説明

1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物

【課題】香料、医薬品、農薬品その他の有機合成薬品用中間体として有用な1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物の提供。
【解決手段】例えば、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンのような1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は3位に、アルコキシ基、或はアルキレンジオキシ基などの置換基により置換されたフェニル基を有する1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物に関するものである。
本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は、香料、医薬品、農薬品、及びその他の有機合成薬品の中間体として有用なものである。
【背景技術】
【0002】
Bull, Soc, Chim, France, 1961, p1194〜1198(非特許文献1)には、1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物の合成法として、1,2−ジメトキシベンゼンと、アルケニリデンジアセテートとを、三フッ化ホウ素エーテル錯体により活性化された四塩化チタンの存在下において反応させて、1−アセトキシ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロペンを合成する方法が開示されている。しかし、この方法による目的化合物の収率は62%と報告されていて、不満足なものである。上記合成法を、本発明の発明者らが、追試したところ、目的化合物の収率は12%に過ぎず、また、多数の副生成物が生成して、反応混合液は褐色を示すことが認められた(本願比較例3参照)。またこの合成方法においては使用される四塩化チタンは、空気中の水分により分解する程不安定な化合物であって、その取扱いには煩雑なケアが必要である。
【0003】
さらに、本発明の発明者らは、上記合成方法を、3,4−メチレンジオキシベンゼンと、アルケニリデンジアセテートとの反応に適用したところ、三フッ化ホウ素エーテル錯体により活性化された四塩化チタンによって、3,4−メチレンジオキシベンゼンの分解反応が進行し、目的化合物の収率は43.1%であって、不満足なものであった。(本願比較例1参照)。さらに、3,4−メチレンジオキシベンゼンの分解を抑止又は防止するために、アルケニリデンジアセテート1モルに対し、0.1モルの四塩化チタンを用いて、反応を試みたが目的化合物の収率は、9.8%に低下した(本願比較例2参照)。
【0004】
特開昭55−141437号公報(特許文献1)には、t−ブチルベンゼンと、メタクロレインと、アセチルクロライドとを、化学量論量のルイス酸の存在下に反応させて1−アセトキシ−2−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)プロペンを合成する方法が開示されている。この方法において、ルイス酸として、四塩化チタンを用いたとき、目的化合物の収率は46.2%であり、また、三フッ化ホウ素エーテル錯体を用いた場合の目的化合物の収率は2.3%であって、いずれの場合も目的化合物の収率が低く、不満足なものであった。
【特許文献1】特開昭55−141437号公報
【非特許文献1】Bull, Soc, Chim, France, 1961, p1194-1198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、香料、医薬品、農薬品及びその他の有機合成薬品の中間体として有用な1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物により達成することができる。
本発明は、下記一般式(I):
【化1】

〔但し、上記式(I)において、R1及びR2は、それぞれ互に独立に、水素原子及び1〜10個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選ばれた1員を表し、但し、R1基とR2基とは、互に結合して、プロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状基を形成していてもよく、Aは、下記式(II)及び(III);
【化2】

により表される1群の置換フェニル基から選ばれた1員を表し、R3及びR4は、それぞれ互に独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、mは0又は1〜4の整数を表し、nは1〜5の整数を表し、kは1又は2の整数を表す〕
により表される1−アセトキシ−2−メチル−3−(置換フェニル)プロペン化合物を提供する。
本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は下記式(IV)及び(V):
【化3】

〔上記式(IV)及び(V)において、R1及びR2は前記定義のとおりである〕
により表される1−アセトキシ−3−(3,4−C1乃至C2アルキレンジオキシフェニル)プロペンから選ばれることが好ましい。
また、本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物において、前記(IV)及び(V)において、R1が、水素原子を表し、かつR2がメチル基を表すことが好ましい。
また、本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は、下記化合物:
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペン、
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−エチレンジオキシフェニル)プロペン、及び
1−アセトキシ−2−メチル−3−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペン、
からなる群から選ばれることが好ましい。
【0007】
本発明において用いられる周期表は、18族型元素周期表、IUPAC、無機化学命名法、1990年規則に基づく。
また、「トリフラート」は、トリフルオロメタンスルホネートを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により香料、医薬品、農薬品その他の有機合成薬品の中間体として有用な1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は、前記一般式(I)により表わされ、それに含まれる不斉炭素及び/又は二重結合に基づく、多種立体異性体を包含する。
【0010】
本発明の1−アセトキシ−2−メチル−3−(置換フェニル)プロペン化合物は、下記一般式(VI)及び(VII):
【化4】

〔但し、上記式(VI)及び(VII)において、R3及びR4、並びにn、m及びkは前記のとおりである〕
により表される1群のベンゼン化合物から選ばれた1員と、下記一般式(VIII):
【化5】

〔但し、上記式(VIII)において、R1及びR2前記のとおり〕
により表されるアルケニリデンジアセテート化合物とを、(a)ハロゲン化ホウ素化合物、(b)元素周期表における11族元素のトリフラート化合物、(c)元素周期表の12族元素のハロゲン化合物、並びに(d)錫、及び原子番号58及び66〜71のランタノイド元素のトリフラート化合物及びハロゲン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含む触媒の存在下において、反応させることにより製造することができる。
【0011】
本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物を製造する方法は、前記一般式(VI)及び(VII)により表される1群のベンゼン化合物から選ばれた1員と、前記一般式(VIII)により表されるアルケニリデンジアセテートとを、後に詳記する特定の触媒の存在下において反応させることを含むものである。式(VI)及び(VII)のベンゼン化合物は、一般式(II)及び(III)により表される置換フェニル基に対応するものであり、一般式(VIII)のアルケニリデンジアセテートは、一般式(I)においてA基に結合している。1−アセトキシプロペン基に対応するものである。
【0012】
本発明化合物の製造方法に用いられる特定触媒は、
(a)ハロゲン化ホウ素化合物、
(b)元素周期表における11族元素のトリフラート化合物、
(c)元素周期表の12族元素のハロゲン化合物、及び
(d)錫、及び原子番号58及び66〜71のランタノイド元素のトリフラート化合物及びハロゲン化合物
からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むものである。
【0013】
上記製造方法において、前記一般式(VI)により表されるベンゼン化合物は、アニソール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、ピロガロールトリメチルエーテル、及びヒドロキシハイドロキノントリメチルエーテルから選ばれることが好ましく、特にアニソール及びベラトロールが用いられることが好ましい。これらは市販グレードのものを用いてもよい。
【0014】
また、前記一般式(VII)により表されるベンゼン化合物は、1,2−メチレンジオキシベンゼン及び1,2−エチレンジオキシベンゼンから選ばれることが好ましい。
【0015】
さらに前記一般式(VIII)により表されるアルケニリデンジアセテートは、3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン、3,3−ジアセトキシプロペン、3,3−ジアセトキシ−1−メチルプロペン、3,3−ジアセトキシ−2−エチルプロペン、3,3−ジアセトキシ−1−エチルプロペン及び3,3−ジアセトキシ−1−エチル−2−メチルプロペンからなる群から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、市販品グレードのものであってもよいが、必要により、Bull. Soc. Chim. Frame, 1961, p1194〜1198(非特許文献1)に記載の方法により、α,β−不飽和アルデヒドと、無水酢酸から調製することもできる。これらの化合物は異性体を包含する。
【0016】
一般式(VIII)により表されるアルケニリデンジアセテートにおいてR1及びR2は、互に結合し、プロペン基の2位及び3位の炭素原子とともに環状基を形成していてもよく、このような環状基としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などがあり、シクロヘキサン環であることが好ましい。
【0017】
アルケニリデンジアセテートの調製に用いられるα,β−不飽和アルデヒドとしては、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、α,β−ジメチルアクロレイン、α−エチルアクロレイン、β−エチルアクロレイン、β−プロピルアクロレイン、α−シクロヘキシルアクロレインなどが挙げられるが、好ましくはアクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドであり、更に好ましくはメタクロレインである。
【0018】
本発明化合物の製造方法に用いられる触媒用ハロゲン化ホウ素化合物(a)は、例えば、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素酢酸錯塩、三フッ化ホウ素二水和物、及び三フッ化ホウ素n−ブチルエーテル錯体などが挙げられるが、好ましくは三フッ化ホウ素エーテル錯体、三フッ化ホウ素酢酸錯塩が用いられる。これら化合物は市販品グレードのものを使用することができる。
【0019】
また触媒用11族元素のトリフラート化合物(b)は銅トリフラート及び銀トリフラートから選ばれることが好ましい。
【0020】
さらに触媒用12族元素のハロゲン化合物(c)は、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、フッ化カドミウム、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、フッ化水銀、塩化水銀、臭化水銀及びヨウ化水銀を包含し、これらの中では、亜鉛のハロゲン化合物を用いることが好ましく、塩化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0021】
さらに触媒用錫及び原子番号58及び66〜71のランタノイド元素のトリフラート化合物及びハロゲン化合物(d)は、スズトリフラート、弗化スズ、塩化スズ、臭化スズ、沃化スズ、弗化セリウム、塩化セリウム、臭化セリウム、沃化セリウム、セリウムトリフラート、弗化ジスプロシウム、塩化ジスプロシウム、臭化ジスプロシウム、沃化ジスプロシウム、ジスプロシウムトリフラート、弗化ホルミウム、塩化ホルミウム、臭化ホルミウム、沃化ホルミウム、ホルミウムトリフラート、弗化エルビウム、塩化エルビウム、臭化エルビウム、沃化エルビウム、エルビウムトリフラート、弗化ツリウム、塩化ツリウム、臭化ツリウム、沃化ツリウム、ツリウムトリフラート、弗化イッテルビウム、塩化イッテルビウム、臭化イッテルビウム、沃化イッテルビウム、イッテルビウムトリフラート、弗化ルテチウム、塩化ルテチウム、臭化ルテチウム、沃化ルテチウム、ルテチウムトリフラート等、又はこれら化合物の水和物を包含する。これらの中では、塩化スズ、スズトリフラート、エルビウムトリフラート、ツリウムトリフラート、塩化イッテルビウム、イッテルビウムトリフラート又はルテチウムトリフラートを用いることが好ましく、塩化スズ又は塩化イッテルビウムを用いることがより好ましい。
【0022】
本発明化合物の製造方法において、前記反応に用いられる前記ベンゼン化合物と、前記アルケニリデンジアセテート化合物とがモル比:1〜50:1で使用されることが好ましい。また、触媒は、アルケニリデンアセテート1モルに対し0.005〜1モル以下の添加量で使用されることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5モルであり、更に好ましくは0.01〜0.2モルである。触媒の添加量が、1モルをこえると、反応終了後の触媒の回収・分解、廃棄などに煩雑な操作が必要になり、本発明方法を工業的スケールで実施するためには不都合になることがあり、また、それが、0.005モル未満であると、反応を実用的時間内、例えば24時間以内で完結させることができなくなることがある。
【0023】
本発明化合物の製造方法における反応は、溶媒中において行ってもよいが、無溶媒で行うことが好ましい。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化ベンゼンなどの芳香族炭化水素類及び芳香族ハロゲン化炭化水素類、或は塩化メチレン、ジクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類なども用いることができる。
【0024】
上記製造方法における反応温度は、原料化合物、触媒の種類及び濃度に応じて適宜に設定することができるが、一般に、−10〜80℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。本発明方法における反応時間は、前記原料化合物、触媒の種類、濃度及び反応温度に応じて適宜設定することができるが、一般に、0.5〜24時間であることが好ましく、0.5〜12時間であることがより好ましい。
【0025】
上記製造方法における反応雰囲気には、格別の限定はないが、一般に、原料化合物(一般式(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物、前記触媒及び反応生成化合物に不反応性なガス、例えば窒素ガス、及びアルゴンなどの不活性ガス、の1種以上からなる雰囲気又は気流中で行われることが好ましい。また、反応圧力は、通常大気圧下で行われるが、これに限定されるわけではない。
【0026】
本発明化合物の製造方法により合成された1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は、反応終了後の反応混合液から、通常の分離回収工程、例えば抽出、濃縮、及び濾過などの後処理により分離回収され、必要に応じて、この回収物に、蒸留、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの精製処理を施して精製される。
【0027】
本発明化合物の製造方法により製造される1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物を表す一般式(I)において、R1及びR2は、水素原子又はC1〜C10アルキル基を表し、好ましくは、R1及びR2の少なくとも一方が、C1〜C10アルキル基を表す。R1及びR2により表されるC1〜C10アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基を包含し、これらは各種異性体を包含する。R1及びR2が表すアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
【0028】
一般式(I)において、R1及びR2により表されるアルキル基は、その末端において互に結合(融合)して、プロペン基の1位及び2位の炭素原子とともに環状基を形成していてもよく、この環状基としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環などがあり、シクロヘキサン環であることが好ましい。
【0029】
一般式(I)の化合物における、Aが表わす一般式(II)及び(III)の置換フェニル基において、R3及びR4は、それぞれ互に独立にC1〜C4アルキル基を表し、mは0又は1〜4の整数を表し、nは1〜5の整数を表し、kは1又は2の整数を表す。R3及びR4が表すC1〜C4アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基を包含し、それぞれは異性体を包含する。C1〜C4アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びsec−ブチル基から選ばれることが好ましい。
【実施例】
【0030】
本発明を、下記実施例によりさらに説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により制限されるものではない。
尚、1−アセトキシ−2−メチル−3−(置換フェニル)プロペンの収率は、3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン基準で算出した。
【0031】
実施例1
アルゴンガス雰囲気中において、20℃下で、20mlのフラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン(6.83g、56.0mmol)と、含量:91.8質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(1.05g、5.6mmol)との混合溶液を入れ、これに、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(74mg、0.52mmol)を混合した。混合物を温度23℃において1時間攪拌した得られた反応液に酢酸エチル(50ml)混合し、反応液中に形成される有機層を分離接取して水(50ml)で三回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/13(v/v)により1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペン1.15gを白色結晶として析出させて捕集した。得られた目的化合物の単離収率は88%であった。
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの物性値を下記に示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ=1.56 (3H, d, J=1.5Hz), 2.15 (3H, s), 3.18 (2H, s), 5.92 (2H, s), 6.63 (1H, dd, J=7.8Hz, J=1.5Hz), 6.67 (1H, d, J=1.5Hz), 6.72 (1H, d, J=7.8Hz), 7.02 (1H, q, J=1.5Hz).
13C-NMR (75.5MHz, CDCl3) δ=13.43, 20.78, 40.05, 100.86, 108.10, 109.10, 121.31, 121.70, 131.24, 132.79, 146.08, 147.69, 168.26.
元素分析:
C(%) H(%)
13144としての予想値 66.66 6.02
測定値 66.71 6.16
【0032】
実施例2
アルゴンガス雰囲気中において、20℃下で、20mlのフラスコ中に、1,2−メチレンジオキシベンゼン(6.83g、55.97mmol)と、含量:88.0質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(0.96g、4.88mmol)との混合溶液を入れ、これに、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(77mg、0.54mmol)を混合した。この混合液を温度23℃で1時間攪拌した得られた反応液に、アセトニトリル(100mL)を混合し、この混合物を高速液体クロマトグラフィーに供し、絶対検量線法にて反応液の分析を行った。その結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収率は97.1%であった。また、反応液には5.86gの未反応1,2−メチレンジオキシベンゼンが含まれていた。
【0033】
実施例3〜6
実施例3〜6の各々において、実施例2と同様にして、反応及び分析を行った。但し使用する1,2−メチレンジオキシベンゼン、3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン、及び三フッ化ホウ素エーテル錯体の量、反応温度及び反応時間を表1に記載されているように変更した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
[注](*)1 化合物1:1,2−メチレンジオキシベンゼン
(*)2 化合物2:3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン
(*)3 化合物3:1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフ ェニル)プロペン
(*)4 BF3・Et2O・三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体
【0036】
実施例7
アルゴンガス雰囲気中において、20℃で、20mlのフラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン(6.83g、56.0mmol)と塩化亜鉛(152mg、1.12mmol)との混合溶液を入れ、これに含量:100質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(0.96g、5.60mmol)を混合した。この混合液を内温23℃で3時間攪拌した後、得られた反応液にアセトニトリル(85ml)を混合し、この混合液を高速液体クロマトグラフィーに供した、絶対検量線法にて反応液の分析を行った。その結果、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収率は88.3%であった。また、反応液には6.06gの未反応1,2−メチレンジオキシベンゼンが含まれていた。
【0037】
実施例8
アルゴンガス雰囲気中において、20℃で、25mlのフラスコに、1,2−メチレンジオキシベンゼン(2.44g、20.0mmol)と銅トリフラート(72mg、0.20mmol)の混合溶液を入れ、これに含量:100質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(0.38g、2.0mmol)を混合した。この混合液を内温22℃で6時間攪拌した後、得られた反応液にエタノール(10ml)を混合し、これを高速液体クロマトグラフィーに供した、絶対検量線法にて反応液の分析を行った。その結果によれば、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収率は84.0%であった。また、反応液には2.17gの未反応1,2−メチレンジオキシベンゼンが含まれていた。
【0038】
実施例9〜11
実施例9〜11の各々において、実施例7と同様の反応を行った。但し、使用する1,2−メチレンジオキシベンゼン、3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン及び塩化亜鉛の量、反応時間を表2に記載のように変更した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
[注](*)1 化合物1:1,2−メチレンジオキシベンゼン
(*)2 化合物2:3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン
(*)3 化合物3:1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフ ェニル)プロペン
【0041】
実施例12
アルゴンガス雰囲気中、200ml容積の4ツ口フラスコに、含量:89.6質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(19.22g、100mmol)及びアニソール(108.14g、1.0mol)を入れた。これに内温24℃で三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.42g,10mmol)を2分かけて混合し、この混合液を内温24〜25℃で1時間攪拌し反応させた。反応終了後、得られた反応液を20mlの水で2回水洗し、更に20mlの飽和食塩水で洗浄した。分液により得られた有機層を減圧蒸留(20mmHg、55〜57℃)し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製し、無色液体として目的の1−アセトキシ−2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロペンを得た。その収率は93.4%であり、その収量は20.58gであった。
【0042】
実施例13
アルゴンガス雰囲気中、25ml容積の3ツ口フラスコに、含量:89.6質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(1.92g、10mmol)と、ハイドロキノンジメチルエーテル(13.82g、100mmol)とを入れた。これに、内温54℃で三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.14g、1mmol)を1分かけて混合し、内温53〜54℃で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液に酢酸エチル150mlを加え、20mlの飽和食塩水により2回洗浄した。この反応液を分液後、得られた有機層を減圧蒸留(20mmHg、55〜57℃)し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製し、無色固体として目的の1−アセトキシ−2−メチル−3−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペン(収率77.4%、収量1.94g)を得た。
1−アセトキシ−2−メチル−3−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペンの物性値を下記に示す。
1H NMR (300MHz, CDCl3) δ:1.63 (3H, d, J=1.5Hz), 2.13 (3H, s), 3.26 (2H, s), 3.75 (3H, s), 3.77 (3H, s), 6.70〜6.74 (2H, m), 6.78 (1H, d, J=9.6Hz), 6.99 (1H, q, J=1.5Hz).
13C NMR (75.5MHz, CDCl3) δ:13.75, 20.76, 33.73, 55.66, 56.06, 111.57, 120.58, 128.67, 131.58, 151.98, 153.55, 168.17.
HRMS(EI)(M+) C14H18O4としての計算値:250.1205、測定値:250.1198
【0043】
実施例14
アルゴンガス雰囲気中、25ml容積の3ツ口フラスコに、含量89.6質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(1.92g、10mmol)と、ハイドロキノンジメチルエーテル(13.82g、100mmol)とを入れた。これに、内温54℃で三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.14g、1mmol)を1分かけて混合し、内温53〜54℃で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液について、高速液体クロマトグラフィーを用いて定量分析を行ったところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペンの収量は2.16g(収率86.0%)であった。
【0044】
実施例15
アルゴンガス雰囲気中、100ml容積の4ツ口フラスコに、1,2−ジメトキシベンゼン(69.2g、500mmol)、含量:89.6質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(9.61g、50mmol)を入れ、これに内温24〜25℃にて塩化亜鉛(1.36g、10mmol)を混合した。この混合液を内温25〜26℃で1.5時間攪拌し反応させた後、飽和食塩水50mlで反応液を3回洗浄した。有機層を分離して減圧蒸留(8〜10mmHg、80〜84℃)に供し、蒸留残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)にて精製し、無色液体として目的の1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロペン(収率95.1%、収量11.9g)を得た。
【0045】
実施例16
アルゴンガス雰囲気中、25ml容積の3ツ口フラスコに、1,2−ジメトキシベンゼン(13.82g、100mmol)、含量:92.0質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(1.87g、10mmol)を入れ、これに内温18〜19℃にて三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.142g、1mmol)を加えた。得られた混合液を内温22〜23℃で2時間攪拌し、反応が終了した後、反応液を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量分析を行った結果、目的の1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロペンの収率は94.4%(収量2.36g)であった。
【0046】
実施例17
アルゴンガス雰囲気中、100mlの3ツ口フラスコに、イッテルビウムトリフラート(イッテルビウムトリフルオロメタンスルホネート)(1.86g,3mmol)を入れ、これに、1,2−メチレンジオキシベンゼン(61.38g,502.6mmol)を混合した。この混合液に内温38〜40℃で、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(19.30g,100.0mmol)を30分かけて混合し、この混合液を、内温40〜41℃で3時間攪拌した。得られた反応混合液を16mlの水で3回水洗を行い、それぞれの洗浄後の水層を濃縮乾固してイッテルビウムトリフラートを回収した。水洗後の有機層を高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は19.57g(収率83.6%)であった。
【0047】
実施例18
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.44g,17.8mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.2g,100.0mmol)を入れた。これに、内温39℃で三塩化イッテルビウム・6水和物(0.23g,0.6mmol)を加え、得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し、高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.89g(収率93.1%)であった。
【0048】
実施例19
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.212g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃でイッテルビウムトリフラート(実施例17の回収品:0.37g,0.6mmol)を混合し、得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.64g(収率77.7%)であった。
【0049】
実施例20
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに、内温38℃で錫トリフラート(0.25g,0.6mmol)を混合し、得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は4.10g(収率87.6%)であった。
【0050】
実施例21
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃で四塩化錫(0.16g,0.6mmol)を混合し、得られた反応混合液を、内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーにより定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は4.15g(収率88.5%)であった。
【0051】
実施例22
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃でセリウムトリフラート(0.36g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を、内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.64g(収率77.7%)であった。
【0052】
実施例23
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃でジスプロシウムトリフラート(0.37g,0.6mmol)を加えた。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し、高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.26g(収率69.6%)であった。
【0053】
実施例24
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに、内温38℃でホルミウムトリフラート(0.37g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.56g(収率76.1%)であった。
【0054】
実施例25
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃でルテチウムトリフラート(0.37g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.91g(収率83.5%)であった。
【0055】
実施例26
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに、内温38℃でツリウムトリフラート(0.370g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.89g(収率82.9%)であった。
【0056】
実施例27
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)および1,2−メチレンジオキシベンゼン(12.21g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃でエルビウムトリフラート(0.37g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペンの収量は3.77g(収率80.5%)であった。
【0057】
実施例28
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)およびアニソール(10.82g,100.0mmol)を入れ、これに内温38℃で銅トリフラート(0.22g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロペンの収量は4.09g(収率92.7%)であった。
【0058】
実施例29
アルゴンガス雰囲気中、25mlの3ツ口フラスコに、含量:89.2質量%の3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(3.86g,20.0mmol)およびアニソール(11.0g,101.8mmol)を入れ、これに、内温38℃でイッテルビウムトリフラート(0.37g,0.6mmol)を混合した。得られた反応混合液を内温39〜40℃で3時間攪拌した。得られた反応液をアセトニトリルで希釈し高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、1−アセトキシ−2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロペンの収量は4.15g(収率94.2%)であった。
【0059】
実施例30
アルゴン雰囲気下、24℃下で、25mlの3つ口フラスコに1,2−エチレンジオキシベンゼン(含量:97質量%,7.04g,51.7mmol)と3,3−ジアセトキシ−2−メチルプロペン(含量:89.2質量%,0.97g,5.0mmol)の混合溶液に三フッ化ホウ素エーテル錯体(71mg,0.5mmol)を加えた。内温24℃で2時間攪拌した後、反応液に酢酸エチル(50ml)を加え、得られた有機層を水(50ml)で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5(v/v)により1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−エチレンジオキシフェニル)プロペン0.97gを油状物として得た。単離収率は78.2%であった。
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−エチレンジオキシフェニル)プロペンの物性値を下記に示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ:1.59 (3H, d, J=1.5Hz), 2.14 (3H, s), 3.15 (2H, s), 4.23 (4H, s), 6.64 (1H, dd, J=8.1Hz, J=2.0HZ), 6.69 (1H, d, J=2.0Hz), 6.77 (1H, d, J=8.1Hz), 7.02 (1H, q, J=1.5Hz).
HRMS(EI) (M+) C14H16O4としての計算値:248.1049、測定値:248.1051
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、香料、医薬品、農薬品、その他の有機合成薬品の中間体として有用な1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物を提供するものである。本発明の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物は上記のように産業上の高い利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

〔上記式(I)において、R1及びR2は、それぞれ、かつ互に独立に、水素原子及び1〜10個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選ばれた1員を表し、但し、R1及びR2はプロペン基の2−及び3−位に位置している炭素原子とともに環状基を形成していてもよく、Aは、下記式(II)及び(III);
【化2】

(但し、上記式(II)及び(III)において、R3及びR4は、それぞれ、互に独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、mは、0又は1〜4の整数を表し、nは、1〜5の整数を表し、kは、1又は2の整数を表す)により表される一群の置換されたフェニル基から選ばれた1員を表す。〕
により表される1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物。
【請求項2】
下記式(IV)及び(V):
【化3】

〔上記式(IV)及び(V)において、R1及びR2は前記定義のとおりである〕
により表される1−アセトキシ−3−(3,4−C1乃至C2アルキレンジオキシフェニル)プロペンから選ばれる、請求項1に記載の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物。
【請求項3】
前記式(IV)及び(V)において、R1が、水素原子を表し、かつR2がメチル基を表す、請求項2に記載の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物。
【請求項4】
下記化合物:
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロペン、
1−アセトキシ−2−メチル−3−(3,4−エチレンジオキシフェニル)プロペン、及び
1−アセトキシ−2−メチル−3−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペン、
からなる群から選ばれる、請求項1に記載の1−アセトキシ−3−(置換フェニル)プロペン化合物。

【公開番号】特開2006−104203(P2006−104203A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301595(P2005−301595)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【分割の表示】特願2005−502498(P2005−502498)の分割
【原出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】