説明

2ステージ運動エネルギースプレー装置

2ステージ運動エネルギースプレー装置は、第1ノズルを有する第1ステージを有し、第1ノズルは、粒子流れを受容する受容端と、第1ノズル受容端に軸方向に位置する注入端とを有し、注入端は受容端からの微粒子流れを受容する。第2ステージは、第2ノズルを有し、第2のノズルは流出ガスを受容するガス受容部分、ガス受容部分の下流にある収束部分、収束部分の下流にある発散部分を有し、収束部分と発散部分が喉部で会う。粒子流れは、第2ノズル発散部分に位置する第1ノズルで第1速度に加速される。流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速される。第1ノズル注入端シェブロンは、微粒子と超音波の流出流れがスプレー装置を出る前に混合することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連した出願への相互参照]
この出願は、2007年10月24日に出願の米国第11/923,298号について優先権を主張し、参照によってここに組み込まれる。
【0002】
[連邦によって後援された研究または開発に関する声明]
適用可能ではない。
【0003】
[コンパクトディスク付録への言及]
適用可能ではない。
【0004】
本発明は、一般的には、コーティングの散布に関する装置及び方法に関し、そして、特に2−ステージ運動エネルギースプレー装置に関する。
【背景技術】
【0005】
熱スプレーは、通常、粉または他の貯蔵材料が、エネルギーを有するガスの流れに供給されるコーティング方法として記載される。そのガスは、熱せられ、加速されているか、又は熱せられ且つ加速されている。原材料はエネルギーを有するガスの流れによって取り込まれる。そこから、原材料は、熱及び/又は運動エネルギーを受ける。この吸収された熱または運動エネルギーは、原材料を柔らかくして、エネルギーを与える。エネルギーが与えられた原材料は、次に、付着して、固まる場所である表面の上に衝突して、そして、薄い層を続けて繰り返した外装材による熱的にスプレーされた比較的厚いコーティングを形成する。
【0006】
従来の冷スプレー装置は、ラバルタイプ収束/発散ノズルの喉部の前か後に、粉原材料を注入する。ノズルの前に原材料が注入される場合、それは典型的には、収束ノズル部の始まりで、又はその近くで、軸方向で実行され、そして、粉原材料はラバル・ノズルを通じて熱されて、加速される。これは粒子を比較的均一な加速プロフィールを有することを可能にする。しかし、粒子はまた同じく高いガス温度の影響を受ける。その高いガス温度は、ガス速度がガス温度の平方根の関数であるので、ラバル・ノズルの最適性能のために必要とされる。これらの最適な温度、典型的には500Cを上回り、粉原材料を予め柔らかくする。それらの粉原材料は、喉部にあるノズル壁に固着する粉がしばしばできる。もう一つの制限は、ガス温度が粒子速度と粒子温度を直接制御するので、粒子の熱を独立して制御することができないということである。
【0007】
喉部の後の原材料の注入は、ノズルの発散区画に沿ってどこでも、放射状に実行される。ガスが膨張していて、速く冷却しているときに、粉原材料が注入されるので、この方法には、粒子温度に幾分かの独立性をもたらすだけでなく、ノズル喉部に粉を積ませないという長所がある。重要な短所は、粉原材料が超音波ガス流れに注入されるということである、そして、ガスと粒子の間の速さの違いは、非常に顕著なドラッグ加熱とエネルギー浪費の結果をもたらす。その結果、運動ガス・エネルギーの部分が計測可能なほどにガスと粒子の両方の熱に変えられる。したがって、粒子とガスの間の速さの違いがより大きくなればなるほど、無駄になる運動エネルギーは指数的に増加する。
【0008】
ある熱スプレー付加の場合、原材料を軸方向にエネルギーを与えられたガス流れに吹き込むことは、他の原材料注入方法よりも優れた利点を示すと以前から認められている。一般的に、原材料は通常、放射注入として記載されている方向の流れに供給される。言い換えると、その方向は、通常、ガス状流れの行程の一般的な方向に対して垂直である。放射注入は、粒子を流出流れに混入する効果的な手段を提供するものとして一般的に用いられて、このように短いスパンでエネルギーを粒子に移す。これは、短いスプレー距離と高い熱の蓄積が、その行程でコーティングを適切にするために、迅速な混合とエネルギー移動を要求するケースである。軸注入は放射注入に勝る利点を提供することができる。それは、軸方向に注入されるとき、原材料粒子の直線性と軌道の方向とをよりよく制御することが可能であるためである。他の利点は流出流れの中心地域に微粒子があることを含む。そこでは、エネルギー密度が最も高くなりがちであって、従って、微粒子にエネルギー増加の最大の可能性をもたらしうる。なお、さらに、軸注入は、現在行われている放射注入技術よりも少ない流出流れを分断させる傾向がある。
【0009】
したがって、多くの熱のスプレープロセス銃において、原材料粒子の軸注入は、単に流出物としてこの開示において記載されている熱い及び/又は加速されたガスに、キャリアガスを使用して、粒子を注入するためには好ましい。流出物は、プラズマ、電気的に加熱されたガス、燃焼加熱されたガス、冷たいスプレー・ガスまたはその組合せであり得る。エネルギーは、流出物から、キャリアガス流れの粒子へと移される。流れフローと2相フローの性質のために、この混合と続くエネルギーの移動は、軸フローで制限されて、2つの流れ、流出物と微粒子担持キャリアが、2つのフローの間の境界層が壊れて、このように混ざるのを許すために、十分な時間と旅行距離を与えられることを必要とする。この行程距離の間、熱移動と摩擦を通じて周囲にエネルギーを失い、そして、効率を失い、混合されたフローが遅くなる両方の結果がもたらされる。軸注入を利用する多くの熱スプレープロセス銃は、この混合とそれに続くエネルギー移動を考慮に入れることを通常要求されるよりも長く設計される。
【0010】
微粒子担持キャリアと流出流れとを混合するためのこれらの制限は、微粒子を含んだキャリア流れが液体であるとき、さらになお、明確になり、そして、多くの場合に、それらは軸注入熱スプレープロセス銃への液体供給の有効利用を妨げる。液体の注入技術については、細かい液滴の流れを生成するために、ガス微粒化の使用は、その液体を液体の注入が完全に働くのをより素早く可能にするための流出流れに混ぜることを助ける。しかしながら、この方法は、まだ、ガスと細かい液滴流れと流出流れとを混ぜ且つエネルギーを移すことを可能にするために、かなりの距離が要求される。この方法も、流れフローにある程度の乱流が生成される。
【0011】
不連続性の導入とフローの衝突のような混合を促進する試みも、乱流をもたらす。短い距離で混合することを確実にするために、プラズマのような、熱のスプレープロセスで一般的に用いられる放射注入は、また、2本の流れが直角に交差するので、乱流をもたらす。実際、現在迅速な混合を促進する注入の大部分の許容できる方法は、乱流を混合を促進する手段として故意に導入する方法を使用する。乱流は、フローの間で境界層を壊すのに使用され、そして、一旦これが達成されれば、混合が起こることができる。
【0012】
フローフィールドが常に流動にあるので、追加された乱流は、流出物と微粒子担持キャリア流れの間でしばしば予測できないエネルギー移動をもたらす。この追加の乱流は、エネルギーの移動をもたらすフローフィールド内で、バリエーションを生じる。乱流は、カオスプロセスであるので、異なる長さの規模の渦の形成を引き起こす。乱流運動の大部分の運動エネルギーは、大規模構造に含まれる。エネルギーは、慣性及び基本的に非粘性の機構で、大規模な構造からより小規模構造まで「つながる」。このプロセスは、渦の階層を生じる、さらに小さな構造を生成し続ける。結局、このプロセスは、分子拡散が重要になって、エネルギーの粘着消散が最終的に起こる、十分に小さい構造を作る。これが起こるスケールは、コルモゴロフ長さスケールにある。このように、乱流は、運動エネルギーの一部が熱エネルギーに転換することをもたらす。その結果は、粒子が移動するための運動エネルギーよりもむしろより多くの熱エネルギーを発生するプロセスであって、そのような装置の性能を制限する。1以上の乱流を有することにより、プロセスは複雑になり、そして、述べられたように、結果は予測できない。
【0013】
フローが壁の範囲内に含まれる場合に、乱流は流出フローフィールドの少なくとも境界層の一部の損失をもたらし、このようにフローの範囲内で摩擦の影響だけでなく周囲にエネルギーの移動を促進させるので、乱流はまた周囲にエネルギー損失を増やす。チューブのフローのために、層フローのための圧力低下は、フローの速度と比例している。対照的に、乱流のために、圧力低下は、速度の二乗に比例している。これは、周囲と内部摩擦にエネルギー損失のスケールの良い徴候を与える。
【0014】
冷スプレーガンの新規な構造は、特許文献1として特許された。それは、ノズルに通されるガスのフローに注入される粒子の流れを速めるために、一つの収束/発散ノズルを利用する。ガスフローは、さらに速度を上げるために熱せられた。ガスのこの速度増加は、ガス速度がガス温度の平方根と比例している関係の好ましい結果であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,302,414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、改善された方法及び装置が、熱スプレープロセス銃に軸方向に注入される物質との迅速な混合を促進する技術が必要である。それは、結果として、フロー流れの乱流の発生を制限して、混合流れの運動効率を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
記載される発明は、大きな乱流を流出又はキャリア流れに導入することなく、増加した効率を備えた、加熱された及び/又は加速された流出流れを備えたキャリア流れに、軸方向に供給された粒子を混合することを促進するための改善された装置および方法を提供する。発明の実施形態は、軸注入ポートと、流出ガスの導入のために第2ノズルにセットされたシェブロンを備えているか又は備えていないノズル端、を備えた最初のノズルを有する熱のスプレー装置を利用し、それによれば、微粒子ノズル端が、第2のノズルの喉部の下流に粒子流れを注入する。この出願の目的では、「シェブロン・ノズル」という語は、円周方向に不均一性な種類のいずれのノズルをも含むことができる。
【0018】
2ステージ運動エネルギースプレー装置は、第1ノズルを有する第1ステージであって、第1ノズルは、原材料とキャリアガス流れを受ける第1ノズル受容端、第1ノズル受容端に対して軸方向に位置する第1ノズル注入端、を有し、第1ノズル注入端は、第1ノズル受容端から原材料とキャリアガス流れを受け取り、受容端の断面が注入端の断面より大きい第1ノズルを有する第1ステージ、;と、
第2ノズルを有する第2ステージであって、第2のノズルは流出ガスを受けるガス受容部分と、ガス受容部分から下流にある収束部分と、収束部分から下流にある発散部分とを有し、収束部分と発散部分が喉部で会う第2ノズルを有する第2ステージ;とを有し
そこでは、第1ノズルは、第2ノズル内に位置し;
そこで、粒子流れは、第1ノズルで第1速度に加速され;
そこで、流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速され;
そして、そこで、第1ノズル注入端は、第2ノズル発散部分に位置する。
【0019】
換言すると、2ステージ運動エネルギースプレー装置は、第1ノズルを有する第1ステージを有し、第1ノズルは原材料とキャリアガス流れを受ける第1ノズル受容端を有し、そして、第1ノズル注入端は、第1ノズル受容端に対して軸方向に位置し、第1ノズル注入端は、原材料と第1ノズル受容端からのキャリアガスとを受容し、そして、受容端の断面は、注入端の断面より大きい。この第1ノズルは、通常、第2ノズルの軸方向に設置される。第2ステージは第2のノズルを有しており、そして、第2ノズルは流出ガスを受容するガス受容部分、ガス受容部分から下流にある収束部分、収束部分から下流にある発散部分を有している。収束部分と発散部分は、喉部で会っている。流出ガスは、ガス受容部分に放射状に入り、そして、そのガスが収束部分に入るように軸方向動作に移行する。ガスは、そして加速する。1つの実施形態において、第2ノズル収束/発散部分は、デ・ラバル・ノズルの形態である。粒子流れは、第1ノズルで第1速度に加速され、そして、流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速される。1つの実施形態において、第1ノズルの粒子流れは、亜音速の速度または音速に加速され、そして、第2ノズル中のガスは超音速に加速される。これらの速度は、マッハ、すなわち、温度、圧力と媒体の組成のローカル条件の下での音の実際の速度、と比較してある点に留意する必要がある。混合目的のため、及び、運動エネルギーの移動を最大にするために、第1ノズル注入端は、第2ノズル発散部分に位置する。1つの実施形態において、この場所は、ちょうど喉部を過ぎている所にある。
【0020】
もう一つの実施形態において、2ステージ運動エネルギースプレー装置を用いたコーティングを形成する方法は、以下のステップから成る:
第1ノズル受容端で原材料とキャリアガス流れを受容するステップ;
第1ノズルを通って原材料とキャリアガス流れを軸方向に伝達するステップ;
第1ノズル注入端で原材料とキャリアガス流れを受容するステップ;
第1ノズル注入端からの原材料とキャリアガス流れを注入するステップ;
流出ガスを任意選択的に加熱するステップ;
第2ノズルガス受容部分で流出ガスを受容するステップ;
収束部分がガス受容部分の下流にある第2ノズルの収束部分を通して流出ガスを加速するステップ;
収束部分と発散部分が喉部で会っており、収束部分から下流の第2ノズルの発散部分を通して流出ガスを加速するステップ;
そして、流出ガスとともに、原材料とキャリアガス流れを混合するステップ;
ここで、受容端の断面が注入端の断面より大きく;
ここで、第1ノズルは、第2のノズルに内側にあり;
ここで、粒子流れは、第1ノズルで第1速度に加速され、;
ここで、流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速され;
そして、ここで、第1ノズル注入端は、第2ノズル発散部分に位置する。
【0021】
発明のさらなる長所は、後に続く説明に述べられ、そして一部は説明から明らかであり、或いは、発明の実施によって分かることができる。発明の長所は、特に以下に指し示される手段と組合せによって理解されて得られることができる。
【0022】
発明の更なる理解を提供するために含まれ、この明細書中に取り入れられる、この明細書の一部を構成する添付の図面は、発明の原理を説明するのに役立つ記載と共に、発明の実施例を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】発明の実施形態による運動熱スプレーガンの出口ノズル領域の切取斜視図である。
【図2】発明の実施形態による第1注入ノズルの斜視図である。
【図3】発明の実施形態によるシェブロンを備えた第1注入ノズルの斜視図である。
【図4】発明の実施形態による広がったシェブロンを備えた第1注入ノズルの斜視図である。
【図5】発明のもう一つの実施形態によるシェブロンを含む軸注入ポートの末端部の斜視図である。
【図6】シェブロンを使用しない、軸の注入速度粒子流れの概略図を提供する。
【図7】本願発明の実施例による非傾斜のシェブロンを使った軸注入速度粒子流れの概略を提供する。
【図8】本願発明の実施例による20度外向きに傾斜したシェブロンを使った軸注入速度粒子流れの概略を提供する。
【図9】図1の中で表されている線IX−IXに沿って切り取られた断面である。
【図10】視覚的に本発明の1つの実施形態の2−ステージ粒子加速を描く。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明の好ましい実施形態で詳細に説明がされ、その例が添付の図面に図示される。
【0025】
図1は、運動銃110と運動スプレーガンの発散出口ノズル118領域の切取概略図を提供する。軸注入ポート114は、出口を定めているポートの末端部で、複数のシェブロン120で示される。シェブロンの各々は、通常、三角形に構成される。シェブロン120は放射状に位置して、そして、いくつかの実施形態において、軸注入ポート114の末端部の周辺まわりで等しく間隔が空けられる。シェブロン120を軸注入ポート114に導入することは、2つのフロー流れFとFの間でそれらが出会って混合することを増加させる。運動銃110を通過して流れてノズル118で加速される流出流れのエネルギーは、すぐに流出物の熱及び運動特性を、これらのシェブロンを使用して、キャリア流れ及び微粒子に移行させる。
【0026】
図2は、従来の軸注入ポート末端部を有する発明の実施形態による、第1注入ノズルの斜視図を提供する。対照的に、図3は本願発明の実施形態による4つのシェブロン120を含む軸注入ポート114の末端部を示している発明の実施形態により、第1注入ノズルの斜視図を供給する。いくつかの実施形態において、各々のシェブロン120は軸注入ポート114の一般的な三角形形状の拡張を含む。図3の実施形態において、各々のシェブロン120は、通常、シェブロンが加えられる軸注入ポート114の壁と平行である。図4に示されるもう一つの実施形態は、シェブロン130を具体化し、シェブロン130は、フレアー状である、曲がっている、湾曲している、そうでなければ、注入ポート114の末端部を定めている平面に対して放射状に外向きである。もう一つの実施形態において、シェブロンはフレア状である、曲がっている、湾曲しているか、そうでなければ、軸の注入ポートの末端部を定めている平面に対して、放射方向の内側に向けられることができる。シェブロンが内側又は外側に90度までの傾きの角度は、改善された混合を提供する一方、好ましい傾き角度は0〜約20度の間とすることができる。約20度を超える傾き角度は、改善された混合を提供するが、相対的なフロー速度と密度に応じて望ましくない渦流と乱流を生じる傾向もありうる。
【0027】
図4は、等しくフレア状になっているシェブロン130を示す一方、他の考えられる実施形態は、非対称銃ジオメトリー、熱スプレーガンでしばしば存在する渦の影響の補償、あるいは他の所望の非対称要求と一致することができる非対称フレアーのシェブロンを有することができる。他の実施形態において、異なる形や配置が、図3と4に示されるシェブロンの代わりに使用されることができる。本願出願の目的のためには、「シェブロン・ノズル」という用語は、周辺方向に不均一な種類の任意のノズルをも含むことができる。他のシェブロン形の非限定的な例は、放射状に間隔が空けられた矩形、曲がった先端のシェブロン、半円形、及び、フロー混合又は以下に記載されるような制御された擾乱をもたらす先端に切られることができるか、付けられることができる他の任意の形状を含む。シェブロンパターンは繰り返されることができ、あるいは、形が相違するシェブロンを使用することにより形成されるランダムな不連続の集合とすることができる。本願出願の目的のために、そのような代わりの形状が、一般用語シェブロンに含まれる。もう一つの実施形態において、各々のシェブロンの壁厚は、シェブロンの点の方へ先細りになることができる。
【0028】
ほとんど、全ての数のシェブロンを、混合の補助に使用することができる。4つのシェブロン120、130が、それぞれ図3と4の実施形態で示される。幾つかの実施形態において、4つから6つのシェブロンが、ほとんどの応用に理想的でありうる。しかしながら、他の実施形態は、本願の発明の範囲から離れることなしに、より多くかより少しのシェブロンを使用することができる。図1の中で表される運動熱スプレーガンのために、軸注入ポート114の末端部の上のシェブロンの数は、フローパターンの対称性のために運動銃110での均一で予想できる混合を生ずることを可能にするために、放射注入ポート112の数と一致させることができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、様々な図面で示されているシェブロンは、通常軸注入ポートの均一な拡張である。他の実施形態において、シェブロンは存在している通常の軸注入ポートに、例えば、機械的取り付けにより組み込まれる。組み込み方法には、当該技術分野で知られているクランプ、バンド、溶接、リベット、ネジ又は他の機械的な取り付け具の使用を含むことができる。シェブロンは典型的には軸注入ポートと同じ材料から作られる一方、同じ材料であることを必要としない。シェブロンは軸供給ポート環境のフロー、温度及び圧力に適した技術分野で知られている様々な材料から作られることができる。
【0030】
図5は、本願の実施形態において熱スプレー銃のためにモデル化されたフロースプレー経路のコンピューターによりモデル化された様々な断面の概略を提供する。図面の下部は、ノズル118及び軸注入ポート114の側面図を示し、上には、様々な点での流出物及びキャリアフロー経路の断面204a、204b、204c、204dが示される。図5を参照して、微粒子担持キャリアフローF並びに、加熱された及び/又は加速された流出物Fがシェブロン120に到達するので、フローの間の圧力、密度等のような、物理的差異が、フローの間にある境界を、断面202で示されているような、軸注入ポート114による影響により典型的には円柱状である初期界面形状から、断面204aで示されている花状又はアスタリスク状の形状に変えることを引き起こし、フローF及びFの間の共有された境界領域を増加させる。フローF及びFは、シェブロン120の長さ方向に下って圧力を均一化するように進展するので、フローF及びFの間に存在する圧力の差が、流出物F又はキャリアFのいずれかの、より高い圧力のフローを、圧力差異(ポテンシャルフロー)に応じて放射方向に加速することを引き起こす。この放射方向加速はまた曲げられて、シェブロンの周りのフローが、シェブロンの下の圧力を均一化することをも推進する。続く形状断面204b、204c及び204dで示されているように、このアスタリスク状形状は、フローF及びFが一緒に流れるように伝播するために続き、さらにフローF及びFの間の共有境界領域を増加させる。流れの混合は境界領域の機能であるので、境界領域でのその増加は、図7で示されているように混合率を増加させる。内側に又は外側に傾いているシェブロンの使用は、フローの間の圧力差異を増大させることにより混合効果を増加させ、このように境界領域の形状により早い形成及び広がりを引き起こす。傾きは、2つの流れの相対特性及び所望の効果に応じて、内側又は外側に方向付けられることができる。
【0031】
図2、3、及び4に図示されているノズルを出るスプレー経路形状は、図1に図示されるものと類似する冷スプレーでモデル化されている。図6は、図2で示されているようなシェブロンを使用しないで、図1でモデル化されているような冷スプレープロセスのために軸的に注入された粒子速度流れを実行させたコンピューター流体力学(CFD)モデルの結果を提供する。図7は、本願発明の実施形態による図3で示されているようなシェブロンを使用して、図1でモデル化されているような冷スプレープロセスのために軸的に注入された粒子速度流れを実行させたCFDモデルの結果を提供する。CFDモデル化を軸注入冷スプレー中に適用することは、微粒子担持キャリア流れFと加熱された及び/又は加速された流出流れFとを混合することについて、並びに、そして流出ガスから直接的に原材料粒子にエネルギーを移行することについて、測定可能な改善を示す。図6において、シェブロンの追加により得られた改善された混合の結果として、結果の粒子速度及びスプレー幅は、図7に示されている粒子速度及びスプレー幅よりも小さい。さらに、図8は、本願発明の実施形態による図4で示されているような外側に傾きのあるシェブロンを使用して、図1でモデル化されているような冷スプレープロセスのために軸的に注入された粒子速度流れを実行させたCFDモデルの結果を提供する。図8で示されているように、粒子速度は、真っ直ぐなシェブロンを備えるもの(図7)よりも高くなり、外側に傾いたシェブロンを使用する際に起こる流出ガスから粒子へのさらによいエネルギーの移行を示す。このように、シェブロンの導入、及び、さらによりそのように傾いたシェブロンは、粒子の全体速度を高め、流出流れに粒子フィールドをよく拡大した。
【0032】
軸注入ポート上のシェブロンの傾きは、軸注入を使用した任意の熱スプレープロセスに恩恵をもたらすことができる。このように、本願発明の実施形態は、軸的に供給される液体微粒子担持流れ並びにガス微粒子担持流れに良く適している。別の実施形態において2つの微粒子担持流れが混合されうる。さらに別の実施形態において、2以上のガス流れが、微粒子担持キャリア流れで混合するための追加のステージとともに、連続したステージの軸注入ポートにより混合されうる。また別の実施形態において、そのまま流出流れチャンバーに入るポートの最先端に1以上のシェブロンを組み込むことにより、シェブロンが流出流れに入るポートに斜角で加えられることができる。
【0033】
別の実施形態において、本発明による混合をする流れは、環境大気中で、低圧環境で、真空で、又は制御された大気環境で、実行されてもよい。また、本願発明による混合をする流れは、通常の熱スプレープロセスに適した任意の温度で実行されてもよい。
【0034】
図9は、図1のIX−IXに沿った断面図である。第1ステージ122は軸注入ポートであり、そこでは原材料及びキャリア流体は、第2ステージ124に、微粒子流れとして動いて出て、経路Fをたどる。第2ステージ124は第2ノズル118を有している。第2ステージ124にある喉部126は、ポート112及び出口ノズル118の間にある第2ステージの狭窄である。好ましい実施形態において、第2ステージ124は、デ・ラバル・ノズルである。この方法では、ガスが複数のポート112に入るので、じょうご形状の部分128を通じてガスが進行し、そのじょうご形状の部分128は、ガス流れFの経路が続く喉126に向かってガスが放射方向に供給されるようにする。デ・ラバル・ノズルの特色を良く示しているように、ガス流れFは喉部126を通り過ぎる際に加速し、超音速に達するかあるいは越える。
【0035】
図1及び図9でみられることができるように、第1ステージ122は、第2ステージ124内に同軸的に配置されるノズルである。副ノズル喉部の下流にある主ノズル出口のこの配置は、また、第2ステージ124のガス流れFのベンチュリー効果を引き起こす。組み立て時に、第1ステージ122の軸注入ポート114は、喉部126の下流に配置される。この方法では、原料/キャリアガス混合物が喉126を通過した軸注入ポート114を出るので、第2ステージ124のデ・ラバル・ノズルを通じて進行するガス流れFは、既に結合された原材料と経路Fが続くキャリアガス流れと混ぜられて、そしてガス流れと原材料/キャリアガス混合物との混合が、喉部126の下流で主ノズル出口120の出口を過ぎて起こる。
【0036】
1つの実施形態においては、原材料/キャリアガス混合物が第1ステージ122を出てガス流れと混ざるとき、第2ステージのガス流れFの速度は、原材料/キャリアガス混合物Fの速度よりも大きい。別の実施形態において、ガス流れFが音速又は亜音速原材料/キャリアガス混合物と混合する場合、ガス流れFの速度は超音速である。
【0037】
図10は、放射注入を伴う通常の冷スプレー装置と本願発明の2ステージ運動装置の粒子加速の比較を描く。全ての銃長さは比較の目的に統一されていた。全ての銃は、同じ温度及び圧力及び理想的な拡大で動作した。20ミクロン銅粒子を使用してデータが取られた。
【0038】
線300は、喉部302を過ぎて粉注入される通常の冷スプレー銃の粒子速度と銃軸に沿った距離とを示す。線310は、喉部302の前に粉注入される通常の冷スプレー銃の粒子速度と銃軸に沿った距離とを示す。
【0039】
両方の線300と310はノズル喉部302をちょうど過ぎた素早い粒子加速を示し、それらの直ぐ後から粒子加速が徐々に減っている。
【0040】
それらに対し、線320は、本発明の2ステージ運動銃の粒子速度と銃軸距離とを示す。粒子速度は、第1ステージ322のノズル喉部302の前で着実に増加し、粒子が第2ステージ324を通過する際に滑らかに且つ連続的に加速することを、すぐに見ることができる。ベンチュリー効果による素早い加速が喉部302をちょうど過ぎた領域304辺りで起こっていることを見ることができる。
【0041】
当業者であれば誰でも、シェブロンの三角形の他の形状の使用と同じく、本装置に対するさらなる拡張を想像することができる。この装置は、微粒子担持キャリアガス、液体、追加の流出流れ、及び反応性ガスを導入するために軸注入を使用する任意の熱スプレー銃で動く。
【0042】
当業者は追加の利点及び修正をすぐに思いつくことができる。従って、そのより広い側面を有する本発明は、ここに示され、記載されている特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されることはない。従って、様々な修正が、添付された請求項及びそれらの均等物により定められるものとしての一般的な発明概念の精神又は範囲から離れることなしに、なされうる。
【符号の説明】
【0043】
110 運動銃
112 ポート
114 軸注入ポート
118 発散出口ノズル
120 シェブロン
122 第1ステージ
124 第2ステージ
126 喉部
128 じょうご形状の部分
130 シェブロン
204a 断面
204b 断面
204c 断面
204d 断面
300 線
302 喉部
304 領域
310 線
320 線
322 第1ステージ
324 第2ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ステージ運動エネルギースプレー装置であって、
第1ノズルを備える第1ステージであって、第1ノズルは、原材料とキャリアガス流れを受ける第1ノズル受容端、第1ノズル受容端に対して軸方向に位置する第1ノズル注入端、を有し、第1ノズル注入端は、第1ノズル受容端から原材料とキャリアガス流れを受け取る、第1ノズルを備える第1ステージと;
第2ノズルを有する第2ステージであって、第2のノズルは、流出ガスを受けるガス受容部分と、ガス受容部分から下流にある収束部分と、収束部分から下流にある発散部分とを有し、収束部分と発散部分が第2ノズル喉部で会う、第2ノズルを備える第2ステージと;を備え、
そこでは、第1ノズルは、第2ノズル内に環状に位置し;
そこでは、第1ノズルは集束ノズルであり、
そこでは、原材料及びキャリアガス流れは粒子流れを形成し、粒子流れは第1ノズルで第1速度に加速され;
そこでは、流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速され;及び、
そこでは、第1ノズル注入端は、第2ノズル発散部分に位置することを特徴とする2ステージ運動エネルギースプレー装置
【請求項2】
第2速度が第1速度よりも速いことを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項3】
第1速度がマッハ1と等しいかそれ以下であることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項4】
第2速度がマッハ1と等しいかそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項5】
ガス受容部分が少なくとも一つのガス受容ポートを有していることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項6】
第1ノズル注入端が少なくとも1つのシェブロンを有していることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項7】
第1ノズル及び第2ノズルが除去可能に組み立てられていることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項8】
第1ノズル及び第2ノズルは、圧力シールされる、ネジで留められる、溶接される、ロウ付けされる、スウェージ加工される、ガスケットされるうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項9】
微粒子流れ及び流出ガスが第2ノズルの喉部の下流で混合することを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項10】
第1ノズルはストレートノズルであることを特徴とする請求項1に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置。
【請求項11】
2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法であって、以下のステップ:
第1ノズル受容端で原材料とキャリアガス流れを受容するステップ;
第1ノズルを通って原材料とキャリアガス流れを軸方向に伝達するステップ;
第1ノズル注入端で原材料とキャリアガス流れを受容するステップ;
第1ノズル注入端からの原材料とキャリアガス流れを注入するステップ;
第2ノズルガス受容部分で流出ガスを受容するステップ;
第2ノズルの集束部分、ガス受容部分から下流の発散部分を通じて流出ガスを伝達するステップ
収束部分と発散部分が喉部で会っており、ガス受容部分の下流にある第2ノズルの収束部分を通して流出ガスを加速するステップ;
原材料及びキャリアガス流れと流出ガスとを混合するステップ;を含み、
ここで、第1ノズルは、第2のノズルに内側に環状に配置され;
ここで、第1ノズルは、集束ノズルであり;
ここで、原材料及びキャリアガス流れは粒子流れを形成し、粒子流れは第1ノズルで第1速度に加速され
ここで、流出ガスは第2ノズルで第2速度に加速され;
ここで、第1ノズル注入端は、第2ノズル発散部分に位置することを特徴とする2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項12】
第2速度が第1速度よりも速いことを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項13】
第1速度がマッハ1と等しいかそれ以下であることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項14】
第2速度がマッハ1と等しいかそれ以上であることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項15】
ガス受容部分が少なくとも一つのガス受容ポートを有していることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項16】
第1ノズル注入端が少なくとも1つのシェブロンを有していることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項17】
第1ノズル及び第2ノズルが除去可能に組み立てられていることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項18】
第1ノズル及び第2ノズルは、圧力シールされる、ネジで留められる、溶接される、ロウ付けされる、スウェージ加工される、ガスケットされるうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項19】
微粒子流れ及び流出ガスが第2ノズルの喉部の下流で混合することを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。
【請求項20】
第1ノズルはストレートノズルであることを特徴とする請求項11に記載の2ステージ運動エネルギースプレー装置を使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−500324(P2011−500324A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531029(P2010−531029)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/012024
【国際公開番号】WO2009/054975
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(300047884)サルツァー・メトコ(ユーエス)・インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】