説明

2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質

本発明は、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質、その製造法および該被覆物質の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質、その製造法および該被覆物質の使用に関する。
【0002】
イソシアネートおよび特殊な芳香族イソシアネートを被覆物質中に使用することは、広く知られている。
【0003】
通常の芳香族イソシアネートは、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネートと2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)との異性体混合物、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンと4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)との異性体混合物ならびに高級オリゴマーMDIタイプと組み合わせた2,4′−および4,4′−MDI(ポリマーMDI)である。しかし、前記芳香族イソシアネートの中で、TDIは、強い毒性および既に室温で有効な蒸気圧を有する。
【0004】
ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)を大工業的に合成する場合には、異性体混合物は、4,4′−MDIおよび2,4′−MDIならびに場合によっては2,2′−MDIから生成される。このことから、通常、蒸留および/または結晶化によって、純粋な4,4′−MDIならびに4,4′−MDI約50〜80%と2,4′−MDI約20〜50%とからなる混合物が取得される。純粋な2,4′−MDIは、少し以前から大工業的に得られている。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第14136490号明細書には、芳香族イソシアネート、但し、この場合には、一覧の中にMDI異性体混合物も記載されかつ2,4′−異性体少なくとも90%の含量を有することが開示されているものとし、を接着剤および被覆物質中に使用することが記載されており、この場合には、プレポリマーの製造のために芳香族イソシアネートは、化学量論的過剰のNCO:OH比でヒドロキシル基と反応される。このプレポリマーは、溶剤不含になるように製造され、直接に支持体上への使用に適用される。
【0006】
欧州特許出願公開第1693511号明細書には、同様に2,4′−MDIを一成分系の溶剤不含のホットメルト接着剤(ホットメルト)中に使用することが記載されており、この場合プレポリマーの製造における化学量論的量は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第14136490号明細書の場合よりもむしろさらになお高い。
【0007】
WO 99/50329には、一連の芳香族イソシアネートを含有することができる水性ポリウレタンラテックスが記載されている。2,4′−MDIは、長い一覧内に記載されており、使用の点では、単に2,4′−MDIと4,4′−MDIとの50:50混合物ならびにラテックス中の高含量での4,4′−MDIが明示されている。
【0008】
米国特許第2002/0119321号明細書には、ジイソシアネートを含有することができる被覆物質が開示されている。純粋な4,4′−および2,4′−MDIならびに変性されたMDIプレポリマーが記載されている。実施例中に記載された、Bayer Corp.社のMondur(登録商標)MA-2903は、変性された4,4′−MDI誘導体であり、Mondur(登録商標)MR Lightは、2,4′−/4,4′−異性体混合物である。純粋な2,4′−MDIを含有する使用は、明示されていない。
【0009】
WO 03/033562には、一成分系接着剤中に使用するための精製された2,4′−MDIとポリオールとからなる、室温で固体の反応生成物が開示されている。この場合には、溶融液の形で接着剤として適用される、室温で固体の接着剤(23℃を上廻る軟化点)が重要であり、その際、ポリウレタン−ホットメルト接着剤のポリマー成分は、ウレタン基ならびに反応性イソシアネート基を含有する。即ち、この場合もイソシアネート基は、化学量論的過剰量で使用される。この種のイソシアネート基含有接着剤の場合の硬化処理は、湿式硬化であり、この場合イソシアネート基は、空気湿分と反応し、こうして接着剤の硬化を生じる。
【0010】
ホットメルト接着剤は、適用のために溶融されなければならず(例えば、130℃に)、この温度であっても常になお高粘稠であり、したがってこのホットメルト接着剤は、被覆物質として使用することができない。溶剤を混合することによって粘度を減少させることは、禁止されている。それというのも、この溶剤は、必要とされる高い温度で沸騰し、接着された支持体間で蒸発してはならないからである。その上、本明細書中では、硬化時に長時間を要する湿式硬化機構が一貫して行なわれる。
【0011】
本発明の課題は、芳香族イソシアネートを含有しかつ良好な塗料特性を示す、新規で簡単に製造可能な、室温で液状の被覆物質を開発することであった。
【0012】
この課題は、
(a)2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と、場合によっては2,4′−MDI異性体を少なくとも90質量%含有している2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)とからなる混合物、
(b)場合によっては少なくとも1つの別のジイソシアネートまたはポリイソシアネート、
(c)イソシアネートに対して反応性の少なくとも2個の基を有する少なくとも1つの化合物、
(d)場合によってはイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの他の化合物、
(e)少なくとも1つの溶剤〜を含有し、
この場合、
(a)中のイソシアネート基と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基との比(総和で)は、1.05未満:1であり、少なくとも1つの化合物(b)が存在する場合には、(a)および(b)中のイソシアネート基(総和で)と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基(総和で)との比は、1.3以下:1である被覆物質によって解決された。
【0013】
本発明による被覆物質は、適用温度で低い粘度を有し、それによって得られる被膜は、良好な硬さを示す。
【0014】
この被覆物質は、室温(23℃)で液状である。
【0015】
"被覆物質"の概念は、本明細書中で、DIN 971−1で定義された概念の"被覆材料"と同義で使用されており、塗布された下地上で保護特性、装飾特性および/または別の特殊な性質を有する被膜を生じる液状生成物が記載される。
【0016】
構成成分(a)は、本発明によれば、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と、場合によっては2,4′−MDI異性体が少なくとも90質量%、有利に少なくとも95質量%、特に有利に少なくとも97質量%、殊に有利に少なくとも97.5質量%含有されている2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)とからなる混合物が重要である。従って、本明細書の範囲内で"2,4′−MDI"または"純粋な2,4′−MDI"の概念を使用する場合には、本明細書中に示された混合物は、上記の2,4′−MDI含量を有することを意味している。
【0017】
この場合、1つの好ましい実施態様において、使用された2,2′−異性体の含量は、使用されたMDIの0.3質量%未満であり、特に有利には、MDI組成物は、MDIの2,2′−異性体0.1質量%未満、特に有利に0.06質量%未満を含有する。
【0018】
本発明によれば、2,4′−MDIをモノマーの形で使用するか、またはイソシアヌレート、ビウレット、アロファネートまたはウレトジオンとして使用することが可能であるが、しかし、好ましいのは、モノマーの形である。
【0019】
アロファネートは、飽和または不飽和の分枝鎖状または直鎖状の脂肪族、脂環式または芳香族のアルコールで形成させることができる。
【0020】
更に、本発明の好ましい実施態様は、2,4′−MDIを本発明による被覆物質中への使用前にイソシアネート基含有ウレタンに変換させることである。そのために、2,4′−MDIは、被覆物質中への使用前に少なくとも1つのジオールまたはポリオール(c1)と反応して相応するウレタンに変換され、この場合このウレタンの数平均分子量Mnは、有利に4000g/mol未満、特に有利に3000g/mol未満、殊に有利に2000g/mol未満、殊に1500g/mol未満、特に1000g/mol未満に留まる。即ち、n価のジオールまたはポリオール(c1)から出発して、少なくともn当量の2,4′−MDIとの反応によって主に第1段階のウレタンが形成され、このウレタンは、次に有利に本発明による被覆物質中に使用される。この場合、n価は、2〜6、有利に3〜6、特に有利に3〜4、殊に有利に3を取ることができる。好ましくは、2,4′−MDIが主にイソシアネート基、特に有利に主に芳香環の4位でイソシアネート基と反応するような反応条件が選択される。この場合、生成物としては、理想的にはnが遊離イソシアネート基を有するオリゴウレタンが生成される。
【0021】
更に、通常は、ウレタン基に変換されるイソシアネート基の少なくとも70モル%、有利に少なくとも75モル%、特に有利に少なくとも80モル%、殊に有利に少なくとも85モル%、殊に90モル%は、芳香環の4位でのイソシアネート基である。
【0022】
好ましいジオールおよびポリオール(c1)は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオールまたは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール、162〜2000の分子量を有するポリTHF、134〜10000、有利に134〜5000、特に有利に134〜2000の分子量を有するポリ−1,2−プロパンジオールまたはポリ−1,3−プロパンジオール、またはポリエチレングリコール、ならびに106〜10000、有利に134〜5000、特に有利に134〜2000の分子量を有する、共重合体としての混合されたポリエチレン−/−プロピレングリコール、但し、この場合1,2−エチレン単位および1,2−プロピレン単位は、ランダムにかまたはブロック的に共重合体中に組み込まれていてよいものとし、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートまたはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)である。勿論、前記アルコールの混合物も適している。
【0023】
好ましい化合物(c1)は、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたは2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)プロパンであり、これらの化合物は、それぞれ場合によってはヒドロキシ基1個当たり1〜10回、有利にヒドロキシ基1個当たり1〜5回、特に有利に1〜3回エトキシル化されていてよくおよび/またはプロポキシル化されていてよく、好ましくはエトキシル化されていてよい。
【0024】
好ましくは、使用されるジオールまたはポリオール(c1)は、400g/molまで、特に有利に350g/molまで、殊に有利に310g/molまで、殊に270g/molまで、特に200g/molまでの分子量を有する。
【0025】
本発明の特に好ましい対象は、次の式
【化1】

[式中、
nは、3〜6の正の整数を表わし、
Rは、n個のヒドロキシ基の考えられる抽象化によってn価のアルコールから誘導されるn価の有機基を表わす]で示されるポリウレタンである。好ましくは、Rは、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、特に有利にトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパンおよびジペンタエリトリトール、殊に有利にトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールおよびグリセリンからなる群から選択されている。
【0026】
ウレタンを製造するための1つの方法として、2,4′−MDIが装入され、徐々にジオールまたはポリオール(c1)、またはn価のアルコールまたは場合によっては溶剤中に溶解されたポリオール混合物が添加される。この場合、有利には化学量論的量は、n価のジオールまたはポリオール中のヒドロキシ基1モル当たり2,4′−MDI約nモル(この場合には、例外的にイソシアネート基の代わりに2,4′−MDI1モルに対して)、特に有利に(0.5〜1.5*n):n、殊に有利に少なくとも(0.8〜1.2*n):n、殊に少なくとも(0.9〜1.1*n):nである(2,4′−MDI モル:ヒドロキシル基 モル)。
【0027】
特に好ましい実施態様において、場合によっては存在する過剰量のモノマーの未反応の2,4′−MDIは、ウレタン形成後に分離されず、含有されているウレタンと一緒に次の反応に使用される。
【0028】
これは、2,4′−MDIのウレタンのこの種の本発明による製造の場合にモノマーの未反応の2,4′−MDIの分離を省略することができるという利点を有する。この場合には、TDIと比較して僅かな毒性のために、未反応のモノマーの存在によって予想される欠点は、全く存在しない。本発明の意外な結果の1つは、2,4′−MDIが部分的にモノマーで使用されるとしても、被覆物質が極めて良好な硬さおよび別の良好な塗料特性を有することである。
【0029】
勿論、2,4′−MDIは、上記の記載と同様にn価のアルコールと反応してウレタンに変換されてもよく、その際、未反応のモノマーの2,4′−MDIに続いて蒸留により反応生成物から除去される。この場合、2,4′−MDIは、ヒドロキシ基に対してモル過剰量で、例えば10倍までの過剰量で使用されてもよい。
【0030】
場合による構成成分(b)は、2,2′−MDI、4,4′−MDIまたは2,4′−MDIとしての少なくとも1つの別のジイソシアネートまたはポリイソシアネートである。
【0031】
そのための例は、少なくとも1.8、有利に1.8〜5、特に有利に2〜4のNCO官能価を有する脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネート、および脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートおよび脂環式ポリイソシアネートである。
【0032】
このジイソシアネートは、有利に4〜20個のC原子を有するイソシアネートであることが好ましい。通常のジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートの誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートまたはテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサンまたは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、または2,4−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンまたは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンならびに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−トルイレンジイソシアネートまたは2,6−トルイレンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物、m−キシリレンジイソシアネートまたはp−キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネートまたは1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジフェニルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゾール、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネートまたは3(または4)、8(または9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−異性体混合物である。
【0033】
挙げられたジイソシアナートの混合物が存在していてもよい。
【0034】
好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,4−トルイレンジイソシアネートおよび2,6−トルイレンジイソシアネートであり、特に好ましいのは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0035】
ポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン基またはアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基またはイミノオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、直鎖状または分枝鎖状のC4〜C20−アルキレンジイソシアネートのウレトンイミン変性ポリイソシアネート、合計6〜20個のC原子を有する脂環式ジイソシアネートまたは合計8〜20個のC原子を有する芳香族ジイソシアネート、またはこれらの混合物がこれに該当する。
【0036】
使用可能なジイソシアネートおよびポリイソシアネート(b)は、イソシアネート基含有率(NCOとして算出、分子量=42)が、このジイソシアネートおよびポリイソシアネート(混合物)に対して、5〜60質量%、好ましくは10〜60質量%、特に有利に15〜55質量%である。
【0037】
脂肪族または脂環式のジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えば前記の脂肪族または脂環式ジイソシアネートまたはその混合物が好ましい。
【0038】
更に、好ましいのは、次のものである:
1) 芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートのイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。特に好ましいのは、この場合に相応する脂肪族および/または脂環式イソシアナトイソシアヌレート、殊にヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートを基礎とするかまたは2,4′−TDIおよび/または2,6−TDIを基礎とするものである。この場合に存在するイソシアヌレートは、殊に、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−またはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、または1個より多いイソシアヌレート環を有するそれらの高級な同族体との混合物である。このイソシアナト−イソシアヌレートは、一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、殊に15〜25質量%であり、平均NCO官能価は3〜8である。
2)芳香族的、脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート、特に脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基、殊にヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導されたイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。
【0039】
このウレトジオンジイソシアネートは、調製物中に、単独の成分としてかまたは他のポリイソシアネート、特に1)に挙げたポリイソシアネートとの混合物として使用してよい。
3) ビウレット基を有する、芳香族的、脂環式的または脂肪族的に結合した、好ましくは脂環式的または脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、殊にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレットまたはその高級な同族体とのその混合物。このビウレット基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が3〜4.5である。
【0040】
4)ウレタン基および/またはアロファネート基を有する、芳香族的、脂肪族的または脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート。例えば前記ポリイソシアネートは、過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートと、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパンまたはこれらの混合物との反応により得ることができる。このウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般に、NCO含有率が12〜20質量%であり、かつ平均NCO官能価が少なくとも2、有利に少なくとも2.1、特に有利に2.5〜3である。
5)オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導された、オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート。このようなオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートおよび二酸化炭素から製造することができる。しかし、その際、場合によっては上記含量のオキサジアジントリオン基を考慮することができる。
6)イミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導された、イミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート。このようなイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートから特殊な触媒を用いて製造することができる。
【0041】
触媒および方法は、例えば欧州特許出願公開第798299号明細書A1に記載されている。
7)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0042】
これらのポリイソシアネート1)〜7)は、混合物として使用してよく、場合によりジイソシアネートとの混合物として使用してもよい。
【0043】
化合物(c)としては、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2個の基を有する化合物がこれに該当する。
【0044】
この結果、一面で、プレポリマーとしてのウレタンの形成に使用される、上記したような化合物(c1)が挙げられ、他面、被覆物質中で結合剤として機能する化合物(c2)が挙げられる。
【0045】
イソシアネートに対して反応性の基は、例えば、−OH、−SH、−NH2および−NHR1で示され、その式中、R1は、水素または1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、例えばメチル、エチル、nープロピル、イソプロピル、nーブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチルを表わす。
【0046】
この場合、好ましいのは、−OH、−NH2および−NHR1であり、特に好ましいのは、−OHおよび−NH2であり、殊に好ましいのは、ヒドロキシ(−OH)である。
【0047】
有利に、ヒドロキシ基は、主に第1ヒドロキシ基であり、特に有利には、少なくとも50%、殊に有利には、少なくとも75%、殊に少なくとも85%が第1ヒドロキシ基である。
【0048】
例えば、成分(C2)は、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個、有利に2個以上、特に有利に少なくとも3個、殊に有利に3〜20個有することができる。
【0049】
例えば、成分(C2)は、ポリエーテロール、ポリエステロール、ポリアクリレートポリオールまたはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂であることができる。
【0050】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマン工業化学百科事典第4版、第19巻62〜65頁(Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, S. 62 bis 65)から公知である。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物または低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステルまたはそれらの混合物は、ポリエステルポリオールの製造に使用されてもよい。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族または複素環化合物であってよく、かつ場合により例えばハロゲン原子で置換されており、および/または不飽和であってよい。これらの例として、次のものを挙げることができる:
蓚酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサン二カルボン酸またはテトラヒドロフタル酸、コルク酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体および水素化生成物ならびにエステル化可能な誘導体、例えば記載された酸の無水物またはジアルキルエステル、例えばC1〜C4−アルキルエステル、有利にメチルエステル、エチルエステルまたはn−ブチルエステルが使用される。一般式HOOC−(CH2y−COOHで示され、yが、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の偶数であるジカルボン酸は、好ましく、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸が特に好ましい。ポリエステロールを製造するための多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、162〜2000の分子量を有するポリTHF、134〜10000、有利に134〜5000、特に有利に134〜2000の分子量を有するポリ−1,2−プロパンジオールまたはポリ−1,3−プロパンジオール、またはポリエチレングリコール、ならびに106〜10000、有利に134〜5000、特に有利に134〜2000の分子量を有する、共重合体としての混合されたポリエチレン−/−プロピレングリコール、但し、この場合1,2−エチレン単位および1,2−プロピレン単位は、ランダムにかまたはブロック的に共重合体中に組み込まれていてよいものとし、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルトース、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートまたはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)がこれに該当する。勿論、前記アルコールの混合物も適している。
【0051】
一般式HO−(CH2x−OHで示され、その式中、xは、1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数であるアルコールが好ましい。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオールおよびドデカン−1,12−ジオールが好ましい。特に好ましいのは、ネオペンチルグリコールである。
【0052】
更に、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として記載された低分子量アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボナートジオールもこれに該当する。
【0053】
ラクトンを基礎とするポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンの単独重合体または共重合体、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子での末端ヒドロキシル基を有するラクトンのアダクトである。ラクトンとしては、有利に一般式HO−(CH2z−COOHで示され、その式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C1〜C4−アルキル基で置換されていてもよい化合物から誘導されたラクトンがこれに該当する。例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸またはピバロラクトンならびにこれらの混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として前記された低分子量の二価アルコールである。相応するε−カプロラクトンのポリマーが特に好ましい。また、低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールは、開始剤としてラクトンポリマーの製造に使用されてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の相応する、化学的に当量の重縮合体が使用されてもよい。
【0054】
ポリエステルは、特に500〜50000g/mol、殊に1000〜10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーにより測定可能な分子量Mn(数平均)および16.5〜264mg KOH/g固体樹脂、特に33〜165mg KOH/g固体樹脂のヒドロキシ価を有する。
【0055】
更に、ポリアクリレートポリオールは、好ましい。この場合には、大抵は本質的に(メタ)アクリル酸エステル、例えば反応性希釈剤の際に上記されたC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば1,2−プロパンジオール、エチレングルコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が重要である。
【0056】
この共重合体は、特に500〜50000g/mol、殊に1000〜10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーにより測定可能な分子量Mn(数平均)および16.5〜264mg KOH/g固体樹脂、特に33〜165mg KOH/g固体樹脂のヒドロキシ価を有する。
【0057】
ヒドロキシル基を有するモノマーは、他の点では一般に0.5〜8質量%、特に1〜5質量%のポリマーのヒドロキシル基含量に相当する、ポリマーの上記のヒドロキシル価が生じるような量で共重合に共用される。一般に、ヒドロキシ官能性コモノマーは、使用されるモノマーの全質量に対して3〜75質量%、特に6〜47質量%の量で共用される。更に、勿論、前記記載の範囲内でヒドロキシ官能性モノマーの量は、1分子当たりの統計学的平均で少なくとも2個のヒドロキシル基を有する共重合体が生じるように選択されることに注意しなければならない。
【0058】
ヒドロキシ官能性でないモノマーには、例えば反応性希釈剤、即ち共重合可能なエチレン系不飽和基だけを有するラジカル重合可能かまたはカチオン重合可能な化合物が属する。
【0059】
例えば、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までのC原子を有するビニル芳香族化合物、20個までのC原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、1〜10個のC原子を含有するアルコールのビニルエーテル、α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物、ならびに2〜8個のC原子および1または2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0060】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0061】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も特に好適である。
【0062】
1〜20個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネートおよびビニルアセテートである。
【0063】
α,β−不飽和カルボン酸およびその無水物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸または無水マレイン酸、有利にアクリル酸であることができる。
【0064】
ビニル芳香族化合物としては、例えば、ビニルトルエン、αーブチルスチレン、4−nーブチルスチレン、4−nーデシルスチレン、特にスチレンがこれに該当する。
【0065】
ニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0066】
好適なビニルエーテルは、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテルおよびビニルオクチルエーテルである。
【0067】
2〜8個のC原子および1または2個のオレフィン系二重結合を有する芳香族でない炭化水素として、ブタジエン、イソプレン、ならびにエチレン、プロピレンおよびイソブチレンが挙げられる。
【0068】
更に、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムが使用可能である。
【0069】
好ましいのは、アルコール基中に1〜18個、特に1〜8個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、前記アクリレートに相当するメタクリレート、スチレン、アルキル置換されたスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ビニルアセテートまたはビニルステアレート、またはこの種のモノマーの任意の混合物である。また、エポキシド基を有するコモノマー、例えばグリシジルアクリレートまたはまたはグリシジルメタクリレート、またはモノマー、例えばN−メトキシメチルアクリルアミドまたはN−メトキシメチルメタクリルアミドは、微少量で共用されることができる。
【0070】
ポリマーの製造は、重合によって通常の方法により実施されてよい。特に、ポリマーの製造は、有機溶液中で行なわれる。連続的または非連続的な重合法が可能である。非連続的方法の中からバッチ法および流し込み法を挙げることができ、この場合には、後者の流し込み法が好ましい。流し込み法の場合には、溶剤は、単独でかまたはモノマー混合物の一部分と一緒に装入され、重合温度に昇温され、モノマー装入液の場合には、重合は、ラジカル的に開始され、残りのモノマー混合物は、開始剤混合物と一緒に1〜10時間、特に3〜6時間の経過中に供給される。場合によっては、引続きなお後活性化され、重合は、少なくとも99%の変換率になるまで実施される。
【0071】
溶剤としては、例えば芳香族化合物、例えばソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エステル、例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、エーテル、例えばブチルグリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルグリコールエーテル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ハロゲン含有溶剤、例えば塩化メチレンまたはトリクロロモノフルオロエタンがこれに該当する。
【0072】
好ましいポリエーテロールは、アルコキシル化されたジオールまたはポリオール、特に有利にアルコキシル化された形の上記のジオールまたはポリオールである。
【0073】
アルコキシル化に適したエポキシ化されたオレフィンは、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化イソブチレン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、酸化スチレンおよび/またはエピクロロヒドリンであり、好ましいのは、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化イソブチレン、ビニルオキシラン、酸化スチレンまたはエピクロロヒドリンであり、特に好ましいのは、酸化エチレンおよび酸化プロピレンであり、殊に好ましいのは、酸化エチレンである。
【0074】
共重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重合体であることができる。
【0075】
本発明の好ましい実施態様は、被覆物質を少なくとも部分的に成分(a)としてのモノマーの純粋な2,4′−MDIから結合剤(c2)と一緒にして形成させることである。
【0076】
更に、本発明の特に好ましい実施態様は、被覆物質を成分(a)としての2,4′−MDIから形成させ、この場合この成分は、先に少なくとも1つの化合物(c1)と反応してウレタンに変わり、次に引続き少なくとも1つの結合剤(c2)と混合される。
【0077】
2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質を製造するためのもう1つの方法は、本発明の対象であり、この場合には、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と場合によっては2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンとからなる混合物を少なくとも1つの溶剤中に装入し、そのために少なくとも1つのn価のジオールまたはポリオール(c1)、但し、この場合nは、2〜6の値を取ることができるものとし、を添加し、同時にかまたは次に少なくとも1つの結合剤(c2)を添加する。この場合、化合物(c1)の添加は、徐々に中断せずに(ausschleichend)行なうことができ、化合物(c2)の計量供給は、さらに徐々に(einschleichend)行なうことができ、したがってヒドロキシ含有化合物の添加は、開始時には純粋な化合物(c1)と一緒に行なわれ、終結時には、純粋な化合物(c2)と一緒に行なわれる。そうこうする間に、含量(c1)は、一定にかまたは段階的に減少されてよく、含量(c2)は、相応して上昇されてよい。
【0078】
好ましい本発明による被覆物質は、二成分系の(2K)被覆物質である。これは、イソシアネート基含有成分およびイソシアネートに対して反応性の基を有する成分、殊に成分(a)および(c2)が支持体上への適用直前に初めて互いに混合され(下記参照)、次に本質的に支持体上への適用後に初めて互いに反応することを意味する。
【0079】
これとは異なり、例えばWO 03/33562の記載と同様に一成分系の接着剤物質は、適用前に長時間、互いに混合される。
【0080】
場合による化合物(d)は、イソシアネートに対して反応性の基を有するかかる化合物である。
【0081】
この場合、有利にモノオール、特に有利にアルカノール、殊に有利に1〜20個、有利に1〜12個、特に有利に1〜6個、殊に有利に1〜4個、殊に1〜2個の炭素原子を有するアルカノールが重要である。
【0082】
このための例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)、2−エチルヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールモノメチルエーテルであり、有利には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、第三ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールおよびシクロドデカノールであり、特に有利には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールおよび第三ブタノールであり、殊に有利には、メタノールおよびエタノールであり、殊にメタノールである。
【0083】
1つの好ましい実施態様において、モノオールは、記載された脂環式アルコール、有利にシクロペンタノールまたはシクロヘキサノール、特に有利にシクロヘキサノールであることができる。
【0084】
更に、好ましい実施態様において、モノオールは、6〜20個の炭素原子を有する記載された脂肪族アルコール、特に有利に8〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、殊に有利に10〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールであることができる。
【0085】
特に好ましい実施態様において、モノオールは、記載された脂肪族アルコール、特に有利に1〜4個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、殊にメタノールである。
【0086】
更に、他の選択可能な実施態様において、モノオールは、適当な開始剤分子をアルコキシル化することによって得られる、少なくとも1つの一官能価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0087】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを製造するのに適した開始剤分子は、チオール化合物、一般式
5−O−H
で示されるモノヒドロキシ化合物または一般式
57N−H
で示される第二級モノアミンであり、
上記式中、R5、R6およびR7は、それぞれ互いに独立に水素、C1〜C18−アルキル、場合によっては1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基によって中断されたC2〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール、C6〜C12−シクロアルキルまたは5〜6員の、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環を表わすか、または上記R6およびR7は、一緒になって不飽和環、飽和環または芳香環および場合によっては1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基によって中断された環を形成し、この場合記載された基は、それぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されていてよい。好ましくは、R5、R6およびR7は、互いに独立にC1〜C4−アルキル、即ちメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチルまたは第三ブチルであり、特に有利にR5、R6およびR7は、メチルである。
【0088】
例えば、適当に一価の開始剤分子は、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、異性体のメチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはテトラヒドロフルフリルアルコール、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレインアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体のクレゾールまたはメトキシフェノール、芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコールまたはケイ皮アルコール;第二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルシクロヘキシルアミンおよびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、ヘテロ環式第二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール、ならびにアミノアルコール、例えば2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、2−ジブチルアミノエタノール、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノールまたは1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノールであることができる。
【0089】
アルコキシル化反応に適した酸化アルキレンは、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化イソブチレン、ビニルオキシランおよび/または酸化スチレンであり、これらは、任意の順序で使用されてもよいし、アルコキシル化反応の場合には、混合物で使用されてもよい。
【0090】
好ましい酸化アルキレンは、酸化エチレン、酸化プロピレンおよびそれらの混合物であり、特に有利には、酸化エチレンである。
【0091】
好ましいポリエーテルアルコールは、ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを基礎とするものであり、その製造の場合には、上記種類の脂肪族または脂環式飽和アルコールを開始剤分子として使用した。特に好ましくは、ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを基礎とするものであり、これは、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する脂肪族飽和アルコールを使用して製造された。殊に好ましいのは、メタノール上で開始されたポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0092】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、統計学的平均で一般に1分子当たり少なくとも2個の酸化アルキレン単位、有利に5個の酸化アルキレン単位を有し、特に有利には、少なくとも7個、殊に有利に少なくとも10個、殊に少なくとも15個の酸化アルキレン単位を有する。
【0093】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、統計学的平均で一般に1分子当たり50個まで、有利に45個まで、特に有利に40個まで、殊に有利に30個までの酸化アルキレン単位、有利に酸化エチレン単位を有する。
【0094】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールの分子量は、有利に4000g/molまで、特に有利に2000g/mol以下、殊に有利に500g/mol以上、殊に1000±200g/molである。
【0095】
従って、好ましいポリエーテルアルコールは、式。
5−O−[−X1−]k−H
[式中、
5は、上記の意味を有し、
kは、5〜40、有利に7〜45、特に有利に10〜40の整数を表わし、および
全てのXiは、i=1〜kを表わし、互いに独立に基−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、ーCH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−および−CHPh−CH2−O−、有利に基−CH2−CH2−O−、ーCH2−CH(CH3)−O−および、ーCH(CH3)−CH2−O−、特に有利に−CH2−CH2−O−から選択することができ、
その際、Phは、フェニルを表わし、およびVinは、ビニルを表わす]で示される化合物である。
【0096】
更に、他の選択可能な実施態様において、モノオールは、イソシアネートに対して反応性の基および少なくとも1個の分散活性基を有する少なくとも1つの化合物である。
【0097】
このような化合物は、例えば一般式
RG−R3ーDG
〔式中、RGは、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1個の基を表わし、DGは、分散活性の少なくとも1個の基を表わし、
3は、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、脂環式または芳香族基を表わす〕によって表わされる。
【0098】
RGの例は、−OH、−SH、−NH2または−NHR4を表わし、その際R4は、R5に記載された上記の意味を有するが、しかし、そこで使用された基とは異なっていてよい。
【0099】
DGの例は、−COOH、−SO3Hまたは−PO3Hならびにこれらの陰イオン形であり、この陰イオン形には、任意の対イオンが会合されていてよく、例えばLi+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジ−イソプロピルエチルアンモニウム、ベンジルジメチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ヒドロキシエチル−ジメチルアンモニウム、ヒドロキシエチル−ジエチルアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウム、N,N′−ジメチルピペラジニウム、モルホリニウムまたはピペリジニウムである。
【0100】
3は、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,4−ブチレン、1,3−ブチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン、1,12−ドデシレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキシレンであることができる。
【0101】
好ましいのは、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、メルカプトコハク酸、グリシン、イミノ二酢酸、サルコシン、アラニン、β−アラニン、ロイシン、イソロイシン、アミノ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシピバリン酸、乳酸、ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシデカン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、エチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシヘキデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アミノナフタリンカルボン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、アミノプロパンスルホン酸、2−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸、2−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸ならびにこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩、特に有利に記載されたモノヒドロキシカルボン酸およびモノヒドロキシスルホン酸ならびにモノアミノカルボン酸およびモノアミノスルホン酸である。
【0102】
分散液を製造するために、前記の酸は、既に塩が重要でない場合には、有利にアルカリ金属塩またはアミン、好ましくは第三級アミンで部分的にかまたは完全に中和される。
【0103】
更に、他の選択可能な実施態様において、化合物(d)は、少なくとも部分的に、イソシアネートに対して反応性の基および少なくとも1個のラジカル重合可能な不飽和基を有する少なくとも1つの化合物である。
【0104】
そのための例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレートならびに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドである。好ましいのは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、3−(アクリロリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートならびに106〜238の分子量のポリエチレングリコールのモノアクリレートである。
【0105】
反応生成物は、構成成分(a)、(b)、(c)および(d)を次のような化学量論的量で反応させることによって得ることができる:
(b)NCO基0〜500モル%、有利に0〜250モル%、特に有利に1〜200モル%、殊に有利に10〜150モル%、殊に50〜100モル%((a)中のNCO基100モル%に対して)、
(c)イソシアネートに対して反応性の基50〜100モル%、有利に70〜100モル%、特に有利に70〜95モル%、殊にイソシアネートに対して反応性の基75〜95モル%((a)中のNCO基100モル%ならびに場合によっては存在する場合に(b)に対して)、
(d)イソシアネートに対して反応性の基0〜50モル%、有利に0〜30モル%、特に有利に5〜30モル%、殊にイソシアネートに対して反応性の基5〜25モル%((a)中のNCO基100モル%ならびに場合によっては存在する場合に(b)に対して)。
【0106】
一般に、イソシアネート基含有成分およびイソシアネートに対して反応性の基を有する成分は、本質的に等モル量で互いに混合され、即ちイソシアネート基含有成分は、イソシアネートに対して反応性の基を有する成分に対して5モル%以下、有利に4モル%以下、特に有利に3モル%以下、殊に有利に2モル%以下、殊に1モル%以下の過剰量または不足量で存在する。
【0107】
殊に、本発明によれば、(a)中のイソシアネート基と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基との比は、1.05未満:1、有利に1以下:1、特に有利に0.99以下:1、殊に有利に0.98以下:1、殊に0.95以下:1、特に0.9以下:1である。
【0108】
少なくとも1つの化合物(b)が存在する場合には、(a)および(b)(総和で)中のイソシアネート基と(c)および(d)(総和で)からのイソシアネートに対して反応性の基との比は、1.3以下:1、有利に1.2以下:1、特に有利に1.1以下:1、殊に有利に1.05以下:1である。
【0109】
一般に、(a)および存在する場合に(b)(総和で)中のイソシアネート基と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基との比は、少なくとも0/7:1、有利に少なくとも0.8:1、特に有利に少なくとも0.85:1である。
【0110】
更に、本発明による被覆物質は、少なくとも1つの溶剤(e)、例えば芳香族炭化水素および/または(環状)脂肪族炭化水素およびこれらの混合物、ハロゲン化された炭化水素、ケトン、エステルおよびエーテル、またはこれらの混合物を含有する。そのため、本発明による被覆物質は、接着剤材料中に使用するには好ましくない。
【0111】
好ましいのは、180℃未満、特に有利に150℃未満、殊に有利に120℃、殊に100℃未満の沸点を有する被覆物質である。
【0112】
ケトンの例は、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ヘキサノン、イソブチルメチルケトン、ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたはシクロヘプタノンである。
【0113】
エーテルの例は、ジオキサンまたはテトラヒドロフランである。エステルの例は、アルコキシアルキルカルボキシレート、例えばトリエチレングリコールアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、1−メトキシプロピル−2−アセテート、プロピレングリコールジアセテートであり、さらに2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンが使用されてもよい。
【0114】
特に、1箇所以上アルキル化されたベンゼンおよびナフタリンならびにこれらの混合物が有利である。
【0115】
芳香族炭化水素混合物として、主に芳香族C7〜C14−炭化水素を有しかつ110〜300℃の沸点範囲を有することができる芳香族炭化水素混合物、特に有利にトルエン、o−、m−またはp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレンおよびこれらを含有する混合物が有利である。
【0116】
このための例は、ExxonMobil Chemical社の商標Solvesso(登録商標)、特にSolvesso(登録商標) 100(CAS-No. 64742-95-6,主にC9〜C10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃), 150(沸点範囲約182〜207℃)および200(CAS-No. 64742-94-5)、ならびにShell社の商標Shellsol(登録商標)である。パラフィン、シクロパラフィンおよび芳香族化合物からなる炭化水素混合物は、商品名Kristalloel (例えばKristalloel 30, 沸点範囲約158〜198℃またはKristalloel 60: CAS-No. 64742-82-1)、石油ベンジン(例えば同様にCAS-No. 64742-82-1)またはソルベントナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90質量%より高く、有利に95質量%より高く、特に有利に98質量%より高く、さらに殊に有利に99質量%より高い。ナフタリンの特に低い含有量を有する炭化水素混合物を使用するのが有利である。
【0117】
トリメチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェートおよびトリエチルホスフェートまたはこれらの化合物の任意の混合物を使用することも考えられる。
【0118】
本発明による被覆物質が親水性側鎖によって乳化可能である場合には、水を溶剤として考えることもできる。
【0119】
溶剤は、一般に70質量%以下、有利に66質量%以下、特に有利に50質量%以下、殊に有利に40質量%以下、殊に30質量%以下、特に20質量%以下が本発明による被覆物質中に含有されている。
【0120】
被覆物質の粘度は、溶剤を用いて望ましい適用技術の要件に適合され、したがって1つの適用は、130℃以下の温度、有利に100℃未満、特に有利に80℃未満、殊に有利に60℃未満、殊に室温で可能である。
【0121】
本発明による被覆物質の粘度は、溶剤を添加することによって23℃の温度で20〜10000mPas、有利に25mPas〜5000mPas、特に有利に30mPas〜2000mPas、殊に有利に30〜1000mPasのDIN ISO 3219に記載の粘度に調節される。
【0122】
更に、本発明による被覆物質中には、他の塗料添加剤、例えば酸化防止剤、安定剤、活性剤(促進剤)、充填剤、顔料、着色剤、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤またはキレート化剤が含有されていてよい。
【0123】
増粘剤としては、ラジカル(共)重合した(共)重合体と共に、通常のの有機増粘剤および無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはベントナイトがこれに該当する。
【0124】
キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン酢酸およびその塩ならびにβ−ジケトンが使用されてよい。
【0125】
好適な充填剤には、ケイ酸塩、例えば四塩化ケイ素の加水分解によって得られたケイ酸塩、例えばFa.Degussa社のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。
【0126】
好適な安定剤には、典型的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジンおよびベンゾトリアゾール(ベンゾトリアゾールは、Ciba−Spezialitaetenchemie社の商標Tinuvin(登録商標)として入手できる)ならびにベンゾフェノンが含まれる。前記の安定剤は、単独でかまたは好適なラジカル捕捉剤、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジンまたはその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシネートと一緒に使用してよい。安定剤は、通常、この調製物中に含まれる固体成分に対して0.1〜5.0質量%の量で使用される。
【0127】
本発明による被覆物質は、種々の支持体、例えば木材、化粧張り木材、紙、ボール紙、厚紙、織物、皮革、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物質建築材料、金属または被覆された金属、有利に木材、プラスチック表面、金属および被覆された金属、特に有利に木材および被覆された金属、殊に有利に木材の被覆に使用されてよい。
【0128】
1つの好ましい実施態様において、被覆物質は、クリヤーラッカー中で、僅かな強度の照明に晒されるにすぎない紙表面または木材表面の被覆、有利に寄木張りの床、家具、室内設備(Inneneinrichtungsgegenstaenden)または積層品の被覆に使用される。
【0129】
本発明にかかる被覆物質での支持体の被覆は、当業者に知られた常用の方法により実施し、その際、本発明による被覆物質または該被覆物質を含有する塗料配合物を、被覆されるべき支持体上に所望の厚さで施与し、そして場合により乾燥させる。この工程は、所望に応じて、1回または複数回に亘って繰り返して行ってよい。支持体上への施与は、公知の方法で、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、注型、積層、背面射出成形または同時押出によって行なうことができる。この被覆の厚さは、一般に、約3g/m2〜約1000g/m2、特に10〜200g/m2の範囲内である。
【0130】
更に、本発明の好ましい対象は、支持体を被覆する方法であり、この場合イソシアネート基含有成分およびイソシアネートに対して反応性の基を有する成分ならびに場合によっては別の塗料添加剤は、互いに混合され、12時間以下、有利に10時間以下、特に有利に9時間以下の時間で混合後に支持体上に施こされ、引続き乾燥され、および硬化される。
【0131】
本明細書中で乾燥とは、支持体上に施こされた被覆物質(被膜)の表面上にダストがもはや付着しない状態のままであることと理解される。本発明による系のためには、乾燥時間は、通常、8時間までまたは4時間まで、有利に120分まで、特に有利に90分まで、殊に有利に60分まで、殊に45分まで、特に30分まで、むしろ20分までである。
【0132】
これに引続き、硬化が行なわれ、80%を上廻る、有利に85%を上廻る、特に有利に90%を上廻る、殊に有利に95%を上廻る、殊に97%を上廻るイソシアネート基の変換率になるまでイソシアネート基の本質的に完全な変換を生じる。
【0133】
硬化は、一般に少なくとも60℃、有利に少なくとも70℃、特に有利に少なくとも80℃、殊に有利に少なくとも90℃の温度で少なくとも5分間、有利に少なくとも10分間、特に有利に少なくとも20分間、殊に有利に少なくとも30分間の時間に亘って行なわれる。
【0134】
一般に、硬化時には、温度の選択に応じて、48時間、有利に12時間まで、特に有利に6時間まで、殊に有利に2時間まで、殊に1時間までで十分である。
【0135】
例外の場合には、硬化は、よりいっそう低い温度、例えば環境温度またはそれよりさらに低い温度で数日間の著しく長い期間で行なうこともできる。
【0136】
乾燥および/または硬化は、付加的に熱処理に加えてまたはその代わりにNIR放射線によって行なうこともでき、その際、NIR放射線は、波長範囲760nm〜2,5μm、好ましくは900〜1500nmの波長範囲内の電磁線である。
【0137】
本発明による被覆物質を用いて、2,4−トルイレンジイソシアネートおよび2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)または2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)および4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)の異性体混合物を基礎とするプレポリマーを被覆物質中で代替することは、可能である。
【0138】
一般に、前記の系と比較して、モノマーの蒸留を含む、プレポリマーの費用のかかる製造を焼灼することができるという利点が存在する。
【0139】
TDIと比較して、本発明による被覆物質の利点は、2,4′−MDIがよりいっそう僅かな毒性を有し、被覆物質がよりいっそう高い可撓性を付与することにある。
【0140】
2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)および4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)の異性体混合物ならびに4,4′−MDI単独と比較して、2,4′−MDIは、よりいっそう僅かな反応性を有し、したがってよりいっそう高い選択性を有し、このことは、よりいっそう長い可使時間を結果として生じ、よりいっそう僅かなゲル形成傾向を生じるという利点を有する。その上、純粋な2,4′−MDIで形成されている塗料は、相応して異性体混合物で形成されている塗料よりも良好な硬度および純粋な4,4′−MDI異性体で形成されている塗料よりも明らかに良好な硬度を示す。
【0141】
更に、本発明による被覆物質の利点は、塗布後に急速に乾燥し、粘着することがなくなることである。この粘着することがなくなる点で、本発明による被覆物質は、WO 03/033562に記載の接着剤物質と区別される。
【0142】
本明細書中においては、使用されるppmの記載および%の記載は、特に記載がない限り、質量%および質量ppmを示す。
【0143】
次の実施例は、本発明を説明するものであるが、しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0144】
実施例
実施例1〜4
次の実施例において、少なくとも97.5%の2,4′−異性体の含量を有する純粋な2,4′−MDIを含有する本発明による被覆物質を、純粋な4,4′−MDI、2,4′−MDIと4,4′−MDIとのほぼ1:1の混合物ならびに2,4−/2,6−TDIを基礎とするよりいっそう高い官能価のポリイソシアネート(TDIプレポリマー)(BASF AG社のBasonat(登録商標)TU 75E)を含有する公知技術水準に相応する従来の被覆物質と比較した。結合剤として、ブチルアセテート中の70%の溶液としてのCytec社(早期のUCB社)のヒドロキシル基含有アクリル樹脂Macrynal(登録商標)SM636(125〜150のOH価および7000〜13000mPasの粘度を有するポリアクリレートポリオール)を使用した。被覆物質の正確な組成は、第1表中に記載されている。
【0145】
【表1】

【0146】
前記成分をルポレン容器(Lupolenbecher)中で木製へらで混合し、注型して200μmの湿式層厚の被膜に変えた。この試料を室温で4時間通風し、引続き60℃で15時間、ボンダー薄板(Bonderblech)上で硬化させた。
【0147】
それぞれ2つの塗料を、ミリメートルでのエリクセン深さを測定することにより可撓性および打撃時の振り子強度について試験した。
【0148】
【表2】

【0149】
エリクセン深さの算出は、DIN 53156の記載と同様に行なった。引続き、エリクセン深さを、金属球を押し付けることによって測定した。この値が大きければ、可撓性が大きいことを意味する。
【0150】
振り子強度をDIN 53157の記載により測定し、この場合高い値は、高い硬度を意味する。
【0151】
この結果から、試験された系の本発明による被覆物質1は塗料中で最大の硬度を示すことが明らかになる。この本発明による被覆物質は、TDIを基礎とする被膜と比較して、高められた可撓性を示す。
【0152】
実施例5〜7
もう1つの試験において、木材用被覆物質中で純粋な2,4′−MDIは、通常の架橋剤プレポリマーと比較された。この場合には、次の他の内容物質を使用した:Cytec社(早期のUCB)のMacrynal(登録商標)SM656(125〜150のOH価および7000〜13000mPasの粘度を有するポリアクリレートポリオール)、共結合剤としてのWolff Cellulosics社のジエチルヘキシルフタレート18%を有するニトロセルロースMCチップスE560、BASF社の可塑剤Acronal(登録商標)700L(エチルアセテート中のブチルアクリレートとビニルイソブチルエーテルとからなる共重合体の溶液)、沈殿防止剤およびチキソトロープ剤としてのBader & Co. GmbH社のワックス分散液Luba-Print 715/A、Degussa社の艶消剤Acematt(登録商標)OK412(1〜7μmの二次粒径を有する表面処理された珪酸)
【表3】

【0153】
Basonat(登録商標)HB175MP・X:(16〜17%のNCO含量を有する1−メトキシプロピルアセテート−2とキシレンとからなる1:1の混合物中の75%の溶液としてのヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするポリイソシアネート(ビウレット))、Desmodur(登録商標)HL BA:(10〜11%のNCO含量を有するブチルアセテート中の60%の溶液としてのトルイレンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とする芳香族−脂肪族ポリイソシアネート)、Basonat(登録商標)TU75E(12.9〜13.7%のNCO含量を有するエチルアセテート中の75%の溶液としての多官能価トルイレンジイソシアネートアダクト)。
【0154】
ダスト乾燥時間は、塗料を塗布した後に綿球で被膜上をなでた場合には、綿の糸はもはや被膜上で付着しない時間である。
【0155】
砂乾燥時間は、塗料を塗布した後に砂が砂の固有の質量によってもはや付着しない時間である。
【0156】
十分な乾燥時間は、塗料を塗布した後に被膜が完全に乾燥するまでの時間であり、この被膜上でキャスターを緩徐に走行させた際にキャスターはもはや裂傷を形成させない。
【0157】
本発明による被覆物質は、公知技術水準に相応するように比較可能な乾燥時間および振り子硬度(60℃で15時間の処理後に測定した)を示す。
【0158】
実施例8〜10:
更に、試験において、被膜の形成前に2,4′−MDIプレポリマーを製造し、TDIを基礎とするプレポリマーと比較した。
【0159】
このために、純粋な2,4′−MDI347gをブチルアセテート271g(実施例9)またはアセトン407g(実施例10)中のトリメチルプロパン60g(モル比3:1)と室温で反応させた。次に、このプレポリマーを他の結合剤で加工し、被覆物質に変えた。この被覆物質の正確な組成は、第2表中に記載されている。この場合には、本明細書中に前記された物質と共に次の助剤が使用された:BYK社の分散剤Disperbyk(登録商標)110(酸基を有する共重合体、メトキシプロピルアセテート/アルキルベンゼン中で52%)、Titangesellschaft mbH社の沈殿防止剤および浮遊防止剤Bentone(登録商標)27、Kronos社の二酸化チタンKronos 2057、Baerlocher GmbH社の研磨剤および艶消剤Baerolub(登録商標)(10〜20の酸価を有する複合脂肪酸アミド)、Omya社の充填剤炭酸カルシウムOmyacarb 5、Omya社の珪酸マグネシウム水和物タルク、Sachtleben Chemie社の硫化亜鉛/硫酸バリウムを基礎とする無機白色顔料Lithopone D。
【0160】
【表4】

【0161】
Basonat(登録商標)MP/X(11.5〜12.3%のNCO含量を有する、1−メトキシプロピルアセテート−2とキシレンとからなる1:1の混合物中の67%の溶液としての多官能価トルイレンジイソシアネートアダクト)。ゲル化時間は、被覆物質が容器中でゲル化した時間である。このゲル化時間を測定するために、端部約5mmが直角に曲げられた溶接棒を、試料を有する試験管内に浸漬し、垂直運動で上下に運動させる。前記物質の粘度が、溶接棒をもはや自由に運動させることができずに試験管を引きずる状態の場合に、ゲル化時間は、達成される。
【0162】
更に、第2表中には、試験結果が記載されている。本発明による被膜9および10は、TDIプレポリマーを基礎とする従来の塗料と比較して、明らかに良好な乾燥時間および可使時間で比較可能な振り子硬度およびダスト乾燥時間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と、場合によっては2,4′−MDI異性体を少なくとも90質量%含有している2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)とからなる混合物、
(b)場合によっては少なくとも1つの別のジイソシアネートまたはポリイソシアネート、
(c)イソシアネートに対して反応性の少なくとも2個の基11を有する少なくとも1つの化合物、
(d)場合によってはイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1つの他の化合物、
(e)少なくとも1つの溶剤を含有し、
この場合、(a)中のイソシアネート基と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基(総和で)との比は、1.05未満:1であり、少なくとも1つの化合物(b)が存在する場合には、(a)および(b)中のイソシアネート基(総和で)と(c)および(d)からのイソシアネートに対して反応性の基(総和で)との比は、1.3以下:1である被覆物質。
【請求項2】
成分(c)がポリエステロール、ポリエーテロールおよびポリアクリレートポリオールからなる群から選択されている、請求項1記載の被覆物質。
【請求項3】
成分(a)として、2,4′−MDIと少なくとも1つのn価のジオールまたはポリオール(c1)、但し、この場合nは、2〜6の値を取ることができるものとし、との反応によるイソシアネート基含有ウレタンを少なくとも部分的に使用する、請求項1または2記載の被覆物質。
【請求項4】
nは、3〜6の値を取る、請求項3記載の被覆物質。
【請求項5】
n価のジオールまたはポリオール(C1)は、400g/molまでの分子量を有する、請求項3または4記載の被覆物質。
【請求項6】
少なくとも1つの成分(b)が存在する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の被覆物質。
【請求項7】
成分(a)が少なくとも部分的にモノマー2,4′−MDIを含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の被覆物質。
【請求項8】
成分(d)が少なくとも部分的に式
5−O−[−Xi−]k−H
〔式中、R5は、上記の意味を有し、kは、5〜40、有利に7〜45、特に有利に10〜40の整数を表わし、全てのXiは、i=1〜kを表わし、互いに独立に基−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−および−CHPh−CH2−O−、有利に基−CH2−CH2−O−、ーCH2−CH(CH3)−O−および、ーCH(CH3)−CH2−O−、特に有利に−CH2−CH2−O−から選択することができ、
その際、Phは、フェニルを表わし、およびVinは、ビニルを表わす〕で示されるポリエーテルアルコールである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆物質。
【請求項9】
成分(d)が少なくとも部分的に式
RG−R3−DG
〔式中、RGは、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1個の基を表わし、DGは、分散活性の少なくとも1個の基を表わし、
3は、1〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、脂環式または芳香族基を表わす〕で示される化合物である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆物質。
【請求項10】
成分(d)は、少なくとも部分的に、イソシアネートに対して反応性の基および少なくとも1個のラジカル重合可能な不飽和基を有する少なくとも1つの化合物である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の被覆物質。
【請求項11】
成分(d)が少なくとも部分的に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレートならびに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドまたは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドである、請求項10記載の被覆物質。
【請求項12】

【化1】

[式中、
nは、3〜6の正の整数を表わし、
Rは、n個のヒドロキシ基の考えられる抽象化によってn価のアルコールから誘導されるn価の有機基を表わす]で示されるポリウレタン。
【請求項13】
n価のアルコールは、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)からなる群から選択されている、請求項12記載の被覆物質。
【請求項14】
2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質を製造する方法において、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と場合によっては2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンとからなる混合物を少なくとも1つの溶剤中に装入し、そのために少なくとも1つのn価のジオールまたはポリオール(c1)、但し、この場合nは、2〜6の値を取ることができるものとし、を添加し、同時にかまたは次に少なくとも1つの結合剤(c2)を添加することにより、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンを含有する被覆物質を製造する方法。
【請求項15】
支持体を被覆する方法において、イソシアネート基含有成分およびイソシアネートに対して反応性の基を有する成分ならびに場合によっては別の塗料添加剤を、互いに混合し、請求項1から11までのいずれか1項に記載の被覆物質に変え、12時間以下の時間で混合後に支持体上に施こし、引続き乾燥させ、および硬化させることを特徴とする、支持体を被覆する方法。
【請求項16】
木材、化粧張り木材、紙、ボール紙、厚紙、織物、皮革、フリース、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物質建築材料、金属または被覆された金属を被覆するための被覆物質中への、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と、ならびに場合によっては2,4′−MDI異性体を少なくとも90質量%含有している2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)とからなる混合物の使用。
【請求項17】
紙表面または木材表面を被覆するためのクリヤーラッカー中への、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)と、ならびに場合によっては2,4′−MDI異性体を少なくとも90質量%含有している2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)とからなる混合物の使用。

【公表番号】特表2009−501244(P2009−501244A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518797(P2008−518797)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063492
【国際公開番号】WO2007/000415
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】