説明

鮨用包装容器の容器本体

【課題】持ち運び時の振動や容器の傾きによって盛りつけた鮨の位置ずれを起こしにくい鮨用包装容器の容器本体を提供すること。
【解決手段】複数の鮨13を収容する容器本体10と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器における容器本体10について、鮨13を載置する底面部11に、1個づつ斜めに行列配置させる鮨の間に入り込む上向き突出部14であって底面部11からの突出高さを0.5mm〜15mm、より好ましくは2mm〜15mmとして鮨13のスライド移動を防止する鮨止突起15を、隣接する鮨の鮨間を表示する仕切突起16とは別に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は販売用または持ち帰り用などとして用いられる握り鮨や押し鮨等を収容する鮨用包装容器の容器本体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等において利用され、販売用の握り鮨等を収容する鮨用包装容器は、合成樹脂シートから成形され上げ底状の底部が略平坦面をなす皿型の容器本体と、透明な合成樹脂シートから成形され容器本体に被せる蓋体とから構成されており、鮨を1個づつ斜めに複数行、複数列に行列配置して収容する例が見られる。
【0003】
こうした鮨用包装容器に収容される鮨は、陳列されているときには問題にならないが、持ち運びする際には、その振動や容器の傾きによって位置ずれを起こし、容器の片側に片寄ってしまったり、場合によってはひっくり返ってしまったりと、収容状態が乱れて見栄えが悪くなってしまうことがあった。
【0004】
こうした問題を解決する技術として、特開2002−95429号公報(特許文献1)には、収容される鮨の下部がほぼ丁度入る比較的浅い凹部を容器本体に設けて位置決めできるようにし、蓋体にも鮨の上部を収容できる下方向きに開口した凹部を設けて、収容される鮨を個装状態に保持する技術が記載されている。
【0005】
この発明では、鮨ごとに収容される凹部が容器本体に形成されるため、鮨ずれは起きにくくなるものの、鮨の下部が容器本体に埋もれてしまい、店頭に陳列されるときから鮨が小さく見えてしい見栄えが悪くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−95429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、持ち運びされても収容される鮨の位置ずれを起こしにくい鮨用包装容器の容器本体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、複数の鮨を収容する容器本体と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器における容器本体について、鮨を載置する底面部に、1個づつ斜めに行列配置させる鮨の間に入り込む上向き突出部であって底面部からの突出高さを0.5mm〜15mm、より好ましくは2mm〜15mmとして鮨のスライド移動を防止する鮨止突起を形成したことを特徴とする容器本体を提供する。
【0009】
複数の鮨を収容する容器本体と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器における容器本体について、鮨を載置する底面部に1個づつ斜めに行列配置させる鮨の間に入り込む上向き突出部であって底面部からの突出高さを0.5mm〜15mm、より好ましくは2mm〜15mmとして鮨のスライド移動を防止する鮨止突起を形成したため、持ち運びする際の振動や容器の傾きがあっても、鮨が鮨止突起で規制されるため、容器の片側に寄ってしまったり、ひっくり返ってしまったりし難くすることができる。
【0010】
こうした鮨止突起は、上向き突出部であって隣接する鮨の鮨間を表示する仕切突起とは別に形成することができる。仕切突起は鮨止突起と同様に上向き突出部として形成されているものであっても、隣接する鮨間の位置を表示できれば良く、突出高さを低く抑えることができる一方で、鮨止突起は鮨の移動を防ぐために突出高さを鮨が動かないような高さとする必要があるからである。
したがって、鮨止突起は仕切突起よりも上方に突出しているものとすることが一態様であり、鮨止突起を仕切突起よりも上方に突出させれば、仕切突起に鮨止め機能が認められないときでも、鮨止突起で確実に鮨止めを行うことができる。
【0011】
鮨止突起が短辺部分で隣接する鮨のその鮨間に入り込む突出部であり、仕切突起が長辺部分で隣接する鮨のその鮨間を表示する突出部とすることができる。
鮨止突起が短辺部分で隣接する鮨のその鮨間に入り込む突出部であり、仕切突起が長辺部分で隣接する鮨のその鮨間を表示する突出部としたため、一の鮨止突起が容器本体に対する平面視で、上下方向だけでなく左右方向に対する明確な鮨止め機能を発揮させることができる。
【0012】
鮨止突起を仕切突起から離間して形成しても良い。鮨止突起を仕切突起から離間させたため、鮨止突起を仕切突起から離間させずにくっつけた場合と異なり、鮨配列の自由度を増大させることができる。鮨止突起といえども鮨間の境界を明示することから仕切突起としても機能を有するため、仕切突起と鮨止突起とが離間せずにくっついていると鮨の配置位置がとても分かりやすい。ところが、鮨の数を減らす場合や、鮨以外の品物を入れるような場合等に盛りつけ変更をするときもある。こうした場合には鮨止突起と仕切突起とが一連にくっついていると鮨間がはっきりと区切られており、この区切りに逆らって盛りつけることがし難くなる。これに対して鮨止突起が仕切突起から離間して形成されていると、仕切突起の位置に拘束されずに配置変更がし易くなる。
【0013】
鮨止突起を短辺部分で隣接する鮨に対して長辺部分で隣接する鮨のその長辺に接触するように構成できる。鮨止突起が、短辺部分で隣接する鮨に対して長辺部分で隣接する鮨のその長辺に接触する突出部としたため、鮨の長辺に沿う方向だけでなく、鮨の短辺に沿う方向でも鮨止突起に鮨が当たることになり、鮨の移動をよりし難くすることができる。
【0014】
個々の鮨止突起が底面部から立て壁状に突出した形状であり、隣り合う鮨止突起どうしが平面視で平行四辺形の対向する2辺に位置するように配置することができる。
個々の鮨止突起を底面部から立て壁状に突出した形状とし、隣り合う鮨止突起どうしを平面視で平行四辺形の対向する2辺に位置するように配置したため、鮨の短辺部分を鮨止突起の壁面に当てる一方で別の鮨の長辺部分をこの鮨止突起の端部に当て易い配置となる。そのため、鮨の移動が起こりにくい容器本体とし易い。
【0015】
底面部の周縁に壁部を設け、蓋体に係合する蓋体受け部よりは一段低く、鮨の下部に接触可能な周縁段部をこの壁部に形成することができる。
底面部の周縁に壁部を設け、蓋体に係合する蓋体受け部よりは一段低く、鮨の下部に接触可能な周縁段部をこの壁部に形成したため、握り鮨の場合はしゃりの部分をこの周縁段部に当てることで、鮨止突起とともに鮨の移動を起こしにくくすることができる。
【0016】
底面部から下向きに突出する脚部であって、この脚部のうち底面部の一の対角上の角縁には底面部の二辺に渡る角脚部を形成し、他の対角上の角縁近傍には底面部の長辺に沿う辺脚部を形成することができる。
底面部から下向きに突出する脚部を設けたため、上げ底状に鮨を盛りつけることができ、鮨用包装容器に高級感を与えることができる。また、底面部の一の対角上の角縁には底面部の二辺に渡る角脚部を形成し、他の対角上の角縁近傍には底面部の長辺に沿う辺脚部を形成したため、鮨を載置する底面部を上げ底状に安定的に置くことができる。そして、脚部を角脚部と辺脚部とで構成したため、容器本体の安定感と強度とをともに実現することができる。
【0017】
底面部と脚部との境界全体に底面部より上向きに突出するせき部を設けることができる。底面部と脚部との境界全体に底面部より上向きに突出するせき部を設けたため、脚部の底に溜まった水分を底面部の方に流れにくくすることができる。また、底面部に溜まった水分を脚部に流れにくくすることができる。また、脚部と底面部との境界での強度を高く保ち壊れにくい容器本体とすることができる。
【0018】
底面部の周縁に蓋体に係合する蓋体受け部を設け、その蓋体受け部の四隅がその四隅の近傍よりも上側に位置するように形成することができる。底面部の周縁に蓋体に係合する蓋体受け部を設け、その蓋体受け部の四隅がその四隅の近傍よりも上側に位置するように形成したため、対角上の角を両手で押すことで蓋体を容器本体から容易に取り外すことができる。また、四隅が上側に位置することで鮨用包装容器に高級感を付与することができる。
【0019】
さらに、複数の鮨を収容する容器本体と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器について、容器本体が前述の容器本体であり、蓋体が容器本体に収容される鮨の上方を覆う天井部に、鮨間に入り込む下向き突出部を有する蓋体であって、平面視で蓋体に設けた下向き突出部と容器本体に設けた上向き突出部とが重なる位置に形成されていることを特徴とする鮨用包装容器を提供する。
蓋体にも鮨間に入り込む下向き突出部を設けており、容器本体に設けた上向き突出部との両方で鮨を上下から挟むため、鮨の移動を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鮨用包装容器の容器本体によれば、持ち運びする際の振動や容器の傾きがあっても、鮨が容器の片側に寄ってしまったり、ひっくり返ってしまったりする鮨ずれを起こしにくくして見栄えの良い状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】鮨用包装容器における容器本体の平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】鮨用包装容器における蓋体の平面図である。
【図4】別の実施形態における容器本体の平面図である。
【図5】また別の実施形態における容器本体の平面図である。
【図6】さらに別の実施形態における容器本体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1、図2には複数の鮨を収容する容器本体10を、図3にはこの容器本体10に被着させる透明な蓋体30を示す。鮨用包装容器1はこの容器本体10と蓋体30とから構成される。
【0023】
図1で示すように容器本体10は、平面視で略長方形状とされ、鮨を載置する底面部11は、この底面部11から下向きに突出する脚部12によって上げ底状に形成されている。また、底面部11には、鮨の間に入り込む上向き突出部14を設けており、鮨のスライド移動を防止する鮨止突起15と、隣接する鮨の鮨間を表示する仕切突起16とに分けて形成されている。
底面部11の端となる周縁には壁部17を有し、この壁部17には蓋体2に係合する蓋体受け部18と、蓋体受け部18の内側に蓋体受け部18よりは一段低い周縁段部19が形成されている。さらに、底面部11と脚部12の境界には上向きに突出するせき部20が形成されている。
【0024】
図1で示す実施形態では、10個の鮨13を収容できるように作られた容器本体11であり、斜めに5個(5列)並べた鮨を2段(2行)に置くことができるように上向き突出部14が設けられている。即ち、上向き突出部14のうち図1で示した仕切突起16aは、左上から右下向きの線状に形成されて、一定間隔をもって配置され、後述する鮨止突起15aの周りに10個形成されている。この仕切突起16aは直方体形の一般的な握り鮨の長辺部分で隣接する鮨のその鮨間を表示している。一方、鮨止突起15aは、右上から左下向きの線状に形成されて一定間隔をもって配置され、底面部11の中央部分に横方向に4つ並んで設けられている。換言すれば、個々の鮨止突起15aは底面部11から立て壁状に突出した形状として構成され、隣り合う鮨止突起15,15どうしが平面視で平行四辺形の対向する2辺に位置するように配置されている。仕切突起16や鮨止突起15で囲まれた中に握り鮨を置けば、斜めに置かれた1個づつの鮨が行列配置する綺麗な盛りつけができるようになっている。
【0025】
こうした仕切突起16は、個々の鮨13を配置する目安または境界を示す表示であるため、上向き突出部14であるといえども、底面部11から僅かに隆起したものとなっている。しかしながら仕切突起16は、仕切りを表示できれば良く、場合によっては上向き突出部14として形成せず、下向きに凹んだ凹部としたり、凹凸を設けずに印刷表示したりすることも可能である。むしろあまり突出して設けると、鮨の端が仕切突起16にかかっただけで鮨が傾いたりするおそれがあるため、鮨を起きにくく作業性が劣ってしまう。また、鮨の大きさも制限されるため、あまり突出させない方が好ましい。但し、あまり突出させない仕切突起16といえども突出することによる鮨止め機能が全く生じないこともないから、上向き突出部14として形成する態様は好ましい。
【0026】
一方、鮨止突起15は、直方体形の一般的な握り鮨の短辺部分で隣接する鮨13a,13bのその鮨間に入り込み、鮨13a,13bがスライドしようとしてもこの鮨止突起15aに当たって移動できないような高さに形成されている。具体的には、その高さL1は、収容された鮨13の高さの1/5〜1/2の高さとなるように形成されることが好ましい。1/5より低いと鮨が動いてしまい易く、1/2を超えると鮨間から鮨止突起15aが見えてしまい、あまり見栄えが良くないからである。通常の鮨の大きさを考慮すると、0.3mm〜15mmが好ましく、2mm〜15mmがより好ましい。0.3mm〜15mmとすれば小さめの鮨にも対応できるからであり、2mm〜15mmとすれば一般的な握り鮨の大きさに対応できるからである。なお、この鮨止突起15aの高さは後述する鮨止突起15b、15cでも同様である。
【0027】
図1で示すように、鮨止突起15を仕切突起16とは区別するように、鮨止突起15を仕切突起16から離間して形成することができる。通常、鮨13は、図1で示す鮨13a,13b,13cのような位置に置かれるが、鮨止突起15と仕切突起16とが離れていることから鮨止突起15に沿って鮨の長手方向が位置するように、即ち、鮨13の長手方向が仕切突起16と交差する方向に盛りつけても盛りつけし易い。
また、図1で示す鮨止突起15aは、短辺部分で隣接する鮨13a,13bに対して長辺部分で隣接する鮨13cのその長辺に接触するものとなっている。したがって、この鮨止突起15aは、鮨13a,13bに対しては図1の上下方向の移動に対して規制を与え、鮨13cに対しては図1の右方向への移動に対して規制を与えるようになっている。
【0028】
底面部11の周縁には壁部17が設けられており、この壁部17には蓋体受け部18と周縁段部19が形成されている。蓋体受け部18は、後述する蓋体30の水平張出部32aと接して蓋体を支持する部位である。蓋体受け部18の四隅は、その四隅の近傍から徐々に上側に高くなった最高点に位置している。周縁段部19は、底面部11と蓋体受け部18の間にあって、蓋体受け部18より一段低く、蓋体30に接触しないように形成されており、鮨を収容したときには、側壁17側での鮨の移動防止用の鮨止めとして機能する。
【0029】
脚部12は、底面部11の周縁で下向きに突出して形成される。この脚部12は底面部11の一の対角上の角縁では、容器本体10の長辺部分と短辺部分二辺に渡る平面視で略L字状の角脚部12aとして形成され、他の一の対角上の角縁近傍の長辺部分ではその長さ方向に沿う平面視で略棒状の辺脚部12bとして形成されている。
こうした脚部12は、下方に突出するため、ガリや醤油袋を収容するのにも利用できる。
【0030】
底面部11と脚部12との境界部分には底面部11より上向きに突出したせき部20を有している。せき部20は4つの脚部12と底面部11の間の全体にわたって形成されている。
【0031】
図3で示すように、蓋体30は鮨の上方を覆う天井部31と、容器本体10と係合するフランジ部32と、そして天井部31からフランジ部32に至る側面部33とから構成されており、下方に開口した伏凹形に成形され、容器本体10に対し被着自在とされている。
側面部33の下端外周に設けたフランジ部32は、外方に延びる水平張出部32aと、その水平張出部32aの外端より下方に折曲延成された垂下縁32bとからなる断面釣形状に形成されており、このフランジ部32の水平張出部32aが容器本体10の壁部17に設けた蓋体受け部18の上面に接し、かつ垂下縁32bが蓋体受け部18の外周に嵌合した状態で被着されるようになっている。
【0032】
天井部31は、鮨13が見やすいように一般的には平板状としているが、図3で示すように、鮨間に入り込む下向き突出部34を形成してもよい。この下向き突出部34の突出深さは鮨止突起15の高さ程度に鮨の上部から鮨間に入り込む深さに形成することが好ましい。また、下向き突出部34の位置は容器本体10に形成した鮨止突起15や仕切突起16に合わせて形成することが好ましい。すなわち、平面視で蓋体30に設けた下向き突出部34と容器本体10に設けた上向き突出部14とが重なる位置に形成することが好ましい。上下の突出部14,34で鮨を挟むことでより動き難くすることができる。
【0033】
容器本体10や蓋体30は何れも合成樹脂製のシート材から真空成形や圧空成形等の熱成形の手段を利用して成形できる。蓋体30は中味の鮨13が見えやすいように透明で曇りにくい合成樹脂材が用いられる一方で、容器本体10はその表面に種々の装飾がなされることが好ましく不透明材であって良い。
容器本体10や蓋体30の材質には、例えば、ポリスチレンやポリスチレンを主体とする共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン、オレフィンを主体とする共重合体等のポリオレフイン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、その他の各種の熱成形可能な合成樹脂が挙げられる。
【0034】
上記した鮨用包装容器の容器本体10に鮨を盛りつけるには、仕切突起16の間に鮨を一つづつ置くようにすれば良く、誰でも簡単に盛りつけ位置を特定することができる。また、盛りつけ後には仕切突起16は低い突出部であるため見えにくく、鮨止突起15は仕切突起16よりも突出しているもののしゃりを覆う鮨だねに隠されてやはり見えにくくなる。ガリや醤油袋は底面部11の角に設けた角脚部12aを形成する凹部に入れることができる。こうして見栄えを損なわずに綺麗に鮨の盛りつけが完了する。
【0035】
鮨を盛りつけた鮨用包装容器が運搬されるときには、容器本体10の短手方向への鮨ずれを起こす振動や傾きに対しては、鮨の一方側では鮨止突起15で押さえられ、他方側では周縁段部19で押さえられて鮨が動きにくくなっている。このときしゃりが鮨止突起15に当たっていても鮨だねは鮨止突起15に当たりにくい位置にあるため鮨だねは新鮮に保たれる。同様に、周縁段部19でもしゃりが当たっても鮨だねは当たりにくいため鮨だねが新鮮に保たれる。容器本体10の長手方向への鮨ずれを起こす振動や傾きに対しては、鮨の一方側では鮨止突起15の端部分にしゃりが当たることで押さえられ、他方側では周縁段部19で押さえられて鮨が動きにくくなっている。鮨止突起15や周縁段部19へ鮨だねが当たりにくいのは短手方向の場合と同様である。よって、持ち運びされた後でも見栄えの良い綺麗な配置状態が保たれる。
【0036】
蓋体30を容器本体10から外すときには、容器本体10の四隅が上側に高く位置しているため、一の対角上の角を下側に押し込むことで簡単に蓋体30を外すことができる。また、底面部11から脚部12が下向きに突出しているため、この蓋体30の取り外し作業がし易いことに加えて、鮨を食べるときには盛り台に盛りつけたような高級感を味わうことができる。ガリからは水分が出ることがあるが、脚部12に入れられたガリから出る水分は脚部12の底に溜められ、また、せき部20が水分の流れだしを防ぐため、しゃりをぬらさずにおいしく鮨をいただくことができる。せき部20は、これとは反対に底面部11から脚部12への水分の移動も防止するため、醤油を底面部11に垂らしても脚部12に流れ込むことがなく、万が一醤油皿が無く底面部に醤油を垂らす場合にも便利である。
【0037】
図4には鮨止突起15が相違する別の実施形態である容器本体40を示す。図4で示す鮨止突起15bは、図1で示す鮨止突起15aが立て壁状に突出しているのに対し、円錐台状に突出している点で形状が相違している。また、鮨止突起15bは一の鮨止突起15aの両端にあたる位置に二つ設けられている点で個数が相違している。鮨を置く位置は図1で示す容器本体10と同様である。
例えば図4の鮨13a,13b,13cの略中心に位置する鮨止突起15bは、短辺部分で隣接する鮨13a,13bに対して長辺部分で隣接する鮨13cのその長辺に接触している。また、短辺部分で隣接する鮨13a,13bの間に位置してそれぞれの鮨13a,13bに接触している。そのため、鮨13a,13bに対しては図4における上下方向の移動を規制し、鮨13cに対しては図4における右方向の移動を規制している。
円錐台状に突出した鮨止突起15bは、突出部分の表面積が鮨止突起15aよりも少なく、鮨を盛りつけた状態で外部からより鮨止突起15を見えにくくする点で好ましい。
【0038】
図5には鮨止突起15と仕切突起16とが離間せずにくっついて一体となった別の実施形態である容器本体50を示す。図5で示す鮨止突起15cと仕切突起16cは、仕切突起16cよりも鮨止突起15cが上方に突出している点で図1の鮨止突起15aや16aと同じである。
この実施形態の容器本体50では、鮨止突起15cと仕切突起16cで明確に鮨間が表示されているため、鮨を置く位置がわかりやすい反面、鮨の起き位置を変更する場合には、変えた位置に置きにくいという特性を有している。
【0039】
図6には仕切突起16を設けない別の実施形態である容器本体60を示す。仕切突起16が無くとも鮨止突起15aが仕切突起16の機能も兼ねるため、それほど迷わず鮨を所定位置に配置することができる。
【0040】
なお、上記実施形態やその変形例で示した例は例示であり、こうした形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨に反しない任意の変更形態を含むものである。即ち、上記実施形態で示した一部の構成を含まなかったり、別の公知の構成を含んだり、代替したりしている場合も本願発明の範囲に含まれる。例えば、図4で示す鮨止突起15bを図6で示す鮨止突起15aの代わりに設けるような態様や、図1で示す容器本体10に脚部12を設けずに上げ底としない態様なども当然本願発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 鮨用包装容器
10,40,50,60 容器本体
11 底面部
12 脚部
12a 角脚部
12b 辺脚部
13 鮨
14 上向き突出部
15,15a,15b,15c 鮨止突起
16,16a,16c 仕切突起
17 壁部
18 蓋体受け部
19 周縁段部
20 せき部
30 蓋体
31 天井部
32 フランジ部
32a 水平張出部
32b 垂下縁
33 側面部
34 下向き突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鮨を収容する容器本体と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器における容器本体において、
鮨を載置する底面部に、1個づつ斜めに行列配置させる鮨の間に入り込む上向き突出部であって底面部からの突出高さを0.3mm〜15mm、より好ましくは2mm〜15mmとして鮨のスライド移動を防止する鮨止突起を形成したことを特徴とする容器本体。
【請求項2】
鮨止突起を、上向き突出部であり隣接する鮨の鮨間を表示する仕切突起とは別に形成した請求項1記載の容器本体。
【請求項3】
鮨止突起が、仕切突起よりも上方に突出している請求項1または請求項2記載の容器本体。
【請求項4】
鮨止突起が、短辺部分で隣接する鮨のその鮨間に入り込む突出部であり、仕切突起が、長辺部分で隣接する鮨のその鮨間を表示する突出部である請求項1〜請求項3何れか1項記載の容器本体。
【請求項5】
鮨止突起を仕切突起から離間して形成した請求項1〜請求項4何れか1項記載の容器本体。
【請求項6】
鮨止突起が、短辺部分で隣接する鮨に対して長辺部分で隣接する鮨のその長辺に接触する突出部である請求項1〜請求項5何れか1項記載の容器本体。
【請求項7】
個々の鮨止突起が底面部から立て壁状に突出した形状であり、隣り合う鮨止突起どうしが平面視で平行四辺形の対向する2辺に位置するように配置される請求項1〜請求項6何れか1項記載の容器本体。
【請求項8】
底面部の周縁に壁部を設け、蓋体に係合する蓋体受け部よりは一段低く、鮨の下部に接触可能な周縁段部をこの壁部に形成した請求項1〜請求項7何れか1項記載の容器本体。
【請求項9】
底面部から下向きに突出する脚部であって、底面部の一の対角上の角縁には底面部の二辺に渡る角脚部を形成し、他の対角上の角縁近傍には底面部の長辺に沿う辺脚部を形成した請求項1〜請求項8何れか1項記載の容器本体。
【請求項10】
底面部と脚部との境界全体に底面部より上向きに突出するせき部を設けた請求項9記載の容器本体。
【請求項11】
底面部の周縁に蓋体に係合する蓋体受け部を設け、その蓋体受け部の四隅がその四隅の近傍よりも上側に位置するように形成した請求項1〜請求項10何れか1項記載の容器本体。
【請求項12】
複数の鮨を収容する容器本体と、外部から鮨を視認可能で容器本体に被着させる蓋体とからなる鮨用包装容器において、
容器本体が、請求項1〜請求項11何れか1項記載の容器本体であり、
蓋体が、容器本体に収容される鮨の上方を覆う天井部に、鮨間に入り込む下向き突出部を有する蓋体であって、
平面視で蓋体に設けた下向き突出部と容器本体に設けた上向き突出部とが重なる位置に形成されていることを特徴とする鮨用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176773(P2012−176773A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40738(P2011−40738)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(000158943)株式会社積水技研 (35)
【Fターム(参考)】