説明

(金属含有)殺ウイルス性組成物及び使用

呼吸器系ウイルス感染の治療又は予防に使用される組成物であって、(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン、及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン、及び/又はマンガン化合物と、(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、(c)少なくとも1つの酸及び(d)水とを含む、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺ウイルス性組成物及び所定の範囲のウイルス種の予防及び/又は治療、特にヒト又は動物の呼吸器系疾患の原因となるウイルスの予防及び/又は治療における殺ウイルス性組成物の使用に関するものである。本明細書において使用される「処置」及び「治療」という用語は、ウイルス又はウイルス粒子を死滅させること、あるいはウイルスの複製を制御/予防することを含む。更に具体的には、本発明はその全ての態様において、風邪及び/又はインフルエンザ及び/又は肺炎を併発するウイルスの治療及び/又は予防に有用な組成物に関するものである。また更に具体的には、本発明はその全ての態様において、例えばH1N1、H7N7、H9N2又はH5N1型のインフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルス株の治療及び/又は予防に有用な組成物に関し、H5N1型のインフルエンザウイルスは、高い死亡率を伴う鳥インフルエンザの原因となる。例えば、H5N1型のインフルエンザウイルスへの感染は、下記に説明するように肺に深刻な悪影響を及ぼすことが知られている。
【発明の開示】
【0002】
鳥インフルエンザ(又は他のH5N1型ウイルス)は、感染領域を越えて広がる可能性がある。ウイルス伝播は感染した鳥からヒトに限られていると指摘されていたが、ウイルスが動物種間で伝播可能な形態に突然変異することにより、ヒトからヒトへ伝播するという、より最近の限られた証拠に基づく懸念がある。
【0003】
鳥「インフルエンザ」は高い死亡率を伴うため、伝染性の高い、ヒトとヒトとの間で伝播可能な形態に突然変異した場合に、世界的流行が発生し、多数の死亡者が出る恐れがある。さらに、呼吸器系ウイルス感染症を治療、及び可能な場合に予防することが非常に望ましいが、H5N1型呼吸器系ウイルスから発症する、上記感染症のうち最も深刻なものを含む、より深刻な呼吸器系ウイルス感染症の治療及び/又は予防に効果的な製剤を提供することが特に望ましい。
【0004】
多くが抗生物質等の公知の従来の抗菌薬で治療できる細菌感染と違って、例えば風邪又はインフルエンザ等の呼吸器系ウイルス感染症は、抗生物質では治療できない。呼吸器系ウイルス感染症の大部分は、現在入手可能なほとんどの抗ウイルス薬では効果がなく、身体自体の免疫防御システムによってウイルス感染症と戦わなければならない。これは風邪及びインフルエンザの場合においては一般的であるが、H5N1型インフルエンザウイルス、及びH1N1及びH7N7型インフルエンザウイルスの場合には特にそうである。
【0005】
関連医学文献には、H5N1型ウイルス感染症の作用形態及びウイルスと戦う身体の自然な免疫防御システムの弱点についての相当な知識が蓄積されている。しかしながら、治療法は非常に限られている。鳥インフルエンザの予防及び/又は感染後の治療に使用できる抗ウイルス薬の1つは、商標名TAMIFLUでRocheから販売されている、オセルタミビルリン酸塩である。しかしながら、供給数は限られており、かなり高価で、副作用が起こる可能性がある。その上、世界的に流行した際に、薬を備蓄していた多くの異なる国においてTamifluTMが大量に服用される可能性があり、TamifluTMへの耐性が起こるかもしれないことが懸念されている。TamifluTMの活性代謝物は非常に安定しており、水源においてこれらが蓄積されることによって、急速にインフルエンザウイルス耐性が引き起こされる可能性がある。
【0006】
予防処置として、特定の限られた型のインフルエンザウイルスに対するワクチン接種が利用可能であるが、例えばH5N1型のインフルエンザウイルスのヒトへの感染に対する予防処置として有効なワクチンは現在販売されていない。強い耐性があるH5N1型ウイルスにより、炎症促進性の「高サイトカイン血症」が誘発され、高サイトカイン血症は肺をひどく損傷し、ウイルス感染症と戦う免疫機能を傷つける。これらの要因だけでも、ほとんどの入手可能な抗ウイルス薬を利用しての予防又は治療に際し、H5N1型ウイルスは特に問題となる。
【0007】
ここで驚くべきことに、無機化合物の特定の特異的選択−又は先願の国際公開第01/15554号パンフレットに記載の多機能生成物の広範囲として開示されている組成物を含む他の金属要素と、これらの組み合わせは、H5N1型ウイルスによる感染症に対する予防治療を含む、呼吸器系ウイルス感染症の治療に思いがけなく有効であることが発見された。更に驚くべきことに、これら選択された組成物及び上記金属イオンの特定の組み合わせを新規ゲル及び他のキャリア製剤に混合し、スプレー又はハンド用ワイプ基質において使用することができることを発見し、例えば本発明の下記の実施形態、すなわち:
(i) 呼吸器系ウイルス、特にH5N1型インフルエンザウイルスによる感染症を予防するのを助ける予防治療として有効な点鼻薬及びゲルバリア製剤;好ましい実施形態においては、粘度は、例えば4500センチポアズ未満等、4750センチポアズより低く、好ましくは、4000センチポアズより低く、理想的には、1〜2500センチポアズの範囲等、3000センチポアズより低い。
(ii) 生きているウイルス又はウイルス粒子を制御する(すなわち、殺す、無害化する、あるいは複製を妨げる)のに有用な強い殺ウイルス性を示すクレンジングゲル、及び
(iii)組成物を含浸し、増粘剤又は安定剤により任意に改変した使い捨てワイプ等のハンド用ワイプ基質
を提供する。
【0008】
例えば、(iv)液体水性組成物に基づく経口投薬製剤等の、適切な経口投薬の形態の実施形態もまた提供されている。水性組成物は、特定の範囲から選択された単一又は複数の金属イオン種を有していてもよい。水性組成物は、完全に活性組成物のみから構成されてもよく、あるいは前記活性組成物のみから実質的に構成されてもよい。他の実施形態においては、金属イオン組成物は、1つ以上の賦形剤及び/又は希釈剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0009】
従って、本発明の一態様は、呼吸器系ウイルスの治療に使用される組成物を提供し、この組成物は、
(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガン化合物と、
(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、
(c)少なくとも1つの酸と、
(d)水と
を含み、前記組成物のpH値が好ましくは4未満であり、電解圧が好ましくは50ミリボルトを超える組成物である。
【0010】
本発明の別の態様では、上記で規定したように、例えばH1N1、H7N7、H9N2又はH5N1型、好ましくはH5N1型のインフルエンザウイルス等のインフルエンザウイルスの治療に使用される組成物が提供される。
【0011】
本発明の更に別の態様においては、上記で規定したように、風邪症状を引き起こすウイルスの治療に使用される組成物が提供される。
【0012】
本発明の更なる態様においては、上記で規定したように、例えばインフルエンザウイルス、好ましくはH5N1型のインフルエンザウイルス、あるいは風邪ウイルス又は肺炎ウイルス等の呼吸器系ウイルスの治療に使用される薬剤の調製に使用する組成物が提供される。風邪の60%は、ライノウイルスが原因である。残りは、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器系シンシチウムウイルス、アデノウイルス、及びエンテロウイルスへの感染によって引き起こされる。加えて、マイコプラズマ・ニューモニエ菌、及びクラミジア・ニューモニエ菌が風邪症状を引き起こす可能性がある。
【0013】
上記に規定された組成物は、ビタミンB1、B、B5、B6、C、リンゴ酸、自然利尿剤、メラトニン、及びセイヨウカノコソウから選択された1つ以上の添加物を更に含んでいてもよい。組成物は、実質的に又は好ましくは完全に、記載された組成物のみから構成されてもよい。最も好ましくは、水が蒸留水である。
【0014】
亜鉛、銅、セレン、及び/又はマンガンの化合物は、好ましくはリン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、又は塩素化合物等の無機塩類である。
【0015】
亜鉛、銅及び/又はセレンイオンを結合、錯体化、又は捕捉することができるアンモニウム剤は、好都合には、水溶液中でアンモニウムイオンに分離できる、無機アンモニウム塩又は水酸化アンモニウムである。例えば、下記の1つ以上のアンモニウム剤:水酸化アンモニウム、硫酸塩、塩素イオン、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩及び酒石酸塩が、組成物に含まれていてもよい。
【0016】
少なくとも1つの酸は、下記グループ:硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、クエン酸及び酒石酸から好都合に選択される。少なくとも1つの酸は、例えば、濃縮された硫酸、塩酸、硝酸又はリン酸であってもよい。
【0017】
組成物のpH値は、4未満であってよく、例えば、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、1以下の範囲などであってもよい。電解圧は例えば、400mVまでの範囲等の100mVを超える、又は150mVを超える、又は200mVを超える、又は250mVを超える、又は300mVを超える、又は340mVを超える値であってよい。
【0018】
本発明により包含される組成物は、先願の「基本手順」の項に概説され、先願の明細書に例示されたように生成することができ、実施形態の表に含まれた金属又は他の鉱物元素は、銅、亜鉛、セレン、及びマンガンのうちの少なくとも1つである。1を超える数の金属イオン種を含む組成物を使用する場合は、銅及び亜鉛はセレンと共に、又はセレンなしで含まれていてもよく、セレンと亜鉛は銅と共に、又は銅なしで共に使用することができる。銅及びセレンは亜鉛と共に、又は亜鉛なしで共に含まれていてもよい。銅、亜鉛、セレンはマンガンと共に含まれていてもよいし、あるいは単独で使用することができる。適切なマンガンの調製は、上述した基本手順から推定し、例えば硫酸マンガン、硫酸及び硫酸アンモニウムを使用して、pH値が2以下であり、電解圧が250ミリボルトを超える組成物を生成することにより、実施できる。
【0019】
本発明は更に、ある季節に発生するインフルエンザ、H5N1型又は鳥インフルエンザ、急性コリーザを含む呼吸器系感染症に対して抗ウイルス活性を有する、上記で規定した抗ウイルス組成物を提供する。上記組成物は、例えば希釈剤としての生理食塩水等の、1以上の従来の薬剤的に好ましいキャリア、希釈剤及び/又は賦形剤を含むこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を説明するために、先願である国際公開第01/015554号パンフレットに開示された下記の純粋に非限定的な例を使用して、適切な組成物を生成した。組成物は、先願の前記特許公報に概説されたのと同じ基本手順に従って調製された。下の表1において下記の本発明による実施形態は従って、先願の記載された番号の実施形態に対応している。
【0021】
【表1】

【0022】
上記に規定及び例示した組成物は、呼吸器系の、特にインフルエンザそして更に具体的にはH5N1型インフルエンザウイルスと闘うための、少なくとも3つの治療方法に使用することができる。これらの組成物は、鼻の粘膜(典型的に最も一般的な侵入口)へのウイルスの侵入を妨害する、及び/又はウイルス又はウイルス粒子を殺す予防治療に使用できる。上記の妨害は、経鼻ゲル又は水性スプレー、すなわち上記に規定及び/又は例示した組成物の少なくとも1つを含む、薬剤的に好ましいゲル又はスプレー式キャリア溶剤を適用することにより、実行できる。ウイルスが存在する場合には、すなわちそれ自体が公知の、標準的で好適なゲル溶剤に調製可能な組成物であるが、2つの公知の構成要素、新規抗ウイルスゲル又はスプレー剤を混合することにより提供される、ハンド用クレンジングゲル等の抗感染ゲル剤によって制御することも可能である。また、使い捨てティッシュ等のハンド用ワイプ基質に、任意に改変して増粘性を改善した組成物を含浸する、あるいは組成物を塗布することができる。経鼻ゲル、洗浄ゲル及びハンド用ワイプには、少なくとも銅を含有する組成物を、ウイルスの侵入を妨害する及び/又はウイルス又はウイルス粒子を殺すあるいは制御する手段として、使用することが好ましい。
【0023】
本発明の組成物の呼吸器系ウイルスに対する活性を立証するために、幾つかの組成物を調製し、in vitro及びin
vivoでH5N1型インフルエンザウイルスに対して、鳥インフルエンザを管理する可能性をテストした。セレンに基づいた組成物の抗酸化性が、殺ウイルス活性の可能性の直接の指標となる。3つの原則的な実施形態は、単一の亜鉛、銅及びセレンを基にした組成物に基づいて提示され、本発明のマンガン、亜鉛及びセレンの金属イオン組成物を順次使用する第4の実施形態は、すなわち:
1)ヒトH5N1型ウイルスに対する殺ウイルス活性のin vitroマウス試験
(Zn、Cu&Se)
2)マウスによる毒物学及び投与量決定試験(Zn)
3)致死性のH5N1型インフルエンザウイルスに感染させたマウスにおける予防活性(Zn)、及び
4)従来のインフルエンザウイルス感染が、所定量のマンガン、亜鉛及びセレン組成物の連続体内投与を伴う併用療法により弱毒化する、ヒト症例試験
である。
【0024】
(第1の実施形態)
in vitroでのヒトH5N1型ウイルスに対する殺ウイルス活性:
in vitroの殺ウイルスアッセイにおいて、A/Vietnam/1203/04(H5N1)×Ann Arbor/6/60インフルエンザウイルスを、銅金属イオン組成物(濃度3ppmにおいて銅元素と等しい)、亜鉛金属イオン組成物(濃度2ppmにおいて亜鉛元素と等しい)及びセレン金属イオン組成物(濃度1ppmにおいてセレン元素と等しい)又は水(対照)に室温で10分間曝した。次に、標準MDCK細胞アッセイを使用して、処置を施したウイルスの感染性を評価した。
【0025】
下の表2の結果では、例外的に低い濃度の亜鉛及びセレン組成物で、有意に直接的な抗ウイルス効果を示さなかったが、銅組成物では、同様に濃度が例外的に低いにも関わらず、ウイルス力価が90%以上減少した。
【0026】
【表2】

【0027】
これらの結果から、少なくとも3ppm(=3μg/ml)のイオン修飾した銅組成物を含有する経鼻ゲルは、上部の気道へのウイルス侵入に対するバリアとなるばかりか、ゲルに遭遇するウイルス粒子のかなりの割合を殺す可能性があることが示唆された。インフルエンザウイルスは、感染表面から拾われ、ウイルスが侵入する鼻や目に運ばれるため、少なくとも3ppmの銅組成物を含有するハンド用ワイプ又はハンド用ゲルを予防処置として使用することにより、特に世界的に流行している期間に、感染を減らす又は防止するのに実質的に有益である。
【0028】
【表3】

【0029】
(第2の実施形態)
マウスによる毒物学及び投与量決定試験:
予防試験を開始する前に、投与量における亜鉛金属イオン組成物の安全性を保証するために、試験的な体内における毒物学的/投与量決定試験をマウスを用いて実施した。1群マウス3匹に、(i)ヒトの推奨許容量(ヒトの推奨許容量は亜鉛元素1日15mg)の4倍(ii)ヒトの推奨許容量(マウスの推奨許容量の1倍に相当する)の12倍(iii)ヒトの推奨許容量の36倍のZn製剤を14日間、1日1回経口投与した。
【0030】
処置を開始する前(及び最終処置を行ってから18時間後)に、マウスの体重を計り、投与期間中の毒性の兆候を観察した。毒性の兆候は全く見られなかった。投与期間の終わりに、マウスの内臓器官の全体的な診察を行った結果、顕在的な異常は認められなかった。
【0031】
(第3の実施形態)
致死性のH5N1型インフルエンザウイルス;すなわちマウスに適応したインフルエンザA/アヒル/MN/1525/81(H5N1)に感染したマウスにおける予防活性
【0032】
予防試験では、メスのBALB/cマウス(6〜8週齢、約20g)1群10匹に、蒸留水で希釈したヒトの推奨許容量の1倍、及び36倍(マウスの推奨許容量の1/12倍及び3倍に相当)の亜鉛金属イオン組成物を3日間、2回に分けて、すなわち毎日午前中に1回、午後に1回経口投与した。プラセボ群(マウス20匹)には蒸留水を毎日2回投与した。
【0033】
最終投与から4時間後に、前述した致死性のH5N1型ウイルスをマウスの鼻腔内に接種した。投与は毎日2回行い、試験終了(21日間又はマウスが死ぬ)まで続けた。
【0034】
別のマウス10匹の群に、鼻腔内にウイルスを接種して4時間後から開始して、10mg/kgのTamifluTM(オセルタミビルリン酸塩)を毎日2回5日間経口投与した。
血中の酸素濃度を毎日測定し(肺機能の目安となる)、試験の開始及び終了においてマウスの体重を計った。
19日目までの結果を下の表3Aに要約し、全ての結果を表3に示す。
【0035】
【表4】

第4の実施形態:インフルエンザ−ヒト感染のケーススタディ
注記:ZnAL42≡実施形態7、SePC33≡実施形態5 MnAL42=上述した手順に従って調製した、水溶性マンガン化合物に基づいたマンガン金属イオン剤
【0036】
4つの別々の機会において、呼吸器系ウイルスの影響に苦しむ喘息を患う対象者が、(典型的な風邪又はインフルエンザの前駆症状及び喘鳴から認められる)風邪又はインフルエンザのひき始めに、ZnAL42、MnAL42及びSePC33の配合薬を、ヒトの推奨投与量において、1日3回3〜4日間服用すると、風邪又はインフルエンザの進行を完全に抑えることができることが明らかとなった。金属イオンの配合薬の服用なしでは、この対象者は通常4〜6日のベッド休養を要し、通常更に悪化して呼吸困難を起こし且つ疾病期間が2週間に及ぶような肺感染症を発症する。
【0037】
喘息患者ではない、定期的にZnAL42製品を使用する他の幾人かの対象者においては、風邪またはインフルエンザ感染の症状が出始めた時に、ZnAL42の服用量を2〜5日間、推奨投与量の3倍に増加すると、感染を抑えることができることが明らかとなっている。
【0038】
ジョンストンのグループからは、喘息患者の、ライノウイルスに感染した気管支上皮細胞によるインターフェロンベータ及びインターフェロンラムダの生成が、喘息を患っていない患者のものと比べて、損なわれることが報告されている。従って、ZnAL42又はZnAL42、MnAL42及びSePC33の配合により、抗ウイルスインターフェロンの生成が促進され、これにより肺へのウイルス感染及びその病原体の影響から回復させることができることが、学説に縛られることなく想定される。
ここで、銅金属イオン組成物を含むゲル性組成物の実施形態を示す。
【0039】
第33の実施形態(ゲル性組成物)
【表5】

調製:
ステップ1.B相をA相に加え、完全に混ぜ合わせる。
注記:アロエベラゲル基剤は好ましくは、アロエバーバンデシス粉末を200:1で水和させ、0.5%のキサンタンガムで粘性を高め、透明になったら0.1%のソルビン酸カリウムと0.1%の安息香酸ナトリウムを加えることによって作成される。
【0040】
第34の実施形態(改善されたゲル性組成物)
【表6】

調製:
ステップ1 A相において水にアロエ粉末をゆっくり溶かす。
ステップ2 A相を38〜40℃に加熱する。
ステップ3 ボルテックスしながら水相にキサンタンガムを振り入れる。
キサンタンガムが完全に溶けるまで45分おく。
ステップ4 予め溶解済のソルビン酸カリウムと安息香酸ナトリウム−C相−をゲル
混合物に加える。完全に混ぜ合わせる。
ステップ5 D相−CuAL42−を加え完全に混ぜ合わせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器系ウイルスの治療又は予防に使用される組成物であって、
(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガン化合物と、
(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、
(c)少なくとも1つの酸と、
(d)水と
を含む、組成物。
【請求項2】
呼吸器系ウイルスの治療又は予防に使用される組成物であって、
(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガン化合物と、
(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、
(c)少なくとも1つの酸と、
(d)水と
のみから実質的に構成される、組成物。
【請求項3】
呼吸器系ウイルスの治療又は予防に使用される薬剤の調製に使用される組成物であって、
(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガン化合物と、
(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、
(c)少なくとも1つの酸と、
(d)水と
を含む、組成物。
【請求項4】
呼吸器系ウイルスの治療又は予防に使用される薬剤の調製に使用される組成物であって、
(a)水溶液中で、亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガンイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性の亜鉛、銅、セレン及び/又はマンガン化合物と、
(b)水溶液中で、アンモニウムイオンに分離可能である、少なくとも1つの水溶性アンモニウム剤と、
(c)少なくとも1つの酸と、
(d)水と
のみから実質的に構成される、組成物。
【請求項5】
pH値が4未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
電解圧が50ミリボルトを超える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
賦形剤又は希釈剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記希釈剤が生理食塩水を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
殺ウイルス性ゲルの形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
鼻腔使用に適応化されたスプレー等のスプレーの形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物に含浸された基質の形態である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
治療あるいは予防される前記ウイルスが、インフルエンザウイルスである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ウイルスが、H1N1、H7N7、H9N2又はH5N1型のウイルスである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ウイルスがH5N1型であり、鳥インフルエンザの発症に関連している、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
治療あるいは予防される前記ウイルスが、風邪症状を引き起こす原因となる呼吸器ウイルスである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
別の抗ウイルス製剤との組み合わせである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
別の製剤が、オセルタミビルリン酸塩である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも2つの異なる上記金属イオン種が存在する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
亜鉛金属イオンが、1つ以上の銅、セレン、及びマンガン金属イオンと共存している、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ゲルが、アロエ・バーバデンシスを基剤とする、請求項9〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ゲルが、キサンタンガム等の少なくとも1つの増粘剤を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの防腐剤が存在する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ゲルが、銅金属イオンを含む、請求項9又は請求項20〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ゲルに含まれる銅イオンの量が、100〜500ppm、好ましくは150〜450ppm、更に好ましくは200〜350ppmのレベルである、請求項23に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−526029(P2009−526029A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553819(P2008−553819)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000394
【国際公開番号】WO2007/091037
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508238152)レメディ リサーチ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】