説明

2−アリール−プロピオン酸及び誘導体、並びにそれらを含有する医薬組成物

本発明は、(R,S)2−アリール−プロピオン酸及び誘導体、それらの単一のエナンチオマー(S)並びにそれらを含有する医薬組成物に関する。これらは、炎症部位での多形核好中球(PMN白血球)の増悪された動員による組織損傷の予防及び治療に使用される。本発明は、一過性脳虚血、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎、及び虚血と再潅流によって引き起こされる損傷の治療に使用するための化合物を提供する(式(I))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(R,S)2−アリール−プロピオン酸及び誘導体、それらの単一のエナンチオマー(S)並びにそれらを含有する医薬組成物に関する。これらは、炎症部位での多形核好中球(PMN白血球)の増悪された動員による組織損傷の予防及び治療に使用される。
【背景技術】
【0002】
特定の血液細胞(マクロファージ、顆粒球、多形核好中球)は、走化性(化学走性)と呼ばれるプロセスを通じて刺激因子の濃度勾配に沿って遊走することにより、化学的刺激に応答する。ケモカインは、7TM−GPCRファミリーに属する受容体との相互作用を介して作用する走化性サイトカインの大ファミリーを構成する。ケモカイン系は、基本の恒常性及び炎症性白血球の動きを調節及び制御するのに不可欠である。ケモカイン受容体活性化の機能的帰結は、白血球の移動、脱顆粒、遺伝子転写、分裂促進及びアポトーシス作用などである。
【0003】
GPCRファミリーに属さないその他の走化性因子も知られている。例えば、補体C5aの分解産物、細菌表面の溶解によって生じるある種のN−ホルミルペプチド、又はホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(f−MLP)などの合成由来ペプチド、及び主に、インターロイキン−8(CXCL8)を含む様々なサイトカインなどである。
【0004】
CXCL8(インターロイキン−8)は、線維芽細胞、マクロファージ、内皮及び上皮細胞などの大部分の有核細胞によって産生される内因性の走化性因子である。この走化性因子のファミリーに属するのは、CXCL8の受容体であるCXCR1及びCXCR2に結合する一連のCXCL8様ケモカイン[GRO α、β、γ及びNAP−2]である(Changら、J.Immunol.,148,451,1992)。好中球は細菌感染に対する防御の最前線である。それは、これらの細胞が末梢血から内皮結合及び組織マトリックスを通り抜け、作用部位に向かって(すなわち、走化性因子の濃度勾配に沿って)遊走し、そこで微生物を攻撃し、損傷細胞を除去し、組織を修復することによって作用するという能力を備えていることによる(M.A.Goucerot−Podicaloら、Pathol.Biol(Paris)、44,36,1996)。
【0005】
好中球の増悪された動員を特徴とする一部の病態では、その部位におけるより重症の組織損傷は好中球の浸潤と関連している。虚血後再潅流及び肺の酸素過剰に伴う損傷の決定に好中球の活性化が役割を果たしていることは広く実証されている。実験モデル[N.Sekidoら、Nature,365,654,1993及びT.Matsumotoら、Lab.Investig.,77,119,1997]及び臨床研究(A Mazzoneら、Recent Prog.Med.,85,397,1994;G.Receiptsら、Atheroscl.,91,1,1991)によって、細胞損傷とPMN白血球の浸潤度との間の直接的な相関関係が示されている。CXCL8はその最も特異的かつ強力なアクチベーターである。
【0006】
急性心筋梗塞に罹患した患者の虚血後再潅流の後の損傷発生におけるCXCL8の特異的役割が示されている(Y.Abeら、Br.Heart J.,70,132,1993)。実験研究から、虚血後の早期に血管白血球(主にPMN)、後に単球/マクロファージの脳病変部への動員及び流入、炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン及び接着分子の発現が示されている(U.Dirnaglら、Trends Neurosci.,22,391,1999)。活性化されたPMNは、微小血管の閉塞及び毒性メディエーター、例えばサイトカイン、活性酸素・窒素代謝産物、及び脂質メディエーターの産生を起こすことによって脳損傷に寄与する(V.Witko−Sarsatら、Lab.Invest.,80,617,2000)。虚血誘導損傷の発生におけるPMN浸潤の役割及びPMN蓄積を低減するための対策が一過性脳虚血動物モデルで研究されている(N.Jiangら、Brain Res.,788,25,1998)。PMN化学誘引物質のCXCケモカイン(CXCL8を含む)が脳の虚血後の白血球蓄積及び活性化に関与しているという仮説が立てられている(R.M.Ransohoffら、Trends Neurosci.,21,154,1998)。実際、虚血発作患者にCXCL8の全身的な増多が報告されており、またヒトのCXCL8に関連したCXCL8様ラット好中球ケモカインであるCINCに類似の一過性の増多が虚血脳領域に見られた(Y.Yamasakiら、Stroke,16,318,1995)。抗CXCL8抗体手法を用いたいくつかの神経保護作用の研究がウサギ及びラットで成功を収めており、脳虚血においてCXCL8を標的にした治療法の可能性が確認されている(T.Matsumotoら、Lab.Investig.,77,119,1997,Y.Yamasakiら、Brain Res.,759,103,1997,S.Yamagamiら、J.Leukoc.Biol.,65,744,1999)。
【0007】
ケモカイン及び/又はそれらの受容体を標的にすることは、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び移植拒絶反応などの慢性炎症性疾患の治療においても有望なアプローチである。接着分子とケモカインの複雑なネットワークが協調して働くことによって細胞遊走を調整(coordinate)し、炎症反応を引き起こす。いくつかの研究で、慢性疾患の発生機序におけるケモカイン受容体の役割が探求されている(J.J.Haringmanら、Ann.Rheum.Dis.,63,1186,2004)。
【0008】
様々なケモカインの関与は、水疱性類天疱瘡(BP)(ヘミデスモソームの180KDのBP自己抗原(BP180)に対する自己抗体の産生を伴う表皮下水疱症)のようないくつかの皮膚病の発生機序でも報告されている。中でも、CXCL8は、ヒト及び実験マウスのBPのどちらの炎症プロセスにも関与している。BP患者の皮膚病変部又は血清に高レベルのCXCL8が検出されており、BPの実験マウスモデルでは、CXCL8の注射が、C5又は肥満細胞欠損マウス(そうでなければ水疱の誘導に抵抗性がある)で水疱形成を促進した(Z.Liuら、J.Clin.Invest.,95,1539,1995)。さらに、BP180に対する抗体は、培養正常表皮角化細胞からCXCL8の用量及び時間依存性の放出を媒介することも示された(E.Schmidtら、J.Invest.Dermatol.115,842,2000)。
【0009】
報告されているように、CXCL8の生物活性は、CXCL8と、7回膜貫通型受容体のファミリーに属し、ヒト好中球及びいくつかのタイプのT細胞の表面に発現しているCXCR1及びCXCR2膜受容体との相互作用によって媒介される(L.Xuら、J.Leukocyte Biol.,57,335,1995)。CXCR1の活性化はCXCL8が媒介する走化性に重要な役割を演じていることが知られているが、最近ではCXCR2の活性化も慢性炎症性疾患における病態生理学的役割を演じていると考えられている。
【0010】
RAは、主に関節を攻撃して増殖性滑膜炎を起こし、多くの場合、関節軟骨の破壊及び関節強直に進行する慢性全身性炎症性疾患である。活性化T細胞、単球/マクロファージ及び好中球(PMN)は、滑膜の炎症に関与する主な細胞タイプである。内皮バリアを通って滑膜組織及び滑液に入る白血球の血管外遊出は、RAの発生機序における重要な事象と考えられている(Z.Szekaneczら、J.Invest.Med.,44,124,1996)。細胞輸送の増大は、炎症誘発性メディエーター(サイトカイン及びケモカイン)及び接着分子の発現の増強によって引き起こされる(Z.Szekaneczら、Sem.Immunol.,15,15,2003)。特に、いくつかの走化性サイトカインは、RA発症時のPMN及び単核細胞の動員及び活性化に直接関与している。RA滑膜炎におけるCXCL8、CXCL5、CXCL1及びCXCL6の特異的病因的役割は明らかに実証されており、好中球動員のみならず血管新生の促進におけるCXCケモカインの特異的役割と明らかに関連している。これまで、いくつかの研究によって、CXCL8及びCXCL1はRAにおける炎症及び関節破壊の主要メディエーターであるという概念が裏付けられており、高レベルのこれらのケモカインがRA患者の滑膜組織及び滑液に検出されている(A.E.Kochら、J.Immunol.,147,2187,1991)。同様の証拠がいくつかの動物モデルやLPS又は尿酸一ナトリウム結晶をウサギの膝関節に注射することによって誘導された急性関節炎モデルで集められており、PMNの動員は、関節腫脹及び組織損傷からの同時保護作用を有する中和CXCL8特異的抗体による治療によって遮断された(P.L.Podolinら、J.Immunol,169,6435,2002)。単一のケモカインの活性しか中和しない試薬とは対照的に、CXCR2のようなマルチリガンド受容体のアンタゴニストは、該受容体を通じて作用するすべてのメディエーターの活性を遮断し、系の重複性(redundancy)を一部克服するので、さらに深い生物学的効果を誘発できる(K.J.Katschkeら、Arthritis Rheum.,44,1022,2001)。
【0011】
ケトプロフェンのラセミ化合物の抗炎症活性に対する単一の(S)及び(R)エナンチオマーの寄与に関する研究、及びケモカインの調節におけるそれらの役割に関する研究(P.Ghezziら、J.Exp.Pharm.Ther.,287,969,1998)によって、二つのエナンチオマーとそれらの塩は、CXCL8がヒトPMN白血球に誘導する走化性及び細胞内Ca2+イオン濃度の増加を用量依存的に阻害できることが示された(EP0935961)。その後、ケトプロフェンは、CXCL8の生物活性の阻害活性を、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のクラスに属するフルルビプロフェン及びイブプロフェンのような他の分子と共有していることが示された(C.Bizzarriら、Biochem.Pharmacol.61,1429,2001)。2−アリールプロピオン酸のラセミ混合物、(R)及び(S)エナンチオマーは、COXに対しては何の活性もなしに、CXCL8が誘導するPMN走化性及びPMN脱顆粒の阻害薬であることが示された(WO03/043625)。本発明の化合物は、ラセミ混合物でも(S)エナンチオマーでも、依然としてCOXに対しては何の活性も持たないが、フェニル環の4位が2−アミノチアゾール又は2−アミノオキサゾールのような置換ヘテロ環で置換されると、CXCL8誘導性の走化性の阻害において、既述の化合物(マイクロモルの範囲で活性)と比べてはるかに強力となる(低ナノモルの範囲で活性)。(R)アミド及び(R)スルホンアミド(WO01/58852及びWO00/24710)は、PMNにおけるCXCL8誘導性走化性の有効な阻害薬であると記載されている。
【0012】
今回我々は驚くべきことに、2−アリールプロピオン酸の(S)アミド及び(S)スルホンアミド誘導体も、フェニル環の4位が2−アミノチアゾール又は2−アミノオキサゾールのような置換ヘテロ環で適切に置換されると、PMNのCXCL8誘導性走化性の阻害に良好な生物活性を共有することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP0935961
【特許文献2】WO03/043625
【特許文献3】WO01/58852
【特許文献4】WO00/24710
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Changら、J.Immunol.,148,451,1992
【非特許文献2】M.A.Goucerot−Podicaloら、Pathol.Biol(Paris)、44,36,1996
【非特許文献3】N.Sekidoら、Nature,365,654,1993
【非特許文献4】T.Matsumotoら、Lab.Investig.,77,119,1997
【非特許文献5】A Mazzoneら、Recent Prog.Med.,85,397,1994
【非特許文献6】G.Receiptsら、Atheroscl.,91,1,1991
【非特許文献7】Y.Abeら、Br.Heart J.,70,132,1993
【非特許文献8】U.Dirnaglら、Trends Neurosci.,22,391,1999
【非特許文献9】V.Witko−Sarsatら、Lab.Invest.,80,617,2000
【非特許文献10】N.Jiangら、Brain Res.,788,25,1998
【非特許文献11】R.M.Ransohoffら、Trends Neurosci.,21,154,1998
【非特許文献12】Y.Yamasakiら、Stroke,16,318,1995
【非特許文献13】Y.Yamasakiら、Brain Res.,759,103,1997
【非特許文献14】S.Yamagamiら、J.Leukoc.Biol.,65,744,1999
【非特許文献15】J.J.Haringmanら、Ann.Rheum.Dis.,63,1186,2004
【非特許文献16】Z.Liuら、J.Clin.Invest.,95,1539,1995
【非特許文献17】E.Schmidtら、J.Invest.Dermatol.115,842,2000
【非特許文献18】L.Xuら、J.Leukocyte Biol.,57,335,1995
【非特許文献19】Z.Szekaneczら、J.Invest.Med.,44,124,1996
【非特許文献20】Z.Szekaneczら、Sem.Immunol.,15,15,2003
【非特許文献21】A.E.Kochら、J.Immunol.,147,2187,1991
【非特許文献22】P.L.Podolinら、J.Immunol,169,6435,2002
【非特許文献23】K.J.Katschkeら、Arthritis Rheum.,44,1022,2001
【非特許文献24】P.Ghezziら、J.Exp.Pharm.Ther.,287,969,1998
【非特許文献25】C.Bizzarriら、Biochem.Pharmacol.61,1429,2001
【発明の概要】
【0015】
新規分子は、4位で2−アミノ−ヘテロ環に置換された新規クラスの2−アリール−プロピオン酸及び誘導体に属する。式(I)の化合物に関して以下に記載された置換基を導入することにより、親のカルボン酸から誘導された(S)アミド及び(S)スルホンアミドも、CXCL8誘導性走化性の良好な阻害薬となる。この側面は、既に特許請求されている化合物(WO01/58852及びWO00/24710)の他方の化学クラスに属する(S)−2−アリール−プロパンアミドはCXCL8阻害活性の欠如が一般的に観察されているため、驚くべきことである。
【0016】
そこで、本発明は、式(I):
【0017】
【化1】

【0018】
の(R、S)−2−アリール−プロピオン酸及び誘導体、及びそれらの単一の(S)エナンチオマー、並びにそれらの製薬学的に許容しうる塩を提供する。
上記式中、
は、
− H及びCH
から選ばれ;
Xは、OH又は式NHRの残基であり;
は、
− H及び直鎖C〜C−アルキル
から選ばれ;
は、
− H、OH、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルコキシ;
− 直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−フェニルアルキル(これらは、カルボキシ(COOH)基で置換されている);
− 式SOの残基(式中、Rは、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−ハロアルキル)
から選ばれ;
Yは、
− S、O及びN
から選ばれるヘテロ原子であり;
Zは、
− ハロゲン、直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシル、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロ−C〜C−アルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ、ベンゾイル、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホネート、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホンアミド、直鎖又は分枝C〜C−アルキルスルホニルメチル
から選ばれる残基である。
【0019】
本発明による好適な化合物は、
がCHであり;
が、
− H及びCH
から選ばれ;
XがOHであり;
Yが、
− S及びO
から選ばれ;
Zが、
− ハロゲン、直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、ハロ−C〜C−アルキル、ベンゾイル、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホネート、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホンアミド
から選ばれるものである。
【0020】
本発明の好適な化合物は、
(1) 2−[4−(4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル)アミノフェニル]プロピオン酸;
(2) 2−メチル−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(3) (2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(3a) (2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸ナトリウム塩;
(4) 2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(5) (2S)−2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(6) 2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(7) (2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(8) 2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(9) (2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(10) (2S)−N−ヒドロキシ−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(11) (2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(12) (2S)−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(13) (2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(14) (2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(15) (2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパンアミド;
(16) (2R)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸;
(17) (2S)−3−メチル−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}ブタン酸;
(18) 2−{4−[(4−トリフルオロメチル)−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニルプロピオン酸;
(19) (2R)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(20) (2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(21) (2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(22) (2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(23) (2S)−2−(4−{メチル−[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(24) (2S)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸;
(25) (2S)−N−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド
である。
【0021】
リスト中で最も好適な化合物は、化合物3[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸]及びその関連ナトリウム塩3aである。
【0022】
式(I)の本発明の化合物は、一般的に、それらの製薬学的に許容しうる有機及び無機塩基との付加塩の形態で単離される。そのような塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、(D,L)−リシン、L−リシン、トロメタミンである。
【0023】
式(I)の本発明の化合物を、CXCL8及びGRO−αのフラクションによって誘導された多形核白血球(以後PMNと呼ぶ)及び単球の走化性を阻害するそれらの能力に関してインビトロで評価した。これを行うために、健常成人ボランティアから採取されたヘパリン処理ヒト血液からPMNを単離するために、デキストラン上での沈降によって単核球を除去した(W.J.Mingら、J.Immunol.,138,1469,1987)。細胞の生存性はトリパンブルーによる排除によって算出し、一方、循環多形核球の比率はDiff Quickによる染色後、細胞遠心分離物で推定した。
【0024】
CXCL8誘導走化性(CXCL8によって誘導される走化性)アッセイでは、ヒト組換えCXCL8(Pepro Tech)を走化性実験の刺激因子として用いた。凍結乾燥タンパク質を、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する一定容量のHBSS中に溶解し、10−5Mの濃度を有するストック溶液を得た。これを走化性アッセイのためにHBSS中で希釈して10−9Mの濃度にした。
【0025】
GRO−α誘導走化性の阻害も類似のアッセイで評価した。
走化性実験で、PMNを式(I)の本発明の化合物と、37℃、5%CO含有雰囲気中で15分間インキュベートした。走化性アッセイ中は(W.Falketら、J.Immunol.Methods,33,239,1980)、5μmの多孔度を有するPVPフリーフィルター及び複製に適切なマイクロチャンバーを使用した。
【0026】
式(I)の本発明の化合物を10−6〜10−10Mの範囲の濃度で評価した。この目的のために、それらをマイクロチャンバーの下部孔と上部孔の両方に同じ濃度で加えた。式(I)の本発明の化合物のヒト単球の走化性を阻害する能力の評価を、開示されている方法に従って実施した(J.Van Dammeら、Eur.J.Immunol.,19,2367,1989)。
【0027】
本発明のすべての化合物は、C5a(10−6M)又はf−MLP(10−6M)によって誘導される走化性と比べて、CXCL8誘導走化性の阻害に対して高度の選択性を示した。
【0028】
開示されている手順(Patrignaniら、J.Pharmacol.Exper.Ther.,271,1705,1994)に従って生体外の血液中で全体として評価された式(I)の化合物は、シクロオキシゲナーゼ酵素の阻害薬としては完全に無効であることがわかった。実際、本発明の化合物は、10−5〜10−6Mの濃度範囲にわたってリポ多糖類(LPS、1μg/ml)で刺激されたマウスのマクロファージでPGEの産生を妨害しない。
【0029】
記載されている2−アリール−プロピオン酸及び誘導体のラセミ化合物及び(S)エナンチオマーにはCOX阻害活性がないため、本発明の化合物は、CXCL8によって誘導される増悪された好中球の走化性及び活性化に関連する病状に治療的に使用するための必要な特徴を備えた2−アリール−プロピオン酸及び誘導体の新規例を表している。
【0030】
そこで、本発明の更なる目的は、CXCL8誘導性のヒトPMN走化性が関与する疾患の治療における式(I)の化合物の使用である。
本発明の化合物は、虚血/再潅流によって引き起こされる損傷の予防及び治療、特に一時的な脳の中大脳動脈(MCA)閉塞によって誘発される機能障害からの保護に特に有用である。具体的には、中大脳動脈(MCA)の閉塞によってラットに誘導された一過性脳虚血モデルで化合物3aの効果を評価した。PMN浸潤、脳損傷及び神経障害のマーカーである脳のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性に及ぼす3aの短期効果(24時間)を調べた。該化合物は、PMN浸潤物の低減、梗塞面積の低減、及び神経機能の著しい改善に効果があった。
【0031】
さらに、上記の実験的証拠や、好中球の活性化及び浸潤を含むプロセスにおいてCXCL8及びその同起源物(congenetics)がなす役割を考慮すると、本発明の化合物は、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ(M.Selzら、J.Clin.Invest.,87,463,1981)、特発性線維症(E.J.Miller,前に引用、及びP.C.Carreら、J.Clin.Invest.,88,1882,1991)及び糸球体腎炎(T.Wadaら、J.Exp.Med.,180,1135,1994)のような慢性疾患の治療に有効である。
【0032】
そこで、本発明の更なる目的は、虚血と再潅流、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症、糸球体腎炎によって引き起こされる損傷の治療における式(I)の化合物の使用、特に一過性脳虚血の治療における使用を提供する。
【0033】
本発明の化合物及びその適切な担体を含む医薬組成物も本発明の範囲に含まれる。
本発明の化合物は、従来使用されているアジュバント、担体、希釈剤又は賦形剤と一緒に、実際、医薬組成物及びその単位剤形の形態に入れることができる。そのような形態においては、いずれも経口用であるが、錠剤又は充填カプセルのような固体として、又は溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシルのような液体として、又は同じものを充填したカプセルとして使用されうる。又は非経口用(皮下を含む)の無菌注射用溶液の形態であってもよい。そのような医薬組成物及びその単位剤形は成分を従来の割合で含みうる。追加の活性化合物又は主要成分が含まれることもある。そのような単位剤形は、予定される1日量の範囲に釣り合った任意の適切な有効量の活性成分を含有しうる。
【0034】
医薬品として使用する場合、本発明の酸は典型的には医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は製薬分野で周知の方法で調製でき、少なくとも一つの活性化合物を含む。一般的に、本発明の化合物は製薬学的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、通常、医師が、治療される病状、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連状況を考慮の上、決定することになる。
【0035】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、及び鼻腔内を含む様々な経路によって投与できる。意図する送達経路に応じて、化合物は好ましくは注射用又は経口用いずれかの組成物として製剤化される。経口投与用の組成物は、バルク液体溶液又は懸濁液、又はバルク散剤(原末)の形態を取りうる。しかしながら、より一般的には、組成物は正確な投薬を容易にするために単位剤形で提供される。“単位剤形”という用語は、ヒト対象及びその他の哺乳動物のための単位用量として適切な物理的に別個になった単位のことを言い、各単位は、所望の治療効果を発揮するために算出された所定量の活性材料を適切な医薬用賦形剤と共に含有する。典型的な単位剤形は、予備充填及び予備計測された液体組成物のアンプル又はシリンジ、又は固体組成物の場合、ピル、錠剤、カプセルなどである。そのような組成物において、酸化合物は通常少量成分で(約0.1〜約50重量%、又は好ましくは約1〜約40重量%)、残りは様々なビヒクル又は担体及び所望の剤形を形成するのに役立つ加工助剤である。
【0036】
経口投与に適切な液体形は、適切な水性又は非水性ビヒクルと共に、緩衝液、懸濁化剤及び分配剤(dispensing agent)、着色剤、フレーバーなどを含みうる。以下に記載する注射用組成物も含めて液体形は常に遮光下で保存し、光の何らかの触媒作用、例えばヒドロペルオキシド又はペルオキシドの形成を防止するようにする。固体形は、例えば、いずれかの下記成分、又は類似性質の化合物を含みうる。すなわち、微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどのバインダー;デンプン又はラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、Primogel、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味料;又はペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジフレーバーなどの香味料などである。
【0037】
注射用組成物は、典型的には、注射用の無菌生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水又は当該技術分野で公知のその他の注射用担体を基にしている。前述のように、そのような組成物における式Iの酸誘導体は典型的には少量成分、多くの場合0.05〜10重量%の範囲であるので、残りは注射用担体などになる。平均の1日量は、疾患の重症度及び患者の状態(年齢、性別及び体重)などの様々な因子に左右される。用量は一般的には、1日当たり式(I)の化合物1mg又は数mg〜1500mgまでの間で変動するであろう。所望により分割して複数回投与してもよい。本発明の化合物は低毒性であるおかげで、それより高い用量を長期間にわたって投与することもできる。
【0038】
経口投与又は注射用組成物のための上記成分は代表例にすぎない。更なる材料並びに加工技術などは、“Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook”、第18版、1990年(Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン)のパート8に示されている。前記文献は引用によって本明細書に援用する。
【0039】
本発明の化合物は、徐放性の形態で又は持続放出用薬物送達システムから投与されることもできる。代表的な徐放性材料の記載も、上記Remington’s Handbook中の配合材料に見つけることができる。
【0040】
本発明を以下の実施例によって例示するが、これらは本発明の範囲の制限と見なされないものとする。
式(I)の化合物の製造は、酸のための公知合成法と、関連アミド及びアシルスルホンアミドのための公知合成法の両方を用いて実施された。ラセミ化合物及び(S)エナンチオマー化合物のための鍵となる中間体は、ラセミ及び(S)エナンチオマーのメチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートとメチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエートで、これらを関連の4−ヘテロ環誘導体に変換し、加水分解してカルボン酸にし、その後スルホンアミド及びアミンと結合させて、式(I)の化合物を得た。
【0041】
実験の部
略語のリスト:
CHCl:ジクロロメタン;CHCl:クロロホルム;EtO:ジエチルエーテル;AcOH:酢酸;THF:テトラヒドロフラン;LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド;CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール;SOCl:塩化チオニル;TEA:トリエチルアミン。
【0042】
中間体の製造
メチル(2S)−2−(4−アミノフェニル)プロパノエートは、公知手順(Akgun H.ら、Arzneim.−Forsch./Drug Res.,46(II),891,1996)に従って市販のラセミ2−(4−ニトロフェニル)プロパン酸を光学分割し、その後メタノール中でFe/HClを用いてニトロ基をアミンに還元することによって得られる。
【0043】
メチル2−(4−アミノフェニル)プロパノエートは、2−(4−ニトロフェニル)プロパン酸をメタノール中でFe/HClを用いて還元することによって直接得られる。
(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート
凝縮器及び磁気撹拌機を備えた500mlの丸底フラスコで、室温でメチル(2S)−2−(4−アミノフェニル)プロパノエート(17.5g、98mmol)をトルエン(300ml)中に溶解し、濃HSO(2.6ml、50mmol)を該溶液に徐々に加えた。チオシアン酸ナトリウム(10.29g、128mmol)を加え、反応混合物を24時間還流した。室温で冷却後、溶液をNHClの飽和溶液で洗浄し(2×100ml)、無水NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて粗製物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc 1/1)で精製後、純粋の(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10.7g、48.4mmol)を白色固体として得た(49%)。
【0044】
【数1】

【0045】
(S)−メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエート
(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートで記載したのと同じ手順に従い、メチル(2S)−2−(4−アミノフェニル)プロパノエート(98mmol)及びシアン酸ナトリウム(128mmol)から出発し、後処理後、(S)−メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエートを白色固体として単離した(59%)。
【0046】
【数2】

【0047】
メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート
(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートで記載したのと同じ手順に従い、メチル2−(4−アミノフェニル)プロパノエート(98mmol)から出発し、後処理後、メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエートを白色固体として単離した(74%)。
【0048】
【数3】

【0049】
メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエート
(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートで記載したのと同じ手順に従い、メチル2−(4−アミノフェニル)プロパノエート(98mmol)及びシアン酸ナトリウム(128mmol)から出発し、後処理後、メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエートを白色固体として単離した(65%)。
【0050】
【数4】

【実施例】
【0051】
2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(1)
凝縮器及び磁気撹拌機を備えた250mlの丸底フラスコで、メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10.7g、48.4mmol)の1,4−ジオキサン(200ml)中溶液を室温で3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−プロパン−2−オン(5ml、48.4mmol)によって処理し、反応混合物を2時間還流した。室温で冷却後、溶媒を真空下で蒸留し、残渣をCHCl(200ml)に溶解し、NaHCOの飽和溶液で洗浄し(3×100ml)、無水NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて純粋なメチル2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(12.8g、38.7mmol)を黄色油として得た(80%)。
【0052】
【数5】

【0053】
メチル2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(12g、36.28mmol)のAcOH(50ml)及び37%HCl(17.5ml)中溶液を12時間還流した。室温で冷却後、溶媒を蒸発させ、粗製物をCHCl(200ml)に溶解し、水(3×100ml)とブライン(3×100ml)で洗浄した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。得られた淡黄色油をn−ヘキサン(150ml)中で一晩パルプ化した。ろ過により純化合物1(7.8g、24.67mmol)を白色固体として得た(メチルエステル中間体から68%)。
【0054】
【数6】

【0055】
2−メチル−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(2)
トリフルオロアセチルクロリド(3mmol)を、2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.5g、1.5mmol)とKCO(0.41g、3.0mmol)の乾燥THF(5ml)中混合物中に通気した。反応混合物を4時間還流した。出発物質の消失及び室温での冷却後、THFを真空下で蒸発させ、残渣をCHCl(10ml)に溶解し、緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、10ml)に入れた。混合物を分液漏斗に移し、二相に分離したので、有機相を再度同じ緩衝液で洗浄し(3×5mL)、NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて純粋なメチル2−(4−{(トリフルオロアセチル)[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.60g、1.4mmol)を透明油として得た(94%)。
【0056】
公知の手順に従って1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(64mmol)をn−BuLi(n−ヘキサン中1.6M、63mmol)で処理することによってLiHMDSを製造した。LiHMDS(1.4mmol)の乾燥THF(5ml)中溶液に、T=−78℃で2−(4−{(トリフルオロアセチル)[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.60g、1.4mmol)の乾燥THF(2ml)中溶液を1滴ずつ添加した。得られた混合物を1時間放置撹拌し、ヨードメタン(62μl、1.5mmol)を加え、該溶液を室温で一晩放置撹拌した。EtO(10ml)及び緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、10ml)を加えた。相分離したので、水性相をEtOで抽出し戻した(3×5mL)。集めた有機抽出物を無水NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて粗製物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製後、純粋なメチル2−メチル−2−(4−{(トリフルオロアセチル)[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.40g、0.91mmol)を黄色油として得た(65%)。
【0057】
メチルエステルのTHF(5ml)中溶液に、1MのNaOH(2.0ml)を加え、反応混合物を一晩還流した。室温で冷却後、混合物を緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、5ml)でクエンチし、分液漏斗に移した。相分離したので、水性相をCHClで抽出し(3×5mL)、集めた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて純化合物2(0.29g、0.88mol)をろう状黄色固体として得た(97%)。
【0058】
【数7】

【0059】
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)
1に関して記載したのと同じ手順に従い、(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10.7g、48.4mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物3(12.24g、38.72mmol)を白色固体として単離した(80%)。
【0060】
【数8】

【0061】
ナトリウム(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(3a);
磁気撹拌機を備えた100mlの丸底フラスコで、化合物3(7.26g、22.9mmol)を水(30ml)に懸濁させ、2NのNaOH(11.45ml、22.9mol)を徐々に加えた。得られた暗赤色溶液を室温で1時間撹拌し、0.45μフィルターでろ過し、凍結乾燥させた。純粋なナトリウム(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート3a(7.51g、22.2mmol)を白色固体として得た(97%)。
【0062】
【数9】

【0063】
2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸(4)
1に関して記載したのと同じ手順に従い、メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(4.98g、20mmol)及び1−クロロ−プロパン−2−オン(2.13ml、26mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、純化合物4(2.5g、9.5mmol)をろ過によって単離した(メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートからの全収率49%)。
【0064】
【数10】

【0065】
(2S)−2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸(5)
4に関して記載したのと同じ手順に従い、(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10g、45.23mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物5(10.72g、33.9mmol)を白色固体として単離した(75%)。
【0066】
【数11】

【0067】
2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸(6)
1に関して記載したのと同じ手順に従い、メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(2.49g、10mmol)及び1−ブロモピナコロン(1.75ml、13mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、純化合物6(1.75g、5.7mmol)をろ過によって単離した(メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエートからの全収率38%)。
【0068】
【数12】

【0069】
(2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸(7)
6に関して記載したのと同じ手順に従い、(S)−メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10g、45.23mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物7(11.14g、36.6mmol)を白色固体として単離した(81%)。
【0070】
【数13】

【0071】
2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(8)
中間体メチル2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.1g、0.303mmol)とCsOH*HO(0.046g、2.75mmol)の乾燥CHCl(5ml)中溶液に、ヨードメタンを加え(17.5μl、0.275mmol)、反応混合物を室温で一晩放置撹拌した。緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、10ml)でクエンチ後、反応混合物を分液漏斗に移した。二相に分離したので、水性相をCHClで抽出し(3×10mL)、集めた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて粗製物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製後、純粋なメチル2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.074g、0.215mol)を黄色油として得た(71%)
メチルエステルのTHF(5ml)中溶液に、1MのNaOH(1.4ml)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、5ml)でクエンチ後、反応混合物を分液漏斗に移した。二相に分離したので、水性層をCHClで抽出し(3×5mL)、集めた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて純化合物8(0.070g、0.214mol)を淡黄色固体として得た(97%)。
【0072】
【数14】

【0073】
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(9)
8に関して記載したのと同じ手順に従い、メチル(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.1g、0.303mmol)から出発し、後処理後、化合物9(0.055g、0.168mmol)を黄色ガラス状固体として単離した(55%)。
【0074】
【数15】

【0075】
(2S)−N−ヒドロキシ−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(10)
磁気撹拌機を備えた25mlの丸底フラスコで、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.046g、0.66mmol)とTEA(121μl、0.88mmol)のCHCl(2ml)中溶液を室温で15分間撹拌した。
【0076】
別に、化合物3(0.070g、0.22mmol)のSOCl(3ml)中溶液を3時間還流した。室温で冷却後、過剰のSOClを真空下で蒸留除去し、粗アシルクロリドをCHCl(5ml)で希釈し、T=0℃でヒドロキシルアミン溶液に滴下により徐々に添加した。氷浴を除去後、反応混合物をさらに2.5時間撹拌し、その後CHCl(30ml)中に希釈し、10%KHSO(3×10ml)、ブライン(3×10ml)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させて粗製物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製後、純化合物10(0.050g、0.15mmol)を白色ろう状固体として得た(68%)。
【0077】
【数16】

【0078】
(2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(11)
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)(0.1g、0.32mmol)の乾燥CHCl(2mL)中溶液に、CDI(0.055g、0.34mmol)を加え、得られた溶液をT=0℃で1時間撹拌した。氷水浴を除去後、メタンスルホンアミド(0.032g、0.34mmol)及びTEA(40μl、0.29mmol)を加え、得られた混合物を室温で12時間撹拌した。出発物質が完全に消失した時点で緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、5ml)を加え、反応混合物を分液漏斗に移した。二相に分離したので、有機相を同じ緩衝液で洗浄し(3×5mL)、NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて粗製物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。純化合物11(0.089g、0.23mol)を黄色油として単離した(71%)。
【0079】
【数17】

【0080】
(2S)−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(12)
11に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)(0.1g、0.32mmol)及びトリフルオロメタンスルホンアミド(0.051g、0.34mmol)から出発し、後処理後、化合物12(0.078g、0.24mmol)を白色固体として単離した(75%)。
【0081】
【数18】

【0082】
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(13)
11に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)(0.2g、0.63mmol)及び無水NHから出発し、後処理後、化合物13(0.19g、0.61mmol)を淡黄色固体として単離した(97%)。
【0083】
【数19】

【0084】
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(14)
13に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(9)(0.1g、0.30mmol)から出発し、後処理後、化合物14(0.096g、0.29mmol)を淡黄色固体として単離した(97%)。
【0085】
【数20】

【0086】
(2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパンアミド(15)
13に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸(7)(0.1g、0.33mmol)から出発し、後処理後、化合物15(0.097g、0.32mmol)をろう状の白色固体として単離した(98%)。
【0087】
【数21】

【0088】
(2R)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸(16)
冷却された(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)(0.1g、0.32mmol)とCDI(0.054g、0.33mmol)の乾燥CHCl(5mL)中溶液をT=0〜5℃で1時間撹拌した。氷水浴を除去後、D−アラニンメチルエステル塩酸塩(0.045g、0.32mmol)とTEA(90μl、0.65mmol)の混合物を激しく撹拌しながら加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が完全に消失した時点で緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、5ml)を加え、反応混合物を分液漏斗に移した。二相に分離したので、有機相を同じ緩衝液で洗浄し(3×5mL)、NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて粗製物を得た。これをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。純粋なメチル(2R)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパノエート(0.1g、0.25mmol)を黄色油として単離した(78%)。
【0089】
該メチルエステル(0.1g、0.25mol)の1,4−ジオキサン(5ml)中溶液に、1MのNaOH(0.25ml)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。緩衝HPO/HPO溶液(pH=2.0、5ml)でクエンチ後、反応混合物を分液漏斗に移した。二相に分離したので、水性層をCHClで抽出し(3×5mL)、集めた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて純化合物16(0.093g、0.29mol)を白色ろう状固体として得た(97%)。
【0090】
【数22】

【0091】
(2S)−3−メチル−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}ブタン酸(17)
16に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(3)(0.18g、0.57mmol)及びL−バリンメチルエステル塩酸塩(0.095g、0.57mmol)から出発し、後処理後、化合物17(0.093g、0.23mmol)を白色固体として単離した(69%)。
【0092】
【数23】

【0093】
2−{4−[(4−トリフルオロメチル)−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニルプロピオン酸(18)
1に関して記載したのと同じ手順に従い、中間体メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエート(10g、45mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物18(9.32g、31.05mmol)を淡褐色油として単離した(69%)。
【0094】
【数24】

【0095】
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(19)
3に関して記載したのと同じ手順に従い、中間体(2S)−メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエート(5g、22.5mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物19(3.38g、11.25mmol)を淡褐色油として単離した(50%)。
【0096】
【数25】

【0097】
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(20)
9に関して記載したのと同じ手順に従い、メチル(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノエート(0.1g、0.32mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、化合物20(0.053g、0.17mmol)を淡褐色油として単離した(53%)。
【0098】
【数26】

【0099】
(2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(21)
11に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(19)(0.1g、0.33mmol)から出発し、後処理後、化合物21(0.084g、0.23mmol)を黄色油として単離した(70%)。
【0100】
【数27】

【0101】
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(22)
13に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(19)(0.2g、0.67mmol)から出発し、後処理後、化合物22(0.195g、0.65mmol)を黄色油として単離した(97%)。
【0102】
【数28】

【0103】
(2S)−2−(4−{メチル−[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(23)
13に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(20)(0.065g、0.21mmol)から出発し、後処理後、純化合物23(0.062g、0.20mmol)を黄色油として単離した(95%)。
【0104】
【数29】

【0105】
(2S)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸(24)
16に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸(19)(0.118g、0.39mmol)及びL−アラニンメチルエステル塩酸塩(0.035g、0.39mmol)から出発し、後処理及びメチルエステルの加水分解後、純化合物24(0.112g、0.29mmol)を淡黄色油として単離した(75%)。
【0106】
【数30】

【0107】
(2S)−N−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド(25)
13に関して記載したのと同じ手順に従い、(2S)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸(24)(0.1g、0.27mmol)から出発し、後処理後、純化合物25(0.103g、0.28mmol)を透明油として単離した(93%)。
【0108】
【数31】

【0109】
【表1−1】

【0110】
【表1−2】

【0111】
【表1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、
− H及びCH
から選ばれ;
は、
− H及び直鎖C〜C−アルキル
から選ばれ;
Xは、OH又は式NHRの残基であり
{式中、
は、
− H、OH、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルコキシ;
− 直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−フェニルアルキル(これらは、カルボキシ(COOH)基で置換されている);
− 式SOの残基(式中、Rは、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−ハロアルキルである)
から選ばれる};
Yは、
− S、O及びN
から選ばれるヘテロ原子であり;
Zは、
− ハロゲン、直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシル、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C〜C−アシルアミノ、ハロ−C〜C−アルキル、ハロ−C〜C−アルコキシ、ベンゾイル、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホネート、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホンアミド、直鎖又は分枝C〜C−アルキルスルホニルメチル
から選ばれる残基である]
の化合物及びその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
式Iのフェニル環に結合している炭素原子がS配置である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式Iのフェニル環に結合している炭素原子がRS配置である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がCHであり;
が、
− H及びCH
から選ばれ;
XがOHであり;
Yが、
− S及びO
から選ばれ;
Zが、
− ハロゲン、直鎖又は分枝C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、ハロ−C〜C−アルキル、ベンゾイル、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホネート、直鎖又は分枝C〜C−アルカンスルホンアミド
から選ばれる請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項5】
2−[4−(4−トリフルオロメチルチアゾール−2−イル)アミノフェニル]プロピオン酸;
2−メチル−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸ナトリウム塩;
2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(2S)−2−{4−[(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
(2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパン酸;
2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−N−ヒドロキシ−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−{4−[(4−tert−ブチル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]フェニル}プロパンアミド;
(2R)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸;
(2S)−3−メチル−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}ブタン酸;
2−{4−[(4−トリフルオロメチル)−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニルプロピオン酸;
(2R)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−(4−{メチル[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸;
(2S)−N−(メチルスルホニル)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−(4−{メチル−[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド;
(2S)−2−{[(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパノイル]アミノ}プロパン酸;
(2S)−N−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチル]−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−オキサゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパンアミド
から選ばれる、請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項6】
(2S)−2−(4−{[4−(トリフルオロメチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}フェニル)プロパン酸である、請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の化合物とその適切な担体とを混合して含む医薬組成物。
【請求項8】
医薬品として使用するための請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項9】
CXCL8誘導性のヒトPMN走化性が関与する疾患の治療に使用するための請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項10】
一過性脳虚血、虚血及び再潅流によって引き起こされる損傷、水疱性類天疱瘡、関節リウマチ、特発性線維症及び糸球体腎炎の治療に使用するための請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜6に記載の化合物の製造法であって、
(R,S)もしくは(S)メチル2−[4−(カルバモチオイルアミノ)フェニル]プロパノエート又は(R,S)もしくは(S)メチル2−[4−(カルバモイルアミノ)フェニル]プロパノエートを関連の4−ヘテロ環誘導体に変換し;その後加水分解して式(I)のカルボン酸にし[式中、XはOH]、スルホンアミド又はアミンと反応させて式(I)の化合物[式中、XはNHRであり、Rは請求項1で定義の通り]を得るステップを含む方法。

【公表番号】特表2012−502957(P2012−502957A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527334(P2011−527334)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062109
【国際公開番号】WO2010/031835
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(501165813)ドムペ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (8)
【Fターム(参考)】