説明

麺搬送装置

【課題】 装置の寿命の向上とコンパクト化を実現することができる麺搬送装置を提供する。
【解決手段】 無端状ローラチェーン3を所定の周回経路4上を周回移動させながら麺を収納するバケット2,…,2を搬送する麺搬送装置1であって、無端状ローラチェーン3を周回移動させるための第1の駆動スプロケット6oおよび第2の駆動スプロケット6vを第1のサーボモータ20および第2のサーボモータ30とそれぞれ連結して備えるとともに、各サーボモータ20,30のトルク値が等しくなるように制御するトルク制御手段522を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺搬送装置に関し、特に無端状ローラチェーンを周回移動させながら麺を搬送する麺搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、中華麺、素麺等の麺を収納する複数のバケットを支持した無端状ローラチェーンを複数のスプロケットを介して周回移動させながら茹槽や水洗槽に搬送する麺搬送装置が広く用いられている。このような麺搬送装置は例えば特許文献1または特許文献2に示す如く開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−022845号公報
【特許文献2】特開平08−131327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した麺搬送装置では、例えば、スプロケットのうち1台を駆動スプロケットとして無端状ローラチェーンを周回移動させる等するが、このように駆動スプロケットを1台のみとすると、該駆動スプロケットに大きな負荷がかかって駆動軸が大きく撓み駆動軸を支持するベアリング部分が破損したり、無端状ローラチェーンが延びて弛みを生じローラ部分が早く磨耗する等、装置の寿命が短くなるという問題を引き起こしていた。
【0005】
そこで、従来はスプロケットのうち更にもう1台を駆動スプロケットとして駆動スプロケット1台当たりの負荷を低減させる等しており、このような麺搬送装置では1台のモータを一方の駆動スプロケットに連結してその駆動力を伝達するとともに、該1台のモータの駆動力をシャフトを介して他方の駆動スプロケットにも伝達していた。
【0006】
しかしながら、モータの駆動力を伝達するためのシャフトを備えることとすると麺搬送装置が大型化したり、またモータを1台のみとすると大きなトルクが必要となってモータの容量が大幅に増加する等新たな問題を引き起こしてしまう。
【0007】
近年は麺製品の更なる大量生産の要請から無端状ローラチェーンの周回経路が長くなる傾向にあり、上記したモータの駆動力を伝達するシャフトが大掛かりなものとなって麺搬送装置の大型化やモータ容量の増加がますます大きな問題として指摘されていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装置の寿命の向上とコンパクト化を実現することができる麺搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、麺搬送装置に係る請求項1の発明は、無端状ローラチェーンを周回移動させながら麺を搬送する麺搬送装置であって、無端状ローラチェーンを周回移動させるための駆動スプロケットを複数備えるとともに、該複数の駆動スプロケットのそれぞれにモータを連結することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、無端状ローラチェーンを周回移動させるための駆動スプロケットを複数備えるとともに、該複数の駆動スプロケットのそれぞれにモータを連結することとしたので、駆動スプロケット1台当たりの負荷が低減されて駆動軸を支持するベアリング部分の破損や無端状ローラチェーンの磨耗が防止され、装置の寿命を向上させることができるとともに、モータの駆動力を伝達するためのシャフトを備える必要がなく、かつ、モータ容量を低減させることができる等、装置のコンパクト化も実現することができる。
【0011】
上記目的を達成するために、麺搬送装置に係る請求項2の発明は、無端状ローラチェーンを所定の周回経路上を周回移動させながら麺を収納するバケットを搬送する麺の搬送装置であって、無端状ローラチェーンを周回移動させるための第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットを第1のモータおよび第2のモータとそれぞれ連結して備え、第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットをバケットの搬送方向を転換する位置に備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、無端状ローラチェーンを周回移動させるための第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットを第1のモータおよび第2のモータとそれぞれ連結して備えることとしたので、駆動スプロケット1台当たりの負荷が低減されて駆動軸を支持するベアリング部分の破損や無端状ローラチェーンの磨耗が防止され、装置の寿命を向上させることができるとともに、モータの駆動力を伝達するためのシャフトを備える必要がなく、かつ、モータ容量を低減させることができる等、装置のコンパクト化も実現することができる。
しかも、第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットをバケットの搬送方向を転換する位置に備えることとしたので、無端状ローラチェーンを効率よく周回移動させることができる。
【0013】
更に、第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットは相互に周回経路における対角の位置に備えることとしたので、無端状ローラチェーンを一層効率よく周回移動させることができる(請求項3)。
また、モータのトルク値を検出するトルク検出器と、該トルク検出器により検出されたトルク値に基づいて各モータのトルク値が等しくなるように制御するトルク制御手段と、を有することとすれば、各駆動スプロケットに負荷が等しく分散されて無端状ローラチェーンの過度の突っ張りや弛みが防止され、駆動軸を支持するベアリング部分の破損や無端状ローラチェーンの磨耗がより一層防止される等、装置の寿命を更に向上させることができる(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の寿命の向上とコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る麺搬送装置の構成を示す右側面図である。
【図2A】突っ張り具の構成を示す正面図である。
【図2B】突っ張り具の構成を示す右側面図である。
【図3】麺搬送装置の第1の駆動スプロケットの周辺構造を示す正面図である。
【図4】麺搬送装置の第2の駆動スプロケットの周辺構造を示す正面図である。
【図5】モータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の変形例に係る麺搬送装置の構成を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態を示す麺搬送装置の概要を示す右側面図、図2は突っ張り具の構成を示す図、図3は麺搬送装置における第1の駆動スプロケットの周辺構造を示す正面図、図4は麺搬送装置における第2の駆動スプロケットの周辺構造を示す正面図である。なお、図1に示すように麺搬送装置を次工程側から見た側を麺搬送装置の正面側として以下説明するものとする。
【0017】
図1乃至図4を参照して麺搬送装置の概要を説明すると、麺搬送装置1は、麺を収納するバケット2,…,2を所定間隔毎に複数支持する一対の無端状ローラチェーン3を複数のスプロケット6(6a乃至6x)に掛け回しつつ所定の周回経路4(4aおよび4b)上を周回移動させながら麺を搬送する構成となっており、本実施形態にあっては麺搬送装置1を茹麺装置に備えて湯を満たした茹槽5にバケット2,…,2を搬送しつつ麺を茹で上げる構成となっている。なお、麺搬送装置1は全体が機枠1a内に備えられている。
【0018】
周回経路4は、麺搬送装置1の側面から見た外周の輪郭が概略矩形の鍋形状より詳しくは片手鍋の側面形状の如く形成されており、生麺を収納したバケット2,…,2を茹槽5に搬送し生麺を茹で上げる往路をなす第1の経路4aと茹で上がった麺を水洗冷却工程等の次工程に排出した後に空のバケット2,…,2を搬送する復路をなす第2の経路4bを含んでいる。
【0019】
すなわち、第1の経路4aは、供給シュート7を介して生麺をバケット2,…,2に供給する供給位置8から茹で上がった麺を排出シュート9を介して次工程に排出する排出位置10に至る経路であり、第1の経路4aには、最上流の供給位置8から順に、バケット2,…,2の搬送方向を水平方向正面側とするスプロケット6a,6b,6c、搬送方向を水平方向正面側から下方側に転回しつつ逆向きの水平方向背面側に転換させるスプロケット6d、搬送方向を水平方向背面側とするスプロケット6e,6f、搬送方向を水平方向背面側から下方側に転回しつつ逆向きの水平方向正面側に転換させるスプロケット6g、搬送方向を水平方向正面側とするスプロケット6h,6i,6j、搬送方向を水平方向正面側から上方側に転回しつつ逆向きの水平方向背面側に転換させるスプロケット6k、搬送方向を水平方向背面側から上方側に転回しつつ逆向きの水平方向正面側に転換させるスプロケット6l、搬送方向を微調整するスプロケット6m、搬送方向を水平方向正面側から上方に転換させるスプロケット6n、無端状ローラチェーン3を上方に吊り上げて茹で上がった麺を茹槽5から引き上げつつ搬送方向を上方から水平方向正面側に転換させ、周回経路4の上部正面寄りに配置より詳しくは片手鍋形状の把手部背面側端部11aに配置されたスプロケット6o、搬送方向を水平方向正面側から下方側に転回しつつ逆向きの水平方向背面側に転換させ、周回経路4の上部正面側端部11bつまり片手鍋形状の把手部正面側端部11bに配置されたスプロケット6pが各一対配置されている。
【0020】
また、第2の経路4bは、排出位置10から供給位置8に至る経路であり、第2の経路4bには、最上流の排出位置10から順に、搬送方向を水平方向背面側から下方に転換させ空のバケット2,…,2を茹槽5に戻すスプロケット6q、搬送方向を下方から水平方向背面側に転換させ周回経路4の下部正面側端部11cつまり片手鍋形状の鍋底正面側端部11cに配置されたスプロケット6r、搬送方向を水平方向背面側とするスプロケット6s,6t,6u、搬送方向を水平方向背面側から上方に転換させ、片手鍋形状の把手部に対し対角に位置し、周回経路4の下部背面側端部11dつまり片手鍋形状の鍋底背面側端部11dに配置されたスプロケット6v、搬送方向を上方から斜め下方に転換させ、周回経路4の上部背面側端部11eつまり片手鍋形状の上部背面側端部11eに配置されたスプロケット6w、搬送方向を斜め下方から水平方向正面側に転換し空のバケット2,…,2を供給位置8に搬送するスプロケット6xが各一対配置されている。
【0021】
なお、図2に示すように、スプロケット6oの直後のスプロケットつまり片手鍋形状の把手部正面側端部11bに配置されたスプロケット6pには突っ張り具40が備えられている。
【0022】
すなわち、突っ張り具40は、カバー41に回転自在に支持された回転軸42をスプロケット軸6p´に連結して備えるとともに、回転軸42をコイルバネ43および突っ張り棒44を介して周回経路4の水平方向正面側に押圧つまり周回経路4の水平方向外側に押圧し、無端状ローラチェーン3を外側に突っ張らせる構成となっており、該突っ張り具40により無端状ローラチェーン3には所定のテンションが付与される。これにより、無端状ローラチェーン3がスプロケット6a乃至6xから外れることが少なく、麺製品の安定した生産に寄与することができる。
【0023】
ここで、麺搬送装置1において、搬送方向を転換させる位置のスプロケット6d,6g,6k,6l、6n,6o,6p,6q,6r,6v,6wには相対的に大きな負荷がかかり、これらスプロケットのうち特に無端状ローラチェーン3を上方に吊り上げて茹で上がった麺を茹槽5から引き上げるスプロケット6oには更に大きな負荷がかかる。
【0024】
そこで、図3に示すように、一対のスプロケット6oの側方外側に第1のサーボモータ20を配置するとともに、スプロケット6oと第1のサーボモータ20とをスプロケット軸6o´および軸継手20aを介して連結して該第1のサーボモータ20の駆動力をスプロケット6oに伝達し、該スプロケット6oを正転方向すなわち右側面から見て反時計回りに回転させる構成としている。つまり、スプロケット6oは無端状ローラチェーン3を周回移動させるための第1の駆動スプロケット6oをなす。
【0025】
また、搬送方向を転換させる位置のスプロケット6d,6g,6k,6l、6n,6o,6p,6q,6r,6v,6wのうち、片手鍋形状の把手部に配置されたスプロケット詳しくは突っ張り具40が取り付けられたスプロケット6pおよび第1の駆動スプロケット6oに対し周回経路4における対角の最も離れた位置に備えられたスプロケット、つまり無端状ローラチェーン3を下部位置から上方に上げる始端位置となる片手鍋形状の鍋底背面側端部11dに備えられたスプロケット6vにも更に大きな負荷がかかる。
【0026】
そこで、図4に示すように、一対のスプロケット6vの側方外側に第2のサーボモータ30を配置するとともに、スプロケット6vと第2のサーボモータ30とをスプロケット軸6v´および軸継手30aを介して連結して該第2のサーボモータ30の駆動力をスプロケット6vに伝達し、該スプロケット6vを正転方向すなわち右側面から見て反時計回りに回転させる構成としている。つまり、スプロケット6vは無端状ローラチェーン3を周回移動させるための第2の駆動スプロケット6vをなし、第1の駆動スプロケット6oおよび第2の駆動スプロケット6v以外のスプロケット6a乃至6n,6p乃至6u,6w,6xは従動スプロケットをなす。なお、第1のサーボモータ20と第2のサーボモータ30とはトルク特性および速度特性が等しい同型のモータを採用している。
【0027】
図5に示すように、麺搬送装置1には無端状ローラチェーン3の周回移動を所要に制御すべくモータ制御装置50が備えられている。このモータ制御装置50は、キーボード、タッチパネル、或いはボリュームレンジ等で構成される操作部51と、コントローラおよびサーボアンプ等で構成されモータ速度制御手段521およびモータトルク制御手段522として機能する制御部52と、を含んでいる。モータ速度制御手段521からは第1のサーボモータ20に所要の速度制御信号が出力され、モータトルク制御手段522には第1のサーボモータ20に設けられたトルク検出器20bからの検出信号が入力され、更にモータトルク制御手段522からは第2のサーボモータ30に所要のトルク制御信号が出力される。
【0028】
すなわち、サーボモータ20,30が連結されたスプロケット6o,6vのうち、茹で上がった麺を茹槽5から引き上げるスプロケット6oにはスプロケット6vに対し相対的に大きな負荷がかかっており、本実施形態にあってはスプロケット6oに連結された第1のサーボモータ20をメインモータとし、スプロケット6vに連結された第2のサーボモータ30をサブモータとして、第1のサーボモータ20のトルク値に第2のサーボモータのトルク値が追従するように制御を行う構成としている。
【0029】
このように構成されたモータ制御装置50による無端状ローラチェーン3の周回移動の制御方法をより詳しく説明すると次のようになる。
つまり、まずオペレータが操作部51を介して第1のサーボモータ20の目標速度を入力しつつ無端状ローラチェーン3の周回動作を開始するための操作を行うとともに、モータ速度制御手段521が入力された目標速度に対応する速度制御信号を生成する。そして、該生成された速度制御信号を第1のサーボモータ20に出力する。これにより第1のサーボモータ20の速度が入力された目標速度と等しくなるように制御される。
【0030】
次いで、モータトルク制御手段522がトルク検出器20bにより検出された第1のサーボモータ20のトルク検出信号を入力するとともに、該入力したトルク検出信号に対応するようにトルク制御信号を生成つまり第2のサーボモータ30のトルク値が検出された第1のサーボモータ20のトルク値と等しくなるようにトルク制御信号を生成する。
【0031】
そして、モータトルク制御手段522が生成したトルク制御信号を第2のサーボモータ30に出力し第2のサーボモータ30のトルク値を第1のサーボモータ20のトルク値に追従させる制御を行う。
上述の如く、第1のサーボモータ20および第2のサーボモータ30はトルク特性および速度特性が等しい同型のモータを採用しているので、第1のサーボモータ20のトルク値と第2のサーボモータ30のトルク値が等しくなるように制御することで第1のサーボモータ20の速度と第2のサーボモータ30の速度も等しくなり無端状ローラチェーン3の周回速度が目標速度に確実に設定される。
【0032】
以上説明したように本発明によれば、無端状ローラチェーン3を周回移動させるための第1の駆動スプロケット6oおよび第2の駆動スプロケット6vを第1のサーボモータ20および第2のサーボモータ30とそれぞれ個別に連結して備えることとしたので、駆動スプロケット1台当たりの負荷が低減されてスプロケット駆動軸6o´,6v´を支持するベアリング部分の破損や無端状ローラチェーン3の磨耗が防止され、装置の寿命を向上させることができるとともに、サーボモータ20,30の駆動力を伝達するためのシャフトを備える必要がなく、かつ、該サーボモータ20,30の容量を低減させることができる等、装置のコンパクト化も実現することができる。
【0033】
また、第1の駆動スプロケット6oおよび第2の駆動スプロケット6vをバケット2,…,2の搬送方向を転換する位置つまり相対的に負荷が大きくなる位置に備えることとしたので、無端状ローラチェーン3を効率よく周回移動させることができる。
更に、第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットを相互に周回経路における対角の位置に備えることとしたので、無端状ローラチェーンを一層効率よく周回移動させることができる。
【0034】
また、モータ制御装置50により第1のサーボモータ20および第2のサーボモータ30のトルク値が等しくなるようにトルク制御を行うこととしたので、第1の駆動スプロケット6oおよび第2の駆動スプロケット6vに負荷が等しく分散されて無端状ローラチェーン3の過度の突っ張りや弛みが防止され、無端状ローラチェーン3のスプロケット駆動軸6o´,6v´を支持する軸継手20a,30a内のベアリング部分の破損や無端状ローラチェーン3のローラ部分の磨耗がより一層防止される等、装置の寿命を更に向上させることができる。
【0035】
しかも、相対的に大きな負荷がかかる第1のサーボモータ20をメインモータとし、第2のサーボモータ30をサブモータとして、第1のサーボモータ20のトルク値に第2のサーボモータ30のトルク値を追従させる制御を行うことで、無端状ローラチェーン3の周回移動制御を安定して行うことができる。
【0036】
次に本発明の変形例について図6に基づいて説明する。図6は上記実施形態に対し無端状ローラチェーン3を反対方向に周回移動させる場合の構成を示しており、生麺の供給位置8をスプロケット6lの位置に設定しつつスプロケット6qに第1のサーボモータ20を連結して第1の駆動スプロケット6qをなし、該第1の駆動スプロケット6qを逆転方向すなわち右側面から見て反時計回りに回転させる構成(スプロケット6oは上述した実施形態と反対方向の時計回りで従動する)としている。つまり、無端状ローラチェーン3を逆転方向に周回移動させる場合は、無端状ローラチェーン3を吊り上げて茹で上がった麺を茹槽5から引き上げる位置にあり大きな負荷がかかるスプロケット6qを第1の駆動スプロケット6qとする。
【0037】
ここで、本変形例においても第2の駆動スプロケットは、片手鍋形状の把手部に配置されたスプロケット詳しくは突っ張り具40が取り付けられたスプロケット6pおよび第1の駆動スプロケット6q(図6から明らかなようにスプロケット6qは片手鍋形状の把手部背面側端部11aに配置されている)に対し周回経路4における対角の最も離れた位置に備えられたスプロケット6vとし、スプロケット6vに第2のサーボモータ30を連結して該スプロケット6vを逆転方向すなわち右側面から見て時計回りに回転させる構成とする。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。例えば、上述の実施形態にあっては、駆動スプロケットを2台とし該駆動スプロケットのそれぞれに個別にサーボモータを連結することとしているが、駆動スプロケットを3台以上とし、該3台以上の駆動スプロケットのそれぞれに個別にサーボモータを連結することとしてもよい。
【0039】
上記した実施形態と同様に、駆動スプロケット1台当たりの負荷が低減されてスプロケット駆動軸を支持するベアリング部分の破損や無端状ローラチェーン3の磨耗が防止され、装置の寿命を向上させることができるとともに、モータの駆動力を伝達するためのシャフトを備える必要がなくなる等、装置のコンパクト化も実現することができる。
【0040】
なお、駆動スプロケットを3台以上としてそれぞれに個別にサーボモータを連結する場合においても、バケットの搬送方向を転換する位置等の相対的に大きな負荷がかかるスプロケットを駆動スプロケットとしたり、各サーボモータのトルク値が等しくなるようにトルク制御を行うこととすれば更に所要の効果を奏することは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、麺搬送装置において装置の寿命の向上とコンパクト化を実現することができ麺業界の発展に貢献する。
【符号の説明】
【0042】
1:麺搬送装置
2:バケット
3:無端状ローラチェーン
4:周回経路
4a:第1の経路
4b:第2の経路
5:茹槽
6a乃至6x:スプロケット
6o´:スプロケット駆動軸
6p´:スプロケット駆動軸
6v´:スプロケット駆動軸
7:供給シュート
8:供給位置
9:排出シュート
10:排出位置
11a:片手鍋形状の把手部背面側端部
11b:周回経路の上部正面側端部(片手鍋形状の把手部正面側端部)
11c:周回経路の下部正面側端部(片手鍋形状の鍋底正面側端部)
11d:周回経路の下部背面側端部(片手鍋形状の鍋底背面側端部)
11e:周回経路の上部背面側端部(片手鍋形状の上部背面側端部)
20:第1のサーボモータ
20a:軸継手
20b:トルク検出器
30:第2のサーボモータ
30a:軸継手
40:突っ張り具
41:カバー
42:回転軸
43:コイルバネ
44:突っ張り棒
50:モータ制御装置
51:操作部
52:制御部
521:モータ速度制御手段
522:モータトルク制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状ローラチェーンを周回移動させながら麺を搬送する麺搬送装置であって、
前記無端状ローラチェーンを周回移動させるための駆動スプロケットを複数備えるとともに、該複数の駆動スプロケットのそれぞれにモータを連結することを特徴とする麺搬送装置。
【請求項2】
無端状ローラチェーンを所定の周回経路上を周回移動させながら麺を収納するバケットを搬送する麺搬送装置であって、
前記無端状ローラチェーンを周回移動させるための第1の駆動スプロケットおよび第2の駆動スプロケットを第1のモータおよび第2のモータとそれぞれ連結して備え、
前記第1の駆動スプロケットおよび前記第2の駆動スプロケットを前記バケットの搬送方向を転換する位置に備えることを特徴とする麺搬送装置。
【請求項3】
前記第1の駆動スプロケットおよび前記第2の駆動スプロケットを相互に前記周回経路における対角の位置に備えることを特徴とする請求項2に記載の麺搬送装置。
【請求項4】
前記モータのトルク値を検出するトルク検出器と、該トルク検出器により検出されたトルク値に基づいて前記各モータのトルク値が等しくなるように制御するトルク制御手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の麺茹麺装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−268708(P2010−268708A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121881(P2009−121881)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000132725)株式会社ソディック (197)
【Fターム(参考)】