説明

2ビーム半導体レーザ装置

独立して駆動可能な第1、第2半導体レーザ素子LD1、LD2を基板51上に一体に設けた2ビーム半導体レーザ素子LDCと、 出射側を前方に向けた2ビーム半導体レーザ素子LDCが前部に取り付けられるとともに、第1、第2半導体レーザ素子LD1、LD2の電極61、62にそれぞれ接して接続される第1、第2電極パッド64、65を有したサブマウント53と、 を備えた2ビーム半導体レーザ装置10において、 第1、第2電極パッド64、65は2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方に延びて形成され、2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方でワイヤー14、16をワイヤーボンディングした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ビーム半導体レーザ装置に関し、特に、フレーム及び樹脂からなるパッケージを用いた2つのレーザ光を別々に出射できるシングルモード型の2ビーム半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光記録媒体として、コンパクトディスク(CD)、レコーダブルコンパクトディスク(CD−R)、書き換え可能なコンパクトディスク(CD−RW)、更に高密度なデジタル多用途ディスク(DVD)、記録型DVD等が知られている。これらの記録媒体の中で、少なくともDVD、CD、CD−R及びCD−RWの記録或いは再生を行うためには、光ピックアップの光源として波長が650nmと780nmのレーザ光を出射する必要がある。
【0003】
波長が650nmのレーザ光はDVDの再生用であり、波長が780nmのレーザ光はCDの再生用及びCD−R、CD−RWの記録再生用である。波長が650nmのレーザ光により記録型DVDの記録を行ってもよい。また、近年の高書込速度化の要求から、光源の高出力化が求められている。
【0004】
このような光ピックアップに搭載される光源として、1つのパッケージから650nmと780nmの波長のレーザ光を出射することができる2ビーム半導体レーザ装置が知られている。2ビーム半導体レーザ装置を搭載することにより、光ピックアップの小型化及び組み立ての簡素化を図ることができる。
【0005】
図6、図7は従来の2ビーム半導体レーザ装置の要部を示す正面図及び斜視図である。2ビーム半導体レーザ装置50は、サブマウント63上に取り付けられる2ビーム半導体レーザ素子LDCを有している。2ビーム半導体レーザ素子LDCは同一の基板51上に第1半導体レーザ素子LD1と第2半導体レーザ素子LD2とが互いに分離した状態で集積化されている。
【0006】
基板51はn型GaAs等から成っている。第1半導体レーザ素子LD1はAlGaInP系半導体等から成り、波長が650nmのレーザ光を出力する。第2半導体レーザ素子LD2はAlGaAs系半導体等から成り、波長が780nmのレーザ光を出力する。AlGaInP系の第1半導体レーザ素子LD1及びAlGaAs系の第2半導体レーザ素子LD2の具体的な詳細構造は特許文献1及び特許文献2に開示されている。このため、これらを以下に簡単に説明する。
【0007】
AlGaInP系の第1半導体レーザ素子LD1は、n型GaAsから成る基板51上にn型AlGaInP半導体層52が形成される。n型AlGaInP半導体層52上には第1接合層54を介してp型AlGaInP半導体層53が形成される。第1接合層54は単一量子井戸(SQW)構造ないしは多重量子井戸(MQW)構造を含み、第1接合層54の一部に第1発光部55が形成されている。
【0008】
同様に、AlGaAs系の第2半導体レーザ素子LD2は、n型GaAsから成る基板51上にn型AlGaAs半導体層56が形成される。n型AlGaAs半導体層56上には第2接合層58を介してp型AlGaAs半導体層57が形成される。第2接合層58は第1接合層54と同様に構成され、第2接合層58の一部に第2発光部59が形成されている。
【0009】
基板51の裏面にはn側共通電極60が設けられている。第1半導体レーザ素子LD1の上面には第1p側電極61が設けられている。第2半導体レーザ素子LD2の上面には第2p側電極62が設けられている。
【0010】
サブマウント63の2ビーム半導体レーザ素子LDCの固着面には第1電極パッド64及び第2電極パッド65がパターンニングにより隔離して形成されている。2ビーム半導体レーザ素子LDCの第1、第2p側電極61、62はそれぞれ第1、第2電極パッド64、65に固着される。これにより、第1、第2半導体レーザ素子LD1、LD2がそれぞれ独立に駆動される。
【0011】
2ビーム半導体レーザ素子LDCは、第1、第2接合層54、58側をサブマウント63に近づけた所謂ジャンクションダウン構造になっている。これにより、第1半導体レーザ素子LD1及び第2半導体レーザ素子LD2の放熱性を良好にする。従って、サブマウント63がヒートシンクとなり、2ビーム半導体レーザ素子LDCの安定化及び高出力化が図られている。
【0012】
また、サブマウント63上の2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方にはフォトダイオード等の光検出器66が設けられている。光検出器66の検知によって2ビーム半導体レーザ素子LDCの発光出力が制御される。
【0013】
2ビーム半導体レーザ素子LDCが固着されたサブマウント63は図示しない放熱板若しくはリードフレームに固着され、2ビーム半導体レーザ素子LDCのn側共通電極60にワイヤー67の一端が接続される。第1電極パッド64及び第2電極パッド65にはそれぞれワイヤー68、69の一端が接続される。光検出器66にはワイヤー70の一端が接続される。そして、各ワイヤー67〜70の他端が図示しないリード端子に接続され、2ビーム半導体レーザ装置50が作製される。
【0014】
上記構成の2ビーム半導体レーザ装置50は、第1p側電極61とn側共通電極60との間に電流を流すことにより第1半導体レーザ素子LD1を独立して駆動することができる。また、第2p側電極62とn側共通電極60との間に電流を流すことにより第2半導体レーザ素子LD2を独立して駆動することができる。そして、第1半導体レーザ素子LD1の駆動によって波長650nmのレーザ光を取り出すことができる。第2半導体レーザ素子LD2の駆動によって波長780nmのレーザ光を取り出すことができる。
【0015】
一般に、半導体レーザ装置としては、キャンパッケージを用いたものとフレームパッケージを用いたものが知られている。キャンパッケージを用いた半導体レーザ装置は金属ステムにリードを個別に取付け、金属ステム上に設けられたレーザ素子をキャップで封止する。フレームパッケージを用いた半導体レーザ装置は、半導体レーザ素子が設けられた金属製のフレームを樹脂でインサート成形する。後者のフレームパッケージを用いた半導体レーザ装置は、価格、量産性に優れているため注目されている。
【0016】
しかしながら、このフレームパッケージを用いた半導体レーザ装置は、従来から広く用いられているキャンパッケージのものに比較すると放熱性が悪い。このため、現在は温度特性の良い赤外レーザ装置に多く使用されいる。CD−RやCD−RW用の高出力レーザ装置、DVD用などの赤色レーザ装置、2波長レーザ装置、或いは動作電圧が高い青色系レーザ装置に用いるためには更なる改良が求められている。
【0017】
このような問題点を改良できるフレームパッケージを用いた半導体レーザ装置が特許文献3に開示されている。図8、図9はそれぞれこの半導体レーザ装置を示す斜視図、正面図である。また、図10は図9のX−X’線に沿った断面図である。
【0018】
半導体レーザ装置80はフレーム82の上面にサブマウント83が配置固定されている。サブマウント83の上面には半導体レーザ素子84が配置固定されている。フレーム82は、銅、鉄、またはこれらの合金等の熱伝導性及び導電性が良い金属から成り、板状に形成されている。また、フレーム82は半導体レーザ素子84を搭載する主フレーム86と、主フレーム86とは独立した配線用の副フレーム87、88とから成っている。主フレーム86及び副フレーム87、88を絶縁性の樹脂成形部85により一体化してフレームパッケージが構成されている。
【0019】
フレーム86は、素子配置部86aと、リード部86bと、翼部86c、86dとを有している。素子配置部86aにはサブマウント83が搭載される。リード部86bは電流通路となる。翼部86c、86dは放熱及び位置決めのために左右に突出して設けられる。また、主フレーム86には厚肉部86eと薄肉部86fとが形成されている。厚肉部86eは素子配置部86aの前部及び翼部86c、86dの前部を厚くして形成される。薄肉部86fは翼部86c、86dの後部及びリード部86bを薄くして形成される。
【0020】
副フレーム87、88はリード部86bと同様に薄肉に構成されている。これにより、フレーム82をプレス加工によって打ち抜いて形成する際にリード部86b及び副フレーム87、88の微細加工を容易に行なうことができる。従って、リード部86b及び副フレーム87、88の間隔を狭く保って半導体レーザ装置80の小型化を図ることができる。
【0021】
樹脂成形部85はフレーム82の表側と裏側の面を挟むようにインサート成形して形成される。樹脂成形部85の表側はレーザ光が出射されるレーザ出射窓85aを備え、前方が開放されたU字状の枠部85bが形成される。枠部85bの両側部の前端にはテーパ面85cが形成されている。テーパ面85cによって半導体レーザ装置80を所定位置に配置する際の挿入をスムーズに行なうことができる。樹脂成形部85の裏側は素子配置部86aを覆うべた平坦面85dとなっており、表側の枠部85bの外形と略同一の外形形状(六角形状)を成している。
【0022】
枠部85bによって囲まれた内側に配される主フレーム86の素子配置部86a及び副フレーム87、88は、樹脂成形部85が存在しないので表面が露出している。この露出した素子配置部86aの上に、サブマウント83を介在して半導体レーザ素子84が配置固定される。その後、半導体レーザ素子84と主フレーム86の間、及び、サブマウント83と副フレーム87、88の間がワイヤー(不図示)により接続される。
【0023】
サブマウント83はSiを母材とした受光素子から成っている。これにより、半導体レーザ素子84の後面の出射光をモニタすることができる。Si以外にも例えばAlN、SiC、Cuなどの熱伝導性の優れたセラミックや金属材料等を用いることができる。また、サブマウント83は、Pb−Sn、Au−Sn、Sn−Bi等の半田材やAgペースト等を用いて素子配置部86aに固定される。半導体レーザ素子84は、Au−Sn、Pb−Sn等の半田材やAgペースト等を用いてサブマウント83の所定の位置に固定される。
【0024】
上記構成のフレームパッケージを用いた半導体レーザ装置80は、半導体レーザ素子84の表面が開放されるため放熱性が向上する。また、構造が簡単で量産性に優れている。
【特許文献1】特開平11−186651号公報(特許請求の範囲、段落[0017]〜[0023]、図1)
【特許文献2】特開2002−329934号公報(特許請求の範囲、図1、図4)
【特許文献3】特開2002−43679号公報(段落[0010]〜[0022]、図1、図2、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
半導体レーザ装置は通常シングルモードで使用される。光ディスクを記録再生する光ピックアップに半導体レーザ装置を用いる場合、光ディスクからの戻り光対策として再生時にはマルチモード化する必要がある。このため、一般に高周波重畳により擬似的にマルチモード化が行われる。このとき、半導体レーザ素子と高周波重畳とのマッチングを取る必要がある。
【0026】
しかしながら、上記特許文献3に開示された従来のフレームパッケージを用いた半導体レーザ装置80は、放熱効率の向上及びワイヤーボンディングのし易さのために、サブマウント83が半導体レーザ素子84よりも大幅に大きく形成されている。しかも、サブマウント83や半導体レーザ素子84と、リード部85bや副フレーム86、87との距離が離れている。このため、金属製のキャンパッケージを使用した半導体レーザ装置よりもワイヤーの長さが長くなる。
【0027】
半導体レーザ装置を高周波重畳して駆動する場合には、ワイヤーの長さによりインダクタンス成分が変わるため、ワイヤーの長さを短くする必要がある。従って、上記半導体レーザ装置80は安定して高周波重畳して駆動することができない問題がある。
【0028】
係る問題点は、2ビーム半導体レーザ装置においてもフレームパッケージを使用した場合には同様に生じる。加えて、前述の図7に示すように、2ビーム半導体レーザ装置50は2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方に光検出器66を有した4端子型になっている。このため、n側共通電極60及び第1、第2電極パッド64、65にボンディングされるワイヤー67〜69の長さが更に長くなり、インダクタンス成分の変化が著しく大きくなる問題がある。
【0029】
また、光検出器66が設けられるため、2ビーム半導体レーザ装置50の小型化が困難である。更に、2ビーム半導体レーザ素子LCDの後方のスペースは光検出器66に塞がれるため、第1、第2電極パッド64、65へのワイヤー68、69の接続は2ビーム半導体レーザ素子LDCの側方で行われる。このため、サブマウント63の横幅が大きくなり、2ビーム半導体レーザ装置50の小型化がより困難になる。
【0030】
尚、従来の半導体レーザ素子の長さは約300〜400μm程度であったのに対し、近年の高出力化された半導体レーザ素子の長さは従来比約3〜5倍の約1〜1.5mmに長くなっている。このため、サブマウント63が更に大型になるため小型化可能な2ビーム半導体レーザ装置の構造が要求されている。
【0031】
本発明者は、上述のようなフレームパッケージを用いて特に小型化された2ビーム半導体レーザ装置を形成する場合に生じる問題点を解決すべく種々検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0032】
本発明は、小型化を図ることができるとともに安定してマルチモード化させることができるシングルモード型の2ビーム半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的を達成するために本発明は、独立して駆動可能な第1、第2半導体レーザ素子を基板上に一体に設けた2ビーム半導体レーザ素子と、
出射側を前方に向けた前記2ビーム半導体レーザ素子が前部に取り付けられるとともに、第1、第2半導体レーザ素子の電極にそれぞれ接して接続される第1、第2電極パッドを有したサブマウントと、
を備えた2ビーム半導体レーザ装置において、
第1、第2電極パッドは前記2ビーム半導体レーザ素子の後方に延びて形成され、前記2ビーム半導体レーザ素子の後方でワイヤーボンディングされることを特徴としている。
【0034】
また本発明は、上記構成の2ビーム半導体レーザ装置において、第1、第2電極パッドが前記サブマウントの後端でワイヤーボンディングされることを特徴としている。
【0035】
また本発明は、上記構成の2ビーム半導体レーザ装置において、前記2ビーム半導体レーザ素子の後端から第1、第2電極パッドがワイヤーボンディングされる位置までの距離を300μm以下にしたことを特徴としている。2ビーム半導体レーザ素子の後端から第1、第2電極パッドがワイヤーボンディングされる位置までの距離の下限値は、理論上は小さい方が良い。しかし、小さ過ぎるとワイヤーボンディング作業が困難になるため、ワイヤーの線径及びワイヤーボンディング用ジグの大きさ等を考慮の上で適宜に決定すればよい。尚、この距離が300μmを超えてもワイヤーを短くすることができるが、サブマウントが大型になりこれによる利点がないため上限値は300μmとする。
【0036】
また本発明は、上記構成の2ビーム半導体レーザ装置において、前記サブマウントの横幅を400μm以上700μm以下にしたことを特徴としている。サブマウントの横幅が400μm未満であるとワイヤーボンディングが困難になるとともに、ワイヤーボンディングの際にサブマウントの2つの電極パッド間の短絡が起りやすくなる。また、サブマウントの横幅が700μmを超えても2ビーム半導体レーザ装置の小型化という観点からは利点がないので、上限値は700μmとする。
【0037】
また本発明は、上記構成の2ビーム半導体レーザ装置において、前記サブマウントをフレーム及び樹脂から成るパッケージに実装したことを特徴としている。
【0038】
また本発明は、上記構成の2ビーム半導体レーザ装置において、3つの端子を有する3端子型にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、第1、第2電極パッドは2ビーム半導体レーザ素子の後方に延びて形成され、2ビーム半導体レーザ素子の後方でワイヤーボンディングされるため、サブマウントの横幅を小さくして2ビーム半導体装置を小型化することができる。また、ワイヤーボンディングする位置が後方になるため、ワイヤーが従来よりも短縮される。このため、従来に比してワイヤーのインダクタンスを約20%程度小さくすることができる。従って、安定して高周波重畳により擬似的にマルチモード化を行なわせることができる。
【0040】
また本発明によると、第1、第2電極パッドがサブマウントの後端でワイヤーボンディングされるため、後方に光検出器が配置されず、ワイヤーをより短縮して更に安定して高周波重畳により擬似的にマルチモード化を行なわせることができる。
【0041】
また本発明によると、2ビーム半導体レーザ素子の後端から第1、第2電極パッドがワイヤーボンディングされる位置までの距離を300μm以下にしたので、サブマウントが短縮される。従って、2ビーム半導体レーザ素子がサブマウント63の後端に接近して配置され、2ビーム半導体レーザ素子に接続されるワイヤーの長さが短縮される。従って、より安定して高周波重畳によって擬似的にマルチモード化を行なわせることができる。
【0042】
また本発明によると、サブマウントの横幅を400μm以上700μm以下にしたので、2ビーム半導体レーザ装置を小型化するとともにワイヤーボンディングを容易に行うことができる。
【0043】
また本発明によると、サブマウントをフレーム及び樹脂から成るパッケージに実装したので、小型で安価であり、しかも量産性に優れた2ビーム半導体レーザ装置が得られる。
【0044】
また本発明によると、2ビーム半導体レーザ装置を3端子型にしたので、従来の4端子型の2ビーム半導体レーザ装置に比して端子数が減った分だけ小型化された2ビーム半導体レーザ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る2ビーム半導体レーザ装置の2ビーム半導体レーザ素子を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る2ビーム半導体レーザ装置の2ビーム半導体レーザ素子を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る2ビーム半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る2ビーム半導体レーザ装置を示す平面図である。
【図5】図4のX−X’線に沿った断面図である。
【図6】従来の2ビーム半導体レーザ素子を示す正面図である。
【図7】従来の2ビーム半導体レーザ素子を示す斜視図である。
【図8】従来の半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図9】図8の半導体レーザ装置の平面図である。
【図10】図9のX−X’線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10、50 2ビーム半導体レーザ装置
12、14、16、67、68、69 ワイヤー
22、82 フレーム
23、85 樹脂成形部
24、86 主フレーム
24a、86a 素子配置部
25、26、87、88 副フレーム
27、85a レーザ出射用窓
28、85b 枠部
29、29’ 先端部
55 第1発光部
59 第2発光部
60 n側共通電極
61 第1p側電極
62 第2p側電極
63 サブマウント
64 第1電極パッド
65 第2電極パッド
66 光検出器
80 半導体レーザ装置
LDC 2ビーム半導体レーザ素子
LD1 第1半導体レーザ素子
LD2 第2半導体レーザ素子
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための2ビーム半導体レーザ装置を例示するものである。従って、本発明をこの実施形態の2ビーム半導体レーザ装置に特定することを意図するものではなく、請求範囲に記載された技術的範囲に含まれるものに等しく適用し得るものである。
【0048】
図1、図2は一実施形態の2ビーム半導体レーザ装置の要部を示す斜視図及び平面図である。説明の便宜上、前述の図6、図7に示す従来例と同一の部分は同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。2ビーム半導体レーザ素子LDCは、第1、第2発光部55、59となる接合部をサブマウント63に近づけて固着したジャンクションダウン構造を有している。
【0049】
図1の正面から見て左側に記録/再生型DVD用の650nmの波長のレーザ光を出射する第1半導体レーザ素子LD1が配置されている。また、右側にはCD/CD−R用の780nmの波長の光を出射する第2半導体レーザ素子LD2が配置されている。第1、第2半導体レーザ素子LD1、LD2の中間には、これらを分離する溝が設けられている。
【0050】
サブマウント63はAlN、SiC、Cu、Si等の熱伝導性の優れたセラミックや金属材料等により形成される。サブマウント63の表面には、Ti−Pt−Auをパターンニングして形成された第1、第2電極パッド64、65が設けられている。第1半導体レーザ素子LD1の第1発光部(導波路)55の直下に設けられる第1p側電極61(図6参照)は、Au−Sn等の半田により第1電極パッド64に固定されている。
【0051】
同様に、第2半導体レーザ素子LD2の第2発光部(導波路)59の直下に設けられる第2p側電極62(図6参照)は、Au−Sn等の半田により第2電極パッド65に固定されている。これにより、第1、第2半導体レーザ素子LD1、LD2で発生した熱は第1、第2電極パッド64、65を介して効率良くサブマウント63に伝熱して放熱されるようになっている。
【0052】
2ビーム半導体レーザ素子LDC及びサブマウント63は共にレーザ光の放出方向に沿って長く延びた偏平な直方体形状となっている。サブマウント63の横幅Wは2ビーム半導体レーザ素子LDCの横幅とほぼ同じか僅かに大きくなっている。
【0053】
また、サブマウント63は2ビーム半導体レーザ素子LDCのメインのレーザ光の出射側と反対側が延長されている。これにより、2ビーム半導体レーザ素子LDCは出射側を前方に向けてサブマウント63の前部に配置され、サブマウント63の後部がワイヤーボンディング領域となっている。
【0054】
尚、本実施形態のサブマウント63には従来例のようなモニタ用の光検出器66(図7参照)は設けられていない。高出力の半導体レーザ素子においては、レーザ光の出力を増加させるためにレーザ光の出射方向とは反対側の面の反射率が高くなっている。このため、後方に出射されるレーザ光が少なく、特に光検出器66をサブマウント63に一体に組み込む必要はない。従って、光検出器66を省くことが可能となっている。
【0055】
第1、第2電極パッド64、65はサブマウント63の後端でリード端子(25、26:図3参照)と電気的に接続するためのワイヤー14、16の一端がワイヤーボンディングされている。また、2ビーム半導体レーザ素子LDCの裏面に形成されたn側共通電極60にはリード端子(24b:図3参照)と電気的に接続するためのワイヤー12の一端がワイヤーボンディングされている。
【0056】
ワイヤー14、16は2ビーム半導体レーザ素子LDCの後側の端部からの距離Lが300μm以内に固着されている。距離Lは短いほどサブマウント63の長さを短くすることができる。これにより、2ビーム半導体レーザ素子LDCがサブマウント63の後端に接近して配置され、ワイヤー12の長さを短くできる。距離Lはワイヤー14、16の線径及び自動ボンダー等のワイヤーボンディング用ジグの大きさを考慮して適宜に選択すればよい。
【0057】
また、サブマウント63の横幅Wは、第1、第2電極パッド64、65の幅や第1、第2電極パッド64、65間の距離を考慮して決められる。第1、第2電極パッド64、65の幅は、ワイヤー14、16の線径及び自動ボンダー等のワイヤーボンディング用ジグの大きさを考慮して適宜決められる。第1、第2電極パッド64、65間の距離は、電気的な分離のために必要な距離が選択される。これにより、本実施形態ではサブマウント63の横幅Wを400μm程度にまで小さくすることができる。サブマウント63の横幅Wの上限値は、特に臨界的意義があるわけではないが、小型化を達成するためには大きくても700μm程度とすることが好ましい。
【0058】
次に、図3、図4は本実施形態の2ビーム半導体レーザ装置の斜視図及び正面図である。また、図5は図4のX−X’線に沿った断面図である。2ビーム半導体レーザ装置10は2ビーム半導体レーザー素子LDC及びサブマウント63を3端子型のフレーム及び樹脂から成るフレームパッケージに実装されている。
【0059】
2ビーム半導体レーザ装置10はフレーム22の上面にサブマウント63が配置固定される。サブマウント63の上面には2ビーム半導体レーザ素子LDCが配置固定される。
【0060】
フレーム22は、銅、鉄、またはそれらの合金等の熱伝導性及び導電性が良い金属から成り、薄い板状に形成されている。また、フレーム22は2ビーム半導体レーザ素子LDCを搭載する主フレーム24と主フレーム24とは独立した配線用の副フレーム25、26とから成っている。主フレーム24及び副フレーム25、26を絶縁性の樹脂成形部23により一体化してフレームパッケージが構成されている。
【0061】
主フレーム24は、素子配置部24aと、リード部24bと、翼部24c、24dとを有している。素子配置部24aにはサブマウント63が搭載される。リード部24bは電流通路となる。翼部24c、24dは放熱及び位置決めのために左右に突出して設けられる。
【0062】
リード部24b及び副フレーム25、26は薄肉に形成されているため、フレーム22をプレス加工によって打ち抜いて形成する際に微細加工を容易に行なうことができる。従って、リード部24b及び副フレーム25、26の間隔を狭く保って2ビーム半導体レーザ装置10の小型化を図ることができる。
【0063】
樹脂成形部23はフレーム22の表側と裏側の面を挟むように、例えば、インサート成形により形成される。樹脂成形部23の表側はレーザ光が出射されるレーザ出射窓27を備え、前方が開放されたU字状の枠部28が形成される。枠部28の前部の幅は後部の幅に比べて狭くなっており、前部の両側部に配される先端部29、29’は2ビーム半導体レーザ素子LDCの光軸方向に対して平行に伸びている。後部に対して狭くなった先端部29、29’によって、2ビーム半導体レーザ装置10を所定位置に配置する際の挿入をスムーズに行なうことができる。
【0064】
樹脂成形部23の裏側は、サブマウント63に対向する主フレーム24の裏面を露出してその周囲を覆うように設けられている。これにより、放熱効率を向上できるようになっている。
【0065】
枠部28によって囲まれた主フレーム24の素子配置部23a及び副フレーム25、26は樹脂成形部23が存在しないので表面が露出している。この露出した素子配置部24aの上にサブマウント63を介在して2ビーム半導体レーザ素子LDCが配置固定される。その後、2ビーム半導体レーザ素子LDCとリード部24bとの間がワイヤー12により接続される。また、サブマウント63と副フレーム25、26の間がワイヤー14、16により接続される。尚、サブマウント63は、Pb−Sn、Au−Sn、Sn−Bi等の半田材やAgペースト等を用いてフレーム24に固定される。
【0066】
上記構成の2ビーム半導体レーザ装置10によると、第1、第2電極パッド64、65は2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方に延びて形成され、2ビーム半導体レーザ素子LDCの後方でワイヤーボンディングされる。このため、サブマウント63の横幅Wを前述の図7に示した従来例よりも大幅に小さくして2ビーム半導体装置10を小型化することができる。
【0067】
また、ワイヤーボンディングする位置が後方になるため、第1、第2電極パッド64、65と副フレーム25、26との間のワイヤー14、16が従来よりも短縮される。このため、従来に比してワイヤー14、16のインダクタンスを小さくすることができる。従って、安定して高周波重畳により擬似的にマルチモード化を行なわせることができる。更に、光検出器がサブマウント63上に配置されず、第1、第2電極パッド64、65のワイヤーボンディング位置がサブマウント63の後端に設けられる。これにより、ワイヤー14、16をより短縮することができる。
【0068】
加えて、ワイヤーボンディング位置が2ビーム半導体レーザ素子LDCの後側端部の近傍に設けられている。これにより、2ビーム半導体レーザ素子LDCがサブマウント63の後端に接近して配置され、2ビーム半導体レーザ素子LDCと主フレーム24との間のワイヤー12の長さを短縮することができる。従って、より安定して高周波重畳により擬似的にマルチモード化を行なわせることができる。
【0069】
本実施形態により製造された2ビーム半導体レーザ装置10は、3端子型の高出力2波長半導体レーザ装置として用いられる。この2ビーム半導体レーザ装置10の寸法は、パッケージの先端幅(図3、図4における枠28の先端部29、29’側の幅):2.7mm、末端幅:3.8mm、長さ:3.5mmであった。
【0070】
これに対し、従来の高出力2波長半導体レーザ装置の寸法は、光検出器を無視して3端子型のパッケージに組み込んだとしても、サブマウントの幅と組立に必要なスペースを考慮すると大型になる。このため、パッケージの先端幅:3.8mm、末端幅:3.8mm、長さ:3.5mmとすることが限界である。
【0071】
従って、本実施形態により、サブマウント63の側部のワイヤーボンディング領域を無視できるようになり、従来に比して先端幅を30%程度、面積比でも30%程度小さくして非常に小さいパッケージを実現可能となった。また、ワイヤー12、14、16の短縮により、従来よりもインダクタンスを約20%低下されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の2ビーム半導体装置は、複数の波長のレーザ光を出射してDVD、記録型DVD、CD、CD−R或いはCD−RW等の記録または再生を行う光ピックアップ等に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して駆動可能な第1、第2半導体レーザ素子を基板上に一体に設けた2ビーム半導体レーザ素子と、
出射側を前方に向けた前記2ビーム半導体レーザ素子が前部に取り付けられるとともに、第1、第2半導体レーザ素子の電極にそれぞれ接して接続される第1、第2電極パッドを有したサブマウントと、
を備えた2ビーム半導体レーザ装置において、
第1、第2電極パッドは前記2ビーム半導体レーザ素子の後方に延びて形成され、前記2ビーム半導体レーザ素子の後方でワイヤーボンディングされることを特徴とする2ビーム半導体レーザ装置。
【請求項2】
第1、第2電極パッドが前記サブマウントの後端でワイヤーボンディングされることを特徴とする請求項1に記載の2ビーム半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記2ビーム半導体レーザ素子の後端から第1、第2電極パッドがワイヤーボンディングされる位置までの距離を300μm以下にしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の2ビーム半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記サブマウントの横幅を400μm以上700μm以下にしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の2ビーム半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記サブマウントをフレーム及び樹脂から成るパッケージに実装したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の2ビーム半導体レーザ装置。
【請求項6】
3つの端子を有する3端子型にしたことを特徴とする請求項5に記載の2ビーム半導体レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2005/039001
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514750(P2005−514750)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015011
【国際出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】