説明

鶏レバーパウダーおよびその製造方法

【課題】 一般家庭での調理時に不快な臭いの発生がなく、種々の食品に添加または混入することで、その食品の食感を損ねないで、しかも葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンAおよびビタミンB2、等を十分に摂取可能にする。
【解決手段】 冷凍された鶏レバーの原体を解凍した後カットし、カットした鶏レバーの原体のそれぞれを洗浄した後調味液に浸漬するなどの調理を行い、調理した前記鶏レバーの原体に付着した前記調味液の液切りを行い、この液切りを行った鶏レバーの原体をフリーズドライ法により乾燥した後破砕し、破砕した鶏レバーの粉粒体を篩いにかけて、24メッシュ以下の粉粒体を分離生成して鶏レバーパウダーとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物に添加または混入して利用する鶏レバーパウダーおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、葉酸は女性のビタミン(ビタミンB群の一つ)と言われ、妊娠中は不可欠のビタミンで有り、生まれてくる子供に先天性異常が発生するのを抑制する効果が有るとされている(例えば、特許文献1参照)。このため、日本人は、一日400μgを摂取するように指導されている。また、葉酸は認知症予防、高血圧予防、卵巣がん予防、悪性貧血予防等に有効であり、さらに胃や腸の働きを整える効果が有るとされている。
【0003】
ところで、かかる葉酸は、例えばアスパラガスやブロッコリーなどの野菜や、アボガドやいちごなどの果物のほか、鶏レバーに多く含まれている。また、鶏レバーには、鉄分、ビタミンA、ビタンミンB2が豊富に含まれ、造血作用によって貧血の予防や改善に効果のあることも知られている。この鶏レバーは、この鶏レバーの原体に味付けをし、煮たり、焼いたりして食用されることが一般に行われ、前記葉酸やビタミンB12及び鉄分、ビタミンA、ビタミンB2の摂取が日常生活において随時なされている。つまり、今日では、鶏レバーは、鶏レバー原体をそのまま煮たり、焼いたり(焼きとりなどに)あるいはハンバーグの増量材とするなど、各種の調理方法によって食用とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009‐27941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鶏レバーは前述のような先天性異常の発生や認知症予防、高血圧予防、卵巣がん予防、悪性貧血予防等に有効であるのであるが、調理の前後に独特の不快な臭いを発し、従って、焼きとりやしぐれ煮など独特の調味処理および風味調整をする必要がある。また、食感上「もさつき」感があり、誰もが好んで食用するというものではなかった。このため、今のところ鶏レバーはその僅かを食用にするほかは、その殆どが廃棄処理されているという現状がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般家庭での調理時に不快な臭いの発生がなく、種々の食品に添加または混入することで、その食品の食感を損ねないで、しかも葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2を十分に摂取可能にする鶏レバーパウダーおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る鶏レバーパウダーは、鶏レバーの原体の調理品を乾燥および破砕したものからなり、その破砕による粒径が24メッシュ以下の粉粒体であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る鶏レバーパウダーの製造方法は、冷凍された鶏レバーの原体を解凍した後カットし、カットした鶏レバーのそれぞれを洗浄した後調味液に浸漬するなどの調理を行い、調理した前記鶏レバーに付着した前記調味液の液切りを行い、この液切りを行った鶏レバーの原体をフリーズドライ法により乾燥した後破砕し、破砕した鶏レバーの粉粒体を篩いにかけて、24メッシュ以下の粉粒体を分離生成することを特徴とする。
【0009】
上記の鶏レバーパウダーおよびその製造方法によれば、比較的簡単な工程で鶏レバーパウダーを製造できるとともに、調味液に浸漬する調理工程を含むので製造された鶏レバーパウダーを各種食品の調理に用いても鶏レバー独特の臭いや風味を抑えることができ、加えて先天性異常の発生や認知症予防、高血圧予防、卵巣がん予防、悪性貧血予防等に有効な食品を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一般家庭では鶏レバーの原体の調理を行う必要がないため、不快な臭いの発生がなくなり、簡単かつ安価に入手できる鶏レバーパウダーを種々の食品に添加または混入することで、その食品の食感を損ねないで、葉酸およびビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2を十分に摂取することができ、先天性異常等の発生や認知症予防、高血圧予防、卵巣ガン予防、貧血予防、等を図りながら健康増進に寄与できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による鶏レバーパウダーの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態にかかる鶏レバーパウダーおよびその製造工程を図1を参照して説明する。
【0014】
本発明に係る鶏レバーパウダーは、鶏レバーの原体の調理品が乾燥および破砕されて、その破砕による粒径が24メッシュ以下の粉粒体として構成される。鶏レバーは、本来葉酸およびビタミンB12、鉄分、ビタミンA(レチノール)、ビタミン2を多く含み、先天性異常の発生や認知症予防、高血圧予防、卵巣がん予防、悪性貧血予防等に有効である。そして、この鶏レバーを調理した後フリーズドライによって乾燥させることで、原体との対比で3倍〜4倍に葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミン2を含む成分を凝縮状態に高めることができる。
【0015】
従って、鶏レバーの単位重量当りの栄養効果あるいは前記先天性異常等の予防効果を高めることができる。すなわち、前述のように葉酸およびビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミン2は、先天性異常の発生や認知症予防、高血圧予防、卵巣がん予防、悪性貧血予防等に効き目を顕わし、その鶏レバーに含まれるビタミンA(レシチール)は、目に良いとされている。そして、これらの葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2の摂取は、各種食品中に鶏レバーパウダーを添加しあるいは混入することで、鶏レバー独特の臭いを抑えながら、日常の食事に取り入れることができる。
【0016】
従って、例えば、ハンバーグにこの鶏レバーパウダーを増量材として混入しても、このような鶏レバーパウダーが混入されていないハンバーグと比べて食味、味覚ともに遜色のないハンバーグとして食することができる。また、この鶏レバーパウダーをパンや麺類に混入することで、これらのパンや麺類を食べる際の風味を壊さずに、特に鶏レバーの混入を意識することなく前記葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2等の摂取が可能になる。
【0017】
また、この鶏レバーパウダーは粉粒体であり、従ってこれをカプセルの中に収納して、栄養食品または薬効効果が得られる錠剤として、市場に流通させることで、一般家庭での食品の調理用として、あるいは医療施設などで直接口に入れる高血圧予防用や卵巣がん予防用および貧血予防用の予防薬などとしての利用が可能になる。
【0018】
そして、かかる鶏レバーパウダーは、図1に示す工程に従って製造される。
先ず、鶏レバーの原体を冷凍したものを用意する。この鶏レバーの冷凍品は、自社で冷凍保存したものを用いたり、冷凍食品会社から購入したものを用いたりすることができる。次に、こうして用意された鶏レバーの冷凍品を解凍装置により解凍する(解凍工程)。この冷凍品の解凍方法として、例えば5℃程度の低温環境でゆっくり解凍させる方法や、常温環境に放置する自然解凍や、水に浸漬したり水の流れに晒して行う解凍方法などがあるが、自然解凍ではドリップの流出が避けられないので、この解凍方法はできるだけ避けることが望ましい。
【0019】
このようにして解凍された鶏レバーをカットマシンにより所定値以下のサイズに切断し(カット工程)するとともに、不要部分や汚れた部位、あるいは乾燥し難い部位や後述の破砕に向かない部位(粉粒体になり難い部分など)を取り除いて洗浄装置内に投入して迅速に洗浄する(洗浄工程)。
【0020】
次に、この洗浄を行った鶏レバーを調理する。この調理では、前述のように切断された原体をそのままに、または焼いたり蒸したりしたものを、調理装置の容器内に貯留された所定の調味液(調味汁)に浸し、更にそのまま煮込む(調理工程)。ここで用いる調味液は、鶏レバーが発する独特の臭いや風味を消したりするような香辛料等を含む汁液であることが望ましい。そこで、こうして調味液で味付けした鶏レバーを容器内から取り出すとともに、この鶏レバーに付着している余分の液汁を切り(液切り工程)、続いて盛り込みを行う(盛り込み工程)。
【0021】
次に、前記の盛り込みを行ったカット状の鶏レバーをエアードライによって予備凍結する(予備凍結工程)。さらに続いて、予備凍結した鶏レバーを冷凍乾燥機に収納し、フリーズドライ(凍結乾燥)処理によってその鶏レバーから十分に水分を蒸発させて除去する(冷凍乾燥工程)。そして、この凍結乾燥させた鶏レバーを粉砕機に送り込み、この粉砕により鶏レバーを粒径が小さい粒状体および粉体にする(粉砕工程)。
【0022】
続いて、この鶏レバーを粉砕して得た粉粒体を篩機に導いて篩に掛け、24メッシュ以下の粉粒体を分離して取り出す(篩掛け工程)。また、取り出した鶏レバーの粉粒体中に金属物(Feでは0.6mmφ以下、Susでは1.0mmφ以下)が含まれないか否かを金属探知機により調べ、含まれている場合にはこれを取り除く(金属除去工程)。こうして得られた紛粒状の鶏レバー(鶏レバーパウダー)は、計量器で計量されて、包装装置によって所定量宛て包装用袋などに詰められ(計量/梱包工程)、出荷されることとなる。
【0023】
このように本実施形態の鶏レバーパウダーは、鶏レバーの原体の調理品が乾燥および破砕されて、その破砕による粒径が24メッシュ以下の粉粒体として得られたものである。従って、これを、一般家庭で各種食品に添加または混入することで、鶏レバーの原体の調理における不快な臭いを感じることなく、その食品の食感を損ねることなく、鶏レバーに多く含まれる葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンAおよびビタミンB2を十分に摂取することができ、健康増進に寄与できる。
【0024】
また、冷凍された鶏レバーの原体を解凍した後カットし、カットした鶏レバーの原体のそれぞれを洗浄した後調味液に浸漬するなどの調理を行い、調理した前記鶏レバーの原体に付着した前記調味液の液切りを行い、この液切りを行った鶏レバーの原体をフリーズドライ法により乾燥した後破砕し、破砕した鶏レバーの粉粒体を篩いにかけて24メッシュ以下の粉粒体を分離生成することとしている。これにより鶏レバー独特の臭いが感じられない乾燥状態の粉粒体を略自動的かつ連続的に製造でき、これを安価に市場に提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンAおよびビタミンB2を十分に摂取することで、先天性異常等の発生の予防、認知症予防、高血圧予防、卵巣ガン予防および貧血予防しながら健康増進に寄与するという効果を有し、葉酸、ビタミンB12、鉄分、ビタミンAおよびビタミンB2の摂取を目的に食物に添加または混入して利用する鶏レバーパウダーおよびその製造方法に利用して有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏レバーの原体の調理品が乾燥および破砕されてなり、その破砕による粒径が24メッシュ以下の粉粒体であることを特徴とする鶏レバーパウダー。
【請求項2】
冷凍された鶏レバーの原体を解凍装置により解凍した後カットマシンによってカットし、
カットした鶏レバーのそれぞれを洗浄装置内に投入して洗浄した後、調味液に浸漬するなどの調理を行い、
調理した前記鶏レバーに付着した前記調味液の液切りを行い、
この液切りを行った前記鶏レバーを冷凍乾燥機内に収容して、フリーズドライ法により乾燥した後破砕機に送り込んで破砕し、
破砕した鶏レバーの粉粒体を篩いにかけ、24メッシュ以下の粉粒体を分離することを特徴とする鶏レバーパウダーの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−80784(P2012−80784A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227340(P2010−227340)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(505162294)株式会社エフ・ディ・エヌ (2)
【Fターム(参考)】