説明

1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン、該化合物を含む組成物、及びそれらの使用

本発明は、新規な化合物に関し、とりわけ新規な1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン、それを含む組成物、及びその使用に関する。
本発明は特に治療活性、とりわけ癌に有用な新規な置換1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オンに関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物に関し、とりわけ、新規な1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン、それらを含む組成物、及び医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は抗癌活性、とりわけチューブリンの重合抑制活性を示す新規な特定の1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オンに関する。
【背景技術】
【0003】
1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オンは、フェニル環がインドールで置き換わったカルコン類のサブクラスを表す。一般に、カルコン類は、一世紀以上にわたって広範囲に文献に記載されている。しかしながら、数百の刊行物がカルコン類の治療用途を対象にしているが、腫瘍にそれらを使用することを言及しているものは少ない。
【0004】
腫瘍にカルコン類を使用することを記載した文献の中から、下記の特許と刊行物を挙げることができる。
【0005】
WO 01/72980は、抗癌と抗炎症の活性を示す置換カルコン類を開示している。
【0006】
WO 99/22728は、特にかつ一般的に、ステロイドホルモンに対する5α−還元酵素の活性を抑制するため、脱毛症、禿頭症、肥満症、皮膚病、前立腺癌、及び乳癌のような病状の治療のための置換カルコン類をクレームしている。
【0007】
WO 99/00114は、そのプロパ−2−エン−1−オン鎖が飽和又は不飽和でよいカルコン類の使用をクレームしている。
【0008】
WO 98/58913は、増殖抑制作用を有する1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−アリール−プロパ−2−エン−1−オンから誘導されたカルコン類を記載している。
【0009】
EP 288794−B1は、1−アリール−3−(4−X−フェニル)プロパ−2−エン−1−オン(ここでXは置換基NR2又はNHCOR,R=アルキル)を腫瘍に使用することをクレームしている。
【0010】
WO 91/17749は、特定のカルコン類を用いた癌の治療法をクレームしている。これらのカルコン類は、非常に一般的に記載されクレームされている。
【0011】
Michael L. Edwardsらは、文献「J.Med.Chem.1990,Vol.33,pp1948−1954」の中で、抗有糸分裂剤として使用可能なカルコン類を紹介している。カルコン類が示されインビトロで癌細胞系において試験されている。
【0012】
Sylvie Duckiらは、文献「Bioorg. Med.Chem.Letters 1988,vol.8,pp1051−1056」で、抗有糸分裂活性を有するカルコン類を紹介している。彼らの研究は、上記引用のMichael L.Edwardsらの研究を基礎にしている。著者は、4−N,N−ジメチルアミノ置換基を4−メトキシ置換基と3−ヒドロキシ置換基で置き換えることが、とりわけK562細胞に関して、抗有糸分裂活性を相当に改良することを観察している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
しかしながら、驚いたことに、1−アリール−3−(インドール−5−イル)プロパ−2−エン−1−オン単位を有する生成物が、高いチューブリンの重合抑制活性を有することが見出されている。
【0014】
さらに、これらの生成物は、インビボで壊死を非常に大きく誘発し、このことは、癌の治療のための有効な薬剤の今後の開発にとって非常に望ましい結果である。
【0015】
また、本発明の生成物を用いると、テスト生成物の注入から数分以内に、腫瘍の壊死が生じ、その腫瘍の中心が一日以内に完全に壊され、そして周辺の正常細胞には明らかな作用がないことが観察されている。したがって、これらの生成物は、手術できない腫瘍患者、即ち、(i)患者の当面の延命にとって、又は(ii)患者のクオリティ・オブ・ライフへの起こり得る影響にとって、外科切除が非常に高い危険性を与える(無効)患者の治療に有用であることができる。
【0016】
さらに、本発明の生成物は、生体によって概ね迅速に代謝され、長期間にわたる影響を制限する。
【0017】
与えられたもう1つの課題は、カルコン類の生成物の検討の際に遭遇することが多い不利を被ることなく、上記の全ての利点を有する生成物を得ることにあった。これらの不利とは、(i)心毒性の問題であり、これは具体的には、Hergリセプタの抑制を測定することによって評価することができる、(ii)最終的には、程度は比較的低いが変異原性の問題であり、これは具体的には、Amesテストによって評価することができる。
【0018】
これまでに、本出願人は、上記の分野において相当な研究努力を注いできたが、その知見から、これらの全ての基準を同時に満足する2つの非常に小さな生成物の類を、ようやく特定することができた。
【0019】
これらの生成物は、次式(I)に対応する:
【化1】

ここで、
a)Yは、ハロゲン、メチルからなる群より選択され、
b)Arは、下記の群から選択され、
【化2】

c)Rは次の通りである:
−CH2−CH2−OH。
【0020】
本発明の生成物は異性体を含む。異性体のうち、Z異性体とE異性体は本発明の一部を形成する。E異性体が好ましい。
【0021】
好ましくは、YはCH3である。
【0022】
さらに、この類の中で2つの生成物が、注目できる特質とりわけ溶解性の問題に関する付加的な利点のため区別できる。この溶解性の問題は、通常、重大な副作用を引き起こしかねないプロドラッグ又はガレヌス製剤を調製することによって、不満足にしか解決されていない。
【0023】
これらの2つの生成物とは、次のものである。
- E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノン:
【化3】

及び
- E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノン:
【化4】

【0024】
本発明の生成物の価値は、医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて、医薬組成物の形態に調製することによって有利に高めることができる。
【0025】
本発明による生成物は、病的状態の治療、とりわけ癌の治療に有用な医薬の製造に使用することができる。
【0026】
また、本発明は、選択される投与形態に応じた医薬的に許容される賦形剤との組み合わせの、本発明の化合物を含む治療用組成物に関する。この医薬組成物は、固体又は液体の形態、あるいはリポソームの形態で提供することができる。
【0027】
固体組成物としては、記載された散剤、ゼラチンカプセル剤、及び錠剤が挙げられる。経口剤型には、胃の酸性媒体から保護される固体形態もまた挙げることができる。この固体形態に使用されるキャリヤは、とりわけ、燐酸塩や炭酸塩のような無機キャリヤ、又はラクトース、セルロース、スターチ、又はポリマーのような有機物キャリヤが挙げられる。液体形態には、液剤、懸濁剤、又は分散剤が挙げられる。それらは、分散性キャリヤとして、水、又は有機溶媒(エタノールやNMP等)、あるいは界面活性剤と溶媒との混合物、又は錯化剤(complexing agent)と溶媒との混合物を含む。
【0028】
液体形態は、好ましくは注射可能であり、したがって、こうした用途に受け入れられる処方を有するものとなるであろう。
【0029】
注射による投与の許容可能なルートは、静脈内、腹腔内、筋肉内、及び皮下のルートが挙げられ、静脈内ルートが好ましい。
【0030】
投与される本発明化合物の用量は、投与ルート、患者、及び患者の状態に応じて、医者によって調整される。
【0031】
本発明の化合物は、単独で、又は別な抗癌剤との混合物として投与することができる。あり得る併用薬を下記に示す。
・アルキル化剤、とりわけ、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド、クロランブシル、ブスルファン、チオテパ、プレドニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ステプトゾトシン、デカルバジン、テモゾロミド、プロカルバジン、及びヘキサメチルメラミン
・白金誘導体、とりわけ、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン
・抗生物質剤、とりわけ、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン
・抗微小管(antimicrotubule)剤、とりわけ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンオレルビン、タキソイド(パクリタキセル、ドセタキセル)
・アントラサイクリン、とりわけ、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ロソキサントロン
・グループIとIIのトポイソメラーゼ、例えば、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、及びトムデックス
・フルオロピリミジン、例えば、5−フルオロウラシル、UFT、フロクスウリジン
・シチジン類似体、例えば、5−アザシチジン、シタラビン、ゲムシタビン、6−メルカプトムリン、6−チオグアニン
・アデノシン類似体、例えば、ペントスタチン、シタラビン、又はフルダラビンホスフェート
・メトトレキサートとホリン酸
・種々の酵素と化合物、例えば、L−アスパラギナーゼ、ヒドロキシウレア、トランス−レチノイン酸、スラミン、デクスラゾキサン、アミホスチン、ハーセプチン、エストロゲン、アンドロゲンホルモン
・抗血管新生剤、例えば、コンブレタスタチン又はコルヒチンの誘導体及びそれらのプロドラッグ
【0032】
また、本発明の化合物を放射線療法と組み合わせることもできる。これらの治療は、同時に、別々に、又は順次に行うことができる。この治療は、医者によって治療される患者に適合されるであろう。
【0033】
本発明による生成物は、血管組織に由来する細胞群の崩壊を促進することができる。より詳しくは、本発明の生成物は、癌細胞の成長を抑制し、同時に存在する血管を破壊する最初の治療用途に用いることができる。血管新生の抑制は、下記の細胞脱離テストによって定量される。
【0034】
血管新生抑制の定量を可能にするテスト
内皮細胞の脱離を定量するテストを、“インビトロ”の活性に関して生成物を選択するために開発した。内皮細胞の脱離を定量するためのこのテストは、底が好ましくはゼラチン、フィブロネクチン、又はビトロネクチンから選択された結合剤で覆われた平板培地に、内皮細胞を植え、培養の後、テストされるべき化合物を含む培地でサプリメントされ、次いでその細胞が蛍光物質で標識され、脱離した細胞が洗浄除去され、残存する細胞の蛍光が蛍光光度計でカウントされることを特徴とする。
【0035】
このテストは、好ましくは、フィブロネクチン、ビトロネクチン、又はゼラチンから選択された結合剤を主成分とする基体の上で培養された内皮細胞の脱離を測定することからなる。好ましくは、例えば、96ウェルを含む平板培地に細胞を植えた1日後、テストすべき化合物を含んで血清を含まない培地にその培地を置き換える。同様の調製を、3つの異なる濃度(0.1、 0.3、 及び0.6μM)で6回、及び抗血管新生剤生成物を添加しない6回の対照について行う。テストされるべき物質で処理した2時間後、0.1% BSAでサプリメントした培地の中で、細胞をカルセイン−AM(1.6μg/ml)で標識する。脱離した細胞は、0.1%ウシ血清アルブミンを含む培地で洗浄除去し、各ウェルに100μlの培地を添加する。残存する細胞の蛍光を蛍光光度計でカウントする。得られたデータは、対照(未処理の細胞)との比較で表す。
【0036】
インビトロにおける内皮細胞の脱離の評価は、次の仕方で定量する。HDMEC細胞(Human Dermal Microvascular Endothelial Cell(ヒトの皮膚の微小血管の内皮細胞), Promocell, c−122102)を、5%のウシ胎仔血清、増殖因子(EGF10ng/ml、ヒドロコルチゾン1μg/ml、ヘパリン入りの0.4%成長サプリメント)、及び抗生物質(アンホテラシン50ng/ml、ゲンタマイシン50μg/ml)を含むECGM−MV培地に培養する。脱離テストのため、フィブロネクチン(10μg/ml)又はビトロネクチン(1μg/ml)又はゼラチンをプレコートしたきれいな底の96ウェル平板培地(Coster)の中に5000細胞のHDMECを植える。2時間後、その培地を、表示された生成物を含むECGM−MV 0.1% BSA培地と交換する。テスト濃度は、各生成物について0.1〜0.3μM、及び1μMである。処理の2時間後、ECGM−MV 0.1% BSA培地の中のカルセイン(1.6μg/ml、Molecular Probes)で1時間にわたって標識化する。次いで脱離した細胞をECGM−MV 0.1% BSA培地で洗浄除去し、100μlの培地を各ウェルに添加する。ウェルの基体に結合したままの細胞の蛍光を、蛍光光度計Spectrafluor Plus(Tecan励起485nm、発光535nm)を用いてカウントする。データは、6つの異なるサンプルの平均であり、対照(未処理の細胞)の百分率として表す。
【0037】
15%以上の細胞脱離効果は有意であると考えられる。
【0038】
本発明による生成物は、チューブリンの重合を抑制するのに有用であることができる。チューブリンの抑制は、インビトロで行うことができる。チューブリンのインビトロにおける抑制方法の例を以下に記載する。
【0039】
チューブリンの重合抑制の評価
チューブリンは、公表された方法「Shelanskiら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,70,765−768.Weingartenら,1975,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,72,1858−1862」にしたがい、ブタの脳から精製される。簡単に言うと、脳を磨砕し、抽出バッファー中で遠心分離する。抽出物の上清に含まれるチューブリンは、ホスホセルロースP11カラム(Whatman)を用いたクロマトグラフィーによりMAPs(Microtubule Associated Protein,微小管付随タンパク質)から分離される前に、37℃での重合と4℃での解重合の2つの順次のサイクルに供される。このようにして分離したチューブリンは、純度が95%を上回る。これを呼称RB/2の30%グリセロールのバッファーに保存し、この組成は次の通りである:50mM MES−NaOH[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]、pH6.8;0.25mM MgCl2;0.5mM EGTA;30%(v/v)グリセロール、0.2mM GTP(グアノシン−5'−トリホスフェート)。
【0040】
チューブリンの微小管への重合は、次のように比濁法によってモニターされる:1mMのGTPと6mMのMgCl2を添加したRB/2の30%グリセロールのバッファー中で、チューブリンを10μM(1mg/ml)の濃度に調整する。温度調節キュベットホルダーを備えたUVIKON931分光光度計(Kontron)の中に配置した1cmの光路長を有するキュベットの中で、温度を6℃から37℃に高めることによって、重合を誘発させる。溶液の濁度の増加を350nmでモニターする。
【0041】
生成物をDMSO中に10mM溶解させ、重合前にいろいろな濃度(0.5〜10μM)でチューブリン溶液に添加する。IC50は、50%の割合で重合を抑制する生成物の濃度と定義する。IC50が3μM以下の生成物は非常に活性であると考えられる。
【0042】
Hela腫瘍細胞又は内皮細胞HDMECの増殖抑制の評価
Hela又はHDMEC細胞の増殖を、次のようにして14Cチミジンの取り込みを測定することによって評価する。Hela細胞(ヒトに由来する上皮腫瘍細胞)を、10%のウシ胎仔血清と抗生物質(1%ペニシリン、1%ストレプトマイシン)を含むDMEM培地(Gibco)で培養する。増殖テストを行うため、細胞を1ウェルあたり5000細胞の割合で96ウェルCytostarミクロプレート(Amersham)に植える。次いで、14Cチミジン(0.1μCi/ウェル)と評価すべき生成物を添加する。10μM以下のいろいろな濃度で生成物を用い、DMSO(生成物を可溶性にするために用いる溶媒)は、培地中で0.5%を超えないようにする。37℃での培養で48時間後、細胞中に取り込まれた放射能を、TRI−LUXカウンター(Wallac)の中の平板培地をカウントすることによって測定する。IC50は、未処理の対照と比較して、放射能が50%低下する生成物の濃度と定義する。IC50が1μM未満である生成物は細胞傷害性であると考えられる。
【0043】
インビボにおける腫瘍壊死の評価
マウスを、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME,USA)より入手の種からIFFA-CREDO(Domaine des Oncins,69210 L'Arbresle,France)によって、あるいはCharles River(USA)より入手の種からCharles River France(76410 St Aubin les Elbeuf,France)によって飼育する。マウスは、試験の開始時には初めに18gを上回る重さがある。マウスは、食物(UAR reference 113,Villemoisson,91160 Epinay sur Org,France)と水を自由に摂取する。
【0044】
用いた腫瘍は、現在、本発明者らの研究所に移植している。これらの腫瘍はいずれもNational Cancer Institute(NCI)の冷凍腫瘍貯蔵庫のFrederick Cancer Research Facility(Fredrick,MD,USA)、又はAmerican Type Culture Collection(ATCC,Rockville,MD,USA)にある。
【0045】
腫瘍の移植、化学療法、及びデータ解析の手法は、詳細に発表されている(Corbettら、1982a;Corbettら、1982b)。
【0046】
要約すると、1つの実験に必要な動物が集められ、日数0(ゼロ)で左右相称に(bilaterally)移植される。充実性腫瘍の成長は、所望のサイズまで自由に進行する。次いで、マウスは、溶液中のテスト化合物の静脈注射の処置をされる。
【0047】
腫瘍サンプルの採取は、通常(必須ではない)、処置後の24時間に行われる。
【0048】
脳を転位させてマウスを絶命させる。移植した腫瘍、それを覆う皮膚、及び周辺組織を回収し、10%(v/v)ホルムアルデヒド(Carlo Erba,Val de Reuil,France)の中に保存する。
【0049】
次いでサンプルを処置し、セクションに切断し、ヘマトキシリン、エオシン、及びサフランイエローで染色し、次いで肉眼的に検査する。腫瘍の壊死(壊死±変性)は、0から5までの範囲の等級を用いて鏡検して評価する。
0= 壊死は存在しない
1= ごく僅か <5%
2= 少ない 5〜25%
3= 中程度 25〜50%
4= 顕著 50〜75%
5= 多量 >75%
【0050】
テスト化合物の投与の24時間後に腫瘍壊死に対して付された値は、生成物に応じた壊死にもっぱら対応するものであり、これは実験に起因する全ての既存の壊死から確かに区別することができる。
【0051】
実験による壊死を、未処理の対照に基づいて評価した。
【0052】
腫瘍モデルは、C51ネズミ腺癌である。この結腸腫瘍は、グレードIIIの粘膜結腸腺腫である。これは、雌性のBALB/cマウスにおいて、18日ごとの連続皮下継代によって維持される。実験は、雌性のBALB/cマウスで行なわれた。
【0053】
結果
記載の条件下で、次の結果が下記の実施例について得られた。
実施例2:
選択の投薬:35mg/kg − グレード5の壊死
【0054】
参照文献
CORBETT,T.H.,LEOPOLD,W.R.,DYKES,D.J.,ROBERTS,B.J.,GRISWOLD,D.P.,Jr.and SCHABEL,F.M.,Jr.,Toxicity and anticancer activity of a new triazine antifolate (NSC 127755).Cancer Res.,1982a,42,1707−1715.
CORBETT,T.H.,ROBERTS,B.J.,TRADER,M.W.,LASTER,W.R.,Jr.,GRISWOLD,D.P.,Jr.and SCHABEL F.M.,Jr.,Response of transplantable tumors of mice to anthracenedione derivatives alone and in combination with clinically useful agents.Cancer Treat.Rep.,1982b,66,1187−1200.
【0055】
定義
「ハロゲン」とはF、Cl、Br、及びIから選択される元素である。
【0056】
一般式(I)のカルコン:
【化5】

(ここに、Arは先に定義されたものであり、Yはハロゲン原子と異なるものであり、RはインドールのNH官能基を保護する基である)は、一般式(II)の芳香族ケトン(Yはハロゲン原子と異なるものである)と一般式(III)の芳香族アルデヒドを、スキーム(I)にしたがい「J.Med.Chem.,1990,33,1948」に記載の条件下で結合させることによって製造することができる。
【化6】

【0057】
この操作は、一般に、ピペリジン、酢酸、及びモレキュラーシーブの存在下で、エタノールのようなアルコールの還流温度において、ソックスレー型装置において行われる。
【0058】
一般式(II)のケトンと一般式(III)のアルデヒドの間の結合は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、又はtert−ブチルジメチルシリルのような保護基を用いて実施できることが理解されている。インドールのNH官能基のための保護基の結合と開裂は、「Protective Groups in Organic Chemistry (Wiley publisher)」に記載の条件下で行うことができる。
【0059】
一般式(III)の芳香族アルデヒドは市販されているか、または、文献に既述されている。
【0060】
一般式(II)の芳香族ケトンは文献に記載されており、また、一般に、市販の対応する芳香族アルデヒドから製造することもできる。Yがメチル基の場合、その手順は、アルデヒドと適切に選択された有機金属試薬を反応させ、次いで「J.Med.Chem.,1990,33,1948」に記載の条件下で得られたベンジルアルコールを酸化させることによって首尾よく行うことができる。
【0061】
一般式(I)のカルコン:
【化7】

(ここに、Arは上記の通りであり、Rはハロゲン交換の条件下で置換されない置換基、Yはハロゲン原子、好ましくは臭素又はヨウ素原子である)は、ハロゲンの付加とその後のカルコンの脱ハロゲン化水素反応によって製造することができ、ここで、Yはスキーム(II)においてハロゲン原子である。インドールの窒素を例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、又はtert−ブチルオキシカルボニルによって保護する形態でこの一連の付加・脱離を行い、次いで脱保護することは、とりわけ有益である。Yがフッ素の場合、当業者には公知のように、シリル化された保護基の使用は推奨されない。
【0062】
【化8】

【0063】
ハロゲン、好ましくは臭素又は塩素の付加は、一般に、クロロホルムや四塩化炭素のような溶媒中で0〜50℃の温度において行う。脱ハロゲン化水素は、一般に、ジクロロメタンのような溶媒中で、トリエチルアミン又は水酸化ナトリウム又は炭酸カリウムのような有機又は無機塩基の存在下で、0℃から反応媒体の還流温度までの温度において行う。この脱ハロゲン化水素は、とりわけtert−ブチルオキシカルボニル基の場合、使用される保護基に応じて、インドールの窒素の少なくとも部分的な脱保護を同時に伴うことができる。
【0064】
一般式(I)のカルコン:
【化9】

(ここに、Ar、R、及びYは本発明に一致する)は、置換基Rが水素原子である一般式(I)のカルコンのアルキル化によって製造することができる。この反応は、2つの段階で行われる。第1の段階において、例えば、NaH、LiH、又はKHのようなアルカリ金属水素化物を利用してアルカリ金属塩の形態でインドールの窒素を活性化した後、2−ブロモエトキシ−tert−ブチルジメチルシランのようなハロゲン化アルキルを、Rが2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチルである一般式(I)の生成物を生成させるために反応させる。第2の段階は、テトラ−N−ブチルアンモニウムフルオリドのようなアルカリ金属フッ化物を利用して、トリメチルシリル保護基を開裂させ、Rが−CH2CH2OHである本発明の生成物を生成させることからなる。
【0065】
〔実施例〕
下記の実施例は、本発明の説明のために提示するものである。
【0066】
実施例1: E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノン
【化10】

【0067】
段階1: ピペリジン2mlと酢酸1mlを含むエタノール100ml中の2.24gの1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパノン(「Biorg.Med.Chem.1998,8(9),1051」にしたがって製造できる)と2.76gの1−tert−ブチルオキシカルボニルインドール−5−カルボキシアルデヒド(「J.Org.Chem.2002,67(17),6256−59」にしたがって製造できる)を、3Åモレキュラーシーブ充填のソックスレーを載置した25mlの3つ口フラスコに順次に入れた。反応媒体を還流下で48時間にわたって加熱した。冷却の後、反応媒体を減圧下で濃縮し、次いで酢酸エチル100mlに取り、有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル(70〜230メッシュ)上のフラッシュ・クロマトグラフィーと、シクロヘキサンと酢酸エチルの混合物(容量比70/30)を用いた溶出によって精製し、薄黄色のオイルの形態で、2.2gの純粋なE−2−メチル−3−[1−(1−tert−ブチルオキシカルボニル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンを得た。これをそのまま次の段階に使用した。
【0068】
段階2: 0.7gのE−2−メチル−3−[1−(1−tert−ブチルオキシカルボニル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンをTHF15mlに溶かした。次いでメタノール1.5mlとナトリウムメトキシド0.25gを順次に添加した後、室温で18時間にわたって反応媒体を撹拌した。減圧下で濃縮した後、反応媒体を酢酸エチル75mlと水35mlに取った。有機相をデカンテーションによって分離し、水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、ジクロロメタンとジイソプロピルエーテルの混合物(容量比50/50)を用いた溶出によって精製した後、オレンジ色のオイルの形態で、505mgの純粋なE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンを得た。この特性は下記の通りであった。
マススペクトル(EI): m/z=351
元素分析: C=71.26%、H=6.54%、N=3.72%
【0069】
段階3: 360mgの水素化ナトリウム(オイル中60%)を、0℃に冷やしたピリジン40ml中の段階2で得られた1.4gのE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンの溶液にゆっくりと添加した。ガスの発生が止まるまで0℃で1時間にわたって撹拌した後、960mgの2−ブロモエトキシ−tert−ブチルジメチルシランを添加し、反応媒体を60℃で2時間にわたって加熱した。水80mlを添加した後、反応媒体を酢酸エチル50mlで3回抽出した。合一した有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた茶色のオイル状の残留物を、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、ジクロロメタンとジイソプロピルエーテルの混合物(容量比50/50)を用いた溶出によって精製した。このようにして1.5gのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンを黄色のオイルの形態で得、これを次の段階でそのまま使用した。
【0070】
段階4: テトラヒドロフラン50mlの中の1.5gのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンの溶液を、テトラヒドロフラン中のテトラ−N−ブチルアンモニウムフルオリド1M溶液の23.5mlとともに室温で48時間にわたって撹拌した。水25mlを添加した後、反応媒体を酢酸エチル5mlで3回抽出した。合一した有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で乾燥するまで濃縮した。オレンジ色の残留物を、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、ジクロロメタンとエタノールの混合物(容量比95/5)を用いた溶出、さらにイソプロパノールからの結晶化によって精製した。このようにして750mgのE−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノンを得、この特性は次の通りであった。
マススペクトル(EI): m/z=395
元素分析: C=69.72%、H=6.25%、N=3.53%
融点(Kofler)=119℃
【0071】
実施例2: E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノン
【化11】

【0072】
段階1: アルゴン雰囲気下の250mlの3つ口フラスコ内で、DMF90mlとDMSO18mlの中に5gのインドール−5−カルボキシアルデヒドを溶解させ、次いで反応媒体を0℃に冷やした。次いでオイル中60%の水素化ナトリウム2.06gを分割して添加し、次いで室温に戻しながら、ガス発生が止まるまで反応媒体を撹拌した。次いで(2−トリメチルシリルエチル)オキシメチルクロリド8.6gを滴状で注いだ後、反応媒体を室温で20時間にわたって撹拌した。次いで反応媒体を水300mlと砕氷100gの混合物の上に注いだ後、酢酸エチル150mlで3回抽出した。合一した有機相を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた茶色のオイルを、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、シクロヘキサンと酢酸エチルの混合物(容量比70/30)を用いた溶出によって精製した。このようにしてオレンジ色のオイルの形態で9gの1−(2−トリメチルシリルエチル)オキシメチルインドール−5−カルボキシアルデヒドが得られ、これをそのまま次の段階で使用した。
【0073】
段階2: 2.1gの1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロパノン(「J.Org.Chem.1981,46(14),2969−71」にしたがって製造できる)と、ピペリジン2mlと酢酸1mlを含むエタノール100ml中の2.76gの1−(2−トリメチルシリルエチル)オキシメチルインドール−5−カルボキシアルデヒドを、還流下で加熱しながら96時間にわたって、3Åモレキュラーシーブ充填のソックスレーを載置した250mlの3つ口フラスコに順次に入れた。冷却の後、反応媒体を減圧下で濃縮し、100mlの酢酸エチルに取り、有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、シクロヘキサンと酢酸エチルの混合物(容量比70/30)を用いた溶出、さらにジイソプロピルエーテルからの結晶化によって精製した。白い結晶の形態で2gの純粋なE−2−メチル−3−[1−(2−トリメチルシリルエチル)オキシメチル−1−H−インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンを得た。この特性は次の通りであった。
融点(Kofler)=90℃
【0074】
段階3: アルゴン雰囲気下の250mlの3つ口フラスコ内で、42mlのTHFに2gのE−2−メチル−3−[1−(2−トリメチルシリルエチル)オキシメチル−1−H−インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンを溶かし、次いでTHF中のテトラ−N−ブチルアンモニウムフルオリドの1M溶液の4.3mlを添加し、反応媒体を還流下で20時間にわたって加熱した。減圧下で濃縮した後、反応媒体を酢酸エチル75mlと水75mlに取った。有機相をデカンテーションによって分離し、水洗し、硫酸マグネシウム上で乾かし、減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた赤色オイルを、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィー、シクロヘキサンと酢酸エチルの混合物(容量比70/30)を用いた溶出、さらにイソプロパノールからの結晶化によって精製した。このようにしてベージュ色の固体の形態で、420mgの純粋なE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンが得られた。この特性は次の通りであった。
融点(Kofler)=140℃
【0075】
段階4: 実施例1の段階3の手順を踏襲し、但し、実施例17で得られた671mgのE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノン、オイル中60%の水素化ナトリウム180mg、ピリジン20ml中の2−ブロモエトキシ−tert−ブチルジメチルシラン479mgから出発し、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物(容量比30/70)を用いた溶出による精製の後、黄色オイルの形態で、830mgのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンが得られた。これをそのまま次の段階に使用した。
【0076】
段階5: 実施例1の段階4の手順を20時間にわたって踏襲し、但し、テトラヒドロフラン25ml中の830mgのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンとテトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムフルオリドの1M溶液の13.5mlから出発し、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィー、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物(容量比50/50)を用いた溶出、さらにイソプロピルエーテルからの結晶化によって精製した後、ベージュ色の粉末の形態で、385mgのE−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)インドール−5−イル]−1−(3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェニル)プロペノンが得られた。この特性は次の通りであった。
マススペクトル(EI): m/z=379
元素分析: C=69.84%、H=6.50%、N=3.62%
融点(Kofler)=83℃
【0077】
実施例3: E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノン
【化12】

【0078】
段階1: 4.86gの1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロパノンと、ピペリジン5mlと酢酸2.53mlを含むエタノール280ml中の6.13gの1−tert−ブチルオキシカルボニルインドール−5−カルボキシアルデヒド(「J.Org.Chem.2002,67(17),6256−59」にしたがって製造できる)を、還流下で加熱しながら48時間にわたって、3Åモレキュラーシーブ充填のソックスレーを載置した500mlの3つ口フラスコに順次に添加した。冷却の後、反応媒体を減圧下で濃縮し、次いで100mlの酢酸エチルに取り、有機相を水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、シクロヘキサンと酢酸エチルの混合物(容量比90/10)を用いた溶出によって精製した。黄色オイルの形態で2.3gの純粋なE−2−メチル−3−[1−(1−tert−ブチルオキシカルボニル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンを得、これをそのまま次の段階に使用した。
【0079】
段階2: 2.3gのE−2−メチル−3−[1−(1−tert−ブチルオキシカルボニル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンを、テトラヒドロフラン57mlに溶かした。次いでメタノール5.7mlとナトリウムメトキシド0.73gを順次に加え、反応混合物を室温で20時間にわたって撹拌した。減圧下で濃縮した後、その反応媒体を酢酸エチル75mlと水35mlに取った。有機相をデカンテーションによって分離し、水洗し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物(容量比30/70)を用いた溶出による精製の後、黄色のペーストの形態で1.5gの純粋なE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンが得られた。この特性は次の通りであった。
マススペクトル(EI): m/z=321
融点(Kofler)=52〜55℃
【0080】
段階3: 例1の段階3の手順を踏襲し、但し、1gのE−2−メチル−3−(1−H−インドール−5−イル)−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノン、オイル中60%の水素化ナトリウム280mg、及びピリジン30ml中の2−ブロモエトキシ−tert−ブチルジメチルシラン750mgから出発し、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィーと、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物(容量比30/70)を用いた溶出による精製の後、茶色のオイルの形態で、1.45gのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンを得た。これをそのまま次の段階に使用した。
【0081】
段階4: 例1の段階4の手順を20時間にわたって踏襲し、但し、テトラヒドロフラン45ml中の1.45gのE−2−メチル−3−[1−(2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル)インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンとテトラヒドロフラン中のテトラ−N−ブチルアンモニウムフルオリドの1M溶液25mlから出発し、シリカゲル(70〜230メッシュ)上でのフラッシュ・クロマトグラフィー、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物(容量比30/70)を用いた溶出、さらにイソプロパノールからの結晶化によって精製した後、黄色い結晶の形態で、610mgのE−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノンが得られた。この特性は次の通りであった。
マススペクトル(EI): m/z=365
融点(Kofler)=112℃
【0082】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
a) Yは、ハロゲンとメチルからなる群より選択され、
b) Arは、下記の群:
【化2】

から選択され、
c) Rは、−CH2−CH2−OHである)
に相当する生成物及びこれらの異性体。
【請求項2】
YがCH3である請求項1に記載の生成物。
【請求項3】
下記式:
【化3】

で表わされる、E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノン。
【請求項4】
下記式:
【化4】

で表わされる、E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロペノン。
【請求項5】
下記式:
【化5】

で表わされる、E−2−メチル−3−[1−(2−ヒドロキシエチル)−1−H−インドール−5−イル]−1−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロペノン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の生成物を、医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項7】
チューブリンの重合抑制剤としての請求項1〜6のいずれか1項に記載の生成物の使用。
【請求項8】
腫瘍を供給する血管壁を形成する内皮細胞の脱離を促進させるための請求項1〜6のいずれか1項に記載の生成物の使用。
【請求項9】
腫瘍壊死を促進させるための請求項1〜6のいずれか1項に記載の生成物の使用。
【請求項10】
病的状態の治療に有用な医薬を製造するための請求項1〜6のいずれか1項に記載の生成物の使用。
【請求項11】
病的状態が癌である請求項10に記載の使用。

【公表番号】特表2006−525291(P2006−525291A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505814(P2006−505814)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001012
【国際公開番号】WO2004/099193
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(598006222)アベンティス・ファーマ・ソシエテ・アノニム (30)
【Fターム(参考)】