説明

2軸連続式混練機

【課題】 混練機において、フレーム部材を軽量化しつつも高い剛性を発揮できるようにする。
【解決手段】本発明の混練機1は、バレル2内で回転する混練ロータに対して混練ロータを回転自在に支持するフレーム部材12が少なくとも1つ以上備えられており、フレーム部材12が基礎土台17に埋設された補剛部材18に固定されていることを特徴とするものである。フレーム部材12は、混練ロータを駆動側で支持する駆動側のフレーム部材12を2以上有しているか、基礎土台17側に2以上に分岐された脚部21を備えているのが好ましく、この駆動側のフレーム部材12同士又は脚部21同士が補剛部材18を介して連結されているのがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機や連続混練機などの2軸連続式混練機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2軸連続式混練機は、バレル内に樹脂を混練する混練ロータ(混練スクリュともいう)が回転自在に収容されている。そして、これらの混練ロータや混練ロータを収容するバレルはフレーム部材に取り付けられており、このフレーム部材を直接コンクリートの基礎土台に対してアンカーボルトなどの締結具で固定することで混練ロータやバレルが支持される構造になっている。
ところが、近年は原油や天然ガスの価格が高騰しており、PEやPPなどのプラントにおいてもコストメリットに優れた製造設備に対するニーズが増大してきている。このようなニーズを背景としてPEやPPなどのプラントの生産能力は年々拡大し、混練機に対しても高生産量化の市場要求が高まっている。それゆえ、近年は高生産量化の市場要求に応えるために混練機は大型化すると共に低コスト化する傾向にある。
【0003】
そこで、このような低コスト化のニーズへの対応の一環として、混練ロータやバレルを支持するフレーム部材を軽量化した混練機が開発されるようになってきた。例えば、特許文献1には、フレーム部材の下端側を基礎土台に向けて橋杭状に伸ばしてその先端を基礎土台に固定したものが開示されている。このようにすれば、フレーム部材の下側に空間が形成されフレーム部材を軽量化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−7658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のような分割されたフレーム部材で重量のある混練ロータやバレルを支持する場合にはフレーム部材の剛性が不足しやすくなる。特に、2軸連続式混練機を大型化すると、混練ロータによる動的荷重が飛躍的に大きくなるため、剛性が不足する傾向はますます顕著になりやすい。
このようなフレーム部材の剛性不足を補うためには、個々のフレーム部材を大型化すると共に分割されたフレーム部材を一体化してフレーム部材全体の高剛性化を図る必要がある。ところが、フレーム部材をこれまで以上に大型化すると、搬送や組立や保守などの作業に多大な労力が必要となり好ましくない。また、このようなフレーム部材の大型化や一体化は、フレーム部材を分割して2軸連続式混練機の軽量化や低コスト化を目指す当初の目的に逆行するものとなる。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、フレーム部材を軽量化しつつも高い剛性を発揮できるようにして、低コスト化と大型化とを両立させることができ、保守点検等も容易に行える2軸連続式混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の2軸連続式混練機は、バレル内で回転する混練ロータに対して、該混練ロータを回転自在に支持するフレーム部材が少なくとも1つ以上備えられており、前記フレーム部材が、基礎土台に埋設された剛性を有する補剛部材に締結具で固定されていることを特徴とするものである。
このようにすれば、フレーム部材が基礎土台に埋め込まれた補剛部材に連結されているため、フレーム部材が基礎土台に埋め込まれた補剛部材と一体になってフレーム部材の剛性が向上し、混練機の大型化が可能となる。また、補剛部材を基礎土台に埋め込んでおけば、混練機のフレーム部材自体は軽量化できるので、混練機を低コスト化することもが可能となる。さらに、基礎土台より地上側にあるフレーム部材を大型化する必要がないので、保守点検等も楽に行うことができる。
【0008】
このように補剛部材に連結されたフレーム部材としては、例えば前記フレーム部材が前記混練ロータを駆動側で支持する駆動側のフレーム部材を2以上有しており、前記駆動側のフレーム部材同士が前記補剛部材を介して連結されているものを採用することができる。
このように混練ロータの動的荷重が加わりやすい駆動側のフレーム部材を補剛部材に連結すれば、混練ロータをより強固に支持できるからである。また、駆動側に2以上設けられたフレーム部材のそれぞれを補剛部材に連結する際は、フレーム部材同士を補剛部材を介して連結することでフレーム部材の剛性をより高めることが可能となる。
【0009】
また、補剛部材に連結されたフレーム部材としては、前記フレーム部材が前記混練ロータを駆動側で支持する駆動側のフレーム部材を有しており、前記駆動側のフレーム部材が前記基礎土台側に2以上に分岐された脚部を備えており、前記脚部同士が補剛部材を介して連結されているものを採用することもできる。
このようにすれば、2以上の脚部を持つことでフレーム部材の剛性が若干弱くなっても、基礎土台側で2以上に分岐された脚部同士を補剛部材を介して連結することで、フレーム部材に高い剛性を発揮させることができる。
【0010】
なお、前記駆動側のフレーム部材又は脚部は前記混練ロータの軸心方向に並んで、又は前記混練ロータの左右方向に並んで配備されているのが好ましく、前記補剛部材は複数の鉄骨部材を溶接することで構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の2軸連続式混練機によれば、フレーム部材を軽量化しつつも高い剛性を発揮できるようにして、低コスト化と大型化とを両立させることができ、保守点検も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の混練機の支持構造を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】従来の混練機の支持構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の混練機1を図面に基づき説明する。
図1に模式的に示されるように、第1実施形態の混練機1は、異方向回転型の2軸連続式混練機1(以降、単に混練機1という)である。混練機1は、内部が空洞に形成されたバレル2と、バレル2の内部を軸心方向に沿って挿通する一対の混練ロータ3、3とを有している。
なお、以降の説明において、図1の紙面の左側を混練機1を説明する際の上流側又はドライブエンド側とし、紙面の右側を下流側又はウォータエンド側とする。また、混練ロータ3の回転軸に沿った方向を混練機1を説明する際の軸心方向と呼び、紙面の前後に沿った方向を混練機1を説明する際の左右方向と呼ぶ。さらに、図1の紙面の上側及び下側を混練機1を説明する際の上側及び下側と呼ぶ。
【0014】
バレル2は軸心方向に沿って長い筒状に形成されている。バレル2の下流側の内部には軸心方向に沿って長いめがね孔状の空洞部4が形成されており、この空洞部4に一対の混練ロータ3、3が回転自在に挿通されている。
バレル2は、軸心方向のドライブエンド側にホッパ5を有しており、このホッパ5から材料を空洞部4に供給可能となっている。バレル2は、軸心方向の中程(後述する混練ロータ3の混練部の下方位置)においてバレル支持部材15によって基礎土台17に固定され、支持されている。
【0015】
バレル2は、その中途部(混練部9のすぐ下流に対応する位置)に、空洞部4の内周面と混練ロータ3との間に形成される材料の流路を開閉して材料の混練度を調整するゲート式の混練度調整部6が設けられている。
混練ロータ3は、混練機1本体の内部を軸心方向に貫通するように左右方向に一対設けられている。混練ロータ3とフレーム部材12との間には、フレーム部材12に対して混練ロータ3を回転自在に支持する軸受部7が軸心方向に複数箇所(本実施形態では3箇所)に亘って設けられており、この軸受部7により混練ロータ3はフレーム部材12に対して回転自在に支持されている。
【0016】
混練ロータ3は、上流側に混練ロータ3を回転駆動する駆動モータ(図示略)と減速機8とを有しており、駆動モータで発生した駆動力を減速機8を介してそれぞれの混練ロータ3に伝達することで互いに異なる回転方向に駆動回転する構成となっている。
混練ロータ3は、上流側がストレート筒状に形成されており、このストレート筒状の部分の下流側には材料を混練する混練部9や材料を下流側に送り出すスクリュ部10が軸心方向に沿って備えられており、これらが回転することで材料を混練しながら下流側に送り出せるようになっている。
【0017】
混練ロータ3は、下流側端部に混練ロータ3の内部に冷却水を送る冷却水供給部11が備えられており、この冷却水供給部11から混練ロータ3の内部に冷却水を供給することで混練ロータ3の温度を調整できるようになっている。
ところで、本発明の混練機1は、バレル2が軸心方向に複数(本実施形態では3つ)の部材に分割されており、これらの部材を軸心方向に連結することで一体的なバレル2となるようになっている。本実施形態では、バレル2は、上流側に第2ドライブエンドフレーム部材13と第1ドライブエンドフレーム部材14とが一体的に連結されており、下流側にウォータエンドフレーム部材16が一体的に連結されている。
【0018】
これらの3つのフレーム部材12は、いずれも基礎土台17の上に起立状に配備されており、混練ロータ3及びバレル2に加わる静荷重及び動的荷重を基礎土台17に対して支持するものである。このように、混練ロータ3及びバレル2に加わる静荷重及び動的荷重を複数のフレーム部材12に分けて支持すれば、バレル2に加わる全ての荷重を支えるのに比べて分割されたフレーム部材12の間に空間が形成されフレーム部材12の重量を軽量化することができる。
ところが、大型化することで重量が増した混練ロータ3やバレル2の荷重(特には動的荷重)を分割された複数のフレーム部材12を用いて支えようとすると、単一のフレーム部材12に比べて個々のフレーム部材12の剛性が小さいため、混練機1の支持構造の剛性が不足しやすくなる。そこで、本発明では、フレーム部材12を基礎土台17に埋設された剛性を有する補剛部材18に固定して、フレーム部材12と補剛部材18とを一体化してフレーム部材12を軽量化しつつも高い剛性を発揮できるようにしている。本実施形態では、上述した複数のフレーム部材12のうち、駆動側で混練ロータを支持する2つの第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13をそれぞれ基礎土台17に埋設された補剛部材18に固定して、これらのフレーム部材12同士が補剛部材18を介して連結している。
【0019】
第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13は、フレーム部材12の中でも最も駆動側(減速機8側)に近い位置で、混練ロータ3を基礎土台17に対して支持している。これらのフレーム部材14、13の上端側には水平方向に沿って形成された軸孔が形成されており、この軸孔には混練ロータ3の上流側に形成されたストレート筒状の部分を挿入可能となっている。これらの軸孔の内周面にはそれぞれ混練ロータ3を回転自在に支持する軸受部7が備えられており、これらの軸受部7により混練ロータ3を回転自在に支持している。
【0020】
第2ドライブエンドフレーム部材13と第1ドライブエンドフレーム部材14との間には、第2ドライブエンドフレーム部材13を第1ドライブエンドフレーム部材14に連結する連結部材19が設けられている。この連結部材19は、筒状に形成されており、筒内部に混練ロータ3を挿入してこの混練ロータ3を外側から覆うようになっている。連結部材19は、上流側の端部には第2ドライブエンドフレーム13が、また下流側の端部には第1ドライブエンドフレーム部材14がボルト等を用いて固定されており、第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレームとを軸心方向に一体的に連結するるようになっている。
【0021】
第1ドライブエンドフレーム部材14の下端側には、混練ロータ3側(上側)から基礎土台17側(下側)に向かって左右方向に2つに分岐した左右一対の脚部21、21が備えられている。これらの脚部21、21同士は、混練ロータ3の軸心方向と垂直な方向に向かって並んでおり、それぞれの下端はフランジ状に形成されている。そして、このフランジ状に形成された脚部21の下端は複数の締結具20(例えば、アンカーボルト)で補剛部材18に固定されている。これにより、第1ドライブエンドフレーム部材14の剛性不足を補うようにしている。また、脚部21、21のそれぞれの下端を補剛部材18に連結することで、脚部21、21同士は補剛部材18を介して互いに連結状態となっている。これにより、第1ドライブエンドフレーム部材14の剛性を更に高めることができる。
【0022】
第2ドライブエンドフレーム13の下端はフランジ状に形成されており、このフランジ状に形成された部分は第1ドライブエンドフレーム部材14と同様に複数の締結具20(例えば、アンカーボルト)で補剛部材18に固定されている。これにより、第2ドライブエンドフレーム13の剛性不足を補うようにしている。第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム13との下端をそれぞれ補剛部材18に固定することで、第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム13とが軸心方向に並んだ状態で補剛部材18を介して互いに連結される。これにより、ドライブエンド側のフレーム部材12全体としての剛性を高めることができる。
【0023】
基礎土台17は、混練機1を設置する床面であり、コンクリートなどで形成されている。基礎土台17の上面は水平に形成されており、上述のフレーム部材12を水平な状態で載置できるようになっている。基礎土台17には必要に応じて上面から掘り下げられた溝部22が設けられており、また基礎土台17の内部には補剛部材18が埋設されている。
図2に示すように、補剛部材18は、互いに直交するように格子状に組み合わされた複数の鉄骨部材23を溶接して形成されたフレーム構造となっている。本実施形態の補剛部材18のフレーム構造は、軸心方向に沿って配備された一対の鉄骨部材23同士を橋かけ状に繋いだはしご状のフレーム体を上下に2組備えており、これら2組のフレーム体同士を上下に鉄骨部材23で繋ぎ合わせることで形成されている。
【0024】
補剛部材18は基礎土台17の上面より掘り下げられた溝部の下方に埋設されており、補剛部材18の上面には第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13それぞれのフランジ状に形成された下端が複数のアンカーボルト20(締結具)により固定されている。
補剛部材18のフレーム構造は、鉄骨部材23の取り付け方向に加わる力に対して強いため、上述のように鉄骨部材23が軸心方向又は軸心方向と垂直な方向に向くように補剛部材18を設置すると良い。このようにすれば、フレーム部材12に大きな負荷や振動が加わっても、これらの負荷や振動を補剛部材18で十分に支持できる。
【0025】
加えて、上述のような補剛部材18は鉄骨部材23を組み合わせて溶接するだけで簡単に作ることができるので、設置や施工が容易である。また、このようなフレーム構造の補剛部材18を基礎土台17に埋設すれば、複数の鉄骨部材23の周りを基礎土台17で支持することができ、大型化により重量が増したバレル2や混練ロータ3による基礎土台17への局所的な負荷を軽減することもできる。
なお、補剛部材18に対して第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13を固定する方法としては、例えば補剛部材18の上面を基礎土台17の上面と面位置にまで伸ばして、この補剛部材18の上面に第1ドライブエンドフレーム部材14の脚部21、21や第2ドライブエンドフレーム部材13の下端を固定しても良い。また、補剛部材18が基礎土台17の上面近くに埋設されている場合は、基礎土台17を貫通するように設けられた締結具20(ボルト、アンカーボルト20)を打ち込んで、第1ドライブエンドフレーム部材14や第2ドライブエンドフレーム部材13と補剛部材18の上面とを連結するように固定しても良い。
【実施例】
【0026】
次に、第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13を補剛部材18で連結した場合の効果を、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例及び比較例に用いられる混練機1は、上述のように第1ドライブエンドフレーム部材14、第2ドライブエンドフレーム部材13、バレル支持部材15、ウォータエンドフレーム部材16の4つを備えており、これらで混練機による荷重を支持するように構成されている2軸連続式混練機1である。
実施例1及び比較例1で用いられる2軸連続式混練機1は総荷重29800kgfであり、実施例1及び比較例1ではこの2軸連続式混練機1を回転数440rpmで回転させている。また、実施例2及び比較例2で用いられる2軸連続式混練機1は総荷重61490kgfであり、実施例2及び比較例2ではこの2軸連続式混練機1を回転数360rpmで回転させている。
【0027】
次に、これらの混練機1を回転させた際に3つのフレーム部材12及びバレル支持部材15に加わる荷重を荷重センサを用いて計測し、計測された荷重の周波数解析を行い、周波数解析により得られた3倍周波成分を選んで比較した。なお、実施例1及び比較例1の場合の基本周波成分は7.33Hz、実施例2及び比較例2の場合の基本周波成分は6Hzである。
実施例1及び比較例1に対する、3倍周波成分の水平加振による結果を表1〜表4に示す。水平加振においては静荷重と6倍周波成分とは左右逆相で打ち消され、3倍周波成分が残る。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
表1は、第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13を基礎土台17に直接アンカーボルト20で連結させた場合(比較例1の場合)に得られる3倍周波成分を示す結果である。また、表2は、第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13をアンカーボルト20を用いて補剛部材18に固定し、補剛部材18を介して第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを連結して一体化した場合(実施例1の場合)に得られる3倍周波成分を示す結果である。
【0031】
例えば、表1及び表2の結果を比較すると、表2の荷重(荷重振動の振幅)はいずれも表1に比べて絶対値が非常に小さくなっており、ドライブエンド側のフレーム部材12を補剛部材18に固定すること、特にドライブエンド側のフレーム部材12が2分割されている場合には、補剛部材18を介して第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを連結するように一体化することにより支持構造の剛性が上がって荷重の振れ幅が小さくなることが分かる。
一方、実施例1(表1)及び比較例1(表2)で示される上述の傾向は、2軸連続式混練機1の総荷重が大きくなっても維持される。例えば、総荷重29800kgfの2軸連続式混練機1に代えて総荷重が61490kgfの2軸連続式混練機1を回転数360rpmで回転させて、表1や表2と同様に3倍周波成分を求めると、表4で示される実施例2及び表3で示される比較例2のようになる。
【0032】
【表3】

【0033】
表3に示されるように、第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを直接基礎土台17に連結し固定した場合、総荷重が61490kgfの2軸連続式混練機1では総荷重が29800kgfの2軸連続式混練機1に比べて3倍成分の荷重がいずれのフレーム部材12ないしバレル支持部材15でも大きくなっている。この点から分かるように、2軸連続式混練機1を大型化すると当然荷重振動の振幅が大きくなり、フレーム部材12にかかる負荷も増大する。
【0034】
【表4】

【0035】
ところが、表4に示されるように、補剛部材18を介して第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを一体化すると、表3に比べてフレーム部材12及びバレル支持部材15の全てについて3倍周波成分の絶対値が非常に小さくなっており、支持構造の剛性が上がって荷重の振れ幅が小さくなっていることが分かる。このことから、ドライブエンド側のフレーム部材12と補剛部材18とを固定すること、特にドライブエンド側のフレーム部材12が2分割されている場合には、第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを補剛部材18を介して連結するように一体化することは、混練機1を大型化した場合に支持構造の剛性を上げる上で特に好ましいと判断される。
【0036】
また、図2に示されるように第1ドライブエンドフレーム部材14と第2ドライブエンドフレーム部材13とを一体化すると支持構造の剛性が上がるので、図3に示されるようにフレーム部材12を堅牢化したり大型化するが必要がない。その結果、基礎土台17より地上側にあるフレーム部材12をコンパクト化でき、分解や組立などの保守点検を楽に行うことができる。
さらに、表1〜表4において各フレーム部材12に加わる荷重振動の振幅を比較すると、ウォータエンド側のフレーム部材12に比べて駆動側のフレーム部材12の方が荷重の振れ幅が大きく、動的荷重はフレーム部材12の中でも駆動側のフレーム部材12に特に加わりやすい傾向があることがわかる。それゆえ、フレーム部材12の中でも特に駆動側のフレーム部材12を補剛部材18に固定すれば、効果的に荷重振動の振幅を小さくすることが可能となる。
【0037】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、混練機1として異方向回転型の2軸連続式混練機1を例示した。しかしながら、本発明の混練ロータ3やバレル2の支持構造は、2軸連続式混練機1だけでなく2軸混練押出機にも用いることができるし、混練ロータ3の回転方向は同方向であっても良い。
上記実施形態では、フレーム部材12が複数に分割されたものを例示したが、例えばモノコックフレーム式のフレーム部材に対して、このフレーム部材に複数の脚部を設けても良く、これらの脚部21のそれぞれを基礎土台17に埋設された補剛部材18に連結して、脚部同士を補剛部材18を介して連結させることもできる。
【0038】
上記実施形態では、3つのフレーム部材12及びバレル支持部材15の内、第1ドライブエンドフレーム部材14及び第2ドライブエンドフレーム部材13が補剛部材18に連結されたものを例示した。しかし、例えばバレル支持部材15やウォータエンドフレーム部材16を補剛部材18に固定して、混練ロータ3やバレル2の支持構造の剛性を高めることもできる。
上記実施形態では、補剛部材18として複数の鉄骨部材を溶接してなるものを例示したが、補剛部材18はフレーム部材の剛性を基礎土台17に埋設された部材で高めるもの、例えば複数の脚部同士を連結し固定したり、複数に分割されたフレーム部材同士を連結し固定するものであれば良く、その形状はブロック状等他のものを用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 2軸連続式混練機(混練機)
2 バレル
3 混練ロータ
4 空洞部
5 ホッパ
6 混練度調整部
7 軸受部
8 減速機
9 混練部
10 スクリュ部
11 冷却水供給部
12 フレーム部材
13 第2ドライブエンドフレーム部材
14 第1ドライブエンドフレーム部材
14 フレーム部材
15 バレル支持部材
16 ウォータエンドフレーム部材
17 基礎土台
18 補剛部材
19 連結部材
20 締結部材
21 脚部
22 溝部
23 鉄骨部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル内で回転する混練ロータに対して、該混練ロータを回転自在に支持するフレーム部材が少なくとも1つ以上備えられており、
前記フレーム部材が、基礎土台に埋設された剛性を有する補剛部材に締結具で固定されていることを特徴とする2軸連続式混練機。
【請求項2】
前記フレーム部材は、前記混練ロータを駆動側で支持する駆動側のフレーム部材を2以上有しており、
前記駆動側のフレーム部材同士が前記補剛部材を介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の2軸連続式混練機。
【請求項3】
前記フレーム部材は、前記混練ロータを駆動側で支持する駆動側のフレーム部材を有しており、
前記駆動側のフレーム部材は、前記基礎土台側に2以上に分岐された脚部を備えており、前記脚部同士が前記補剛部材を介して連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の2軸連続式混練機。
【請求項4】
前記駆動側のフレーム部材又は脚部は、前記混練ロータの軸心方向に並んで、又は前記混練ロータの左右方向に並んで配備されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の2軸連続式混練機。
【請求項5】
前記補剛部材は、複数の鉄骨部材を溶接することで構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2軸連続式混練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−179562(P2010−179562A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24827(P2009−24827)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】