説明

2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法および感熱記録体

【課題】貯蔵安定性に優れた2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーが提供できる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法及びこの方法により得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを用いた地肌かぶりの少ない、発色性及び記録像の保存性に優れた感熱記録体の提供。
【解決手段】2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び感熱記録体用増感剤を混合し、加熱溶解後、冷却し、結晶化させることにより、組成物(A)を製造する製造工程と、組成物(A)を水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法およびこの製造方法により得られる水性スラリーを含む感熱記録層を有する感熱記録体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法および感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
染料前駆体と顕色剤という発色物質を加熱により溶融接触反応させて記録像を得る感熱記録体は広く知られている。
このような感熱記録体は、比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、かつその保守も容易であるため、ファクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、及びその他の用途の記録媒体として、幅広い分野で使用されている。
【0003】
感熱記録材料も研究が進んでおり、顕色剤としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−フェニルスルホンがよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
この顕色剤を使用した感熱記録体は、地肌かぶり(地肌が発色物質によって汚れる現象)が少なく、かつ発色性に優れる。しかしながら、記録像の保存性、特に耐薬品性、例えば耐可塑剤性、耐油性等についてさらに改良が求められている。
【0004】
そこで、特許文献2及び特許文献3には、顕色剤として、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを用いた感熱記録体が記載されている。
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールは、発色性及び記録像の安定性には優れるものの、その水性スラリーは、貯蔵(保管)中に2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールが水和化して分散破壊(乳化破壊)を惹起するという問題がある。分散破壊した水性スラリーを顕色剤として使用した感熱記録体は、地肌かぶりが生じる。
【0005】
そこで、特許文献2には、その対策として、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールに水和防止剤として{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネートを併用する技術が記載されている。
特許文献3には、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールに2,4−ビス(フェニルスルホニル)アニリンを併用する技術が記載されている。
【特許文献1】特公平3−54655号公報
【特許文献2】特開平9−227502号公報
【特許文献3】特開平11−279141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された技術においては、上記2つの物質を水に分散させてなる併用スラリーは、その貯蔵安定性については、まだ満足出来るものではない。
また、特許文献3に記載の技術においては、2,4−ビス(フェニルスルホニル)アニリンは高価であり、コストアップに繋がる難点があり、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの貯蔵安定性を向上させることができる他の手段が求められている。
【0007】
本発明は、従来とは異なる方法であって、貯蔵安定性に優れた2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーが提供できる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法及びこの方法により得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを用いた、地肌かぶりの少ない、発色性及び記録像の保存性に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明においては以下の手段を提案する。
第1の態様は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び感熱記録体用増感剤を混合し、加熱溶解後、冷却し、結晶化させることにより、組成物(A)を製造する製造工程と、
この組成物(A)を水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法である。
前記感熱記録体用増感剤は、ジフェニルスルホン、β−ナフチルべンジルエーテル、ステアリン酸アミド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、m−ターフェニル、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、4−ベンジルビフェニル及びシュウ酸ジ−p−クロルベンジルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。なお、ステアリン酸アミドは滑剤としての機能も有する。
また、前記製造工程において、加熱溶解後、50〜90℃で冷却し、結晶化させることが好ましい。
また、前記湿式粉砕工程において、得られる水性スラリー中の粒子の平均粒子径が0.5〜3.0μmとなるように粉砕することが好ましい。
【0009】
第2の態様の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法は、予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤
の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする。
このとき、前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水和化を進行させることにより、水和化率80%以上の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを製造することが好ましい。
【0010】
第3の態様の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有する2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法であって、
前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水和化率80%以上になるまで水和化させることを特徴とする。
【0011】
第4の態様は、支持体と、この支持体の上に積層された感熱記録層を有する感熱記録体において、
前記感熱記録層は、本発明の製造方法によって得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを含むことを特徴とする感熱記録体である。
前記感熱記録層は、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、及び3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオランから選ばれる少なくとも1種である染料前駆体を含むことが好ましい。
また、前記感熱記録層は、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種の耐水性改良剤を含むことが好ましい。
また、前記感熱記録層の上に積層した保護層を有し、この保護層はアセトアセチル変成ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール及びケイ素変成ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の成膜性接着剤を含むことが好ましい。
さらに、前記感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カオリン、結晶性シリカ、非晶性シリカ及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが好ましい。
【0012】
また、前記感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、金属石鹸、モンタンワックス、カルナバワックス及びステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種の滑剤を含むことが好ましい。
また、前記感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
また、前記感熱記録層と前記支持体との間に、顔料と接着剤を含む下塗り層を有することが好ましい。
また、前記顔料は、JIS−K−5101による吸油量が70〜800ml/100gである吸油性顔料及び/または有機中空粒子状顔料であることが好ましい。
また、前記支持体の前記感熱記録層が積層されていない側の面上に、粘着剤層が積層されていることが好ましい。
【0013】
なお、本明細書及び明細書において、「平均粒子径」はレーザー回折散乱法により測定する値である。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、貯蔵安定性に優れた2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーが得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法及びこの方法により得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを用いた、地肌かぶりの少ない、発色性及び記録像の保存性に優れた
感熱記録体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<水性スラリーの製造方法>
上述の様に、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリー(以下、「水性スラリー」と略記することがある)においては、貯蔵中に2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールが水和化すると、分散破壊が生じる。
【0016】
なお、貯蔵安定性を評価する方法として、特許文献2の段落[0090]には、「実施例19〜32で得られた顕色剤分散液を40℃で30日間保存し、分散液の外観を肉眼で観察した結果、異常を認められなかった・・・」と記載されている。
しかし、この肉眼観察法のみでは、少量の水和化物は看過される可能性がある。
そこで、本発明者は、特許文献2に記載の実施例をトレースすることによって得られる40℃、30日保存後の水性スラリーを20℃で減圧乾燥した後、粉体化したものについて、示差熱分析器((株)島津製作所製 商品名「THERMAL ANALYZER DT−30」)により、結晶水の含有量を科学的に調べ、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール374g(1mol)が結晶水18g(1mol)を含有するときの状態を水和化率100%(質量%)として、水性スラリーの水和化率を算出した。
なお、「水和化率」は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール1モルに水1モルが結合しているとき、水和化率100%として規定する値である。例えば2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール1モルに水0.5モルが結合しているとき、水和化率は50%である。水和化率は上述の様に熱分析により確認することができる。
その結果、肉眼観察法では異常は見受けられないものの、示差熱分析器にて測定、分析すると(以下示唆熱分析器での測定、分析を「熱分析」と略記する。)、これら実施例の水性スラリーの水和化率はいずれも30%であった。したがって、この水性スラリーを用いた感熱記録体において生じる地肌かぶりはこの様に肉眼で観察できない水和化によって引き起こされており、改善する必要があることがわかった。
【0017】
そこで、本発明者は、水性スラリーの貯蔵安定性を向上させるには、(1)出来るだけ水和化され難くする、あるいは(2)逆に予め水性スラリー製造までの間(粒子を分散させた状態とするまでの間)に水和化させておけば、水性スラリーの状態変化が起きず、分散破壊が生じないという観点から、検討を行い、本発明を完成させた。
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び感熱記録体用増感剤を混合し、加熱溶解後、冷却し、結晶化させることにより、組成物(A)を製造する製造工程と、
この組成物(A)を水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする。
この方法で得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーにおいては、貯蔵中の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水和化を抑制することができる。その結果、水性スラリーの貯蔵安定性が向上する。好ましくは、40℃で30日間貯蔵後、肉眼観察では水性スラリーに異常は見られないことは言うまでもなく、驚くことに好適には水和化率0%という結果が得られる。
以下、手順を追って説明する。
【0019】
まず、組成物(A)を製造する。
この製造工程においては、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び感熱記録体用増感剤(以下、「増感剤」と略記することがある)を混合し、加熱溶解後、冷却し、結晶化させることにより、組成物(A)を得る。
{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネートは、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール100質量%に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で用いる。下限値以上であることにより水性スラリーの貯蔵安定性が向上し、上限値以下とすることは、経済性の点から好ましい。
【0020】
増感剤は、感熱記録体用材料として用いられているものであれば特に限定することなく用いることができる。中でも、加熱溶解を行う際の温度条件設定の簡便さ等の点から、融点が80℃〜150℃の物質(融点以上の温度条件で加熱すると溶融し、液状になる熱可溶性物質)が好ましく、より好ましくはこの条件を満足する含窒素化合物、エステル化合物(エステル結合を有する化合物)、炭化水素化合物、エーテル化合物(エーテル結合を有する化合物)、スルホン化合物(スルホン基を有する化合物)等が挙げられる。
中でも、ジフェニルスルホン、β−ナフチルべンジルエーテル、ステアリン酸アミド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、m−ターフェニル、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、4−ベンジルビフェニル及びシュウ酸ジ−p−クロルベンジルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0021】
増感剤の使用量は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール(100質量%)に対して好ましくは10〜400質量%、より好ましくは30〜200質量%程度である。下限値以上にすることにより、効果が向上し、上限値以下にすることにより、経済的に有利である。
【0022】
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び増感剤を混合し、加熱溶解する際の温度条件は、これら3成分の融点以上の温度であればよく、例えば80〜170℃程度である。
そして、好ましくは得られた溶解物を50〜90℃に保温された雰囲気下に置かれたバット等の容器に流し込むことにより冷却し、同温度条件で結晶を生成させ、さらに生成した結晶を成長させる。この好ましい温度条件にて冷却し、結晶化させることにより、結晶を充分に成長させることができる。
【0023】
ついで、この様にして得られた組成物(A)を水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する。
湿式粉砕は、例えば公知の感熱記録材料の水性スラリーの製造方法により製造することができ、特殊な方法を採用しなくてもよい。
例えば、組成物(A)を、水及び分散剤、これに好ましくは界面活性剤、消泡剤等を含む水性媒体中に投入し、ボールミル、サンドミル等の手段を用いることにより、前記組成物(A)を粉砕する。
水は、好ましくは水性スラリー中の組成物(A)の濃度が10〜70質量%、さらに好ましくは30〜60質量%となる範囲で用いる。
界面活性剤としては、特に限定するものではないが、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩等が挙げられる。
分散剤としては、特に限定するものではないが、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール(各種の鹸化度、PH及び重合度のもの)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、デンプン等が挙げられる。
分散剤は、好ましくは水性スラリー中の組成物(A)100質量%に対し0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%となる範囲で用いる。
【0024】
湿式粉砕条件は、粉砕手段等によって適宜調整可能である。
湿式粉砕時の温度条件は例えば常温(好ましくは10〜50℃)である。
また、好適には、得られる水性スラリー中の組成物(A)の粒子の平均粒子径が、好ましくは0.5〜3.0μm、より好ましくは0.8〜2.0μmとなる様に湿式粉砕の条件を調整する。0.5μm以上であることにより、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水和を引き起す傾向を抑制でき、上限値以下であることにより、感熱記録体にした際の発色性が向上する。
平均粒子径は粉砕手段や粉砕時間により変更することができる。
【0025】
[第2の実施形態]
第2の態様の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法は、予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする。
予め水和化したものを湿式粉砕することにより、水性スラリーの貯蔵時には水和化が進行しにくくなり、貯蔵安定性が向上する。
その結果、好適には40℃、30日間貯蔵後の水性スラリーにおいて、肉眼観察で異常は認められず、オリンパス(株)製 顕微鏡「BH−2」(商品名)で観察しても粒子の巨大化、及び分散破壊が生じない水性スラリーが得られる。
【0026】
予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールにおいて、その水和化率は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。80%以上水和化しておくことにより、水性スラリーの貯蔵安定性をより向上させることができる。
【0027】
水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールは、例えば以下の様にして製造することができる。
まず、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを溶解可能であり、かつ2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと反応しない有機溶媒及び水の混合溶媒に、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを加熱溶解する。有機溶媒としてはイソプロピルアルコール等を用いることができる。有機溶媒の使用量は好適には2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール100gに対して100〜500g、水の使用量は2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール100gに対して4〜100gである。そして、この溶液を冷却し、結晶を析出させる。冷却、結晶化において、温度条件は2〜60℃程度である。
ついで、この結晶を濾別して取り出し、風乾等で混合溶媒を蒸発させることにより乾燥すると、水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールが得られる。
例えば、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール100g、イソプロピルアルコール200g、水200gを80℃に加熱して加熱溶解し、15℃まで、3時間かけて冷却し、析出する結晶を濾別し、風乾等により乾燥すると、水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールが得られる。
このときの水和化率は、粉砕時間、粉砕温度、粉砕メヂア径等によって調整することができる。
【0028】
湿式粉砕方法は第1の実施形態と同様にして行うことができる。
湿式粉砕工程において、水は、予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの濃度が10〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲になる様に用いることが好ましい。
湿式粉砕は、第1の実施形態と同様、例えば公知の感熱記録材料の水性スラリーの製造方法により製造することができ、特殊な方法を採用しなくてもよい。
この湿式粉砕工程においては、必要に応じて2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水和化を進行させることにより、好ましくは水和化率80%以上、さらに好ましくは水和化率90%以上の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを製造する。この範囲まで水和化させることにより、水性スラリーの貯蔵安定性を向上させることができる。水和化率が大きい程好ましいので、上限値を規定する技術的意義はない。
水和化率は、湿式粉砕において形成する粒子の大きさ、粉砕時間等によって調整することができる。粒子の大きさが小さくなる程、水和化率は高くなる傾向がある。
【0029】
また、第2の実施形態の湿式粉砕工程において、得られる水性スラリー中の水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの粒子の平均粒子径は、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは2.0μm以下となる様に湿式粉砕条件を調整することが好ましい。上限値以下にすることにより、水和化を速やかに進行させることができ、好適な水和化率80%以上の数値範囲を満たすことが容易となる。平均粒子径の下限値は特に限定するものではないが、粉砕時間の点から実質的には0.1μm以上、さらには0.5μm以上とすることが望ましい。
【0030】
[第3の実施形態]
第3の態様の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有する2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法であって、
前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水和化率80%以上になるまで水和化させることを特徴とする。
【0031】
第3の実施形態において、第2の実施形態と大きく異なるのは、第2の実施形態においては、予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを用いるのに対して、第3の実施形態においては、実質的に水和化の処理をしていない2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを湿式粉砕工程に供する点である。
第3の実施形態においては、上記相違点以外は、第2の実施形態と同様の操作により、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを得ることができる。
そして、前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールについては、水和化率80%以上、さらに好ましくは90%以上になるまで水和化させることが好ましい。
水和化率は、湿式粉砕において形成する粒子の大きさ、粉砕時間、粉砕温度、粉砕メヂア径等によって調整することができる。粒子の大きさが小さくなる程、水和化率は高くなる傾向がある。
【0032】
<感熱記録体>
本発明の感熱記録体は、支持体と、この支持体の上に積層された感熱記録層を有する感熱記録体において、
前記感熱記録層は、本発明の製造方法によって得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを含むことを特徴とする。
また、前記感熱記録層と前記支持体との間に、顔料と接着剤を含む下塗り層を有することが好ましい。
また、前記感熱記録層の上に積層した保護層を有することも好ましい。
また、前記支持体の前記感熱記録層が積層されていない側の面上に、粘着剤層が積層されていることが好ましい。
すなわち、最も好ましい感熱記録体は、「支持体」の片面上に「下塗り層」が形成され、さらにその上に「感熱記録層」が形成され、さらにその上に「保護層」が形成され、さらに、前記支持体の他方の面に、「粘着剤層」が積層されたものである。
【0033】
[支持体]
支持体としては、紙(酸性紙、中性紙、合成紙等)、プラスチックフィルム、不織布、金属蒸着シート等が挙げられる。
【0034】
[下塗り層]
下塗り層は、記録感度を高めるために設けられる。
下塗り層は、顔料と接着剤を含み、好適にはこれら2成分を主成分とする。
顔料としては、特に限定されないが、JIS−K−5101による吸油量が70〜800ml/100gである吸油性顔料(以下、単に「吸油性顔料」と略記する)及び/または有機中空粒子状顔料が特に記録感度に優れ好ましい。吸油性顔料の吸油量が70ml/100g以上であることにより、記録感度を高める効果が向上し、800ml/100g以下であることにより、均一な下塗り層が形成されやすくなり、記録像の鮮明性が向上する。
顔料の平均粒子径は、好ましくは 0.5〜20μm程度、より好ましくは0.5〜3μm程度である。平均粒子径が0.5μm以上であると、記録感度を高める効果が向上し、20μm以下であることにより、記録像の鮮明性が向上する。この傾向は特に有機中空粒子状顔料において顕著である。
【0035】
吸油性顔料としては、例えば焼成カオリン、炭酸マグネシウム、無定型シリカ(非晶性シリカ)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素−ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。
有機中空粒子状顔料としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等の単量体を主成分として重合してなる樹脂またはこれらの単量体2種以上を主成分として重合してなる共重合樹脂等を殻とする粒子が挙げられる。
有機中空粒子状顔料の中空度(粒子全体積に対する粒子内の空隙部の体積比)は、50〜98体積%程度が好ましい。
【0036】
下塗り層の全固形量に対する顔料の使用量は、吸油性顔料の場合は60〜95質量%程度、有機中空粒子状顔料の場合は5〜35質量%程度が好ましい。
【0037】
下塗り層に用いられる接着剤としては、例えば、ゼラチン、カゼイン、デンプンまたはその誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体またはその塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体またはその塩等の水溶性高分子;スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂等の疎水性高分子が挙げられる。なお、疎水性高分子は、ラテックスの形態で使用することが好ましい。
【0038】
下塗り層は、さらに助剤を含んでいてもよい。助剤としては、例えばJIS−K−5101による吸油量が70ml/100g未満の顔料,界面活性剤、着色染料、蛍光染料、滑剤等が挙げられる。
【0039】
下塗り層は、例えば以下の様にして形成することができる。
すなわち、水を媒体とし、顔料(好ましくは吸油性顔料及び/または有機中空粒子状顔料)、接着剤、及び必要により助剤を混合攪拌して下塗り層用塗液を調整する。そして、この塗液を、支持体上に、乾燥後の塗布量が2〜15g/m程度となるように塗布乾燥すると、下塗り層が得られる。塗布方法は特に限定されず、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーテイング、カーテンコーティング、ダイコーティング、ゴラビアコーティング等の方法が挙げられる。
【0040】
[感熱記録層]
感熱記録層は、本発明の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを含有する。
感熱記録層には、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの他に、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール以外の顕色剤、染料前駆体、増感剤、耐水性改良剤、顔料、滑剤、紫外線吸収剤、品質向上剤等が含まれる。
感熱記録層は、例えば下塗り層の上に、下塗り層と同様の塗布方法により、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリー、及び必要に応じて染料前駆体等の各種の添加剤を含む塗液を塗布し、乾燥することにより得ることができる。
【0041】
「顕色剤」
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール以外の顕色剤としては、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ4−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシジフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4−メチルフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキシペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、2,2−チオビス(6−tert−オクチルフェノール)等のフェノール化合物;
【0042】
N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、4,4−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−(p−トリルスルホニル)−N’− フェニル尿素等の分子内に−SONH−結合を有する
化合物;
【0043】
p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0044】
「染料前駆体」
染料前駆体としては、各種公知のものが使用できる。例えば下記のものが挙げられる。
例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等の青発色性染料;
【0045】
3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料;
【0046】
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン等の赤発色性染料;
【0047】
3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−メチル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−m−トルイジノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチル)
アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−エトキシアニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
2,2−ビス{4−〔6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルスピロ[フタリド−3,9−キサンテン]−2−イソアミル〕フェニル}プロパン等の黒発色染料;
【0048】
3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕4、5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3−(6−ジメチルアミノ)フタリド等の発色時に近赤外領域に吸収波長を有する染料等である。
【0049】
もちろん、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて二種以上を併用することもできる。
なかでも、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、及び3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオランから選ばれる1種以上は、特定の顕色剤、すなわち2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと組合わせることにより、良好な記録感度と記録保存性が得られるため好ましく用いられる。
【0050】
さらに、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオランは特定の顕色剤との併用により、波長670〜680nm付近にも光学的読取りが可能な記録部が得られる。
【0051】
また、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン及び3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオランと前記特定の顕色剤と組合わせると、他のロイコ染料や顕色剤との組合わせに比し、記録部及び未記録部の耐光性にとりわけ優れた感熱記録体が得られる。
【0052】
染料前駆体の使用量は、第1の実施形態の水性スラリーを用いる場合は、組成物(A)の質量を100質量%としたとき、10〜100質量%、より好ましくは20〜60質量%である。第2ないし第3の実施形態の水性スラリーを用いる場合、水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール100質量%に対して、10〜100質量%、より好ましくは20〜60質量%である。下限値以上にすることにより、発色性が向上し、上限値以下にすることにより、経済的に有利である。
【0053】
「耐水性改良剤」
耐水性改良剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
耐水性改良剤の使用量は、顕色剤100質量%に対して2〜20質量%程度である。
【0054】
「増感剤」
第1の実施形態の水性スラリーには増感剤が含まれているが、さらに感熱記録層を形成する際に、増感剤を追加することもできる。
また、第2ないし第3の実施形態の水性スラリーを用いて感熱記録層を形成する際に、増感剤を追加することもできる。
増感剤としては、例えば、融点が70℃〜150℃の化合物であることが好ましく、より好ましくはこの条件を満足する、含窒素化合物、エステル化合物、炭化水素化合物、エーテル化合物、スルホン化合物等が挙げられる。
中でもジフェニルスルホン、m−タ−フェニル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、4−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(3−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフチルベンジルエーテル、1−(2−ナフチルオキシ)−2−フェノキシエタン、1,3−ジ(ナフチルオキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチル−ベンジル、シュウ酸−ジ−p−クロルベンジル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジベンジル、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニル等が挙げられる。
【0055】
増感剤の使用量は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール(水和化したものについては水の質量を除いた質量)100質量%に対して10〜400質量%程度、より好ましくは30〜200質量%程度である。下限値以上にすることにより、所望の増感効果が得られ、上限値以下にすることにより、経済的に有利である。
【0056】
「品質向上剤(保存性向上剤)」
品質向上剤(保存性向上剤)としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ジ(tert−アミル)ハイドロキノン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)ブタン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4’ 4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0057】
上記のなかでも、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)ブタン、及び4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホンは、地肌かぶりが少なく、しかも記録部の耐水性を大幅に向上させることができるため好ましく用いられる。
【0058】
「紫外線吸収剤」
感熱記録層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。これにより、記録部の耐光性、及び未記録部の経時的な耐黄変性に優れた効果が得られる。
紫外線吸収剤としては、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、常温で固体、あるいは液体のものも使用できる。
常温で液体のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用する場合には、一般に平均粒子径が0.3〜3.0μm程度のマイクロカプセル中に内包させて配合することが望ましい。
【0059】
常温で固体のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アルミフェニル)−5−tert−アルミベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等が挙げられる。
中でも、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕は、未記録部の耐黄変性に特に優れた効果を発揮するため好ましい。
【0060】
常温で固体のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシル)オキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物、5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)−5−tert−ブチルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
中でも、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールは、マイクロカプセルの壁膜剤との相溶性が良好でカプセル化が容易であり、しかも記録部の白化が少なく、しかも未記録部の耐光性にも極めて優れているため好ましく用いられる。
【0061】
かかる紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルの壁膜としては、ポリウレア及び/またはポリウレタン膜が好ましいが、アミノアルデヒド膜も使用可能である。
なお、紫外線吸収剤の使用量についても特に限定するものではないが、顕色剤100質量%に対して好ましくは0.5〜20質量%用いられる。
【0062】
「顔料」
顔料としては、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カオリン(好ましくは焼成カオリン)、結晶性シリカ、非晶性シリカまたは水酸化マグネシウム等が挙げられる。特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カオリン、結晶性シリカ、非晶性シリカ及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが好ましい。
顔料の使用量は、顕色剤100質量%に対して好ましくは10〜400質量%程度である。
【0063】
「滑剤」
滑剤としては、金属石鹸、ワックス、ステアリン酸アミド若しくはその誘導体、並びにビスステアリン酸アミド誘導体等が挙げられる。
金属石鹸としては、好ましくはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が用いられる。
ワックスとしては、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、カルナバワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス;牛脂、椰子油;ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、若しくはフィシャー・トロプシュワックス;またはこれらの誘導体等が挙げられる。中でもモンタンワックス、カルナバワックス、またはこれらの誘導体が好ましい。
これらの中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸、モンタンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体、ポリエチレンワックス及びその誘導体、およびステアリン酸アミド及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、金属石鹸、モンタンワックス、カルナバワックス、及びステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0064】
[保護層]
保護層を設けることにより、記録部の耐薬品性をより高めたり、あるいは記録走行性を高めることができる。
保護層は、例えば成膜性を有する接着剤(成膜性接着剤)を主成分とし、この接着剤が溶解または分散した中に、必要により感熱記録層に添加し得る助剤、例えば、顔料、滑剤等や紫外線吸収剤を添加して調整した保護層用塗液を、感熱記録層の上に、乾燥後の塗布量が1〜8g/m程度となるように塗布し、乾燥して形成することができる。
保護層は、下塗り層と同様の塗布方法により、塗布することができる。
【0065】
成膜性接着剤としては、例えばゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、デンプン、ヒドロキシセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、完全(部分)鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール、ケイ素変成ポリビニルアルコール、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、シリコーン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
中でも、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール、ケイ素変成ポリビニルアルコールは、強固な皮膜を形成し得るため、好ましく用いられる。
【0066】
また、保護層中には、感熱記録層と同様の顔料、滑剤、紫外線吸収剤を配合することができる。
顔料の配合量は成膜性接着剤100質量%に対して5〜500質量%の範囲で適宜配合される。
【0067】
[粘着剤層]
粘着剤層は、支持体の感熱記録層が設けられていない面に、例えば加熱溶融した粘着剤を塗布するホットメルト方式により設けることができる。また、支持体の感熱記録層が設けられていない面に、乳化重合した粘着剤を主成分として含有する粘着剤層用塗液を、例えば乾燥後の塗布量が10〜30g/m程度となるように塗布、乾燥するコーティング方式によって形成することができる。
【0068】
一般に、乳化重合された粘着剤、特に乳化重合されたアクリル樹脂系粘着剤を使用して粘着剤層を形成すると、乳化剤及び粘着剤中の単量体やオリゴマーの作用により、感熱記録層に形成される記録部の記録濃度が低下する傾向がある。しかし、本発明においては、感熱記録層において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを顕色剤として用いることにより、かかる記録濃度の低下が著しく改良される効果が得られる。
【0069】
アクリル樹脂系粘着剤に使用される乳化剤としては、アニオン系またはノニオン系のものが使用されるが、アニオン系のものが好ましい。また、アクリル樹脂系粘着剤は、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等の単量体を乳化重合することにより得られるものが好ましい。
【0070】
また、感熱記録体においては、さらに粘着剤層の上に剥離紙を積層することもできる。
また、保護層の上に剥離層を設け、剥離紙不要の所謂ライナーレスタイプに仕上げることもできる。
特に、保護層の上にシリコーン樹脂を主成分とする剥離層を設けることにより、剥離紙が不要となるとともに、記録走行性と記録部の保存性が著しく改良される効果が得られる。
また、感熱記録体においては、必要に応じて磁気記録層を設けたり、あるいは各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑処理を施すこともできる。
【0071】
この様に、本発明においては、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの貯蔵安定性を改善することができる。
その結果、本発明の水性スラリーを用いて形成した感熱記録層を有する感熱記録体は、地肌かぶりが少ないという効果が得られる。
また、発色性に優れた感熱記録体が得られる。さらに、記録像の保存性に優れた感熱記録体が得られる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。また、「部」は特に断りがない限り「質量部」を示す。
【0073】
<水性スラリーの貯蔵安定性試験>
[実施例1]
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール500g、{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート2.5g及び1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン500g(以下「3成分」と略記する。)を130℃で加熱溶解後、70℃の恒温室に置いたバットに流し込み、10時間放置し結晶化させた。次に室温まで冷却し、荒砕きしたものを、さらに粉砕機(日本精機製作所(株)製「Type ZM1」(商品名)の金網φ2mm)を用いて粉砕し、組成物(A)を得た。
該組成物(A)40gを濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルを使用して平均粒子径1.5μmになるまで粉砕し、流動性のよい水性スラリーを得た。
【0074】
該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後のスラリーの安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0075】
[実施例2]
3成分を130℃で加熱溶解後、30℃の恒温室に置いたバットに流し込んだ以外は実施例1と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0076】
[実施例3]
組成物(A)40gを濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルにより平均粒子径0.3μmになるよう粉砕した以外は実施例1と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0077】
[実施例4]
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン500gを1,2−ビス(フェノキシ)エタン500gに代えた以外は実施例1と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0078】
[実施例5]
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン500gをβ−ナフチルベンジルエーテル500gに代えた以外は実施例1と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0079】
[実施例6]
予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール(水和化率80%)42g(水和物の質量)を濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルにより平均粒子1.5μm、水和化率100%になるまで粉砕し、流動性のよい水性スラリーを得た。
該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後のスラリーの安定性について肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0080】
[実施例7]
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール40gを濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルにより平均粒子1.0μm、水和化率100%になるまで粉砕した。該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後のスラリーの安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0081】
[実施例8]
サンドミルにより平均粒子径1.3μm、水和化率90%になるまで粉砕した以外は実施例6と同様に操作し水性スラリーを得た。該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後のスラリーの安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0082】
[比較例1]
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール40gを濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルにより平均粒子1.5μm、水和化率30%になるまで粉砕した。該粉砕水性スラリーについて、40℃で1日間貯蔵した後のスラリーの安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0083】
[比較例2]
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール500gと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート2.5gを170℃で加熱溶解後、70℃の恒温室に置いたバットに流し込み、10時間放置し結晶化させた。次に室温まで冷却し、荒砕きしたものを、さらに粉砕機(日本精機製作所(株)製「Type ZM1」(商品名)の金網φ2mm)を用いて粉砕し、組成物(A)を得た。
該組成物(A)40gを濃度5%メチルセルロース水溶液60g中で、サンドミルにより平均粒子1.5μmになるまで粉砕した。
該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後のスラリーの安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0084】
[比較例3]
{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート2.5gを使用しない以外は、実施例1と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0085】
[比較例4]
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン500gに代えてβ−ナフチルベンジルエーテル500gを用いた以外は比較例3と同様に操作し水性スラリーを得た。粉砕時の水和化率及び該粉砕水性スラリーについて、40℃で30日間貯蔵した後の安定性について、肉眼観察による評価及び熱分析による水和化率は表1の通りであった。
【0086】
【表1】

【0087】
表1の結果より、本発明に係る2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーは、比較例に比べ極めて貯蔵安定性に優れていることは明白である。
【0088】
<感熱記録体の評価>
[実施例9]
1.下塗り層用塗液の調整
焼成カオリン(EC社製「商品名:アンシレックス」、吸油量90ml/100g)80部、軽質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製「商品名:ブリリアント15」吸油量45ml/100g)20部、部分鹸化ポリビニルアルコールの10%水溶液70部、固形分濃度48%のスチレンーブタジエン系ラテックス15部、ポリアクリル酸ナトリウムの20%水溶液2部、及び水200部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
【0089】
2.感熱記録層用塗液の調整
a.顕色剤液の調整
実施例1の水性スラリーを用いた。
b.増感剤液の調整
実施例1の水性スラリーを用いた。
c.染料前駆体液の調整
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.5μmになるまで粉砕した。
d.感熱記録層用塗液の調整
顕色剤液かつ増感剤液である実施例1の水性スラリー80部、前記染料前駆体液20部、完全鹸化ポリビニルアルコールの10%水溶液80部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液15部、平均粒子径1μmの炭酸カルシウム35部、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムの5%水溶液5部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
【0090】
3.感熱記録体の作製
坪量64g/mの上質の中性紙の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ10g/m、6g/mとなるように塗布・乾燥して下塗り層、感熱記録層を形成して感熱記録体を得た。なお、各層を形成した後、スーパーカレンダー処理した。
【0091】
[実施例10]
さらに感熱記録層用塗液中に耐水性改良剤液として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン40部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.5μmになるまで粉砕したものを配合した以外は、実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0092】
[実施例11]
さらに感熱記録層用塗液中に紫外線吸収剤液として、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール40部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.5μmになるまで粉砕したものを10部配合した以外は、実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0093】
[実施例12]
実施例9で得られた感熱記録体の記録層の上に、下記の保護層用塗液を乾燥質量で4g/mとなるように塗布・乾燥後、スーパーカレンダー処理して感熱記録体を得た。
【0094】
〔保護層用塗液の調整〕
カオリン(EC社製「商品名:UW−90」)65部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製「商品名:ゴーセファイマーZ−200」)の10%水溶液3部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液6部及び水140部からなる組成物を混合攪拌して保護層塗液を得た。
【0095】
[実施例13]
乳化重合されたアクリル樹脂系粘着剤ラテックス(日本カーバイド(株)製「商品名:ニッカゾール1−145」)を市販の剥離紙の剥離剤層の上に乾燥後の塗布量が20g/mとなるように塗布・乾燥して粘着剤層を形成した後、粘着剤層と実施例12の感熱記録体の他方の面とが接するように貼り合わせて感熱記録体用粘着紙を得た。
【0096】
[実施例14]
感熱記録層用塗液の調整において、実施例1の水性スラリー80部に代えて、実施例2の水性スラリー80部を用いた。さらに、染料前駆体液の調整において、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部に代えて、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部を用いた以外は実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0097】
[実施例15]
感熱記録層用塗液の調整において、実施例1の水性スラリー80部に代えて、実施例3の水性スラリー80部を用い、さらに、ステアリン酸亜鉛の30%分散液15部に代えて、モンタンワックスの30%分散体15部、平均粒子径1μmの炭酸カルシウム35に代えて、平均粒子径1μmの水酸化アルミニウム35部を用いた以外は実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0098】
[実施例16]
感熱記録層用塗液の調整において、実施例1の水性スラリー80部に代えて、実施例4の水性スラリー80部を用いた以外は実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0099】
[実施例17]
感熱記録層用塗液の調整において、実施例1の水性スラリー80部に代えて、実施例5の水性スラリー80部を用いた以外は実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0100】
[実施例18]
感熱記録層塗液の調整において、顕色剤液を実施例1の水性スラリー80部に代えて、実施例6の水性スラリー40部を使用し、増感剤液を実施例1の水性スラリーに代えて、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン40部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.5μmになるまで粉砕した水性スラリーを用いた以外は実施例9と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0101】
[実施例19]
感熱記録層塗液の調整において、顕色剤液は、実施例6の水性スラリー40部に代えて実施例7の水性スラリー40部を使用し、増感剤液は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン40部を1,2−ビス(フェノキシ)エタン40部に代えて実施例18と同様に調整した水性スラリーを用いた以外は実施例18と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0102】
[実施例20]
感熱記録層塗液の調整において、顕色剤液は、実施例6の水性スラリー40部に代えて実施例8の水性スラリー40部を使用し、増感剤液は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン40部をβ−ナフチルベンジルエーテル40部に代えて実施例18と同様に調整した水性スラリーを用いた以外は実施例18と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0103】
[比較例5]
感熱記録層塗液の調整において、顕色剤液は実施例7の水性スラリー40部に代えて、4,4’−イソプロピリデンジフェノール40部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.5μmになるまで粉砕した顕色剤スラリー40部を用いた以外は実施例19と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0104】
[比較例6]
感熱記録層塗液の調整において、4,4’−イソプロピリデンジフェノール40%に代えて4−ヒドロキシ−4’−イソポロポキシジフェニルスルホン40部を用いた以外は比較例5と同様に調整した顕色剤スラリーを用い、増感剤液は、比較例5で使用した増感剤スラリーに代えて実施例20で使用した増感剤スラリー40部を用いた以外は、比較例5と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0105】
[比較例7]
感熱記録層塗液の調整において、顕色剤液は、実施例6の水性スラリー40部を、比較例2の水性スラリー40部に代えた以外は、比較例18と同様に操作して感熱記録体を得た。
【0106】
[比較例8]
比較例6で得られた感熱記録体に、実施例12と同様に操作して、感熱記録層の上に保護層を設けて、保護層付きの感熱記録体とした。
【0107】
[比較例9]
比較例7で得られた感熱記録体に、実施例12と同様に操作して、感熱記録層の上に保護層を設けて、保護層付きの感熱記録体とした。
【0108】
以上、得られた感熱記録体について以下の評価を行った。その結果を表2及び表3に示す。
【0109】
(1)発色性
大倉電気(株)製、商品名「TH−PMD(感熱ヘッド1653Ω)」を用い、24V、0.8msec及び1.6msecで感熱記録体を発色させ、記録濃度をマクベス濃度計「RD−914」で測定した。
【0110】
(2)耐湿性
感熱記録体を、40℃湿度90%の恒温恒湿機の中に入れ、24時間後に取り出し、未記録部の発色汚れ及び記録像の残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0111】
(3)耐熱性
感熱記録体を60℃の恒湿機の中に入れ、24時間後に取り出し、未記録部の発色汚れ及び記録像の残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0112】
(4)耐水性
各感熱記録体を20℃にて水道水に24時間浸漬した後、記録像の残存濃度(16sec)をマクベス濃度計で測定した。
【0113】
(5)耐可塑剤性
φ50mmのガラス瓶に、三井化学(株)製「商品名:ハイラップKMA−W」を3重に巻き付け、その上に、感熱記録体を巻き付け、さらにその上に、上記ハイラップを3重に巻き付けた。保護層を有しない感熱記録体は、25℃1時間後、ラップを剥がし、記録像の残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
保護層を設けた感熱記録体は、40℃で24時間後、ラップを剥がし、記録像の残存濃度(16sec)をマクベス濃度計で測定した。
【0114】
(6)耐光性
感熱記録体を3日間直射日光に曝した後、記録像の残存濃度(16sec)をマクベス濃度計で測定した。
なお、表3には、(4)〜(6)の処理を行う前の記録像の残存濃度(16sec)を「スタート」の項に記載した。
【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
表2、表3に記載の(2)耐湿性、(3)耐熱性の結果より、本発明に係る実施例においては、地肌かぶりが生じないことが確認できた。特に、高湿、高温状態で保存後にも地肌かぶりのない状態が維持されることが確認できた。
また、(1)発色性の結果も良好であった。
さらに、(4)耐水性、(5)耐可塑性、(6)耐光性の結果より、保存安定性も記録像の保存安定性も良好であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリー及びその水性スラリーを用いて、地肌かぶりが少なく、発色性に優れ、且つ記録像の保存性に優れた感熱記録体を製造する方法として極めて有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールと{2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェニル}ベンゼンスルホネート及び感熱記録体用増感剤を混合し、加熱溶解後、冷却し、結晶化させることにより、組成物(A)を製造する製造工程と、
この組成物(A)を水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項2】
前記感熱記録体用増感剤は、ジフェニルスルホン、β−ナフチルべンジルエーテル、ステアリン酸アミド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、m−ターフェニル、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、4−ベンジルビフェニル及びシュウ酸ジ−p−クロルベンジルから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項3】
前記製造工程において、加熱溶解後、50〜90℃で冷却し、結晶化させる請求項1または2記載の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項4】
前記湿式粉砕工程において、得られる水性スラリー中の粒子の平均粒子径が0.5〜3.0μmとなるように粉砕する請求項1〜3のいずれかに記載の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項5】
予め水和化した2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有することを特徴とする2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項6】
前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水和化を進行させることにより、水和化率80%以上の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを製造する請求項5に記載の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項7】
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水及び分散剤の存在下で湿式粉砕する湿式粉砕工程を有する2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法であって、
前記湿式粉砕工程において、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールを、水和化率80%以上になるまで水和化させることを特徴とする2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーの製造方法。
【請求項8】
支持体と、この支持体の上に積層された感熱記録層を有する感熱記録体において、
前記感熱記録層は、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によって得られる2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールの水性スラリーを含むことを特徴とする感熱記録体。
【請求項9】
前記感熱記録層は、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、及び3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオランから選ばれる少なくとも1種である染料前駆体を含む請求項8記載の感熱記録体。
【請求項10】
前記感熱記録層は、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1種の耐水性改良剤を含む請求項8または9記載の感熱記録体。
【請求項11】
前記感熱記録層の上に積層した保護層を有し、この保護層はアセトアセチル変成ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール及びケイ素変成ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の成膜性接着剤を含む請求項8〜10のいずれかに記載の感熱記録体。
【請求項12】
前記感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、カオリン、結晶性シリカ、非晶性シリカ及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の顔料を含む請求項8〜11のいずれかに記載の感熱記録体。
【請求項13】
感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、金属石鹸、モンタンワックス、カルナバワックス及びステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種の滑剤を含む請求項8〜12のいずれかに記載の感熱記録体。
【請求項14】
前記感熱記録層と前記保護層の一方あるいは両方は、紫外線吸収剤を含む請求項8〜13のいずれかに記載の感熱記録体。
【請求項15】
前記感熱記録層と前記支持体との間に、顔料と接着剤を含む下塗り層を有する請求項8〜14のいずれかに記載の感熱記録体。
【請求項16】
前記顔料は、JIS−K−5101による吸油量が70〜800ml/100gである吸油性顔料、及び/または有機中空粒子状顔料である請求項15に記載の感熱記録体。
【請求項17】
前記支持体の前記感熱記録層が積層されていない側の面上に、粘着剤層が積層されている請求項8〜16のいずれかに記載の感熱記録体。


【公開番号】特開2007−69460(P2007−69460A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259102(P2005−259102)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(391052574)三光株式会社 (16)
【Fターム(参考)】