説明

2成分ノズル、バンドルノズル、および流体を微粒化する方法

ノズルハウジングを持つ2成分ノズルであって、ノズルハウジングは、微粒化される流体用の少なくとも第1流体入口と、ガス状流体用の第2流体入口と、混合チャンバと、ノズル出口開口と、ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口とを備え、微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成するための手段およびガス状流体を混合チャンバ内に導入するための入口開口がノズルハウジング内に設けられているものにおいて、入口開口および混合チャンバは整列し、かつガス状流体を混合チャンバ内に壁と実質的に平行に導入し、ガス状流体の流れを混合チャンバ内の壁に沿って実質的に平行に案内するように設計されることを特徴とする2成分ノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒化される流体用の少なくとも第1流体入口と、ガス状流体用の第2流体入口と、混合チャンバと、ノズル出口開口と、ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口とを含むノズルハウジングを有する2成分ノズルであって、微粒化される流体から混合チャンバ内の壁に膜を形成するための手段およびガス状流体を混合チャンバ内に導入するための入口開口がノズルハウジング内に設けられた、2成分ノズルに関する。本発明はまた、本発明に係る少なくとも2成分ノズルを有するバンドルノズル(bundle nozzle)、および2成分ノズルによって流体を微粒化する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くのプロセス工学システムでは、ガス状流体内に、例えば洗浄または冷却すべき煙道ガス内に液体が噴霧される。ここでは、液体を可能な最も微細な液滴に微粒化することがしばしばきわめて重要である。液滴が微細であればあるほど、液滴の比表面積が大きくなる。かなりのプロセス工学の利点はこれから得ることができる。例えば反応容器の大きさおよびその製造コストは、平均液滴径に決定的に依存する。しかし、多くの場合、少数でも相当大きい液滴はかなりの作業の中断を導くので、平均液滴径が特定の制限値を下回るだけでは決して充分ではない。これは、液滴がその粒径のために充分に迅速に蒸発しないので、液滴またはドウ状(doughy)粒子さえも、後続部品上に、例えば繊維質フィルタホース上またはファンブレード上に依然として堆積し、付着物、腐食、または不均衡による作業の中断を引き起こす場合には、特に当てはまる。
【0003】
液体を可能な最も微細な液滴噴霧状に微粒化する場合、微粒化される液体を取り扱うだけの高圧単成分ノズルの代わりに、またはそれに加えて、いわゆる圧縮ガスアシスト2成分ノズルが頻繁に使用される。これらのノズルでは、液体は、圧縮空気または圧縮蒸気のような圧縮ガス、すなわち第1ガス状流体の助けにより、第2ガス状流体内に、例えば煙道ガス内に噴霧される。
【0004】
言語上の単純化のために、たとえ一般的には圧縮ガスまたは圧縮蒸気のことを言うことができる場合でも、第1ガス状流体を表わすために、以下では用語「圧縮空気」を頻繁に使用する。さらに、第2ガス状流体のことを概して煙道ガスと記述する。
【0005】
それぞれの用途のために、先行技術に係る多種多様な2成分ノズルが入手可能である。本願の分野の重要な顕著な特徴は、微粒化される液体の性質にある。
【0006】
1.固体を含まない液体の微粒化のためのノズル
比較的単純な境界条件は、液体が懸濁浮遊物を含まない場合、および液体が固体蒸発残留物を形成しない場合に適用される。これは、例えば煙道ガス脱窒システムでアンモニア水を微粒化するためのノズル、またはターボジェットエンジンで灯油を微粒化するためのノズルに適用される。特に後者の用途の場合、Joos,F.、Simon、B.、Glaeser,B.、Donnerhack,S.(1993):Combuster Develepment for Advanced Helicopter Engines, MTU FOCUS 1/93から引用した図1に示すような、いわゆる予膜化ノズルが開発された。図1に示すこのノズルタイプの場合、液体は細い灯油噴流の形で細孔を介してノズルの内壁に噴霧され、そこで液体は液膜を形成する。微粒化空気は隣接する液体噴流の間を流れ、コア空気流を形成する。壁の液膜は、このコア空気流の剪断応力効果によってノズル口に向かって追い立てられる。タービンエンジンでは、コア空気流の形成のために比較的低い圧力比しか利用できない。したがって微粒化中に音速に到達するには遠く及ばない。そのような公知の予膜化ノズルはまた、収束−発散流路を持つラバールノズルとして設計されていない。公知の予膜化ノズルは、工業用プラントのプロセス環境で使用するのに、例えば煙道ガス洗浄用に全く適さない。
【0007】
2.固体を含む液体の微粒化のためのノズル
多くの場合、液体は懸濁浮遊物、例えば大きいまたは小さい粒子を多く含んでいる。小さい粒子は、フィルタのメッシュ幅に応じて、微粒化される液体中の残留固形分として運ばれる懸濁浮遊物から構成することができる。大部分がフレーク状の大きい粒子は、ノズルまでの供給管路内の壁のコーティングからの剥離によって形成される。壁のコーティングは、微細粒子堆積物および当初からすでに液体中に溶解していた物質の堆積物によって形成することができる。これらの用途では、狭い流路または穴は、液体中で運ばれる懸濁浮遊物および/または大きい剥離粒子によってすぐに目詰まりするので、回避される。さらに、液体がすでにノズル内部で蒸発して蒸発残留物の堆積物がそこに急速に蓄積することがないように、注意が払われる。
【0008】
液体をノズルに導入するための断面が大きい場合、主要な問題は、塊状液体噴流を微細な液滴に分割させることである。不釣合いに大量の圧縮空気はそうする必要があり、そのようなノズルのエネルギ消費はそれに相応して高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、2成分ノズル、バンドルノズル、および均等な液滴径を達成することができ、かつ低エネルギ消費によって区別される流体を微粒化する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、ノズルハウジングを持つ2成分ノズルをこの目的のために提供する。ノズルハウジングは、微粒化される流体用の少なくとも第1流体入口と、ガス状流体用の第2流体入口と、混合チャンバと、ノズル出口開口と、ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口とを備え、微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成するための手段およびガス状流体を混合チャンバ内に導入するための入口開口がノズルハウジング内に設けられ、入口開口および混合チャンバは整列し、かつガス状流体を混合チャンバ内に壁と実質的に平行に導入し、ガス状流体の流れを混合チャンバ内の壁に沿って実質的に平行に案内するように設計される。
【0011】
本発明に係るノズルでは、微粒化される流体から膜が混合チャンバ内の壁に形成され、混合チャンバは微粒化される流体用の入口開口からノズル出口開口まで延びる。入口開口および混合チャンバは整列し、ガス状流体を混合チャンバ内に壁と実質的に平行に導入するように設計されるので、ガス状流体の圧力損失は低く維持される。次いでガス状流体は壁に沿って実質的に平行に、有利には高速ガス流の形で混合チャンバ内部を通過し、結果的に本発明に係るノズルのエネルギ必要量は非常に低くなる。例えば本発明に係る2成分ノズルは、圧縮空気の場合ゲージ圧1バール未満の非常に低い圧力で動作することができ、しかも極めて小さくかつ均等に分布する液滴径を達成することができる。ガス状流体からのガス流は、混合チャンバ内の壁上の微粒化される流体からの膜をノズル出口開口へと追い立て、そこでこの液膜は次に引き裂かれて個別ラメラになり、次いでそれらはノズル開口から流出するガス流と、環状空隙開口から流出する環状空隙空気流との間に配置され、それによって液滴に微粒化される。混合チャンバ自体の内部で、ガス流によってノズル出口の方向に追い立てられる液膜が不安定になり、ノズル出口開口に到達する前に部分的微粒化がここで行われることから、微細液滴の形成を発生させることも可能である。本発明に係る2成分ノズルは、きわめて優れた部分負荷挙動によって特徴付けられる。低流量の水を微粒化する場合、特に極めて細かい微粒化が必要でなければ、例えばゲージ圧0.2バールの低い圧力の空気により作業することが可能である。その場合、ノズル内部の流速は比較的低くすることができ、例えば混合チャンバへの入口では50m/sであり、ノズル口では約100m/s以下である。小さい液流を極めて細かく微粒化する場合、またはより大きい液流を細かく微粒化する場合、より高い流速が要求される。これは蒸気アシスト微粒化にも当てはまる。そこで、本発明に係る2成分ノズルのノズル口で、2相流に略音速が達成される。しかし、混合チャンバもまた、断面の最も狭い箇所で音速が達成されかつ音速より高い流速を維持するために流通断面が次いで再び拡大する、ラバールノズルの形に設計することができる。全体として、驚いたことに、本発明に係る2成分ノズルを使用して、小さい液滴径および均等な液滴範囲を持つ2成分ノズルで非常に低いエネルギ消費を達成することが可能であることが証明された。
【0012】
ガス状流体を混合チャンバ内に導入するために、少なくとも3つの入口開口を設けることが有利である。入口開口は、例えばリングにおける穴として設計することができる。穴から流出する圧縮空気噴流は次いで、主に混合チャンバ壁に対し略接線方向に流れ、さらにノズル軸の方向に傾斜する。
【0013】
本発明の実施形態では、混合チャンバ内へのガス状流体用の入口開口は、混合チャンバの長さの最初の3分の1の壁に対して0゜から30゜の間の角度に調整される。
【0014】
ガス状流体が混合チャンバ内に導入される角度が壁に対して0゜から30゜の間では、低い圧力損失が発生するだけであり、しかも混合チャンバの壁の液膜はノズル出口開口の方向に確実に追い立てることができる。混合チャンバは、例えば空気が混合チャンバ内に壁と平行に導入され、次いで混合チャンバの第2区画で30゜未満の低い角度でそこに配置された壁と衝突するように、設計することができる。その結果、液膜に対する剪断応力効果が増大し、液膜をさらにノズル出口の方向に追い立てる。
【0015】
本発明の実施形態では、ガス状流体用の入口開口の中心軸は、入口開口の中心軸が流れ方向に混合チャンバの中心長手軸上に集束するように、混合チャンバの中心長手軸に対して傾斜する。
【0016】
このようにして、低ガス速度のゾーンすなわち比較的遅いコア空気流の形成を回避することができ、均等な液滴径を確保することができる。中心軸は、中心長手軸に対して10゜から30゜の間の範囲の角度に傾斜することができる。
【0017】
本発明の実施形態では、ガス状流体用の入口開口の中心軸は、混合チャンバの中心長手軸と交差しない。
【0018】
したがって、入口開口の中心軸は混合チャンバの中心長手軸に対して傾斜して配置されるので、入口開口の中心軸は中心長手軸と交差または互いに交差することなく、混合チャンバの中心長手軸上に集束することができる。乱流ゾーンの形成による圧力損失は、こうして防止される。傾斜配置により、入口開口の中心軸は中心長手軸に対して角度γだけ、かつ周方向に角度δだけ傾斜し、角度δは5゜から15゜の間の範囲であることが好ましい。
【0019】
本発明の実施形態では、入口開口の中心軸は、仮想回転双曲面体の外面上に位置する。
【0020】
このようにして、混合チャンバ内部のガス流体に対し、微細液滴への微粒化に有利に働く渦巻を付与することができる。その場合、入口開口の中心軸は一葉双曲面の母線を形成することができる。
【0021】
本発明の実施形態では、少なくとも液膜のある壁から多少離れた領域で、液膜と高速ガス流との間の摩擦のために減速されない液滴を高速ガス流にロードさせるために、さらに液滴ローディング手段が混合チャンバに設けられる。
【0022】
このようにして、導入されたガス状流体は全ての領域で減速され、したがって微粒化させるべき流体を個別液滴に破砕するか、あるいは混合チャンバの壁の液膜をノズル出口の方向に追い立てるか、いずれかの作業を実行することを確実にすることができる。特に、混合チャンバの壁に沿って通過する空気流と比較して、わずかに減速されるだけか、または全く減速されず、したがって作業を実行することなく再びノズルから離れるコア空気流の形成が防止される。
【0023】
本発明の実施形態では、液滴ローディング手段は中心ピンを有し、微粒化される流体用の入口開口は中心ピンの先端で位置合わせされ、中心ピンは先端から円錐状に最大径の箇所まで拡張し、混合チャンバ内部のガス状流体は中心ピンの最大径の箇所の先に案内される。
【0024】
そのような中心ピンにより、例えば中心ピンの溝または流路によって、微粒化される流体は薄い液膜または個別液体噴流に分割することができ、そうするために必要なエネルギは、微粒化される流体自体の運動エネルギによってもたらされる。微粒化される流体は次いで中心ピンをその最大径で離れ、そこで微粒化される流体は次いでガス状流体によって取り込まれ、部分的に個別液滴に分割され、ノズル出口の方向に運ばれ、液膜を形成するために部分的に混合チャンバの壁と衝突する。このタイプの中心ピンにより、混合チャンバ内の壁から多少離れた空気流の領域は、液滴を同伴して減速することができ、したがって微粒化に寄与することができる。中心ピンとその取付装置および/または混合チャンバを画定するノズルハウジングは、炭化物または炭化ケイ素から作ることができる。
【0025】
本発明の実施形態では、微粒化される流体から膜を形成するための手段は、微粒化される流体をその流れエネルギによって部分流に分割するために、流路内に少なくとも1つの障害物を含む。膜を形成するための手段は、混合チャンバへの流体入口の上流に、渦巻挿入体を有することが有利である。
【0026】
微粒化される流体の流路内の渦巻挿入体により、微粒化される流体は、主に流路の壁に沿って移動するように回転し始めることができ、次いで混合チャンバの壁に必要な液膜を形成することもできる。液体インフィードの流路内の障害物は、ノズル中心長手軸に向かって開放し、銃身の旋条のように螺旋状に走る少なくとも3つの流路または溝の形に設計することもできる。
【0027】
本発明の実施形態では、微粒化される流体から膜を形成するための手段は中心ピンを有し、微粒化される流体のための入口開口は中心ピンの先端に位置合わせされ、中心ピンは先端から最初は円錐状に拡張する。
【0028】
中心ピンはしたがって2つの機能を有することができる。すなわち、第一にコア空気流に液滴をロードすること、および第二に微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成することである。微粒化される流体は中心ピンによって分割され、最大径の箇所で中心ピンから離れ、次いでコア空気流によって部分的に液滴に破砕され、混合チャンバの壁に沿って運ばれ、最大径の箇所に略対向する壁に部分的に衝突し、そこに必要な液膜が形成される。
【0029】
本発明の実施形態では、中心ピンは、流れの方向に見て最大径の領域の後に先細り後行要素を有する。
【0030】
オタマジャクシの尾に似たそのような後行要素により、より大きい液滴が形成される中心ピンの背後の乱流ゾーンおよびデッドゾーンを防止することができる。さらに、先細り後行要素は、混合チャンバ内のガス状流体の流速を高レベルに維持することを確実にすることもできる。
【0031】
本発明の実施形態では、中心ピンはダブルコーンの形を有する。
【0032】
本発明の実施形態では、混合チャンバの壁は中心ピンの先細り後行要素と実質的に平行に配置される。
【0033】
中心ピンは例えば円錐状であり、ダブルコーンの形を有し、一定の距離を置いて混合チャンバの壁によって包囲される。その結果、環状空隙幅を一定に維持することができ、かつ中心ピンおよび混合チャンバの壁の先細りのため、自由流通断面が低減される。
【0034】
中心ピンの後行要素の経路における流れ方向に見て、混合チャンバの自由流通断面の低減のため、混合チャンバのガス流の速度は高レベルに維持することができ、後行要素および混合チャンバの壁における液膜は高い剪断応力を受ける。
【0035】
本発明の実施形態では、ガス状流体の混合チャンバ内への入口開口の中心軸は、中心ピンの後行要素の外壁と実質的に平行に配置される。
【0036】
このようにして、ガス状流体は非常に低い圧力損失で混合チャンバ内に導入することができ、ガス状媒体の入口圧力が低くても、混合チャンバ内のガス状流体の高い速度を達成することができる。
【0037】
本発明の実施形態では、中心ピンはダブルコーンの形に設計され、混合チャンバの最小断面の領域は、ダブルコーンの下流に位置する先端の高さに配置される。
【0038】
本発明の実施形態では、混合チャンバの断面は最初に先細りし、次いで最小断面の領域でそれを維持するか、または再び拡張する。
【0039】
このようにして、高速ガス流を維持するか、あるいは最小断面の領域で音速を達成すべき場合には加速することさえできる。
【0040】
本発明の実施形態では、混合チャンバは最初に中空錐台の形で先細りし、最小断面の箇所からさらなる中空錐台の形で再び拡張し、ガス状流体の先細り中空錐台の混合チャンバ内への入口開口の中心軸は、混合チャンバの内壁と平行に位置合わせされる。
【0041】
このようにして、ガス状流体は混合チャンバの壁と平行な先細りの領域に導入され、それに沿って液膜が追い立てられる。拡張領域で、ガス状流体は次いで同様に混合チャンバの壁と平行に、または混合チャンバの壁に対して低い角度で案内される。ここでは低い角度が、液膜に対する剪断応力効果を高め、かつ液膜をノズル出口の方向に追い立てるのに有利になり得る。
【0042】
本発明の実施形態では、微粒化される流体から膜を形成するための手段は中心ピンを有し、微粒化される流体用の入口開口は中心ピンの先端に位置合わせされ、中心ピンは、微粒化される流体用の入口開口に面してその上流の領域に設けられ、少なくとも2つの流路または溝が中心ピンの先端から中心ピンの最大径の箇所まで走る。
【0043】
そのような流路または溝により、中心ピンの先端に衝突する微粒化すべき流体は、常に衝突する流体の運動エネルギのみによって、少なくとも部分的に個別噴流に分割することができる。
これらの噴流は次いで最大径の箇所から中心ピンを離れ、混合チャンバ内に導入されたガス状流体によって取り込まれ、部分的に液滴に破砕される。中心ピンから離れた流体噴流は、コア空気流が液滴を同伴して減速され、微粒化作業を実行することなくノズルを通過することができないことを確実にする。加えて、液体噴流は中心ピンの最大径の箇所に略対向する混合チャンバの壁にも衝突し、この壁に液膜が形成され、それが次いで混合チャンバ内に導入されるガス状流体によってノズル出口の方向に追い立てられることを確実にする。流路または溝は、中心ピンの表面線上に走るか、またはそれに対して傾斜して走ることができる。
【0044】
本発明の実施形態では、微粒化される流体から膜を形成するための手段は中心ピンを有し、微粒化される流体用の入口開口は中心ピンの先端に位置合わせされ、中心ピンは少なくとも2つの半径方向に延びるリブによって、混合チャンバの内壁を画定するノズルハウジングに接続される。
【0045】
中心ピンのこのような構成は設計が単純であり、流れが最適化され、したがって中心ピンは交換可能でもある。中心ピンの交換は、磨耗した場合に、または異なる微粒化される流体または他の圧力条件にノズルを適応させなければならない場合に必要になることがあり得る。
【0046】
本発明の実施形態では、ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口が、混合チャンバの内壁を画定するノズルハウジングと環状空隙管との間に設けられ、ノズルハウジングと環状空隙管との間の環状空隙開口の上流に、渦巻要素が設けられる。
【0047】
そのような渦巻要素により、最初に環状空隙空気に回転を付与することができ、それは環状空隙開口で可能な最も完全な微粒化を確実にするのに役立ち、さらにこの渦巻要素は、極めて正確な環状空隙幅を確実にすることもできる。これは特に渦巻要素が、環状空隙管とノズルハウジングとの間の環状空隙開口に近接して配置されたときに当てはまる。このタイプの渦巻要素は、例えば外周に幾つかの切込みを入れたディスクを設けることによって、非常に単純に設計することができる。
【0048】
本発明の実施形態では、環状空隙開口の少なくとも幾つかの部分を包囲するシース空気ノズルを設ける。
【0049】
シース空気ノズルを設けることによって、噴霧ランスの外皮上の被膜および特にノズル口の領域の被膜も形成を防止することができる。そのような堆積物は噴霧が行なわれるプロセス環境から形成されることがありえる。シース空気は温度が非常に高くなり得るので、ランスの外皮の温度が露点未満まで下がることはあり得ない。
【0050】
本発明の根底にある問題は、本発明に係る少なくとも2つの2成分ノズルが設けられた、流体を微粒化するためのバンドルノズルによっても解決される。
【0051】
本発明に係る2成分ノズルを複数組み合わせてバンドルノズルにすることにより、低量のエネルギを必要とするだけで、大量の流体さえも小さい液滴に微粒化する可能性がもたらされる。
【0052】
本発明の根底にある問題は、
少なくともガス状流体用の流体入口と、少なくとも微粒化される流体用の流体入口と、混合チャンバとを有する2成分ノズルによって流体を微粒化する方法であって、
−微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成するステップと、
−混合チャンバ内部のガス状流体からガス流を形成し、かつガス流を混合チャンバ内部の液膜に沿って実質的に平行に案内するステップと、
−混合チャンバの下流の環状空隙開口でガス状流体から環状空隙流を形成するステップと、
−環状空隙開口で膜を微粒化するステップと、
を含む方法によっても解決される。
【0053】
本発明に係る方法により、流体を微粒化し、しかも非常に小さい液滴径のみならず、これらの液滴径の非常に均等な分布をも達成することが可能である。特に、本発明に係る方法によって、形成された液滴範囲に個別の大きい液滴が存在せず、したがってその後のプロセスステップで流体の堆積による問題が生じ得ないことを確実にすることができる。混合チャンバの壁における微粒化される流体からの膜は、壁に沿って平行に案内されるガス流によってノズル出口開口の方向に追い立てられる。しかし、同時に、液膜はすでに部分的に個別液滴に破壊されていることがあり得る。ノズル出口開口で、液膜は次に引き裂かれて個別ラメラになり、それは環状空隙空気流とノズル出口開口からの空気流との間に捕獲され、したがって非常に細かい液滴に確実に微粒化される。本発明に係る方法では、微粒化される流体からの膜は、ノズル内に導入される流体の運動エネルギによって生成することができるので、非常に省エネで流体を微粒化することができる。ガス状流体は混合チャンバ内で液膜を超えて実質的に平行に案内され、よって低い圧力損失を被るだけである。これは、ゲージ圧1バール未満の空気圧でも動作し、しかも小さい液滴および均等な液滴径分布を達成することを可能にする。
【0054】
本発明の実施形態では、混合チャンバ内部で、かつ少なくとも、微粒化される流体からの膜を持つ壁から多少離れた領域で、ガス状流体からの流れに微粒化される流体からの液滴をロードするステップが設けられる。
【0055】
このようにして、ガス状流体が作業を実行することなく、ノズルを部分的に通過することを防止することができる。代わりに、ガス状流体は壁から多少離れた位置で減速し、それによって同時に微粒化作業の一部をすでに実行している。
【0056】
本発明の実施形態では、微粒化される流体の流れは、微粒化される流体からの流動エネルギによって部分流に分割される。
【0057】
このようにして、微粒化される流体の運動エネルギのみによって、流体噴流を例えば生成することができ、次いで部分的にガス状空気によって液滴に分割し、かつ部分的に混合チャンバの壁に液膜を形成することができる。その結果、ノズルのエネルギ要件を非常に低く維持することができる。
【0058】
本発明の実施形態では、本発明に係る方法は、少なくとも環状空隙開口の直下流で環状空隙空気流を包囲するガス状流体からシース空気流を生成する。シース空気流は加熱することができる。
【0059】
シース空気流を生成することによって、ノズルランスの外皮上および特にノズル口の領域における堆積物を防止することができる。
【0060】
本発明のさらなる特徴および利点は、特許請求の範囲および図面に関連する本発明の好適な実施形態についての以下の説明から得ることができる。記載する種々の実施形態の個々の特徴は、本願の範囲から逸脱することなく、必要に応じて別の特徴と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】航空燃料の微粒化のための先行技術に係る予膜化ノズルの縦断面図。
【0062】
【図2】上流側の溝構造および細身で先細りする尾部を持つ中心ピンを備えた第1実施形態に係る本発明の2成分ノズルの縦断面図。
【0063】
【図3】混合チャンバ内の中心ピンおよび対向内壁だけを示す、図3の面A−Bの横断面図。
【0064】
【図4】中心ピンがセンタリングされ、ラジアルバーおよびリングを用いて液体ノズルに固定された、第2実施形態に係る本発明の2成分ノズルの縦断面図。
【0065】
【図5】中心ピンを持つ第3実施形態に係る本発明の2成分ノズルの縦断面図。
【0066】
【図6】中心ピンの無い第4実施形態に係る本発明の2成分ノズルの縦断面図。
【0067】
【図7】第5実施形態に係る本発明の2成分ノズルの混合チャンバ内に微粒化される流体を導入するための液体ノズルの縦断面図。
【0068】
【図8】図7の液体ノズルの横断面図。
【0069】
【図9】本発明に係るノズルの空気経路制御の渦巻成分を示す、図5および図6のA−Bの略図。
【0070】
【図10】混合チャンバ内の渦巻成分を示すさらなる略図。
【0071】
【図11】本発明の第6実施形態に係る2成分ノズルの縦断面図。
【0072】
【図12】本発明の第7実施形態に係る2成分ノズルの縦断面図。
【0073】
【図13】追加的シース空気ノズルを持つ本発明の第8実施形態に係る2成分ノズルの縦断面図。
【0074】
【図14】本発明の第9実施形態に係る2成分ノズルの口領域の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図2は、本発明の第1実施形態に係る独創的な2成分ノズルの縦断面図を示すが、中心ピン11は断面では示されない。本発明に係る2成分ノズルでは、中心ピン11は、液体が略一定の膜厚で外周を包囲するラメラとしてではなく、圧倒的に、2成分ノズルの混合チャンバ壁51に到達することを外周で均一の空気流46によって防止することのできない個別の比較的塊状の噴流17で、ピンリム44から離れるように設計される。空気流は代わりに液体噴流17の間を通過することができ、液滴をごくわずかに同伴するコア空気噴流47を形成する一方、液体の高い割合が混合チャンバ壁40上の膜29としてノズル口に流れる。ノズル口48で、この液膜29は、出口環状空隙空気流32および34ならびにコア空気流47の作用により、引き裂かれて薄いラメラになり、それは小さい液滴に分解される。コア空気流47および液膜29は、より明瞭に示すために、中心軸50の左側にだけ描かれている。
【0076】
本発明の要点は、最初に液体を、微粒化される流体の運動エネルギのみによって、中心ピン11により部分流すなわち部分噴流17に分割することであり、次いでこれらの噴流17が混合チャンバ7の壁40に衝突することにより、混合チャンバ7の壁に液膜29が形成されることである。しかし液膜29は当然、中心ピン11を包囲する混合チャンバ7の内壁全体に生じる。
【0077】
ガス状流体、通常圧縮空気は、中心流体出口102と混合チャンバ7の内壁との間に画定される入口開口100を介して、混合チャンバ7に流入する。混合チャンバ7は入口開口100からノズル出口開口48まで延びる。混合チャンバ7は、ノズルハウジング104の内側に配置される。入口開口100は、ガス状流体を混合チャンバ7の壁40と平行に導入するように位置合わせされかつ配置される。混合チャンバ7は、中空円錐の形で先細りする長さL1の第1区画から構成される。長さL2の第2区画では、最初に最低直径部Nが通り、この箇所に続いて、混合チャンバ7は、混合チャンバ7がノズル口またはノズル出口開口22で終わるまで、再び中空錐台の形で拡張する。しかし、ノズル口の下流のノズル外部でもさらに混合が行なわれるが、この区画はもはやノズルの混合チャンバとして表わされない。入口開口100の中心軸はこうして、区画L1およびL2のダブル中空コーンの不均等な開き角度に対応して、混合チャンバの区画L1では壁40と平行に位置合わせされ、かつ混合チャンバの区画L2では壁に対して30゜未満の低い角度に位置合わせされる。混合チャンバ7に流入するガス状流体は、混合チャンバの壁に形成された液膜29を摩擦力によって、ノズル口48の方向に追い立てる。液膜29の一部は、図2に示されるとおり、領域L1で高速ガスの形で液膜29を通り過して流れるガス状流体によってすでに液滴状に微粒化されている。しかしガス状流体は混合チャンバの壁40と平行に混合チャンバ内に導入され、混合チャンバの第2区画L2でも、混合チャンバの壁に対して浅い角度で案内されるので、本発明に係る2成分ノズルでは低い圧力損失が生じるだけである。驚くことに、本発明に係る2成分ノズルは、1バール未満のガス状流体の圧力ですでに動作することができ、かつこれらの低い圧力でも、流体の非常に均等な微粒化を達成することができることが立証された。本発明に係る2成分ノズルの低いエネルギ要件の要因もまた、流体の運動エネルギのみによって、流体が中心ピン11により部分噴流に分解され、次いで前記噴流が液膜29の形成を達成することである。
【0078】
図2に示す本発明に係る2成分ノズルの第1実施形態では、円錐状の中心ピン11はその表面線上に、小さい吐水口として働く溝14が設けられる。吐水口は、ノズル45の混合チャンバ7のそれらの領域51の内壁40に衝突し必要に応じてそこに液膜29を形成する個別液体噴流17を形成する一方、微粒化空気46は、ガセット19を介してほとんど妨害されずに、隣接する液体噴流17の間に流れる(図3参照)。「ほとんど妨害されない」とはここでは、液体噴流17の一部分だけが、微粒化空気によって個別液滴に微粒化されることを意味する。しかし、微粒化空気46は中心ピン11から液体噴流17を通過流動しなければならないので、混合チャンバの壁40から多少離れて流れる微粒化空気の割合も減速され、したがって微粒化作業を実行する。しかし、何よりも、壁40から多少離れた高速のコア空気噴流が形成され、使用されずにノズルから去ることは防止される。
【0079】
中心ピン11は平面状端面を持たず、長さLpのオタマジャクシの尾15の形の後行要素が設けられるので、中心ピン11の拡張区画の下流で、逆流領域および後で再び大きい液滴の形でそこから離れることがあり得る水の貯留が防止される。したがって中心ピン11の後部は、本発明では、細いオタマジャクシの尾15の形の後行要素を持つように設計され、したがってダブルコーンの形を有し、溝14が設けられた拡張する第1コーンの長さはかなり短く、後行要素の長さのわずか約4分の1である。さらに、混合チャンバ内への区画L1の流通断面の経路は全体的に、オタマジャクシの尾15も空気流によって高い剪断応力を受けるほど強く収束するように設計される。その結果、いずれの場合も、オタマジャクシの尾15のこの区画に到達することのできる低い液量は同様に薄い液膜に引き裂かれ、その後それは小さい液滴に分割される。
【0080】
中心ピン11は、多種多様な設計とすることができる。尖端円錐形の代わりに、図4に示すように、丸みを帯びた形状を使用することもできる。さらに、溝14は厳密に円錐の表面線に沿って走る必要はなく、液体噴流17が周方向成分を有するように、表面線に対して傾斜することもできる。
【0081】
本発明の重要な側面は、内壁40の領域51の全液流39が混合チャンバ7内に移送されると、再びノズル断面における最適な液体分布が、図4に示す本発明の2成分ノズルの実施形態では得られないことである。微粒化に使用される圧縮空気の圧倒的な割合は、この場合そこでノズルの中心軸50に接近しても集合液滴の流れ抵抗によって減速されないので、混合チャンバの区画L1およびL2をノズルの中心軸50に近接して通過する。次いで大きすぎる空気流は、意図された微粒化作業を実行することなく、ノズルを中心長手軸50に近接して通過する。この結果、ノズルのエネルギ消費は不必要に高くなる。本発明では、自由に空中に浮遊する液滴が空気流に対し充分に高い制動抵抗をもたらす、適正な量の液体だけを壁40の液膜29内に送達することができる。すると空気は、作業を実行することなく、ノズル45の混合チャンバの混合チャンバ区画L1およびL2を中心軸50に近接して通過することができず、かつ混合チャンバ壁40の液膜29の表面の近くでは高い流速も発生する。膜面に近接する圧縮空気の高い流速は、液膜に対する高い剪断力を導く。その結果、膜の厚さが低減され、すると液膜29からノズル口48に形成される液滴はそれに対応して小さくなる。
【0082】
したがって、本発明では、中心ピン11の表面の溝14は、全液流39が個別液体噴流17で移送されないような寸法を有する。その代わりに、薄い液体ラメラ18がより大きい塊状の液体噴霧17の間に形成され、前記ラメラは微粒化空気に対し低い流れ抵抗を示すだけであり、混合チャンバの壁40に到達できる前に、圧縮空気によって運ばれる小さい液滴に分解する。圧縮空気はこれらの液滴を加速するはずであるので、妨害されずに混合チャンバ内の軸近くに突破することはできない。したがって、ノズル口48の下流で形成される液滴噴流31もまた、中実円錐噴流により近い形になる。ここに記載する対策を講じなければ、少なくともノズルによる液体スループットが低い場合、中空円錐噴流が生じる。
【0083】
液体スループットが高く、かつそれに対応して混合チャンバの壁40上の液膜29の液体流量が高ければ、膜表面は不安定になる。液膜の安定限界に関する本発明者による試験中に、高速空気流の影響下での液膜表面の不安定性は、巻波の発生に関係することが明らかになった。これらの波は、言うまでもなく海面の波でもよく知られる通り、エアポケットを有する。エアポケットが膜表面に到達すると、水で覆われた気泡が弾け、その結果比較的小さい液滴が生じる。さらに、液滴は膜表面から比較的急角度で立ち上がる。その結果、液滴は混合チャンバで中心軸50に運ばれる。これは次の2つの理由からある程度望ましい。
−ノズルの中心軸50付近の空気流は、これらの液滴に対して加速作業を実行しなければならないので、制限される。
−壁40の液膜29は、ノズル口48に到達する前に、その液体流量の一部を失う。ノズル口48における液膜の微粒化のために要求されるエネルギ密度はしたがって低減される。この結果、ノズル口における環状空隙2次微粒化のための圧縮空気消費量は低くなる。これもまた、微粒化のためのエネルギ消費の低下に役立つ。
【0084】
中心ピンの表面の溝14の形状に加えて、個別液体噴流17の衝突領域の壁40の領域51の形状もまた、壁上の液膜29で、または自由に空中に浮遊する液滴の集合体によって、輸送される液体比に対して強い影響を有する。液体噴流17の衝突角度αが非常に平坦である場合、それはほぼ完全に反射する。その結果、ノズルの中心長手軸50付近の液滴数密度が再び高くなり、したがって液滴の分解は不充分になる。衝突角度αが急峻である場合、衝突する液体噴流17は破裂し、この場合もまた、壁の液膜29内への液体輸送は不充分になる。最適な角度範囲は、流動条件だけでなく、液体の材料特性によっても異なる。その理由から、有利な角度範囲を狭めることはほとんど不可能である。壁40の領域51における液体噴流17の衝突領域における壁接線と中心ピン11の壁接線との間の角度αに対して、約20゜から70゜の範囲が提供される。
【0085】
中心ピン11の第1の拡張領域および中心ピン11の最大径Dの有利な角度βもまた、広範囲の境界条件によって変化する。βの場合、約30゜から90゜の範囲が有利である。ピン径Dは、液体入口の直径DLN1(「L」は液体を、「N」は狭窄を表わす)に関連して見なければならない。比D/DLN1は、2から5の範囲とすべきである。
【0086】
断面N(Nは、ピンリム44と混合チャンバ壁51との間の環状間隙20の「狭窄」を表わす)およびN(中心ピン11の尾端の下流の混合チャンバの狭窄部)も自由には選択できない。特に微細な液滴スペクトルを得るために、多くの場合、狭窄部Nで2相流に対し音速を達成しようと試みられる。中心ピン11の最大径の狭窄部Nで、空気の流速が高すぎないようにしなければならない。高すぎると、ピンリム44から離れる液体が混合チャンバ7の壁40の領域51に到達することができず、したがって膜が形成されないからである。ここでも寸法決定規則は非常に複雑である。実証研究によると、断面比N/Nは1から5の範囲とすることができる。
【0087】
断面比N/N(N:ラバールノズルの狭窄部、N:ノズル出口断面)も自由には選択できない。圧縮空気は液滴の加速および微粒化中に高い圧力損失を被ることを忘れてはならない。したがって、圧縮空気の密度はノズルのその通路で低減され、流れ方向に断面が拡張されることにより、準円錐状の流れでも、結果的にガス相の加速をもたらすことができる。ノズルの基本概念(超臨界圧条件または低圧微粒化)によって、N/N=1ないし3の範囲の断面比が有利である。
【0088】
断面寸法の仕様に関連して、主ノズル区間の細長比の寸法決定規則は難解である。慣性力のため、液膜29が妥当な程度を超えて壁40から脱離しなくなるので、狭窄部Nの混合チャンバ壁の曲率は強すぎてはならない。自由飛行中に液滴を微粒化するために、特定の流走長も要求される。オリエンテーション値を明記するために、次の寸法範囲が適用される。
−ノズル出口におけるNの直径に対する全長Lの比:L/L=3〜10
−全長Lに対する狭窄部NとNとの間の区間の長さL:L/L=0.2〜1.0
−全長Lに対する狭窄部NとNとの間の区間の長さL:L/L=0.1〜0・8
【0089】
中心ピン11の構造設計も非常に重要な側面である。ピンは、その流入液体噴流39に関連して正確にセンタリングして設置しなければならない。それは耐摩耗性材料、例えば炭化物または炭化ケイ素から製造しなければならない。図2および図4は、液体が別の小さい液体ノズル10を介して2成分ノズルの混合チャンバ内に導入される解決案を示す。図2に係る中心ピンは、リブ106を使用して、混合チャンバ壁51に対してセンタリングすることができる。中心ピンはリブを使用して、混合チャンバ壁でノズルハウジングに連結されたリングに連結されることが有利である。
【0090】
図4は異なる形のセンタリングを示す。中心ピン11はここでは3つのリブ12またはバーを介して、液体ノズル10に押し付けられた筒状保持リング13に連結される。
【0091】
ノズル口48および環状空隙2次微粒化の設計についてここでは詳細に取り扱わず、これに関連して、国際特許出願公開WO2007/098865A1を参照し、その内容を本願に含める。
【0092】
この国際特許出願公開は、環状空隙ノズルが、ノズルの中心長手軸に向かって傾斜しているだけでなくさらに同じ周方向にも傾斜している、環状配列の幾つかの2次空気ノズルから構成されることを特に記載している。これらの2次空気ノズルの中心軸はそのとき一葉双曲面の母線を形成し、流出する環状空隙空気に渦巻が付与される。個別の2次空気ノズルは穴として設計することができるが、これらの2次空気ノズルは、2つの構成要素間の凹所としても有利に設計することができる。例えばノズルハウジングの円錐状に面取りされた端部に、環状空隙ノズルの内壁に対向してそこから短い距離に位置する凹所が斜歯傘歯車のように設けられる。
【0093】
混合チャンバは、膜表面から離れる液滴の空気流への混合が集束区間Lのみならず、拡散区間Lでも行なわれるので、全長Lを有する。したがって、時々ノズルの出口区間と呼ばれるこの区間Lも、依然としてノズルの混合チャンバの一部を構成する。液体ラメラがノズル口で引き裂かれて微粒化される場合、液滴の混合および形成は混合チャンバの下流および外側でも行なわれる。本発明に係るノズルの混合領域はしたがって、混合チャンバおよびノズル口の下流の領域をも含む。
【0094】
図5の断面図は、本発明に係る2成分ノズルのさらなる好適な実施形態を示すが、ここでも再び中心ピン11は断面では示されない。混合チャンバ7の壁を画定するノズルハウジング150は、図2および図4に示したノズルと比較して、中心ランスチューブ2への遷移部分52に対するノズルハウジング150のねじ結合に関して、異なる設計である。これはノズルの機能にとっての重要性では二次的であるが、ノズルハウジング150を遷移部分52上に保持する袋ナット58に、空気通過穴59を設けることが必要になる。圧縮空気用のこれらの空気通過穴59の断面は、ここで関連圧力損失が発生しないように充分に寸法決定しなければならない。本発明に係る2成分ノズルによる低いエネルギ消費のために、圧力損失は可能な限り、液滴のできるだけ細かい微粒化のみに関連して発生するようにすべきである。
【0095】
図2、3、および4に係る実施形態では、混合チャンバに流入する液体噴流に予め定められた破砕点が設けられたので、液流から壁接着液膜および自由に空中浮遊する液滴への有利な分割が達成される。厚さが低減されたこれらの予め定められた破砕点または領域は、中心ピンの表面の溝によって形成されたものであるが、以下で図7および8に基づいて説明するように、液体ノズルの混合チャンバへの入口の特殊設計によっても形成することができる。しかし、空気入口穴5を、混合チャンバ7に流入しかつ溝無し中心ピン11で均等な液膜41に分割される液体噴流39に充分に近づけた場合、かつ空気噴流55の入口速度が充分に高い場合、空気噴流55は液膜41に溝を形成する。圧縮空気噴流55によって液膜41から引き裂かれまたはえぐり出された液体は、空気によって微細な液滴に微粒化される。隣接する圧縮空気噴流55間の比較的穏やかなゾーンにおける液膜41の部分は対照的に、予膜化ノズルおよび特に本発明に係る2成分ノズルに特徴的であるが、混合チャンバの壁に到達し、そこに液膜29を形成する。
【0096】
ノズルの中心長手軸50に対する入口開口の中心軸の位置合わせを示す図5および図6からの略図A−Bは、図9に見ることができる。混合チャンバ7内に流入する空気噴流55は、中心長手軸50の方向に角度γで傾斜しているだけでなく(図5、図6参照)、空気噴流55と中心長手軸50との間の角度δによって図9に表わすように、同一方向に回転する周方向成分をも有する。この構成により、混合チャンバの通路内で液滴を同伴した個別空気噴流55は、ノズルの中心長手軸50と全く交差しない。角度γは10゜から30゜の範囲であることが好ましく、角度δは5゜から15゜の範囲であることが好ましい。液滴を同伴した圧縮空気噴流55は、略直線56に沿って混合チャンバを通過する(図5、図6参照)。中心長手軸50に関連して、混合チャンバ内の2相流は渦巻にさらされる。図10に概略的に示す通り、直線56は一葉双曲面の母線を形成する。
【0097】
これは次の3つの結果を達成する。
−望ましくない大きい液滴は遠心力によってノズル内壁または混合チャンバ壁40に打ち付けられ、そこで液膜29を形成し、液膜はノズル口で環状空隙2次微粒化によって小さい液滴に破砕される。
−ノズルから流出する渦巻2成分噴流は、より大きい噴流開き角度を取る。この作用は、環状空隙空気34の場合同一方向に渦巻くことによって、かなり強化することができる。
−個別空気噴流がノズル主軸と位置合わせされた場合、自動的に選別効果または空気分離効果が生じる。空気は狭窄部Nで流路輪郭に従うことができる一方、液滴は質量慣性によってノズル主軸または中心長手軸50の方向に追い立てられる。この結果、液滴の塊状の中心噴流が生じる。そのような塊状の中心噴流では、結果的にノズルの外側の液滴噴流に、液滴の凝集さえ生じるおそれがあるので、比較的大きい液滴が形成され、よって微粒化の質がひどく損なわれる。これらの選別効果は、本発明に係る設計によって防止することができる。
【0098】
図6の図は、中心ピンが無い本発明のさらなる好適な実施形態を示す。代わりに、渦巻発生装置43が、混合チャンバ7の上流の液体ノズル10内の適切な箇所に設置される。図示する実施形態では、渦巻発生装置43は液体ノズル10の円錐台形テーパリングの上流に設けられ、次いでそれは筒状領域に移行し、次いで再び円錐台形領域内に開き、それは次いで混合チャンバ7に隣接する。渦巻発生装置43は事実上断面を閉塞しないように構成され、それは例えば渦巻発生装置43の領域の液体ノズルの壁に螺旋状に走る溝構造によって達成することができる。渦巻の作用のおかげで、壁接着液膜41は、液体ノズル10のカップ状拡張部分57に形成される。これはまた、圧縮空気噴流55が混合チャンバ7に流入するときに通過する空気入口開口110の領域で液膜の形で剥がれ落ちてくる。圧縮空気噴流55は液膜41に溝を形成し、運搬された液体を微粒化する。隣接する圧縮空気噴流55の間で、すなわち隣接する空気入口開口110の間で、液膜41は混合チャンバ壁40に到達することができ、ここでそれは必要な液膜29を生成し、それは環状空隙空気34の助けを借りてノズル口48で小さい液滴に微粒化される。
【0099】
環状空隙空気34は、別の環状空間を介して公知の方法で環状空隙に供給することができる。これは特に、エネルギ消費の側面から、環状空隙空気の圧力が、入口開口110を持つ穴5内に導入される主微粒化圧縮空気の圧力よりかなり低い場合に望ましい。しかし、図6に示す本発明に係る2成分ノズルの実施形態では、混合チャンバによって供給される主微粒化圧縮空気の圧力損失は比較的低いので、ノズルの環状空隙空気34は、主微粒化圧縮空気から引き込むことができる。これは、ノズルハウジング150を遷移部品52に固定するのに使用される袋ナット58上のセンタリングリング61の穴60を介して達成される。
【0100】
本発明に係る2成分ノズルは、固体含有液体の微粒化に適しており、かつ言うまでもなく、固体を含まない液体の微粒化にも使用することができる。
【0101】
本発明に係る図5および図6の2成分ノズルの液体ノズル10のさらなる可能な実施形態を、図7および8に示す。混合チャンバに流入する塊状液体噴流を中心ピンの上流側の溝によって個別噴流に破砕する代わりに、図7に係る液体ノズル10では、関連する効果を持つ溝53が、混合チャンバへのインフィードにおける液体ノズル10の壁に配設される。図7では、例として四つ葉のクローバに相応する溝構造が設けられる。図8の断面図でも容易に識別することのできる液体ノズル10の壁の溝53のおかげで、液体噴流は、液体ノズル10を離れた後の切欠きを示し、それによって噴流の分解が確実に行なわれる。液体ノズル10のそのような構成の決定的な利点は、液体インフィードの断面が目立つほど減縮されないことである。微粒化される液体は固体フレークを同伴することがあり得、それは液体インフィードから混合チャンバへのシフトを導くことがあり得るので、これは重要である。クローバの葉の形状により、図8に破線で描かれた内側の円54の直径は、同一断面積では、筒状のインフィードの内径より多少小さいが、最大断面寸法は多少大きい。また、固体フレークは一般的に主流方向に対して横方向には配置されないので、比較的大きいフレークが図7および図8の液体ノズル10を直立して通過することができる。
【0102】
本発明の枠組内で、液体ノズル10の壁に、例えば三つ葉のクローバに相応する他の溝造を有することが可能である。特に、ノズルの軸と同軸ではなく、周方向成分を持つ溝を設計することも可能である。この場合、混合チャンバに流入する液体の渦巻効果も達成されるので、液体ノズル10は同時に渦巻発生装置の機能を担うことができる。
【0103】
本発明に係る2成分ノズルのさらなる実施形態を図11に示す。ここでの主要なポイントは、入口開口110またはそれらの中心軸がノズルの中心長手軸50に対してスキューした状態で位置合わせされることである。入口開口110の中心軸が次いで延長されかつ中心長手軸50周りに回転すると、結果的に仮想回転双曲面体の外面が中心長手軸50を包囲する(図10も参照)。入口開口110のこのタイプの構成によって、流入ガス状流体を回転させることが可能になり、したがって、すでに記載した通り、小さい液滴の生成に有利である。この実施形態は、袋ナット58の穴リング(図6参照)を不要にすることができるという利点をもたらす。エネルギ消費の側面から、最善の結果は、図11に係るノズルならびに図12および図13に係る同様のノズルにより得られた。
【0104】
ノズルの中心長手軸50に対する入口開口110のスキュー配置にもかかわらず、ガス状流体が混合チャンバの壁114と平行に複数の入口開口110を介して供給管112から導入されることが、図11から分かる。混合チャンバは、図11に示すノズルに、ダブル中空コーンの形を有する。壁114は中空錐台の形であり、狭窄部116まで延びる。この狭窄部116から、混合チャンバは再びわずかに拡張するので、狭窄部116の下流のこの第2区画の混合チャンバの内壁118は、再び中空錐台の形を有するが、開き角度は非常に小さい。混合チャンバはノズル出口開口120で終わり、それは同時にノズルハウジング122の下流位置の端部を形成する。ノズル出口開口120およびノズルハウジング122全体が、流れ方向に見たときに、ノズル出口開口120の真後ろの環状空隙開口126で終わる環状空隙空気管124によって包囲される。環状空隙開口126とノズル出口開口120との間に環状空隙が画定され、同様に供給管112によって供給されかつノズルハウジング122を過ぎて環状空隙空気管124の内部を流れる環状空隙空気は、該環状空隙を介して流出する。
【0105】
環状空隙空気管124の内側とノズルハウジング122の外側との間の環状空隙空気の幅の最も正確で可能な設定を確実にするために、かつ同時に、環状空隙空気に渦巻を付与するために、渦巻要素128が、ノズルハウジング122と環状空隙空気管124との間で、狭窄部116とノズル出口開口120との間の中間付近に挿入される。この渦巻要素128は片側をノズルハウジング122に支持され、反対側を環状空隙空気管124に支持され、こうして環状空隙幅の非常に正確な設定を確実にする。さらに、すでに述べた通り、渦巻は渦巻要素128によって環状空隙空気管124内の環状空隙空気に付与される。環状空隙幅は、渦巻要素128が環状空隙開口126に近ければ近いほど、渦巻要素128によってよりいっそう正確に設定することができる。渦巻要素128は例えば、その外周部から斜めに切り込まれた溝を備えた円板として設計することができる。
【0106】
図14は、渦巻を発生させるため、かつ環状空隙空気管156をノズル口の近くでセンタリングするための渦巻発生装置154の構成を示す。
【0107】
ノズルハウジング122は2つの部品に分けて構成され、上流位置区画130および下流位置区画132を有する。上流位置区画130は、微粒化される流体用の入口開口134を有し、この入口開口134の上流に、微粒化される流体用の供給管136のための接続フランジを備える。入口開口134の上流には収束領域が配置され、入口開口134の下流には発散領域が配置され、発散領域は次いで混合チャンバの壁114まで延びる。上流位置区画130はさらに幾つかの入口開口110を有し、そのうちの例えば4ないし8個はノズルハウジング122の外周全体に分散される。上流位置区画130は混合チャンバ内に延びる保持用リブ138で終わり、そこにダブルコーン形の中心ピン140が固定される。保持用リブ138は中心ピン140の少なくとも両側をノズルハウジング122に連結し、特に上流位置区画130と下流位置区画132との間の分離位置でノズルハウジング122に連結される。ノズルハウジング122の上流位置区画130および下流位置区画132は袋ナット142によって一体に保持される。袋ナットを取り外した後、ノズルハウジング122の区画130、132は互いに分離することができ、かつ中心ピン140をリブ138と一緒に取り外し、例えば摩耗している場合には交換することができる。
【0108】
異なる形状の中心ピン140によって、微粒化される異なる液体にノズルを適応させることができる。中心ピン140は例えば炭化物またはセラミックから作ることもできる。
【0109】
図11に示す2成分ノズルの動作モードは、図2および5に基づいてすでに記載したものと原則的に同一である。中心ピン140はここでは、微粒化される流体用の入口開口134に対面するその先端の領域、および同様に円錐先端の形を有するその後行要素の領域の両方で、平滑な表面を持つように設計される。中心ピン140はこうしてダブルコーンの形状を有し、後行要素は入口開口134に対面する先端の長さの2倍より多少長い。中心ピン140は入口開口134の下流位置端部から狭窄部116の領域内まで延びる。特定の状況下では、図3に示すように、ここで中心ピンに溝を設けることも有利である。
【0110】
中心ピン140の後行要素は、その外壁が混合チャンバの第1区画の壁114と平行に走るように設計かつ構成される。混合チャンバの第1区画における、すなわち狭窄部116までの壁114と中心ピン140との間の環状空隙幅はしたがって一定に維持される一方、混合チャンバの自由断面は先細りする。
【0111】
ノズルの動作中に、微粒化される流体は入口開口134を通過し、中心ピン140の先端に衝突する。微粒化される流体はこうしてそれ自体の運動エネルギによって、中心ピン140の先端に沿って流れる膜に破砕される。この膜は次いで中心ピン140をその最大幅部144で離れ、大部分は混合チャンバの壁114に到達する。したがってこの壁114に液膜が形成され、それは次いで、入口開口110を介して流入するガス状流体によって、ノズル出口開口120の方向に追い立てられる。ガス状流体は入口開口110を介して壁114と平行に導入され、かつ中心ピン140の後行要素の外壁とも平行に流れる。混合チャンバの下流位置区画で、すなわち狭窄部116の下流で、ガス状流体は約10゜から15゜の浅い角度で混合チャンバの壁118に衝突する。この浅い衝突角度はガス状流体と壁118の液膜との間の剪断応力を増大させ、こうして液膜が迅速にノズル出口開口120の方向に追い立てられることを確実にする。
【0112】
混合チャンバの壁114、118の液膜とガス状流体との間の速度の対応する差により、巻波の形成に基づいて上ですでに説明した通り、液膜は充分に厚い場合、混合チャンバを移動中にすでに部分的に液滴に分割される。この部分分割のために重要なものは、ガスの速度または液膜に対する剪断応力および膜の厚さである。
【0113】
言うまでもなく、入口開口110を介して流入する流体は液膜を通過しなければならないので、中心ピン140をその最大幅部144で離れた後も、微粒化される流体の一部はすでに個別液滴に破砕されている。壁114からさらに遠い領域でも、ガス状流体はこうして液滴を同伴し、微粒化作業を実行しなければならず、したがって減速される。微粒化作業はここでは、新しい液体表面を生成するための作業、すなわち例えば中実噴流からの液滴の生成、および/または大きい液滴を小さい液滴に破砕すること、液滴の加速のために必要な作業、ならびにガスと液体との間および液体と壁との間の摩擦力を克服するために必要な作業の総和であるとみなされる。したがって、微粒化を実行せず、液滴をごくわずかに同伴するだけであるか、または全く同伴せず、実質的に使用されずにノズル出口開口120から離れる、より高速のコア空気流が狭窄部116の下流の混合チャンバの第2区画で形成されることは防止される。代わりに、本発明に係るノズルでは、狭窄部116の下流の混合チャンバの下流位置部分における流れのコア領域が液滴を同伴し、壁118の近くを流れる領域より実質的に高速では流れず、あるいはそれと同程度の速さで流れることが可能である。
【0114】
壁118の液膜は次いで、ノズル出口開口120を通過した後、引き裂かれて薄い液体ラメラ状になり、次いで該ラメラは、混合チャンバから流出したガス状流体および環状空隙空気の両方によって微細液滴に微粒化される。
【0115】
中心ピンは、すでに記載した通り、個別流体噴流を生成するための流路または溝も設けることができ、該個別流体噴流は次いで混合チャンバの壁114に衝突する。
【0116】
壁114、118上のこの液膜の部分的分解さえも、必ずしもまだノズルの内部で開始する必要は無いことを付け加えることができる。低い液体スループット範囲では、膜は非常に薄いので、混合チャンバ内部の超音速空気流によってさえも微粒化することができない。このような場合、微粒化全体がノズル出口開口120で、液膜がラメラに引き裂かれかつノズル出口開口120から流出する中心微粒化空気と環状空隙空気流との間に詰め込まれるときにしか起こらない。膜流は実際には壁114、118上の液膜における高い液体流量だけで不安定になり、部分微粒化はすでに混合チャンバ内で、すなわちノズル出口開口120に到達するずっと前に、行なわれている。
【0117】
ノズル出口開口120は、ノズルハウジング122の下流位置端部によって形成される。ノズルハウジング122の端面における液滴の付着を防止するために、ノズル出口開口120を包囲する端面、いわゆる前肩はできるだけ狭幅に設計される。特殊鋼のノズルハウジング122の設計により、この環状端面の幅は0.1mmから0.4mmの間とすることができ、炭化物バージョンでは0.2mmから0.5mmの間とすることができる。この端面の低幅のため、ノズルハウジング122はノズル出口開口120の領域の衝撃に敏感である。ノズルハウジング122の衝撃感度の高い前肩を保護するために、環状空隙空気管124は、流れ方向にノズルハウジング122の前肩よりすこし上に突出する。環状空隙ノズルの場合、言うまでもなく液体は環状空隙開口126を介して流出せず、したがって液滴が環状空隙空気管124の前肩に蓄積することもできないので、端面の幅または前肩の幅は比較的重要ではない。環状空隙空気管は流れ方向にノズルハウジング122よりさらに突出するので、本発明に係る2成分ノズルの最適機能は耐衝撃性を組み合わせることができる。
【0118】
本発明に係る2成分ノズルのさらなる実施形態を図12に示す。図11に示した2成分ノズルとは異なり、ノズルハウジング122から供給管内に延び、それによって入口開口110用の空気供給を環状空隙116用の空気供給から分離する、追加の管148が設けられる。本発明に係る2成分ノズルはしたがって、穴110を介して混合チャンバ内に供給される洗浄液が口120を介してノズルから流出するのを防止するために、例えば微粒化される流体用の中心供給管に負圧を掛けることによって、特殊洗浄プロセスで使用することができる。バックサクションのため、環状空隙から流出しかつ洗浄液を同伴しない空気は次いで、混合チャンバを介して吸い戻される。洗浄液が混合チャンバ内へのバックサクション無しに穴110を介して導入された場合、それは必然的にノズル口から流出する。この場合、洗浄剤を同伴しない環状空隙空気は微粒化作業を実行する。
【0119】
図13は、本発明の第8実施形態に従って本発明に係る2成分ノズル150の縦断面図を示す。2成分ノズル150は図11に示した2成分ノズルと実質的に同一であるので、図11に示す2成分ノズルとの相違点だけを説明する。図11に示した2成分ノズルの構成要素に加えて、図13に係る2成分ノズル150は、環状空隙開口126を持つ環状空隙ノズルを包封するシース空気ノズル152が設けられる。液膜の微細液滴への破砕を可能にするために、空気は環状空隙ノズルを略音速の高速度で流出する一方、シース空気はシース空気ノズル152を低速度、例えば約50m/sで流離する。シース空気のタスクは、供給管112の外皮をも意味する噴霧ランスの外皮を、噴霧される液体が供給されるときに通過するノズルのコールドコアから熱的に分離することである。外皮が硫酸露点または蒸気露点から低下するのを防止するために、外皮は高温に維持しなければならない。その結果、噴霧ランスの外皮上の堆積、および特に環状空隙開口を画定する環状空隙ノズルの領域の堆積も防止することができる。ノズルランスの腐食の発生も、シース空気を加熱することによって防止することができる。
【0120】
図14は、本発明に係る2成分ノズルのさらなる好適な実施形態のノズル口の縦断面図を示す。このノズルでは、渦巻要素154によって環状空隙の幅が外周全体で一定に設計されないという点で、環状空隙ノズルが特殊設計である。代わりに、斜歯傘歯車に匹敵するように設計された凹所が、ノズルハウジング158から延びかつ環状空隙空気管156の幾つかの区画に支持された渦巻要素154に設けられる。図14から分かるように、渦巻要素154はノズル口の近くに配置される。渦巻要素154の配置および特殊設計は、流出する環状空隙空気に渦巻を付与し、より大きい噴流開き角度を導く。図11に示した2成分ノズルとは異なり、渦巻要素154はこうしてノズル口に向かって前進する。ここで重要な要素は、凹所に加えて、全周環状空隙がノズル口160に直接設けられることである。凹所間の区間は、ノズル口160で直接、環状空隙空気管156の対向壁に決して接触してはならない。さもないと、環状空隙2次微粒化がこれらの領域で不可能になる。したがって、環状空隙空気管156に隣接する領域は、図14から分かるように、排出方向に逆らってノズル口160から少し後退して設置される。その結果、ノズルハウジング158に対する環状空隙空気管156の正確なセンタリング、およびしたがって環状空隙開口の正確な設置を達成することができる。環状空隙空気管156の内壁に隣接する、ライブセンタとも呼ばれる中心要素154の部分は、ノズル口160から多少後退して取り付けられるので、渦巻発生かく乱要素とも呼ばれるこれらのライブセンタの後流は、環状空隙ノズルのノズル口160までの途中の流れ領域で自ら活気付けることができる。
【0121】
渦巻要素154は、ノズルハウジング158に接続するか、あるいはノズルハウジング158との一体品として設計することもできる。図14に示す実施形態では、各々それだけで2次空気ノズルを形成する凹所が、ノズル口の領域で互いに対向する構成要素の間に、すなわちノズルハウジング158と環状空隙空気管156との間に形成される。このようにして、環状空隙空気管の正確なセンタリングおよび環状空隙幅の正確な設定だけでなく、設計が単純でありかつ製造が容易である構成も提供される。
【符号の説明】
【0122】
1 微細粒子およびより大きいコーティングフレークを同伴した微粒化される液体
2 2成分ノズルの混合チャンバに液体を供給するための中心ランスチューブ
3 2成分ラバールノズル
4 2成分ノズルに圧縮ガスを供給するためのランスチューブ
5 混合チャンバ内に圧縮ガスを導入するための穴
6 圧縮ガス、特に圧縮空気
7 1次混合チャンバ領域Lおよび2次混合チャンバ領域Lから成る2成分ノズルの混合チャンバ
8 2成分ノズルの出口N4
9 混合チャンバにおける圧縮ガスと液滴との2成分混合物
10 混合チャンバに液体を導入するための液体ノズル
11 液体の1次分割のための中心ピン
12 中心ピンと液体入口ノズル上の保持リングとの間の連結リブ
13 液体入口ノズル上の中心ピン用の保持リング
14 中心ピンの表面線に沿った溝
15 中心ピンの長さLのオタマジャクシの尾
16 中心ピン上の液膜
17 中心ピンの溝から流出する個別液体噴流
18 分解して液滴になる狭窄部Nの薄い液体ラメラ
19 隣接する液体噴流17間の圧縮空気のためのフローガセット
20 中心ピンと混合チャンバ壁との間の狭窄部Nの断面
21 狭窄部Nの断面
22 狭窄部Nの断面またはノズル出口断面
23 中心ピンの最大径D
24 1次混合チャンバ区画の長さL
25 2次混合チャンバ区画の長さL
26 混合チャンバの全長L
27 中心ピンの円錐角β
28 中心ピンの接線と衝突液体噴流の領域における混合チャンバ壁の接線との間の角度α
29 混合チャンバ壁上の液膜
30 混合チャンバ壁上の液膜から分離する液滴
31 2次ガス状流体、例えば煙道ガスへの入口における液滴噴流
32 環状空隙ノズル
33 円錐状または星形断面を持つ環状空隙
34 環状空隙空気
35 2成分ノズルへの圧縮空気供給用の1次圧力チャンバ
36 混合チャンバを介して通過した微粒化空気比用の圧力チャンバ
37 バンドルノズルの環状空隙空気用の圧力チャンバ
38 噴射がそれに対して行なわれる煙道ガスまたは2次ガス状流体
39 液体ノズル10の出口の液体噴流
40 ノズル内壁または混合チャンバ壁
41 傘状の液体ラメラ
42 より大きい液滴の中心噴流
43 混合チャンバへの液体供給管路内の渦巻要素
44 中心ピンのリム
45 大きいコーティングフレーク
46 混合チャンバの入口の空気流
47 液滴含有量が低いコア空気噴流
48 ノズル口
49 該当無し
50 ノズル軸、ノズルの中心長手軸
51 水噴流17の衝突領域の混合チャンバ壁
52 中心ランスチューブ2から混合チャンバまたは液体ノズル10への遷移部分
53 液体ノズル10の中心穴の壁の溝
54 溝付き液体ノズルの内円径
55 高速度の圧縮空気噴流
56 混合チャンバ内の液滴同伴圧縮空気流の略直線経路を示す直線
57 混合チャンバ7に向かってカップ状に拡張する液体ノズル10の部分
58 袋ナット
59 袋ナット58の通路穴
60 環状空隙空気用の越流穴
61 環状空隙ノズル62用の袋ナット58上のセンタリング用リング
62 環状ギャップノズル
63〜99まで該当無し
100 入口開口
102 中心流体出口
104 ノズルハウジング
110 入口開口
112 供給チューブ
114 混合チャンバの壁
116 狭窄部
118 混合チャンバの壁
120 ノズル出口開口
122 ノズルハウジング
124 環状空隙空気チューブ
126 環状空隙開口
128 渦巻要素
130 ノズルハウジングの上流配置区画
132 ノズルハウジングの下流配置区画
134 微粒化される流体用の入口開口
136 微粒化される流体用の供給管
138 保持用リブ
140 中心ピン
142 環状空隙空気供給および微粒化空気供給を分離するためのチューブ
144 中心ピン140の最も広い箇所
146 入口開口134の下流の円錐拡張
148 チューブ
150 2成分ノズル
152 シース空気ノズル
154 渦巻発生装置
156 環状空隙空気管
158 ノズルハウジング
160 ノズル口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルハウジングを持つ2成分ノズルであって、ノズルハウジングは、微粒化される流体用の少なくとも第1流体入口と、ガス状流体用の第2流体入口と、混合チャンバと、ノズル出口開口と、ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口とを備え、微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成するための手段およびガス状流体を混合チャンバ内に導入するための入口開口がノズルハウジング内に設けられているものにおいて、入口開口および混合チャンバは整列し、かつガス状流体を混合チャンバ内に壁と実質的に平行に導入し、ガス状流体の流れを混合チャンバ内の壁に沿って実質的に平行に案内するように設計されることを特徴とする2成分ノズル。
【請求項2】
混合チャンバ内へのガス状流体用の入口開口は、混合チャンバの長さの最初の3分の1の壁に対して0゜から30゜の間の角度に調整されることを特徴とする請求項1に記載の2成分ノズル。
【請求項3】
ガス状流体用の入口開口の中心軸は、入口開口の中心軸が流れ方向に混合チャンバの中心長手軸上に集束するように、混合チャンバの中心長手軸に対して傾斜されることを特徴とする請求項1又は2に記載の2成分ノズル。
【請求項4】
ガス状流体用の入口開口の中心軸は、混合チャンバの中心長手軸と交差しないことを特徴とする請求項3に記載の2成分ノズル。
【請求項5】
入口開口の中心軸は、仮想回転双曲面体の外面上に位置することを特徴とする請求項3又は4に記載の2成分ノズル。
【請求項6】
少なくとも液膜のある壁から離れた領域で、液膜とガス状流体との間の摩擦のために減速されない液滴をガス状流体にロードさせるために、液滴ローディング手段が混合チャンバにさらに設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項7】
液滴ローディング手段は中心ピンを有し、微粒化される流体用の入口開口は中心ピンの先端で位置合わせされ、中心ピンは先端から円錐状に最大径の箇所まで拡張し、混合チャンバ内部のガス状流体は中心ピンの最大径の箇所の先に案内されることを特徴とする請求項6に記載の2成分ノズル。
【請求項8】
微粒化される流体から膜を形成するための手段は、微粒化される流体をその流れエネルギによって部分流に分割するために、流路内に少なくとも1つの障害物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項9】
膜を形成するための手段は、混合チャンバへの流体入口の上流に、渦巻挿入体を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項10】
微粒化される流体から膜を形成するための手段および/または液滴ローディング手段は中心ピンを有し、微粒化される流体のための入口開口は中心ピンの先端に位置合わせされ、中心ピンは先端から最初は円錐状に拡張することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項11】
中心ピンは、微粒化される流体用の入口開口に面してその上流の領域に設けられ、少なくとも2つの流路または溝が中心ピンの先端から中心ピンの最大径の箇所まで走ることを特徴とする請求項10に記載の2成分ノズル。
【請求項12】
流路または溝は、中心ピンの表面線上に走るか、またはそれに対して傾斜して走ることを特徴とする請求項11に記載の2成分ノズル。
【請求項13】
中心ピンは、流れの方向に見て最大径の領域の後に先細り後行要素を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項14】
中心ピンはダブルコーンの形を有することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項15】
混合チャンバの壁は中心ピンの先細り後行要素と実質的に平行に配置されることを特徴とする請求項13又は14に記載の2成分ノズル。
【請求項16】
中心ピンの後行要素の経路における流れ方向に見て、混合チャンバの自由流通断面が低減されることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項17】
ガス状流体の混合チャンバ内への入口開口の中心軸は、中心ピンの後行要素の外壁と実質的に平行に配置されることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項18】
中心ピンはダブルコーンの形に設計され、混合チャンバの最小断面の領域は、ダブルコーンの下流に位置する先端の高さに配置されることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項19】
混合チャンバの自由断面は最初に先細りし、次いで最小断面の領域でそれを維持するか、または再び拡張することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項20】
混合チャンバは最初に中空錐台の形で先細りし、最小断面の箇所からさらなる中空錐台の形で再び拡張し、ガス状流体の混合チャンバ内への入口開口の中心軸は、先細り中空錐台の混合チャンバの内壁と平行に位置合わせされることを特徴とする請求項19又は20に記載の2成分ノズル。
【請求項21】
微粒化される流体から膜を形成するための手段は中心ピンを有し、微粒化される流体用の入口開口は中心ピンの先端に位置合わせされ、中心ピンは少なくとも2つの半径方向に延びるリブによって、混合チャンバの内壁を画定するノズルハウジングに接続されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項22】
ノズル出口開口を包囲する環状空隙開口が、混合チャンバの内壁を画定するノズルハウジングと環状空隙管との間に規定され、ノズルハウジングと環状空隙管との間の環状空隙開口の上流に、渦巻要素が配置される請求項1〜21のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項23】
環状空隙開口の少なくとも幾つかの部分を包囲するシース空気ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の2成分ノズル。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれかに記載の少なくとも2つの2成分ノズルが設けられていることを特徴とする流体を微粒化するためのバンドルノズル。
【請求項25】
少なくともガス状流体用の流体入口と、少なくとも微粒化される流体用の流体入口と、混合チャンバとを有する2成分ノズルによって流体を微粒化する方法であって、
−微粒化される流体から混合チャンバの壁に膜を形成するステップと、
−混合チャンバ内部のガス状流体からガス流を形成し、かつガス流を混合チャンバ内部の液膜に沿って実質的に平行に案内するステップと、
−混合チャンバの下流の環状空隙開口でガス状流体から環状空隙流を形成するステップと、
−環状空隙開口で膜を微粒化するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
混合チャンバ内部で、かつ少なくとも、微粒化される流体からの膜を持つ壁から離れた領域で、ガス状流体の流れに微粒化される流体からの液滴をロードするステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
微粒化される流体の流れは、その流動エネルギによって部分流に分割されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも環状空隙開口の直下流で環状空隙空気流を包囲するガス状流体からシース空気流を生成するステップを含むことを特徴とする請求項25、26又は27に記載の方法。
【請求項29】
シース空気流を加熱するステップを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−508107(P2012−508107A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535911(P2011−535911)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008027
【国際公開番号】WO2010/054798
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(507367390)
【Fターム(参考)】