説明

2剤式毛髪脱色・染毛剤

【課題】本発明は、第1剤にアルカリ剤、第2剤に酸化剤を使用した場合に、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激がより少なく、また、実際に使用され不快とされる第1剤、第2剤の混合時および塗布時のアンモニアによる刺激臭を低減することができる2剤式毛髪脱色・染毛剤を提供する。
【解決手段】アルカリ剤としてアンモニアと重炭酸アンモニウムとを1:10〜10:1の重量比で含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とよりなり、上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して0.1〜3.5重量%のフィトステロ−ルを含有せしめている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2剤式毛髪脱色・染毛剤に関し、さらに詳細には、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和し、さらに第1剤と第2剤との混合時、および毛髪への塗布時の刺激臭を低減せしめる2剤式毛髪脱色・染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、毛髪の染色・脱色に関しては酸化染毛剤、脱色剤などが使用されている。そして、かかる染毛剤、脱色剤としては2剤式の剤型のものが多く、例えば、2剤式染毛剤では第1剤中に酸化染料(パラフェニレンジアミン等)及びアルカリ剤を含有し、第2剤中に酸化剤(過酸化水素等)を含有し、使用時に第1剤と第2剤とを混合して用いられている。また、2剤式脱色剤では第1剤中にアルカリ剤を含有し、第2剤中に酸化剤(過酸化水素等)を含有し、使用時に第1剤と第2剤とを混合して用いられている。
【0003】
ところで、例えば、上記従来の2剤式染毛剤は、シャンプ−による色落ちが少く、持続性が良い等の優れた特性を有する反面、第1剤にアルカリ剤、第2剤に酸化剤を使用するため、染毛時においてアルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激の問題があった。かかる問題を解決するために、アンモニアおよび重炭酸アンモニウムを組み合わせて用いることによりアンモニアによる一次刺激を緩和することは周知の事実となっている。しかしながら、近年、毛髪の明度をより上げて明るく染毛することが望まれるようになってきているが、毛髪の明度を明るくするためには、2剤式酸化染毛剤におけるアルカリ剤の量を多くする必要があり、アルカリ剤による皮膚への一次刺激がさらに強くなるという問題が生じてきている。このようなアルカリ剤及び酸化剤による皮膚への一次刺激の問題は、毛髪脱色剤についても同様に生じており、毛髪脱色・染毛剤において、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和することは、重要な課題となっている。また、毛髪の明度を明るくするためには、第1剤中のアンモニアの量を多くする必要があり、アンモニアによる刺激臭がさらに強くなり、消費者に不快感を増大させるという問題を生じている。アンモニアによる刺激臭の問題は毛髪脱色剤においても同様であり、毛髪脱色・染毛剤において消費者に不快感を与えるアンモニアの刺激臭を低減することも重要な課題になっている。
【0004】
上記従来例の問題点を解決するものとして、特開2002−363048号公報(特許文献1)や特願2006−193647号(特許文献2)が提案されている。
即ち、上記特許文献1には、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる2剤式染毛・脱色剤組成物用の第1剤であって、アンモニア水およびモノエタノ−ルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤と、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水溶性アンモニウム塩と、多価カルボン酸およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の第1剤のpH調整剤と、を含有することを特徴とする2剤式染毛・脱色剤組成物用第1剤が提案されている。
【0005】
また、上記特許文献2には、第1剤に揮発性アルカリ、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、および高級アルコ−ルを含有し、第2剤に酸化剤、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、および高級アルコ−ルを含有する2剤式毛髪脱色剤および2剤式染毛剤において、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルは、炭素数16以上のアルキル鎖長を有すると共に、第1剤と第2剤の混合時の混合液中にポリオキシエチレンアルキルエ−テルが、1
.0〜6.0重量%含有され、かつ高級アルコ−ルは、炭素数16以上のアルキル鎖長を有すると共に、第1剤と第2剤の混合時の混合液中に高級アルコ−ルが2.0〜15.0重量%含有されていることを特徴とする、2剤式毛髪脱色剤および2剤式染毛剤が提案されている。
【特許文献1】特開2002−363048号公報
【特許文献2】特願2006−193647号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のアンモニア水およびモノエタノ−ルアミンと炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムと多価カルボン酸およびこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の第1剤のpH調整剤だけでは、アルカリ量が多い場合、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和するのに充分な効果を得るのが困難であると推測される。また、上記特許文献2は、第1剤、第2剤の混合時および塗布時の刺激臭の低減効果は得られても、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和するのに充分な効果が期待できないものである。
【0007】
上述のごとく、最も多く使用されている2剤形式の毛髪脱色剤および染毛剤は、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激により消費者に不快を与えてきた。この問題を解決するために、様々な抗炎症剤が試されてきたが、期待される効果が得られず、皮膚への一次刺激の少ない商品が望まれている。
本発明は、上記のような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたもので、第1剤にアルカリ剤、第2剤に酸化剤を使用した場合に、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激のより少ない2剤式髪脱色・染毛剤を提供することを目的としている。
さらに本発明は、実際に使用され不快とされる第1剤、第2剤の混合時および塗布時のアンモニアによる刺激臭を低減することができる2剤式毛髪脱色・染毛剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本願発明は、アルカリ剤としてアンモニアと重炭酸アンモニウムとを1:10〜10:1の重量比で含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とよりなり、上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して0.1〜3.5重量%のフィトステロ−ルを含有せしめることにより、2剤式毛髪脱色剤におけるアルカリ剤及び酸化剤に起因する皮膚への一次刺激を緩和すると共に、第1剤及び第2剤の混合時や塗布時におけるアンモニアによる刺激臭を低減せしめることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記2剤式毛髪脱色剤において、上記第1剤と第2剤の少くともその混合総和に対して1.0〜6.0重量%のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、2.0〜15.0重量%の高級アルコ−ル、0.1〜3.0重量%のカチオン界面活性剤、0.01〜1.5重量%のアニオン界面活性剤、0.05〜2.0重量%のリン酸塩類を含有せしめる。また、上記ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が各々炭素数16以上の直鎖のアルキル鎖長を有する。
【0010】
また、本発明は、染料及びアルカリ剤としてアンモニアと重炭酸アンモニウムを1:10〜10:1の重量比で含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とよりなり、上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して0.1〜3.5重量%フィストテロ−ルを含有せしめることにより、2剤式染色剤におけるアルカリ剤及び酸化剤に起因する皮膚への一次刺激を緩和すると共に、第1剤及び第2剤の混合時や塗布時におけるアンモニアによる刺激臭を低減せしめることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0011】
上記2剤式染毛剤において、上記第1剤と第2剤の少くともその混合総和に対して1.0〜6.0重量%のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、2.0〜15.0重量%の高級アルコ−ル、0.1〜3.0重量%のカチオン界面活性剤、0.01〜1.5重量%のアニオン界面活性剤、0.05〜2.0重量%のリン酸塩類を含有せしめる。また、上記ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が各々炭素数16以上の直鎖のアルキル鎖長を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、2剤式毛髪脱色・染毛剤において、実際に使用され消費者に不快とされるアルカリ剤及び酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和することができる。
さらに、実際に使用され消費者に不快とされる第1剤と第2剤の混合時及び塗布時のアンモニアによる刺激臭を低減し、脱色力及び染毛力に優れた2剤式毛髪脱色・染毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の2剤式毛髪脱色・染毛剤におけるアルカリ剤としては、アンモニアと重炭酸アンモニウムなどが挙げられる。第1剤、第2剤の混合時における混合液中のアルカリの含有量は、0.05〜5.0重量%であり、特に0.5〜4.0重量%がより好ましい。アルカリの含有量が0.1重量%未満では、十分な毛髪の膨潤、ブリ−チ力、染料の酸化重合を得ることができず、また、5.0重量%を越えると、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激、および毛髪へのダメ−ジが強くなるだけであり、脱色力や染着力にほとんど影響を与えない。特にアルカリ剤としてアンモニアと炭酸水素アンモニウム、およびその塩類を組み合わせて用いることは、アルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和する効果および刺激臭の低減効果の点から好ましい。アンモニアに対する重炭酸アンモニウムの重量比(アンモニアの重量/重炭酸アンモニウムの重量)が、1/10以下のときは重炭酸アンモニウムの安定性が悪くなり、10/1以上のときはアルカリ剤および酸化剤による皮膚への一次刺激を緩和する効果は殆んどない。その他のアルカリ剤として毛髪のダメ−ジを考慮しながらモノエタノ−ルアミン、アミノメチルプロパノ−ル、モノイソプロパノ−ルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウムなど一種または二種以上を少量組み合わせて用いても良い。
【0014】
また、第1剤と第2剤の少くとも一方に含有せしめるフィトステロ−ルとして主な主成分は、カンペステロ−ル、スティグマステロ−ル、β−シトステロ−ル、ブラシカステロ−ルなどを挙げることがでる。そして、かかるフィトステロ−ルのは第1剤と第2剤の混合総和に対して、0.1〜3.5重量%であり、特に0.5〜2.5重量%がより好ましい。第1剤、第2剤の混合時の混合液中にフィトステロ−ルの含有量が0.1重量%未満では十分に刺激を緩和する効果が得られず、また、含有量が3.5重量%より多く含有してもそれ以上の効果は得られず経済的ではない。
【0015】
本発明のポリオキシエチレンアルキルエ−テルとして有効なものを具体的に挙げると、ポリオキシエチレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンベヘニルエ−テル等が挙げられ、少なくとも一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中におけるポリオキシエチレンアルキルエ−テルの含有量は、1.0〜6.0重量%であり、特に2.0〜4.0重量%がより好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエ−テルの含有量が1.0重量%未満では十分にアンモニアによる刺激臭を低減することができず、また、含有量が6.0重量%を越えると十分にアンモニアによる刺激臭を低減することができない。炭素数16以上においてアルケニル鎖をもつポリオキシエチレンオレイルエ−テルは、刺激臭の低減には適さず、側鎖をもつものよりも直鎖のもののほうが好ましい。
【0016】
本発明の高級アルコ−ルとして有効なものを具体的に挙げると、セチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル等が挙げられ、少なくとも一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中における高級アルコ−ルの含有量は、2.0〜15.0重量%であり、特に4.0〜10.0重量%がより好ましい。高級アルコ−ルの含有量が2.0重量%未満ではアンモニアによる刺激臭を低減することが難しく、また、15.0重量%を越えると、それ以上のアンモニアによる刺激臭を低減する効果が得られず、粘度が硬くなり第1剤、第2剤の混合時に取り扱いが困難であり、塗布時の伸びが悪く、使用に不都合を生じる。炭素数16以上の高級アルコ−ルの中でもアルケニル基を持つオレイルアルコ−ルや側鎖を持つイソステアリルアルコ−ルよりも直鎖を持つセチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル等が好ましい。
【0017】
本発明の酸化染料として有効なものを具体的に挙げると、5−アミノオルトクレゾ−ル
、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、3,3 −イミノジフェノ−ル、2,4−ジアミノフェノキシエタノ−ル、2,4−ジアミノフェノ−ル、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、N−フェニルパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノ−ル、1,4ジアミノアントラキノン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ヒドロキシナフタレン、パラアミノフェノ−ル、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノ−ル、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、N,N−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジアミノ−1,4−キノンジイミン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノ−ル、メタアミノフェノ−ル、メタフェニレンジアミン、オルトクロルパラフェニレンジアミン、4,−4−ジアミノジフェニルアミン、カテコ−ル、ジフェニルアミン、α−ナフト−ル、ヒドロキノン、ピロガロ−ル、フロログルシン、没食子酸、レゾルシンおよびそれらの塩類として塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等、直接染料等が挙げられ、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。染毛剤の第1剤中における染料の含有量は、好ましくは0.01〜15.0重量%であり、特に0.1〜10.0重量%がより好ましい。酸化染料の含有量が0.01重量%未満では十分な染毛力は得られにくく、また、15.0重量%を越えて配合してもそれ以上の染毛力は得られにくい。
【0018】
本発明のカチオン界面活性剤として有効なものを具体的に挙げると、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化べへニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中におけるカチオン界面活性剤の含有量は、0.1〜3.0重量%であり、特に、0.2〜2.0重量%がより好ましい。カチオン界面活性剤の含有量が0.1重量%未満ではそれ以上の効果は得られず、また、3.0重量%を越えるとアンモニアによる刺激臭を低減することが難しい。
【0019】
本発明のアニオン界面活性剤として有効なものを具体的に挙げると、N−ステアロイルメチルタウリンナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエ−テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル硫酸ナトリウムおよびその他の塩類等が挙げられ、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中におけるアニオン界面活性剤の含有量は、0.01〜1.5重量%であり、特に、0.03〜0.75重量%がより好ましい
。アニオン界面活性剤の含有量が0.01重量%未満ではそれ以上の効果は得られず、また、1.5重量%を越えるとアンモニアによる刺激臭を低減することが難しい。
【0020】
アンモニアによる刺激臭を低減する方法として、炭素数が16以上の直鎖のアルキル鎖長を持つ高級アルコ−ルやポリオキシエチレンアルキルエ−テルなどの界面活性剤を多く使用した場合、毛髪への浸透性が極端に低下し、脱色力や染毛力が劣る。本発明では、アンモニアによる刺激臭の低減を妨げることなく脱色力や染毛力を向上させる方法としてリン酸塩類を含有する。本発明のリン酸塩類として有効なものを具体的に挙げると、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられ、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中におけるリン酸塩類の含有量は、0.05重量%〜2.0重量%であり、特に0.2〜1.0重量%がより好ましい。リン酸塩類が0.05重量%未満では十分な脱色力や染毛力が得られず、また2.0重量%を越えると、それ以上の効果が得られない。
【0021】
本発明の酸化剤として有効なものを具体的に挙げると、過酸化水素等が挙げられる。第1剤、第2剤の混合時の混合液中における酸化剤の含有量は、0.25重量%〜5.0重量%であり、特に1.5〜4.0重量%がより好ましい。酸化剤が0.25重量%未満では十分なブリ−チ力および染着効果が得られず、また、5.0重量%を越えると毛髪のダメ−ジが強くなり好ましくない。
【0022】
本発明の毛髪脱色・染毛剤は、第1剤、第2剤を任意の比率で混合でき、特に混合比率は第1剤:第2剤=2:1〜1:3がより好ましい。
【0023】
その他として本発明の効果を損なわない程度に添加剤として界面活性剤、キレ−ト剤、酸化防止剤、油剤、アミノ酸類、ポリペプチド類、タンパク質、保湿剤、有機溶媒、高分子化合物、シリコ−ン類及びシリコ−ン誘導体、pH調整剤、植物抽出物類、紫外線吸収剤、HC染料、塩基性染料、タ−ル色素、香料など一般的にヘアカラ−に用いられているものを適宜配合しても良い。
【実施例1】
【0024】
以下に、本発明の一実施例を示すが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない

【0025】
実施例1〜8、比較例1〜8
表1及び表3に示す配合割合(重量%)に基づいて配合し、2剤式毛髪脱色剤の第1剤と第2剤を、表2及び表4に基づいて配合し、2剤式染毛剤の第1剤と第2剤を各々調製せしめた。そして、実施例1〜6、比較例1〜6について頭皮への刺激の評価試験を行い
、その結果を表5に示す。また、実施例7・8、比較例7・8について頭皮への刺激の評価試験、及び第1剤、第2剤の混合時、及び塗布時のアンモニアの刺激臭低減効果、並びに脱色力、染毛力について評価試験を行い、その結果を表6・7に示す。
なお、上記評価試験方法、及び評価基準は以下の通りである。
【0026】
頭皮への刺激
20名のパネラ−を対象に各実施例に示された第1剤5g,第2剤5gを均一に混合し
、頭皮に縦約3cm、横約3cmにできるだけ均一に塗布し、塗布後、1,5,10,15分後の刺激を評価した。
頭皮への刺激の評価
5点:全く刺激を感じなかった。
4点:ほとんど刺激を感じなかった。
3点:軽度の刺激を感じた。
2点:中程度の刺激を感じた。
1点:強い刺激を感じた。
全評価の最も刺激を感じた点数をその点とし平均をとって評価点とした。
【0027】
混合時のアンモニア臭
実施例7・8、比較例7・8に示された第1剤と第2剤をカップに各20g(1:1)を秤量し、混合時におけるアンモニアの刺激臭を10名のパネラ−で評価した。
混合時のアンモニア臭の評価
◎:アンモニア臭がしない。。
○:アンモニア臭が殆んどしない。
△:若干アンモニア臭がする。
×:著しくアンモニア臭がする。
【0028】
塗布時のアンモニア臭
実施例7・8、比較例7・8に示された第1剤と第2剤をカップに各20g(1:1)を秤量して混合した後、毛束に塗布している時のアンモニアの刺激臭を10名のパネラ−で評価した。
塗布時のアンモニア臭の評価
◎:アンモニア臭がしない。
○:アンモニア臭が殆んどしない。
△:若干アンモニア臭がする。
×:著しくアンモニア臭がする。
【0029】
脱色力
実施例7、比較例7に示された第1剤と第2剤をカップに各20g(1:1)を秤量して混合した後、未処理黒髪毛束に塗布し、30℃下に、30分放置したのち、水洗してシャンプ−、トリ−トメント処理をし、脱色処理を完了した。10名のパネラ−により目視にて毛束の明度を評価した。
脱色力の評価
◎:非常に脱色が良い。
○:脱色が良い。
△:若干脱色が悪い。
×:脱色悪い
【0030】
染毛力
実施例8、比較例8に示された第1剤と第2剤を、各20g(1:1)を秤量して混合した後、白髪毛束に塗布して30℃下に、30分放置したのち、水洗してシャンプ−、トリ−トメント処理をし、染毛処理を完了した。10名のパネラ−による毛束の染毛の程度を目視にて評価した。
染毛力の評価
◎:非常に染まりが良い。
○:染まりが良い。
△:若干染まりが悪い。
×:染まりが悪い
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

【0038】
表5に示した実施例1〜6の試験結果からも明らかなように、アンモニアと重炭酸アンモニウムにフィトステロ−ルを組み合わせることでアルカリ剤及び酸化剤による頭皮への一次刺激を緩和する効果があり、この結果は、第1剤に含有させても、第2剤に含有させても効果があることが判る。
これに対し、比較例1〜6は、アンモニアと重炭酸アンモニウムを組み合わせることで
、アルカリ剤及び酸化剤による頭皮への一次刺激を緩和する効果が、わずかに有るがそれだけでは十分でないことが判る。
【0039】
また、表6・7に示した実施例7・8の試験結果からも明らかなように、炭素数が16以上の直鎖のアルキル鎖をもつポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びリン酸塩を含有せしめた時、アルカリ剤および酸化剤による頭皮への一次刺激を緩和し、さらに第1剤、第2剤の混合時および塗布時のアンモニアによる刺激臭が低減され脱色および染毛力が向上していることが判る。
これに対し、比較例7・8は、フィトステロ−ルを組み合わせることでアルカリ剤及び酸化剤による頭皮への一次刺激を緩和しているが、一方、第1剤、第2剤の混合液中に炭素数16より小さいアルキル鎖長をもつポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤を含有せしめた時、第1剤、第2剤の混合時および塗布時のアンモニアによる刺激臭の低減が十分に成されていないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤としてアンモニアと重炭酸アンモニウムとを1:10〜10:1の重量比で含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とよりなり、上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して0.1〜3.5重量%のフィトステロ−ルを含有せしめることを特徴とする、2剤式毛髪脱色剤。
【請求項2】
上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して1.0〜6.0重量%のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、2.0〜15.0重量%の高級アルコ−ル、0.1〜3.0重量%のカチオン界面活性剤、0.01〜1.5重量%のアニオン界面活性剤、0.05〜2.0重量%のリン酸塩類を含有せしめることを特徴とする、請求項1記載の2剤式毛髪脱色剤。
【請求項3】
上記ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が各々炭素数16以上の直鎖のアルキル鎖長を有することを特徴とする、請求項1及び2記載の2剤式毛髪脱色剤。
【請求項4】
染料及びアルカリ剤としてアンモニアと重炭酸アンモニウムを1:10〜10:1の重量比で含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とよりなり、上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して0.1〜3.5重量%のフィトステロ−ルを含有せしめることを特徴とする、2剤式染毛剤。
【請求項5】
上記第1剤と第2剤の少くとも一方にはその混合総和に対して1.0〜6.0重量%のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、2.0〜15.0重量%の高級アルコ−ル、0.1〜3.0重量%のカチオン界面活性剤、0.01〜1.5重量%のアニオン界面活性剤、0.05〜2.0重量%のリン酸塩類を含有せしめることを特徴とする、請求項4記載の2剤式染毛剤。
【請求項6】
上記ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、高級アルコ−ル、カチオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤が各々炭素数16以上の直鎖のアルキル鎖長を有することを特徴とする、請求項4及び5記載の2剤式染毛剤。

【公開番号】特開2008−127343(P2008−127343A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315098(P2006−315098)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(598176905)玉理化学株式会社 (9)
【Fターム(参考)】