説明

2つの組成物を塗付することを含む睫毛のメイクアップ方法

本発明の主題は、化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、および組成物が40℃以上の温度にされた時に、前記組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む第2組成物を、ケラチン繊維に塗付することを含み、前記第2組成物が、それを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、40℃以上の温度にされる、ケラチン繊維のメイクアップのための、または非治療的ケアのための化粧方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ケラチン繊維に、第1化粧品組成物および第2化粧品組成物を塗付することを含む、ケラチン繊維(例えば、睫毛、眉毛または毛髪)のメイクアップのための、または非治療的ケアのための化粧方法である。
【0002】
本発明の別の主題は、前記組成物を塗付することによって形成されるメイクアップフィルムを除去するための方法である。
【0003】
本発明による方法において用いられる組成物は、特に、睫毛またはマスカラ用の製品の形で提供される。
【0004】
用語「マスカラ」は、ケラチン繊維に塗付することを意図した組成物を意味すると理解されている。それは、ケラチン繊維をメイクアップするための組成物、ケラチン繊維をメイクアップするためのベースすなわちベースコート、マスカラに塗付するための組成物(トップコートとも呼ばれる)、または別のものとして、ケラチン繊維の化粧処置のための組成物であり得る。より詳細には、マスカラは、ヒトのケラチン繊維を対象とするが、付け睫毛も対象とする。
【背景技術】
【0005】
先行技術は、睫毛を伸長させる効果を得るために、繊維を含むマスカラ組成物を記載する。これらの繊維は、それらが十分に硬く、目に見える時に、またそれらが睫毛の毛先に存在する時に、睫毛に僅かな量の物理的長さを追加できる。しかし、このようなマスカラにより得られる物理的伸長の増分は、睫毛の毛先で繊維を積み重ねるように繊維を配向させることが困難であるため、大きくはない。さらに、繊維の存在は、睫毛へのマスカラの接着を低下させ得るので、メイクアップに要する時間を長くする。
【0006】
文献EP 1 430 868に記載の別の技術的手段は、ケラチン繊維に塗付された時、熱源を用いることなく、ブラシを用いて引き伸ばした後、睫毛の延長として糸を生成できる、雰囲気温度で「糸引き」性(threading nature)を示すマスカラの使用である。
【0007】
しかし、これらのマスカラが雰囲気温度で糸を生成できることは、それらの使用を容易にしない。特に、それを塗付するために引き出す時、このマスカラは、それを入れた容器とアプリケータの間、または睫毛とアプリケータの間で糸を生成し得る。
【0008】
さらに、睫毛に生成される糸の長さの調節は、糸が自然には切れないので、問題がある。加えて、睫毛の延長として一直線上にそろった状態のままであり、また糸は長続きする伸長効果を可能にするのに十分な剛性(stiffness)をまれにしか示さない。
【0009】
本発明者等は、熱源の作用の下で、特定の糸引き性を示す組成物を用いることによって、前記の特性を得ることができることを見出した。この組成物は、睫毛の伸長を生じるように、睫毛に塗付した後、熱源と組み合わせて、睫毛の延長として糸を得ることを可能にする。
【0010】
しかし、これらの組成物によって形成されるフィルムは、従来の製品より、取り除くのが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP 1 430 868
【特許文献2】出願FR-A-2 792 190
【特許文献3】EP 1 411 069
【特許文献4】WO 04/028488
【特許文献5】WO 04/028493
【特許文献6】EP-A-847 752
【特許文献7】出願FR-A-2 232 303
【特許文献8】米国特許第5162410号
【特許文献9】WO 2004/073626
【特許文献10】WO 04/055081
【特許文献11】米国特許第6589331号
【特許文献12】WO 06/037900
【特許文献13】米国特許第4887622号
【特許文献14】特許FR 2 796 529
【特許文献15】特許FR 2 761 959
【特許文献16】米国特許第6009884号
【特許文献17】米国特許第5853010号
【特許文献18】米国特許第6220252号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ISO 11357-3;1999
【非特許文献2】「Handbook of Pressure Sensitive Adhesives」(Donatas Satas編、第3版、1989年)、609〜619頁
【非特許文献3】「Polymer Handbook」(第3版、1989年、John Wiley)
【非特許文献4】J. Soc. Cosm. Chem.、1954年(5巻)、249〜256頁
【非特許文献5】「Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」(第3版、1979年、Wiley)、22巻、333〜432頁
【非特許文献6】ISO 1065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特に熱の作用の下での良好な睫毛の伸長効果、および経時的に良好な保持を示す、睫毛に付着した層を得ることを可能にし、この付着した層が除去し易い、ケラチン繊維のコーティング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、前記の特性を、化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、および熱源の作用の下で特定の糸引き性を示す第2組成物を用いることによって得ることができることを見出した。
【0015】
より詳細には、本発明の主題は、ケラチン繊維に、
-化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、および
-組成物が40℃以上の温度にされた時に、該組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む第2組成物、
を塗付することを含み、該第2組成物が、それを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、40℃以上の温度にされる、
ケラチン繊維のメイクアップのための、または非治療的ケアのための化粧方法である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1に描かれたキット1は、マスカラパッケージおよび塗付するための組合せ100、ならびに該パッケージおよび塗付するための組合せとは別個の加熱デバイス50を含む。
【図2】図2の実施形態においては、アプリケータ12は、金属シリンダーからなり、その周囲の少なくとも一部は、その長手軸に直交する溝が付けられている。溝付きシリンダーは、特に接着剤による接合によって、棒13の末端に接着されている。加熱抵抗53は、アプリケータ12の実質的に全長に渡って延びており、溝付きの部分の丁度反対の位置に配置されている。加熱抵抗53は、シリンダーの表面に長手方向に切られた溝に配置され得る。
【発明を実施するための形態】
【0017】
糸引き性は、一旦熱源の下に置かれると、ケラチン繊維上で、アプリケータを用いて引き伸ばした後、十分に安定であり、それらの形状を保持する糸を生成する、組成物の能力を表す。組成物を40℃以上の温度にするための熱の使用は、睫毛の延長として形成される糸の長さを調節することを可能にする。
【0018】
特に、軟化した組成物を塗付し、糸を引き伸ばした後、糸は、それぞれの睫毛の延長として雰囲気温度で固化し、注目すべき伸長効果を得ることを可能にする。
【0019】
堅い耐熱性粒子を含む第1組成物を、第2組成物の前に、塗付することにより、第2組成物が熱源の下に置かれる時に熱に耐える第1フィルムを、睫毛に形成することが可能になる。第2組成物によってベースフィルムの上に形成される第2フィルムより密着の劣る第1フィルム(ベースフィルム)が、睫毛上に得られ、これは、睫毛上で一体化した付着層の除去を容易にする。
【0020】
第2組成物は、特に、加熱器具(例えば加熱ブラシ)と一緒に使用され、この加熱器具は、組成物による睫毛のコーティングの前、間もしくは後で睫毛に適用され得る、または暖かい条件下に組成物を塗付することを可能にするデバイスにパッケージ化され得る。
【0021】
第2組成物は、ケラチン繊維、特に睫毛の、全体の上にまたは上側毛先の上に塗付し得る。一実施形態によれば、第2組成物は、上睫毛の毛先の上に塗付される。第1組成物は、好ましくは、睫毛の全体の上に塗付される。
【0022】
第1および第2組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち、無毒で、ケラチン繊維(例えば、ヒトの睫毛、眉毛および毛髪)に塗付することができる媒体、特に目の部分に適合した媒体を含む。
【0023】
第1組成物は、着色している(すなわち、少なくとも1種の下で定められる着色材料を含む)、または無色であり得る。
【0024】
一実施形態によれば、睫毛の毛先に着色した糸を生成するように、第2化粧品組成物は着色している。
【0025】
別の実施形態によれば、本発明による方法は、以下から成る:
-無色の化粧品組成物をケラチン繊維に塗付する段階(この組成物は、組成物が40℃以上の温度にされた時、この組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む)、
-睫毛の毛先に無色の糸を生成させるために、前記組成物を、それを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、40℃以上の温度にする段階、
-次いで、糸を冷ました後、糸を着色するために、1種または複数の着色材料を含む第3組成物により、ケラチン繊維およびそれらの延長として固定された無色の糸をメイクアップする段階。
【0026】
特に、組成物が40℃以上の温度にされた時に、該組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む第2組成物は、上睫毛の毛先の上に塗付される。
【0027】
こうして、この実施形態によれば、睫毛上にまたは睫毛の毛先に形成された無色の糸(睫毛の延長)を、第3着色組成物の付着層によりメイクアップすること、次いで、睫毛の毛先に形成された糸を、例えば色の異なる別の組成物により、後で再びメイクアップすることができるように、睫毛と延長物との結合体を除去することなく、第3組成物の該付着層だけを除去することが可能である。
【0028】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維、特に睫毛または眉毛の、メイクアップおよび/またはケアのためのキットであり、このキットは、
-化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、
-ケラチン繊維のメイクアップおよび/またはケアのための第2組成物であって、組成物が40℃以上の温度にされた時に、該組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む組成物、および
-前記のメイクアップおよび/またはケア組成物を塗付するためのデバイス;ならびに/あるいは、前記第2組成物を、それを塗付する前に、塗付すると同時に、または塗付した後で、40℃以上の温度にするための加熱手段、
を含む。
【0029】
第2組成物は、それを第1組成物の第1層に塗付する前に、塗付すると同時に、または塗付した後で、特に、加熱手段、例えば加熱ブラシを備える塗付用デバイスを用いて、40℃以上の温度にされ得る。
【0030】
I)第1組成物
一実施形態によれば、第1組成物は、a)オイル、b)睫毛の毛先に無色の糸を生成するために第2組成物が上げられる温度より少なくとも3℃、好ましくは少なくとも5℃高い、1次相転移温度、特に融点、および/またはガラス転移温度を示す化合物、ならびにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の化合物(「第1化合物」と呼ばれる)を含む。
【0031】
したがって、前記温度は、例えば、45℃以上、さらに良好には50℃以上、さらに一層良好には60℃以上であり得る。
【0032】
第1化合物は、第1組成物の全重量に対して、0.1から70重量%、好ましくは0.5から60重量%、さらに良好には1から50重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0033】
好ましくは、第1化合物は、第1組成物の全重量に対して、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに良好には20重量%以上、さらに一層良好には25重量%以上の含量で存在する。
【0034】
a)オイル
用語「オイル」は、雰囲気温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である非水性脂肪物質を意味すると理解されている。
【0035】
オイルは、揮発性オイルおよび/または非揮発性オイル、ならびにこれらの混合物から選択され得る。それは、本明細書において後に記載される、炭化水素オイル、シリコーンオイル、フッ素化オイルまたはそれらの組合せから選択され得る。
【0036】
1種または複数のオイルは、第1組成物の全重量に対して、0.1から70重量%、好ましくは1から40重量%、さらに良好には5から20重量%の範囲の含量で第1組成物中に存在し得る。
【0037】
好ましくは、オイルは非揮発性である。
【0038】
一実施形態によれば、オイルは、エステルオイルから、特に、モノカルボン酸とモノアルコールおよびポリアルコールとのエステルから選択される。
【0039】
有利には、前記エステルは次の式(IV)に対応する。
R1-CO-O-R2 (IV)
ここで、R1は、1から40個の炭素原子、好ましくは7から19個の炭素原子の線状または分岐状アルキル基を表し、これは、1つまたは複数のエチレン性二重結合を任意選択で含み、また任意選択で置換されており、
R2は、1から40個の炭素原子、好ましくは3から30個の炭素原子、さらに良好には3から20個の炭素原子の線状または分岐状アルキル基を表し、これは、1つまたは複数のエチレン性二重結合を任意選択で含み、また任意選択で置換されている。
【0040】
用語「任意選択で置換されている」は、R1および/またはR2が、例えば、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む基、例えば、アミノ、アミン、アルコキシまたはヒドロキシルから選択される1つまたは複数の置換基を有し得ることを意味すると理解されている。
【0041】
好ましくは、R1+R2の炭素原子の総数は、≧9である。
【0042】
R1は、線状または好ましくは分岐状であり、1から40個、さらに良好には3から19個の炭素原子を含む脂肪酸、好ましくは高級脂肪酸の残基を表し、R2は、1から40個の炭素原子、好ましくは3から30個の炭素原子、さらに良好には3から20個の炭素原子を含む線状または好ましくは分岐状の炭化水素鎖を表し得る。やはり、好ましくは、R1+R2の炭素原子の総数は、≧9である。
【0043】
R1基の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、エルカ酸およびネオペンタン酸ならびにこれらの混合物から成る群から選択される脂肪酸に由来するものである。
【0044】
エステルの例は、例えば、ピュアセリンオイル(オクタン酸セテアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、およびアルコールもしくはポリアルコール、例えば脂肪アルコールのヘプタノアート、オクタノアート、デカノアートもしくはリシノレアートである。
【0045】
特に、前記オイルはネオペンタン酸オクチルドデシルである。
【0046】
b)第2組成物が上げられる温度より少なくとも3℃高い、1次相転移温度を示す化合物
第1化合物の1次相転移温度は、2000℃までの範囲であり得る。
【0047】
好ましくは、第1化合物は、25℃で固体である粒子状で供給される。
【0048】
40℃を超える、1次転移温度、特に融点、またはガラス転移温度を示す化合物は、特に、ワックス、フィラー、金属酸化物、金属粒子およびこれらの混合物から選択され得る。
【0049】
本発明に関連して考慮されるワックスは、通常、雰囲気温度(25℃)で固体である親油性化合物であり、この化合物は、変形させることができる、もしくはできず、固体/液体の可逆的状態変化を示し、また30℃以上の融点を有する(融点は、100℃まで、特に90℃までの範囲にあり得る)。
【0050】
ワックスを液体状態にもって行く(融解)と、それをオイルと混和させ、微視的に均質な混合物を生成することが可能であるが、混合物の温度を雰囲気温度に戻すと、混合物のオイル中でのワックスの再結晶化が起こる。
【0051】
特に、本発明に適するワックスは、45℃以上、さらに良好には50℃以上、さらに一層良好には60℃以上の融点を示し得る。
【0052】
本発明の趣旨の範囲内で、融点は、標準ISO 11357-3;1999に記載されるように、熱分析(DSC)によって観察される最大の吸熱ピークの温度に対応する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instrumentsによって「MDSC 2920」の名称で販売されている熱量計を用いて測定できる。
【0053】
測定プロトコルは次の通りである。
ルツボに入れた5mgのワックス試料を、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の温度で、最初の昇温を行い、次いで、10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃まで冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の温度で、2回目の昇温を行う。2回目の昇温の間に、空のルツボおよびワックス試料を含むルツボによって吸収される電力の差の変化を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として、吸収された電力の差の変化を表す曲線の、ピークの先端に対応する温度の値である。
【0054】
本発明による組成物に使用できるワックスは、雰囲気温度で固体である、動物、植物、ミネラルまたは合成由来のワックス、およびこれらの混合物から選択される。
【0055】
本発明による組成物に使用できるワックスは、通常、0.01MPaから15MPaの範囲で、特に、0.05MPaを超え、特に0.1MPaを超える硬度を示す。
【0056】
硬度は、RheoによってTA-XT2の名称で販売されているテクスチャアナライザ(0.1mm/sの測定速度で押し込まれ、0.3mmの進入深さまでワックスに進入する、直径2mmのステンレス鋼シリンダーを装備している)を用い、20℃で測定される圧縮力の測定によって求められる。
【0057】
測定プロトコルは次の通りである。
ワックスの融点+10℃に等しい温度で、ワックスを溶融させる。溶融したワックスを、直径25mm、深さ20mmの容器に投入する。ワックスの表面が平坦で滑らかであるように、ワックスを、雰囲気温度(25℃)で24時間、再結晶させ、次いで、ワックスを、20℃で少なくとも1時間保管し、その後で硬度またはタックを測定する。
【0058】
テクスチャアナライザのスピンドルを、0.1mm/sの速度で押し込み、次いで、0.3mmの進入深さまで進入させる。スピンドルが0.3mmの深さまでワックスに進入した時、スピンドルを1秒間(緩和時間に相当する)静止したまま保ち、次に、0.5mm/sの速度で引き抜く。
【0059】
硬度の値は、測定された最大圧縮力を、ワックスに接触する、テクスチャアナライザのシリンダーの表面積で割ったものである。
【0060】
本発明に適するワックスの例示として、特に、炭化水素ワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックスおよびイボタ蝋(Chinese insect wax);米糠ワックス、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、エスパルトワックス、ベリー(berry)ワックス、シェラックワックス、木蝋(Japan wax)およびハゼ蝋(sumac wax);モンタンワックス、オレンジおよびレモンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスおよびオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ合成によって得られるワックス、およびワックス状コポリマー、ならびにそれらのエステル、線状もしくは分岐状C8〜C32脂肪鎖を有する動物もしくは植物オイルの接触水素化によって得られるワックス、例えば、異性化ホホバオイル、水素添加ヒマワリ油、水素添加ヒマシ油、水素添加ココナッツオイル、水素添加ラノリン油、およびジ(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアラート(Hest 2T-4S(登録商標)の名称でHetereneから販売されている)を挙げることができる。
【0061】
シリコーンワックスまたはフッ素化ワックスもまた挙げることができる。
【0062】
セチルアルコールによりエステル化されたヒマシ油の水素化によって得られるワックス(これは、SophimによってPhytowax Castor 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)の名称で販売されている)もまた用いることができる。このようなワックスは、出願FR-A-2 792 190に記載されている。Desert WhaleによってIso-Jojoba-50(登録商標)の商用名で製造または販売されている、部分水素添加トランス異性化ホホバオイルもまた用いることができる。
【0063】
「タッキーワックス(tacky wax)」と呼ばれるワックス、すなわち、0.1N.s以上のタック、および3.5MPa以下の硬度を有するワックスが使用され得る。
【0064】
タッキーワックスとして、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアラート(このアルキル基は、20から40個の炭素原子を含む)を、単独で、または混合物として用いることができる。
【0065】
このようなワックスは、特に、Koster Keunenによって、「Kester Wax K 82 P(登録商標)」、「Hydroxypolyester K 82 P(登録商標)」および「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
【0066】
体積平均「有効」直径D[4,3]として表して、0.5から30マイクロメートル、特に1から20マイクロメートル、より特別には、5から10マイクロメートルの程度の大きさを有する、小さな粒子状で供給されるワックス(以後、「マイクロワックス」という表現によって指示される)もまた用いることができる。
【0067】
粒子の大きさは、様々な技法によって測定できる。特に、光散乱法(動的および静的)、コールター計数装置(Coulter counter)法、沈降速度による測定(ストークスの法則を通じて大きさに関連する)および顕微鏡を挙げることができる。これらの技法により、粒子の直径、およびそれらのいくつかでは、粒径分布を測定することが可能である。
【0068】
本発明による組成物に使用され得るマイクロワックスとして、特に、カルナウバマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicroCare 350(登録商標)の名称で販売されているもの、合成ワックスのマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicroEase 114S(登録商標)の名称で販売されているもの、カルナウバワックスとポリエチレンワックスとの混合物から成るマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicroCare 300(登録商標)および310(登録商標)の名称で販売されているもの、カルナウバワックスと合成ワックスとの混合物から成るマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicroCare 325(登録商標)の名称で販売されているもの、ポリエチレンマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)および250S(登録商標)の名称で販売されているもの、ならびに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロワックス、例えば、Micro PowdersによってMicroslip 519(登録商標)および519 L(登録商標)の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0069】
好ましくは、第1化合物は、60℃以上、好ましくは70℃以上の融点を示すワックス、例えば、カルナウバワックス、特定のマイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、米糠ワックス、シェラックワックスおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1種のワックスを含む。
【0070】
ワックスは、第1組成物の全重量に対して、0.1から50重量%、好ましくは1から40重量%、さらに良好には4から20重量%を占め得る。
【0071】
フィラーは、当業者によく知られており、化粧品組成物に広く用いられるものから選択され得る。
【0072】
フィラーは、無機または有機で、成層状(lamellar)または球状であり得る。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(例えばNylon(登録商標))から成る粉末(AtochemによってOrgasol(登録商標)の名称で販売されている)、ポリ-β-アラニンおよびポリエチレンから成る粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(例えば、Teflon(登録商標))から成る粉末、デンプン、窒化ホウ素、膨張した中空ポリマーマイクロスフィア、例えば、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリルのもの、例えば、Nobel IndustrieによってExpancel(登録商標)の名称で販売されているもの、アクリル粉末、例えば、Dow CorningによってPolytrap(登録商標)の名称で販売されているもの、ポリメチルメタクリラートから成る粒子、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、ToshibaによるTospearls(登録商標))、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフィア(MaprecosによるSilica Beads(登録商標))、ガラスもしくはセラミックのマイクロカプセル、8から22個の炭素原子、特に12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛もしくはミリスチン酸マグネシウム、熱膨張性粒子、例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル/メチルメタクリラートコポリマーまたはアクリリニトリルのコポリマーもしくはホモポリマーから成る膨張していないマイクロスフィア、例えば、それぞれAkzo NobelによってExpancel(登録商標)820 DU 40およびExpancel(登録商標)007WUの参照名で販売されているもの、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0073】
一実施形態によれば、第1化合物は、テトラフルオロエチレンポリマーから成る粉末から選択される少なくとも1種のフィラーを含む。
【0074】
フィラーは、第1組成物の全重量に対して、0.1から70重量%、特に、1から60重量%、さらに言えば、5から20重量%を占め得る。
【0075】
金属粒子および金属酸化物は、アルミニウム、酸化鉄もしくは酸化チタンの粒子から選択でき、これらは、コーティングされていることも、されていないこともある。このような粒子は着色材料として後に言及される。
【0076】
好ましくは、第1組成物は、後に定義される、「第2組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与することができる化合物」を含まない、あるいは、それを、第1組成物の重量に対して、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、さらに良好には0.2重量%以下の含量で含む。
【0077】
II)第2組成物
1)糸引き性の測定
第2組成物の糸引き性は、温度制御されるスピンドルを装備した、テクスチャアナライザ(RheoによってTA-XT2iの名称で販売されている)を用いて求められ、このスピンドルは、Firerod DIV-STL(Watlow、フランス)として参照される、ステンレス鋼製の加熱カートリッジであり、直径は3.17mm、長さは60mmであり、24Vの電圧の下で40Wの最大電力を有し、K loc Cタイプの熱電対を有する。
【0078】
加熱カートリッジは、Elka-Electroniqueによる5V/0.5A LKS 005-5V直流電源によって電力供給される。その温度は、Faucigny Instrument(フランス)によるPID TC48コントローラによって調節される。テクスチャアナライザの測定アームに、温度制御スピンドルを取り付けるために、アタッチメント延長部品が新たに作られた。
【0079】
測定は、組成物試料と接触するまでスピンドルを垂直に移動させ、次いで、接触状態での待ち時間の後、スピンドルを垂直に上に移動させることよって得られる、組成物の糸で実施される。組成物が高温での糸引き性を有する場合、糸は、引き上げ段階のスピンドルと組成物試料との間に形成され、この糸は、周囲の空気中の冷却作用で、より丈夫になる。dmaxの測定は、スピンドル表面から引き離された後の、こうして形成された糸の長さの測定から成る。
【0080】
プロトコルは次の通りである。
a)組成物試料は、深さ2mmで直径20mmのステンレス鋼製のパンを、その最大量まで充填し、表面を平らにするように過剰の組成物を除くことによって準備する。
b)スピンドルの温度は、40℃に制御する。
c)スピンドルは、組成物の表面に接触するまで、10mm/sの速度で下降する。
d)スピンドルを、10s間静止状態に保ち、次いで、10mm/sの速度で再び上昇させる。
【0081】
スピンドルの引き上げ段階の間に、糸が、組成物とスピンドルの間に形成される。スピンドルが組成物の表面から遠ざかるにつれ、生成した糸は冷却され、より丈夫になる。いくらかの伸長により、糸はスピンドルから引き離される。
【0082】
糸引き性またはdmax(mmで表される)は、目盛り付き物差しにより測定される、分離後に得られる糸の長さに相当する。
【0083】
糸引き性の測定は、同じ組成物について、パンの異なる箇所で、3回繰り返し、dmax「糸引き」平均を各組成物について計算する。
【0084】
段階b)からd)は、同じ組成物について、それぞれ、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃および140℃の段階b)における一定のスピンドル温度で、繰り返す。
【0085】
様々な温度で得ることができる糸引き値の中で、最も大きな値が、dmax糸引き性の値として留められる。
【0086】
本発明による方法において用いられる第2組成物は、100mmまでの範囲に渡り得る5mm以上のdmax糸引き性、好ましくは7mm以上、さらに良好には10mm以上、さらに一層良好には15mm以上のdmax糸引き性を示す。
【0087】
好ましくは、第2組成物は、上に示されたプロトコルによる糸の形成およびdmaxの測定の後、組成物を含むパンが少なくとも30秒間、立てて置かれた(その結果、糸は水平の位置にある、すなわち、重力を受ける)場合、糸が5mmの最小長さ(目盛り付き物差しで、手で測定できる)を保持するような糸を生成することができる。
【0088】
本発明による、このような糸引き性を示す第2組成物により、ケラチン繊維に塗付した時に、睫毛の延長として、組成物の糸を得ることが可能になる。この糸はその形状を保持し、硬い状態のままであり、縮まないので、睫毛に伸長効果をもたせることが可能である。
【0089】
本発明による方法において用いられる第2組成物は、40℃以上、好ましくは45℃以上、さらに良好には50℃以上、さらに一層良好には60℃以上の温度に加熱される。
【0090】
前記温度は、150℃まで、好ましくは120℃まで、さらに良好には100℃まで、さらに一層良好には95℃までの範囲であり得る。
【0091】
好ましくは、第2組成物は、上に示されたように測定して、それがdmax糸引き性を示す温度に(すなわち、糸引き性が最大である温度に)される。
【0092】
2)第2組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与できる化合物
組成物は、組成物が40℃以上の温度に加熱された時に、前記組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物、または化合物の混合物(この混合物は、前記組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与するようなものである)を有利には含む。
【0093】
この化合物は、炭化水素またはシリコーン化合物であり得る、また有利には熱可塑性挙動を示す。
【0094】
この化合物は、好ましくは、雰囲気温度で固体である。有利には、それは、40℃以上の温度にされた時に、5mm以上のdmax糸引き性を示す、すなわち、それは、40℃以上の(例えば、40から150℃の範囲の)、好ましくは45℃以上の(例えば、45から120℃の範囲の)、さらに良好には50℃以上の(例えば、50から100℃の範囲の)、さらに一層良好には60℃以上の温度で前記の糸を生成することが可能である。
【0095】
この化合物は、好ましくはポリマーであり、有利には、以下から選択される。
A/少なくとも1種のアルケンモノマーを含むポリマーおよびコポリマー、特に、エチレン性コポリマー。
このような化合物は次のものから選択される。
-アルケンと酢酸ビニルのコポリマー、特に、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー。特に、ポリマーの全重量に対して25重量%を超える酢酸ビニルを、例えば、25から50重量%、さらに良好には25から35重量%、例えば、28重量%程度の酢酸ビニルを、好ましくは含む、エチレンと酢酸ビニルのコポリマーが用いられる。
エチレン/酢酸ビニルのコポリマーの例として、Du Pont de NemoursによってElvaxの名称で販売されているもの、特に、化合物Elvax 40W、Elvax 140W、Elvax 200W、Elvax 205W、Elvax 210WおよびElvax 310が挙げられる。
ArkemaによってEvataneの名称で販売されている製品、例えば、Evatane 28-800もまた挙げることができる。Tosoh Polymerによって供給される、Melthene-H Grade H-6410Mもまた挙げることができる。
-エチレンとオクテンのコポリマー、例えば、Dow Plasticsによって「Affinity」の参照名で販売されている製品、例えば、Affinity GA 1900およびGA 1950。
【0096】
これらのポリマーおよびコポリマーは、単独で、または、「粘着付与」樹脂(例えば、「Handbook of Pressure Sensitive Adhesives」(Donatas Satas編、第3版、1989年)、609〜619頁に記載されているもの)、ワックス(例えば、後に記載されるもの)、およびこれらの組合せから選択される少なくとも1種の化合物との混合物として使用され得る。粘着付与樹脂は、特に、ロジン、ロジン誘導体、炭化水素樹脂、およびこれらの混合物から選択され得る。特に、インデン炭化水素樹脂、例えば、大部分を占めるインデンモノマーと、スチレン、メチルインデン、メチルスチレンおよびこれらの混合物から選択される僅かな比率のモノマーとの重合により得られる樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、任意選択で水素化されていてもよい。それらは、290から1150の範囲の分子量を示し得る。インデン樹脂の例として、特に、Eastman Chemicalから「Regalite」の名称で販売されている、インデン/メチルスチレン/スチレン水素添加コポリマー、特に、Regalite R 1100、Regalite R 1090、Regalite R-7100、Regalite R1010炭化水素樹脂およびRegalite R1125炭化水素樹脂を挙げることができる。
【0097】
エチレン/酢酸ビニルコポリマー系混合物として、例えば、National StarchによってCoolbindの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0098】
これらのポリマーは、それらの純粋な状態で供給され得る、あるいは、水性相または有機溶媒相として輸送され得る。
【0099】
B/ポリ酢酸ビニルホモポリマー、好ましくは、20 000未満の分子量を示す、例えば、VinavilによるRaviflex BL1S。
【0100】
C/シリコーン樹脂
これらの樹脂は架橋されたオルガノシロキサンポリマーである。
【0101】
シリコーン樹脂の命名法は、「MDTQ」の「名称」で知られており、樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマー単位により記述され、「MDTQ」の各々の文字は単位のタイプを特徴付ける。
【0102】
文字Mは、式(CH3)3SiO1/2の単官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマーの1個の酸素原子に結び付いている。
【0103】
文字Dは、(CH3)2SiO2/2の2官能性単位を表し、この単位では、ケイ素原子は2個の酸素原子に結び付いている。文字Tは、式(CH3)SiO3/2の3官能性単位を表す。
【0104】
上で定義されたM、DおよびTの単位において、少なくとも1つのメチル基が、メチル基と異なる基R、例えば、2から10個に炭素原子を有する炭化水素(特にアルキル)基もしくはフェニル基、または代わりにヒドロキシル基によって置き換えられていてもよい。
【0105】
最後に、文字Qは、4官能性単位SiO4/2を表し、この単位では、ケイ素原子は4個の酸素原子(これら自体は、ポリマーの残りの部分に結合している)に結び付いている。
【0106】
特に、T樹脂を、特に、官能化されたTシリコーン樹脂、例えば、特にシラノール(Si-OH)基によって官能化されたポリフェニルシロキサン、例えば、Dow Corning(R) Z-1806の参照名で販売されているものを挙げることができる。
【0107】
D/フィルム形成性ブロックエチレン性ポリマー
これらのポリマーは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する、少なくとも1つの第1ブロックおよび少なくとも1つの第2ブロックを好ましくは含み、この第1および第2ブロックは、第1ブロックの少なくとも1種の構成モノマーと、第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーとを含む中間ブロックを通じて互いに結び付いている。
【0108】
有利には、ブロックポリマーの第1および第2ブロックは、互いに非相溶である。
【0109】
このようなポリマーは、例えば、文献EP 1 411 069またはWO 04/028488もしくはWO 04/028493に記載されている。用語「ブロック」ポリマーは、少なくとも2つの異なるブロック、例えば、少なくとも3つの異なるブロックを含むポリマーを意味すると理解されている。
【0110】
ポリマーの第1および第2ブロックは、それらの変形性(deformability)の度合いにおいて互いに異なる。こうして、第1ブロックは剛性で、第2ブロックは柔軟であり得る。
【0111】
柔軟ブロックおよび剛性ブロックのガラス転移温度は、各ブロックの構成モノマーの理論Tg値(これらの値は、参照便覧、例えば、「Polymer Handbook」(第3版、1989年、John Wiley)に見出すことができる)から、次の関係式(Foxの法則と呼ばれる)に従って求められる理論Tg値であり得る。
【0112】
【数1】

【0113】
【数2】

【0114】
上の量は、考えているブロックにおけるモノマーiの質量分率であり、Tgiは、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0115】
特に断わらなければ、本特許出願において第1および第2ブロックに対して示されるTgの値は、理論Tg値である。
【0116】
剛性ブロックは、20℃を超えるTgを有し得る。
【0117】
柔軟ブロックは、20℃以下のTgを有し得る。
【0118】
一実施形態によれば、コポリマーは、第1剛性ブロックおよび第2柔軟ブロックを含む。
【0119】
好ましくは、剛性ブロックの割合は、コポリマーの20から90重量%、さらに良好には30から90重量%、さらに一層良好には50から90重量%の範囲にある。
【0120】
好ましくは、柔軟ブロックの割合は、コポリマーの5から75重量%、好ましくは10から50重量%、さらに良好には15から45重量%の範囲にある。
【0121】
剛性ブロック
本発明との関連において、1つまたは複数の剛性ブロックは、より特別には、次のモノマーから生成される。
-式CH2=C(CH3)-COOR1のメタクリラート、
式中、R1は、線状もしくは分岐状で無置換のC1からC4アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソブチル基を表す、あるいは、R1は、C4からC12のシクロアルキル基、例えばイソボルニル基を表す、
-式CH2=CH-COOR2のアクリラート、
式中、R2はtert-ブチル基、またはC4からC12のシクロアルキル基、例えばイソボルニル基を表す、
-次の式の(メタ)アクリルアミド、
【0122】
【化1】

【0123】
ここで、R7およびR8は、同じであるか、または異なり、それぞれ、水素原子、または線状もしくは分岐状のC1からC12アルキル基、例えば、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチルまたはイソノニル基を表し、あるいは、R7はHを表し、R8は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、
また、R'は、Hまたはメチルを表す。
このタイプのモノマーの例として、N-ブチルアクリルアミド、N-(t-ブチル)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジブチルアクリルアミドを挙げることができる。
-ならびにこれらの混合物。
【0124】
剛性ブロックの特に好ましいモノマーは、イソボルニルメタクリラート、イソボルニルアクリラートおよびこれらの混合物である。
【0125】
柔軟ブロック
本発明との関連において、1つまたは複数の柔軟ブロックは、より特別には、次のモノマーから生成される:
-式CH2=CHCOOR3のアクリラート、
R3は、線状もしくは分岐状で無置換のC1からC12アルキル基(tert-ブチル基は除く)、例えば、イソブチル基を表し、このアルキル基には、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子が任意選択で挿入されている、
-式CH2=C(CH3)-COOR4のメタクリラート、
R4は、線状もしくは分岐状で無置換のC6からC12アルキル基を表し、このアルキル基には、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子が任意選択で挿入されている)、
-式R5-CO-O-CH=CH2のビニルエステル基、
ここで、R5は、線状もしくは分岐状のC4からC12アルキル基を表す、
-C4からC12アルキルビニルエステル、
-およびこれらの混合物。
【0126】
柔軟ブロックの特に好ましいモノマーは、イソブチルアクリラートである。
【0127】
各ブロックは、他のブロックの少なくとも1種の構成モノマーを僅かな比率で含み得る。
【0128】
したがって、第1ブロックは、第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーを含み得る、また逆の場合も同じである。
【0129】
第1および/または第2ブロックのそれぞれは、上に示されたモノマーに加えて、追加モノマーとして知られ、前記の主モノマーとは異なる1種または複数の他のモノマーを含み得る。
【0130】
この追加モノマーは、例えば、以下から選択される。
a)親水性モノマー、例えば:
-エチレン性不飽和を有し、アクリル酸以外で、少なくとも1つのカルボン酸もしくはスルホン酸官能基を有するモノマー、例えば、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、ビニル安息香酸またはビニルホスホン酸、およびこれらの塩;
-エチレン性不飽和を有し、少なくとも1つの第3級アミン官能基を有するモノマー、例えば、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドおよびこれらの塩;
-式CH2=C(CH3)-COOR6のメタクリラート、
式中、R6は、1から4個の炭素原子を含む線状もしくは分岐状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソブチル基を表し、このアクリル基は、ヒドロキシル基(例えば、2-ヒドロキシプロピルメタクリラートもしくは2-ヒドロキシエチルメタクリラート)およびハロゲン原子(Cl、Br、I、F)(例えば、トリフルオロエチルメタクリラート)から選択される1つまたは複数の置換基によって置換されている、
-式CH2=C(CH3)-COOR9のメタクリラート、
R9は、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子が任意選択で挿入されている、線状もしくは分岐状のC6からC12アルキル基を表し、このアルキル基は、ヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、I、F)から選択される1つまたは複数の置換基によって置換されている;
-式CH2=CHCOOR10のアクリラート、
R10は、ヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つまたは複数の置換基によって置換された、線状もしくは分岐状のC1からC12アルキル基、例えば、2-ヒドロキシプロピルアクリラートおよび2-ヒドロキシエチルアクリラートを表す、あるいはR10は、オキシエチレン単位の繰返し数が5から30である(C1〜C12)アルキル-O-POE(ポリオキシエチレン)、例えば、メトキシ-POEを表す、あるいはR10は、5から30個のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を表す、
b)エチレン性不飽和を有し、1個または複数のケイ素原子を含むモノマー、例えば、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、またはメタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、
-ならびにこれらの混合物。
【0131】
これまたはこれらの追加モノマーは、通常、第1および/または第2ブロックの全重量の、30重量%以下、例えば、1から30重量%、好ましくは5から20重量%、より好ましくは7から15重量%を占める。
【0132】
一実施形態によれば、前記コポリマーは、第1ブロックの少なくとも1種の構成モノマーおよび第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーを含む中間セグメントを通じて互いに結び付いた、少なくとも1つの第1ブロックおよび少なくとも1つの第2ブロックを含み得る。
【0133】
好ましくは、中間ブロックは、本質的に、第1ブロックおよび第2ブロックの構成モノマーから生じる。
【0134】
有利には、コポリマーの第1ブロックの少なくとも1種の構成モノマーおよび第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーを含む中間セグメントは、ランダムポリマーである。
【0135】
有利には、コポリマーは、本質的に、アルキルメタクリラート、アルキルアクリラートおよびこれらの混合物から選択されるモノマーから得られる。
【0136】
用語「本質的に」は、これまでおよびこれ以後において、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、さらに良好には少なくとも95%、さらに一層良好には100%を含むことを意味すると理解されている。
【0137】
アクリラートおよびメタクリラートエステルに関しては、それらは、線状もしくは分岐状で、環状もしくは芳香族のC1からC12アルコール、特に、C4からC10アルコールのエステル化によって誘導され得る。
【0138】
特に、例示として、これらのアルコールの限定を含意することなく、イソボルネオールを挙げることができる。
【0139】
一実施形態によれば、前記コポリマーは、同じアルコールの、特にイソボルネオールのエステル化により誘導されるアクリラートおよびメタクリラートモノマーを少なくとも含む。
【0140】
好ましくは、フィルム形成性線状ブロックポリマーは、少なくともイソボルニルアクリラートモノマー、少なくともイソボルニルメタクリラートモノマー、および少なくともイソブチルアクリラートモノマーを含む。
【0141】
別の実施形態によれば、ブロックポリマーは、少なくとも、
-剛性ブロック、これはイソボルニルメタクリラート/イソボルニルアクリラートコポリマーである、および
-柔軟ブロック、これはイソブチルアクリラートコポリマーである、
を含み得る。
【0142】
より詳細には、前記コポリマーは、50から80重量%のイソボルニルメタクリラート/アクリラート、および10から20重量%のイソブチルアクリラートを含み得る。
【0143】
コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、80 000から300 000、さらに言えば、100 000から150 000の範囲である。
【0144】
コポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは、20 000から90 000であり、例えば、それは、25 000から45 000の範囲にある。
【0145】
E/ジエンとスチレンのコポリマー、特にブタジエンとスチレンのコポリマー。
特に、EliokemによってPliolite S5Eの参照名で販売されているスチレン/ブタジエンコポリマーを挙げることができる。
【0146】
F/少なくとも1つの-SO3M基(Mは、水素原子、アンモニウムイオン(NH4+)、または金属イオンを表す)を有する少なくとも1種のモノマーを含むポリエステル、スルホポリエステルとしても知られている。
【0147】
これらのポリエステルは、有利には、38℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。
【0148】
それらは、有利には、200 000未満、例えば、10 000から50 000の範囲の重量平均分子量を示し得る。
【0149】
これらのポリエステルは、少なくとも1種のジカルボン酸と、少なくとも1種のポリオール、特にジオールとの重縮合によって、知られている方法で得ることができる。
【0150】
前記ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式または芳香族であり得る。このような酸の例として、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、または少なくとも2種のジカルボン酸モノマーの組合せとして使用され得る。これらのモノマーの中で、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸が、好ましくは、選択される。
【0151】
ジオールは、脂肪族、脂環式または芳香族のジオールから選択され得る。好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノールまたは4-ブタンジオールから選択されるジオールが用いられる。
【0152】
別のポリオールとして、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトールまたはトリメチロールプロパンが用いられ得る。
【0153】
ポリエステルアミドは、二酸とジアミンもしくはアミノアルコールとの重縮合によって、ポリエステルと同様に得ることができる。ジアミンとして、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタ-フェニレンジアミンまたはパラ-フェニレンジアミンが用いられ得る。アミノアルコールとして、モノエタノールアミンが用いられ得る。
【0154】
前記ポリエステルは、少なくとも1つの-SO3M基を有する少なくとも1種のモノマーを含み、Mは、水素原子、アンモニウムイオン(NH4+)、または金属イオン、例えば、Na+、Li+、K+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、もしくはFe3+イオンを表す。特に、このような-SO3M基を含む2官能性芳香族モノマーが用いられ得る。
【0155】
前記のように-SO3M基を追加で有する2官能性芳香族モノマーの芳香族環系は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニルまたはメチレンジフェニル環系から選択され得る。-SO3M基を追加で有する2官能性芳香族モノマーの例として、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、または4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸を挙げることができる。
【0156】
イソフタラート/スルホイソフタラート系のコポリマー、より特別には、ジエチレングルコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸およびスルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマーを用いることが好ましい。
【0157】
このようなポリマーは、NoveonによってEastman AQ(登録商標)の商用名で販売されている(例えばEastman AQ 38S)。
【0158】
G/ワックス
ワックスは、第1組成物に関して上で記載されたワックスから選択できる。
【0159】
特に、ワックスはパラフィンワックスから選択される。
【0160】
H/繊維
用語「繊維」は、LがDよりずっと大きい長さLおよび直径Dを有するものを意味すると理解されるべきであり、Dは、繊維の横断面を枠で囲む円形の直径である。特に、L/Dの比(すなわちアスペクト比)は、3.5から2500、特に5から500、より特別には5から150の範囲内で選択される。
【0161】
本発明の組成物に使用され得る繊維は、無機または有機で、合成または天然由来の繊維であり得る。それらは、短い、または長く、単一または構成され(例えば編まれた)、中空もしくは中実であり得る。それらは、想定される特定の用途に応じて、どのような形状を有していてもよく、特に、横断面が円形または多角形(四角形、六角形もしくは八角形)であり得る。特に、それらの末端は、傷害を防ぐために、尖っていない、および/または、擦り取られている。
【0162】
特に、繊維は、1μmから10mm、特に0.1mmから5mm、より特別には0.3mmから3.5mmの範囲の長さを有する。それらの横断面は、2nmから500μmの範囲、特に100nmから100μmの範囲、より特別には1μmから50μmの範囲の直径を有する円形の中に収めることができる。繊維の重量または番手は、しばしば、デニールまたはデシテックスで与えられ、9kmの糸当たりの重量(グラム)を表す。本発明に適合する繊維は、0.15から30デニール、特に0.18から18デニールの範囲内から選択される番手を特に有し得る。
【0163】
本発明の組成物に使用され得る繊維は、剛性または非剛性繊維から選択され得る。それらは、無機または有機で合成または天然由来であり得る。
【0164】
さらに、繊維は、表面処理されていることも、されていないこともあり、コーティングされていることも、されていないこともあり、着色されていることも、されていないこともある。
【0165】
本発明による組成物に使用され得る繊維として、剛性でない繊維、例えば、ポリアミド(Nylon(登録商標))繊維、あるいは剛性である繊維、例えば、ポリイミドアミド繊維(例えば、RhodiaによってKermel(登録商標)もしくはKermel Tech(登録商標)の名称で販売されているもの)、またはポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(すなわちアラミド)繊維(特に、DuPont de NemoursによってKevlar(登録商標)の名称で販売されている)を挙げることができる。
【0166】
一実施形態によれば、組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物として、組成物は、特に組成物の全重量に対して90重量%以上の含量のワックス、特にパラフィンワックスと、組成物の全重量に対して例えば1から5重量%の含量の繊維、特にセルロース繊維との混合物を少なくとも含む。
【0167】
利点のある実施形態によれば、第2組成物は、少なくとも1種のエチレン/酢酸ビニルコポリマーを含む。
【0168】
一実施形態によれば、組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物として、組成物は、ワックス、特にパラフィンワックスと、エチレン/酢酸ビニルコポリマーとの混合物を含む。
【0169】
前記混合物は、特に、混合物の全重量に対して50から65重量%のエチレン/酢酸ビニルコポリマーを、また、混合物の全重量に対して35から50重量%のパラフィンワックスを含み得る。
【0170】
好ましくは、前記エチレン/酢酸ビニルコポリマーは、ポリマーの全重量に対して、25重量%を超える(例えば、約28重量%)酢酸ビニルを含む。
【0171】
好ましくは、前記エチレン/酢酸ビニルコポリマーは、50 000から80 000、さらに良好には60 000から70 000、さらに一層良好には63 000から73 000の範囲の重量平均分子量(Mw)を示す。
【0172】
組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物は、組成物の全重量に対して少なくとも5重量%、例えば、組成物の全重量に対して5から100重量%の範囲、好ましくは10から100重量%、さらに一層良好には12から100重量%の範囲の乾燥物質含量で組成物中に存在し得る。
【0173】
III/水性相
好ましくは、本発明による第1および/または第2組成物は、組成物の連続相を成し得る水性相を構成する水性媒体を含み得る。
【0174】
本発明による1つまたは複数の組成物の水性相は、有利には、連続水性相である。
【0175】
用語「「連続」水性相を含む組成物」は、組成物が、25℃で測定して、23μS/cm(マイクロシーメンス/cm)を超える導電率を示すことを意味すると理解されており、導電率は、例えば、Mettler ToledoによるMPC227導電率計およびInlab730導電率測定セルを用いて測定される。測定セルは、セルの2つの電極の間に生成する可能性がある空気の泡を取り除くために、組成物中に浸漬される。導電率は、導電率計の値が安定したらすぐに読み取られる。少なくとも引き続く3回の測定値が平均される。
【0176】
水性相は、本質的に水からなり得る;それは、また、水と、水混和性(25℃で50重量%を超える水への混和性)溶媒(例えば、1から5個の炭素原子を有する低級モノアルコール(例えば、エタノールもしくはイソプロパノール)、2から8個の炭素原子を有するグリコール(例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールもしくはジプロピレングリコール)、C3〜C4ケトン、C2〜C4アルデヒドおよびこれらの混合物)との混合物を含み得る。
【0177】
水性相(水および任意選択の水混和性溶媒)は、水性相を含む組成物の全重量に対して、1重量%から95重量%の範囲、好ましくは3重量%から80重量%の範囲、優先的には5重量%から60重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0178】
好ましくは、第1組成物は水性連続相を含む。
【0179】
一実施形態によれば、第2組成物は、組成物の全重量に対して、20重量%未満の水、好ましくは10重量%未満、さらに良好には5重量%未満の水を含む。それは、水を含んでいない(無水)であり得る。
【0180】
乳化系
本発明による組成物は、乳化性表面活性剤を含む各組成物の全重量に対して、特に、0.1重量%から20重量%、さらに良好には0.3重量%から15重量%の範囲の比率で存在する乳化性表面活性剤を含み得る。
【0181】
本発明によれば、水中油エマルジョンを得られるように適切に選択された乳化剤が、通常、用いられる。特に、25℃で8以上の範囲内の、グリフィン法のHLBバランス(親水性-親油性バランス)を有する乳化剤が用いられ得る。
【0182】
グルフィンによるHLB値は、J. Soc. Cosm. Chem.、1954年(5巻)、249〜256頁に定義されている。
【0183】
これらの表面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性表面活性剤から、あるいはまた表面活性乳化剤から選択され得る。界面活性剤の性質および機能(乳化性)の定義については、文献「Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」(第3版、1979年、Wiley)、22巻、333〜432頁が、特に、陰イオン性、両性および非イオン性界面活性剤については、この参考文献の347〜377頁が参照され得る。
【0184】
本発明による組成物に優先的に用いられる界面活性剤は、以下から選択される。
【0185】
a)25℃で8以上のHLBを有し、単独で、または混合物として用いられる非イオン表面活性剤、特に次のものを挙げることができる:
グリセロールのオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(これらは、1から150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含み得る);
脂肪アルコール(特に、C8〜C24、好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(これらは、1から150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含み得る)、例えば、20個のオキシエチレン基を含む、ステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「ステアレス-20」)(例えば、Uniqemaによって販売されているBrij 78)、30個のオキシエチレン基を含む、セテアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「セテアレス-30」)、および7個のオキシエチレン基を含む、C12〜C15脂肪アルコール混合物のオキシエチレン化エーテル(CTFA名「C12-15パレス-7」)(Shell ChemicalsによってNeodol 25-7(登録商標)の名称で販売されている)、
脂肪酸(特に、C8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)とポリエチレングリコール(これは、1から150個のエチレングリコール単位を含み得る)とのエステル、例えば、PEG-50ステアラート、およびPEG-40モノステアラート(ICI UniqemaによってMyrj 52P(登録商標)の名称で販売されている)、
脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)と、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセロールエーテル(これらは、1から150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含み得る)とのエステル、例えば、PEG-200モノステアリン酸グリセリル(SEPPICによってSimulsol 220 TM(登録商標)の名称で販売されている)、30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化ステアリン酸グリセリル(例えば、Goldschmidtによって販売されている製品Tagat S(登録商標))、30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化オレイン酸グリセリル(例えば、Goldschmidtによって販売されている製品Tagat O(登録商標))、30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化グリセリルココアート(例えば、Sherexによって販売されている製品Varionic LI 13(登録商標))、30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化イソステアリン酸グリセリル(例えば、Goldschmidtによって販売されている製品Tagat L(登録商標))、および30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化ラウリン酸グリセリル(例えば、Goldschmidtによる製品Tagat I(登録商標))、
脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)と、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(これらは、1から150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含み得る)とのエステル、例えば、UniqemaによってTween 60(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート60、
ジメチコンコポリオール、例えば、Dow CorningによってQ2-5220(登録商標)の名称で販売されているもの、
ジメチコンコポリオールベンゾアート(FintexによるFinsolv SLB 101(登録商標)および201(登録商標))、
ポリプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、EO/PO重縮合物としても知られている、
ならびにこれらの混合物。
【0186】
EO/PO重縮合物は、より詳細には、例えば、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロック重縮合物のような、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのシール(seal)から成るコポリマーである。これらのトリブロック重縮合物は、例えば、次の化学構造:
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH
を有し、式中、aは2から120の範囲にあり、bは1から100の範囲にある。
【0187】
EO/PO重縮合物は、好ましくは、1000から15 000の範囲、さらに良好には、2000から13 000の範囲の重量平均分子量を有する。有利には、このEO/PO重縮合物は、蒸留水中10g/lで、20℃以上、好ましくは60℃以上の曇点を有する。曇点は、ISO 1065に従って求められる。本発明により使用され得るEO/PO重縮合物として、ICIによってSynperonic(登録商標)の名称で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物、例えば、Synperonic PE/L44(登録商標)およびSynperonic PE/F127(登録商標)を挙げることができる。
【0188】
b)25℃で8未満のHLBを有する非イオン表面活性剤、前記のような、25℃で8を超えるHLBを有する1種または複数の非イオン表面活性剤と任意選択で組み合わせられる、例えば:
単糖のエステルまたはエーテル、例えば、スクロースステアラート、スクロースココアート、ソルビタンステアラートおよびこれらの混合物、例えば、ICIによって販売されているArlatone 2121(登録商標)、またはUniqemaによるSpan 65V;
脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22の酸)と、ポリオール、特に、グリセロールもしくはソルビトールとのエステル、例えば、ステアリン酸グリセリル(例えば、GoldschmidtによってTegin M(登録商標)の名称では販売されている製品)、ラウリン酸グリセリル(例えば、HulsによりImwitor 312(登録商標)の名称で販売されている製品)、ステアリン酸ポリグリセリル-2、ソルビタントリステアラートまたはグリセリルリシノレアート;
オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル、例えば、2個のオキシエチレン基を含む、ステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「ステアレス-2」)、例えば、Uniqemaによって販売されているBrij 72;
シクロメチコン/ジメチコンコポリオール混合物、Dow CornigによってQ2-3225C(登録商標)の名称で販売されている。
【0189】
c)陰イオン界面活性剤、例えば:
ポリオキシエチレン化脂肪酸の塩、特に、アミンから誘導されるものまたはアルカリ金属塩、およびこれらの混合物;
リン酸エステルおよびそれらの塩、例えば、「DEAオレス-10ホスファート」(CrodaによるCrodafos N 10N)またはモノセチルリン酸一カリウム(GivaudanによるAmphisol K、またはUniqemaによるArlatone MAP 160K);
スルホスクシナート、例えば、「PEG-5シトラートラウリルスルホスクシナート二ナトリウム」および「リシノレアミドMEAスルホスクシナート二ナトリウム」;
アルキルエーテルスルファート、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム;
イセチオナート;
アシルグルタマート、例えば、「水素添加牛脂グルタミン酸二ナトリウム」(Ajinomotoによって販売されているAmisoft HS-21 R(登録商標))、およびこれらの混合物。
【0190】
特に、陽イオン界面活性剤の代表として、次のものを挙げることができる:
-アルキルイミダゾリジニウム、例えば、イソステアリルエチルイミドニウムエトスルファート、
-アンモニウム塩、例えば、N,N,N-トリメチル-1-ドコサンアミニウムクロリド(ベヘントリモニウムクロリド)。
【0191】
本発明による組成物は、また、1種または複数の両性界面活性剤、例えば、N-アシルアミノ酸(例えば、N-アシルアミノアセタートおよびココアンホ二酢酸二ナトリウム)、およびアミンオキシド(例えば、ステアラミンオキシド)を、あるいは、また、シリコーン界面活性剤、例えば、ジメチコンコポリオールホスファート(例えば、Phoenix ChemicalによってPecosil PS 100(登録商標)の名称で販売されているもの)を含み得る。
【0192】
一実施形態によれば、本発明による組成物、特に第1組成物は、乳化系として、次の組合せ:
-少なくとも1種のC10〜C30アルキルホスファート表面活性剤、および
-C8〜C24脂肪アルコールとポリエチレングリコールとの少なくとも1種のエーテル、このエーテルは、1から19個のオキシエチレン単位を含み、25℃で、HLB<8を示す、
を含む。
【0193】
一実施形態によれば、前記乳化系は、C8〜C24脂肪アルコールとポリエチレングリコールとの少なくとも1種のエーテル(このエーテルは、20から1000個のオキシエチレン単位を含み、25℃で、HLB>8を有する)、および10から30個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪アルコールをさらに含み得る。
【0194】
利点のある実施形態によれば、本発明による化粧品組成物、特に第1組成物は、組成物の全重量に対して、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のトリエタノールアミンを含み、さらに良好には、トリエタノールアミンを含まない。
【0195】
利点のある別の形態によれば、本発明による化粧品組成物、特に第1組成物は、組成物の全重量に対して、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のトリエタノールアミンステアラートを含み、さらに良好には、トリエタノールアミンステアラートを含まない。
【0196】
水溶性ゲル化剤
本発明による第1および/または第2組成物は、水溶性ゲル化剤を含み得る。
【0197】
本発明による組成物に使用され得る水溶性ゲル化剤は、次のものから選択され得る:
アクリル酸もしくはメタクリル酸またはこれらの塩およびこれらのエステルのホモ-もしくはコポリマー、特に、Allied ColloidによってVersicol F(登録商標)またはVersicol K(登録商標)の名称で販売されている製品、Ciba-GeigyによるUltrahold 8(登録商標)、Synthalen Kタイプのポリ(アクリル酸)、
アクリル酸とアクリルアミドのコポリマー、それらのナトリウム塩の形でHerculesによってReten(登録商標)の名称で販売されている、ポリ(メタクリル酸ナトリウム)、VanderbiltによってDarvan No. 7(登録商標)の名称で販売されている、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)のナトリウム塩、HenkelによってHydagen F(登録商標)の名称で販売されている、
ポリ(アクリル酸)とアルキルアクリラートの、Pemulenタイプのコポリマー、
AMPS(アンモニア水により部分的に中和され、高度に架橋されたポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸))、Clariantによって販売されている、
Sepigel(登録商標)またはSimugel(登録商標)タイプのAMPS/アクリルアミドコポリマー、SEPPICにより販売されている、および
ポリオキシエチレン化された、AMPSとアルキルメタクリラートとのコポリマー(架橋または無架橋)、
タンパク質、例えば、植物由来のタンパク質(例えば、小麦または大豆タンパク質)、動物由来のタンパク質(例えば、ケラチン、例えば、ケラチン加水分解物およびスルホケラチン(sulphonic keratin));
セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび第4級されたセルロース誘導体;
アクリルポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリアクリラートもしくはポリメタクリラート;
ビニルポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマーまたはポリ(ビニルアルコール);
天然由来の任意選択で変性されたポリマー、例えば:
アラビアゴム、グアーガム、ザンサン誘導体もしくはカラヤガム;
アルギナートおよびカラギーナン;
グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸およびその誘導体;
シェラック樹脂、ガムサンダラック、ダンマー、エレミ(elemi)またはコーパル(copal);
デオキシリボ核酸;
ムコ多糖、例えば、コンドロチンスルファート;
ならびにこれらの混合物。
【0198】
これらの水溶性ゲル化剤のいくつかは、また、フィルム形成性ポリマーとしての役割も果たし得る。
【0199】
好ましい実施形態によれば、第1および/または第2組成物は、少なくとも1種のAMPS/アクリルアミドコポリマーを含む。
【0200】
水溶性ゲル化ポリマーは、それを含む組成物の全重量に対して、0.01重量%から60重量%、好ましくは、0.5重量%から40重量%、さらに良好には1重量%から30重量%、さらに言えば、5重量%から20重量%の範囲の乾燥物質含量で、それを含む組成物中に存在し得る。
【0201】
オイル
本発明による第1および/または第2組成物は、雰囲気温度(25℃)、大気圧(760mmHg)で液体である、1種または複数の非水性オイルまたは脂肪物質をさらに含み得る。
【0202】
オイルは、揮発性オイルおよび/または非揮発性オイル、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0203】
1種または複数のオイルは、それらを含む組成物の全重量に対して、0.1重量%から95重量%、好ましくは0.5重量%から60重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0204】
用語「揮発性オイル」は、本発明の趣旨の範囲内において、雰囲気温度および大気圧で、ケラチン繊維と接触して1時間経たないうちに蒸発できるオイルを意味すると理解されている。本発明での1種または複数の揮発性有機溶媒および揮発性オイルは、雰囲気温度で液体であり、また雰囲気温度および大気圧で、特に、0.13Paから40 000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13 000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、より特別には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲のゼロでない蒸気圧を有する、揮発性の化粧品用有機溶媒およびオイルである。
【0205】
用語「非揮発性オイル」は、雰囲気温度および大気圧で、ケラチン繊維上に少なくとも数時間留まり、また、特に、10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有するオイルを意味すると理解されている。
【0206】
これらのオイルは、炭化水素オイル、シリコーンオイル、フッ素化オイルまたはこれらの混合物であり得る。
【0207】
用語「炭化水素オイル」は、水素および炭素原子を主に、また酸素、窒素、硫黄およびリン原子を任意選択で含むオイルを意味すると理解されている。揮発性炭化水素オイルは、8から16個の炭素原子を有する炭化水素オイル、特に、分岐状C8〜C16アルカン(例えば、石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカンもしくはイソヘキサデカン(例えば、IsoparもしくはPermethylの商用名で販売されているオイル))、分岐状C8〜C16エステル(イソヘキシルネオペンタノアート)、およびこれらの混合物から選択され得る。他の揮発性炭化水素オイル、例えば、石油留出物、特に、ShellによってShell Soltの名称で販売されているものもまた用いることができる。好ましくは、揮発性溶媒は、8から16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素オイル、およびこれらの混合物から選択される。
【0208】
揮発性オイルとして、また、揮発性シリコーン、例えば、線状もしくは環状の揮発性シリコーンオイル、特に、粘度≦8センチストローク(8×10-6m2/s)を有し、また、特に2から7個のケイ素原子を有するものも用いることができ、これらのシリコーンは、1から10個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ基を任意選択で含む。本発明において使用され得る揮発性シリコーンオイルとして、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0209】
次の一般式(I)の揮発性線状アルキルトリシロキサンオイルもまた挙げることができる。
【0210】
【化2】

【0211】
ここで、Rは、2から4個の炭素原子を含むアルキル基(この基の1個または複数の水素原子は、フッ素または塩素原子によって置換されていてもよい)を表す。
【0212】
一般式(I)のオイルの中で、Rが、それぞれ、ブチル基、プロピル基またはエチル基である式(I)のオイルに対応して、
3-ブチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
3-プロピル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、および
3-エチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、
を挙げることができる。
【0213】
揮発性フッ素化溶媒、例えば、ノナフルオロメトキシブタンまたはペルフルオロメチルシクロペンタンもまた使用され得る。
【0214】
第1および/または第2組成物は、また、非揮発性の炭化水素オイルおよび/またはシリコーンオイルおよび/またはフッ素化オイルから特に選択される、少なくとも1種の非揮発性オイルも含み得る。
【0215】
非揮発性炭化水素オイルとして、特に次のものを挙げることができる:
-植物由来の炭化水素オイル、例えば、脂肪酸とグリセロールとのトリエステル、この脂肪酸は、C4からC24の様々な鎖長を有し得る、これらの鎖は、線状もしくは分岐状で飽和もしくは不飽和であることが可能である;これらのオイルは、特に、麦芽、ヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アプリコットカーネル、ヒマ(castor)、シア(shea)、アボカド、オリーブ、大豆、スウィートアーモンド、ヤシ、ナタネ、綿実、へイゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、アルファルファ、ポピー、カボチャ種子、キュウリ、クロフサスグリ種子、イブニングプリムローズ、アワ(millet)、オオムギ、キノア、ライムギ、ベニバナ、ククイノキ、パッションフラワーまたはジャコウバラのオイル;あるいはさらに、カプリル/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisによって販売されているもの、または、Dynamit NobelによってMiglyol 810、812および818の名称で販売されているもの、
-10から40個の炭素原子を有する合成エーテル;
-ミネラルまたは合成由来の線状もしくは分岐状炭化水素、例えば、液体ペトロラタム、ポリデセン、水素添加ポリイソブテン、例えば、Parleamオイル、スクアランおよびこれらの混合物;
-合成エステル、例えば、式R1COOR2のオイル(式中、R1は、1から40個の炭素原子を含む線状もしくは分岐状脂肪酸の残基を表し、R2は、1から40個の炭素原子を含む炭化水素鎖、特に、分岐状炭化水素鎖を表す、但し、R1+R2≧10である)、例えば、Purcellinオイル(オクタン酸セテアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、イソプロピルパルミタート、C12からC15アルキルベンゾアート、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルコールもしくは多価アルコールのオクタノアート、デカノアートもしくはリシロレアート、例えば、プロピレングリコールジオクタノアート;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリルもしくはリンゴ酸ジイソステアリル;およびペンタエリトリトールエステル;
-12から26個の炭素原子を有する分岐状および/または不飽和炭素鎖を含む、雰囲気温度で液体である脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールまたは2-ウンデシルペンタデカノール;
-高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノーン酸またはリノレン酸;
-カルボナート;
-アセタール;
-シトラート;
-ならびにこれらの混合物。
【0216】
本発明による組成物に使用され得る非揮発性シリコーンオイルは、非揮発性であるポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルもしくはアルコキシペンダント基および/またはシリコーン鎖の末端のアルキルもしくはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサン(基は、それぞれ、2から24個の炭素原子を有する)、フェニル化シリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサンまたは(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリカートであり得る。
【0217】
本発明に使用され得るフッ素化オイルは、特に、例えば、文献EP-A-847 752に記載されているような、フルオロシリコーンオイル、フッ素化ポリエーテルもしくはフッ素化シリコーンである。
【0218】
フィルム形成性ポリマー
本発明による第1および/または第2組成物は、第2組成物に5mm以上のdmaxを付与する化合物または化合物の混合物に加えて、少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーを含み得る。
【0219】
フィルム形成性ポリマーは、第1および第2組成物の各々の全重量に対して、0.1重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%、さらに良好には1重量%から15重量%の範囲の乾燥物質(もしくは活性物質)含量で、本発明による組成物中に存在し得る。
【0220】
本発明において、用語「フィルム形成性ポリマー」は、単独で、またはフィルムを形成できる追加の作用剤の存在下に、ケラチン繊維に付着する巨視的に連続したフィルムを形成することができるポリマーを意味すると理解されている。
【0221】
本発明の第1および/または第2組成物に使用され得るフィルム形成性ポリマーの中で、ラジカル型または重縮合型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0222】
用語「ラジカルによるフィルム形成性ポリマー」は、不飽和、特にエチレン性不飽和を有するモノマーの重合によって得られるポリマーを意味すると理解されており、各モノマーは(重縮合物とは異なり)単独重合することができる。
【0223】
ラジカル型のフィルム形成性ポリマーは、特に、ビニルポリマーまたはコポリマー、特にアクリルポリマーであり得る。
【0224】
フィルム形成性ビニルポリマーは、少なくとも1つの酸性基を有しエチレン性不飽和を有するモノマー、および/または、これらの酸性モノマーのエステル、および/または、これらの酸性モノマーのアミドの重合により得ることができる。
【0225】
酸性基を有するモノマーとして、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはイタコン酸が用いられ得る。好ましくは(メタ)アクリル酸およびクロトン酸が、より優先的には(メタ)アクリル酸が用いられる。
【0226】
酸性モノマーのエステルは、有利には、(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリラートとしても知られている)、特に、アルキル(メタ)アクリラート、特に、C1〜C30アルキル(メタ)アクリラート、好ましくは、C1〜C20アルキル(メタ)アクリラート、アリール(メタ)アクリラート、特に、C6〜C10アリール(メタ)アクリラート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、特に、C2〜C6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートから選択される。
【0227】
アルキル(メタ)アクリラートの中で、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、2-エチルヘキシルメタクリラート、ラウリルメタクリラートまたはシクロヘキシルメタクリラートを挙げることができる。
【0228】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの中で、ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラートまたは2-ヒドロキシプロピルメタクリラートを挙げることができる。
【0229】
アリール(メタ)アクリラートの中で、ベンジルアクリラートおよびフェニルアクリラートを挙げることができる。
【0230】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル(メタ)アクリラートである。
【0231】
本発明によれば、前記エステルのアルキル基は、フッ素化もしくは全フッ素化(すなわち、アルキル基の水素原子の一部もしくは全てが、フッ素原子によって置換されている)のいずれかをされていてもよい。
【0232】
酸性モノマーのアミドとして、例えば、(メタ)アクリルアミド、特に、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、特に、N-(C2〜C12アルキル)(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドの中で、N-エチルアクリルアミド、N-(t-ブチル)-アクリルアミド、N-(t-オクチル)アクリルアミドおよびN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0233】
フィルム形成性ビニルポリマーはまた、ビニルエステルおよびスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合または共重合により得ることもできる。特に、これらのモノマーは、前記のもののような、酸性モノマーおよび/またはこれらのエステルおよび/またはこれらのアミドと共重合され得る。
【0234】
ビニルエステルの例として、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニルおよびt-ブチル安息香酸ビニルを挙げることができる。
【0235】
スチレンモノマーとして、スチレンおよびα-メチルスチレンを挙げることができる。
【0236】
フィルム形成性重縮合物の中で、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂またはポリウレアを挙げることができる。
【0237】
ポリウレタンは、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性もしくは両性ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、およびこれらのブレンドから選択され得る。
【0238】
ポリエステルは、スルホポリエステルについて上で記載されたように、ジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの重縮合によって、知れられている方法によって得ることができる。
【0239】
天然由来の任意選択で変性されたポリマーは、シェラック樹脂、ガムサンダラック、ダンマー、エレミ、コーパル、セルロースポリマーおよびこれらのブレンドから選択され得る。
【0240】
本発明による組成物の第1の実施形態によれば、フィルム形成性ポリマーは、水溶性ポリマーであり得る、また、組成物の水性相に存在し得る;こうして、このポリマーは、組成物の水性相に溶けている。
【0241】
本発明の別の代わりとなる実施形態によれば、フィルム形成性ポリマーは、上に記載されたもののようなオイルまたは有機溶媒を含む液体脂肪相に溶けたポリマーであり得る(この場合、フィルム形成性ポリマーは、脂溶性ポリマーとして記載される)。好ましくは、液体脂肪相は、揮発性オイルを、任意選択で非揮発性オイルとの混合物として、含み、これらのオイルは、上に記載されたオイルから選択することが可能である。
【0242】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステル(このビニル基は、エステル基の酸素原子に直接つながっており、このビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した、1から19個の炭素原子の線状もしくは分岐状の飽和炭化水素基を有する)と、(すでに存在するビニルエステル以外の)ビニルエステル、α-オレフィン(8から28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(このアルキル基は2から18個の炭素原子を含む)、または、アリルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合した、1から19個の炭素原子の線状もしくは分岐状の飽和炭化水素基を有する)であり得る少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーを挙げることができる。
【0243】
これらのコポリマーは、ビニル型またはアリルもしくはメタリル型かのいずれかであり得る架橋剤、例えば、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオアート、ジビニルドデカンジオアートおよびジビニルオクタデカンジオアートを用いて架橋されていてもよい。
【0244】
これらのコポリマーの例として、次のコポリマーを挙げることができる:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタセデン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1-オクタデセン、酢酸ビニル/1-ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル(0.2%のジビニルベンゼンにより架橋されている)、ジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル(0.2%のジビニルベンゼンにより架橋されている)、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル(0.2%のテトラアリルオキシエタンにより架橋されている)、酢酸ビニル/ステアリン酸アリル(0.2%のジビニルベンゼンにより架橋されている)、酢酸ビニル/1-オクタデセン(0.2%のジビニルベンゼンにより架橋されている)、およびプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリル(0.2%のジビニルベンゼンにより架橋されている)。
【0245】
脂溶性フィルム形成性ポリマーとして、脂溶性コポリマー、特に、9から22個の炭素原子を有するビニルエステル、またはアルキルアクリラートもしくはメタクリラート(これらのアルキル基は10から20個の炭素原子を有する)の共重合により得られるものを挙げることができる。
【0246】
このような脂溶性コポリマーは、ポリ(ステアリン酸ビニル)のコポリマー、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテルもしくはフタル酸ジアリルを用いて架橋されたポリ(ステアリン酸ビニル)のコポリマー、ポリ(ステアリル(メタ)アクリラート)のコポリマー、ポリ(ラウリン酸ビニル)のコポリマー、ポリ(ラウリル(メタ)アクリラート)のコポリマーから選択でき、これらのポリ(メタ)アクリラートは、エチレングリコールジメタクリラートもしくはテトラエチレングリコールジメタクリラートを用いて架橋することが可能である。
【0247】
上で定義された脂溶性コポリマーは知られており、特に、出願FR-A-2 232 303に記載されている;それらは、2000から500 000、好ましくは4000から 200 000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0248】
本発明に使用され得る脂溶性フィルム形成性ポリマーとして、また、ポリアルキレン、特に、C2〜C20アルケンのコポリマー、例えば、ポリブテン、線状もしくは分岐状で、飽和もしくは不飽和のC1からC8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特に、ビニルピロリドンと、C2からC40アルケン、さらに良好にはC3からC20アルケンとのコポリマーも挙げることができる。本発明に使用され得るVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/エチルメタクリラート、VP/エチルメタクリラート/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、またはVP/アクリル酸/ラウリルメタクリラートのコポリマー、あるいはブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)を挙げることができる。
【0249】
シリコーンオイルに通常可溶であるまたは膨潤するシリコーン樹脂もまた挙げることができ、これらは架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーである。シリコーン樹脂の命名法は、「MDTQ」の名称で知られており、樹脂は、それが含む様々なシリコーンモノマー単位に従って記載され、文字「MDTQ」の各々は、1つのタイプの単位を特徴付ける。
【0250】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、
WackerによってResin MK参照名で(例えば、Belsil PMS MK)、
Shin-EtsuによってKR-220Lの参照名で、
販売されているものを挙げることができる。
【0251】
シロキシシリカート樹脂として、トリメチルシロキシシリカート(TMS)樹脂、例えば、Generel ElectricによってSR1000の参照名で、またはWackerによってTMS 803のの参照名で販売されているものを挙げることができる。溶媒に含めて販売されているトリメチルシロキシシリカート樹脂、例えば、Shin-Etsuによって「KF-7312J」、Dow Corningによって「DC 749」または「DC 593」の名称で販売されているシクロメチコンもまた挙げることができる。
【0252】
シリコーン樹脂のコポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサンを有する、上で記載されたコポリマー、例えば、Dow CorningによってBIO-PSAの参照名で販売され、文献米国特許第5162410号に記載の感圧接着剤コポリマー、または、シリコーン樹脂(例えば、上で記載されたもの)と、ジオルガノシロキサン(例えば文献WO 2004/073626に記載のもの)との反応により得られるシリコーンコポリマーもまた挙げることができる。
【0253】
フィルム形成性ポリマーは、また、ラテックスまたは疑似ラテックス(pseudolatex)の名称で一般的に知られている、水性相または非水溶媒相における分散体として、粒子状でも組成物中に存在し得る。これらの分散体の製造方法は当業者によく知られている。
【0254】
フィルム形成性ポリマー水性分散体として、アクリル分散体、Avecia-NeoresinsによってNeocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)およびNeocryl A-523(登録商標)、Dow ChemicalによってDow Latex 432(登録商標)、Daito Kasey KogyoによってDaitosol 5000 AD(登録商標)もしくはDaitosol 5000 SJ(登録商標)、InterpolymerによってSyntran 5760(登録商標)、Rohm & HaasによってAllianz OPTの名称で販売されている;アクリルポリマー、もしくはスチレン/アクリルポリマーの水性分散体、Johnson PolymerによってJoncryl(登録商標)の商用名で販売されている;またはポリウレタンの水性分散体、Avecia-NeoresinsによってNeorez R-981(登録商標)およびNeorez R-974(登録商標)、GoodrichによってAvalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、Avalure UR-450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Sancure 861(登録商標)、Sancure 878(登録商標)およびSancure 2060(登録商標)、BayerによってImpranil 85(登録商標)、HydromerによってAquamere H-1511(登録商標)の名称で販売されている;スルホポリエステル、Eastman Chemical ProductsによってEastman AQ(登録商標)の商用名で販売されている;ビニル分散体、例えば、ChimexによるMexomer PAM(登録商標);ならびにこれらのブレンドが用いられ得る。
【0255】
フィルム形成性ポリマーの非水分散体の例として、イソドデカン中のアクリル分散体、例えば、ChimexによるMexomer PAP(登録商標)、液体脂肪相中のグラフト化エチレン性ポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子分散体(このエチレン性ポリマーは、特に文献WO 04/055081に記載されているように、有利には、付加的な安定剤が粒子表面に存在しないで分散している)を挙げることができる。
【0256】
本発明による第1および/または第2組成物は、フィルム形成性ポリマーによるフィルムの形成を促進させる可塑剤を含み得る。このような可塑剤は、望まれる機能を果たすことができると当業者に知られている全ての化合物から選択され得る。
【0257】
第1および/または第2組成物は、また、化粧品に広く用いられる成分、例えば、親油性ゲル化剤、着色材料、フィラー、繊維およびこれらの混合物も含み得る。
【0258】
着色材料
本発明による第1および/または第2組成物は、また、少なくとも1種の着色材料、例えば、粉でできた材料、脂溶性染料または水溶性染料も含み得る。
【0259】
粉でできた着色材料は、顔料および真珠光沢剤から選択され得る。
【0260】
顔料は、白色であるかまたは着色しており、無機および/または有機であり、コーティングされていることもコーティングされていないこともあり得る。無機顔料の中で、二酸化チタン(任意選択で表面処理されている)、ジルコニウム、酸化亜鉛もしくは酸化セリウムを、また、酸化鉄もしくは酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物(chromium hydrate)およびフェリックブルー(ferric blue)を挙げることができる。有機顔料の中では、カーボンブラック、D & Cタイプの顔料、およびコチニールカルミンに基づく、バリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウムのレーキを挙げることができる。
【0261】
真珠光沢剤は、白色真珠光沢顔料、例えば、酸化チタンもしくはビスマスオキシクロリドにより被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば、酸化チタン-酸化鉄によりコーティングされたマイカ、酸化チタン-特にフェリックブルーもしくは酸化クロムによりコーティングされたマイカ、または酸化チタン-前記のタイプの有機顔料によりコーティングされたマイカ、およびビスマスオキシクロリド系の真珠光沢顔料から選択され得る。
【0262】
脂溶性染料は、例えば、スーダンレッド、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエローまたはアナート(annatto)である。これらの着色材料は、それらを含む組成物の各々の全重量に対して、0.01から30重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0263】
本発明において用いられる第1および/または第2組成物は、ゼロでない磁化率を示す物質(「磁性体」としても知られている)を含んでいてもよく、これらの物質は、様々な形態で供給され得る。
【0264】
一実施形態によれば、第2組成物が磁性体を含む。
【0265】
こうして、一実施形態によれば、本発明による方法は、次の段階:
a)上で定義された第1組成物をケラチン繊維に塗付する段階、
b)磁性体と、組成物が40℃以上の温度にされた時に該組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物とを含む第2化粧品組成物を、好ましくは磁場のない状態で、ケラチン繊維に塗付する段階、
c)前記第2組成物を、それを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、40℃以上の温度にする段階、
d)ゼロでない磁化率を有する物質の少なくともいくらかの配向をシフトさせるおよび/または変えるために、前記第2組成物を、少なくとも部分的に磁場の下に置く段階、
を含み、段階b)およびc)の順序は重要ではない。
【0266】
磁場のない状態で組成物を塗付するということは、塗付する時点では磁気を帯びていない、もしくは磁気を弱く帯びており、また組成物を塗付する方法を著しく変える程には組成物と相互作用しないアプリケータの使用を仮定している。したがって、このアプリケータは、有利には、磁気を帯びておらず、全く通常のものであり得る。
【0267】
磁場は、例えば、アプリケータとは別個の磁気デバイス、またはアプリケータの構成部分を成しているが、塗付している間に組成物と著しく相互作用にないように、塗付用構成要素から十分に離れた磁気デバイスよって生成される。
【0268】
このような方法は、睫毛への伸長効果および/または睫毛へのカール効果を補強すること、ならびに/あるいは睫毛の引き離しを向上させることを可能にする。
【0269】
磁場は、睫毛を長くするおよび/または引き離す目的で、睫毛に実質的に平行である磁力線の下に、睫毛に存在する組成物を置くように生成され得る。磁場は、例えば、睫毛の軸に極軸を実質的に有する磁石または電磁石によって生成され得る。このような磁場は、睫毛の伸長方向への組成物のシフトを促進する。
【0270】
表現「磁性体」は、限定的な仕方で理解されるべきでなく、ゼロでない磁化率を示す、任意の形状の粒子、繊維、あるいは粒子および/または繊維の凝集体を包含する。
【0271】
組成物中の磁性体の濃度は、例えば、約0.05重量%と約50重量%の間、特に、約0.1重量%と約40重量%の間、さらに良好には約1重量%と約30重量%の間である。
【0272】
塗付される組成物は、磁性のある繊維または他の非球状物質、例えば、粒子もしくは繊維の連鎖を含み得る。
【0273】
好ましくは、磁性体は、磁場のない状態において残留磁化を示さない。
【0274】
磁性体には、磁場の磁力線に、その場が永久磁石によって生じたか誘導による結果であるかどうかに関らず、感受性を示すどのような磁性材料も含めることができ、この材料は、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、これらの合金および酸化物、特にFe3O4から、また、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、エルビウム、これらの合金および酸化物から選択される。磁性材料は、「ソフト」または「ハード」タイプのものであり得る。磁性材料は、特に、軟鉄(soft iron)であり得るが、これは、大きな磁化率を示し、太さ増大効果を生じることを容易にし得る。
【0275】
磁性体は、少なくとも1層の磁性材料、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金および酸化物、特にFe3O4を含む多層構造を示すことも示さないこともある。
【0276】
磁性体は、好ましくは、非球状であり、例えば、細長い形を示す。このため、これらの物質が磁場の下に置かれると、それらは、それらの長軸を磁力線に沿って整列させて、それら自体を配向させ、組成物の外観の変化に反映される、配向の変化を受ける傾向がある。
【0277】
磁性体が、実質的に球状の粒子である時、それらの外観は、配向における変化が外観の変化を引き起こすように、好ましくは一様ではない。
【0278】
磁性体の大きさは、それらの形状が何であっても、例えば、1nmと10mmの間、さらに良好には10nmと5mmの間、さらに一層良好には100nmと1mmの間、例えば、0.5μmと300μm、または1μmと150μmの間である。この大きさは、母集団の半数に関して統計分布によって与えられるもの(D50と呼ばれる)である。
【0279】
磁性体が細長い形状を有さないか、またはかなり小さいアスペクト比を有する細長い形状を有する時、粒子の大きさは、例えば、1mm未満である。
【0280】
磁性体は、例えば、磁性顔料、磁性複合材料、磁性繊維、磁性流体、あるいは磁性粒子および/または繊維の連鎖である。
【0281】
磁性顔料
非常に特別に適する顔料は、酸化鉄Fe3O4を含む真珠光沢剤である。磁性を示す顔料は、例えば、Merckにより、Colorona Blackstar Blue、Colorona Blackstar Green、Colorona Blackstar Gold、Colorona Blackstar Red、Cloisonne Nu Antique Super Green、Microna Matte Black(17437)、Mica Black(17260)、Colorona Patina Silver(17289)およびColorona Patina Gold(117288)の商用名で販売されているもの、または別のものとして、Engelhardにより、Flamenco Twilight Red、Flamenco Twilight Green、Flamenco Twilight Gold、Flamenco Twilight Blue、Timica Nu Antique Silver 110 AB、Timica Nu Antique Gold 212 GB、Timica Nu Antique Copper 340 AB、Timica Nu Antique Bronze 240 AB、Cloisonne Nu Antique Green 828 CB、Cloisonne Nu Antique Blue 626 CB、Gemtone Moonstone G 004、Cloisonne Nu Antique Red 424 CB、Chroma-Lite Black(4498)、Cloisonne Nu Antique Rouge Flambe(code 440 XB)、Cloisonne Nu Antique Bronze(240 XB)、Cloisonne Nu Antique Gold(222 CB)およびCloisonne Nu Antique Copper(340 XB)の商用名で販売されているものである。
【0282】
本発明の組成物の配合に加えることができる磁性顔料のさらなる例として、黒色酸化鉄の粒子、例えば、BASFによってSicovit Black E172の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0283】
磁性顔料にはまた、金属鉄、特に不動態化軟鉄、例えば、米国特許第6589331号に記載の方法を用いることによって鉄カルボニルから得られるものも含まれ得る。これらの粒子は、酸化物の表面層を備え得る。
【0284】
磁性繊維
用語「繊維」は、概して細長く、例えば、3.5から2500、または5から500、例えば、5から150の範囲のアスペクト比を示す物質を意味する。アスペクト比は、L/Dの比によって定義され、ここで、Lは、繊維の長さであり、Dは、繊維の最大横断面を枠で囲む円形の直径である。
【0285】
繊維の横断面は、例えば、2nmから500μmの範囲、例えば、100nmから100μm、さらに言えば、1μmから50μmの範囲の直径を有する円形の枠に囲まれ得る。
【0286】
繊維は、例えば、1μmから10mm、例えば、0.1mmから5mm、さらに言えば、0.3mmから3.5mmの範囲の長さを示し得る。
【0287】
繊維は、例えば、0.15から30デニール(9kmのヤーン当たりの重量(グラム))、例えば、0.18から18デニールの範囲の重量を示し得る。
【0288】
繊維は、横断面がどのような形状(例えば、円形または多角形、特に、四角形、六角形もしくは八角形)であってもよい。
【0289】
組成物は、独立している、または互いに結合している(例えば、編まれている)中実または中空の繊維を含み得る。
【0290】
組成物は、例えば擦り取ることによって、尖っていないおよび/または角を取って丸くなった末端を有する繊維を含み得る。
【0291】
繊維は、それらが組成物に導入された時に、それらの形状に、それ程の変化を受けないということがあり得る、例えば、元々、直線状で、それらの形状を保持するのに十分なだけ硬い。変形形態として、繊維は、組成物中でそれらが形状をかなり変えることを許容する柔軟性を示し得る。
【0292】
繊維は、特に鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトもしくはマンガンならびにこれらの合金および酸化物に基づく、ソフト磁性材料、ハード磁性材料、特にFe3O4、希土類金属、硫酸バリウム、鉄-ケイ素合金(モリブデンが任意選択で加えられる)、Cu2MnAl、MnBi、またはこれらの混合物(この列挙は限定ではない)から選択される磁性材料を、最大100%の範囲であり得るゼロでない含量で含み得る。
【0293】
組成物が、磁性粒子を含む繊維を含む時、磁性粒子は、例えば、少なくとも繊維表面に、さらに言えば、繊維表面だけに、または、繊維の内部だけに存在しても、あるいは、また、繊維内に実質的に一様な状態で分散していてもよい。
【0294】
繊維は、例えば、その表面に多数の磁性粒子を有する非磁性コアを備え得る。
【0295】
繊維はまた、その内部に分散した多数の磁性粒子を含む合成物マトリックスを含み得る。
【0296】
適切であれば、磁性粒子を充填された合成材料それ自体は、非磁性シェル(shell)によりコーティングされ得る。このようなシェルは、例えば、1種または複数の磁性材料を雰囲気媒体から隔てるバリアを成す、および/または色を導入できる。繊維は、モノリス磁性コアを含み、非磁性シェルによりコーティングされ得る、またはこの状態は逆にされてもよい。
【0297】
組成物は、1種または複数のポリマー、特に熱可塑性樹脂および/またはエラストマーの押出または共押出によって製造される繊維を含み得る。押し出される1つの材料は、分散した磁性粒子の充填物を含み得る。
【0298】
繊維は、ポリアミド、PET、アセタート、ポリオレフィン(特に、PEもしくはPP)、PVC、ポリエステル-ブロック-アミド、可塑化されたRilsan(登録商標)、エラストマー、特に、ポリエステルエラストマー、PEエラストマー、シリコーンエラストマー、ニトリルエラストマー、またはこれらの材料のブレンド(この列挙は限定ではない)から選択される合成材料を含み得る。
【0299】
組成物は、合成もしくは天然の少なくとも1種の非磁性材料により少なくとも部分的にコーティングされた磁性コアを含む複合繊維を含み得る。磁性コアのコーティングは、例えば、コアの周りに非磁性材料から成るシェルを共押出することによって、実施できる。
【0300】
コアのコーティングは、また、別の方法で、例えば、in situ重合によって実施されてもよい。
【0301】
コアは、モノリスであっても、あるいはマトリックスに分散された磁性粒子の充填物を含んでいてもよい。
【0302】
組成物はまた、合成もしくは天然の非磁性コアを、磁性粒子を充填した合成材料によりコーティングすることによって得られる複合繊維を含んでいてもよく、このコアは、例えば、木材、レーヨン、ポリアミド、植物材料、ポリオレフィン(特にポリエチレン)、Nylon(登録商標)、ポリイミドアミドもしくはアラミド(この列挙は限定ではない)でできた繊維から成り得る。
【0303】
磁性粒子および塗付用デバイスは、特に、文献WO 06/037900に記載されている。
【0304】
フィラー
本発明による第2組成物は、上で定義されたような少なくとも1種のフィラーをさらに含み得る。
【0305】
本発明の組成物は、化粧品に通常用いられる任意の添加剤、例えば、酸化防止剤、保存剤、繊維、芳香剤、中和剤、ゲル化剤、増粘剤、ビタミン、造膜助剤(coalescence agent)、可塑剤およびこれらの混合物をさらに含み得る。
【0306】
繊維
本発明による第1および/または第2組成物は、該組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物に加えて、「さらなる」繊維を含み得る。これらのさらなる繊維は、単独では組成物の糸引き性に寄与しない。
【0307】
前記さらなる繊維は、それらを含む組成物の全重量に対して、0.01重量%から10重量%、特に0.1重量%から5重量%、より特別には0.3重量%から3重量%の範囲の含量で、本発明による組成物中に存在し得る。
【0308】
化粧品活性成分
本発明による組成物に使用され得る化粧品活性成分として、特に酸化防止剤、保存剤、芳香剤、中和剤、エモリエント、保湿剤(moisturizing agent)、ビタミン、および遮蔽剤(特にサンスクリーン)を挙げることができる。
【0309】
言うまでもなく、当業者は、任意選択のさらなる添加剤および/またはそれらの量を選択するのに、本発明による組成物の利点のある特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、または実質的に受けないように、注意を払うであろう。
【0310】
第1および第2組成物は、固体、半固体または液体状で提供され得る。
【0311】
第1および第2組成物は、特に、懸濁液、分散体、溶液、ゲル、エマルジョン、特に、水中油(O/W)、水中ワックスもしくは油中水(W/O)、または多重(W/O/W、もしくはポリオール/O/W、もしくはO/W/O)エマルジョン、クリーム、フォーム(foam)、特にイオン性もしくは非イオン性脂質のベシクルの分散体、2相もしくは多相ローション、スプレー、パウダーまたはペースト、特に、ソフトペーストの形態で提供され得る。各組成物は、好ましくは、リーブ-イン組成物である。
【0312】
本発明による第1および第2組成物は、化粧品分野において一般的に用いられる、知られている方法によって製造され得る。
【0313】
第1組成物は、特に、撚り合せたワイヤによって保持された毛の配列を備えるブラシの形態の、通常のマスカラアプリケータを用いて睫毛に塗付することができる。このような撚り合せブラシは、特に、米国特許第4887622号に記載されている。それは、また、複数の塗付用パーツを備え、特に成形によって得られる櫛状用具の形態でもあり得る。このような櫛状用具は特許FR 2 796 529に記載されている。アプリケータは、例えば、特許FR 2 761 959に記載されているように、容器の構成部分を成していてもよい。有利には、アプリケータは、閉止パーツとそれ自体一体となった棒と、一体になっている。本発明による方法との関連において、第1組成物は、特に、マスカラブラシを用いてケラチン繊維に塗付される。
【0314】
第1組成物は、特に、水中ワックスのエマルジョンの状態で提供される。
【0315】
本発明の方法において、第2組成物は、通常、40℃以上、特に45℃以上、特に50℃以上の温度に加熱される。
【0316】
明らかに、加熱温度は、特に、扱われる支持体(support)が耐えることができる温度に依存する。
【0317】
一実施形態によれば、第2組成物は固体状である。
【0318】
一実施形態によれば、第1組成物は、水中ワックスのエマルジョンの状態で提供され、第2組成物は固体状である。
【0319】
本発明による方法の第1の実施形態によれば、第2組成物は固体であり、それを塗付する前に加熱され、用いられる加熱手段がそれ自体アプリケータであることが可能である。このように、マスカラの場合、第2組成物は、加熱アプリケータ、例えば加熱ブラシを用いて塗付し得る。
【0320】
本発明による方法の別の実施形態によれば、第2組成物は、それを塗付している間に加熱される。このような場合、用いられる加熱手段は、通常、アプリケータそれ自体である。このように、マスカラの場合、第2組成物は、加熱ブラシを用いて塗付し得る。
【0321】
第2の実施形態によれば、第2組成物は、それを塗付した後で加熱される。第1の代わりとなる形態によれば、第2組成物は、加熱操作を特に意図していない手段、例えば、たまたま暖かい物体を用いて加熱され得る。この実施形態の第2の代わりとなる形態によれば、第2組成物は、加熱を特に目的とする手段を用いて加熱され得る。それは、特に、高温の空気を送り出す手段、例えばヘアドライヤー、または下に記載されるような加熱デバイスであり得る。
【0322】
一実施形態によれば、本発明による第2組成物は、粒子、粉末、または粉でできた塊の状態にある。この第2組成物は、加熱補助体(support)を備える、塗付用デバイスを用いて、ケラチン繊維に塗付することができ、組成物は、加熱補助体に連結することによって、アプリケータノズル(ノズルの付属品に合う形状を有する)に存在する、または、組成物は、加熱補助体を、組成物を充填するために、浸漬できる容器内に存在する。
【0323】
一実施形態によれば、第2組成物は、粉末状で提供され、それが軟化するまで、加熱アプリケータ、例えば加熱ブラシまたは櫛状用具の加熱パーツの上に置かれ、次いで、それはケラチン繊維に塗付される。
【0324】
本発明による第2組成物は、パッケージと、
i)該組成物を含む容器、
ii)組成物の塗付用デバイス、および
iii)加熱手段、
を含む、塗付するための組合せとに、一纏めにされ得る。
【0325】
一実施形態によれば、加熱手段は、塗付用デバイスまたは構成要素とは別個のデバイスによって構成され、この組合せはパッケージの形に沿うようになっており、塗付用デバイスは、本発明による第2組成物を含む容器をさらに含む。このようなデバイスは、ブリスターパック型のパッケージ内部に一纏めにされ得る。加熱手段は、米国特許第6009884号または米国特許第5853010号に記載されているタイプのものであり得る。加熱こて(tongs)の形に設計された他のデバイス(睫毛の場合)もまた使用され得る。このようなデバイスは、特に、米国特許第6220252号に記載されている。
【0326】
一実施形態によれば、塗付用デバイスまたは構成要素は、第2組成物を加熱するための手段を備える;特に、塗付用デバイスに結び付いた加熱手段は、棒の少なくとも一部をそれ程加熱しないように配置構成される。
【0327】
図1に描かれたキット1は、マスカラパッケージおよび塗付するための組合せ100、ならびに該パッケージおよび塗付するための組合せとは別個の加熱デバイス50を含む。
【0328】
2つのデバイス100および50は、ブリスターパック型の同一のパッケージで、一緒に販売され得る。製品を含むユニット100は、別個に販売されてもよい。
【0329】
前記パッケージおよび塗付するための組合せ100は、本発明による第2組成物を含む容器2を備え、この容器の上部にネジ付きの突出部3が載せられ、この突出部の自由端部が開口部4を画定する。液切り構成要素(draining member)5が開口部4に装着されている。組合せ100はまた、塗付用デバイス10を備え、これは、棒13と一体になったストッパ11を備え、棒の一方の末端はアプリケータ12を備え、アプリケータは通常、撚り合せた鉄のワイヤの2本の線の間に保持された繊維の配列の形に設計されている。ストッパ11の内側表面は、突出部3のネジと噛み合うようにネジが切られている。こうして、アプリケータ12および棒13が容器2の内側に位置する時、ストッパ11のネジは、突出部3のネジと噛み合い、その結果、ストッパは、漏れない様に、容器の開口部4を密封する。このようなパッケージおよび塗付するための組合せはよく知られている。
【0330】
加熱デバイス50は、米国特許第6009884号に記載のものに従う。それは、掴む部分51、およびキャップ52を主として含む。バッテリーが、掴む部分51の内部に置かれ、加熱ワイヤ53に接続されており、加熱ワイヤは、棒54に配置された螺旋巻きの形に設計されている。スイッチ55は、デバイスに電圧を加え、その都度電圧を切ることを可能にする。LED56は、それが色を変える時、デバイスが求められる温度にあるので、それがいつでも使えることを示す。
【0331】
バッテリーによる加熱部分への供給は12Vである。消費される電力は約1ワットである。加熱ワイヤ53は、ニッケル/クロム合金からなり得る。
【0332】
図2の実施形態においては、アプリケータ12は、金属シリンダーからなり、その周囲の少なくとも一部は、その長手軸に直交する溝が付けられている。溝付きシリンダーは、特に接着剤による接合によって、棒13の末端に接着されている。加熱抵抗53は、アプリケータ12の実質的に全長に渡って延びており、溝付きの部分の丁度反対の位置に配置されている。加熱抵抗53は、シリンダーの表面に長手方向に切られた溝に配置され得る。
【0333】
このように、加熱抵抗53は、溝付きシリンダー上に存在する第2組成物を加熱し、溝付きシリンダーの溝付き部分は、専ら睫毛に製品を塗付するために、また睫毛の分離のために用いられる。
【0334】
一実施形態によれば、第2組成物は、ブラシ12を用いて、通常の通り低温条件下に、睫毛に塗付され、次いで、塗付した後に加熱される:使用者は、付着した製品層を第2組成物の糸引き温度まで上げるように、デバイス50の加熱部分53を睫毛に当てたままにし、次いで、睫毛の延長として糸を生成するように、睫毛の上に生成された、加熱デバイスによって引き伸ばす。
【0335】
冷却により、糸は、睫毛の延長として固定されるので、伸長効果を得ることを可能にする。
【0336】
別の実施形態によれば、マスカラは固体状であり、加熱デバイス50だけと共に用いられる。それは、加熱デバイス50の加熱部分53に接触させられ、次いで、付着した製品層を第2組成物の糸引き温度間まで上げるように、加熱される。次に、使用者は、デバイスの加熱部分53を睫毛に当てたままにし、次いで、睫毛の延長として糸を生成するように、デバイスにより、睫毛に形成された付着層を引き伸ばす。
【0337】
下に見られる実施例は、本発明の限定を含意することなく、例示として与えられている。特に断わらなければ、示される量は、重量パーセントを表す。
【実施例1】
【0338】
マスカラキット
次の組成を有するマスカラを調製した。
【0339】
【表1】

【0340】
第2組成物
A相
パラフィンワックス(30〜50%)と、28%の酢酸ビニルを含むエチレン/酢酸ビニルコポリマー(50から65%)との混合物 95%
B相
黒色酸化鉄 5%
【0341】
手順
この組成物は、6つの独立したバレル(各々が、新しい相を導入し、温度を設定することを可能にする)を備える2軸混合機/押出機(Prism型、Thermo Electron Corporation製、英国)で調製する。6つのバレルは、入口から生成物の出口へと、1から6の番号を付ける。流量は2kg/h(1000rpm)である。
【0342】
相AおよびBの成分は、それぞれ、第1および第2バレルに導入され、そこで、それらは100℃に加熱され、次いで、2相は高温条件下に混合される。
【0343】
次に、組成物は、固体配合物の小さな板状物を得るように、アイスボックスで冷却し、次いで、-200℃のQuadroミルで、0.5mmの篩上で、極低温粉砕する。粉でできた塊の状態の組成物を得る。
【0344】
組成物1Aから1Dの各々を、通常のマスカラブラシを用いて、睫毛の試験試料(A、B、CおよびDと呼ぶ)に塗付する。
【0345】
次に、粉末状の第2組成物は、(加熱ブラシタイプの)加熱アプリケータの加熱部分に置かれ、組成物は軟化し、次いで、第2組成物を、各試験試料(第1組成物によりコーティングされている)の睫毛の末端に、アプリケータを用いて、付着した層を引き伸ばしながら、塗付する。この第2組成物は、また、第1組成物によりコーティングされていない「未処理」睫毛の試験試料(試験試料Eとして区別される)の睫毛の末端にも塗付する。
【0346】
第2組成物は、約70℃で糸が35mmの平均長さを有する高温糸引き性を示す。得られる糸は、細く、硬く、また黒い。それらは、それらの自重により曲がらないだけ十分に硬く、直立した状態を保つ。
【0347】
次に、試験試料からのメイクアップの除去の容易さを、次の手順に従って評価する:各試験試料を、LancomのEffacilメイクアップ除去用ローションを含侵させた脱脂綿の塊(swab)に10秒間、挟んで押さえ、次いで、試験試料からメイクアップを除去するために、脱脂綿の塊を引いて除く。
【0348】
次の結果を得る。
【0349】
【表2】

【0350】
第2組成物の前に、第1ベースコート組成物を睫毛に塗付することにより、マスカラフィルムの除去を容易にすることが可能になる。
【0351】
第2組成物として、以下の実施例2、3、4、5、6、7および8のマスカラ組成物を用いることができる。
【実施例2】
【0352】
次の組成を有するマスカラを調製した。
Coolbind 34-1300、National Starch 20%
オクチルドデカノール 8.67%
リン酸、セチルアルコールおよび水との混合物としての79.5%セチルリン酸カリウム(Arlatone MAP 160K、Givaudan) 3.57%
Peg-30ステアリン酸グリセリル 8.67%
ポリソルベート80を含むイソヘキサデカン中のアクリルアミド/AMPS Naコポリマー(Simulgel 600(登録商標)、SEPPIC) 0.96%の活性物質
保存剤 十分量
黒色酸化鉄 2.4%
水 100%とするのに十分な量
【0353】
手順
エチレン/酢酸ビニル、オクチルドデカノール、PEG-30ステアリン酸グリセリル、セチルリン酸カリウムおよび顔料を、高温(約95℃)条件下に激しく混合する。
【0354】
次いで、85℃に加熱した水性相(水およびアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーおよび保存剤)の一部を加えることによって、エマルジョンを調製し、次に、80℃で10分間、激しく撹拌した後、残りの水性相(これは雰囲気温度のままであった)を加える。
【0355】
得られたマスカラは、黒色で、光沢があり、滑らかである。それは、糸が20mmの平均長さを有する高温糸引き性を示す。得られる糸は、細く、しなやかであり、また黒色である。
【実施例3】
【0356】
マスカラ
1/ポリ(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラート)ポリマーの調製
100gのイソドデカンを、1リットルの反応器に導入し、次いで、雰囲気温度(25℃)から90℃まで1時間で変わるように温度を上げる。
【0357】
次に、90℃で1時間かけて、120gのイソボルニルアクリラート、90gのイソブチルメタクリラート、110gのイソドデカンおよび1.8gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Trigonox(登録商標)141、Akzo Nobel)を加える。
【0358】
混合物を90℃で1時間30分保つ。
【0359】
次いで、90gのイソブチルアクリラート、90gのイソドデカンおよび1.2gの2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンを、90℃のままで30分間かけて、先の混合物に導入する。
【0360】
混合物を90℃に3時間保ち、次いで、冷却する。
【0361】
イソドデカン中に50%のポリマー活性物質を含む溶液を得る。
【0362】
75℃のTgを有するポリ(イソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート)第1ブロック、-20℃のTgを有するポリイソブチルアクリラート第2ブロック、およびイソボルニルアクリラート/イソブチルメタクリラート/イソブチルアクリラートのランダムポリマーである中間ブロックを含むポリマーを得る。
【0363】
このポリマーは、144 200g/molの重量平均分子量、および49 300の数平均分子量を、すなわち、2.93の多分散指数(I)を示す。
【0364】
2/次のマスカラを調製する。
【0365】
【表3】

【0366】
組成物のdmaxは、上で示したプロトコルに従って求めた:このマスカラは、約12mmのdmaxを示す。
【実施例4】
【0367】
マスカラ
【0368】
【表4】

【0369】
このマスカラは、上で示したプロトコルに従って求めて、約24mmのdmax糸引き性を示す。
【実施例5】
【0370】
マスカラ
100%のポリ酢酸ビニルホモポリマー(Raviflex BL1S、Vanavil)を含む固体マスカラを調製する。
【0371】
このマスカラは、上で示したプロトコルに従って求めて、約29mmのdmax糸引き性を示す。
【0372】
組成物は、加熱アプリケータの加熱部分に置かれ、組成物は軟化し、次いで、マスカラは、アプリケータを用いて、付着した層を引き伸ばしながら、睫毛に塗付される。
【実施例6】
【0373】
マスカラ
次の組成を有するマスカラを調製する。
エチレン/酢酸ビニルコポリマー(Elvax 205W、DuPont) 41.47%
スチレン/メチルスチレン/インデン/スチレンの水素添加されたコポリマー(Regalite R1100、Eastman) 48.53%
パラフィンワックス 10%
【0374】
成分は、140℃で混合し、次いで、混合物を、雰囲気温度まで放冷する。
【0375】
色の白い固体マスカラを得る。
【0376】
この組成物のdmaxは、上で示したプロトコルに従って求められる:このマスカラは、約30mmのdmaxを示す。加熱後、このマスカラは、細く、しなやかで、透き通った糸を生成する。
【実施例7】
【0377】
次に組成を有するマスカラを調製した。
Coolbind 34-1300、National Starch 96%
黒色酸化鉄 4%
【0378】
成分は、100℃で混合し、次いで、混合物を、雰囲気温度まで放冷する。
【0379】
色の黒い固体マスカラを得る。
【0380】
この組成物のdmaxは、上で示したプロトコルに従って求められる:このマスカラは、約35mmのdmaxを示す。
【実施例8】
【0381】
次の組成を有するマスカラを調製できる。
ポリフェニルシロキサンT樹脂(Dow Corning(登録商標)Z-6018中間体) 98%
顔料 2%
【0382】
成分は、100℃で混合し、次いで、混合物を、雰囲気温度まで放冷する。
【0383】
着色した固体マスカラを得る。
【0384】
この組成物のdmaxは、上で示したプロトコルに従って求められる:このマスカラは、約25mmのdmaxを示す。
【0385】
加熱後、このマスカラは、着色し、硬く、太い糸を生成する。
【符号の説明】
【0386】
1 キット
2 第2組成物を含む容器
3 ネジ山付き突出部
4 開口部
5 液切り構成要素
10 塗付用デバイス
11 ストッパ
12 アプリケータ
13 棒
50 加熱デバイス
51 掴む部分
52 キャップ
53 加熱ワイヤ(抵抗)
54 棒
55 スイッチ
56 LED
100 マスカラパッケージおよび塗付するための組合せ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維に、
-化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、および
-組成物が40℃以上の温度にされた時に、前記組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む第2組成物
を塗付することを含み、前記第2組成物が、それを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、40℃以上の温度にされる、
ケラチン繊維のメイクアップのための、または非治療的ケアのための化粧方法。
【請求項2】
第1組成物が、a)オイル、b)40℃を超え、好ましくは45℃以上、さらに良好には50℃以上、さらに一層良好には60℃以上の融点またはガラス転移温度を示す化合物、およびこれらの混合物から選択される第1化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1化合物が、第1組成物の全重量に対して、0.1から70重量%、好ましくは0.5から60重量%、さらに良好には1から50重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
40℃を超える1次転移温度を示す第1化合物が、25℃で固体である粒子状で供給されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
40℃を超える1次転移温度を示す化合物が、ワックス、フィラー、金属酸化物、金属粒子およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
第1化合物が、60℃以上、好ましくは70℃以上の融点を示すワックスから選択される少なくとも1種のワックスを含むことを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
第1化合物が、テトラフルオロエチレンポリマーから成る粉末から選択される少なくとも1種のフィラーを含むことを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
第1化合物が、非揮発性オイルから選択されることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
第1化合物がエステルオイルから選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の方法。
【請求項10】
第2組成物が、7mm以上、さらに良好には10mm以上、さらに良好には15mm以上のdmaxを示すことを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の方法。
【請求項11】
第2組成物が、それがdmax糸引き性を示す温度にされることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の方法。
【請求項12】
第2組成物が、45℃以上、さらに良好には50℃以上、さらに一層良好には60℃以上の温度にされることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
第2組成物が、150℃まで、好ましくは120℃まで、さらに良好には100℃まで、さらに一層良好には95℃までの温度にされることを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、熱可塑性挙動を示すことを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、
a)少なくとも1種のアルケンモノマーを含むポリマーおよびコポリマー、特にエチレン性コポリマー、
b)ポリ酢酸ビニルホモポリマー、
c)シリコーン樹脂、
d)フィルム形成性エチレン性ブロックポリマーであって、異なるガラス転移温度(Tg)を有する、少なくとも1つの第1ブロックおよび少なくとも1つの第2ブロックを好ましくは含み、前記第1および第2ブロックは、第1ブロックの少なくとも1種の構成モノマーおよび第2ブロックの少なくとも1種の構成モノマーを含む中間ブロックを通じて互いに結び付いているポリマー、
e)ジエンとスチレンとのコポリマー、
f)スルホポリエステル、
g)ワックス、
h)繊維、
ならびにこれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、
-アルケンと酢酸ビニルとのコポリマー、特にエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、
-エチレンとオクテンとのコポリマー、
-ポリ酢酸ビニルホモポリマー、
-Tシリコーン樹脂、例えば、ポリフェニルシロキサン、
-アルキルメタクリラート、アルキルアクリラートおよびこれらの混合物から選択されるモノマーから本質的に得られるフィルム形成性エチレン性ブロックコポリマー、
-ブタジエンとスチレンとのコポリマー、
-ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸およびスルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマー、
ならびにこれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1から15の一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から16の一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、ワックス、およびエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
ワックスがパラフィンワックスであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ワックス、およびエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーの混合物が、混合物の全重量に対して、50から65重量%のエチレン/酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
ワックス、およびエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーの混合物が、混合物の全重量に対して、35から50重量%のパラフィンワックスを含むことを特徴とする、請求項18から20に記載の方法。
【請求項22】
エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが、ポリマーの全重量に対して、25重量%を超える酢酸ビニルを含むことを特徴とする、請求項17から21の一項に記載の方法。
【請求項23】
エチレン/酢酸ビニルコポリマーが、50 000から80 000、さらに良好には60 000から70 000、さらに一層良好には63 000から73 000の範囲の重量平均分子量(Mw)を示すことを特徴とする、請求項17から22の一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、組成物の全重量に対して、5重量%以上の乾燥物質としての含量で存在することを特徴とする、請求項1から23の一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2組成物に5mm以上のdmax糸引き性を付与する化合物または化合物の混合物が、組成物の全重量に対して、5から100重量%の範囲、好ましくは10から90重量%、さらに良好には12から100重量%の範囲の乾燥物質としての含量で存在することを特徴とする、請求項1から24の一項に記載の方法。
【請求項26】
第1組成物が水性相を含むことを特徴とする、請求項1から25の一項に記載の方法。
【請求項27】
水性相が、それを含む組成物の全重量に対して、5重量%から95重量%を占めることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
第1組成物および第2組成物がマスカラであることを特徴とする、請求項1から27の一項に記載の方法。
【請求項29】
第2組成物が固体状であることを特徴とする、請求項1から28の一項に記載の方法。
【請求項30】
第2組成物が、組成物の全重量に対して、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらに良好には5重量%未満の水を含むことを特徴とする、請求項1から29の一項に記載の方法。
【請求項31】
第2組成物が、粒子、粉末、または粉でできた塊の状態にあることを特徴とする、請求項1から30の一項に記載の方法。
【請求項32】
第2組成物が、ケラチン繊維にそれを塗付する前に、それを塗付すると同時に、またはそれを塗付した後で、加熱手段を備える塗付用デバイスを用いて、40℃以上の温度にされることを特徴とする、請求項1から31の一項に記載の方法。
【請求項33】
第2組成物が、ケラチン繊維、特に睫毛の、上側毛先の上に付けられることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
-化粧品に許容される媒体を含む第1組成物、
-ケラチン繊維のメイクアップおよび/またはケアのための第2組成物であって、40℃以上の温度にされた時に、前記組成物に、5mm以上のdmax糸引き性を付与する少なくとも1種の化合物または化合物の混合物を含む組成物、および
-前記メイクアップおよび/またはケア組成物を塗付するためのデバイス;ならびに/あるいは、前記第2組成物を、それを塗付する前に、塗付すると同時に、または塗付した後で、40℃以上の温度にするための加熱手段
を含む、ケラチン繊維、特に、睫毛または眉毛のメイクアップおよび/またはケアのためのキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−503141(P2011−503141A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533563(P2010−533563)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065362
【国際公開番号】WO2009/062947
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】