説明

1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンの精製

本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンの製造および精製に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第03/029232号(特許文献1)および国際公開第2007/144005号(特許文献2)として公表された国際特許出願は、化合物1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンおよびその塩が、セロトニントランスポーターならびにセロトニン受容体3および1A(5−HTおよび5−HT1A)への親和性を有することを開示している。この薬理学的プロファイルは、うつ病および不安などの情動障害の治療における前記化合物の使用を、魅力的なものにしている。実際に、この化合物は現在、情動障害の臨床試験に供されている。
【0003】
医薬品の製造は、活性医薬成分(API)の品質/純度に関して、多くのガイドラインおよび規則を有する、非常に管理された領域である。したがって、製造経路が高純度の最終生成物を保証することは必要条件であり、この目的への1つのアプローチは、特定の精製ステップを開発することである。
【0004】
結晶化および再結晶化は、精製された化合物を提供する周知のやり方である。国際公開第2007/144005号(特許文献2)に供与されている例は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンおよびその塩が、酢酸エチル、酢酸エチル/水、水およびトルエンなどの溶媒から結晶化され得ることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/029232号
【特許文献2】国際公開第2007/144005号
【特許文献3】米国特許第5,576,460号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hilfiker, R.(編者). Polymorphism in the Pharmaceutical Industry. Wiley-VCH、2006年、12〜13頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンおよびその薬学的に許容可能な塩の合成において、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジン−HBrから調製する段階を含むことによって、不純物が除去または低減され、ひいては精製された1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンおよびその薬学的に許容可能な塩、例えばHBr塩のβ形が得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
よって、一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr塩を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に溶解させることによって、溶液を得る段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法を提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒から析出させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法を提供する。
【0010】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、この化合物と安定した溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法に関する。
【0011】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物である化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形のXRPDである。
【図2】1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物のXRPDである。
【図3】1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物のTGAおよびDSCのサーモグラムである。
【図4】1−[2−(2,4−ジメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−4−(2−ピペラジン−1−イル−フェニル)−ピペラジンである。
【図5】1−[2−(5−クロロ−2,4−ジメチル−フェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンである。
【図6】1−[2−(2,6−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンおよびその薬学的に許容可能な塩の製造に使用され得る精製段階に関する。1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンの分子構造は、以下のように示される。
【0014】
【化1】

【0015】
特に、薬学的に許容可能な塩は、非毒性である酸の酸付加塩である。前記塩には、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス−メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、テオフィリン酢酸などの有機酸から作られる塩および8−ハロテオフィリン、例えば8−ブロモテオフィリンなどから作られる塩が含まれる。前記塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸などの無機酸から作られる塩も含まれ得る。特に、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、フマル酸、メソ−酒石酸、(+)−酒石酸、(−)−酒石酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜リン酸および硝酸から作られる塩が挙げられる。格別なものとして、臭化水素酸塩が挙げられる。
【0016】
国際公開第2007/144005号(特許文献2)に示されているように、1−[2−(2,4−ジメチルフェニル−スルファニル)フェニル]ピペラジンのHBr塩の結晶は多形であり、(少なくとも)3つの異なる形態、すなわちα形、β形およびγ形−アルファ形、ベータ形およびガンマ形で存在する。DSCおよび溶解度データから判断すると、β形が最も安定した形態であり、およそ6.86、9.73、13.78および14.62(°2θ)でのXRPD反射を特徴とする。β形のXRPDパターンを、図1に示す。1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形の調製には、例1を参照されたい。
【0017】
この化合物の製造方法は、国際公開第03/029232号(特許文献1)および国際公開第2007/144005号(特許文献2)に開示されている。1つの製造方法は、Buchwaldパラジウム触媒(米国特許第5,576,460号(特許文献3)を参照のこと)を利用して、N−アリール結合を調製する。この方法では、2,4−ジメチルチオフェノール、2−ブロモ−1−ヨードベンゼンおよびピペラジンを、適した溶媒、例えばトルエン中、高pHで、パラジウム源およびホスフィン配位子と一緒に混合する。他のジ−ハロゲンベンゼンを使用してもよく、ピペラジンは保護され得る。適したパラジウム源には、Pddba、PddbaおよびPd(OAc)が含まれる。dbaは、ジベンジリデンアセトンを略したものである。特に、Pddbaが挙げられる。適したホスフィン配位子には、ラセミ形2,2’−ビス−ジフェニルホスファニル−[1,1’]ビナフタレニル(rac−BINAP)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、ビス−(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEphos)、トリ−t−ブチルホスフィン(Fu’s塩)、ビフェニル−2−イル−ジ−t−ブチル−ホスフィン、ビフェニル−2−イル−ジシクロヘキシル−ホスフィン、(2’−ジシクロヘキシルホスファニル−ビフェニル−2−イル)−ジメチル−アミン、[2’−(ジ−t−ブチル−ホスファニル)−ビフェニル−2−イル]−ジメチル−アミンおよびジシクロヘキシル−(2’,4’,6’−トリ−プロピル−ビフェニル−2−イル)−ホスファンなどの単座配位子および二座配位子が含まれる。その上、カルベン配位子、例えば1,3−ビス−(2,6−ジ−イソプロピル−フェニル)−3H−イミダゾール−1−イウム;塩化物などをホスフィン配位子の代わりに使用してもよい。特に、rac−BINAPは、有用な配位子である。pHを増加させるまたは高めるために、塩基が反応混合物に加えられる。特に、NaO(t−Bu)、KO(t−Bu)およびCsCOから選択される塩基が有用である。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの有機塩基も、同様に適用され得る。特に、NaO(t−Bu)およびKO(t−Bu)が挙げられる。
【0018】
あるいは、チオフェノールおよびジ−ハロゲンベンゼンを、最初のステップで反応させて、フェニルスルファニルフェニルを得てもよく、これを単離した後、ピペラジンまたは保護されたピペラジンとさらに反応させて、所望の生成物を得てもよい。
【0019】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンの所望の塩を得るために、上記の方法において得られた対応する遊離塩基を、適切な酸と反応させて、塩を析出させることができる。特に、臭化水素酸水溶液を使用して、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを析出させることができる。
【0020】
本発明は、例えば、製造経路のうちのこのステップに使用することができる精製方法を提供する。この方法は、非常に精製された最終生成物を提供し、その上、この方法は、純度の低い出発物質を使用することができる。簡単に述べると、イソプロパノールを含む溶液中に、HBr塩を溶解させ、この溶液から、対応するイソプロパノール溶媒和物を析出させる。本発明者らの経験によると、溶液が65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む場合に、イソプロパノール溶媒和物が形成される。冷却することによって析出を行ってもよい。続いてイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させる。イソプロパノールおよび/または水は、例えば蒸留によって除去または低減してもよい。イソプロパノールを除去または低減することで、収率を増やすことができる。最後に、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを析出させる。析出のための溶媒および条件の選択、例えば、温度勾配、種晶添加は、得られる結晶形を制御するために使用され得る。「溶媒和物を形成しない溶媒」という用語は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr塩の安定した溶媒和物の形成に関与しない溶媒を指す。例として、水、THF(テトラヒドロフラン)、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、アセトンおよびトルエンならびにこの混合物が含まれる。特に、水と混合されたトルエンが挙げられる。特に、水中に80%を超えるトルエンを含む混合物が挙げられる。
【0021】
対応する溶媒和物の析出によって精製することは珍しく、Hilfiker, R.(編者). Polymorphism in the Pharmaceutical Industry. Wiley-VCH、2006年、12〜13頁)(非特許文献1)に論じられているように、そのような精製ステップは、一般に、精製される生成物が、溶媒のない形で結晶化することが難しい場合にのみ、推奨されている。
【0022】
HBr塩とは異なる塩が所望される場合には、精製されたHBr塩を出発物質として、さらなる処理工程に使用してよく、それらの工程では、HBr塩を溶解させ、場合によって遊離塩基形態を得、所望の塩を、適切な酸との析出によって得る。
【0023】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジン−HBr塩を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に、還流温度などの高温で溶解させることによって、溶液を得る段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法を提供する。あるいは、温度を上昇させない場合は、処理時間を長くする。特に、前記薬学的に許容可能な塩は、HBr塩のβ形である。一実施形態では、前記溶媒は、85%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒から、例えば冷却することによって析出させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法を提供する。特に、前記薬学的に許容可能な塩は、HBr塩のβ形である。一実施形態では、前記溶媒は、85%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させた後、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを析出させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造するための方法を提供する。特に、前記薬学的に許容可能な塩は、β形などのHBr塩である。
【0026】
一実施形態では、本発明は、
a)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、85%(v/v)を超えるイソプロパノールなどの、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に、例えば還流温度などの高温で溶解させることによって、溶液を得るステップと、
b)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、前記得られた溶液から、例えば冷却することによって、析出させるステップと、
c)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒、特に、90%を超えるなどの、80%を超えるトルエンを含む、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させるステップと、
d)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、c)で得られた溶液から、例えば冷却することによって、析出させるステップと
を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩および特にHBr塩のβ形を製造するための方法を提供する。
【0027】
a)で使用されるHBr塩が、大量の不純物を含有する場合には、b)で得られたイソプロパノール溶媒和物を、65%を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に、再溶解させた後、b)に記載されているように析出させることが有益であり得る。
【0028】
一実施形態では、本発明は、上記の処理工程のうちの1つによって、直接得られる生成物に関する。
【0029】
一実施形態では、本発明は、
a)85%(v/v)を超えるイソプロパノールなどの、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒と、固体の1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrとをまたは1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、HBrの溶液とを混合し、場合によって、例えばその後、適切に加熱して、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの溶液を得るステップと、
b)前記得られた溶液を冷却して、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を析出させるステップと、
c)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させるステップと、
d)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、c)で得られた溶液から、例えば冷却することによって、析出させるステップと
を含む、固体の1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr塩または1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの溶液から、不純物を除去または低減する方法に関する。
【0030】
特に、c)で使用される溶媒和物を形成しない溶媒は、水、THF、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、アセトンおよびトルエンならびにこれらの混合物から選択される。特に、水と混合されたトルエン、特に、90%(v/v)を超えるトルエンなどの、80%(v/v)を超えるトルエンを含むものが挙げられる。
【0031】
そのような不純物の例には、パラジウム(Pd)、1−[2−(2,4−ジメチル−フェニル−スルファニル)−フェニル]−4−(2−ピペラジン−1−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物1)、1−[2−(5−クロロ−2,4−ジメチル−フェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン(化合物2)、1−[2−(2,6−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン(化合物3)および1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのtert−ブタノール溶媒和物が含まれる−図4〜6も参照のこと。パラジウムは、Pd触媒を使用することに起因する不純物である。「Pd」または「パラジウム」は、Pdを含むすべての化合物を指すことが意図されている。化合物1は、Pdによって触媒されるN−アリール結合形成が、両方のピペラジン窒素で起こる場合に生成される不純物である。化合物2および3は、対応する5−クロロ化合物または2,5−ジメチル化合物が混入している可能性のある2,4−ジメチルチオフェノール原料から持ち越された不純物である。tert−ブタノール溶媒和物は、反応中にナトリウムtert−ブトキシドを使用することによって形成され得る。
【0032】
本発明をさらに説明するのに、以下の記述が役立つであろう。1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr(A)を、反応器に投入する。イソプロパノール(10〜15L/kgA)および水(0.3〜1.0L/kgA)を加え、撹拌を開始する。混合物を加熱還流し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンのHBr塩をすべて溶解させる。溶液を20℃未満に冷却し、結晶(イソプロパノール溶媒和物)をろ過し、イソプロパノールで2回洗浄する(合計で、2.4〜2.6L/kgA)。ウェットろ過ケーキを反応器に再投入し、トルエン(4〜6L/kgA)を加える。ウェットろ過ケーキから、イソプロパノール/水を共沸蒸留して除去し、蒸留で失われたトルエンを水と一緒に加える(0.2〜0.3×A)。混合物を加熱還流し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrをすべて溶解させる。溶液を20℃未満に冷却し、結晶をろ過し、トルエンで2回洗浄する(合計で、1.0〜4.0L/kgA)。結晶を高温で、例えば60℃および真空で、乾燥させる。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形を得る。
【0033】
例5に示されているように、本発明の精製方法は、より多くの不純物が低減または除去されるという点において、相当する再結晶方法に比べて優れている。よって、本発明の精製方法は、独自の、予測不可能な資質に恵まれている。
【0034】
以上に説明されているように、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物は、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンおよびその薬学的に許容可能な塩を精製するための方法ステップにおいて有用である。
【0035】
それ故に、一実施形態では、本発明は、65%(v/v)を超えるイソプロパノール中に、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンを含む溶液に関する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物に関する。
【0037】
一実施形態では、本発明は、およそ6.44、8.13、8.77および10.41(°2θ)でのXRPD反射を有する、例えば図2に示すようなXRPDパターンを有する、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物に関する。
【0038】
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を使用することのさらなる利点は、その処理特性に関するということが留意される。溶媒和物は静的ではないため、フィルター上での取り扱いが容易である。
【0039】
本明細書に引用されているすべての文献は、特定の文書が本明細書における他の箇所において個別に組み込まれているかどうかに関わらず、各文献が参照によって組み込まれていることが個々におよび具体的に明記され、かつ本明細書において完全に説明されているのと同程度に(法律で認められている最大限の程度に)、それらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0040】
本発明を記載している状況における「a」、「an」および「the」という用語ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書において他に特に指示されない限り、または状況によって明らかに否定されない限り、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。例えば、「化合物(the compound)」というフレーズは、他に特に指示されない限り、本発明のまたは記載されている特定の態様の種々の化合物を指すものと理解されるべきである。
【0041】
他に特に指示されない限り、本明細書において供与されているすべての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の因数または測定値に関して供与されているすべての正確な例示的な値は、適切な場合には「約」に修飾されて、対応する近似的な測定値も供与しているものとみなすことができる)。
【0042】
1つの要素または複数の要素に関して、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」または「含有する(containing)」などの用語を使用する、本発明の任意の態様または態様についての、本明細書における説明は、他に特に明記されない限り、または状況によって明らかに否定されない限り、その特定の要素または複数の特定の要素「からなる」、「本質的に(そのような要素)からなる」または「(そのような要素)を実質的に含む」、本発明の類似の態様または態様に対する裏づけを提供することが意図されている(例えば、本明細書において、特定の要素を含むと記載されている組成物は、他に特に明記されない限り、または状況によって明らかに否定されない限り、その要素からなる組成物も記載しているものと理解されるべきである)。
【実施例】
【0043】
分析方法
H NMRスペクトルは、Bruker Avance DRX500機器を使用して、500.13MHzで記録する。ジメチルスルホキシド(99.8%D)を溶媒として使用し、テトラメチルシラン(TMS)を内部参照標準として使用する。
【0044】
融点は、示差走査熱量測定法(DSC)を使用して測定する。装置は、融点が開始値となるように、5°/分で較正を行ったTA−InstrumentsのDSC−Q1000である。約2mgのサンプルを、窒素気流下にて、ゆるく閉じたパンの中で5°/分で加熱する。
【0045】
乾燥物質の溶媒/水含有量を推定するために使用される熱重量分析(TGA)は、TA−InstrumentsのTGA−Q500を使用して行う。1〜10mgのサンプルを、窒素気流下にて、開いたパンの中で10°/分で加熱する。
【0046】
X線粉末回折図(XRPD)は、PANalyticalのX’Pert PRO X線回折計を用い、CuKα1線を使用して測定した。サンプルは、X’celerator検出器を使用して、2θ−範囲が5〜40°の反射モードで測定した。回折データは、±0.1(°2θ)で表示されている。
【0047】
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの純度は、Luna Phenyl hexylカラム、150×4.6mm、3μm粒子径を適用した、勾配逆相HPLC法を使用して測定した。精製水およびアセトニトリルからなる移動相を、トリフルオロ酢酸で酸性化した。流速1.0mL/分、カラムオーブン40℃、注入量50μL。ピーク面積は、UV検出を226nMで行って定量した。
【0048】
Pdは、Varian Vista PRO ICP−OES(誘導結合プラズマ原子発光分光法)を使用して、定量分析を行った。波長:340.458nm、342.122nm、360.955nm。
【0049】
実施例1
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形の調製−国際公開第2007/144005号(特許文献2)の例4cを参照のこと
49.5グラムの1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)−フェニル]ピペラジンの無色油状物を、酢酸エチル500mL中に溶解させ、48%−wtHBr(aq)18.5mLを加えた。これを加えることによって、高粘度のスラリーが形成され、このスラリーを室温で一晩撹拌した。ろ過し、真空中(50℃)で一晩乾燥させることによって、白色固体として、29.6グラムの生成物を得た(47%)。
【0050】
NMRは構造に適合する。元素分析:56.86%C、7.35%N、6.24%H(1:1塩の理論値:56.99%C、7.39%N、6.11%H)
【0051】
実施例2
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形の特性決定−国際公開第2007/144005号(特許文献2)の例4dを参照のこと
例1において調製された臭化水素酸塩のベータ形は、結晶質である(XRPD)−図1を参照のこと。ベータ形は、約231℃の融点を有する。ベータ形は、高い相対湿度に曝された場合に約0.6%の水を吸収し、水中において1.2mg/mLの溶解度を有する。
【0052】
実施例3
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物の調製
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr(25g)を、イソプロパノール(250mL)中で加熱することによって、高粘度の懸濁液が生じ、追加のイソプロパノール(25mL)および水(25mL)を加え、この懸濁液を加熱還流して、溶液を得た。溶液をブランクろ過し(blank filter)、氷浴上で冷却し、ろ過した。得られた生成物を、真空下で50℃にて乾燥させた。
【0053】
実施例4
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物の特性決定
例えば実施例3において調製されたイソプロパノール溶媒和物は、結晶質である(XRPD)−図2を参照のこと。TGAは、脱溶媒和が80℃でゆっくりと開始し、脱溶媒和が120℃で完了することを示している。重量減少は、12.2%であると測定された。DSCは、脱溶媒和に相当する吸熱を示している。脱溶媒和の後で、溶媒不含結晶塩を形成し、これは225℃で融解する。これは、加熱されたサンプルに関するXPRDによって、α形であることが示された(α形の定義については、国際公開第2007/144005号(特許文献2)を参照のこと)。次いで、α形は、一部再結晶し、230℃で融解する形態、恐らくβ形になる。TGAおよびDSCのサーモグラムは、図3に示されている。
【0054】
実施例5
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの精製
この実施例における、両方の方法のための出発物質は、化合物1(4.8%)、化合物2(0.19%)および化合物3(0.18%)を含有する1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrである。
【0055】
イソプロパノール(412L)および水(18L)の混合物中、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr(33.1Kg)を加熱還流した。溶液を20℃に冷却し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンのイソプロパノール溶媒和物を、ろ過によって単離し、イソプロパノール(82L)で洗浄した。ウェットろ過ケーキを、イソプロパノール(353L)および水(17L)の混合物中に、還流溶解させた。溶液を20℃に冷却し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンのイソプロパノール溶媒和物を、ろ過によって単離し、イソプロパノール(74L)で洗浄した。ウェットろ過ケーキを、トルエン(132L)および水(13L)の混合物中に、80℃で溶解させ、ブランクろ過した。水およびイソプロパノールを、反応器から留去し(55L)、留出液が102℃に達した時に、蒸留を停止した。次いで、水(7L)を加え、溶液を20℃にゆっくりと冷却した。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、ろ過によって単離し、ろ過ケーキを、トルエン(77L)で洗浄し、乾燥させた。不純物の量は、化合物1については0.05%未満、化合物2については0.015%未満、化合物3については0.05%未満であった。
【0056】
比較のために、出発物質も、以下の方法を使用して精製した。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr1gを、トルエン(10mL)中で加熱還流した。次いで、水(0.6mL)を加え、溶液を加熱還流して、透明な溶液を得た。この溶液をおよそ20℃に冷却し、次いで、氷浴上でさらに冷却した。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、ろ過によって単離し、真空オーブン中で乾燥させて得た(0.9g)。不純物の量は、化合物1については4%、化合物については0.15%、化合物3については0.14%であった。
【0057】
実施例6
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの精製
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンのHBrの、この実施例において使用されるバッチは、化合物1を含有していた(0.5%)。
【0058】
イソプロパノール(1424L)および水(64L)の混合物中、114kgのHBr塩を加熱還流した。溶液を冷却し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、ろ過によって単離した。溶媒和物を、トルエン(513L)および水(50L)の混合物中に、80℃で溶解させ、ブランクろ過した。水およびイソプロパノールを留去し、留出液が102℃に達した時に、蒸留を停止した。水(27L)を加え、溶液を20℃に冷却し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、ろ過によって単離した。ろ過ケーキを、トルエンで洗浄した。最終生成物の分析は、化合物1が0.05%未満であることを示しており、XRDPデータによって、β形が得られることが確認された。
【0059】
実施例7
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrの製造および精製
窒素雰囲気下で、Pddba(211mg、0.367mmol)、BINAP(458mg、0.736mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(26.0g)、ピペラジン(27.5g)およびトルエン(185mL)を、室温にて、およそ30分間撹拌した。この混合物に、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン(12mL)および2,4−ジメチルチオフェノール(12.3mL)を加え、反応混合物をおよそ60分間、加熱することなく撹拌した。次いで、反応混合物を5時間加熱還流し、次いで、水(70mL)を加えた後、さらに5分間撹拌し、その後、相を分離した(温度60C超)。トルエン相を、塩化ナトリウム溶液で2回洗浄した。温トルエン相に、臭化水素酸48%(16.2g)を加え、種晶(HBrのβ形)を加え、溶液を冷却した。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、ろ過によって単離し、ろ過ケーキを、トルエン(160mL)および水(190mL)で洗浄した。ろ過ケーキの乾燥サンプルの分析は、0.64%の化合物1および70ppmのPdを示した。ウェットろ過ケーキを、イソプロパノール(345mL)中、還流温度で加熱し、熱溶液をブランクろ過した。透明な溶液を室温未満に冷却し、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、ろ過によって単離し、イソプロパノール(40mL)で洗浄し、真空下で40℃にて乾燥させた。分析は、化合物1(0.05%)および2ppmのPdを示した。
【0060】
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物(19.5g)、トルエン(100mL)および水(5mL)を、還流温度に加熱し、水およびイソプロパノールを、蒸留によって除去した(23mL)。トルエンを加え(23mL)、温度を還流温度に上げ、その後、水(10mL)を加え、溶液を室温に冷却した。1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrを、ろ過によって単離し、冷トルエン(70mL)で洗浄し、真空下で50℃にて乾燥させた。分析は、化合物1が0.05%未満および1ppmのPdを示した。XRDPデータによって、β形が得られることが確認された。
【0061】
実施例8
1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]−ピペラジン−HBrの製造および精製
1000gのPddba、3600〜4600gのBINAP、ナトリウム−tert−ブトキシド270〜310kg、ピペラジン360〜420kgおよびトルエン1300〜1500Lを反応器に投入し、混合物を少なくとも30分間撹拌する。1−ブロモ−2−ヨードベンゼン210〜214kgおよび2,4−ジメチルチオフェノール99.5〜100.5kgを加え、得られた混合物を、25℃未満で少なくとも60分間撹拌する。少なくとも13時間、温度を80〜95℃に上げる。混合物を冷却し、水1000〜1200Lを加え、相を分離する。トルエン相を、合計1070〜1140kgの約15%NaClで数回洗浄する。126〜128kgのHBr48%および水40〜46Lを加え、完全に透明な溶液が得られるまで、混合物を加熱する。冷却することによって、表題化合物の粗結晶を得る。結晶をろ過によって単離し、結晶をトルエン1000〜1200Lおよび水400〜700Lで洗浄する。ろ過ケーキをイソプロパノール3063〜3112Lに溶解させ、得られた溶液をブランクろ過する。溶液を加熱し、2470〜2964Lを留去した後、イソプロパノール1457〜1507Lを加える。加熱することによって、完全に溶解させ、冷却することによって、イソプロパノール溶媒和物の結晶を得る。結晶をろ過によって単離した後、イソプロパノール865〜914Lで洗浄する。
【0062】
200kgの1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、トルエン980〜1020Lおよび水48〜52Lに加える。加熱して結晶を溶解させ、溶液をブランクろ過する。溶液の蒸留を、蒸気温度が102℃を超えるまで行い、留出液の体積に等しい量のトルエンを加える。追加の水48〜52Lを加え、完全に溶解するまで液体を加熱する。冷却および種晶添加することによって、1−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのβ形の結晶を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBr塩を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に溶解させることによって、溶液を得る段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造する方法。
【請求項2】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩のβ形である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、85%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を前記溶液から析出させる後続段階を含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒から析出させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造する方法。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩のβ形である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が85%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む、請求項6〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させた後、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを析出させる段階を含む、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンまたはその薬学的に許容可能な塩を製造する方法。
【請求項11】
前記溶媒和物を形成しない溶媒が、水、THF、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、アセトンおよびトルエンならびにこれらの混合物から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒和物を形成しない溶媒が、80%を超えるトルエンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的に許容可能な塩がHBr塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記薬学的に許容可能な塩がHBr塩のβ形である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
a)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒中に溶解させることによって、溶液を得る段階、
b)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、前記得られた溶液から析出させる段階、
c)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させる段階、および
d)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、c)で得られた溶液から析出させる段階、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
段階a)における前記溶媒が、85%(v/v)を超えるイソプロパノールを含み、段階c)における前記溶媒和物を形成しない溶媒が、80%(v/v)を超えるトルエンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記薬学的に許容可能な塩が、HBr塩のβ形である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a)65%(v/v)を超えるイソプロパノールを含む溶媒を、固体の1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrと、または1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの溶液と混合して、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの溶液を得る段階、
b)前記得られた溶液を冷却して、1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物を析出させる段階、
c)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrのイソプロパノール溶媒和物を、溶媒和物を形成しない溶媒中に溶解させる段階、および
d)1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrを、段階c)で得られた溶液から析出させる段階、
を含む、固体の1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrからまたは1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrの溶液から、不純物を除去または低減する方法。
【請求項20】
前記不純物が、1−[2−(2,4−ジメチル−フェニルスルファニル)−フェニル]−4−(2−ピペラジン−1−イル−フェニル)−ピペラジンもしくはその塩;1−[2−(5−クロロ−2,4−ジメチル−フェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンもしくはその塩;1−[2−(2,6−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンもしくはその塩;またはパラジウムから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
65%(v/v)を超えるイソプロパノール中に、−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジンを含む溶液。
【請求項22】
1−[2−(2,4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−HBrイソプロパノール溶媒和物である化合物。
【請求項23】
およそ6.44、8.13、8.77、10.41(°2θ)でのXRPD反射を有する、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
図2に示すようなXRPDを有する、請求項23に記載の化合物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−517961(P2012−517961A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549435(P2011−549435)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050039
【国際公開番号】WO2010/094285
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】