説明

高純度3−(2−置換ビニル)セファロスポリンの製法

【解決課題】本発明は、高純度非結晶形態及び結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法と、高純度非結晶形態及び結晶形態のセフジトレンピボキシルを含んだ薬剤組成物に関する。
【解決手段】本発明は高純度非結晶形態及び結晶形態のセフジトレンピボキシルを使用した感染症の治療法にも関する。高純度セフジトレンピボキシルは98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE‐異性体不純物と1%以下のΔ2異性体不純物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高純度の非結晶形態並び結晶形態の3−(2−置換ビニル)セファロスポリンの製法に関する。特に、本発明は高純度のセフジトレンピボキシル(cefditoren pivoxil)の非結晶形態及び結晶形態並びに高純度の非結晶形態及び結晶形態のセフジトレンピボキシルを含んだ薬剤組成物の製法に関する。本発明は高純度の非結晶形態及び結晶形態のセフジトレンピボキシルを使用した感染症の治療法にも関する。
【背景技術】
【0002】
【化1】

式I
【0003】
式Iのセフジトレンピボキシル(ME−1207としても知られる)はセフジトレンのピバロキシメチルエステル(ME−1206としても知られる)であり、3−(2−置換ビニル)セファロスポリンの分類に属する第3世代セファロスポリン誘導体であり、有効で幅広いスペクトル活性を備えた活性セファロスポリンを製造する目的で日本の明治製菓によって最初に開発されたものである(米国特許4839350)。セフジトレンピボキシルは非常に活性が高く、多様なグラムポジティブ並びグラムネガティブバクテリアに対してのみならず、ある種のバクテリア耐性株に対しても活性が高い。式Iのセフジトレンピボキシルは化学的には[6R−[3(Z),6a,7b(Z)]]−7−[[(2−アミノ−4−チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]−3−[2−(4−メチル−5−チアゾリル)エテニル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−カルボキシル酸,ピバロイルオキシ−メチルエステルとして知られる。
【0004】
米国特許4839350は非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法を解説する。この製法は、非選択性であって、20%以上の不都合なE−異性体を与えるものであり、得られた生成物はカラムクロマトグラフィーにより分離されるとして開示されている。得られるセフジトレンピボキシルの純度はHPLC分析で一般的に94.0%から95.5%程度であると解説されている
【0005】
米国特許6294669はセフジトレンピボキシルの結晶物質とその製法を解説する。この結晶物質は約97%から98%、典型的には97.7%の純度を有すると説明されている。その不純物含有量の多さからこの純度では薬剤組成物への利用には充分ではないと考えられている。開示されている非結晶セフジトレンピボキシルから結晶物質への変性法は非常に複雑であり、溶解工程、濃縮工程並びに複数の異なる溶媒を異なるステップで加える工程を含んで8段階もの工程がある。よって、非結晶形態を結晶形態に変性することは長時間を要し、生成産量が少なく、商業規模へのスケールアップが困難であると考えられる。さらに、結晶形態のセフジトロンピボキシルはその難水溶性のために経口投薬には不向きであると思われる。
【0006】
米国特許6342493は、結晶学的に安定した非結晶セフジトレンピボキシルの水溶性物質と水溶性高分子量ポリマーとの同質混合物を含んだ粒体を含む経口投薬用組成物の製法を解説する。この製法は、結晶セフィジトレンピボキシルと水溶性の高分子量ポリマーとを酸性溶液中で混合し、その酸性溶液を塩基性化し、非結晶セフジトレンピボキシルと高分子量ポリマーとを含んだ黄色粉末状組成物を析出させるステップを含む。この製法には多くの技術的問題が存在すると考えられる。例えば、厳密な生成制御や作業実行条件である。加えて、この製法は添加物を含有しない非結晶生成物を提供しないであろう。さらに、添加物を含有するこの非結晶物質の使用は薬剤投与形態においては限定要因となるであろう。
【0007】
日本特許願2001−131071A2は、析出、スプレードライ及びフリーズドライによる非結晶セフジトレンピボキシルの製法を解説する。さらに、混成処理によって結晶セフジトレンピボキシルを非結晶セフジトレンプボキシルに変性させる方法も解説する。この方法は純度93%から98%の生成物を提供する。析出、スプレードライ及びフリーズドライのための特定形態のセフジトレンピボキシルは報告されていない。結晶形態のセフジトレンピボキシルは、与えられた溶媒の特定量ではほとんど溶解性を示さない。これは、スプレードライ、フリーズドライまたは析出に使用されるのは非結晶形態のセフジトレンピボキシルであることを暗示している。
【0008】
しかし、商業規模への容易な転換が可能な、単純で経済性が高い製法で製造される高純度の非結晶及び結晶形態のセフジトレンピボキシルに対する需要は存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1主要特徴によれば、高純度セフジトレンピボキシルが提供される。このセフジトレンピボキシルは98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体不純物と1%以下のΔ2−異性体不純物を含有する。
【0010】
この化合物の実施態様は次の特徴を含むであろう。例えば、この化合物は非結晶形態である。非結晶形態では、この化合物は図1で図示するようなXRDパターンを有するであろう。
【0011】
この化合物は結晶形態であるかも知れない。結晶形態では、この化合物は図2で図示するようなXRDパターンを有するであろう。
【0012】
本発明の別な主要特徴によれば、非結晶セフジトレンピボキシルからの結晶セフジトレンプボキシルの製法が提供される。この製法は、(a)(i)非結晶セフジトレンピボキシルをオプションで含水した有機溶媒に加えるステップ及び/又は、(ii)オプションで含水した有機溶媒を非結晶セフジトレンピボキシルに加えるステップと、(b)反応混合物からの生成物を結晶化させるステップと、(c)結晶セフジトレンピボキシルを単離させるステップとを含んでいる。
【0013】
この製法の実施態様は次の特徴または前述の特徴を含むことができる。例えば、有機溶媒はアルコール、ケトン、エステル、環状エーテル、ニトリル、グリコール、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物でよい。アルコールはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、アミルアルコール、またはそれらの混合物でよい。エステルはエチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、イソブチルアセテート、ブチルアセテート、またはそれらの混合物でよい。ケトンはアセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはそれらの混合物でよい。環状エーテルはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、またはそれらの混合物でよい。グリコールはプロピレングリコール、エチレングリコール、またはそれらの混合物でよい。塩素化炭化水素は塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物でよい。
【0014】
有機溶媒は約0.01重量%から約50重量%の水を含有できる。この反応混合物は約−20℃から約100℃で撹拌して結晶化させることができる。結晶温度は約0℃から約60℃に保つことができる。
【0015】
得られたセフジトレンピボキシルは、98.5%以上の純度であり、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2−異性体不純物を有するであろう。
【0016】
別な主要特徴によれば、結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法が提供される。この製法は、(a)結晶セフジトレンピボキシルを第1有機溶媒に溶解させるステップと、(b)オプションの順序で、第2有機溶媒をその溶液に加えるか、その溶液を第2溶媒に加え、セフジトレンピボキシルを析出させるステップと、(c)反応混合物から非結晶セフジトレンピボキシルを単離させるステップとを含んでいる。
【0017】
この製法の実施態様は次の特徴あるいは上述の特徴を有することができる。例えば、第1有機溶媒は少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒でよい。この少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒はアルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物でよい。第2有機溶媒はアルキルエーテル、炭化水素、またはそれらの混合物でよい。
【0018】
得られるセフジトレンピボキシルは、98.5%以上の純度と、1.0%以下のE−異性体及び1%以下のΔ2−異性体不純物を有した高純度セフジトレンピボキシルであろう。
【0019】
第1有機溶媒内での結晶セフジトレンピボキシルの溶解は、まず第3有機溶媒内で結晶セフジトレンピボキシルを溶解させることで実行できる。第3有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物でよい。
【0020】
別の主要特徴によれば、非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法が提供される。この製法は、(a)第1有機溶媒内に結晶セフジトレンピボキシルを溶解させるステップと、(b)その反応混合物から第1有機溶媒を除去するステップと、(c)非結晶形態のセフジトレンピボキシルを単離するステップとを含んでいる。
【0021】
この製法の実施形態は、以下の特徴を含むことができる。例えば、第1有機溶媒は少なくとも1種の非水混和性または一部混和性溶媒でよい。その少なくとも非水混和性または一部混和性溶媒はアルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物でよい。
【0022】
この製法は第1有機溶媒内で結晶形態を溶解させるために加熱するステップをさらに含むことができる。
【0023】
第1有機溶媒は減圧条件下で除去することができる。第1有機溶媒は結晶セフジトレンピボキシルの溶液のスプレードライ処理で除去することができる。
【0024】
そのセフジトレンピボキシルは純度98.5%以上で、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2−異性体不純物を含有した高純度セフジトレンプボキシルであろう。
【0025】
別な主要特徴によれば、結晶形態からの高純度の非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法が提供される。この製法は、(a)結晶形態のセフジトレンピボキシルを、オプションで含水する有機溶媒に溶解させるステップと、(b)その溶液をフリーズドライ(凍結乾燥)させて高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルを得るステップとを含んでいる。得られるセフジトレンピボキシルは高純度セフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体及び1%以下のΔ2−異性体不純物を含有したものである。
【0026】
この製法の実施態様は次の特徴または上述の特徴を含むことができる。例えば、有機溶媒は少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒を含むことができる。この少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒はアルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物でよい。
【0027】
この製法は結晶形態を有機溶媒に溶解させるために加熱するステップをさらに含むことができる。
【0028】
別な主要特徴によれば、結晶形態からの高純度非結晶形態のセフジトレンオイボキシルの製法が提供される。この製法は、(a)オプションで水混和性有機溶媒の存在下において、酸内にて結晶セフジトレンピボキシルを溶解させるステップと、(b)その溶液からセフジトレンピボキシルを析出させるに充分な量の溶液に水を溶液に加えるステップと、(c)高純度非結晶セフジトレンピボキシルをその溶液から単離させるステップとを含んでいる。得られるセフジトレンピボキシルは高純度セフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2−異性体不純物とを含有するものである。
【0029】
この製法の実施態様は次の特徴または上述の特徴を含むことができる。例えば、酸は有機酸または無機酸あるいは両方でもよい。有機酸は、C1-12アルキルまたはアリールカルボキシル酸、C1-10アルキルまたはアリールスルフォン酸またはそれらの混合物でよい。C1-10アルキルまたはアリールカルボキシル酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、アクリル酸、安息香酸、一置換安息香酸、二置換安息香酸、三置換安息香酸、フェニル酢酸、置換フェニル酢酸、またはそれらの混合物でよい。C1-12アルキルまたはアリールスルフォン酸は、メタンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、またはそれらの混合物でよい。
【0030】
無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、あるいはそれらの混合物でよい。それら酸は水混和性有機溶媒を含有することができる。その水混和性有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、あるいはそれらの混合物でよい。
【0031】
別な主要特徴によれば、非結晶形態と結晶形態のセフジトレンピボキシルとの混合物を高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルに変性させる製法が提供される。この結晶形態と非結晶形態のセフジトレンピボキシルの混合物は、反応混合物、結晶形態及び非結晶形態のセフジトレンピボキシルから生成され、得られるセフジトレンピボキシルは高純度のセフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性及び1%以下のΔ2−異性体不純物を含有するものである。この製法の実施形態は上述の特徴を含むことができる。
【0032】
別な主要特徴によれば、高純度非結晶または結晶形態のセフジトレンピボキシルと薬学的に利用可能なキャリアとを含有した薬剤組成物が提供される。このセフジトレンピボキシルは高純度セフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2−異性体不純物を含有しているものである。
【0033】
別な主要特徴によれば、グラムポジティブ、グラムネガティブ及びバクテリア耐性株で引き起こされる感染症の治療法が提供される。この方法は治療を必要とする哺乳ホストに治療効果量の高純度非結晶形態または結晶形態のセフジトレンピボキシルを投薬するステップを含んでいる。このセフジトレンピボキシルは高純度のセフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体並びに1%以下のΔ2−異性体を含有しているものである。
【0034】
本発明の他の実施態様の詳細は以下において解説されている。本発明の他の特徴、目的及び利点は詳細な説明から明らかとなるであろう。例えば、ここで解説した反応の一部はワンポット反応と特徴付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、純度98.5%以上で、1.0%以下の不都合なE−異性体不純物や1%以下のΔ2−異性体不純物を含有する高純度非結晶セフジトレンピボキシルを提供する。図1は非結晶形態のセフジトレンピボキシルのXRD模様を図示する。
【0036】
ここで使用する“高純度セフジトレンピボキシル”とは、純度98.5%以上で、1.0%以下のE−異性体不純物並びに1%以下のΔ2−異性体不純物を含有する非結晶形態または結晶形態のセフジトレンピボキシルのことである。さらに好適には、純度は99.0%以上であり、0.5%以下のE−異性体不純物並びに0.5%以下のΔ2−異性体不純物を含有する非結晶または結晶形態のセフジトレンピボキシルのことである。さらに好適には、純度は99.20%以上であり、0.1%以下のE−異性体不純物並びに0.5%以下のΔ2−異性体不純物を含有する非結晶または結晶形態のセフジトレンピボキシルのことである。
【0037】
本発明は純度98.5%以上で、1.0%以下の不都合なE−異性体不純物並びに1%以下のΔ2−異性体不純物を含有する結晶セフジトレンピボキシルを提供する。図2は結晶形態のXRD模様を図示する。
【0038】
本発明は、非結晶セフジトレンピボキシルからの結晶形態のセフジトレンピボキシルの効率的な1ステップ製法をさらに提供する。この製法は次のステップを含む:
a)非結晶セフジトレンピボキシルを、オプションで含水した有機溶媒に加えるステップ;
b)反応混合物からの生成物を結晶化するステップ;
c)結晶セフジトレンピボキシルを単離するステップ。
【0039】
非結晶セフジトレンピボキシルはPCT/IB2004/002648で解説されている製法で生成できる。この非結晶物質はオプションで水を含有する有機溶媒に加えることができる。あるいは、オプションで含水する有機溶媒をオプションの順序で非結晶物質に加えることができる。得られる反応混合物を約−20℃から約100℃で撹拌して完全結晶化させることができる。この結晶物質は従来方法で反応混合物から単離できる。得られる結晶形態のセフジトレンピボキシルは典型的には図2で図示するようなXRD模様を示す。
【0040】
結晶セフジトレンピボキシルの生成に使用される有機溶媒は、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、アミルアルコール、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコール、エチレングリコール、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物でよい。その溶媒は約0.01重量%から約50重量%までの水を含有できる。
【0041】
典型的には、結晶温度は約0℃から60℃に保つことができる。単離された結晶セフジトレンピボキシルはオプションで真空下で乾燥でき、純度が98.5%以上で、不都合なE−異性体が1.0%以下であり、Δ2−異性体不純物が1%以下である高純度セフジトレンピボキシルが得られる。
【0042】
本発明は結晶セフジトレンピボキシルからの高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法も提供する。この製法は次のステップを含んでいる:
a)結晶セフジトレンピボキシルを第1有機溶媒内で溶解させるステップ;
b)第2有機溶媒をその溶液に加えるか、その溶液を第2有機溶媒にオプションの順序で加え、セフジトレンピボキシルを析出させるステップ;
c)反応混合物から非結晶セフジトレンピボキシルを単離するステップ。
【0043】
第1有機溶媒は非水混和性または一部混和性の溶媒でよい。例えば、イソ−ブタノール、n−ブタノール、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、ジイシブチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、あるいはそれらの混合物でよい。第2有機溶媒は、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ペトロリウムエーテル、またはそれらの混合物でよい。析出を促進するために、従来方法、例えば、非結晶物質で種晶処理したり、反応塊を冷却処理したりすることも効果的である。析出された生成物は反応塊から単離でき、真空乾燥され、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下の不都合なE−異性体並びに1%以下のΔ2−異性体不純物を含有した非結晶形態のセフジトレンピボキシルが得られる。
【0044】
結晶セフジトレンピボキシルの第1有機溶媒中での溶解は、結晶セフジトレンピボキシルを当初において第3有機溶媒中に溶解させることで実行できる。第3有機溶媒とは、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物である。続いて水と第1有機溶媒がこの溶液にオプションの順序で追加でき、二相溶液が得られる。有機層は単離でき、水で洗浄して第3有機溶媒の痕跡を取り除くことができる。結晶セフジトレンピボキシルの第1有機溶媒との溶液はこのように効率的に準備できる。
【0045】
本発明は次のステップを含んだ方法での高純度の非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法も提供する:
a)第1有機溶媒内に結晶セフジトレンピボキシルを溶解するステップ;
b)その反応混合物から溶媒を取り除くステップ;
c)非結晶形態のセフジトレンピボキシルを単離するステップ。
【0046】
第1有機溶媒は非水混和性または一部混和性溶媒でよく、例えば、イソ−ブタノール、n−ブタノール、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物でよい。必要であれば、オプションで加熱し、その結晶形態を第1有機溶媒内で完全に溶解させることができる。
【0047】
結晶セフジトレンピボキシルの第1有機溶媒内での溶解は、第2有機溶媒内で結晶セフジトレンピボキシルをまず溶解させることで実行される。第2有機溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物でよい。次にこの溶液に水と第1有機溶媒をオプションの順序で加え、二相溶液を得ることができる。この有機層は分離でき、水で洗浄し、第2有機溶媒の痕跡を取り除くことができる。第1有機溶媒中の結晶セフジトレンピボキシルの溶液はこのように効率的に準備できる。
【0048】
溶媒はHgで約100mmから約0.01mmにて減圧(真空)環境下で濃縮できる。特に、溶媒の迅速な除去を達成させるため、約0℃から100℃でのオプション加熱により、真空蒸留処理によって溶媒を取り除くことができる。
【0049】
溶媒はスプレードライヤーを使用して結晶セフジトレンピボキシルの溶液をスプレードライ処理することでも除去できる。スプレードライ処理の目的での適当なスプレードライヤーは、例えば、ミニスプレードライヤー(モデル:ブチ190スイス)である。これは平行流でのノズルスプレーの原理に基づいて作動する。すなわち、生成物はドライガス流と同一方向に噴霧される。ドライガスは空気または不活性ガスであり、例えば、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素である。好適には、ドライガスは窒素である。
【0050】
本発明は次のステップを使用して、結晶形態からの高純度非結晶形態のセフジトレンプボキシルの製法も提供する:
a)オプションで含水する有機溶媒内で結晶形態のセフジトレンピボキシルを溶解するステップ;
b)溶液をフリーズドライ処理し、高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルを得るステップ。
【0051】
オプションで含水する有機溶媒内の結晶セフジトレンピボキシル溶液は上述のごとくに準備される。特に、適当な有機溶媒内での結晶セフジトレンピボキシルの溶解は、第2有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、あるいはそれらの混合物内にて結晶セフジトレンピボキシルをまず溶解させることで実行できる。水と適当な有機溶媒をオプションの順序でこの溶液に加え、二相溶液を得ることができる。この有機層は分離でき、続いて水で洗浄して第2溶媒の痕跡を取り除くことができる。適当な有機溶媒中の結晶セフジトレンピボキシルの溶液はこのように効率的に準備できる。
【0052】
続いてセフジトレンピボキシルの溶液は従来技術によりフリーズドライ処理され、非結晶セフジトレンピボキシルが得られる。この非結晶形態は真空下で乾燥できる。
【0053】
本発明の別な特徴によれば、結晶形態のセフジトレンピボキシルからの高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法が提供される。この製法は次のステップを含んでいる:
a)オプションにて水混和性有機溶媒の存在下で酸中に結晶セフジトレンピボキシルを溶解するステップ;
b)その溶液からセフジトレンピボキシルを析出させるのに充分な量の水を溶液に加えるステップ;
c)その溶液から高純度非結晶セフジトレンピボキシルを単離するステップ。
【0054】
結晶セフジトレンピボキシルを、オプションで水混和性有機溶媒を含有する酸中に溶解させ、透明溶液を得ることができる。この溶液をオプションでチャーコール処理し、または濾過して異物を取り除くことができる。この溶液はその混合物を穏やかに温めることで得ることもできる。セフジトレンピボキシルをゆっくりと析出させる流量で溶液に水を加えることができる。水が完全に加えられた後、混合物を冷却し、あるいは濃縮して有機溶媒を取り除くことができる。分離された非結晶形態を濾過し、前述のように乾燥させることができる。
【0055】
この酸は有機酸でよい。例えば、C1-12アルキルまたはアリールカルボキシル酸、またはC1-10アルキルまたはアリールスルホン酸(例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、アクリル酸、安息香酸、一置換安息香酸または二置換安息香酸または三置換安息香酸、酢酸フェニル、置換酢酸フェニル、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、等々)、またはそれらの混合物でよい。これら酸は無機酸でもよい。例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、等々、またはそれらの混合物でよい。
【0056】
水混和性有機溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物でよい。
【0057】
本発明は非結晶形態と結晶形態とのセフジトレンピボキシル混合物を高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルに変性させる方法も提供する。この方法では、反応温度、溶媒量、反応時間、スプレードライ温度、スプレードライ中の不活性ガス流量、等々にほとんど変動なく、前述の方法で、非結晶形態と結晶形態とのセフジトレンピボキシル混合物は、反応混合物から直接的に生成でき、あるいは結晶形態または非結晶形態のセフジトレンピボキシルから得ることができる。非結晶セフジトレンピボキシルと結晶セフジトレンピボキシルとの混合物は、前述の方法で非結晶形態に変性される。
【0058】
本発明は高純度非結晶形態及び/又は結晶形態のセフジトレンピボキシルを含有した薬剤組成物と、その投薬形態にも関連する。そのような薬剤組成物は、グラムポジティブ、グラムネガティブ及びバクテリア耐性株で引き起こされた感染症の治療において抗バクテリア剤として利用できる。本発明の薬剤組成物は薬学的に利用できるキャリヤを含むこともできる。
【0059】
本発明はグラムポジティブ、グラムネガティブ及びバクテリア耐性株で引き起こされた感染症の治療法にも関する。この方法は治療を必要とする哺乳対象に治療効果量の1種または複数種の高純度非結晶形態及び/又は結晶形態のセフジトレンピボキシルを投与するステップを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下は本発明の実施例の解説である。これら実施例は本発明を具体的に解説するためのものであり、本発明の限定は意図されない。
【実施例1】
【0061】
セフジトレンピボキシル(化学式I)の生成
ピバル酸ヨードメチル(10g)が−15℃にてDMF(120mL)内の撹拌されたセフジトレンソジウム(20g)の混合物に1ロットで投入された。この反応混合物は約−10℃から−15℃で60分間撹拌された。続いて、この反応混合物は、反応混合物を脱イオン水と酢酸エチルとの溶媒混合物内に投入することで急冷された。その後に酢酸エチル層は水、0.5%NaHCO3、0.1%HCl及び最終的にまた水で洗浄された。有機層は無水硫酸ナトリウム上で乾燥され、残量が約100mLとなるまで減圧下で濃縮された。
【0062】
この溶液は常温でシクロヘキサン(600mL)にゆっくりと加えられ、常温で30分間撹拌された。この生成物は減圧下で濾過され、真空下で乾燥されてセフジトレンピボキシルが得られた。
産量:18.8g、78%(図1のXRDはそれが非結晶物であることを示した)
HPLC純度:98.36%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.14%
Δ2−異性体:0.76%
KBr内IR(cm−1):2974、2934、1787、1752、1678、1534、1369
【実施例2】
【0063】
結晶セフジトレンピボキシルの生成
変性スピリット(150mL)が実施例1で得られた生成物(15g)に加えられ、その異種混合物は約30℃から約35℃で約2時間から3時間、結晶化が完了するまで撹拌された。その生成物は減圧下で濾過され、真空条件下で乾燥されて結晶セフジトレンピボキシルが得られた。
産量:13.5g(図2のCRDは結晶物質であることを示した)
HPLC純度:99.23%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.08%
Δ2−異性体:0.41%
KBr内IR(cm−1):2961、1785、1736、1724、1620、1529、1372
【実施例3】
【0064】
結晶セフジトレンピボキシルの生成
実施例1で得られた生成物(2.0g)はエタノール水溶液(90%v/v、20mL)内に約30℃から32℃で3.0時間縣濁され、結晶化が完了した。結晶生成物は濾過され、エタノール水溶液(90%v/v、5mL)で洗浄され、真空条件下で約35℃から40℃で乾燥され、結晶セフジトレンピボキシルが得られた。
産量:1.7g(図2のCRDは結晶物質であることを示した)
HPLC純度:98.61%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.086%
Δ2−異性体:0.82%
KBr内IR(cm−1):2961、1785、1736、1724、1620、1529、1372
【実施例4】
【0065】
結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶セフジトレンピボキシルの生成
結晶セフィジトレンプボキシル(2.0g)が常温でDMF(10mL)内に溶解された。この溶液は約0℃から−5℃で予備冷却された酢酸エチルに加えられた。その溶液は3度水洗され、減圧下で酢酸エチルが濃縮され、セフジトレンピボキシルの溶液が得られた。この溶液は10分から15分かけて常温でシクロヘキサン(60mL)にゆっくりと加えられ、60分間撹拌された。固体は濾過され、非結晶セフジトレンプボキシルが得られた。
HPLC純度:98.90%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.15%
Δ2−異性体:0.69%
図1のXRDは非結晶物質であることを示した。
【実施例5】
【0066】
結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶セフジトレンピボキシルの生成
結晶セフィジトレンピボキシル(20.0g)が常温でDMF(100mL)内に溶解された。この溶液は予備冷却された酢酸エチル(600mL)と水(400mL)との混合物に5℃から10℃で加えられた。得られた混合物は約10分から15分撹拌され、層分離された。その溶液は入口温度約75℃、出口温度約55℃のミニスプレードライヤー(ブチモデル190)により供給量15mL/分にてスプレードライ処理された。セフジトレンピボキシル(15g)が非結晶形態で得られた。
HPLC純度:99.04%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.10%
Δ2−異性体:0.60%
図1のXRDは非結晶物質であることを示した。
【実施例6】
【0067】
結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶セフジトレンピボキシルの生成
結晶セフジトレンピボキシル(5.0g)が常温でDMF(30mL)内に溶解された。この溶液は予備冷却された酢酸エチル(150mL)と水(100mL)との混合物に5℃から10℃で加えられた。得られた混合物は約10分から15分撹拌され、層分離された。有機層は活性チャーコール処理され、混合物は濾過された。透明濾過液は約10℃から15℃にて減圧下で濃縮され、フォーム体が得られた。溶媒の痕跡は約20℃から25℃にて約5mmから10mmのHgで真空蒸留され、非結晶セフジトレンピボキシル(4.0g)が得られた。
HPLC純度:98.79%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.13%
Δ2−異性体:0.59%
図1のXRDは非結晶物質であることを示した
【実施例7】
【0068】
結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶セフジトレンピボキシルの生成
ステップA:結晶セフジトレンピボキシルからの結晶と非結晶とのセフジトレンピボキシル混合物の生成
結晶セフジトレンピボキシル(2.0g)が常温で酢酸(4.0mL)に溶解された。この溶液は予備冷却された水(60mL)に約5℃から10℃で加えられた。得られた混合物は約10分から15分、約5℃から10℃で撹拌された。分離された固体は濾過され、大量の水で洗浄された。生成物は乾燥され、結晶と非結晶とのセフジトレンピボキシル混合物(1.7g)が得られた。
ステップB:結晶と非結晶とのセフジトレンピボキシル混合物の非結晶セフジトレンピボキシルへの変性
ステップAで得られた生成物(1.7g)が常温でDMF(10mL)内に溶解された。この溶液は予備冷却された酢酸エチル(50mL)と水(35mL)との混合物に5℃から10℃で加えられた。得られた混合物は約10分から15分撹拌され、層分離された。有機層は入口温度約75℃、出口温度約55℃のミニスプレードライヤー(ブチモデル190)によって供給量15mL/分にてスプレードライ処理された。セフジトレンピボキシル(1.45g)は非結晶形態で得られた。
HPLC純度:98.64%
セフジトレンピボキシルのE−異性体:0.10%
Δ2−異性体:0.75%
図1のXRDは非結晶物質であることを示した
【0069】
以上、本発明を特定の実施例で解説したが、当業技術者であれば本発明の範囲内でのそれらの変形や改良は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルのX線粉末回析(XRD)模様である。
【図2】図2は高純度結晶形態のセフジトレンピボキシルのX線粉末回析(XRD)模様である。
【図3】図3は高純度結晶と非結晶形態のセフジトレンピボキシルのX線粉末回析(XRD)模様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度セフジトレンピボキシルであって、
該セフジトレンピボキシルは98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体不純物と1%以下のΔ2−異性体不純物を含んでいることを特徴とする高純度セフジトレンピボキシル。
【請求項2】
非結晶形態であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
図1で図示するようなXRDパターンを有することを特徴とする請求項2記載の化合物。
【請求項4】
結晶形態であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
図2で図示するようなXRDパターンを有することを特徴とする請求項4記載の化合物。
【請求項6】
非結晶セフジトレンピボキシルからの結晶セフジトレンピボキシルの製法であって、
a)(i)非結晶セフジトレンピボキシルをオプションで含水した有機溶媒に加えるステップ及び/又は(ii)オプションで含水した有機溶媒を非結晶セフジトレンピボキシルへ加えるステップと;
b)反応混合物からの生成物を結晶化させるステップと;
c)結晶セフジトレンピボキシルを単離させるステップとを含んでいることを特徴とする製法。
【請求項7】
有機溶媒はアルコール、ケトン、エステル、環状エーテル、二トリル、グリコール、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項6記載の製法。
【請求項8】
アルコールはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソ‐ブタノール、アミルアルコール、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項9】
エステルはエチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、イソブチルアセテート、ブチルアセテート、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項10】
ケトンはアセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項11】
環状エーテルはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項12】
グリコールはプロピレングリコール、エチレングリコール、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項13】
塩素化炭化水素は塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項14】
有機溶媒は略0.01重量%から略50重量%の水を含有することを特徴とする請求項7記載の製法。
【請求項15】
反応混合物は略−20℃から略100℃で撹拌されて結晶化されることを特徴とする請求項6記載の製法。
【請求項16】
結晶温度は略0℃から略60℃に保たれることを特徴とする請求項6記載の製法。
【請求項17】
得られたセフジトレンピボキシルは98.5%以上の純度であり、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を有することを特徴とする請求項6記載の製法。
【請求項18】
結晶セフジトレンピボキシルからの非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法であって、
a)結晶セフジトレンピボキシルを第1有機溶媒に溶解させるステップと;
b)オプションの順序で第2有機溶媒をその溶液に加えるかその溶液を第2有機溶媒へ加え、セフジトレンピボキシルを析出させるステップと;
c)反応混合物から非結晶セフジトレンピボキシルを単離させるステップと、
を含んでいることを特徴とする製法。
【請求項19】
第1有機溶媒は少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒であることを特徴とする請求項18記載の製法。
【請求項20】
少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒はアルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項19記載の製法。
【請求項21】
第2有機溶媒はアルキルエーテル、炭化水素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項18記載の製法。
【請求項22】
得られたセフジトレンピボキシルは、98.5%以上の純度であり、1.0%以下のE−異性体及び1%以下のΔ2‐異性体不純物を有する高純度セフジトレンピボキシルであることを特徴とする請求項18記載の製法。
【請求項23】
第1有機溶媒内での結晶セフジトレンピボキシルの溶解は、まず第3有機溶媒内で結晶セフジトレンピボキシルを溶解させることで実行されることを特徴とする請求項18記載の製法。
【請求項24】
第3有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項23記載の製法。
【請求項25】
非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法であって、
a)第1有機溶媒内に結晶セフジトレンピボキシルを溶解させるステップと、
b)反応混合物から前記第1有機溶媒を除去するステップと、
c)非結晶形態のセフジトレンピボキシルを単離するステップと、
を含んでいることを特徴とする製法。
【請求項26】
第1有機溶媒は少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒であることを特徴とする請求項25記載の製法。
【請求項27】
少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒は、アルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項26記載の製法。
【請求項28】
第1有機溶媒内で結晶形態を溶解させるために加熱するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項26記載の製法。
【請求項29】
第1有機溶媒は減圧条件下で除去されることを特徴とする請求項26記載の製法。
【請求項30】
第1有機溶媒は結晶セフジトレンピボキシル溶液のスプレードライ処理で除去されることを特徴とする請求項26記載の製法。
【請求項31】
得られたセフジトレンピボキシルは純度98.5%以上で、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を含有した高純度セフジトレンピボキシルであることを特徴とする請求項25記載の製法。
【請求項32】
結晶形態からの高純度の非結晶形態セフジトレンピボキシルの製法であって、
a)結晶形態のセフジトレンピボキシルをオプションで含水する有機溶媒に溶解させるステップと
b)該溶液をフリーズドライまたは凍結乾燥させて高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルを得るステップと、
を含んでおり、
得られるセフジトレンピボキシルは純度98.5%以上で、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を含有した高純度セフジトレンピボキシルであることを特徴とする製法。
【請求項33】
有機溶媒は少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項32記載の製法。
【請求項34】
少なくとも一種の非水混和性または一部混和性溶媒はアルコール、ケトン、エステル、塩素化炭化水素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項33記載の製法。
【請求項35】
結晶形態を有機溶媒に溶解させるために加熱するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項32記載の製法。
【請求項36】
結晶形態からの高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルの製法であって、
a)オプションで水混和性有機溶媒の存在下において、酸内にて結晶セフジトレンピボキシルを溶解させるステップと;
b)その溶液からセフジトレンピボキシルを析出させるに充分な量の水をその溶液に加えるステップと;
c)前記溶液から高純度非結晶セフジトレンピボキシルを単離させるステップと、
を含んでおり、
得られるセフジトレンピボキシルは高純度セフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物とを含有することを特徴とする製法。
【請求項37】
酸は有機酸または無機酸あるいは両方であることを特徴とする請求項36記載の製法。
【請求項38】
有機酸は、C1-12アルキルまたはアリールカルボキシル酸、C1-10アルキルまたはアリールスルフォン酸またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項37記載の製法。
【請求項39】
1-10アルキルまたはアリールカルボキシル酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、アクリル酸、安息香酸、一置換安息香酸、二置換安息香酸、三置換安息香酸、フェニル酢酸、置換フェニル酢酸、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項38記載の製法。
【請求項40】
1-12アルキルまたはアリールスルフォン酸は、メタンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項38記載の製法。
【請求項41】
無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項37記載の製法。
【請求項42】
酸は、水混和性有機溶媒を含有することを特徴とする請求項36記載の製法。
【請求項43】
水混和性有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドラフラン、1,4‐ジオキサン、メタノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項42記載の製法。
【請求項44】
非結晶形態と結晶形態のセフジトレンピボキシルの混合物を高純度非結晶形態のセフジトレンピボキシルに変性させる製法であって、非結晶形態と結晶形態のセフジトレンピボキシルの混合物は、反応混合物、結晶形態または非結晶形態のセフジトレンピボキシルから生成され、得られるセフジトレンピボキシルは高純度のセフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を含有することを特徴とする製法。
【請求項45】
高純度非結晶または結晶形態のセフジトレンピボキシルと薬学的に利用可能なキャリアとを含有した薬剤組成物であって、前記セフジトレンピボキシルは、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を含有することを特徴とする薬剤組成物。
【請求項46】
グラムポジティブ、グラムネガティブ、及びバクテリア耐性株で引き起こされる感染症の治療法であって、治療を必要とする哺乳ホストに治療効果量の高純度非結晶形態または結晶形態のセフジトレンピボキシルを投与するステップを含んでおり、前記セフジトレンピボキシルは高純度のセフジトレンピボキシルであり、98.5%以上の純度を有し、1.0%以下のE−異性体と1%以下のΔ2‐異性体不純物を含有することを特徴とする治療法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−510709(P2007−510709A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538976(P2006−538976)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003571
【国際公開番号】WO2005/044824
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(597084113)ランバクシー ラボラトリーズ リミテッド (32)
【Fターム(参考)】