。
(ウ)上記工程(イ)で得られた高粘度食品を、個食用トレイに充填し(温度約20℃)、直ちに−30℃以下の冷凍室で冷凍し、次いで常法により凍結乾燥を行う。
【0016】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
(実施例1)本発明に従い調製した凍結乾燥食品と市販あるいは特許文献例に従い調製した凍結乾燥食品との粘度の比較
本発明に従い調製した調味食品の凍結乾燥物を、対応する種々の希釈倍率において、沸騰水で復元させたときの粘度を評価した。
比較例として比較的粘度が高いと推測される市販の凍結乾燥スープと特許文献1〜3を忠実に再現したサンプルの粘度を評価した。
なお、市販スープは指定の調理方法に従って復元した。
実施例1−1:希釈倍率0.83倍(凍結乾燥前120ml⇒凍結乾燥後100ml。以下同様)
実施例1−2:希釈倍率1.2倍(50⇒60ml)
実施例1−3:希釈倍率1.5倍(100⇒150ml)
実施例1−4:希釈倍率3.2倍(50⇒160ml)
実施例1−5:希釈倍率3.6倍(50⇒180ml)
比較例1−1(市販品1):紫芋のポタージュ(希釈倍率1.0倍)
比較例1−2(市販品2):かぼちゃのポタージュ(希釈倍率1.0倍)
比較例1−3(市販品3):トマトのポタージュ(希釈倍率1.0倍)
比較例1−4(市販品4):野菜クリームスープ(希釈倍率3.2倍)
比較例1−5(特許文献1の実施例1):希釈倍率0.83倍
比較例1−6(特許文献2の実施例2):希釈倍率3.4倍
比較例1−7(特許文献3の実施例):希釈倍率3.2倍
【0018】
(実施例1−1;カレー)
<配合>
醤油1g 三温糖0.75g トマトペースト1g チキンエキス1.25g 野菜エキス1.2g 玉葱エキス1g ウスターソース0.5g カレー粉1g パームオレイン2g 食塩1g 酵母エキス0.4g グルタミン酸ナトリウム0.3g ガーリック粉末0.05g カラメル色素0.75g 馬鈴薯澱粉6g ゼラチン0.1g ショ糖ステアレートHLB5 1g 水21g 玉葱スライス25g 豚肉20g 千切り人参35g
<凍結乾燥食品作製法>
未変性澱粉を除く調味液原料を秤量し、加熱調理した。60℃以下に冷却し、未変性澱粉粉末を入れ攪拌した。別にボイルし60℃以下に冷却した具材を混合し、120ml容量のトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
約120ml体積のブロックに、100mlの沸騰水(95℃)を加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した。
【0019】
(実施例1−2;ポタージュ)
<配合>
食塩0.5g 乳タンパク0.4g 上白糖0.5g 粉チーズ0.4g 生クリーム4g パームオレイン4g 玉葱エキス0.8g チキンエキス0.3g ガーリック末0.04g コショー0.04g グルタミン酸ナトリウム0.2g クエン酸0.01g 馬鈴薯澱粉5.5g ショ糖ステアレートHLB3 0.8g 水18g 白菜4.5g 千切り人参2.8g 玉葱スライス2.5g ブロッコリー2.2g コーン3g
<凍結乾燥食品作製法><復元方法>は、トレイの容量、沸騰水の用量以外(実施例1−1)と同様とした。
【0020】
(実施例1−3;カレー)
<配合>
醤油1g 三温糖0.75g トマトペースト1g パームオレイン1g チキンエキス1.25g 野菜エキス1.2g 玉葱エキス1g ウスターソース0.5g カレー粉1g 食塩1g 酵母エキス0.4g グルタミン酸ナトリウム0.3g ガーリック粉末0.05g カラメル色素0.75g 馬鈴薯澱粉4g ゼラチン0.1g ショ糖ステアレートHLB3 0.4g 水15g 玉葱スライス15g 豚肉20g 千切り人参35g
<凍結乾燥食品作製法><復元方法>は、トレイの容量、沸騰水の用量以外(実施例1−1)と同様とした。
【0021】
(実施例1−4;ポタージュ)
<配合>
食塩0.3g 乳タンパク1g 上白糖1g 粉チーズ0.4g パームオレイン4g ホイップクリーム1g 玉葱エキス0.8g 酵母エキス0.6g チキンエキス1g グルタミン酸ナトリウム0.15g ゼラチン0.17g デキストリン1g 馬鈴薯澱粉4.5g ショ糖ステアレートHLB5 1.5g 水18g 白菜4.5g 千切り人参2.8g 玉葱スライス2.5g ブロッコリー2.2g コーン3g
<凍結乾燥食品作製法><復元方法>は、トレイの容量、沸騰水の用量以外(実施例1−1)と同様とした。
【0022】
(実施例1−5;ポタージュ)
<配合>
食塩0.3g 乳タンパク1.2g 上白糖1g 粉チーズ0.4g パームオレイン4g ホイップクリーム1.2g 玉葱エキス0.9g 酵母エキス0.65g チキンエキス1.1g グルタミン酸ナトリウム0.15g ゼラチン0.15g デキストリン1g 馬鈴薯澱粉4.5g ショ糖ステアレートHLB5 1.5g 水20g 白菜4.5g 千切り人参2.8g 玉葱スライス2.5g ブロッコリー2.2g コーン3g
<凍結乾燥食品作製法><復元方法>は、トレイの容量、沸騰水の用量以外(実施例1−1)と同様とした。
【0023】
(比較例1−1〜4;市販品1〜4)
市販品1〜3は約100ml体積のブロックを100mlの湯で復元し(希釈倍率1.0倍に相当)、市販品4は、約50ml体積のブロックを160mlの湯で復元した(希釈倍率3.2倍に相当)。
【0024】
(比較例1−5;特許文献1の実施例1)
<配合>
コンソメ14.2g カレー粉9.5g 水355g 馬鈴薯澱粉24g ステアリン酸モノグリセリド0.6g 水225.4g 牛モモ肉355g 十分に炒めた玉葱266g
<凍結乾燥食品作製法>
牛モモ肉を炒め、十分に炒めた玉葱を加えた。コンソメとスープ原料溶解用の水の全量を加え、さらに半分量のカレー粉を加えた。3時間煮込んだ。カレー粉の残りを加えた。ついで、馬鈴薯澱粉粉末、乳化剤と水を入れ加熱し澱粉をα化させ攪拌溶解した。60gトレイに充填し、急速冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
沸騰水(95℃)を、全量が50mlになるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した(希釈倍率約0.83倍に相当)。
【0025】
(比較例1−6;特許文献2の実施例2)
<配合>
ゴマ油10g 食塩3g 醤油20g みりん15g グルタミン酸ナトリウム5g カニエキス8g 馬鈴薯澱粉21g 水154g かき卵液(液卵60g デキストリン5g 水185g) カニ落とし身16g 青ねぎ10g スライスしいたけ8g
<凍結乾燥食品作製法>
水にデキストリンを加熱溶解させ、よく溶きほぐした液卵を塊にならないようにゆっくりと滴下しかき卵液を作った。カニ落とし身、青ネギ、スライスしいたけをボイルし水を切った。別に、水にゴマ油、食塩、醤油、みりん、グルタミン酸ナトリウム、カニエキス、馬鈴薯澱粉を加え85℃以上に加熱した。これに調理済のカニ落とし身、青ネギ、スライスしいたけを混合し40℃以下になるまで十分冷却した。40℃以下になったところで、かき卵液、馬鈴薯澱粉を加え攪拌した。50gトレイに充填し、急速冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
沸騰水(95℃)を、全量が170mlになるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した(希釈倍率約3.4倍に相当)。
【0026】
(比較例1−7;特許文献3の実施例)
<配合>
スイートコーンパウダー15.2g 粉乳14.1g 食塩4g 肉エキスパウダー7.6g グルタミン酸ナトリウム1.5g 野菜エキスパウダー4.6g β−カロチン0.2g ホワイトペパー末0.1g デキストリン12.7g α化澱粉(馬鈴薯澱粉)17.7g やし硬化油17.7g 砂糖4.6g 水180g
<凍結乾燥食品作製法>
温水にスイートコーンパウダー、粉乳、食塩、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、野菜エキスパウダー、β−カロチン、ホワイトペパー末、デキストリンを混合し、60g充填し凍結乾燥した。次に、α化澱粉、やし硬化油、砂糖を混合し攪拌しながら55℃まで加熱し溶解したものを、前記の凍結乾燥物上に約10g重層し次に放冷した。
<復元方法>
沸騰水(95℃)を、全量が225mlになるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した(希釈倍率約3.2倍に相当)。
【0027】
実施例1−1〜5は、いずれも復元性がよく、濃縮タイプでも1万mPa・Sを超える超高粘度を達成でき、希釈倍率が3.6倍でも粘度210mPa・Sの高粘度を発現できた。
一方、比較例1−4の市販品は、いずれも湯を注ぎ攪拌後ダマにならずに均一状態となり、比較例1−1〜1−2は、80mPa・Sという高粘度の条件は満足するものであるが、希釈倍率は1.0倍であり濃縮タイプではないため、体積が大きく取り扱いにくい欠点がある。比較例1−3〜1−4は、いずれも「高粘度食品」とはいえない製品であった。
比較例1−5の場合は、湯を注ぎ攪拌後ダマにならずに均一状態で1,290mPa・Sという「高粘度」を達成するものではあるが、希釈倍率すなわち濃縮率が1.0倍というもとの体積よりもさらに大きなスカスカ状態となる0.83倍であり、固形タイプといっても取り扱いにくく流通に適した形態とはいえない。しかも、希釈倍率が同じである実施例1−1の粘度42,450mPa・Sと比較すると、その30分の1程度の極めて低い値しか達成できていない。
比較例1−6では、澱粉が底に沈み澱粉沈殿層とスープ層に分かれた凍結乾燥物が得られ、湯170mlを注ぎ1分間攪拌した後でも、澱粉沈殿層は分散することなくそのまま残った。粘度も65mPa・Sまでしか上がらなかった。
比較例1−7では湯を注ぎ攪拌後ダマにならずに均一状態となったものの、粘度は30mPa・Sでありほとんど粘性を示さなかった。希釈倍率が同じである実施例1−4と比較すると、その粘度は17分の1以下である。
各実施例及び比較例それぞれの粘度値と復元性評価を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
(実施例2)本発明による凍結乾燥食品と特許文献1の方法による凍結乾燥物を種々の希釈倍率で復元した場合の粘度比較データ
(2−1) 前記実施例1−5のポタージュと水以外は同じ配合割合で、本発明の製造方法に従い調理後、凍結乾燥して実施例2の凍結乾燥食品を作製した。具体的には、以下の通りである。
<配合>
食塩0.6g 乳タンパク2.4g 上白糖2g 粉チーズ0.8g パームオレイン8g ホイップクリーム2.4g 玉葱エキス1.8g 酵母エキス1.3g チキンエキス2.2g グルタミン酸ナトリウム0.3g ゼラチン0.3g デキストリン2g 馬鈴薯澱粉9g ショ糖ステアレートHLB5 3g 水54g 白菜9g 千切り人参5.6g 玉葱スライス5g ブロッコリー4.4g コーン6g
<凍結乾燥食品作製法>
調味液原料を秤量し加熱調理した。乳化剤は調味液原料に予め添加した。具材は調味液原料の調理中に添加した。調味液及び具材を60℃以下まで冷却した。未変性馬鈴薯澱粉を添加し、120mlのトレイに充填し、凍結乾燥して凍結乾燥クリームスープを作製した。
【0030】
(2−2) 前記比較例1−5と全く同様に、特許文献1の実施例1と同様の配合割合及び調理方法で得られた高粘度食品を凍結乾燥し、比較例2の凍結乾燥食品を作製した。具体的には以下の通りである。
<配合>
コンソメ14.2g カレー粉9.5g 水355g 馬鈴薯澱粉24g ステアリン酸モノグリセリド0.6g 水225.4g 牛モモ肉355g 十分に炒めた玉葱266g
<凍結乾燥食品作製法>
牛モモ肉を炒め、十分に炒めた玉葱を加えた。コンソメとスープ原料溶解用の水の全量を加え、さらに半分量のカレー粉を加えた。3時間煮込む。カレー粉の残りを加えた。ついで、馬鈴薯澱粉粉末、乳化剤と水を入れ加熱し澱粉をα化させ攪拌溶解した。120mlのトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥し、凍結乾燥カレーシチューを作製した。
【0031】
(2−3) 種々の希釈倍率で復元した際の粘度及び復元性の比較
実施例2と比較例2のそれぞれに、沸騰水(95℃)を全量が96ml(希釈倍率0.8)、108ml(希釈倍率0.9)、120ml(希釈倍率1)、204ml(希釈倍率1.7)、300ml(希釈倍率2.5)、480ml(希釈倍率4)になるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した。
いずれの場合も、それぞれの希釈倍率の湯量を注ぎ1分間攪拌すると、ダマにならずに均一状態となったので復元性には問題ない。
しかしながら、それぞれの希釈倍率での粘度を比較すると、実施例2が20〜40倍以上もの圧倒的な高粘度を発現した。希釈倍率の減少に伴い実施例2は強い粘度を発現した。特に、比較例2は希釈倍率1.7の段階でほとんどとろみを感じられない粘度に低下したのに対して、実施例2では希釈倍率4の場合でもとろみを感じられる80mPa・S以上の粘度を発現した。(図2)
【0032】
(実施例3)同粘度を示す凍結乾燥物の容量比較データ
前記比較例1−5(特許文献1の実施例1に相当する凍結乾燥カレーシチュー)において、特許文献1の方法は、復元性もよく粘度1,290mPa・Sという高粘度を達成できたが、その際の製品の希釈倍率が約0.83であり、流通させる製品の体積としてはもとの食品の体積よりもかなり嵩高いものとなってしまうことをみてきた。ここでは、特許文献1の方法で希釈倍率を等倍以下にしてはじめて達成できる粘度約1,300mPa・Sと同程度の粘度を、本発明の方法によれば、高い希釈倍率で、すなわち、きわめて濃縮したコンパクトサイズの固形製品として提供可能であることを示す。
特許文献1の実施例1に相当する前記比較例1−5と同一方法により凍結乾燥食品を製造し、比較例3とした。
一方、実施例3としては、比較例3と類似した材料を用いた凍結乾燥カレーシチューを本願発明の方法により製造した。そして、当該凍結乾燥カレーシチューを復元させるための湯量を150mlに固定し、希釈倍率が約0.83の比較例3と同程度の粘度約1,300mPa・S程度までを発現する凍結乾燥物の容量を調査することで、その際の希釈倍率を決定した。
実施例3の凍結乾燥カレーシチューの具体的な製法は以下の通りである。
<配合>
コンソメ3g 食塩0.15g カレー粉2g 菜種油1g デキストリン3g ゼラチン0.2g ショ糖ステアレートHLB3 1g 水35g 馬鈴薯澱粉4.5g
炒めた牛モモ肉9g 十分に炒めた玉葱7g
<凍結乾燥食品作製法>
調味液原料を秤量し加熱調理した。乳化剤は調味液原料に予め添加した。具材は調味液原料の調理中に添加した。調味液及び具材を60℃以下まで冷却した。未変性馬鈴薯澱粉を添加し、65mlのトレイに充填し、凍結乾燥してカレーを作製した。
<復元方法>
沸騰水(95℃)を、全量が150mlになるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元し、粘度約1,300mPa・Sを発現する凍結乾燥物の容量を調査したところ、約65mlであり、復元性は良好であった。
なお、比較例3の凍結乾燥カレーシチューは、前記比較例1−5と同一の配合割合及び同一の調理方法、凍結乾燥方法を用いて製造したが、沸騰水(95℃)量150mlにより復元させるため、凍結乾燥前重量を180gとしてトレイに充填した。その際の凍結乾燥物容量は、約180mlであった。
【0033】
このように、実施例3では、比較例3の凍結乾燥物容量の約0.35倍と非常にコンパクトでかつ復元性も良好な凍結乾燥物が得られた。すなわち、本願発明の方法によれば、従来方法(特許文献1)と比較して1ロット当りの製造量を約3倍にすることができるので製造コストの大幅な削減が可能であり、非常にコンパクトなため商品流通においても有利な、安価な高粘度凍結乾燥食品の開発が可能であるといえる。
【0034】
【表2】

【0035】
(実施例4)未変性澱粉とα化させた澱粉を用いた凍結乾燥物の粘度発現能比較データ
(4−1) 同一の調理用原料及び同一の乳化剤を使用した凍結乾燥物において、配合する澱粉を「未変性澱粉」とするか、α化させた澱粉とするかの差異のみで、得られた凍結乾燥物を湯で復元させたときの粘度にどれほど差が出るかを比較した。
未変性澱粉と乳化剤を使用した凍結乾燥物(実施例4)は、澱粉として馬鈴薯澱粉、乳化剤としてコハク酸モノグリセリンステアレートHLB4を使用した。変性(α化)を防ぐため、澱粉は60℃以下に冷却後、添加した。100mlのトレイに充填し凍結乾燥後、湯で復元させ粘度を測定した。
α化させた澱粉と乳化剤を使用した凍結乾燥物(比較例4)についても、実施例4と同じ澱粉と乳化剤を使用した。他の原材料とともに澱粉を加熱調理し、α化させた後、100mlのトレイに充填し凍結乾燥後、湯で溶解させ粘度を測定した。
実施例4、比較例4:希釈倍率1.5倍(100⇒150ml)
【0036】
(4−2) 実施例4の凍結乾燥物
<配合>
食塩0.6g 乳タンパク2g 上白糖2g 粉末チーズ0.8g 玉葱エキス1.6g 酵母エキス1.2g チキンエキス2g グルタミン酸ナトリウム0.3g デキストリン1g コハク酸モノグリセリンステアレートHLB4 0.5g 馬鈴薯澱粉4g 水54g 白菜9g 千切り人参5.6g 玉葱スライス5g ブロッコリー4.4g コーン6g
<凍結乾燥物製造法>
未変性澱粉を除く調味液原料を秤量し、加熱調理した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。別にボイルし60℃以下に冷却されている具材を混合し、100mlのトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
湯量150mlで復元した。湯を注ぎ1分間の攪拌により、ダマにならずに均一状態となった。
(4−3) 比較例4の凍結乾燥物
実施例4と同一の調味液原料と合わせて馬鈴薯澱粉を添加し、特許文献1の実施例1での製造方法と同様の方法で加熱調理し、馬鈴薯澱粉をα化した。具材をボイルし混合し、100mlのトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。実施例4と同様に復元した。同様に、湯を注ぎ1分間の攪拌によりダマにならずに均一状態となった。
【0037】
(4−4) 復元した食品の粘度の比較
下記表3に示すように、澱粉をα化した点でのみ異なる比較例は、粘度が著しく低かった。
【0038】
【表3】

【0039】
(実施例5)乳化剤の添加に伴う粘度及び復元性の比較
未変性澱粉のみ、もしくは未変性澱粉と乳化剤を併用した凍結乾燥物それぞれを湯で復元させた際の粘度と復元性を比較した。
実施例において用いた乳化剤はショ糖ステアレートHLB5であり、添加時期としては、調味液及び具材の調理時に添加した。
実施例5−1、比較例5−1:希釈倍率0.8倍(100⇒80ml)
実施例5−2、比較例5−2:希釈倍率1倍(100⇒100ml)
実施例5−3、比較例5−3:希釈倍率1.5倍(100⇒150ml)
【0040】
(実施例5−1〜3,比較例5−1〜3)
<配合>
鶏がらスープパウダー2g ウスターソース2.2g パームオレイン3g 香味油1g 薄口醤油2.2g 醸造調味料0.6g 酵母エキス0.4g グルタミン酸ナトリウム0.6g 食塩1.2g 砂糖0.3g 野菜ミックス0.5g コショウ0.02g チキンエキス2g ショ糖ステアレートHLB5 1g(実施例5−1〜3のみ使用) タピオカ澱粉4.5g 水22g 白菜35g 千切り人参8g 乾燥きくらげ1g 豚肉6g 竹の子スライス6g
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し、加熱調理した。実施例においては、乳化剤を調味液にあらかじめ添加した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。別にボイルし60℃以下に冷却されている具材を混合し、100mlのトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
湯量80ml、100ml、150mlでそれぞれ復元した。
【0041】
実施例5−1〜3の結果は、湯を注ぎ1分間の攪拌により、いずれもダマにならずに均一状態となったが、乳化剤を添加しなかった比較例5−1〜3(特許文献2に相当)は、未変性澱粉の溶解性が悪く大部分がゲル化し尚且つダマ・ママコが発生したためいずれも粘度が著しく低かった。
【0042】
【表4】

【0043】
(実施例6)乳化剤のHLB値に伴う粘度の比較
使用する乳化剤の種類及びHLB値を変えて凍結乾燥コンソメスープを製造し、同量の湯で復元した際の粘度と復元性について評価した。
この実施例及び比較例では、希釈倍率をすべて1倍(60⇒60ml)にそろえ、原料の配合を以下のようにそろえた。
<配合>
コンソメ3g 食塩0.15g デキストリン3g ゼラチン0.2g 菜種油1g 水48g 馬鈴薯澱粉4.5g 乳化剤0.1g
<乳化剤の種類>
(実施例6−1)ショ糖ステアレート HLB3(ショ糖脂肪酸エステル)
(実施例6−2)PGエステル HLB3
(実施例6−3)コハク酸モノグリセリンモノステアレート HLB4(モノグリセリン脂肪酸エステル)
(実施例6−4)ショ糖ステアレート HLB5(ショ糖脂肪酸エステル)
(実施例6−5)ソルビタンモノステアレート HLB5(ソルビタン脂肪酸エステル)
(実施例6−6)クエン酸モノグリセリンモノオレエート HLB6(モノグリセリン脂肪酸エステル)
(実施例6−7)ソルビタンモノステアレート HLB6.5(ソルビタン脂肪酸エステル)
(実施例6−8)ジグリセリンモノオレエート HLB8(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
(実施例6−9)デカグリセリンモノステアレート HLB12(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
(実施例6−10)レシチン(HLBは不明であるが、通常HLB3〜4といわれている。)
(比較例6−1)ショ糖ステアレート HLB15(ショ糖脂肪酸エステル)
(比較例6−2)デカグリセリンモノラウレート HLB15.5(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し、加熱調理した。各乳化剤は調味液原料に予め添加した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。60mlのトレイに個別に充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
湯量60mlでそれぞれ復元した。
【0044】
復元後の粘度に関しては、図3に示すとおりである。使用する乳化剤の種類にはほとんど関係なくHLB値に依存しており、HLB1〜12の範囲内であれば、どのような種類の乳化剤でも本願発明の乳化剤として使用することができ、十分な高粘度を発現することができる。特に、HLB3〜7の範囲の乳化剤が復元性も良好でかつ8,000mPa・S以上のきわめて高い粘度を発現でき、とりわけHLB3〜5の範囲の乳化剤の場合は9,000mPa・S以上という高粘度であった。
復元性については、実施例6−1〜6−9はいずれも良好であったが、実施例6−10(レシチン)の場合は、若干小さなダマが発生したが、粘度は7,000mPa・S以上発現しており十分使用可能な範囲内である。
一方、比較例6−1(ショ糖ステアレートHLB15)においては、若干の小さなダマが発生し、比較例6−2(デカグリセリンモノラウレートHLB15.5)は復元性が悪く、いずれも粘度2,000mPa・Sには届かなかった。
【0045】
【表5】

【0046】
(実施例7)乳化剤添加量に伴う粘度の比較データ
乳化剤(ショ糖ステアレートHLB5)の添加量を変え、実施例6と同様の手法により調理、冷却後、未変性澱粉を添加し、凍結乾燥してコンソメスープを作製した。湯で溶かした後の粘度と復元性について評価した。
この実施例では、希釈倍率をすべて1倍(60⇒60ml)にそろえ、配合を以下のようにそろえた。乳化剤は調味液原料にあらかじめ添加した。
<配合>
コンソメ3g 食塩0.15g デキストリン3g ゼラチン0.2g 米油5g ショ糖ステアレートHLB5 馬鈴薯澱粉4.5g 乳化剤 水
<乳化剤添加量>本願発明の実施例と比較例を、配合した乳化剤量の順に並べると以下のようになる。
(比較例7−1)乳化剤添加量0g(無添加)(水44g)
(実施例7−1)乳化剤添加量0.001g(水43.999g)(約0.00167w/v%)
(実施例7−2)乳化剤添加量0.01g(水43.99g)(約0.0167w/v%)
(実施例7−3)乳化剤添加量0.1g(水43.9g)(約0.167w/v%)
(実施例7−4)乳化剤添加量1g(水43g)(約1.67w/v%)
(実施例7−5)乳化剤添加量5g(水39g)(約8.33w/v%)
(実施例7−6)乳化剤添加量10g(水34g)(約16.67w/v%)
(比較例7−2)乳化剤添加量20g(水24g)(約33.33w/v%)
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し、加熱調理した。各乳化剤は調味液原料に予め添加した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。60mlのトレイに個別に充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
湯量60mlでそれぞれ復元した。
【0047】
比較例7−1と比較例7−2は湯を注ぎ1分間の攪拌でも、ブロックがゲル化してしまい復元することなく粘度がほとんど発現しなかった。一方、実施例7−1〜7−6はいずれも高粘度を示し、実施例7−2〜7−5はいずれも良好な復元を示した。ただし、実施例7−1及び7−6は若干のダマ・ママコが発生したが使用に耐えられないほどではなかった。
このことからも、乳化剤の添加量は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して0.001〜20w/v%、特に0.01〜10w/v%が好ましいという結果となった。(図4)
【0048】
【表6】

【0049】
(実施例8)澱粉種に伴う粘度の比較データ
乳化剤としてデカグリセリンモノステアレートHLB12を使用し、実施例6と同様の手法により調理、冷却後、各種未変性澱粉を添加し、凍結乾燥してコンソメスープを作製した。湯で溶かした後の粘度と復元性について評価した。
この実施例では、希釈倍率をすべて1倍(60⇒60ml)にそろえ、配合を以下のようにそろえた。乳化剤は調味液原料にあらかじめ添加した。
<配合>
コンソメ3g 食塩0.15g デキストリン3g ゼラチン0.2g 菜種油2g デカグリセリンモノステアレートHLB12 1g 澱粉4.5g 水47g
<澱粉種>
(実施例8−1)馬鈴薯澱粉
(実施例8−2)タピオカ澱粉
(実施例8−3)甘藷澱粉
(実施例8−4)くず澱粉
(比較例8)澱粉無添加
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し、加熱調理した。各乳化剤は調味液原料に予め添加した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。60mlのトレイに個別に充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
湯量60mlでそれぞれ復元した。
【0050】
湯を注ぎ1分間の攪拌により、いずれもダマにならずに均一状態となったが、未変性澱粉無添加の場合(比較例8)は復元後の粘度が発現しなかった。一方、実施例8−1〜4に関しては、粘度を発現した。
したがって、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、及びくず澱粉を使用した場合において、好ましい結果を示した。
【0051】
【表7】

【0052】
(実施例9)澱粉添加量に伴う粘度の比較
乳化剤としてショ糖ステアレートHLB3を使用し、原料を加熱溶解し、冷却後、未変性澱粉の量を変えて添加し、凍結乾燥して凍結乾燥物を作製した。次いで、湯で溶かした後の粘度を測定し復元性について評価した。
この実施例では、希釈倍率をすべて希釈倍率0.8倍(120⇒100ml)にそろえ、配合を以下のようにそろえた。乳化剤は調味液原料にあらかじめ添加した。
<配合>
食塩0.3g デキストリン12g ゼラチン0.4g コーン油10g ショ糖ステアレートHLB3 2g 馬鈴薯澱粉 水
<澱粉添加量>本願発明の実施例と比較例を、配合した澱粉量の順に並べると以下のようになる。
(比較例9−1)澱粉添加量0g(無添加)(水95.3g)
(実施例9−1)澱粉添加量0.2g(水95.1g)(約0.2w/v%)
(実施例9−2)澱粉添加量1g(水94.3g)(約1w/v%)
(実施例9−3)澱粉添加量2g(水93.3g)(約2w/v%)
(実施例9−4)澱粉添加量5g(水90.3g)(約5w/v%)
(実施例9−5)澱粉添加量10g(水85.3g)(約10w/v%)
(実施例9−6)澱粉添加量15g(水80.3g)(約15w/v%)
(比較例9−2)澱粉添加量20g(水75.3g)(約20w/v%)
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し、加熱調理した。乳化剤は調味液原料に予め添加した。60℃以下に冷却し、未変性馬鈴薯澱粉粉末を入れ攪拌した。(比較例9−1を除く。)120mlのトレイに充填し、冷凍後、常法通りに凍結乾燥した。
<復元方法>
実施例9−1〜6と比較例9−1及び2にそれぞれ、沸騰水(95℃)を全量が100mlになるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した。
【0053】
粘度の測定結果は図2、復元性の評価結果を表8に示した。
比較例9−1では復元性は良好であったが、粘度は発現しなかった。湯を注ぎ1分間の攪拌により、澱粉を20g(凍結乾燥前の調味液及び具材に対して20w/v%に相当)添加した比較例9−2では復元しなかった。15g(凍結乾燥前の調味液及び具材に対して15w/v%以下に相当)の場合(実験例9−6)は、若干ダマ・ママコの発生があったものの、良好に粘度を発現した。実施例9−1〜5では、いずれもダマにならずに均一に復元し粘度を発現した。
したがって、澱粉の添加量は、凍結乾燥物を溶かす湯の量に対して0.2〜15w/v%、特に0.2〜10w/v%が好ましいという結果が得られた。(図5)
【0054】
【表8】

【0055】
(実施例10)種々の希釈倍率で復元したときの凍結乾燥物の粘度
本発明による製造方法により作成した凍結乾燥物(実施例10)を、種々の用量の湯で復元したときの粘度を測定した。
(実施例10)
<配合>
馬鈴薯澱粉9g 油脂4g 乳化剤(ショ糖ステアレートHLB5 3g) デキストリン12g ゼラチン0.4g 水92g
<凍結乾燥食品製造法>
調味液原料を秤量し加熱溶解した。乳化剤は原料に予め添加した。溶解液を60℃以下まで冷却した。未変性馬鈴薯澱粉を添加し、120gをトレイに充填し、凍結乾燥して粘度測定用サンプルを作製した。
<復元方法>
実施例10のように作成したサンプルに、沸騰水(95℃)を全量が96ml(希釈倍率0.8)、108ml(希釈倍率0.9)、120ml(希釈倍率1)、204ml(希釈倍率1.7)、300ml(希釈倍率2.5)、480ml(希釈倍率4)になるように加え、スターラー(1,000回転/分)により1分間攪拌して復元した。
【0056】
実施例10では希釈倍率0.8〜1.7では特に高粘度を示し、希釈倍率4の場合でもとろみを感じられる80mPa・S以上の高粘度を発現した。(図6)
【0057】
(試作例1)凍結乾燥コーンスープ
(1−1) コーンスープの製造
調味液原料(コーンパウダー25g 全粉乳44.5g 食塩6g オニオンパウダー2g コショウ0.05g 上白糖5g チキンパウダー5g 乳化剤(ジグリセリンモノオレエートHLB8)5g、ゼラチン5g、デキストリン5g)に水350gを加えて80℃まで加熱し溶解しコーンスープを製造した。
【0058】
(1−2) 凍結乾燥品の調製法
得られたコーンスープ調味液を、60℃まで冷却し、未変性馬鈴薯澱粉15gを混合した。(全量350ml)
次いで、1食あたり70mlとなるようにプラスチックの個食用トレイに分注した。トレイごと、−30℃以下の冷凍庫に入れて凍結させた後、常法により凍結乾燥し、1食ごとに小分けされたブロック状の凍結乾燥コーンスープを製造した。
【0059】
(1−3) 凍結乾燥コーンスープの復元性
得られた凍結乾燥コーンスープの1食分を容器に入れ、150mlの沸騰水を注ぎ、よく攪拌すると、直ちにブロックが崩壊し、ダマを生じることなく1分程度でコーンスープを復元することができた。
復元後、測定された粘度(75℃)は、970mPa・Sの値を示した。試験者5名により、実際に食し、風味、外観、及び食感について評価した。「風味、外観、及び食感全て好ましい」を「+2」、「風味、外観、及び食感のいずれか2つは好ましい」を「+1」、「風味、外観、及び食感のいずれか2つは好ましくない」を「−1」、「風味、外観、及び食感全て好ましくない」を「−2」とした4段階評価を行った結果、平均「+1.8」と高い評価であった。
【0060】
(試作例2)凍結乾燥ビーフシチュー
(2−1) ビーフシチューの製造
豚肉100g、人参100gを炒め、十分に炒めた玉葱100gと共に、調味液原料(食塩10g、乳タンパク8g、上白糖10g、粉チーズ8g、トマトペースト40g、菜種油20g、玉葱エキス24g、酵母エキス12g、野菜エキス10g、カラメル色素9g、チキンエキス6g、赤ワインソース6g、ガーリック末0.8g、コショウ0.8g、グルタミン酸ナトリウム4g、乳化剤(ジグリセリンモノオレエートHLB8)10g、ゼラチン10g、馬鈴薯澱粉14g、デキストリン20g)、マッシュルーム100g、水580gを加えて80℃まで加熱し溶解し、ビーフシチューを製造した。
【0061】
(2−2) 凍結乾燥品の調製法
得られたビーフシチューを、60℃まで冷却し、未変性馬鈴薯澱粉30gを混合した。(全量1,200ml)
次いで、1食あたり60mlとなるようにプラスチックの個食用トレイに分注した。トレイごと、−30℃以下の冷凍庫に入れて凍結させた後、常法により凍結乾燥し、1食ごとに小分けされたブロック状の凍結乾燥ビーフシチューを製造した。
【0062】
(2−3) 凍結乾燥ビーフシチューの復元性
得られた凍結乾燥ビーフシチューの1食分を容器に入れ、100mlの沸騰水を注ぎ、よく攪拌すると、直ちにブロックが崩壊し、ダマを生じることなく1分程度でビーフシチューを復元することができた。
復元後、測定された粘度(75℃)は、2,050mPa・Sの値を示した。
実施例1と同様に評価を行った結果、平均「+1.8」と高い評価であった。
【0063】
(試作例3)夏野菜カレー
(3−1) カレーの製造
豚肉200g、ナス75g、人参75g、ピーマン50g、玉葱150gと共に、調味液原料(醤油10g、三温糖7.5g、トマトペースト10g、チキンエキス12.5g、野菜エキス12g、玉葱エキス1g、ウスターソース5g、カレー粉10g、植物油40g、食塩10g、酵母エキス4g、グルタミン酸ナトリウム3g、ガーリック末0.5g、乳化剤(ショ糖ステアレートHLB3)10g、カラメル色素7.5g、馬鈴薯澱粉10g、ゼラチン1g)及び水237gを加えて80℃まで加熱し溶解し、カレーを製造した。
【0064】
(3−2) 凍結乾燥品の調製法
得られたカレーを、60℃まで冷却し、未変性馬鈴薯澱粉50gを加え、混合した。(全量1,000ml)
次いで、1食あたり100mlとなるようにプラスチックの個食用トレイに分注した。トレイごと、−30℃以下の冷凍庫に入れて凍結させた後、常法により凍結乾燥し、1食ごとに小分けされたブロック状の凍結乾燥夏野菜カレーを製造した。
【0065】
(3−3) 凍結乾燥夏野菜カレーの復元性
得られた凍結乾燥夏野菜カレーの1食分を容器に入れ、100mlの沸騰水を注ぎ、よく攪拌すると、直ちにブロックが崩壊し、ダマを生じることなく1分程度で夏野菜カレーを復元することができた。
復元後、食したところ、通常のカレーのとろみがあり食べ応えがあることが確認された。測定された粘度(75℃)は、8,890mPa・Sの値を示した。
実施例1と同様に評価を行った結果、平均「+1.4」と高い評価であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未変性澱粉及び乳化剤が配合された高粘度調理食品の凍結乾燥物からなる即席凍結乾燥食品であって、前記未変性澱粉が、調理食品原料を加熱調理後に60℃以下に冷却された後で添加されていることを特徴とする、復元時に80mPa・S以上の粘性を有する即席凍結乾燥食品。
【請求項2】
乳化剤の全量もしくは一部が、調理食品原料が加熱調理される前に添加され、残量が加熱調理後の60℃以下に冷却された後に添加されていることを特徴とする、請求項1に記載の即席凍結乾燥食品。
【請求項3】
調理食品原料中の具材の全部又は一部が、他の調理食品原料とは別に加熱調理され60℃以下に冷却された後、未変性澱粉と共に添加されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の即席凍結乾燥食品。
【請求項4】
前記凍結乾燥物を復元する際の希釈倍率が1.1〜10倍である、請求項1〜3のいずれかに記載の即席凍結乾燥食品。
【請求項5】
未変性澱粉及び乳化剤が配合された、復元時に80mPa・S以上の粘性を有する即席凍結乾燥食品の製造方法であって、下記の(1)〜(4)の工程を含む方法;
(1)調理食品原料又はさらに乳化剤の全量もしくは一部を含む調理食品原料に水を加えて加熱調理し、液状調味ベースを調製する工程、
(2)上記工程(1)で得られた液状調味ベースを60℃以下にまで冷却する工程、
(3)60℃以下に冷却した液状調味ベースに、未変性澱粉又はさらに乳化剤の全量もしくは上記工程(1)での残量を添加して混合し、高粘度調理食品を製造する工程、
(4)上記工程(3)で得られた高粘度調理食品を、容器又は個食用トレイに充填して凍結乾燥する工程。
【請求項6】
調理食品原料中の具材を別に調理し、60℃以下に冷却後、前記工程(3)において、液状調味ベースに添加して混合することを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19733(P2012−19733A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159917(P2010−159917)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000229519)日本ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】