説明

2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法

【課題】α−メチルスチレンの二量化方法であって、高選択率で2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを得ることができる方法を提供する。
【解決手段】α−メチルスチレンを、(A)強酸性イオン交換樹脂触媒と、(B)線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤との存在下に反応させる2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法に関する。
さらに詳しくは、α−メチルスチレンを、強酸性イオン交換樹脂触媒と、線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤の存在下に反応させる2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法に関する。
【0002】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンは主としてラジカル重合によりSBR、ABS樹脂等を製造する際の分子量調節剤として用いられる。
【背景技術】
【0003】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンは、硫酸、p−トルエンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂や活性白土を触媒としてα−メチルスチレンを二量化することにより製造できることが知られている。
その際、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンのほかに、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン及び数種の三量体が副生する。
【0004】
酸触媒を用いるα−メチルスチレンの二量化反応生成物である2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率を高めるために種々の方法が開示されている。
【0005】
例えば、α−アルキルスチレン類を、固体酸又は陽イオン交換樹脂触媒の存在下反応せしめてα−アルキルスチレン類の不飽和二量体を製造する方法において、反応系に水、二価アルコール又は多価アルコールよりなる群から選ばれた化合物を存在させることを特徴とするα−アルキルスチレン類の不飽和二量体の製造方法が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、陽イオン交換樹脂触媒を用いた場合(実施例5)、二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率は72/(72+10)=87.8%と低い欠点がある。
【0006】
α−メチルスチレン類を、白土類触媒及び二価アルコールを白土類触媒対二価アルコールの重量比が0.007〜1.0となる割合で存在させて反応せしめることを特徴とする2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造方法が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
触媒としてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用い、且つ反応系内に炭素数2乃至5の範囲の第1級又は第2級1価アルコールを共存せしめ、20乃至100℃の温度範囲で、α−メチルスチレン類を二量化せしめることを特徴とするα−メチルスチレン類の不飽和二量体の製造方法が記載されている(例えば、特許文献3参照。)。該公報の実施例には1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンは生成せず、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率は95〜97%と記載されている。しかし、追試(後述の比較例1)しても再現できない。
【0008】
活性白土や酸性白土を触媒とする場合に2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを高選択率で製造する方法として、脂肪族単一エーテル、脂肪族混成エーテル、及び環式エーテルから選んだ一種以上の有機化合物の存在下で反応させることを特徴とする方法(例えば、特許文献4参照。)、セロソルブを共存させることを特徴とする方法(例えば、特許文献5参照。)、一般式
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、R、Rは水素又はメチル基であり、nは2又は3の数である)
で表される助触媒の存在下で反応させることを特徴とする方法(例えば、特許文献6参照。)の記載がある。
【0009】
また、酸触媒の存在下、分子内に孤立電子対を有する物質を反応調節作用化合物として添加することを特徴とする方法であって、分子内に孤立電子対を有する物質が、カルボン酸類又はその無水物、スルホン酸、チオフェン類、ニトリル類、環状エステル類の一種、あるいは二種以上の組み合わせであることを特徴とする不飽和二量体の製造方法が記載されている(例えば、特許文献7参照。)。しかし、二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率については述べられていない。
【0010】
【特許文献1】特公昭49−32845号公報
【特許文献2】特開平5−70378号公報
【特許文献3】特公昭52−31866号公報
【特許文献4】特開昭57−62228号公報
【特許文献5】特開昭59−190927号公報
【特許文献6】特開昭63−192727号公報
【特許文献7】特開昭59−204139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンは主にラジカル重合の分子量調節剤として使用されている。酸触媒の存在下にα−メチルスチレンの二量化体である2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを製造する際に副生する2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン及び数種の三量体のうち、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンと1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンは2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと沸点が近いため、反応液から2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを回収率よく取り出すことは難しい。
2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンはラジカル重合反応の分子量調節作用が弱く、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンにはまったくその作用がない。これらはラジカル重合反応には関係せず未反応物として重合ポリマー中に残り、ポリマーの物性に悪影響をもたらす。
従って、できるだけ、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンが少なくなる二量化反応条件を見出すことが重要となる。
しかし、従来の技術では二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率が十分に高いとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、α−メチルスチレンを強酸性イオン交換樹脂触媒と、線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤との存在下に反応させることにより、高選択率で2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンが得られることを見出し、本発明に至った。
【0013】
即ち、本発明は、α−メチルスチレンを、(A)強酸性イオン交換樹脂触媒と、(B)線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤との存在下に反応させることを特徴とする2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法に関する。
【0014】
本発明は、また、線状ポリエーテル化合物がジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン及び1,2−ジエトキシエタンからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする上記の方法に関する。
【0015】
本発明は、また、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物が1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール及びテトラヒドロフルフリルアルコールからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする上記の方法に関する。
【0016】
本発明は、また、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物が乳酸メチル及び乳酸エチルからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする上記の方法に関する。
【0017】
本発明は、また、分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物が1−アセトキシ−2−エトキシエタン、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、2−アセトキシ−1−エトキシプロパン、1−アセトキシ−3−メトキシブタン及び酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチルからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする上記の方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、α−メチルスチレンから2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを高い選択率で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
α−メチルスチレンの二量化反応の生成物は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン及び1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンの三種である。このほかに数種の三量体が生成する。本発明はこれらのうちの2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを高選択率で製造する方法である。
【0020】
本発明で使用する触媒は、強酸性イオン交換樹脂であれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸型の強酸性イオン交換樹脂が挙げられる。スルホン酸型の強酸性イオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有する強酸性イオン交換樹脂であればよく、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を導入したスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、架橋スチレン重合体にスルホン酸基を導入したスルホン化架橋スチレン重合体、フェノールホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂などを挙げることができる。強酸性イオン交換樹脂は、ゲル型でも多孔質型でもよい。スルホン酸型強酸性イオン交換樹脂触媒の具体例としては、例えば、アンバーリストIR−15(商品名、オルガノ株式会社製)、ダウエキス50WX(商品名、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明では、上記の(A)強酸性イオン交換樹脂触媒と、(B)線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤(以下、(B)の添加剤を、単に添加剤(B)と呼ぶことがある。)との存在下に、α−メチルスチレンを反応させる。添加剤(B)は、上記各種の化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
添加剤(B)のうち、線状ポリエーテル化合物としては、例えば、下記一般式(1)
【化2】

(式中、R4及びR6は、各々独立に、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは炭素数1〜2の直鎖アルキル基を表し、R5は、メチレン基、炭素数2〜4、好ましくは2〜3の直鎖若しくは分岐アルキレン基又は炭素数2〜6、好ましくは2〜4の直鎖若しくは分岐アルキリデン基を表し、xは1〜4、好ましくは1〜2の整数を表す。)
で表される化合物が挙げられる。R5の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、イソブチリデン基等が挙げられる。また、線状ポリエーテル化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等が挙げられる。
【0023】
添加剤(B)のうち、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物としては、例えば、下記一般式(2)
【化3】

(式中、R7は炭素数1〜4、好ましくは1〜3の直鎖又は分岐アルキル基を表し、R8は炭素数2〜6、好ましくは2〜4の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、yは1〜3、好ましくは1〜2の整数を表す。)
及び下記式(3)
【0024】
【化4】

で表される化合物が挙げられる。一般式(2)において、R8が表すアルキレン基は、特に分岐アルキレン基であることが好ましく、例えば、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基等が好ましい。また、一般式(2)において、yは1であることが特に好ましい。分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物の具体例としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。
【0025】
添加剤(B)のうち、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物としては、例えば、下記一般式(4)
【化5】

(式中、R9は、メチレン基、炭素数2〜10、好ましくは2〜3の直鎖若しくは分岐アルキレン基又は炭素数2〜10、好ましくは2〜3の直鎖若しくは分岐アルキリデン基を表し、R10は、炭素数1〜4、好ましくは1〜2の直鎖又は分岐アルキル基を表す。)
で表される化合物が挙げられる。R9の具体例としては、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物の具体例としては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
【0026】
添加剤(B)のうち、分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物としては、例えば、下記一般式(5)
【化6】

(式中、R11及びR13は、各々独立に、炭素数1〜4、好ましくは1〜2の直鎖アルキル基を表し、R12は、炭素数2〜4、好ましくは2〜3の直鎖若しくは分岐アルキレン基を表し、zは、1〜3、好ましくは1の整数を表す。)
で表される化合物が挙げられる。R12の具体例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基等が挙げられる。分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物の具体例としては、例えば、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、1−アセトキシ−2−エトキシエタン、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、2−アセトキシ−1−エトキシプロパン、1−アセトキシ−3−メトキシブタン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル等が挙げられる。
【0027】
また、必要に応じて、上記添加剤(B)に加えて、他の添加剤、例えば少量の水を共存させてもよい。
【0028】
強酸性イオン交換樹脂触媒(A)の使用量は、α−メチルスチレン100重量部に対して0.2〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることがより好ましい。強酸性イオン交換樹脂触媒(A)の使用量が0.2重量部未満であると、二量化反応の進行が不十分となる傾向があり、10重量部を超えると、反応が速くなりすぎて、反応温度の制御が困難となる傾向がある。
【0029】
添加剤(B)の使用量は、α−メチルスチレン100重量部に対し、0.1〜100重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.2〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部とすることが好ましい。添加剤(B)の使用量が0.1重量部未満であると、添加剤(B)としての効果、即ち、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの選択率の向上効果が不十分となる傾向があり、100重量部を超えると、反応速度が極端に遅くなる傾向がある。
【0030】
反応は0〜100℃で行なうことが好ましく、20〜80℃で行うことがより好ましい。反応開始後、3〜8時間でα−メチルスチレンの転換率が80%に達するように温度を調節することが好ましい。
【0031】
一般に、α−メチルスチレン二量化反応の初期(転化率<50%)では二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン選択率は高いので、その段階で反応を止めて反応液を蒸留すれば、二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを回収率よく取り出すことは可能である。しかし、単位あたりの2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを取得するために要する反応操作、蒸留操作の回数が多くなるため、コストは高くなる。
【0032】
一方、α−メチルスチレン二量化反応の転化率が約50%を超えると、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンから2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンへの異性化が生じるため、二量体中の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン選択率は徐々に低下し、特に転化率が約80%を超えると選択率は急激に低下する。
従って、転化率が約80%に達した時点で反応を止めて、反応液を蒸留し、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを回収することが好ましい。
【0033】
本発明の方法によれば、通常、反応が約80%進行した時点(未反応のα−メチルスチレンが約20%)で、生成する二量体の92〜94%が2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンとなる。
反応後、触媒を除去(ろ過)した液を精密蒸留装置にかけて高純度の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを得ることができる。回収した触媒や未反応のα−メチルスチレン、添加剤は再使用できる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
200ml三口フラスコにアンバーリストIR−15(オルガノ株式会社製、スルホン酸型陽イオン交換樹脂、無水)1.00gとジエチレングリコールジメチルエーテル5ml(4.7g)を入れ、樹脂をジエチレングリコールジメチルエーテルとよくなじませた後、α−メチルスチレン50.0gを加え、41℃で6時間反応させた。ガスクロマトグラフを用いて反応液の組成を分析し、未反応のα−メチルスチレン量、各反応生成物の量を求め、原料のα−メチルスチレン量に対する割合(100分率)を算出した。
結果を表1に示す。
【0036】
[実施例2]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに1,2−ジメトキシエタン5ml(4.4g)を用い、反応温度を30℃に、反応時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0037】
[実施例3]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに1−メトキシ−2−プロパノール5ml(4.6g)を用い、反応温度を55℃に、反応時間を6.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0038】
[実施例4]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりにテトラヒドロフルフリルアルコール2ml(2.1g)を用い、反応温度を48℃に、反応時間を7時間に変更した以外は、実施例1と同様にして反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0039】
[実施例5]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに乳酸エチル5ml(5.2g)を用い、反応温度を25℃に、反応時間を4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0040】
[実施例6]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに1−アセトキシ−2−エトキシエタン20ml(19.4g)を用い、反応温度を25℃に、反応時間を6.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
特公昭52−31866号公報の実施例に従ってα−メチルスチレン50.0gとn−ブタノール1.0gの混合液にアンバーリストIR−15(オルガノ株式会社製、スルホン酸型陽イオン交換樹脂、無水)1.00gを加え、60℃で1時間反応させた。反応液の組成分析を実施例1と同様にして行なった。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例2]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに特開昭57−62228号公報に記載のジオキサン5ml(5.2g)を用い、反応温度を48℃、反応時間を2時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例3]
ジエチレングリコールジメチルエーテルの代わりに特公昭49−32845号公報に記載のジエチレングリコール1ml(1.12g)を用い、反応温度を95℃、反応時間を6.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応及び反応液の組成分析を行なった。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
AMSはα−メチルスチレンを表す。
P−1は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを表す。
P−2は2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンを表す。
INは1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンを表す。
P−1選択率は二量体(P−1、P−2、IN)中のP−1(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)の割合を表す。
【0046】
表1から、比較例1〜3に用いた第1級アルコールのn−ブタノール、環式エーテルのジオキサンや二価アルコールであるジエチレングリコールと比較して、本発明の添加剤(B)の線状ポリエーテルであるジエチレングリコールジメチルエーテルや1,2−ジメトキシエタン、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物である1−メトキシ−2−プロパノールやテトラヒドロフルフリルアルコール、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物である乳酸エチル、及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物である1−アセトキシ−2−エトキシエタンを用いた方が、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(P−1)の選択率が高いことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−メチルスチレンを、(A)強酸性イオン交換樹脂触媒と、(B)線状ポリエーテル化合物、分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物、分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物及び分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物から選ばれた添加剤との存在下に反応させることを特徴とする2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの製造法。
【請求項2】
線状ポリエーテル化合物がジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン及び1,2−ジエトキシエタンからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分子内にヒドロキシル基とエーテル結合を有する化合物が1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール及びテトラヒドロフルフリルアルコールからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
分子内にヒドロキシル基とエステル結合を有する化合物が乳酸メチル及び乳酸エチルからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分子内にエステル結合とエーテル結合を有する化合物が1−アセトキシ−2−エトキシエタン、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、2−アセトキシ−1−エトキシプロパン、1−アセトキシ−3−メトキシブタン及び酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチルからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2008−222669(P2008−222669A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66329(P2007−66329)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000166465)五井化成株式会社 (3)
【Fターム(参考)】