説明

高負荷用鉄筋交差部締結具

【課題】 部品点数の削減によるコストダウンと作業性の向上が可能な高負荷用鉄筋交差部締結具の提供。
【解決手段】 1本のUボルト1及びナット2、2と締結バー3とで構成され、該締結バー3は、両端にボルト挿通孔31、31を備えた金属性棒状体をボルト挿通孔31、31の開口方向が互いに平行になる方向に略U字状に折曲して該折曲部に第1鉄筋4に対する第1係合部32が形成されると共に、ボルト挿通孔31、31が形成された両端部をU字折曲方向とは直交する方向に略90°に折曲して該折曲部に第2鉄筋5に対する第2係合部33が形成され、Uボルト1を第1鉄筋4に係合させた状態でその両端雄ねじ部11、11を締結バー3の両ボルト挿通孔31、31に挿通してナット2、2で締結することにより、第1鉄筋4と第2鉄筋5の交差部を強固に締結固定するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高負荷が掛かる鉄筋交差部を強固に締結固定する高負荷用鉄筋交差部締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋交差部を固定する締結具としては、例えば図6に示すようにばね線材101のばね力で十字状に交差する2本の鉄筋102、103の交差部を締結固定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。・・従来例1。
【0003】
この従来例1では、ばね線材101の中央部に形成された係合部101aを一方の鉄筋102に係合させた状態で、ばね線材101の両端部に形成された係止フック部101bをもう一方の鉄筋103に係止させる操作のみで交差部の固定が可能であるため、作業性が良いというメリットがあるが、ばね線材101のばね力を利用したものは固定力が弱いため、高負荷が掛かる鉄筋交差部の固定には使えないという問題がある。
【0004】
そこで、高負荷に耐えうるものとして、例えば図7、8に示すように、一方の鉄筋201に装着させる2本のUボルト202、202と、もう一方の鉄筋203に中央部の凹部204aを当接させるバー204とで構成され、このバー204の両端部の2カ所にそれぞれ形成されたボルト挿通孔に2本のUボルト202、202の両端雄ねじ部2をそれぞれ挿通させ、ナット205を螺合してそれぞれ締結することにより、2本のUボルト202、202とバー204との間に両鉄筋201、203の交差部を強固に締結固定するようにしたものがある。・・従来例2。
【特許文献1】特開2005−320816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来例2では、部品点数が多いためコストが高くなると共に、部品点数が多いため鉄筋交差部への取り付けが面倒であり、かつ、4個のナット205の螺合・締結作業が必要であるため、固定作業に手間と時間が掛かり、作業性が悪いとう問題がある。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、部品点数の削減によるコストダウンと作業性の向上が可能な高負荷用鉄筋交差部締結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1記載の高負荷用鉄筋交差部締結具は、第1鉄筋と第2鉄筋の交差部を強固に締結固定する高負荷用鉄筋交差部締結具であって、1本のUボルト及びナットと締結バーとで構成され、該締結バーは、両端にボルト挿通孔を備えた金属性棒状体を前記ボルト挿通孔の開口方向が互いに平行になる方向に略U字状に折曲して該折曲部に前記第1鉄筋に対する第1係合部が形成されると共に、前記ボルト挿通孔が形成された両端部をU字折曲方向とは直交する方向に略90°に折曲して該折曲部に前記第2鉄筋に対する第2係合部が形成され、前記Uボルトを前記第1鉄筋に係合させた状態でその両端雄ねじ部を前記締結バーの両ボルト挿通孔に挿通してナットで締結することにより、前記第1鉄筋と第2鉄筋の交差部を強固に締結固定するように構成されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の高負荷用鉄筋交差部締結具では、上述のように、1本のUボルト及びナットと締結バーとで構成され、該締結バーは、両端にボルト挿通孔を備えた金属性棒状体をボルト挿通孔の開口方向が互いに平行になる方向に略U字状に折曲して該折曲部に第1鉄筋に対する第1係合部が形成されると共に、ボルト挿通孔が形成された両端部をU字折曲方向とは直交する方向に略90°に折曲して該折曲部に前記第2鉄筋に対する第2係合部が形成されている構成としたことで、まず、交差された下方の第1鉄筋に対し締結バーの第1係合部を下方から係合させた後、第2係合部を第2鉄筋に係合させ、次に、第1鉄筋に係合させたUボルトの両端雄ねじ部を締結バーの両ボルト挿通孔に挿通してそれぞれナットで締結することにより、第1鉄筋と第2鉄筋の交差部を強固に締結固定することができる。
【0009】
そして、1本のUボルト及びナットと締結バーのみで構成されるため、部品点数の削減によるコストダウンが可能であると共に、部品点数が少ないため鉄筋交差部への取り付けが容易であり、かつ、2個のナットの螺合・締結作業ですむため、作業性を向上させることができるようになるという効果が得られる。
【0010】
また、締結バーは、第1鉄筋に係合させた第1係合部を支点とし、第1鉄筋の長手方向に沿って傾動可能であるため、この傾動角度を変えることで、直径の異なる複数種類の鉄筋の固定が可能であるため、コストダウンが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下にこの発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、この実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す平面図、図2は同正面図、図3は同使用状態を示す図1のA−A線における縦断面図、図4は作用説明図である。
【0013】
この高負荷用鉄筋交差部締結具は、1本のUボルト1と、2個のナット2と、締結バー3とで構成されている。
【0014】
さらに詳述すると、前記Uボルト1は、その両端部に雄ねじ部11、11が形成され、この両雄ねじ部11、11に対し前記ナット2、2がそれぞれ螺合されるようになっている。
【0015】
前記締結バー3は、両端にボルト挿通孔31、31を備えた金属性棒状体を該ボルト挿通孔31、31の開口方向が互いに平行になる方向に略U字状に折曲して該折曲部に第1鉄筋4に対する第1係合部32が形成されると共に、ボルト挿通孔31、31が形成された両端部をU字折曲方向とは直交する方向に略90°に折曲して該折曲部に第2鉄筋5に対する第2係合部33、33が形成されている。
【0016】
次に、実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具では、上述のように構成されるため、まず、交差された下方の第1鉄筋4に対し締結バー3の第1係合部32を下方から係合させた後、第2係合部33、33を第2鉄筋5に係合させ、次に、第1鉄筋4に係合させたUボルト1の両端雄ねじ部11、11を締結バー3の両ボルト挿通孔31、31に挿通してそれぞれナット2、2で締結することにより、第1鉄筋4と第2鉄筋5の交差部を強固に締結固定することができる。
【0017】
そして、この実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具は、上述のように、1本のUボルト1及びナット2、2と締結バー3のみで構成されるため、部品点数の削減によるコストダウンが可能であると共に、部品点数が少ないため鉄筋交差部への取り付けが容易であり、かつ、2個のナット2、2の螺合・締結作業ですむため、作業性を向上させることができるようになるという効果が得られる。
【0018】
また、締結バー3は、第1鉄筋4に係合させた第1係合部32を支点とし、第1鉄筋4の長手方向に沿って傾動可能であるため、図4に示すように、この傾動角度を変えることで、直径の異なる複数種類の鉄筋の固定が可能である。
従って、コストダウンが可能になる。
なお、図4(ロ)に示すように、第1鉄筋4に対しボルト挿通孔31、31部分が傾斜する場合は、テーパー座金6を用いることが望ましい。
【0019】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0020】
この実施例2は、前記実施例1における締結バー3の変形例を示すものであり、図5の平面図に示すように、金属棒状体の両端部を外向きに折り返して溶接固定することにより、長孔状のボルト挿通孔31、31を形成した点が、前記実施例1とは相違したものである。
【0021】
従って、この実施例2では、前記実施例1と同様の効果が得られる他、金属棒状体を折曲して溶接するだけで形成することができるため、締結バー3の製造コストを低減させることができるようになるという追加の効果が得られる。
【0022】
以上本実施例1を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す平面図である。
【図2】実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す正面図である。
【図3】図1のA−A線における縦断面図である。
【図4】実施例1の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す作用説明図である。
【図5】実施例2の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す平面図である
【図6】従来例1の鉄筋交差部締結具を示す断面図である。
【図7】従来例2の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す正面図である
【図8】従来例2の高負荷用鉄筋交差部締結具を示す側面図である
【符号の説明】
【0024】
1 Uボルト
11 雄ねじ部
2 ナット
3 締結バー
31 ボルト挿通孔
32 第1係合部
33 第2係合部
4 第1鉄筋
5 第2鉄筋
6 テーパー座金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鉄筋と第2鉄筋の交差部を強固に締結固定する高負荷用鉄筋交差部締結具であって、1本のUボルト及びナットと締結バーとで構成され、
該締結バーは、両端にボルト挿通孔を備えた金属性棒状体を前記ボルト挿通孔の開口方向が互いに平行になる方向に略U字状に折曲して該折曲部に前記第1鉄筋に対する第1係合部が形成されると共に、前記ボルト挿通孔が形成された両端部をU字折曲方向とは直交する方向に略90°に折曲して該折曲部に前記第2鉄筋に対する第2係合部が形成され、
前記Uボルトを前記第1鉄筋に係合させた状態でその両端雄ねじ部を前記締結バーの両ボルト挿通孔に挿通してナットで締結することにより、前記第1鉄筋と第2鉄筋の交差部を強固に締結固定するように構成されていることを特徴とする高負荷用鉄筋交差部締結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−291668(P2007−291668A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118991(P2006−118991)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(594017994)ゼン技研株式会社 (17)
【出願人】(500339972)
【Fターム(参考)】