説明

鼻内投与のためのデバイス

本明細書においては、鼻内投与のためのケトロラック溶液(102)および約10%v/v以下の酸素を含むヘッドスペース(104)を含有するバイアル(100)およびデバイスが開示される。バイアル(100)およびデバイスを調製するためのプロセスも開示される。バイアル(100)およびデバイスは酸素不透過性パウチ(601)の中に任意選択で保存してもよい。別の態様においては、本発明は凹状またはV形状の内底を含む、噴霧システムでキャップされた高回収率バイアルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年3月13日に出願された米国特許出願第12/404,250号の利益を主張し、この出願は本明細書によりその全体が参照として援用される。
【0002】
発明の分野
本明細書においてはケトロラック組成物を貯蔵する(preserve)ためのバイアルおよび方法が開示され、各バイアルは低減された酸素含量を有するヘッドスペースを含む。
【背景技術】
【0003】
背景
ケトロラックは数年前から公知であり(特許文献1)、トロメタミン塩としてヒトへの鎮痛および抗炎症治療に用いられている。特許文献1は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
ケトロラックについては数多くの文献が入手可能である(例えば、非特許文献1)。これは、多くの他の非ステロイド抗炎症薬よりもかなり高い鎮痛活性を有する薬物として記述されている。最も顕著なことは、これはモルヒネ等のアヘン剤のそれに匹敵する鎮痛活性を有しながらその周知の副作用がないことである。
【0005】
ケトロラックが経鼻投与用組成物として製剤化できることは公知である。Recordatiに与えられた特許文献2および特許文献3を参照されたい。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
ケトロラックトロメタミンを経鼻投与することは、この化合物を注射または経口投与することに比べてある種の利点がある。これらは、先行技術文献である特許文献2および特許文献3において議論されている。後者の文献は、ケトロラックトロメタミンを局所鎮痛剤、例えばリドカイン塩酸塩と組み合わせることによって、ケトロラックトロメタミン単独の経鼻投与において何人かの患者が経験する刺痛効果を成功裡に低減できることを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,089,969号明細書
【特許文献2】米国特許第6,333,044号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0042968号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Ketorolac − A review of its pharmacodynamic and pharmacokinetic properties and its therapeutic potential」、Drugs、39巻(1号)、86〜109頁、1990年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
1つの態様において、本発明は噴霧システムでキャップされたバイアルを提供し、バイアルは溶液、噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、ヘッドスペースは約10%v/v以下の酸素を含む。
【0010】
別の態様においては、本発明はバイアルおよびバイアルをキャップした経鼻噴霧システム(nasal spray system)を含む経鼻噴霧デバイス(nasal spray device)を提供し、バイアルは溶液、経鼻噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、ヘッドスペースは約10%体積対体積(v/v)以下の酸素を含む。
【0011】
さらに別の態様においては、本発明は凹状またはV形状の内底を含む、噴霧システムでキャップされた高回収率バイアルを提供する。いくつかの実施形態においては、高回収率バイアルは溶液より上のヘッドスペースをさらに含み、ヘッドスペースは約10%v/v以下の酸素を含む。
【0012】
さらに別の態様においては、本発明のバイアルまたはデバイスは、酸素不透過性フィルムを含むシールされたパウチの中に入れられている。いくつかの実施形態においては、シールされたパウチは約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間を含む。
【0013】
これらのおよび他の実施形態については、以下の本文でさらに述べる。
【0014】
本発明を添付の図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、好ましくは約10%v/v以下の酸素を含むヘッドスペースを有するバイアルの例を示す。
【図2】図2は、好ましくは約10%v/v以下の酸素を含むヘッドスペースを有する高回収率バイアルの例を示す。
【図3】図3は、従来の酸素低減デバイスの例を示す。
【図4】図4は、従来の酸素低減デバイスにおいて用いられるチューブを示す。
【図5】図5は、改良された酸素低減デバイスにおいて用いられるチューブを示す。
【図6】図6は、酸素吸収による周波数変調信号の例を示す。各スペクトルのピークツーピーク振幅は酸素濃度(各スキャンの右に注記している)に比例している。これらのスペクトルは、窒素中酸素の保証済み気体混合物で満たされた直径1インチのガラス容器によって得られた。
【図7】図7は、酸素不透過性フィルムを含むシールされたパウチの中に入れられた、約10%v/v以下の酸素を含む内部空間を有する本発明のバイアルの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の種々の態様を述べる前に、本発明は記述された特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定するものではないこと理解されたい。というのは、これらは変化し得るからである。本明細書で用いる専門用語は本発明の特定の実施形態を説明することを意図するものであって、決して添付した特許請求の範囲において説明する本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0017】
他に定義しない限り、本明細書において用いる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験において本明細書に記載したものと同様のまたは等価の任意の方法および材料を用いることができるが、ここには好ましい方法、デバイス、および材料を記載する。本明細書に引用する全ての技術および特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中の何物も、本発明が先行発明によるこのような開示に先立つ資格がないことを容認すると見なすべきではない。
【0018】
本発明に従い、また本明細書において用いる際には、他に明示しない限り以下の用語は以下の意味をもって定義される。
【0019】
用語「約」は、範囲を含んで数値指定、例えばpH、温度、量、濃度、および分子量の前に用いる場合には、(+)または(−)5%、1%または0.1%の範囲で変動し得る近似値を示す。
【0020】
本明細書および特許請求の範囲において用いる際には、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって他に明確に指示されない限り複数の言及を含む。例えば、用語「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される複数の塩およびその混合物を含む。
【0021】
本明細書において用いる際には、用語「含んでいる」または「含む」は、その組成物および方法が言及した要素を含むが、他を除外してはいないことを意味すると意図している。「本質的に〜からなる」は、組成物および方法を定義するために用いる場合には、記述した目的のための組合せに対していかなる本質的な意義をも有する他の要素を除外することを意味することになる。したがって、本質的に本明細書に定義された要素からなる組成物は、特許を請求した発明の基礎的および新規な特徴(単数または複数)に大きく影響しない他の材料またはステップを除外しないことになる。「〜からなる」は、他の成分の微量を超える要素および実質的な方法のステップを除外することを意味することになる。これらの移行用語の各々によって定義された実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0022】
「ケトロラック」は、以下の式(I):
【0023】
【化1】

を有する5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−カルボン酸またはその薬学的に許容される塩の化学化合物を指す。
【0024】
本出願の目的のため、ケトロラックという名称は個別的または集合的に、ラセミ混合物、非ラセミ(または鏡像異性的に富化された)混合物、または光学活性化合物並びにそれらの互変異性体を包含し、ケトロラックの薬学的に許容される塩、特にトロメタミン塩を含む。本明細書において用いる際には、ケトロラックのラセミ混合物は、式(I)の2つの鏡像異性体の等量を有する混合物である。ケトロラックの非ラセミまたは鏡像異性的に富化された混合物は、式(I)の鏡像異性体の一方の量が他の鏡像異性体より多い混合物である。光学活性化合物は、鏡像異性的に富化された、または鏡像異性的に純粋な化合物を含み得る。鏡像異性的に純粋な化合物は、ケトロラックの全量に対して99%を超え、例えば99.5%、または99.9%の一方の鏡像異性体を有するケトロラックを指す。
【0025】
「リドカイン」は、式(II):
【0026】
【化2】

を有する2−(ジエチルアミノ)−N−(2,6−ジメチルフェニル)アセトアミドまたはその薬学的に許容される塩の化学化合物を指す。
【0027】
リドカインの薬学的に許容される多くの塩が公知である。そのような塩の非限定的な例としては、リドカイン塩酸塩およびリドカインメタンスルホン酸塩がある。本明細書において用いる際には、用語「リドカイン」は、他に示さない限り前記化合物またはその薬学的に許容される任意の塩を指す。
【0028】
用語「被験体」、「個人」または「患者」は本明細書において相互変換可能に用いられ、ヒトを指す。
【0029】
用語「薬学的に許容される塩」は、当技術で周知の有機および無機の種々の対イオンから誘導された薬学的に許容される塩を指し、例としてのみであるがナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トロメタミンおよびテトラアルキルアンモニウム並びに、前記分子が塩基性官能基を含有する場合には塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩(メタンスルホン酸塩)、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩等の有機または無機の酸の塩を含む。適当な塩としては、P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth(編)、「Handbook of Pharmaceutical Salts Properties, Selection, and Use」、2002年に記載されたものが挙げられる。
【0030】
用語「酸素不透過性フィルム」は、酸素透過性を有しないか、ごく限られた酸素透過性、例えば約0.03mL/100平方インチ(si)/日以下の酸素透過性を有する薄膜状材料を指す。酸素不透過性フィルムに適した材料としては、これだけに限らないが、ポリエチレンテレフタレート(terphthalate)およびコポリマーを含むポリエステルフィルム、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンまたはそれらの混合物、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)から作られたポリエステルフィルム)フィルム等、注型ポリプロピレン(CPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレートおよびコポリマー等、多層ポリプロピレンフィルム等、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム、UFLEX Ltd.,、Indiaから入手可能な熱ラミネーションフィルム等が挙げられる。フィルムは、金属化ポリエステルフィルム、金属化二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム、および金属化注型ポリプロピレン(CPP)フィルム、並びにUFLEX Ltd.,、Indiaから入手可能なプラズマ金属化ポリエステルフィルム等のプラズマ金属化フィルム等、任意選択で金属化してもよい。
【0031】
用語「シールされた酸素不透過性パウチ」は、空気の自由な交換を可能にする開口部がなく、酸素不透過性フィルムで作られた容器を指す。いくつかの実施形態においては、パウチは本発明のデバイスを収容するのに充分な、または膨張したときに約40〜50mLである内部空間を有する。いくつかの実施形態においては、パウチの酸素透過性は0.005mL/パッケージ/日未満、例えば0.0048mL/パッケージ/日未満である。
【0032】
装置
本発明の1つの態様は、薬剤を含有する溶液から被験体に薬剤を送達するための噴霧システムが付属した体積約10mL以下のバイアル等のデバイスである。そのようなバイアルは一般に噴霧システムでキャップされ、溶液の表面とキャップとの間にヘッドスペースを有することになる。本発明者らは、薬剤がケトロラックである場合の溶液より上のヘッドスペースを占める気体の含量は、冷蔵の必要なしにケトロラック溶液の長期安定性を確保するには10%v/v酸素未満に保つ必要があることを見出した。
【0033】
我々の周囲大気(空気)は約20%v/vの酸素、78%v/vの窒素、1%v/vのアルゴン、および他のいくつかの成分を含有している。高酸素含量によってバイアル内のある種の薬剤溶液(例えばケトロラックトロメタミン)が分解し、それにより薬剤の保存期間が短くなる可能性があることが見出されている。そのような状況の下で、溶液含有のバイアルは、製品の所望の保存期間に亘る溶液の安定性を維持するために冷蔵保存されることが多い。冷蔵が必要なことにより、製品の取扱いおよび保存のコストが増大する可能性がある。
【0034】
本発明者らは、ケトロラックが溶液中で式(III)および5−ベンゾイル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン−1−オン(またはラセミ若しくは光学活性形の5−ベンゾイル−1−ケト−2,3−ジヒドロ−1H−ピロリジン)の化学名を有する1−ケトアナログ等のいくつかの分解生成物を産生する可能性があることを見出した。
【0035】
【化3】

1−ケトアナログは、ケトロラックがデバイスのヘッドスペースにおいて多すぎる酸素によって酸化された際に生成する。本発明者らは、1−ケトアナログの生成が高濃度のケトロラックを含む鼻内組成物に対して特に問題があることを見出した。鼻内投与用ケトロラックの発見の前には、ケトロラックは約3%若しくは1.5%またはそれ未満の程度のずっと低い濃度での非経口投与用に入手可能であった。低濃度が用いられるのは、より大きな体積が時間をかけて投与できるからである。この低濃度では生成する1−ケトアナログの量は許容されるレベル内である。しかし、鼻内投与できる体積には限りがあるので、より高濃度のケトロラックが必要となり、それにより1−ケトアナログの濃度が許容されるレベル外となる可能性があり、これが安全上の懸念を引き起こし得ることを本発明者らは見出した。高濃度のケトロラックトロメタミン溶液を含有するバイアルのヘッドスペース内の酸素を10%v/v未満に確保することによって、最終製品の保存期間を冷蔵の必要なく延長できることが見出された。本発明の独特の製品は、これ以降議論するマニュアルプロセスによって、または鼻内製剤含有バイアル内の酸素含量のレベルを低減し、それによりケトロラックの分解生成物のレベルを低減し、製剤を室温で2年以上保存すること(store)を可能にする程度の安定性を提供するデバイスをもたらす、本明細書で提供される独特の酸素低減デバイスによって得ることができる。
【0036】
鼻内投与用のケトロラック溶液は、本明細書においてバイアルと称される容器に含有され、保存される。バイアル内の溶液の体積が限られているので、バイアル内にはヘッドスペースが残されていることが多い。典型的には、このヘッドスペースは約20%v/vの酸素を有する空気で満たされている。多くの場合には、空気の量がバイアル内の薬剤の安定性に対して実質的な問題でない程度にヘッドスペースの体積を低減することは実用的ではない。大抵の場合、薬剤がバイアルから放出されるにつれてヘッドスペースは増大する。例えば、鼻内組成物を含有するバイアルの場合、ヘッドスペースの体積は典型的には以下の要因によって決定される。
(1)バイアルのサイズ:鼻内噴霧によって組成物を送達するための噴霧システムがバイアル上に存在しているので、バイアルを保存する際にバイアルを安定化させるため、バイアルの最小寸法は噴霧システムの重量とバランスできることが必要である。バイアルが小さすぎると、バイアルは噴霧システムの重量によって転倒し、落ちる傾向が生じる。好ましくはバイアルの最小体積は約3.5mLである。好ましくは、バイアルの最大体積は約10mL、より好ましくは5mLである。
(2)内部の組成物の体積:好ましい実施形態においては単一のバイアルに含有し得る薬物溶液の量は約0.4〜4mL、より好ましくは約0.6〜3mL、さらにより好ましくは約0.8〜2mLである。1つの実施形態においては体積は約1mLで約1.8mLまでである。別の実施形態においては体積は約1.6mL以上で約1.8mLまでである。
【0037】
したがって、最小のヘッドスペースはバイアルのサイズおよびそこに含有される溶液の体積によって決定され、一般的には約1mL、3mL、4mLまたはそれより大きく、これは空気で満たされる場合にはバイアル内に含有される薬物の顕著な分解を起こし得る酸素量を含有することになる。一般的には、ヘッドスペースはバイアルの全体積の80%以下である。
【0038】
したがって、本発明は、本発明者のこの一連の発見および観察に基づいて、いくつかの態様を含むことが分かる。1つの態様は、アトマイザーが取り付けられ、10%v/v未満の酸素を含有するヘッドスペースを有するバイアルの中に含有されるケトロラックおよび任意選択でリドカインの溶液の経鼻投与のための製品である。本発明の別の態様は、本製品を用いる経鼻投与によってケトロラックを単独でまたはリドカインと組み合わせて投与する方法である。本発明の別の態様は、ケトロラックおよび任意選択でリドカインの溶液を適当量の経鼻投与用の溶液を含有するバイアルに入れ、バイアルのヘッドスペースが10%v/v未満の酸素を有することを確保し、バイアルをキャップすることによって本発明の製品を作る方法である。本発明のさらに別の態様は、ヒトにおいて疼痛または炎症を治療するための、そのような用途のためのラベル説明書と組み合わせた製品を含むシステムである。本発明の他の態様は、この出願をその全体に亘って読むことによって当業者には明らかとなるであろう。
【0039】
したがって、1つの態様においては噴霧システムでキャップされたバイアルが提供され、バイアルは溶液、噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、ヘッドスペースは約10%v/v以下の酸素を含む。
【0040】
噴霧システムでキャップされたバイアルの例を図1に示す。図1のバイアル100は図示のためのみに示されており、バイアルの寸法、形状、またはデザインの任意の変更は充分に本発明の範囲内であることを理解されたい。バイアル100はガラス、ポリマー、または当技術で公知の任意の他の適当な材料から作られてよい。バイアル100は噴霧システムであるキャップ101を含む。いくつかの実施形態においては、噴霧システムは経鼻噴霧システムである。いくつかの実施形態においては、経鼻噴霧システムは計量経鼻噴霧システムである。
【0041】
バイアル100は溶液102をバイアル内に含む。いくつかの実施形態においては、溶液102は薬剤である。いくつかの実施形態においては、薬剤は米国特許第6,333,044号、米国特許出願公開第2009/0042968号および2010/0016402A1号の1つまたは複数に記載されたケトロラック溶液を含む。これらの両者はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態においては、バイアルはケトロラック溶液の多単位用量を含有する。いくつかの実施形態においては、バイアルは8単位用量までのケトロラック溶液を含有する。
【0042】
バイアル100は、一端が噴霧システムに取り付けられ他端が溶液に浸漬しているディップチューブ103をバイアル内に含む。バイアル100はヘッドスペース104をもバイアル内に含み、ヘッドスペースは約10%v/v以下の酸素を含む不活性気体を含む。いくつかの実施形態においては、ヘッドスペースは約8%v/v以下の酸素、より好ましくは約5%v/v以下の酸素を含む不活性気体を含む。いくつかの実施形態においては、ヘッドスペースは約5%〜約10%v/vの酸素、または約3%〜約8%v/vの酸素、または約2%〜約5%v/vの酸素を有する不活性気体を含む。
【0043】
ヘッドスペース内の酸素の百分率を10%以下に保つことによって、溶液は約2年間安定に保たれる。「安定」とは溶液中の活性成分の百分率において溶液が実質的に変化なく保たれ、それにより関連する期間の間、溶液がその意図された用途に適している状態をいうことを理解されたい。例えば、溶液が薬剤である場合には、溶液が新薬承認申請の申請者によって要望され、米国食品医薬品局等の関連する規制当局によって要求される薬剤として用いられるための標準に合致すれば、溶液は安定状態にある。したがって、その意図された用途に使えなくなるほど、例えば薬剤としての用途に対する標準に達しないほど充分に分解の程度が顕著でない限り、安定な溶液はある程度の僅かな分解を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、バイアル内の溶液は室温で約2年間、バイアル内に保存することができる。いくつかの実施形態においては、ヘッドスペース内の約10%v/v以下の酸素は、周囲大気を含有するバイアルに比べて溶液の保存期間を延長する。バイアルが高濃度、例えば12〜38%または15〜35%w/vのケトロラック溶液を含有する場合には、低減された酸素含量、例えば約10%v/v以下の酸素を有する気体雰囲気下でケトロラック組成物を保存すれば、室温で2年等の充分に長い期間、顕著な分解なしに組成物を保存することが可能になる。
【0044】
図1に示したもの等の規則的形状のバイアルは実質的に平坦な内底を有している。さらに液体がディップチューブに流れ込むことを可能にするように、典型的にはディップチューブ103の先端とバイアルの底との間に空間がある。このことは、多用量容器の場合に各々の用量において適量が送達されることを確実にするために過剰の溶液を用いる必要があること、並びに空気がディップチューブ内に導入されてそれにより所望の用量が供給されない可能性があること等の多数の問題を提起する。本発明の別の実施形態においては、投与の間に空気がディップチューブに導入される可能性を低減する一方、適当な用量を提供するために必要な溶液の量をも低減する経鼻噴霧用高回収率バイアルが提供される。高回収率バイアルは薬物組成物が高価な場合に特に有利である。図2に高回収率バイアル200の例を示す。図2に示すように、高回収率バイアル200の内底は凹状または「V」形状の底201を含み、それにより残留した薬物溶液(点線202で示す。一方点線203は使用前の薬物溶液の量を示す)は凹状または「V」形状の底201の先端に集められる。バイアルは溶液をディップチューブ204に進入させるためのノッチ205を有するディップチューブ204をも含んでいる。1つの実施形態においては、ディップチューブは硬いノッチ付きのディップチューブである。バイアルはヘッドスペース104を含み、これは好ましくは10%v/v未満の酸素を有する。
【0045】
別の態様においては、10mL以下の体積を有するバイアルおよびバイアルをキャップした経鼻噴霧システムを含み、バイアルが溶液、経鼻噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、ヘッドスペースが約10%v/v以下の酸素を含む経鼻噴霧デバイスが提供される。いくつかの実施形態においては、経鼻噴霧デバイスは上述のバイアルを含む。好ましい実施形態においては、ヘッドスペース内の酸素の量は上で提供した通りである。経鼻噴霧デバイスは、定義された量の溶液を鼻孔内に噴霧するために患者の鼻孔内に挿入される出口端のためにデザインされたものである。
【0046】
いくつかの実施形態においては、経鼻噴霧デバイスは患者の鼻道に噴霧すべき組成物の所望の量を測定するための計量チャンバーをさらに備えている。1つの実施形態においては、計量チャンバーは噴霧デバイスと結合しており、それにより患者は組成物の所望の量(例えば単位用量)を同時に測定および噴霧することができる。1つの実施形態においては、計量チャンバーは約50〜約125μLの所定の量の液体を送達することができる。1つの実施形態においては、計量チャンバーは約50〜約100μLの液体を送達することができる。1つの実施形態においては、異なった送達体積を有する計量チャンバーを用いることができる。1つの実施形態においては、計量チャンバーは約50μLの液体を測定することができる。1つの実施形態においては、計量チャンバーは約100μLの液体を測定することができる。計量チャンバーを有しまたは有しない適当なバイアルおよび噴霧デバイスは「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に照会することによって当業者には入手可能である。そのような入れ物の1つの供給源はIng. Erich Pfeiffer GmbH、Radolfzell、Germanyである。別の供給源はValois、50 avenue de l’Europe、78164 MARLY−LE−ROI、Franceである。
【0047】
別の態様においては、本発明のバイアルまたは経鼻噴霧デバイスはヒト被験体の疼痛または炎症の治療における使用のためのラベル説明書と組み合わせられる。いくつかの実施形態においては、疼痛は被験体が負った外傷の結果である。いくつかの実施形態においては、疼痛は被験体に実施された医療手術の結果である。いくつかの実施形態においては、疼痛は病気によるものである。いくつかの実施形態においては、疼痛は神経性である。いくつかの実施形態においては、疼痛は偏頭痛または他の頭痛である。
【0048】
別の実施形態においては、本発明のバイアル、または経鼻噴霧デバイスはバイアルをカバーするシールされた酸素不透過性のパウチをさらに含み、該パウチは約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間を含む。いくつかの実施形態においては、シールされたパウチの内部空間の酸素含量は少なくとも2年間、約10%v/v以下のレベルに維持することができる。
【0049】
いくつかの実施形態においては、パウチの内部空間における酸素含量は少なくとも約5%v/v以下である。いくつかの実施形態においては、パウチの内部空間における酸素含量は少なくとも2年間、約10%v/v以下、例えば少なくとも2年間、約8%v/v以下に維持することができる。いくつかの実施形態においては、内部空間は約2%v/vの初期酸素含量を含む。いくつかの実施形態においては、パウチの酸素透過性は0.005mL/パッケージ/日未満、または0.0048mL/パッケージ/日未満である。
【0050】
いくつかの実施形態においては、シールされたパウチは約5〜8cm×12〜15cmの寸法、例えば約6〜6.5cm×14〜15cmの寸法を有する。特定の実施形態においては、シールされたラップは約6.2cm×14.5cmの寸法を有する。いくつかの実施形態においては、シールされたパウチは約40〜50mL、より具体的には約45mLの内部体積を有する。いくつかの実施形態においては、パウチはポリエチレンテレフタレートおよびコポリマーを含むポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、またはポリエステルおよびポリビニルアルコールを含むフィルムから作られる。いくつかの実施形態においては、フィルムは二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)から作られたポリエステルフィルム)フィルム、コポリマーおよびターポリマーを含む注型ポリプロピレン(CPP)フィルム、多層ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムおよび熱ラミネートフィルムからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、フィルムは金属化ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートおよびコポリマーを含む)、金属化二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム、および金属化注型ポリプロピレン(CPP)フィルム(コポリマーおよびターポリマーを含む)等、並びにプラズマ金属化ポリエステルフィルム等のプラズマ金属化フィルムのように金属化される。
【0051】
食品包装のためのシールされた袋を調製するためのプロセスおよび装置を、パウチを調製するために用いてよい。ケトロラック組成物および10%v/v以下の酸素を含むヘッドスペースを含む本発明のバイアルは、開口部を有するパウチの中に置かれる。次いでパウチは内部空間の酸素含量を10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%以下に低減させるのに充分な窒素およびアルゴン等の不活性気体でフラッシュされる。次いでパウチはシールされる。そのようなプロセスは当技術で周知である。いくつかの実施形態においては、製造速度は約200個/分である。
【0052】
いくつかの実施形態においては、シールされたパウチは波状の端部シールを有するフィンシールフローラップ型である。シーリングの他の方法は当技術で周知である。パウチのいかなる開口部を通ってでも酸素がパウチ内に入ることを防ぐように、または本開示の教示に従って酸素の浸入を最小化するようにパウチがシールされる限り、シーリングの特定の方法は本質的ではないことを理解されたい。
【0053】
図7はシールされたパウチ601の中の本発明のバイアル100の例を示す。シールされたパウチは約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間602を含む。
【0054】
方法およびプロセス
さらに別の態様においては、経鼻噴霧デバイスを調製する方法が提供され、経鼻噴霧デバイスは10mL以下の体積を有するバイアルおよびバイアルをキャップした経鼻噴霧システムを含み、バイアルは溶液、経鼻噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、プロセスは
a)酸素による分解を受けやすい薬学的組成物を添加するステップ;
b)空気をバイアルからパージするため不活性気体をバイアルに流すステップ;および
c)バイアルを経鼻噴霧システムでキャップするステップ
を含み、前記プロセスによって、バイアルを経鼻噴霧システムでキャップした後にバイアルのヘッドスペースにおいて約10%v/v酸素以下の酸素含量がもたらされる。
【0055】
いくつかの実施形態においては、不活性気体は窒素である。いくつかの実施形態においては、不活性気体はアルゴン等の希ガスである。
【0056】
以下に、特に意図した製造の状況における、バイアルから空気をパージする効率的なプロセスを述べる。
【0057】
従来の製造設備においては、バイアル、例えば100または200を例えばキャップまたは噴霧システムでキャップする前に溶液を含有するバイアルから空気をパージするために、図3に示す酸素低減デバイス300が用いられる。バイアルから空気をパージするために、酸素低減デバイス300に取り付けられた、パージバーとも称されるチューブ301を用いてアルゴンまたは窒素等の不活性気体の流れをバイアル上に通過させ得る。酸素低減デバイス300に取り付けられたチューブ301は部分的に図3に見ることができる。
【0058】
このチューブ301は全体が図4に示されている。チューブ301は入口401および出口402並びにチューブ301の種々の点にいくつかの穴403を含む。窒素は入口401から入り、チューブ301を通過して出口402から出る。入口401および出口402は取り付けられたチューブ301と酸素低減デバイス300との配置に応じて相互交換ができることを理解されたい。穴403は窒素またはアルゴン等の不活性気体の流れをバイアルに向けて通過させる。典型的には製造プロセスにおいてはコストの考慮から窒素が好ましい。しかし、穴403は不活性気体をバイアルの中にではなく、バイアルの周囲に通過させる。さらに、チューブ301は不活性気体がバイアルの口に向けて直接通過せず、その代わりにその周囲にあるように酸素低減デバイス300に取り付けられている。窒素の場合には、バイアルの周囲の窒素のこの拡散は、空気よりも軽い窒素がバイアル内の空気を置換しないであろうという事実とさらに結び付けられる。このためバイアルからの空気のパージングは不完全となる可能性がある。無菌的環境においてはその状況における急速な気流のため、この不完全なパージングはより顕著になり得る。最後の工程の後、バイアルをキャップするために蓋または噴霧システムをバイアルにスナップ止めするところで大量の空気がバイアル内に残り、これがバイアル内の薬剤等の溶液の分解を引き起こすことがある。
【0059】
1つの態様においてはバイアルから空気をパージするための改良された酸素低減デバイスが提供され、バイアルは溶液およびヘッドスペースを含み、改良された酸素低減デバイスはバイアルから空気をパージするために窒素等の不活性気体を直接バイアルの上およびその中に流す1つまたは複数のパージング出口を有するチューブを含むが、アルゴン等の他の不活性気体を用いることができる。以下の記述ではデバイスおよびプロセスを簡潔に示すため窒素を用いる。
【0060】
改良された酸素低減デバイス300におけるチューブ500は図5に示す通りである。チューブ500は入口401および出口402を含む。窒素は入口401から入り、チューブ500を通過して出口402から出る。入口401および出口402は取り付けられたチューブ500と酸素低減デバイスとの配置に応じて相互交換ができることを理解されたい。チューブ500はチューブ500を酸素低減デバイス300の他の部品に取り付けるため、任意に2つのブラケット501および502を含んでよい。チューブ500は窒素を直接バイアルの口に導き、それにより効率的にバイアルから空気をパージするための、1つまたは複数のパージング出口503(バーノズルとも呼ばれる)を含む。図5には説明のためのみに、4つのそのようなパージング出口が含まれている。パージング出口503の数は、例えば酸素低減デバイス300およびデバイスに沿ってバイアルを運ぶアセンブリーラインの長さ、その他に応じて変わり得ることはよく理解される。図5におけるチューブ500、入口401および出口402、ブラケット501および502並びにパージング出口503のデザインは説明のためのみであることをも理解されたい。パージング出口503は、それが窒素を直接バイアルの口に送達することができる限り、異なった配置を有してもよいことが意図されている。パージング出口503の長さおよび寸法並びに/またはバイアルの位置は、パージング出口503の端部とバイアルの口との距離が窒素をバイアルの内部に送達するために最適にできるように調節してよいことも意図されている。
【0061】
いくつかの実施形態においては、チューブ500は少なくとも2つのパージング出口503を有している。いくつかの実施形態においては、チューブ500は少なくとも3つのパージング出口503を有している。いくつかの実施形態においては、チューブ500は4つのパージング出口503を有している。チューブ500は当技術で周知の材料から作ることができる。例えば、チューブ500はステンレススチールから作ることができる。いくつかの実施形態においては、チューブ500はめっき金属から作られる。パージング出口503は、パージング出口503の遠位端がバイアルの口の上に置かれるように方向付けられていることが重要である。いくつかの実施形態においては、バイアル内の気体雰囲気内に酸素が再侵入することを最小化するために、チューブ500の少なくとも1つのパージング出口503は、バイアルが噴霧システムでキャッピングされる最後の工程の近くにある。パージング出口503の方向付けは、キャッピングがパージング後1秒以内、好ましくはパージング後0.6秒以内、さらにより好ましくは0.3秒〜0.5秒、最も好ましくは0.4秒で行われるようにキャッピングシステムと組み合わせるべきである。
【0062】
酸素低減デバイス300におけるチューブ500の1つまたは複数のパージング出口503は、図5に示すように、窒素を直接バイアルの上およびその中に流してバイアルから空気をパージし、それによりバイアルのヘッドスペース内の酸素含量を約10%v/v酸素以下に低減させる。いくつかの実施形態においては、バイアルのヘッドスペース内の酸素含量の約10%v/v酸素以下への低減は、バイアルのヘッドスペース内の酸素含量の低減が約10%v/v酸素を超える従来の酸素低減デバイスに対する改良である。いくつかの実施形態においては、バイアルのヘッドスペース内の酸素含量の低減は約8%v/v酸素以下、約5%v/v酸素以下である。いくつかの実施形態においては、バイアルのヘッドスペース内の酸素含量の低減は約5〜10%、3〜8%または2〜5%v/vの範囲である。
【0063】
いくつかの実施形態においては、酸素低減デバイスにおける改良には、バイアル内の酸素含量を低減させるために窒素の流量を調節することがさらに含まれる。窒素の流量は、バイアルからの空気のパージングに応じて増加または減少させることができる。窒素流のこの調節により、バイアル内の酸素含量の低減を助けることができる。いくつかの実施形態においては、窒素流量は約20リットル/分(L/分)〜約80L/分である。いくつかの実施形態においては、窒素流量は約40L/分〜約60L/分である。いくつかの実施形態においては、窒素流量は約50L/分である。
【0064】
いくつかの実施形態においては、酸素低減デバイスにおける改良には、経鼻噴霧システムによる等のバイアルのキャッピングの速度を調節することがさらに含まれる。いくつかの実施形態においては、キャッピング速度は約100バイアル/分〜約210バイアル/分のパージングを可能にするように選択される。いくつかの実施形態においては、キャッピング速度は約150バイアル/分〜約210バイアル/分である。いくつかの実施形態においては、キャッピング速度は約150バイアル/分のパージングを可能にするように選択される。キャッピング速度の調節には、図5におけるパージング出口503をバイアルのキャッピングが行われる最後の工程の近くに取り付けることも含まれてよい。パージング出口503を最後の工程の近くに取り付けることにより、バイアルがアセンブリーラインを離れてからキャッピング末端に達するまでの時間遅れを短縮し、それによりバイアルが空気に曝される時間を短縮することができる。いくつかの実施形態においては、バイアルをキャッピングするのと同時に窒素がバイアル内に吹き込まれる。この改良によりバイアル内の酸素含量をさらに低減させることができる。
【0065】
本明細書においては、特に無菌的環境においてバイアルから空気をパージするプロセスも提供され、バイアルは溶液およびヘッドスペースを含み、前記プロセスは、改良された酸素低減デバイスを用いて窒素またはアルゴン等の不活性気体を直接バイアルの上およびその中に流してバイアルから空気をパージするステップを含み、デバイスは不活性気体を直接バイアルの上およびその中に流してバイアルから空気をパージする1つまたは複数のパージング出口を有するチューブを含み、前記プロセスはバイアルのヘッドスペース内の酸素含量を約10%v/v酸素以下に低減させる。
【0066】
本明細書においては、特に無菌的環境において経鼻噴霧デバイスを製造するプロセスも提供され、経鼻噴霧デバイスはバイアルおよびバイアルをキャップした経鼻噴霧システムを含み、バイアルは溶液、経鼻噴霧システムに取り付けられ溶液に浸漬しているディップチューブ、および溶液より上のヘッドスペースを含み、前記プロセスは
a)改良された酸素低減デバイスをバイアルに備え付け、改良された酸素低減デバイスは窒素を直接バイアルの上およびその中に流してバイアルから空気をパージする1つまたは複数のパージング出口を有するチューブを含むステップ、
b)不活性気体を直接バイアルの上およびその中に流してバイアルから空気をパージするステップ、および
c)バイアルを経鼻噴霧システムでキャッピングするステップ
を含み、前記プロセスはバイアルを経鼻噴霧システムでキャッピングした後のバイアルのヘッドスペース内の酸素含量を約10%v/v酸素以下に低減させる。
【0067】
いくつかの実施形態においては、不活性気体は窒素である。いくつかの実施形態においては、不活性気体は希ガスである。いくつかの実施形態においては、不活性気体はアルゴンである。いくつかの実施形態においては、キャッピングの速度は、パージングの完了とキャッピングとの間でバイアル内の大気の交換が最小になることを保証するため充分に速く、またパージングプロセスが効果的であることを保証するため充分に遅いように選択される。いくつかの実施形態においては、1分あたり60〜210個のバイアルがキャップされるように、キャッピングはパージングの後約0.28〜1秒以内、好ましくは約0.28〜0.4秒以内(1分あたり150〜210個のバイアルがキャップされる)に行われる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、処理されキャップされたバイアルの全てまたは選択された数は、酸素含量を測定し、および/または許容されない酸素含量を有するバイアルをさらに取り除くために分光分析を通過する。
【0069】
本発明において有用な組成物
いくつかの実施形態においては、バイアル内の溶液はケトロラックまたはその薬学的に許容される塩の鼻内製剤である。いくつかの実施形態においては、溶液中の細菌負荷は約100コロニー形成単位(CFU)未満である。
【0070】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は最終製剤に対して約12.5〜38%(重量/体積(w/v))、例えば約15%、20%、25%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、または38%w/vの範囲の濃度のケトロラックまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0071】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約12.5%w/v〜約38%w/vのケトロラックまたはその薬学的に許容される塩、および
(b)薬学的に許容されるキャリア
を含む。
【0072】
いくつかの実施形態においては、組成物は約4%〜10%、例えば約4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%w/vの範囲の、リドカイン等の局所麻酔剤またはその薬学的に許容される塩をさらに含む。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0042968号に開示されているように、15%ケトロラック組成物にリドカインを添加することによって予期されない有利な相乗効果が得られることが見出された。第1に、ケトロラックが引き起こす刺痛感がこの組合せによって実質的に低減される。第2に、リドカインは無感覚を引き起こすことが公知である局所麻酔剤であるが、リドカインをケトロラックと組み合わせた場合にはそのような無感覚は実質的に存在しないか低減される。第3に、5〜6%のリドカインをケトロラックと組み合わせることによって、被験体の血漿中でケトロラックがそのCmaxに達するTmaxが短縮され、被験体により早くより良い疼痛緩和が与えられることが見出された。ケトロラックの濃度を約38%にまで増加させた場合、リドカインの量は4〜10%、好ましくは5〜6%のレベルに保つことができ、それでもケトロラックの刺痛感は阻止されることが意図されている。
【0073】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約12.5%w/v〜約38%w/vのケトロラックまたはその薬学的に許容される塩、
(b)約4%w/v〜約10%w/vのリドカインまたはその薬学的に許容される塩、および
(c)薬学的に許容されるキャリア
を含む。
【0074】
いくつかの実施形態においては、ケトロラックはラセミ混合物である。いくつかの実施形態においては、ケトロラックの薬学的に許容される塩はケトロラックトロメタミンである。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約13%〜20%w/vのケトロラックトロメタミンを含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約15%w/vのケトロラックトロメタミンを含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約25%〜35%w/vのケトロラックトロメタミンを含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約28%〜32%w/vのケトロラックトロメタミンを含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約30%w/vのケトロラックトロメタミンを含む。
【0075】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤はリドカイン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約5〜6%のリドカイン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は約6%のリドカイン塩酸塩を含む。
【0076】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤はキレーター、即ち活性成分の安定性または活性に干渉し得る二価または三価の金属イオン(例えばカルシウム)と一次的に結合する物質をさらに含む。キレーターは、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」の最近の版を参照することにより、当業者には公知である。好ましいキレーターはエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTAナトリウム)、USPである。いくつかの実施形態においては、キレーターはエデト酸二ナトリウムである。量は約0.01%w/v〜約0.1%w/v、例えば0.02、0.05、0.075、および0.10w/vでよい。
【0077】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤のpHは約4.5〜8である。いくつかの実施形態においては、pHは約4.8〜7.5である。いくつかの実施形態においては、pHは約7.2である。
【0078】
いくつかの実施形態においては、pHは薬学的に許容される塩基によって調節される。いくつかの実施形態においては、薬学的に許容される塩基は水酸化ナトリウムである。
【0079】
製品の安定性および耐性の両方に最適のpH条件(pH範囲が約4〜約8、好ましくは約6.0〜7.5)を作り出すため、薬学的に許容される緩衝液が存在してもよい。適当な緩衝液としては、これだけに限らないが、トリス(トロメタミン)緩衝液、リン酸塩緩衝液、その他が挙げられる。好ましくはリン酸カリウムNFがpHを7.2に調節するために用いられる。いくつかの実施形態においては、組成物は約2%までの一塩基性リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム等のリン酸塩緩衝液を含む。いくつかの実施形態においては、組成物は約0.6〜0.8%w/vの一塩基性リン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態においては、組成物は約0.68%w/vの一塩基性リン酸カリウムを含む。
【0080】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は噴霧可能な液体である。
【0081】
いくつかの実施形態においては、薬学的に許容されるキャリアは水である。
【0082】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約15%w/vのラセミ体ケトロラックトロメタミン、
(b)約0.01%w/v〜約0.1%w/vのエデト酸二ナトリウム、
(c)約0.68%w/vの一塩基性リン酸カリウム、
(d)pHを7.2に調節するための水酸化ナトリウム、および
(e)100%w/vにするための水
を含む。
【0083】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約15%w/vのラセミ体ケトロラックトロメタミン、
(b)約5%w/v〜約6%w/vのリドカイン塩酸塩、
(c)約0.01%w/v〜約0.1%w/vのエデト酸二ナトリウム、
(d)約0.68%w/vの一塩基性リン酸カリウム、
(e)pHを7.2に調節するための水酸化ナトリウム、および
(f)100%w/vにするための水
を含む。
【0084】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約30%w/vのラセミ体ケトロラックトロメタミン、
(b)約0.01%w/v〜約0.1%w/vのエデト酸二ナトリウム、
(c)約0.68%w/vの一塩基性リン酸カリウム、
(d)pHを7.2に調節するための水酸化ナトリウム、および
(e)100%w/vにするための水
を含む。
【0085】
いくつかの実施形態においては、鼻内製剤は、
(a)約30%w/vのラセミ体ケトロラックトロメタミン、
(b)約5%w/v〜約6%w/vのリドカイン塩酸塩、
(c)約0.01%w/v〜約0.1%w/vのエデト酸二ナトリウム、
(d)約0.68%w/vの一塩基性リン酸カリウム、
(e)pHを7.2に調節するための水酸化ナトリウム、および
(f)100%w/vにするための水
を含む。
【0086】
鼻内製剤は1つまたは複数の薬学的に許容される添加剤を任意選択で含んでもよい。製剤のための好ましい賦形剤は水であり、所望により他の添加剤を加えてもよい。
【0087】
水性、オイルまたはゲル賦形剤に加えて、鼻内製剤において用い得る他の賦形剤には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、それらの混合物または前記の1つ若しくは複数と水との混合物を含有する溶媒系が含まれる。
【0088】
他の添加剤には、吸収促進剤等の化学エンハンサーが含まれる。これらには脂肪酸、胆汁酸塩および他の界面活性剤、フシジン酸、リゾホスファチド、環状ペプチド抗生物質、保存剤、カルボン酸(アスコルビン酸、アミノ酸)、グリシルレチン酸、o−アシルカルニチンが含まれる。好ましい促進剤はジイソプロピルアジペート、POE(9)ラウリルアルコール、グリココール酸ナトリウムおよび特に活性であることが証明されたリゾホスファチジルコリンである。
【0089】
存在する場合には、オイル、ゲル、吸収促進剤その他を含む化学エンハンサー等の添加剤は、溶液の均一性および噴霧可能性に悪影響を及ぼさない量で存在すべきである。
【0090】
鼻内製剤はまた、活性成分の微生物的安定性を確保する両立し得る保存剤を含有してもよい。適当な保存剤には、これだけに限らないが、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、およびクロロブタノールが含まれる。1つの実施形態においては、鼻内ケトロラック製剤は保存剤を含有しない。
【0091】
例示的な製剤は、ケトロラック、リドカインおよび水に加えて、以下の成分および量(w/v)を含有してよい。
【0092】
【表1A】

(1)例えばEDTAナトリウム
(2)例えばパラオキシ安息香酸メチル若しくはパラオキシ安息香酸プロピルまたはそれらの混合物
(3)例えばグリココール酸ナトリウム
(4)例えばCMCナトリウム
(5)例えばグリセロール
本発明のある態様を説明し、当業者が本発明を実施することを助けるため、以下の実施例を提示する。実施例は決して本発明の範囲を限定すると考えるべきではない。
【実施例】
【0093】
(実施例1)
ヘッドスペース酸素の分析
ヘッドスペース酸素濃度は、Lighthouse Instruments FMS−760 Headspace Oxygen Analyzerを用いて測定した。測定はヘッドスペース酸素の分析のための非破壊的測定方法の性能を評価するために行った。
【0094】
装置および方法
レーザー吸収分光法:
レーザー吸収分光法は、非経口容器または鼻内噴霧のための容器等の容器の迅速で非侵襲的なヘッドスペース気体分析のための光学的測定法である。この手法によって、気体濃度および全ヘッドスペース圧などの、容器のヘッドスペース内のいくつかの物理的パラメーターを測定することができる。
【0095】
近赤外半導体レーザーからの光を、標的分子の内部振動周波数に一致するように調整する。光は容器のヘッドスペース領域を通過し、周波数走査され、光検出器で検出される。吸収された光の量は標的分子の濃度に比例する。
【0096】
装置には周波数変調分光法として公知の高感度検出法が組み込まれている。
【0097】
酸素吸収分光法:一般
酸素は0.762μmを中心とする遷移帯において近赤外光を吸収する。酸素AバンドはXΣ←bΣ磁気双極子遷移の0−0振動帯内の一連の回転遷移である。
【0098】
ヘッドスペース酸素の測定
測定原理
酸素Aバンドにおける個別の遷移によって吸収されたレーザー光の量は、非経口または経鼻噴霧容器のヘッドスペース内の酸素濃度に比例する。一般にレーザー周波数は吸収特性に亘って繰り返して走査され、信号雑音比を改善するために連続する走査が平均される。次いで平均光吸収信号(図6に例を示す)および全パワーに較正定数を乗じてヘッドスペース酸素濃度を得る。
【0099】
装置の較正
装置較正定数kは、既知濃度の酸素で満たされたバイアルを用いて決定する。酸素標準は、酸素および窒素の保証済み気体混合物を用いて調製する。20%酸素/80%窒素標準をFMS−760の較正に用いる。
【0100】
較正標準を装置に挿入し、システムの応答(信号振幅SおよびパワーP)を測定し、較正定数を計算する。
【0101】
装置較正手順は完全に自動化されており、装置のコンピュータで制御される。ユーザーが較正バイアルをインプットし、較正ルーチンを開始すれば、装置はデータの記録を開始し、既知濃度を用いて較正定数k
k=(P/S)・既知濃度 [1]
を計算する。ここでPは検出されたレーザーパワー、Sはピークからピークの吸収信号(酸素の例については図6を参照されたい)、既知濃度は較正バイアル内の濃度である。PおよびSの測定値は1000回の走査の平均である(取得時間10秒)。システムは較正定数を保存し、引き続く試料測定のためにそれを用いる。
【0102】
測定
装置のデータ取得システムは保存された較正定数を用いて試料中のヘッドスペース酸素濃度を決定する。未知濃度の試料を装置に挿入すると、システムは吸収信号およびレーザーパワーを測定し、較正定数を乗じてヘッドスペースの酸素または水蒸気の濃度を決定する。
試料中酸素%=(S/P)・k [2]
=(S/P)・(P/S)・標準中酸素% [3]
ここでSは試料の信号振幅、Pは試料を透過したレーザーパワー、Pは較正パワー、Sは較正信号振幅であり、標準中酸素%は較正バイアル内の酸素の既知量である。
【0103】
測定プロトコル
ヘッドスペース酸素の測定は、Lighthouse Instruments FMS−760 Headspace Oxygen Analyzer (SN 760−104)を用いて実施した。装置を調整し、30分放置してウォームアップした。較正は21%酸素標準を用いて実施した。各試料のヘッドスペース酸素濃度は3回測定した。
【0104】
(実施例2)
バイアルのヘッドスペース内の酸素含量の低減
好ましくは化学的耐性があるポリマーから作られ、好ましくは汚染がない適当な長さのチューブの一端をアルゴンまたは窒素ガスタンクに接続する。チューブの他端をケトロラック溶液および約2mLのヘッドスペースを有するバイアルの口に挿入する。好ましくはチューブはバイアル内のケトロラック溶液に接触しない。アルゴンまたは窒素を充分な時間チューブを通してバイアル内に通過させ、それによりバイアルのヘッドスペース内の酸素含量を10%未満とする。バイアルからチューブを取り除き、バイアルを経鼻噴霧システムでキャップし、室温で保存する。
【0105】
(実施例3)
アセンブリーラインで従来の酸素低減デバイスによってパージしたバイアルのヘッドスペース内の酸素含量
バイアルを、パージング穴を有するチューブを有する従来の酸素低減デバイスを用いて処理した。他の条件は以下の実施例4に記載したものと同じである。以下のガラスバイアル5セットの酸素含量を、上述の実施例1のプロトコルを用いて試験した。個別の結果を記録し、平均して平均濃度および標準偏差を計算した。試験した試料の結果を以下にまとめる。
【0106】
セット1:窒素オーバーレイを有し2mL充填量の溶液を含有する4mL透明ガラスバイアル5個
5試料の個別のヘッドスペース酸素測定は17.8%〜20.5%の間で変動し、また5試料の各々の平均ヘッドスペース酸素濃度は18.3%〜20.2%の間で変動し、平均19.0%、標準偏差0.80%であった。
【0107】
セット2:窒素オーバーレイを有さず2mL充填量の溶液を含有する4mL透明ガラスバイアル5個
5試料の個別のヘッドスペース酸素測定は20.2%〜21.7%の間で変動し、また5試料の各々の平均ヘッドスペース酸素濃度は20.6%〜21.1%の間で変動し、平均20.8%、標準偏差0.20%であった。
【0108】
セット3:窒素オーバーレイを有し2mL充填量の溶液を含有する4mL透明ガラスバイアル5個
セット3はセット1の繰返しであるが、セット3においてはキャッパーを5分間停止し(ラインの停止を模擬した)、キャッピング操作を再開した後で試料を収集した。
【0109】
5試料の個別のヘッドスペース酸素測定は18.2%〜22.0%の間で変動し、また5試料の各々の平均ヘッドスペース酸素濃度は18.7%〜21.4%の間で変動し、平均19.5%、標準偏差1.11%であった。
【0110】
セット4:窒素オーバーレイを有する空の4mL透明ガラスバイアル5個
5試料の個別のヘッドスペース酸素測定は20.5%〜21.9%の間で変動し、また5試料の各々の平均ヘッドスペース酸素濃度は18.4%〜21.8%の間で変動し、平均19.9%、標準偏差1.46%であった。
【0111】
セット5:窒素オーバーレイを有しない空の4mL透明ガラスバイアル5個
5試料の個別のヘッドスペース酸素測定は18.1%〜21.7%の間で変動し、また5試料の各々の平均ヘッドスペース酸素濃度は21.1%〜21.4%の間で変動し、平均21.3%、標準偏差0.12%であった。
【0112】
(実施例4)
改良された酸素低減デバイスによってパージしたバイアルのヘッドスペース内の酸素含量
この実験は、本発明の改良された酸素低減デバイスを用いてキャッピング速度150および210バイアル/分で最適窒素流を決定するために行った。当技術のスキル内でさらなる工業的変化を適用して市販または製造デバイスを作出することができる。
【0113】
実験は20mmの高回収率バイアル(4mL)およびスナップオン計量ポンプを用いて行った。バイアルを種々の流量の窒素でパージしながら約1.8mLの注射用品質の水(WFI)で満たした。GMP品質を有する同様の酸素低減デバイスを用いて実験を繰り返した。各々の充填速度および流量の組合せから20個のバイアルをサンプリングして試験した。結果のまとめを以下の表1および表2に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

「平均」はそれぞれの群について試験したバイアル内の平均O含量を示す。
**「最小」はそれぞれの群中で最低のO含量を有するバイアルのO含量を示す。
***「最大」はそれぞれの群中で最高のO含量を有するバイアルのO含量を示す。
【0116】
データから、150バイアル/分の速度を用いて調製した全てのバイアルが13%未満の酸素含量を有し、40および60L/分の流量で調製した全てのバイアルが10%未満の酸素含量を有することが示される。
【0117】
データから、キャッピング速度が、バイアルのヘッドスペースが10%v/v以下の酸素濃度を維持することを保証するための臨界的パラメーターの1つであることが示される。結果から、150バイアル/分で処理したバイアルの酸素含量が210バイアル/分の同じセッティングよりも一般に低かったことが示される。キャッピング速度が酸素低減デバイスのバーノズルの下で各々のバイアルが有する保持時間の長さに直接影響するであろうと考えられる。さらに、速い機械速度(210バイアル/分)においてはポンプボウルが同じ速度ではポンプに供給されないので、しばしば停止が観察された。このことが210バイアル/分の速度で調製されたバイアルのいくつかにおいて高い酸素含量を引き起こした可能性がある。ポンプボウルの操作を調節することによって停止の頻度および時間が低減され、それにより厳しい酸素レベルの結果がもたらされることが期待される。別の解決策は機械停止後のバイアルを排除することである。
【0118】
両方の速度における80L/分での残留酸素含量は、流量60L/分で観察されたものよりやや高かった。流量が多くなるにつれて置換できる体積は大きくなるが、流れはまた乱流をより成長させ、おそらくパージ空気に周囲空気を同伴させる。
【0119】
本発明を上記の実施形態と関連させて説明したが、上の記述および実施例は説明することを意図しており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内における他の態様、利点および改変は、本発明が関連する当業者には明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを有するバイアルであって、前記キャップは噴霧システムを含み、前記バイアルは約10mL以下の体積を有し、前記バイアルはケトロラックを含む溶液、前記噴霧システムに取り付けられ前記溶液に浸漬しているディップチューブ、および前記溶液より上で前記キャップより下のヘッドスペースを含み、前記ヘッドスペースは約10%v/v以下の酸素を含む、バイアル。
【請求項2】
前記ヘッドスペースが約2%〜10%v/vの酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項3】
前記ヘッドスペースが約8%v/v以下の酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項4】
前記ヘッドスペースが約6%v/v以下の酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項5】
前記ヘッドスペースが約5%v/v以下の酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項6】
前記ヘッドスペースが約5%〜約10%v/vの酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項7】
前記ヘッドスペースが約2%〜約5%v/vの酸素を含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項8】
前記バイアルがガラスである、請求項1に記載のバイアル。
【請求項9】
前記噴霧システムが経鼻噴霧システムである、請求項1に記載のバイアル。
【請求項10】
前記溶液が充分に高いケトロラック濃度を有し、そのため低減された酸素含量の気体雰囲気が室温における空気によるケトロラックの分解を防止または低減するために必要である、請求項1に記載のバイアル。
【請求項11】
前記溶液が約12.5%w/v〜約38%w/vのケトロラックトロメタミンを含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項12】
前記溶液が約15%w/vのケトロラックトロメタミンを含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項13】
前記ケトロラック溶液が約30%w/vのケトロラックトロメタミンを含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項14】
前記ケトロラック溶液が約4%〜約10%w/vのリドカイン塩酸塩をさらに含む、請求項1に記載のバイアル。
【請求項15】
前記溶液が室温で少なくとも約2年間前記バイアル内で保存できる、請求項1に記載のバイアル。
【請求項16】
前記ヘッドスペース内の前記約10%v/v以下の酸素が前記溶液を約2年間安定に保つ、請求項1に記載のバイアル。
【請求項17】
前記ヘッドスペース内の前記約10%v/v以下の酸素が周囲大気を含有するバイアルと比べて前記溶液の保存期間を延長させる、請求項1に記載のバイアル。
【請求項18】
凹状またはV形状の内底を有する、噴霧システムでキャップされた高回収率バイアルである、請求項1に記載のバイアル。
【請求項19】
ノッチ付きディップチューブをさらに含む、請求項18に記載のバイアル。
【請求項20】
ヒト被験体の疼痛または炎症の治療における使用のためのラベル説明書と組み合わせられた、請求項1に記載のバイアル。
【請求項21】
前記疼痛が、前記被験体が負った外傷の結果である、請求項20に記載のバイアル。
【請求項22】
前記疼痛が、前記被験体に実施された医療手術の結果である、請求項20に記載のバイアル。
【請求項23】
前記疼痛が、病気によるものである、請求項20に記載のバイアル。
【請求項24】
前記疼痛が、神経性である、請求項20に記載のバイアル。
【請求項25】
前記疼痛が偏頭痛または他の頭痛である、請求項20に記載のバイアル。
【請求項26】
約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間を含むシールされた酸素不透過性のパウチの中に入れられた、請求項1から25のいずれか一項に記載のバイアル。
【請求項27】
前記シールされたパウチの前記内部空間の酸素含量を少なくとも2年間、約10%v/v以下のレベルに維持することができる、請求項26に記載のバイアル。
【請求項28】
約10mL以下の体積を有するバイアルおよび前記バイアルをキャップした経鼻噴霧システムを含み、前記バイアルがケトロラックを含む溶液、前記経鼻システムに取り付けられ前記溶液に浸漬しているディップチューブ、および前記溶液より上のヘッドスペースを含み、前記ヘッドスペースが約10%v/v以下の酸素を含む経鼻噴霧デバイス。
【請求項29】
ヒト被験体の疼痛または炎症の治療における使用のためのラベル説明書と組み合わせられた、請求項28に記載の経鼻噴霧デバイス。
【請求項30】
前記バイアルをカバーするシールされた酸素不透過性のパウチをさらに含み、前記パウチが約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間を含む、請求項28または29に記載の経鼻噴霧デバイス。
【請求項31】
溶液およびヘッドスペースを含むバイアルを調製する方法であって、不活性気体で前記バイアルから空気をパージするステップを含み、前記パージングによって前記バイアルの前記ヘッドスペース内の酸素含量が約10%v/v以下の酸素に低減される方法。
【請求項32】
前記不活性気体が窒素である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記不活性気体が希ガスである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記希ガスがアルゴンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ケトロラック組成物を分解せずに貯蔵する方法であって、ケトロラックの濃度が充分に高く、そのため低減された酸素含量の気体雰囲気が室温における空気によるケトロラックの分解を防止または低減するために必要であり、前記ケトロラック組成物がバイアル内に含有されており、
a)不活性気体を直接前記バイアルの上およびその中に流して前記バイアルから空気をパージするステップ;および
b)前記バイアルを経鼻噴霧システムでキャッピングするステップ
を含む方法。
【請求項36】
前記酸素含量が約10%v/v以下である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記不活性気体が窒素である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記不活性気体が希ガスである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記不活性気体がアルゴンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ケトロラック溶液が室温で少なくとも2年間貯蔵される、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
約10%v/v以下の酸素含量を有する内部空間を含むシールされた酸素不透過性パウチの中に前記バイアルを保存するステップをさらに含む、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520140(P2012−520140A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554192(P2011−554192)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026961
【国際公開番号】WO2010/105042
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(505070221)ルイトポールド ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】