説明

黒ライン補正装置、黒ライン補正方法及び画像形成装置

【課題】原稿画像から読み取ったライン上に現れるカラー部分を純黒色に補正するMFP10を提供する。
【解決手段】黒ライン補正部100は、原色カラー画像データの各画素の画素値から3次元色空間の位置ベクトルを生成する色空間変換部104、ライン幅を検出する線幅検出部103、ベクトル変換により複数の変換ベクトルを算出するベクトル変換部105、ライン幅に応じ候補ベクトルから変換ベクトルを選択するセレクタ106、3次元色空間の色ベクトルと判定値を記憶する3次元LUT108、変換ベクトルに対応する判定値を読み出すテーブル読出部107、判定値が純黒色の場合、画素に対し純黒色を出力する文字領域検出部110を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラースキャナを備えた多機能周辺装置(Multifunction Peripheral、以下、MFP。)において、読み取った原稿画像の中で文字や線図を構成するライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラースキャナを備えたMFPでは、3色のカラーにより表現された写真や文字とともに、通常、黒色の文字や黒色の図形も含まれるので、黒色の判定処理が行われる。
特許文献1によると、画像がL* a* b* 信号として入力され、色信号a* 、b* から彩度を算出し、算出された彩度と所定の閾値とを比較して、閾値以下である場合に、黒画素と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−4344号公報
【特許文献2】特開2005−215780号公報
【特許文献3】特開平7−170420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、文字や線図を構成する細い黒ラインについては、スキャナレンズの色収差や色ズレにより、また下地色の影響により、本来黒色であるべき画素が色成分を持つ場合がある。
赤色は彩度が高く、青色は彩度が低いように、彩度は色相により異なるので、特許文献1により開示された技術を適用すると、本来黒色であるべき画素に現れた色成分の色相によって、黒色と判定されたり、黒色以外のカラーであると判定されたりする場合がある。また、本来、暗い青色などの彩度の低い色文字である部分を、黒色と判定する場合もある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、黒いラインから構成される文字や線図を含む原稿を読み取り、読み取った原稿画像中の前記黒いラインに相当するライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置、黒ライン補正方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置であって、黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得手段と、取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出手段と、前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換手段と、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成手段と、前記3次元色空間内の各位置について、変換先の前記分布内にあればその色が純黒色であることを示し、変換先の前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段と、前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出手段と、読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成によると、文字や線図を構成するライン画像に対して、適切な黒色判別を行って、ライン画像内に現れたカラー部分を純黒色に補正することができる。
ここで、前記生成手段は、複数のベクトル変換の中から、変換元の前記分布から変換先の前記分布への前記ベクトル変換を選択してもよい。
ここで、前記ライン検出部は、前記ライン画像のライン幅を検出し、前記生成手段は、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、第1候補ライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の第1候補分布から、変換先の前記分布へのベクトル変換を施して、第1候補ベクトルを生成し、第2候補ライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の第2候補分布から、変換先の前記分布へのベクトル変換を施して、第2候補ベクトルを生成するベクトル変換手段と、検出した前記ライン幅を、前記第1候補ライン幅、前記第2候補ライン幅及び変換先の前記分布の元になった前記ライン画像の基準ライン幅と比較し、比較結果に基づいて、前記位置ベクトル、前記第1候補ベクトル及び前記第2候補ベクトルから1個を選択して、前記変換ベクトルとする選択手段と、を含むとしてもよい。
【0008】
ここで、前記選択手段は、検出した前記ライン幅と前記第1候補ライン幅との差が第1閾値より小さい場合には、前記第1候補ベクトルを選択し、検出した前記ライン幅と前記基準ライン幅との差が第2閾値より小さい場合には、前記位置ベクトルを選択し、検出した前記ライン幅と前記第2候補ライン幅との差が第3閾値より小さい場合には、前記第2候補ベクトルを選択してもよい。
【0009】
ここで、前記第1候補ライン幅は、前記基準ライン幅より小さく、前記第2候補ライン幅は、前記基準ライン幅より大きいとしてもよい。
ここで、変換先の前記分布、前記第1候補分布及び前記第2候補分布は、それぞれ、前記3次元色空間内において、明るさに対応する軸方向に凸ドーム型形状を有し、第1候補分布の明るさに対応する軸方向への広がりは、変換先の前記分布の明るさに対応する軸方向への広がりより、大きく、第2候補分布の明るさに対応する軸方向への広がりは、変換先の前記分布の明るさに対応する軸方向への広がりより、小さいとしてもよい。
【0010】
ここで、前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記位置ベクトルを構成する要素に対して、係数を乗じて、各ベクトルを算出してもよい。
ここで、前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記3次元色空間における少なくとも1軸方向へのシフト演算を含むとしてもよい。
ここで、前記ライン検出手段は、少なくとも1ドット幅又は2ドット幅のライン画像を検出してもよい。
【0011】
ここで、前記3次元色空間は、L*a*b*色空間又はYCrCb色空間であるとしてもよい。
また、本発明は、読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する画像形成装置であって、黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得手段と、取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出手段と、前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換手段と、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成手段と、前記3次元色空間内の各位置について、変換先の前記分布内にあればその色が純黒色であることを示し、変換先の前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段と、前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出手段と、読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置により用いられる黒ライン補正方法であって、前記黒ライン補正装置は、明るさ及び色相による3次元色空間内の各位置について、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布内にあればその色が純黒色であることを示し、前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段を備え、前記黒ライン補正方法は、黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得ステップと、取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出ステップと、前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換ステップと、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、前記所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成ステップと、前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出ステップと、読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力ステップとを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る1の実施の形態としてのMFP10の外観を示す。
【図2】黒ライン補正部100の構成を示すブロック図である。
【図3】3次元LUT108のデータ構造の一例を示す。
【図4】L*a*b*3次元色空間を示す概念図である。
【図5】L*a*b*3次元色空間におけるベクトル変換を示す概念図である。
【図6】黒ライン補正部100の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施の形態
本発明に係る1の実施の形態としてのMFP10について説明する。
1.1 3次元色空間内の色の分布の測定結果
3色のカラーにより表現された様々な文字、図形、線図、写真などが表示された原稿に対してカラースキャナを用いて実際にカラースキャンをして、原稿画像をRGBの三原色に分解して原色カラー画像データを生成し、生成した原色カラー画像データをL*a*b*3次元色空間に変換してL*a*b*画像データを生成した。次に、L*a*b*画像データから、黒文字を構成するライン部分をその太さ毎に分類して抽出した。
【0015】
こうして得られた細い黒文字(その幅は、一例として2ドット)及び太い黒文字(その幅は、一例として4ドット)について、L*a*b*3次元色空間上の色の分布を図4に示す。これらは、各ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示している。ここで、純黒色とは、例えばRGB色空間において表現すると、R値=G値=B値=0であるような純粋な黒を意味している。
【0016】
図4において、それぞれ直交するL軸、a軸及びb軸により構成されるL*a*b*3次元色空間内に、細い黒文字のライン部分に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す領域210及び太い黒文字のライン部分に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す領域220を表している。
領域210は、L軸を中心としてL軸の正方向に凸状のドーム型形状を有している。領域210により示される分布は、細い黒文字のライン部分について、その中に現れる色のうち、純黒色と判断されるべき色、言い換えると、純黒色とみなす色の範囲を示している。
【0017】
領域220も、領域210と同様に、L軸を中心としてL軸の正方向に凸状のドーム型形状を有している。領域220により示される分布は、太い黒文字のライン部分について、その中に現れる色のうち、純黒色と判断されるべき色、言い換えると、純黒色とみなす色の範囲を示している。
領域210のドーム型形状の高さ(言い換えると、L軸の方向の領域210の長さ)は、領域220のドーム型形状の高さ(言い換えると、L軸の方向の領域220の長さ)より、高い。また、領域220のドーム型形状の底面(言い換えると、3次元色空間の原点を含むa−b平面における領域220の広がり)は、領域210のドーム型形状の底面(言い換えると、3次元色空間の原点を含むa−b平面における領域210の広がり)より、広い。
【0018】
さらに、言い換えると、領域210のL軸方向の広がりは、領域220のL軸の方向の広がりより大きく、逆に、領域220のL軸方向の広がりは、領域210のL軸の方向の広がりより小さい。
このように、細い黒文字のライン部分と太い黒文字のライン部分とでは、純黒色と判断されるべき色の範囲が異なっている。
【0019】
1.2 黒ライン補正の原理
図4に示すように、細い黒文字のライン部分と太い黒文字のライン部分とでは、純黒色と判断されるべき色の範囲が異なっている。言い換えると、文字や線図を構成するラインの太さに応じて、純黒色と判断されるべき色の範囲が異なっている。
そこで、様々な黒文字を構成するラインの太さ毎に、L*a*b*3次元色空間内の全ての位置について、その位置が上記の分布に含まれるか否かを記憶している3次元ルックアップテーブルを予め生成しておいて、装置内部に記憶しておく。次に、色判定を行うときに、最初に文字を構成するラインの太さを検出し、得られた太さに対応する3次元ルックアップテーブルを選択し、選択した3次元ルックアップテーブルを用いれば、適切な黒の範囲を決定することができる。
【0020】
しかし、文字を構成するラインの太さ毎に、3次元ルックアップテーブルを複数個記憶することになれば、テーブルを格納するためのメモリ容量が増加する。
図4の分布を見ると、領域210と領域220とは、相似形状ではないが、共にドーム型形状であり、一方のドーム型形状を拡大、縮小することにより、他方のドーム型形状を再現することができる。
【0021】
例えば、図5に示すように、領域210上のp点230に対して、L軸方向への縮小の演算及びa−b平面内での拡大の演算を施せば、p点230を、領域220上のq点240へ変換することができる。
この変換は、p点230をベクトル(Lp、ap、bp)で表し、q点240をベクトル(Lq、aq、bq)で表した場合に、ベクトルの変換である。ここで、ベクトル(Lp、ap、bp)及びベクトル(Lq、aq、bq)は、L*a*b*3次元色空間内における座標位置であり、これらの座標位置は、色を表している。
【0022】
次に、領域220に対応する太い黒文字を構成するラインの太さを基準ライン幅とし、領域220を基準黒領域(変換先の分布とも呼ぶ)とする。L*a*b*3次元色空間内の領域220内における全ての位置により表される全ての色に対応付けて、純黒色であることを示す判定値を記憶し、領域220外における全ての位置により表される全ての色に対応付けて、純黒色でないことを示す判定値を記憶している3次元ルックアップテーブル(基準テーブル)を予め1個だけ生成しておく。
【0023】
(a)黒ライン検出の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、2ドット)を第1候補ライン幅とし、この第1候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域210を第1候補領域(第1候補分布とも呼ぶ)とし、第1候補領域における第1ベクトルから基準黒領域における第1候補ベクトルへの変換を設定しておく。
第1候補ベクトルを上記のベクトル(Lq、aq、bq)とし、第1ベクトルを上記のベクトル(Lp、ap、bp)とすると、
Lq=Lp/α1
aq=ap×β1
bq=bp×β1
ここで、α1及びβ1は、それぞれ係数であり、α1>1、β1>1である。
【0024】
次に、基準テーブルを用いて、得られた第1候補ベクトル(Lq、aq、bq)により示される位置に対応する判定値を取得し、取得した判定値が、純黒色であることを示す場合に、当該対象黒文字の部分である画素について、純黒色を出力する。
(b)また、黒ライン検出の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さを(一例として、6ドット)を第2候補ライン幅とし、この第2候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域(図示していない)を第2候補領域(第2候補分布とも呼ぶ)とし、第2候補領域における第2ベクトルから基準黒領域における第2候補ベクトルへの変換を設定しておく。
【0025】
第2候補ベクトルをベクトル(Lr、ar、br)とし、第2ベクトルを上記のベクトル(Lp、ap、bp)とすると、
Lr=Lp×α2
ar=ap/β2
br=bp/β2
ここで、α2及びβ2は、それぞれ係数であり、α2>1、β2>1である。
【0026】
次に、基準テーブルを用いて、得られた変換ベクトル(Lr、ar、br)により示される位置に対応する判定値を取得し、取得した判定値が、純黒色であることを示す場合に、当該対象黒文字の部分である画素について、純黒色を出力する。
(c)さらに、黒ライン検出の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、4ドット)を対象ライン幅とする。この場合、対象ライン幅は、基準ライン幅と同一であるので、ベクトル変換を行う必要はない。ここで、変換の対象である位置ベクトルを上記のベクトル(Lp、ap、bp)とする。
【0027】
基準テーブルを用いて、得られた位置ベクトル(Lp、ap、bp)により示される位置に対応する判定値を取得し、取得した判定値が、純黒色であることを示す場合に、当該対象黒文字の部分の画素について、純黒色を出力する。
以上説明したように、ただ1個の基準テーブルを用いて、太さの異なる数種の文字に対して、適切な黒色の判定をして、純黒色の補正を行うことができる。
【0028】
1.3 MFP10の構成
MFP10は、図1に示すように、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナなどの機能を有する多機能複合装置(あるいは、単に、複合機とも呼ぶ。)である。MFP10は、黒ライン補正部100、画像入力部180及び画像出力部190を備えている。
紙原稿上に、3色のカラーにより表現された様々な文字、線図、写真などとともに、黒色により表現された文字、線図などが表示され、この原稿がセットされると、MFP10は、この原稿を読み取って、原色カラー画像データを取得し、取得した原色カラー画像データにおいて、文字を構成するライン部分の色(文字色と呼ぶ)を判別する。MFP10が文字色を判別する目的は次の通りである。黒文字や黒色で表現された線図については、黒置換(R=G=B)とし、純粋な黒として再現する。また、黒文字や黒色で表現された線図については、くっきりとコントラストを強調する。色文字については、彩度やカラーバランスを保てる範囲で強調する。
【0029】
画像入力部180は、原稿をカラーセンサを用いて読み取って、三原色に分解し、原色カラー画像データであるRGB信号を取得し、取得したRGB信号を黒ライン補正部100へ出力する。黒ライン補正部100は、原稿画像上のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する。画像出力部190は、黒ライン補正部100による画像処理後の処理画像データを紙などの媒体上に記録して出力する。
【0030】
黒ライン補正部100は、図2に示すように、ライン検出部111、色空間変換部104、生成部112、テーブル読出部107、3次元LUT108及び文字領域検出部110から構成されている。
ライン検出部111は、取得した原色カラー画像データから、原稿に表示された黒ラインに相当するライン形状の対象ライン画像を検出する。色空間変換部114は、検出した前記対象ライン画像に含まれる各対象画素の画素値を、明るさ及び色相によるL*a*b*3次元色空間ヘ変換して、L*a*b*3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する。生成部112は、生成した位置ベクトルに、前記3次元色空間において、対象黒領域(変換元の分布)から基準黒領域(変換先の分布)へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する。ここで、対象黒領域は、前記対象ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す。また、基準黒領域は、所定の基準ライン幅を有するライン形状の画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す。生成部112は、後述するように、複数のベクトル変換候補の中から、前記対象黒領域(変換元の分布)から前記基準黒領域(変換先の分布)への前記ベクトル変換を選択する
ライン検出部111は、2値化処理部101、エッジ検出部102、線幅検出部103から構成され、生成部112は、ベクトル変換部105及びセレクタ106から構成され、ベクトル変換部105は、ベクトル変換部105a及びベクトル変換部105bから構成されている。
【0031】
3次元LUT108は、図3にそのデータ構造の一例を示すように、色ベクトルと判定値の組を複数個含んで構成されている。3次元LUT108は、図4の領域220に対応している。3次元LUT108に含まれる全ての組は、図4に示すL*a*b*3次元色空間をできる限り網羅するように、L*a*b*3次元色空間内において離散的に選択された点に対応している。色ベクトルは、L*a*b*3次元色空間における1点における色を示し、対応する判定値は、当該点が基準黒領域に存在するか否かを示す。判定値が「1」である場合には、当該点は、基準黒領域に存在し、判定値が「0」である場合には、当該点は、基準黒領域外に存在する。つまり、当該点は、カラー領域に存在する。言い換えると、前記判定値は、対応する色ベクトルにより示されるL*a*b*3次元色空間内における位置の色が純黒色であるか否かを示す。
【0032】
2値化処理部101は、入力画像である原色カラー画像データに対して2値化処理を行う。
エッジ検出部102は、入力画像である原色カラー画像データからエッジを検出する。
線幅検出部103は、原色カラー画像データ上で、2値化処理の結果及び検出されたエッジを用いて、文字や線図を構成するラインの幅を対象ライン幅として検出する。言い換えると、原色カラー画像データ上で文字や線図を構成するライン形状のライン画像の中に、補正の対象となる画素が存在し、その補正の対象となる画素が存在する位置のライン画像のライン幅を検出する。ここで、補正の対象となる画素は、色空間変換部104及びベクトル変換部105における変換の対象となる。線幅検出部103は、前記対象ライン幅として、少なくとも1ドット幅及び2ドット幅を検出する。次に、検出した対象ライン幅をセレクタ106へ出力する。
【0033】
色空間変換部104は、原色カラー画像データであるRGB信号上の各画素の画素値に対して、明るさ及び色相による3次元色空間への変換を行う。一例として、L*a*b*色空間におけるLab信号を出力する。なお、L*a*b*3次元色空間について、またRGB信号からL*a*b*3次元色空間のL*a*b*信号への変換については、公知であるため、詳細の説明を省略する。色空間変換部104は、L*a*b*信号を位置ベクトルとして、セレクタ106、ベクトル変換部105a及びベクトル変換部105bへ出力する。
【0034】
ベクトル変換部105aは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字又は対象黒線図を構成するラインの太さ(一例として、2ドットである)を第1候補ライン幅とし、この第1候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域210(図4に示す)を第1候補領域(第1候補分布とも呼ぶ)とし、この第1候補領域から基準黒領域である領域220へのベクトル変換を行う。
【0035】
ベクトル変換部105aは、次の式により、位置ベクトルとしてのL*a*b*信号を変換する。位置ベクトルであるL*a*b*信号を(Lin、ain、bin)と表現し、変換後の第1候補ベクトルであるL*a*b*信号を(Lout1、aout1、bout1)と表現する。
Lout1 = Lin / α1
aout1 = ain × β1
bout1 = bin × β1
ここで、α1及びβ1は、それぞれ係数であり、α1>1、β1>1である。
【0036】
次に、ベクトル変換部105aは、第1候補ベクトルであるL*a*b*信号(Lout1、aout1、bout1)をセレクタ106へ出力する。
ベクトル変換部105bは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字又は対象黒線図を構成するラインの太さ(一例として、6ドットである)を第2候補ライン幅とし、この第2候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域(図示していない)を第2候補領域(第2候補分布とも呼ぶ)とし、この第2候補領域から基準黒領域である領域220へのベクトル変換を行う。
【0037】
ベクトル変換部105bは、次の式により、位置ベクトルとしてのL*a*b*信号を変換する。位置ベクトルであるL*a*b*信号を(Lin、ain、bin)と表現し、変換後の第2候補ベクトルであるL*a*b*信号を(Lout2、aout2、bout2)と表現する。
Lout2 = Lin × α2
aout2 = ain / β2
bout2 = bin / β2
ここで、α2及びβ2は、それぞれ係数であり、α2>1、β2>1である。
【0038】
次に、ベクトル変換部105bは、第2候補ベクトルであるL*a*b*信号(Lout2、aout2、bout2)をセレクタ106へ出力する。
セレクタ106は、線幅検出部103から対象ライン幅を受け取り、色空間変換部104から位置ベクトルであるL*a*b*信号(Lin、ain、bin)を受け取り、ベクトル変換部105a及び105bからそれぞれ第1及び第2候補ベクトルであるL*a*b*信号(Lout1、aout1、bout1)及び(Lout2、aout2、bout2)を受け取る。
【0039】
セレクタ106は、線幅検出部103から受け取る対象ライン幅に応じて、受け取った3個のL*a*b*信号のうち、つまり、位置ベクトル及び2個の第1及び第2候補ベクトルのうち、いずれを選択すべきかを記憶している。具体的には、セレクタ106は、第1候補ライン幅、第2候補ライン幅及び基準ライン幅を予め記憶している。
セレクタ106は、受け取った対象ライン幅を、前記第1候補ライン幅、前記第2候補ライン幅及び前記基準ライン幅と比較する。次に、比較結果に基づいて、前記対象ライン幅と前記第1候補ライン幅との差が第1閾値より小さい場合には、前記第1候補ベクトルを選択する。前記対象ライン幅と前記基準ライン幅との差が第2閾値より小さい場合には、前記位置ベクトルを選択する。前記対象ライン幅と前記第2候補ライン幅との差が第3閾値より小さい場合には、前記第2候補ベクトルを選択する
ここで、一例として、第1候補ライン幅を2ドットとし、基準ライン幅を4ドットとし、第2候補ライン幅を6ドットとする。また、第1閾値が「2」であり、第2閾値が「1」であり、第3閾値が「2」であるとする。
【0040】
例えば、対象ライン幅が、4ドットの場合は、基準ライン幅と対象ライン幅との差は、「0」であり、第2閾値「1」より小さいので、色空間変換部104から受け取った位置ベクトルであるL*a*b*信号(Lin、ain、bin)を選択する。
また、対象ライン幅が、1ドット以上、3ドット以下の場合は、第1候補ライン幅と対象ライン幅との差は、「1」又は「0」であり、第2閾値「2」より小さいので、ベクトル変換部105aから受け取った第1候補ベクトルであるL*a*b*信号(Lout1、aout1、bout1)を選択する。
【0041】
さらに、対象ライン幅が、5ドット以上、7ドット以下の場合は、第2候補ライン幅と対象ライン幅との差は、「1」又は「0」であり、第3閾値「2」より小さいので、ベクトル変換部105bから受け取った第2候補ベクトルであるL*a*b*信号(Lout2、aout2、bout2)を選択する。
こうして選択されたベクトルを変換ベクトルと呼ぶ。次に、セレクタ106は、変換ベクトルである選択したL*a*b*信号をテーブル読出部107へ出力する。
【0042】
テーブル読出部107は、セレクタ106から変換ベクトルであるL*a*b*信号を受け取り、受け取った変換ベクトルであるL*a*b*信号と同一のベクトルを3次元LUT108の色ベクトルから検索し、同一のベクトルに対応する判定値を読み出し、読み出した判定値を文字領域検出部110へ出力する。
文字領域検出部110は、線幅検出部103から対象ライン幅を受け取り、テーブル読出部107から判定値を受け取る。判定値が「1」である場合には、当該文字又は線図の画素を純黒色として扱う。つまり、読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、当該画素に対して純黒色を出力する。判定値が「0」である場合には、当該文字をカラーとして扱う。このように、文字領域検出部110は、判定値に応じた色処理をし、色処理が施された処理画像データを画像出力部190へ出力する。
【0043】
1.4 黒ライン補正部100の動作
黒ライン補正部100の動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
画像入力部180は、原稿上の原稿画像を読み取って原色カラー画像データであるRGB信号を取得する(S101)。
2値化処理部101は、原色カラー画像データに対して2値化処理を行う(S102)。また、エッジ検出部102は、原色カラー画像データからエッジを検出する(S103)。線幅検出部103は、対象ライン幅を検出する(S104)。
【0044】
色空間変換部104は、RGB信号をL*a*b*信号に変換する(S105)。次に、ベクトル変換部105aは、L*a*b*信号を変換してL*a*b*信号(Lout1、aout1、bout1)を出力する(S106)。また、ベクトル変換部105bは、L*a*b*信号を変換してL*a*b*信号(Lout2、aout2、bout2)を出力する(S107)。
【0045】
次に、セレクタ106は、線幅検出部103から受け取った対象ライン幅に応じて、受け取った3個のL*a*b*信号のうち、1個のL*a*b*信号を選択する(S108)。テーブル読出部107は、3次元LUT108から同一のベクトルに対応する判定値を読み出す(S109)。
文字領域検出部110は、判定値が「1」である場合には(S110)、当該文字を黒色として扱う(S113)。判定値が「0」である場合には(S110)、当該文字をカラーとして扱う(S112)。
【0046】
2.その他の変形例
(1)ベクトル変換部105のベクトル変換部105a及びベクトル変換部105bは、L*a*b*3次元色空間における少なくとも1軸方向へのシフト演算を含むとしてもよい。また、L軸方向、a軸方向、b軸方向のいずれか、又はこれらのいずれかの組合せ方向へのシフト演算を含むとしてもよい。
【0047】
これにより、ドーム型形状が、L軸方向、a軸方向、b軸方向のいずれか、又はこれらのいずれかの組合せ方向へのシフトも可能となる。
(2)3次元色空間は、YCrCb色空間であるとしてもよい。
(3)検出の対象は、黒文字には限定されない。検出の対象は、3色のカラー及び黒色により表現された直線、円、楕円、多角形などの線画であるとしてもよい。
【0048】
文字を形成する書体がゴシック体である場合のように、文字を構成する一本のラインの幅が、ラインの開始点から終了点まで、変化しない場合においても、適用できる。
また、文字を形成する書体が明朝体である場合のように、文字を構成する一本のラインの幅が、ラインの開始点から終了点までにおいて、変化する場合においても、適用できる。それは、色空間変換部104は、原色カラー画像データ上の一つの画素の画素値を、明るさ及び色相によるL*a*b*3次元色空間ヘ変換し、線幅検出部103は、その画素が存在する位置のライン画像のライン幅を検出するからである。ライン幅がラインの途中で変化する場合には、線幅検出部103は、その画素が存在する位置におけるライン画像のライン幅を出力する。
【0049】
直線、円、楕円、多角形などの線画の場合に、線画を構成する一本のラインの幅が、ラインの開始点から終了点までにおいて、変化する場合においても、同様に、適用できる。
(4)上記の実施の形態では、ベクトル変換部105は、ベクトル変換部105a及びベクトル変換部105bから構成され、ベクトル変換部105aは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、2ドットである)を第1候補ライン幅とし、この第1候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域210(図4に示す)を第1候補領域とし、この第1候補領域から基準黒領域である領域220への変換を行う。ベクトル変換部105bは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、6ドットである)を第2候補ライン幅とし、この第2候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域(図示していない)を第2候補領域とし、この第2候補領域から基準黒領域である領域220への変換を行うとしているが、これには限定されない。
【0050】
例えば、ベクトル変換部105は、ベクトル変換部105a及びベクトル変換部105bに加えて、さらに、ベクトル変換部105c及びベクトル変換部105dを含むとしてもよい。ここで、ベクトル変換部105cは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、1ドットである)を第3候補ライン幅とし、この第3候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域(図示していない)を第3候補領域(第3候補分布とも呼ぶ)とし、この第3候補領域から基準黒領域である領域220への変換を行う。ベクトル変換部105dは、純黒色の補正の対象となる対象黒文字を構成するラインの太さ(一例として、5ドットである)を第4候補ライン幅とし、この第4候補ライン幅に対応するドーム型形状の領域(図示していない)を第4候補領域(第4候補分布とも呼ぶ)とし、この第4候補領域から基準黒領域である領域220への変換を行う。
【0051】
また、ベクトル変換部105は、ベクトル変換部105aのみを含むとしてもよい。
(5)上記の実施の形態では、領域220に対応する太い黒文字を構成するラインの太さ(一例として、4ドット)を基準ライン幅とし、領域220を基準黒領域としているが、これには限定されない。他の太さを基準ライン幅とし、これに対応する領域を基準黒領域としてもよい。
(6)上述したように、本発明は、原稿画像から読み取ったライン上に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置であって、黒ラインを含む原稿画像をカラーセンサを用いて三原色に分解して原色カラー画像データを取得する取得手段と、取得した原色カラー画像データから前記黒ラインに相当するライン形状の対象画像を検出するライン検出手段と、前記対象画像の各対象画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換手段と、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記対象画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す対象黒領域から、所定の基準ライン幅を有するライン形状の画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す基準黒領域へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成手段と、前記3次元色空間内の各位置について、前記基準黒領域内にあればその色が純黒色であることを示し、前記基準黒領域外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段と、前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出手段と、読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記対象画素に対して純黒色を出力する色出力手段とを備える。
【0052】
ここで、前記生成手段は、複数のベクトル変換候補の中から、前記対象黒領域から前記基準黒領域への前記ベクトル変換を選択するとしてもよい。
ここで、前記ライン検出部は、前記対象画像の対象ライン幅を検出し、前記生成手段は、生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、第1候補ライン幅を有するライン形状の画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す第1候補黒領域から、前記基準黒領域へのベクトル変換を施して、第1候補ベクトルを生成し、第2候補ライン幅を有するライン形状の画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布を示す第2候補黒領域から、前記基準黒領域へのベクトル変換を施して、第2候補ベクトルを生成するベクトル変換手段と、前記対象ライン幅を、前記第1候補ライン幅、前記第2候補ライン幅及び前記基準ライン幅と比較し、比較結果に基づいて、前記位置ベクトル、前記第1候補ベクトル及び前記第2候補ベクトルから1個を選択して、前記変換ベクトルとする選択手段と、を含むとしてもよい。
【0053】
ここで、前記選択手段は、前記対象ライン幅と前記第1候補ライン幅との差が第1閾値より小さい場合には、前記第1候補ベクトルを選択し、前記対象ライン幅と前記基準ライン幅との差が第2閾値より小さい場合には、前記位置ベクトルを選択し、前記対象ライン幅と前記第2候補ライン幅との差が第3閾値より小さい場合には、前記第2候補ベクトルを選択するとしてもよい。
【0054】
ここで、前記第1候補ライン幅は、前記基準ライン幅より小さく、前記第2候補ライン幅は、前記基準ライン幅より大きいとしてもよい。
ここで、前記基準黒領域、前記第1候補黒領域及び前記第2候補黒領域は、それぞれ、前記3次元色空間内において、明るさに対応する軸方向に凸ドーム型形状を有し、第1候補黒領域の明るさに対応する軸方向への広がりは、前記基準黒領域の明るさに対応する軸方向への広がりより、大きく、第2候補黒領域の明るさに対応する軸方向への広がりは、前記基準黒領域の明るさに対応する軸方向への広がりより、小さいとしてもよい。
【0055】
ここで、前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記位置ベクトルを構成する要素に対して、係数を乗じて、各変換ベクトルを算出するとしてもよい。
ここで、前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記3次元色空間における少なくとも1軸方向へのシフト演算を含むとしてもよい。
ここで、前記ライン検出手段は、少なくとも1ドット幅又は2ドット幅のライン形状の対象画像を検出するとしてもよい。
(7)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、カラースキャナにより取得され、3色のカラーにより表現された写真や文字とともに、黒色の文字や黒色の線図も含む原色カラー画像データにおいて、本来黒色で表現される文字や線図に対し、当該文字や線図を構成するライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する場合に有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 MFP
100 黒ライン補正部
101 2値化処理部
102 エッジ検出部
103 線幅検出部
104 色空間変換部
105 ベクトル変換部
105a ベクトル変換部
105b ベクトル変換部
106 セレクタ
107 テーブル読出部
108 3次元LUT
110 文字領域検出部
111 ライン検出部
112 生成部
180 画像入力部
190 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置であって、
黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得手段と、
取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出手段と、
前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換手段と、
生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成手段と、
前記3次元色空間内の各位置について、変換先の前記分布内にあればその色が純黒色であることを示し、変換先の前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段と、
前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出手段と、
読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力手段と
を備えることを特徴とする黒ライン補正装置。
【請求項2】
前記生成手段は、複数のベクトル変換の中から、変換元の前記分布から変換先の前記分布への前記ベクトル変換を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の黒ライン補正装置。
【請求項3】
前記ライン検出部は、前記ライン画像のライン幅を検出し、
前記生成手段は、
生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、第1候補ライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の第1候補分布から、変換先の前記分布へのベクトル変換を施して、第1候補ベクトルを生成し、第2候補ライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の第2候補分布から、変換先の前記分布へのベクトル変換を施して、第2候補ベクトルを生成するベクトル変換手段と、
検出した前記ライン幅を、前記第1候補ライン幅、前記第2候補ライン幅及び変換先の前記分布の元になった前記ライン画像の基準ライン幅と比較し、比較結果に基づいて、前記位置ベクトル、前記第1候補ベクトル及び前記第2候補ベクトルから1個を選択して、前記変換ベクトルとする選択手段と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の黒ライン補正装置。
【請求項4】
前記選択手段は、検出した前記ライン幅と前記第1候補ライン幅との差が第1閾値より小さい場合には、前記第1候補ベクトルを選択し、検出した前記ライン幅と前記基準ライン幅との差が第2閾値より小さい場合には、前記位置ベクトルを選択し、検出した前記ライン幅と前記第2候補ライン幅との差が第3閾値より小さい場合には、前記第2候補ベクトルを選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の黒ライン補正装置。
【請求項5】
前記第1候補ライン幅は、前記基準ライン幅より小さく、前記第2候補ライン幅は、前記基準ライン幅より大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の黒ライン補正装置。
【請求項6】
変換先の前記分布、前記第1候補分布及び前記第2候補分布は、それぞれ、前記3次元色空間内において、明るさに対応する軸方向に凸ドーム型形状を有し、
第1候補分布の明るさに対応する軸方向への広がりは、変換先の前記分布の明るさに対応する軸方向への広がりより、大きく、
第2候補分布の明るさに対応する軸方向への広がりは、変換先の前記分布の明るさに対応する軸方向への広がりより、小さい
ことを特徴とする請求項5に記載の黒ライン補正装置。
【請求項7】
前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記位置ベクトルを構成する要素に対して、係数を乗じて、各ベクトルを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の黒ライン補正装置。
【請求項8】
前記ベクトル変換手段における各ベクトル変換は、前記3次元色空間における少なくとも1軸方向へのシフト演算を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の黒ライン補正装置。
【請求項9】
前記ライン検出手段は、少なくとも1ドット幅又は2ドット幅のライン画像を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の黒ライン補正装置。
【請求項10】
前記3次元色空間は、L*a*b*色空間又はYCrCb色空間である
ことを特徴とする請求項1に記載の黒ライン補正装置。
【請求項11】
読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する画像形成装置であって、
黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得手段と、
取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出手段と、
前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換手段と、
生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成手段と、
前記3次元色空間内の各位置について、変換先の前記分布内にあればその色が純黒色であることを示し、変換先の前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段と、
前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出手段と、
読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
読み取った原稿画像中のライン画像内に現れるカラー部分を純黒色に補正する黒ライン補正装置により用いられる黒ライン補正方法であって、
前記黒ライン補正装置は、明るさ及び色相による3次元色空間内の各位置について、所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布内にあればその色が純黒色であることを示し、前記分布外にあればその色が純黒色でないことを示す判定値を記憶しているテーブル記憶手段を備え、
前記黒ライン補正方法は、
黒ラインを含む原稿を読み取りカラーセンサを用いて三原色に分解してカラー画像データを取得する取得ステップと、
取得したカラー画像データから前記黒ラインに相当するライン画像を検出するライン検出ステップと、
前記ライン画像中の各画素の画素値を、明るさ及び色相による3次元色空間ヘ変換して、当該3次元色空間における位置により色を表した位置ベクトルを生成する色空間変換ステップと、
生成した前記位置ベクトルに、前記3次元色空間において、前記ライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布から、前記所定のライン幅を有するライン画像上に現れる色のうち純黒色とみなす色の分布へのベクトル変換を施して、変換ベクトルを生成する生成ステップと、
前記テーブル記憶手段から、前記変換ベクトルが示す位置に対応する判定値を読み出す読出ステップと、
読み出した前記判定値が純黒色であることを示す場合に、前記画素に対して純黒色を出力する色出力ステップと
を含むことを特徴とする黒ライン補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−124815(P2011−124815A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281113(P2009−281113)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】