2波光ピックアップ
【課題】650nm帯及び780nm帯の各レーザダイオードから出射される光量からフ
ロントモニタ用に適量を分離するリーケッジプリズムを用いて2波光ピックアップとを得
る。
【解決手段】2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折
格子と、前記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射さ
れる光量を検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段
と、を備え、前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再
生を行う2波光ピックアップであって、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前
記光源から出射される光を前記光量検出手段へ分光するリーケッジプリズムを配置して、
2波光ピックアップを構成する。
ロントモニタ用に適量を分離するリーケッジプリズムを用いて2波光ピックアップとを得
る。
【解決手段】2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折
格子と、前記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射さ
れる光量を検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段
と、を備え、前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再
生を行う2波光ピックアップであって、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前
記光源から出射される光を前記光量検出手段へ分光するリーケッジプリズムを配置して、
2波光ピックアップを構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)両光ディスクの
記録再生に用いられる光ピックアップに関し、特にモニタ用の光量分離にリーケッジプリ
ズムを用いた2波長対応の光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスク記録再生装置に用いられる光ピックアップは、CD(780nm帯)
、DVD(650nm帯)等の用途に応じて波長の異なる複数のレーザ光を集積した光ピ
ックアップが採用されている。CD/DVD両記録型光ピックアップを用いた例が、特許
文献1に開示されている。図8は2波(CD、DVD)光ピックアップ31の構成を示す
概略図であって、半導体レーザダイオード(以下、LDと称す)32、35と、回折格子
33、36と、第1及び第2の偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称す)34、38
と、フロントモニタ37と、1/4波長板39と、コリメートレンズ40と、立ち上げミ
ラー41と、対物レンズ42と、センサレンズ43と、光検出器44と、を備えている。
【0003】
図9(a)は第1のPBS34の偏光膜34aの分光特性を示す図であって、CDに用
いられる波長約780nmのP偏光は偏光膜34aにより、光量のうち10%程度が透過
し、90%程度の光量は反射される。DVDに用いられる波長約650nmのP偏光は偏
光膜34aにより、光量のうち90%程度が透過し、10%程度の光量は反射される。ま
た、図9(b)は第2のPBS38の偏光膜38aの分光特性を示す図であって、P偏光
の光は透過し、S偏光の光は反射される。
【0004】
図8のLD32から出射される波長780nm帯のP偏光の光は、回折格子33で3ビ
ームに分けられ、第1のPBS34に入射し、偏光膜34aにより光量のうち、90%程
度が反射され、90度進行方向を変え第2のPBS38に入射する。偏光膜34aを透過
した10%程度のP偏光の光はフロントモニタ37に入射する。一方、LD35から出射
される波長650nm帯のP偏光の光は、回折格子36で3ビームに分けられ、第1のP
BS34に入射し、偏光膜34aにより光量のうち、90%程度が透過され第2のPBS
38に進む。偏光膜34aで反射された10%程度のP偏光の光はフロントモニタ37に
入射する。第2のPBS38に入射した波長約650nm及び780nmのP偏光の光は
、偏光膜38aの特性によりほぼ100%が透過して1/4波長板39に入射し、円偏光
に変換され、さらにコリメートレンズ40により平行光となり、立ち上げミラー41によ
り90度上向きに変換され、対物レンズ42で集光され、図示しない光ディスクの面に焦
点を結ぶ。
【0005】
光ディスクの面からの反射光は逆回転の円偏光となって、対物レンズ42、立ち上げミ
ラー41、コリメートレンズ40を経て1/4波長板39に入射し、S偏光の光に変換さ
れて第2のPBS38に入射する。入射したS偏光の光は第2のPBS38の偏光膜38
aにより全反射され、センサレンズ43を介して光検出器44に入射し、情報が解読され
る。また、LD32、35から出射される光量のうち、10%程度がモニタ37に導かれ
るが、該フロントモニタ37に接続されたAPC(オートパワーコントローラ)により、
フロントモニタ37の信号レベルが基準レベルになるように、LD32、35のドライバ
の駆動信号レベルを制御する。このモニタを含むAPCについては特許文献2に詳述され
ている。
【特許文献1】特開2004−110897公報
【特許文献2】特開2002−185073公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のDVD、CDの2波長対応の光ピックアップ用PBS34の偏光
膜34aは数十層からなり、DVD用650nm帯のレーザ光の95%程度透過(5%程
度反射)させ、CD用780nm帯のレーザ光95%程度を反射(5%程度透過)させる
偏光膜を製作しようとすると、各層の膜厚精度は極めて厳しく、また、偏光膜は波長依存
性があり、製造歩留まりが悪いという問題があった。
本発明は、DVD、CDそれぞれの発光ダイオードから出射される光量のうち5%程度
を反射し、95%程度を透過させるリーケッジプリズムを用いた2波光ピックアップを提
供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2波長対応の光ピックアップのモニタ用光量を分離するリーケッジプリズム
を用いて2波光ピックアップを構成することを特徴とする。
2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折格子と、前
記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射される光量を
検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段とを備え、
前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再生を行う2波
長対応の光ピックアップであって、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前記光
源から出射される光を前記光量検出手段へ分光するリーケッジプリズムが配置された2波
光ピックアップを構成する。
このように2波光ピックアップを構成すると、光量分離デバイスが容易に構成できると
共に、波長依存性も良好で分離精度も良好な光ピックアップとなり、APC機能の特性が
向上するという特徴がある。
【0008】
前記光部品の中で隣接して配置される分品同士を、光学接着剤を用いて貼り合わせて2
波光ピックアップを構成する。このように2波光ピックアップを構成すると、光ピックア
ップが小型化できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る
780nm帯のCDと650nm帯のDVDとの2波長対応の2波光ピックアップ(以下
、単に光ピックアップと称する)1の構成を示す概略図であって、CD、DVD用の2個
のレーザダイオード(LD)2、6と、CD、DVD用の2個の回折格子3、7と、CD
、DVD用の光を合成する波長合成プリズム4と、リーケッジプリズム5と、CD、DV
D用のPBS8と、1/4波長板9と、コリメートレンズ10と、光検出器12と、フロ
ントモニタ13と、を備えている。ここで、CD、DVD用の2個のLD2、6からはS
偏光のレーザ光S1、S2がそれぞれ出射されるものとする。
【0010】
図1に示す光ピックアップ1の動作を説明する前に、これに用いられる光デバイスにつ
いて説明する。図2は、リーケッジプリズム5の構成を示す斜視図である。斜面と対向す
る面とがそれぞれ45度をなす三角柱プリズム2個を、前記斜面同士を光学接着剤にて貼
り合わせてなる六面体プリズム(リーケッジプリズム)であって、前記斜面の一方に図2
の例1に示すように略52nmのSiO2薄膜を設けたリーケッジプリズムである。この
リーケッジプリズムの分光特性は図3のTsで示すように、波長370nmから850n
mのS偏光のレーザ光を95%程度透過させ、同図の分光特性のRsで示すようにS偏光
のレーザ光を5%程度反射させるようにしたことを特徴とするリーケッジプリズムである
。なお、Tp、RpはP偏光の透過率(%)と反射率(%)である。この図から明らかな
ように、分離特性は極めてよく、且つ波長依存性はほとんど無い。
【0011】
図4、図5はそれぞれ波長合成プリズム4とPBS8との分光特性であり、周知の光学
フィルタ理論により設計されたものの一例である。波長合成プリズム4は図4の分光特性
に示すように、780nm帯(CD用)のS偏光のレーザ光S1は反射し、650nm帯
(DVD用)のS偏光のレーザ光S2は透過させるように構成されている。そして、PB
S8は図5の分光特性に示すように、CD、DVD用のS偏光のレーザ光S1、S2を反
射させ、P偏光のレーザ光P1、P2は透過させるように構成されている。ここで、図5
のRsはS偏光の反射率を、TpはP偏光の透過率を表している。
【0012】
図1に示すCD用のLD2から出射されるS偏光のレーザ光S1は、回折格子3を透過
し、波長合成プリズム4に入射する。波長合成プリズム4に入射したS偏光のレーザ光S
1は波長合成プリズム4の偏光膜4aにより反射され、90度進行方向を変えてリーケッ
ジプリズム5に入射する。一方、DVD用のLD6から出射されるS偏光のレーザ光S2
は、波長合成プリズム4に入射し、偏光膜4aを透過し、リーケッジプリズム5に入射す
る。
【0013】
リーケッジプリズム5に入射したCD、DVD用のS偏光のレーザ光S1、S2は、偏
光膜5aにより図3の分光特性のTsに示すように、入射光量の95%程度が透過し、偏
光ビームスプリッタ8に入射する。一方、図3の分光特性のRsに示すように、入射光量
の5%程度が反射してフロントモニタ13に入射する。PBS8に入射したCD、DVD
用のS偏光のレーザ光は、偏光膜8aによりほぼ全反射し、90度進行方向を変えて1/
4波長板9に入射し、これを透過する際に円偏光に変換される。1/4波長板9を出射し
た円偏光はコリメートレンズ10により平行光となり、図示しない対物レンズで集光され
、光ディスク11の面に焦点を結ぶ。
【0014】
光ディスク11の面から反射された円偏光は逆回転の円偏光となって、図示しない対物
レンズ、コリメートレンズ10を経て1/4波長板9に入射し、これを透過する際にP偏
光のレーザ光(P1、P2)に変換されてPBS8に入射する。PBS8に入射したP偏
光のレーザ光P1、P2は、図5のTpで示すように偏光膜8aを透過し、光検出器12
に入射し、情報が解読される。一方、フロントモニタ13に入射した光は従来例で説明し
たように、フロントモニタ13の信号レベルが基準レベルになるように、LD2、6のド
ライバの駆動信号レベルを制御するように用いられる。
【0015】
従来はPBSにより光量のうち10%程度を分離してフロントモニタに入射させていた
が、CD、DVDの2波長対応のPBSの偏光膜を製作しようとすると数十層の誘電体薄
膜を積層する必要があり、しかも膜厚は厳しい精度を要した。また、前記偏光膜は波長依
存性があり、要求仕様を満たすのは極めて難しい。本発明の2波長対応の光ピックアップ
の特徴は、略52nmのSiO2薄膜一層を形成したリーケッジプリズムを用いることに
より、フロントモニタ用の光量を容易に分離することが出来ることである。リーケッジプ
リズムは図3に示すように、波長依存性も優れ、また製作も容易であるという特徴を備え
ている。
【0016】
図2に示す例1の52nmのSiO2薄膜以外に、同図に示す例2、3等の薄膜構成を
有するリーケッジプリズムが構成できる。例2は3層薄膜構成のリーケッジプリズムで、
プリズムの斜面に100nmのSiO2、22nmのAl2O3、62nmのSiO2を積層
して構成する。例2の分光特性を図6に示す。Ts、RsはそれぞれS偏光の透過率(%
)と反射率(%)を表す。この図から明らかなように、波長370nmから850nmの
S偏光に対し、透過率Ts(%)と反射率Rs(%)はそれぞれ約95%、約5%である
。また、P偏光に対する透過率(%)と反射率(%)をTp、Rpで示してある。
【0017】
例3は6層薄膜構成のリーケッジプリズムで、プリズムの斜面に9nmのAl2O3、9
9nmのランタンアルミネート(LaとAl2O3との混合酸化物)、35nmのSiO2
、53nmのAl2O3、49nmのSiO2、15nmのAl2O3を積層して構成する。
例3の分光特性を図7に示す。図7の分光特性も図6に示した分光特性とほぼ同様な特性
を示している。
【0018】
なお、本実施形態では、リーケッジプリズム5を波長合成プリズム4の後段に配置する
ようにしているが、これはあくまでも一例であり、リーケッジプリズム5は図示しない対
物レンズと、波長合成プリズム4との間の光路中であれば何れの位置にも配置可能である
。
【0019】
図1に示す2波光ピックアップでは各光部品の機能を説明するために、個々に示したが
、2つ以上の部品を貼り合わせてピックアップを小型することができる。図1では3個の
プリズム、即ち波長合成プリズム4と、リーケッジプリズム5と、偏光ビームスプリッタ
8とを用いているが、例えば、波長合成プリズム4とリーケッジプリズム5とを貼り合わ
せてもよいし、リーケッジプリズム5と偏光ビームスプリッタ8とを貼り合わせても良い
。また、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9とを貼り合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る2波光ピックアップの構成を示した概略構成図。
【図2】リーケッジプリズムの構成を示す斜視図
【図3】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図4】波長合成プリズムの分光特性図。
【図5】偏光ビームスプリッタの分光特性図。
【図6】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図7】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図8】従来の光ピックアップの構成を示した概略構成図。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ偏光ビームスプリッタの分光特性図。
【符号の説明】
【0021】
1 2波光ピックアップ、2、6 レーザダイオード、3、7 回折格子、4 波長合
成プリズム、4a、5a、8a 偏光膜、5 リーケッジプリズム、8 偏光ビームスプ
リッタ、9 1/4波長板、10 コリメートレンズ、11 光ディスク、12 光検出
器、13 フロントモニタ、S1、S2 S偏光、P1、P2 P偏光、Ts S偏光の
透過率、Rs S偏光の反射率、Tp P偏光の透過率
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)両光ディスクの
記録再生に用いられる光ピックアップに関し、特にモニタ用の光量分離にリーケッジプリ
ズムを用いた2波長対応の光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスク記録再生装置に用いられる光ピックアップは、CD(780nm帯)
、DVD(650nm帯)等の用途に応じて波長の異なる複数のレーザ光を集積した光ピ
ックアップが採用されている。CD/DVD両記録型光ピックアップを用いた例が、特許
文献1に開示されている。図8は2波(CD、DVD)光ピックアップ31の構成を示す
概略図であって、半導体レーザダイオード(以下、LDと称す)32、35と、回折格子
33、36と、第1及び第2の偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称す)34、38
と、フロントモニタ37と、1/4波長板39と、コリメートレンズ40と、立ち上げミ
ラー41と、対物レンズ42と、センサレンズ43と、光検出器44と、を備えている。
【0003】
図9(a)は第1のPBS34の偏光膜34aの分光特性を示す図であって、CDに用
いられる波長約780nmのP偏光は偏光膜34aにより、光量のうち10%程度が透過
し、90%程度の光量は反射される。DVDに用いられる波長約650nmのP偏光は偏
光膜34aにより、光量のうち90%程度が透過し、10%程度の光量は反射される。ま
た、図9(b)は第2のPBS38の偏光膜38aの分光特性を示す図であって、P偏光
の光は透過し、S偏光の光は反射される。
【0004】
図8のLD32から出射される波長780nm帯のP偏光の光は、回折格子33で3ビ
ームに分けられ、第1のPBS34に入射し、偏光膜34aにより光量のうち、90%程
度が反射され、90度進行方向を変え第2のPBS38に入射する。偏光膜34aを透過
した10%程度のP偏光の光はフロントモニタ37に入射する。一方、LD35から出射
される波長650nm帯のP偏光の光は、回折格子36で3ビームに分けられ、第1のP
BS34に入射し、偏光膜34aにより光量のうち、90%程度が透過され第2のPBS
38に進む。偏光膜34aで反射された10%程度のP偏光の光はフロントモニタ37に
入射する。第2のPBS38に入射した波長約650nm及び780nmのP偏光の光は
、偏光膜38aの特性によりほぼ100%が透過して1/4波長板39に入射し、円偏光
に変換され、さらにコリメートレンズ40により平行光となり、立ち上げミラー41によ
り90度上向きに変換され、対物レンズ42で集光され、図示しない光ディスクの面に焦
点を結ぶ。
【0005】
光ディスクの面からの反射光は逆回転の円偏光となって、対物レンズ42、立ち上げミ
ラー41、コリメートレンズ40を経て1/4波長板39に入射し、S偏光の光に変換さ
れて第2のPBS38に入射する。入射したS偏光の光は第2のPBS38の偏光膜38
aにより全反射され、センサレンズ43を介して光検出器44に入射し、情報が解読され
る。また、LD32、35から出射される光量のうち、10%程度がモニタ37に導かれ
るが、該フロントモニタ37に接続されたAPC(オートパワーコントローラ)により、
フロントモニタ37の信号レベルが基準レベルになるように、LD32、35のドライバ
の駆動信号レベルを制御する。このモニタを含むAPCについては特許文献2に詳述され
ている。
【特許文献1】特開2004−110897公報
【特許文献2】特開2002−185073公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のDVD、CDの2波長対応の光ピックアップ用PBS34の偏光
膜34aは数十層からなり、DVD用650nm帯のレーザ光の95%程度透過(5%程
度反射)させ、CD用780nm帯のレーザ光95%程度を反射(5%程度透過)させる
偏光膜を製作しようとすると、各層の膜厚精度は極めて厳しく、また、偏光膜は波長依存
性があり、製造歩留まりが悪いという問題があった。
本発明は、DVD、CDそれぞれの発光ダイオードから出射される光量のうち5%程度
を反射し、95%程度を透過させるリーケッジプリズムを用いた2波光ピックアップを提
供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2波長対応の光ピックアップのモニタ用光量を分離するリーケッジプリズム
を用いて2波光ピックアップを構成することを特徴とする。
2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折格子と、前
記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射される光量を
検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段とを備え、
前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再生を行う2波
長対応の光ピックアップであって、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前記光
源から出射される光を前記光量検出手段へ分光するリーケッジプリズムが配置された2波
光ピックアップを構成する。
このように2波光ピックアップを構成すると、光量分離デバイスが容易に構成できると
共に、波長依存性も良好で分離精度も良好な光ピックアップとなり、APC機能の特性が
向上するという特徴がある。
【0008】
前記光部品の中で隣接して配置される分品同士を、光学接着剤を用いて貼り合わせて2
波光ピックアップを構成する。このように2波光ピックアップを構成すると、光ピックア
ップが小型化できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る
780nm帯のCDと650nm帯のDVDとの2波長対応の2波光ピックアップ(以下
、単に光ピックアップと称する)1の構成を示す概略図であって、CD、DVD用の2個
のレーザダイオード(LD)2、6と、CD、DVD用の2個の回折格子3、7と、CD
、DVD用の光を合成する波長合成プリズム4と、リーケッジプリズム5と、CD、DV
D用のPBS8と、1/4波長板9と、コリメートレンズ10と、光検出器12と、フロ
ントモニタ13と、を備えている。ここで、CD、DVD用の2個のLD2、6からはS
偏光のレーザ光S1、S2がそれぞれ出射されるものとする。
【0010】
図1に示す光ピックアップ1の動作を説明する前に、これに用いられる光デバイスにつ
いて説明する。図2は、リーケッジプリズム5の構成を示す斜視図である。斜面と対向す
る面とがそれぞれ45度をなす三角柱プリズム2個を、前記斜面同士を光学接着剤にて貼
り合わせてなる六面体プリズム(リーケッジプリズム)であって、前記斜面の一方に図2
の例1に示すように略52nmのSiO2薄膜を設けたリーケッジプリズムである。この
リーケッジプリズムの分光特性は図3のTsで示すように、波長370nmから850n
mのS偏光のレーザ光を95%程度透過させ、同図の分光特性のRsで示すようにS偏光
のレーザ光を5%程度反射させるようにしたことを特徴とするリーケッジプリズムである
。なお、Tp、RpはP偏光の透過率(%)と反射率(%)である。この図から明らかな
ように、分離特性は極めてよく、且つ波長依存性はほとんど無い。
【0011】
図4、図5はそれぞれ波長合成プリズム4とPBS8との分光特性であり、周知の光学
フィルタ理論により設計されたものの一例である。波長合成プリズム4は図4の分光特性
に示すように、780nm帯(CD用)のS偏光のレーザ光S1は反射し、650nm帯
(DVD用)のS偏光のレーザ光S2は透過させるように構成されている。そして、PB
S8は図5の分光特性に示すように、CD、DVD用のS偏光のレーザ光S1、S2を反
射させ、P偏光のレーザ光P1、P2は透過させるように構成されている。ここで、図5
のRsはS偏光の反射率を、TpはP偏光の透過率を表している。
【0012】
図1に示すCD用のLD2から出射されるS偏光のレーザ光S1は、回折格子3を透過
し、波長合成プリズム4に入射する。波長合成プリズム4に入射したS偏光のレーザ光S
1は波長合成プリズム4の偏光膜4aにより反射され、90度進行方向を変えてリーケッ
ジプリズム5に入射する。一方、DVD用のLD6から出射されるS偏光のレーザ光S2
は、波長合成プリズム4に入射し、偏光膜4aを透過し、リーケッジプリズム5に入射す
る。
【0013】
リーケッジプリズム5に入射したCD、DVD用のS偏光のレーザ光S1、S2は、偏
光膜5aにより図3の分光特性のTsに示すように、入射光量の95%程度が透過し、偏
光ビームスプリッタ8に入射する。一方、図3の分光特性のRsに示すように、入射光量
の5%程度が反射してフロントモニタ13に入射する。PBS8に入射したCD、DVD
用のS偏光のレーザ光は、偏光膜8aによりほぼ全反射し、90度進行方向を変えて1/
4波長板9に入射し、これを透過する際に円偏光に変換される。1/4波長板9を出射し
た円偏光はコリメートレンズ10により平行光となり、図示しない対物レンズで集光され
、光ディスク11の面に焦点を結ぶ。
【0014】
光ディスク11の面から反射された円偏光は逆回転の円偏光となって、図示しない対物
レンズ、コリメートレンズ10を経て1/4波長板9に入射し、これを透過する際にP偏
光のレーザ光(P1、P2)に変換されてPBS8に入射する。PBS8に入射したP偏
光のレーザ光P1、P2は、図5のTpで示すように偏光膜8aを透過し、光検出器12
に入射し、情報が解読される。一方、フロントモニタ13に入射した光は従来例で説明し
たように、フロントモニタ13の信号レベルが基準レベルになるように、LD2、6のド
ライバの駆動信号レベルを制御するように用いられる。
【0015】
従来はPBSにより光量のうち10%程度を分離してフロントモニタに入射させていた
が、CD、DVDの2波長対応のPBSの偏光膜を製作しようとすると数十層の誘電体薄
膜を積層する必要があり、しかも膜厚は厳しい精度を要した。また、前記偏光膜は波長依
存性があり、要求仕様を満たすのは極めて難しい。本発明の2波長対応の光ピックアップ
の特徴は、略52nmのSiO2薄膜一層を形成したリーケッジプリズムを用いることに
より、フロントモニタ用の光量を容易に分離することが出来ることである。リーケッジプ
リズムは図3に示すように、波長依存性も優れ、また製作も容易であるという特徴を備え
ている。
【0016】
図2に示す例1の52nmのSiO2薄膜以外に、同図に示す例2、3等の薄膜構成を
有するリーケッジプリズムが構成できる。例2は3層薄膜構成のリーケッジプリズムで、
プリズムの斜面に100nmのSiO2、22nmのAl2O3、62nmのSiO2を積層
して構成する。例2の分光特性を図6に示す。Ts、RsはそれぞれS偏光の透過率(%
)と反射率(%)を表す。この図から明らかなように、波長370nmから850nmの
S偏光に対し、透過率Ts(%)と反射率Rs(%)はそれぞれ約95%、約5%である
。また、P偏光に対する透過率(%)と反射率(%)をTp、Rpで示してある。
【0017】
例3は6層薄膜構成のリーケッジプリズムで、プリズムの斜面に9nmのAl2O3、9
9nmのランタンアルミネート(LaとAl2O3との混合酸化物)、35nmのSiO2
、53nmのAl2O3、49nmのSiO2、15nmのAl2O3を積層して構成する。
例3の分光特性を図7に示す。図7の分光特性も図6に示した分光特性とほぼ同様な特性
を示している。
【0018】
なお、本実施形態では、リーケッジプリズム5を波長合成プリズム4の後段に配置する
ようにしているが、これはあくまでも一例であり、リーケッジプリズム5は図示しない対
物レンズと、波長合成プリズム4との間の光路中であれば何れの位置にも配置可能である
。
【0019】
図1に示す2波光ピックアップでは各光部品の機能を説明するために、個々に示したが
、2つ以上の部品を貼り合わせてピックアップを小型することができる。図1では3個の
プリズム、即ち波長合成プリズム4と、リーケッジプリズム5と、偏光ビームスプリッタ
8とを用いているが、例えば、波長合成プリズム4とリーケッジプリズム5とを貼り合わ
せてもよいし、リーケッジプリズム5と偏光ビームスプリッタ8とを貼り合わせても良い
。また、偏光ビームスプリッタ8と1/4波長板9とを貼り合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る2波光ピックアップの構成を示した概略構成図。
【図2】リーケッジプリズムの構成を示す斜視図
【図3】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図4】波長合成プリズムの分光特性図。
【図5】偏光ビームスプリッタの分光特性図。
【図6】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図7】リーケッジプリズムの分光特性図。
【図8】従来の光ピックアップの構成を示した概略構成図。
【図9】(a)、(b)はそれぞれ偏光ビームスプリッタの分光特性図。
【符号の説明】
【0021】
1 2波光ピックアップ、2、6 レーザダイオード、3、7 回折格子、4 波長合
成プリズム、4a、5a、8a 偏光膜、5 リーケッジプリズム、8 偏光ビームスプ
リッタ、9 1/4波長板、10 コリメートレンズ、11 光ディスク、12 光検出
器、13 フロントモニタ、S1、S2 S偏光、P1、P2 P偏光、Ts S偏光の
透過率、Rs S偏光の反射率、Tp P偏光の透過率
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折格子と、前
記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射される光量を
検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段とを備え、
前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再生を行う2波
光ピックアップであって、
前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前記光源から出射される光を前記光量検
出手段へ分光するリーケッジプリズムが配置されていることを特徴とする2波光ピックア
ップ。
【請求項2】
前記光部品の中で隣接して配置される分品同士を、光学接着剤を用いて貼り合わせたこ
とを特徴とする請求項1に記載の2波光ピックアップ。
【請求項1】
2つの異なる波長の光を出射する光源と、2つの異なる波長に対応する回折格子と、前
記光源から出射光を光記録媒体に集光する対物レンズと、前記光源から出射される光量を
検出する光量検出手段と、前記光記録媒体からの反射光を検出する光検出手段とを備え、
前記光記録媒体に前記光検出手段により検出された情報の記録又は/及び再生を行う2波
光ピックアップであって、
前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に、前記光源から出射される光を前記光量検
出手段へ分光するリーケッジプリズムが配置されていることを特徴とする2波光ピックア
ップ。
【請求項2】
前記光部品の中で隣接して配置される分品同士を、光学接着剤を用いて貼り合わせたこ
とを特徴とする請求項1に記載の2波光ピックアップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−4136(P2008−4136A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169726(P2006−169726)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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