説明

黒色遮光パターン基板の製造方法および液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法

【課題】遮光性能の高い黒色感光性樹脂を安定的に加工する製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板上に形成された黒色感光性樹脂層に対して露光工程、現像工程、加熱硬化工程を順次行うことにより透明基板上に黒色遮光パターンを形成する黒色遮光パターン基板の製造方法において、該露光工程が、(1)透明基板の黒色感光性樹層が形成された側からパターン露光を行う工程と、(2)透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側から全面露光を行う工程、とを有することを特徴とする黒色遮光パターン基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学濃度が1μmあたり4.5以上の遮光性を持つ黒色感光性樹脂から、光学濃度4.0以上の高遮光性かつ幅6μm以下の黒色遮光パターンをパターン欠落欠陥を発生させることなく、安定で高い生産性を有する黒色遮光パターンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、液晶テレビ、ノートPC、携帯情報端末、携帯電話、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。液晶表示装置はバックライトからの光を利用して、カラーフィルターを通して、フルカラー表示をするのが一般的であるが、表示画面中に意図しない光が表示されると、コントラストの低下や、色純度低下など表示性能が低下するので、黒色遮光パターンを形成することが多い。
【0003】
表示画面内に形成される黒色遮光パターンのブラックマトリックスは、基板上に黒色感光性樹脂を形成後に、露光、現像、加熱硬化させる工程からなるフォトリソ法が主に用いられている。露光工程では、フォトマスクを通して紫外光を照射して、フォトマスクパターンを転写する方法が主に用いられている。
【0004】
黒色感光性樹脂はバインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、黒色遮光材、溶剤からなる。ブラックマトリックスは、漏れ光によるコントラストの低下がないように、高遮光性が求められ、さらに表示画面の画素表示面積を大きくして、表示がより明るくなるように細幅パターンが求められる。このようなブラックマトリックスは、製造工程で基板とブラックマトリックスが剥れる問題が発生する問題がある。
【0005】
たとえば、樹脂ブラックマトリックスのガラス転移温度を規定することで、加熱硬化後の液晶パネル工程でのブラックマトリックスの剥れを防止する方法がある。(特許文献1)この方法によれば、加熱硬化後のブラックマトリックスの剥れを防止することはできるが、現像工程でのブラックマトリックスの剥れを防止することはできない。
【0006】
黒色感光性樹脂の遮光性を上げると、露光工程での紫外光が黒色感光性樹脂の底部まで届かず光硬化しないので、現像工程で、基板から黒色パターンが剥れて欠落する問題が発生する。現像工程での寸法安定性、解像度に優れた黒色パターンの欠落を防止する方法としては、特定の化合物を含有する樹脂成分でコントロールする方法が提案されている(特許文献2)この方法によればパターン幅が20μm以上の太いパターンで有効である。特定の樹脂を使用するので、遮光をバインダー樹脂に分散して黒色感光性樹脂ペーストを作製するのに適さない遮光材があったり、遮光材添加量を増加させて単位膜厚あたりの遮光性を上げると、パターン加工性が困難であったりする。
【0007】
赤、緑、青の着色画素を形成した後に、黒色感光性樹脂を形成して、裏面から露光してカラーフィルターを製造する方法で、遮光性能の高いブラックマトリックス加工をする方法がある(特許文献3)この方法によれば、基板近傍の遮光性の高い黒色感光性樹脂でブラックマトリックスを形成することができる。
【0008】
この方法によれば、先に形成した赤、緑、青画素の間にブラックマトリックスを形成するので、ブラックマトリックスの幅のバラツキが大きくなる原因となる。さらにこの方法によるカラーフィルターを液晶表示装置としたときには、画素表示エリアの面積が安定しないので、ホワイトバランスがずれる原因になる。また基板近傍のブラックマトリックスは光硬化するが、塗膜表面側では黒色感光性樹脂が光硬化せず、膜べりが起こりやすい。膜べりした膜は遮光性の均一性が悪化し、さらに膜表面が粗面化して表面凹凸による平坦性不良となりこの好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−202317号公報
【特許文献2】特開2005−77451号公報
【特許文献3】特開2003−177228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
遮光性能の高い黒色感光性樹脂から細線ブラックマトリックス加工しようとすると、ブラックマトリックスの欠落やバラツキが大きくなり、ごく限られた加工条件しか採用できず、さらに品質のバラツキが大きい問題があった。遮光性能が高い黒色感光性樹脂を安定的に加工する技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、黒色感光性樹脂の膜面からフォトマスクを介して露光し、かつ透明基板面から相対的に弱いエネルギーで露光する方法で、安定した加工性を有するブラックマトリックスの形成方法を見出した。
【0012】
すなわち、本発明は以下の方法によって達成される。
1. 透明基板上に形成された黒色感光性樹脂層に対して露光工程、現像工程、加熱硬化工程を順次行うことにより透明基板上に黒色遮光パターンを形成する黒色遮光パターン基板の製造方法において、該露光工程が、(1)透明基板の黒色感光性樹層が形成された側からパターン露光を行う工程と、(2)透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側から全面露光を行う工程、とを有することを特徴とする黒色遮光パターン基板の製造方法。
2. 前記(1)透明基板の黒色感光性樹層が形成された側からパターン露光を行う工程の後に、前記(2)透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側から全面露光を行う工程、が行われることを特徴とする1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
3. 前記全面露光における露光量は、前記パターン露光における露光量の20%以下であることを特徴とする1項または2項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
4. 前記全面露光における露光照度は、前記パターン露光における露光照度の50%以下であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
5. 黒色遮光パターンの光学濃度が膜厚1μmあたり4.5以上であることを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
6. 黒色遮光パターンのうち最小線幅が6μm以下であることを特徴とする1〜5項のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
7. 前記全面露光の光源が、冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード、レーザーダイオードである1〜6項のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
8. 前記全面露光の光源がライン状に並んで透明基板と相対的に移動しながら、露光することを特徴とする7項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
9. 1〜8項のいずれかに記載の黒色遮光パターン基板の製造方法を用いた液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のごとく光学濃度が1μmあたり4.5以上の遮光性を持つ黒色感光性樹脂からブラックマトリックスを形成する場合、光学濃度が4.0以上のブラックマトリックスを幅6μm以下で安定して加工することができるので生産性が向上する。透明基板側からの全面露光が必要であるが、冷陰極管や発光ダイオードなどの安価で寿命の長い光源を、ブラックマトリックス加工工程に追加するだけで達成が可能であり、経済的に優れた方法で安定したブラックマトリックスを形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の黒色感光性樹脂パターン加工の模式図である。
【図2】本発明の露光状態の模式図である。
【図3】本発明の露光照度と残膜率のグラフである。
【図4】本発明の裏面露光の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1で本発明のカラーフィルター基板作製方法の一例を述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。透明基板2上に、黒色感光性樹脂溶液をスリットコーターやスピンコーターで塗布し、真空乾燥後に、ホットプレートや熱風オーブンなどの加熱乾燥により、黒色膜1を形成する。(P1)次に、塗膜側を高圧水銀灯を光源にもつプロキシミティ露光機でフォトマスク4を介して紫外線3で露光し(P2)、その後に透明基板側から、紫外線5で全面露光する。(P3)
露光後、アルカリ現像することによりパターンを形成し、加熱処理することによって黒色膜を熱硬化する。(P4)加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.2〜5時間、連続的または段階的に行われることにより、ブラックマトリックスパターン6を得ることができる。
【0016】
次に画素形成をする。赤色レジストを塗布した塗布膜形成して露光・現像・加熱処理を行う。以上の画素形成工程を繰り返して緑、青画を形成することで着色画素を形成したカラーフィルター基板が作製できる。画素用の着色レジスト塗布順序を入れ替えても問題なく加工することができる。画素形成後のカラーフィルター基板に、平坦化膜や、透明電極などを目的に合わせて形成することができる。
【0017】
黒色感光性樹脂は、遮光材による遮光性のために、塗膜側から露光しても透明基板付近まで十分な光が到達しないので、透明基板付近は感光させることが困難である。図2に黒色感光性樹脂の露光模式図を示す。例えば、光学濃度5のブラックマトリックスでは、塗膜表面7の露光量が1000に対して、塗膜底部8の透明基板付近の露光量は0.01になる。このため透明基板付近では、露光量不足により、黒色感光性樹脂が光硬化しないので、現像工程で黒色感光性樹脂が溶解して、ブラックマトリックスパターンが欠落する場合がある。
【0018】
露光量はエネルギー量であり、露光照度と露光時間の積で表される。一般にカラーフィルターの製造工程で用いられる露光量の単位はmJ/cmであり、露光照度はmW/cmである。露光光源は多くの場合に複数の波長が混ざり合った高圧水銀灯である場合が多く、光硬化に寄与しない波長もある。露光量や露光照度は光硬化に寄与する特定の波長について表されることが多く、光硬化の寄与が大きい波長365nmを用いて表されることが多い。発光ダイオードやレーザーダイオードはほぼ単一波長の光であるので、出力中心波長での露光量と露光照度で表すことが多い。
【0019】
本発明では、透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側からブラックマトリックスパターン形成領域を全面露光することが重要である。塗膜側からの露光で、光が到達しない透明基板近傍の黒色感光性樹脂を光硬化させることが可能になる。黒色感光性樹脂の感度特性に合わせて、透明基板側から適切露光量を調整することで、現像工程でブラックマトリックスパターンが欠落するのを防止しながらパターン加工をすることができる。
【0020】
一方では、透明基板側からの露光量が多すぎると、透明基板近傍の黒色感光性樹脂層が厚く光硬化して、現像工程では本来溶解させる部分が溶解せず残膜になり、パターン加工ができない。残膜発生を防止するには、黒色感光性樹脂の感度特性にもよるが、塗膜側からの露光量に対して、透明基板側からの露光量は20%以下にして、目的以外のパターンを現像工程のスプレイや高圧シャワー現像で溶解させることが好ましく、露光量は10%以下にすることがさらに好ましい。
透明基板側からの露光量が20%を越えると基板側近傍の光硬化した黒色感光性樹脂が、現像工程のスプレイや高圧シャワー現像をしても溶解せずに、目的以外の場所に黒色感光性樹脂が残膜として残る問題が発生する。黒色感光性樹脂の感度がより高い場合には、フォトマスクを介して塗膜側からの露光量が少なくなり、透明基板側からの露光もより少なく調整することで、残膜の発生を防止することができる。
【0021】
図3に露光照度と感光性樹脂の残膜率について示す。透明基板側からの露光の照度については、黒色感光性樹脂の組成にもよるが、露光工程では、露光照度が高ほど、露光で光ラジカルが多数発生して、硬化が促進されることが多く、同じ露光量であっても、図3の実線で示すように100%の露光照度で短時間露光よりも、図3の点線で示す40%の露光照度で長時間露光したほうが黒色感光性樹脂の光硬化が進みにくい。このようにエネルギー量である露光量が一定でも露光照度が異なると黒色感光性樹脂の光硬化に差がある場合が多い。このため、塗膜側からの露光照度に対して、透明基板側からの露光照度は50%以下にすることが好ましい。透明基板側からの露光はより低照度で露光することで、感光性樹脂の光硬化度を調整して、現像工程で目的のパターンの欠落を防止しつつ、目的以外のパターンを溶解させることが好ましい。
【0022】
露光照度が50%を超えると、同一露光量の場合、露光照度の差による光硬化度の差が少なくなるので、目的のパターンの欠落を防止しつつ、目的以外のパターンを溶解させる露光量範囲が狭くなり、好ましくない。照度を低下させることで必要以上に黒色感光性樹脂を硬化させることを防ぐことが可能となる。
【0023】
透明基板側からの露光量および露光照度は黒色感光性樹脂の感度に合わせて適宜調整する必要がある。
【0024】
透明基板側からの露光は、黒色感光性樹脂を塗布後に溶剤を加熱乾燥してから、現像工程の前までの間で行う必要があるが、塗膜側からのフォトマスクを介した露光の前でも後でも同時でもよい。
【0025】
塗膜側からの露光はフォトマスクを介した露光や、フォトマスクをもちいずに直接パターン露光をする方法が用いられる。フォトマスクを介した露光方法としては、プロキシミティ露光、ミラープロジェクション露光、レンズプロジェクション露光などが用いられる。直接パターン露光する方法としては、光源にレーザー光や高圧水銀灯を用いて、二次元光変調デバイスなど用いてデータから直接パターン露光をする方法が用いられる。
【0026】
透明基板側からの露光は、波長410nm以下の光を含む露光をすることが好ましい。
露光波長は短いほどエネルギーが強くなるので、黒色感光性樹脂の光硬化がより進む。波長410nm以下の光を含まない露光では、黒色感光性樹脂の光硬化が進みにくく透明基板付近の黒色感光性樹脂を硬化させることができない。露光波長は365nm付近にピークを持つ紫外光を用いると、黒色感光性樹脂の光硬化が進むので好ましい。
【0027】
透明基板側からの露光の光源としては、冷陰極管CCFL、熱陰極管HCFL、発行ダイオードLED、レーザーダイオードLDが好ましく用いられる。
【0028】
図4に透明基板側からの露光方法について示す。1次元のライン上に設置した透明基板側からの露光用光源11から紫外線を照射しながら、黒色感光性樹脂を塗布した透明基板12とを相対的に移動させながら透明基板側から露光5をする方法や、2次元の面状に光源14を設置して、一括で露光する方法とすることができる。透明基板側からの露光量は少ないので、経済性を考慮すると1次元に光源を配置する方が好ましい。また、裏面からの露光量を一定にするために、光源の照度を連続的に測定して、露光量が一定になるように調整する機構があることが好ましい。
【0029】
黒色感光性樹脂は、黒色遮光材、バインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤、界面活性材、溶剤などからなる。
【0030】
黒色遮光材としては、チタン窒化物、チタン酸化窒化物、カーボンブラックが単位膜厚あたりの遮光性が高くかつ、反射率が低いので好適に用いられる。この他にも有機系黒色遮光材として樹脂被覆カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等が、混色有機顔料系遮光材としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものを用いることができる。無機遮光材としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物等を用いることができるが、金属系遮光材は反射率が高いものが多いので、単独での使用できるが、2種類以上の遮光材を混合して用いることが好ましい。
【0031】
黒色感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂とポジ型感光性樹脂の両方があるが、本発明では、ネガ型感光性樹脂について適用することができる。
ネガ型感光性レジストでは、露光された領域は光重合性モノマーが光架橋して高分子化することで現像液への溶解速度が低下したり不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解するので十分な露光量を照射することでパターンを形成することが出来る。ネガ型感光性樹脂のバインダーポリマーはアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。
【0032】
ネガ型感光性樹脂に好ましく用いられるアクリル系ポリマーとしては、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーが好ましく用いられる。カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーとしては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸などがあげられる。
【0033】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。アクリルポリマーの平均分子量はMw2千〜10万、酸価70〜150(mgKOH/g)の範囲がアルカリ現像液に対する溶解性の観点から好ましい。この範囲をはずれると、アルカリ現像液に対する溶解速度が低下または速くなりすぎ好ましくない。
【0034】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系ポリマーを用いると、露光、現像の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。
【0035】
光重合性モノマーとしては、多官能、単官能のアクリル系モノマーあるいはオリゴマーを用いることができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0036】
これらの多官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、レジストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。とくに感度を上げるためには、官能基が3以上、より好ましくは5以上ある化合物の使用が望ましい。
【0037】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤など公知のものが使用できる。一般に光重合開始剤量を増やすほど黒色感光性樹脂の感度があがる。 また、本発明の黒色感光性樹脂組成物において、遮光材の分散安定性を向上させる目的で高分子分散剤を加えることが好ましい。
【0038】
本発明の黒色感光性樹脂組成物において、遮光材/樹脂成分の質量組成比は、80/20〜40/60の範囲であることが、高抵抗かつ高OD値の黒色被膜を得るために好ましい。また、遮光材/樹脂成分の質量組成比が75/25〜60/40の範囲であることが、密着性、パターン加工性およびOD値のバランスの点でより好ましい。ここで、樹脂成分とは、ポリマー、モノマーあるいはオリゴマーと高分子分散剤の合計とする。樹脂成分の量が少なすぎると、黒色被膜の基板との密着性が不良となり、逆に遮光材の量が少なすぎると厚み当たりの光学濃度(OD値/μm)が低くなり問題となる。
【0039】
本発明の黒色感光性樹脂組成物に用いられる溶媒としては特に限定はなく、分散する顔料の分散安定性および添加する樹脂等の溶解性に併せて、水および有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、エステル類、あるいは、脂肪族アルコール類、あるいは、(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、ケトン類、アミド系極性溶媒、ラクトン系極性溶媒等を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶媒も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
【0040】
黒色感光性樹脂の主溶剤としては、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)が好適に用いられるが、これに限定されない。
【0041】
さらに基板の大型化に伴いダイコーティング装置による塗布が主流になってきているので、適度の揮発性、乾燥性を実現するためは、2成分以上の混合溶媒から構成するのが好ましい。
【0042】
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物には、塗布性、着色被膜の乾燥工程において平滑性やベナードセルを防止する目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は通常、遮光材の0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。添加量が少なすぎると塗布性、塗膜の平滑性やベナードセルを防止効果がなく、多すぎると逆に塗膜物性が不良となる場合がある。界面活性剤は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
本発明の黒色感光性樹脂ペーストにおいてバインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合開始剤等の樹脂成分と遮光材をあわせた固形分濃度としては、塗工性・乾燥性の観点から2%以上30%以下が好ましく、更には5%以上20%以下であることが好ましい
本発明での黒色感光性樹脂ペーストは、分散機を用いて樹脂溶液中に直接遮光材を分散させる方法や、分散機を用いて水または有機溶媒中に顔料を分散して顔料分散液を作製し、その後樹脂溶液と混合する方法などにより製造される。遮光材の分散方法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうるが、分散効率と微分散化からビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどを用いることができる。ビーズミルのビーズとしては、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどを用いるのが好ましい。分散に用いるビーズ径としては0.01mm以上5.0mm以下が好ましく、更に好ましくは0.03mm以上1.0mm以下である。遮光材の一次粒子径及び一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が小さい場合には、0.03mm以上0.10mm以下といった微小な分散ビーズを用いる事が好ましい。この場合、微小な分散ビーズと分散液とを分離することが可能な遠心分離方式によるセパレーターを有するビーズミルを用いて分散することが好ましい。一方、サブミクロン程度の粗大な粒子を含む遮光材を分散させる際には、0.10mm以上の分散ビーズを用いる事により十分な粉砕力が得られ遮光材を微細に分散できるため好ましい。
【0044】
本発明の黒色感光性樹脂から得られたブラックマトリックスの光学濃度(optical density、OD値)としては、波長380〜700nmの可視光域において膜厚1.0μmあたり4.5以上であることが有効である。膜厚1μmあたりのODが4.5未満では、十分な遮光性を得るためには、膜厚を厚くしなければならない。ブラックマトリックスの遮光性能が上がり、単位膜厚あたりのOD値が高くなるほど、ブラックマトリックスを薄くすることができて、カラーフィルターの表面平坦性が向上して、液晶表示装置としたときの表示不良が発生しにくくなるので好ましい。
【0045】
カラーフィルター基板としては、表示領域内のブラックマトリックスはOD値は4.0以上が好ましく、さらに好ましくは4.5以上である。表示領域外の額縁部分のブラックマトリックスのOD値は4.0以上が必要であり、好ましくは4.5以上であり、さらに好ましくは5.0以上である。表示領域外ではシール剤などの影響で液晶の配向が部分的に乱れていることがあり、液晶に印加する電圧で光透過率を制御することが困難であり、液晶で光を遮光できない光漏れ部分が存在する。光漏れが起こる表示領域外は額縁部のブラックで遮光するためにOD値を高くする必要がある。
【0046】
OD値は顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて測定を行い、下記の関係式(8)より求めることができる。
【0047】
OD値 =−log10 (I /I) (1)
ここで、I;入射光強度、I;透過光強度となる。
【0048】
黒色感光性樹脂の塗布方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーコーティング法などが好適に用いられ、この後、オーブンやホットプレートを用いてセミキュアを行う。セミキュアの前に減圧下で塗布したペーストの溶剤を蒸発させる真空乾燥工程を追加してもよい。
真空乾燥工程は、乾燥する溶剤の飽和蒸気圧以下になるように設計された排気系をもったポンプを設置することが好ましい。
【0049】
露光後の基板を現像するには、アルカリ現像液により現像することが好ましい。アルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ現像液濃度は0.01〜5%の範囲が好ましい。
【0050】
現像液温度は18〜50℃の範囲で適宜選択することが好ましいが、本発明では透明基板側からも露光するので、透明基板上に黒色感光性樹脂の残膜が発生しやすい傾向になる。この残膜を除去するには、現像液の温度を上げて現像性を向上させることが有効である。
【0051】
アルカリ現像はディップ現像、スプレイ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像液濃度、温度、流量、現像液シャワー噴射圧力、現像後の水洗温度、流量および水洗水シャワー噴射圧力条件を適宜選択することで、パターン加工することが可能である。透明基板上の黒色感光性樹脂算膜を除去するには、現像液または水洗水を高圧で噴射することが好ましく、噴出圧力は0.01MPa〜20MPaが好ましい。
【0052】
本発明のブラックマトリックスはカラーフィルター基板に好適に用いられる。液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、VAモード、STNモード、ECBモード、OCBモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0053】
次に、このカラーフィルター基板を用いて作成した液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター基板上に、透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などの反射電極が形成された反射電極基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させて貼りあわせる。なお、反射電極基板上には、反射電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【実施例】
【0054】
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<評価方法>
[OD値]
無アルカリガラス上に膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリクスを形成させ、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて上述の式(1)より求めた。
【0056】
<アクリルポリマーの合成>
特許第3120476号公報の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(質量組成比30/40/30)を合成後、グリシジルメタクリレート40質量部を付加させ、精製水で再沈、濾過、乾燥することにより、平均分子量(Mw)40,000、酸価110(mgKOH/g)の特性を有するアクリルポリマー(P−1)粉末を得た。
【0057】
<密着改良剤の合成>
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン24.8g(0.1モル)とグリシジルメタクリレート56.9g(0.4モル)と重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテル0.08gをフラスコに仕込み、撹拌しながら55℃で4時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.7gを添加、濃度50質量%に希釈し、さらに55℃で2時間反応させ、密着性改良剤の溶液(AP−1)を得た。
【0058】
<パターン欠落評価>
ブラックマトリックスの現像後のパターン評価として、50μmピッチでライン幅が6μmのパターン設計したフォトマスクを介してプロキシミティ露光機で露光して、現像後のブラックマトリックスを光学顕微鏡の20倍の視野で観察した。マスク設計どおりの幅でブラックマトリックスが欠落なく残っている場合を良好、欠落がある場合は欠落と判断した。
【0059】
<残膜評価>
ブラックマトリックスの現像後に、塗膜側からの露光の光があたらず、パターンを溶解させる設計の部分にブラックマトリックスが残っているかどうかを、光学顕微鏡の100倍の視野で観察した。黒色膜および顕微鏡で観察される1μm前後の黒色粒が観察される場合は不良、観察されない場合は良好とした。
【0060】
<露光照度および露光量測定>
露光照度は、紫外線照度計(ウシオ電機製UIT−201)に365nmの受光器(ウシオ電機製UVD−365PD)を組み合わせて、基板の露光面に受光器を置いて照度を測定して、365nmの露光照度とした。露光量は測定した露光照度と時間の積で計算から求めて、365nmの露光量とした。プロキシミティ露光機(株式会社日立ハイテクノロジーズ製LE4000A)では露光量を設定すれば測定した照度から計算した時間だけ、露光されるように設計されている。
【0061】
実施例1
市販の窒化チタン粉末試薬(和光純薬工業(株)製、窒化チタン50nm)を200g、アクリルポリマー(P−1)の3―メチル―3―メトキシブタノール45質量%溶液を100g、およびプロピレングリコールターシャリーブチルエーテルを700gをタンクに仕込み、ホモミキサー(特殊機化製)で1時間撹拌し、予備分散液12を得た。その後、0.05mmφジルコニアビーズ(ニッカトー製、YTZボール)を70%充填した遠心分離セパレーターを具備したウルトラアペックスミル(寿工業製)に予備分散液12を供給し、回転速度8m/sで2時間分散を行い、固形分濃度24.5質量%、遮光材/樹脂(質量比)=82/18の黒色分散液1を得た。
【0062】
この黒色分散液1を525.8gにビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量%溶液を21.6g、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製DHPA)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量%溶液を21.6g、光重合開始剤として“イルガキュア”369を8.8g、旭電化工業(株)“アデカ(登録商標)オプトマー”N−1919を2.2gおよびN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンを0.6g、密着性改良剤としてAP−1(50質量%溶液)を3.7g、シリコーン系界面活性剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10質量%溶液を3.6g、3―メチル―3−メトキシ−ブチルアセテートを259.1gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを4.4gに溶解した溶液を添加し、全固形分濃度18質量%、遮光材/樹脂(質量比)=65/35の黒色感光性樹脂組成物BM1を得た。同様の工程で、遮光材/樹脂(質量比)=59/41の黒色感光性樹脂組成物BM2、遮光材/樹脂(質量比)=52/48の黒色感光性樹脂組成物BM3を得た。
【0063】
黒色感光性樹脂組成物BM1を無アルカリガラス基板(コーニング製“EAGLE XG”ガラス基板)上にキュア後の膜厚が1.0μmになるようにカーテンフローコーターで塗布し、80℃、100Paで1分真空乾燥した後に、80℃のオーブンで10分間プリベークした。
【0064】
フォトマスクを介して、プロキシミティ露光機(株式会社日立ハイテクノロジーズ製LE4000A)で、プロキシミティギャップ100μm、照度30mW/cm(365nmでの照度)で100mJ/cm(365nmでの露光量)で塗膜面を露光した。
次に、基板を搬送させながら、透明基板側から蛍光灯型ブラックライト(東芝ライテック製FL10BLB−A)で3mW/cmの照度で10mJ/cmで露光した。
【0065】
露光後24℃の0.05質量%KOH水溶液を用いてノズルから1MPaで現像液を噴射しながら60秒間シャワー現像し、続いて2MPaで純水によるシャワー洗浄することにより、パターンニング基板を得た。さらに、230℃で30分間キュアした。このようにして、厚み1.0μmのブラックマトリクスを作製した。
【0066】
得られたブラックマトリックスの光学濃度は5.0で、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。塗膜面から露光するフォトマスクパターン幅を5μmとしても欠落および残膜もなく良好であった。
【0067】
実施例2
透明基板側からの露光が、蛍光灯型ブラックライト(東芝ライテック製FL10BLB−A)で3mW/cmの照度で20mJ/cmで露光した。こと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例3
透明基板側からの露光が、蛍光灯型ブラックライト(東芝ライテック製FL10BLB−A)で15mW/cmの照度で15mJ/cmで露光した。こと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0070】
実施例4
透明基板側から露光が、ピーク波長375nmの紫外線発光ダイオード(日亜化学工業株式会社製 NSPU510CS)を直線状に並べた光源で、10mW/cm(375nmでの照度)で、15mJ/cm(375nmでの露光量)で露光したこと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0071】
実施例5
黒色感光性樹脂にBM2を使ったこと、フォトマスクを介して、プロキシミティ露光機で、プロキシミティギャップ80μm、照度30mW/cm(365nmでの照度)で60mJ/cm(365nmでの露光量)で塗膜面を露光したこと、基板を搬送させながら、透明基板側から蛍光灯型ブラックライト(東芝ライテック製FL10BLB−A)で5mW/cmの照度で10mJ/cmで露光したこと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスの光学濃度は4.5で、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0072】
実施例6
フォトマスクを介して、プロキシミティ露光機で、プロキシミティギャップ100μm、照度30mW/cm(365nmでの照度)で120mJ/cm(365nmでの露光量)で塗膜面を露光したこと、基板を搬送させながら、透明基板側から蛍光灯型ブラックライト(東芝ライテック製FL10BLB−A)で4mW/cmの照度で24mJ/cmで露光したこと、現像時間を85秒としたこと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0073】
実施例7
フォトマスクを介して、プロキシミティ露光機(株式会社日立ハイテクノロジーズ製LE4000A)で、プロキシミティギャップ100μm、照度30mW/cm(365nmでの照度)で100mJ/cm(365nmでの露光量)で塗膜面を露光すると同時に露光ステージ上に光ファイバーで、ピーク波長375nmの紫外線発光ダイオード(日亜化学工業株式会社製 NSPU510CS)を平面状に並べた光源で、透明基板側から3mW/cmの照度で10mJ/cmで露光したこと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅6μmで欠落および残膜もなく良好であった。
【0074】
比較例1
透明基板側からの露光をしなかったこと以外は実施例1と同様にしてブラックマトリックスを16作製した。得られたブラックマトリックスは、パターン幅5μmパターンの全てが欠落、6および7μmパターンの約3〜20%で欠落が発生した。本発明は、液晶表示装置用カラーフィルター基板における黒色遮光パターンの製造に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、液晶テレビ、ノートPC、携帯情報端末、携帯電話、デスクトップモニタ、デジタルカメラなどに使用されるカラーフィルター基板の黒色遮光パターンを形成するのに好適に利用される。
【符号の説明】
【0076】
1:黒色感光性樹脂膜
2:透明基板
3:紫外線
4:フォトマスク
5:紫外線
6:ブラックマトリックスパターン
7:塗膜表面
8:塗膜底部
11:1次元に配置したライン状光源
12:黒色感光性樹脂を塗布した透明基板
13:基板移動方向
14:2次元に配置した面状光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に形成された黒色感光性樹脂層に対して露光工程、現像工程、加熱硬化工程を順次行うことにより透明基板上に黒色遮光パターンを形成する黒色遮光パターン基板の製造方法において、該露光工程が、(1)透明基板の黒色感光性樹層が形成された側からパターン露光を行う工程と、(2)透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側から全面露光を行う工程、とを有することを特徴とする黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項2】
前記(1)透明基板の黒色感光性樹層が形成された側からパターン露光を行う工程の後に、前記(2)透明基板の黒色感光性樹層が形成されていない側から全面露光を行う工程、が行われることを特徴とする請求項1に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項3】
前記全面露光における露光量は、前記パターン露光における露光量の20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項4】
前記全面露光における露光照度は、前記パターン露光における露光照度の50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項5】
黒色遮光パターンの光学濃度が膜厚1μmあたり4.5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項6】
黒色遮光パターンのうち最小線幅が6μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項7】
前記全面露光の光源が、冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード、レーザーダイオードである請求項1〜6のいずれか1項に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項8】
前記全面露光の光源がライン状に並んで透明基板と相対的に移動しながら、露光することを特徴とする請求項7に記載の黒色遮光パターン基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の黒色遮光パターン基板の製造方法を用いた液晶表示装置用カラーフィルター基板の製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−197361(P2011−197361A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63670(P2010−63670)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】