説明

高純度電解銅箔及びその製造方法

【課題】 プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、FPC用銅箔として高周波伝送特性、耐屈曲性が優れた電解銅箔とその製造方法を提供することである。
【解決手段】 本発明は純度が99.999wt%以上の銅からなる高純度電解銅箔である。該電解銅箔は、尿素を含む硫酸酸性の電解液を用い、あるいは、尿素及び尿素以外の有機化合物の少なくとも一種を含む硫酸酸性電解液を用いて製箔する。本発明による電解銅箔は、高周波伝送特性、耐屈曲性が優れ、プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、FPC用銅箔として従来の電解銅箔に比較して比較にならないほど優れた特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度電解銅箔、特にプリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、フレキシブルプリント配線板用銅箔等に最適な純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は大きく2種類に分けられる。一つはガラスエポキシ基板に代表される剛性のある基板に張り付けられたリジッドプリント配線板であり、もう一つはポリイミド基板に代表される柔軟性に富んだ基板に張り付けられたフレキシブルプリント配線板(以下FPCと記す。)である。
リジッドプリント配線板の最近の動向は、ファインパターン化及び高周波伝送特性の向上等である。
また、FPCの場合はファインパターン化、耐屈曲性の向上、高周波伝送特性の向上等が挙げられる。
【0003】
最近では、フラットパネルディスプレイ、デジタルカメラ、携帯電話等に使用される配線板として、FPCの需要が高まっている。
FPCは通常2種類に分けられる。一つは、ポリイミド、ポリエステル等の絶縁性フィルムに銅箔を接着樹脂で張り付け、エッチング処理してパターンを施したものである。このタイプのFPCを通常三層FPCと呼んでいる、これに対してもう一つのタイプは、接着剤を使用しないでポリイミドと銅箔とを直接積層したFPCである。これを通常二層FPCと呼んでいる。
FPCは主に液晶、プラズマ等のフラットパネルディスプレイ、デジタルカメラ、AV機器、パソコン、コンピューター端末機器、HDD、携帯電話、カーエレクトロニクス機器等の配線に使用されている。これらの配線は折り曲げて装着したり、或いは繰り返し曲げがはいるような箇所に使用されるため、FPC用銅箔に要求される特性として、耐屈曲性が一つの重要な特性である。
【0004】
プリント配線板用銅箔には大きく分けて2種類がある。一つは鋳造により製造した銅の鋳塊に圧延加工を施して箔状とした圧延銅箔である。もう一つは、電解銅箔であり、図1に示す電解製箔装置と呼ばれる回転するドラム状のカソード(チタン製ドラム)2と、陰極に対して同心円状のアノード(DSA製)1を配置した装置に硫酸銅を主成分とする電解液3を通し、両極間に電流を流して、所定の厚さに銅を析出させた後引き剥がして製造を行う。
【0005】
この後、プリント配線板に必要とされる性能を付与するため、図2に示すような表面処理装置に未処理銅箔4を通し、電気化学的あるいは化学的な表面処理を連続的に行う。この表面処理を施した後のものが、表面処理銅箔8と呼ばれ、プリント配線板に使用される。この場合、電解銅箔の機械的な性能を決めるものはあくまでも未処理銅箔4の性能である。
【0006】
高周波伝送特性の向上については、過去に銅箔の表面粗さを平滑にするという考えかたの出願がある。しかし、銅箔そのものに関する出願は見当たらない。
例えば、特許文献1(特開昭60−248344号公報)には、基板の両面に接合された金属箔層を有し、かつその接合界面の凹凸を3μm以下としたことを特徴とする高周波用金属箔張り積層板が開示されている。
また、特許文献2(特開平053−55746号公報)には、高周波信号を伝送する金属層が、表裏両面ともに表面長さ率が150以下の銅箔からなる高周波用銅張り積層板が開示されている。
信号が高周波化するに伴い、表皮効果により電流は導体表面を流れるようになる。すなわち、導体の表面部分にのみ電流が流れることになり、表面粗さの大きい導体は信号伝播距離の増加により伝送損失が大きくなる。
これを防ぐために導体表面の凹凸を抑えると効果があると言われている。上記2件はいずれもこうした考え方に基づく出願である。
【0007】
また、FPC用銅箔には屈曲性が要求されるため、これまでは、圧延銅箔が使用されるケースが多かった。圧延銅箔はFPC製造時の銅箔とポリイミドを張り合わせる工程で加熱されると、120〜160℃という比較的低温で焼鈍されて軟化が起こり、屈曲性や伸びが大きくなるという特徴を有するからである。しかし圧延銅箔は高価であり、特に12μm、9μmといった薄物になるほど電解銅箔に比較してコストが飛躍的に上昇する。これは薄物を作る場合には、厚い銅箔を何回にもわたって圧延を繰り返して製造するためである。また圧延で製造される銅箔の幅は通常600mm程度と幅が狭く、FPC製造時の能率が悪いという欠点がある。
【0008】
これに対して、電解銅箔は圧延銅箔に比べて12μm、9μmといった薄物の製造が比較的容易であり、こうした薄物では圧延銅箔に比較して圧倒的に安価である。
また、通常1,000mm以上の幅の銅箔を製造することが可能である。
しかし、従来の製造方法による電解銅箔は、圧延銅箔に比べ200℃以上に加熱しても焼鈍、軟化せず、屈曲性が悪いため、FPCは限られた用途でしか使用できなかった。
本出願人はこうした従来の電解銅箔の欠点をなくし、特許文献3(特許第3608840号公報)に示すように、圧延銅箔に近い屈曲性をもつ電解銅箔を開発した。
【0009】
一方、近年の電子機器の技術革新は目覚しいものがあり、機器のコンパクト化、多機能化が進んでいる。これらの機器に用いられるプリント配線板にも、それに対応するため、リジッド基板の場合にはファインパターン化、高周波伝送特性の向上、FPCの場合はファインパターン化、より屈曲寿命の長いもの、高周波伝送特性に優れたものが要求されている。
【0010】
FPCは絶縁フィルム(ポリイミド、ポリエステル、液晶ポリマー)上に、銅箔を張り付けた銅張積層板に回路を形成した柔軟性のあるプリント配線板である。使用する銅箔には、絶縁フィルムと導体の接着力を上げるために銅箔の片面に銅粒をめっきにより付着させた粗化処理を施している。
電解銅箔の場合は、通常は製造時に電解液に接している粗面に粗化処理を施している。なお、製造時にチタンドラムに接している面は光沢面と呼び、粗化処理はなされず、防錆或いは耐熱変色を抑える目的の亜鉛めっき処理、クロメート処理等を施している。
【0011】
これは、圧延銅箔の場合も同様であって、圧延銅箔の片面に銅粒或いは銅合金粒をめっきにより付着させた粗化処理を施している。しかし、もう一方の面は防錆或いは耐熱変色を抑える目的の亜鉛めっき処理、クロメート処理等を施している。
【0012】
銅張積層板の製造時には、この粗化処理面に接着樹脂を介してフィルムと接合させるか(三層FPC)、或いは接着樹脂を介さず銅箔粗化面に直接キャスティング或いは熱圧着法により、絶縁フィルムを積層(二層FPC)する。
その銅張積層板にエッチング法により回路を形成し、回路側に絶縁フィルムのカバーレイを接着してFPCとする。
【0013】
こうしたFPCの屈曲を行う際に、前記特許文献3(特許第3608840号公報)に示す電解銅箔は、従来の電解銅箔とは比較にならないほど耐屈曲性に優れている。しかし、ハードディスクに使用されるFPCの評価としてよく使われる、何百万回といったレベルの多数回の耐屈曲試験(例えば、JIS C 5016−1994 に記載されている耐屈曲性試験)を行うと、圧延銅箔に比べて劣るというケースが観測される場合がある。
【0014】
【特許文献1】特開昭60−248344号公報
【特許文献2】特開平053−55746号公報
【特許文献3】特許第3608840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来の電解銅箔の高周波伝送特性を高め、屈曲寿命をさらに高めることを目的に鋭意研究した結果、本発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1は、純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔である。
【0017】
本発明の第2は、プリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔であるプリント配線板用高純度電解銅箔である。
【0018】
本発明の第3は、高周波伝送プリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔である高周波伝送プリント配線板用高純度電解銅箔である。
【0019】
本発明の第4は、フレキシブルプリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔であるフレキシブルプリント配線板用高純度電解銅箔である。
【0020】
本発明の第5は、純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔を製箔する高純度電解銅箔の製造方法であって、尿素を含む硫酸酸性の電解液を用いて製箔する高純度電解銅箔の製造方法である。
【0021】
本発明の第6は、純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔を製箔する高純度電解銅箔の製造方法であって、尿素及び尿素以外の有機化合物の少なくとも一種を含む硫酸酸性電解液を用いて高純度電解銅箔を製箔する製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明による電解銅箔は、高周波伝送特性、耐屈曲性が優れ、プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、FPC用銅箔として従来の電解銅箔に比較して比較にならないほど優れた特性を示す。
本発明の製造方法によれば、高周波伝送特性、耐屈曲性が優れ、プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、FPC用銅箔として従来の電解銅箔に比較して比較にならないほど優れた特性を示す電解銅箔を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
通常の電解銅箔は、JIS C 6515−1998に記載されているように、電解銅箔の純度は未処理銅箔で99.8%以上(なお、銀は銅とみなす。)の純度をもつと規定されている。
なお、ここで未処理銅箔とは表面処理を施す前の銅箔をさす。前述の図1に示す電解製箔装置により製造した銅箔である。
通常市販されている電解銅箔は、図2に示すような表面処理装置に未処理銅箔4を通し、電気化学的あるいは化学的な表面処理を連続的に行ったものである。この表面処理を施した後のものが、表面処理銅箔8と呼ばれ、プリント配線板に使用される。
【0024】
実際に、従来の電解銅箔の未処理銅箔の純度を測定して見るとで、その純度は最高で99.99wt%位である。
【0025】
未処理銅箔の純度が99.99wt%以下である理由は、電解銅箔を製造するときに使用する電解液中に含まれる無機不純物金属、例えばAg、Cd、Al、Si等の無機不純物金属の共析及び有機添加剤の共析によるカーボン、イオウ等が銅箔中に含まれるためである。
【0026】
特に、この電解液中への有機添加剤の添加は、電解銅箔表面を平滑にする効果がある半面、有機不純物が通常電解銅箔の結晶粒界に吸着する。その結果カーボン、イオウ等の不純物が銅箔中に含まれることになる。この原因は、有機添加剤がカーボンを含有しているのは当然であるが、通常イオウを含む有機物を添加剤に使用する例が多いためである。カーボン、イオウ等の不純物が銅箔中に含まれると、銅箔の常温及び高温時の伸びを低くする方向に働き、加熱したとき再結晶するのを妨げる。
その結果、こうした電解銅箔を用いてFPCを製造した場合、圧延銅箔に比較して耐屈曲性は劣る。
【0027】
本発明者らは、電解銅箔中に含まれる無機不純物、有機不純物の量を微量に抑えることで、銅箔の純度を高めることによって常温及び高温時の伸び、耐屈曲性が飛躍的に改良され、再結晶温度を200℃未満に低下させることができることを見いだした。
すなわち、本発明の銅箔は、未処理銅箔の純度が、99.999wt%以上の電解銅箔である。
【0028】
こうした純度の高い銅箔は高周波伝送損失が小さいため高周波伝送プリント配線板用銅箔として好適であるが、また、耐屈曲性に優れるためFPC用銅箔としても好適である。
【0029】
更に、本発明の電解銅箔は、常温及び高温時の伸びが大きいため、加工時に破断することがなくリチウムイオン電池負極用集電体銅箔としても好適である。
【0030】
未処理銅箔の純度が99.999wt%以上の電解銅箔を得るためには、硫酸酸性の電解液を用いる。前記電解液には尿素を含む電解液を使用することが望ましく、さらには、前記電解液は尿素及び尿素以外の有機化合物を少なくとも一種含む電解液であることが好ましい。
【0031】
ここで、尿素以外の有機化合物は、アミン(脂肪族アミン、芳香族アミンなど)、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピレングリコールなど)、ニカワ又は/及びゼラチン、サッカリン、カフェイン、高分子多糖類(デキストリン、糖蜜など)、グアーガム、アラビアゴム、水溶性セルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムなど)、アミノ酸(プロリン、ヒドロキシプロリンなど)、アクリルアミド、ジチオトレイトール、チオ尿素、スルホプロピルジスルフィド、テトラエチルウラムジスルフィド、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)、スルホニウムアルカンスルホネート、チオカルバモイルジスルフィド、デンプン、ポリエチレンイミン、フェナジン類(モーベイン、サフラニンなど)、あるいはその誘導体から選ばれる一種あるいは一種以上の混合物である。
以下実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
〔実施例1〕
図1に示す回転するドラム状のカソード(チタン製)2と、陰極に対して同心円状のアノード(DSA製)1を配置した装置に下記電解液組成1の電解液3を通し、両極間に電流を流して未処理銅箔4を製造した。
製箔は、伝送損失測定用として箔厚35μmの未処理銅箔を、耐屈曲性試験用として厚さ18μmの未処理箔を製造した。この後、図2の表面処理装置を通して、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μm及び18μmの表面処理銅箔を得た。
【0033】
電解液組成1および製箔条件:
電解浴: Cu 70〜130g/l
SO 80〜140g/l
尿素 0.5〜10ppm
トリエタノールアミン 1〜50ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度: 10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
【0034】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、下記電解液組成2の銅電解液を使い、箔厚35μm及び箔厚18μmの未処理箔を製造した。この後、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μm及び18μmの表面処理銅箔を得た。
電解液組成2および製箔条件:
電解浴: Cu 70〜130g/l
SO 80〜140g/l
尿素 0.5〜10ppm
ポリエチレングリコール 1〜50ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度: 10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
【0035】
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、下記電解液組成3の銅電解液を使い、箔厚35μm及び箔厚18μmの未処理箔を製造した。この後、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μm及び18μmの表面処理銅箔を得た。
電解液組成3および製箔条件:
電解浴: Cu 70〜130g/l
SO 80〜140g/l
尿素 0.5〜10ppm
低分子量ゼラチン(分子量=3,000) 1〜50ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度: 10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
【0036】
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、下記電解液組成4の銅電解液を使い、箔厚35μm及び箔厚18μmの未処理箔を製造した。この後、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μm及び18μmの表面処理銅箔を得た。
電解液組成4および製箔条件:
電解浴: Cu 70〜130g/l
SO 80〜140G/L
ニカワ 1〜50ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度: 10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
【0037】
〔比較例2〕
実施例1と同様にして、下記電解液組成5の銅電解液を使い、箔厚35μm及び箔厚18μmの未処理箔を製造した。この後、密着性向上のための粗化処理、防錆処理を行って、厚さ35μm及び18μmの表面処理銅箔を得た。
電解液組成5および製箔条件:
電解浴: Cu 70〜130g/l
SO 80〜140g/l
チオ尿素 0.5〜10ppm
ニカワ 1〜50ppm
塩化物イオン 5〜50ppm
電流密度: 10〜100A/dm2
浴温: 40〜60℃
【0038】
銅箔の純度分析
実施例1〜3、比較例1、2で作成した35μm電解銅箔の分析値を表1に示した。表1から明らかなように、実施例は99.999wt%以上の高純度であった。
【0039】
【表1】

【0040】
高周波伝送損失の測定
実施例1〜3、比較例1、2で作成した35μm電解銅箔を松下電工(株)製;低誘電率・高耐熱樹脂基材に積層した後、配線長:1,000mm、線幅:0.16mmのパターンを作成し、ネットワークアナライザー(アジレント(株)8753ET)で85℃における伝送損失を測定した。
表2に85℃における伝送損失測定結果を示した。本発明による銅箔は比較例(従来)の銅箔に比べて、非常に伝送損失が小さく高周波伝送用プリント配線板用の銅箔として優れていることがわかる。
【0041】
【表2】

【0042】
耐屈曲性評価試験片の作成
実施例1〜3、比較例1、2で作成した18μm電解銅箔をニッカン工業(株)製ニカフレックスCISV−2525(ポリイミドフィルム25μm、接着剤厚さ25μm)に、150℃、40kg/cm、55分の条件でラミネートした後、JIS C 5016−1994に記載されているライン/スペース=1.5mm/1.0mmの耐屈曲性試験の試料を作成した。その後カバーレイとしてニカフレックスCISV−2525をラミネートし試験片とした。
【0043】
耐屈曲性試験
信越エンジニアリング(株)製FPC高速屈曲試験機SEK−31B2Sに上記の耐屈曲性試験片をセットし、曲率半径1.5mm、ストローク長さ20.0mm、屈曲回数1500回/分で測定を行った。測定は回路抵抗を経時的に測定し、破断するまでの回数を測定した。
結果を表3に記載した。表3から明らかなように、破断までの回数が2桁近く改良されている。
【0044】
【表3】

【0045】
上述したように、本発明の高純度電解銅箔は耐屈曲性、高周波伝送特性に極めて優れ、プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、フレキシブルプリント配線版用銅箔として従来の電解銅箔に比較して比較にならないほど優れた特性を有するものである。
また、本発明の製造方法によれば、高周波伝送特性、耐屈曲性が優れ、プリント配線板用銅箔、高周波伝送プリント配線板用銅箔、FPC用銅箔として従来の電解銅箔に比較して比較にならないほど優れた特性を示す電解銅箔を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】電解製箔装置の構造を示す説明図である。
【図2】表面処理装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 電解製箔装置のアノード
2 電解製箔装置のカソード
3 電解製箔装置の電解液
4 未処理銅箔
5 表面処理装置の電解液
6 表面処理装置の電解液
7 表面処理装置のアノード
8 表面処理銅箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔。
【請求項2】
プリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔であるプリント配線板用高純度電解銅箔。
【請求項3】
高周波伝送プリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔である高周波伝送プリント配線板用高純度電解銅箔。
【請求項4】
フレキシブルプリント配線板の回路を形成する銅箔であって、該銅箔が純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔であるフレキシブルプリント配線板用高純度電解銅箔。
【請求項5】
尿素を含む硫酸酸性の電解液を用いて純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔を製箔することを特徴とする高純度電解銅箔の製造方法。
【請求項6】
尿素及び尿素以外の有機化合物の少なくとも一種を含む硫酸酸性電解液を用いて純度99.999wt%以上の高純度電解銅箔を製箔することを特徴とする高純度電解銅箔の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−253345(P2006−253345A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66584(P2005−66584)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(591056710)古河サーキットフォイル株式会社 (43)
【Fターム(参考)】