説明

2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物

2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物、並びにこれらの化合物の医薬的使用及びこれらの化合物を合成する方法が開示される。これらの化合物は、高い骨カルシウム移動活性及び高い腸内カルシウム運搬活性によって特徴付けられる。これは、骨の形成が所望される疾患、特に骨粗鬆症、並びに多発性硬化症、糖尿病及び狼瘡のような自己免疫性疾患の治療及び予防のための新規な治療剤となる。これらの化合物は、更に未分化細胞の増殖を阻止し、そしてその単核細胞への分化を誘導し、従って抗癌剤としての使用を立証し、そして乾癬のような皮膚疾患の治療のための顕著な活性を示す。これらの化合物は、更に骨の破壊強度及び圧縮強度の両方を増加し、股関節及び膝関節置換のような骨置換手術に関連する使用を立証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
[0001]本発明は、ビタミンD化合物、そして更に具体的には、炭素−2において置換されたプロピリデン分子を有する2−アルキリデン−19−ノル−ビタミンD類比体、このような類似体の医薬的な使用、及びこのような類似体を化学的に合成するための一般的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]天然のホルモン1α,25−ジヒドロキシビタミンD及びそのエルゴステロール系列の類似体、即ち1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、動物及びヒトのカルシウム恒常性の非常に強力な制御剤として知られ、そして更に最近、細胞分化におけるその活性、Ostrem et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,2610(1987)が確立されている。これらの代謝物の多くの構造的類似体は、1α−ヒドロキシビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、各種の側鎖ホモログ化ビタミン及びフッ素化類似体を含み調製され、そして試験されている。これらの化合物のいくつかは、細胞分化及びカルシウム制御における興味ある活性の分離を示す。この活性の差は、腎性骨異栄養症、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、及びある種の悪性腫瘍のような各種の疾患の治療において有用であることができる。
【0003】
[0003]1990年代に、ビタミンD類似体の新しい群、即ちビタミンD系の典型における環Aの環外メチレン基(炭素19)の、二つの水素原子による置き換えによって特徴付けられる、いわゆる19−ノル−ビタミンD化合物が発見された。このような19−ノル−類似体(例えば、1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンD)の生物学的試験は、非常に低いカルシウム移動活性を伴う、細胞分化を誘導することにおける高度の効力を伴なう選択的活性の特性を明らかにした。従って、これらの化合物は、悪性腫瘍の治療、又は各種の皮膚障害の治療のための治療剤として潜在的に有用である。このような19−ノル−ビタミンD類似体の合成の二つの異なった方法が記載されている(Perlman et al.,Tetrahedron Letters 31,1823(1990);Perlman et al.,Tetrahedron Letters 32,7663(1991)、及びDeLuca et al.,米国特許第5,086,191号)。数年後、そのA−環の2−位においてヒドロキシ又はアルコキシ基で置換された1α,25−ジヒドロキシ−19−ノルビタミンDの類似体(DeLuca et al.,米国特許第5,536,713号)が合成された。これらが、興味ある、そして選択的な活性の特性を示すことが確立された。全てのこれらの研究は、ビタミンD受容体の結合部位が、合成されたビタミンD類似体のC−2における異なった置換基を受入れることができることを示す。
【0004】
[0004]薬理学的に重要なビタミンD化合物の19−ノル群を開発する継続する努力において、環Aの環外メチレン基の炭素10(C−10)から炭素2(C−2)への転位によって特徴付けられる類似体、即ち2−メチレン−19−ノル−ビタミンD化合物が、最近合成され、そして試験されている(Sicinski et al.,J.Med.Chem.,41,4662(1998);Sicinski et al.,Steroids 67,247(2002);DeLuca et al.,米国特許第5,843,928号、5,936,133号及び6,382,071号)。これらの類似体において行われた分子機構の研究は、環−Aの立体配座の変化が、シクロヘキサンジオール環の“平板化”となることが予想することができることを示した。分子機構の計算及びNMRの研究から、これらのA−環の立体配座の平衡は、エクアトリアルな1α−OHを有する配座異性体が約6:4で好ましいことが確立された。従って2−メチレン基の19−ノル−ビタミンD炭素骨格への導入は、その(1α−及び3β−)A−環ヒドロキシルの特性を変化し;これらは、いまや両方とも天然のホルモン、1α,25−(OH)の分子中の1α−ヒドロキシ基(生物学的活性に対して非常に重要)と同様に、アリル的位置にある。1α,25−ジヒドロキシ−2−メチレン−19−ノルビタミンD類似体は、“非天然の”(20S)−配置との組合せで劇的に向上された有意な生物学的効力によって特徴付けられることが見出された。
【0005】
[0005]非常に最近、1α,25−ジヒドロキシ−19−ノルビタミンDの2−エチリデン類似体が合成された。このような環Aの改質は、特にE−幾何異性体において向上された、Sicinski et al.,J.Med.Chem.,45,3366(2002)、化合物に対する有意な生物学的効力となる。興味あることには、E−異性体が、1α−ヒドロキシルをエクアトリアル配向で保有する一つの特別ないす型に相当移動したA−環の配座的平衡を有することが確立されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
[0006]生物学的に活性な2−アルキリデン−19−ノルビタミンD化合物に対する探索の継続として、C−2における置換されたプロピリデン分子の存在によって特徴付けられる類似体がいまや合成され、そして試験された。このようなビタミンD類似体は、そのC−2における大きい置換基が、一つの特別なA−環のいす型配座に対して、2−エチリデン基と比較して、なお更に有意な偏りを起こすことを予想することができるために、興味ある標的と見受けられた。他方、プロピリデン断片の末端に位置する酸素官能基の存在は、ビタミンD受容体との更なる相互作用を誘導することができる。
【0007】
[0007]これまで知られていなかった、1α−ヒドロキシル化されたビタミンD化合物の一群は、C−10におけるA−環の環外メチレン分子が除去され、そして炭素−2に接続された置換されたプロピリデン基である更なる断片を保有するビタミンD異性体である。従って、本発明は、炭素−2において置換されたプロピリデン分子を有する2−アルキリデン−19−ノル−ビタミンD類似体、これらの類似体の各種の医薬的使用、及びこれらの類似体を化学的に合成するための一般的方法を指向する。特に、本発明は、(20R)−1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−ヒドロキシプロピリデン]−19−ノルビタミンDのE−異性体及びZ−異性体、並びに(20S)−1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−ヒドロキシプロピリデン]−19−ノルビタミンDのE−異性体及びZ−異性体を指向する。更に開示されるものは、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である。
【0008】
[0008]構造的には、これらの新規な類似体は、以下の式:
【0009】
【化1】

【0010】
に示す一般式Iによって特徴付けられ、式中同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中R基は、ビタミンD型化合物に対して知られた典型的な側鎖のいずれをも表す。
【0011】
[0009]更に具体的には、Rは、1ないし35個の炭素原子の飽和又は不飽和の炭化水素ラジカルを表すことができ、これは、直鎖、分枝鎖又は環式であることができ、そしてこれは、一つ又はそれより多いヒドロキシ−又は保護されたヒドロキシ基、フルオロ、カルボニル、エステル、エポキシ、アミノ或いは他の異種原子基のような更なる置換基を含有することができる。この種類の好ましい側鎖は、以下の式:
【0012】
【化2】

【0013】
の構造によって表され、式中立体化学中心(ステロイドの番号付けにおいてC−20に対応)は、又は配置(即ち炭素20に関して天然の配置又は20−エピ配置のいずれか)を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置(geometry)を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【0014】
【化3】

【0015】
の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる。
【0016】
[0010]炭素20におけるメチル置換基への波線は、炭素20がR又はS配置、即ち天然の配置(20R)又は非天然の20−エピ配置(20S)のいずれかを有することができることを示す。
【0017】
[0011]炭素1’への波線は、2−プロピリデン単位の二つの幾何異性体の可能性を示す(A−環の1,4−ジメチレンシクロヘキサン断片の末端炭素原子の置換基の配向で異なる)。
【0018】
[0012]天然の20R−配置に伴う側鎖の具体的な重要な例は、以下の式(a)、(b)、(c)、(d)及び(e):
【0019】
【化4】

【0020】
によって表される構造、即ち25−ヒドロキシビタミンD(a);ビタミンD(b);25−ヒドロキシビタミンD(c);ビタミンD(d);及び25−ヒドロキシビタミンDのC−24エピマー(e)中に存在するような側鎖である。
【0021】
[0013]上記の構造Iの新規な2−プロピリデン−19−ノルビタミンD化合物は、所望する、そして非常に好都合な生物学的活性のパターンを示す。これらの化合物は、1α,25−ジヒドロキシビタミンDのそれと比較して、比較的高い、即ち1α,25−ジヒドロキシビタミンDのそれと同様な腸管のカルシウム運搬活性によって特徴付けられ、一方更にカルシウムを骨から移動するその能力は、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、比較的高い活性を示す。従って、これらの化合物は、その血漿カルシウム上昇性活性において高度に特異的である。腸内カルシウム運搬及びカルシウム移動活性に対するこれらの選択的活性は、骨の喪失が主要な関心事である代謝性骨疾患の治療及び予防に対する、このような化合物in vivoの投与を可能にする。腸のカルシウム運搬及び骨に対する選択的血漿カルシウム上昇活性のために、これらの化合物は、骨粗鬆症、特に低骨代謝回転性骨粗鬆症、ステロイド誘導性骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症又は閉経期性骨粗鬆症、並びに骨軟化症及び腎性骨形成異常症のような骨の形成が所望される疾患の治療及び予防のための好ましい治療剤であるものである。化合物は、経皮的に、経口的に又は非経口的に投与することができる。化合物は、約0.01μg/gmないし約100μg/組成物のgm、好ましくは約0.1μg/gmないし約50μg/組成物のgmの量で医薬組成物中に存在することができ、そして約0.01μg/日ないし約100μg/日、好ましくは約0.1μg/日ないし約50μg/日の投与量で投与することができる。
【0022】
[0014]本発明の化合物は、更に免疫系の不均衡によって特徴付けられるヒトの障害、例えば多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、宿主対移植片反応、及び移植の拒絶を含む自己免疫性疾患の治療及び予防;そして更に慢性関節リウマチ、喘息、及びクローン病又は潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患のような炎症性疾患の治療及び予防、並びに骨折の癒合の改良及び改良された骨移植にも特に適している。更にこれらの化合物が、骨の破壊強度(皮質強度)並びに圧縮強度(小柱強度)を増加することも発見されている。従って、これらの化合物は、股関節置換、膝関節置換、等のような骨置換法と共に使用することもできる。座瘡、脱毛症、乾燥皮膚(皮膚の水分補給の欠損)、過度の皮膚の弛緩(不十分な皮膚の固さ)、不十分な皮脂の分泌及び皺のような皮膚の症状、並びに高血圧は、本発明の化合物で治療することができる他の症状である。
【0023】
[0015]上記の化合物は、更に高い細胞分化活性によっても特徴付けられる。従って、これらの化合物は、更に乾癬の治療のための、或いは特に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌及び前立腺癌に対する抗癌剤としての治療剤を提供する。化合物は、乾癬を治療するための組成物中に、約0.01μg/gmないし約100μg/組成物のgm、好ましくは約0.1μg/gmないし約50μg/組成物のgmの量で存在することができ、そして局所的に、経皮的に、経口的に又は非経口的に、約0.01μg/日ないし約100μg/日、好ましくは約0.1μg/日ないし約50μg/日の投与量で投与することができる。
【0024】
[0016]特に、1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−ヒドロキシプロピリデン]−19−ノルビタミンDの(20R)及び(20S)異性体の両方のE−異性体並びにZ−異性体を合成し、そしてこれらの結合、転写、血漿カルシウム上昇性(腸内カルシウム運搬及び骨カルシウム移動の両方)及び分化活性を決定した。構造的には、この(20R)類似体のE−異性体は、以下に示す一般式Ia:
【0025】
【化5】

【0026】
によって特徴付けられ、そして本明細書中では“1AGR”と呼ばれる。
構造的には、この(20R)類似体のZ−異性体は、以下に示す一般式Ib:
【0027】
【化6】

【0028】
によって特徴付けられ、そして本明細書中では“2AGR”と呼ばれる。
構造的には、この(20S)類似体のE−異性体は、以下に示す一般式Ic:
【0029】
【化7】

【0030】
によって特徴付けられ、そして本明細書中では“1AGS”と呼ばれる。
構造的には、この(20S)類似体のZ−異性体は、以下に示す一般式Id:
【0031】
【化8】

【0032】
によって特徴付けられ、そして本明細書中では“2AGS”と呼ばれる。
[0017]合成されたもう一つの2−プロピリデン化合物は、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンDであり、そしてこの結合、転写、血漿カルシウム上昇性(腸内カルシウム運搬及び骨カルシウム移動の両方)及び分化活性を決定した。構造的には、この類似体は、以下に示す一般式Ie:
【0033】
【化9】

【0034】
によって特徴付けられ、そして本明細書中では“F−Wit”と呼ばれる。
[0018]本発明は、更に式Iの最終生成物、そして具体的には式IaないしIdの製造のための新規な合成方法も提供する。更に、本発明は、最終生成物の合成中に形成された新規な中間体化合物を提供する。構造的には、これらの新規な中間体は、以下の一般式V、VI、VII、VIII、IX及びX:
【0035】
【化10】

【0036】
によって特徴付けられ、式中、同一又は別個であることができるY,Y,Y,及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そしてXは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる。
【課題を解決するための手段】
【0037】
発明の詳細な説明
[0025]説明及び特許請求の範囲において使用される場合、用語“ヒドロキシ保護基”は、例えばアルコキシカルボニル、アシル、アルキルシリル又はアルキルアリールシリル基(本明細書中で以下簡単に“シリル”基と呼ぶ)、及びアルコキシアルキルのようなヒドロキシ官能基の一時的保護のために普通に使用されるいずれもの基を意味する。アルコキシカルボニル保護基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルビニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はアリルオキシカルボニルのようなアルキル−O−CO−の群である。用語“アシル”は、1ないし6個の炭素原子の、その全ての異性体の形態のアルカノイル基、或いはオキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル基のような1ないし6個の炭素原子のカルボキシアルカノイル基、或いはベンゾイル、又はハロ、ニトロ若しくはアルキルで置換されたベンジル基のような芳香族アシル基を意味する。用語“アルキル”は、説明又は特許請求の範囲において使用される場合、1ないし10個の炭素原子の、その全ての異性体の形態の直鎖又は分枝鎖のアルキルラジカルを意味する。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、又はテトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルのような群である。好ましいシリル保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリル及び類似のアルキル化されたシリルラジカルである。用語“アリール”は、フェニル、或いはアルキル−、ニトロ−又はハロで置換されたフェニル基を指す。
【0038】
[0026]“保護されたヒドロキシ”基は、ヒドロキシ官能基の一時的又は永久的保護のために普通に使用される上記の基、例えば先に定義したような、シリル、アルコキシアルキル、アシル又はアルコキシカルボニル基のいずれかによって誘導又は保護されたヒドロキシ基である。用語“ヒドロキシアルキル”、“ジューテロアルキル”及び“フルオロアルキル”は、それぞれ一つ又はそれより多いヒドロキシ、ジューテリウム又はフルオロ基によって置換されたアルキルラジカルを指す。
【0039】
[0027]この説明において、用語“24−ホモ”は、一つのメチレン基の追加を示し、そして用語“24−ジホモ”は、側鎖の24位の炭素における二つのメチレン基の追加を示すことは注意すべきである。同様に、用語“トリホモ”は、三つのメチレン基の追加を示す。更に、用語“26,27−ジメチル”は、26及び27位の炭素におけるメチル基の追加を示し、従って例えばR及びRはエチル基である。同様に、用語“26,27−ジエチル”は、26及び27位におけるエチル基の追加を示し、従って、R及びRはプロピル基である。
【0040】
[0028]以下の不飽和側鎖及び飽和側鎖化合物の列挙において、20位の炭素に接続したメチル基が、そのエピ又は非天然の配置にある場合、用語“20(S)”又は“20−エピ”が以下の命名された化合物のそれぞれに含まれなければならない。更に、側鎖が20、22又は23位のいずれかにおいて置換された酸素原子を含有する場合、それぞれ用語“20−オキサ”、“22−オキサ”又は“23−オキサ”が命名された化合物に加えられなければならない。命名された化合物は、所望する場合、更にビタミンD型であることもできる。
【0041】
[0029]構造Iの2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物の具体的な、そして好ましい例は、側鎖が不飽和である場合:
[0030]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α−ヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0031]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−25−ヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0032]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0033]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0034]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0035]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0036]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0037]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0038]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0039]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0040]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0041]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0042]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
[0043]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD;及び
[0044]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシ−22−デヒドロビタミンD
である。
【0042】
[0045]上記の不飽和化合物に関して、側鎖の22及び23の炭素原子間に位置する二重結合が、(E)又は(Z)配置のいずれかであることができることは注意すべきである。従って、配置にもよるが、用語“22,23(E)”又は“22,23(Z)”を、上記で命名した化合物のそれぞれに含めることができる。更に、22及び23の炭素原子間に位置する二重結合を、呼称“Δ22”で示すことも普通である。従って、例えば、上記の四番目に命名した化合物は、二重結合が(E)配置である場合、更に2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−ホモ−22,23(E)−Δ22−1,25−(OH)と書くこともできる。同様に、炭素20に接続したメチル基が非天然の配置である場合、この化合物は、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−20(S)−24−ホモ−22,23(E)−Δ22−1,25−(OH)と書くことができる。
【0043】
[0046]構造Iの2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物の具体的な、そして好ましい例は、側鎖が飽和である場合:
[0047]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α−ヒドロキシビタミンD
[0048]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−25−ヒドロキシビタミンD
[0049]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンD
[0050]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0051]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0052]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0053]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0054]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0055]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジメチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0056]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0057]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0058]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジエチル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0059]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−ホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0060]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−ジホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
[0061]2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−26,27−ジプロピル−24−トリホモ−1,25−ジヒドロキシビタミンD
である。
【0044】
[0062]基本構造IのC−2において置換されたプロピリデン分子を持つ1α−ヒドロキシ−19−ノル−ビタミンD化合物の調製は、以下の普通の一般的方法:
【0045】
【化11】

【0046】
即ち、二環式Windaus−Grundmann型ケトンIIの、アリル的ホスフィンオキシドIIIとの、対応するヒドロキシ保護ビタミンD類似体IVへの縮合、それに続くC−1及びC−3における脱保護によって達成することができる。
【0047】
構造II及びIIIにおいて、Y、Y、X及びR基は、上記で定義された基を表し;Y、Y、及びXは、好ましくはヒドロキシ保護基であり、感受性であるか、又は縮合反応を妨害することができるR中のいずれもの官能基は、当該技術分野において公知であるように適当に保護されることも更に理解されることである。上記に示した方法は、収斂型合成概念の適用を表し、これは、ビタミンD化合物の調製のために有効に適用されている(例えば、Lythgoe et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,590(1978);Lythgoe,Chem.Soc.Rev.,449(1983);Toh et al.,J.Org.Chem.48,1414(1983);Baggiolini et al.,J.Org.Chem.51,3098(1986);Sardina et al.,J.Org.Chem.51,1264(1986);J.Org.Chem.51,1269(1986);DeLuca et al.,米国特許第5,086,191号;DeLuca et al.,米国特許第5,536,713号)。
【0048】
[0063]一般構造IIのヒドリンダノンは、既知であるか、又は既知の方法によって調製することができる。このような既知の二環式ケトンの具体的な重要な例は、先に記載した側鎖(a)、(b)、(c)及び(d)を持つ構造、即ち、以下の式:
【0049】
【化12】

【0050】
の25−ヒドロキシGrundmannのケトン(e)[Baggiolini et al.,J.Org.Chem.51,3098(1986)];Grundmannのケトン(f)[Inhoffen et al.,Chem.Ber.90,664(1957)];25−ヒドロキシWindausケトン(g)[Baggiolini et al.,J.Org.Chem.51,3098(1986)]及びWindausケトン(h)[Windaus et al.,Ann.,524,297(1936)]である。
【0051】
[0064]一般構造IIIの必要なホスフィンオキシドの調製のために、以前に記載されているような[Hanessian et al.,J.Org.Chem.62,465(1997)]商業的な(1R,3R,4S,5R)−(−)−キナ酸から得られる二環式ラクトン1から出発する新しい合成経路が開発された。出発するラクトン1の、所望するA−環合成素子への転換の全体的方法は、スキームIによって要約されている。従って、1の二つの第二級ヒドロキシ基の一つ(C−3におけるエクアトリアルなヒドロキシル)は、t−ブチルジメチルエーテル(TBDMS)として選択的に保護され、そして次いで他方はDess−Martinペルヨージナン試薬で4−ケトン3に酸化された。第三級の1−ヒドロキシルは、アセチル化され、そして得られたアセトキシケトン4は、適当なホスホニウム塩から生成されたイリドと共にWittig反応にかけられた。この目的のために使用されるホスホニウム塩の選択は、最終的な19−ノルビタミンDの構造を考慮して行われなければならない。ヒドロキシル以外のなんらかの官能基で、末端炭素において置換された2−プロピリデン分子を持つ19−ノルビタミンD類似体の企てられた合成の場合、このようなプロピリデンの断片を、ケト化合物4の炭素4に導入することの使用することが好ましいものであることができる。このような状況は、実験の部に1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−(メトキシメトキシ)−プロピリデン]−19−ノルビタミンD(21)の合成が記載されている実施例Iとして例示されている。1α,25−ジヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノルビタミンD類似体の企てられた調製の場合、化合物4のC−4に保護された3−ヒドロキシプロピリデンの断片を接続することが好ましいことであることができる。このような状況は、実験の部に、1α,25−ジヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノルビタミンDのE−及びZ−幾何異性体(24a、b)並びにこれらの20−S対応物(25a、b)の合成が記載されている実施例IIとして例示されている。これらの方法で使用されるホスホニウム塩A及びBは、3−ブロモ−1−プロパノールから調製された。従って、第1の合成において、ケトラクトン4の、臭化ホスホニウムA及びn−ブチルリチウムから生成されたイリドとのWittig反応は、二つの異性体のオレフィン化合物5a及び5bを約5:1の比で得た。主要な化合物5a中のラクトン環及び酢酸基の、水素化ホウ素ナトリウム又は他の適した還元剤(例えば水素化アルミニウムリチウム)による同時還元は、チオール7(スキームII)を与え、これは、その後過ヨウ素酸ナトリウムによってシクロヘキサノン誘導体9に酸化された。この方法の次の工程は、第二級ヒドロキシルのTBDMSエーテルとしての保護及びその後のケトン11の(トリメチルシリル)酢酸メチルとのPeterson反応からなる。得られたアリル的エステル13a及び13bの混合物(約7:1の異性体の比)を、DIBALH又は他の適した還元剤(例えば水素化アルミニウムリチウム)で処理し、そして次いで形成されたアリル的アルコール15a及び15bを、所望するA−環ホスフィンオキシド17a及び17bに転換した。この最後の転換は、3工程、即ちn−ブチルリチウム及び塩化p−トルエンスルホニルによるin situのトシル化、それに続くジフェニルホスフィンリチウム塩との反応、並びに過酸化水素による酸化を含んでいた。別の方法として、第2の合成において、ケトラクトン4のWittig反応は、臭化ホスホニウムBから生成されたイリドにより行われ、そしてこれは、二つの異性体のオレフィン6a及び6bを約3:2の比で与えた。還元及び過ヨウ素酸塩による酸化、それに続くシリル化により、対応するケト化合物12を得た。その後のPeterson反応により、アリル的エステル14a及び14bの混合物(約6:1の異性体の比)を得て、これを、それぞれのホスフィンオキシド18a及び18bに転換した。
【0052】
[0065]いくつかの2−メチレン−19−ノル−ビタミンD化合物は、A−環合成素子17a、b及び18a、b並びに所望する側鎖構造を有する適当なWindaus−Grundmannケトンを使用して合成することができる。従って、例えば、17a及びフェニルリチウムから生成されたリチウムホスフィノオキシカルバニオンの、公開された手順[Sicinski et al.,J.Med.Chem.37,3730(1994)]により調製された保護された25−ヒドロキシGrundmannのケトン19a(スキームIII)とのWittig−Hornerカップリングは、予想した保護されたビタミン化合物20を与えた。これは、フッ化テトラブチルアンモニウムによる脱保護後、1α,25−ジヒドロキシ−2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノルビタミンD(21)を与えた。別の方法として、18a、b及びフェニルリチウムから生成したアニオンの、保護された25−ヒドロキシGrundmannのケトン19aとのWittig−Horner反応は、ヒドロキシルの脱保護後、予想した1α,25−ジヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノルビタミンDのE−及びZ−異性体(24a、b)を与え、一方ホスフィンオキシド18a、bの、(20S)−Grundmannのケトン誘導体19bとのカップリング及びその後の加水分解は、対応する(20S)−1α,25−ジヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−ビタミンDのE−及びZ−異性体(25a、b)の形成となった。
【0053】
[0066]先に記述したように、他の19−ノル−ビタミンD類似体は、本明細書中に開示した方法によって合成することができる。
[0067]本発明は、以下の例示的実施例によって説明される。これらの実施例において、アラビア数字(例えば1、2、3、等)によって識別される特定的な生成物は、上記の説明及びスキームI、スキームII、及びスキームIII中でそのように識別された特定的な構造を指す。
【実施例】
【0054】
実施例
[0068]化学。融点(未補正)は、Thomas−Hooverの細管融点装置で決定した。紫外線(UV)吸収スペクトルは、Perkin−Elmer Lambda 3B UV−VIS吸光分光計で、エタノール中で記録した。H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、400及び500MHzで、Bruker Instrument DMX−400及びDMX−500 Avanceコンソール分光計で、ジューテリオクロロホルム中で記録した。13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、125MHzで、Bruker Instrument DMX−500 Avanceコンソール分光計で、ジューテリオクロロホルム中で記録した。化学シフト(δ)は、内部MeSi(δ=0.00)からの間隔で報告される。電子衝撃(EI)質量スペクトルは、Micromass AutoSpec(Beverly,MA)装置で得た。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Model 6000A溶媒放出系、Model U6K Universal注入器、及びModel 486調節式吸光検出器を備えたWaters Associates液体クロマトグラフィーで行った。THFは、アルゴン下でベンゾフェノンケチルナトリウムから使用の前に新しく蒸留した。
【0055】
実施例1
[0069]1α,25−ジヒドロキシ−2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノルビタミンDの調製
[0070]まずスキーム1を参照して、出発する二環式ラクトン1を、商業的(−)−キナ酸から先に記載[Hanessian et al.,J.Org.Chem.62,465(1997)]したように得た。
【0056】
[0071](a)ラクトン1の3−ヒドロキシ基の保護。
(1R,3R,4S,5R)−1,4−ジヒドロキシ−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−6−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン(2)。ラクトン1(1.80g、10.34mmol)及びイミダゾール(2.63g、38.2mmol)の無水のDMF(14mL)中の撹拌された溶液に、塩化t−ブチルジメチルシリル(1.80g、11.9mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で30分間、そして1時間室温で撹拌し、水中に注ぎ、そして酢酸エチル及びエーテルで抽出した。有機層を数回水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発して、無色の結晶質の残留物を得て、これをヘキサン/酢酸エチルから結晶化して、2.12gの純粋な2を得た。母液を蒸発し、そしてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)による溶出により、付加的な量の結晶質のモノエーテル2(0.14g、全体収率76%)及び若干量の結晶質の異性体の(3−OH,4−OTBDMS)エーテル(0.10g、3%)を得た。
【0057】
【化13】

【0058】
[0072](b)ジヒドロキシラクトン2の4−ヒドロキシ基の酸化。
[0073](1R,3R,5R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−1−ヒドロキシ−6−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−4,7−ジオン(3)。Dess−Martinペルヨージナン試薬(6.60g、15.5mmol)の無水のCHCl(100mL)中の撹拌された懸濁液に、化合物2(3.86g、13.4mmol)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌し、水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を数回水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発して、油状の残留物を得て、これを冷却してゆっくりと結晶化した(3.67g、95%)。TLCは、得られたケトン3の高純度を示し、これは、更なる精製なしに次の工程で使用することができた。分析用試料は、ヘキサンからの再結晶化によって得た。
【0059】
【化14】

【0060】
[0074](c)ヒドロキシケトン3の1−ヒドロキシ基のアセチル化。
[0075](1R,3R,5R)−1−アセトキシ−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−6−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−4,7−ジオン(4)。ヒドロキシケトン3(1.64g、5.8mmol)の無水のピリジン(12mL)及び無水酢酸(5.5mL)中の溶液を、室温で3時間撹拌した。これを水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和NaHCO、飽和CuSO及び水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発して、油状の残留物を得て、これをヘキサン/酢酸エチル(8:2)中に溶解し、そしてシリカゲルの短い経路を通して濾過した。溶媒の蒸発により、純粋な結晶質の酢酸塩4(1.51g、81%)を得た。分析用試料は、ヘキサン/酢酸エチルからの再結晶化によって得た。
【0061】
【化15】

【0062】
[0076](d)臭化ホスホニウムAの調製。
[0077]臭化[3−(メトキシメトキシ)プロピル]トリフェニルホスホニウム(A)。ブロモメチルメチルエーテル(1.3mL、16mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.5mL、27.7mmol)の無水のCHCl(50mL)中の0℃の溶液に、3−ブロモ−1−プロパノール(1.0mL、11mmol)を加え、そして混合物を0℃で1時間、そして室温で20時間撹拌した。反応混合物を1NのHCl(150mL)中に注ぎ、有機層を分離し、そして水相をCHClで抽出した。混合した有機相を水及び希NaHCOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発して、黄色みがかった油状物を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出により、純粋な油状の1−ブロモ−3−(メトキシメトキシ)プロパン(1.12g、55%)を得た。
【0063】
【化16】

【0064】
[0078]1−ブロモ−3−(メトキシメトキシ)プロパン(0.46g、2.5mmol)の無水のトルエン(1.5mL)中の溶液に、トリフェニルホスフィン(0.71g、2.7mmol)をアルゴン下で撹拌しながら加えた。混合物を100℃で20時間加熱し、そして室温まで冷却した。液体をデカントし、そして固体残留物をスパチュラで粉砕し、濾過し、そしてエーテルで数回洗浄した。真空デシケータで一晩乾燥した後、ホスホニウム塩Aの無色の結晶(0.98g、88%)は、更なる精製なしに、Wittig反応に使用することができた。
【0065】
【化17】

【0066】
[0079](e)4−ケトン4の、Aから生成したイリドとのWittig反応。
[0080][(E)−及び(Z)−(1R,3R,5R)−1−アセトキシ−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−6−オキサ−4−[3’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]ビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン(5a及び5b)。0℃の無水のTHF(5mL)中の臭化ホスホニウムA(420mg、0.94mmol)に、n−BuLi(ヘキサン中の1.6M、1.12mL、1.8mmol)を、アルゴン下で撹拌しながら滴下により加えた。5分後、もう一つの部分のA(420mg、0.94mmol)を加え、そして溶液を0℃で10分間、そして次いで室温で20分間撹拌した。橙−赤色の混合物を−78℃に冷却し、そして二つの等しい部分(30分の間隔)で、ケトラクトン4(300mg、0.91mmol)の無水のTHF(8mL)中の溶液にサイホンで加えた。反応混合物を−78℃で撹拌し、そして1%のHClを含有する食塩水の添加によって停止(Wittig試薬の最初の部分の添加後3時間)した。酢酸エチル(9mL)、ベンゼン(6mL)、エーテル(3mL)、飽和NaHCO(3mL)、及び水(3mL)を加え、そして混合物を室温で18時間激しく撹拌した。次いで有機相を分離し、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物(主として約5:1の比の異性体の5a及び5bからなる)をシリカのフラッシュクロマトグラフィーによって分離した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)による溶出により、生成物の部分的分離:29mgの5b、5a及び5bの混合物(85mg)、及び純粋な5a(176mg、全体収率77%)を得た。混合された画分の再クロマトグラフィーにより、生成物の殆んど完全な分離を得た。
【0067】
【化18】

【0068】
[0081](f)アセトキシラクトン5aの還元(スキームII)。
[0082][(E)−(1’R,3’R,5’R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−1’,5−ジヒドロキシ−4’−[3’’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]シクロヘキシル]メタノール(7)。(a)化合物5a(165mg、0.40mmol)の無水エタノール(5mL)中の0℃の撹拌された溶液に、NaBH(151mg、4.0mmol)を加え、そして混合物を0℃で1時間、次いで10時間6℃で、そして2時間室温で撹拌した。飽和NHClを加え、そして混合物を食塩水中に注ぎ、そしてエーテル及び塩化メチレンで数回抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、混合し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(2:8)による溶出により、純粋なトリオール7を、無色の油状物(115mg、79%)として得た。
【0069】
【化19】

【0070】
(b)化合物5a(186mg、0.45mmol)の無水のTHF(17mL)中の0℃の溶液に、LiAlH(128mg、3.42mmol)を加え、そして混合物を0℃で1時間、そして3時間室温で撹拌した。混合物を飽和NaSOの溶液中に注意深く注ぎ、そして酢酸エチル及びエーテルで数回抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(2:8)による溶出により、純粋なトリオール8を、無色の油状物(100mg、59%)として得た。
【0071】
[0083](g)ビシナルなジオール7の開裂。
[0084][(E)−(3R,5R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−5−ヒドロキシ−4−[3’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]]シクロヘキサノン(9)。過ヨウ素酸ナトリウムで飽和された水(1.2mL)を、トリオール7(79mg、0.21mmol)のメタノール(5mL)中の0℃の溶液に加えた。溶液を0℃で1時間撹拌し、食塩水中に注ぎ、そして酢酸エチル及びエーテルで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン/CHCl中に溶解し、そしてSep−Pakカートリッジにかけた。純粋なヒドロキシケトン9(64mg、88%)を、ヘキサン/酢酸エチル(7:3)により冷蔵庫内でゆっくりと結晶化する油状物として溶出した。
【0072】
【化20】

【0073】
[0085](h)ヒドロキシケトン9の5−ヒドロキシ基の保護。
[0086][(3R,5R)−3,5−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−[3’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]シクロヘキサノン(11)。ヒドロキシケトン9(40mg、117μmol)の無水のCHCl(0.4mL)中の−50℃の溶液に、2,6−ルチジン(32μL、274μmol)及びt−ブチルジメチルシリルトリフラート(56μL、240μmol)を加えた。混合物を5分間−50℃で撹拌し、次いでこれを−15℃まで温まらせ、そしてこの温度で更に30分間撹拌した。ベンゼン及び水を加え、そして混合物を水中に注ぎ、そしてベンゼンで抽出した。抽出物を飽和CuSO及び水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出により、無色の油状物としての純粋な保護されたケトン11(30mg、57%;回収された基質に基づき66%)及び未反応の9(6mg)を得た。
【0074】
【化21】

【0075】
[0087]アリル的エステル13a及び13bの調製。
[0088][(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]酢酸メチルエステル(13a及び13b)。ジイソプロピルアミン(25μL、0.18mmol)の無水のTHF(0.15mL)中の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、72μL、0.18mmol)をアルゴン下の−78℃で撹拌しながら加え、そして次いで(トリメチルシリル)酢酸メチル(30μL、0.18mmol)を加えた。15分後、無水のTHF(0.2mL)中のケトン11(38.4mg、84μmol)を加えた。溶液を−78℃で更に2時間撹拌し、そして反応混合物を湿りエーテルでクエンチし、食塩水中に注ぎ、そしてエーテル及びベンゼンで抽出した。混合した抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてSep−Pakカートリッジにかけた。純粋なアリル的エステル13a及び13b(37.2mg、86%;13a及び13bの異性体の比=約7:1)を、ヘキサン/酢酸エチル(97:3)で溶出した。生成物の分離は、HPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって、ヘキサン/酢酸エチル(95:5)溶媒系を使用して達成した。純粋な化合物13a及び13bを、それぞれR41mL及び44mLで、無色の油状物として溶出した。
【0076】
【化22】

【0077】
[0089](j)アリル的エステル13a及び13bの還元。
[0090]2−[(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]エタノール(15a及び15b)。水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中の1.0M、0.35mL、0.35mmol)を、アリル的エステル13a及び13b(37.2mg、74μmol)のトルエン/塩化メチレン(2:1、1.5mL)中の撹拌された−78℃のアルゴン下の溶液にゆっくりと加えた。撹拌を−78℃で1時間継続し、混合物を酒石酸ナトリウムカリウム(2N、2mL)、HCl水溶液(2N、2mL)及びHO(24mL)の添加によってクエンチし、そして次いでエーテル及びベンゼンで希釈した。有機層を希釈NaHCO及び食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出により、生成物の部分的分離:16mgの15a、15a及び15bの混合物(15mg)及び純粋な15b(3mg;全収率97%)を得た。混合された画分の再クロマトグラフィーにより、生成物の殆んど完全な分離を得た。
【0078】
【化23】

【0079】
[0091](k)アリル的アルコール15a及び15bのホスフィンオキシド17a及び17bへの転換。
[0092][2−[(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]エチル]ジフェニルホスフィンオキシド(17a及び17b)。無水のTHF(0.8mL)中のアリル的アルコール15a及び15b(約7:1、34mg、70μmol)に、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、28μL、70μmol)をアルゴン下の0℃で撹拌しながら加えた。新しく再結晶した塩化トシル(14.0mg、73μmol)を無水のTHF(190μL)中に溶解し、そしてアリル的アルコール−BuLi溶液に加えた。混合物を0℃で5分間撹拌し、そして0℃でそのままにした。空気をアルゴンで置換したもう一つの乾燥したフラスコ中で、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、140μL、0.35mmol)を、無水のTHF(420μL)中のPhPH(62μL、0.34mmol)に0℃で撹拌しながら加えた。赤色の溶液を、アルゴンの圧力下でトシラートの溶液に、オレンジ色が持続するまでサイホンにより加えた(約1/4の溶液を加えた)。得られた混合物を更に40分間0℃で撹拌し、そしてHO(40μL)の添加によってクエンチした。溶媒を減圧下で蒸発し、そして残留物を塩化メチレン(1.0mL)中に再溶解し、そして10%のH(0.5mL)と共に0℃で1時間撹拌した。有機層を分離し、冷亜硫酸ナトリウム水溶液及びHOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにかけた。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)による溶出により、未変化のアリル的アルコール(3.9mg)を得た。その後のベンゼン/酢酸エチル(7:3)による溶出により、生成物の部分的分離:27.6mgの17a、17a及び17bの混合物(2mg)及び純粋な17b(2mg;全収率68%)を得た。両方の異性体の分析用試料を、ヘキサン/2−プロパノール(9:1)溶媒系を使用するHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)精製後に得た。純粋な油状の化合物17a及び17bは、それぞれR41mL及び44mLで溶出した。
【0080】
【化24】

【0081】
[0093](l)保護された25−ヒドロキシGrundmann’sのWittig−Hornerカップリング。
[0094]1α−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−[3’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]−25−[(トリエチルシリル)オキソ]−19−ノルビタミンDtert−ブチルジメチルシリルエーテル(20)。ホスフィンオキシド17a(15.5mg、23μmol)の無水のTHF(0.25mL)中の−78℃の溶液に、フェニルリチウム(シクロヘキサン/エーテル中の1.8M、13μL、23μmol)をアルゴン下で撹拌しながらゆっくりと加えた。溶液は濃いオレンジ色に変わった。混合物を−78℃で20分間撹拌し、そして公開された手順[Sicinski et al.,J.Med.Chem.37,3730(1994)]によって調製された、保護されたヒドロキシケトン19a(19mg、48μmol)の、無水のTHF(0.25mL)中の予備冷却(−78℃)された溶液を、ゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下で、−78℃で3時間、そして6℃で16時間撹拌した。酢酸エチル及び水を加え、そして有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をヘキサン中に再溶解し、シリカのSep−Pakカートリッジにかけ、そしてヘキサン/酢酸エチル(98:2、10mL)で洗浄して、19−ノルビタミン誘導体20(9.5mg、48%)を得た。次いでSep−Pakをヘキサン/酢酸エチル(96:4、10mL)で洗浄して、ある程度の未変化のC、D−環ケトン19a(10mg)を得て、そして酢酸エチル(10mL)で、ジフェニルホスフィンオキシド17a(1mg)を回収した。
【0082】
【化25】

【0083】
[0095](m)19−ノルビタミンD誘導体20のシリル保護基の加水分解。
[0096]1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−(メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノルビタミンD(21)。保護された19−ノルビタミンD20(3.0mg、3.5μmol)の無水のTHF(200μL)中の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中の1.0M、210μL、210μmol)を加えた。混合物をアルゴン下の室温で18時間撹拌し、食塩水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって、ヘキサン/2−プロパノール(75:25)溶媒系を使用して精製した。分析的に純粋な19−ノルビタミン21(1.27g、71%)をR26mLで回収した。化合物は、更にメタノール/水(8:2)溶媒系を使用した逆相HPLC(6.2mm×25cmのZorbax−ODSカラム、2mL/分)でも単一のピークを与え;これをR35mLで回収した。
【0084】
【化26】

【0085】
実施例II
[0097]1α,25−ジヒドロキシ−2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノルビタミンD化合物の調製
[0098]まずスキームIを参照して、ケトラクトン4を、実施例I(a−c)に記載したように商業的(−)−キナ酸から得た。
【0086】
[0099](a)臭化ホスホニウムBの調製。
[00100]臭化[3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]プロピル]トリフェニルホスホニウム(B)。1−ブロモ−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]プロパン(2.18g、8.65mmol)の無水のベンゼン(1.6mL)中の溶液に、トリフェニルホスフィン(2.64g、10.2mmol)を、アルゴン下で撹拌しながら加えた。混合物を85℃で18時間加熱し、そして室温に冷却した。液体をデカントし、そして固体の残留物をスパチュラで粉砕し、濾過し、そしてエーテルで数回洗浄した。ホスホニウム塩Bの無色の結晶(3.7g)をシリカのカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋な塩B(3.04g、69%)を、クロロホルム/メタノール(96:4)で溶出した。
【0087】
【化27】

【0088】
[00101](b)4−ケトン4の、Bから生成したイリドとのWittig反応。
[00102][(E)−及び(Z)−(1R,3R,5R)−1−アセトキシ−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−6−オキサ−4−[3’−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]ビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン(6a及び6b)。−20℃の無水のTHF(42mL)中の臭化ホスホニウムB(1.55g、3.04mmol)に、n−BuLi(シクロヘキサン中の2.0M、1.50mL、3.00mmol)を、アルゴン下で撹拌しながら滴下により加え、そして溶液を−20℃で15分間撹拌した。橙−赤色の混合物を−45℃に冷却し、そして酢酸ケト4(700mg、2.13mmol)の無水のTHF(24mL)中の溶液に、15分間にサイホンで加えた。反応混合物を−40℃で2時間撹拌し、そして1%のHClを含有する食塩水の添加によって停止した。酢酸エチル(30mL)、ベンゼン(20mL)、エーテル(10mL)、飽和NaHCO(10mL)、及び水(10mL)を加え、そして混合物を室温で18時間激しく撹拌した。次いで有機相を分離し、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物(主として約3:2の比の異性体の6a及び6bからなる)をシリカのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(9:1)による溶出により、生成物6a及び6bの混合物(905mg、87%)を得た。両方の異性体の分析用試料を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)溶媒系を使用したHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)分離後に得た。純粋な油状の化合物6a及び6bを、それぞれR28mL及び29mLで溶出した。
【0089】
【化28】

【0090】
[00103](c)アセトキシラクトン6a及び6bの還元(スキームII)。
[00104][(E)−及び(Z)−(1’R,3’R,5’R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−1’,5−ジヒドロキシ−4’−[3’’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]シクロヘキシル]メタノール(8a及び8b)。化合物6a及び6b(150mg、0.309mmol)の無水エタノール(4mL)中の0℃の撹拌された溶液に、NaBH(116mg、3.09mmol)を加え、そして混合物を室温で21時間撹拌した。混合物を飽和NHCl中に注ぎ、そして酢酸エチルで数回抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をシリカのクロマトグラフィーで精製した。ヘキサン/酢酸エチル(4:6)による溶出により、半結晶質のトリオール8a及び8bの混合物(136mg、98%)を得た。
【0091】
【化29】

【0092】
[00105](d)ビシナルなジオール8a及び8bの開裂。
[00106][(E)−及び(Z)−(3R,5R)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−5−ヒドロキシ−4−[3’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]]シクロヘキサノン(10a及び10b)。過ヨウ素酸ナトリウムで飽和された水(1.6mL)を、トリオール8a及び8b(104mg、0.233mmol)のメタノール(8mL)中の0℃の溶液に加えた。溶液を0℃で1時間撹拌し、食塩水中に注ぎ、そして酢酸エチル及びエーテルで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン/CHCl中に溶解し、そしてSep−Pakカートリッジにかけた。ヒドロキシケトン10a及び10b(85mg、88%)を、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で、冷蔵庫内でゆっくりと結晶化する油状物として溶出した。
【0093】
【化30】

【0094】
[00107](e)ヒドロキシケトン10a及び10bの5−ヒドロキシ基の保護。
[00108][(3R,5R)−3,5−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−[3’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]シクロヘキサノン(12)。ヒドロキシケトン10a及び10b(22mg、53μmol)の無水のCHCl(0.2mL)中の−50℃の溶液に、2,6−ルチジン(14.5μL、124μmol)及びt−ブチルジメチルシリルトリフラート(25μL、106μmol)を加えた。混合物を−50℃で50分間撹拌した。冷及び湿りCHClを加え、そして混合物を水中に注ぎ、そしてCHClで抽出した。抽出物を飽和CuSO及び水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてシリカのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出によって、無色の油状物としての純粋な保護されたケトン12(18mg、64%;回収された基質に基づき74%)及び未反応の10a及び10bの混合物(3mg)を得た。
【0095】
【化31】

【0096】
[00109](f)アリル的エステル14a及び14bの調製。
[00110][(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]酢酸メチルエステル(14a及び14b)。ジイソプロピルアミン(49μL、0.363mmol)の無水のTHF(0.37mL)中の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、146μL、0.365mmol)を、アルゴン下の−78℃で撹拌しながら加え、そして次いで(トリメチルシリル)酢酸メチル(60.5μL、0.366mmol)を加えた。15分後、無水のTHF(0.45mL)中のケトン12(76.5mg、0.145μmol)を加えた。溶液を−78℃で更に70分間撹拌し、そして反応混合物を湿りエーテルでクエンチし、食塩水中に注ぎ、そしてエーテル及びベンゼンで抽出した。混合した抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。油状の残留物をヘキサン中に再溶解し、そしてSep−Pakカートリッジにかけた。純粋なアリル的エステル14a及び14b(60mg、68%;14a及び14bの異性体の比=約6:1)をヘキサン/酢酸エチル(98.5:1.5)で溶出した。
【0097】
【化32】

【0098】
[00111](g)アリル的エステル14a及び14bの還元。
[00112]2−[(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]エタノール(16a及び16b)。水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中の1.0M、616μL、616μmol)を、アリル的エステル14a及び14b(6:1、60mg、103μmol)のトルエン/塩化メチレン(2:1、2.25mL)中の−78℃のアルゴン下の撹拌された溶液にゆっくりと加えた。撹拌を−78℃で1時間継続し、混合物を酒石酸ナトリウムカリウム(2N、2mL)、HCl水溶液(2N、2mL)及びHO(24mL)の添加によってクエンチし、そして次いでエーテル及びベンゼンで希釈した。有機層を希釈NaHCO及び食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出により、49mgの生成物16a及び16bの混合物、収率86%)を得た。両方の異性体の分析用試料は、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)溶媒系を使用したHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)後に得た。純粋な油状の化合物16a及び16bは、それぞれR28mL及び29mLで溶出した。
【0099】
【化33】

【0100】
[00113](h)アリル的アルコール16a及び16bの、ホスフィンオキシド18a及び18bへの転換。
[00114][2−[(E)−及び(Z)−(3’R,5’R)−3’,5’−ビス[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4’−[3’’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]シクロヘキシリデン]エチル]−ジフェニルホスフィンオキシド(18a及び18b)。無水のTHF(0.8mL)中のアリル的アルコール16a及び16b(5.5:1、40.5mg、70.2μmol)に、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、35μL、87.5μmol)をアルゴン下の0℃で撹拌しながら加えた。新しく再結晶化した塩化トシル(14.0mg、73μmol)を無水のTHF(190μL)中に溶解し、そしてアリル的アルコール−BuLi溶液に加えた。混合物を0℃で5分間撹拌し、そして0℃でそのままにしておいた。空気をアルゴンによって置換されたもう一つの乾燥したフラスコで、n−BuLi(ヘキサン中の2.5M、140μL、0.35mmol)を、無水のTHF(420μL)中のPhPH(62μL、0.34mmol)に0℃で撹拌しながら加えた。赤色の溶液を、アルゴンの圧力下で、トシラートの溶液に、オレンジ色が持続するまでサイホンで加えた(溶液の約1/4を加えた)。得られた混合物を更に40分間0℃で撹拌し、そしてHO(40μL)の添加によってクエンチした。溶媒を減圧下で蒸発し、そして残留物を塩化メチレン(1.0mL)中に溶解し、そして10%のH(0.5mL)と共に0℃で1時間撹拌した。有機層を分離し、冷亜硫酸ナトリウム水溶液及びHOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにかけた。ヘキサン/酢酸エチル(95:5)による溶出により、未変化のアリル的アルコール(16.3mg)を得た。その後のヘキサン/酢酸エチル(7:3)による溶出により、生成物の混合物:18a及び18b(25mg、49%;回収された基質16a、bに基づき81%)を得た。
【0101】
【化34】

【0102】
[00115]保護された25−ヒドロキシGrundmannのケトン19aのホスフィンオキシド18a及び18bとのWittig−Hornerカップリング(スキームIII)。
【0103】
[00116]1α−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−[3’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]−25−[(トリエチルシリル)オキシ]−19−ノルビタミンDtert−ブチルジメチルシリルエーテル(22a及び22b)。ホスフィンオキシド18a及び18b(6:1、20.3mg、27.6μmol)の無水のTHF(0.3mL)中の−78℃の溶液に、フェニルリチウム(シクロヘキサン中の1.56M、19μL、30μmol)をアルゴン下で撹拌しながらゆっくりと加えた。溶液は濃いオレンジ色に変わった。混合物を−78℃で20分間撹拌し、そして公開された手順[Sicinski et al.,J.Med.Chem.37,3730(1994)]によって調製された、保護されたヒドロキシケトン19a(15.4mg、39μmol)の、無水のTHF(80μL)中の予備冷却(−78℃)された溶液を、ゆっくりと加えた。混合物をアルゴン下で、−78℃で3時間、そして6℃で19時間撹拌した。酢酸エチル、ベンゼン及び水を加え、そして有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をヘキサン中に再溶解し、シリカのカラムにかけた。ヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5)による溶出により、19−ノルビタミン誘導体22a及び22b(8.6mg、回収された基質に基づいて47%)を得た。次いでカラムをヘキサン/酢酸エチル(96:4)で洗浄して、ある程度の未変化のC,D−環ケトン19a(7mg)を得て、そして酢酸エチルで、未反応のジフェニルホスフィンオキシド(5.5mg)を回収した。主たる生成物22aの分析用試料は、ヘキサン/酢酸エチル(99.8:0.2)溶媒系を使用したHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)精製によって得た。純粋な化合物22aは、R28mLで無色の油状物として溶出した。
【0104】
【化35】

【0105】
[00117](j)(20S)−1α−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−2−[3’−[((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピリデン]−25−[(トリエチルシリル)オキシ]−19−ノルビタミンDtert−ブチルジメチルシリルエーテル(23a及び23b)。
【0106】
[00118]保護された19−ノルビタミンD化合物23a及び23bを、(20R)−異性体22a及び22bの調製のために先に記載した方法と類似に行なわれた、保護された25−ヒドロキシGrundmannのケトン19bの、ホスフィンオキシド18a及び18bとのWittig−Hornerカップリングによって得た。保護されたビタミンを、シリカのカラムで、ヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5)溶媒系を使用して精製し、そしてこれらを約47%の収率で得た。保護されたビタミン23aの分析用試料は、HPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)精製によって、ヘキサン/酢酸エチル(99.7:0.3)溶媒系を使用して得た。純粋な化合物23aは、R25mLで、無色の油状物として溶出した。
【0107】
【化36】

【0108】
[00119](k)19−ノルビタミンD誘導体22a及び22bのシリル保護基の加水分解。
[00120]1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−ヒドロキシプロピリデン]−19−ノルビタミンD(24a及び24b)。保護されたビタミン22a及び22b(5.7mg、6.2μmol)の無水のTHF(4.3mL)中の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中の1.0M、372μL、372μmol)を加えた。混合物をアルゴン下の室温で18時間撹拌し、食塩水中に注ぎ、そして酢酸エチル及びジエチルエーテルで抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして蒸発した。残留物をHPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって、ヘキサン/2−プロパノール(8:2)溶媒系を使用して精製した。純粋な19−ノルビタミン24a及び24bの混合物を、R37.5mLで収集した。両方の異性体の分離は、逆相HPLC(6.2mm×25cmのZorbax−ODSカラム、2mL/分)によって、メタノール/水(8:2)溶媒系を使用して容易に達成された。分析的に純粋なE−異性体24a(2.8mg、97%)を、R23mLで、そしてZ−異性体24b(11μg)をR29mLで収集した。
【0109】
【化37】

【0110】
[00121](l)19−ノルビタミンD誘導体22a及び22bのシリル保護基の加水分解。
[00122](20S)−1α,25−ジヒドロキシ−2−[3’−ヒドロキシプロピリデン]−19−ノルビタミンD(24a及び24b)。ビタミン25a及び25bを、(20R)−異性体24a及び24bの調製のために先に記載した方法類似に行われた19−ノルビタミン誘導体23a及び23bのシリル保護基の加水分解によって得た。残留物を、HPLC(10mm×25cmのZorbax−Silカラム、4mL/分)によって、ヘキサン/2−プロパノール(8:2)溶媒系を使用して精製した。純粋な19−ノルビタミン25a及び25bの混合物(95%収率)を、R36.5mLで収集した。両方の異性体の分離は、逆相HPLC(6.2mm×25cmのZorbax−ODSカラム、2mL/分)によって、メタノール/水(8:2)溶媒系を使用して容易に達成された。分析的に純粋なE−異性体25aを、R18mLで、そしてZ−異性体25bをR28mLで収集した(25a及び25bの比=160:1)。
【0111】
【化38】

【0112】
【化39】

【0113】
【化40】

【0114】
【化41】

【0115】
[00123]治療の目的のために、式Iによって定義される本発明の新規な化合物は、無毒の溶媒中の溶液、或いは適した溶媒又は担体中の乳液、懸濁液若しくは分散物、或いは固体の担体といっしょの丸薬、錠剤又はカプセルとして、当該技術分野において既知の慣用的な方法によって医薬的適用のために処方することができる。いずれものこのような製剤は、更に安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤又は乳化剤或いは味覚改良剤のような他の医薬的に受容可能な、そして非毒性の賦形剤を含有することもできる。
【0116】
[00124]化合物は、経口的、局所的、非経口的又は経皮的に投与することができる。化合物は、注射若しくは静脈内注入によって、又は適した滅菌溶液、或いは液体又は固体投与の形態で食餌管を経由して、或いはクリーム、軟膏、貼布、又は経皮適用に適した同様なベヒクルの形態で都合よく投与される。一日当り0.01μgないし100μgの化合物の投与量、好ましくは約0.1μg/日ないし約50μg/日が治療の目的のために適当であり、このような投与量は、治療される疾患、その重度及び患者の反応によって、当該技術分野においてよく理解されているように調節される。新しい化合物は、作用の特異性を示すために、それぞれは、単独で、或いは異なった程度の骨無機質の移動及びカルシウム運搬の刺激が好都合であることが見出された場合、もう一つの活性なビタミンD化合物−例えば1α−ヒドロキシビタミンD又はD、或いは1α,25−ジヒドロキシビタミンD−の段階的投与量といっしょに適当に投与することができる。
【0117】
[00125]前述した乾癬及び他の悪性腫瘍の治療において使用するための組成物は、活性成分としての有効な量の一つ又はそれより多い上記の式Iによって定義された2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物、及び適した担体を含んでなる。本発明による使用のためのこのような化合物の有効な量は、組成物のgm当り約0.01μgないし約100μg、好ましくは約0.1μg/gmないし約50μg/組成物のgmであり、そして局所的、経皮的、経口的又は非経口的に、約0.01μg/日ないし約100μg/日、好ましくは約0.1μg/日ないし約50μg/日の投与量で投与することができる。
【0118】
[00126]化合物は、クリーム、ローション、軟膏、局所貼布、丸薬、カプセル又は錠剤として、或いは医薬的に無毒の、そして受容可能な溶媒又は油中の溶液、乳液、分散物、又は懸濁液のような液体の形態に処方することができ、そしてこのような製剤は、更に安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤又は味覚改良剤のような他の医薬的に無毒の又は利益のある成分を含有することができる。
【0119】
[00127]化合物は、前骨髄細胞の正常なマクロファージへの分化を起こすために十分な量で、都合よく投与される。先に記載した投与量は適しているが、与えられた量が、疾患の重度、並びに患者の症状及び反応によって、当該技術分野においてよく理解されているように調節されることは理解されることである。
【0120】
[00128]本発明の製剤は、活性成分を医薬的に受容可能なその担体及び所望により他の治療成分と共に含んでなる。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、そしてその受容者に対して有害ではないという意味において“受容可能”でなければならない。
【0121】
[00129]経口投与のために適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含有するカプセル、サッシェ、錠剤又はロザンジのような別々の形態;粉末又は顆粒の形態;水性液体又は非水性液体中の溶液又は懸濁液;或いは水中油乳剤又は油中水乳剤であることができる。
【0122】
[00130]直腸投与のための製剤は、活性成分及びココアバターのような担体を組込んだ座薬の形態、或いは浣腸の形態であることができる。
[00131]非経口投与のために適した製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性成分の滅菌の油性又は水性製剤を都合よくは含んでなる。
【0123】
[00132]局所投与のために適した製剤は、塗布剤;ローション;アプリカント;クリーム、軟膏又はペーストのような水中油又は油中水乳液のような液体又は半液体の製剤;或いは滴剤のような溶液又は懸濁液;或いは噴霧剤を含む。
【0124】
[00133]喘息の治療のために、粉末の吸入、噴霧缶、ネブライザー又はアトマイザーで投与する自己噴射又は噴霧製剤を使用することができる。製剤は、分散される場合、好ましくは10ないし100μの範囲の粒子の大きさを有する。
【0125】
[00134]製剤は、投与量単位の形態で都合よく与えることができ、そして薬学の技術において公知の方法のいずれかによって調製することができる。用語“投与量単位”によって、単一性、即ち活性成分そのまま、或いは固体又は液体の医薬的希釈剤若しくは担体とのその混合物のいずれかを含んでなる物理的及び化学的に安定な単位投与量として、患者に投与することが可能である単一の投与量を意味する。
【0126】
2−プロピリデン−19−ノル持続放出化合物
[00135]所望する、そして非常に好都合なin vivoにおける活性のパターン、即ち、更に緩やかな開始及び更に延長された活性の期間を示す改質されたビタミンD化合物も、更に本明細書中で使用することができる。
【0127】
[00136]構造的には、これらの所望する生物学的特性を有する、改質されたビタミンD化合物の鍵となる特徴は、これらが、加水分解可能な基が炭素25におけるヒドロキシ基、及び所望により、分子中に存在する他のいずれもの他のヒドロキシ基に接続した、2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD類似体の誘導体であることである。接続された基の各種の構造的因子−−例えば、種類、大きさ、構造的複雑さ−−にもよるが、これらの誘導体は、活性な2−プロピリデン−19−ノルビタミンD類似体にin vivoで異なった速度で加水分解され、従って生物学的に活性なビタミンD化合物の身体中の“持続放出”を提供する。
【0128】
[00137]このような化合物のin vivo活性の“持続放出”の特性は、もちろん誘導体の混合物の使用、又は非誘導ビタミンD化合物といっしょの、一つ又はそれより多いビタミンD誘導体からなる混合物の使用によって更に調節することができる。
【0129】
[00138]上記で識別したビタミン誘導体の重要な構造的特徴が、分子の炭素25においてヒドロキシ基に接続した、加水分解可能な基の存在であることを強調することは重要なことである。この位置における加水分解可能な基の存在は、得られた誘導体に、先に記述した所望する“持続放出”生物学的活性の特性を与える。分子中に存在する他のヒドロキシ官能基(例えば炭素1又は3におけるヒドロキシ官能基)は、遊離のヒドロキシ基として存在することができ、或いはこれらの一つ又はそれより多くは、更に加水分解可能な基で誘導体化することもできる。
【0130】
[00139]上述した誘導体中に存在する“加水分解可能な基”は、好ましくはアシル基、即ちQCO−型の基であり、ここでQは、水素、或いは直鎖、環式、分枝鎖、飽和又は不飽和であることができる1ないし18個の炭素の炭化水素ラジカルを表す。従って、例えば、炭化水素ラジカルは、直鎖又は分枝鎖アルキル基、或いは一つ若しくはそれより多い二重結合を持つ直鎖又は分枝鎖アルケノイル基であることができ、或いはこれは、所望により置換されたシクロアルキル又はシクロアルケニル基、或いは置換された若しくは置換されていないフェニル、ベンジル又はナフチルのような芳香族基であることができる。特に好ましいアシル基は、アルカノイル又はアルケノイル基であり、その中のいくつかの典型的な例は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ヘキサノイル、イソブチリル、2−ブテノイル、パルミトイル又はオレオイルである。加水分解可能な基のもう一つの適した型は、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、即ちQ−O−CO−型の基であり、ここでQは、上記で定義したとおりのCないしC18の炭化水素ラジカルである。このような炭化水素ラジカルの例示は、メチル、エチル、プロピル、並びに高級直鎖又は分枝鎖アルキル及びアルケノイルラジカル、並びにフェニル又はベンジルのような芳香族炭化水素ラジカルである。
【0131】
[00140]これらの改質されたビタミンD化合物は、投与後、時間をかけてin vivoで活性な類似体に加水分解可能であり、そして結果として活性な類似体のin vivoの利用率を制御し、これによって更にin vivoにおけるこれらの活性特性を調節する。用語“活性特性”は、ビタミンD化合物の時間をかけた生物学的反応を示す。個々の改質された化合物、又はこのような化合物の混合物は、所望する反応の時間経過を“微調整”するために投与することができる。
【0132】
[00141]本明細書中で使用される場合、用語“改質されたビタミンD化合物”は、このような化合物中に存在するヒドロキシ官能基の一つ又はそれより多くが、加水分解可能な基による誘導体化によって改質されたいずれものビタミンD化合物を包含する。“加水分解可能な基”は、in vivoで加水分解されて、遊離のヒドロキシ官能基を再生することができるヒドロキシを改質する基である。
【0133】
[00142]本開示の文脈において、用語加水分解可能な基は、好ましくはアシル及びヒドロカルビルオキシカルボニル基、即ちそれぞれQCO−及びQ−O−CO型の基を含み、ここでQ及びQは、先に定義した意味を有する。
【0134】
[00143]構造的に、包含される改質されたビタミンD化合物は、以下に示す式XI:
【0135】
【化42】

【0136】
によって表すことができ、式中、Y、Y、及びRは、側鎖中のRが、−OYであり、そしてYが、本明細書中で先に定義したとおりのアシル基又はヒドロカルビルオキシカルボニル基であることを除き、式Iに関して本明細書中で先に定義したとおりである。
【0137】
[00144]このような改質されたビタミンD化合物のいくつかの具体的な例は:
[00145]Y=Y=Yであり、そしてCHCOである、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25(OH)−D−1,3,25−三酢酸;
[00146]Y=Y=Yであり、そしてCH(CHCOである、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25(OH)−D−1,3,25−三ヘキサン酸;
[00147]Y=Y=Yであり、そしてCH(CHCOである、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25(OH)−D−1,3,25−三ノナン酸;
[00148]Y=Yであり、そしてHであり、そしてYがCHCOである、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25(OH)−D−25−酢酸;
のような2−プロピリデン−19−ノルビタミンD誘導体を含む。
【0138】
[00149]これらの化合物は、既知の方法によって調製することができる。例えば米国特許第5,843,927号を参照されたい。
2−プロピリデン−19−ノル−ビタミンD化合物の生物学的活性
[00150]図1及び2−競合的VDR結合。
【0139】
[00151]類似体のブタ腸内受容体への競合的結合は、組替え的に発現したラットの受容体を受容体として使用した(Vanhooke et al.,Biochemistry,in press,2004)ことを除き、Dame等(Biochemistry 25,4523−4534,1986)によって記載された方法によって行われた。
【0140】
[00152]図3−HL−60細胞の分化
[00153]HL−60前骨髄細胞の単核細胞への分化を、Ostrem等(J.Biol.Chem.262,14164−14171,1987)によって記載されているように決定した。
【0141】
[00154]図4−転写活性化
[00155]転写活性を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24−ヒドロキシラーゼ(24Hアーゼ)遺伝子プロモーターで安定的に形質移入されたROS 17/2.8(骨)細胞中で測定した(Arbour et al.,1998)。細胞に、ある範囲の投与量を与えた。投与の16時間後、細胞を回収し、そしてルシフェラーゼ活性をルミノメーターを使用して測定した。
【0142】
[00156]図4の“RLU”は、相対的ルシフェラーゼ単位を指す。
[00157]図5及び6−腸内カルシウム運搬及び骨カルシウム移動
[00158]オスの離乳期のSprague−Dawleyラットを、規定食11(0.47%Ca)規定食+AEKで1週間、次いで規定食11(0.02%Ca)+AEKで3週間飼育した。次いでラットは、0.47%Caを含有する規定食で1週間、続いて2週間0.02%Caを含有する規定食に切替えられた。投与量の投与は、0.02%カルシウム規定食の最後の週中に始めた。4回の連続したip投与を概略24時間の間隔で与えた。最後の投与の24時間後、血液を切断した頚部から収集し、そして血清カルシウムの濃度を骨カルシウム移動の測定値として決定した。反転腸嚢法を使用した腸内カルシウム運搬分析のために、腸の最初の10cmも更に収集した。
【0143】
生物学的データの解釈
[00159]図1は、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(本明細書中で“F−Wit”とも呼ばれる)及び1α,25−ジヒドロキシビタミンDの、1α,25−ジヒドロキシビタミンDブタ腸内核受容体に結合する相対的活性を例示する。図2は、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(本明細書中で“1ARG”とも呼ばれる)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のZ−異性体(本明細書中で“2AGR”とも呼ばれる)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(本明細書中で“1AGS”とも呼ばれる)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のZ−異性体(本明細書中で“2AGS”とも呼ばれる)、及び1α,25−ジヒドロキシビタミンDの、1α,25−ジヒドロキシビタミンDブタ腸内核受容体に結合する相対的活性を例示する。図1及び2は、F−Wit、1AGR、2AGR、1AGS及び2AGSが、全て1α,25−ジヒドロキシビタミンDラット受容体に結合することにおいて非常に活性であることを示す。
【0144】
[00160]本発明の2−プロピリデン−19−ノル化合物は、悪性細胞の分化を促進する高い効力、比較的高い腸内カルシウム運搬活性及びカルシウムを骨から移動する比較的高い能力を有する生物学的活性のパターンを示す。これは、図3ないし6に要約されるF−Wit、1AGR、2AGR、1AGS及び2AGSに対して得られた生物学的アッセイの結果によって例示される。図3は、既知の活性な代謝物1α,25−ジヒドロキシビタミンD、並びに類似体2−メチレン−19−ノル−(20S)−1,25(OH)(本明細書中で“2MD”とも呼ばれる)及びここに特許請求されるF−Wit、1AGR及び1AGS類似体の、培養中のヒト白血病細胞(HL−60細胞)の単核細胞への分化を誘導する活性の比較を示す。分化活性を、NBT還元と略称される標準的な分化アッセイ(ニトロブルーテトラゾリウム還元)によって評価した。アッセイは、例えばDeLuca等の米国特許第4,717,721号及びOstrem等のJ.Biol.Chem.262,14164,1987によって与えられているような既知の手順によって行った。アッセイにおいて、試験化合物の分化活性は、与えられた濃度の試験化合物に反応して、正常細胞に分化されたHL−60細胞のパーセントで表示されている。
【0145】
[00161]図3に要約した結果は、類似体F−Wit、1AGR及び1AGSが、全て白血病細胞の分化を促進することにおいて、1α,25−ジヒドロキシビタミンD及び2MDと同様に強力であることを明白に示す。このように、NBTアッセイにおいて、90%に近い細胞が、1×10−7Mの濃度の1α,25−ヒドロキシビタミンDによって分化を誘導され、そして同程度の分化が1×10−7MのF−Wit、1AGR及び1AGSによって達成されている。
【0146】
[00162]図4は、F−Wit、1AGR及び1AGSが、全て骨細胞における有意な転写活性を有することを例示する。この結果は、図3の細胞分化活性と共に、ここに特許請求される構造Iの2−プロピリデン化合物、そして特にF−Wit、1AGR及び1AGSが、これらが、細胞分化を起こし、そして細胞増殖を抑制することに直接的な細胞活性を有するために、乾癬において非常に有用であるものであることを示唆する。これらのデータは、更にここに特許請求される構造Iの2−プロピリデン化合物、そして特にF−Wit、1AGR及び1AGSが、特に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌及び前立腺癌に対する抗癌剤として有意な活性を有することも示す。
【0147】
[00163]図5及び6は、既知の活性な19−ノル類似体2MD並びにここに特許請求されるF−Wit、1AGR及び1AGS類似体の血漿カルシウム上昇活性の比較を示す。図5は、F−Wit、1AGR及び1AGSが、全て比較的高い腸内カルシウム運搬活性を有し、そして腸内カルシウム運搬活性において2MDより活性であることを示す。更に、図6は、F−Wit、1AGR及び1AGSが、全て骨からカルシウムを移動する有意な能力を有し、そしてこれに関しては2MDより低い活性であることを示す。従って、要約として、構造Iの2−プロピリデン−19−ノル−類似体、そして特にF−Wit、1AGR及び1AGSは、悪性細胞の分化を誘導する高い効力、比較的高い腸内カルシウム運搬活性及び中程度の骨カルシウム移動活性を組合わせた選択的活性の特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】[0019]図1は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、並びに本明細書中で記載され、そして特許請求される2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(F−Wit)の1α,25−ジヒドロキシビタミンDブタ腸内核受容体に結合する相対的活性を例示するグラフである。
【図2】[0020]図2は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、並びに本明細書中で記載され、そして特許請求される2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(1ARG)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(1AGS)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のZ−異性体(2AGR)、及び2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のZ−異性体(2AGS)の相対的活性を例示するグラフである。
【図3】[0021]図3は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD、(20S)−2−メチレン−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(2MD)、並びに本明細書中で記載され、そして特許請求される2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(F−Wit)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(1ARG)、及び2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(1AGS)の濃度の関数としてのHL−60細胞の分化のパーセントを例示するグラフである。
【図4】[0022]図4は、1α,25−ジヒドロキシビタミン、(20S)−2−メチレン−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(2MD)、並びに本明細書中で記載され、そして特許請求される2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(F−Wit)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(1ARG)、及び2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(1AGS)の濃度の関数としての転写活性を例示するグラフである。
【図5】[0023]図5は、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(F−Wit)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(1ARG)、及び2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(1AGS)の腸内カルシウム運搬活性を、各種の投与量で対照(ベヒクル)及び(20S)−2−メチレン−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(2MD)と比較して例示する棒グラフである。
【図6】[0024]図6は、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)(F−Wit)、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)のE−異性体(1ARG)、及び2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)のE−異性体(1AGS)の骨カルシウム移動活性を、各種の投与量で対照(ベヒクル)及び(20S)−2−メチレン−19−ノル−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(2MD)と比較して例示する棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化2】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置(geometry)を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化3】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物。
【請求項2】
Rが、以下の式:
【化4】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、以下の式:
【化5】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rが、以下の式:
【化6】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Rが、以下の式:
【化7】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rが、以下の式:
【化8】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Rが、以下の式:
【化9】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Rが、以下の式:
【化10】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Rが、以下の式:
【化11】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Rが、以下の式:
【化12】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Rが、以下の式:
【化13】

の側鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
以下の式:
【化14】

を有する2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)
【請求項13】
以下の式:
【化15】

を有する2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)。
【請求項14】
以下の式:
【化16】

を有する2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)。
【請求項15】
以下の式:
【化17】

を有する2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)。
【請求項16】
以下の式:
【化18】

を有する2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)。
【請求項17】
有効な量の少なくとも一つの請求項1に記載の化合物を、医薬的に受容可能な賦形剤といっしょに含有する医薬組成物。
【請求項18】
前記有効な量が、組成物のグラム当り約0.01μgないし約100μgを含んでなる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記有効な量が、組成物のグラム当り約0.1μgないし約50μgを含んでなる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)を、約0.01μgないし約100μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)を、約0.1μgないし約50μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)を、約0.01μgないし約100μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)を、約0.1μgないし約50μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項24】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)を、約0.01μgないし約100μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項25】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)を、約0.1μgないし約50μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項26】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)を、約0.01μgないし約100μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項27】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)を、約0.1μgないし約50μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項28】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)を、約0.01μgないし約100μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項29】
2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)を、約0.1μgないし約50μgの量で含有する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項30】
以下の式:
【化19】

[式中、同一又は別個であることができるY、Y、Y及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項31】
以下の式:
【化20】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項32】
以下の式:
【化21】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項33】
以下の式:
【化22】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項34】
以下の式:
【化23】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項35】
以下の式:
【化24】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、そして式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができる]
を有する化合物。
【請求項36】
骨質量を維持又は増加することが好ましい代謝性骨疾患を、有効な量の以下の式:
【化25】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化26】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化27】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を、前記疾患を持つ患者に投与することを含んでなる治療方法。
【請求項37】
前記疾患が、老人性骨粗鬆症である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が、閉経期後骨粗鬆症である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患が、ステロイド誘導性骨粗鬆症である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患が、低骨代謝回転性骨粗鬆症である、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患が、骨軟化症である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記疾患が、腎性骨形成異常症である、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が、一日当り0.01μgないし100μgの投与量で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
乾癬を持つ患者に、有効な量の以下の式:
【化28】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化29】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化30】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を投与することを含んでなる、乾癬を治療する方法。
【請求項53】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記化合物が、局所的に投与される、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記有効な量が、約0.01μg/日ないし約100μg/日の前記化合物を含んでなる、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
患者に、有効な量の以下の式:
【化31】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化32】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化33】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を投与することを含んでなる、白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌又は前立腺癌を治療する方法。
【請求項64】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が、約0.01μg/日ないし約100μg/日の投与量で投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項63に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項63に記載の方法。
【請求項72】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項63に記載の方法。
【請求項73】
骨の強度を増加する、有効な量の以下の式:
【化34】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化35】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化36】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を、このような治療を必要とする患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項74】
前記骨強度が、皮質強度である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記骨強度が、小柱強度である、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記化合物が、一日当り0.01μgないし100μgの投与量で投与される、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
自己免疫性疾患を治療する、有効な量の以下の式:
【化37】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化38】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化39】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を、前記疾患を持つ患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項86】
前記疾患が、多発性硬化症である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記疾患が、糖尿病である、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記疾患が、狼瘡である、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項92】
前記化合物が、0.01μg/日ないし100μg/日の投与量で投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項93】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項85に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項85に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項85に記載の方法。
【請求項96】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項85に記載の方法。
【請求項97】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項85に記載の方法。
【請求項98】
炎症性腸疾患を治療する、有効な量の以下の式:
【化40】

[式中、同一又は別個であることができるY及びYは、水素及びヒドロキシ保護基からなる群からそれぞれ選択され、式中、Xは、アルキル、水素、ヒドロキシ保護基、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、及びアリールオキシアルキルであることができ、そして式中、R基は、以下の式:
【化41】

の構造によって表され、式中、炭素20における立体化学中心は、RまたはS配置を有することができ、そして式中、Zは、Y、−OY、−CHOY、−C≡CY及び−CH=CHYから選択され、ここで二重結合はシス又はトランス幾何配置を有することができ、そしてここでYは、水素、メチル、−COR及び以下の式:
【化42】

の構造のラジカルから選択され、式中、m及びnは、独立に、0ないし5の整数を表し、式中、Rは、水素、ジューテリウム、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、それぞれのR、R、及びRは、独立に、ジューテリウム、ジューテロアルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチル及び直鎖又は分枝鎖であることができ、そして所望により、ヒドロキシ又は保護されたヒドロキシ置換基を保有するC1−5−アルキルから選択され、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はアルキリデン基、=CR、或いはpが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、R及びRは、いっしょに選択され、オキソ基、又はqが2ないし5の整数である−(CH−基を表し、そして式中、Rは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、又はC1−5アルキルを表し、そしてここにおいて、側鎖中の20、22、又は23位におけるCH−基のいずれもは、窒素原子によって置換されることができ、或いはそれぞれ、20、22、及び23位における−CH(CH)−、−(CH−、−(CH−又は−(CR)−基のいずれもは、酸素又は硫黄原子によって置換されていることができる]
を有する化合物を、前記疾患を持つ患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項99】
前記疾患が、クローン病である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記化合物が、経口的に投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
前記化合物が、非経口的に投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
前記化合物が、経皮的に投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項104】
前記化合物が、0.01μg/日ないし100μg/日の投与量で投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項105】
前記化合物が、2−[(3’−メトキシメトキシ)プロピリデン]−19−ノル−1α,25−(OH)である、請求項98に記載の方法。
【請求項106】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項98に記載の方法。
【請求項107】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項98に記載の方法。
【請求項108】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(E−異性体)である、請求項98に記載の方法。
【請求項109】
前記化合物が、2−(3’−ヒドロキシプロピリデン)−19−ノル−(20S)−1α,25−(OH)(Z−異性体)である、請求項98に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−523239(P2006−523239A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509883(P2006−509883)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/011059
【国際公開番号】WO2004/092118
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(591057706)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (26)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】