説明

1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオールとメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール及びシクロヘキサンジアミン開始ポリオールの内の少なくとも1つとを含有するポリオール混合物、並びにそれらから製造されたポリウレタン

ポリエーテルポリオールは、開始1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)化合物及びシクロヘキサンジアミン化合物の一方又は両方を備える。これらのポリオールは、硬質ポリウレタンフォーム、特別には、それらがそこで低k因子及び短い離型時間の優れた組み合わせを提供する現場注入(pour-in-place)用途のためのフォームを製造する際に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月29日に出願された米国特許仮出願第61/246,742号明細書からの優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームを製造するために有用であるポリオール混合物、並びにそれらのポリオールから製造された硬質フォームに関する。
【背景技術】
【0003】
硬質ポリウレタンフォームは、家庭用電化製品及びその他の用途、並びに他の様々な使用における絶縁フォームとして数十年間に渡り広汎に使用されてきた。これらのフォームは、ポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール化合物との反応で調製される。ポリオール、ポリアミン又はアミノアルコール化合物は、イソシアネート反応性基1個当たり約300までの範囲内にある当量及び1分子当たり平均して3個を超えるヒドロキシル及び/又はアミノ基を有すると特徴付けることができる。この反応は、反応が進行するにつれてガスを発生する発泡剤の存在下で実施される。このガスは反応混合物を膨張させ、気泡構造を付与する。
【0004】
最初は、最適な発泡剤は、「硬質」クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばトリクロロフルオロメタン又はジクロロジフルオロメタンであった。これらのCFCは、加工処理が極めて容易であり、極めて優れた断熱特性を有するフォームを生成した。しかしCFC発泡剤は、環境問題のために段階的に廃止されている。
【0005】
CFCは、他の発泡剤、例えばヒドロフルオロカーボン、低沸点炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、エーテル化合物、及び水(イソシアネートと反応して二酸化炭素を生成する)と取り替えられてきた。大抵の場合、これらの代替発泡剤は、それらの先代CFCに比して有効性が低い断熱材である。フォームが断熱を提供する能力は、「k因子」によって表現されることが多く、k因子は、フォームの厚さ及びフォーム厚さの両側で印加される温度差を考慮に入れた、フォームを通して伝導される熱量の単位面積及び単位時間当たりの尺度である。代替発泡剤を使用して製造されたフォームは、「硬質」CFC発泡剤を使用して製造されたフォームより高いk因子を有する傾向がある。このために硬質フォーム製造業者は、発泡剤の変更の結果として生じる断熱値の損失を補償する他の方法でフォーム配合物を修飾せざるを得なくなった。これらの修飾の多くは、フォーム内の気泡サイズを減少させることに集中している。サイズの小さな気泡ほど優れた断熱特性を提供する傾向がある。
【0006】
k因子を改善する硬質フォーム配合物への修飾は、配合物の加工処理特性に望ましくない意味で影響を及ぼす傾向があることが見いだされている。配合物の硬化特性は、特に現場注入(pour-in-place)用途、例えば家庭用電化製品用フォームにおいて重要である。例えば冷蔵庫や冷凍庫のキャビネットは、通常は外箱(exterior shell)と内箱(interior liner)を部分的に組み立て、それらの間に空洞が形成されるような位置にそれらを保持することによって断熱される。フォーム配合物は、空洞内に導入され、そこで膨張して空洞を充填する。フォームは断熱を提供し、組立体に構造強度を付与する。フォーム配合物が硬化する方法は、少なくとも2つの観点において重要である。第一に、フォーム配合物は、寸法安定性のあるフォームを形成し、完成したキャビネットをジグから取り外せるように急速に硬化しなければならない。この特性は、一般には「離型」時間と言われ、キャビネットを製造できる速度へ直接的に影響を及ぼす。
【0007】
さらに、この系の硬化特性は、「フローインデックス」又は単に「フロー」として公知の特性に影響を及ぼす。フォーム配合物は、最小限の制約に抵抗して膨張することが許容されれば、所定密度(「自由上昇密度(free rise density)」)まで膨張することになる。配合物が冷蔵庫又は冷凍庫のキャビネットを充填しなければならない場合は、その膨張は幾つかの点である程度制約される。フォームは、狭い空洞内では主として(水平ではなくむしろ)垂直方向に膨張しなければならない。結果として、配合物は相当に多量の自重に逆らって膨張しなければならない。フォーム配合物は、さらに又隅部の周囲及び壁の空洞の全ての部分の中に流れ込まなければならない。さらに、空洞は通気孔が限られているか又は全く有していないことが多く、そこで空洞内の大気は膨張中のフォームに追加の圧力を加える。これらの制約のために、空洞を充填するためには、自由上昇密度単独から予想されるよりもはるかに多量のフォーム配合物が必要とされる。空洞を最小限充填するために必要とされるフォーム配合物の量は、最小充填密度(配合物の重量を空洞容積で除したもの)として表示することができる。最小充填密度対自由上昇密度の比率がフローインデックスである。フローインデックスは、理想的には1.0であるが、市販の実用的配合物においてはほぼ1.2〜1.8である。その他全てのことが同等であればより低いフローインデックスが好ましいが、これは必要とされるフォームの重量がより少ないほど原料コストが低くなるからである。
【0008】
低いk因子に好都合なフォーム配合物への修飾は、離型時間、フローインデックス又はその両方に有害な作用を及ぼす傾向がある。このためk因子において従来型CFCをベースとする配合物と密接に適合する配合物が開発されてきたが、これらの配合物を使用する総コストは、低い生産性(離型時間が長くなるため)、高い原料コスト(より高いフローインデックスのため)又はその両方に起因して高額になることが多い。
【0009】
近年には、特異的アミン開始ポリオールを含有する硬質ポリウレタンフォーム配合物が開発されてきた。これらのポリオールは、特に、2009年6月5日に出願された国際特許公開第PCT/US09/46373号明細書に記載されたメチレンビス(シクロヘキシルアミン)で開始されたポリオール;2009年6月5日に出願された国際特許公開第PCT/US09/45369号明細書に記載された1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンで開始されたポリオール;2009年7月29日に出願された国際特許公開第PCT/US09/52082号明細書に記載されたオルトーシクロヘキサンジアミンで開始されたポリオールである。これらのアミン開始ポリオールは、低いk因子、低いフローインデックス、及び短い離型時間の優れた組み合わせを提供する。しかし、特に離型時間におけるさらなる改良は、今もなお望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許公開第PCT/US09/46373号明細書
【特許文献2】国際特許公開第PCT/US09/45369号明細書
【特許文献3】国際特許公開第PCT/US09/52082号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、1つの態様では、(a)少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとの反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールと、(b)(b)(i)及び(b)(ii)の内の少なくとも1つであって、(b)(i)は少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドとメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物(即ち、メチレン(ビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール)との反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールであり、(b)(ii)は少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと1,2−、1,3−及び/又は1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物(即ち、シクロヘキサンジアミン開始ポリオール)との反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールである(b)とを含むポリオール混合物であって、このとき成分(a)及び(b)の各々は該ポリオール混合物中の少なくとも0.5重量%のポリオールを構成し、成分(a)及び(b)は一緒に該ポリオール混合物中の少なくとも2重量%のポリオールを構成するポリオール混合物である。
【0012】
本発明はさらに、ポリウレタンを調製するための方法であって、第1態様のポリオール混合物を少なくとも1つのポリイソシアネートと、該ポリオール混合物が該ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを形成する条件下で接触させる工程を含む方法である。
【0013】
特定の態様では、本発明は、さらに又硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
a)少なくとも
1)第1態様において記載したポリオール混合物と、
2)少なくとも1つの炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル若しくはフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤と、
3)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
を含有する反応混合物を形成する工程と、
b)該反応混合物を、該反応混合物が膨張及び硬化して硬質ポリウレタンフォームを形成する条件にかける工程と
を含む方法である。
【0014】
又別の態様では、本発明は、上記の方法に従って製造された硬質ポリウレタンフォームである。
【0015】
1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンポリオールとメチレンビス(シクロヘキシルアミン開始)ポリオール及びシクロヘキサンジアミン開始ポリオールの一方又は両方との一緒の存在は極めて短い離型時間を提供するが、これは望ましい硬化特性(1.8未満のフローインデックスによって指示される)を保持しながら、それらのポリオールの内の一方だけが存在する場合に達成される離型時間より優れていることが見いだされている。さらに、この反応混合物は硬化して素晴らしい断熱特性(即ち、低k因子)を有するフォームを形成する。
【0016】
1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオール(成分(a))は、少なくとも1つの1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始剤化合物から調製されるポリエーテルである。1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始剤化合物は、本発明のためには、シクロヘキサン環上で相互に関してメタ又はパラ位置にある2個のアミノメチル基で置換されているシクロヘキサン化合物である。1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオールは、本発明のためには、C−Cアルキレンオキシドとそのように記載されている1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物との反応において生成されたポリオールである。シクロヘキサン基は、未置換又は不活性に置換されていてよい。1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始剤化合物は、構造(I)及び(II):
【化1】

(式中、各Rは、水素又は不活性置換基である)
によって表すことができる。構造Iは1,3−異性体を表し、構造IIは1,4−異性体を表す。
【0017】
構造I及びII内の各Rは好ましくは水素であるが、R基のいずれか1個又はそれ以上は不活性置換基であってよい。「不活性」置換基は、(1)アルコキシル化の条件下ではアルキレンオキシドとは非反応性であり(以下でより詳細に記載する)、(2)イソシアネート基とは非反応性であり、及び(3)1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物がアルコキシル化される、及び結果として生じるポリオールがポリイソシアネートと反応してウレタン結合を形成する能力に有意な影響を及ぼさない置換基である。不活性置換基には、ヒドロカルビル基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール置換アルキル、シクロアルキルなど;エーテル基;第3級アミノ基などが含まれる。存在する可能性のある任意の置換基は、C−Cアルキルであることが好ましい。特にこれらは、メチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチル基であり、メチルが特に好ましい。不活性置換基が存在する場合は、1個以下のそのような基が存在するのが好ましい。最も好ましくは、全R基は水素であり、この化合物は未置換である。
【0018】
1,3−及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物は、通常は2つ又はそれ以上のジアステレオマー形で存在する。さらに、その他のジアステレオマー構造は、R基が全て同一ではない場合に可能である。そのような場合には、ジアステレオイソマー形のいずれか、又は該ジアステレオイソマー形のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を使用できる。上記に提供した構造では、ジアステレオイソマー形は区別されない。
【0019】
さらに、上述した2つ又は1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物の混合物を使用できる。
【0020】
特に好ましい1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物には、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノシクロヘキサン)並びに1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(アミノシクロヘキサン)の混合物が含まれる。
【0021】
メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール(成分(b)(i))は、少なくとも1つのメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物から調製されるポリエーテルである。本発明のための「メチレンビス(シクロヘキシルアミン)」開始剤化合物は、以下でより詳細に記載するように又別の置換基を含有することのできる2個のシクロヘキシルアミン基で置換されているメチレン基を含有する化合物である。「メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール」は、本発明のためには、そのように規定されたメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤を少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと反応させる工程によって調製されるポリオールである。シクロヘキシル基は、未置換又は不活性に置換されていてよい。「メチレンビス(シクロヘキシルアミン)」開始剤化合物は、構造(III):
【化2】

(式中、各Rは、水素又は不活性置換基である)
によって表すことができる。NH基は、2、3又は4位にあってよい。2個のNH基は、中心メチレンに対して対称性又は非対称性に位置してよい。好ましい異性体は、2,2’、4,4’及び2,4’異性体である。
【0022】
構造III内の各Rは好ましくは水素であるが、R基のいずれか1個又はそれ以上は、上述した不活性置換基であってよい。存在する可能性のある任意の置換基Rは、C−Cアルキルであることが好ましい。特にこれらは、メチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチル基であり、メチルが特に好ましい。不活性置換基が存在する場合は、シクロヘキサン環1つ当たり1個以下のそのような基を有するのが好ましい。最も好ましくは、全R基は水素であり、この化合物は未置換である。
【0023】
一部の特異的メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤には、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)、メチレンビス(2−アミノシクロヘキサン)、2,4’−ジアミノメチレンビス(シクロヘキサン)、メチレンビス(4−アミノ−2−メチル−シクロヘキサン)、メチレンビス(2−アミノ−4−メチル−シクロヘキサン)、メチレンビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキサン)(Laromin(登録商標)C260などとして市販で入手できる)などが含まれる。上述の術語は、メチレン基に結合したシクロヘキサン炭素原子を「1」位と指名する。
【0024】
メチレンビス(シクロヘキシルアミン)化合物は、通常は2つ又はそれ以上のジアステレオイソマー形で存在する。さらに、その他のジアステレオマー構造は、R基全部が同一ではない場合に可能である。そのような場合には、ジアステレオイソマー形のいずれか、又は該ジアステレオイソマー形のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を使用できる。
【0025】
さらに、上述した2つ又はメチレンビス(シクロヘキシルアミン)化合物の混合物を使用できる。
【0026】
シクロヘキサンジアミン開始ポリオール(成分(b)(ii))は、構造IV:
【化3】

(式中、各Rは、上記に規定したように独立して不活性置換基であり、好ましくは水素又はC−Cアルキルである。各Aは、独立して水素又は(CO)H(式中、xは2〜4であり、yは2xに等しく、及びzは1〜5であるが、ただし少なくとも2個のA基は(CO)H基である)である。
によって表すことができるポリエーテルである。少なくとも3個のA基は(CO)H基であってよく、全4個のA基は(CO)H基であってよい。−N(A)基は、1位として−N(A)基の1つの位置を取る1,2−、1,3−及び/又は1,4位にあってよい。
【0027】
シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、構造V:
【化4】

(式中、各Rは、上記に規定したように独立して不活性置換基であり、好ましくは水素又はC−Cアルキルである。各Rは、より好ましくは水素又はメチルである。各Rは、最も好ましくは、該開始剤化合物が1,2−、1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサンであるように、水素である)
によって表されるシクロヘキサンジアミン開始剤化合物から調製できる。上記の構造に対応する2つ又は開始剤化合物の混合物を使用できる。
【0028】
構造Vの開始剤は、2つ又はそれ以上のジアステレオイソマー形で存在するが、それはアミノ基がシス配置(このとき該アミノ基は該環の同一側に存在する)又はトランス配置(このとき該アミノ基は該環の反対側に存在する)にあってよい。さらに、その他のジアステレオマー構造は、R基の全てが同一ではない場合に可能である。そのような場合には、ジアステレオイソマー形のいずれか、又は該ジアステレオイソマー形のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を使用できる。
【0029】
1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)及びシクロヘキサンジアミン開始剤化合物は、主として他のアミン又はジアミン化合物である傾向がある少量(典型的には3重量%未満)の不純物を含有していてよい。それらのタイプのそのような量の不純物を含有する1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、エチレンビス(シクロヘキシルアミン)化合物及びシクロヘキサンジアミン開始剤化合物は、本発明における開始剤として適合する。
【0030】
アミン開始ポリオールは、これらの開始剤化合物から、それらを個別又は混合物中で、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと反応することを引き起こす工程によって調製される。アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド又はそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせであってよい。2つ又はそれ以上のアルキレンオキシドが使用される場合は、それらは開始剤化合物に同時に(ランダムコポリマーを形成するため)又は連続的に(ブロックコポリマーを形成するため)加えることができる。ブチレンオキシド及びテトラメチレンオキシドは、一般には余り好ましくない。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの混合物がより好ましい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物は、任意の比率でこれらのオキシドを含有していてよい。例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物は、10〜90重量%のエチレンオキシド、好ましくは30〜70重量%のエチレンオキシド、又は40〜60重量%のエチレンオキシドを含有していてよい。
【0031】
各場合に3.0個より高く、4.0個という高さまでのヒドロキシル基/分子の平均ヒドロキシル官能価を有するポリオールを生成するために十分なアルキレンオキシドが各開始剤化合物に加えられる。これらのポリオールが硬質ポリウレタンフォームを調製する際に好ましいとして使用されなければならない場合は、ポリオールの各々の平均ヒドロキシル官能価は、好ましくは3.3〜4.0であり、そのような場合におけるより好ましい平均ヒドロキシル官能価は、3.7〜4.0である。1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオール、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール及びシクロヘキサンジアミン開始ポリオールのヒドロキシル当量は、所定の用途に依存して、約75という低さから3,000又はそれ以上までの範囲に及んでよい。好ましい硬質ポリウレタンフォーム用途のためには、これらのポリオールの各々についての有用なヒドロキシル当量は75〜560である。硬質フォーム製造のために好ましいヒドロキシル当量は90〜175であり、硬質フォーム製造のためにより好ましいヒドロキシル当量は100〜130である。
【0032】
アルコキシル化反応は、便宜的にもアルキレンオキシドと開始剤化合物(又は、2つ又はそれ以上のアミン開始剤が一緒にアルコキシ化される場合は複数の開始剤化合物)の混合物を形成する工程と、及び該混合物を高温及び超大気圧の条件にかける工程によって実施される。重合温度は、例えば、110〜170℃であってよく、圧力は、例えば2〜10bar(200〜1,000kPa)であってよい。触媒は、特に開始剤化合物上のアミン水素1当量当たり1モルより多いアルキレンオキシドが添加されなければならない場合は使用できる。適切なアルコキシル化触媒には、強塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム)、並びにいわゆる二重金属シアニド触媒(それらの内で、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体が最も注目に値する)が含まれる。この反応は、2つ又はそれ以上の段階で実施することができ、このとき第1段階では触媒は使用されず、アミン水素1当量当たり0.5〜1.0モルのアルキレンオキシドが開始剤に加えられ、その後に上述した触媒の存在下で追加のアルキレンオキシドが加えられる1つ又はそれ以上の追加の段階が続く。反応が完了した後、触媒を失活させる、及び/又は除去することができる。アルカリ金属水酸化物触媒は、除去する、生成物に残す、又は酸を用いて中和して残留物を生成物中に残すことができる。二重金属シアニド触媒の残留物は生成物中に残されてよいが、その代りに所望であれば除去することもできる。
【0033】
1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオールをメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール及びシクロヘキサンジアミン開始ポリオールの一方又は両方と一緒に含有するポリオール混合物は、極めて広範囲のポリウレタンを製造するために有用である。これらのポリオールの各々はポリオール混合物中で全ポリオールの総重量の少なくとも0.5重量%を構成し、そして成分(a)及び(b)は一緒にポリオール混合物中の全ポリオールの総重量の少なくとも2重量%を構成するはずである。1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン開始ポリオールは、ポリオール混合物中で全ポリオールの総重量の少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%を構成し、そしてメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオール及びシクロヘキサンジアミン開始ポリオールは単独又は一緒にポリオール混合物中で全ポリオールの総重量の少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%を構成することが好ましい。成分(a)及び(b)は、一緒にポリオール混合物中で全ポリオールの総重量の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%を構成することが好ましい。成分(a)及び(b)は、好ましくはポリオール混合物中で相互に対して0.25:1〜1:0.25の重量比で存在する。
【0034】
成分(a)及び(b)は、本発明のポリオール混合物中で唯一のポリオールであってよい。しかし、本ポリオール混合物は、より典型的には1つ又はそれ以上の追加のポリオールを含有することになる。成分(a)及び(b)は一緒に、例えばポリオール混合物中で全ポリオールの総重量の80重量%まで、60重量%まで、50重量%まで、40重量%まで、又は30重量%までを構成することができる。
【0035】
様々なタイプのポリウレタンは、本発明のポリオール混合物から、該ポリオール混合物が1つ又はそれ以上の有機ポリイソシアネートと反応することを誘導することによって調製できる。このタイプの反応は周知であり、例えば、非気泡エラストマーポリマー;微細気泡エラストマーポリマー、成形及びスラブストックタイプ両方を含む可撓性及び半可撓性ポリウレタンフォーム;いわゆる粘弾性フォーム;例えばコーティング用途において有用であるポリウレタン分散液;ポリウレタンシーラント材;硬質ポリウレタンプラスチック材料などを製造するために使用できる。
【0036】
しかし、本発明によるポリオール混合物は、特に硬質ポリウレタンフォームを調製する際に、特にそのヒドロキシル当量が75〜560である場合に有用である。本硬質ポリウレタンフォームは、少なくとも(1)本発明によるポリオール混合物、(2)少なくとも1つの有機ポリイソシアネート、及び(3)以下でより十分に記載する少なくとも1つの物理的発泡剤を含有するポリウレタン形成組成物である。
【0037】
硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、ポリオール混合物は、好ましくは平均して3.5〜約7個のヒドロキシル基/分子及び約90〜約175の平均ヒドロキシル当量を有する。本混合物中の任意の個別ポリオールは、混合物がこれらのパラメーターを満たす場合は、それらの範囲外の官能価及び/又は当量を有していてよい。水は、本発明のためには、ポリオール混合物の官能価又は当量を決定する際には考慮に入れられない。
【0038】
硬質ポリウレタンフォームを製造するためのポリオール混合物についてより好ましい平均ヒドロキシル官能価は、約3.8〜約6個のヒドロキシル基/分子である。ポリオール混合物について一層より好ましい平均ヒドロキシル官能価は、約3.8〜約5個のヒドロキシル基/分子である。ポリオール混合物についてより好ましい平均ヒドロキシル当量は、約110〜約130である。
【0039】
成分(a)及び(b)と結び付けて使用できる適切なポリオールは、ポリエーテルポリオールであり、便宜的には多数の活性水素原子を有する開始剤化合物(又は開始剤化合物の混合物)上でアルキレンオキシドを重合する工程によって製造される。開始剤化合物には、アルキレングリコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、グリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトース又は他の糖類などを含むことができる。開始剤化合物の一部分は、第1級及び/又は第2級アミノ基、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トルエンジアミン(全異性体)などを含有する部分であってよい。これらのタイプのアミン開始ポリオールは、ある程度自己触媒性になる傾向がある。追加のポリオールを製造するために使用されるアルキレンオキシドは、成分(a)及び(b)に関して上記に記載した通りである。最適なアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物である。
【0040】
ポリエステルポリオールも又追加のポリオールとして使用できるが、一般には、それらはより低い官能価を有する傾向があるので、余り好ましくない。ポリエステルポリオールには、ポリオール、好ましくはジオールとポリカルボン酸若しくはそれらの無水物、好ましくはジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物との反応生成物が含まれる。ポリカルボン酸若しくは無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式であってよく、そして例えばハロゲン原子で置換されていてよい。ポリカルボン酸は、不飽和であってよい。これらのポリカルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物及びフマル酸が含まれる。ポリエステルポリオールを製造する際に使用されるポリオールには、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−及び2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどが含まれる。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、ポリオール混合物は、1分子当たり2〜6個のヒドロキシル基及び75〜1,000のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールを含有する。これらの実施形態における再生可能資源であるポリオールは、ポリオール混合物の少なくとも1重量%を構成し、好ましくはそれの1〜15重量%を構成する。
【0042】
本発明のための「再生可能資源ポリオール」は、再生可能生物学的資源、例えば動物脂肪、植物脂肪、リグノセルロース材料又は炭水化物、例えばデンプンである、又はそれらから製造されるポリオールである。再生可能資源ポリオールの少なくとも50質量%は、再生可能生物学的資源由来でなければならない。様々なタイプの再生可能資源ポリオール、Ionescu, Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes, Rapra Publishers 2005に記載されたものを含めて有用である。これらには以下が含まれる:
1.ヒマシ油。
2.国際公開第2004/096882号パンフレット及び第2004/096883号パンフレットに記載されたヒドロキシメチル基含有ポリオール。そのようなポリオールは、12〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸、又はそのようなヒドロキシル基含有脂肪酸のエステルを平均して少なくとも2個のヒドロキシル、第1級及び/又は第2級アミノ基を有するポリオール若しくはポリアミン開始剤化合物と、該ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールが開始剤化合物上のヒドロキシル、第1級アミン及び第2級アミン基の総数当たり該ヒドロキシメチル基含有脂肪酸若しくはエステルに由来する平均して少なくとも1.3繰り返し単位を含有し、該ヒドロキシメチル基含有ポリエステルポリオールが少なくとも400〜15,000までの当量を有するように反応させる工程によって調製される。好ましいそのようなポリオールは、下記の平均構造:
【化5】

を有する。
(式中、Rは、n個のヒドロキシル及び/又は第1級又は第2級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、nは、少なくとも2である;各Xは、独立して−O−、−NH−若しくは−NR’−(式中、R’は、不活性に置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、若しくはアラルキル基である)であり、pは、1〜ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール1分子当たりの[X−Z]基の平均数を表すnの数であり、Zは、1個又はそれ以上のA基を含有する直鎖若しくは分子鎖であるが、ただし1分子当たりのA基の平均数は≧1.3nであり、各Aは独立して、少なくとも一部のA基がA1、A2又はA3であることを前提にA1、A2、A3、A4及びA5から成る群から選択されることを前提とするが、このときA1は:
【化6】

(式中、Bは、H又は又別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合である;mは、3より大きい数、nは0又はそれ以上であり、m+nは、11〜19である)であり;A2は:
【化7】

(式中、Bは、上記の通りであり、vは、3より大きい数であり、r及びsは、各々0又はそれ以上の数であり、v+r+sは、10〜18である)であり;A3は:
【化8】

(式中、B、v、各々r及びsは、上記に規定した通りであり、tは0又は、それ以上の数であり、v、r、s及びtの合計は、10〜18である)であり;A4は:
【化9】

(式中、wは、10〜24である)であり;及びA5は:
【化10】

(式中、R’は、少なくとも1個の環式エーテル基及び任意で1個又はそれ以上のヒドロキシル基又は他のエーテル基で置換されている直鎖状若しくは分枝状アルキル基である)である。
【0043】
3.国際公開第2007/019063号パンフレットに記載されたアミド基含有ポリオール。特にこれらは、便宜的には(1)少なくとも1個のヒドロキシル基を含有する第1級又は第2級アミン化合物と(2)少なくとも1個のヒドロキシメチル基を含有する脂肪酸とのアミドであると説明されるヒドロキシルメチル基を有するアミド化合物である。このタイプのアミドは、アミド窒素に結合した少なくとも1個のヒドロキシル置換有機基を有する。C7−23炭化水素基は、アミド基のカルボニル炭素に結合している。C7−23炭化水素基は、それ自体が少なくとも1個のヒドロキシメチル基で置換された炭化水素基である。その他のアミド基含有ポリオールは、便宜的には脂肪酸(若しくはエステル)とヒドロキシル含有第1級又は第2級アミンとのアミドであると記載されており、このとき該脂肪酸基は1個又はそれ以上の(N−ヒドロキシアルキル)アミノアルキル基を導入するために修飾されている。
【0044】
4.国際公開第2007/019051号パンフレットに記載されたヒドロキシルエステル置換脂肪酸エステル。この材料は、少なくとも2個の相違するタイプのエステル基を含有する。エステル基の1つのタイプは脂肪酸のカルボン酸基と2個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物との反応生成物に対応する。第2のタイプのエステル基は、脂肪酸鎖から吊り下がっており、エステル基の−O−原子を通して脂肪酸鎖に結合している。ペンダントエステル基は、便宜的にも脂肪酸を(脂肪酸鎖内の炭素−炭素不飽和の部位で)エポキシ化し、次にヒドロキシ酸又はヒドロキシ酸前駆体と反応させることによって形成される。ペンダントエステル基は、少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を含む。これらの材料は、以下構造:
【化11】

(式中、Rは、p個のヒドロキシル基を有する化合物のヒドロキシル基の除去後の残基を表し、Rは、脂肪酸の炭化水素部分を表し、xは1〜pの数である。pは、上記で考察したように、2又はそれ以上である。)
によって表すことができる。各−R−O−C(O)−結合は、上記で考察した第1タイプのエステル基を表す。R鎖の少なくとも一部分は以下:
【化12】

(式中、Rは、不活性に置換されてよいヒドロカルビル基であり、yは、1又はそれ以上であり、好ましくは1又は2である。)
で表すことのできる少なくとも1個のヒドロキシル含有エステル基で置換されている。この構造の左に示した結合は、脂肪酸鎖の炭素原子に付着する。この状況における不活性置換基は、この物質の形成又はポリウレタンを製造する際のその使用を妨害しない置換基である。
【0045】
5.米国特許出願第2002/0121328号明細書、第2002/0119321号明細書及び第2002/0090488号明細書に記載された「吹込み(blown)」大豆油。
【0046】
6.国際公開第06/116456号パンフレットに記載されたオリゴマー化植物油又は動物脂肪。油又は脂肪は、出発材料中の炭素−炭素二重結合の一部又は全部をエポキシ化し、次にオリゴマー化を促進する条件下で開環反応を実施する工程によってオリゴマー化される。一部の残留エポキシ基は、これらの材料中に残留することが多い。約4.4のヒドロキシル官能価及び約1,100の分子量を有するこのタイプの材料は、商標名BiOH(商標)の下でCargill社から入手できる。
【0047】
7.ヒドロキシル含有セルロース−リグニン材料。
【0048】
8.ヒドロキシル含有改質デンプン。
好ましい実施形態では、ポリオール混合物は、(即ち、成分(a)及び(b)に加えて)1分子当たり4.5〜7個のヒドロキシル基の平均官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つの他のポリエーテルポリオールを含有する。その他のポリエーテルポリオールは、例えば、ソルビトール開始又はスクロース/開始−開始ポリエーテルであってよい。使用できる適切なソルビトール開始又はスクロース/開始−開始ポリエーテルの例には、全部がDow Chemical社から入手できるVoranol(登録商標)360、Voranol(登録商標)RN411、Voranol(登録商標)RN490、Voranol(登録商標)370、Voranol(登録商標)446、Voranol(登録商標)520、Voranol(登録商標)550及びVoranol(登録商標)482ポリオールが含まれる。
【0049】
又別の好ましい実施形態では、ポリオール混合物はさらに、成分(a)及び(b)に加えて、1分子当たり4.5〜7個のヒドロキシル基の平均官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する、及び非アミン開始である少なくとも1つの他のポリエーテルポリオール、並びに2.0〜4.0(好ましくは3.0〜4.0)の平均官能価及び100〜225のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つの他のアミン開始ポリオールを含有する。他のアミン開始ポリオールは、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トルエンジアミン(全異性体)などを用いて開始することができる。この場合には、エチレンジアミン開始及びトルエンジアミン開始ポリオールが好ましい。ポリオール混合物は、2〜50重量%の(a)及び(b)の結合成分、20〜80重量%の非アミン開始ポリオール及び2〜20重量%の他のアミン開始ポリオールを含有することができる。ポリオール混合物は、非アミン開始であり、2.0〜3.0のヒドロキシル官能価及び90〜500、好ましくは200〜500のヒドロキシル当量を有する、15重量%までのさらに又別のポリオールを含有することができる。上述したポリオール混合物の特定の例には、結合して10〜50重量%の成分(a)及び(b)、1分子当たり4.5〜7個のヒドロキシル基の平均官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する20〜70重量%のソルビトール又はスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオール、100〜225の当量を有する2〜20重量%のエチレンジアミン開始ポリオール、並びに2.0〜3.0の官能価及び200〜500のヒドロキシル当量を有する0〜15重量%の非アミン開始ポリオールの混合物が含まれる。
【0050】
本明細書に記載したポリオール混合物は、構成ポリオールを個別に製造し、その後にそれらを一緒にブレンドする工程によって調製できる。又は、ポリオール混合物は、各開始剤化合物の混合物を形成する工程と、及び次にポリオール混合物を直接的に形成するために該開始剤混合物をアルコキシル化する工程によって調製することができる。これらのアプローチの組み合わせも又使用できる。
【0051】
ポリウレタン形成組成物は、少なくとも1つの有機ポリイソシアネートを含有する。有機ポリイソシアネート又はその混合物は、有益にも、好ましい硬質フォームが調製されなければならない場合は、1分子当たり平均して少なくとも2.5個のイソシアネート基を含有する。好ましいイソシアネート官能価は、約2.5〜約3.6又は約2.6〜約3.3個のイソシアネート基/分子である。ポリイソシアネート又はその混合物は、有益にも約130〜200のイソシアネート当量を有する。これは、好ましくは130〜185、及びより好ましくは130〜170である。これらの官能価及び当量値は、この混合物が全体としてこれらの数値を満たすことを前提に、混合物中の任意の単一ポリイソシアネートに関しては適合する必要はない。
【0052】
適切なポリイソシアネートには、芳香族、脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートが含まれる。芳香族ポリイソシアネートが、一般には好ましい。典型的なポリイソシアネートには、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート及び4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが含まれる。好ましいポリイソシアネートは、モノマーMDI中のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物であるいわゆるポリマーMDI生成物である。特に適切なポリマーMDI生成物は、5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%の遊離MDI含量を有する。そのようなポリマーMDI生成物は、Dow Chemical社製の商標名PAPI(登録商標)及びVoranate(登録商標)として入手できる。
【0053】
特に好ましいポリイソシアネートは、平均2.6〜3.3個のイソシアネート基/分子及び130〜170のイソシアネート当量のイソシアネート官能価を有するポリマーMDI生成物である。そのタイプの適切な市販で入手できる生成物には、全部がDow Chemical社のPAPI(商標)27、Voranate(商標)M229、Voranate(商標)220、Voranate(商標)290、Voranate(商標)M595及びVoranate(商標)M600が含まれる。
【0054】
イソシアネート末端プレポリマー及び準プレポリマー(プレポリマーと未反応ポリイソシアネート化合物との混合物)も又使用できる。これらは、化学量論的に過剰な有機ポリイソシアネートをポリオール、例えば上述したポリオールと反応させる工程によって調製される。これらのプレポリマーを調製するために適切な方法は、周知である。そのようなプレポリマー又は準プレポリマーは、好ましい硬質フォームを製造するために使用される場合は、好ましくは2.5〜3.6のイソシアネート官能価及び130〜200のイソシアネート当量を有する。
【0055】
ポリイソシアネートは、80〜600のイソシアネート指数を提供するために十分な量で使用される。イソシアネート指数は、ポリイソシアネート成分をポリウレタン形成組成物(イソシアネート反応性発泡剤、例えば水によって含有されるイソシアネート反応性基を含む)中のイソシアネート反応性基の数で除し、これに100を掛けることによって提供される反応性イソシアネート基の数として計算される。水は、イソシアネート指数を計算するために1分子当たり2個のイソシアネート反応性基を有すると考えられる。好ましいイソシアネート指数は、90〜400であり、より好ましいイソシアネート指数は100〜150である。
【0056】
本ポリウレタン形成組成物において使用される発泡剤には、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル若しくはフッ素置換ジアルキルエーテル、又はそれらの2つ又はそれ以上の混合物である少なくとも1つの物理的発泡剤が含まれる。これらのタイプの発泡剤には、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、n−ブタン、イソブタン、イソブテン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が含まれる。炭化水素及びヒドロフルオロカーボン発泡剤が好ましい。一般には、配合物中には、物理的発泡剤に加えて水をさらに含むのが好ましい。
【0057】
発泡剤は、好ましくは、配合物が硬化して16〜160kg/m、好ましくは16〜64kg/m及び特には20〜48kg/mの成型密度を有するフォームを形成するために十分な量で使用される。これらの密度を達成するために、炭化水素又はヒドロフルオロカーボン発泡剤は、便宜的には、ポリオール100重量部当たり約10〜約40、好ましくは約12〜約35重量部の範囲内の量で使用される。水は、イソシアネート基と反応して、膨張ガスとして作用する二酸化炭素を生成する。水は、適切にはポリオール100重量部当たり0.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0058】
ポリウレタン形成組成物は、典型的には、ポリオール及び/又は水とポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1つの触媒を含むことになる。適切なウレタン形成触媒には、どちらも参照して本明細書に組み込まれる米国特許第4,390,645号明細書及び国際公開第02/079340号パンフレットに記載されたウレタン形成触媒が含まれる。代表的な触媒には、第3級アミン及びホスフィン化合物、様々な金属のキレート剤、強酸の酸性金属塩;強塩基、様々な金属のアルコール酸塩及びフェノール酸塩、
有機酸と様々な金属との塩、四価スズ、三価及び五価のAs、Sb及びBiの有機金属誘導体並びに鉄及びコバルトの金属カルボニルが含まれる。
【0059】
一般に、第3級アミン触媒が好ましい。第3級アミン触媒は特に、ジメチルベンジルアミン(例えば、Rhine Chemie社製のDesmorapid(登録商標)DB)、1,8−ジアザ(5,4,0)ウンデカン−7(例えばAir Products社製のPolycat(登録商標)SA−1)、ペンタメチルジエチレントリアミン(例えば、Air Products社製のPolycat(登録商標)5)、ジメチルシクロヘキシルアミン(例えばAir Products社製のPolycat(登録商標)8)、トリエチレンジアミン(例えばAir Products社製のDabco(登録商標)33LV)、ジメチルエチルアミン、n−エチルモルホリン、N−アルキルジメチルアミン化合物、例えばN−エチルN,N−ジメチルアミン及びN−セチルN,N−ジメチルアミン、N−アルキルモルホリン化合物、例えばN−エチルモルホリン及びN−ココモルホリンなどである。有用であるその他の第3級アミン触媒には、Air Products社によって商標名Dabco(登録商標)NE1060、Dabco(登録商標)NE1070、Dabco(登録商標)NE500、Dabco(登録商標)TMR−2、Dabco(登録商標)TMR30、Polycat(登録商標)1058、Polycat(登録商標)11、Polycat(登録商標)15、Polycat(登録商標)33、Polycat(登録商標)41及びDabco(登録商標)MD45の下で販売される触媒、並びにHuntsman社によって商標名ZR50及びZR70の下で販売される触媒が含まれる。さらに、本明細書における触媒材料としては、国際公開第01/58976A号パンフレットに記載されたものを含む所定のアミン開始ポリオールを使用できる。上記の2つ又はそれ以上の混合物を使用できる。
【0060】
触媒は、触媒的に十分量で使用される。好ましい第3級アミン触媒については、触媒の適切な量は、ポリオール100重量部当たり約1〜約4重量部、特には約1.5〜約3重量部の第3級アミン触媒である。
【0061】
ポリウレタン形成組成物は、さらに又好ましくは、気体が発生して気泡を形成し、フォームを膨張させるにつれて組成物の気泡を安定化させるために役立つ、少なくとも1つの界面活性剤を含有する。適切な界面活性剤の例には、脂肪酸のアルカリ金属及びアミン塩、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、オレイン酸ジエタノールアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミンなど:スルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸及びジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ金属及びアミン塩;リシノール酸;シロキサン−オキサルキレンポリマー若しくはコポリマー及びその他のオルガノポリシロキサン;オキシエチル化アルキルフェノール(例えば、Dow Chemical社製のTergitol NP9及びTriton X100);オキシエチル化脂肪アルコール、例えば、Dow Chemical社製のTergitol 15−S−9;パラフィン油;ヒマシ油;リシノール酸エステル;ターキーレッド油;落花生油;パラフィン;脂肪アルコール;ジメチルポリシロキサン並びにポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン側基を備えるオリゴマーアクリレートが含まれる。これらの界面活性剤は、一般には、ポリオール100重量部に基づいて0.01〜6重量部の量で使用される。
【0062】
オルガノシリコン界面活性剤が、一般に好ましいタイプである。広範囲のこれらのオルガノシリコン界面活性剤は、市販で入手することができ、Goldschmidt社によってTegostab(登録商標)の名称(例えば、Tegostab B−8462、B8427、B8433及びB−8404界面活性剤)の下で販売されるもの、OSi Specialties社によってNiax(登録商標)の名称(例えば、Niax(登録商標)L6900及びL6988界面活性剤)の下で販売されるもの、並びにAir Products and Chemicals社から市販で入手できる様々の界面活性剤製品、例えばDC−193、DC−198、DC−5000、DC−5043及びDC−5098界面活性剤が含まれる。
【0063】
上記の成分に加えて、ポリウレタン形成組成物は、様々な補助成分、例えば、充填剤、着色剤、臭気遮蔽物、難燃剤、殺生物剤、抗酸化物質、UV安定剤、帯電防止剤、粘度調整剤などを含むことができる。
【0064】
適切な難燃剤の例には、リン化合物、ハロゲン含有化合物及びメラミンが含まれる。
【0065】
充填剤及び顔料の例には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ色素、フタロシアニン、ジオキサジン、再生硬質ポリウレタンフォーム及びカーボンブラックが含まれる。
【0066】
UV安定剤の例には、ヒドロキシベンゾトリアゾール、亜鉛ジブチルチオカルバメート、2,6−ジターシャリーブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミン及びホスファイトが含まれる。
【0067】
充填剤を除いて、上記の添加物は、一般には少量で使用される。各々は、本ポリウレタン配合物の総重量の0.01重量%〜3重量%を構成してよい。充填剤は、本ポリウレタン配合物の総重量の50重量%という高い量で使用することができる。
【0068】
本ポリウレタン形成組成物は、ポリオール及びイソシアネートが反応し、発泡剤がガスを生成し、本組成物が膨張して硬化する条件下で様々な成分を一緒にする工程によって調製される。ポリイソシアネートを除く全成分(又はそれらの任意の小組み合わせ)は、所望であれば配合されたポリオール組成物に事前にブレンドすることができ、該ポリオール組成物は次にフォームを調製すべき時点にポリイソシアネートと混合される。これらの成分は、所望であれば予熱することができるが、通常はこれは必要とされず、これらの成分は反応を実施するためにほぼ室温(約22℃)で一緒にすることができる。通常は、硬化を推進するために本組成物に熱を加える必要はないが、所望であればこれも又実施することができる。
【0069】
本発明は、ポリウレタン形成組成物が空洞及び該空洞内のフォーム内にそれを充填して組立体に構造的及び/又は断熱特性を提供するために投入される、いわゆる「現場注入」用途において特に有用である。術語「現場注入」は、フォームが、1つの工程で製造されて後に別個の製造工程において所定の位置に組立てられるのではなく、必要とされる場所で作り出されるという事実を意味する。現場注入プロセスは、家庭用電化製品、断熱フォームを含有する壁を有する例えば冷蔵庫、冷凍庫、及び冷却器や類似製品を製造するために一般に使用される。ポリウレタン形成組成物中のアミン開始ポリオールの存在は、同時に低k因子フォームを生成しながら、優れたフロー及び短い離型時間を備える配合物を提供する傾向がある。
【0070】
家庭用電化製品、例えば冷蔵庫、冷凍庫及び冷却器の壁は、最も便宜的には本発明によって、最初に外箱及び内箱を空洞が外箱と内箱との間に形成されるように一緒に組立てる工程によって断熱される。空洞は、断熱されるべき空間並びに製造されるフォームの寸法及び形状を規定する。典型的には、外箱及び内箱は、何らかの方法、例えば溶接法、溶融結合法又は何らかの接着剤(又はこれらの組み合わせ)を使用して、フォーム配合物を導入する前に結び付けられる。外箱及び内箱は、ジグ又はその他の装置を使用して正しい相対位置に支持又は保持することができる。空洞への、それを通してフォーム配合物を導入できる1つ又はそれ以上の入口が用意される。通常は、1つ又はそれ以上の出口が、空洞がフォーム配合物で充填されてフォーム配合物が膨張するにつれて、空洞内の空気を脱出させられるように用意される。
【0071】
外箱及び内箱を構築する材料は、特には決定的に重要ではないが、ただしそれらはフォーム配合物の硬化及び膨張反応の条件に抵抗できることを前提とする。ほとんどの場合に、構築材料は、最終製品において所望である特定の性能特性に関して選択されることになる。金属、例えばスチールが一般には外箱として、特に大型の家庭用電化製品、例えば冷凍庫又は冷蔵庫において使用される。プラスチック、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンスチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂又は耐衝撃性ポリスチレンは、より小型の家庭用電化製品(例えば冷却庫)又は低重量が重要である家庭用電化製品において使用されることがより多い。内箱は金属であってよいが、より典型的には上述したプラスチックである。
【0072】
フォーム配合物は、次に空洞内に導入される。フォーム配合物の様々な成分は一緒に混合され、その混合物は空洞内へ迅速に導入され、そこで成分は反応して膨張する。配合ポリオールを製造するためには、ポリオールを水及び発泡剤(及び頻回には、触媒及び/又は界面活性剤も同様に)と一緒に事前に混合することが一般的である。配合ポリオールは、フォームを調製する時点まで貯蔵することができ、その時点にポリイソシアネートと混合して空洞内に導入される。通常は、これらの成分を空洞内に導入する前に加熱することは必要とされず、さらに空洞内で硬化するのを推進するために配合物を加熱することが必要とされることもないが、これらの工程の一方又は両方を所望であれば行うことができる。外箱及び内箱は、一部の場合にはヒート・シンク(放熱板)として機能し、反応しているフォーム配合物から熱を取り除くことができる。必要であれば、外箱及び/又は内箱は、このヒート・シンク作用を減少させるため、又は硬化を推進するためにある程度(例えば50℃、及びより典型的には35〜40℃まで)加熱することができる。
【0073】
フォーム配合物が膨張した後に、結果として生じるフォームが、フォームが所望の空洞の部分を充填するように、十分なフォーム配合物が導入される。最も典型的には、本質的に空洞全体がフォームで充填される。一般には、空洞を充填するために最低限必要とされるフォーム配合物より多くを導入し、それによりフォーム密度を僅かに増加させることによって、空洞を僅かに「過充填」することが好ましい。過充填は、利点、特に離型後の期間におけるフォームのより優れた寸法安定性を提供する。一般に、空洞は、4〜20重量%過充填される。ほとんどの家庭用電化製品用途のための最終フォーム密度は、好ましくは28〜40kg/mの範囲内にある。
【0074】
フォーム配合物が寸法的に安定性であるために十分に膨張して硬化した後、結果として生じる組立体は、それらの正しい相対位置に外箱及び内箱を維持するために使用されるジグ又は他の支持体から取り外すことによって「離型」させることができる。短い離型時間は家庭用電化製品産業にとって重要であるが、それはより短い離型時間は、所定の製造装置上で単位時間当たりより多くの部品を製造することを可能にするからである。
【0075】
離型時間は、下記のように評価できる。離型剤がコーティングされた28Lの「巨大な」Brett型を45℃へ状態調節する。密度32kg/mのフォームを得るために、896g±4gのフォーム配合物を型内に注入する。6分間後、フォームを型から取り出し、フォームの厚さを測定する。さらに24時間後、フォームの厚さを再計測する。24時間後の厚さと初期厚さとの差は、フォームの離型後膨張の指標であり、これは順に、フォームが離型した時点に適正に硬化しているかどうかの指標である。本試験での4mm以下の離型後膨張は、一般にはフォームが適正に硬化したことを示している。本試験は、必要であれば、特定配合物について適正な硬化を得るために必要な離型時間を決定するために様々な硬化時間を使用して繰り返すことができる。本発明を用いると6分間以下の離型時間が頻回に得られ、4分以下の離型時間を達成することができる。
【0076】
上述したように、フローは、フォーム配合物のもう1つの重要な特性である。本発明の目的のためには、フローは、200cm×20cm×5cm(約6’6’’×8’’×2’’)の寸法を有する、長方形の「Brett」型を使用して評価する。ポリウレタン形成組成物を形成し、直ちにBrett型内に注入し、これを垂直方向(即ち、垂直方向に200cmの方向)に方向付け、45±5℃へ予熱する。本組成物は、その自重に対して膨張し、型の内側で硬化させられる。ポリウレタン形成組成物の量は、結果として生じるフォームが型を丁度充填するように選択する。結果として生じるフォームの密度を次に測定し、同一配合物から(配合物を、それが大気圧に対して垂直及び水平に自由に膨張できるポリ袋又は開放段ボール箱内に注入する工程によって)製造されたフォームの自由上昇密度と比較する。Brett型フォーム密度対自由上昇密度の比率は、配合物の「フローインデックス」を表すと考えられる。本発明の範囲内では、フローインデックス値は、典型的には1.8未満であり、そして好ましくは1.2〜1.5である。
【0077】
ポリウレタンフォームは、有益にも低いk因子を示す。フォームのk因子は、その密度が重要な変量である数種の変量に左右される可能性がある。多数の用途のためには、28.8〜40kg/m(1.8〜2.5ポンド/立方フィート)の密度を有する硬質ポリウレタンフォームは、物理的特性、寸法安定性、及び費用の優れた組み合わせを示す。本発明による、その範囲内の密度を有するフォームは、好ましくは10℃で22以下、好ましくは20以下、及びより好ましくは19.5mW/m−°Kのk因子を示す。高密度のフォームは、若干高いk因子を示す可能性がある。
【0078】
上述した家庭用電化製品及び断熱フォームに加えて、本発明はさらに又、車両騒音緩衝フォーム、積層ボードの1つ又はそれ以上の層、パイプ断熱及びその他のフォーム製品を製造するためにも有用である。本発明は、迅速な硬化が望ましい場合、及び/又はフォーム内で優れた断熱特性が望ましい場合に特に興味深い。
【0079】
所望であれば、本発明の方法は、反応混合物が減圧下にある閉鎖型空洞内に注入される、例えば国際公開第07/058793号パンフレットに記載された真空支援注入(VAI)法と結び付けて実施することができる。VAI法では、型圧は、フォーム形成組成物の型への装填前又は装填直後に、300〜950mbar(30〜95kPa)へ、好ましくは400〜900mbar(40〜90kPa)へ、及び一層より好ましくは500〜850mbar(50〜85kPa)へ低下させられる。さらに、充填係数(成型フォームの密度をその自由上昇密度で除した比率)は、1.03〜1.9でなければならない。
【0080】
VAI法ではより高い配合物粘度が有益であることが多いが、それは高い粘度はフォーム配合物が硬化するまでは気泡が破裂して虚脱するのを防止するために役立つからである。このため、50℃で少なくとも10,000cpsの粘度を有する本発明によるメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオールが好ましい。メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオールは、より好ましくは50℃で少なくとも25,000又は少なくとも40,000の粘度を有する。メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオールの粘度は、50℃で100,000cpsという高さであってよい。シクロヘキサンジアミン開始ポリオールの粘度は、50℃で5,000〜25,000であってよい。
【0081】
以下の実施例は、本発明を具体的に示すために提供されるが、その範囲を限定することは意図されていない。全ての部及びパーセンテージは、他に特に指示されない限り、重量部及び重量%である。
【0082】
ポリオールの調製
28モルのメチレンビス(シクロヘキシルアミン)が窒素雰囲気下で反応容器に加えられる。容器及びその内容物は、125℃に加熱され、85モルのプロピレンオキシドが供給される。反応混合液は4時間に渡り125℃で消化させられ、その時点に82gの45重量%の水酸化カリウム溶液が加えられる。水は次に真空下で除去され、72モルのプロピレンオキシドが反応器内に供給される。反応混合物は再び4時間に渡り125℃で消化させられ、その時間後に酢酸溶液が加えられる。生成物のメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始ポリオールは、415mg KOH/gのヒドロキシル価及び50℃で73,000cpsの粘度を有する。
【0083】
12.8モルのビス(アミノメチル)シクロヘキサンの1,3−及び1,4−異性体の混合物は、窒素雰囲気下で反応容器へ加えられる。この容器及びその内容物は140℃へ加熱され、38.9モルのプロピレンオキシドがその中に供給される。反応混合液は30分間に渡り140℃で消化させられ、その時点には温度が135℃へ低下させられ、33.3gの45重量%の水酸化カリウム溶液が加えられる。水は次に真空下で除去され、32.6モルのプロピレンオキシドが反応器内に供給される。反応混合物は再び1時間に渡り135℃で消化させられ、その時間後に酢酸溶液が加えられる。生成物のポリオールは、433mg KOH/gのヒドロキシル価及び50℃で11,800cpsの粘度を有する。
【0084】
38モルの1,2−シクロヘキサンジアミンの混合物が窒素雰囲気下の反応容器に加えられる。この容器及びその内容物は125℃へ加熱され、そして113モルのプロピレンオキシドがその中に供給される。反応混合液は2時間に渡り125℃で消化させられ、その時点に89.4gの45重量%の水酸化カリウム溶液が加えられる。水は次に真空下で除去され、温度は115℃へ低下させられ、そして95モルのプロピレンオキシドが反応器内に供給される。反応混合物は再び2時間に渡り115℃で消化させられ、その時間後に酢酸溶液が加えられる。生成物のポリオールは、478mg KOH/gのヒドロキシル価及び50℃で7,170cpsの粘度を有する。
【0085】
実施例1並びに比較例A及びB
硬質ポリウレタンフォームは、表1に記載した成分から製造する。フォームの加工処理は、175〜225g/秒のスループットで作動させるHi Tech CS−50高圧機械を使用して実施する。フォーム配合物は、(自由上昇密度を測定するための)バッグ内及び45℃に予熱した垂直Brett型内に注入する。混合する工程前の成分の温度は、約21℃である。
【0086】
クリーム、ゲル及び不粘着時間を反応混合物各々について測定する。自由上昇密度及び最小充填密度を測定し、これらの数値からフローインデックスを計算する。圧縮強さも又、フォームサンプル上で測定する。
【0087】
10℃でのk因子は、−3℃の上方冷却板温度及び23℃の下方加温板温度を備えるLaser Comp Fox 200装置を使用して8’’×1’’×1’’(20×2.5×2.5cm)サンプル上で測定する。24℃でのk因子は、10℃の上方冷却板温度及び38℃の下方加温板温度を用いて、同一方法で測定する。離型後膨張は、4、6及び7分間の離型時間で巨大Brett型フォーム上で測定する。結果は表1に報告した通りである。
【表1】

Dow Chemical社からVoranol(登録商標)RN482ポリオールとして市販で入手できる482のヒドロキシル価を有する官能価6.0のポリ(プロピレンオキシド)。440のヒドロキシル価及び約4.0のヒドロキシル官能価を有するトルエンジアミン及びプロピレンオキシドの付加化合物。3,4ポリオールの調製のセクションを参照されたい。500のヒドロキシル価を有するエチレンジアミン開始ポリ(プロピレンオキシド)。約400の分子量を有するポリ(プロピレンオキシド)ジオール。Dow Chemical社から入手できる、Voranate(商標)M229ポリマーMDI。
【0088】
表1の結果は、全3種のフォーム配合物が匹敵するクリーム、ゲル及び不粘着時間を有しており、密度、フローインデックス及びk因子が極めて類似するフォームを生成することを示している。しかし、フォーム実施例1は、比較例のいずれよりも有意に優れた離型後膨張を示しており、この配合物が他の例より迅速に硬化し、そこでより寸法安定性のフォームを生成することを示している。4分間の離型時間では、比較例Aは過度に寸法が不安定であり、比較例Bは不明確であるので、それらのフォーム配合物のためにはより長い離型時間が必要である。実施例1は、極めて僅かな寸法不安定性しか示さず、たった4分間後に容易に離型させることができる。
【0089】
実施例2及び比較例C
硬質ポリウレタンフォームは、表2に記載した成分から、実施例1に記載した方法と同一方法で製造し、先行実施例に記載したように試験する。結果は表2に報告した通りである。比較例Aについてのデータは、比較のために表2にも複製されている。
【表2】

Dow Chemical社からVoranol(登録商標)RN482ポリオールとして市販で入手できる482のヒドロキシル価を有する官能価6.0のポリ(プロピレンオキシド)。440のヒドロキシル価及び約4.0のヒドロキシル官能価を有するトルエンジアミン及びプロピレンオキシドの付加化合物。3,4ポリオールの調製のセクションを参照されたい。500のヒドロキシル価を有するエチレンジアミン開始ポリ(プロピレンオキシド)。約400の分子量を有するポリ(プロピレンオキシド)ジオール。Dow Chemical社から入手できる、Voranate(商標)M229ポリマーMDI。
【0090】
表2の結果は、実施例1のデータとの類似する傾向を示している。全3種のフォーム配合物は匹敵するクリーム、ゲル及び不粘着時間を有しており、密度、フローインデックス及びk因子が極めて類似するフォームを生成する。しかし、フォーム実施例2は、比較例のいずれよりも有意に優れた離型後膨張を示しており、この配合物が他の例より迅速に硬化し、したがってより寸法安定性のフォームを生成することを指示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとの反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールと、
(b)(i)及び(b)(ii)の内の少なくとも1つであって、(b)(i)は少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドとメチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物との反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールであり、(b)(ii)は少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと1,2−、1,3−及び/又は1,4−ジアミノシクロヘキサン化合物との反応生成物である、3.0超〜4.0の平均ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのアミン開始ポリオールである(b)とを含むポリオール混合物であって、
成分(a)及び(b)の各々は、前記ポリオール混合物中の少なくとも0.5重量%のポリオールを構成し、成分(a)及び(b)は一緒に前記ポリオール混合物中の少なくとも2重量%のポリオールを構成するポリオール混合物。
【請求項2】
成分(a)及び(b)は各々、3.3〜4.0のヒドロキシル官能価及び75〜560のヒドロキシル当量を有する、請求項1に記載のポリオール混合物。
【請求項3】
前記メチレンビス(シクロヘキシルアミン)開始剤化合物は、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)、メチレンビス(2−アミノシクロヘキサン)、2,4’−ジアミノ−メチレンビス(シクロヘキサン)、メチレンビス(4−アミノ−2−メチル−シクロヘキサン)、メチレンビス(2−アミノ−4−メチル−シクロヘキサン)、メチレンビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキサン)である、請求項1又は2に記載のポリオール混合物。
【請求項4】
前記1,3−及び/又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン化合物は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの混合物である、請求項1、2又は3に記載に記載のポリオール混合物。
【請求項5】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリオール混合物。
【請求項6】
4.5〜7のヒドロキシル官能価及び100〜175のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールをさらに含有する、請求項1から5に記載のポリオール混合物。
【請求項7】
2.0〜4.0の平均ヒドロキシル官能価及び100〜225のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つの追加のアミン開始ポリオールをさらに含有する、請求項6に記載のポリオール混合物。
【請求項8】
2.0〜3.0の平均ヒドロキシル官能価及び90〜500のヒドロキシル当量を有する非アミン開始ポリオールをさらに含有する、請求項7に記載のポリオール。
【請求項9】
前記追加のアミン開始ポリオールは、トルエンジアミン開始ポリオールを含む、請求項7に記載のポリオール。
【請求項10】
ポリウレタンを製造するための方法であって、請求項1から9のいずれかに記載のポリオール混合物を少なくとも1つのポリイソシアネートと、前記ポリオール混合物が前記ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを形成する条件下で接触させる工程を含む方法。
【請求項11】
真空支援注入法である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
硬質ポリウレタンフォームを製造するための方法であって、
a)少なくとも
1)請求項1から9のいずれか一項に記載のポリオール混合物と、
2)少なくとも1つの炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル若しくはフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤と、
3)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
を含有する反応混合物を形成する工程と、
b)前記反応混合物を、前記反応混合物が膨張及び硬化して硬質ポリウレタンフォームを形成する条件にかける工程と
を含む方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法に従って製造された硬質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2013−506045(P2013−506045A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532129(P2012−532129)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049571
【国際公開番号】WO2011/041163
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】