説明

2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブの製造方法、及び2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブ

【課題】カーボンナノチューブ(CNT)局所合成を、高解像度、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成することができるCNTの製造方法、及びそれによって得られる2次元的にパターン化されたCNTを提供の提供。
【解決手段】A)基板を準備する工程;B)前記基板に1)マスク及び電磁波照射によるか又は2)電子線照射により、疎水性表面と親水性表面とからなる第1の2次元パターンを形成する工程;C)第1の2次元パターンを有する基板に、触媒含有液を塗布し、触媒の有無による第2の2次元パターンを形成する工程;D)得られた基板上に、ACCVDにより、CNTの2次元パターンを形成する工程;を有する方法により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを基板上に製造する方法、及び、基板;及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブ;を有する構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)の優れた特性、特に、単層カーボンナノチューブ(SWNT)のキラル依存電気伝導度により、次世代ナノデバイスへの応用が期待されている。基板上のデバイスを作製するのが重要な工程であるため、局所的にCNTを合成する技術が注目されている。
従来、物理的なマスク又は暴露前フォトレジストにより、金属をスパッタリングするか又は真空蒸着させることにより、触媒をパターン化していた。これらの手法は、有効ながら、通常複雑であり且つ費用がかさむものであった(非特許文献1又は2を参照のこと)。
CNT局所合成を行う他の例として、SiOとSi(又は金属)との間の成長選択性を用いるフェロセン系フローティング化学気相蒸着法(CVD、Chemical Vapor Deposition)が例示される。しかし、フローティングCVDは、必ずしも成功裡に、基板上にSWNTを得ることができなかった(非特許文献3又は4を参照のこと)。
【0003】
一方、発明者として本願の発明者を一部に含む特許文献1又は2は、ディップコーティングを提示し、アルコール触媒CVD法(ACCVD)により、高品質のランダム配向又は垂直配向SWNTが、成功裡に合成できることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2003-068676公報。
【特許文献2】US 2006/0024227 A1。
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fan, S. S. et al., Science 1999, 283, 512。
【非特許文献2】Huang, S. M. et al., Adv. Mater. 2002, 14, 1140。
【非特許文献3】Wei, B. Q. et al., Nature 2002, 416, 495。
【非特許文献4】Xiang, R. et al., Nanotechnology 2007, 18, 415703。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1〜4に開示される、従来の方法は、多数工程での処理を含んでおり、高解像度、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成することはできなかった。
一方、特許文献1又は2に記載される方法は、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成できる可能性が高いが、CNT局所合成という点については言及されていなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、CNT局所合成を、高解像度、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成することができるCNTの製造方法、及びそれによって得られる2次元的にパターン化されたCNTを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、次の発明を見出した。
<1> 2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブの製造方法であって、
A)基板を準備する工程;
B) 1)基板にマスクを施し、該基板にマスクを通して電磁波を照射し、マスクによる電磁波照射の有無によるか、又は
2)基板に電子線照射し、電子線照射の有無により、
基板の表面に、疎水性表面と親水性表面とからなる第1の2次元パターンを形成する工程;
C)前記第1の2次元パターンを有する基板に、触媒含有液を塗布し、親水性表面に触媒、好ましくは触媒の単分子層を保持させ、疎水性表面には触媒を保持させない、触媒の有無による第2の2次元パターンを形成する工程;
D)得られた基板上に、炭素源の存在下、化学気相蒸着法により、触媒を保持する表面にカーボンナノチューブを形成し、触媒を保持しない表面にはカーボンナノチューブを形成しない工程;
を有する、上記方法。
【0009】
<2> 上記<1>において、
A)工程の基板が、A’)全面に疎水性表面を有する基板であり、
B)工程がB)−1)工程であり、且つ該工程がB)−1’)疎水性表面にマスクを施し、マスクを通して疎水性表面に電磁波を照射し、マスクで覆われていない疎水性表面を親水性表面とし、マスクで覆われている箇所を疎水性表面のままとして、第1の2次元パターンを形成する工程であるのがよい。
【0010】
<3> 上記<1>又は<2>において、
A)工程の基板が、A’)全面に疎水性表面を有する基板であり、
B)工程がB)−2)工程であり、且つ該工程がB)−2’)疎水性表面に電子線を照射し、電子線照射された箇所を親水性表面とし、電子線照射されない箇所を疎水性表面のままとして、第1の2次元パターンを形成する工程であるのがよい。
【0011】
<4> 上記<1>〜<3>において、
A’)工程の全面に疎水性表面を有する基板を、E)−1)全面に親水性表面を有する基板を準備し、その後、E)−2)前記親水性表面に、表面疎水性化溶液を塗布し、該親水性表面全体を疎水性表面とする工程;
により準備するのがよい。
特に、<4−1> 上記<2>において、A’)工程の全面に疎水性表面を有する基板を、E)−1)及びE−2)工程により準備するのがよい。
【0012】
<5> 上記<4>又は<4−1>において、E)−1)工程は、E)−1)−1)全面に親水性表面を有する基板の表面を洗浄する工程を有するのがよい。なお、洗浄する工程は、基板上に存在する有機物を除去するための従来公知の手法を用いることができる。
<6> 上記<5>において、E)−1)−1)工程は、a)全面に親水性表面を有する基板を、酸素存在下、300℃以上で焼成する工程を有するのがよい。
<7> 上記<5>又は<6>において、E)−1)−1)工程は、b)全面に親水性表面を有する基板を、NH水溶液と過酸化水素水溶液との混合溶液で、80℃以下、好ましくは70〜80℃で洗浄する工程を有するのがよい。
【0013】
<8> 上記<4>〜<7>のいずれかにおいて、表面疎水性化溶液は、R−Si−X(3−m)(式中、Rは炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖の有機基を示し、X及びXは各々−OCH又は−Clを表し、mは0〜3の整数を示す)で表されるシラン化合物を有するのがよい。溶液の溶媒は、該シラン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。なお、溶媒は、揮発性を有するのが製造上好ましい。
【0014】
<9> 上記<1>〜<8>のいずれかにおいて、A)、A’)又はE)−1)工程で準備する基板が、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアであるのがよい。
<10> 上記<1>〜<9>のいずれかにおいて、B)工程の親水性表面の親水性は、水接触角10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは0°以下であるのがよい。
<11> 上記<1>〜<10>のいずれかにおいて、B)工程の疎水性表面の疎水性は、水接触角90°以上、好ましくは100°以上、より好ましくは110°以上であるのがよい。
【0015】
<12> 上記<1>〜<11>のいずれかにおいて、B)−1)工程の電磁波照射は、紫外線照射であるのがよい。
<13> 上記<1>〜<12>のいずれかにおいて、C)工程の触媒含有液は、Fe、Co、Ni及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を有するのがよい。特に、Coのみの塩を有する溶液、Co及びMoの塩を有する溶液、Fe及びCoの塩を有する溶液、Fe及びNiの塩を有する溶液、又はNi及びCoの塩を有する溶液であるのがよく、好ましくはCoのみの塩を有する溶液、又はCo及びMoの塩を有する溶液であるのがよい。塩は、酢酸塩、硝酸塩、塩化物塩、又はアンモニウム塩であるのがよく、例えば酢酸コバルト、酢酸モリブデン、アンモニウムジモリブデート((NHMo)であるのがよい。また、溶媒は、これらの塩を溶解する低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールであるのがよく、好ましくはエタノールであるのがよい。
【0016】
<14> 上記<1>〜<13>のいずれかにおいて、C)工程後、D)工程前に、F)第2の2次元パターンを有する基板を焼成する工程をさらに有するのがよい。
<15> 上記<14>において、上記F)の焼成工程を、大気雰囲気下で、300℃以上、好ましくは400℃で行うのがよい。
<16> 上記<1>〜<15>のいずれかにおいて、D)工程の炭素源が低級アルコール、好ましくはメタノール、エタノール又はプロパノール、より好ましくはエタノールであり、化学気相蒸着法を減圧下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1.3kPa以下、500℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃の蒸着温度で行うのがよい。
【0017】
<17> 上記<1>〜<16>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブが、少層(few-walled)カーボンナノチューブであるのがよい。本願において、「少層」とは、3層以下であることをいう。
<18> 上記<1>〜<16>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであるのがよい。
<19> 上記<1>〜<18>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向するのがよい。
【0018】
<20> 上記<1>〜<19>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向するのがよい。
<21> 上記<1>〜<20>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下、好ましくは1.5nm以下であるのがよい。
<22> 上記<1>〜<21>のいずれかにおいて、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であるのがよい。
【0019】
<23> 基板及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを有する構成体。
<24> 上記<23>において、基板が、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアであるのがよい。
<25> 上記<23>又は<24>において、カーボンナノチューブが、少層カーボンナノチューブであるのがよい。
<26> 上記<23>〜<25>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであるのがよい。
【0020】
<27> 上記<23>〜<26>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向するのがよい。
<28> 上記<23>〜<27>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向する請求項23〜27のいずれか1項記載の構成体。
【0021】
<29> 上記<23>〜<28>のいずれかにおいて、カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下、好ましくは1.5nm以下であるのがよい。
<30> 上記<23>〜<29>のいずれかにおいて、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であるのがよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、CNT局所合成を、高解像度、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成することができるCNTの製造方法、及びそれによって得られる2次元的にパターン化されたCNTを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の2次元パターン化された単層カーボンナノチューブ、特に触媒部線幅が5μm、隙間10μmとして合成した垂直配向の単層カーボンナノチューブのSEM像を示す。
【図2】実施例1の2次元パターン化された単層カーボンナノチューブ、特に触媒部線幅が5μm、隙間10μmとして合成したランダム配向の単層カーボンナノチューブのSEM像を示す。
【図3】実施例2の2次元パターン化された単層カーボンナノチューブ、特に単層カーボンナノチューブ形成領域の線幅が200nmである単層カーボンナノチューブのSEM像を示す。
【図4】実施例2の2次元パターン化された単層カーボンナノチューブ、特に単層カーボンナノチューブ形成領域の線幅が50nmである単層カーボンナノチューブのSEM像を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを基板上に製造する方法を提供する。また、本発明は、主に該方法により得られる、基板;及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブ;を有する構成体を提供する。
以下、本発明の製造方法、及び構成体を、順に説明する。
【0025】
<2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを基板上に製造する方法>
本発明の、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを基板上に製造する方法は、次の工程を有してなる。
即ち、
A)基板を準備する工程;
B) 1)基板にマスクを施し、該基板にマスクを通して電磁波を照射し、マスクによる電磁波照射の有無によるか、又は
2)基板に電子線照射し、電子線照射の有無により、
基板の表面に、疎水性表面と親水性表面とからなる第1の2次元パターンを形成する工程;
C)前記第1の2次元パターンを有する基板に、触媒含有液を塗布し、親水性表面に触媒、好ましくは触媒の単分子層を保持させ、疎水性表面には触媒を保持させない、触媒の有無による第2の2次元パターンを形成する工程;
D)得られた基板上に、炭素源の存在下、化学気相蒸着法により、触媒を保持する表面にカーボンナノチューブを形成し、触媒を保持しない表面にはカーボンナノチューブを形成しない工程;
を有する。
【0026】
<<A)工程>>
本発明のA)工程は、基板を準備する工程である。
基板は、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアであるのがよい。
準備する基板は、カーボンナノチューブを形成する面が疎水性であって親水性であってもよい。また、一部に疎水性、他が親水性であってもよい。
この場合、好ましくは全面を疎水性又は親水性とする作業を行うのがよい。
準備する基板は、カーボンナノチューブを形成する面のA’)全面に疎水性表面、又はE−1)全面に親水性表面、を有するのがよい。なお、全面にA’)疎水性表面、又はE−1)親水性表面、を有することにより、その後の処理が多少異なることとなる。
【0027】
<<B)工程>>
本発明のB)工程は、基板表面に、疎水性表面と親水性表面とからなる、所望の第1の2次元パターンを形成する工程である。
ここで、「所望の」とは、疎水性表面の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下であり、且つ親水性表面の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である、ことを意味する。
また、親水性表面の親水性は、水接触角10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは0°以下であるのがよい。
一方、疎水性表面の疎水性は、水接触角90°以上、好ましくは100°以上、より好ましくは110°以上であるのがよい。
なお、ここで、「水接触角」とは、単に基板表面の表面エネルギーの度合いの尺度として、簡便に用いられる「水接触角」を示し、「水接触角0°以下」とは、該水接触角を尺度として用いた場合、「0°以下」となる表面エネルギーを有していることを意味する。
【0028】
B)工程は、A)工程で準備する基板の表面に依存して、多少異なる工程を用いるが、1)基板にマスクを施し、該基板にマスクを通して電磁波を照射し、マスクによる電磁波照射の有無により、上記第1の2次元パターンを形成するか、又は
2)基板に電子線照射し、電子線照射の有無により、上記第1の2次元パターンを形成する工程である。
ここで、電磁波は、用いる基板、疎水性表面を形成する成分などに依存するが、一般的に、波長400nm以下、好ましくは300nm以下の電磁波、即ち紫外線であるのがよい。
なお、電磁波照射、電子線照射の手法は、従来公知の手法を用いることができる。例えば、最小線幅を可能最小線幅に近づけたいときには、電磁波照射では例えば深紫外線リソグラフィやX線リソグラフィなどを用いるのがよく、電子線照射では例えば電子線リソグラフィや電子線描画装置などを用いるのがよい。
【0029】
A)工程において、A’)全面に疎水性表面を有する基板を準備した場合、該基板に、上記B)−1)工程、即ち、マスクを施し、電磁波を照射する。マスクが覆われていない箇所、即ち電磁波が照射された箇所は、親水性表面となる一方、マスクが覆われている箇所は、電磁波が照射されず、疎水性表面が維持される。即ち、マスク及び電磁波照射により、所望の第1の2次元パターンを形成することができる。
【0030】
また、A)工程において、A’)全面に疎水性表面を有する基板を準備した場合、該基板に、上記B)−2)工程、即ち、電子線を照射する。この場合、電子線が照射された箇所は、親水性表面となる一方、電子線が照射されない箇所は、疎水性表面が維持される。即ち、電子線照射により、所望の第1の2次元パターンを形成することができる。
なお、必要により、B−1)工程とB−2)工程とを併用することもできる。
【0031】
A)工程において、E)−1)全面に親水性表面を有する基板を準備した場合、該基板は、E)−2)工程、即ち、親水性表面に表面疎水性化溶液を塗布し、該親水性表面全体を疎水性表面とする工程に付するのがよい。
なお、E)−1)全面に親水性表面を有する基板を準備する場合、該親水性を確実なものとするために、該表面を洗浄する工程を有するのがよい。
【0032】
この洗浄処理として、用いる基板などに依存するが、昇温焼成洗浄、アンモニア及び過酸化水素水による洗浄、Oプラズマ洗浄、強酸(例えば硫酸、硫酸及びKMnO)による洗浄、UVエキシマ洗浄、低圧水銀灯洗浄、アルカリ洗浄、超音波洗浄、メガソニック洗浄、コロナ処理、グロー洗浄、スクラブ洗浄、オゾン洗浄、水素水洗浄、マイクロバブル洗浄、フッ素系洗浄などを挙げることができるが、これらに限定されない。
特に、洗浄工程は、a)全面に親水性表面を有する基板を、酸素存在下、300℃以上で焼成する工程を有するか、及び/又はb)全面に親水性表面を有する基板を、NH水溶液と過酸化水素水溶液との混合溶液で、80℃以下、好ましくは70〜80℃で洗浄するのがよく、好ましくはa)工程を行った後にb)工程を行うのがよい。
【0033】
E)−2)工程の表面疎水性化溶液は、R−Si−X(3−m)で表されるシラン化合物を有するのがよい。
シラン化合物のRは、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示す。アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、その一部がFで置換されていてもよい。
シラン化合物のX及びXは各々−OCH又は−Clを表し、mは0〜3の整数を示す。
シラン化合物として、ウンデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−ドデシルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、表面疎水性化溶液の溶媒は、シラン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。溶媒は、揮発性を有するのが製造上好ましい。
溶媒として、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
表面疎水性化溶液は、好ましくはオクタデシルトリクロロシランのトルエン溶液であるのがよい。
【0034】
表面疎水性化溶液の塗布法は、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、塗布法として、ディップコーティング、スピンコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティングなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0035】
E)−2)工程により得られる、全面に疎水性表面を有する基板は、その後、上述のB)−1)工程及び/又はB)−2)工程に付され、所望の第1の2次元パターンが形成される。
【0036】
なお、本発明の方法において、「親水性表面」及び「疎水性表面」は、微視的には、それぞれ「−OH基を基板表面直上に有する表面」及び「−OH基以外、特に有機基を表面に有する表面」と観察することができる。したがって、本願において、「親水性表面」は「−OH基を基板表面直上に有する表面」であり、「疎水性表面」は「−OH基以外、特に有機基を表面に有する表面」であると、することができ、B)工程以降においても、これが適用できる。
例えば、E)−2)工程で、表面疎水性化溶液を塗布して「親水性表面」を「疎水性表面」とする作業は、「−OH基を基板表面直上に有する表面」において、表面疎水性化溶液に含まれるシラン化合物と基板表面の−OH基とが反応して−O−Si−Rなどの「有機基を表面に有する表面」とする作業と捉えることができる。
【0037】
<<C)工程>>
本発明のC)工程は、B)工程で得られた、第1の2次元パターンを有する表面を有する基板に、触媒含有液を塗布し、「親水性表面」又は「−OH基を基板表面直上に有する表面」に触媒を保持させる一方、「疎水性表面」又は「−OH基以外、特に有機基を表面に有する表面」には触媒を保持させない、触媒の有無による所望の第2の2次元パターンを形成する工程である。
【0038】
ここで、触媒含有液は、用いる基板、表面疎水性化溶液を用いる場合のシラン化合物及びその溶媒などに依存するが、Fe、Co、Ni及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を有するのがよい。
特に、触媒含有液は、Coのみの塩を有する溶液、Co及びMoの塩を有する溶液、Fe及びCoの塩を有する溶液、Fe及びNiの塩を有する溶液、又はNi及びCoの塩を有する溶液であるのがよく、好ましくはCoのみの塩を有する溶液、又はCo及びMoの塩を有する溶液であるのがよい。
塩は、酢酸塩、硝酸塩、塩化物塩、又はアンモニウム塩であるのがよく、例えば酢酸コバルト、酢酸モリブデン、アンモニウムジモリブデート((NHMo)であるのがよい。
【0039】
触媒含有液の溶媒は、上記塩を溶解する低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールであるのがよく、好ましくはエタノールであるのがよい。
好ましくは、触媒含有液は、酢酸コバルトのエタノール溶液であるか、又は酢酸コバルトのエタノール溶液と酢酸モリブデンのエタノール溶液との双方を用いるのがよい。酢酸コバルトのエタノール溶液と酢酸モリブデンのエタノール溶液との双方を用いる場合、酢酸モリブデンのエタノール溶液を塗布し、乾燥した後、酢酸コバルトのエタノール溶液を塗布するのがよい。
【0040】
触媒含有液の塗布法は、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、塗布法として、ディップコーティング、スピンコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティングなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
なお、C)工程は、微視的には、触媒含有液に含まれる金属種Mと「親水性表面」、即ち「−OH基を基板表面直上に有する表面」とが反応し、「親水性表面」には「−OM」などで一例として表すことができる基が存在することにより、触媒の単分子層が形成される一方、「疎水性表面」ではそのような反応が生じないために、触媒が保持されないものと考えられる。この触媒の有無により、D)工程において、カーボンナノチューブの形成・不形成の2次元パターンを形成することができる。
【0042】
C)工程後、D)工程前に、F)第2の2次元パターンを有する基板を焼成する工程をさらに有してもよい。F)工程は、上述の反応、即ち「−OM」などの形成を促進する反応であると考えることができる。F)工程は、大気雰囲気下で、300℃以上、好ましくは400℃で行うのがよい。
【0043】
<<D)工程>>
本発明のD)工程は、C)工程で得られた、触媒の有無による、所望の第2の2次元パターンを有する基板に、カーボンナノチューブを形成する工程である。具体的には、触媒を保持する表面にはカーボンナノチューブを形成する一方、触媒を保持しない表面にはカーボンナノチューブが形成されず、これにより2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブが製造される。
D)工程は、炭素源の存在下、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition, CVD)により、触媒を保持する表面にカーボンナノチューブを形成し、触媒を保持しない表面にはカーボンナノチューブを形成しない工程である。
【0044】
D)工程は、例えば、特許文献1(WO2003-068676公報)又は特許文献2(US 2006/0024227 A1)(特許文献1及び2は、その全体を本明細書に参照として含まれる)の手法により、行うことができる。
具体的には、D)工程の炭素源は、低級アルコール、好ましくはメタノール、エタノール又はプロパノール、より好ましくはエタノールであるのがよい。化学気相蒸着法を減圧下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1.3kPa以下、500℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃の蒸着温度で行うのがよい。
【0045】
本発明の方法により得られるカーボンナノチューブは、種々のカーボンナノチューブを得ることができるが、少層(few-walled)カーボンナノチューブであるのがよい。このうち、単層カーボンナノチューブであるのがよい。なお、本願において、「少層(few-walled)」とは、3層以下であることをいう。
本発明の方法により得られるカーボンナノチューブは、製法及び/又は該カーボンナノチューブの応用に依存して、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向するのがよい。また、本発明の方法により得られるカーボンナノチューブは、製法及び/又は該カーボンナノチューブの応用に依存して、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向するのがよい。
【0046】
本発明の方法により得られるカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下、好ましくは1.5nm以下であるのがよい。
本発明の方法により得られる、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下とすることができる。
このように、本発明は、上述の効果、即ち高解像度、低コスト、製造容易性、及び大量生産を同時に達成することができるだけでなく、可能最小線幅を小さくできることができる。このため、本発明によって得られる、2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、種々の応用に適用することができる。
【0047】
<基板;及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブ;を有する構成体>
本発明は、基板;及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブ;を有する構成体を提供する。
この構成体は、例えば、上述の製造法により調製することができる。
本発明の構成体の基板は、上述の基板、即ち、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアであるのがよい。
【0048】
本発明の構成体のカーボンナノチューブは、i)少層(few-walled)カーボンナノチューブであるのがよい。このうち、i’)単層カーボンナノチューブであるのがよい。
本発明の構成体のカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの応用に依存して、ii)−a)該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向するのがよい。または、該カーボンナノチューブの応用に依存して、ii)−b)該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向するのがよい。
【0049】
本発明の構成体のカーボンナノチューブは、iii)該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下、好ましくは1.5nm以下であるのがよい。
本発明の構成体は、iv)カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が15μm以下、具体的には300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは10nm以下とすることができる。
特に、本発明の構成体は、i)〜iv)のうち、2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは全ての要件を満たすのがよい。
【0050】
<構成体の用途>
本発明の構成体は、種々の用途に用いることができる。例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、加速度センサ、蛍光体などと組み合わせたバイオチップセンサなどの各種センサ;透明導電膜;偏光フィルタ;発光・吸収フィルム;フィールド・エミッタ・トランジスタ(FET);燃料改質剤;ガス吸着剤;などを挙げることができるがこれらに限定されない。
【0051】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
<基板の焼成工程>
有機物汚染の可能性を除くため、50nmのSiO層を有するSi/SiO基板(SUMCO社より入手。寸法25mm×50mm×0.5mm)を、空気中、5分間、焼成し、室温まで冷却した。この表面の水接触角は、約5°であった。
【0053】
<基板の洗浄工程>
SC1溶液を準備した。ここで、SC1溶液は、HO、アンモニア水(〜28%NH水溶液)及び過酸化水素(〜30%H水溶液)を体積比5:1:1で混合した混合物であった。
上記で得られた焼成した基板を、該SC1溶液を用いて、75℃で5分間、洗浄し、その後、脱イオン水で洗い流して、空気下又は窒素下で乾燥した。得られた表面の水接触角は、約0°であった。
【0054】
<自己組織単分子層(self-assembled monolayer, SAM)の形成工程>
SAM溶液を準備した。ここで、SAM溶液は、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)の65ppmトルエン溶液であった。上記で得られた洗浄した基板を、SAM溶液に15分間浸漬し、その後トルエン又はイソプロパノールで洗い流した。SAM溶液で修飾した表面は、水接触角が約110°と、非常に疎水性であった。ただし、SAM溶液の濃度、浸漬時間などは、厳密なものではなく、浸漬時間は、用いるOTS溶液の濃度に依存して変更することができる。それにより形成されたSAMの質は変化するが、水接触角はほぼ類似した。
【0055】
<紫外線照射工程>
上記で得られたSAM形成基板を、マスク(通常の電子ビームリソグラフィーで形成したCrガラスマスク)を介して、波長254nmの紫外線(通常の表面クリーナ又はVUV器で発生)に曝した。暴露時間は、光強度が18mW/cmで、約10分間であった(強度に依存して変更可能)。暴露された箇所の水接触角が約0°となる一方、暴露されない箇所(マスクで覆われた箇所)の水接触角が約110°である、パターン化された表面が形成された。
【0056】
<触媒塗布工程>
単層カーボンナノチューブの成長のための触媒を、ディップコーティング法により調製した。即ち、0.01wt%酢酸コバルト(w又はw/o酢酸モリブデン)のエタノール溶液(wt%は、所望に応じて変更可能)を準備した。
<紫外線照射工程>で得られた基板を、この溶液に0〜10分間浸漬し、モーターを用いて6cm/分で引き上げた。基板を乾燥し(通常10秒以内)、その後、空気中、400℃で5分間焼成した。なお、ディップコーティング法は、2段階で行った。まず、酢酸モリブデンを用い、次いで酢酸コバルトを用いた。第1のディップコーティング(即ち、酢酸モリブデンのエタノール溶液でのディップコーティング)を行った後、乾燥し、その後、焼成しないで、第2のディップコーティング(即ち、酢酸コバルトのエタノール溶液でのディップコーティング)を行い、その後、基板を、空気中、400℃で5分間焼成した。
【0057】
<単層カーボンナノチューブのCVD成長工程>
単層カーボンナノチューブのCVD成長を、特許文献2(US 2006/0024227 A1)に開示されるACCVD法を用いて、石英管内で行った。
具体的には、上記<触媒塗布工程>で得られた基板を、石英管の中央に配置し、該チャンバーへ、1.0kPa;300sccmでアルゴン/H(3vol%H)を5分間パージした。その後、石英管を30分間で800℃まで加熱し、10分間800℃で維持した。
その後、チャンバーを真空にし、エタノールを450sccm、圧力1.3kPaで導入し、3分間維持した。
これにより、図1に示すような、2次元的にパターン化された、単層カーボンナノチューブを得ることができた。ここで、図1は、触媒部線幅が5μm、隙間10μmとして合成した垂直配向の単層カーボンナノチューブを示す。
また、上述の<触媒塗布工程>の触媒量を減らし且つ酢酸コバルトのみを用いた以外、上述と同様の方法により、図2に示すような、触媒部線幅が5μm、隙間10μmとして合成したランダム配向の単層カーボンナノチューブを得た。図1及び図2から、各カーボンナノチューブの平均直径は1.5nmであることがわかる。さらに、2次元パターンのカーボンナノチューブ形成領域の最小線幅は5μmである一方、カーボンナノチューブ非形成領域の最小線幅は10μmであることがわかる。
【実施例2】
【0058】
<電子ビーム照射工程>
実施例1の<SAMの形成工程>迄と同様の方法で得たSAM形成基板に、走査型電子顕微鏡(SEM)(Hitachi S-4800)を用いて、電子ビームに曝された箇所を親水性表面(水接触角:0°)とする一方、それ以外の箇所を疎水性表面(水接触角が約110°)とする、パターン化された表面を形成した。具体的には、所望の箇所に達するまでは、加速電圧0.5kVとし、所望の箇所に達した後は、加速電圧1〜20kVとした。暴露は、SEMの倍率を変化させ、走査速度、ビーム電流及び走査解像度の組合せを制御することにより行った。より具体的には、ビーム電流:10μA;走査解像度:1280×960として40秒間走査し、走査単位当たりの電子:0.3pCで行った。
その後、実施例1の<触媒塗布工程>及び<単層カーボンナノチューブのCVD成長工程>を行い、図3及び図4に示すような、2次元的にパターン化された、単層カーボンナノチューブを得ることができた。
ここで、図3は、触媒部線幅(電子ビームで曝された箇所の線幅)を200nmとして得た単層カーボンナノチューブを示し、図4は、触媒部線幅(電子ビームで曝された箇所の線幅)を50nmとして得た単層カーボンナノチューブを示す。
図3及び図4の各カーボンナノチューブの平均直径は1.5nmであることが図示しない図からわかった。図4中、カーボンナノチューブ形成領域の最小線幅は約50nmであることがわかる。この例により、最小線幅が約10nmであるカーボンナノチューブ形成領域を形成できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブの製造方法であって、
A)基板を準備する工程;
B) 1)前記基板にマスクを施し、該基板にマスクを通して電磁波を照射し、マスクによる電磁波照射の有無によるか、又は
2)前記基板に電子線照射し、電子線照射の有無により、
前記基板の表面に、疎水性表面と親水性表面とからなる第1の2次元パターンを形成する工程;
C)前記第1の2次元パターンを有する基板に、触媒含有液を塗布し、親水性表面に触媒を保持させ、疎水性表面には触媒を保持させない、触媒の有無による第2の2次元パターンを形成する工程;
D)得られた基板上に、炭素源の存在下、化学気相蒸着法により、触媒を保持する表面にカーボンナノチューブを形成し、触媒を保持しない表面にはカーボンナノチューブを形成しない工程;
を有する、上記方法。
【請求項2】
前記A)工程の基板が、A’)全面に疎水性表面を有する基板であり、
B)工程がB)−1)工程であり、且つ該工程がB)−1’)前記疎水性表面にマスクを施し、マスクを通して前記疎水性表面に電磁波を照射し、マスクで覆われていない疎水性表面を親水性表面とし、マスクで覆われている箇所を疎水性表面のままとして、第1の2次元パターンを形成する工程である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記A)工程の基板が、A’)全面に疎水性表面を有する基板であり、
B)工程がB)−2)工程であり、且つ該工程がB)−2’)前記疎水性表面に電子線を照射し、電子線照射された箇所を親水性表面とし、電子線照射されない箇所を疎水性表面のままとして、第1の2次元パターンを形成する工程である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記A’)工程の全面に疎水性表面を有する基板を、E)−1)全面に親水性表面を有する基板を準備し、その後、E)−2)前記親水性表面に、表面疎水性化溶液を塗布し、該親水性表面全体を疎水性表面とする工程;
により準備する請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記E)−1)工程は、E)−1)−1)前記全面に親水性表面を有する基板を、該基板の表面を洗浄する工程を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記E)−1)−1)工程は、a)前記全面に親水性表面を有する基板を、酸素存在下、300℃以上で焼成する工程を有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記E)−1)−1)工程は、b)前記全面に親水性表面を有する基板を、NH水溶液と過酸化水素水溶液との混合溶液で、80℃以下で洗浄する工程を有する請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記表面疎水性化溶液は、R−Si−X(3−m)(式中、Rは炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖の有機基を示し、X及びX2は各々−OCH又は−Clを表し、mは0〜3の整数を示す)で表されるシラン化合物を有する請求項4〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記A)、A’)又はE)−1)工程で準備する基板が、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアである請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記B)工程の前記親水性表面の親水性は、水接触角10°以下である請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記B)工程の前記疎水性表面の疎水性は、水接触角90°以上である請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記B)−1)工程の電磁波照射は、紫外線照射である請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記C)工程の触媒含有液は、モリブデン塩のエタノール溶液及び/又はコバルト塩のエタノール溶液である請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記C)工程後、前記D)工程前に、F)前記第2の2次元パターンを有する基板を焼成する工程をさらに有する請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記F)工程を、大気雰囲気下、300℃以上で行う請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記D)工程の前記炭素源が低級アルコールであり、化学気相蒸着法を減圧下、500℃以上の蒸着温度で行う請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブが、少層カーボンナノチューブである請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向する請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向する請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下である請求項1〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が300nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が300nm以下である請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
基板及び該基板上に2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブを有する構成体。
【請求項24】
前記基板が、SiOを表面に有するSi、石英、水晶、又はサファイアである請求項23記載の構成体。
【請求項25】
前記カーボンナノチューブが、少層カーボンナノチューブである請求項23又は24記載の構成体。
【請求項26】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブである請求項23〜25のいずれか1項記載の構成体。
【請求項27】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して垂直に配向する請求項23〜26のいずれか1項記載の構成体。
【請求項28】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの軸方向が基板に対して平行に配向する請求項23〜27のいずれか1項記載の構成体。
【請求項29】
前記カーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブの平均直径が3nm以下である請求項23〜28のいずれか1項記載の構成体。
【請求項30】
前記2次元的にパターン化されたカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブが配置される箇所の可能最小線幅が300nm以下である一方、配置されない箇所の可能最小線幅が300nm以下である請求項23〜29のいずれか1項記載の構成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−202422(P2010−202422A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46686(P2009−46686)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】