説明

1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物およびその利用

【課題】優れたRevタンパク質核外移行阻害活性あるいは抗HIV活性を示し得る新規な化合物と、それを用いた抗HIV剤等の医薬品、飲食品、サプリメント、およびRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールを提供する。
【解決手段】本発明の化合物は、下記式(I)で表されることにより、高い活性を示す。式(I)中、X1〜X4は、水素原子またはハロゲン(少なくとも一つはハロゲン)であり、R1およびR2はアシル基であり、R3〜R5は、水素原子または炭化水素基である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物およびその利用に関し、例えば、抗HIV剤等の医薬品、飲食品、サプリメント、またはRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールとしての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
エイズ患者、即ちHIV(ヒト免疫不全ウィルス)に感染し、発症した患者の数は、発見以来世界規模で増え続けており、早急な治療法の確立が必須である。現段階での化学療法としては、逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を併用する方法が一般に採られている。
【0003】
逆転写酵素とは、HIVが保有している酵素であり、ウィルスRNAをDNAへと読み換える際に必要である。その阻害剤としては、AZT等が挙げられる。また、プロテアーゼとは、ウィルスタンパク質翻訳後に必要となる酵素である。その阻害剤としては、サキナビル等が用いられている。
【0004】
しかしながら、HIVは、変異の頻度が高く、薬剤耐性ウィルスが容易に発現する。したがって、前記逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤とは異なる新規作用機序に基づく抗HIV剤の開発が必要とされていた。この観点から、HIV制圧のためのターゲットとして注目を集めてきたのが、Revタンパク質である。
【0005】
Revタンパク質とは、HIV遺伝子によりコードされるRNA結合タンパク質である。このRevタンパク質は、核外移行シグナル(NES)を持ち、核内でHIV遺伝子と結合したのち、核外へと移行し、HIV遺伝子が翻訳されてウィルス構成タンパクが作られる。このように、Revタンパク質は、ウィルスmRNAの核外輸送に必要であり、ひいてはHIVの複製・増殖に必須のタンパク質といえる。
【0006】
Revタンパク質の機能を阻害・抑制する物質としては、例えば、1eptomycin B および valtrate 等が報告されていた(下記の非特許文献1・2参照)。しかしながら、抗HIV活性の高さや細胞毒性の低さ等の観点から、さらなる研究が必要とされていた。
【0007】
このような状況下、本発明者らは、天然に存在する物質である1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテート(1’-(S)-Acetoxychavicol acetate、下記化学式)が、Revタンパク質の核外移行阻害活性および抗HIV活性を示すことを見出した(下記の特許文献1参照)。1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテートは、前記逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤とは異なる作用機序であるRevタンパク質の核外移行阻害によって抗HIV活性を示すのみならず、抗HIV活性が高く、細胞毒性もない。したがって、この化合物は、既存薬剤耐性ウィルスに対しても、治療効果が期待できる。
【化6】

【0008】
この1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテートの類似体(アナログ)は、例えば、1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテートよりもさらに活性を高めた化合物として、抗HIV剤のみならず、その他の医薬品、新規抗HIVリード化合物、飲食品、サプリメント、Revタンパク質核外移行メカニズム研究用ツール等、種々の利用が期待できる。
【0009】
【特許文献1】特開2005−179201号公報
【非特許文献1】Wolff, B. et a1., Chem. Biol., 1997, 4, 139-147頁
【非特許文献2】Murakami, N. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 2002, 12, 2807-2810頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、優れたRevタンパク質核外移行阻害活性あるいは抗HIV活性を示し得る新規な化合物と、それを用いた抗HIV剤等の医薬品、飲食品、サプリメント、およびRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルにおける芳香環上の水素をハロゲン置換した化合物が、優れたRevタンパク質核外移行阻害活性あるいは抗HIV活性を示し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の化合物は、下記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩である。
【化7】


前記式(I)中、
1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲンであり、X1〜X4の少なくとも一つはハロゲンであり、
1およびR2は、それぞれアシル基であり、飽和でも不飽和でも良く、直鎖状でも分枝状でも良く、環状構造を含んでいてもいなくても良く、同一でも異なっていても良く、
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、または炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖状でも分枝状でも良く、環状構造を含んでいてもいなくても良い)である。
【0013】
また、本発明の医薬品は、前記式(I)の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの物質を有効成分とする。さらに、本発明は、前記式(I)の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの物質を含み、飲食品、サプリメント、またはRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールとして用いられる製品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化合物は、前記の構造を有することで、優れたRevタンパク質核外移行阻害活性あるいは抗HIV活性を示し得る。これにより、本発明の化合物は、抗HIV剤等の医薬品、飲食品、サプリメント、およびRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができるものである。
【0016】
まず、前記本発明の化合物は、例えば、植物などの天然物から単離・精製したものであっても良いし、化学的に合成したものであっても良い。また、天然物から得られた物質、例えば植物抽出物を原材料として反応等の処理を施し、製造しても良い。前記植物抽出物は、例えば、前記特許文献1(特開2005−179201号公報)に記載のコウズク(別名ナンキョウソウ(Alpinia galangal))抽出物等でも良い。
【0017】
また、前記一般式(I)により表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物またはその塩が、互変異性体または立体異性体(例:幾何異性体および配座異性体)を有するときは、それらの分離された各異性体および混合物も本発明の範囲に含まれる。さらに、前記一般式(I)により表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物またはその塩は、例えば、適宜な溶媒から再結晶する等の方法により、結晶化させて用いることもできる。
【0018】
前記一般式(I)により表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物の塩は、酸付加塩でも塩基付加塩でも良い。前記酸付加塩を形成する酸は、無機酸でも有機酸でも良い。無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等が可能である。有機酸も特に限定されないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等が可能である。前記塩基付加塩を形成する塩基は、無機塩基でも有機塩基でも良い。無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が可能であり、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が可能である。有機塩基も特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が可能である。前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物の塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。
【0019】
前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物またはその塩の光学異性体(鏡像異性体)については、R体およびS体のいずれかに限定されるものではなく、いずれの光学活性体も、さらにはラセミ混合物も本発明の範囲に含まれる。しかし、Revタンパク質核外移行阻害活性、抗HIV活性等の観点から、前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物が、下記一般式(I’)で表される光学異性体であることが好ましい。
【化8】


前記式(I’)中、X1〜X4およびR1〜R5は、前記式(I)と同じである。
【0020】
また、前記式(I)中、
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアシル基であることが好ましく、R1およびR2が、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルカノイル基であることがより好ましく、
3〜R5は、それぞれ独立に、直鎖もしくは分枝アルキル基、またはシクロアルキル基であることが好ましく、R3〜R5が、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝アルキル基であることがより好ましく、
1〜X4のうち少なくとも一つがフッ素であることが好ましい。
【0021】
なお、本発明において、アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等が挙げられる。アシル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、p-メトキシフェニルメチル基等が挙げられる。また、本発明において、アシル基の炭素数にはカルボニル炭素を含み、例えば、炭素数1のアルカノイル基(アシル基)とはホルミル基を指すものとする。さらに、本発明において、「ハロゲン」とは、任意のハロゲン元素を指すが、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0022】
また、前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物のうち、下記式8a〜8fのいずれかで表される1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテート類似体(アナログ)が、Revタンパク質核外移行阻害活性、抗HIV活性等の観点から特に好ましい。
【化9】


8a:X1=H, X2=F, X3=H, X4=H
8b:X1=F, X2=F, X3=H, X4=H
8c:X1=F, X2=F, X3=F, X4=H
8d:X1=F, X2=F, X3=F, X4=F
8e:X1=H, X2=Cl, X3=H, X4=H
8f:X1=H, X2=Br, X3=H, X4=H
【0023】
次に、前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩の製造方法について説明する。
【0024】
前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物は、前述の通り、天然物から単離・精製したものであっても化学的に合成したものでも良いが、化学構造の制御等の観点から、化学的に合成することが好ましい。また、その塩の製造方法についても特に限定されず、例えば、前述の通り、前記一般式(I)で表される化合物に酸や塩基を適宜付加させる等の方法で製造することができる。
【0025】
前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩の製造方法は特に限定されないが、以下に説明する本発明の製造方法により製造することが好ましい。
【0026】
すなわち、本発明の第1の製造方法は、下記式(II)で表されるアルデヒドと下記式(III)で表される Grignard 試薬から下記式(IV)で表されるアルコールを製造する工程(下記スキーム1)を含む製造方法により、前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を製造する方法である。
【化10】


前記式(II)〜(IV)中、X1〜X4およびR3〜R5は前記式(I)と同じであり、X5は塩素、臭素またはヨウ素であり、Qは保護基である。
【0027】
前記スキーム1の反応条件は特に限定されないが、例えば、公知のGrignard反応の条件等を適宜用いることができる。具体的には、例えば、副反応抑制、収率向上等の観点から、アルゴン、窒素等の不活性気体の存在下で行うことが好ましい。反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、チオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル(1,2-ジメトキシエタン)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族類、n-ヘキサン、n-へプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、等が挙げられ、これらは単独で用いても二種類以上併用しても良い。反応温度および反応時間も特に限定されず、前記式(II)および(III)で表される原料の反応性等に応じて適宜選択すればよい。前記反応温度は、例えば−78〜30℃、好ましくは−20〜25℃、特に好ましくは0〜20℃である。前記反応時間は、例えば0.5〜4時間、好ましくは0.5〜2時間、特に好ましくは0.5〜1時間である。
【0028】
次に、本発明の第2の製造方法は、下記式(V)で表されるケトンの不斉還元により下記式(IV’)で表される光学活性アルコールを製造する工程(下記スキーム2)を含む製造方法により、前記一般式(I’)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を製造する方法である。
【化11】


前記式(V)および(IV’)中、X1〜X4およびR3〜R5は前記式(I)および(I’)と同じであり、Qは保護基である。
【0029】
前記不斉還元を用いた本発明の第2の製造方法によれば、前記一般式(I’)で表される光学活性な1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を選択的に得ることが可能であり、Revタンパク質核外移行阻害活性、抗HIV活性等の観点から好ましい。前記不斉還元に用いる反応物質は、前記化合物(V)以外は特に限定されないが、適宜な還元剤および不斉試薬を用いて行うことが可能である。また、必要に応じ、任意の反応溶媒を用いても良く、その他の反応物質を適宜用いても良い。以下、これらについてさらに詳しく説明する。
【0030】
前記還元剤としては、水素化合物が好ましい。前記水素化合物としては、例えば、ボラン、金属水素化物等の水素化物、およびヒドリド錯体等が挙げられ、より具体的には、例えば、BH3、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH3CN)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、等が挙げられる。また、前記ボランは、例えば、遊離の形態で用いても、エーテル錯体、チオエーテル(スルフィド)錯体等の形態で用いても良い。前記ボランとしては、具体的には、例えば、ジメチルスルフィドボラン錯体(BH3・SMe2)、ジエチルエーテルボラン錯体(BH3・OEt2)、ジメチルエーテルボラン錯体(BH3・OMe2)、ジボラン、テトラヒドロフランボラン錯体、ジオキサンボラン錯体、チオキサンボラン錯体、ジメチルアニリンボラン錯体、ジエチルアニリンボラン錯体、フェニルモルホリンボラン錯体、カテコールボラン、等が挙げられる。
【0031】
前記不斉試薬としては、特に限定されないが、例えば、公知の光学活性オキサザボロリジン類(例えば、特開2000−256368号公報、特開平8−134076号公報、特開平7−109231号公報、特開平6−340674号公報などに記載のもの)を適宜使用することができる。光学活性オキサザボロリジン類の中で、下記式(X)で表される(R)-オキサザボロリジン((R)-oxazaborolidine)が特に好ましい。
【化12】

【0032】
なお、前記式(V)のケトンを、光学活性オキサザボロリジン類、例えば前記式(X)の(R)-オキサザボロリジンの存在下で不斉還元する場合、光学活性オキサザボロリジン類の使用量は、特に限定されないが、前記ケトン(V)に対し、光学活性アルコール(IV’)換算で、例えば0.01〜3モル倍程度、好ましくは0.05〜2モル倍程度である。また、前記還元剤としてボランを用いる場合、ボランは、光学活性アルコール(IV’)に対し、ホウ素換算で、例えば1〜20モル倍程度、好ましくは1〜10モル倍程度使用する。
【0033】
前記反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、チオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル(1,2-ジメトキシエタン)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族類、n-ヘキサン、n-へプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、等が挙げられ、これらは単独で用いても二種類以上併用しても良い。これら溶媒の使用量も特に限定されないが、例えば、前記式(V)で表されるケトンに対し0.5〜30質量倍程度使用する。また、前記その他の反応物質も特に限定されず、必要に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
前記不斉還元の反応条件は特に限定されないが、例えば、副反応抑制、収率向上等の観点から、アルゴン、窒素等の不活性気体の存在下で行うことが好ましい。さらに、反応温度および反応時間も特に限定されず、各反応物質の反応性等に応じて適宜選択すればよい。前記反応温度は、例えば−60〜0℃、好ましくは−50〜−20℃、特に好ましくは−40〜−30℃である。前記反応時間は、例えば0.5〜4時間、好ましくは1〜3時間、特に好ましくは1〜2時間である。
【0035】
さらに、前記本発明の第1の製造方法および第2の製造方法は、組み合わせて用いることが可能である。すなわち、前記一般式(I’)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩は、前記スキーム1およびスキーム2の両方の工程を含む製造方法により製造することができる。前記スキーム1のアルコール(IV)から前記スキーム2のケトン(V)を製造する方法も特に限定されないが、例えば、Dess-Martinペルヨージナン(DMP)、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、テトラ-n-プロピルアンモニウムパールテネート(TPAP)、Swern酸化((COCl)2-DMSO-Et3N) 等の酸化剤を用いて製造することができる。
【0036】
なお、前記スキーム1および2中、保護基Qとしては特に限定されず、公知の保護基を適宜用いることができるが、例えば置換シリル基が挙げられ、より具体的には、例えば、t-ブチルジメチルシリル基(TBDMSまたはTBSともいう)、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、等が挙げられ、特に好ましくはt-ブチルジメチルシリル基である。その他、例えば、Greene and Wuts著 "Protective Groups in Organic Synthesis" に記載の保護基等も挙げられる。また、前記化合物(IV)または(IV’)は、必要に応じ、保護基Qを脱保護してから、本発明の化合物の製造に用いても良い。脱保護の方法は特に限定されず、保護基Qの種類等に応じて公知の方法を適宜使用すれば良い。
【0037】
前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物は、例えば、下記スキーム3により製造することができる。下記スキーム3は、前記第1の製造方法(前記スキーム1)を、前記第2の製造方法(前記スキーム2)による不斉還元と組み合わせて前記式(I’)の化合物を製造する場合の一例である。スキーム3は適宜な条件で行うことが可能であり、例えば、化合物(IV’)から(I’)への変換は、R2を導入した後に保護基Qを脱保護し、R1を導入しても良いし、まず保護基Qを脱保護し、その後R1とR2を一度に導入しても良い。さらに、本発明の製造方法は下記スキーム3に限定されず、種々の変更が可能である。
【化13】

【0038】
次に、本発明の化合物、すなわち前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩の用途は特に限定されず、各種医薬品、飲食品、サプリメント、Revタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールおよびその他の種々の用途に幅広く使用可能である。以下、具体的に説明する。
【0039】
すなわち、まず、前述の通り、Revタンパク質の核外移行はHIVの増殖に必須であることから、本発明の化合物は、例えば、Revタンパク質の核外移行を阻害することで、抗HIV剤に使用可能である。なお、本発明において、「抗HIV剤」とは、広くエイズ治療またはその発症予防に使用される薬剤を意味し、例えば、HIV感染症および感染に伴う各種症状(発熱、下痢、貧血など)に対する症状改善薬、ならびにその指標疾患(カンジダ症、侵襲性子宮頚癌、CMV感染症、HIV関連脳症、カポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫、結核など)の治療薬として利用する場合も含まれる。
【0040】
さらに、本発明の化合物の用途は、抗HIV剤に限定されるものではなく、その他のあらゆる用途に用いることができる。例えば、本発明のNES含有タンパク質核外移行阻害剤は、Revタンパク質核外移行阻害による細胞応答を解析する生化学実験用試薬として、あるいは、抗癌作用等の効果を有する機能性食品(食用組成物)の原材料として利用可能である。また、本発明のNES含有タンパク質核外移行阻害剤は、抗HIV剤等以外の種々の医薬品にも使用可能である。
【0041】
本発明の化合物を抗HIV剤等の医薬品(医薬用組成物)に用いる場合の一例について説明する。本発明の化合物は、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、ヒト(または動物)に投与することができる。投与形態は特に限定されず、その目的に応じて、経口的に、または非経口的に投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すれば良いが、例えば、通常のおよび腸溶性錠剤、カプセル剤、ピル、顆粒剤、細粒剤、散剤、エリキシル剤、チンキ剤、溶剤、懸濁剤、シロップ、固体もしくは液体エアロゾル、および乳濁液等の経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。
【0042】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく適宜設定できる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜に使用することができる。
【0043】
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度などに応じて用量を調節し、例えば、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射、腹腔内注射などによって投与する。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えても良い。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えても良い。これら製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
【0044】
なお、公知のDDSを利用し、例えば、本発明の化合物をリポソームなどの運搬体に封入して体内投与しても良い。このとき標的部位の細胞を特異的に認識する運搬体などを利用すれば、標的部位に本発明の化合物を効率よく運ぶことができ効果的である。
【0045】
また、本発明の化合物の医薬品への利用には、本発明の化合物を医薬品開発過程におけるリード化合物として利用することも含まれる。
【0046】
本発明の化合物を飲食品(飲食用組成物)またはサプリメントに用いる場合は、各種飲料や各種加工食品の原材料として本発明の化合物を飲食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や保健食品等として利用できる。
【実施例】
【0047】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0048】
(測定条件等)
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、日本電子社製の機器 JEOL JNM Lambda-500(1H測定時 500 MHz)を用いて測定した。ケミカルシフトは百万分率(ppm)で表している。内部標準0ppmには、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。結合定数(J)は、ヘルツで示しており、略号s、d、t、q、mおよびbrは、それぞれ、一重線(singlet)、二重線(doublet)、三重線(triplet)、四重線(quartet)、多重線(multiplet)および広幅線(broad)を表す。質量分析(FAB MS)およびその高分解能分析 (FAB HR-MS)は、日本電子社製の機器、高分解能二重収束質量分析計 JMS SX-102を用い、マトリックスとしてメタニトロベンジルアルコール(NBA)を用いた高速原子衝突法により測定した。カラムクロマトグラフィー分離の固定相には、富士シリシア製シリカゲルBW-200を用いた。全ての化学物質は、試薬級であり、和光純薬、ナカライテスク、東京化成、アルドリッチ社から購入した。
【0049】
(1) 各アナログの合成
下記スキーム4に従い、1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテート類似体(アナログ)である化合物8a〜8fを合成(製造)した。
【化14】

【0050】
以下、前記スキーム4についてより具体的に説明する。
【0051】
(1−1)化合物8bの合成
化合物8bは、前記スキーム4に従い、以下のようにして合成した。まず、化合物1b、すなわち2,3-ジフルオロフェノールのフェノール性水酸基をメチル基で保護した後、四塩化チタン存在下、ジクロロメチルメチルエーテルを作用させて4位にホルミル基を導入し、続いて三臭化ホウ素を用いてメチル基を除去して2,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド4bを得た。
【0052】
次に、4bのフェノール性水酸基をtert-ブチルジメチルシリル基で保護した後、ビニルマグネシウムブロミドを用いてアリルアルコール体5bへと誘導した。さらに、Dess-Martin試薬により水酸基をカルボニル基へと変換しケトン体6bとした後、(R)-オキサザボロリジン試薬存在下、ボラン・ジメチルスルフィド錯体を用いて立体選択的還元反応を行い、(S)-アルコール体7bへと導いた。そして、7bのtert-ブチルジメチルシリル基をテトラブチルアンモニウムクロリドによって脱離させたジオール体に、ピリジン中無水酢酸を作用させて2,3-ジフルオロアナログ8bを合成した。以下、この化合物8bの合成についてさらに詳細に説明する。
【0053】
(1−1−1)化合物1bから2bの合成
化合物1b、すなわち2,3−ジフルオロフェノール2.5 gを出発原料として、ジメチルスホキシド(以下、DMSO) 20 mL中、フェノール性水酸基を炭酸カリウム4 g 存在下ヨウ化メチル2.4 mLを室温にて1 時間作用させてメチル基で保護し、反応液を500倍容の蒸留水にあけ、ジクロロメタンで分配抽出後、得られたジクロロメタン相を蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下溶媒を留去することで化合物2b (2.8 g)を得た。
以下に、化合物2bの機器分析データを示す。
【0054】
化合物2b:1H NMR; δ: 6.99 (1H, m), 6.72 (2H, m), 3.90 (3H, s). FAB MS; 145 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 145.0468, Calcd for C7H7F2O m/z 145.0465 [M+H]+.
【0055】
(1−1−2)化合物2bから3bの合成
化合物2b (2.8 g)のジクロロメタン10 mL溶液に、10 mLのジクロロメタンに溶解させた四塩化チタン5.3 mLを氷冷下で滴下した後、氷冷下のまま5分攪拌した。さらに反応混液に、10 mLのジクロロメタンに溶解させたジクロロメチルメチルエーテル2.1 mLを氷冷下滴下し、室温で1時間攪拌した。蒸留水を滴下することで反応を停止し、2 mLの濃塩酸を加えた後エーテルを加えて室温でさらに30分間攪拌した。反応液からエーテルで分配抽出後、エーテル相を蒸留水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下溶媒を留去することで得られる粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 100 g, n-hexane:EtOAc=7:1)によって精製し化合物3b (2.5 g)を得た。
以下に、化合物3bの機器分析データを示す。
【0056】
化合物3b:1H NMR; δ: 10.20 (1H, s), 7.64 (1H, ddd, J=9.4, 7.2, 2.3 Hz), 6.86 (1H, ddd, J=9.4, 7.2, 2.3 Hz), 4.00 (3H, s). FAB MS; 173 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 173.0418, Calcd for C8H7F2O2 m/z 173.0414 [M+H]+.
【0057】
(1−1−3)化合物3bから4bの合成
化合物3b (234 mg) をジクロロメタン2.7 mLに溶解し、三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液 (1 M) 3.4 mLを滴下した。反応液を室温で2時間攪拌した後、メタノール6 mLをゆっくり滴下して反応を停止させ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 10 g, n-hexane:EtOAc=3:1)によって精製し化合物4b (107 mg)を得た。
以下に、化合物4bの機器分析データを示す。
【0058】
化合物4b: 1H NMR; δ: 10.20 (1H, s), 7.60 (1H, ddd, J=8.9, 7.1, 1.9 Hz), 6.90 (1H, ddd, J=8.9, 7.1, 1.9 Hz). FAB MS; 159 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 159.0255, Calcd for C7H5F2O2 m/z 159.0257 [M+H]+.
【0059】
(1−1−4)化合物4bから5bの合成
化合物4b (120 mg) をジクロロメタン7.6 mLに溶解し、フェノール性水酸基をイミダゾール100 mg存在下tert−ブチルジメチルシリルクロリド 175 mg を室温で1時間作用させてtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS、又はTBS)基で保護し、反応液を飽和食塩水にあけ、酢酸エチルで分配抽出後、酢酸エチル相を5 % 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで粗抽出物160 mgを得た。粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 8 g, n-hexane:EtOAc=10:1)によって精製し、保護体(123 mg)を得た。続いて、得られた保護体 (117 mg) をテトラヒドロフラン(THF)2.2 mLに溶解し、氷冷下1.0 Mビニルマグネシウムブロミド THF溶液 0.65 mL を加えて、室温で1時間反応させた。氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液によって反応を停止させ、酢酸エチルで分配抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで得られる粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 6 g, n-hexane:EtOAc=10:1)によって精製し、アリルアルコール体5b (78 mg)を得た。
以下に、化合物5bの機器分析データを示す。
【0060】
化合物5b: 1H NMR; δ: 7.01 (1H, m), 6.69 (1H, m), 6.05 (1H, ddd, J=17.2, 10.4, 5.5 Hz), 5.45 (1H, brd, J=5.5 Hz), 5.36 (1H, d, J=17.2 Hz), 5.22 (1H, d, J=10.4 Hz), 0.99 (9H, s), 0.19 (6H, s). FAB MS; 301 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 301.1435, Calcd for C15H23F2O2Si m/z 301.1435 [M+H]+.
【0061】
(1−1−5)化合物5bから6bの合成
アリルアルコール体5b (45 mg)を1.5 mLのジクロロメタン中、Dess-Martin試薬160 mgを加えて、室温で2時間攪拌し水酸基をカルボニル基へと変換した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和重曹水を添加し透明になるまで室温で攪拌した。この混合液を酢酸エチルで分配抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで得られる粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 2 g, n-hexane:EtOAc=20:1)によって精製し、化合物6b (38 mg)を得た。
以下に、化合物6bの機器分析データを示す。
【0062】
化合物6b: 1H NMR; δ: 7.45 (1H, m), 7.04 (1H, ddd, J=17.0, 10.4, 3.5 Hz), 6.76 (1H, m), 6.43 (1H, dd, J=17.0, 1.5 Hz), 5.88 (1H, dd, J=10.4, 1.5 Hz), 0.98 (9H, s), 0.24 (6H, s). FAB MS; 299 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 299.1276, Calcd for C15H21F2O2Si m/z 299.1279 [M+H]+.
【0063】
(1−1−6)化合物6bから7bの合成
化合物6b (8.5 mg)をTHF 0.28 mL 中、(R)-オキサザボロリジンのトルエン溶液(1 M) 14μL の存在下、-40℃でボラン化合物であるジメチルスルフィドボラン錯体(BH3・SMe2) 2.0 M THF溶液18μLにより還元することで、立体選択的還元反応を行った。2.5時間後、反応溶液にMeOHを滴下して反応を停止させ、飽和食塩水を加えて酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで得られる粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 800 mg, n-hexane:EtOAc=10:1)によって精製し、化合物7b (2.8 mg)を得た。この光学活性アルコール7bは、光学活性HPLCカラム DAICEL chiral ODを用い、光学純度が61 % e.e.であることを確認した。
以下に、化合物7bの機器分析データを示す。
【0064】
化合物7b:[α]23D = -0.1 ° (c 0.91, EtOH). 1H NMR; δ: 7.01 (1H, m), 6.69 (1H, m), 6.05 (1H, ddd, J=17.2, 10.4, 5.5 Hz), 5.45 (1H, brd, J=5.5 Hz), 5.36 (1H, d, J=17.2 Hz), 5.22 (1H, d, J=10.4 Hz), 0.99 (9H, s), 0.19 (6H, s). FAB MS; 301 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 301.1433, Calcd for C15H23F2O2Si m/z 301.1435 [M+H]+. HPLC condition; DAICEL chiral OD 4.6 i.d.x 250 mm, mobile phase; Hex:iPrOH=99:1, flow rate; 1.0 mL/min, detection; UV (λ=254 nm), Rt: S 体 11.0 min, R 体: 9.6 min.
【0065】
(1−1−7)化合物7bから8bの合成
光学活性アルコール7b (2.8 mg)を0.4 mLのTHF中、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)1.0 M THF溶液0.03 mLを加えて室温で1時間攪拌させ、tert-ブチルジメチルシリル基を脱離させた。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで分配抽出後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで粗ジオール体を抽出物として得た。このジオール体をピリジン0.2 mLに溶解させ、氷冷下で無水酢酸0.2 mLを加え、室温で3時間攪拌することにより両水酸基をアセチル化し、氷冷下飽和食塩水を滴下して反応を停止させ、酢酸エチルで分配抽出後、酢酸エチル相を5 % 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後減圧下溶媒を留去することで粗抽出物3.7 mgを得た。粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2 600 mg, n-hexane:EtOAc=4:1)によって精製し、化合物8b (2.5 mg)を得た。
以下に、化合物8bの機器分析データを示す。
【0066】
化合物8b: [α]23D = -21.6 ° (c 0.25, EtOH). 1H NMR; δ: 7.13 (1H, ddd, J=6.9, 4.6, 2.3 Hz), 6.92 (1H, ddd, J=6.9, 4.6, 2.3 Hz), 6.48 (1H, d, J=6.0 Hz), 5.99 (1H, ddd, J=17.2, 10.3, 6.0 Hz), 5.32 (1H, d, J=17.2 Hz), 5.29 (1H, d, J=10.3 Hz), 2.35 (3H, s), 2.12 (3H, s). FAB MS; 271 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 270.0780, Calcd for C13H13F2O4 m/z 270.0782 [M+H]+.
【0067】
(1−2)化合物8cおよび8dの合成
出発原料として、化合物1bに代えて2,3,6-トリフルオロフェノール1c(市販品)を用いる以外は8bの合成と同様にして2,3,5-トリフルオロアナログ8cを合成した。また、出発原料として、化合物1bに代えて2,3,5,6-テトラフルオロフェノール1d(市販品)を用いる以外は8bの合成と同様にして2,3,5,6-テトラフルオロアナログ8dを合成した。
【0068】
(1−3)化合物8a、8eおよび8fの合成
出発原料として、3-フルオロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド4a(市販品)を用い、化合物4bから8bの合成、すなわち前記(1−1−4)〜(1−1−7)と同様にして3-フルオロアナログ8aを合成した。さらに、出発原料として3-クロロ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド4e(市販品)を用いる以外は8aの合成と同様にして3-クロロアナログ8eを合成し、出発原料として3-ブロモ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド4f(市販品)を用いる以外は8aの合成と同様にして3-ブロモアナログ8fを合成した。以下に、これらの合成により得た化合物の機器分析データを示す。
【0069】
化合物5a: 1H NMR; δ: 7.08 (1H, dd, J=11.5, 2.2 Hz), 6.98 (1H, dd, J=8.2, 2.2 Hz), 6.88 (1H, dd, J=8.2, 8.4 Hz), 6.01 (1H, ddd, J=17.2, 10.3, 6.0 Hz), 5.33 (1H, ddd, J=17.2, 1.5, 1.2 Hz), 5.20 (1H, ddd, J=10.3, 1.5, 1.3 Hz), 5.13 (1H, brd, J=6.0 Hz), 0.99 (9H, s), 0.18 (6H, s). FAB MS; 283 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 283.1528, Calcd for C15H24FO2Si m/z 283.1529 [M+H]+.
【0070】
化合物6a: 1H NMR; δ: 7.71 (1H, dd, 11.4, 2.2 Hz), 7.66 (1H, dd, 8.5, 2.2 Hz), 7.12 (1H, dd, J=17.0, 10.3 Hz), 7.00 (1H, dd, J=8.5, 7.9 Hz), 6.43 (1H, dd, J=17.0, 1.3 Hz), 5.90 (1H, dd, J=10.3, 1.3 Hz), 1.00 (9H, s), 0.23 (6H, s). FAB MS; 281 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 281.1375, Calcd for C15H22FO2Si m/z 281.1373 [M+H]+.
【0071】
化合物7a: [α]23D = -0.2 ° (c 0.65, EtOH). 1H NMR; δ: 7.08 (1H, dd, J=11.5, 2.2 Hz), 6.98 (1H, dd, J=8.2, 2.2 Hz), 6.88 (1H, dd, 8.2, 8.4 Hz), 6.01 (1H, ddd, J=17.2, 10.3, 6.0 Hz), 5.33 (1H, ddd, J=17.2, 1.5, 1.2 Hz), 5.20 (1H, ddd, J=10.3, 1.5, 1.3 Hz), 5.13 (1H, brd, J=6.0 Hz), 0.99 (9H, s), 0.18 (6H, s). FAB MS; 283 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 283.1531, Calcd for C15H24FO2Si m/z 283.1529 [M+H]+. HPLC condition; DAICEL chiral OD 4.6 i.d.x 250 mm, mobile phase; Hex:iPrOH=99:1, flow rate; 1.0 mL/min, detection; UV (λ=254 nm), Rt: S 体 13.5 min, R 体: 12.9 min.
【0072】
化合物8a: [α]23D = -34.2 ° (c 0.11, EtOH). 1H NMR; δ: 7.31 (1H, d, J=10.9 Hz), 7.27 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.25 (1H, dd, J=8.5, 6.1 Hz), 6.37 (1H, d, J=6.1 Hz), 6.09 (1H, ddd, J=17.0, 10.4, 6.1 Hz), 5.46 (1H, d, J=17.0 Hz), 5.42 (1H, d, J=10.4 Hz), 2.47 (3H, s), 2.26 (3H, s). FAB MS; 253 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 253.0874, Calcd for C13H14FO4 m/z 253.0876 [M+H]+.
【0073】
化合物5e: 1H NMR; δ: 7.36 (1H, d, J=2.2 Hz), 7.12 (1H, dd, J=8.3, 2.2 Hz), 6.86 (1H, d, J=8.3 Hz), 6.01 (1H, ddd, J=16.9, 10.3, 5.9 Hz), 5.34 (1H, ddd, J=16.9, 1.2, 1.2 Hz), 5.21 (1H, ddd, J=10.3, 1.2, 1.2 Hz), 5.12 (1H, brd, J=5.9 Hz), 1.02 (9H, s), 0.22 (6H, s). FAB MS; 299[M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 299.1235, Calcd for C15H2435ClO2Si m/z 299.1234 [M+H]+.
【0074】
化合物6e:1H NMR; δ: 8.01 (1H, d, 2.3 Hz), 7.78 (1H, dd, 8.4, 2.3 Hz), 7.19 (1H, dd, J=17.1, 10.5 Hz), 6.94 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.43 (1H, dd, J=17.1, 1.8 Hz), 5.91 (1H, dd, J=10.5, 1.8 Hz), 1.05 (9H, s), 0.28 (6H, s). FAB MS; 297 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 297.1076, Calcd for C15H2235ClO2Si m/z 297.1077 [M+H]+.
【0075】
化合物7e: [α]23D = -0.1 ° (c 0.41, EtOH). 1H NMR; δ: 7.36 (1H, d, J=2.2 Hz), 7.12 (1H, dd, J=8.3, 2.2 Hz), 6.86 (1H, d, J=8.3 Hz), 6.01 (1H, ddd, J=16.9, 10.3, 5.9 Hz), 5.34 (1H, ddd, J=16.9, 1.2, 1.2 Hz), 5.21 (1H, ddd, J=10.3, 1.2, 1.2 Hz), 5.12 (1H, brd, J=5.9 Hz), 1.02 (9H, s), 0.22 (6H, s). FAB MS; 299[M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 299.1234, Calcd for C15H2435ClO2Si m/z 299.1234 [M+H]+. HPLC condition; DAICEL chiral OD 4.6 i.d.x 250 mm, mobile phase; Hex:iPrOH=99:1, flow rate; 1.0 mL/min, detection; UV (λ=254 nm), Rt: S 体 13.6 min, R 体: 12.9 min.
【0076】
化合物8e: [α]23D = -40.8 ° (c 0.05, EtOH). 1H NMR; δ: 7.44 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.27 (1H, dd, J=8.3, 2.0 Hz), 7.12 (1H, d, J=8.3 Hz), 6.22 (1H, d, J=5.9 Hz), 5.95 (1H, ddd, J=17.0, 10.4, 5.9 Hz), 5.33 (1H, dd, J=17.0, 1.2 Hz), 5.28 (1H, dd, J=10.4, 1.2 Hz), 2.36 (3H, s), 2.13 (3H, s). FAB MS; 269 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 269.0585, Calcd for C13H1435ClO4 m/z 269.0580 [M+H]+.
【0077】
化合物5f:1H NMR; δ: 7.53 (1H, d, J=2.2 Hz), 7.17 (1H, dd, J=8.4, 2.2 Hz), 6.84 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.00 (1H, ddd, J=17.2, 10.3, 5.8 Hz), 5.34 (1H, d, J=17.2 Hz), 5.21 (1H, d, J=10.3 Hz), 5.14 (1H, br), 1.04 (9H, s), 0.24 (6H, s). FAB MS; 345 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 345.0734, Calcd for C15H2479BrO2Si m/z 345.0729 [M+H]+.
【0078】
化合物6f:1H NMR; δ: 8.18 (1H, d, 2.2 Hz), 7.82 (1H, dd, 8.4, 2.2 Hz), 7.12 (1H, dd, J=17.0, 10.6 Hz), 6.92 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.44 (1H, dd, J=17.0, 1.8 Hz), 5.91 (1H, dd, J=10.6, 1.8 Hz), 1.05 (9H, s), 0.24 (6H, s). FAB MS; 341 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 341.0576, Calcd for C15H2279BrO2Si m/z 341.0572 [M+H]+.
【0079】
化合物7f: [α]23D = -0.1 ° (c 0.33, EtOH). 1H NMR; δ: 7.53 (1H, d, J=2.2 Hz), 7.17 (1H, dd, J=8.4, 2.2 Hz), 6.84 (1H, d, J=8.4 Hz), 6.00 (1H, ddd, J=17.2, 10.3, 5.8 Hz), 5.34 (1H, d, J=17.2 Hz), 5.21 (1H, d, J=10.3 Hz), 5.14 (1H, br), 1.04 (9H, s), 0.24 (6H, s). FAB MS; 345 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 345.0732, Calcd for C15H2479BrO2Si m/z 345.0729 [M+H]+. HPLC condition; DAICEL chiral OD 4.6 i.d.x 250 mm, mobile phase; Hex:iPrOH=99:1, flow rate; 1.0 mL/min, detection; UV (λ=254 nm), Rt: S 体 15.0 min, R 体: 14.1 min.
【0080】
化合物8f: [α]23D = -39.9 ° (c 0.09, EtOH). 1H NMR; δ: 7.60 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.31 (1H, dd, J=8.2, 2.0 Hz), 7.12 (1H, d, J=8.2 Hz), 6.22 (1H, d, J=6.0 Hz), 5.95 (1H, ddd, J=16.9, 10.2, 6.0 Hz), 5.33 (1H, d, J=16.9 Hz), 5.28 (1H, d, J=10.2 Hz), 2.36 (3H, s), 2.13 (3H, s). FAB MS; 313 [M+H]+. FAB HR-MS; Obsd m/z 313.0078, Calcd for C13H1479BrO4 m/z 313.0075 [M+H]+.
【0081】
(2)アナログのRevタンパク質核外移行阻害活性
(1)で合成したアナログ(化合物8a〜8f)のRevタンパク質核外移行阻害活性を以下のようにして測定した。
【0082】
すなわち、まず、Revに含有される核外移行シグナル配列NESとGFP(蛍光タンパク質)およびNLS(核移行シグナル)の融合タンパク質を発現する酵母(NLS-GFP-NES fusion protein発現分裂酵母。Kudo N. et al. Exp. Cell Res. 1998, 242, 540-547.)の培養液90μLを96ウェルのプレートに分注した。次に、被検薬物(化合物8a〜8fのいずれか)をDMSOに溶解させ、培地を用いて適切な濃度に希釈した後、この被検薬物溶液10μLを先の96ウェルプレートに添加して合計100μLとした。なお、ここで添加したDMSOの終濃度は1%とした。続いて30℃で3時間震盪培養し、培養液10μLを用いて作製したプレパラートを蛍光顕微鏡下で観察し、蛍光タンパク質の局在を確認した。そして、核のみ蛍光を発している酵母の数が80%以上の場合に(+)、50%以上80%未満の場合に(±)、50%未満の場合に(-)と評価した。すなわち、評価が(-)の場合は、大部分の酵母について、核、細胞質ともに蛍光が観察され、蛍光タンパク質の核外移行阻害が見られなかったことを表している。下記表1に、この評価結果を示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1から分かる通り、本実施例で合成したハロゲン化アナログは、Revタンパク質核外移行阻害活性を示し、さらに、母体化合物(シーズ化合物)の1’-(S)-アセトキシシャビコールアセテートよりもRevタンパク質核外移行阻害活性が高かった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明した通り、本発明によれば、優れたRevタンパク質核外移行阻害活性あるいは抗HIV活性を示し得る新規な化合物である1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩を提供することができる。本発明の化合物は、従来の抗HIV剤である逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤とは異なる作用機序であるRevタンパク質の核外移行阻害によって抗HIV活性を示し、そのことにより、既存薬に対する耐性ウィルスに対しても有効に作用する。さらに、本発明の化合物は、抗HIV剤のみならず、その他の医薬品、新規抗HIVリード化合物、飲食品、サプリメント、Revタンパク質核外移行メカニズム研究用ツール等、種々の利用が期待できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化1】


前記式(I)中、
1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲンであり、X1〜X4の少なくとも一つはハロゲンであり、
1およびR2は、それぞれアシル基であり、飽和でも不飽和でも良く、直鎖状でも分枝状でも良く、環状構造を含んでいてもいなくても良く、同一でも異なっていても良く、
3〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、または炭化水素基(飽和でも不飽和でも良く、直鎖状でも分枝状でも良く、環状構造を含んでいてもいなくても良い)である。
【請求項2】
前記一般式(I)で表される1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物が、下記一般式(I’)で表される光学異性体である請求項1に記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化2】


前記式(I’)中、X1〜X4およびR1〜R5は、前記式(I)と同じである。
【請求項3】
下記式8a〜8fのいずれかで表される1’−アセトキシシャビコールアセテートハロゲン化物である請求項1に記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化3】


8a:X1=H, X2=F, X3=H, X4=H
8b:X1=F, X2=F, X3=H, X4=H
8c:X1=F, X2=F, X3=F, X4=H
8d:X1=F, X2=F, X3=F, X4=F
8e:X1=H, X2=Cl, X3=H, X4=H
8f:X1=H, X2=Br, X3=H, X4=H
【請求項4】
下記式(II)で表されるアルデヒドと下記式(III)で表される Grignard 試薬から下記式(IV)で表されるアルコールを製造する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩の製造方法。
【化4】


前記式(II)〜(IV)中、X1〜X4およびR3〜R5は前記式(I)と同じであり、X5は塩素、臭素またはヨウ素であり、Qは保護基である。
【請求項5】
下記式(V)で表されるケトンの不斉還元により下記式(IV’)で表される光学活性アルコールを製造する工程を含む請求項2または3に記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体もしくは立体異性体、またはそれらの塩の製造方法。
【化5】


前記式(V)および(IV’)中、X1〜X4およびR3〜R5は前記式(I)および(I’)と同じであり、Qは保護基である。
【請求項6】
請求項1〜3に記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの物質を有効成分とする医薬品。
【請求項7】
抗HIV剤として用いる請求項6に記載の医薬品。
【請求項8】
請求項1〜3に記載の1’−(アシルオキシ)シャビコールエステルハロゲン化物、その互変異体および立体異性体、ならびにそれらの塩からなる群から選択される少なくとも一つの物質を含み、飲食品、サプリメント、またはRevタンパク質核外移行メカニズム研究用ツールとして用いられる製品。


【公開番号】特開2008−56626(P2008−56626A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237476(P2006−237476)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】