説明

(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する統合プロセス及び方法

本発明は、蒸気相及び/又は液体プロセスによって(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを経済的に製造するための方法、プロセス、及び統合システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年2月18日出願の米国仮出願61/305,803、及び2010年9月2日出願の米国仮出願61/379,633(両方の内容は参照として本明細書中に包含する)に関連し、これらの優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ヒドロクロロフルオロオレフィン、特に(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造するためのプロセス、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(CFC)ベースの化学物質は、産業において、とりわけ冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、及び溶媒などの種々の異なる用途で広く用いられている。しかしながら、幾つかのCFCは地球のオゾン層を消失させると考えられている。したがって、CFCに代わるものとしてより環境に優しい代替物が導入されている。かかる代替物の一例は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)である。HFC−245faは、フォーム発泡剤及び溶媒のような幾つかの工業用途のために好ましい物理特性を有すると認識されており、したがってこれらの用途のためにこれまで用いられているCFCに対する良好な代替物であると考えられている。残念なことに、HFC−245faなどの幾つかのヒドロフルオロカーボンを工業用途において使用することは、現在では地球温暖化に寄与すると考えられている。その結果として、ヒドロフルオロカーボンに対するより環境に優しい代替物が現在求められている。
【0004】
HCFO−1233zd又は簡単に1233zdとしても知られる1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンという化合物は、発泡剤及び溶媒などの幾つかの用途においてHFC−245faに代わる最も有力な候補物質である。1233zdはZ−異性体及びE−異性体を有する。これらの2つのジアステレオマーの間の物理特性の違いにより、純粋な1233zd(E)、純粋な1233(Z)、又は2つの異性体の特定の混合物は、冷媒、噴射剤、発泡剤、溶媒として特定の用途に関して、或いは他の用途に関して好適である可能性がある。
【0005】
1233zdを合成する方法は公知である。例えば、WO−97/24307においては、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)とフッ化水素(HF)との気相反応によって1233zdを製造する方法が開示されている。しかしながら、このプロセスは1233zdを比較的低い収率で生成する。米国特許6,844,475においては、HCC−240faをHFと液相反応させて、1233zdを高収率で製造することが記載されている。この反応に関する好ましい温度範囲は約50℃〜約120℃であると述べられており、具体的な実施例は90℃(約80重量%の1233zdの収率が得られている)及び120℃(90重量%を超える1233zdの収率が得られている)において示されている。より低い温度における1233zdの収率はあまり良好でない。より高い温度における収率は良好であるが、本出願人らは、この温度及びそれ以上でプロセスを運転すると増加した量のZ−異性体が生成することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO−97/24307
【特許文献2】米国特許6,844,475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、1233zd(E)を高い収率で選択的に製造する方法に対する必要性が未だ存在する。本出願はとりわけこの必要性を満足するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人らは、予期しなかったことに、(1)HFと、HCC−240fa、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの1つ又は組合せとの間の接触液相反応、或いは(2)HCC−240faとHFとの間の接触蒸気相反応のいずれかの温度を注意深く維持することによって、大部分がE−異性体である1233zd反応生成物が形成されることを見出した。前者に関しては、温度は、限定的ではないが好ましくは約85℃〜約120℃に維持する。本出願人らはまた、液相生成物を、それが反応器から排出されるに際にストリッピングカラムに通して未反応の反応物質を反応器に還流して戻すことによって、限定的ではないが特にストリッピングカラムを対応する反応温度よりも約10℃〜約40℃低い平均ストリッピング温度を達成するように運転すると、E−異性体の収率が更に向上することも見出した。気相反応に関しては、温度は、限定的ではないが好ましくは約200〜約450℃に維持し、圧力は約0〜約160psigに維持する。
【0009】
未反応の反応物質及び/又は1233zdの望ましくない異性体を分離及び再循環し、副生成物を分離及び除去する他のユニット運転を統合することによって、全体的なプロセス効率が達成される。而して、幾つかの好ましい態様においては、本方法は1233zd(E)を高い収率で製造するための統合プロセスに関する。
【0010】
一形態においては、本発明は、(a)フッ化水素、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペンのヒドロハロカーボン混合物)、並びにフッ素化金属塩化物触媒を含み、フッ化水素と1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(又はヒドロハロカーボン混合物)が約3:1より大きいモル比で存在し、フッ素化金属塩化物触媒が、部分又は全フッ素化TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、及びAlClからなる群から選択される液体反応混合物を与え:(b)フッ化水素及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(又は1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンのヒドロハロカーボン混合物)を、該触媒の存在下、液相中において約85℃〜120℃の反応温度で反応させて、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、塩化水素、未反応のフッ化水素、同伴触媒、(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び場合によっては未反応のヒドロハロカーボン出発生成物(例えば、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペン)を含み、1より大きい(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対する(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの重量比を有する反応生成物流を生成させる;ことを含む、クロロフルオロアルケンを製造するための方法又はプロセスに関する。
【0011】
この方法又はプロセスには、(c)反応生成物流を熱交換器と接触させて、(i)塩化水素の大部分、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの大部分、場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの大部分、及び未反応のフッ化水素の少なくとも一部を含み、この一部が(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの1以上と共沸混合物を形成するのに十分な量である第1の粗生成物流、並びに(ii)同伴触媒及び未反応のフッ化水素の大部分を含む還流成分を生成させ;そして(d)還流成分を反応混合物に戻す;工程を更に含ませることができる。
【0012】
更なる態様においては、本方法又はプロセスは、(e)未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンなどの未反応の反応物質を蒸留によって分離し、これらの未反応の反応物質を反応器に再循環して戻し;(f)塩酸副生成物の少なくとも一部、好ましくは大部分を除去し;(g)粗生成物流中の未反応のHFを硫酸吸着又は相分離によって分離して再循環し;(h)粗生成物流を蒸留して、反応副生成物から(E)1233zdを分離し;そして(i)1233zd(Z)副生成物を異性化して1233zd(E)を形成する;工程の1以上を更に含む。
【0013】
上記の工程は、(a)フッ化水素、及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(又は1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンのヒドロハロカーボン混合物)を累積的に含む1以上の供給流;(b)液相フッ素化触媒が充填され、約85℃〜約120℃の第1の温度に維持されており、1以上の供給流に流体接続している液相反応器;(c)第1の温度よりも約10℃〜約40℃低い第2の温度に維持されている平均温度を有するストリッピングカラム、ストリッピングカラムに流体接続している還流流、及びストリッピングカラムに流体接続している第1の粗生成物流を含み、還流流が液相反応器に流体接続しているストリッピングシステム;(d)第1の蒸留カラム、第1の蒸留カラムに流体接続している塩化水素副生成物流、及び第1の蒸留カラムに流体接続している第2の粗生成物流を含み、第1の蒸留カラムがストリッピングカラムに流体接続している塩化水素除去システム;(e)硫酸吸収及び再循環システム又は相分離容器、硫酸吸収及び再循環システム又は相分離容器に流体接続しているフッ化水素を含む第2の再循環流、硫酸吸収及び再循環システム又は相分離容器に流体接続している(E)及び(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第3の生成物流を含み、硫酸吸収及び再循環システム又は相分離容器が第2の粗生成物流に流体接続しているフッ化水素回収システム;及び(f)第3の生成物流に流体接続している第2の蒸留カラム、第2の蒸留カラムに流体接続している(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む最終生成物流、蒸留カラムに流体接続している第2の副生成物流、第2の副生成物流に流体接続している異性化反応器、異性化反応器及び第2の蒸留カラムに流体接続している生成物再循環流を含む1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン精製システム;を含む、ヒドロフルオロオレフィンを製造するための統合システムとして与えることができる。
【0014】
他の態様においては、本発明は、まず、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを、蒸気相反応混合物中、フッ素化触媒の存在下においてフッ化水素と共に与えることによって(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造するための方法又はプロセスに関する。混合物は反応器内に与え、フッ化水素と1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンは約3:1より大きいHF:有機物のモル比で存在させる。1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを、触媒の存在下、約200〜約450℃の反応温度及び約0〜約160psigの圧力においてフッ化水素と反応させる。得られる生成物流は、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、塩化水素、未反応のフッ化水素、未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、反応副生成物、及び場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む。
【0015】
蒸気相反応のためのフッ素化触媒は、クロムベースの触媒、アルミニウムベースの触媒、コバルトベースの触媒、マンガンベースの触媒、ニッケル及び酸化鉄ベースの触媒、水酸化物ベースの触媒、ハロゲン化物ベースの触媒、オキシハロゲン化物ベースの触媒、これらの無機塩、或いはこれらの混合物からなる群中の1種類以上の触媒から選択することができる。一態様においては、触媒は、Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF、及びこれらの混合物から選択される。他の態様においては、触媒は、FeCl/C、SnCl/C、TaCl/C、SbCl/C、AlCl/C、AlF/Cから選択される。
【0016】
蒸気相反応における生成物又は最終反応流は、後反応処理にかけて所望の生成物を単離し、特定の未反応の出発試薬を再循環することができる。一態様においては、かかるプロセス工程は、反応生成物流を分離して、(a)HClの第1の塔頂流、及び(b)未反応のフッ化水素、未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第1の塔底流を生成させることを含む。第1の塔底流は、次に分離して、(a)HFの再循環流(これは蒸気相反応に再循環して戻すことができる);及び(b)未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、反応副生成物、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む流れ;を生成させることができる。この流れは、次に分離して、(a)未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び反応副生成物の流れ;及び(b)(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む流れ;を更に生成させることができる。E及びZ異性体の両方が与えられる態様においては、次にかかる流れの成分を分離する、即ち、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから分離する。(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、次に異性化して(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを生成させることができる。任意の上記の工程において、分離技術としては蒸留又は吸着が挙げられるが、これらに限定されず、また当該技術において公知の別の分離技術を用いるように適合させることもできる。
【0017】
蒸気相反応に関する上記の工程は、(a)累積的にフッ化水素及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの1以上の供給流;(b)蒸気相フッ素化触媒を有し、約200〜約450℃の第1の温度及び約0〜約160psigの圧力に維持されており、1以上の供給流に流体接続している蒸気相反応器;(c)第1の蒸留カラム、第1の蒸留カラムに流体接続している塩化水素副生成物流、及び第1の蒸留カラムに流体接続している粗生成物流を含み、第1の蒸留カラムが蒸気相反応器に流体接続している塩化水素塩化水素除去システム;(d)硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続しているフッ化水素を含む再循環流、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続している(E)及び(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む生成物流を含み、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器が粗生成物流に流体接続しているフッ化水素回収システム;(e)生成物流に流体接続している第2の蒸留カラム、第2の蒸留カラムに流体接続している(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む最終生成物流、蒸留カラムに流体接続している第2の副生成物流、第2の副生成物流に流体接続している異性化反応器、異性化反応器及び第2の蒸留カラムに流体接続している生成物再循環流を含む1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン精製システム;を含む、ヒドロフルオロオレフィンを製造するための統合システム中に与えることができる。
【0018】
本発明の更なる態様及び有利性は、以下に与える開示事項に基づいて当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の好ましい態様による1233zd(E)の統合液相合成の概要図を示す。
【図2】図2は、本発明の他の好ましい態様による1233zd(E)の統合液相合成の概要図を示す。
【図3】図3は、本発明の他の好ましい態様による1233zd(E)の統合液相合成の概要図を示す。
【図4】図4は、本発明の更に他の好ましい態様による1233zd(E)の統合液相合成の概要図を示す。
【図5】図5は、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する蒸気相システムの一例の概要図である。
【図6】図6は、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する他の蒸気相システムの概要図である。
【図7】図7は、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する更なる蒸気相システムの更なる概要図である。
【図8】図8は、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する更に他の蒸気相システムの更に他の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
幾つかの態様においては、本発明は完全に統合された液相又は蒸気相プロセスによって(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを連続的且つ経済的に製造するための方法及びプロセスに関する。(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造するための代表的な完全に統合されたプロセスを下記に記載する。
【0021】
液相反応:
液相プロセスのための反応化学は、液相の接触反応器内で1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(又は1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンのヒドロハロカーボン混合物)を無水HFと単一工程反応させて、主として(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(E))、及び副生成物としてHClを生成させることを含む。好ましくは、反応は、同時にHFと得られる1233zd(E)との反応(HFC−244faの形成を導き、これは次に更に反応してHFO−1234zeを生成する可能性がある)を最小にしながら、1233zdの(Z)異性体に対する(E)異性体の相対比を増加させる条件(温度、圧力、滞留時間)下に維持する。したがって、所望の反応は、
【0022】
【化1】

【0023】
を含む。
好ましくは回避する望ましくない反応としては、
【0024】
【化2】

【0025】
が挙げられる。
幾つかの態様においては、液相反応に関する製造プロセスは、6つの主要単位操作:(1)触媒(好ましくは四塩化チタン)の製造;(2)副生成物:HClと生成物:1233zd(E)を同時に取り出しながら、HFを用いるフッ素化反応(連続又は半バッチモード);(3)副生成物:HClの分離及び精製;(4)過剰のHFの分離及び(2)への戻し;(5)最終生成物:1233zd(E)の精製;及び(6)プロセス収率を最大にするための副生成物:1233zd(Z)の1233zd(E)への異性化;を含む。これらの操作の相対位置を図1〜4に示す。
【0026】
単位操作1:触媒の製造:
一形態においては、本明細書に記載するフッ素化反応は、所望の反応を優先的に達成する適当な強度の液相触媒を用いる。用いる1つのフッ素化触媒は、無水HFの作用によって部分又は全フッ素化されている四塩化チタン(雰囲気条件下で液体)である。この触媒は、予期しなかったことに、相当量の望ましくない揮発性の副生成物を形成することなく(中程度の量のHClの形成は不可避であるが)所望の程度の転化率を達成する。触媒のフッ素化は、特定量のHF及びフッ素化触媒を、攪拌機を取り付けた反応容器に0〜120℃の範囲の温度で加えることによって行う。場合によっては、触媒のフッ素化は、HF、フッ素化触媒、及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を反応器内で混合する(但し、反応温度は、安全を考慮して、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物のフッ素化反応開始温度(<85℃)よりも低くする)ことによって行うことができる。フッ素化触媒、HF、及び/又は1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物の反応器への添加の順序は重要ではないが、まずHFを加えることが好ましい。添加によって触媒の部分又は全フッ素化が起こり、HCl副生成物が生成して反応容器内の圧力が増加し、これを次に所望の反応圧力に制御する。用いることができる更なるフッ素化触媒としては、無水HFの作用によって部分又は全フッ素化されているSnCl、TaCl、SbCl、FeCl、及びAlClが挙げられる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インカロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。
【0027】
単位操作2:フッ素化反応及び反応器並びにストリッピングカラム:
反応器及びストリッピングカラムの配置及び運転は、1233zd(E)の高い収率を達成するのに特に重要である。好ましい態様においては、反応は、液体フッ素化触媒を含む撹拌温度制御反応器で行う。フッ化水素、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を含む1以上の供給流を反応器に導入し、そこでそれらを液相中で互いに及び触媒と接触させる。得られる反応によって、1233zd(E)、並びにHCl及び場合によっては1233zd(Z)などの種々の他の副生成物を含む気相生成物が生成する。気相生成物を液相反応器から排出し、統合蒸留カラム(ストリッピングモードで運転する)に導入して、所望の生成物を(副生成物であるHCl、微量の軽質有機物(主として1234ze(E+Z)、及び共沸混合物を形成するのに十分な無水フッ化水素(AHF)と一緒に)排出し、一方、HFと、フッ素化不足で二量体化した有機物と、気体流中に同伴しているフッ素化触媒のバルクが残留する。触媒が製造されたら、所望の反応温度に加熱することによって直ちに反応を開始することができる。触媒の製造に必要なHFの流れを再開することができ、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物の添加を直ちに開始して連続反応を引き起こすことができる。或いは、大量の同じ1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物をバッチ充填として一度に加えることができ、次にHFを反応器に徐々に加えることができる(半バッチ運転)。或いは、大量のHFをバッチ充填として一度に加えることができ、次に同じ1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を反応器に徐々に加えることができる(半バッチ運転)。ストリッピングカラムの最適な運転を有効にするためには、冷却剤の適当な温度制御及び十分な還流動作が望ましい。反応及びストリッピングのために良好に働くことを本発明者らが見出した一般的な運転条件は、ストリッパーカラムからの排出流に対する制御バルブによって維持する80〜140psigの運転圧力;主として反応器ジャケット中への蒸気流によって供給される85〜120℃の反応器温度;還流を誘発するためのストリッパーカラムの頂部上の熱交換器への−40℃〜−25℃のブライン冷却の適用;反応器内のものよりも約10〜40℃低いストリッパーの中央部分における温度;HF蒸気供給流を高圧蒸気によって120〜150℃に過熱することによる更なる入熱;この寸法の装置においては通常は0.5〜2.0ポンド/時の反応器及びストリッパー条件を維持するためのHFの流速;である。
【0028】
反応をこの運転条件下、特に85〜120℃、より好ましくは90〜110℃、最も好ましくは95〜100℃の温度範囲に維持することによって、1233zd(Z)と比べて高い割合の1233zd(E)を生成する反応メカニズムの予期しなかったシフトが生起することが見出された。
【0029】
単位操作3:HClの除去:
反応中に連続的に形成されるHClは、その揮発性によって反応器から取り出され、凝縮することなく付属の蒸留カラムを通して流れる。次に、低温HCl蒸留カラムを用いることによって物質を精製して、販売(又は更なる精製)のために回収することができる。高純度のHClが単離され、販売のために濃HClとして脱イオン水中に吸収させることができる。
【0030】
単位操作4:過剰のHFの分離及び単位操作2への再循環戻し:
HCl除去カラム(単位操作3)からの塔底流は1233zd(E)及びHF(幾つかの態様においては約30重量%)の粗生成物混合物を含み、これをこの混合物からHFを取り出すための硫酸抽出器又は相分離器に供給する。HFを、硫酸中に溶解するか或いは有機混合物から相分離する。硫酸吸着システムを用いる態様に関しては、HFを次にストリッピング蒸留によって硫酸/HF混合物から脱着させ、反応器に再循環して戻す。相分離器を用いる態様に関しては、HFを相分離して、反応器に再循環して戻す。硫酸抽出器の塔頂又は相分離器の底層のいずれかからの有機混合物は、それを次の単位操作に供給する前に微量のHFを除去するための処理(スクラビング又は吸着)が必要な可能性がある。
【0031】
単位操作5:最終生成物の精製:
最終生成物の精製は、好ましくは2つの連続運転蒸留カラムを含む。第1のカラムは1233zd(E)から軽質留分を取り出すために用い、第2のカラムはより重質の成分、主として1233zd(Z)(これは異性化反応器に供給するか、更なる使用のために回収するか、又は場合によっては反応器(即ち単位操作2)に再循環して戻す)を取り出すために用いる。幾つかの態様においては、この流れからの重質の副生成物をパージ流を有することが望ましい。
【0032】
単位操作6:副生成物:1233zd(Z)の1233zd(E)への異性化:
このプロセスにおける1233zd(E)の収率を最大にするために、反応において形成され、第2のカラムの底部から排出される副生成物:1233zd(Z)を、蒸気として、異性化触媒、好ましくはフッ素化酸化クロムを含む反応器に供給する。ここで、副生成物を所望の生成物に転化させる。異性化反応器の排出流は、次に精製のために単位操作4に再循環する。
【0033】
幾つかの好ましい態様においては、この工程は加熱表面の温度を50℃〜350℃より高く制御することを含む。加熱表面を、1233zd(Z)副生成物を含む流れと接触させる。供給流を、1233zd(Z)の少なくとも一部が1233zd(E)に転化するのに十分な時間加熱表面と接触させて、1233zd(E)に富む生成物流を生成させる。
【0034】
幾つかの態様においては、加熱表面としては反応容器の内側が挙げられる。更に、又は別の方法では、加熱表面としては、充填材料、例えば反応容器内に充填されている充填材料の外表面を挙げることができる。幾つかの態様においては、反応容器は供給流を充填することができるバッチ式の反応容器である。幾つかのかかる態様においては、供給流をバッチ式の反応器内で密封することができ、所望の量の1233zd(Z)を異性化するのに十分な時間が経過した後、反応容器を開放して生成物流を取り出すことができる。他の態様においては、反応容器は連続タイプの反応容器、例えば第1の開口及び第2の開口、並びに第1及び第2の開口の間の流路を有する反応容器である。供給流を、第1の開口を通して反応容器中に供給し、所望の量の1233zd(Z)を異性化するのに十分な速度で反応容器を通過させる。得られる生成物流を第2の開口から排出する。一例においては、反応容器は、第1の端部に第1の開口及び第2の端部に第2の開口を有する細長い反応容器(例えばモネルチューブ)である。
【0035】
幾つかの態様においては、反応容器に、充填材料、例えばステンレススチール充填材を部分的か又は完全に充填することができる。幾つかの態様においては、充填材料の比較的大きな表面積によって、(Z)から(E)異性体への転化反応を促進することができる。また、充填材料を支持する支持構造体を反応容器の中又は上に配置することもできる。例えば、充填材料の下、周り、及び/又は内部に配置したメッシュ又は他の構造体によって充填材料を支持することができる。支持構造体は、充填材料と同じ材料(例えばステンレススチール)、ニッケル、又は任意の他の好適な材料を含んでいてよい。
【0036】
また、充填材料に1種類以上の触媒材料を含ませることもできる。1233zdの異性化のために好適な触媒の例は、金属酸化物、ハロゲン化金属酸化物、ルイス酸金属ハロゲン化物、0価の金属、並びにこれらの触媒の組合せである。好適な触媒の具体例は、AlF、Cr、フッ素化Cr、酸化ジルコニウム及びそのハロゲン化型、或いは酸化アルミニウム及びそのハロゲン化型である。更に、触媒は使用前に活性化することができる。幾つかの好適な触媒に関する活性化手順の例は、米国公開2008−0103342(その全部を参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0037】
図面を参照すると、図1は、硫酸HF回収システムを有する液相反応統合プロセスによる1233zd(E)の合成を示す。ここでは、まず液相反応器R1に、金属塩化物触媒フッ素化触媒を全フッ素化するために必要な量の化学量論的に過剰である量の無水フッ化水素を充填する(例えば、TiClを用いる場合には、触媒に対して>4:1のモル比のHFを加える)。次に、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、又はAlClを含む群からのフッ素化触媒を単独か又は組み合わせて加えて触媒を製造する。TiClが最も好ましい。反応器が0〜120℃である間に触媒の製造が行われる。触媒製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器の圧力を反応器の所期の運転圧力か又はそれより低く制御することができる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。次に、良好な撹拌が達成されるまで、更なるHF、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を加える。
【0038】
次に、反応混合物を約85℃に加熱して、HCC−240faとHFとの間のフッ素化反応を開始する。1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物及びHF(化学量論的に過剰量)の連続供給流を、同時に加熱器HX−1に、次に液相反応器R−1中に供給する。場合によっては、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物は、加熱器HX−1を通さないで反応器R−1中に直接供給する。触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60〜160psig(好ましくは80〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器の温度を、主として反応器ジャケット中への蒸気流によって供給して85〜120℃の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−1に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、及び若干の未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンを排出し、更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0039】
主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHCl(並びに部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、及び1233zd二量体などの若干の微量成分)を含む触媒ストリッパーCS−1の頂部から排出される流れは、次にHClカラムD−1に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れがHClカラムの頂部から排出され、HCl回収システムに供給する。回収されたHCl副生成物は、利益を得るために販売することができる。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、及びHFから構成されるHClカラム塔底流は、次にHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、粗1233zd/HF流を熱交換器HX−2内で気化して、HF吸収カラムA−1中に供給する。ここで、50〜80%のHSOの液体流を気体状1233zd/HF流と接触させてHFの大部分を吸収させる。A−1の底部から排出される流れは、HF/HSO/HOを含み、これを熱交換器HX−3に供給して、ここでHFの大部分を少量のHO及びHSOと一緒にフラッシングするのに十分な温度に加熱する。この流れをHF回収蒸留カラムD−2に供給する。HX−3内でHFをフラッシング除去した後に残留する、主としてHSO及びHO(及び0〜2%のHF)から構成される液体をHX−4内で冷却して、HF吸収カラムA−1に再循環して戻す。主としてHSO及びHOを含むHF回収カラムD−2の塔底流を熱交換器HX−3に再循環して戻す。HF回収カラムD−2の頂部から無水HFを回収し、気化器HX−1を通して反応器R−1に再循環して戻す。HF吸収カラムA−1の頂部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)(微量のHF)を含む流れは、最終精製システムA−2に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器A−2から排出される酸を含まない粗生成物は、2つの精製カラムの1番目:D−3に送る。カラムD−3の頂部から排出される流れは、主として、1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成される。軽質分カラムD−3の底部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)並びにより重質の副生成物から構成される流れは、生成物回収蒸留カラムD−4に供給する。生成物グレードの1233zd(E)がカラムの頂部から生成物貯留槽に排出される。主として1233zd(Z)、及びHCFO−1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物から構成される生成物カラム塔底流は、次に気化器HX−5、次に異性化反応器R−2に供給して、そこで副生成物:1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、R−2から排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムD−3に再循環する。場合によっては、R−2に導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、R−2から排出される流れを再循環し、最終精製システムA−2に導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムD−4の底部から排出される流れを液相反応器R−1に再循環して戻すことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムD−4の底部からの重質分パージ流は、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することを妨げるために必要である。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。
【0040】
図2を参照すると、反応器の後に硫酸HF回収及び場合によって再循環カラムを有する液相反応統合プロセスによる1233zd(E)の合成が示されている。ここでは、まず液相反応器R1に、金属塩化物触媒フッ素化触媒を全フッ素化するために必要な量の化学量論的に過剰である量の無水フッ化水素を充填する(例えば、TiClを用いる場合には、触媒に対して>4:1のモル比のHFを加える)。次に、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、又はAlClを含む群からのフッ素化触媒を単独か又は組み合わせて加えて触媒を製造する。TiClが最も好ましい。反応器が0〜120℃である間に触媒の製造が行われる。触媒製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器の圧力を反応器の所期の運転圧力か又はそれより低く制御することができる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。次に、良好な撹拌が達成されるまで、更なるHF、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を加える。
【0041】
次に、反応混合物を約85℃に加熱して、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物とHFとの間のフッ素化反応を開始する。1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物及びHF(化学量論的に過剰量)の連続供給流を、同時に加熱器HX−1に、次に液相反応器R−1中に供給する。場合によっては、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物は、加熱器HX−1を通さないで反応器R−1中に直接供給する。触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60〜160psig(好ましくは80〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器の温度を、主として反応器ジャケット中への蒸気流によって供給して85〜120℃の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−1に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、並びに若干の未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンを排出し、更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0042】
主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHCl(並びに部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、及び1233zd二量体などの若干の微量成分)を含む触媒ストリッパーCS−1の頂部から排出される流れは、次に再循環カラムD−1に導入して、主として未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラプロペン、部分フッ素化中間体、1233zd二量体、及びHFの大部分を含む流れを再循環カラムの底部から排出し、気化器HX−1を通して液相反応器R−1に再循環して戻す。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHClを含む流れが再循環カラムの頂部から排出され、これをHClカラムD−2に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れがHClカラムの頂部から排出され、これはHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、利益を得るために販売することができる。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、及びHFから構成されるHClカラム塔底流は、次にHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、粗1233zd/HF流を熱交換器HX−2内で気化して、HF吸収カラムA−1中に供給する。ここで、50〜80%のHSOの液体流を気体状1233zd/HF流と接触させてHFの大部分を吸収させる。A−1の底部から排出される流れは、HF/HSO/HOを含み、これを熱交換器HX−3に供給して、ここでHFの大部分を少量のHO及びHSOと一緒にフラッシングするのに十分な温度に加熱する。この流れをHF回収蒸留カラムD−2に供給する。HX−3内でHFをフラッシング除去した後に残留する、主としてHSO及びHO(及び0〜2%のHF)から構成される液体をHX−4内で冷却して、HF吸収カラムA−1に再循環して戻す。主としてHSO及びHOを含むHF回収カラムD−3の塔底流を熱交換器HX−3に再循環して戻す。HF回収カラムD−3の頂部から無水HFを回収し、気化器HX−1を通して反応器R−1に再循環して戻す。HF吸収カラムA−1の頂部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)(微量のHF)を含む流れは、最終精製システムA−2に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器A−2から排出される酸を含まない粗生成物は、2つの精製カラムの1番目:D−4に送る。カラムD−4の頂部から排出される流れは、主として、1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成される。軽質分カラムD−4の底部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)並びにより重質の副生成物から構成される流れは、生成物回収蒸留カラムD−5に供給する。生成物グレードの1233zd(E)がカラムの頂部から生成物貯留槽に排出される。主として1233zd(Z)、及び1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物から構成される生成物カラム塔底流は、次に気化器HX−5、次に異性化反応器R−2に供給して、そこで副生成物:1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、R−2から排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムD−4に再循環する。場合によっては、R−2に導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、R−2から排出される流れを再循環し、最終精製システムA−2に導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムD−5の底部から排出される流れを液相反応器R−1に再循環して戻すことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムD−5の底部からの重質分パージ流は、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することを妨げるために必要である。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。
【0043】
図3を参照すると、相分離HF回収システムを有する液相反応統合プロセスによる1233zd(E)の合成が示されている。ここでは、まず液相反応器R1に、金属塩化物触媒フッ素化触媒を全フッ素化するために必要な量の化学量論的に過剰である量の無水フッ化水素を充填する。例えば、TiClを用いる場合には、触媒に対して>4:1のモル比のHFを加える。次に、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、又はAlClを含む群からのフッ素化触媒を単独か又は組み合わせて加えて触媒を製造する。TiClが最も好ましい。反応器が0〜120℃である間に触媒の製造が行われる。触媒製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器の圧力を反応器の所期の運転圧力か又はそれより低く制御することができる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。次に、良好な撹拌が達成されるまで、更なるHF、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を加える。
【0044】
次に、反応混合物を約85℃に加熱して、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物とHFとの間のフッ素化反応を開始する。1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物及びHF(化学量論的に過剰量)の連続供給流を、同時に加熱器HX−1に、次に液相反応器R−1中に供給する。場合によっては、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物は、加熱器HX−1を通さないで反応器R−1中に直接供給する。触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60〜160psig(好ましくは80〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器の温度を、主として反応器ジャケット中への蒸気流によって供給して85〜120℃の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−1に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、及び若干の未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンを排出し、更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0045】
主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHCl(並びに部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、及び1233zd二量体などの若干の微量成分)を含む触媒ストリッパーCS−1の頂部から排出される流れは、次にHClカラムD−1に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れがHClカラムの頂部から排出され、これをHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、利益を得るために販売することができる。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、及びHFから構成されるHClカラム塔底流は、次にHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、1233zd/HF流を熱交換器HX−2中に供給して、ここで<0℃の温度に予備冷却し、次に相分離容器PS−1に導入する。ここでは、流れの温度を維持するか又は−40〜−5℃に更に冷却する。HFに富む上層(<10%の1233zd)を液相反応器R−1に再循環して戻す。主として1233zd(<4%のHF)を含む有機物に富む塔底層を気化器HX−3に送り、次に最終精製システムA−1に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器A−1から排出される酸を含まない粗生成物は、2つの精製カラムの1番目:D−2に送る。カラムD−2の頂部から排出される流れは、主として、1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成される。軽質分カラムD−2の底部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)並びにより重質の副生成物から構成される流れは、生成物回収蒸留カラムD−3に供給する。生成物グレードの1233zd(E)がカラムの頂部から生成物貯留槽に排出される。主として1233zd(Z)、及び1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物から構成される生成物カラム塔底流は、次に気化器HX−4、次に異性化反応器R−2に供給して、そこで副生成物:1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、R−2から排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムD−2に再循環する。場合によっては、R−2に導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、R−2から排出される流れを再循環し、最終精製システムA−1に導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムD−3の底部から排出される流れを液相反応器R−1に再循環して戻すことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムD−3の底部からの重質分パージ流は、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することを妨げるために必要である。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。
【0046】
図4を参照すると、相分離HF回収システム、及び随意的な反応器後の再循環カラムを有する液相反応統合プロセスによる1233zd(E)の合成が示されている。まず液相反応器R1に、金属塩化物触媒フッ素化触媒を全フッ素化するために必要な量の化学量論的に過剰である量の無水フッ化水素を充填する。例えば、TiClを用いる場合には、触媒に対して>4:1のモル比のHFを加える。次に、TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、又はAlClを含む群からのフッ素化触媒を単独か又は組み合わせて加えて触媒を製造する。TiClが最も好ましい。反応器が0〜120℃である間に触媒の製造が行われる。触媒製造中にHClが生成し、これは触媒ストリッパーカラムCS−1の頂部から排気して、反応器の圧力を反応器の所期の運転圧力か又はそれより低く制御することができる。好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インコロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる液相フッ素化反応器は当該技術において周知である。次に、良好な撹拌が達成されるまで、更なるHF、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物を加える。
【0047】
次に、反応混合物を約85℃に加熱して、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物とHFとの間のフッ素化反応を開始する。1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物及びHF(化学量論的に過剰量)の連続供給流を、同時に加熱器HX−1に、次に液相反応器R−1中に供給する。場合によっては、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、或いは1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンの混合物は、加熱器HX−1を通さないで反応器R−1中に直接供給する。触媒ストリッパーカラムCS−1からの排出流に対する制御バルブによって60〜160psig(好ましくは80〜140psig)の運転圧力を維持し、反応器の温度を、主として反応器ジャケット中への蒸気流によって供給して85〜120℃の範囲に維持する。触媒ストリッパーカラムCS−1は反応器R−1に接続されており、同伴触媒、若干のHF、部分フッ素化中間体、及び若干の未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラクロロプロペンを排出し、更なる反応のために反応器に戻す目的を果たす。
【0048】
主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHCl(並びに部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、及び1233zd二量体などの若干の微量成分)を含む触媒ストリッパーCS−1の頂部から排出される流れは、次に再循環カラムD−1に導入して、ここで主として未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び/又は1,1,3,3−テトラクロロプロペン及び/又は1,3,3,3−テトラプロペン、部分フッ素化中間体、1233zd二量体、及びHFの大部分を含む流れを再循環カラムの底部から排出し、気化器HX−1を通して液相反応器R−1に再循環して戻す。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、HF、及びHClを含む流れが再循環カラムの頂部から排出され、これをHClカラムD−2に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れがHClカラムの頂部から排出され、これはHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、利益を得るために販売することができる。主として1233zd(E)、1233zd(Z)、及びHFから構成されるHClカラム塔底流は、次にHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、1233zd/HF流を熱交換器HX−2中に供給して、ここで<0℃の温度に予備冷却し、次に相分離容器PS−1に導入する。ここでは、流れの温度を維持するか又は−40〜0℃に更に冷却する。HFに富む上層(<10%の1233zd)を液相反応器R−1に再循環して戻す。主として1233zd(<4%のHF)を含む有機物に富む塔底層を気化器HX−3に送り、次に最終精製システムA−1に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器A−1から排出される酸を含まない粗生成物は、2つの精製カラムの1番目:D−3に送る。カラムD−3の頂部から排出される流れは、主として、1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物から構成される。軽質分カラムD−3の底部から排出される主として1233zd(E)及び1233zd(Z)並びにより重質の副生成物から構成される流れは、生成物回収蒸留カラムD−4に供給する。生成物グレードの1233zd(E)がカラムの頂部から生成物貯留槽に排出される。主として1233zd(Z)、及び1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物から構成される生成物カラム塔底流は、次に気化器HX−4、次に異性化反応器R−2に供給して、そこで副生成物:1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、R−2から排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムD−3に再循環する。場合によっては、R−2に導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、R−2から排出される流れを再循環し、最終精製システムA−1に導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムD−4の底部から排出される流れを液相反応器R−1に再循環して戻すことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムD−4の底部からの重質分パージ流は、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することを妨げるために必要である。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。
【0049】
蒸気相反応:
蒸気相プロセスに関する反応化学は、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)を蒸気相反応器内で無水HFと一段階反応させて、HCFO−1233zd(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)及びHClの混合物を生成させることを含む。限定的ではないが好ましくは、反応は、HCFO−1233zdの(Z)異性体に対する(E)異性体の相対比を増加させる条件(例えば、温度、圧力、滞留時間等)の下に維持する。本反応はまた、HFと、得られるHCFO−1233zd(E)との望ましくない反応(HCF−244fa及び/又はHCF−245faが生成し、この反応のいずれも進行してHFO−1234zeを形成する:下記に示す)を最小にする。
【0050】
したがって、一態様においては、本発明の所望の反応は次のように示される。
【0051】
【化3】

【0052】
第2の態様においては、本発明の望ましくない反応は次のように示される。
【0053】
【化4】

【0054】
幾つかの態様においては、製造プロセスは5つの主要単位操作:(1)HFを用いる連続モードフッ素化反応;(2)少なくとも副生成物:HClの分離及び精製;(3)過剰のHFの分離及び(1)への戻し;(4)最終生成物:HCFO−1233zd(E)の製造/精製、及び場合によっては高沸点物質の(1)への再循環;及び(5)副生成物:HCFO−1233zd(Z)の1233zd(E)への異性化;を含む。これによりプロセス収率が最大になる。これらの操作の相対位置を図5〜8に示し、以下においてより詳細に議論する。
【0055】
単位操作1:1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンの接触フッ素化:
ここに記載するフッ素化反応は、十分な強度の蒸気相触媒、及び所望の反応生成物、即ちHCFO−1233zd(E)を達成する反応条件を用いる。
【0056】
フッ素化触媒としては、当該技術において公知の任意の蒸気相フッ素化触媒を挙げることができる。好適な触媒としては、担持していてもよく又はバルクであってもよい、クロム、アルミニウム、コバルト、マンガン、ニッケル、及び鉄の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、その無機塩、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。蒸気相フッ素化触媒としてはまた、Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF、及びこれらの混合物など(しかしながらこれらに限定されない)の公知の触媒の組合せを挙げることもできる。用いることができる更なるフッ素化触媒としては、FeCl/C、SnCl/C、TaCl/C、SbCl/C、AlCl/C、AlF/Cが挙げられるが、これらに限定されない。列記した金属ハロゲン化物のための担体はまた、アルミナ又はフッ素化アルミナであってもよい。任意の上記の触媒及び列記していない他の触媒は、無水HFによって部分又は全フッ素化することができる。
【0057】
幾つかの態様においては、フッ素化触媒としては、結晶質酸化クロム又はアモルファス酸化クロムのような酸化クロム(III)を挙げることができる。これらに限定されないが、アモルファス酸化クロム(Cr)が最も好ましい蒸気相触媒である。これは種々の粒径で商業的に入手できる材料であり、これらの有効性を向上させるように選択することができる。幾つかの態様においては、これは少なくとも98%の純度を有して与えられる。フッ素化触媒は、反応を駆動するのに十分な任意の量で与えるが、過剰に存在させることもできる。
【0058】
この反応は、当該技術において公知の蒸気相反応器内で行うことができる。限定的ではないが好ましくは、反応器は、ハステロイ−C、インコネル、モネル、インカロイ、又はフルオロポリマーライニングスチール製容器のようなHF及び触媒の腐食作用に耐性の材料で構成する。かかる蒸気相フッ素化反応器は当該技術において周知である。
【0059】
最適の転化率のためには、適当な反応の温度及び圧力の制御が望ましい。幾つかの非限定的な態様においては、反応温度は約200〜約450℃であり、反応圧力は約0〜約160psigの圧力である。更なる態様においては、反応温度は約250〜400℃の間であり、反応圧力は約0〜約140psigの圧力である。更なる態様においては、反応温度は約275〜375℃の間であり、反応圧力は約2〜約130psigの圧力である。驚くべきことに、反応をこれらの運転条件下に維持すると、HCFO−1233zd(Z)と比べて高い割合のHCFO−1233zd(E)を生成する反応メカニズムの予期しなかったシフトが生起することが見出された。
【0060】
単位操作2:HClの除去:
HClを含む反応生成物流を反応器から連続的に排出し、これを付属のHCl蒸留カラム中に流入させる。カラムの頂部からHCl材料が排出され、これは次に更に精製することができる。高純度のHClを単離して、他の用途のために濃HClとして脱イオン水中に吸収させることができる。
【0061】
単位操作3:過剰のHFの分離及び再循環:
HCFO−1233zd(E)及びHF(幾つかの態様においては約30重量%〜約60重量%)の粗生成物混合物を含むHCl除去カラムからの塔底流は、この混合物からHFを取り出すための硫酸抽出器又は相分離器に供給する。HFを、硫酸中に溶解するか或いは有機混合物から相分離する。硫酸吸着システムを用いる態様に関しては、HFをストリッピング蒸留によって硫酸/HF混合物から脱着させ、反応器に再循環して戻すことができる。相分離器を用いる態様に関しては、HFを相分離して、反応器に再循環して戻す。硫酸抽出器の塔頂又は相分離器の底層のいずれかからの有機混合物は、それを次の単位操作(最終生成物の精製)に供給する前に微量のHFを除去するための処理(例えばスクラビング又は吸着)を用いることができる。
【0062】
単位操作4:最終生成物の精製:
最終生成物の精製には、1以上の蒸留カラムを用いることを含ませることができる。幾つかの態様においては、精製は2以上の連続運転蒸留カラムを含む。第1のカラムは、混合物からHFO−1234zeのようなより軽質の成分を取り出すために用いる。第2のカラムは、より重質の成分、例えばHCFO−1233zd(Z)を取り出し、最終生成物:HCFO−1233zd(E)を精製するために用いることができる。かかるより重質の成分は、所望の場合には異性化反応器に供給して、更なる使用のために回収するか、或いは場合によっては反応器に再循環して戻すことができる。幾つかの態様においては、この流れからの重質の副生成物をパージ流を有することが望ましい。
【0063】
単位操作5:副生成物:HCFO−1233zd(Z)のHCFO−1233zd(E)への異性化:
このプロセスにおけるHCFO−1233zd(E)の収率を最大にするために、反応において形成され、第2のカラムから排出される副生成物:HCFO−1233zd(Z)を、蒸気として、異性化触媒を含む反応器に供給する。次に、副生成物を所望の生成物に転化させる。異性化反応器の排出流は、次に上記の方法を用いて精製のために再循環する。異性化反応器は、上記で議論したフッ素化反応か、又は別の異性化反応器のいずれかであってよい。
【0064】
触媒としては、ここで議論する任意の蒸気相触媒を挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの非限定的な態様においては、触媒はフッ素化酸化クロムである。
幾つかの好ましい態様においては、この工程は加熱表面の温度を50℃〜375℃より高く制御することを含む。加熱表面を、HCFO−1233zd(Z)副生成物を含む流れと接触させる。供給流を、1233zd(Z)の少なくとも一部が1233zd(E)に転化するのに十分な時間加熱表面と接触させて、1233zd(E)に富む生成物流を生成させる。
【0065】
幾つかの態様においては、加熱表面としては反応容器の内側が挙げられる。更に、又は別の方法では、加熱表面としては、充填材料、例えば反応容器内に充填されている充填材料の外表面を挙げることができる。幾つかの態様においては、反応容器は供給流を充填することができるバッチ式の反応容器である。幾つかのかかる態様においては、供給流をバッチ式の反応器内で密封し、所望の量のHCFO−1233zd(Z)を異性化するのに十分な時間が経過した後、反応容器を開放して生成物流を取り出すことができる。他の態様においては、反応容器は連続タイプの反応容器、例えば第1の開口及び第2の開口、並びに第1及び第2の開口の間の流路を有する反応容器である。供給流を、第1の開口を通して反応容器中に供給し、所望の量のHCFO−1233zd(Z)を異性化するのに十分な速度で反応容器を通過させる。得られる生成物流を第2の開口から排出する。一例においては、反応容器は、第1の端部に第1の開口及び第2の端部に第2の開口を有する細長い反応容器(例えばモネルチューブ)である。
【0066】
幾つかの態様においては、反応容器に、充填材料、例えばステンレススチール充填材を部分的か又は完全に充填することができる。幾つかの態様においては、充填材料の比較的大きな表面積によって、(Z)から(E)異性体への転化反応を促進することができる。また、充填材料を支持する支持構造体を反応容器の中又は上に配置することもできる。例えば、充填材料の下、周り、及び/又は内部に配置したメッシュ又は他の構造体によって充填材料を支持することができる。支持構造体は、充填材料と同じ材料(例えばステンレススチール)、ニッケル、又は任意の他の好適な材料を含んでいてよい。
【0067】
また、充填材料に1種類以上の触媒材料を含ませることもできる。HCFO−1233zdの異性化のために好適な触媒の例は、金属酸化物、ハロゲン化金属酸化物、ルイス酸金属ハロゲン化物、0価の金属、並びにこれらの触媒の組合せである。好適な触媒の具体例は、AlF、Cr、フッ素化Cr、酸化ジルコニウム及びそのハロゲン化型、或いは酸化アルミニウム及びそのハロゲン化型である。更に、触媒は使用前に活性化することができる。幾つかの好適な触媒に関する活性化手順の例は、米国公開2008−0103342(その全部を参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0068】
図5を参照すると、硫酸HF回収を有する蒸気相反応統合プロセスによるHCFO−1233zd(E)の合成が示されている。まず蒸気相反応器10に上記で議論したフッ素化触媒を装填する。触媒は担持であってもバルクであってもよく、好ましい触媒は非限定的であるがフッ素化酸化クロムである。
【0069】
HCC−240fa及びHFを同時に気化器12、次に蒸気相反応器10中に供給する。反応温度は約200〜約450℃であってよく、約0〜約160psigの圧力である。HFとHCC−240faとのモル比は、≧3:1、好ましくは3:1〜20:1の間、より好ましくは4:1〜12:1の間、最も好ましくは5:1〜11:1の間であってよい。
【0070】
部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、HCFO−1233zd(E+Z)、及びHClを含む反応器流出流は、次にライン16を通してHClカラム14に導入する。主としてHCl副生成物の流れがHClカラム14の頂部部分から排出され、これはライン18を通してHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、ここで議論するような他の目的のために使用することができる。
【0071】
主として部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、及びHCFO−1233zd(E+Z)から構成されるHClカラム塔底流は、次にライン20を通してHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、HCFO−1233zd/HF流を熱交換器22内で気化して、次にライン26を通してHF吸収カラム24中に供給する。ここで、50〜80%のHSOの液体流を気体状HCFO−1233zd/HF流と接触させてHFの大部分を吸収させる。カラム24の底部から排出される流れ28は、HF、HSO、及びHOを含み、これを熱交換器30に供給して、ここでHFの大部分を少量のHO及びHSOと一緒にフラッシングするのに十分な温度に加熱する。この流れを、ライン32を通してHF回収蒸留カラム34に供給する。熱交換器30でHFをフラッシング除去した後に残留する、主としてHSO及びHO(及び0〜2%のHF)を含む液体を、ライン38を通して熱交換器36内で冷却して、ライン40を通してHF吸収カラム24に再循環して戻す。主としてHSO及びHOを含むHF回収カラム34の塔底流は、ライン42を通して熱交換器30に再循環して戻す。
【0072】
HF回収カラム34の頂部から無水HFを回収し、気化器12へのライン44を通して反応器10に再循環して戻す。
HF吸収カラム24の頂部部分から排出される主としてHCFO−1233zd(E+Z)(微量のHF)を含む流れは、ライン48を通して最終精製システム46に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器46から排出される酸を含まない粗生成物は、ライン50を通して2つの精製カラムの1番目:52に送る。カラム52の頂部部分から排出される流れ54は、主として、HCFO−1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物を含む。軽質分カラム52の底部部分から排出される主としてHCFO−1233zd(E+Z)及びより重質の副生成物から構成される流れ56は、生成物回収蒸留カラム58に供給する。生成物グレードのHCFO−1233zd(E)がカラムの頂部部分からライン60を通して生成物貯留槽に排出される。生成物カラム塔底流62は主としてHCFO−1233zd(Z)を含む。
【0073】
HCFO−1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物は、次に気化器(図示せず)、次に異性化反応器(図示せず)供給して、そこで副生成物:HCFO−1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラム52に再循環する。場合によっては、導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、排出される流れを再循環し、最終精製システムに導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラム58の底部から排出される流れを蒸気相反応器10に再循環して戻して、HCFO−1233zdのZ異性体からE異性体への異性化を行うことができる。これらの可能性のいずれにおいても、生成物回収蒸留カラム58の底部からの重質分パージ流によって、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することが妨げられる。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。反応器10内の触媒が失活した後は、300〜400℃に加熱し、O又はClのような酸化剤を選択した時間の間触媒の上に通すことによって、in situで再生することができる。
【0074】
図6を参照すると、硫酸HF回収、及び随意的な反応器後の再循環カラムを有する蒸気相反応統合プロセスによるHCFO−1233zd(E)の合成が示されている。具体的には、まず蒸気相反応器100に上記で議論したフッ素化触媒を装填する。触媒は担持であってもバルクであってもよく、好ましい触媒は非限定的であるがフッ素化酸化クロムである。
【0075】
HCC−240fa及びHFを同時に気化器112、次にライン114を通して蒸気相反応器100中に供給する。反応温度は約200〜約450℃であってよく、約0〜約160psigの圧力である。HFとHCC−240faとのモル比は、≧3:1、好ましくは3:1〜20:1の間、より好ましくは4:1〜12:1の間、最も好ましくは5:1〜11:1の間であってよい。100内の好ましい触媒はフッ素化酸化クロムである。
【0076】
部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、HCFO−1233zd(E+Z)、及びHClを含む反応器流出流は、次にライン118を通して再循環カラム116に導入して、ここで主として未反応のHCC−240fa、部分フッ素化中間体、及びHFの大部分を含む流れ120を再循環カラム116の底部部分から排出し、気化器112を通して蒸気相反応器100に再循環して戻す。主としてHCFO−1233zd(E)、HF、及びHClを含む流れが再循環カラムの頂部部分から排出され、これをライン124を通してHClカラム122に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れ126がHClカラム122の頂部から排出され、これはHCl回収システムに供給する。回収されるHCl副生成物は、ここで議論するような他の目的のために使用することができる。主として部分フッ素化副生成物、過フッ素化副生成物、HF、及びHCFO−1233zd(E+Z)を含むHClカラム塔底流は、次にライン128を通してHF回収システムに供給する。
【0077】
HF回収システムを開始し、粗HCFO−1233zd/HF流を熱交換器130内で気化して、HF吸収カラム132中に供給する。ここで、50〜80%のHSOの液体流を気体状HCFO−1233zd/HF流と接触させてHFの大部分を吸収させる。カラム132の底部から排出される流れは、HF/HSO/HOを含み、これはライン138を通して熱交換器136に供給して、ここでHFの大部分を少量のHO及びHSOと一緒にフラッシングするのに十分な温度に加熱する。この流れをHF回収蒸留カラム140に供給する。熱交換器136でHFをフラッシング除去した後に残留する液体は、主としてHSO及びHO(及び0〜2%のHF)を含み、これをライン144を通して熱交換器142内で冷却して、ライン146を通してHF吸収カラム132に再循環して戻す。
【0078】
主としてHSO及びHOを含むHF回収カラム140の塔底流は、ライン148を通して熱交換器136に再循環して戻す。HF回収カラム140の頂部部分から無水HFを回収し、ライン150及び熱交換器112を通して反応器100に再循環して戻す。HF吸収カラム132の頂部から排出される主としてHCFO−1233zd(E+Z)(微量のHF)を含む流れは、ライン154を通して最終精製システム152に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器152から排出される酸を含まない粗生成物は、ライン158を通して2つの精製カラムの1番目:156(次に162)に送る。カラム156の頂部部分から排出される流れ166は、主として、HCFO−1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物を含む。軽質分カラム156の底部部分から排出される流れは、主としてHCFO−1233zd(E+Z)及びより重質の副生成物を含み、これはライン160を通して生成物回収蒸留カラム162に供給する。生成物グレードのHCFO−1233zd(E)がカラム162の頂部部分からライン164を通して生成物貯留槽に排出される。生成物カラム塔底流168は、主としてHCFO−1233zd(Z)及びHCFO−1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物を含み、これは、次に気化器(図示せず)、次に異性化反応器(図示せず)に供給して、そこで副生成物:HCFO−1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムに再循環する。場合によっては、導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、排出される流れを再循環し、最終精製システムに導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムの底部部分から排出される流れを蒸気相反応器に再循環して戻して、HCFO−1233zdのZ異性体からE異性体への異性化を行うことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムの底部からの重質分パージ流によって、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することが妨げられる。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。反応器100内の触媒が失活した後は、約300〜約400℃に加熱し、O又はClのような酸化剤を選択した時間の間触媒の上に通すことによって、in situで再生することができる。
【0079】
図7を参照すると、相分離HF回収システムを有する蒸気相反応統合プロセスによるHCFO−1233zd(E)の合成が示されている。ここでは、まず蒸気相反応器210に上記で議論したフッ素化触媒を装填する。触媒は担持であってもバルクであってもよく、好ましい触媒は非限定的であるがフッ素化酸化クロムである。
【0080】
HCC−240fa及びHFを同時に気化器200、次にライン212を通して蒸気相反応器210中に供給する。反応温度は約200〜約450℃であってよく、約0〜約160psigの圧力である。HFとHCC−240faとのモル比は、≧3:1、好ましくは3:1〜20:1の間、より好ましくは4:1〜12:1の間、最も好ましくは5:1〜11:1の間である。反応器210内の好ましい触媒はフッ素化酸化クロムである。反応器流出流は、部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、過フッ素化副生成物、HF、HCFO−1233zd(E+Z)、及びHClを含み、これを次にライン216を通してHClカラム214に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れ218がHClカラム214の頂部部分から排出され、これはライン218を通してHCl回収システム(図示せず)に供給する。回収されるHCl副生成物は、ここで議論するような他の目的のために使用することができる。
【0081】
主として部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、及びHCFO−1233zd(E+Z)から構成されるHClカラム塔底流は、次にライン220を通してHF回収システム中に供給する。HF回収システムを開始し、HCFO−1233zd/HF流を熱交換器221中に供給して、ここで≦0℃の温度に予備冷却し、次にライン224を通して相分離容器222に導入する。流れの温度は維持するか又は約−40〜約0℃に更に冷却する。HFに富む上層(<10%の1233zd)は、ライン226を通して蒸気相反応器210に再循環して戻す。主としてHCFO−1233zd(<4%のHF)を含む有機物に富む塔底層を、ライン228を通して気化器230に送り、次に最終精製システム232に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。吸収器から排出される酸を含まない粗生成物は、ライン234を通して2つの精製カラムの1番目:236に送る。カラム236の頂部部分から排出される流れ238は、主として、HCFO−1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物を含む。軽質分カラム236の底部から排出される主としてHCFO−1233zd(E+Z)及びより重質の副生成物を含む流れ240は、生成物回収蒸留カラム242に供給する。生成物グレードのHCFO−1233zd(E)が、カラム242の頂部からライン244を通して生成物貯留槽に排出される。生成物カラム塔底流246は、主としてHCFO−1233zd(Z)、及びHCFO−1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物を含み、これは次に気化器、次に異性化反応器に供給して、そこで副生成物:HCFO−1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムに再循環する。場合によっては、導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、排出される流れを再循環し、最終精製システムに導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラム242の底部部分から排出される流れを蒸気相反応器に再循環して戻して、そこでHCFO−1233zdのZ異性体からE異性体への異性化を行うことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムの底部部分からの重質分パージ流によって、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することが妨げられる。重質分パージ流はその後の使用又は廃棄物処理のために回収する。反応器210内の触媒が失活した後は、約300〜約400℃に加熱し、O又はClのような酸化剤を選択した時間の間触媒の上に通すことによって、in situで再生することができる。
【0082】
図8を参照すると、相分離HF回収システム及び随意的な反応器後の再循環カラムを有する蒸気相反応統合プロセスによるHCFO−1233zd(E)の合成が示されている。より具体的には、まず蒸気相反応器300に上記で議論したフッ素化触媒を装填する。触媒は担持であってもバルクであってもよく、好ましい触媒は非限定的であるがフッ素化酸化クロムである。
【0083】
HCC−240fa及びHFを同時に気化器310、次にライン312を通して蒸気相反応器300中に供給する。反応温度は約200〜約450℃であってよく、約0〜約160psigの圧力である。HFとHCC−240faとのモル比は、≧3:1、好ましくは3:1〜20:1の間、より好ましくは4:1〜12:1の間、最も好ましくは5:1〜11:1の間である。反応器300内の好ましい触媒はフッ素化酸化クロムである。部分フッ素化中間体及び副生成物、過フッ素化副生成物、HF、HCFO−1233zd(E+Z)、及びHClを含む反応器流出流は、次にライン316を通して再循環カラム314に導入し、ここで主として未反応のHCC−240fa、部分フッ素化中間体、及びHFの大部分を含む流れを再循環カラム314の底部部分から排出し、ライン318及び気化器310を通して蒸気相反応器300に再循環して戻す。主としてHCFO−1233zd(E)、HF、及びHClを含む流れがライン320を通して再循環カラム314の頂部部分から排出され、これをHClカラム322に導入する。主としてHCl副生成物を含む流れ324がHClカラム322の頂部部分から排出され、これはHCl回収システム(図示せず)に供給する。回収されるHCl副生成物は、ここで議論するような他の目的のために使用することができる。主として部分フッ素化副生成物、過フッ素化副生成物、HF、及びHCFO−1233zd(E+Z)を含むHClカラム塔底流は、次にライン326を通してHF回収システム中に供給する。
【0084】
HF回収システムを開始し、HCFO−1233zd/HF流を熱交換器328中に供給して、ここで≦0℃の温度に予備冷却し、次にライン332を通して相分離容器330に導入する。流れの温度は維持するか又は約−40〜約0℃に更に冷却する。HFに富む上層(<10%の1233zd)は、ライン334を通して蒸気相反応器300に再循環して戻すことができる。主としてHCFO−1233zd(<4%のHF)を含む有機物に富む塔底層を、ライン336を通して気化器338に送り、次に最終精製システム340に送って、そこで気体流を水又は苛性溶液と接触させて微量のHFを除去し、次に乾燥剤によって乾燥する。
【0085】
吸収器340から排出される酸を含まない粗生成物は、ライン344を通して2つの精製カラムの1番目:342に送る。カラム342の頂部から排出される流れ346は、主として、HCFO−1233zd(E)のものよりも低い沸点を有する反応副生成物を含む。軽質分カラム342の底部部分から排出される主としてHCFO−1233zd(E+Z)及びより重質の副生成物を含む流れ348は、生成物回収蒸留カラム350に供給する。生成物グレードのHCFO−1233zd(E)が、カラムの頂部からライン352を通して生成物貯留槽に排出される。生成物カラム塔底流354は、主としてHCFO−1233zd(Z)、及びHCFO−1233zd(E)のものよりも高い沸点を有する反応副生成物を含み、これは次に気化器(図示せず)、次に異性化反応器(図示せず)に供給して、そこで副生成物:HCFO−1233zd(Z)を所望の生成物に転化させる。次に、排出される流れを、精製のために軽質分蒸留カラムに再循環する。場合によっては、導入される流れの中のいずれかの副生成物が不安定である場合には、これらは分解して少量のHF又はHClを形成する可能性がある。この場合には、排出される流れを再循環し、最終精製システムに導入する流れと混合して酸を除去することができる。場合によっては、生成物回収蒸留カラムの底部部分から排出される流れを蒸気相反応器に再循環して戻して、そこでHCFO−1233zdのZ異性体からE異性体への異性化を行うことができる。これらのオプションのいずれにおいても、生成物回収蒸留カラムの底部部分からの重質分パージ流によって、精製システム中に高沸点の不純物が蓄積することが妨げられる。重質分パージ流は他の使用又は廃棄物処理のために回収する。反応器300内の触媒が失活した後は、約300〜約400℃に加熱し、O又はClのような酸化剤を選択した時間の間触媒の上に通すことによって、in situで再生することができる。
【0086】
ここで、本発明の具体的な態様を以下の実施例において示す。これらの実施例は例示のみのものであり、いかなるようにも開示事項の残りを限定することは意図していない。
【実施例】
【0087】
実施例1:
本実施例(実験#3と呼ぶ)は、HFを、四塩化チタン触媒及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)の充填物中に連続的に供給する半バッチ液相反応を示す。
【0088】
ハステロイCで構成されている洗浄な空の10ガロンのジャケット付き撹拌反応器を準備した。この反応器を、充填材料を含む2”の縦型PTFEライニングパイプ(ストリッパー)に接続し、次に塔頂熱交換器に接続した。熱交換器のシェル側に−40℃の食塩水の循環流を供給した。このストリッパーから排出された蒸気を、温度制御希水酸化カリウム水溶液を循環させたスクラバーを通して処理した。このストリッパーから排出された蒸気を、生成物回収シリンダーと呼ぶ秤量し冷却した(−40℃)シリンダー内に回収し、次にドライアイス浴中で冷却した直列のより小さいシリンダー内に回収した。
【0089】
実験#3に関しては、14ポンドの無水HFを供給して触媒のフッ素化を確保した。次に、1.5ポンドのTiClを触媒として加えた。反応器内の圧力の上昇によって観察されるように、HClが直ちに生成した。HClの大部分をシステムから排気することによって圧力を減少させた後、50ポンドのHCC−240faを加えた。反応器を加熱した。約85℃においてHClが発生し始め、これはフッ素化反応が開始したことを示した。システム圧力は約120psigに制御した。次に、HCC−240faが消費されるまで、更なるHFを連続的に供給して生成物を生成物回収シリンダー内に回収した。
【0090】
運転中に回収された粗物質のGC分析は次の通りであった。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例2:
実施例1からの実験#3に続いて、反応器を排水し、触媒の新しい充填を行い、実験#3と同じようにして実験#4を行った。
【0093】
実験#4に関する触媒充填物は、753gのTiClであった。この実験に関する運転スキームは実験#3と同じように継続し、14.3ポンドのHFの初期バッチ充填物を触媒の前に加えた。次に、触媒のフッ素化からのHClが完了した後に、HCC−240fa(51.9ポンド)を触媒の頂部上に加えた。反応温度に達した後、HFの連続供給を開始し、生成物の品質の分析が劇的な低下を示すか、又は生成物の回収重量が低下するまで維持して、これらの時点においてHCC−240faの新しい充填を行い(通常は25〜30ポンド)、HFの連続供給を再開した。
【0094】
実験#4に関する触媒の生産性は、約0.4pph/ポンド−触媒であった。運転中に約244ポンドの粗1233zd(E)が回収された。
運転は、触媒活性の損失を起こすことなく900時間を超えて継続された。
【0095】
実施例3:
本実施例は、HF、及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、及び1,3,3,3−テトラクロロプロペンの有機供給混合物を、四塩化チタン触媒の充填物中に連続的に供給する連続液相フッ素化反応を示す。
【0096】
実施例1及び2と同じ10ガロンのジャケット付き反応器システムを用いた。
30ポンドの無水HFを反応器に充填した。この量は、TiCl触媒をフッ素化するのに必要な量を超えるものであった。攪拌機を250rpmで始動した。次に、1.5ポンドのTiClを触媒として加えた。反応器内の圧力の上昇によって観察されるように、HClが直ちに生成した。HClの大部分をシステムから排気することによって圧力を減少させた後、70重量%の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、27重量%の1,1,3,3−テトラクロロプロペン、及び3重量%の1,3,3,3−テトラクロロプロペンから構成される20ポンドの有機供給混合物を加えた。次に、蒸気をジャケットに加えることによって反応器を加熱した。約85℃においてHClが発生し始め、これはフッ素化反応が開始したことを示した。次に、システム圧力を約120psigに制御した。次に、更なるHF及び有機供給混合物を9:1のHF:有機物のモル比で連続的に供給した。主として、HCl副生成物、1233zd、及び過剰のHFから構成される流れを、触媒ストリッパーの頂部から排気し、スクラビングして酸を除去し、有機物を生成物回収シリンダー内に回収した。
【0097】
運転中に回収された粗物質のGC分析は次の通りであった。
【0098】
【表2】

【0099】
実施例4:
本実施例は、本発明の幾つかの好ましい態様によるHF及びHCFO−1233zdの混合物からの無水HFの回収を示す。
【0100】
約70重量%のHCFO−1233zd(E)粗物質、及び約30重量%のHFから構成される混合物を気化させ、充填カラムの底部に、約2.9ポンド/時の供給速度で約4時間供給した。その中に約2%のHFを溶解した約80重量%の硫酸(80/20のHSO/HO)の流れを、同じ充填カラムの頂部に、同じ時間中に約5.6ポンド/時の供給速度で連続的に供給した。カラムの頂部から排出される気体流は、その中に1.0重量%未満のHFを有するHCFO−1233zd(E)粗物質を含んでいた。カラム塔底流中の硫酸中のHFの濃度は、2.0重量%から約15重量%に増加した。
【0101】
硫酸及び約15重量%のHFを含むカラム塔底流を回収し、2ガロンのテフロン容器中に充填した。混合物を約140℃に加熱して気化させて、HF生成物をフラッシングしてこれを回収した。回収したHF生成物は、約6000ppmの水及び500ppmのイオウを含んでいた。硫酸は約500ppmのTOC(全有機炭素)を含んでいた。
【0102】
フラッシュ蒸留から回収されたHFを分別蒸留カラム内で蒸留して、無水HFを回収した。回収された無水HFは、50ppm未満のイオウ不純物及び100ppm未満の水を含んでいた。
【0103】
実施例5:
本実施例は、酸を含まない1233zd(E)粗生成物の精製を示す。
実施例2において製造された約92ポンドの酸を含まない1233zd粗物質をバッチ蒸留カラムに充填した。粗物質は、約94GC面積%の1233zd(E)、及び6GC面積%の不純物を含んでいた。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID2インチ×10フィートのプロパックカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器から構成されていた。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。主として1234ze(Z+E)、トリフルオロプロピン、245fa、及び1233zd(E)から構成される約7ポンドの軽質分が回収された。82ポンドの99.8+GC面積%の1233zd(E)が回収された。合計で約3ポンドのリボイラー残渣は、主として244fa、1233zd(Z)、1233zd二量体、及び1233zd(E)であった。99.8+GC面積%の純粋な1233zd(E)の回収率は94.8%であった。
【0104】
実施例6:
本実施例は、酸を含まない1233zd(E)粗生成物の精製を示す。
実施例2において製造された約92ポンドの酸を含まない1233zd粗物質をバッチ蒸留カラムに充填した。粗物質は、約94GC面積%の1233zd(E)、及び6GC面積%の不純物を含んでいた。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID2インチ×10フィートのプロパックカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器から構成されていた。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。主として1234ze(Z+E)、トリフルオロプロピン、245fa、及び1233zd(E)から構成される約7ポンドの軽質留分が回収された。82ポンドの99.8+GC面積%の1233zd(E)が回収された。合計で約3ポンドのリボイラー残渣は、主として244fa、1233zd(Z)、1233zd二量体、及び1233zd(E)であった。99.8+GC面積%の純粋な1233zd(E)の回収率は94.8%であった。
【0105】
実施例7:
本実施例は、随意的な再循環カラムの使用を示す。
実施例2において測定した代表的な1233zd(E)液相反応器流出流混合物をバッチ蒸留カラム中に充填した。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、ID2インチ×10フィートのプロパックカラム、及び−40℃の冷媒流動能力を有するシェルアンドチューブ凝縮器から構成されていた。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。蒸留カラムの供給混合物は、約30重量%のHF、37重量%のHCl、及び33%の1233zd(E)粗物質であった。約100psigの圧力、及び15〜20インチ水頭の差圧(ΔP)において蒸留を行った。留出物及びリボイラーの両方を周期的にサンプリングし、ガス及びイオンクロマトグラフィーを用いて有機物、HF、及びHClに関して分析した。最初は、HCl、有機物、及びHFが両方の試料中に観察された。より多くの物質が留出物として取り出されるにつれて、リボイラーの濃度が変化した。まず、HClの濃度が検出できなくなるまで減少した。リボイラー試料中の有機物の濃度がガスクロマトグラフィーを用いて分析して微量のみに減少するまで、蒸留を継続した。蒸留の最後においては、リボイラー中に残留する物質は実質的に純粋なHFであった。次に、回収されたHF(リボイラー塔底流)を用いて、回収されたHFを液相フッ素化反応器へ再循環したところ、満足に機能したことが示された。
【0106】
実施例8:
本実施例は相分離によるHF回収を示す。
テフロンシリンダーを用いて、HF及び1233zd(E)が不均一な混合物を形成することを視認観察した。+10℃〜−30℃の温度範囲において、1233zdとHFの層の分離を試験した。−30℃〜+10℃の温度範囲において1233zd(E)及びHFを含む混合物の相分離を行った。この実験のために500mLのSSサンプルシリンダーを用いた。シリンダーの周囲を被包するコイルを通して循環させたエタノールによってシリンダーの温度を制御した。シリンダーの外壁(冷却コイルとシリンダー壁との間)に熱電対を取り付け、シリンダーの中央部に配置して温度を測定した。また、シリンダーには、シリンダーの底部及び頂部にサンプリングバルブを取り付けた。このシリンダーに、100gの無水HF及び250gの1233zd(E)を充填した。HF:1233zd(E)の重量比は28.6:71.4であった。シリンダーに窒素を−30℃において15psigまで充填してサンプリングを行った。試料を、シリンダーの底部から、HFを吸収する目的の5gの蒸留水を含むテドラー気体サンプルバッグ中に採取した。第1の試料は、シリンダーが所望の温度に達した2時間後に採取した。サンプルバッグの水性相を0.1N−KOHで滴定することによってHF濃度を求めた。所定の温度において2時間後に採取した試料中のHF濃度を表3に示す。
【0107】
有機層をシステムから取り出した後に、HF層中のHF濃度を分析した。KOH滴定によって、酸層中のHFの濃度は約70±5%であったことが示された。
【0108】
【表3】

【0109】
実施例9:
本実施例は、1233zd(Z)の所望の生成物:1233zd(E)への異性化を示す。
【0110】
熱伝導を向上させるためにニッケルメッシュを充填したモネルプレヒーター(ID=1インチ、長さ=32インチ)を取り付けたモネル反応器(ID=2インチ、長さ=32インチ)を用いて、1233zd(Z)の1233zd(E)への転化を行った。反応器に1.5Lのペレット化フッ素化Cr触媒を充填した。反応器の頂部及び底部にニッケルメッシュを配置して触媒を支持した。反応器の中央にマルチポイント熱電対を挿入した。約10.0重量%の1233zd(E)及び86.3重量%の1233zd(Z)を含む供給流を、0.7ポンド/時の速度で反応器中に導入した。供給流は反応器プレヒーターに導入する前に気化させた。この実験に関する反応器温度は100℃〜200℃の間で変化させた。反応器全体の温度勾配は3〜5℃を超えなかった。反応生成物の試料を1時間毎に採取し、これらの試料のGC分析を表4に与える。
【0111】
【表4】

【0112】
実施例10:
本実施例は、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)+3HF→1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd)+4HClの連続蒸気相フッ素化反応を示す。この実験のためのフッ素化触媒はフッ素化Crであった。
【0113】
、HF、及び有機物供給システム、供給流気化器、過熱器、ID=2インチのモネル反応器、酸スクラバー、乾燥機、及び生成物回収システムを含む連続蒸気相フッ素化反応システムを用いて反応を調べた。反応器に、2135gのフッ素化Cr触媒(これは約1.44Lの触媒である)を装填した。次に、反応器を一定温度の砂浴中に設置した後、触媒上にNをパージしながら反応器を約275℃の反応温度に加熱した。反応器を約2psigの圧力に維持した。HF供給流をNとの共供給流として(気化器及び過熱器を通して)反応器に15分間導入し、この時点でN流を停止した。HFの流速を1.0ポンド/時に調節し、次に1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)の供給流を(気化器及び過熱器を通して)反応器中に導入した。HF:240faのモル比を約9:1にするために、HCC−240faの供給速度を約1.2ポンド/時において一定に維持し、HF供給流を1.0ポンド/時において一定に維持した。反応が開始したら、触媒床の温度を約328〜約332℃に調節した。反応器の出口における物質の平均組成は、約83.0GC面積%のHCFO−1233zd(E)、8.95GC面積%のHCFO−1233zd(Z)、3.48GC面積%の1234ze(E)、2.06GC面積%の245fa、1.41GC面積%の1234ze(Z)、及び0.08GC面積%の3,3,3−トリフルオロプロピンであった。約200時間の運転中に、触媒床の内側のホットスポットの位置が、反応器の入口セクションから出口セクションに移動し、これは触媒が部分的に失活したことを示しているが、240faの転化率は運転中全体にわたって100%に維持された。
【0114】
実施例11:
実施例10に記載されたようにして200時間運転した後に失活したフッ素化Cr触媒を、以下の手順によって再生した。
【0115】
を5000cc/分の速度で流しながら反応器を300℃に加熱した。
反応温度が安定した後に合成空気を導入した。0.5%のOを与える速度で空気流を開始した。0.25%のO増加分で空気流を徐々に増加させて2.0%のO濃度に到達させた。次に、反応器のホットスポットを360℃にし、空気の流速を徐々に0.5〜1.0%の増加分で増加させて5.0%のO濃度に到達させた。反応器が380℃を超えて過熱されることを回避するために、反応器加熱器温度の注意深い調節が必要であった。
【0116】
ホットスポットが触媒床の頂部に達するまで、5%O/Nを流しながら反応器を360〜375℃のホットスポット温度に維持した。次に、反応器加熱器の温度を変化させずに、反応器温度が反応器加熱器の温度に近付くまでO流を維持した。次に、反応器をNで5時間パージして残留酸素及び湿分を除去した。これによって触媒の再生が完了し、反応器を275℃にして、それをHFによって再フッ素化する準備が整った。
【0117】
実施例10に記載したものと同じ運転条件において、240fa+3HF→1233zd+4HClの反応を再開した。ホットスポットの位置は反応器の入口に戻った。240faの転化率は約100%であった。
【0118】
実施例12:
本実施例は、反応器温度を310℃〜350℃の間で変化させ、反応圧力を2psig〜25psigの間で変化させ、240faの供給速度を1.2ポンド/時において一定に維持し、HF供給流を変化させて6.3〜9の間のHF:240faのモル比を達成した他は実施例10と同様であった。反応条件の効果を表5に示す。
【0119】
【表5】

【0120】
実施例13:
本実施例は目標生成物:HCFO−1233zd(E)の精製を示す。
蒸留カラムに、118.9ポンドの酸を含まない粗HCFO−1233zd生成物を充填した。粗混合物の組成を表6に示す。
【0121】
【表6】

【0122】
蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、プロパック高効率蒸留カラム充填材を充填したID2インチ×長さ10フィートのカラム、及びシェルアンドチューブ凝縮器から構成されていた。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。蒸留カラムは、軽質留分中は約40〜50psigの圧力、及び主留分:HCFO−1233zd(E)留分中は約30psigの圧力で運転した。一定の間隔で、留出物をサンプリングしてGCによって分析した。2つの別の留分:軽質留分及び主留分が回収された。蒸留が完了した後に、リボイラーの底部から高沸点成分を排水した。実質的に純粋なHCFO−1233zd(E)の回収率は約76%であった。3つの留分の組成及び重量を表7に示す。
【0123】
【表7】

【0124】
実施例14:
本実施例はHFとHCFO−1233zdの混合物からの無水HFの回収を示す。
約70重量%のトランス−HCFO−1233zd、及び約30重量%のHFから構成される混合物を気化させ、充填カラムの底部に、約2.9ポンド/時の供給速度で約4時間供給した。その中に約2%のHFを溶解した約80重量%の硫酸(80/20のHSO/HO)の流れを、同じ充填カラムの頂部に、同じ時間中に約5.6ポンド/時の供給速度で連続的に供給した。カラムの頂部から排出される気体流は、その中に1.0重量%未満のHFを有するトランス−HCFO−1233zdを含んでいた。カラム塔底流中の硫酸中のHFの濃度は、2.0重量%から約15重量%に増加した。
【0125】
硫酸及び約15重量%のHFを含むカラム塔底流を回収し、2ガロンのテフロン容器中に充填した。混合物を約140℃に加熱して気化させて、HF生成物をフラッシングしてこれを回収した。回収したHF生成物は、約6000ppmの水及び500ppmのイオウを含んでいた。
【0126】
フラッシュ蒸留から回収されたHFを蒸留カラム内で蒸留して、無水HFを回収した。回収された無水HFは、50ppm未満のイオウ不純物及び100ppm未満の水を含んでいた。
【0127】
実施例15:
本実施例は再循環カラムの使用を示す。
実施例10及び11において測定した代表的なHCFO−1233zd蒸気相反応器流出流混合物をバッチ蒸留カラム中に充填した。蒸留カラムは、10ガロンのリボイラー、プロパック高効率蒸留カラム充填材を充填したID2インチ×長さ10フィートのカラム、及び−40℃の冷媒流動能力を有するシェルアンドチューブ凝縮器を含んでいた。カラムは約30の理論段を有していた。蒸留カラムに、温度、圧力、及び差圧の送信機を取り付けた。蒸留カラムの供給混合物は、約30重量%のHF、37重量%のHCl、及び33%のHCFO−1233zd(E)粗物質であった。約100psigの圧力、及び15〜20インチ水頭の差圧(ΔP)において蒸留を行った。留出物及びリボイラーの両方を周期的にサンプリングし、ガス及びイオンクロマトグラフィーを用いて有機物、HF、及びHClに関して分析した。最初は、HCl、有機物、及びHFが両方の試料中に観察された。より多くの物質が留出物として取り出されるにつれて、リボイラーの濃度が変化した。まず、HClの濃度が検出できなくなるまで減少した。リボイラー試料中の有機物の濃度がガスクロマトグラフィーを用いて分析して微量のみに減少するまで、蒸留を継続した。蒸留の最後においては、リボイラー中に残留する物質は実質的に純粋なHFであった。次に、回収されたHF(リボイラー塔底流)を用いて、回収HFの蒸気相フッ素化反応器へ再循環を行ったところ、満足に機能したことが示された。
【0128】
実施例16:
本実施例は相分離によるHF回収を示す。
テフロンシリンダーを用いて、HF及びHCFO−1233zdが不均一な混合物を形成することを視認観察した。+10℃〜−30℃の温度範囲において、HCFO−1233zdとHFの層の分離を試験した。
【0129】
−30℃〜+10℃の温度範囲においてHCFO−1233zd及びHFを含む混合物の相分離を行った。500mLのSSサンプルシリンダーを用いた。シリンダーの周囲を被包するコイルを通して循環させたエタノールによってシリンダーの温度を制御した。シリンダーの外壁(冷却コイルとシリンダー壁との間)に熱電対を取り付け、シリンダーの中央部に配置して温度を測定した。また、シリンダーには、シリンダーの底部及び頂部にサンプリングバルブを取り付けた。このシリンダーに、100gの無水HF及び250gのHCFO−1233zd(E)を充填した。HF:HCFO−1233zd(E)の重量比は28.6:71.4であった。シリンダーに窒素を−30℃において15psigまで充填してサンプリングを行った。試料を、シリンダーの底部から、HFを吸収する目的の5gの蒸留水を含むテドラー気体サンプルバッグ中に採取した。第1の試料は、シリンダーが所望の温度に達した2時間後に採取した。サンプルバッグの水性相を0.1N−KOHで滴定することによってHF濃度を求めた。所定の温度において2時間後に採取した試料中のHF濃度を表8に示す。
【0130】
有機層をシステムから取り出した後に、HF層中のHF濃度を分析した。KOH滴定によって、酸層中のHFの濃度は約70±5%であったことが示された。
【0131】
【表8】

【0132】
上記の記載は本発明の例示のみのものであると理解すべきである。種々の代替及び修正は、本発明から逸脱することなく当業者によって想到しうる。したがって、本発明は、特許請求の範囲内の全てのかかる代替、修正、及び変更を包含すると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化水素、フッ素化金属塩化物触媒、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,3,3,3−テトラクロロプロペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロハロカーボンを含み、フッ化水素及び1種類以上のヒドロハロカーボンが約3:1より大きいHF:有機物のモル比で存在し、フッ素化金属塩化物触媒が、部分又は全フッ素化TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、及びAlClからなる群から選択される液体反応混合物を与え:
フッ化水素及び1種類以上のヒドロハロカーボンを、該触媒の存在下、液相中において約85℃〜120℃の反応温度で反応させて、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、塩化水素、未反応のフッ化水素、同伴触媒、(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及び場合によっては未反応のヒドロハロカーボン混合物を含み、1より大きい(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに対する(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの重量比を有する反応生成物流を生成させる;
ことを含むクロロフルオロアルケンの製造方法。
【請求項2】
反応生成物流を、(1)熱交換器を備えたストリッピングカラムと接触させて、塩化水素の大部分、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの大部分、場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの大部分、及び未反応のフッ化水素の少なくとも一部を含み、この一部が(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン又は(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの1以上と共沸混合物を形成するのに十分な量である第1の粗生成物流、並びに(2)同伴触媒の大部分、フッ化水素、部分フッ素化中間体、及び未反応の1種類以上のヒドロハロカーボンを含む還流成分を生成させ;そして
還流成分を反応混合物に戻す;
ことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a.フッ化水素、並びに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,3,3,3−テトラクロロプロペン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロハロカーボンを累積的に含む1以上の供給流;
b.液相フッ素化触媒が充填され、約85℃〜約120℃の第1の温度に維持されており、1以上の供給流に流体接続しており、液相フッ素化触媒が、部分又は全フッ素化TiCl、SnCl、TaCl、SbCl、FeCl、又はAlClからなる群から選択される液相反応器;
c.第1の温度よりも約10℃〜約40℃低い第2の温度に維持されている平均温度を有するストリッピングカラム、ストリッピングカラムに流体接続している還流流、及びストリッピングカラムに流体接続している第1の粗生成物流を含み、還流流が液相反応器に流体接続しているストリッピングシステム;
d.第1の蒸留カラム、第1の蒸留カラムに流体接続している塩化水素副生成物流、及び第1の蒸留カラムに流体接続している第2の粗生成物流を含み、第1の蒸留カラムがストリッピングカラムに流体接続している塩化水素除去システム;
e.硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続しているフッ化水素を含む第2の再循環流、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続している(E)及び(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第3の生成物流を含み、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器が第2の粗生成物流に流体接続しているフッ化水素回収システム;
f.第3の生成物流に流体接続している第2の蒸留カラム、第2の蒸留カラムに流体接続している(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む最終生成物流、蒸留カラムに流体接続している第2の副生成物流、第2の副生成物流に流体接続している異性化反応器、異性化反応器及び第2の蒸留カラムに流体接続している生成物再循環流を含む1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン精製システム;
を含む、ヒドロフルオロオレフィンを製造するための統合システム。
【請求項4】
蒸気相反応混合物中、フッ素化触媒の存在下、反応器内において1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素と共に与え、ここでフッ化水素及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンは約3:1より大きいHF:有機物のモル比で存在し;そして
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを、該触媒の存在下、蒸気相中において、約200〜約450℃の反応温度及び約0〜約160psigの圧力でフッ化水素と反応させて、(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、塩化水素、未反応のフッ化水素、未反応の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、反応副生成物、及び場合によっては(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む反応生成物流を生成させる;
ことを含む(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
【請求項5】
フッ素化触媒が、クロムベースの触媒、アルミニウムベースの触媒、コバルトベースの触媒、マンガンベースの触媒、ニッケル及び酸化鉄ベースの触媒、水酸化物ベースの触媒、ハロゲン化物ベースの触媒、オキシハロゲン化物ベースの触媒、これらの無機塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
フッ素化触媒が、Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF、FeCl/C、SnCl/C、TaCl/C、SbCl/C、AlCl/C、AlF/C、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
a.フッ化水素、及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを累積的に含む1以上の供給流;
b.蒸気相フッ素化触媒を有し、約200〜約450℃の第1の温度及び約0〜約160psigの圧力に維持されており、1以上の供給流と流体接続している蒸気相反応器;
c.第1の蒸留カラム、第1の蒸留カラムに流体接続している塩化水素副生成物流、及び第1の蒸留カラムに流体接続している粗生成物流を含み、第1の蒸留カラムが蒸気相反応器に流体接続している塩化水素除去システム;
d.硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続しているフッ化水素を含む再循環流、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器に流体接続している(E)及び(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む生成物流を含み、硫酸ストリッピング及び再循環システム又は相分離容器が粗生成物流に流体接続しているフッ化水素回収システム;
e.生成物流に流体接続している第2の蒸留カラム、第2の蒸留カラムに流体接続している(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む最終生成物流、蒸留カラムに流体接続している第2の副生成物流、第2の副生成物流に流体接続している異性化反応器、異性化反応器及び第2の蒸留カラムに流体接続している生成物再循環流を含む1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン精製システム;
を含む、ヒドロフルオロオレフィンを製造するための統合システム。
【請求項8】
(a)1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを、蒸気相中、フッ素化触媒の存在下において、反応混合物中でフッ化水素と反応させて、HF、HCl、反応副生成物、及び(E+Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む反応生成物を生成させ;
(b)HF、HCl、及び(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンよりも低い沸点を有する反応副生成物を反応生成物から分離し;
(c)反応生成物から(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単離し;そして
(d)反応生成物からの(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに異性化する;
ことを含む(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
【請求項9】
分離したHFを反応混合物中に再循環して1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンと反応させることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(E)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンよりも高い沸点を有する(Z)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン以外の副生成物を反応混合物に再循環することを更に含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−520421(P2013−520421A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553947(P2012−553947)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/024483
【国際公開番号】WO2011/103035
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】