説明

高荷重を巻き上げるためのワイヤロープおよび同ワイヤロープの製作方法

【課題】高強度と長寿命とを備えたワイヤロープを提供する。
【解決手段】ワイヤロープ10は、個別芯ワイヤ22と芯潤滑剤をエラストマー材料又はポリマー材料で管状被覆包囲された個別芯ワイヤ22を含む独立ワイヤロープ芯20を有する。複数のストランド30は、個別芯ワイヤ22に隣接して位置付けられる。ストランドワイヤ32は、個別ストランドワイヤ32のために注油を保持するエラストマー材料又はポリマー材料の管状被覆包囲される。芯封入材料24およびストランド封入材料34は、個別芯ワイヤ22と個別ストランドワイヤ32との間および隣接するストランド30の個別ストランドワイヤ32同士の間で、金属と金属の直接的な接触を防止する。芯封入材料24およびストランド封入材料34は、潤滑剤の損失を回避するような態様で施される。注油の保持および金属と金属の直接的な接触の防止は、ワイヤロープの有効寿命を著しく改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高荷重を巻き上げる用途のために用いられるワイヤロープに関するものである。
本発明のワイヤロープは、例えば、採掘に用いられる大型掘削設備において特定の有用性が見つけられる。
このようなワイヤロープは、例えば、採掘作業において大型の電気シャベルまたはドラグライン用途向けの巻き上げ装置において採用されている。
【0002】
本発明は、従来のワイヤロープ設計に比べて、摩耗と金属疲労と腐食とを低減した結果として、経時的に改善した強度と長い有効寿命とを備えたワイヤロープの設計に関するものである。
本発明により改善された有効寿命は、例えば、電気シャベルまたはドラグライン作業におけるワイヤロープの交換に関連する整備コストを著しく削減する。
本発明の長い有効寿命は、使用時に、交換または整備の作業の間の時間を著しく延ばすことにより、ワイヤロープの整備または交換のために必要とする整備間隔の平均回数を削減することによって、本発明のワイヤロープが利用される大型掘削設備などの機械類の大型できわめて資本集約的な構成部品を長持ちさせるという利点も有している。
これは、ワイヤロープの整備または交換のために、頻繁な休止時間を必要とする従来のワイヤロープ設計を用いた設備に比べて、大型設備(採掘設備など)の生産性をより長く、より多い時間率で維持している。
【0003】
摩耗、金属疲労、汚染物による磨滅、ストランドの破損または経年腐食に起因するワイヤロープの損傷を低減させることによって、本発明は、ワイヤロープを利用する大型設備の作業の安全性を強化している。
例えば、ワイヤロープの損傷の低減は、重い機械類の作業におけるワイヤロープの予期しない故障または早すぎる故障を低減するが、このような故障は、事故、怪我または死を引き起こし得る。
【0004】
さらに、上述した利点に加えて、本発明の実施例では、従来のワイヤロープと比較すると、安全面での特徴を有している。
具体的な一実施例において、例えば、光学的に透明または半透明なエラストマー材料またはポリマー材料が、ワイヤロープのストランドおよび芯を封入するために利用され、ワイヤロープのストランドと芯と構成要素ワイヤの強化された目視検査を可能にし、ワイヤロープにおけるストランドと芯と構成要素ワイヤの表面状態を視覚的に観察し、それらに破損、摩耗、腐食、汚染または他の劣化が生じていないかどうかを決定し、例えば、ワイヤロープが、連続使用に適した規格(例えば、ワイヤロープの摩耗または破損した芯またはストランドに適用される米国連邦労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration:OSHA)基準§§1926.550および1926.602または米国連邦仕様(Federal Specification)RR−W−410E参照)に従っているかを決定する。
本発明の別の実施例において、ワイヤロープの視認性は、労働者の服装に関して、ANSI/ISEA 107−1999において規定されたような高い視認性の着色または反射品質を有するエラストマー材料またはポリマー材料にワイヤロープを封入することによって、光学的に強化されてもよい。
特に、ワイヤロープを利用する設備は、暗い状態(例えば、夜間、または、掘削または採掘などの暗い空間または閉じ込められた空間)で作業されることが一般的であることから、採掘または製造作業におけるワイヤロープの視認性は、重要である。
ワイヤロープの視認性は、重い機械類の適切な作業および安全性という理由のためにも重要である。
【背景技術】
【0005】
従来のワイヤロープ設計は、採掘または重い建設作業などの重い荷重を受ける用途に用いられる場合には、比較的頻繁な整備の除去と交換とを必要とする傾向を示している。
この頻繁な整備の除去と交換の行為は、そのような用途におけるワイヤロープの使用者が被る多大な費用および他の問題を生じ、以下のような(1)ワイヤロープ自体のさらに頻繁な交換コスト、(2)従来のワイヤロープの頻繁(毎日であることが多い)に必要な注油、(3)生産性の低下という結果を生じる採掘作業における電気シャベルまたはドラグライン用途などのワイヤロープを用いる資本設備の大型構成部品のさらに頻繁な休止時間(例えば、大型電気シャベルにおけるワイヤロープの交換は、一般的には5〜8時間かかり、その間、シャベルは、使用されず、生産は行われない)および(4)ワイヤロープを利用する大型設備は、遠隔位置または比較的アクセスしにくい位置で利用されることが往々にしてあり、整備および交換により多くの時間がかかり、困難であり、一般的により高価になることが挙げられる。
【0006】
したがって、ワイヤロープ設計者と製造者と使用者の目的は、ワイヤロープの有効寿命を著しく延ばすことであった。
これは、ワイヤロープの用途が厳格になればなるほど、特に当てはまっている。
例えば、採掘作業において、1970年代に用いられた大型電気シャベルは、通常、シャベル1杯当たり25トンまで持ち上げることが可能であり、直径1.5〜1.75インチのワイヤロープを利用していた。
今日では、採掘に用いられる大型電気シャベルは、通常、シャベル1杯当たり100トンまで持ち上げ、直径2.75インチのワイヤロープを利用することが多い。
当然のことながら、より大きな直径/より重い最大積載容量のワイヤロープは、より高価であり、交換または整備もより高価である。
したがって、延長した有効寿命を有するワイヤロープは、以前より重要である。
【0007】
ワイヤロープ設計者と製造者と使用者は、ワイヤロープの有効寿命を延ばすための多数の方策を用いていた。
ワイヤロープの有効寿命を延ばすための1つの技術は、例えば、ワセリンを用いたワイヤロープの注油である。
注油は、多数の仕組みによってワイヤロープの有効寿命を延ばすと考えられていた。
第一に、潤滑剤は、例えば、ワイヤロープが曲がっているときに生じるような接触などの注油がなければ、金属のストランドとストランドまたはストランドとワイヤロープ芯の直接的な接触の結果として生じる摩擦を減らしている。
注油は、ワイヤロープ内でそのような接触によって引き起こされるストランドまたはワイヤロープ芯の摩耗と金属疲労と破損とを減らしている。
第二に、金属のストランドおよびワイヤロープ芯の注油は、水分、酸素または重い荷重を受ける用途における他の腐食成分または汚染物などの腐食成分が入らないように密閉するのを助けることによって、金属のストランドおよびワイヤロープ芯の腐食を減らすのに役立っている。
【0008】
注油は、ある程度有用であるが、欠点があった。
注油は、時間の経過で、または、ある程度重い荷重を受ける用途では比較的短時間の経過で、ワイヤロープの重要な領域から押し流され始めるか、消え始める。
これは、複数の理由で起こっていた。
第一に、ワイヤロープにおける金属ストランドの相互間および/またはストランドと芯との間に相当の摩擦がある重い荷重を受ける用途において、潤滑剤は、最終的には簡単に擦り取られることになる。
第二に、ワセリンなどの石油潤滑剤は、比較的低い融点を有する(例えば、ワセリンは、約97〜140F、36.11〜60.00℃で融ける)ため、ワイヤロープ内の摩擦は、例えば、荷重を受けたワイヤロープの屈曲中にストランドまたはワイヤロープ芯がこすれる場合には、ワイヤロープ内の金属を潤滑剤の融点を超えるまで加熱されることになり、潤滑剤は、融けて簡単に押し流されて、乾燥した被膜のついていないワイヤロープが、摩擦接触および腐食を受け、その結果、摩耗と劣化と最終的には破損とを被ることになる。
さらに、混合物質にとって、潤滑剤がこすれるか、または、早期に押し流されるワイヤロープの部分は、使用中に、何らかの最も重い摩擦接触に遭遇した同じ部分であることが多い。
したがって、頻繁な再注油が、ワイヤロープの寿命を維持して延ばすために必要とされたが、実際には、一部の重い荷重を受ける採掘作業において、ワイヤロープ全体が、日常的に再注油されることが必要であり、整備コストおよび交換コストを著しく増大させていたが、そのような頻繁な処理手順であっても、ワイヤロープがその後短時間で不可欠な潤滑剤を失うのを防ぐことにはならない。
【0009】
注油のさらなる問題は、汚染物をくっつかせることであった。
研磨剤または腐食剤などの一部の汚染物が、ワイヤロープをコーティングした潤滑剤に接着するとき、ワイヤロープに摩耗または腐食を発生させて、ワイヤロープの有効寿命に悪影響を及ぼすことになる。
【0010】
ワイヤロープの有効寿命を延ばすために用いられる別の技術は、ワイヤロープに熱可塑性物質を含浸させることであった。
これは、例えば、ワイヤロープが曲げられたときに、金属のストランドとストランドとの直接的な接触を回避するか、または、最小限に抑え、ストランドまたはワイヤロープ芯の摩耗破損を減らして、疲労寿命を改善することであった。
熱可塑性物質の含浸によるプラスチックコーティングのさらなる目的は、ワイヤロープの表面を密閉し、水分、酸素または採掘などの重い荷重を受ける用途において見られる他の研磨成分または腐食成分に曝されて生じる腐食を抑制することであった。
【0011】
しかし、そのようなワイヤロープ処理の結果は、完全に満足のいくものではなかった。
プラスチック含浸は、高温で行われ、したがって、ワイヤロープの注油は、普通は回避される必要があるのは、熱可塑性物質の含浸に必要な高い温度は、潤滑剤によって生成される気体を生じ、ワイヤロープが予め注油された場合には、プラスチック含浸を視覚的に不可能にするためである。
結果として、プラスチック含浸の前に、金属のストランドを清浄し、脱脂することが標準的な処理手順になっており、ワイヤロープにおいて潤滑剤を用いることの利点が失われた(例えば、米国特許第3,824,777号、第1欄11〜17行参照)。
【0012】
プラスチック含浸によって生じる別の問題点は、ワイヤロープを構成する種々の構成部材のストランドの分離であっても実現することができないことであった(例えば、米国特許第3,824,777号、第1欄17〜21行参照)。
ワイヤロープ製作の過程中に、ストランドおよび/またはワイヤロープ芯の一部は、ワイヤロープの設計によって所望であったものより、互いにさらに近くまで移動し、一部の位置では互いの接触を生じることもあるのに対し、他のストランドは過度に分離し、一様なプラスチック含浸を困難にし、その結果、そのような処理によって求められた目的は十分に達成されず、ワイヤロープの有効寿命は、期待したほど延ばすことができなかった。
【0013】
これらの問題に対処するために、米国特許第3,824,777号は、潤滑剤プラスチックを含浸したワイヤロープを製作する方法を提案している。
ワイヤがストランドに形成されるときに、ワセリンまたはアスファルトに基づく潤滑剤などの重潤滑剤が、構成要素ワイヤに塗布された(ワセリンは、低温で塗布され、アスファルトに基づく潤滑剤は、高温で塗布された)。
次に注油されたワイヤは、約100F〜275F(37.78℃〜135.00℃)、好ましくは120F〜160F(48.89℃〜71.11℃)に予熱され、これは、プラスチック含浸の後の工程中に、潤滑剤が気体にならない温度範囲である。
次に、注油されたワイヤロープは、「ストランド間隔コントローラ」によって、釣り合いのとれたストランドの分離を維持すると同時に、1平方インチ当たり約2,000ポンド(13.79×106パスカル)〜4,000ポンド(27.58×106パスカル)でロープの隙間に押し出された熱可塑性物質によって含浸された。
【0014】
しかし、米国特許第3,824,777号に記載されたワイヤロープの製作に関する1つの不都合な結果は、押出成形工程を介して高圧で熱可塑性物質によるワイヤロープの含浸が、ワイヤロープのストランドの内部の移動を抑制することであった。
言い換えれば、プラスチック含浸のために、ワイヤロープのストランドは、互いに対してたやすく移動することができなかった。
そのような相対的な移動は、望ましく、特に、重い負荷を受けて、ワイヤロープが屈曲する場合に必要である。
ストランドの抑制とそれらの相対的な移動の制限とは、ストランドに負担をかけて疲労させるため、ストランド、引いては、ワイヤロープの早すぎる破損を生じていた。
【0015】
米国特許第3,824,777号によって製作されたワイヤロープで生じる別の問題点は、乾燥したワイヤロープを有する部分を結果として生じる潤滑剤の損失であった。
そのようなワイヤロープの製作工程は、潤滑剤の沸点未満であり、潤滑剤が気体になったとき、ワイヤにプラスチックを塗布する問題を回避するが、ワイヤの予熱は、潤滑剤の融点を上回ることが多く、プラスチック含浸工程中に、潤滑剤の大部分が洗い落とされる結果を生じた。
また、プラスチック含浸に用いられる相対的に高い圧力は、潤滑剤の洗い落としに関与していた。
【0016】
上述したように製作されたワイヤロープは、いくつかの望ましい目的を達成しているが、有効寿命に関して著しい欠点を有した。
例えば、上述したように製作されたワイヤロープは、1970年代の高荷重を巻き上げる作業に用いられた場合に、423〜776時間の有効寿命を有していたことが分かっており、このことは、ワイヤロープが、普通の作業の約21.1〜38.8日ごとに交換を必要としたことを意味している。
さらに、1980年代半ばまでに、65トンの最大積載容量を有するシャベルを用いたより大型の電気シャベルは、例えば、採掘作業に導入されており、改善したワイヤロープの要望にさらに弾みをつけた。
【0017】
米国特許第4,509,319号および米国特許第6,360,522号は、プラスチックインサートを注油されたワイヤロープ設計に導入することによって、従来のワイヤロープの欠点のいくつかに対処しようと試みている。
これらの設計において、プラスチック充填物材料のストリップが、最終的なワイヤロープを形成するために、結合される金属のストランドとプラスチック充填物のストリップを閉鎖して、螺旋形にねじる前に、中心の独立ワイヤロープ芯とワイヤロープの個別の外側のストランドとの間の隙間に挿入された。
プラスチックストリップの異なる変形が、採用された。
例えば、米国特許第4,509,319号は、プラスチック充填物要素において補強芯を利用したのに対し、米国特許第6,360,522号は、ワイヤロープの振動を低減するために求められた異なる形状のプラスチック充填物要素を利用し、このプラスチック充填物材料は、比較的高い引張強度および高い弾性を提供するために双方向に延伸された分子構造を有していた。
【0018】
ワイヤロープ用途によって直面する条件は、困難さが増す一方であるため、ワイヤロープ設計におけるさらなる改善が、一層望まれている。
例えば、1998年前後において、100トンの最大積載容量の大型電気シャベルが、掘削作業に導入された。
米国特許第6,360,522号に開示されているワイヤロープは、このようなシャベルに用いられ、約920時間の平均有効寿命を有することが観察された。
これらの大型シャベルは、通常、1日当たり3回交替、1週間当たり7日(食事、修理または休憩のための休止時間を除く)または1年当たり360日で、1日当たり平均20時間で作業されていた。
したがって、これらの大型電気シャベルの巻き上げ装置で用いられるワイヤロープの各セットは、平均で、1年当たり約7.83回交換されることが必要とされている。
前述したように、一連のワイヤロープの交換には、約5〜8時間必要であり、その間、大型電気シャベルは使用されず、生産は行われないことから、シャベルの運転者にとって多大なコストを生じている。
【0019】
米国特許第4,509,319号および米国特許第6,360,522号によって製作された使用済みワイヤロープの検査は、潤滑剤の洗い流しが、いくつかの従来技術のワイヤロープに比べて減っていたが、ストランドおよび中央の芯の表面が部分的に露出されたため、特に重い負荷を受けて応力が多い屈曲において、潤滑剤の損失が認められることについては、排除されなかった。
これらのワイヤロープ設計における金属のストランドの部分的な露出は、また、水分と研磨剤と腐食剤と酸素による汚染を可能にし、ワイヤロープの早すぎる劣化および故障の別の原因であった。
また、ストランドとストランド、およびストランドと芯、金属と金属の接触は、これらの設計において低減されたが、依然として存在することは著しく、これらの様式で製作されたワイヤロープの有効寿命の減少および最終的な故障における要因であった。
【0020】
ワイヤロープが中で利用される大型の100トン電気シャベルが、特に、掘削作業において普及しつつあるという事実に鑑みて、経済的な様式でワイヤロープの有効寿命を長くするために、ワイヤロープ設計を改善する手段を見つけ出すことが望ましかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明の目的は、著しく改善された有効寿命を有する高強度のワイヤロープを提供することである。
例えば、高荷重の巻き上げ用途において、掘削作業の大型電気シャベル、または、ドラグライン用途向けの巻き上げ装置に用いられるときに、より少ない交換頻度で済むワイヤロープを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、従来のワイヤロープより高荷重の巻き上げ用途において使用するのに費用が少なく、より経済的であるワイヤロープを提供することである。
【0023】
本発明の更なる目的は、従来のワイヤロープに比べて、より長い期間、腐食によりよく耐えて有効寿命を改善したワイヤロープを提供することである。
【0024】
本発明の更なる目的は、高荷重の巻き上げ用途において、従来のワイヤロープに比べて、より長い時間期間、ワイヤロープのストランドとストランドとの間、ワイヤロープのストランドとワイヤロープ芯との間の金属と金属との直接的な接触に耐えるか、または低減して、ワイヤロープの有効寿命を改善することである。
【0025】
本発明の更なる目的は、従来のワイヤロープに比べて、より長い時間、注油を保持するプラスチックエラストマーまたはポリマーの注油されたストランド要素および芯要素を有するワイヤロープを提供して腐食を低減し、それがなければワイヤロープ内の構成部材の中、例えば、ワイヤロープの隣接するストランドとストランドとの間、またはワイヤロープのストランドとワイヤロープ芯との間、またはワイヤロープのストランドまたはワイヤロープ芯の中の隣接する個別のワイヤ同士の間のむき出しの金属と金属との接触で生じる摩擦も低減することである。
金属がワイヤロープ内で摩耗、疲労または劣化する影響があり、より短い有効寿命を結果として生じるため、そのようなむき出しの金属と金属との接触は、一般に、ワイヤロープでは望ましくない。
注油を保持し、むき出しの金属と金属との接触を低減することによって、ワイヤロープの有効寿命が、改善される。
また、潤滑剤の保持は、従来のワイヤロープに必要とした頻繁な再注油整備作業も回避する。
また、ワイヤロープにおける潤滑剤の保持は、潤滑剤の流出を回避し、さらに、より安全な労働環境を促進する。
【0026】
本発明の更なる目的は、高荷重を受けた屈曲中に、(不必要なストランドおよび金属の疲労を結果として生じる)互いに対して、またはワイヤロープ芯に対してワイヤロープ内のストランドの所望の移動を過度に制限または抑制しないワイヤロープを提供することである。
【0027】
本発明の更なる目的は、金属のストランドおよびワイヤと接触する汚染物の量を低減するために、従来のワイヤロープに比べて、金属のストランドとワイヤロープ芯と構成要素ワイヤのよりよい密閉を促進するワイヤロープを提供することである。
水分と研磨剤と腐食剤と空気などの汚染物は、個別であれ、結合したものであれ、ワイヤロープの有効寿命に悪影響を及ぼし得ることから、それらの接触の防止または低減により、ワイヤロープの有効寿命を著しく改善することができる。
【0028】
本発明の更なる目的は、上述した目的を達成して製作工程が経済的であるワイヤロープを製作するための方法を提供することである。
【0029】
本発明の更なる目的は、ワイヤロープのストランド、および、ワイヤロープ芯といった要素の目視検査を可能にし、ストランド、ワイヤロープ芯または個別の構成要素ワイヤに破損、摩耗、腐食、汚染または他の劣化が生じていないかどうかを決定し、ワイヤロープがワイヤロープに関連する適切な規格、例えば、OSHA§§1926.550および1926.602または米国連邦仕様RR−W−410Eに従って、交換が必要かどうかを決定する。
これは、ワイヤロープが、青などの不透明な色で通常着色されている光学的に不透明なプラスチックで含浸されており、そのような目視検査が可能ではなく、ワイヤロープの除去が適切であるときを前もって推定するための何か別の手段(ワイヤロープの取付け後、所定の時間の経過など)を必要とし、除去前にワイヤロープの故障、または逆に、依然として有効寿命を有するワイヤロープの早すぎる除去を引き起こす可能性がある従来のワイヤロープ設計より有利である。
従来のワイヤロープにおける不透明なプラスチックは、適切な規格に準拠しているかどうかを決定することになる検査を阻み、そのような場合には、ワイヤロープは、準拠しているかどうかを決定するために、切断および分解されなければならない。
しかし、一旦、ワイヤロープが検査のために切断されると、そのワイヤロープをもはや所期の目的のために用いることはできない。
【0030】
本発明の更なる目的は、ANSI/ISEA 107−1999において労働者の服装に関して記載されているような高い視認性の着色または反射要素を有するエラストマー材料またはポリマー材料にワイヤロープを封入することである。
ワイヤロープの高い視認性は、ワイヤロープを利用する重い機械類の運転者の観点および安全性の視点の両方から望ましい。
ワイヤロープが暗い状態、例えば、夜間、または深い掘削または採掘で作業されることが多いことから、視認性の強化は、特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の実施例は、従来のワイヤロープまたは同ワイヤロープの製作方法では見られなかった特徴および組み合わせを含むため、上述した目的を達成している。
【0032】
本発明の実施例において、著しく改善した有効寿命を有するワイヤロープが提供され、ワイヤロープは、注油され、個別のワイヤロープのワイヤロープ芯および外側のストランドはそれぞれ、エラストマーまたはポリマーの管状被覆を有し、ワイヤロープ芯およびストランドに含まれる個別の構成要素ワイヤ同士の間または隣接するストランドの個別のワイヤ同士の間の金属と金属との直接的な接触を防止または減らし、管状被覆は、ワイヤロープ芯およびストランドの中に潤滑剤を保持している。
注油された個別のワイヤロープ芯が、提供され、個別のワイヤロープ芯は、エラストマー材料またはポリマー材料によって含浸されるのではなく、結合される個別の構成要素ワイヤを含むワイヤロープ芯を有し、次に、潤滑剤が流出するのではなく、個別のワイヤロープ芯に保持されるような様式で、エラストマー材料またはポリマー材料の管状被覆に封入されている。
【0033】
複数の外側のストランドが、個別のワイヤロープ芯を包囲し、個別のワイヤロープ芯を中心にして螺旋状にねじられている。
ストランドは、結合される個別の構成要素ワイヤを含み、次に注油もされる。
また、外側のストランドのそれぞれの結合されて注油された個別のワイヤも含浸されるのではなく、ストランドにストランド潤滑剤を保持するような様式で、エラストマー材料またはポリマー材料の管状被覆に封入されている。
エラストマー材料またはポリマー材料は、個別のワイヤロープ芯を包囲する管状被覆のために利用され、外側のストランドは、高い圧縮強度を有するエラストマー材料またはポリマー材料であることが好ましく、1平方インチ当たり約7,000ポンド(48.26×106パスカル)を超える最小圧縮強度を有することが最も好ましい。
そのような特性を有するエラストマー材料またはポリマー材料としては、ポリプロピレンとポリウレタンとポリエステルが挙げられる。
【0034】
エラストマー材料またはポリマー材料からなる管状被覆にワイヤロープ芯における注油された個別芯ワイヤおよび外側のストランドのそれぞれの注油されたストランドワイヤを個別に封入して、個別のストランドワイヤおよび個別芯ワイヤのために潤滑剤を保持することによって、従来のワイヤロープ設計における問題を克服して、本発明のワイヤロープの有効寿命が、著しく延ばされる。
個別のワイヤロープ芯および外側のストランドのそれぞれの個別の構成要素ワイヤを個別に封入する高い圧縮強度材料から構成されるエラストマーまたはポリマーの管状被覆は、個別のワイヤロープ芯の個別の構成要素ワイヤと外側のストランドの個別の構成要素ワイヤとの間の金属と金属との接触を防止または回避することによって、ワイヤロープの有効寿命を延ばしている。
ワイヤロープ芯および外側のストランドの封入は、個別芯ワイヤおよび個別のストランドワイヤの潤滑剤コーティングを密封し保持するような方式で行われるため、注油は、製作工程中、流出されない。
潤滑剤を保持することによって、ワイヤロープの有効寿命が、延ばされる。
さらに、ワイヤロープ芯および外側のストランドの独立した個別の構成要素ワイヤを包囲する封入材料からなるエラストマーまたはポリマーの管状被覆は、ワイヤロープの中に、潤滑剤を密閉するように機能するため、従来のワイヤロープに必要であった頻繁な(毎日であることが多い)再注油整備の尽力および費用は、回避される。
また、封入材料からなる管状被覆は、研磨汚染物と腐食汚染物と研磨成分と腐食成分が入らないように密閉するのに役立っている。
このすべては、ワイヤロープの有効寿命を延ばすのに役立っている。
さらに、独立ワイヤロープ芯およびストランドは、プラスチックによって含浸されるのではなく、ワイヤロープ芯およびストランドの個別の構成要素ワイヤが、エラストマー材料またはポリマー材料に封入されるため、ワイヤロープ芯およびストランドは、互いに対する内部の移動を抑制するのではなく、互いに独立に内部で移動可能にしている。
これは、ワイヤロープが高荷重を受けて曲げられるときに、ワイヤロープ芯およびストランドの引張および疲労を防止または回避し、ワイヤロープの故障の早すぎる劣化を回避して、ワイヤロープの有効寿命を延ばす。
【0035】
封入材料からなるエラストマーまたはポリマーの管状被覆は、本発明のいくつかの実施例において、ワイヤロープの目視検査を可能にし、ワイヤロープの内部構成要素(ワイヤロープ芯、外側のストランド、あるいは、ワイヤロープ芯またはストランドを構成する個別のワイヤ)に、破損、摩耗、腐食、汚染または他の劣化が生じていないかどうかを決定し、ワイヤロープに関連する適切な規格、例えば、OSHA§§1926.550および1926.602または米国連邦仕様RR−W−410Eに従って、ワイヤロープの交換が必要かどうかを決定するために、光学的に透明または半透明であってもよい。
本発明のさらなる実施例は、ワイヤロープが使用時に容易に視認されるように、高い視認性の着色または反射構成要素を有する封入材料からなるエラストマーまたはポリマーの管状被覆を含んでいる。
【0036】
また、本発明は、改善したワイヤロープの製作方法を含んでいる。
独立ワイヤロープ芯および複数の外側のストランドは、すべて、鋼ワイヤから構成されることが好ましく、ワイヤロープ芯およびストランドが、連続する供給源、例えば、ストランド装置におけるスプールまたはボビンなどから供給される連続直列工程において、ワセリンなどの潤滑剤でコーティングされるのが好ましい。
この方法は、本発明のストランドおよび独立ワイヤロープ芯の製作に適した標準封入設備と直列になった従来のプラネタリ型ワイヤロープ製作設備を用い、さらに、一定の張力で独立ワイヤロープ芯の周囲にストランドを結合して閉鎖するための従来のプラネタリ型ワイヤロープ閉鎖設備を直列に結合することが好ましい。
注油された独立ワイヤロープ芯および周囲のストランドはすべて、エラストマーまたはポリマーの管状被覆において個別に封入され、エラストマー材料は、高い圧縮強度材料であることが好ましく、1平方インチ当たり約7,000ポンド(48.26×106パスカル)を超える最小圧縮強度を有することが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタンまたはポリエステルなどである。
注油された独立ワイヤロープ芯および注油されたストランドは、密閉する様式で製作中に封入され、それによって、個別のコアワイヤおよび個別のストランドワイヤの注油がそれぞれ保持されている。
ストランドは、独立ワイヤロープ芯の周囲に適切な断面で規則的な間隔で配置されている。
ストランドは、独立ワイヤロープ芯の周囲で閉鎖され、ねじられて、独立ワイヤロープ芯の周囲の外側のストランドの螺旋系を形成している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、複数の構成要素を含む高荷重の巻き上げに特に適したワイヤロープ10が示されている。
まず、独立ワイヤロープ芯(independent wire rope core)20は、ワイヤロープ10のワイヤロープ中心軸に沿って位置付けられている。
独立ワイヤロープ芯20は、鋼から構成されることが好ましく、改善したプロー鋼(plow steel)または特別に改善したプロー鋼から構成されることが最も好ましい複数の個別芯ワイヤ(individual core wires)22を含んでいる。
独立ワイヤロープ芯20に含まれる個別芯ワイヤ22は、強度を付加するために、共にねじられることが好ましい。
個別芯ワイヤ22は、ブライトラウンドワイヤ(bright round wire)または圧密化されたワイヤから構成されることができる。
独立ワイヤロープ芯20の直径およびこの独立ワイヤロープ芯20に含まれる個別芯ワイヤ22の直径は、ワイヤロープ10の検討される最終用途に応じて変えてもよい。
同様に、個別芯ワイヤ22の数は、ワイヤロープ10の用途に応じて変えてもよい。
【0038】
独立ワイヤロープ芯20に含まれる個別芯ワイヤ22は、例えば、ワセリンであることが好ましい適切な芯潤滑剤(図示せず)によって、コーティングされ、好ましくは、全体をコーティングされている。
芯潤滑剤によってコーティングされた結合された個別芯ワイヤ22の外周は、エラストマーまたはポリマーの芯封入材料24で管状に被覆包囲され、芯封入材料24は、芯潤滑剤によってコーティングして結合された個別芯ワイヤ22の外周の半径方向の外側に位置付けられている。
そして、芯封入材料24は、内面26および外面28を有している。
芯封入材料24は、独立ワイヤロープ芯20の個別芯ワイヤ22に関連付けられる芯潤滑剤を保持し、この芯潤滑剤が、例えば、流出され、または、こすり落とされることによって、個別芯ワイヤ22から離れないようにするのに役立っている。
その結果、本発明のワイヤロープ10における独立ワイヤロープ芯20の頻繁な再注油の必要性が、回避されている。
さらに、ワイヤロープ10の独立ワイヤロープ芯20における注油の保持は、芯潤滑剤の流出を回避し、さらに、より安全な労働環境に寄与している。
【0039】
芯封入材料24は、注油された結合された個別芯ワイヤ22を密閉して、個別芯ワイヤ22および個別芯ワイヤ22に関連付けられている芯潤滑剤が、例えば、個別芯ワイヤ22の摩耗または腐食の原因として作用するような研磨成分または腐食成分(図示せず)によって汚染されないようにするのに役立っている。
なお、研磨成分または腐食成分は、ワイヤロープが利用されることの多い採掘作業などの環境において、多く見られているものである。
したがって、研磨成分または腐食成分による個別芯ワイヤ22および関連付けられている芯潤滑剤の汚染を減らすことによって、本発明のワイヤロープ10の有効寿命が、改善されている。
【0040】
さらに、前述した芯封入材料24は、高い圧縮強度を有し、1平方インチ当たり約7,000ポンド(48.26×106パスカル)を超える圧縮強度を有することが好ましいエラストマーまたはポリマーから構成されていることが好ましい。
芯封入材料24の厚さは、芯封入材料24の内面26と外面28との間の距離であり、比較的薄く、エラストマー材料またはポリマー材料の選択およびワイヤロープ10の用途に応じて、約1.0mm〜3.6mm(約0.0394インチ〜0.14184インチ)であることが好ましい。
【0041】
個別芯ワイヤ22から芯潤滑剤の流出または分離を回避または防止するために、芯封入材料24は、ぴったり密閉し、それによって個別芯ワイヤ22に関連付けられる芯潤滑剤を保持するように、結合される個別芯ワイヤ22の外径に施されている。
芯封入材料24は、個別芯ワイヤ22を包囲するが、含浸工程などの高圧で施されるわけではない。
高圧含浸工程において芯封入材料24を施さないことによって、本発明は、高圧におけるプラスチックの塗布および含浸の結果として生じる個別芯ワイヤ22からの芯潤滑剤の流出または分離をさらに回避している。
【0042】
再び、図1を参照すると、ワイヤロープ10は、独立ワイヤロープ芯20から半径方向の外側であって、独立ワイヤロープ芯20に隣接して位置する複数のストランド30を含んでいる。
各ストランド30は、複数の個別のストランドワイヤ32を含んでいる。
個別のストランドワイヤ32は、必ずというわけではないが、鋼から構成されることが好ましく、個別芯ワイヤ22と同一の等級の鋼、すなわち、改善したプロー鋼または特別に改善したプロー鋼から構成されることが最も好ましい。
個別のストランドワイヤ32は、強度を付加するために共にねじられることが好ましく、ブライトラウンドワイヤまたは圧密化されたワイヤから構成されることができる。
この場合も、ストランド30の直径およびストランド30に含まれる個別のストランドワイヤ32の直径は、ワイヤロープ10の用途に応じて変えてもよい。
同様に、個別のストランドワイヤの数は、ワイヤロープ10の用途に応じて変えてもよい。
【0043】
ワイヤロープ10は、複数のストランド30を含み、図1に示すように、ワイヤロープは、ワイヤロープ10の中心ワイヤロープ軸から実質的に同一の半径距離で、隣接するストランド30から等しい間隔で配置される6〜8個のストランド30を含むことが好ましい。
【0044】
また、前述した個別芯ワイヤ22と同様に、ストランド30を構成するそれぞれの個別のストランドワイヤ32は、ワセリンであることが好ましい適切なストランド潤滑剤(図示せず)によって、コーティングされ、好ましくは全体をコーティングされている。
ストランド30のそれぞれに関して、結合され注油された個別のストランドワイヤ32の外周は、個別芯ワイヤ22と同様に、内面36と外面38とを有するエラストマーまたはポリマーのストランド封入材料34からなる管状被覆で包囲されている。
ストランド封入材料34は、ストランド30のそれぞれの個別のストランドワイヤ32に関連付けられているストランド潤滑剤を実質的に保持し、芯潤滑剤が個別芯ワイヤ22から離れないようにするのに芯封入材料24が役立つのと同様に、ストランド潤滑剤が個別のストランドワイヤ32から離れないようにするのに役立っている。
また、ストランド封入材料34は、個別のストランドワイヤ32および関連付けられるストランド潤滑剤が研磨成分または腐食成分によって汚染されないようにするのに役立っている。
この場合も、個別のストランドワイヤ32からのストランド潤滑剤の分離を減らすことによって、および、個別のストランドワイヤ32およびそれに関連付けられているストランド潤滑剤の研磨成分または腐食成分による汚染を減らすことによって、摩耗と金属疲労と腐食とストランドの破損が低減されることから、ワイヤロープの有効寿命は、改善されている。
さらに、ワイヤロープ10の構成要素からのストランド潤滑剤の分離を生じさせるストランド潤滑剤の流出の場合のように、再注油によるワイヤロープ10の整備が、回避されている。
【0045】
そして、ストランド封入材料34は、芯封入材料24のように、ポリプロピレン、ポリウレタンまたはポリエステルなどの高い圧縮強度を有し、1平方インチ当たり約7,000ポンド(48.26×106パスカル)を超える圧縮強度を有するエラストマーまたはポリマーから構成されることが好ましい。
ストランド封入材料34は、芯封入材料24の場合と同一のエラストマーまたはポリマーから構成されることが最も好ましい。
ストランド封入材料34の内面36と外面38との間の距離(ストランド封入材料34の厚さ)は、どのようなエラストマー材料またはポリマー材料が選択されるかに応じて、および、ワイヤロープ10の用途および使用環境に応じて、約1.0mm〜3.6mm(約0.0394インチ〜0.14184インチ)であることが好ましい。
【0046】
さらに、ストランド封入材料34は、芯封入材料24が注油され結合された個別のストランドワイヤ32の外周に施されているのと同様に、すなわち、ぴったり密閉して、ストランド潤滑剤が個別のストランドワイヤ32から流出したり離れたりする前に、個別のストランドワイヤ32に関連付けられているストランド潤滑剤を保持するように、注油され結合された個別のストランドワイヤ32を封入することによって、注油され結合された個別のストランドワイヤ32の外周に施されている。
さらに、製作工程中、個別のストランドワイヤ32からのストランド潤滑剤の流出または分離を回避するために、封入は、高圧封入工程で用いられるより実質的に低い圧力で行われている。
【0047】
図1を参照すると、複数のストランド30は、ワイヤロープ芯20の外周に好ましくは実質的に等しい間隔で配置され、ストランド30のストランド封入材料34の外面38は、ワイヤロープ芯20の芯封入材料24の半径方向の外面29に接触している。
ストランド30は、ワイヤロープ芯20の周囲で閉鎖され、ストランド30のそれぞれは、規則的な間隔を有する規則的な様式で、ワイヤロープ芯20の周囲に螺旋形にねじられることが好ましい。
【0048】
重要なことは、図1においてわかるように、ストランド30の個別のストランドワイヤ32は、ワイヤロープ芯20の個別芯ワイヤ22に接触しておらず、任意の個別のストランド30の個別のストランドワイヤ32が、ワイヤロープ10における任意の他のストランド30の個別のストランドワイヤ32とも接触していないことである。
すなわち、ワイヤロープ芯20における芯封入材料24の外面28は、ストランド30のストランド封入材料34の外面38と接触し、仮にあったとしても(例えば、負荷を受けた状態で、ワイヤロープ10の屈曲中に)、ストランド封入材料34の隣接する外側のストランド面38で、任意の個別のストランド30は、隣接するストランド30と接触している。
したがって、独立ワイヤロープ芯20の芯封入材料24およびストランド30のストランド封入材料34は、一方では、個別芯ワイヤ22と個別のストランドワイヤ32との間で、または、他方では、個別のストランド30の個別のストランドワイヤ32と隣接するストランド30の個別のストランドワイヤ32との間で、金属と金属の直接的な接触を防止するように機能している。
上述したような金属と金属の直接的な接触を防止または回避することによって、個別芯ワイヤ22および個別のストランドワイヤ32の摩耗、疲労、破損または劣化が、著しく減少され、ワイヤロープ10の有効寿命が、さらに改善されている。
【0049】
また、重要なことは、本発明のワイヤロープ10は、従来のワイヤロープにおいて、ストランド30に対する独立ワイヤロープ芯20の移動を抑制した高圧におけるプラスチック含浸を採用していない。
すなわち、本発明は、介在するストランド封入材料34および/または芯封入材料24のために、例えば、芯封入材料24に対する(または、異なるストランド30のストランド封入材料34に対する)ストランド封入材料34の移動またはシッページ(shippage)を可能にし、その間中、個別のストランドワイヤ32と個別芯ワイヤ22との間(または、1つのストランド30の個別のストランドワイヤ32と隣接するストランド30の個別のストランドワイヤ32との間)の金属と金属の直接的な接触または摩擦を防止または回避することによって、ストランド30および個別のストランドワイヤ32に対する独立ワイヤロープ芯20および個別芯ワイヤ22の横方向の移動(または、異なる個別のストランドワイヤ32を有する異なるストランド30に対する1つのストランド30および個別のストランドワイヤ32の横方向の移動)を可能にするエラストマーまたはポリマーの芯封入材料34において個別芯ワイヤ22を包囲している。
個別芯ワイヤ22に対する(または、異なるストランド30の他の個別のストランドワイヤ32に対する)個別のストランドワイヤ32の移動の抑制を回避することによって、本発明において達成されるようなそれらの間の相対的な移動を可能にすることによって、ストランド30および独立ワイヤロープ芯20が、互いに対して抑制されている場合には、特に、ワイヤロープ10が曲げられ、高負荷状態に耐えているときには、そうでなければ、ワイヤロープ10に生じるような引張および金属疲労は、著しく低減されて、引張および金属疲労を減らしている。
したがって、ワイヤロープの早期故障が回避され、ワイヤロープ10の平均有効寿命が、著しく改善されるようになっている。
【0050】
ストランド封入材料34および/または芯封入材料24は、ワイヤロープ10における個別芯ワイヤ22および個別のストランドワイヤ32の目視検査を可能にするために、光学的に透明または半透明なエラストマーまたはポリマーから構成されてもよい。
ポリエステルは、透明な樹脂であるという利点を有することから、ポリエステルは、ストランド被覆材料34および芯被覆材料24に利用できる特に有用な材料である。
ワイヤロープ10の目視検査は、例えば、個別のストランドワイヤ32(または、個別芯ワイヤ22)における破損、摩耗、腐食、汚染または他の劣化が生じていることまたはワイヤロープ10の故障が差し迫っていることを明らかにすることができる。
したがって、目視検査は、ワイヤロープ10が、ワイヤロープに関連するOSHA§§1926.550および1926.602または米国連邦仕様RR−W−410Eなどの連続使用に関する適切な規格に従っているかどうかを決定するために利用することができる。
さらに、目視検査は、従来のワイヤロープにおいて必要であった検査のためのワイヤロープ10の切断および分解を行うことなく、達成することができる。
従来のワイヤロープは、検査後、所期の目的のために再び用いることができない。
したがって、光学的に透明または半透明なエラストマーまたはポリマーは、目視検査により、設備の破損、事故、怪我または死の原因にもなり得る故障の前に、ワイヤロープ10が交換を必要とすることを検出できることによって、安全機能を果たしている。
【0051】
逆に言えば、光学的に透明または半透明なストランド封入材料34および/または芯封入材料24を有するように取り付けられている設備からの除去のために予定が組まれるワイヤロープ10の目視検査は、破損、摩耗、腐食、汚染または他の劣化が生じる個別のストランドワイヤ32(または個別芯ワイヤ22)がないか、または最小限であり、ワイヤロープ10を利用する設備の所有者/運転者の判断において、ワイヤロープ10の延長使用を可能にし、さらなる経済的な節約を達成することができる。
【0052】
また、ストランド封入材料34および/または芯封入材料24は、高い視認性の着色を有するか、および/またはワイヤロープが使用中によりたやすく視認されるように反射構成要素を組み込んだエラストマー材料またはポリマー材料から構成されてもよい。
利用できる高い視認性の着色の一例は、例えば、特に光の少ない状態において、きわめて高い視認性のために、労働環境における安全ベストに通常指定される色である蛍光性のライムイエローである(例えば、ANSI/ISEA 107−1999参照)。
前述したように、ワイヤロープ10は、比較的暗い状態(例えば、夜間、または掘削または採掘)で使用される可能性があり、そのような状態で使用されることが多いため、(特に)重い機械類の作業中に、ワイヤロープ10を見ることができる機能の強化は、設備の適切な作業の観点および安全性という理由の両方から重要である。
また、ストランド封入材料34および芯封入材料24は、目視検査のために半透明であり、本発明のワイヤロープ10の視認強化のための高い視認性の着色および/または反射構成要素を組み込むエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていてもよい。
【0053】
本発明のワイヤロープ10を製作するための好ましい直列工程は、以下に記載され、図2と図3と図4に図示されている。
【0054】
図2を参照すると、個別のストランドワイヤ32は、かご型プラネタリストランダ(cage-type planetary strander)40にある複数のストランドワイヤボビン42からストランド案内板(strand guide plate)44を介してストランドクロージングダイ(strand
closing die)46に供給されるようになっている。
ストランド案内板44およびストランドクロージングダイ46は、閉鎖されて共に結合されるように、個別のストランドワイヤ32の所望の構造を制御して配置するために、適切に整形およびサイズ調整されている。
ストランド潤滑剤供給装置48は、ワセリンなどのストランド潤滑剤を好ましくはストランドクロージングダイ46に入る前に、個別のストランドワイヤ32に施している。
個別のストランドワイヤ32のそれぞれが、当該分野で公知であるような1つ以上の複数の微小張力制御装置(図示せず)を用いることによって制御され、実質的に同一の張力でストランドクロージングダイ46に供給されることが好ましい。
【0055】
ストランドクロージングダイ46は、ストランドクロージングダイ46を通過するときに、個別のストランドワイヤ32を回転して、螺旋形にねじり、閉鎖して、相互に結合するようになっている。
個別のストランドワイヤ32がかご型プラネタリストランダ40を通過する速度に対するストランドクロージングダイ46の回転速度は、結合される個別のストランドワイヤ32の螺旋構造の所望の締まりに応じて、較正されるようになっている。
そして、結合される個別のストランドワイヤ32および関連付けられるストランド潤滑剤は、キャプスタン50上をストランド封入押出機60に運ばれるようになっている。
【0056】
結合される個別のストランドワイヤ32および関連付けられるストランド潤滑剤は、ストランド封入押出機60の心棒64の中心入口62を通って運ばれるようになっている。
ストランド封入押出機60のスクリュー66は、樹脂原材料52をスクリーンブレーカプレート68を介して、ストランド封入押出機60の心棒64の周囲の周縁通路70に押し出すようになっている。
樹脂原材料52は、心棒64の周囲の周縁通路70を通り、圧力下で、ストランド封入押出機60のスクリュー66によって押し出され、今度は、心棒64の中心入口62を通過して結合される個別のストランドワイヤ32および関連付けられるストランド潤滑剤を包囲している。
樹脂原材料52は、ヒータバンド72に集中する周縁通路70を通って運ばれる。
図2を参照すると、ストランド封入押出機60の中心入口62から出るときに、ヒータバンド72は、樹脂原材料52の融点まで樹脂原材料52を加熱し、ストランド封入材料34(図1参照)を形成するために、ストランド封入押出機60から出ると、急速に冷却され、凝固されて、関連付けられるストランド潤滑剤と共に結合される個別のストランドワイヤ32の外周をぴったりと包囲している。
ヒータバンド72は、個別のストランドワイヤ32がストランド封入押出機60から出る中心入口62の端部付近に位置決めされることが好ましいため、および個別のストランドワイヤ32が中心入口62から出るときに、ストランド封入材料34が、ストランド潤滑剤および関連付けられて結合されるストランドワイヤ32を包囲して密閉するために、ヒータバンド72から生じるストランド潤滑剤の加熱がどのようなものであれ、個別のストランドワイヤ32および関連付けられるストランド潤滑剤に対するストランド封入材料34の密閉特性のために、ストランド潤滑剤が個別のストランドワイヤ32から実質的に離れる原因とはならない。
したがって、次に、作成されるストランド30は、ストランド巻き取りスプール74の周囲に巻き付けられるようになっている。
複数のストランド巻き取りスプール74上の複数のストランド30が、この様式で形成されることが好ましい。
【0057】
類似の様式において、図3を参照すると、個別芯ワイヤ22は、かご型プラネタリストランダ140の上の複数の芯ワイヤボビン142から、芯案内板144を介して芯クローシングダイ146に供給されるようになっている。
芯案内板144および芯クローシングダイ146は、閉鎖されて共に結合されるときに、個別芯ワイヤ22の所望の構造を制御して配置するように整形およびサイズ調整されるようになっている。
そして、芯潤滑剤供給装置148は、ワセリンであることが好ましい芯潤滑剤を好ましくは芯クロージングダイ146に入る前に、個別芯ワイヤ22に施している。
個別芯ワイヤ22のそれぞれが、当該分野では公知であるような微小張力制御装置(図示せず)を用いることによって制御し、実質的に同一の張力で芯クロージングダイ146に供給されることが好ましい。
【0058】
芯クロージングダイ146は、芯クロージングダイ146を通過するときに、個別芯ワイヤ22を回転して、それにより螺旋形にねじり、閉鎖して、共に結合するようになっている。
個別芯ワイヤ22がかご型プラネタリストランダ140を通過する速度に対する芯クロージングダイ146の回転速度は、結合される個別芯ワイヤ22の螺旋構造の所望の締まりを形成するために、較正される。
結合される個別芯ワイヤ22および関連付けられる芯潤滑剤は、キャプスタン50の上を芯封入押出機160に運ばれる。
【0059】
結合され注油された個別芯ワイヤ22は、芯封入押出機160の心棒164の中心入口162を通って運ばれる。
芯封入押出機160のスクリュー166は、樹脂原材料52をスクリーンブレーカプレート168を介して、芯封入押出機160の心棒164の周囲の周縁通路170に押し出すようになっている。
芯封入押出機160のスクリュー166からの圧力下で、樹脂原材料52は、心棒164を包囲し、今度は、結合され注油された個別芯ワイヤ22を包囲している。
樹脂原材料52は、周縁通路170を通って運ばれ、樹脂原材料52の融点まで樹脂原材料52を加熱するヒータバンド172に集中するようになっている。
図3を参照すると、芯封入押出機160の中心入口162から出るときに、融かされた樹脂原材料52は、芯封入材料24(図1参照)を形成するために、芯封入押出機160から出ると、急速に冷却され、凝固されて、結合され注油された個別芯ワイヤ22および関連付けられる芯潤滑剤をぴったりと包囲している。
ヒータバンド172は、個別芯ワイヤ22が出る中心入口162の端部付近に位置決めされていることが好ましい。
結合された個別芯ワイヤ22および関連付けられる芯潤滑剤が中心入口162から出るときに、芯封入材料24は、結合された個別芯ワイヤ22および関連付けられている芯潤滑剤を包囲して密閉するために、ヒータバンド172による結合された個別芯ワイヤ22に関連付けられる芯潤滑剤の任意の加熱は、製作中に、芯潤滑剤が個別芯ワイヤ22から実質的に離れる原因とはならない。
したがって、作成される独立ワイヤロープ芯20は、芯巻き取りスプール174の周囲に巻き付けられるようになっている。
【0060】
芯巻き取りスプール174に巻き付けられる独立ワイヤロープ芯20およびストランド巻き取りスプール74に巻き付けられる複数のストランド30を作成した後で、ワイヤロープ10が次に製作されることができる。
【0061】
図4を参照すると、芯巻き取りスプール174に巻き付けられる独立ワイヤロープ芯20およびストランド巻き取りスプール74に巻き付けられる複数のストランド30は、かご型プラネタリストランダ240に取り付けられるようになっている。
そして、独立ワイヤロープ芯20が、ワイヤロープ案内板244における中心開口部(図示せず)を介して、ワイヤロープクロージングダイ246に供給されるようになっている。
また、ストランドワイヤ30は、ワイヤロープ案内板244において半径方向に離隔された中心開口部(図示せず)を介して、ワイヤロープクロージングダイ246に供給されるようになっている。
ストランド30のそれぞれおよび独立ワイヤロープ芯20は、当該分野で公知であるような1つ以上の微小張力制御装置(図示せず)を用いることによって、実質的に同一の張力でワイヤロープクロージングダイ246に供給されることが好ましい。
【0062】
ワイヤロープクロージングダイ246は、ワイヤロープクロージングダイ246を通過するときに、独立ワイヤロープ芯20の周囲でストランド30を回転して、ねじるが、ワイヤロープクロージングダイ246における中心開口部を通過する独立ワイヤロープ芯20をねじり、それによって、独立ワイヤロープ芯20の周囲で螺旋形にストランド30を閉鎖して結合している。
そして、ストランド30および独立ワイヤロープ芯20がかご型プラネタリストランダ240を通過する速度に対するワイヤロープクロージングダイ246の回転速度は、独立ワイヤロープ芯20の周囲でねじられるストランド30によって形成される螺旋構造の所望の締まりに応じて、較正されるようになっている。
閉鎖時には、ワイヤロープ10が形成され、ワイヤロープ巻き取りスプール274の周囲に巻き付けられるようになっている。
【0063】
本発明のワイヤロープ10を製作するための直列工程は、ワイヤロープ10の経済的な製作を促進するために機能し、本発明による利点を達成するのに役立っている。
【0064】
上述の理由のため、本発明のワイヤロープ10は、ワイヤロープ10の有効寿命を著しく改善する種々の方法で、特に大型電気シャベル(上述の100トンシャベルなど)などの高荷重用途または掘削作業におけるドラグライン用途において用いられるとき、従来のワイヤロープを改善している。
【0065】
有効寿命を著しく延ばすことによって、本発明のワイヤロープ10は、ワイヤロープを利用する設備の作業に関連した多くの節約を達成している。
第一に、本発明のワイヤロープ10は、著しく改善された有効寿命(現在、少なくとも2000時間、または匹敵する用途において、米国特許第6,360,522号によって製作されたワイヤロープで観察された有効寿命の2倍以上であると予測されている)を有するため、本発明のワイヤロープ10は、従来のワイヤロープ(米国特許第6,360,522号によって製作された従来のワイヤロープの2分の1程度で交換されると予測される)よりはるかに交換回数が少なくて済んでいる。
これは、交換ワイヤロープ10の購入の節約をもたらしている。
【0066】
第二に、本発明のワイヤロープ10は、少ない交換回数で済むため、ワイヤロープ10が利用され得る資本設備(大型の100トン最大積載容量の電気シャベルなど)の大型部品がワイヤロープの交換または整備のために使われない回数が少なく、それによって、従来のワイヤロープを用いた同一の設備よりはるかに高い生産性を維持している。
例えば、本発明のワイヤロープ10が、平均2000時間(1年当たり3.75回の交換、1回の交換当たり5〜8時間)ごとに交換される場合には、掘削作業において用いられる大型電気シャベルにおいて米国特許第6,360,522号によって製作された従来技術のワイヤロープ(1年当たり7.83回の交換、1回の交換当たり5〜8時間)に比べて、大型電気シャベルは、電気シャベル1台当たり、平均約20.40時間〜32.64時間以上の作業および生産性を維持することになり、減少したワイヤロープ高官時間だけに基づき、掘削設備の所有者/運転者にとって生産を増大している。
【0067】
第三に、本発明のワイヤロープ10を利用する設備の比較的なアクセスしにくさまたは遠隔位置(例えば、掘削作業において一般的な問題)は、複雑に入り組み、ワイヤロープ10によって必要とされる整備および交換にさらに費用を付加する範囲で、本発明のワイヤロープ10の有効寿命の著しい延長は、アクセスしにくさまたは遠隔位置に帰属するそのような追加費用に対して実質的に効果がある。
【0068】
上述の寸法および材料は、特に、掘削における大型電気シャベルおよびドラグライン作業向けの巻き上げ装置に関連して本発明を利用する一定の用途において有用であり、好ましいことが分かっているが、当業者は、寸法および材料の他の組み合わせが、本明細書で請求される本発明から逸脱することなく、利用されることができることを認識する。
さらに、本発明は、実施例によって記載されているが、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、開示された実施例に改変を行ってもよいことは、当業者によって理解される。
【0069】
したがって、本発明の実施例について記載してきたが、特許証によって保証されることが望ましい内容は、以下に請求される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例であるワイヤロープの断面図。
【図2】本発明のストランドを構成する直列装置を部分切開した概略図。
【図3】本発明のワイヤロープ芯を構成する直列装置を部分切開した概略図。
【図4】本発明におけるストランドとワイヤロープ芯とを結合する直列装置の概略図。
【符号の説明】
【0071】
10 ・・・ワイヤロープ
20 ・・・独立ワイヤロープ芯
22 ・・・個別芯ワイヤ
24 ・・・芯封入材料
26 ・・・内面
28 ・・・外面
30 ・・・ストランド
32 ・・・ストランドワイヤ
34 ・・・ストランド封入材料
36 ・・・内面
38 ・・・外面
40 ・・・かご型プラネタリストランダ
42 ・・・ストランドワイヤボビン
44 ・・・ストランド案内板
46 ・・・ストランドクロージングダイ
48 ・・・ストランド潤滑剤供給装置
50 ・・・キャプスタン
52 ・・・樹脂原材料
60 ・・・ストランド封入押出装置
62 ・・・中心入口
64 ・・・心棒
66 ・・・スクリュー
68 ・・・スクリーンブレーカプレート
70 ・・・周縁通路
72 ・・・ヒータバンド
74 ・・・ストランド巻き取りスプール
140 ・・・かご型プラネタリストランダ
142 ・・・芯ワイヤボビン
144 ・・・芯案内板
146 ・・・芯クロージングダイ
148 ・・・芯潤滑剤供給装置
160 ・・・芯封入押出装置
162 ・・・中心入口
164 ・・・心棒
166 ・・・スクリュー
168 ・・・スクリーンブレーカプレート
170 ・・・周縁通路
172 ・・・ヒータバンド
174 ・・・ストランド巻き取りスプール
244 ・・・ワイヤロープ案内板
246 ・・・ワイヤロープクロージングダイ
274 ・・・ワイヤロープ巻き取りスプール




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープであって、
(A)前記ワイヤロープの中心を通って軸方向に前記ワイヤロープの長さ分延在するワイヤロープ中心軸と、
(B)独立ワイヤロープ芯の中心を通って軸方向に延在する芯中心軸が、前記ワイヤロープ中心軸と一致するとともに前記ワイヤロープ中心軸と実質的に同一の範囲を有し、外周を有する独立のワイヤロープ芯と、を備え、
(C)該独立ワイヤロープ芯が、前記芯中心軸を中心にして配置される複数の個別芯ワイヤを含み、該個別芯ワイヤが共にねじられて芯潤滑剤によりコーティングされ、
(D)前記独立ワイヤロープ芯が、芯封入材料を含み、該芯封入材料が管状であって内面と外面とを有し、前記芯封入材料の外面が前記独立ワイヤロープ芯の外周を形成し、前記芯封入材料の内面が前記ねじられた個別芯ワイヤを包囲し、前記芯潤滑剤が、前記ねじられた個別芯ワイヤをコーティングし、
(E)前記芯中心軸および独立ワイヤロープ芯から半径方向の外側に位置付けられ、前記独立ワイヤロープ芯に隣接する複数のストランドを備え、
(F)前記ストランドのそれぞれが、外周を有し、共にねじられる複数の個別ストランドワイヤを含み、該ねじられた個別ストランドワイヤがストランド潤滑剤によってコーティングされ、
(G)前記ストランドのそれぞれが、ストランド封入材料を含み、該ストランド封入材料が管状であって内面および外面を有し、前記ストランド封入材料の外面が前記ストランドの外周を形成し、前記ストランド封入材料の内面が前記ねじられた個別ストランドワイヤを包囲し、前記ストランド潤滑剤が前記個別ストランドワイヤをコーティングし、
(H)前記ストランド封入材料の外面が、前記芯封入材料の外面と接触していることを特徴とするワイヤロープ。
【請求項2】
前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、同一の潤滑剤からなっていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項3】
前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、ワセリンからなっていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項4】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、エラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項5】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項6】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有する材料から構成されているとともに、ポリプロピレンとポリウレタンとポリエステルからなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項7】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、同一材料から構成されていることを特徴とする請求項5記載のワイヤロープ。
【請求項8】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、ポリウレタンから構成されていることを特徴とする請求項5記載のワイヤロープ。
【請求項9】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、鋼から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項10】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、改善したプロー鋼または特別に改善したプロー鋼からなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項11】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、ブライトラウンド鋼ワイヤからなっていることを特徴とする請求項9記載のワイヤロープ。
【請求項12】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、圧密化された鋼ワイヤからなっていることを特徴とする請求項10記載のワイヤロープ。
【請求項13】
前記ワイヤロープにおけるストランドの数が、6〜8個のストランドであることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項14】
(A)前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、鋼から構成され、
(B)前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成され、
(C)前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、ワセリンからなっていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項15】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有する材料から構成され、いずれもポリウレタンおよびポリエステルからなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項14記載のワイヤロープ。
【請求項16】
前記芯封入材料の厚さおよびストランド封入材料の厚さが、約1.0mm〜3.6mmであることを特徴とする請求項15記載のワイヤロープ。
【請求項17】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、光学的に透明または半透明なエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項18】
前記ストランド封入材料が、黄色、蛍光性の薄緑色または蛍光性のライムイエローからなる群から選択される高い視認性の色を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項19】
前記ストランド封入材料が、反射率の高い材料を組み込むエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤロープ。
【請求項20】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、光学的に透明または半透明なエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項14記載のワイヤロープ。
【請求項21】
前記ストランド封入材料が、黄色、蛍光性の薄緑色または蛍光性のライムイエローからなる群から選択される高い視認性の色を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項14記載のワイヤロープ。
【請求項22】
前記ストランド封入材料が、反射率の高い材料を組み込むエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項14記載のワイヤロープ。
【請求項23】
(A)
(i)個別芯ワイヤをねじることによって複数の個別芯ワイヤを結合し、該結合された芯ワイヤが、外面を有し、
(ii)前記個別の芯ワイヤを芯潤滑剤によってコーティングし、
(iii)前記ねじられた個別芯ワイヤの外面および前記芯潤滑剤を包囲するように芯封入材料の管を形成し、前記芯封入材料が、内面および外面を有し、前記芯封入材料が、前記ねじられた個別芯ワイヤからの芯潤滑剤の分離前に、前記芯潤滑剤および前記結合されたねじられた個別芯ワイヤを密閉するように形成されることによって、独立ワイヤロープ芯を形成する工程と、
(B)
(i)個別ストランドワイヤをねじることによって複数の個別ストランドワイヤを結合し、該結合された個別ストランドワイヤが、外面を有し、
(ii)前記ストランドワイヤをストランド潤滑剤によってコーティングし、
(iii)前記ねじられた個別ストランドワイヤの外面および前記ストランドのそれぞれの前記ストランド潤滑剤を包囲するようにストランド封入材料の管を形成し、前記ストランド封入材料が、内面および外面を有し、前記ストランド封入材料が、前記ねじられた個別ストランドワイヤからのストランド潤滑剤の実質的な分離の前に、前記ストランド潤滑剤および前記ねじられた個別ストランドワイヤを密閉するように形成されることによって複数のストランドを形成する工程と
からなり、
(C)
前記独立ワイヤロープ芯から半径方向の外側に複数のストランドを配置し、前記ストランドのそれぞれのストランド封入材料の外面が、前記独立ワイヤロープ芯の芯封入材料の外面と接触し、前記ストランドが、前記独立ワイヤロープ芯の周囲に螺旋形にねじられており、前記独立ワイヤロープ芯に隣接させていることを特徴とするワイヤロープの製作方法。
【請求項24】
前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、同一の潤滑剤からなっていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項25】
前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、ワセリンからなっていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項26】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有する材料から構成されているとともに、エラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項27】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、ポリプロピレンとポリウレタンとポリエステルからなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項26に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項28】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、ポリウレタンから構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項29】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、鋼から構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項30】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、改善したプロー鋼または特別に改善したプロー鋼からなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項31】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、ブライトラウンド鋼ワイヤからなっていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項32】
前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、圧密化された鋼ワイヤからなっていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項33】
前記ワイヤロープにおけるストランドの数が、6〜8個のストランドであることを特徴とする請求項23記載のワイヤロープの製作方法。
【請求項34】
(A)前記個別芯ワイヤと個別ストランドワイヤとが、鋼から構成され、
(B)前記芯封入材料とストランド封入材料とが、1平方インチ当たり7,000ポンドを超える圧縮強度を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成され、
(C)前記芯潤滑剤とストランド潤滑剤とが、ワセリンからなっていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項35】
前記芯封入材料とストランド封入材料とが、ポリウレタンから構成されていることを特徴とする請求項34に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項36】
前記芯封入材料の厚さおよび前記ストランド封入材料の厚さが、約1.0mm〜3.6mmであることを特徴とする請求項35に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項37】
前記ストランド封入材料が、光学的に透明または半透明なエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項38】
前記ストランド封入材料が、黄色、蛍光性の薄緑色または蛍光性のライムイエローからなる群から選択される高い視認性の色を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項23に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項39】
前記ストランド封入材料が、光学的に透明または半透明なエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項34に記載されたワイヤロープの製作方法。
【請求項40】
前記ストランド封入材料が、黄色、蛍光性の薄緑色または蛍光性のライムイエローからなる群から選択される高い視認性の色を有するエラストマー材料またはポリマー材料から構成されていることを特徴とする請求項34に記載されたワイヤロープの製作方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−1957(P2009−1957A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153114(P2008−153114)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(508174746)パイオニア ケーブル コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】