説明

(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの新規結晶

【化1】


本発明は、活性製薬学的成分(API)(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの新規結晶、本結晶の製造方法、本結晶を含んでなる製薬学的組成物、ならびに本結晶により患者を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性製薬学的成分(API)(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの新規結晶、本結晶の製造方法、本結晶を含んでなる製薬学的組成物、ならびに本結晶により患者を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートは、痙攣、癲癇、卒中、筋痙攣、神経病性疼痛、中枢神経系障害および片頭痛のような種々の障害を処置するために使用できる作用物である。その構造、特性、利用および製造は、特許文献1に記述されていて、これは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0003】
患者に対するAPIの送達は、まさに分子の同定およびその使用以上のことを必要とする。APIは、患者に対する送達のために調合されねばならず、そしてこの調合(API活性に加えて)は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品機関(the European Medicines Agency)(EMEA)のような規制機関によって評価される。FDAは、他の性質の中でも、送達特性、安定性、コンシステンシー(consistency)、および製造管理について調合物を評価する。特定の調合物の性質を決定する上での重要なファクターはAPIの形態である。APIは、無定形形態物、結晶性形態物、多形物、水和物および溶媒和物として存在することが知られている。各APIの形態物は異なっている。1つの特定のAPIが多形物または溶媒和物として存在することが知られているが、その他のAPIは無定形形態物としてのみ存在することが知られている。各々異なる多形物、溶媒和物または無定形形態物が、異なる特性、例えば安定性、溶解性および吸湿性をもつことがあるので、この形態多様性は重要である。
【0004】
APIの若干の形態物はFDA承認調合物に調合することができるが、一方、他の形態物は、FDAの高い規制基準に合致するよう要求される性質を欠如する。特定のAPIが調合のために適当な1つ以上の形態で存在できても、API形態物の種々の性質が、製造工程、貯蔵安定性、投与経路、生物学的利用性および他の重要な製品特性に影響することがある。例えば、安定性または吸湿性を改良または調節する能力は、湿度制御室の必要性を低下するか、または耐湿包装中にAPIを包装する必要性を低下することによって製造コストを減少することができる。さらに、これらの同じ変化は、製品の貯蔵安定性を増大し、それによって製品の分配能力を改善し、そしてコストに影響を与える。その他の例では、APIの1つの形態物は、その他の形態物よりも大きい生物学的利用性を有することがある。より高い生物学的利用性形態物を選択することは、より低い薬物用量が患者に投与されるのを可能にする。
【0005】
したがって、特定のAPIの形態多様性を増大することは、調合物のための理想形態物を同定する機会を増加する。さらに、形態多様性を増大することは、製造コストを低下させ、貯蔵安定性を増進し、新しい投与経路を提供し、そして新しい形態物の選択肢を提供することができる改良された形態物を見出す可能性を増大する。
【0006】
出願者らは、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートが、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの従来既知の形態物とは異なる別の物理的性質および別の結晶構造を保持する新規な結晶を形成できることを発見した。この発見は、FDA認可のために適当な改
良調合物の同定のため、ならびに結晶形態物の選択をとおして、製造工程、貯蔵安定性、投与経路、生物学的利用性および他の製品特性に影響を与える能力のための機会を増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,103,759号
【発明の概要】
【0008】
(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの新規結晶が得られることが、ここに見出された。
【0009】
1つの実施態様では、本発明は、化学式C1618SNClをもつα型結晶を提供する。
【0010】
その他の実施態様では、本発明は、化学式C1618SNClをもつα型結晶であって、かつ、該結晶が、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートからなるα型結晶を提供する。
【0011】
その他の実施態様では、本発明は、該結晶がコ・クリスタル(co−crystal)である、化学式C1618SNClをもつα型結晶を提供する。
【0012】
本発明は、また、新規α型結晶を作成する方法を提供する。
【0013】
本発明は、また、この新規α型結晶を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物および方法は、なかんずく、痙攣、癲癇、卒中、筋痙攣、神経病性疼痛、中枢神経系障害および片頭痛を含む、種々の疾病の処置または予防において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】代表的なα型結晶の粉末X線回折(PXRD)測定図を例示している。
【図2】代表的なβ型結晶の示差走査熱量測定(DSC)測定図を例示している。
【図3】代表的なβ型結晶の熱重量測定(TGA)測定図を例示している。
【図4】化合物(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの分子構造である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な記述
出願者らは、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートが、化学式C1618SNClをもつα型結晶を形成することができることを発見した。出願者らは、このα型結晶が、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートとトルエンスルホン酸とのコ・クリスタルであると信じているが、このα型結晶は、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートのトシレート塩である可能性がある。このα型結晶の単結晶構造を解析することの難しさが、α型結晶がコ・クリスタルかまたは塩であるかを出願者らが絶対的な確かさで決定することを阻んできた。それにもかかわらず、出願者らは、α型結晶を単離し、粉末X線回折によりα型結晶を分析してこの結晶の独特な結晶パターンを同定し、このα型結晶の再現可能な製造方法を同定した。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「コ・クリスタル(co−crystal)」は、室温(22℃)で2種以上の独特な固体からなる結晶性物質を意味し、これらの少なくとも1種がコ・クリスタル形成物(co−crystal former)である。コ・クリスタル形成物をさらに含まない(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの溶媒和物は、本発明によるコ・クリスタルではない。しかしながら、コ・クリスタルは、結晶性格子内に1種以上の溶媒和分子を含んでもよい。塩の形態において酸または塩基に結合されたAPIは、1つの独特な固体であり得るが、それ自体で2個の独特な固体ではあり得ない。
【0018】
1つの実施態様では、本発明は、化学式C1618SNClをもつα型結晶を提供する。本発明の1つの態様では、α型結晶は、約13.6度2θにおいて1個の粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明のその他の態様では、α型結晶は、約13.6および16.0度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明の1つの態様では、α型結晶は、約13.6、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明のさらなる態様では、α型結晶は、約12.7、13.6、15.1、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明のなおさらなる態様では、α型結晶は、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明のその他の態様では、α型結晶は、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3、21.6および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明の1つの態様では、α型結晶は、図1の粉末X線回折パターンに実質的に類似する粉末X線回折パターンを特徴とする。本発明の1つの態様では、α型結晶は、約25℃〜約182℃において約43%のパーセント重量損失を含むTGAサーモグラムを特徴とする。本発明のその他の態様では、α型結晶は、図3におけるTGAサーモグラムに実質的に類似のTGAサーモグラムを特徴とする。本発明のなおその他の実施態様では、α型結晶は、約69℃における吸熱遷移を特徴とする。本発明のさらなる態様ではα型結晶は、図2におけるDSCに実質的に類似の示差走査熱量測定(DSC)測定図を特徴とする。本発明の1つの態様では、α型結晶は実質的に純粋である。本発明のその他の態様では、α型結晶はコ・クリスタルである。
【0019】
その他の実施態様では、本発明は、該結晶が(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートを含む、化学式C1618SNClをもつα型結晶を提供する。本発明のさらなる実施態様では、本発明は、該結晶が、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートおよびトルエンスルホン酸を含む、化学式C2124FNをもつα型結晶を提供する。なおさらなる実施態様では、本発明は、該結晶が、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートおよびp−トルエンスルホン酸を含む、化学式C2124FNをもつα型結晶を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、化学式C1618SNClをもつα型結晶を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0020】
1つの実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3度2θにおいて1つの粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。その他の実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3および11.7度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3、11.7および16.3度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。なおさらなる実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3、8.9、11.7、15.6および16.3度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。その他の実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3、8.9、11.7、15.6、16.3および17.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、該結晶が、約4.3、8.9、11.7、15.6、16.3、17.9、19.1および22.6度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClをもつ結晶を提供する。
【0021】
化学式C1618SNClをもつα型結晶は、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートの従来既知の形態物に較べて改良されたまたは異なる特性を有することが見出された。特に、α型は別の結晶構造および別の化学的組成を有する。
【0022】
本発明の組成物および方法は、なかんずく、細菌感染症、真菌感染症および感染性疾患を含む、種々の疾病の処置または予防において有用である。
【0023】
α型結晶の存在についての固相のアッセイは、当該技術分野において既知の慣用方法によって実施されてもよい。例えば、X線回折技術が結晶の存在を調査するために使用できる。類似の方式で使用される他の技術は、示差走査熱量測定(DSC),熱重量測定(TGA)、赤外分光法(IR)、単結晶X線回折およびラマン分光法を含む。図1は、代表的なα型結晶のPXRD測定図を示す。図2は、代表的なα型結晶のDSC測定図を示す。図3は、代表的なα型結晶のTGA測定図を示す。
【0024】
1つの実施態様では、本発明は、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートをトルエンスルホン酸とともにコクリスタライズ(cocrystallizing)させ、そしてその結晶を単離する段階を含む、化学式C1618SNClをもつα型結晶を製造する方法を提供する。その他の実施態様では、過剰量(1:1トルエンスルホン酸について1モル等価以上)のトルエンスルホン酸の使用が、α型結晶の形成を進行するために使用できる。結晶を形成させるためのトルエンスルホン酸のそのような過剰使用は、溶液において、または(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートとトルエンスルホン酸を粉砕してα型結晶を形成させる場合に、用いることができる。
【0025】
そのような工程段階の結果として得られるα型結晶は、慣用の手段によって製薬学的組成物(または薬物)中に容易に組み入れられる。製薬学的組成物および薬物は、さらに、製薬学的に許容できる賦形剤、添加物または担体を含んでもよい。1つの実施態様では、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートを含んでなるα型結晶および調合物は、製薬学的使用のために適当に安定である。
【0026】
本発明によって記述されるα型結晶から製薬学的組成物を製造するために、不活性な、製薬学的に許容できる担体は、固体であってもまた液体であってもよい。固形形態調製物は、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤を含む。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与のために適当な固形用量形態物として使用できる。種々の組成物のための製薬学的に許容できる担体および製造方法は、A.Gennaro(ed.),The Science and Practice of Pharmacy,20.sup.th Edition,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,Md.,(2000)において見出せる。
【0027】
液状形態調製物は、液剤、懸濁剤および乳剤を含む。吸入のために適当なエアゾル調製物は溶液および粉末形態の固形物を含んでもよく、これらは、製薬学的に許容できる担体、例えば窒素のような不活性圧縮ガスと組み合わせられてもよい。また、使用直前に、経口または非経口投与いずれかのための液状形態調製物に変換されることを意図している固形形態調製物が含まれる。そのような液状形態物は、液剤、懸濁剤および乳剤を含む。
【0028】
いずれか特定の患者のために特異的な用量および処置療法は変えられてもよく、そして種々のファクター、患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事、投与時間、排泄速度、特異的な薬物組合せ、処置される症候の重篤度および経過、処置される症状に対する患者の素因および処置する医師の判断に応じて異なるであろう。特定の状況についての適当な用量療法の決定は当該技術分野の技術内にある。本発明の組成物またはその製薬学的組成物の投与量および頻度は、先に列挙したファクターに基づいて、担当臨床医の判断にしたがって調整されてもよい。当業者が評価できるように、先に列挙した用量より低いか高い用量が必要とされてもよい。
【0029】
本発明の結晶は、次の方法を使用して分析された
粉末X線回折パターンは、D/Max Rapid X−ray Diffractometer(Rigaku/MSC,The Woodlands,TX,U.S.A.)またはGADDS回折計を備えたBruker D8 Discover(Bruker−AXS Inc.,Madison,WI,U.S.A.)のいずれかを使用して得られた。
【0030】
D/Max Rapid X−ray Diffractometerは、銅源(Cu/Kα1.5406Å)、手動x−yステージおよび0.3mmコリメーターを備えた。サンプルは、管の閉鎖末端を切断し、そして毛細管の小開口末端を粉末サンプルのベッドまたはスラリー状サンプルの沈降物中にタッピングすること(tapping)によって0.3mm石英毛細管(Charles Supper Company,Natick,MA,U.S.A.)中に装填された。装填された毛細管は、x−yステージ中に置かれて固定されたホルダーに載せられた。ディフラクトグラムは、1度/秒において0〜5度ω軸周りをオシレート(oscillate)し、そして2度/秒において360度にわたってφ軸周りを回転しながら、トランスミッション様式において40mAで46kVの電力設定において周囲条件下で、制御ソフトウエア(RINT Rapid Control Software,Rigaku/XRD,version 1.0.0((C)1999Rigaku Co.))を使用して得られた。露出時間は別に特定されない限り15分であった。
【0031】
得られたディフラクトグラムは、本装置とともにRigakuによって提供されるRINT Rapidディスプレーソフトウエア(RINT Rapid display software,version 1.18(Rigaku/MSC))におけるcyllnt utilityを使用して、0.02度のステップサイズで、2〜40度の2θおよび0〜36度のχ(1セグメント)の積分であった。ダークカウント値は、Rigakuによるシステム校正によって8に設定された。正規化またはω、χもしくはφオフセットが積分のために使用されなかった。
【0032】
GADDS回折計を備えたBruker D8 Discoverは、銅源(Cu/Kα1.5406Å)、コンピューター制御x−y−zステージ,0.5mmコリメーター
およびHi−Starエリアディテクターを備えられた。サンプルは、粉末ベッド中にサンプルホルダーをタッピングし(tapping)、そしてホルダーを96ポジションブロック(position block)中に配列することによって、特許のサンプルホルダー中に装填された。次いで、ブロックは、x−y−zステージに装填され、そしてサンプルポジションがソフトウエアに入力された。ディフラクトグラムは、反射様式において40mAで46kVの電力設定において周囲条件下で、制御ソフトウエア(GADDS−General Area Detector Diffraction System,(Bruker,version 4.1.14((C)1997−2003 Bruker−AXS.))を使用して得られた。露出時間は別に特定されなければ5分であった。
【0033】
得られたディフラクトグラムは、GADDSソフトウエアを使用して、0.02度のステップサイズで、2〜40度の2θおよび0〜36度のχ(1セグメント)の積分であった。
【0034】
ディフラクトグラムにおけるピークの相対強度は、必ずしもPXRDパターンの限定とはならない。何故ならば、ピーク強度は、例えば、結晶性不純物により、サンプル毎に変わることがあるからである。さらに、各ピークの角は約+/−0.1度、または約+/−0.05度変わることがある。全パターンまたはほとんどのパターンピークは、また、装置毎およびオペレーター毎の、校正、設定および他の変量における差異により約+/−0.1度から約+/−0.2度までシフトすることがある。図、実施例および本明細書のいずれかのすべての報告されたPXRDピークは、約±0.1度2θの誤差をもって報告されている。特に記されなければ、すべてのディフラクトグラムは、ほぼ室温(約24℃〜約25℃)において得られた。
【0035】
表および図を含む、本明細書のPXRDデータでは、本発明の各組成物は、2θ角ピークのいずれか1、いずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7またはいずれか8、またはそれ以上によって特性決定されてもよい。
【0036】
次の特定の実施例は、本発明をより詳細に具体的に説明している。しかしながら、それらは、いかなる方式においてもその範囲を制約することを意図していない。
【実施例】
【0037】
例1:α型結晶のコクリスタリゼーション(cocrystalization)
15mgの(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートおよび11.9mgのp−トルエンスルホン酸1水和物がボールミルにおいて10分間粉砕された。得られる固形物が粉末X線回折によって分析された。
【0038】
例2:α型結晶のコクリスタリゼーション
15mgの(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメート、11.9mgのp−トルエンスルホン酸1水和物およびヘキサン10μlが、ボールミルにおいて10分間粉砕された。得られる固形物が粉末X線回折によって分析された。
【0039】
例3:α型結晶のコクリスタリゼーション
30.2mgの(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメート、24.4mgのp−トルエンスルホン酸1水和物(1:1モル比)およびヘキサン10μlが、粉砕ボールとともにスチールwig−1−bug中で10分間粉砕された。サンプルは、分析前に一夜平衡化された。得られる固形物が粉末X線回折によって分析された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式C1618SNClのα型結晶。
【請求項2】
該結晶が、約13.6度2θにおいて1個の粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1の結晶。
【請求項3】
該結晶が、約13.6および16.0度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1の結晶。
【請求項4】
該結晶が、約13.6、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1の結晶。
【請求項5】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1の結晶。
【請求項6】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項1の結晶。
【請求項7】
該結晶が、図1の粉末X線回折パターンに実質的に類似する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C2124FNをもつ結晶。
【請求項8】
該結晶がコ・クリスタルである、請求項1の結晶。
【請求項9】
該結晶が、約13.6度2θにおいて1個の粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、化学式C1618SNClの結晶。
【請求項10】
該結晶が、約13.6および16.0度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項9の結晶。
【請求項11】
該結晶が、約13.6、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項9の結晶。
【請求項12】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項9の結晶。
【請求項13】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項9の結晶。
【請求項14】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3、21.6および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項9の結晶。
【請求項15】
該結晶が、(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートを含む、化学式C1618SNClの結晶。
【請求項16】
該結晶が、トルエンスルホン酸を含む、請求項15の結晶。
【請求項17】
該結晶が、約13.6および16.0度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項15の結晶。
【請求項18】
該結晶が、約13.6、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項15の結晶。
【請求項19】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項15の結晶。
【請求項20】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項15の結晶。
【請求項21】
該結晶が、約12.7、13.6、15.1、16.0、17.3、21.6および25.9度2θにおいて粉末X線回折ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、請求項15の結晶。
【請求項22】
(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートをトルエンスルホン酸とともにコクリスタライズ(cocrystallizing)させ、そしてその結晶を単離する段階を含む、化学式C1618SNClの結晶を製造する方法。
【請求項23】
請求項1、9または15の結晶を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項24】
(S)−(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−エチルカルバメートとトルエンスルホン酸とのコクリスタリゼーションによって得られる結晶。
【請求項25】
請求項24の結晶を含んでなる製薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505952(P2010−505952A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532366(P2009−532366)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/021423
【国際公開番号】WO2008/063284
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】