説明

(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの併用療法

【課題】大腸癌、前立腺癌、乳癌、および白血病から選択される、哺乳動物の癌を治療する方法の提供。
【解決手段】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、抗癌剤または放射線療法と組み合わせた新規な併用療法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、または薬学的に許容されるその塩を、哺乳動物の癌を治療する抗癌剤または放射線療法と組み合わせて使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
化合物(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド(また「化合物1」と呼ぶ)、
【0003】
【化1】

および薬学的に許容されるその塩は、2005年11月22日発行の米国特許第6,967,198号に記載されており、その開示を参照により本明細書に組み込む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
多くの抗癌剤、ならびに放射線療法は、細胞、特に癌細胞にDNA損傷を引き起こす。CHK1阻害は、こうしたDNA損傷細胞のSおよびG停止を抑制し、これらの細胞の有糸分裂異常および細胞死がもたらすことによって、こうした抗癌剤または放射線療法の抗癌効果を増強する。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、強力なCHK1プロテインキナーゼ阻害剤である。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、抗癌剤または放射線療法と組み合わせて使用すると、その抗癌剤または放射線療法の抗癌効果が非常に向上する。
一実施形態では、本発明は、抗過剰増殖剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗過剰増殖治療と組み合わせて、治療有効量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0005】
この実施形態の特定の一態様では、抗過剰増殖剤は、酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤および受容体チロシンキナーゼPDGFrの阻害剤から選択される。好ましくは、この抗過剰増殖剤は、以下の米国特許第6,080,769号、米国特許第6,194,438号、米国特許第6,258,824号、米国特許第6,586,447号、米国特許第6,071,935号、米国特許第6,495,564号、および米国特許第6,150,377号、米国特許第6,596,735号、米国特許第6,479,513号、国際公開WO01/40217号、米国特許出願公開第2003−0166675号において開示され、特許請求された化合物である。前述の特許および特許出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0006】
この実施形態の特定の一態様では、抗過剰増殖剤は、PDGRr阻害剤である。PDGRr阻害剤としては、国際特許出願公開WO01/40217号およびWO2004/020431号に開示されたものが挙げられるが、それらだけに限らない。その内容がすべての目的のためにその全体が組み込まれる。好ましいPDGFr阻害剤としては、PfizerのCP−673,451およびCP−868,596、ならびにその塩が挙げられる。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、抗癌剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗癌治療と組み合わせて、治療有効量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法を提供する。
【0008】
この実施形態の特定の一態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、この方法は、抗癌治療の治療効果を向上させる。
【0009】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、この方法は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物と、抗癌治療との相乗的治療効果を示す。
【0010】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、癌は、大腸癌、前立腺癌、乳癌、および白血病から選択される。さらにより好ましくは、癌は、大腸癌である。
【0011】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌治療は、抗癌剤である。好ましくは、抗癌剤は、臨床的に癌を治療することが示される化学的または生物学的物質である。より好ましくは、抗癌剤は、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アムサクリン、ara−C、9−β−D−アラビノシル−2−フルオロアデニン、BCNU、ブレオマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、2−クロロ−2−デオキシアデノシン、CPT−11、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エドテカリン、エトポシド、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン、HU−ジェムザール、イリノテカン、メトトレキサート、6−Mpurine、マイトマイシン−C、パクリタキセル、シス−プラチン、SN−38、タキソール、チオテパ、6−チオグアニン、トリメトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびVP−16からなる群から選択される。さらにより好ましくは、抗癌剤は、ゲムシタビン、イリノテカン、ドセタキセル、SN−38、カルボプラチン、ドキソルビシン、およびマイトマイシン−Cからなる群から選択される。さらにより好ましくは、抗癌剤は、ゲムシタビンである。さらにより好ましくは、抗癌剤は、イリノテカンである。さらにより好ましくは、抗癌剤は、ドセタキセルである。
【0012】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、DNA損傷薬(DNA damaging agent)である。好ましくは、「DNA損傷薬」は、臨床的に癌を治療することが示される化学的または生物学的物質である。より好ましくは、DNA損傷薬は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌抗生物質、プラチナ類似物、トポイソメラーゼI型阻害剤、およびトポイソメラーゼII型阻害剤からなる群から選択される。
【0013】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、アルキル化剤である。好ましくは、アルキル化剤は、アパジコン、アルトレタミン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロランブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、ロムスチン、マフォスファミド、酸化メクロレタミン、メシリナム、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ナイトロジェンマスタードN−酸化物、ピポブロマン、ラニムスチン、テモゾロマイド、チオテパ、トレオスルファン、およびトロフォスファミドからなる群から選択される。さらにより好ましくは、アルキル化剤は、シクロホスファミドである。
【0014】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、代謝拮抗剤である。好ましくは、代謝拮抗剤は、アリムタ、Ara−C、5−アザシチジン、カペシタビン、カルモフール、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、シトシンアラビノシド、デシタビン、プレメトレキセド2ナトリウム、ドキシフルリジン、エフロルニチン、エノシタビン、エチニルシチジン、フロクスウリジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、6−Mpurine、ペントスタチン、ペリトレキソール、ラルチトレキセド、リボシド、メトトレキサート、メルカプトプリン、ネララビン、ノラトレキセド、オクホスファート、テガフール、6−チオグアニン(6−TG)、チオグアニン、トリアピン、トリメトレキセート、ビダラビン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびUFTからなる群から選択される。より好ましくは、代謝拮抗剤は、5−フルオロウラシルおよびゲムシタビンから選択される。さらにより好ましくは、代謝拮抗剤は、ゲムシタビンである。
【0015】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、抗癌抗生物質である。好ましくは、抗癌抗生物質は、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルビシン、ガラルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ミコフェノール酸、ネモルビシン、ネオカルチノスタチン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、およびジノスタチンからなる群から選択される。より好ましくは、抗生物質は、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ドキソルビシン、およびマイトマイシン−Cからなる群から選択される。さらにより好ましくは、抗癌抗生物質は、マイトマイシン−Cおよびドキソルビシンから選択される。
【0016】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、プラチナ類似物である。好ましくは、プラチナ類似物は、カルボプラチン(パラプラチン)、シスプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン、Sanofi)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、およびサタプラチン(satrplatin)からなる群から選択される。より好ましくは、プラチナ類似物は、シスプラチン、カルボプラチン、およびエロキサチン(オキサリプラチン)から選択される。さらにより好ましくは、プラチナ類似物は、カルボプラチンである。
【0017】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、トポイソメラーゼI型阻害剤である。好ましくは、トポイソメラーゼI型阻害剤は、BN−80915(Roche)、カンプトテシン、CPT−11、エドテカリン、エキサテカン、イリノテカン、オラセシン(Supergen)、SN−38、およびトポテカンからなる群から選択される。より好ましくは、トポイソメラーゼI型阻害剤は、イリノテカン、SN−38、およびトポテカンから選択される。さらにより好ましくは、トポイソメラーゼI型阻害剤は、イリノテカンである。
【0018】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、トポイソメラーゼII型阻害剤である。好ましくは、トポイソメラーゼII型阻害剤は、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、およびエピルビシン(エレンス)から選択される。
【0019】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤としては、アクラルビシン、アモナフィド、ベロテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、9−アミノカンプトセシン、ディフロモテカン、塩酸イリノテカン(カンプトサー)、エドテカリン、エピルビシン(エレンス)、エトポシド、エキサテカン、ジマテカン、ルールトテカン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシド、トポテカンからなる群から選択される1個または複数の薬剤が挙げられる。好ましくは、抗癌剤としては、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトセシン、9−アミノカンプトセシン、塩酸イリノテカン(カンプトサー)、エドテカリン、エピルビシン(エレンス)、エトポシド、SN−38、トポテカン、およびそれらの組合せからなる群から選択される1個または複数の薬剤が挙げられる。
【0020】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、有糸分裂阻害剤である。好ましくは、有糸分裂阻害剤は、ドセタキセル(タキソテール)、エストラムスチン、パクリタキセル、ラゾキサン、タキソール、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンからなる群から選択される。より好ましくは、有糸分裂阻害剤は、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびタキソールから選択される。さらにより好ましくは、有糸分裂阻害剤は、ドセタキセルである。
【0021】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌治療は、放射線療法である。
【0022】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、少なくとも1回分用量、好ましくは全用量の少なくとも20%、より好ましくは全用量の少なくとも50%、さらにより好ましくは全用量の少なくとも90%、さらにより好ましくは各単回用量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、1回分用量の抗癌治療を施与した1〜48時間後、より好ましくは2〜40時間後、より好ましくは4〜32時間後、より好ましくは8〜28時間後、さらにより好ましくは16〜26時間後、さらにより好ましくは23〜25時間後、さらにより好ましくは約24時間に投与する。
【0023】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、少なくとも1回分用量、好ましくは全用量の少なくとも20%、より好ましくは全用量の少なくとも50%、さらにより好ましくは全用量の少なくとも90%、さらにより好ましくは各単回用量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、1回分用量の抗癌治療と同時に投与する。本明細書で使用する「同時に」は、前後4時間以内、好ましくは2時間以内、好ましくは1時間以内、さらにより好ましくは30分、15分、または5分以内を指す。
【0024】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、この方法は、正常な(p53コンピテント)細胞に対する細胞傷害作用は最小であるが、p53欠損細胞を選択的に標的にするものである。
【0025】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、抗血管形成剤である。好ましくは、抗血管形成剤は、EGF阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE2阻害剤、IGF1R阻害剤、COX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、MMP−2(マトリクス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、およびMMP−9(マトリクス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤から選択される。
【0026】
好ましいVEGF阻害剤としては、例えば、アバスチン(ベバシズマブ)、抗VEGFモノクローナル抗体(Genentech Inc.、サウスサンフランシスコ、カリフォルニア州)が挙げられる。さらなるVEGF阻害剤としては、CP−547,632(Pfizer Inc.、ニューヨーク、米国)、AG13736(Pfizer Inc.)、ZD−6474(AstraZeneca)、AEE788(Novartis)、AZD−2171、VEGFトラップ(Regeneron/Aventis)、バタラニブ(PTK−787、ZK−222584としても知られる:Novartis&Schering AG)、マキュジェン(ペガプタニブ8ナトリウム、NX−1838、EYE−001、Pfizer Inc./Gilead/Eyetech)、IM862(Cytran Inc.、カークランド、ワシントン州、米国);およびアンジオザイム、リボザイム由来の合成リボザイム(ボールダー、コロラド州)、およびカイロン(エメリービル、カリフォルニア州)、ならびにそれらの組合せが挙げられる。本発明の実施に役立つVEGF阻害剤は、米国特許第6,534,524号および同第6,235,764号に記載されており、この両方は、すべての目的のためにその全体が組み込まれている。さらなるVEGF阻害剤は、例えば、国際公開WO99/24440号、国際公開WO95/21613号、国際公開WO99/61422号、米国特許第5,834,504号、国際公開WO98/50356号、米国特許第5,883,113号、米国特許第5,886,020号、米国特許第5,792,783号、米国特許第6,653,308号、国際公開WO99/10349号、国際公開WO97/32856号、国際公開WO97/22596号、国際公開WO98/54093号、国際公開WO98/02438号、国際公開WO99/16755号、および国際公開WO98/02437号に記載されており、これらすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0027】
好ましいEGRF阻害剤としては、イレッサ(ゲフィチニブ、AstraZeneca)、タルセバ(エルロチニブまたはOSI−774、OSI Pharmaceuticals Inc.)、エルビタックス(セツキシマブ、Imclone Pharmaceuticals,Inc.)、EMD−7200(Merck AG)、ABX−EGF(Amgen Inc.およびAbgenix Inc.)、HR3(キューバ政府)、IgA抗体(エルランゲン−ニュールンベルク大学)、TP−38(IVAX)、EGFR融合タンパク質、EGFワクチン、抗EGFr免疫リポソーム(Hermes Biosciences Inc.)、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらだけに限らない。さらにより好ましくは、EGFR阻害剤は、イレッサ、エルビタックス、タルセバ、およびそれらの組合せから選択される。
【0028】
その他の血管新生阻害剤としては、アシトレチン、フェンレチニド、サリドマイド、ゾレドロン酸、アンジオスタチン、アプリジン、シレングチド、コンブレタスタチンA−4、エンドスタチン、ハロフジノン、レビマスタット(rebimastat)、レモバブ(removab)、レブリミド、スクアラミン、ウクライン、ビタキシン、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0029】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、パンキナーゼ(pan kinase)阻害剤である。好ましいパンキナーゼ(pan kinase)阻害剤としては、米国特許第6,573,293号に記載されるSutent(商標)(スニチニブ)(Pfizer Inc.、ニューヨーク、米国)が挙げられる。
【0030】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、CP−724,714(Pfizer Inc.)、CI−1033(カネルチニブ(canertinib)、Pfizer Inc.)、ハーセプチン(トラスツズマブ、Genentech Inc.)、Omitarg(2C4、ペルツズマブ、Genentech Inc.)、TAK−165(Takeda)、GW−572016(ロナファーニブ、GlaxoSmithKline)、GW−282974(GlaxoSmithKline)、EKB−569(Wyeth)、PKI−166(Novartis)、dHER2(HER2ワクチン、CorixaおよびGlaxoSmithKline)、APC8024(HER2ワクチン、Dendreon)、抗HER2/neu二重特異性抗体(Decof Cancer Center)、B7.her2.IgG3(Agensys)、AS HER2(Rad Biology&Medicine研究所)、三官能性二重特異性抗体(ミュンヘン大学)、mAB AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc)、mAB 2B−1(Chiron)、それらの組合せなど、パンErb(pan Erb)受容体阻害剤またはErbB2受容体阻害剤から選択される。
【0031】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、PfizerのMEK1/2阻害剤PD325901、Array BiopharmのMEK阻害剤ARRY−142886、Bristol MyersのCDK2阻害剤BMS−387,032、PfizerのCDK阻害剤PD0332991、およびAstraZenecaのAXD−5438、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0032】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、セレコキシブ(米国特許第5,466,823号)、バルデコキシブ(米国特許第5,633,272号)、パレコキシブ(米国特許第5,932,598号)、デラコキシブ(米国特許第5,521,207号)、SD−8381(米国特許第6,034,256号、実施例175)、ABT−963(国際公開WO2002/24719号)、ロフェコキシブ(CAS番号162011−90−7)、国際公開WO1998/03484号に開示されるMK−663(またはエトリコキシブ)、国際公開WO1999/11605号に開示されるCOX−189(ルミラコキシブ)、BMS−347070(米国特許第6,180,651号)、NS−398(CAS123653−11−2)、RS 57067(CAS17932−91−3)、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロール、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、およびメロキシカムから選択される。
【0033】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、ジェナセンス(オウグメロセン、Genta)、パニツムマブ(Abgenix/Amgen)、ゼバリン(Schering)、ベクサー(Corixa/GlaxoSmithKline)、アバレリックス、アリムタ、EPO 906(Novartis)、ディスコデルモライド(XAA−296)、ABT−510(Abbott)、ネオバスタット(Aeterna)、エンザスタウリン(Eli Lilly)、コムブレスタチンA4P(Oxigene)、ZD−6126(AstraZeneca)、フラボピリドール(Aventis)、CYC−202(Cyclacel)、AVE−8062(Aventis)、DMXAA(Roche/Antisoma)、チミタック(Eximias)、テモダール(テモゾロマイド、Schering Plough)、およびレビリムド(Celegene)、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0034】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、CyPat(酢酸シプロテロン)、ヒストレリン(酢酸ヒストレリン)、プレナイキス(アバレリクスデポット)、アトラセンタン(ABT−627)、サトラプラチン(JM−216)、サロミド(サリドマイド)、Theratope、テミリフェン(DPPE)、ABI−007(パクリタキセル)、エビスタ(ラロキシフェン)、アタメスタン(バイオメド−777)、ジオタックス(ポリグルタメート化パクリタキセル)、タルゲチン(ベクサロチン)、およびそれらの組合せから選択される。
【0035】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、トリザオン(チラパザミン)、アポシン(エキスリンド)、ネバスタット(AE−941)、セプレン(二塩酸ヒスタミン)、オラセシン(ルビテカン)、ビルリジン、Gastrimmune(G17DT)、DX−8951f(メシル酸エキサテカン)、オンコナーゼ(ランピラナーゼ)、BEC2(ミツモアブ(mitumoab))、Xcytrin(モテクサフィンガドリニウム)、およびそれらの組合せから選択される。
【0036】
この実施形態の別の特定の態様、および矛盾しない他の任意の特定の態様との組合せでは、抗癌剤は、CeaVac(CEA)、ニュートレキシン(グロクロン酸トリメトレサート)、およびそれらの組合せから選択される。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、OvaRex(オレゴボマブ)、オシデム(IDM−1)、およびそれらの組合せから選択される。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、アドベキシン(ING 201)、チラゾン(チラパザミン)、およびそれらの組合せから選択される。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、RSR13(エファプロキシラル)、Cotara(131I chTNT 1/b)、NBI−3001(IL−4)、およびそれらの組合せから選択される。さらなる抗腫瘍剤は、以下の薬剤、カンバキシン、GMKワクチン、PEGイントロンA、タクサオプレキシン(DHA/パクリタキセル)、およびそれらの組合せから選択される。
【0037】
本明細書で使用する「アルキル化剤」、「代謝拮抗剤」、「抗癌抗生物質」、「プラチナ類似物」、「トポイソメラーゼI型阻害剤」、「トポイソメラーゼII型阻害剤」、および「有糸分裂阻害剤」という用語は、臨床的に使用される化学的または生物学的な抗癌剤のクラスを指す。これらの用語の各々には、特定のクラス内にある現在臨床的に使用されている抗癌剤のいずれか、ならびにまだ発明されていないが特定のクラスに分類されるであろう将来の臨床的ないずれの抗癌剤も含まれる。これらのクラスの抗癌剤の各々の例については、Physician’s Cancer Chemotherapy Drug Manual、2006年、ISBN 0−7637−4019−5を参照されたい。これらのクラスの抗癌剤の各々の詳細な総覧については、Martindale’s Complete Drug Reference(第34版)を参照されたい。
【0038】
「抗癌治療」という用語は、本明細書で定義される「抗癌剤」または「放射線療法」を指す。
【0039】
「抗癌剤」という用語は、癌の治療に使用することができる化学的または生物学的ないずれの物質も指す。
【0040】
「DNA損傷薬」という用語は、哺乳動物においてDNAの正常な複製または正常な機能を直接的または間接的に妨げる化学的または生物学的ないずれの抗癌剤も指す。「DNA損傷薬」の例としては、本明細書で定義されるアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌抗生物質、プラチナ類似物、トポイソメラーゼI型阻害剤、およびトポイソメラーゼII型阻害剤が挙げられるが、それらだけに限らない。
【0041】
「と組み合わせて」という用語は、治療を必要とする哺乳動物への、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物などの治療処置剤の投与と、抗癌剤または放射線療法など別の治療処置の施与との相対的なタイミングを指し、この相対的なタイミングは、医学分野で併用療法に関して通常使用されているものである。具体的には、相対的なタイミングは、順次または同時とすることができる。順次投与の好ましい実施形態は、まず抗癌剤または放射線療法を施与した後、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を24時間以内に投与することである。
【0042】
「過剰増殖性障害」という用語は、正常細胞の異常増殖および異常細胞の増殖を含めた、正常な調節機序とは無関係の異常細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)を指す。これには、良性腫瘍細胞(腫瘍)と悪性腫瘍細胞(腫瘍)のどちらの異常増殖も含まれるが、それらだけに限らない。こうした良性の増殖性疾患の例は、乾癬、良性前立腺肥大、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、および再狭窄である。
【0043】
「癌」という用語には、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼球内の黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の癌、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または前述の癌の1種または複数の組合せが挙げられるが、それらだけに限らない。前記方法の別の実施形態では、前記異常細胞増殖は、乾癬、良性前立腺肥大、または再狭窄を含むが、それらだけに限らない良性の増殖性疾患である。
【0044】
「CHK1プロテインキナーゼ活性が介在」という用語は、CHK1プロテインキナーゼ活性によって調節、調整、または阻害される生物的または分子的過程を指す。
【0045】
「薬学的に許容される塩」という用語は、化合物中に存在することができる酸性基または塩基性基の塩を指す。本来、塩基性の化合物は、様々な無機酸および有機酸と様々な塩を形成することができる。こうした塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩の調製に使用することができる酸は、無毒な酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩、例えば、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、ブロミド、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、クロリド、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩化水素化物、エデト酸塩、エジシラート(edislyate)、エストレート、エシレート、エチルコハク酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムケート、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドーデ(triethiodode)、および吉草酸塩などを形成するものである。好ましくは、好ましい塩として、リン酸塩およびグルコン酸塩が挙げられる。
【0046】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載の化合物、または生理学上/薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物のうちの1個または複数と、生理学上/薬学的に許容される担体および賦形剤などその他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を促進することである。
【0047】
「放射線療法」という用語は、悪性細胞を制御する放射線の医療用用途を指す。
【0048】
「治療有効量」という用語は、一般に、投与し、それによって治療する障害の症状の1つまたは複数をある程度取り除く、化合物、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物の量を指す。具体的には、「治療有効量」が併用療法を説明する際に使用されるとき、この用語は、1)抗癌剤や放射線療法など別の治療の治療効果を向上させる特定の治療の量、または2)その他の治療と組み合わせて、治療する障害の症状の1つまたは複数をある程度取り除く特定の治療の量を指す。癌の治療に関して、治療する疾患の症状の軽減には、a)腫瘍の大きさを縮小させること、b)腫瘍転移を阻害すること(すなわち、ある程度遅延させる、好ましくは停止させること)、およびc)腫瘍増殖をある程度阻害すること(すなわち、ある程度遅延させる、好ましくは停止させること)が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用する「治療すること」は、別段の指示がない限り、この用語が適用される障害もしくは病態、またはこうした障害もしくは病態の1つもしくは複数の症状を逆転、緩和、進行阻害、または予防することを意味する。本明細書で使用する「治療」という用語は、別段の指示がない限り、直前で定義した「治療すること」のように治療する行為を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本節でのみ使用されるように、「化合物1」という用語は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を指し;「MTD」は、最大耐量を指し;Q3d×4は、3日に1度4回投与する投与スケジュールを指し;Q1w×3は、1週間に1度3回投与する投与スケジュールを指す。
【0051】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、その分子標的、キナーゼ選択性、作用機序、PK/PD関係、および抗腫瘍効果の化学的増強に対する強度を決定するのに、様々なin vitroおよびin vivo系で研究されている。
【0052】
I.キナーゼ選択性
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、CHK1の有力なATP競合阻害剤である。CHK1(1−289)触媒ドメインに対する(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのKi値は、0.49±0.29nMであった。
【0053】
Chk1に関する(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのキナーゼ選択性を、100個超のプロテインキナーゼのパネルに対して生化学的キナーゼスクリーニングアッセイで評価した。8個のキナーゼについては、CHK1触媒ドメインのKiに対するスクリーニングしたキナーゼのIC50またはKiの比が約100倍以下であることが示された。これらの8個のキナーゼは、Aurora−A、FGFR3、Flt3、Fms(CSF1R)、Ret、VEGFR2、Yes、およびCHK2である。(表1)選択性を考察するためのCHK1阻害剤に最も薬理学的に関連するキナーゼは、一時的な間欠性阻害が、細胞周期進行(例えば、CDKキナーゼ、有糸分裂キナーゼ)、チェックポイント制御(例えば、CHK2、ATM、ATR)に影響を及ぼすか、またはアポトーシス経路(例えば、AKT、p38)に作用するものである。これに基づくと、VEGFR2、Fms/CSF1R、FGFR2、Flt3、およびRetは、関連するとは考えられない。というのは、これらのRTKから観察可能な薬理作用を誘起するのに、持続的な阻害が必要だからである。同様に、Yesノックアウトマウスは有意な表現型を示さないので、Yesキナーゼの一時的な阻害に効果は期待されない。Aurora−Aは関連するキナーゼであるが、酵素アッセイが細胞活性とあまり関連しないことが分かっている。細胞ベースの機能アッセイでは、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、Auroraキナーゼに対して100倍を超える選択性を示した。最後に、CHK2に対する選択性の比は、ほぼ100倍に等しく、我々は、細胞ベースまたはex vivoアッセイにおいて、CHK2活性が、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドで調節されることはないという証拠を観察した。表1は、選択したキナーゼに対する(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのIC50またはK値、およびCHK1のKiに対する選択したキナーゼのIC50またはKの比を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
II.細胞ベースの機能アッセイにおける細胞傷害性増強効果
チェックポイント介在性の細胞周期停止は、化学療法剤または放射線によって誘発されるDNA損傷の典型的な反応である。ゲムシタビン、イリノテカン、およびドキソルビシンのような一般に使用される化学療法剤と組み合わせると、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−lH−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、DNA損傷薬によって誘発されるSおよびGのチェックポイントを抑制し、細胞傷害性を増大させる。このチェックポイント抑制活性および増大した細胞傷害活性は、p53コンピテント正常細胞に対するp53欠損癌細胞株の選択性を示す。チェックポイント抑制は、有糸分裂プロテインキナーゼCDK1のスレオニン−14およびチロシン−15脱リン酸化および活性化、早期有糸分裂、有糸分裂異常、ならびに最終的なアポトーシス性細胞死を特徴とする。一連の実験では、1)DNA損傷が誘発する細胞周期チェックポイントの抑制を実証すること;2)いくつかの化学療法剤と組み合わせて、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの化学的増強活性を評価すること;および3)p53欠損癌細胞に関する選択性を実証することを行った。
【0056】
チェックポイント抑制活性:ヒストンH3リン酸化アッセイは、細胞が有糸分裂に入るのを検出し、カンプトテシンに誘発されるGチェックポイントを抑制する際の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの細胞強度を測定するのに使用する一次in vitro細胞ベースアッセイを表す。EC50値は、Ser10に対するヒストンH3リン酸化の増加、有糸分裂への移行のマーカーによって測定すると45nMであった。DNA損傷がない状態では、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、細胞周期に影響を及ぼさなかった。ゲムシタビンを組み合わせると、フローサイトメトリー分析から、ゲムシタビンに誘発されたS期停止が、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[l,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドによって抑制されることが示されている。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドに誘発されたS期細胞の時間依存的な減少は、G〜MおよびG〜G細胞集団の増加に相当し、これは、細胞が有糸分裂に入り、細胞周期へ再入しようとしていることを実証している。フローサイトメトリー分析から、ゲムシタビンの単独治療に比べて、ゲムシタビンと(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドとの併用治療においてアポトーシス細胞の著しい増加が確認された。
【0057】
化学的増強:ゲムシタビン、イリノテカン、カルボプラチン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンCの細胞傷害性作用を増大する際の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの活性を特徴付けるのに、細胞生存およびMTT(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムアッセイ)アッセイを、p53欠損ヒト癌細胞株のパネルにおいて行った。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドだけでは、対照(非処置)細胞と比べて、細胞の生存率に有意な影響を引き起こすことはなかった。ゲムシタビンと組み合わせると、((2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、ゲムシタビン単独に比べて、ゲムシタビン細胞傷害性の有意な増強(89%)を誘発した。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、細胞株間にいくらかのばらつきは観察されたが、ほとんどの薬剤に対して強固かつ一貫した増強を誘発した(表2)。表2では、ゲムシタビンは、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドがない状態で、毒性を誘発しない、または最小(<10%)となる濃度で使用した:5nM(Colo205細胞)、10nM(MDA−MB−231、HT29、およびK562細胞)、または20nM(PC−3細胞)。
【0058】
【表2】

【0059】
p53欠損細胞に関する選択性:DNA依存性化学療法と組み合わせた(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、正常な(p53コンピテント)細胞への細胞傷害性作用は最小であるが、p53欠損癌細胞を選択的に標的とすることが予想される。正常細胞における化学療法剤と組み合わせた(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−l−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの細胞傷害性作用を評価するために、細胞生存アッセイをHUVEC細胞で行った。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、ゲムシタビンまたはカンプトテシンと組み合わせて使用し、両方とも細胞毒性を最小(<10%)に誘導する一定濃度で使用した。併用での最高濃度(12×EC50(540nM))の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、ゲムシタビンまたはカンプトテシン単独に比べて、細胞死滅をそれぞれ31.2%または21.7%増加させる。HUVEC細胞において併用治療で誘発された細胞傷害性作用は、腫瘍細胞で同じ治療によって誘発された細胞傷害性と比べて無視できるものである。p53コンピテント非腫瘍細胞において、化学療法と組み合わせた(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドで誘発された最小の毒性は、p53欠損癌細胞へのその選択性を支持する証拠、および正常細胞で有害作用が最小となる潜在的可能性を示す。また、細胞生存アッセイを、p53野生型または突然変異体を含むプラスミドで一過性にトランスフェクトしたHTC116細胞(ヒト結腸癌)において行った。突然変異体p53HCT116細胞では、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドとゲムシタビンとの組合せはゲムシタビン単独に比べて細胞増殖阻害を44%生じたが、野生型p53 HCT116細胞では、同じ併用治療は、ゲムシタビン単独に比べて細胞増殖阻害を15%しか生じなかった。これらの結果から、p53欠損癌細胞が、そのp53コンピテント対応物よりもChk1阻害に対して脆弱であることが確認される。
【0060】
III.in vivo試験における化学的増強効果
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを細胞傷害性薬剤と組み合わせた試験を、HT29およびColo205のヒト結腸癌異種移植片で行った。実験1〜39は、マウス異種移植片で行った。実験40〜42は、ラット異種移植片で行った。具体的には、イリノテカン併用の試験は、HT29およびColo205で行った。ゲムシタビン併用の試験は、Colo205で行った。ドセタキセル併用の試験は、Colo205で行った。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの化学的増強は、上記の併用試験のすべてで実証された。
【0061】
ゲムシタビンおよびイリノテカンは、チェックポイント活性化および後続のS/GM期停止を誘発することが知られるDNA依存性細胞傷害性薬剤である。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、一般に、ゲムシタビンまたはイリノテカンの事前投与24時間後に投与した。ドセタキセルは、最近の発見により有糸分裂チェックポイントでのCHK1に対する新規な機能が説明されている抗有糸分裂剤である。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、ドセタキセルと同時に投与した。これらの各試験では、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、酢酸ナトリウムおよび4%デキストロースの水溶液で5mL/kgで投与した。その結果を表3に要約する。
【0062】
【表3】

【0063】
表3では、「Exp No.」は、実施例番号を指し;「Amt A」は、異種移植片に投与する1回当たりの細胞傷害性薬剤の量を指し;「Amt B」は、異種移植片に投与する1回当たりの(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの量を指し;%TGI(腫瘍増殖阻害)は、100×[1−(TV−Tv治療/(TV−Tvビヒクル](式中、TVおよびTvはそれぞれ、最終投与+2日および開始時のグループの平均腫瘍容積である)として計算し;%増強TGIは、100×[1−(TV−Tv併用/(TV−Tv細胞傷害性薬剤単独](式中、TVおよびTvはそれぞれ、最終投与+2日および開始時のグループの平均腫瘍容積である)として計算し;増殖遅延は、2倍増(800mm)に達するまでの日数の中央値での治療剤−ビヒクル(T−C)として計算し;%TTP ER(増強までの期間の比)を、[遅延(併用剤)/遅延(細胞傷害性薬剤単独)×100−100]として計算した。
【0064】
実施例1〜17では、イリノテカンまたはゲムシタビンを、適用可能な場合には、Q3d×4に従って腹腔内(IP)投与し、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、イリノテカンまたはゲムシタビンの24時間後に開始するQ3d×4に従ってIP投与した。
【0065】
実施例18〜25では、ドセタキセルおよび(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、Q1w×3スケジュールに従って同時に腹腔内(IP)投与した。実施例25では、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、2サイクルにわたって全用量を120mg/kgとして投与した。
【0066】
実施例26〜35では、イリノテカンを、Q3d×4に従って腹腔内(IP)投与し、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、イリノテカンまたはゲムシタビンの24時間後に開始するQ3d×4に従ってIP投与した。
【0067】
実施例36〜39では、イリノテカンを、Q1w×3でIP投与し、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、3週間にわたってイリノテカン投与の24および72時間後に週に2回IP投与した。
【0068】
実施例40〜42では、イリノテカンを、Q3d×4でIP投与し、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドを、イリノテカン投与の24時間後に開始するQ3d×4に従って2時間のIV(静脈内)注入で投与した。
【0069】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのMTDは、Q3d×4で40mg/kgまたはQ1w×3で60mg/kgあることが決定され、この評価は、10%〜20%の平均体重の減少が生じたことにより行った。
【0070】
IV.化合物Iの放射線増感効果に関するin vivo研究
雌のBalb/cヌードマウス(生後6週)の右後肢に、PBS中の3×10個のA431細胞を接種し、腫瘍を平均腫瘍容積約100mmまで成長させた。これらのマウスは、各グループ当たり10匹のグループに無作為化した。
【0071】
次いで、麻酔なしのマウスに放射線を照射した。放射線は、バリアン2100直線加速器(パロアルト、カリフォルニア州)からの6MeVの高線量率電子線を使用して出力した。使用した線量率は、20Gy/分であった。電子線の深部線量特性は、組織の深さ10mmにわたって±5%以内の線量均一性が得られるようなものであった。これは、照射された腫瘍すべてをカバーするのに十分であった。厚さ6mmのPerspexシートに付着させた厚さ3mmの鉛板から切断した25mm正方形のコリメータを通して、腫瘍に放射線照射した。腫瘍とコリメータの下側面(Perspex)との分離間隔は、約25mmとした。装置は、マウスの熱作用損失を減少させるために37℃に加熱したプレート上に支持された。放射線量は、上級の放射線物理学者が計算し、照射した。放射線治療は、前述のように、0〜4日、1日に2、3、または4Gyの分割照射として行われた。
【0072】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド(化合物1)は、pH緩衝水溶液として調製した。この溶液を投与(15mg/kg)直前に調製し、0〜4日目に腹腔内注射で15mg/kg投与し、その直後に放射線治療を行った。化合物1を含まない上記の溶液は、「薬剤ビヒクル」または「ビヒクル」と見なされる。薬剤ビヒクルを、同じスケジュールで体重10g当たり0.1ml投与した。
【0073】
各グループのマウスを、化合物1のみ、放射線のみ、または化合物1と放射線との組合せで治療した。腫瘍容積比(TVR)が4に達したか、または超過したとき、あるいはマウスが0日目の基準体重の15%超を失った場合、動物を屠殺した。腫瘍容積比は、特定の時間の腫瘍容積と、0日目の腫瘍容積である基準腫瘍容積との比として定義する。
【0074】
腫瘍容積を、0日目から11日目、さらには23日目まで1日に3回測定した。腫瘍容積は、電子ノギスを使用して測定し、長さ/2×幅として計算した。平均腫瘍容積は、各グループのマウスに関して計算した。表4は、治療していないマウスの各グループの平均腫瘍容積、薬剤ビヒクル、化合物1、放射線、または化合物1と放射線との組合せで治療したマウスの各グループの平均腫瘍容積を示している。
【0075】
【表4】

【0076】
表5は、表4に示す腫瘍容積データに基づく腫瘍増殖遅延および増強比を示す。腫瘍増殖遅延は、腫瘍がTVRが4に達する日数の中央値から、ビヒクル対照腫瘍が同サイズに達する日を引いたものとして定義する。標準化した増殖遅延は、併用で治療したマウスの腫瘍がTVRが4に達する日数の中間値から、薬剤単独で治療したマウスの腫瘍が同サイズに達する日を引いたものとして定義する。増強比は、薬剤および放射線で治療したマウスの標準腫瘍増殖遅延を、放射線単独で治療したマウスの腫瘍増殖遅延で割ったものとして定義する。
【0077】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、抗癌剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗癌治療と組み合わせて、治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の癌を治療する方法。
【請求項2】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは混合物、またはそれらの溶媒和物の投与が、前記抗癌治療の治療効果を向上させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物、および抗癌治療を別々に施与することの相乗的治療効果を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が、大腸癌、前立腺癌、乳癌、および白血病から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、大腸癌である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗癌治療が、治療有効量の抗癌剤である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記抗癌剤が、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アムサクリン、ara−C、9−(3−D−アラビノシル−2−フルオロアデニン、BCNU、ブレオマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、2−クロロ−2−デオキシアデノシン、CPT−11、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エドテカリン、エトポシド、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン、HU−ジェムザール、イリノテカン、メトトレキサート、6−Mpurine、マイトマイシン−C、パクリタキセル、シスプラチン、SN−38、タキソール、チオテパ、6−チオグアニン、トリメトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびVP−16からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗癌剤が、ゲムシタビン、イリノテカン、ドセタキセル、SN−38、カルボプラチン、ドキソルビシン、およびマイトマイシンCからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗癌剤が、ゲムシタビンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗癌剤が、イリノテカンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抗癌剤が、ドセタキセルである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記抗癌剤が、DNA損傷薬である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記DNA損傷薬が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌抗生物質、プラチナ類似物、トポイソメラーゼI型阻害剤、およびトポイソメラーゼII型阻害剤から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗癌剤が、有糸分裂阻害剤である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1回分用量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、抗癌治療を事前に施与した1から48時間後に投与する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1回分用量の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物を、抗癌治療の1回分用量と同時に投与する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2007−277240(P2007−277240A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−97995(P2007−97995)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】