説明

黒色導電性ペースト組成物、これを含む電磁波遮蔽用フィルターおよび表示装置

【課題】グラビアオフセット印刷方法により、プラズマディスプレイパネル等の電磁波を遮蔽するための電磁波遮蔽用フィルターを製造する際に有用であり、特に低温焼成効果および印刷特性の低下を防止し得る黒色導電性ペースト組成物、これを利用した電磁波遮蔽用フィルターおよびこれを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の黒色導電性ペースト組成物は、a)高分子樹脂およびモノマーまたはオリゴマー、b)溶剤、c)ガラス粉末、d)導電性物質およびe)黒色顔料を含み、前記導電性物質は、平均粒径が0.5〜5μmの導電性金属粉末、および平均粒径が0.02〜0.09μmの導電性微粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルなどの表示装置用電磁波遮蔽用フィルターに適用され、低温焼成が可能であり、接着力と電気抵抗に優れてパターンの品質向上、印刷性および連続工程の向上をはかり、プラズマディスプレイの外形特性の低下を防止できる黒色導電性ペースト組成物、これを利用した電磁波遮蔽用フィルター、およびこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、多様な種類の表示装置が開発されている。例えば、プラズマ表示装置(Plasma Display Panel、PDP)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、および有機発光表示装置(Organic Light Emission Display、OLED)等が開発されている。これらの表示装置は、厚さが薄く、重量が軽いことから、画像表示が必要な多くの製品に用いられている。
【0003】
一方、表示装置に含まれる多数の電子素子からはEMI(ElectroMagnetic Interference、電磁波妨害)が放出される。EMIは表示装置の誤作動を起こしたり、人体に害を及ぼす。したがって、EMIを遮蔽するように表示装置に電磁波遮蔽用フィルターが取り付けられる。
【0004】
従来の電磁波遮蔽フィルター用印刷用組成物は、一般に、アクリレート高分子樹脂、溶剤、導電性金属および黒色顔料などを含む。しかしながら、これら従来の印刷用組成物のほとんどは樹脂基板に適用されるものであるため、前記印刷用組成物を樹脂基板に接着したり、前記樹脂基板の表面に別途のコーティング層を付加しなければならないなどの不都合さがあり(そのため、前記印刷用組成物が適用された電磁波遮蔽フィルターの厚さ減少にも限界がある)、前記接着剤または別途のコーティング層などに由来する高分子樹脂などの有機物がそのまま残存するという問題があった。
【0005】
そのため、ガラス基板に適用可能な電磁波遮蔽フィルター用印刷用組成物を開発しようとする努力が行われている。その中で、オフセット工程を利用してペースト組成物をガラス基板に適用する方法が一部知られている。
【0006】
前記オフセット工程を利用してガラス基板にペースト組成物を適用する場合、EMIメッシュパターンが形成可能である。しかしながら、従来のオフセット工程に用いられる銀ペースト組成物の場合、導電性物質の平均粒径が0.5〜30μmの粉末を単独で用いるため、これを500℃以下で低温焼成する場合、緻密なパターンを得にくく、電気抵抗が高くなるという問題があった。したがって、導体の電気抵抗を低くするためには高温での焼成を必要としていた。また、従来の組成物の場合、適切な接着力を与えるためにはガラスフリットの軟化を必要とすることからも、高温での焼成が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はオフセット工程の適用時に、低温焼成が可能な電磁波遮蔽フィルター用黒色導電性ペースト組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は基板に対する接着力および電気抵抗に優れた電磁波遮蔽フィルターの提供を可能にする黒色導電性ペースト組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた、前記黒色導電性ペースト組成物をガラス基板に印刷し焼成することにより形成される電磁波遮蔽用フィルターを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は前記黒色導電性ペースト組成物を利用して形成された電磁波遮蔽部材を含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、a)高分子樹脂およびモノマーまたはオリゴマー、b)溶剤、c)ガラス粉末、d)導電性物質、およびe)黒色顔料を含み、前記導電性物質が、平均粒径0.5〜5μmの導電性金属粉末、および平均粒径0.02〜0.09μmの導電性微粒子を含む黒色導電性ペースト組成物を提供する。
【0012】
このような黒色導電性ペースト組成物は、プラズマディスプレイパネルなどの表示装置に適用される電磁波遮蔽フィルター用ペースト組成物であって、好ましくは、ガラス基板に前記黒色導電性ペースト組成物を印刷(例えば、オフセット印刷)し、400〜550℃で15〜30分間低温焼成することで、表示装置用電磁波遮蔽フィルターとすることができる。
【0013】
前記ペースト組成物は、高分子樹脂およびモノマーまたはオリゴマーを5〜15重量部、溶剤を5〜15重量部、ガラス粉末を1〜10重量部、導電性物質を50〜90重量部、および黒色顔料1〜10を重量部含むことが好ましい。また、このような本発明のペースト組成物は、変性アクリルブロック共重合体、アルキロールアンモニウム塩ポリマー、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体、アクリル系ブロック共重合体、フッ化アルキルオリゴマー、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、および変性ポリウレタンからなる群より選択される1種以上の分散剤0.05〜1重量部をさらに含むことが好ましい。
【0014】
本発明はまた、ガラス基板および前記ガラス基板上にメッシュ形状に形成された電磁波遮蔽部材を含み、前記電磁波遮蔽部材は、前記黒色導電性ペースト組成物を前記ガラス基板に印刷し、400〜550℃で15〜30分間低温焼成することにより形成されたものである電磁波遮蔽用フィルターを提供する。
【0015】
また、本発明はガラス基板、前記ガラス基板上にメッシュ形状に形成された電磁波遮蔽部材、および前記ガラス基板に対向する画像表示パネルを含み、前記電磁波遮蔽部材は前記黒色導電性ペースト組成物を前記ガラス基板に印刷し、400〜550℃で15〜30分間低温焼成することにより形成されたものである表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の黒色導電性ペースト組成物は、特定の導電性物質を含むことによって、印刷特性を低下させることなく電気抵抗を下げ、接着力などを向上させることができる。したがって、本発明によれば、メッシュパターンの形態、線幅および厚さが均一で品質に優れた電磁波遮蔽フィルターが提供される。また、このような電磁波遮蔽フィルターは、表示装置に適用されて光学特性をさらに向上させることができる。
【0017】
また、前記黒色導電性ペースト組成物は黒色顔料とガラス粉末とを含み、ガラス上に直接印刷が可能なグラビアオフセット印刷方法を用いることができるばかりでなく、焼成工程を通して有機物を除去可能である。
【0018】
そのため、本発明によれば、他の工程に比べて製造工程が簡単でかつ廉価なオフセット印刷法を用いて、連続工程で電磁波遮蔽用フィルターを製造することができる。また、外形品質に優れた電磁波遮蔽用フィルターを備えた表示装置を製造する場合、表示装置の電磁波遮蔽効果を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による電磁波遮蔽用フィルターの概略的な斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿って切断した部分断面図である。
【図3】図1の電磁波遮蔽用フィルターの製造方法を示す概略的な図である。
【図4】図1の電磁波遮蔽用フィルターを備えた表示装置の概略的な斜視図である。
【図5】図4のV-V線に沿って切断した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、パターンの外形品質に優れて連続工程の向上をはかることができ、また、印刷性、接着力、電気抵抗および光学的特性に優れた電磁波遮蔽フィルターの提供を可能にする黒色導電性ペースト組成物およびこれを利用して表示装置の電磁波遮蔽フィルターを提供する方法に関する。
【0021】
本発明者らの実験の結果、ペースト組成物に通常の導電性金属粉末以外に導電性微粒子を少なくとも1種以上含むことで、オフセット印刷工程においてペーストの低温焼成が可能であることを確認した。特に、前記導電性微粒子を使用する場合、驚くべきことに導体膜の緻密化効果を増加させることができ、これによって電気抵抗値を低くすることができることを発見した。
【0022】
したがって、本発明の黒色導電性ペースト組成物を用いてガラス基板に印刷後、焼成する場合、低温焼成によって形成された電磁波遮蔽フィルターは形態、厚さおよび線幅が一定のメッシュパターンを含み、特に電気抵抗値に優れるため、プラズマディスプレイの特性を向上させることができ、また、品質向上と共に連続工程の向上をはかることができる。
【0023】
このような本発明の黒色導電性ペースト組成物は、前記導電性物質は導電性金属粉末および導電性微粒子を含む。前記導電性金属粉末は銀、銅、ニッケル、金、白金およびこれらの合金からなる群より選択される1種を含むことが好ましい。また、これらの導電性金属粉末の形状は、球状、板状、塊状、棒状、あるいは粒子状等であることができ、印刷性および導電ペーストの分散性を良くする観点からは、粒子状および凝集性が少なく、分散性が良い球状粉末が望ましく用いられる。
【0024】
前記導電性金属に使用される金属粉末の大きさは、平均粒径が0.5〜5μmであることが好ましい。前記金属粉末の平均粒径が0.5μm未満と小さすぎる場合、分散が難しくなり、ペースト組成物が高い粘度を有したり、ゲル化することがあるため、印刷特性が低下し、前記ペースト組成物の印刷により良好なパターンを形成し難い場合がある。また、前記金属粉末が5μmを超える場合には、前記ペースト組成物を印刷して形成されたパターン内に前記金属粉末が均一に満たされないため、電磁波遮蔽フィルターが均一な電磁波遮蔽性能を示し難く、パターン内にホールなどが発生するために望ましいパターンおよび電磁波遮蔽フィルターを形成できない場合がある。これに対して、前記金属粉末の平均粒径が、0.5〜5μmの場合には、前記ペースト組成物の印刷特性および電磁波遮蔽性能をさらに向上させることができ、前記パターン内にホールが発生するのを防止し得る。
【0025】
前記導電性金属粉末は分散性、印刷性およびパターンの緻密度を考慮して、比表面積が0.5〜4.5m/gであることが好ましい。
【0026】
また、前記導電性微粒子は、前記導電性金属粉末と同様に銀、銅、ニッケル、金、白金およびこれらの合金からなる群より選択される1種以上の微粒子であることが好ましい。
【0027】
前記導電性微粒子の平均粒径は0.02〜0.09μmであることが好ましい。粒径が0.02μm未満であれば粒径が微細すぎるために、ペースト内に凝集が生じる場合があり、0.09μmを超えると、緻密なパターンを形成しがたく、低温焼結効果が減少するために、電気抵抗が高くなる場合がある。
【0028】
前記導電性微粒子は、印刷性および低温焼結効果を考慮して、比表面積が3〜50m/gであることが好ましい。比表面積が3m/g未満であると、粒子が大きすぎて低温焼成時、焼結促進効果が低下する場合があり、50m/gを超えると、粒子が微細になってペーストの分散性および印刷性が低下する場合がある。
【0029】
導電性微粒子の平均粒径は、レーザー回折法による粒度分析測定装置、またはTEM(透過型電子顕微鏡)によって撮影した金属微粒子の写真から測定できる。
【0030】
また、前記導電性物質は、導電性金属粉末100重量部に対して導電性微粒子を3〜25重量部で含むことが好ましい。前記導電性微粒子の含有量が3重量部未満であると、低温焼成効果および印刷パターンの緻密化効果が減少する傾向があり、25重量部を超えると導電微粒子が多すぎるために凝集が生じやすくなり、印刷特性が低下して良好なパターンを得難くなる場合がある。
【0031】
また、本発明の黒色導電性ペースト組成物は、前記導電性物質を50〜90重量部の量で含むことが好ましい。導電性物質の含有量が50重量部未満であると電気抵抗の増加によって電磁波遮蔽性能が低下する傾向があり、90重量部を超えるとペーストの粘度の上昇によって分散が難しくなり、印刷特性が低下することがある。
【0032】
本発明の黒色導電性ペースト組成物において、前記高分子樹脂としてはメチルアクリレート(methyl acrylate、MA)、ブチルメタクリレート(butyl methacrylate、BM)、ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、メチルメタクリレート(methylmethacrylate、MMA)、エチルアクリレート(ethyl acrylate、EA)、エチルヘキシルアクリレート(ethylhexylacrylate)、ノニルアクリレート(nonyl acrylate)、およびこれらのメタクリレートからなる群より選択されるいずれか一つの重合体または二つ以上の共重合体が好適に用いられる。また、前記高分子樹脂として、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールからなる群より選択される1種以上も好適に用いることができる。
【0033】
好ましくは、前記前記高分子樹脂としてとして、メチルアクリレート:ブチルメタクリレート:ヒドロキシルメタクリレート:メチルメタクリレートを、10〜30:30〜60:10〜20:10〜20の重量比で共重合したアクリレート高分子樹脂が用いられる。ただし、前記アクリレート高分子樹脂はこれに限定されるものではなく、その他、電磁波遮蔽フィルター用導電性ペースト組成物に結合剤樹脂として使用可能な任意の公知のアクリレート高分子樹脂等を特別な制限なしに用いることができる。
【0034】
かかるアクリレート高分子樹脂は、前記黒色導電性ペースト組成物の他の成分、すなわち、ガラス粉末、導電性金属、および黒色顔料などを均一に分散させて、前記黒色導電性ペースト組成物から形成された電磁波遮蔽フィルターに均一な電磁波遮蔽性能および光学的特性を付与する役割を有する。
【0035】
前記アクリレート高分子樹脂は重量平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜60,000であることがより好ましい。前記アクリレート高分子樹脂の重量平均分子量が5,000未満である場合、高分子のガラス転移温度が低くて高分子の流動特性が増加するために、前記黒色導電性ペースト組成物の印刷工程(例えば、グラビアオフセット印刷工程)の際、グラビア溝からブランケットへのパターン伝達が難しくなる場合がある。一方、分子量が100,000を超えると、高分子の弾性特性が過大となって、グラビア溝への組成物の投入が難しくなる場合がある。
【0036】
前記モノマーまたはオリゴマーは、アクリレート系化合物、アルコキシド系化合物、ジメチルスルホキシド、および不飽和ポリエステル系化合物からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0037】
前記モノマーまたはオリゴマーの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、エチルトリグリコールメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、ウレタンアクリレート、ラウリルアクリレート、オリゴエーテルアクリレート(Oligoether acrylate)、ポリエーテルアクリレート系化合物、ポリエステルアクリレート系化合物、シリコンアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート変性カプロラクトン(Neopentylglycolhydroxypivalate diacrylate modified caprolactone)、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート(Pentaerythritol triacylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート変性エチレンオキシド(modified EO)、トリメチロールプロパントリアクリレート変性ポリプロピレンオキシド(modified PO)、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(Dipentaerythritol hexaacrylate)変性カプロラクトン(modified caprolactone)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシル化トリアクリレート(Pentaerythritolethoxylated Triacrylate)、ウレタンメタクリレート、ラウリルメタクリレート、オリゴエーテルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート系化合物、ポリエステルメタクリレート系化合物、シリコンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールエトキシル化トリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAエトキシル化ジメタクリレート(Bisphenol A ethoxylated Dimethacrylate)、トリメチロールプロパンエトキシレート(4/15 EO/OH)、トリメチロールプロパンエトキシレート(20/3 EO/OH)、トリメチロールプロパンプロポキシレート(1 PO/OH)、ジメチルスルホキシドおよび不飽和ポリエステルからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。前記ジメチルスルホキシドは一般に溶剤として用いられるが、本発明においては、モノマーの代替としても利用可能である。前記モノマーまたはオリゴマーは、ウレタンアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート変性エチレンオキシド、トリメチロールプロパントリアクリレート変性プロピレンオキシド、およびビスフェノールAエトキシル化ジメタクリレートからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0038】
また、前記モノマーまたはオリゴマーは、前記した例に特に限定されるものではなく、オフセット工法で乾燥を防止し、ペーストの転移性を向上させることができ、電磁波遮蔽フィルター用導電性ペースト組成物に使用可能な任意のモノマーやオリゴマーも使用できる。
【0039】
このようなモノマーまたはオリゴマーの含有量は、アクリレート高分子樹脂とモノマーまたはオリゴマーの総合計に対して、10〜90重量部であることが好ましい。したがって、アクリレート高分子樹脂:モノマーまたはオリゴマーの重量比は10:90〜90:10とすることが好ましい。前記モノマーまたはオリゴマーの含有量が10重量部未満であると乾燥防止効果が減少し、ペースト組成物の乾燥速度が速くなる場合があり、90重量部を超えるとペースト組成物の弾性が減少してパターンの広がり現象が深刻化したり、印刷性が悪化して、形状を保持できない場合がある。
【0040】
また、ペースト組成物全体に対する前記高分子樹脂およびモノマーまたはオリゴマーの含有量は、5〜15重量部であることが好ましい。前記アクリレート高分子樹脂とモノマーまたはオリゴマーの含有量が5重量部未満であるとペースト組成物の弾性減少によって印刷工程時に問題が発生する可能性があり、15重量部を超えると前記ペースト組成物で形成されたパターンの電気抵抗が増加する場合がある。
【0041】
前記黒色導電性ペースト組成物において、溶剤は他の成分を溶解させるための媒質であって、ペースト組成物全体に対して、5〜15重量部で含まれることが好ましい。前記溶剤の含有量が5重量部未満であるとペースト組成物の乾燥速度が速くなって、連続印刷を進行し難くなる場合があり、15重量部を超えるとペースト組成物の粘度が低くなって印刷性が悪化する場合がある。
【0042】
このような溶剤としては、電磁波遮蔽フィルター用導電性ペースト組成物に使用可能である任意の公知の溶剤を特別な制限なしに使用できるが、沸点が200℃以上である高沸点溶剤を少なくとも1種以上と、沸点が200℃未満である低沸点溶剤の少なくとも1種以上とを含むことが好ましい。
【0043】
前記高沸点溶剤および低沸点溶剤を共に含むことによって、前記ペースト組成物の粘度および流動性を望ましい水準に維持することができる。そのため、前記ペースト組成物をガラス基板に印刷する工程で前記ペースト組成物のパターンへの転移が容易になるだけでなく、パターンの広がり現象が抑制されてパターンの直進度をより向上することができる。
【0044】
前記高沸点溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、ブチルカルビトールアセテート、カルビトール、メトキシメチルエーテルプロピオン酸塩、およびテピノールからなる群より選択される1種以上の溶剤が使用でき、その他にも、200℃以上の沸点を有し、かつ電磁波遮蔽フィルター用導電性ペースト組成物に使用可能である任意の公知の有機溶剤を用いることができる。
【0045】
また、前記低沸点溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオン酸塩、エチルエーテルプロピオン酸塩、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトンおよび乳酸エチルからなる群より選択される1種以上の溶剤を用いることができ、その他、200℃未満の沸点を有し、かつ電磁波遮蔽フィルター用導電性ペースト組成物に使用可能である任意の公知の有機溶剤を用いることができる。
【0046】
前記溶剤は高沸点溶剤を12〜88重量%、および低沸点溶剤を12〜88重量%含むことが好ましい。前記溶剤中の高沸点溶剤が12重量%未満であると、低沸点溶剤の含有量が過度に増加して、前記ペースト組成物の流動性減少速度が過度に速くなり、パターンへの転移が容易にならない場合がある。逆に、高沸点溶剤の含有量が88重量%を超えて過度に増加すると、ペースト組成物の流動性の抑制が困難となり、パターンの広がり現象が深刻化して、ペースト組成物の印刷を通して形成されたパターンの直進度が低下する場合がある。
【0047】
本発明の黒色導電性ペースト組成物において、前記ガラス粉末としては、鉛系および鉛フリーの粉末を用いることができるが、環境規制の側面で鉛系よりは鉛フリーの粉末を利用して、有機物の除去温度およびガラス基板に対するパターン接着力の向上を考慮する方が望ましい。このような鉛フリーの粉末には、例えば、 Bi系ガラス粉末などのビスマス系ガラス粉末がある。また、ガラス粉末の製造時、黒色または有色顔料を混入して製造された有色のガラス粉末や、Vのような有色成分を含有するガラス粉末も同様に好ましく使用することができる。
【0048】
中でも、前記ガラス粉末としては、400〜600℃範囲で焼成される組成系が好適に用いられ、例えば、鉛系、ビスマス系、ZnO−Bi−BaO系およびVBaO系が挙げられる。鉛系の場合430℃〜500℃程度、ビスマス系の場合480℃〜500℃程度における付着強度が高く、V−BaO系の場合400℃〜500℃程度、ZnO−Bi−BaO系の場合500℃〜600℃程度おける付着強度が高い。
【0049】
前記ガラス粉末の含有量は、ペースト組成物全体に対して、1〜10重量部であることが好ましく、2〜7重量部であることがより好ましい。前記ガラス粉末の含有量が1重量部未満であるとペースト組成物のガラス基板に対する接着力が弱化する場合があり、10重量部を超えるとペースト組成物で形成されたパターンの電気抵抗が高くなって電磁波遮蔽効率が低下する場合がある。
【0050】
一方、前記黒色導電性ペースト組成物において、前記黒色顔料は表示装置の外光反射の減少およびコントラスト向上を目的として用いられ、コバルト、銅、ルテニウム、マンガン、ニッケル、クロムまたは鉄系の化合物を含むことが好ましく、中でも、コバルト系の化合物を含むことがより好ましい。また、前記黒色顔料は前記コバルト系の化合物に加えて、黒度向上等を目的として、銅、ルテニウム、マンガン、ニッケル、クロムまたは鉄等の補助顔料を混入した形態で用いることがより好ましい。
【0051】
前記黒色顔料の含有量は、ペースト組成物全体に対して、1〜10重量部であることが好ましく、2〜7重量部であることがより好ましい。前記黒色顔料の含有量が1重量部未満である場合、十分なコントラスト向上を期待できない場合があり、10重量部を超過すると電気抵抗の増加によって電磁波遮蔽特性が低下することがある。
【0052】
また、前記黒色導電性ペースト組成物は変性アクリルブロック共重合体、アルキロールアンモニウム塩ポリマー、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体、アクリル系ブロック共重合体、フッ化アルキルオリゴマー、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、および変性ポリウレタンからなる群より選択される1種以上の分散剤をさらに含んでいることが好ましい。その他、このような分散剤としては、先に列記した各重合体の範疇に属するものであって、当業者に公知のものや、商業的に入手可能な重合体等を特別な制限なしに用いることができる。
【0053】
例えば、前記変性アクリルブロック共重合体としては、商業的に入手可能なDISPERBYK-2000や、DISPERBYK-2001などを用いることができ、前記アルキロールアンモニウム塩ポリマーとしては、商業的に入手可能なDISPERBYK-180、DISPERBYK-181、DISPERBYK-187、DISPERBYK-140、BYK-151、BYK-9076、BYK-W968、またはBYK-W969などを用いることができる。また、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体としては、例えば、トリブロックアルキルトリメチルアンモニウムを用いることができ、また、商業的に入手可能なDISPERBYK-112、DISPERBYK-116、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2150、またはBYK-9077などを用いることができる。そして、アクリル系ブロック共重合体としては、商業的に入手可能なEFKA-4310、EFKA-4320、EFKA-4330、EFKA-4340、またはEFKA-4585などを用いることができ、フッ化アルキルオリゴマーとしては、商業的に入手可能なF-471、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-486、またはMCF350SFなどを用いることができる。また、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体としては、商業的に入手可能なBKY-300、BKY-301、BKY-335、BKY-302、BKY-331、BKY-306、BKY-330、BKY-341、BKY-344、BKY-307、またはBKY-333などを用いることができ、変性ポリウレタンとしては、商業的に入手可能なEFKA-4008、EFKA-4046、EFKA-4009、EFKA-4047、EFKA-4050、EFKA-4055、EFKA-4010、EFKA-4015、EFKA-4020、EFKA-4060、EFKA-4080、BYK-425、またはDispers-710などを用いることができる。
【0054】
以上に列記した商業的に入手可能な重合体以外にも、前記変性アクリルブロック共重合体、アルキロールアンモニウム塩ポリマー、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体、アクリル系ブロック共重合体、フッ化アルキルオリゴマー、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体または変性ポリウレタンの範疇に属する任意の重合体を特別な制限なしに用いることができる。
【0055】
このような分散剤は、他の成分(例えば、黒色顔料、導電性金属およびガラス粉末など)の分散性を向上させるため、均一な電磁波遮蔽性能および優れた光学的特性を得ることができる。
【0056】
前記分散剤の含有量は、ペースト組成物全体に対して0.05重量部〜1.0重量部であることが好ましい。前記分散剤の含有量が0.05重量部未満であると、十分な分散性およびコントラスト向上を期待できない場合があり、1.0重量部を超えると電気抵抗が高くなって電磁波遮蔽特性が悪化する場合がある。
【0057】
また、本発明は前述したペースト組成物を用いて形成される電磁波遮蔽用フィルターを提供する。
【0058】
前記電磁波遮蔽用フィルターは、i)ガラス基板、およびii)ガラス基板上にメッシュ形状に形成した電磁波遮蔽部材を含む。前記電磁波遮蔽部材は電磁波を遮蔽するように適用される。
【0059】
前記電磁波遮蔽部材は、前述したペースト組成物をガラス基板に印刷し焼成することによって形成可能であり、好ましくは前記ペースト組成物をオフセット印刷(特に、グラビアオフセット印刷)し、400〜550℃で15分〜30分間低温焼成することによって形成できる。
【0060】
また、前記電磁波遮蔽部材は、i)一方向に伸びる一つ以上の第1遮蔽部、およびii)第1遮蔽部と交差する一つ以上の第2遮蔽部を含むことができる。この時、第1遮蔽部の幅は0より大きく50μm以下であることが好ましく、15μm〜30μmであることがより好ましい。前記一つ以上の第1遮蔽部は、複数の第1遮蔽部を含むことができ、これら複数の第1遮蔽部の平均ピッチは0より大きく500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、前記複数の第1遮蔽部の平均ピッチは200μm〜400μmである。
【0061】
また、第1遮蔽部と第2遮蔽部とが交差してなす角は60°〜120°であることが好ましく、より好ましくは80°〜100°である。最も好ましくは、前記第1遮蔽部と第2遮蔽部とが交差してなす角は実質的に90°である。
【0062】
また、第1遮蔽部とガラス基板の一辺とのなす角は20°〜70°であることが好ましく、35°〜55°であることがより好ましい。
【0063】
また、前記電磁波遮蔽部材は多角形状の開口部を有することが好ましく、開口部は面取りされていることが好ましい。多角形を形成する全ての辺の長さは実質的に等しいことが好ましく、前記多角形は実質的に正方形であることがより好ましい。
【0064】
さらに、前記電磁波遮蔽部材は導電性金属を含んでいてもよい。導電性金属は銀、銅、ニッケル、金、白金、およびこれらの合金からなる群より選択される1種以上の金属であることが好ましい。
【0065】
また、前述した電磁波遮蔽用フィルターは、ガラス基板の周縁に沿って形成されたエッジ層をさらに含んでいてもよい。また、このようなエッジ層上に電磁波遮蔽部材が形成されていてもよい。この時、前記電磁波遮蔽用フィルターは、電磁波遮蔽部材の端部に連結された電磁波遮蔽部材を接地させるための接地部材をさらに含んでいてもよい。
【0066】
さらに、本発明は前述したペースト組成物を用いて形成される表示装置を提供する。このような表示装置はi)ガラス基板、ii)ガラス基板上にメッシュ形状に形成された電磁波遮蔽部材、およびiii)ガラス基板に対向して配置され画像を表示する表示パネルを含む。前記電磁波遮蔽部材は表示パネルから放出される電磁波を遮蔽するように適用され、前述したペースト組成物をガラス基板に印刷し焼成することによって形成されたものである。
【0067】
前記表示装置で、表示パネルは、i)相互に対向する第1基板と第2基板、およびii)第1基板と第2基板の間に位置する黒色層を含むことができる。この時、前記電磁波遮蔽部材は黒色層と立体的に交差することができる。また、前記電磁波遮蔽部材は第2基板に接していてもよい。前記電磁波遮蔽部材が形成されたガラス基板の厚さは、第1基板の厚さ以上であることが好ましい。また、電磁波遮蔽部材は多角形状の開口部を有していることが好ましく、開口部は面取りされていることが好ましい。多角形を形成する全ての辺の長さは実質的に等しいことが好ましく、さらには、前記多角形は実質的に正方形であることが好ましい。
【0068】
前記電磁波遮蔽部材は、前記ペースト組成物をオフセット印刷(特に、グラビアオフセット印刷)し焼成することにより形成することができる。また、前記電磁波遮蔽部材は、i)一方向に伸びる一つ以上の第1遮蔽部、およびii)第1遮蔽部と交差する一つ以上の第2遮蔽部を含むことができる。この時、第1遮蔽部の幅は0より大きく50μm以下であることが好ましく、15μm〜30μmであることがより好ましい。そして、一つ以上の第1遮蔽部は複数の第1遮蔽部を含んでいてもよく、これら複数の第1遮蔽部の平均ピッチは0より大きく500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、前記複数の第1遮蔽部の平均ピッチは200μm〜400μmである。
【0069】
第1遮蔽部と第2遮蔽部とが交差してなす角は60°〜120°であることが好ましく、80°〜100°であることがより好ましい。最も好ましくは、前記第1遮蔽部と第2遮蔽部とが交差してなす角は実質的に90°である。
【0070】
また、第1遮蔽部とガラス基板の一辺とのなす角は20°〜70°であることが好ましく35°〜55°であることがより好ましい。
【0071】
前記表示パネルは、プラズマディスプレイパネルであることが好ましい。
【0072】
以下、添付図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、前記電磁波遮蔽用フィルターおよび表示装置について説明する。なお、後述する実施例は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解できるように、本発明を単に例示するためのものであり、本発明の概念および範囲を逸脱しない限度内で多様な形態に変更してもよい。以降、同一または類似の部分については可能な限り同一の符号を用いる。
【0073】
以下で使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有するものであると追加解釈され、定義されない限り、理想的であるか非常に公式的な意味で解釈されることはない。
【0074】
第1、第2および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクション等を説明するために用いられるが、これらに限定されることはないことは理解されよう。これらの用語はある部分、成分、領域またはセクションを他の部分、成分、領域またはセクションと区別するためにのみ用いられる。したがって、後述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションに適用することができる。
【0075】
図1は、本発明の一実施例による電磁波遮蔽用フィルター100を概略的に示すものである。図1の拡大円に電磁波遮蔽用フィルター100の内部を拡大して示す。
【0076】
図1に示すように、電磁波遮蔽用フィルター100は、ガラス基板20、電磁波遮蔽部材10、エッジ層30、および接地部材40を含む。電磁波遮蔽部材10をオフセット印刷(特に、グラビアオフセット印刷)方法で形成するためにガラス基板20を使用する。ガラス基板20の長辺はx軸に沿っており、短辺はy軸に沿っている。
【0077】
電磁波遮蔽部材10は、接地部材40と連結して接地される。したがって、前記電磁波遮蔽部材10は、電磁波を吸収して除去することができる。その結果、電磁波遮蔽部材10は電磁波を遮蔽するフィルターとして機能する。エッジ層30はガラス基板20の周縁に沿って形成され、接地部材40は電磁波遮蔽部材10を接地させるためにガラス基板20のx軸方向の両端に位置する。
【0078】
図1の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10はメッシュ形状に形成される。電磁波遮蔽用フィルター100は、主に表示装置に用いられる。そのため、表示装置から射出する画像を外部に表示できるように、電磁波遮蔽部材10はメッシュ形状に形成される。電磁波遮蔽部材10は開口部109を有するので、開口部109を通じて画像を通過させつつ、電磁波を遮断することができる。
【0079】
電磁波遮蔽部材10は、第1遮蔽部101および第2遮蔽部103を含む。第1遮蔽部101はx軸方向に伸びており、第2遮蔽部103と交差する。つまり、図1の拡大円に示すように、第1遮蔽部101および第2遮蔽部103とは互いに交差して角α1を形成する。角α1は60°〜120°であることが好ましい。角α1が大きすぎるか小さすぎる場合、第1遮蔽部101および第2遮蔽部103の間の距離が近くなりすぎて、開口率が小さくなりすぎることがある。より好ましくは、角α1は80°〜100°である。この場合、第1遮蔽部101および第2遮蔽部103の間の距離を適切に維持できる。また、角α1が実質的に90°であることが最も好ましい。
【0080】
電磁波遮蔽用フィルターの製造方法は、i)メッシュ形状の溝が形成されたグラビアロールを準備する工程、ii)前述したペースト組成物を溝に充填する工程、iii)グラビアロールと対向し、グラビアロールの回転方向と反対方向に回転するブランケットロールを準備する工程、iv)グラビアロールを回転させながらブランケットロールにペースト組成物を転移させる工程、v)ガラス基板を準備する段階、vi)ブランケットロールをガラス基板上で移動しながらペースト組成物をガラス基板上に塗布する工程、およびvii)ペースト組成物を焼成することによりガラス基板上に電磁波遮蔽部材を形成する工程を含むことが好ましい。
【0081】
本発明の実施例では、メッシュ形状の電磁波遮蔽部材10を形成するために、メッシュ形状の溝551(図3に図示)が斜線方向に形成されたグラビアロール55(図3に図示)を用いる。溝551が斜線方向に形成されずグラビアロール55の回転方向と直交する場合、溝551に収容された電磁波遮蔽部材10の原料であるペースト組成物10a(図3に図示)が溝551からうまく離れていない。つまり、ペースト組成物10aがグラビアロール55の回転力の影響をあまり受けないので、ペースト組成物10aをグラビアロール55から落とすことが容易でない。
【0082】
一方、グラビアロール55の回転方向と溝551の形成方向とが一致する場合、グラビアロール55の回転力によって、ペースト組成物10aが溝551からよく離れる。したがって、溝551をグラビアロール55の回転方向と一致する方向に形成する場合、均一な大きさの開口部109を有する電磁波遮蔽部材10を形成することができる。
【0083】
より具体的には、グラビアロールの回転方向と一致する方向にだけ溝を形成する場合、メッシュ形状の遮蔽部材を形成するのは不可能である。つまり、メッシュの形状は長方形状をとなるが、グラビアロールの回転方向と直交する方向にも溝を形成しなければならないため、ペースト組成物をブランケットロールに移転し難い。
【0084】
図1の拡大円に示すように、前述した方法を用いて電磁波遮蔽部材10をガラス基板20上に形成する場合、第1遮蔽部101はx軸方向と一定の角度α2を形成する。ここで、角度α2は20°〜70°であることが好ましい。角α2が小さすぎるか大きすぎる場合、第1遮蔽部101と第2遮蔽部103が密集して、電磁波遮蔽効果が低下することもある。また、電磁波遮蔽用フィルター100が表示装置200(図4に図示)に用いられる場合、表示装置200の黒色層651と重なり、モアレ形状を起こす場合がある。より詳しくは、角α2は35°〜55°であることが好ましい。
【0085】
図1の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10の幅Wを小さく形成して開口部109の面積を最大化することにより、画像の解像度を高くできる。このため、電磁波遮蔽部材10の幅Wは0より大きく50μm以下にすることが好ましい。この場合、肉眼では電磁波遮蔽部材10が観察されない。電磁波遮蔽部材10の幅Wが大きすぎる場合、開口部109の大きさが小さくなり、画像の解像度が低くなる傾向がある。より詳しくは、電磁波遮蔽部材10の幅Wは、15μm〜30μmであることが好ましい。
【0086】
一方、電磁波遮蔽部材10の平均ピッチPは0より大きく500μm以下になるようにすることが好ましい。電磁波遮蔽部材10の平均ピッチPが大きすぎる場合、電磁波遮蔽部材10が密に形成されないので、電磁波が吸収されず外部に放出されることがある。その結果、電磁波遮蔽効果が低下する。より詳しくは、遮蔽部材10の平均ピッチPは200μm〜400μmであることが好ましい。
【0087】
電磁波遮蔽部材10は電磁波遮蔽効果を最大化するために導電性金属を含むことが好ましい。導電性金属は電磁波遮蔽用フィルター100を通過する電磁波を捕集することができるので、電磁波遮蔽効果に優れている。導電性金属としては、銀、銅、ニッケル、金、白金、またはこれらの合金が用いられる。このような導電性金属は電気伝導度が優れているため、電磁波を効率的に遮蔽することができる。
【0088】
図2は、図1のII-II線に沿って切断した電磁波遮蔽用フィルター100の断面構造を部分的に示すものである。
【0089】
図2に示すように、ガラス基板20上に形成されたエッジ層30の上に電磁波遮蔽部材10を形成する。エッジ層30は黒色セラミックを含むため、電磁波遮蔽用フィルター100の外形を向上することができる。また、エッジ層30は接地部材40を電磁波遮蔽部材10に効率的に連結することができる。エッジ層30の厚さは、約15μm〜20μmであることが好ましい。ガラス基板20上に形成されたエッジ層30の上にペースト組成物をオフセット法で印刷して電磁波遮蔽部材10を形成した後、その上に接地部材40を形成する。接地部材40としては導電膜テープが用いられる。
【0090】
図3は、図1の電磁波遮蔽用フィルター100の製造過程を概略的に示すものである。オフセット印刷装置500を用いて、電磁波遮蔽用フィルター100を製造することができる。以下、オフセット印刷法について詳細に説明する。
【0091】
図3に示すように、オフセット印刷装置500はディスペンサ51、ドクター53、グラビアロール55およびブランケットロール57を含む。オフセット印刷法はオフセット印刷装置500を利用したものであって、オフ(off)工程およびセット(set)工程を含む。オフ工程ではグラビアロール55からペースト組成物10aを引き離す。セット工程では引き離したペースト組成物10aをガラス基板20上に塗布する。ディスペンサ51は予め設定された時間間隔でペースト組成物10aを吐出する。ディスペンサ51から吐出されたペースト組成物10aはグラビアロール55に形成された溝551に収容される。ペースト組成物10aは、すでに前述のように、弾性を有する有機物、導電性金属、溶剤、結合剤および所定の分散剤などを含むことができる。溶剤としては、沸点が200℃以上の有機溶剤、および200℃未満である有機溶剤と共に用いることができ、結合剤としては、ガラス粉末、つまり、ガラスフリット(glassfrit)が用いられる。有機物としては、アクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、オリゴマーおよびモノマー等を含むことが好ましい。溶剤および有機物はガラス基板20を焼成する工程で除去できる。ペースト組成物10aは黒色顔料および所定の分散剤をさらに含む。
【0092】
溝551に収容されたペースト組成物10aの量が多い場合、ペースト組成物50aは溝551の外部にオーバーフローさせてもよい。この場合、グラビアロール55を矢印方向(反時計方向)に回転させながら、ドクター53によってオーバーフローされたペースト組成物10aを除去する。ドクター53はグラビアロール55の外表面に接しているので、溝551の外部にオーバーフローされたペースト組成物10aを効率的に除去することができる。そのため、グラビアロール55の溝551にペースト組成物10aがオーバーフローしないよう適切に満たされる。
【0093】
ブランケットロール57はグラビアロール55に対向して位置する。ブランケットロール57はグラビアロール55の回転方向と反対方向(時計方向)に回転する。その結果、溝551に収容されたペースト組成物10aはグラビアロール55がブランケットロール57と会合しながらブランケットロール57の上に転移する。したがって、ブランケットロール57の外表面にペースト組成物10aが付着する。
【0094】
ブランケットロール57は矢印方向にガラス基板20上を移動しながらペースト組成物10aをガラス基板20上に塗布する。ガラス基板20は洗浄されて準備される。電磁波遮蔽部材10(図1に図示)を形成するためのメッシュ形状のペースト組成物10aをガラス基板20上に形成する。
【0095】
次に、ガラス基板20を加熱炉(図示せず)に入れて加熱することによって、ペースト組成物10aに含まれる溶剤や有機物を除去する。このような焼成工程前にペースト組成物10aを乾燥してもよい。ガラス基板20を加熱して溶剤や有機物を除去することによって、電磁波遮蔽部材を直接形成することができる。つまり、ペースト組成物10aをエッチングするなどの別途の工程を行わず、電磁波遮蔽用フィルターが直ちに製造される。そのため、工程が簡単であり、電磁波遮蔽用フィルターの製造原価を節減できる。
【0096】
前記電磁波遮蔽用フィルターを製造する場合に用いるオフセット印刷法は焼成工程を含むため、オフセット印刷法においては、熱に弱い樹脂基板よりもガラス基板20を用いることが好ましい。オフセット印刷法の他の内容は本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0097】
オフセット印刷法の代わりにフォトリソグラフィ法を用いて電磁波遮蔽用フィルターを製造する場合、まず、銅箔を樹脂フィルムに接着する。次に、ドライフィルムレジストを銅箔の上に積層し、パターンを形成するために露光、現像、エッチングおよび剥離工程などを実施する。したがって、製造工程が複雑で、生産性が良くない。
【0098】
また、メッキ法を用いて、電磁波遮蔽用フィルターを製造する場合、パターンを樹脂フィルムに形成し銅をメッキして、所望の電気伝導度を得なければならない。しかしながら、メッキ中に発生する廃液が環境汚染を起こす。
【0099】
前述したフォトリソグラフィ方法やメッキ法はガラス基板上に直接パターンを形成することができない。例えば、メッキ法は母材をロール形状に巻いてメッキ浴に浸漬して実施するが、ガラス基板はロール形状に巻くことができないので、ガラス基板をメッキして電磁波遮蔽部材を形成するのは不可能である。また、ガラス基板を用いる場合、パターンをガラス基板に接着しなければならないので、工程が複雑である。オフセット印刷法によれば前述した問題点を解決することができる。つまり、オフセット印刷法ではガラス基板20上に直に電磁波遮蔽部材10を形成するので、工程が単純化されて製造費用を節減することができる。また、オフセット印刷法では有害物質が排出されないため、公害をもたらすことが少ない。
【0100】
図4は、図1の電磁波遮蔽用フィルター100を備えた表示装置200を概略的に示すものである。図4の拡大円にはz軸方向からみた表示装置200を拡大して示している。
【0101】
図4に示すように、固定部材110を利用して、電磁波遮蔽用フィルター100を表示パネル600(図5に図示)上に固定させる。したがって、電磁波遮蔽用フィルター100を表示装置200の内部に安定的に収納することができる。
【0102】
図4の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10は表示パネル600(図5に図示)内の黒色層651上に位置する。また、前記黒色層651は表示パネルの第1基板610および第2基板620の間に位置する。また、図4の拡大円には示していないが、電磁波遮蔽部材10および黒色層651の間には第2基板620(図5に図示)が位置し、前記電磁波遮蔽部材10上にガラス部材20(図5に図示)が位置する。
【0103】
電磁波遮蔽部材10は表示パネル600から放出される電磁波を遮蔽する。
【0104】
図4の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10はひし形状の開口部109を有する。図4には示していないが、電磁波遮蔽部材10は実質的に正方形であることが好ましい。この場合、電磁波遮蔽部材10の形状を最適化して、電磁波遮蔽効果を最大化することができる。
【0105】
開口部109を形成する四つの辺の長さは実質的に等しいことが好ましい。四つの辺の長さが実質的に等しい場合、電磁波遮蔽部材10の形状が規則的となる。その結果、開口部109を通じて射出する光の強さが均一であるので、均一な画像を表示することができる。一方、図4の拡大円には開口部109をひし形状に示しているが、これは、単に本発明を例示するためであり、本発明はかかる形態に限定されるものではない。すなわち、開口部109は多角形状であればよい。
【0106】
電磁波遮蔽部材10は、互いに交差する遮蔽部によってオフセット印刷法で形成される。したがって、複数の遮蔽部が互いに重なる交差部では電磁波遮蔽部材10の幅が若干厚くなる。その結果、開口部109が面取りされた形状を有する。つまり、電磁波遮蔽部材10の交差部で電磁波遮蔽部材10の幅が若干大きくなるため、開口部109はその角がなくなったような形状を有する。このような開口部109の形状によって電磁波遮蔽部材10が途切れずに連続形成されるので、電磁波遮蔽部材10の全面にわたって電磁波を遮蔽することができる。
【0107】
図4の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10は黒色層651と立体交差しながら形成される。したがって、画像が曇る現象を防止することができる。さらに、電磁波遮蔽部材10は肉眼では認識しにくいほど微細な幅を有するので、画像品質にほとんど影響を与えない。したがって、図4の拡大円に示すように、電磁波遮蔽部材10が黒色層651上に位置しても高い解像度を有する画像を表示することができる。
【0108】
図5は、図4のV-V線に沿って切断した断面を部分的に示すものである。図5では表示パネル600としてプラズマ表示パネルを示している。図5に示しているプラズマ表示パネルは、単に本発明を例示するためのものであり、本発明は当該形態に限定されるものではない。したがって、電磁波遮蔽用フィルターが必要な他の表示パネルを用いることもできる。
【0109】
表示パネル600は第1基板610、第2基板620、表示電極680、アドレス電極640、隔壁660、蛍光体層670、誘電体層630、保護膜635、および黒色層651を含む。表示パネル600の内部は放電ガスで充填されている。第1基板610および第2基板620は相互に対向する。隔壁660は多数の放電セルを形成し、放電セルの内部には蛍光体層が形成されている。誘電体層630は、アドレス電極640および表示電極680を電子から保護する。保護膜635は上部に位置した誘電体層630を保護する。
【0110】
アドレス電極640および表示電極680に電圧が印加されると、アドレス電極640および表示電極680の間に放電が起こる。放電によって生成された紫外線が蛍光体層670に衝突して、蛍光体層670から可視光線が射出される。一方、明暗比を向上させるために隔壁660上には黒色層651が形成される。黒色層651は、第1基板610および第2基板620の間に位置する。黒色層651は光が射出しない隔壁660上に形成されるので、蛍光体層670から射出する光の損失を減らすことができる。より具体的には、黒色層651は図5に示されているように、隔壁660上に接するように形成されていてもよく、他の例として、隔壁660上の誘電体層630上に形成されていてもよい。
【0111】
図5に示すように、電磁波遮蔽用フィルター100は表示パネル600上に位置する。そのため、電磁波遮蔽用フィルター100は表示パネル600から放出される電磁波を遮蔽することができる。電磁波遮蔽部材10は第2基板620に接するため、外部に露出しない。したがって、電磁波遮蔽部材10が損傷することを防止でき、電磁波遮蔽部材10による外形の低下を防止することができる。
【0112】
一方、第1基板610および第2基板620の厚さが薄い場合、表示パネル600は外部衝撃に弱くなる。そのため、ガラス基板20を含む電磁波遮蔽用フィルター100を用いて、表示装置200の強度を補強することができる。つまり、電磁波遮蔽用フィルター100の厚さが表示装置200の厚さに含まれるので、表示装置200が厚くなって外部衝撃に非常に強くなる。例えば、ガラス基板20の厚さt20を第2基板620の厚さt620より厚く形成することによって、電磁波遮蔽用フィルター100によって表示装置200の耐久性を向上させることができる。
【実施例】
【0113】
以下、実験例を通して本発明をより詳細に説明する。かかる実験例は単に本発明を例示するためであり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0114】
[実施例1〜4および比較例1〜2]
下記表1のような組成と含有量で、高分子樹脂に溶剤、モノマーまたはオリゴマー、ガラス粉末、導電性物質、黒色顔料および分散剤を常温で攪拌し、最終的に3-ロールミルを用いて、所望するグラビアオフセット印刷用黒色導電性ペースト組成物を製造した。
【0115】
【表1】



【0116】
前記表1において、アクリレート高分子樹脂は、重量平均分子量15,000であり、MA(アクリル酸メチル)、BM(メタクリル酸ブチル)、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)、MMA(アクリル酸メチル)が、30:40:10:20の重量比で共重合されたものである。
【0117】
前記モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート変性エチレンオキシドを用いた。
【0118】
低沸点溶剤としては、MEDG(Diethylene Glycol Methyl EthylEther;ジエチレングリコールメチルエチルエーテル)を用い、高沸点溶剤としては、BCA(butyl carbitol acetate;ブチルカルビトールアセテート)を用いた。
【0119】
前記分散剤としては、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体(BYK社製 DISPERBYK-2050)を用いた。
【0120】
前記導電性金属粉末としては、平均粒径は1.5μm、比表面積0.9m/gの球状の銀粉末を用い、導電性微粒子としては、平均粒径0.05μm、比表面積9.2m/gの銀粉末を用いた。黒色顔料としてはコバルトを用い、ガラス粉末としてはV−BaO系ガラス粉末を用いた。
【0121】
[実験例]
(電磁波遮蔽フィルターの形成)
前記実施例1〜4、および比較例1〜2で製造されたペースト組成物を利用して、電磁波遮蔽フィルター用として用いられるパターン規格に合致するようにグラビアオフセット印刷を行った。
【0122】
すなわち、図3に示すオフセット印刷装置と同一のオフセット印刷装置を用いて、ペースト組成物を30cm×30cmの大きさのガラス基板上にメッシュ形状に印刷した。この時、前記メッシュ形状パターンの線幅は30μmであり、パターン規格ピッチは300μmであった。
【0123】
次に、焼成工程でガラス基板に形成されたペースト組成物を450℃で20分間維持して低温焼成を行い、電磁波遮蔽フィルター用メッシュパターンを形成した。
【0124】
(電磁波遮蔽フィルターの特性評価)
実施例1〜3および比較例1〜2のペースト組成物を用いて形成された電磁波遮蔽フィルターの印刷性、接着力および電気抵抗等を以下の基準に基づいて比較評価した。その結果を下記の表2に表す。
【0125】
(1)印刷性判断基準:
○: 1)パターン転写が均一に行われ、2)パターン上にホールが発生せず、3)パターンの短絡が発生しない。
×: 前記1)〜3)のうち、一つ以上の現象がうまく具現されない。
【0126】
(2)接着力判断基準:
ASTM D3363-74に記述の測定方法により測定した。
【0127】
(3)電気抵抗:
面抵抗測定器(三菱化学社製、モデル名MCP-T610)により、4ピンプローブを用いて、印刷基板に直接接触させて、抵抗値を測定した。
【0128】
【表2】

【0129】
表2の結果から、黒色導電性ペースト組成物に特定の粒径を有する導電性金属粉末および導電性微粒子を含む本願実施例は、比較例に比して電気抵抗および接着力の面で優れていることが確認できた。比較例1の場合、接着力および電気抵抗が不良であった。比較例2の場合は印刷性が不良であって、特性値の評価ができなかった。
【0130】
以上、本発明の好ましい実施例について記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該技術分野の熟練した技術者は、前記記載された範囲および特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に変更あるいは修正できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)高分子樹脂ならびにモノマーまたはオリゴマー、b)溶剤、c)ガラス粉末、d)導電性物質、およびe)黒色顔料を含み、
前記導電性物質が、平均粒径0.5〜5μmの導電性金属粉末、および平均粒径0.02〜0.09μmの導電性微粒子を含むことを特徴とする黒色導電性ペースト組成物。
【請求項2】
電磁波遮蔽フィルター製造のための印刷用組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項3】
ガラス基板にオフセット印刷し、400〜550℃で15分〜30分間低温焼成することにより電磁波遮蔽フィルターを製造するための印刷用組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項4】
高分子樹脂およびモノマーまたはオリゴマーを5〜15重量部、溶剤を5〜15重量部、ガラス粉末を1〜10重量部、導電性物質を50〜90重量部、および黒色顔料1〜10を重量部含み、前記高分子樹脂:前記モノマーまたはオリゴマーの重量比が、10:90〜90:10であることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項5】
前記導電性物質が、導電性金属粉末100重量部に対して、導電性微粒子を3〜25重量部含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項6】
前記導電性金属粉末および導電性微粒子が、銀、銅、ニッケル、金、白金およびこれらの合金からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項7】
前記導電性金属粉末の比表面積が、0.5〜4.5m/gであることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項8】
前記導電性微粒子の比表面積が、3〜50m/gであることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項9】
前記組成物が、変性アクリルブロック共重合体、アルキロールアンモニウム塩ポリマー、塩基顔料親和基を含むブロック共重合体、アクリル系ブロック共重合体、フッ化アルキルオリゴマー、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、および変性ポリウレタンからなる群より選択される1種以上の分散剤0.05〜1重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項10】
前記組成物が、アクリレート、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルブチラールからなる群より選択される1種以上のバインダーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項11】
前記黒色顔料が、コバルト、銅、ルテニウム、マンガン、ニッケル、クロムまたは鉄系の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項12】
前記黒色顔料が、コバルト系の化合物を含むことを特徴とする請求項11に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項13】
前記黒色顔料が、銅、ルテニウム、マンガン、ニッケル、クロムまたは鉄の補助顔料をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項14】
前記高分子樹脂が、重量平均分子量が5,000〜100,000の、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレートおよびこれらのメタクリレートからなる群より選択されるいずれか一つの重合体または二つ以上の共重合体であるか、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールまたはポリビニルブチラールであり、
前記モノマーまたはオリゴマーが、アクリレート系化合物、アルコキシルレート系化合物、ジメチルスルホキシドおよび不飽和ポリエステル系化合物からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項15】
前記溶剤が、沸点が200℃以上である高沸点溶剤の少なくとも1種以上と、沸点が200℃未満である低沸点溶剤の少なくとも1種以上とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項16】
前記高沸点溶剤が、γ−ブチロラクトン、ブチルカルビトールアセテート、カルビトール、メトキシメチルエーテルプロピオン酸塩およびテピノールからなる群より選択される1種以上の溶剤を含むことを特徴とする、請求項15に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項17】
前記低沸点溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオン酸塩、エチルエーテルプロピオン酸塩、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトンおよび乳酸エチルからなる群より選択される1種以上の溶剤を含むことを特徴とする、請求項15に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項18】
前記溶剤が、前記高沸点溶剤を12〜88重量%含み、かつ、前記低沸点溶剤を12〜88重量%を含むことを特徴とする、請求項15に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項19】
前記ガラス粉末が、鉛系粉末、鉛フリー粉末、黒色または有色顔料を混入して製造された有色のガラス粉末、およびVの有色成分を含有するガラス粉末からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の黒色導電性ペースト組成物。
【請求項20】
ガラス基板、および前記ガラス基板の上にメッシュ形状に形成された電磁波遮蔽部材を含み、
前記電磁波遮蔽部材が、請求項1〜19のいずれか1項に記載の黒色導電性ペースト組成物を前記ガラス基板に印刷し低温焼成することにより形成されたものであることを特徴とする電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項21】
前記電磁波遮蔽部材が、前記黒色導電性ペースト組成物をオフセット印刷し、400〜550℃で15分〜30分間焼成して形成されたものであることを特徴とする、請求項20に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項22】
前記電磁波遮蔽部材が、一方向に伸びる一つ以上の第1遮蔽部と、前記第1遮蔽部と交差する一つ以上の第2遮蔽部とを含むことを特徴とする、請求項20に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項23】
前記電磁波遮蔽部材が、多角形状の開口部を有し、前記開口部は面取りされていることを特徴とする、請求項22に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項24】
前記多角形を形成する全ての辺の長さが実質的等しいことを特徴とする、請求項23に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項25】
前記多角形が実質的に正方形であることを特徴とする、請求項24に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項26】
前記ガラス基板の周縁に沿って形成されたエッジ層をさらに含み、前記電磁波遮蔽部材は前記エッジ層上に形成されていることを特徴とする、請求項22に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項27】
前記電磁波遮蔽部材の端部に連結されており、前記電磁波遮蔽部材を接地させるための接地部材をさらに含むことを特徴とする、請求項26に記載の電磁波遮蔽用フィルター。
【請求項28】
ガラス基板、前記ガラス基板の上にメッシュ形状に形成された電磁波遮蔽部材、および前記ガラス基板に対向して配置され画像を表示する表示パネルを含み、
前記電磁波遮蔽部材は、請求項1〜19のいずれか1項に記載の黒色導電性ペースト組成物を前記ガラス基板にオフセット印刷し、400〜550℃で15〜30分間低温焼成して形成されたものであリ、前記表示パネルから放出される電磁波を遮蔽するように適用されることを特徴とする表示装置。
【請求項29】
前記表示パネルがプラズマ表示パネルであることを特徴とする、請求項28に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−295583(P2009−295583A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132151(P2009−132151)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(500013751)東進セミケム株式会社 (72)
【氏名又は名称原語表記】Dongjin Semichem Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】472−2 Gajwa−dong,Seo−ku,Incheon−city 404−250,Korea
【Fターム(参考)】