説明

高記憶密度を有する光学記録材料

本発明は、基材と、記録層と、場合により1つ以上の反射層とを含む光学記録媒体であって、記録層が式(I)の化合物を含む光学記録媒体に関する。更なる構成要素の詳細な定義については明細書を参照されたい。記録及び再生は特に波長300〜500nmにおいて、例えばブルーレーザーを用いて行われる。記録及び再生の品質はすばらしく、高記録密度を高い速度においてさえ可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に300〜500nmの波長において優れた記録および再生品質を有する新規な光学記録材料に関するものである。記録および再生は、極めて好都合に高感度かつ高速度にて実施可能であり、実現可能な記憶密度が、既知の材料の場合よりも顕著に高い。さらに、本発明による材料は、日光または蛍光照明、熱および/または高湿度への曝露などの特に厳しい条件下でさえ、記録の前後に非常に良好な記憶特性を有する。さらに、その製造は簡便であり、慣用的なコーティング工程、例えばスピンコーティングを使用して、直ちに複製できる。
【0002】
Research Disclosure 42892(12/1999,1649-1651)は、光学記憶媒体へのフタロシアニンを含む顔料誘導体の使用を提案しているが、このような光学記憶媒体に関する詳細な説明を与えていない。
【0003】
国際公開公報第02/25648号、欧州特許第1 253 586号、欧州特許第1 265 233号、および欧州特許第1 271 500号は、特にスルファモイル置換フタロシアニン(例えばOrasol(登録商標) Blue GN,Ciba Spezialitatenchemie AG)を含み、300〜450nmにおいて使用できる光学記録材料を開示している。それらの光学特性、特に屈折率は、固体におけるその長波長側での吸収および吸収帯の急勾配のみならず、さらにいくつかの特性が望まれる。
【0004】
他の化学分類からの染料、例えばメロシアニンを使用する多くの系も既知である。しかしながら一般に、このような系は、熱−酸化エージングに関して、および/または特に可視光および風化作用に対して、安定性が不十分である。
【0005】
したがって、300〜500nmの波長範囲に適している以前の光学記録材料は、単位面積当たりの記憶密度、記録速度、および安定性については、ある程度までの高い要求を満足するが、このようなすべての要求を同時に完全に満足できる程度のものではない。
【0006】
欧州特許第0 519 395号は、炭素アミド−およびスルホンアミド−置換フタロシアニンを含み、785nmにて使用できる光学記録材料を開示しているが、その感度およびマーク精度は満足できるものではない。
【0007】
日本特許第05/177949号、国際公開公報第02/25205号、および国際公開公報第02/080162号は、750〜810nmで使用できる特定のケイ素、スズ、およびコバルトフタロシアニンを含む光学記録材料を開示している。それらのフタロシアニンは特にカルバモイルによっても置換できる。国際公開公報第02/25205号および国際公開公報第02/080162号におけるR7およびR8の定義は相反するが、それにもかかわらず、それらは明らかにスルホンヒドラジドを含まない。しかしながら、これらの媒体の記憶密度は、現在および将来の要件においてレーザ波長の点では満足できるものではない。
【0008】
一方で、イギリス特許第1 265842号は、ハロゲン化銀含有カラー写真材料の赤色感受層用のハレーション防止染料としてのフタロシアニン−スルホンヒドラジドの使用について記載している。ポーランド特許第48087号は、スルホヒドラジドが芳香族基、例えば1−フェニレン−3−メチル−5−ピラゾロンによって更に置換されたフタロシアニン−スルホヒドラジド誘導体を開示している。
【0009】
本発明の目的は、300〜450nmにおいて高い情報密度、高い感度ならびに高い記録および再生速度はもちろんのこと、高いデータ信頼性を有する光学記録媒体である。このような記録媒体は、堅牢で耐久性があり、使い易いであろう。更に大量生産製品として安価に製造できるであろうし、できるだけ小型で安価な装置を必要とするであろう。
【0010】
本発明は基材と、記録層と、場合により1つ以上の反射層とを含む光学記録媒体であって、
記録層が式(I)
【化2】


(式中、
Mは、2個の水素原子あるいは場合により、1個または2個の追加のリガンドに配位または結合できる、2個の水素原子または2〜4価の金属を示し;
各々Aは、他と独立して、非置換であるか、あるいはYによって、および/またはSO2N(R3)NR12によって単−または多置換されていてよく、縮合ポルフィラジン部分の炭素原子2個と共に芳香族ホモ−またはN−複素環式環系を形成する、不飽和2価の基であり;
各々Yは、他のすべてから独立して、ハロゲン、R4、OH、OR4、SR4、NO2、NR45、O−CO−R4、NR4−CO−R5、CN、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24,SO2NH2、SO2NHR4、SO2NR45、P(=O)R45、PO(R4)OR5、PO(OR4)OR5、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
1は、水素、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、P(=O)R45、PO(R4)OR5、PO(OR4)OR5、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
2およびR3は、各々が他と独立して、水素またはR8であり;
4、R5、およびR8は、各々が他と独立して、各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
6は、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、S−R9、CO−R9、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、COO−R9、CONH−R9、CONR910、SO29、またはSO39であり;
7は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、R11、C(R12)=CR1314、O−CO−R15、ホルミル、NR1516、CONH2、CONHR15、CONR1516、SO215、SO2NH2、SO2NHR15、SO2NR1516、COOH、COOR15、OCOOR15、NHCOR15、NR15COR17、NHCOOR15、NR15COOR17、P(=O)R1517、P(=O)R15OR17、P(=O)OR15OR17、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルケニルチオ、C3〜C12シクロアルケニルチオ、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C2〜C12アルケニルオキシ、またはC3〜C12シクロアルケニルオキシであり;
9およびR10は、各々が他と独立して、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアリールであるか;あるいは
9およびR10は、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
11は、各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R18によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
12は、水素、シアノ、ハロゲン、ニトロ、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって、および/またはニトロによって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
13およびR14は、各々が他と独立して、NR1516、CN、CONH2、CONHR15、CONR1516、またはCOOR16であり;
15、R16、およびR17は、各々が他と独立して、R11、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニルであるか;あるいは
15およびR16は、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリン;あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R18によって置換された、カルバゾール、フェノキサジン、またはフェノチアジンであり;
18は、ニトロ、SO2NHR9、SO2NR910、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシであり;そして
xは、1〜8、好ましくは2〜4の数であり、そしてyは、0〜15の数であり、合計x+yは、1〜16の数であり;
ここで、4〜10個のフタロシアニン単位を有するダイマー、トリマー、またはオリゴマーを形成するように、式(I)の2〜10個の同一のまたは異なる基は2個以上の同一または異なるR1、R2、R3、またはYとの間での1個以上の追加の結合によって相互に結合できる)の化合物を含む、光学記録媒体に関する。
【0011】
複数の基が同じ記号R1〜R18を有する場合、各々基R1〜R18の意味は、同じ記号を有する他のすべての基とは独立させることができる。例えばYはOR4であり、同時にR1はCOOR4でありうるが、OR4のR4はフェニルを示す一方で、COOR4のR4はtert−ブチルを示す。
【0012】
金属は、例えばアルカリ土類金属、例えばMg(II)、Ca(II)、およびSr(II)、遷移金属例えばMn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Ru(II)、Rh(II)、Re(II)、Pd(II)、Cd(II)、Os(II)、およびPt(II)、あるいは第XIII、XIV、およびXV族の一部の元素例えばSn(II)、Co(II)、またはPb(II)である。酸素をリガンドとすると、更なる例としては、Al(III)OH、Ti(IV)O、V(IV)O、Cr(III)OH、Mn(IV)O、Fe(III)OH、Zr(IV)O、Zr(IV)(OH)2、Si(IV)(OH)2、Si(IV)(Oアルキル)2、Rh(IV)(O)およびBi(III)OH、そしてハロゲンをリガンドとしてAl(III)Cl、Fe(III)Cl、In(III)Cl、Ce(III)Cl、およびSi(IV)Cl2がある。
【0013】
Aは、例えば基
【0014】
【化3】

【0015】
である。N−複素環系は一般に、1〜4個のN原子、通常は1、2、または3個のN原子を含有する。
【0016】
リガンドに配位または結合された金属は、例えば、Fe(−Cl)、V(=0)および日本特許05/177949A号、国際公開公報第02/25205号および国際公開公報第02/080162号、または国際公開公報第03/042 990号に開示されたこれらの金属/リガンドの組合せである。そのほかのリガンドには、例えば、アミン、例えばNH3またはN複素環、あるいは無機、有機または有機金属アニオン、例えば鉱酸のアニオン、有機酸の共役塩基(例えばアルコラート、フェノラート、カルボキシラート、スルホナート、またはホスホナート)、または有機金属錯体アニオン、例えばフルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ペルクロレート、ペリオデート、ニトレート、炭酸水素イオン、1/2カーボネート、1/2サルフェート、C1〜C4アルキルサルフェート、硫酸水素イオン、1/3ホスフェート、1/2リン酸水素イオン、二水素リン酸イオン、1/2C1〜C4アルカンホスホナート、C1〜C4アルカン−C1〜C12アルキルホスホナート、ジ−C1〜C4アルキル−ホスフィナート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモナート、アセテート、トリフルオロアセテート、ヘプタフルオロブチラート、1/2オキサレート、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、トシラート、p−クロロベンゼンスルホナート、p−ニトロベンゼンスルホナート、フェノラート、ベンゾアート、および負に帯電した金属錯体がある。
【0017】
式(I)のフリーラジカルは、1個または2個の水素原子の引き抜によって式(I)から誘導される。式(I)のフリーラジカル間の結合の数は、フリー基の数に依存する;一般にn個のフリーラジカルは、n−1個の結合によって結合されるが、より多い結合数は決して排除されない(例えば、二重結合ダイマーまたは環状オリゴマーの場合でのn個の結合)。
【0018】
ハロゲンは塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素、または臭素、特にアルキル上のフッ素(例えばトリフルオロメチル、α,α,α−トリフルオロエチル、または過フッ素化アルキル基、例えばヘプタフルオロプロピル)、およびアリール、ヘテロアリール、またはアラルキルのアリール部分またはヘテロアルキルのヘテロアリール部分の上の塩素または臭素である。
【0019】
アルキル、シクロアルキル、アルケニル、またはシクロアルケニルは、直鎖または分岐、あるいは単環または多環でありうる。アルキルは、例えば、メチル、直鎖C2〜C12アルキル、または、好ましくは分岐C3〜C12アルキルである。アルケニルは、例えば、直鎖C2〜C12アルケニルまたは、好ましくは分岐C3〜C12アルケニルである。本発明は、したがって特に、分岐C3〜C12アルキルまたは分岐C3〜C12アルケニルを含有する式(I)の化合物にも、そしてこのような化合物を含む光学記録材料にも関する。したがってC1〜C12アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、またはドデシルである。C3〜C12シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ツジル、ボルニル、1−アダマンチル、または2−アダマンチルがある。
【0020】
2〜C12アルケニルまたはC3〜C12シクロアルケニルは、例えば2個以上の二重結合が離されまたは共役されている、単飽和または多飽和であるC2〜C12アルキルまたはC3〜C12シクロアルキルであり、例えばビニル、アリール、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−シクロブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル、あるいはヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、またはドデセニルの各々種の異性体である。
【0021】
7〜C18アルキルは、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル、または3−メチル−5−(1’,1’,3’,3’−テトラメチル−ブチル)−ベンジルである。C7〜C18アラルキルは置換されており、アラルキル基のアルキル部分およびアリール部分のいずれも置換可能であり、選択肢の後者の方が好ましい。
【0022】
6〜C14アリールは、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリル、アントリル、またはテルフェニリルである。
【0023】
4〜C12ヘテロアリールは、4n+2個の共役π電子を有する不飽和または芳香族基、例えば2−チエニル、2−フリル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、2−イミダゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、またはチオフェン、フラン、ピリジン、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、およびベンゼン環より成り、非置換であるか、あるいは1〜6個のエチル、メチル、エチレンおよび/またはメチレン置換基によって置換された他の環系、例えばベンゾトリアゾリル、ならびに適用可能ならばN−複素環の場合はまた、そのN−オキシド形の環である。
【0024】
5〜C16ヘテロアラルキルは、例えば、C4〜C8ヘテロアリールによって置換されたC1〜C8アルキルである。
【0025】
更にアリールおよびアラルキルは、例えばそれ自体が既知である遷移金属のメタロセンの形態である、金属に結合した芳香族基、更に具体的には
【0026】
【化4】

【0027】
でもよい。
【0028】
式(I)の化合物であって:
・Aが、1,4−ブタジエニレンであり;
・Mが、2個の水素原子、価数によって、場合により1個または2個の追加のリガンドに配位または結合された、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Pd、Sn、Hf、Pt、またはPbを示し;
・Yが、水素、臭素、ヨウ素、OR4、NO2、CN、非置換C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、またはC2〜C12アルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R1が、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、あるいは各々が非置換であるか、またはR7によって置換された、C6〜C10アリール、C4〜C8ヘテロアリール、またはC7〜C12アラルキルであり;
・R2およびR3が、各々が他と独立して水素またはR8であり;
・R4、R5、およびR8が、各々が他と独立して、各々が非置換であるか、またはR6によって置換されたC3〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、またはC3〜C8アルケニル、あるいは各々が非置換であるか、またはR7によって置換された、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R6が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、CO−R9、シアノ、またはSO29であり;
・R7が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−CO−R15、NR1516、CONHR15、CONR1516、SO215、SO2NH2、SO2NHR15、SO2NR1516、COOH、COOR15、NHCOR15、NR15COR17、あるいは非置換または置換のC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルコキシ、もしくはC3〜C12シクロアルコキシであり;
・R9およびR10が、各々が他と独立して、C1〜C8アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C2〜C8アルケニル、C3〜C6シクロアルケニル、またはフェニルであり;
・R9およびR10が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
・R15、R16、およびR17が、各々が他と独立して、非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、またはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、C1〜C8アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C8アルケニルまたはC5〜C6シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ニトロ、C1〜C8アルキル、またはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、フェニルまたはベンジルであり;
・R15およびR16が、共通のNと共に、各々が非置換であるかC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
・xが、1〜4の数であり、そしてyが、0〜4の数であり、
・ここで、4個または5個のフタロシアニン単位を有するダイマー、トリマー、またはオリゴマーを形成するように式(I)の2〜5個の同一のまたは異なる基は、2個以上の同一のまたは異なるR1、R2、R3、またはYとの間での1個以上の追加の結合によって相互に結合できる;
式(I)の化合物が特に好ましい。
【0029】
式(I)の化合物であって:
・Mが、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Sn(II)、またはPb(II)、特にCu(II)であり;
・Yが、水素、臭素、またはOR4、特に水素であり;
・R1が、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、あるいは非置換または置換のフェニル、またはC7〜C12アラルキル、特にCO−R4、SO24、あるいは非置換または置換のフェニルまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R2およびR3が、それぞれ他と独立して、水素またはC1〜C12アルキルであり;
・R4、R5、およびR8が、それぞれ他と独立して、非置換であるか、またはR6によって置換されたC3〜C8アルキル、あるいは非置換であるか、またはR7によって置換されたフェニルであり;
・R6が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、CO−R9、シアノ、またはSO29であり;
・R7が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−CO−R15、NR1516、あるいは各々が非置換であるか、またはR6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルキルであり;
・R9およびR10が、それぞれ他と独立して、C1〜C2アルキルまたはフェニルであり;
・R9およびR10が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C2アルキルによって1〜4置換されたピペリジンまたはモルホリンであり;
・R15、R16、およびR17が、それぞれ他と独立して、非置換であるか、あるいは適用可能であれば同一または1個以上の異なるハロゲン、ヒドロキシ、またはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、C1〜C4アルキルであり;および/または
・R15およびR16が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換されたピペリジンまたはモルホリンである;
式(I)の化合物が特に好ましい。
【0030】
これらの好ましい意味は、個別にまたは組合せて利用される。式(I)の化合物は一般に、更に好都合な特性、それらが有する更に好ましい個々の特徴を示す。
【0031】
記録層は、式(I)の化合物またはこのような化合物の混合物を主構成要素として、または少なくとも重要な成分として、例えば1〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、特に50〜100重量%で含む。更に慣用的な構成要素、例えば他の発色団(例えば300〜1000nmに吸収極大を有するもの)、安定剤、12−、三重項−、またはルミネセンス−クエンチャー、融点降下剤、分解加速剤、または光学記録媒体で既に記載されている他の添加剤が可能である。所望であれば、好ましくは安定剤または蛍光クエンチャーが添加される。
【0032】
式(I)の化合物に加えて記録層で場合により使用される発色団は、例えば、シアニンおよびシアニン金属錯体(米国特許第5,958,650号)、アザ−およびホスファ−シアニン(国際公開公報第02/082438号)、スチリル化合物(米国特許第6,103,331号)、オキソノール染料(欧州特許第0833314号)、アゾ染料およびアゾ金属錯体(日本特許第11/028865A号)、フタロシアニン(欧州特許第0 232 427号、欧州特許第0 337 209号、欧州特許第0 373 643号、欧州特許第0 463 550号、欧州特許第0 492 508、欧州特許第0 509 423号、欧州特許第0 511 590号、欧州特許第0 513 370号、欧州特許第0 514 799号、欧州特許第0 518 213号、欧州特許第0 519 419号、欧州特許第0 519 423号、欧州特許第0 575 816号、欧州特許第0 600 427号、欧州特許第0 676 751号、欧州特許第0 712 904号、国際公開公報第98/14520号、国際公開公報第00/09522号、国際公開公報第02/25648号、国際公開公報第02/083796号、欧州特許第1 253 586号、欧州特許第1 265 233号、欧州特許第1 271 500号)、ポルフィリン、ポリフィラジン(欧州特許第0 822 546号、米国特許第5,998,093号、日本特許第2001/277723A号、国際公開公報第03/042990号)、カルボピロニン(国際公開公報第03/007296号)、ジピロメタン染料、およびその金属キレート化合物(欧州特許第0 822 544号、欧州特許第0 903 733号);キサンチン染料およびその金属錯体塩(米国特許第5,851,621号、国際公開公報第03/098617号、国際公開公報第03/098 618号、ピリドン金属錯体(国際公開公報第03/063151号)または四角酸化合物(quadratic acid compounds)(欧州特許第0 568 877号)、またはオキサジン、ジオキサジン、ジアザスチリル、ホルマザン、アントラキノン、またはフェノチアジンである。このリストがすべてを示すものではなく、当業者は、リストが更なる既知の染料、例えばPCT/欧州特許第04/050185号またはPCT/欧州特許第04/050206号の染料を含むとして解釈するであろう。
【0033】
混合物は、既知であるように、多数の利点、例えばより優れた溶解度および結晶化へのより低い傾向を有するため、スピンコーティングによって非結晶層を安定して生成することが容易である。既知の方法での混合比の最適化により、好都合な熱および光学特性を有する、特に鋭い吸収帯を有する固体記録層が得られる。加えて、固体状態におけるスペクトル吸収端の平坦化を対抗して作用することがしばしば可能である。したがって最適混合比は、一般に、各々種の異なる溝の形態も含まれる一連の試験によって決定される。
【0034】
適用可能ならば、300〜500nmにおける光学記録材料での使用においてそれ自体が既知である追加の染料が、好ましいことが理解される。式(I)の化合物およびその異性体の混合物が、特に好ましい。記録層が、300〜500nmでの使用にそれ自体適していない他の発色団を含む場合、このような発色団の量は好ましくは少量として、記録するための決定的要因である、固体層全体の吸収帯の長波長側の変曲点(最大勾配点)の波長におけるその吸収を、同じ波長における固体層全体での式(I)の化合物の吸収の分数、好都合には最大で1/3、好ましくは最大で1/5、特に好ましくは最大で1/10とする。300〜500nmのスペクトル範囲における染料混合物の吸収極大は、好ましくは、450nmより短い、好ましくは400nmより短い、特に340〜380nmの波長である。
【0035】
安定剤および12−、三重項−、またはルミネセンス−クエンチャーは、例えばN−またはS−含有エノラート、フェノラート、ビスフェノラート、チオラート、またはビスチオラートの、あるいはアゾ、アゾメチン、またはホルマザン染料の金属錯体、例えばビス(4−ジメチルアミノ−ジチオベンジル)ニッケル[CAS N°38465-55-3]、RIrgalan Bordeaux EL、Cibafast N(登録商標)または同様の化合物、ヒンダードフェノールおよびその誘導体、例えばCibafast AO(登録商標)、o−ヒドロキシフェニル−トリアゾールもしくは−トリアジン、または他のUV吸収剤、例えばCibafast W(登録商標)またはCibafast P(登録商標)あるいはヒンダードアミン(TEMPOもしくはHALS、またニトロキシドまたはNOR−HALSとして、またジイモニウム、Paraquat(商標)またはOrthoquat(商標)塩、例えばKayasorb IRG 022(登録商標)、Kayasorb IRG 040(登録商標)、または場合により、また基塩、例えばN,N,N’,N’−テトラキス(4−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンアミン−アンモニウム塩である。後者はOrganica(Wolfen/DE)より入手できる;Kayasorb(登録商標)ブランドは、日本化薬株式会社より入手可能であり、Irgalan(登録商標)およびCibafast(登録商標)ブランドはCiba Spezialitatenchemie AGから入手可能である。
【0036】
多くのこのような構造が既知であり、その一部は、例えば米国特許第5 219 707号、日本特許公開第06/199045号、日本特許公開第07/76169号、日本特許公開第07/262604号、または日本特許公開第2000/272241号からの光学記録媒体とも関連している。それらは、例えば、上述の公報で開示されたような金属錯体アニオンの塩、または例えば式
【0037】
【化5】

【0038】
の化合物によって示される金属錯体である。
【0039】
当業者は、いずれの濃度におけるいずれの添加剤がいずれの目的に特に良好に適するか、他の光学情報媒体から知ることによるか、あるいは、容易に考えられるであろう。添加剤の適切な濃度は、例えば、式(I)の記録媒体に基づいて、0.001〜1000重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0040】
その屈折率は、特に高くないが、本発明による光学記録材料は、固体非結晶記録層の全体的な優れたスペクトル特性を示す。このような化合物にとって驚くほど低い、固体における凝集傾向によって、吸収帯は狭くて強く、吸収帯は特に長波長側で鋭い。結晶子は想外にも、極めて好都合なことに形成されないか、または無視できる程度でのみ形成される。書込みおよび読取り波長の範囲における層の反射率は、書込みがない状態では高い。
【0041】
特に記録帯の深色側での比較できるスペクトル吸収(特に同様のk)を有する既知の染料と比較する場合、本発明による化合物は、非常に驚くべきことに、記録モードでのレーザ照射に対する大幅に高い感度を示す。しかしながら同時に、本発明による化合物は思いのほか、より低エネルギーの読出しモードにおける同波長のレーザ照射に対しては、例外的に安定である。
【0042】
これらの優れた層特性によって、高い感度、高い再現性、および幾何的に極めて正確なマーク境界を有する迅速な光学記録を得ることが可能であり、屈折率および反射率が、実質的に変化して、それにより高いコントラストを与える。マーク長と間隔距離(「ジッタ」)の差は、通常の記録速度(約4.8〜5.5m・s-1)およびより高い記録速度(例えば10m・s-1〜25m・s-1またはさらに高い)の両方において驚くほど小さく、これにより比較的小さいトラック間隔を有する狭い記録チャネル(「ピッチ」)を使用して、高い記憶密度を得ることができる。加えて、記録したデータは予想外に低いエラー率で再生されるため、例えばBlu-Ray(商標)規格に準拠した長さ0.15±0.01μm(2T)のマークを含む、比較的短いマークが可能であり、エラー修正は少ない量の記憶スペースをのみ必要とする。
【0043】
無極性溶媒を含めて、溶液は、優れた溶解度を示し、そのため、例えば貯蔵中に厄介な沈殿を生じさせることなく高濃度でも使用可能であるので、スピンコーティング中の問題は、大部分が排除される。このことは特に、分岐C3〜C8アルキルを含有する化合物に当てはまる。
【0044】
記録および再生は、好都合には300〜500nm、好ましくは370〜450nmのレーザ源を用いて同じ波長にて行うことができる。特に好ましいのは、370〜390nmの紫外線領域、特に約380nm、または特に390〜430nmの可視領域の端、更に詳細には約405±5nmである。高い開口数(例えば0.85)の光学系を備えた小型青色または紫色レーザダイオード(例えばNichia GaN 405 nm)の分野において、マークを非常に小さくすることと、トラックを非常に狭くすることとが可能であるため、120mmディスクでは記録層当たり約20〜25Gbまでの容量が達成できる。380nmにおいて、レーザ源がプロトタイプとして既に存在する、インジウムドーピングUV−VCSELs(垂直共振器型面発光レーザ、Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)を使用することが可能である[Jung Hanら, MRS Internet J.Nitride Semicond.Res.5S1, W8.2(2000)を参照]。
【0045】
したがって本発明は、本発明による光学記録媒体上でデータが300〜500nmの波長で記録または再生される、データを記録または再生する方法にも関する。記録は、好ましくは、少なくとも4.8m・s-1の線速度および最大で[ν/0.1m・s-11/2mWの出力Pにて行われ、異なる長さのマークが特に生成され、その最短のマークはほぼ円形であり、その最長のマークは幅の約4倍に相当する長さである。線速度は特に少なくとも9.6m・s-1、19.2m・s-1、または38.4m・s-1(それぞれP≦9.8mW、P≦13.9mW、およびP≦19.6mWに相当)である。
【0046】
記録媒体は、既知の記録媒体の構造に基づくことが可能であり、その場合は、例えば上述の構造、例えばDVD+RまたはDVD−Rと類似している。したがってそれは、例えば透明基材、式(I)の化合物の少なくとも1つを含む記録層、反射層および被覆層より成り、書込みおよび読出しは、基材を通じて実施される。300〜500nmの波長での記録および再生に適したこのような系は、例えば、HD−DVD(商標)(advanced optical disk、AODとして以前に既知)である。
【0047】
適切な基材は、例えば、ガラス、無機物、セラミックスならびに熱硬化性および熱可塑性プラスチックである。好ましい支持体は、ガラスおよびホモまたはコポリマープラスチックである。適切なプラスチックは、例えば、熱可塑性ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、およびポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンフルオリド、ポリイミド、熱硬化性ポリエステル、およびエポキシ樹脂である。例えば射出成形によって製造可能であるポリカーボネート基材が特に優先される。基材は純粋形であるか、または記録層用の光安定として例えば日本特許第04/167239A号で提唱されたように、慣用的な添加剤、例えばUV吸収剤または染料を含んでもよい。後者の場合、書込み波長(レーザの放出波長)の領域において吸収を示さないか、好ましくは記録層にフォーカスされるレーザ光の最大約20%までの、最大でも極めて低い吸収を有するように、染料を支持基材に添加することが好都合である。
【0048】
基材は、好都合には300〜500nmの範囲の少なくとも一部に渡って透明であるため、例えば書込みまたは読出し波長の入射光の少なくとも80%に対して透過性である。その厚さは、好都合には10μm〜2mm、好ましくは100〜1200μm、特に600〜1100μmである。基材のコーティング側には、一般にエンボス加工が施された、好ましくはらせん状のガイド溝(トラック)がある。各々種の断面形状の溝、例えば長方形、台形またはV字形が既知である。既知のCD−RおよびDVD±R媒体と同様に、ガイド溝は、小規模な周期的または準周期的側方偏向(ウォブル)を更に受けるため、回転速度の同期および読出しヘッドの絶対的な位置決め(ピックアップ)が可能となる。偏向の代わりに、または偏向に加えて、隣接溝間のマーキングによって同じ機能を実施できる(プレピット)。
【0049】
350〜500nmでの光学記録では、2つの根本的に異なる系が既知であるが、WORM媒体の最終仕様はまだ存在していない。これらは主にHD−DVD(商標)(以前はAdvanced Optical Disc=AOD)およびBlu-ray(商標)(以前はBlu-ray Disk=BD)である。
【0050】
HD−DVD(商標)の場合、トラックは10〜200nm、好ましくは50〜150nmの溝深さと、100〜400nm、好ましくは120〜250nmの溝幅と、200〜600nm、好ましくは250〜450nmの2つの溝間の軸間隔を有する(例えば100±20nmの溝深さ、200±50nmの溝幅と370±60nmとの2つのターン間の軸間隔を備えている)。
【0051】
記録媒体は、例えば、スピンコーティングによる溶液の塗布によって利用され、目的はできるだけ非結晶である層を生成することであり、その層の厚さは、表面(「ランド」)上で好都合には0〜70nm、好ましくは1〜20nm、特に2〜10nmであり、溝の形態に応じて、溝内では好都合には20〜150nm、好ましくは30〜120nm、特に30〜80nmである。式(I)の化合物によってのみ達成可能である新規な実施態様において、表面上の記録層の厚さ(「ランド」)は好都合には、20〜70nm、溝では30〜80nmであり、溝内と表面上の層厚の差は、20nm未満、好ましくは10nm未満である。結果として、HD−DVD−RWと適合して、溝内と表面上の両方を同時に書込みおよび読取りすることができる。その場合、トラックピッチはわずか約半分の大きさであり、全体の記憶容量はより大きい。
【0052】
両方の実施態様において、書込みおよび読出しは、基材側から行う。レーザビームは基材を通じて記録層に向けられ、好ましくは300〜500nm、特に370〜450nmの波長を有する。反射層は、基材の反対側の記録層側に存在する。
【0053】
反射層に適した反射材料は、特に、記録および再生に使用されるレーザ照射の良好な反射を提供する金属、例えば元素周期律表の主族III、IV、およびVならびに亜族の金属を含む。Al、In、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、およびランタニド金属Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、および、Luならびにその合金が、特に適切である。その高い反射率および製造の容易さによって、アルミニウム、銀、金、またはその合金(例えばホワイトゴールド合金)、特にアルミニウムの反射層が経済的および環境上の理由で特に優先される。反射層は、好都合には厚さ5〜200nm、好ましくは厚さ10〜100nm、特に厚さ30〜80nmであるが、より厚い反射層も可能である。
【0054】
被覆層に適した材料は、主にプラスチックを含み、プラスチックは、反射層に直接または接着促進剤を用いて薄層に貼付けられる。更に修飾、例えば書込みが可能である良好な表面特性を有する機械的および熱的に安定なプラスチックを選択することが好都合である。プラスチックは、熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチックである。直接貼付けられる被覆層は、好ましくは、照射硬化(例えばUV照射を使用して)コーティングであり、これは特に簡単で経済的に生産される。広範囲に渡る照射硬化性材料が既知である。照射硬化性モノマーおよびオリゴマーの例は、ジオール、トリオール、およびテトロールのアクリレートおよびメタクリレート、芳香族テトラカルボン酸のポリイミドおよびアミノ基の少なくとも2つのオルト位にC1〜C4アルキル基を有する芳香族ジアミン、ならびにジアルキルマレインイミジル基、例えばジメチルマレインイミジル基を有するオリゴマーである。接着促進剤を使用して貼付けられる被覆層では、基材層に使用されるものと同じ材料、特にポリカーボネートを使用することが好ましい。使用される接着促進剤は、好ましくは、同様に照射硬化性モノマーおよびオリゴマーである。接着促進剤を使用して貼付けられる被覆層の代わりに、記録および反射層を含む第2の基材も使用されるため、記録媒体は両側で再生可能である。対称構造が好ましく、2つの部品が反射側にて、接着促進剤によって直接または中間層を用いて共に接合される。
【0055】
このような構造において、被覆層または被覆材料の光学特性は、適用可能な場合、例えばUV照射によるその硬化が達成されるならば、それ自体は本質的に重要でない。被覆層の機能は、概して記録媒体の機械的強度とは、薄反射層の機械的強度を確保することである。記録媒体が十分に堅牢ならば、例えば厚反射層が存在するとき、全く被覆層なしで済ますことさえ可能である。被覆層の厚さは概して、記録媒体の厚さによって変わり、好ましくは、厚さは、最高約2mmのである。被覆層は、好ましくは厚さ10μm〜1mmである。
【0056】
本発明による記録媒体は、追加の層、例えば干渉層またはバリア層を有することがある。複数の(例えば2〜10個の)記録層を有する記録媒体を構成することも可能である。このような材料の構造および使用は、当業者に既知である。干渉層は存在する場合、好ましくは記録層と反射層の間および/または記録層と基材との間に配置され、欧州特許第0 353 393号に記載されている誘電材料、例えば、TiO2、Si34、ZnS、またはシリコーン樹脂より構成される。
【0057】
本発明による記録媒体は、それ自体既知の工程によって製造可能であり、使用される材料およびその機能によってコーティングの種々の方法を利用することができる。
【0058】
適切なコーティング方法は、高真空下で実施される蒸着方法、例えば浸漬、注入、ブラシコーティング、ブレード塗布、およびスピンコーティングがある。例えば注入方法を使用するときは、有機溶媒による溶液が一般に利用される。溶媒を利用するとき、使用される支持体がこれらの溶媒に対して非感受性であることに注意すべきである。適切なコーティング方法および溶媒は、欧州特許第0 401 791号に記載されている。
【0059】
記録層は、好ましくは、スピンコーティングによる染料溶液の塗布によって塗布され、満足であることが判明した溶媒は特にアルコール、例えば2−メトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、イソプロパノール、またはn−ブタノール、ヒドロキシケトン、例えばジアセトンアルコールまたは3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、ヒドロキシエステル、例えば乳酸メチルエステル、またはイソ酪酸メチルエステル、あるいは、好ましくはフッ素化アルコール、例えば2,2,2−トリフルオロエタノール、または2,2,3,3−テトラ−フルオロ−1−プロパノール、およびその混合物である。更に適切な溶媒は、例えば、欧州特許第0 483 387号に開示されている。それらはプラスチックに対して不活性であるが、金属反射または無機中間層へのコーティング時には有機化学において通常である他の多くの溶媒、例えば芳香族化合物、塩素化炭化水素、およびエステル、例えばトルエン、ジクロロメタン、または酢酸メチルも使用できる。
【0060】
金属反射層の適用は、好ましくは、スパッタリングによって、または真空中での蒸着によって実施される。このような技法は既知であり、専門家の文献(例えばJ.L,Vossen and W.Kern,「Thin Fiim Processes」, Academic Press, 1978)に記載されている。操作は好都合に連続して実施され、金属反射層の良好な反射率および高度の接着性を達成する。
【0061】
記録は、記録層の表面上で一定または可変の速度で誘導される変調フォーカスレーザビームを用いて、固定長または通常は可変長のピット(マーク)を書込むことにより、既知の方法によって実施される。情報の読出しは、例えば「CD-Player and R-DAT Recorder」(Claus Biaesch-Wiepke, Vogel Buchverlag, Wurzburg 1992)に記載されているように、レーザ照射を用いて反射の変化を記録することによって、それ自体既知の方法に従って実施される。当業者は必要条件に精通しているであろう。
【0062】
本発明による情報含有媒体は、特に、WORM型の光学情報材料である。例えばコンピュータにおけるCD−R(compact disc-recordable)、DVD+R、またはDVD−R(digital video disc-recordable)と同様に、IDカードおよびセキュリティカード用の、ならびに回折性光学素子、例えばホログラムの製造用の記憶材料として使用できる。HD−DVD型の記録媒体は最大約0.7(通例、約0.65)の開口数を有するレーザの使用を可能とし、この場合、6.61m・s-1(またはその倍数)の記録速度にて、直径120mmのディスクは記録層当たり15GBの記憶容量を有する。
【0063】
あるいは、しかしながら、CD−RやDVD±Rとは実質的に異なり、記録および再生が基材ではなく、被覆層を通じて行われる記録媒体もある。したがって、被覆層および基材のそれぞれの役割、特に形態および光学特性は、先に記載した構造と比較すると、逆転している。類似の概念は、青色GaNレーザダイオードと併せたデジタルビデオ記録に関して何回も、例えばProceedings SPIE-Int.Soc.Opt.Eng.1999, 3864に記載されている。5.0±0.3m・s-1の記録速度(後では恐らくその倍数)および25±2GBの記憶容量を有するBlu-ray(商標)(以前はBlu-rayディスク「BD」)も、開発がかなり進んだ段階にある(システムの説明「Blu-ray Disc Rewritable Format version 1.0」/June 2002を、Blu-ray.comと同様に参照)。特に高い記憶密度に適切であり、したがって小さいマーク(「ピット」)を有するこのような記録媒体では、精密なフォーカシングが重要であるため、製造工程は本質的に類似しているが、また更に極めて厄介である。
【0064】
しかしながら、本発明による式(I)の化合物は、Blu-ray(商標)の反転層構造などの、反転層構造の需要の増加に極めて上手く対応している。したがって基材、反射層、記録層、および被覆層の層配列を有する反転層構造が優先される。したがって記録層は、反射層と被覆層の間に位置する。厚さ約50〜400μmの薄被覆層が特に好都合である(通常、0.85の開口数において100μm)。
【0065】
反転層構造における記録および反射層は、原則として先に示したものと同じ機能を有する。基材は通例、先に示した範囲内の寸法を有する。好ましくはコーティング側のらせん状ガイド溝(トラック)は、好都合には10〜100nmの、好ましくは20〜80nmの溝深さを有する。断面形状、周期的または準周期的側方偏向(ウォブル)は、隣接溝(プレピット)間の追加のマーキングと同様に、上述のHD−DVD型に基づく。
【0066】
反射層および記録層は、その順に基材に塗布される。溝およびその間のレール状浮出しエリアはいずれもトラックとして利用でき、通例、第1の場合は「溝内」媒体、第2の場合は「溝上」媒体と呼ぶ。式(I)の化合物を使用すると、好都合には両方の形式を、恐らくまた同時にでも達成することができる。記録媒体は、例えば先に示したように適用され、基材材料を傷つける溶媒、例えば塩素化または芳香族炭化水素も選択できることが特に好都合である。できる限り非結晶質とする層の厚さは、均一であるか、または溝内で、または浮出し部分では異なってもよい。溝内では、記録層の厚さは、好都合には20〜200nm、好ましくは30〜150nm、特に30〜100nmである。浮出し部分のトラックは記録に使用するものであり、その層厚は好都合には10〜120nm、好ましくは20〜100nm、特に20〜60nmであるのに対して、溝のみがトラックとして使用されるときは、0〜100nm、好ましくは0〜60nm、特に0〜20nmの層厚で十分である。いずれの場合でも、トラック幅(浮出し部分および/または切れ込み)は好都合には、100〜300nm、好ましくは120〜250nm、特に150〜200nmであり、2つのトラック間の軸間隔は200〜600nm、好ましくは250〜400nm、特に300〜340nmである。良好な結果は、例えば深さ30±10nmおよび幅180±10nmで、320±10nmの軸間隔を備えた浮出しトラック(「溝上」)を用いて得られる。その場合、レーザビームが高い開口数を備えた被覆層を通過することで分解能が上昇する。
【0067】
反転層構造は、特に高い基準が求められ、本発明に従って使用される化合物はその基準を驚くほどよく満足して、例えば記録層が金属反射層に適用されるときに、特に被覆層が記録層に適用されるときに、被覆層は、摩擦、光酸化、指紋、湿度、および他の環境的な影響に対して十分な保護を備え、好都合には0.01〜0.5mmの範囲の、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲の、特に0.08〜0.13mmの範囲の厚さを有する記録層を提供することが要求される。
【0068】
被覆層は、好ましくはレーザの書込みまたは読出し波長において、80%以上の透過を示す材料から成る。被覆層に適した材料は、例えば上述の材料、しかし特にポリカーボネート(例えばPure Ace(登録商標)またはPanlite(登録商標)、Teijin Ltd)、セルローストリアセテート(例えばFujitac(登録商標)、Fuji Photo Film)、またはポリエチレンテレフタレート(例えばLumirror(登録商標)、Toray Industry)を含み、ポリカーボネートが特に優先される。特に直接塗布被覆層の場合、既に上述したような照射硬化コーティング、例えばSD 347(商標)(Dainippon Ink)が好都合である。
【0069】
被覆層は、適切な接着促進剤を用いることで固体記録層に直接塗布できる。別の実施態様において、金属、架橋有機金属または、好ましくは誘電無機材料の追加の薄い分離層が、例えば誘電分離層の場合には0.001〜10μm、好ましくは0.005〜1μm、特に0.01〜0.1μm、例えば0.05〜0.08μmの厚さで、金属分離層の場合には0.01〜0.03μmの厚さで、固体記録層に適用される。分離層および対応する方法は、本明細書で明示的に言及されている国際公開公報第02/082438号に開示されている。所望であれば、このようなコーティングは、例えば、支持材料と金属反射層の間または金属反射層と光学記録層の間にも同じ厚さで適用できる。このことは、ある場合、例えば記録層において銀反射材が硫黄含有添加剤と組合せて使用されるときに好都合である。
【0070】
本発明によって使用される化合物の一部は、特にJ.Org.Chem. 67/16, 5753-5772 [2002]から既知である。
【0071】
しかしながら既知の化合物と同様に、光学記録媒体において本発明に従って使用できる新規な化合物を調製することも可能である。
【0072】
以下の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を限定するものではない(別途示さない限り、「%」は常に重量%を指す)。
【0073】
実施例1
銅フタロシアニン140gおよびクロロスルホン酸580mlをアンカー型攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗、窒素送達ライン、およびガス洗浄器を装備した1.5リットルのガラス容器に導入した。発熱反応が開始し、内部温度が65℃に上昇した。褐色溶液を内部温度140℃まで加熱し、その温度にて3時間攪拌した。次に反応混合物を内部温度85℃まで冷却し、塩化チオニル175mlを15分の期間内に滴加した。次に温度を3時間に渡って80〜85℃に維持し、その後23℃に冷却した。激しく攪拌しながら、反応混合物をアンカー型攪拌器、温度計、還流冷却器、およびガス洗浄器を装備した10リットルの反応容器内の水4リットルと氷4kgとの混合物にゆっくり滴加した。激しいガスの発生が始まり、青色懸濁物の温度が20℃まで上昇した。添加完了時に懸濁物を濾過して、毎回2リットルの水を使用して3回洗浄し、15分間に渡って完全に吸引乾燥させた。以下の構造のクロロスルファモイル置換銅フタロシアニンが得られ、これを直ちに更に処理した。
【0074】
【化6】

【0075】
実施例2
アンカー型攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗、および窒素送達ラインを装備した6リットルのガラス容器において、実施例1による湿ったスルホ−塩素化銅フタロシアニンをテトラヒドロフラン(THF)3リットルに誘導した。THF 1リットルに溶解させたtert−ブチルカルバザート385gを導入し、得られた溶液を23℃にて1時間攪拌した。溶媒を40℃にて蒸留によって除去し、青色のペースト状残留物をジクロロメタン2リットルに溶解させ、攪拌しながらヘキサン14リットルに滴加した。懸濁物を濾過して、残留物は毎回ヘキサン500mlを使用して2回洗浄し、60℃/2.5・103Paにて18時間に渡って乾燥させた。粗生成物を酢酸エチル5リットルに溶解させて、不溶性部分を濾過によって分離除去した。濾液を蒸発により1.2リットルの体積まで濃縮して、シリカゲル1.8kgでのクロマトグラフィーによって、溶出液として酢酸エチルを用いて精製した。純画分を合わせ、蒸発によって濃縮した。残留物をジクロロメタン500mlに溶解させ、攪拌しながらヘキサン6.5リットルに滴加した。沈殿を濾過により除去して、残留物は毎回ヘキサン500mlを用いて2回洗浄し、60℃/2.5・103Paにて18時間に渡って乾燥させた。以下の構造の4−tert−ブチル−カルバザートスルファモイル置換銅フタロシアニン153.7gを得た。
【0076】
【化7】

【0077】
UV/VIS(NMP):λmax=673nm、ε=153800l・mol-1・cm-1
TGA:最大分解速度=173℃
【0078】
実施例3
実施例1によるクロロスルファモイル置換銅フタロシアニン14.55gをジクロロメタン750mlに懸濁させた。4−tert−ブチルベンズヒドラジド24.57gを攪拌しながら導入した。23℃にて15時間攪拌した後、濾過を実施し、濾液を真空中での蒸発により濃縮した。残留物をシリカゲル1.2kgでのカラムクロマトグラフィーによって、溶出液として酢酸エチルを用いて精製した。以下の構造の4−tert−ブチル−ベンズヒドラジド−スルファモイル置換銅フタロシアニン12.37gを青色粉末の形で得た。
【0079】
【化8】

【0080】
UV/VIS(CH2Cl2):λmax=673nm、ε=139800l・mol-1・cm-1
TGA:最大分解速度=253℃
【0081】
実施例4−11
実施例2と同様に、以下の表に挙げた化合物を、市販されているか、または文献上の既知の手順と同様に製造される各々種のヒドラジンから調製した。DSC値は、10℃/分の加熱速度で30〜500℃から測定した示差熱測定に関係付けられ、分解の開始および第1の分解段階の最大分解率(第1ピーク)を示す。
【0082】
【表1】

【0083】
比較のために、Orasol(登録商標) Blue GNについて以下のDSC値を得た。
開始285℃、第1ピーク312℃。
【0084】
実施例12−15
以下の構造の化合物は、実施例1および3と同様に調製した。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例16
実施例3による化合物3gをジアセトンアルコール97gに溶解させて、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタで濾過した。次に染料溶液を厚さ0.6mmの平面ポリカーボネートプレート(直径120mm)に200回転/分で塗布し、2500回転/分にてスピンコートして、均質固体層を形成した。乾燥後、固体層は350nmにて0.19の吸収を有した。光学測定システム(ETA−RT(商標)、STAGE ETA-Optik)を使用して、層厚および屈折率を測定した。405nmにおいて、染料層は44nmの層厚および1.75の屈折率nならびに0.067の減衰係数kを有していた。各々が波長の関数として、図1は屈折率nを示し、図2は減衰係数kを示す。
【0087】
実施例17
真空コーティング装置(Twister(商標)、Balzers Unaxis)において、厚さ40nmの銀反射層を厚さ0.6mmの溝付ポリカーボネートディスク(直径120mm、溝ピッチ1.0μm、溝深さ51nm、溝幅330nm)に適用した。実施例3による化合物3重量%をジアセトンアルコールに溶解させ、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタで濾過した。次に染料溶液を反射層上にスピンコーティング法によって250〜2000回転/分にて塗布し、過剰な溶液を振り落として、均質な固体層を得た。乾燥(1時間、25℃)の後、固体層は680nmにて0.28の吸収を有していた。次にUV架橋型感光性ポリマー(SD−347(商標)、DIC)をスピンコーティングによって約10μmの厚さに塗布して、UV光を用いて架橋させた。405nmにおいて、記録層は32%の反射率を有していた。波長404nmのGaNレーザダイオード(Nichia)を使用して、活性層に6mWの出力と5m/秒の線速度でマークを書込んだ。この操作により、書込み部位において32%から14%への反射の変化を生じた。
【0088】
実施例18〜29
実施例4〜15による化合物を実施例17と同様に使用した。それぞれの系は層厚およびディスク形態を調節することによって、更に最適化できる。
【0089】
実施例30
真空コーティング装置(Twister(商標)、Balzers Unaxis)において、厚さ30nmの銀反射層を厚さ1.1mmの溝付ポリカーボネートディスク(直径120mm、溝ピッチ400nm、溝深さ80nm、溝幅170nm)に適用した。実施例3による化合物40gを1−メトキシ−2−プロパノール1リットルに溶解させ、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタで濾過した。次に、染料溶液を反射層上にスピンコーティング法によって塗布し、その後、オーブンで70℃にて15分間乾燥し、波長678nmにて0.6の吸収を有する均質な固体層を形成した。続いて厚さ40nmの誘電層(SiON)を真空コーティング装置(Cube(商標)、Balzers Unaxis)RFスパッタリングによって適用した。片側が感圧性接着剤で覆われたポリカーボネート膜(全厚100μm、Lintec Corp.,Japan)を最後に誘電層に接着した。407nmレーザダイオードおよび0.85対物レンズ開口数をベースとする市販のディスク試験装置(Blu-ray(登録商標)ディスク用ODU-1000(商標)、Pulstec、Japan)を使用して、5.28m/秒の線速度と7mWのレーザ出力を用いてディスクにマークを記録した。次に記録エリアを0.35mWのレーザ出力を用いて戻りむきに読出し、以下の信号パラメータを測定した。l8pp/l8H=0.50;l3pp/l8pp=0.26;R8Hl8pp/l8H=0.13。
【0090】
実施例31(比較)
Orasol(登録商標)Blue GN(Ciba Specialty Chemicals Ltd.)20gをテトラフルオロ−1−プロパノール1リットルに溶解させて、0.2μmテフロン(登録商標)フィルタで濾過すること以外は、実施例30に記載した場合と同じ条件下でディスクを作成した。スピンコーティングおよび乾燥工程の後、ディスクは678nmにて0.33の吸収を有していた。マークを記録して、次に実施例30と同じ条件下で戻りむきに読出した。0.42のシグナルパラメータl8pp/18Hを得た。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、記録層と、場合により1つ以上の反射層とを含む光学記録媒体であって、
記録層が式(I)
【化1】


(式中、
Mは、2個の水素原子あるいは場合により、1個または2個の追加のリガンドに配位または結合できる、2個の水素原子または2〜4価の金属を示し;
各々Aは、他と独立して、非置換であるか、あるいはYによって、および/またはSO2N(R3)NR12によって単−または多置換されていてよく、縮合ポルフィラジン部分の炭素原子2個と共に芳香族ホモ−またはN−複素環式環系を形成する、不飽和2価の基であり;
各々Yは、他のすべてから独立して、ハロゲン、R4、OH、OR4、SR4、NO2、NR45、O−CO−R4、NR4−CO−R5、CN、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24,SO2NH2、SO2NHR4、SO2NR45、P(=O)R45、PO(R4)OR5、PO(OR4)OR5、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
1は、水素、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、P(=O)R45、PO(R4)OR5、PO(OR4)OR5、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
2およびR3は、各々が他と独立して、水素またはR8であり;
4、R5、およびR8は、各々が他と独立して、各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
6は、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、S−R9、CO−R9、シアノ、カルボキシ、カルバモイル、COO−R9、CONH−R9、CONR910、SO29、またはSO39であり;
7は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、R11、C(R12)=CR1314、O−CO−R15、ホルミル、NR1516、CONH2、CONHR15、CONR1516、SO215、SO2NH2、SO2NHR15、SO2NR1516、COOH、COOR15、OCOOR15、NHCOR15、NR15COR17、NHCOOR15、NR15COOR17、P(=O)R1517、P(=O)R15OR17、P(=O)OR15OR17、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルケニルチオ、C3〜C12シクロアルケニルチオ、C1〜C12アルコキシ、C3〜C12シクロアルコキシ、C2〜C12アルケニルオキシ、またはC3〜C12シクロアルケニルオキシであり;
9およびR10は、各々が他と独立して、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、C3〜C12シクロアルケニル、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアリールであるか;あるいは
9およびR10は、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
11は、各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R18によって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
12は、水素、シアノ、ハロゲン、ニトロ、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって、および/またはニトロによって置換された、C6〜C14アリール、C4〜C12ヘテロアリール、C7〜C18アラルキル、またはC5〜C16ヘテロアラルキルであり;
13およびR14は、各々が他と独立して、NR1516、CN、CONH2、CONHR15、CONR1516、またはCOOR16であり;
15、R16、およびR17は、各々が他と独立して、R11、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシ基によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C2〜C12アルケニル、またはC3〜C12シクロアルケニルであるか;あるいは
15およびR16は、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリン;あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R18によって置換された、カルバゾール、フェノキサジン、またはフェノチアジンであり;
18は、ニトロ、SO2NHR9、SO2NR910、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なる基R6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルキルチオ、C3〜C12シクロアルキルチオ、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルコキシであり;そして
xは、1〜8、好ましくは2〜4の数であり、そしてyは、0〜15の数であり、合計x+yは、1〜16の数であり;
ここで、4〜10個のフタロシアニン単位を有するダイマー、トリマー、またはオリゴマーを形成するように、式(I)の2〜10個の同一のまたは異なる基は2個以上の同一または異なるR1、R2、R3、またはYとの間での1個以上の追加の結合によって相互に結合できる)の化合物を含む、光学記録媒体。
【請求項2】
式(I)において、
・Aが、1,4−ブタジエニレンであり;
・Mが、2個の水素原子、価数によって、場合により1個または2個の追加のリガンドに配位または結合された、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Pd、Sn、Hf、Pt、またはPbを示し;
・Yが、水素、臭素、ヨウ素、OR4、NO2、CN、非置換C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、またはC2〜C12アルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の適用可能であれば同一または異なる基R7によって置換された、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R1が、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、あるいは各々が非置換であるか、またはR7によって置換された、C6〜C10アリール、C4〜C8ヘテロアリール、またはC7〜C12アラルキルであり;
・R2およびR3が、各々が他と独立して水素またはR8であり;
・R4、R5、およびR8が、各々が他と独立して、各々が非置換であるか、またはR6によって置換されたC3〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル、またはC3〜C8アルケニル、あるいは各々が非置換であるか、またはR7によって置換された、C6〜C10アリールまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R6が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、CO−R9、シアノ、またはSO29であり;
・R7が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−CO−R15、NR1516、CONHR15、CONR1516、SO215、SO2NH2、SO2NHR15、SO2NR1516、COOH、COOR15、NHCOR15、NR15COR17、あるいは非置換または置換のC1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルコキシ、もしくはC3〜C12シクロアルコキシであり;
・R9およびR10が、各々が他と独立して、C1〜C8アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C2〜C8アルケニル、C3〜C6シクロアルケニル、またはフェニルであり;
・R9およびR10が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
・R15、R16、およびR17が、各々が他と独立して、非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシ、またはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、C1〜C8アルキル、C5〜C6シクロアルキル、C2〜C8アルケニルまたはC5〜C6シクロアルケニル、あるいは各々が非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ニトロ、C1〜C8アルキル、またはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、フェニルまたはベンジルであり;
・R15およびR16が、共通のNと共に、各々が非置換であるかC1〜C4アルキルによって1〜4置換された、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリンであり;
・xが、1〜4の数であり、そしてyが、0〜4の数であり、
・ここで、4個または5個のフタロシアニン単位を有するダイマー、トリマー、またはオリゴマーを形成するように式(I)の2〜5個の同一のまたは異なる基は、2個以上の同一のまたは異なるR1、R2、R3、またはYとの間での1個以上の追加の結合によって相互に結合できる;
請求項1記載の光学記録媒体。
【請求項3】
式(I)において、
・Mが、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Sn(II)、またはPb(II)、特にCu(II)であり;
・Yが、水素、臭素、またはOR4、特に水素であり;
・R1が、COOR4、CONHR4、CONR45、CO−R4、SO24、あるいは非置換もしくは置換のフェニルまたはC7〜C12アラルキル、特にCO−R4、SO24、あるいは非置換もしくは置換のフェニルまたはC7〜C12アラルキルであり;
・R2およびR3が、各々が他と独立して、水素またはC1〜C12アルキルであり;
・R4、R5、およびR8が、各々が他と独立して、非置換であるか、またはR6によって置換されたC3〜C8アルキル、あるいは非置換であるか、またはR7によって置換されたフェニルであり;
・R6が、ハロゲン、ヒドロキシ、O−R9、O−CO−R9、CO−R9、シアノ、またはSO29であり;
・R7が、ハロゲン、ニトロ、シアノ、O−CO−R15、NR1516、あるいは各々が非置換であるか、またはR6によって置換された、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、C1〜C12アルコキシ、またはC3〜C12シクロアルキルであり;
・R9およびR10が、各々が他と独立して、C1〜C4アルキルまたはフェニルであり;
・R9およびR10が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C2アルキルによって1〜4置換されたピペリジンまたはモルホリンであり;
・R15、R16、およびR17が、各々が他と独立して、非置換であるか、または1個以上の、適用可能であれば同一または異なるハロゲン、ヒドロキシまたはC1〜C4アルコキシ基によって置換された、C1〜C4アルキルであり;および/または
・R15およびR16が、共通のNと共に、各々が非置換であるか、またはC1〜C4アルキルによって1〜4置換されたピペリジンまたはモルホリンである;
請求項1または2記載の光学記録媒体。
【請求項4】
記録層が、式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物の1〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、特に50〜100重量%を含有する、請求項1、2、または3記載の光学記録媒体。
【請求項5】
基材、記録層、反射層、および存在する場合は被覆層の順に配置される、請求項1、2、3、4、または5記載の光学記録媒体。
【請求項6】
被覆層を更に含み、ここで基材、反射層、記録層、および被覆層が、その順に配置される、請求項1、2、3、4、または5記載の光学記録媒体。
【請求項7】
記録層が異なる長さのマークを有し、その最も短いマークがほぼ円形であり、そしてその最も長いマークが幅の約4倍に相当する、請求項1、2、3、または4記載の光学記録媒体。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6、または7記載の光学記録媒体上のデータが、300〜500nmの波長にて記録または再生される、データを記録または再生する方法。
【請求項9】
記録が、少なくとも4.8m・s-1の線速度νおよび最大で[ν/0.1m・s-11/2mWの出力Pにて行われる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
光学記録媒体の製造における、請求項1、2、または3記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
くぼみを有する基材と、記録層と、場合により1つ以上の反射層を含む光学記録媒体であって、記録層が、くぼみにおいて30〜80nmの厚さおよびくぼみに隣接したところにおいて20〜70nmの厚さを有し、くぼみにおける層厚およびくぼみに隣接する層厚の差が最大20nm、好ましくは最大10nmである、光学記録媒体。
【請求項12】
記録層が請求項1、2、または3記載の式(I)の化合物を含む、請求項11記載の光学記録媒体。
【請求項13】
レーザビームを使用して、請求項11または12記載の光学記録媒体上で異なる反射率のマークを生成させあるいは読取りする、データを記録または再生する方法。
【請求項14】
マークがより低い反射率である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
レーザビームが基材を通して記録層のくぼみにあてられる、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
レーザビームが300〜500nmの波長を有する、請求項13、14、または15記載の方法。

【公表番号】特表2007−526835(P2007−526835A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516190(P2006−516190)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051256
【国際公開番号】WO2005/000972
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】