説明

(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの製造

本発明は、鎮痛薬タペンタドルの製造のための中間体である(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの改良された製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎮痛薬タペンタドル(tapentadol)の製造のための中間体である(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの改良された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タペンタドルは、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩のINN(国際一般的名称(International Non−proprietary Name))であり、その化合物は式:
【0003】
【化1】

【0004】
により示される。
【0005】
タペンタドルの化学構造は、特許文献1に化合物(+21)として開示されている。タペンタドルの合成は実施例1及び実施例24段階1〜3に記載され、該特許文献1で挙げられた化合物番号を用いて下記に概述される。
【0006】
【化2】

【0007】
上記のスキームにおけるタペンタドルの合成前駆体は(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(上記のスキーム中の中間体(+23))であり、それは(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールの第3級ヒドロキシ基を、連続的に塩化チオニルを用いて対応するハロゲニドに転換し、続いて水素化ホウ素亜鉛、亜鉛シアノボロハイドライド及び/又は錫シアノボロハイドライドを用いる処理によりClを除去することによって除去することにより得られ得る。この方法は、侵略的な塩素化剤である過剰量の塩化チオニルを用いてハロゲニド化合物が製造されるという欠点を有する。さらに水素化ホウ素亜鉛、亜鉛シアノボロハイドライド及び錫シアノボロハイドライドのような水素化試薬は、工業的規模で用いられると有意な火事及び健康の危険を与える。
【0008】
特許文献2は、下記に概述する通りに(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールを(2R,3R)及び(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの混合物に転換することによる、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを得るための代わりの方法を開示している。
【0009】
【化3】

【0010】
所望の(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを得るために、得られる(2R,3R)及び(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの混合物をその個々の立体異性体に分離しなければならず、次いでそれを例えば特許文献1に記載の通り、濃臭化水素酸と一緒に加熱することにより、タペンタドルに転換することができる。
【0011】
特許文献3は、下記に概述する通りに(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールを(2R,3R)及び(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの混合物に転換することによる、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを得るための代わりの方法を開示している。
【0012】
【化4】

【0013】
所望の(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンを得るために、得られる(2R,3R)及び(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの混合物をその個々の立体異性体に分離しなければならず、次いでそれを例えば特許文献1に記載の通り、濃臭化水素酸と一緒に加熱することにより、タペンタドルに転換することができる。
【0014】
特許文献2及び特許文献3の両方の代わりの方法は、[3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンが(2R,3R)及び(2R,3S)立体異性体の混合物として得られ、所望の(2R,3R)立体異性体を得るためにそれらを分離しなければならないという欠点を有する。望ましくない(2R,3S)立体異性体は所望の(2R,3R)立体異性体に転換され得ず、化学廃棄物として捨てられねばならず、それはいずれの工業的規模の製造にとっても経済的に望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願第0,693,475号明細書(EP−A−0,693,475)
【特許文献2】国際公開第2004/108658号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/00078号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、既知の方法より簡単且つ有効である(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンの合成のための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン又はその酸付加塩の改良された製造方法を提供することにより、この目的を達成し、その方法は
a)アシル化剤を用いて(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール
【0018】
【化5】

【0019】
をアシル化し;
b)かくして得られる化合物(III)
【0020】
【化6】

【0021】
を、水素の存在下に、反応に不活性な溶媒中で適した触媒を用いて立体選択的に水素化分解し;
そして
c)かくして得られる(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン
【0022】
【化7】

【0023】
を場合により酸付加塩に転換する
段階を特徴とする。
【0024】
段階a)のアシル化剤は、無水酢酸、アセチルクロリド、トリフルオロ酢酸無水物、クロロ酢酸無水物、クロロアセチルクロリド、ジクロロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、安息香酸無水物、ベンゾイルクロリド、無水フタル酸、フタロイルジクロリド、テレフタロイルジクロリド、無水コハク酸、スクシニルクロリド、エチルオキサリルクロリド、メチルオキサリルクロリド、メルドラム酸(Meldrum’s acid)、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、アセチルサリチロイルクロリド又は他のいずれかの適したアシル化剤から選ばれる有機アシルハライド又は有機酸無水物である。
【0025】
段階a)のアシル化反応は、反応の間に遊離する酸を捕獲するために、適した塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又はトリエチルアミンの存在下で行なうことができる。
【0026】
段階b)の触媒は、パラジウム触媒又は他のいずれかの適した触媒、例えばラネイニッケル、白金、炭素上白金、ルテニウム又は炭素上ロジウムから選ばれる。
【0027】
パラジウム(Pd)触媒は、均一系Pd触媒、例えばPd(OAc)、PdCl、Pd(PPh、Pd(PPhCl、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)、パラジウムチオメチルフェニルグルタルアミド メタラサイクルなどあるいは不均一系Pd触媒、例えば木炭上パラジウム、金属酸化物上パラジウム、ゼオライト上パラジウムであることができる。好ましくは、パラジウム触媒は不均一系Pd触媒、より好ましくは木炭上パラジウム又は炭素上パラジウム(Pd/C)である。Pd/Cは回復可能な触媒であり、安定であり、そして比較的安価である。それは反応混合物から容易に分離され得(濾過)、それにより最終的な生成物中における微量のPdの危険を低下させることができる。Pd/Cの使用は、例えば高価であり、毒性であり、合成される生成物の汚染物となるホスフィンリガンドのようなリガンドの必要性も避ける。
【0028】
段階b)の反応に不活性な溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン又はそれらの混合物から選ばれる。
【0029】
本発明の1つの態様において、段階a)及びb)は「ワンポット合成」(“one pot synthesis”)法として実施される。
【0030】
本発明は、式(III)の新規な化合物にも関する。
【0031】
【化8】

【0032】
上記に示される式(III)の化合物の製造に用いられるアシル化剤が無水酢酸、アセチルクロリド、トリフルオロ酢酸無水物、クロロ酢酸無水物、クロロアセチルクロリド、ジクロロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、メチルオキサリルクロリド、エチルオキサリルクロリド、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、安息香酸無水物、ベンゾイルクロリド又はアセチルサリチロイルクロリドから選ばれる場合、式(III)の化合物中のアシル基は、CH−CO−、CF−CO−、CHCl−CO−、CHCl−CO−、CCl−CO−、CHO−CO−CO−、CHO−CO−、CHCHO−CO−、CHCHO−CO−CO、フェニル−CO−又はメタ−CHCOO−フェニル−CO−を示す。
【0033】
本発明の方法のための出発材料、すなわち(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(化合物4)は、(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(化合物3)を、グルニヤル(Grignard)反応条件下に、THF中でエチルマグネシウムクロリドと反応させることにより製造された。
【0034】
【化9】

【0035】
ケトン化合物(3)とのグリニヤル試薬の反応は、第2の不斉炭素原子を導入する。エチルマグネシウムハライドとの(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(化合物3)のグリニヤル反応は高度に立体特異的である。出発化合物(3)の光学的純度は98.0%であることが見出された。化合物(4)は96.8%の所望の(2S,3R)エナンチオマー、0.4%より少ない(2S,3S)エナンチオマー及び3.0%の(2R,3S)エナンチオマーを含んでなると分析された。表1は、上記に概述される通りに製造される時の化合物(4)の立体異性体純度を挙げている。
【0036】
「ワンポット合成」法において、トリフルオロ酢酸無水物を用いて化合物(4)をアシル化し、続いて溶媒として2−メチルテトラヒドロフランを用い、パラジウム触媒上で水素化分解することにより、化合物(4)を化合物(5)に転換することができる。
【0037】
【化10】

【0038】
出発化合物(4)の光学的純度は96.8%のエナンチオマー(2S,3R)であった。化合物(4)のアシル化の後の水素化分解は高度に立体特異的であり、化合物(5)の所望のエナンチオマー(2R,3R)−エナンチオマーを96.3%の光学的純度を以って与えることが見出された。
【0039】
追加の化合物(5)の塩形成は、化合物(5)の光学的純度をさらに向上させる。例えば2−プロパノールを結晶化溶媒として用いて化合物(5)をその塩酸塩化合物(6)に転換することにより、>99%のジアステレオマー過剰率が達成された。
【0040】
【化11】

【0041】
【表1】

【実施例】
【0042】
実験の部
実施例1:3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(1)の合成
【0043】
【化12】

【0044】
2−プロパノール(584ml)中の1−(3−メトキシフェニル)−1−プロパノン(240g)の混合物を周囲温度において攪拌する。ジメチルアミン塩酸塩(238.3g)を加え、続いてパラホルムアルデヒド(109.5g)及びHCl水溶液(26.5ml,35%w/w)を加える。反応混合物を還流温度に加熱し、5時間攪拌し且つ還流させる。反応混合物を20℃に冷まし、水(730ml)及びトルエン(146ml)を加える。上部有機層を捨て、10分間攪拌し且つ温度を25℃より低く保ちながら、水層にNaOH水溶液(50%w/w,175.2ml)を加える。10分後、層を分離させ、上部有機層を単離し、水(219ml)で洗浄する。有機層を単離し、濃縮して3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノンを油性の残留物(294.9g)として得る。
【0045】
実施例2:(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(3)の合成及び単離
【0046】
【化13】

【0047】
a)エタノール(50ml)中の化合物(1)(114.7g)を、エタノール(950ml)中のL−(−)−ジベンゾイル−酒石酸一水和物(188.2g)の溶液に加え、反応混合物を38℃に温め、38℃で48時間攪拌する。次いで反応混合物を22℃に冷まし、22℃で14時間攪拌する。沈殿を濾過し、エタノール(50ml)で2回洗浄し、真空中で40℃の温度において乾燥し、化合物(2)(207.5g)を与える。
b)化合物(2)(202.9g)をメチル−tert−ブチルエーテル(1050ml)中に懸濁させ、ジエチルアミン(72.4ml)を加える。懸濁液を周囲温度で3時間攪拌し、沈殿を濾過により除去する。濾液を減圧下で濃縮し、(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(3)を油として与える(73.9g)。
方法bへの代わりの方法:
c)化合物(2)(312.8g)を2−メチルテトラヒドロフラン(405ml)及び水(540ml)中に懸濁させる。NHOH水溶液(93ml,51%w/w)を加え、次いで混合物を30分間攪拌する。層を分離し、単離された上部有機層を水(100ml)で洗浄し、次いで減圧下で濃縮し、(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−1−プロパノン(3)を黄色の油として与える(109.0g)。
【0048】
実施例2の方法に従って製造される化合物(3)は、典型的には97%もしくはそれより高いエナンチオマー純度を有する。
【0049】
実施例3:(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(4)の合成
【0050】
【化14】

【0051】
THF中のEtMgClの溶液(242ml,2M)を攪拌し、2℃に冷却した。反応混合物の温度を25℃より低く保ちながら、化合物(3)(101.3g,0.44モル
)を50分間かけてゆっくり加えた。混合物を22℃で3時間攪拌し、次いで氷−水(352ml)と酢酸(63.9ml)の混合物中でゆっくりクエンチングした。混合物を周囲温度で30分間攪拌し、次いでNHOH水溶液(98.8ml,51%w/w)を加え、次いで周囲温度で10分間攪拌した。
【0052】
層を分離し、単離された上部有機層を次いで水(44ml)で洗浄し、次いで減圧下で濃縮乾固し、(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(4)を黄色の油として与え、それは周囲温度で放置すると固化した(112.0g)。
【0053】
実施例4の方法に従って製造される化合物(4)は、96.8%の所望の(2S,3R)エナンチオマー、0.4%より少ない(2S,3S)エナンチオマー及び3.0%の(2R,3S)エナンチオマーを含んでなる。
【0054】
実施例4:(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(5)の合成
【0055】
【化15】

【0056】
a)2−メチルテトラヒドロフラン(120ml)中に溶解された化合物(4)(50.3g)の溶液を攪拌し、5℃に冷却した。次いで反応混合物の温度を20℃より低く保ちながら、トリフルオロ酢酸無水物(30.6ml)を10分間かけてゆっくり加えた。添加の後、反応混合物を20℃で1時間攪拌した。
b)活性炭上パラジウム10%(50%湿潤)(2.52g)を加え、反応混合物を800rpmで攪拌し、水素ガスで2気圧(202.65kPa)に加圧した。反応混合物を40℃に加熱し、40℃で4時間攪拌した。混合物を20℃に冷まし、窒素雰囲気下で濾過した。フィルターを2−メチルテトラヒドロフラン(10ml)で洗浄した。水(160ml)を濾液に加え、混合物を攪拌し、次いで温度を20℃より低く保ちながら、NaOH水溶液(28.6ml,50%w/w)を10分間かけて加えた。有機層及び水層を分離させ、有機層を単離し、水(50ml)で洗浄し、減圧下で濃縮乾固し、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン(5)を無色の油として与えた(46.10g)。
【0057】
実施例5の方法に従って製造される化合物(5)は、96.3%の所望の(2R,3R)エナンチオマー、2.5%の(2S,3S)エナンチオマー及び1.2%の(2R,3S)エナンチオマーを含んでなる。
【0058】
a)に記載されると類似の方法を用いて、しかしトリフルオロ酢酸無水物をアセチルクロリド又はエチルオキサリルクロリドで置き換え、且つ反応混合物にトリエチルアミンを加えることにより、それぞれ化合物(7)及び(8)を与えた。該化合物(7)及び(8)を上記の方法b)を用いて化合物(8)に転換した。
【0059】
【化16】

【0060】
実施例5:(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン一塩酸塩(6)の合成
【0061】
【化17】

【0062】
化合物(5)(23.0g)を2−プロパノール(50ml)中に溶解し、周囲温度で攪拌した。次いで2−プロパノール中のHClの溶液(20.3g,17.9%w/w)を5分間かけてゆっくり加えた。混合物に化合物(6)(10mg)を播種し、反応混合物を周囲温度で1時間攪拌した。混合物を0℃の温度に冷却し、4時間攪拌した。沈殿を濾過し、2−プロパノール(5ml)で洗浄し、真空中で乾燥して(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン一塩酸塩(6)を白色の固体として与えた(22.9g)。
【0063】
実施例6の方法に従って製造される化合物(6)は、99.7%の所望の(2R,3R)エナンチオマー及び0.3%の(2R,3S)エナンチオマーを含んでなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アシル化剤を用いて(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノール
【化1】

をアシル化し;
b)かくして得られる化合物(III)
【化2】

を、水素の存在下に、反応に不活性な溶媒中で適した触媒を用いて水素化分解し;
そして
c)かくして得られる(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン
【化3】

を場合により酸付加塩に転換する
段階を含んでなる(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミン又はその酸付加塩の製造方法。
【請求項2】
段階a)のアシル化剤が有機アシルハライド又は有機酸無水物である請求項1に従う方法。
【請求項3】
有機アシルハライド又は有機酸無水物が無水酢酸、アセチルクロリド、トリフルオロ酢酸無水物、クロロ酢酸無水物、クロロアセチルクロリド、ジクロロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、安息香酸無水物、ベンゾイルクロリド、無水フタル酸、フタロイルジクロリド、テレフタロイルジクロリド、無水コハク酸、スクシニルクロリド、エチルオキサリルクロリド、メチルオキサリルクロリド、メルドラム酸(Meldrum’s acid)、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル又はアセチルサリチロイルクロリドから選ばれる請求項2に従う方法。
【請求項4】
酸無水物がトリフルオロ酢酸無水物である請求項3に従う方法。
【請求項5】
有機アシルハライドがアセチルクロリド又はエチルオキサリルクロリドである請求項3
に従う方法。
【請求項6】
段階b)の触媒がラネイニッケル、パラジウム、炭素上パラジウム、白金、炭素上白金、ルテニウム又は炭素上ロジウムあるいは他のいずれかの適した触媒から選ばれる請求項1〜5のいずれかに従う方法。
【請求項7】
触媒が炭素上パラジウムである請求項6に従う方法。
【請求項8】
段階b)の反応に不活性な溶媒がジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン又はそれらの混合物から選ばれる請求項1〜7のいずれかに従う方法。
【請求項9】
(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタナミンをその対応する塩酸付加塩に転換する請求項1〜8のいずれかに従う方法。
【請求項10】
段階a)及びb)をワン−ポット(one−pot)反応において行う請求項1〜9のいずれかに従う方法。
【請求項11】
アシルがCH−CO−、CF−CO−、CHCl−CO−、CHCl−CO−、CCl−CO−、CHO−CO−、CHCHO−CO−、CHO−CO−CO、CHCHO−CO−CO−、フェニル−CO−又はメタ−CHCOO−フェニル−CO−を示す式(III)の化合物。
【化4】

【請求項12】
アシルがCF−CO−を示す請求項11に記載の式(III)の化合物。
【請求項13】
アシルがCH−CO−又はCHCHO−CO−CO−を示す請求項11に記載の式(III)の化合物。

【公表番号】特表2009−544658(P2009−544658A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521242(P2009−521242)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057559
【国際公開番号】WO2008/012283
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】