高解像度を有する表面パターンの形成方法
本発明は、高解像度を有する表面パターン(10)をサブストレート上に形成する方法、ならびにこの方法を実施する装置に関する。印刷物質は、印刷工程(17)を介してサブストレート上にパターン形状に施される。表面パターン(10)の微細構造化のために、印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造(12)がサブストレートの表面に複製される。表面パターンの微細構造化は、局部的に施される印刷物質の施し量と、極微表面構造(12)の局部的レリーフパラメータ、特に向いている方向と断面形状とによって決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度を有する表面パターンをサブストレート上に形成する方法に関するもので、この方法においては、印刷物質が上記サブストレート上に印刷工程を介して施される。本発明はさらに、印刷によってパターンの形態でサブストレート層に施されるパターン層を備えた多層体、およびサブストレートに対し粘性を有する印刷物質をパターンの形態で施す印刷ステーションを備えた、高解像度を有する表面パターンを形成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物質をサブストレート上に施すのに、通常は凹版印刷、オフセット印刷、凸版印刷、およびスクリーン印刷が用いられる。
【0003】
凹版印刷とは、版型の表面に対して凹部を有する印刷要素を用いる印刷法を意味する。版型全体にインクを施した後、インクが上記凹部の底のみに残るように版型の表面のインクが拭き取られる。インクを施しかつ上記表面をきれいに拭き取る方式は、純粋な面積印刷が不可能なために、図全体は線、点および網目要素に分解される。深さおよびサイズが異なる個々の印刷要素の印刷物質収容量に多い少ないがあるので、印刷されたものは、画像中の種々の部位によって異なる濃淡を示す。
【0004】
これらの印刷法の解像度を向上させるために、特許文献1には、印刷導管としての毛細管の極めて小さい孔を通じて印刷情報が導入される等質のシートまたはフィルムを版型として用いることが提案されている。低粘度の印刷物質が上記毛細管に導入され、印刷されるべき物品または材料に対し、印刷物質が上記毛細管から所定の圧力で施される。その場合に、ビーム径が1〜10μmの合焦されたレーザービームが、上記極めて小さい孔の形成に用いられる。使用された版型は、厚さが20〜50μmの例えばプラスチック製または金属製フィルムまたはシートのような等質のフィルムまたはシートである。
【0005】
特許文献2には、透明なシリンダをインク保持体として用いることが提案されており、このシリンダには、カップが直接取り付けられている。このカップには溶けたインクが満たされており、インクは熱作用で硬化される。
【0006】
特許文献3には、液状の毛細管現象を呈する印刷物質が連続的にカップに導入され、エネルギーを発生する装置によって誘導される工程によって、カップ内の印刷物質がカップに向かって移動せしめられる物品または材料上に転写される手順が提案されている。
【0007】
したがって、印刷工程によって達成することができる解像度の向上のための上述した公知の方法においては、印刷物質のできる限り正確な施し位置と、できる限り少ない施し量とによって達成することができる解像度レベルを向上させる試みがなされた。
【特許文献1】独国特許出願公開第37 05 988A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第195 44 099A1号明細書
【特許文献3】独国特許発明第197 46 174C1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高レベルの解像度を有する表面パターンの作成を可能にするという課題に基くものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、サブストレート上に高解像度の表面パターンを形成する方法によって解決され、この方法においては、印刷工程を介して印刷物質がパターン形態でサブストレートに施され、上記表面パターンの微細構造化のために、上記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造をサブストレートの表面に複製し、上記表面パターンの微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向および断面形状とによって決定されるようにしたものである。
【0010】
上記課題はさらに、高解像度を有する表面パターンを上記サブストレート上に形成するための装置によって解決され、この装置は、印刷物質をサブストレートにパターン形態で施すための印刷ステーションをさらに備え、さらに上記表面パターンの微細構造化のために、印刷ステーションの上流に配置された複製ステーションを備え、この複製ステーションは、多数の溝を有する極微表面構造を上記サブストレートの表面に複製するように構成され、上記印刷ステーションは、上記表面パターンの所定の微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向および断面形状とによって齎される態様で、上記サブストレートの上記極微表面構造に対し印刷物質を施すように構成されている。
【0011】
上記課題はさらに、サブストレート層とこのサブストレート層上に形成された、印刷物質からなる高解像度を有するパターン層とを備えた多層体によって解決され、この多層体においては、上記表面パターンの微細構造化のために、上記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造が上記サブストレート層の表面に複製され、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向、断面深さおよび断面形状とによって、上記表面パターンの微細構造化が決定される。
【0012】
したがって、本発明は、サブストレートの表面構造の目標とする特定の作用によって、印刷された画像の解像度の向上が図られる。表面パターンの精密な形態は、一方では局部的に施される印刷物質の施し量および印刷物質の流動特性と、他方では上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータという三つの作用の組合せによって得られる。
【0013】
本発明は、従来の印刷手法では形成することが不可能であったレベルの解像度を得ることができる。従来の凹版印刷法によっても、例えば約80μmの解像度レベルを達成することができるが、本発明によると、凹版印刷法によって達成することができる改善された解像度レベルは約30μmである。本発明の実施には、広く用いられかつ完熟した印刷技術を用いることができるということがさらなる利点である。
【0014】
本発明の有利な形態が従属請求項に記載されている。
【0015】
この場合、所定の粘度と親和力とを備えた印刷物質を用いることが特に有利である。印刷物質の粘度と、印刷物質とサブストレートとの間の親和力とは、印刷物質の流動特性に影響を与える。このことは、得られる印刷画像もこれらのパラメータの影響を受けることを意味する。この場合、粘度が50〜150mPa・sの印刷物質を選択すると特に有利である。さらに、印刷解像度のレベルが、印刷物質の表面張力とサブストレートとについての特定の選択(親和力)によってさらに影響される可能性がある。粘度が上記の値の範囲内にあることが好ましい印刷物質を選択する場合には、上述の効果が得られ、その結果、特に高解像度を有する印刷画像を生成させることが可能になる。
【0016】
本発明は、高解像度を有する表面パターンを多層フィルム体に施すのに特に適している。従って、本発明は特に、ホットスタンプフィルム、貼付けフィルムまたは転写フィルムの作成に利用することができる。これらのフィルムから作成されたフィルム要素は、例えば銀行紙幣、クレジットカード、身分証明書等を防護するための光学的セキュリティ素子のようなセキュリティ分野で用いることができる。さらにこの種のフィルムまたはフィルム要素は装飾分野においても利用することができる。
【0017】
本発明の実施により、サブストレート層の部分的金属被膜除去の用途で特に有利であることが判明している。本発明により得ることができる高レベルの解像度および得ることができる高品質標準は、ここでは大きな効果がある。本発明によれば、例えばエッチングレジスト、エッチング剤または洗浄マスクを、高解像度を有する表面パターンにより、部分的に除去されるべきサブストレート層に施すことができる。さらに有利な用途は、例えば有機電界効果トランジスタ(OFET)を作成するために、印刷物質として有機半導体材料を、本発明によりサブストレート層上に高解像度を有する表面パターンの形態で施すことを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態によれば、表面パターンの微細構造化が、極微表面構造の溝の向いている方向の変化によって実施される。ここでは、表面パターンの表面領域の幅が、表面領域の長手方向の中心線と上記極微表面構造の対応部分の向いている方向とのなす角度の選択によって決定される。したがって、この表面領域に種々の方位の表面構造を含む領域を設けることによって表面領域の幅を変えることができる。この場合、上記方法は、技術的観点から極めて容易に実施することができ、格別に効果的である。上記極微表面構造に局部的に施される、例えば液滴の形態の極めて僅かな印刷物質は、上記極微表面構造によってその滲む方向が影響を受ける。印刷物質の流動特性も微細構造化に影響を与える。極微表面構造によって生成された印刷物質の非対称的滲み方は、表面パターンの解像度レベルの向上に特に利用される。
【0019】
上記表面パターンの表面領域の幅における特に大きな変化は、上記表面構造の向いている方向が互いに90度捻られている少なくとも二つの領域を上記表面領域に予め設けることによって得ることができる。
【0020】
さらに、上記極微表面構造の溝の断面深さにおける変化によって上記パターンの微細構造化を達成することができる。同様に、上記パターンの微細構造化は、上記極微表面構造の溝の断面形状における変化によっても達成することができる。断面深さおよび断面形状を変えることは、局部的に施された微細な印刷物質の液滴によって占められる濡れた領域を変えることを可能にする。このようにして、極微表面構造における異なる断面形状または異なる断面深さを備えた領域を上記表面領域に予め設けることによって、上記表面パターンの表面領域の幅を間接的に変えることが可能になる。さらに、極微表面構造の対応部分における非対称的断面形状によって、上記表面パターンの表面領域の中心位置を変えることができる。この種の非対称的断面形状は、極微表面構造に施された微細な印刷物質の液滴の非対称的な滲みによって齎される。この作用は、表面パターンの解像度レベルをさらに向上させるのに利用される。
【0021】
上記極微表面構造の溝の向いている方向における変化によって、上記極微表面構造の断面深さの変化によって、および上記極微表面構造の溝の断面形状の変化によって、表面パターンの微細構造化が可能になる。印刷物質の流動特性もまた上記微細構造化に影響を与える。このようにして、上述の効果の組合せによって、所望の高解像度を有するパターンを形成することができる。
【0022】
上述の作用は、表面領域の幅が50μm未満の場合に特に効果を発揮する。
【0023】
上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータにおける変化を介した隣接する表面の微細構造化によってモアレパターンを生成させることは特に有利である。このようにして生じたモアレパターンは、従来の印刷工程によっては複製することが不可能であり、したがって、価値の高い光学的セキュリティ特徴として利用することができる。これらの利点は、極微表面構造の局部的レリーフパラメータにおける変化を介した微細構造化による微小文字パターンの形成においても享受することができる。このこともまた、容易には複写不可能な光学的セキュリティ特徴を提供する。
【0024】
さらに、上記極微表面構造の溝の断面深さの変化によって、印刷物質層の厚さが所定の態様で変化する領域を形成することも可能である。このことは、印刷物質として高屈折率を有するラッカーを用いて、レンズ体を形成するのに利用することができる。極微表面構造の溝の断面深さにおける変化により、その領域に高屈折率を有するラッカーを施した場合にレンズ体が形成される。
【0025】
表面パターンの微細構造化が、極微表面構造のレリーフパラメータにおける変化によって生成される場合、単位表面積当りの印刷物質の施し量をほぼ一定にすることによって、高解像度を有する、表面を覆うパターンが特に容易に形成される。これは、必要な極微表面構造および、所定の高解像度を有する表面パターンを得るためにサブストレートに施される印刷物質による必要なパターンを決定するのに要する計算費用を低減する。
【0026】
上記極微表面構造が、50本の溝/mmを超える、好ましくは100〜1200本の溝/mmの空間周波数を有し、かつ2μm未満、好ましくは0.2〜1.2μmの断面深さを有する場合に特に良好な結果を得ることができる。
【0027】
本発明による、表面パターンを形成するための装置は、極微表面構造に対して印刷物質を正確な位置合わせ(見当合わせ)関係をもって確実に施すための手段を備えた印刷ステーションを有することが好ましい。この装置が、複製ステーションおよび印刷ステーションを配置した中心シリンダを備えている場合に特に良好な結果を得ることができる。これにより、正確な位置合わせ関係がえられ、表面パターンの解像度レベルがさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
先ず、本発明の方法の手順について、図1および図2a〜2eを参照して説明する。
【0030】
図1は、複数の処理ステーション14,15,16,17および18と、一つの演算装置11とを示す。
【0031】
処理ステーション14,15,16,17および18は、ベースフィルム上の反射材料から形成される表面パターンに従ってパターン形態の層を成形するステップを実行する。演算装置11は、ここにある表面パターン10から、極微表面構造12およびそれに配置される表面パターン13の仕様を作成する。表面パターン13は、最終的に印刷物質が表面パターン10に従って施される極微表面構造12を表面に複製したサブストレート上に、印刷物質がパターンの形態で施された形状を描く。この場合、下記に詳細に説明されているように、表面パターン13の微細構造は、表面パターン10に従って局部的に施される印刷物質の施し量と、極微表面構造12の局部的レリーフパラメータとによって得られる。
【0032】
図2aに示されたフィルム体は処理ステーション14に送られる。このフィルム体は、担体フィルム21と、この担体フィルム21上に施された剥離層および/または保護ラッカー層22とからなる。担体フィルム21は、例えば厚さが約12μm〜50μmのポリエステルフィルムである。剥離層および/または保護ラッカー層22は、約0.3〜1.2μmの厚さを有する。この層は省略してもよい。
【0033】
処理ステーション14は、上記フィルム体に複製層23を施す。この場合、複製層23は、供給されたフィルム体の全表面に亘って、例えば印刷によって施される透明な熱可塑性プラスチック材料からなることが好ましい。
【0034】
その場合、複製ラッカーは例えば下記のような組成を有する。すなわち、
高分子PMMA樹脂 2000(重量部)
無油シリコーンアルキド 300
無イオン湿潤剤 50
低粘度ニトロセルロース 750
メチルエチルケトン 1200
トルエン 2000
ジアセトン アルコール 2500。
【0035】
上記複製層を施す作業は、乾燥後の施し量が2.2g/m2となるように、例えば線格子スクリーン凹版印刷ローラを用いて行なわれる。乾燥作業は、温度100〜120℃の乾燥通路内で行なわれる。
【0036】
このようにして形成されたフィルム体27(図2b)は、処理ステーション15に送られる。
【0037】
処理ステーション15は、極微表面構造12を複製層23に複製する複製ステーションである。
【0038】
この場合の複製作業は、エンボス刻印工具を用いて行なうことができる。しかしながら、この複製作業は、下記に図3を参照して説明するような紫外線複製工程を介して行なうこともできる。
【0039】
例えばニッケル製のダイを用いて約160℃の温度で、極微表面構造12が複製層23に刻印される。極微表面構造12を刻印するために、上記ダイは電気的に加熱されることが好ましい。刻印作業の後、複製層23から引き上げられるのに先立って、ダイは再び冷やされる。極微表面構造12の刻印後、複製ラッカーは架橋またはその他の態様で硬化される。
【0040】
図2cは、処理ステーション15によって処理された後の多層体27を示す。図2cに示されているように、極微表面構造12は、複製層23の表面を整形することによって生成される。このような態様で処理されたフィルム体は処理ステーション16に送られる。
【0041】
処理ステーション16は、そこに送られたフィルム体を薄い反射層25でコーティングする。この反射層25は、薄い蒸着金属層またはHRI(高屈折率)層であることが好ましい。上記金属層のために用いられる材料は、クロム、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、銀、金、またはこれらの材料の合金である。
【0042】
反射層25を省略することもできる。反射層25には、例えばレジストラッカーの塗布およびエッチング工程による例えば部分的金属被膜付けがなされることが好ましい。反射層25を施す作業は、特に導電性ポリマーが印刷される場合には、反射層25を施す作業を省略することができる。その場合、複製されたラッカー系と印刷された系との間の相互作用がないように、複製層は、導電性ポリマーの塗布によって溶けないような硬化された樹脂(例えば紫外線架橋樹脂、2Kラッカー)からなる。
【0043】
図2dは、処理ステーション16で処理された後のフィルム体29を示す。担体層21と、剥離層および/または保護ラッカー層22と、複製層23に加えて、フィルム体29は、蒸着によってその表面領域全体に形成された反射層25を備えている。フィルム体29は処理ステーション17に送られる。処理ステーション17は、適当な粘度と親和性とを有する印刷物質を、表面パターンに従うパターンの形態で印刷によってフィルム体29に施す。この処理ステーション17で用いられる印刷工程は、凹版印刷であることが好ましい。このようにして、表面パターン13に従ってインクを施す例えば複数のカップを備えた凹版印刷格子ローラを用いて印刷物質26が施される。
【0044】
しかしながら、上記の粘性を有する印刷物質26を施す作業は、例えば、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷またはフレキソ印刷のような別の印刷方法を用いて行なうことも可能である。
【0045】
図2eは、処理ステーション17において処理された後のフィルム体28を示す。図2eに示されているように、フィルム体29の表面が印刷物質26で部分的に覆われている。この場合、印刷物質26で占められている被覆領域は、処理ステーション17によってフィルム体29の表面に施された領域と対応していない。この被覆領域は、局部的に施された印刷物質の施し量と極微微細構造12の局部的レリーフパラメータとによって決定され、この極微微細構造12は、図2dおよび図2eに示されているように、反射層25の形成後に反射層25の表面に形成される。
【0046】
印刷物質26は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体をベースとすることが好ましいエッチングレジストである。
【0047】
ここでフィルム体28は処理ステーション18に送られる。この処理ステーション18は、複製ラッカーで覆われていない反射層25の領域を酸またはアルカリによって取り除く金属被膜除去ステーションである。
【0048】
フィルム体28は、処理ステーション18で処理された後、さらに洗浄、乾燥およびコーティングの各ステーションをも通過する。次に、例えばさらなる装飾層および/または接着剤層が連続的にフィルム体28に施される。さらに、フィルム体28が、例えば純光学的または機能的要素を備えた熱転写フィルム、刻印フィルムまたは貼付けフィルムの一部として用いられるように、複製層23の形成に先立って、層21および22によって形成されたフィルム体にさらなる層を施してもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、処理ステーション17が、印刷物質として、エッチングレジストの代わりにエッチング剤を反射層25に施すことも可能である。さらに、反射層25をコーティングする作業が、印刷物質26を施す作業に先立って行なわれるのではなく、印刷物質26が施された後に行なわれることも可能である。したがって、印刷物質26が、例えば全領域にコーティングされた反射層25を、洗浄作業により部分的に取り除くことができる洗浄マスクであることも可能である。
【0050】
本発明のさらなる実施の形態によれば、図1に示された装置が表面パターン10に従って構成された高解像度を有する装飾的層をフィルム体上に形成するように、処理ステーション16および18が省略される。ここで用いられる印刷物質は、例えば固形分を2〜25%含有する溶剤からなる通常の印刷物質である。
【0051】
さらに、施される印刷物質が、それによって有機半導体回路が形成されるポリマーであることも可能である。したがって、用いられる印刷物質は、ポリアニリンまたはポリピロールのような有機電極材料、ポリチオフェンのような有機半導体材料、またはポリフェニルフェノールのような絶縁材であり得る。例えば一つまたは複数の官能重合体層の印刷によって有機電界効果トランジスタ(OFET)を作成することも可能である。
【0052】
一つまたは複数の官能重合体層を印刷する場合には、金属性の、したがって導電性の反射層の作用および影響を考慮することが重要であることは言うまでもない。この種の金属性反射層は、官能重合体層の電気的相互作用(例えば短絡)の影響を受けない、あるいは官能重合体層によって形成される電気回路に含まれない構成としなければならない。
【0053】
図3は、表面パターン10を形成する装置のさらなる実施の形態を示す。
【0054】
図3は、中心シリンダ34,2個のロール31および32、複製ステーション35、印刷ステーション36、および2個のガイドローラ33を示す。
【0055】
長尺フィルムは、ロール31から中心シリンダ34を通ってロール32に至っている。この場合、長尺フィルムは、例えば厚さ19μmのPETフィルムからなる担体層と、これに施された複製層とを少なくとも備えている多層体からなることが好ましい。この多層体がさらなる複数の層を備えていてもよいことは言うまでもない。
【0056】
図1を参照してすでに説明したように、複製ステーション35は、長尺フィルムの複製層に対し、刻印工具を用いて極微表面構造を複製する。
【0057】
図1を参照して説明した複製法の代わりに、複製ステーション35によって紫外線複製法が採用された場合には、さらなる効果を得ることができる。そのために、複製ステーション35の上流の中心シリンダ34に、ロール31から供給される長尺フィルムに対し紫外線複製ラッカーを施すコーティングステーションを配置すればよい。複製ステーション35は、なおも液状の紫外線複製ラッカー内に漬けて、紫外線複製ラッカーに紫外線を照射することによって紫外線複製ラッカーを表面構造12にしたがって硬化させるマスクシリンダを備えている。このような複製法は、極めてシャ−プな輪郭と大きな断面深さを備えた表面構造の作成を可能にする。さらなる利点は、長尺フィルムが熱で変形しないことである。特に、高品質の四角形断面形状を生成させることができることである。
【0058】
印刷ステーション36は、印刷ローラを備えており、この印刷ローラにより、適当な粘性を有する印刷物質が表面パターン13に従って施され、極微表面構造12が与えられている長尺フィルムに対して正確な位置合わせがなされる。
【0059】
ここでの中心シリンダの採用により、極微表面構造12に対する粘性を有する印刷物質の印刷の位置合わせ(見当合わせ)の正確性がさらに向上する。高解像度を有する表面パターン13を作成するためには、極微表面構造12に対して表面パターン10に従うパターン形状に印刷物質を施すことを、正確な位置合わせをもって行なうことが不可欠であり、さもないと、得られる品質が低下し、所望のレベルの解像度が得られない。
【0060】
図4a,4bおよび4cを参照すると、高解像度を有する表面パターンを備えた領域41の作成例が示されている。
【0061】
図4a,4bおよび4cは、二つの表面領域43,42を備えたサブストレート40を示す。複数の溝を備えた極微表面構造45が表面領域42に複製されている。表面領域43におけるサブストレート40の表面は、平滑で、極微溝構造を備えていない。
【0062】
印刷物質44は、印刷工程を用いて厚さが一定の四角い線状のパターン形状に施される。表面領域42においては、施された印刷物質の滲みが極微表面構造45の局部的レリーフパラメータの影響を受けている。図4cに示されているように、極微表面構造42の溝が向いている方向により、施された微小量の印刷物質の非対称的滲みを生じさせ、同じ厚さに施したにも拘わらず、領域42(図4c)における表面領域の幅は、領域41(図4b)におけるよりも狭くなっている。
【0063】
図5は、表面パターンの微細構造化が、極微表面構造の溝の向いている方向の変化によって齎されている本発明のさらなる実施の形態を示す。
【0064】
図5は、複数の領域52および53を備えたサブストレート50を示し、図5に概略的に示されているように、極微表面構造の溝が異なる方向を向いている。
【0065】
一定の幅を有する四角い線で形成された印刷物質がサブストレート50に施されている。図5に示されているように、表面パターン51は極微表面構造の影響によって図5に示された形状に形成されている。
【0066】
表面パターン51の表面領域の幅は、表面領域の長手方向の中心線と極微表面構造部分の向いている方向とのなす角度の選択によって実質的に決定される。
【0067】
領域52においては、100本/mmの空間周波数と、400nmの断面深さとを有する正弦格子がサブストレート50に形成され、この正弦格子の溝の向いている方向は、線状に施された印刷物質の長手方向の中心線に対して90度捻られている。領域53においては、100本/mmの空間周波数と、400nmの断面深さとを有する正弦格子がサブストレート50に形成され、この正弦格子の溝の向いている方向は、線状に施された印刷物質の長手方向の中心線に対応している。
【0068】
図5に示されているように、表面パターン領域51の幅は、表面領域の長手方向の中心線と極微表面構造のその部分の向いている方向とのなす角度によって実質的に決定される。領域52におけるように、格子の向いている方向と表面領域の長手方向の中心線とが互いに90度捻られている場合には、この表面領域の幅は、微細構造化されていない表面と比較して約15%だけ広くなっている。極微表面構造の向いている方向と表面領域の長手方向の中心線とが同じであれば、この表面領域の幅は、微細構造化されていない表面と比較して約15%だけ狭くなっている。
【0069】
極微表面構造としての100〜600本/mmの空間周波数と、400nm〜1200nmの断面深さとを備えた正弦格子が、粘度が100mPaの印刷物質と組み合わせて用いられ場合には、上述の手順の実施に際して特に良い結果が得られる。
【0070】
図6〜図9は、さらなる極微表面構造のいくつかの実施の形態を示し、これによって、本発明の方法による高解像度を有する表面パターンを作成することができる。
【0071】
図6は、表面に極微表面構造66が複製されたサブストレート60を示す。図6に示されているように、領域61,62,63,64および65において極微表面構造66の深さが変化している。したがって、表面構造66の領域においては、表面パターンの微細構造化が、図5を参照して説明したように、極微表面構造66の溝の向いている方向の変化に影響されるのみでなく、極微表面構造の断面深さの変化によっても影響を受ける。したがって、例えば断面深さの増大は、印刷物質の微小な液滴によって濡らされる、サブストレートの表面領域の比率を減少させることを可能にする。したがって、領域53における断面深さを領域52におけるよりも深くすると効果がある。
【0072】
図7は、表面に極微表面構造73が複製されたサブストレート70を示す。図7に示されているように、パルス形状のレリーフ構造の凸部に対する凹部の割合が領域71と72とで異なっている。ここでは、領域72における凹部の割合が領域71におけるよりも大きく、これによって、断面深さを増大させた効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
図8は、表面に極微表面構造83が複製されたサブストレート80を示す。非対称表面構造は鋸歯状格子である。この種の鋸歯状格子は、その表面構造に施された印刷物質の中心位置が変化する効果を得ることができる。したがって、例えば領域81においては、印刷物質を施した中心位置がいくらか左方へ変位し、領域82においては、印刷物質を施した中心位置がいくらか右方へ変位している。このことは、最終的に、領域81および82における表面パターンの表面領域間の間隔を増大させる。
【0074】
ここで、図5〜図8を参照して説明した効果を有する本発明のいくつかの実施の形態について、図9a〜図9cを参照して説明する。
【0075】
図9aは、サブストレート90と、このサブストレート90上に形成された高解像度を有する表面パターン93とを示す。サブストレート90の表面の領域91および92には、異なる極微表面構造が形成されている。領域92には、その溝が矢印99の方向に向いている極微表面構造が形成され、上記溝は、100本/mmの空間周波数と600nmの断面深さとを有するのが好ましい。領域91には、領域92における表面構造の溝に対して90度捻られた溝を有する極微表面構造が形成され、この溝は、100本/mmの空間周波数と600nmの断面深さとを有するのが好ましい。
【0076】
印刷物質は、矢印99の方向に向いた2本の平行線の形態でサブストレート90に施される。領域91および92における極微表面構造のレリーフパラメータは、領域91においては、表面パターン93が表面積全体を占める表面領域を形成し、領域92においては、表面パターン93が狭い間隔を隔てた2本の細い脚片の形状を有している(図9a)。この場合、領域92の脚片間に極めて狭い空間を設けることができる利点がある。この間隔は、例えば30μm前後とすることができる。
【0077】
図9bは、サブストレート90と、このサブストレート90上に形成された高解像度を有する表面パターン95とを示す。領域93および94においては、異なるレリーフパラメータを有する極微表面構造がサブストレート90に形成されている。領域93においては、溝が矢印99の方向に向きかつ100〜600本/mmの範囲の空間周波数と400〜1100nmの範囲の深さとを有する対称的なレリーフ断面を備えた極微表面構造が形成されている。領域94においては、領域93における表面構造と同様の極微表面構造が形成されているが、領域93における表面構造とは対照的に、例えば図8を参照して説明したような、非対称的な断面形状を有する。
【0078】
表面領域93および94に対して、印刷物質がサブストレートの長手方向に向けられた細い線の形態で印刷物質が施された場合には、図9bに示されているように、領域94においては、幅が非対称的に狭められた表面パターンが形成されることになる。
【0079】
図9cに示されているように、この領域は、互いに極めて接近した2本の線を形成するのに利用される。
【0080】
図9cは、高解像度を有する表面パターン98が形成されたサブストレート90を示す。領域96においては、図9bに示されたような領域93の極微表面構造がサブストレート90に形成されている。領域97においては、図9bに示されたような領域94におけるような、非対称的なレリーフ断面を備えた面構造が形成されている。この場合、領域97の右側部分においては、非対称断面が、図8に示された領域82におけるような向きになっており、領域97の左側部分においては、非対称断面が、図8に示された領域81におけるような向きになっている。
【0081】
ここで、領域96および97に対して印刷物質が互いに平行な2本の細い線の形態で施されると、図9cに示されているような表面パターンが形成されることになる。
【0082】
このような方法は、互いにたった25μmの間隔をおいた脚片を領域に形成することを可能にする。
【0083】
図5〜図9cに示された手順の組合せによって、種々の高解像度を有する表面パターンを形成することができる。したがって、上述した相互関係は、所定の高解像度を有する表面パターンと、極微表面構造に関するその目的に適った構成と、印刷物質を施すことによって得られる表面パターンとに関して演算が可能なように、例えば演算装置11においてコード化される。
【0084】
ここで図10は、本発明により形成することができる表面パターンの好ましい実施の形態を示す。図10は、互いに平行な複数の表面領域101〜105を備えた表面パターンが形成されたサブストレート100を示す。サブストレート100の表面には、チェス盤の態様で配列された複数の部分構造からなる極微表面構造が形成されている。これら部分構造のそれぞれにおいては、レリーフパラメータがそれを取り囲む部分構造のレリーフパラメータとは異なっている。
【0085】
例えば図10は、複数の部分構造106〜115を示している。部分構造106,108,110,112,および114はそれぞれ、図5に示された領域52に提供されたような極微表面構造によって形成されている。部分構造107,109,111,113,および115はそれぞれ、図5に示された領域53に提供されたような極微表面構造によって形成されている。この構成によれば、部分構造106〜115の領域に対して印刷物質を細い線の形態で施した場合、図10に示されているように、表面パターンの表面領域の101,102および105においては、太さが変化する線が形成される。
【0086】
部分構造の表面構造に変化を与えることによって、肉眼で解像可能な平均的印象(印刷物質による平均的被覆面積)は一定に保ちながらパターンの規則性を破ることが可能である。
【0087】
このことは、極微構造の部分構造119,116,121および118はなおも上述したレイアウトを保ちながら、構造117および120が変化している図10に例示されている。部分構造120および117はそれぞれ、溝の向きが互いに90度捻られている。部分構造117の左側部分においては線の太さが細くなっており、部分構造120の右側部分においては、線の太さが太くなっている。したがって、被覆面積は平均して同じになっているが、微細構造における変化は、適当な評価装置を用いることによりモアレパターンとして認識することができ、さらなる情報として評価することができる。
【0088】
図11は、上述した手順によって、印刷物質層の厚さを所定の態様で変えることができる方法を示す。
【0089】
図11は、極微表面構造が複製されているサブストレート130を示す。この表面構造の断面深さは、極微表面構造の領域131および132において変化している。図11に示されているように、断面深さは領域131および132の中央部において最大で、領域131および132の境界線に向かって減少している。
【0090】
ここで、高屈折率を有するラッカーが印刷物質として領域131および132に施される場合には、施された印刷物質の層の厚さは極微表面構造の断面深さに従う。したがって、表面領域131および132に対して高屈折率を有する印刷物質を施すことにより、所定の断面深さを有する極微表面構造の断面に従って凸レンズまたは凹レンズ特性を有するレンズ体133および134を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の方法に含まれる手順を示すフローチャート
【図2】図2a〜図2eは、本発明の方法により処理される多層体の概略図
【図3】本発明により表面パターンを作成するための装置の概略図
【図4】図4a〜図4cは本発明による多層体を示す図
【図5】本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す図
【図6】多層体の断面図
【図7】別の多層体の断面図
【図8】別の多層体の断面図
【図9】図9a〜図9cは本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す断面図
【図10】本発明による多層体のモアレパターンを備えたさらなる実施の形態を示す 図
【図11】本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す断面図
【符号の説明】
【0092】
10,13 表面パターン
11 演算装置
12,42,45 極微表面構造
21 担体フィルム
23 複製層
25 反射層
26 印刷物質
34 中心シリンダ
35 複製ステーション
36 印刷ステーション
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度を有する表面パターンをサブストレート上に形成する方法に関するもので、この方法においては、印刷物質が上記サブストレート上に印刷工程を介して施される。本発明はさらに、印刷によってパターンの形態でサブストレート層に施されるパターン層を備えた多層体、およびサブストレートに対し粘性を有する印刷物質をパターンの形態で施す印刷ステーションを備えた、高解像度を有する表面パターンを形成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷物質をサブストレート上に施すのに、通常は凹版印刷、オフセット印刷、凸版印刷、およびスクリーン印刷が用いられる。
【0003】
凹版印刷とは、版型の表面に対して凹部を有する印刷要素を用いる印刷法を意味する。版型全体にインクを施した後、インクが上記凹部の底のみに残るように版型の表面のインクが拭き取られる。インクを施しかつ上記表面をきれいに拭き取る方式は、純粋な面積印刷が不可能なために、図全体は線、点および網目要素に分解される。深さおよびサイズが異なる個々の印刷要素の印刷物質収容量に多い少ないがあるので、印刷されたものは、画像中の種々の部位によって異なる濃淡を示す。
【0004】
これらの印刷法の解像度を向上させるために、特許文献1には、印刷導管としての毛細管の極めて小さい孔を通じて印刷情報が導入される等質のシートまたはフィルムを版型として用いることが提案されている。低粘度の印刷物質が上記毛細管に導入され、印刷されるべき物品または材料に対し、印刷物質が上記毛細管から所定の圧力で施される。その場合に、ビーム径が1〜10μmの合焦されたレーザービームが、上記極めて小さい孔の形成に用いられる。使用された版型は、厚さが20〜50μmの例えばプラスチック製または金属製フィルムまたはシートのような等質のフィルムまたはシートである。
【0005】
特許文献2には、透明なシリンダをインク保持体として用いることが提案されており、このシリンダには、カップが直接取り付けられている。このカップには溶けたインクが満たされており、インクは熱作用で硬化される。
【0006】
特許文献3には、液状の毛細管現象を呈する印刷物質が連続的にカップに導入され、エネルギーを発生する装置によって誘導される工程によって、カップ内の印刷物質がカップに向かって移動せしめられる物品または材料上に転写される手順が提案されている。
【0007】
したがって、印刷工程によって達成することができる解像度の向上のための上述した公知の方法においては、印刷物質のできる限り正確な施し位置と、できる限り少ない施し量とによって達成することができる解像度レベルを向上させる試みがなされた。
【特許文献1】独国特許出願公開第37 05 988A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第195 44 099A1号明細書
【特許文献3】独国特許発明第197 46 174C1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高レベルの解像度を有する表面パターンの作成を可能にするという課題に基くものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、サブストレート上に高解像度の表面パターンを形成する方法によって解決され、この方法においては、印刷工程を介して印刷物質がパターン形態でサブストレートに施され、上記表面パターンの微細構造化のために、上記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造をサブストレートの表面に複製し、上記表面パターンの微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向および断面形状とによって決定されるようにしたものである。
【0010】
上記課題はさらに、高解像度を有する表面パターンを上記サブストレート上に形成するための装置によって解決され、この装置は、印刷物質をサブストレートにパターン形態で施すための印刷ステーションをさらに備え、さらに上記表面パターンの微細構造化のために、印刷ステーションの上流に配置された複製ステーションを備え、この複製ステーションは、多数の溝を有する極微表面構造を上記サブストレートの表面に複製するように構成され、上記印刷ステーションは、上記表面パターンの所定の微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向および断面形状とによって齎される態様で、上記サブストレートの上記極微表面構造に対し印刷物質を施すように構成されている。
【0011】
上記課題はさらに、サブストレート層とこのサブストレート層上に形成された、印刷物質からなる高解像度を有するパターン層とを備えた多層体によって解決され、この多層体においては、上記表面パターンの微細構造化のために、上記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造が上記サブストレート層の表面に複製され、局部的に施される印刷物質の施し量と、上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータ、特に溝の向いている方向、断面深さおよび断面形状とによって、上記表面パターンの微細構造化が決定される。
【0012】
したがって、本発明は、サブストレートの表面構造の目標とする特定の作用によって、印刷された画像の解像度の向上が図られる。表面パターンの精密な形態は、一方では局部的に施される印刷物質の施し量および印刷物質の流動特性と、他方では上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータという三つの作用の組合せによって得られる。
【0013】
本発明は、従来の印刷手法では形成することが不可能であったレベルの解像度を得ることができる。従来の凹版印刷法によっても、例えば約80μmの解像度レベルを達成することができるが、本発明によると、凹版印刷法によって達成することができる改善された解像度レベルは約30μmである。本発明の実施には、広く用いられかつ完熟した印刷技術を用いることができるということがさらなる利点である。
【0014】
本発明の有利な形態が従属請求項に記載されている。
【0015】
この場合、所定の粘度と親和力とを備えた印刷物質を用いることが特に有利である。印刷物質の粘度と、印刷物質とサブストレートとの間の親和力とは、印刷物質の流動特性に影響を与える。このことは、得られる印刷画像もこれらのパラメータの影響を受けることを意味する。この場合、粘度が50〜150mPa・sの印刷物質を選択すると特に有利である。さらに、印刷解像度のレベルが、印刷物質の表面張力とサブストレートとについての特定の選択(親和力)によってさらに影響される可能性がある。粘度が上記の値の範囲内にあることが好ましい印刷物質を選択する場合には、上述の効果が得られ、その結果、特に高解像度を有する印刷画像を生成させることが可能になる。
【0016】
本発明は、高解像度を有する表面パターンを多層フィルム体に施すのに特に適している。従って、本発明は特に、ホットスタンプフィルム、貼付けフィルムまたは転写フィルムの作成に利用することができる。これらのフィルムから作成されたフィルム要素は、例えば銀行紙幣、クレジットカード、身分証明書等を防護するための光学的セキュリティ素子のようなセキュリティ分野で用いることができる。さらにこの種のフィルムまたはフィルム要素は装飾分野においても利用することができる。
【0017】
本発明の実施により、サブストレート層の部分的金属被膜除去の用途で特に有利であることが判明している。本発明により得ることができる高レベルの解像度および得ることができる高品質標準は、ここでは大きな効果がある。本発明によれば、例えばエッチングレジスト、エッチング剤または洗浄マスクを、高解像度を有する表面パターンにより、部分的に除去されるべきサブストレート層に施すことができる。さらに有利な用途は、例えば有機電界効果トランジスタ(OFET)を作成するために、印刷物質として有機半導体材料を、本発明によりサブストレート層上に高解像度を有する表面パターンの形態で施すことを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態によれば、表面パターンの微細構造化が、極微表面構造の溝の向いている方向の変化によって実施される。ここでは、表面パターンの表面領域の幅が、表面領域の長手方向の中心線と上記極微表面構造の対応部分の向いている方向とのなす角度の選択によって決定される。したがって、この表面領域に種々の方位の表面構造を含む領域を設けることによって表面領域の幅を変えることができる。この場合、上記方法は、技術的観点から極めて容易に実施することができ、格別に効果的である。上記極微表面構造に局部的に施される、例えば液滴の形態の極めて僅かな印刷物質は、上記極微表面構造によってその滲む方向が影響を受ける。印刷物質の流動特性も微細構造化に影響を与える。極微表面構造によって生成された印刷物質の非対称的滲み方は、表面パターンの解像度レベルの向上に特に利用される。
【0019】
上記表面パターンの表面領域の幅における特に大きな変化は、上記表面構造の向いている方向が互いに90度捻られている少なくとも二つの領域を上記表面領域に予め設けることによって得ることができる。
【0020】
さらに、上記極微表面構造の溝の断面深さにおける変化によって上記パターンの微細構造化を達成することができる。同様に、上記パターンの微細構造化は、上記極微表面構造の溝の断面形状における変化によっても達成することができる。断面深さおよび断面形状を変えることは、局部的に施された微細な印刷物質の液滴によって占められる濡れた領域を変えることを可能にする。このようにして、極微表面構造における異なる断面形状または異なる断面深さを備えた領域を上記表面領域に予め設けることによって、上記表面パターンの表面領域の幅を間接的に変えることが可能になる。さらに、極微表面構造の対応部分における非対称的断面形状によって、上記表面パターンの表面領域の中心位置を変えることができる。この種の非対称的断面形状は、極微表面構造に施された微細な印刷物質の液滴の非対称的な滲みによって齎される。この作用は、表面パターンの解像度レベルをさらに向上させるのに利用される。
【0021】
上記極微表面構造の溝の向いている方向における変化によって、上記極微表面構造の断面深さの変化によって、および上記極微表面構造の溝の断面形状の変化によって、表面パターンの微細構造化が可能になる。印刷物質の流動特性もまた上記微細構造化に影響を与える。このようにして、上述の効果の組合せによって、所望の高解像度を有するパターンを形成することができる。
【0022】
上述の作用は、表面領域の幅が50μm未満の場合に特に効果を発揮する。
【0023】
上記極微表面構造の局部的レリーフパラメータにおける変化を介した隣接する表面の微細構造化によってモアレパターンを生成させることは特に有利である。このようにして生じたモアレパターンは、従来の印刷工程によっては複製することが不可能であり、したがって、価値の高い光学的セキュリティ特徴として利用することができる。これらの利点は、極微表面構造の局部的レリーフパラメータにおける変化を介した微細構造化による微小文字パターンの形成においても享受することができる。このこともまた、容易には複写不可能な光学的セキュリティ特徴を提供する。
【0024】
さらに、上記極微表面構造の溝の断面深さの変化によって、印刷物質層の厚さが所定の態様で変化する領域を形成することも可能である。このことは、印刷物質として高屈折率を有するラッカーを用いて、レンズ体を形成するのに利用することができる。極微表面構造の溝の断面深さにおける変化により、その領域に高屈折率を有するラッカーを施した場合にレンズ体が形成される。
【0025】
表面パターンの微細構造化が、極微表面構造のレリーフパラメータにおける変化によって生成される場合、単位表面積当りの印刷物質の施し量をほぼ一定にすることによって、高解像度を有する、表面を覆うパターンが特に容易に形成される。これは、必要な極微表面構造および、所定の高解像度を有する表面パターンを得るためにサブストレートに施される印刷物質による必要なパターンを決定するのに要する計算費用を低減する。
【0026】
上記極微表面構造が、50本の溝/mmを超える、好ましくは100〜1200本の溝/mmの空間周波数を有し、かつ2μm未満、好ましくは0.2〜1.2μmの断面深さを有する場合に特に良好な結果を得ることができる。
【0027】
本発明による、表面パターンを形成するための装置は、極微表面構造に対して印刷物質を正確な位置合わせ(見当合わせ)関係をもって確実に施すための手段を備えた印刷ステーションを有することが好ましい。この装置が、複製ステーションおよび印刷ステーションを配置した中心シリンダを備えている場合に特に良好な結果を得ることができる。これにより、正確な位置合わせ関係がえられ、表面パターンの解像度レベルがさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施の形態について詳細に説明する。
【0029】
先ず、本発明の方法の手順について、図1および図2a〜2eを参照して説明する。
【0030】
図1は、複数の処理ステーション14,15,16,17および18と、一つの演算装置11とを示す。
【0031】
処理ステーション14,15,16,17および18は、ベースフィルム上の反射材料から形成される表面パターンに従ってパターン形態の層を成形するステップを実行する。演算装置11は、ここにある表面パターン10から、極微表面構造12およびそれに配置される表面パターン13の仕様を作成する。表面パターン13は、最終的に印刷物質が表面パターン10に従って施される極微表面構造12を表面に複製したサブストレート上に、印刷物質がパターンの形態で施された形状を描く。この場合、下記に詳細に説明されているように、表面パターン13の微細構造は、表面パターン10に従って局部的に施される印刷物質の施し量と、極微表面構造12の局部的レリーフパラメータとによって得られる。
【0032】
図2aに示されたフィルム体は処理ステーション14に送られる。このフィルム体は、担体フィルム21と、この担体フィルム21上に施された剥離層および/または保護ラッカー層22とからなる。担体フィルム21は、例えば厚さが約12μm〜50μmのポリエステルフィルムである。剥離層および/または保護ラッカー層22は、約0.3〜1.2μmの厚さを有する。この層は省略してもよい。
【0033】
処理ステーション14は、上記フィルム体に複製層23を施す。この場合、複製層23は、供給されたフィルム体の全表面に亘って、例えば印刷によって施される透明な熱可塑性プラスチック材料からなることが好ましい。
【0034】
その場合、複製ラッカーは例えば下記のような組成を有する。すなわち、
高分子PMMA樹脂 2000(重量部)
無油シリコーンアルキド 300
無イオン湿潤剤 50
低粘度ニトロセルロース 750
メチルエチルケトン 1200
トルエン 2000
ジアセトン アルコール 2500。
【0035】
上記複製層を施す作業は、乾燥後の施し量が2.2g/m2となるように、例えば線格子スクリーン凹版印刷ローラを用いて行なわれる。乾燥作業は、温度100〜120℃の乾燥通路内で行なわれる。
【0036】
このようにして形成されたフィルム体27(図2b)は、処理ステーション15に送られる。
【0037】
処理ステーション15は、極微表面構造12を複製層23に複製する複製ステーションである。
【0038】
この場合の複製作業は、エンボス刻印工具を用いて行なうことができる。しかしながら、この複製作業は、下記に図3を参照して説明するような紫外線複製工程を介して行なうこともできる。
【0039】
例えばニッケル製のダイを用いて約160℃の温度で、極微表面構造12が複製層23に刻印される。極微表面構造12を刻印するために、上記ダイは電気的に加熱されることが好ましい。刻印作業の後、複製層23から引き上げられるのに先立って、ダイは再び冷やされる。極微表面構造12の刻印後、複製ラッカーは架橋またはその他の態様で硬化される。
【0040】
図2cは、処理ステーション15によって処理された後の多層体27を示す。図2cに示されているように、極微表面構造12は、複製層23の表面を整形することによって生成される。このような態様で処理されたフィルム体は処理ステーション16に送られる。
【0041】
処理ステーション16は、そこに送られたフィルム体を薄い反射層25でコーティングする。この反射層25は、薄い蒸着金属層またはHRI(高屈折率)層であることが好ましい。上記金属層のために用いられる材料は、クロム、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、銀、金、またはこれらの材料の合金である。
【0042】
反射層25を省略することもできる。反射層25には、例えばレジストラッカーの塗布およびエッチング工程による例えば部分的金属被膜付けがなされることが好ましい。反射層25を施す作業は、特に導電性ポリマーが印刷される場合には、反射層25を施す作業を省略することができる。その場合、複製されたラッカー系と印刷された系との間の相互作用がないように、複製層は、導電性ポリマーの塗布によって溶けないような硬化された樹脂(例えば紫外線架橋樹脂、2Kラッカー)からなる。
【0043】
図2dは、処理ステーション16で処理された後のフィルム体29を示す。担体層21と、剥離層および/または保護ラッカー層22と、複製層23に加えて、フィルム体29は、蒸着によってその表面領域全体に形成された反射層25を備えている。フィルム体29は処理ステーション17に送られる。処理ステーション17は、適当な粘度と親和性とを有する印刷物質を、表面パターンに従うパターンの形態で印刷によってフィルム体29に施す。この処理ステーション17で用いられる印刷工程は、凹版印刷であることが好ましい。このようにして、表面パターン13に従ってインクを施す例えば複数のカップを備えた凹版印刷格子ローラを用いて印刷物質26が施される。
【0044】
しかしながら、上記の粘性を有する印刷物質26を施す作業は、例えば、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷またはフレキソ印刷のような別の印刷方法を用いて行なうことも可能である。
【0045】
図2eは、処理ステーション17において処理された後のフィルム体28を示す。図2eに示されているように、フィルム体29の表面が印刷物質26で部分的に覆われている。この場合、印刷物質26で占められている被覆領域は、処理ステーション17によってフィルム体29の表面に施された領域と対応していない。この被覆領域は、局部的に施された印刷物質の施し量と極微微細構造12の局部的レリーフパラメータとによって決定され、この極微微細構造12は、図2dおよび図2eに示されているように、反射層25の形成後に反射層25の表面に形成される。
【0046】
印刷物質26は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体をベースとすることが好ましいエッチングレジストである。
【0047】
ここでフィルム体28は処理ステーション18に送られる。この処理ステーション18は、複製ラッカーで覆われていない反射層25の領域を酸またはアルカリによって取り除く金属被膜除去ステーションである。
【0048】
フィルム体28は、処理ステーション18で処理された後、さらに洗浄、乾燥およびコーティングの各ステーションをも通過する。次に、例えばさらなる装飾層および/または接着剤層が連続的にフィルム体28に施される。さらに、フィルム体28が、例えば純光学的または機能的要素を備えた熱転写フィルム、刻印フィルムまたは貼付けフィルムの一部として用いられるように、複製層23の形成に先立って、層21および22によって形成されたフィルム体にさらなる層を施してもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、処理ステーション17が、印刷物質として、エッチングレジストの代わりにエッチング剤を反射層25に施すことも可能である。さらに、反射層25をコーティングする作業が、印刷物質26を施す作業に先立って行なわれるのではなく、印刷物質26が施された後に行なわれることも可能である。したがって、印刷物質26が、例えば全領域にコーティングされた反射層25を、洗浄作業により部分的に取り除くことができる洗浄マスクであることも可能である。
【0050】
本発明のさらなる実施の形態によれば、図1に示された装置が表面パターン10に従って構成された高解像度を有する装飾的層をフィルム体上に形成するように、処理ステーション16および18が省略される。ここで用いられる印刷物質は、例えば固形分を2〜25%含有する溶剤からなる通常の印刷物質である。
【0051】
さらに、施される印刷物質が、それによって有機半導体回路が形成されるポリマーであることも可能である。したがって、用いられる印刷物質は、ポリアニリンまたはポリピロールのような有機電極材料、ポリチオフェンのような有機半導体材料、またはポリフェニルフェノールのような絶縁材であり得る。例えば一つまたは複数の官能重合体層の印刷によって有機電界効果トランジスタ(OFET)を作成することも可能である。
【0052】
一つまたは複数の官能重合体層を印刷する場合には、金属性の、したがって導電性の反射層の作用および影響を考慮することが重要であることは言うまでもない。この種の金属性反射層は、官能重合体層の電気的相互作用(例えば短絡)の影響を受けない、あるいは官能重合体層によって形成される電気回路に含まれない構成としなければならない。
【0053】
図3は、表面パターン10を形成する装置のさらなる実施の形態を示す。
【0054】
図3は、中心シリンダ34,2個のロール31および32、複製ステーション35、印刷ステーション36、および2個のガイドローラ33を示す。
【0055】
長尺フィルムは、ロール31から中心シリンダ34を通ってロール32に至っている。この場合、長尺フィルムは、例えば厚さ19μmのPETフィルムからなる担体層と、これに施された複製層とを少なくとも備えている多層体からなることが好ましい。この多層体がさらなる複数の層を備えていてもよいことは言うまでもない。
【0056】
図1を参照してすでに説明したように、複製ステーション35は、長尺フィルムの複製層に対し、刻印工具を用いて極微表面構造を複製する。
【0057】
図1を参照して説明した複製法の代わりに、複製ステーション35によって紫外線複製法が採用された場合には、さらなる効果を得ることができる。そのために、複製ステーション35の上流の中心シリンダ34に、ロール31から供給される長尺フィルムに対し紫外線複製ラッカーを施すコーティングステーションを配置すればよい。複製ステーション35は、なおも液状の紫外線複製ラッカー内に漬けて、紫外線複製ラッカーに紫外線を照射することによって紫外線複製ラッカーを表面構造12にしたがって硬化させるマスクシリンダを備えている。このような複製法は、極めてシャ−プな輪郭と大きな断面深さを備えた表面構造の作成を可能にする。さらなる利点は、長尺フィルムが熱で変形しないことである。特に、高品質の四角形断面形状を生成させることができることである。
【0058】
印刷ステーション36は、印刷ローラを備えており、この印刷ローラにより、適当な粘性を有する印刷物質が表面パターン13に従って施され、極微表面構造12が与えられている長尺フィルムに対して正確な位置合わせがなされる。
【0059】
ここでの中心シリンダの採用により、極微表面構造12に対する粘性を有する印刷物質の印刷の位置合わせ(見当合わせ)の正確性がさらに向上する。高解像度を有する表面パターン13を作成するためには、極微表面構造12に対して表面パターン10に従うパターン形状に印刷物質を施すことを、正確な位置合わせをもって行なうことが不可欠であり、さもないと、得られる品質が低下し、所望のレベルの解像度が得られない。
【0060】
図4a,4bおよび4cを参照すると、高解像度を有する表面パターンを備えた領域41の作成例が示されている。
【0061】
図4a,4bおよび4cは、二つの表面領域43,42を備えたサブストレート40を示す。複数の溝を備えた極微表面構造45が表面領域42に複製されている。表面領域43におけるサブストレート40の表面は、平滑で、極微溝構造を備えていない。
【0062】
印刷物質44は、印刷工程を用いて厚さが一定の四角い線状のパターン形状に施される。表面領域42においては、施された印刷物質の滲みが極微表面構造45の局部的レリーフパラメータの影響を受けている。図4cに示されているように、極微表面構造42の溝が向いている方向により、施された微小量の印刷物質の非対称的滲みを生じさせ、同じ厚さに施したにも拘わらず、領域42(図4c)における表面領域の幅は、領域41(図4b)におけるよりも狭くなっている。
【0063】
図5は、表面パターンの微細構造化が、極微表面構造の溝の向いている方向の変化によって齎されている本発明のさらなる実施の形態を示す。
【0064】
図5は、複数の領域52および53を備えたサブストレート50を示し、図5に概略的に示されているように、極微表面構造の溝が異なる方向を向いている。
【0065】
一定の幅を有する四角い線で形成された印刷物質がサブストレート50に施されている。図5に示されているように、表面パターン51は極微表面構造の影響によって図5に示された形状に形成されている。
【0066】
表面パターン51の表面領域の幅は、表面領域の長手方向の中心線と極微表面構造部分の向いている方向とのなす角度の選択によって実質的に決定される。
【0067】
領域52においては、100本/mmの空間周波数と、400nmの断面深さとを有する正弦格子がサブストレート50に形成され、この正弦格子の溝の向いている方向は、線状に施された印刷物質の長手方向の中心線に対して90度捻られている。領域53においては、100本/mmの空間周波数と、400nmの断面深さとを有する正弦格子がサブストレート50に形成され、この正弦格子の溝の向いている方向は、線状に施された印刷物質の長手方向の中心線に対応している。
【0068】
図5に示されているように、表面パターン領域51の幅は、表面領域の長手方向の中心線と極微表面構造のその部分の向いている方向とのなす角度によって実質的に決定される。領域52におけるように、格子の向いている方向と表面領域の長手方向の中心線とが互いに90度捻られている場合には、この表面領域の幅は、微細構造化されていない表面と比較して約15%だけ広くなっている。極微表面構造の向いている方向と表面領域の長手方向の中心線とが同じであれば、この表面領域の幅は、微細構造化されていない表面と比較して約15%だけ狭くなっている。
【0069】
極微表面構造としての100〜600本/mmの空間周波数と、400nm〜1200nmの断面深さとを備えた正弦格子が、粘度が100mPaの印刷物質と組み合わせて用いられ場合には、上述の手順の実施に際して特に良い結果が得られる。
【0070】
図6〜図9は、さらなる極微表面構造のいくつかの実施の形態を示し、これによって、本発明の方法による高解像度を有する表面パターンを作成することができる。
【0071】
図6は、表面に極微表面構造66が複製されたサブストレート60を示す。図6に示されているように、領域61,62,63,64および65において極微表面構造66の深さが変化している。したがって、表面構造66の領域においては、表面パターンの微細構造化が、図5を参照して説明したように、極微表面構造66の溝の向いている方向の変化に影響されるのみでなく、極微表面構造の断面深さの変化によっても影響を受ける。したがって、例えば断面深さの増大は、印刷物質の微小な液滴によって濡らされる、サブストレートの表面領域の比率を減少させることを可能にする。したがって、領域53における断面深さを領域52におけるよりも深くすると効果がある。
【0072】
図7は、表面に極微表面構造73が複製されたサブストレート70を示す。図7に示されているように、パルス形状のレリーフ構造の凸部に対する凹部の割合が領域71と72とで異なっている。ここでは、領域72における凹部の割合が領域71におけるよりも大きく、これによって、断面深さを増大させた効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
図8は、表面に極微表面構造83が複製されたサブストレート80を示す。非対称表面構造は鋸歯状格子である。この種の鋸歯状格子は、その表面構造に施された印刷物質の中心位置が変化する効果を得ることができる。したがって、例えば領域81においては、印刷物質を施した中心位置がいくらか左方へ変位し、領域82においては、印刷物質を施した中心位置がいくらか右方へ変位している。このことは、最終的に、領域81および82における表面パターンの表面領域間の間隔を増大させる。
【0074】
ここで、図5〜図8を参照して説明した効果を有する本発明のいくつかの実施の形態について、図9a〜図9cを参照して説明する。
【0075】
図9aは、サブストレート90と、このサブストレート90上に形成された高解像度を有する表面パターン93とを示す。サブストレート90の表面の領域91および92には、異なる極微表面構造が形成されている。領域92には、その溝が矢印99の方向に向いている極微表面構造が形成され、上記溝は、100本/mmの空間周波数と600nmの断面深さとを有するのが好ましい。領域91には、領域92における表面構造の溝に対して90度捻られた溝を有する極微表面構造が形成され、この溝は、100本/mmの空間周波数と600nmの断面深さとを有するのが好ましい。
【0076】
印刷物質は、矢印99の方向に向いた2本の平行線の形態でサブストレート90に施される。領域91および92における極微表面構造のレリーフパラメータは、領域91においては、表面パターン93が表面積全体を占める表面領域を形成し、領域92においては、表面パターン93が狭い間隔を隔てた2本の細い脚片の形状を有している(図9a)。この場合、領域92の脚片間に極めて狭い空間を設けることができる利点がある。この間隔は、例えば30μm前後とすることができる。
【0077】
図9bは、サブストレート90と、このサブストレート90上に形成された高解像度を有する表面パターン95とを示す。領域93および94においては、異なるレリーフパラメータを有する極微表面構造がサブストレート90に形成されている。領域93においては、溝が矢印99の方向に向きかつ100〜600本/mmの範囲の空間周波数と400〜1100nmの範囲の深さとを有する対称的なレリーフ断面を備えた極微表面構造が形成されている。領域94においては、領域93における表面構造と同様の極微表面構造が形成されているが、領域93における表面構造とは対照的に、例えば図8を参照して説明したような、非対称的な断面形状を有する。
【0078】
表面領域93および94に対して、印刷物質がサブストレートの長手方向に向けられた細い線の形態で印刷物質が施された場合には、図9bに示されているように、領域94においては、幅が非対称的に狭められた表面パターンが形成されることになる。
【0079】
図9cに示されているように、この領域は、互いに極めて接近した2本の線を形成するのに利用される。
【0080】
図9cは、高解像度を有する表面パターン98が形成されたサブストレート90を示す。領域96においては、図9bに示されたような領域93の極微表面構造がサブストレート90に形成されている。領域97においては、図9bに示されたような領域94におけるような、非対称的なレリーフ断面を備えた面構造が形成されている。この場合、領域97の右側部分においては、非対称断面が、図8に示された領域82におけるような向きになっており、領域97の左側部分においては、非対称断面が、図8に示された領域81におけるような向きになっている。
【0081】
ここで、領域96および97に対して印刷物質が互いに平行な2本の細い線の形態で施されると、図9cに示されているような表面パターンが形成されることになる。
【0082】
このような方法は、互いにたった25μmの間隔をおいた脚片を領域に形成することを可能にする。
【0083】
図5〜図9cに示された手順の組合せによって、種々の高解像度を有する表面パターンを形成することができる。したがって、上述した相互関係は、所定の高解像度を有する表面パターンと、極微表面構造に関するその目的に適った構成と、印刷物質を施すことによって得られる表面パターンとに関して演算が可能なように、例えば演算装置11においてコード化される。
【0084】
ここで図10は、本発明により形成することができる表面パターンの好ましい実施の形態を示す。図10は、互いに平行な複数の表面領域101〜105を備えた表面パターンが形成されたサブストレート100を示す。サブストレート100の表面には、チェス盤の態様で配列された複数の部分構造からなる極微表面構造が形成されている。これら部分構造のそれぞれにおいては、レリーフパラメータがそれを取り囲む部分構造のレリーフパラメータとは異なっている。
【0085】
例えば図10は、複数の部分構造106〜115を示している。部分構造106,108,110,112,および114はそれぞれ、図5に示された領域52に提供されたような極微表面構造によって形成されている。部分構造107,109,111,113,および115はそれぞれ、図5に示された領域53に提供されたような極微表面構造によって形成されている。この構成によれば、部分構造106〜115の領域に対して印刷物質を細い線の形態で施した場合、図10に示されているように、表面パターンの表面領域の101,102および105においては、太さが変化する線が形成される。
【0086】
部分構造の表面構造に変化を与えることによって、肉眼で解像可能な平均的印象(印刷物質による平均的被覆面積)は一定に保ちながらパターンの規則性を破ることが可能である。
【0087】
このことは、極微構造の部分構造119,116,121および118はなおも上述したレイアウトを保ちながら、構造117および120が変化している図10に例示されている。部分構造120および117はそれぞれ、溝の向きが互いに90度捻られている。部分構造117の左側部分においては線の太さが細くなっており、部分構造120の右側部分においては、線の太さが太くなっている。したがって、被覆面積は平均して同じになっているが、微細構造における変化は、適当な評価装置を用いることによりモアレパターンとして認識することができ、さらなる情報として評価することができる。
【0088】
図11は、上述した手順によって、印刷物質層の厚さを所定の態様で変えることができる方法を示す。
【0089】
図11は、極微表面構造が複製されているサブストレート130を示す。この表面構造の断面深さは、極微表面構造の領域131および132において変化している。図11に示されているように、断面深さは領域131および132の中央部において最大で、領域131および132の境界線に向かって減少している。
【0090】
ここで、高屈折率を有するラッカーが印刷物質として領域131および132に施される場合には、施された印刷物質の層の厚さは極微表面構造の断面深さに従う。したがって、表面領域131および132に対して高屈折率を有する印刷物質を施すことにより、所定の断面深さを有する極微表面構造の断面に従って凸レンズまたは凹レンズ特性を有するレンズ体133および134を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の方法に含まれる手順を示すフローチャート
【図2】図2a〜図2eは、本発明の方法により処理される多層体の概略図
【図3】本発明により表面パターンを作成するための装置の概略図
【図4】図4a〜図4cは本発明による多層体を示す図
【図5】本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す図
【図6】多層体の断面図
【図7】別の多層体の断面図
【図8】別の多層体の断面図
【図9】図9a〜図9cは本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す断面図
【図10】本発明による多層体のモアレパターンを備えたさらなる実施の形態を示す 図
【図11】本発明による多層体のさらなる実施の形態を示す断面図
【符号の説明】
【0092】
10,13 表面パターン
11 演算装置
12,42,45 極微表面構造
21 担体フィルム
23 複製層
25 反射層
26 印刷物質
34 中心シリンダ
35 複製ステーション
36 印刷ステーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷工程を介して印刷物質(44,26)がサブストレート(40,27,50,90)にパターン形態で施される態様で、該サブストレート(40,27,50,90)上に高解像度を有する表面パターン(41,51,93,95,98)を形成する方法であって、
前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化のために、前記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造(42,45,52,53,61〜65,71,72,81,82)を前記サブストレートの表面に複製し、前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化が、局部的に施される前記印刷物質(44,26)の施し量と、前記極微表面構造(42,45,52,53,61〜65,71,72,81,82)の局部的レリーフパラメータとによって決定されるようにしたことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記極微表面構造(42,45,52,53)の溝の向いている方向の変化によって、前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記極微表面構造(61〜65)の溝の断面深さの変化によって、前記表面パターン(93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記極微表面構造(61〜65)の溝の断面形状の変化によって、前記表面パターン(93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記表面パターン(41,51)の表面領域の長手方向の中心線と前記極微表面構造(45)の前記表面領域に属している部分の向いている方向とのなす角度の選択によって、前記表面領域の幅が決定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記極微表面構造の、向いている方向の異なる領域(52,53)が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されていることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記極微表面構造の、向いている方向が互いに90度捻られた少なくとも二つの領域(52,53)が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されていることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記極微表面構造の、異なる断面形状および/または断面深さを有する領域が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記表面パターン(95,98)の表面領域の中心位置が、前記極微表面構造の前記表面領域に属している部分の非対称的断面形状によって変えられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記表面領域の幅が50μm未満であることを特徴とする請求項5から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータの変化を介した隣接する表面領域の微細構造化によって、モアレパターン(101,102,103,104,105)が生成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータの変化を介した隣接する表面領域の微細構造化によって、微小文字パターンが生成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記極微表面構造(131,132)の溝の断面深さを変えることによって、前記印刷物質層(133,134)の厚さが所定の態様で変化する領域が形成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
高い屈折率を有するラッカーが前記印刷物質として用いられ、かつ前記溝の断面深さを変えることによって前記領域にレンズ体が形成されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
印刷物質の施し量が単位面積当りほぼ一定のときの前記極微表面構造のレリーフパラメータの変化によって、前記表面パターンの微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記極微表面構造が、50本の溝/mmを超える空間周波数と、2μm未満の断面深さとを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
サブストレート層(25)と該サブストレート層上に配置されパターン層(26)とを備え、該パターン層が高解像度を有する表面パターンの形態で前記サブストレート層上に形成され、前記パターン層(26)が、印刷工程を介して前記サブストレート層にパターンの形態に施された印刷物質からなる多層体(28)において、
前記表面パターンの微細構造化のために、前記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造(42)が前記サブストレートの表面に複製され、局部的に施される前記印刷物質の施し量と、前記極微表面構造(42)の局部的レリーフパラメータとによって、前記表面パターンの微細構造化が決定されることを特徴とする前記多層体。
【請求項18】
フィルムであることを特徴とする請求項17記載の多層体。
【請求項19】
前記印刷物質がエッチングレジストであることを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項20】
前記印刷物質がエッチング剤であることを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項21】
前記印刷物質が有機半導体材料を含有することを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項22】
印刷物質をサブストレートにパターン形態で施すための印刷ステーション(36)を備えた、高解像度を有する表面パターンを前記サブストレート上に形成するための装置であって、
前記表面パターンの微細構造化のために、前記印刷ステーション(36)の上流に配置された複製ステーション(35)を備え、該複製ステーション(35)は、複数の溝を有する極微表面構造を前記サブストレートの表面に複製するように構成され、さらに前記印刷ステーション(36)は、前記表面パターンの所定の微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータとによって齎される態様で、前記サブストレートの前記極微表面構造に対し前記印刷物質を施すように構成されていることを特徴とする前記装置。
【請求項23】
前記印刷ステーション(36)が、前記印刷物質を正確な位置合わせをもって施す装置を備えていることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記複製ステーション(35)および前記印刷ステーション(36)が配置された中心シリンダ(34)を備えていることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項1】
印刷工程を介して印刷物質(44,26)がサブストレート(40,27,50,90)にパターン形態で施される態様で、該サブストレート(40,27,50,90)上に高解像度を有する表面パターン(41,51,93,95,98)を形成する方法であって、
前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化のために、前記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造(42,45,52,53,61〜65,71,72,81,82)を前記サブストレートの表面に複製し、前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化が、局部的に施される前記印刷物質(44,26)の施し量と、前記極微表面構造(42,45,52,53,61〜65,71,72,81,82)の局部的レリーフパラメータとによって決定されるようにしたことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記極微表面構造(42,45,52,53)の溝の向いている方向の変化によって、前記表面パターン(41,51,93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記極微表面構造(61〜65)の溝の断面深さの変化によって、前記表面パターン(93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記極微表面構造(61〜65)の溝の断面形状の変化によって、前記表面パターン(93,95,98)の微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記表面パターン(41,51)の表面領域の長手方向の中心線と前記極微表面構造(45)の前記表面領域に属している部分の向いている方向とのなす角度の選択によって、前記表面領域の幅が決定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記極微表面構造の、向いている方向の異なる領域(52,53)が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されていることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記極微表面構造の、向いている方向が互いに90度捻られた少なくとも二つの領域(52,53)が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されていることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記極微表面構造の、異なる断面形状および/または断面深さを有する領域が前記表面パターン(51)の表面領域に予め用意されることによって、該表面領域の幅が変えられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記表面パターン(95,98)の表面領域の中心位置が、前記極微表面構造の前記表面領域に属している部分の非対称的断面形状によって変えられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記表面領域の幅が50μm未満であることを特徴とする請求項5から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータの変化を介した隣接する表面領域の微細構造化によって、モアレパターン(101,102,103,104,105)が生成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータの変化を介した隣接する表面領域の微細構造化によって、微小文字パターンが生成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記極微表面構造(131,132)の溝の断面深さを変えることによって、前記印刷物質層(133,134)の厚さが所定の態様で変化する領域が形成されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
高い屈折率を有するラッカーが前記印刷物質として用いられ、かつ前記溝の断面深さを変えることによって前記領域にレンズ体が形成されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
印刷物質の施し量が単位面積当りほぼ一定のときの前記極微表面構造のレリーフパラメータの変化によって、前記表面パターンの微細構造化が齎されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記極微表面構造が、50本の溝/mmを超える空間周波数と、2μm未満の断面深さとを有することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
サブストレート層(25)と該サブストレート層上に配置されパターン層(26)とを備え、該パターン層が高解像度を有する表面パターンの形態で前記サブストレート層上に形成され、前記パターン層(26)が、印刷工程を介して前記サブストレート層にパターンの形態に施された印刷物質からなる多層体(28)において、
前記表面パターンの微細構造化のために、前記印刷物質の施しに先立って、多数の溝を備えた極微表面構造(42)が前記サブストレートの表面に複製され、局部的に施される前記印刷物質の施し量と、前記極微表面構造(42)の局部的レリーフパラメータとによって、前記表面パターンの微細構造化が決定されることを特徴とする前記多層体。
【請求項18】
フィルムであることを特徴とする請求項17記載の多層体。
【請求項19】
前記印刷物質がエッチングレジストであることを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項20】
前記印刷物質がエッチング剤であることを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項21】
前記印刷物質が有機半導体材料を含有することを特徴とする請求項17または18記載の多層体。
【請求項22】
印刷物質をサブストレートにパターン形態で施すための印刷ステーション(36)を備えた、高解像度を有する表面パターンを前記サブストレート上に形成するための装置であって、
前記表面パターンの微細構造化のために、前記印刷ステーション(36)の上流に配置された複製ステーション(35)を備え、該複製ステーション(35)は、複数の溝を有する極微表面構造を前記サブストレートの表面に複製するように構成され、さらに前記印刷ステーション(36)は、前記表面パターンの所定の微細構造化が、局部的に施される印刷物質の施し量と、前記極微表面構造の局部的レリーフパラメータとによって齎される態様で、前記サブストレートの前記極微表面構造に対し前記印刷物質を施すように構成されていることを特徴とする前記装置。
【請求項23】
前記印刷ステーション(36)が、前記印刷物質を正確な位置合わせをもって施す装置を備えていることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記複製ステーション(35)および前記印刷ステーション(36)が配置された中心シリンダ(34)を備えていることを特徴とする請求項22記載の装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−528917(P2006−528917A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520658(P2006−520658)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001554
【国際公開番号】WO2005/009742
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(398058348)レオナード クルツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001554
【国際公開番号】WO2005/009742
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(398058348)レオナード クルツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (9)
【Fターム(参考)】
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