説明

3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリン誘導体の製造方法

本発明は、一般式(I)の3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾリン誘導体のワンポット法による製造方法に関し、この方法は、相当するアリールメチル−及びヘテロアリールメチル−イソチウロニウム塩を、水性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の存在下にイソオキサゾリン誘導体と反応させて、相当する3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾリン誘導体を与えることによる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンポット法による3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリン誘導体の製造方法に関し、この方法は、相当するアリールメチル−及びヘテロアリールメチルイソチウロニウム塩を、水性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の存在下にイソオキサゾリン誘導体と反応させて、相当する3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリン誘導体を与えることによる。
【背景技術】
【0002】
文献は、式(1)のイソオキサゾリン誘導体(式中、Ra及びRbは好ましくは場合により置換されたアルキル基であり、Rc、Rd及びReは好ましくはそれぞれ水素であり、Rfは場合により置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、そしてXは水素である)、そしてまた、Xがハロゲンであるそれらのハロゲンメチルスルフィニル及びハロゲンメチルスルホニル類似体が興味深い除草作用を有することを開示している(例えば、WO 2001 012613、WO 2002 062770、WO 2003 000686 及び WO 2003 010165 参照)。
【化1】

【0003】
これまでに知られた方法により上記の化合物を製造するためには、何れの場合にも、相当する式(1)のチオエーテル(式中、n=0である)を最初に製造し、次いで酸化及びハロゲン化された誘導体に更に変換する。
【0004】
式(1)のチオエーテル(n=0)を製造するための先行技術の相当する方法(例えば WO 2001 012613、WO 2002 062770、WO 2003 000686 及び WO 2003 010165)は、下記の反応を利用する:
【0005】
(a)式(2)のイソチウロニウム塩(式中、Re及びRfはそれぞれ式(1)のために上記で定義したとおりであり、そしてLgは脱離基である)を加水分解して、式(3)のメルカプタン(式中、Re及びRfはそれぞれ式(1)のために上記で定義したとおりである)を得、それを次いで式(4)のイソオキサゾリン(式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ式(1)のために上記で定義したとおりであり、そしてLg’は脱離基である)と反応させる;
【化2】

又は
(b)式(4)のイソオキサゾリンを三つの中間段階により式(5)の3−メルカプトイソオキサゾリン(式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ式(1)のために上記で定義したとおりである)に変換し、それを次いで式(6)のアリール−又はヘテロアリールメチル誘導体(式中、Re及びRfはそれぞれ式(1)のために上記で定義したとおりであり、そしてLgは脱離基である)でアルキル化する。
【化3】

【0006】
合成変法(a)の欠点は、大部分が毒性があり、悪臭があり、かつ酸化に敏感であるメルカプタン(3)を取り扱うことであり、そして変法(b)の欠点は、段階の数が多く、かつ関連する全体的収量が十分でないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の(a)及び(b)による方法の欠点を回避した、上記の式(1)のチオエーテル及び更なる誘導体の合成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、式(I)の3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリン誘導体
【化4】

[式中、
1、R2は、それぞれ独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキルであり、ここで、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキル基のそれぞれは、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、(C3−C8)−シクロアルキルの群からの1個若しくはそれ以上の同一の若しくは異なる基で、又はそうでなければ−OR7若しくは−S(O)m7で置換されており、ここで、m=0、1又は2であり、そしてR7は(C1−C6)−アルキル、(C3−C6)−アルケニル、(C3−C6)−アルキニル、(C3−C8)−シクロアルキルに相当し、後者のそれぞれは非置換であるか、又はハロゲン及びシアノの群からの1個若しくはそれ以上の同一の若しくは異なる基で置換されており、
【0009】
又はそうでなければ、R1及びR2は、それらの両方が結合している炭素原子と一緒になって3〜8個の炭素原子から構成されるスピロ結合を形成し、
3、R4は、それぞれ水素、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキルであり、ここで、上記のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニルは、場合によりハロゲン、シアノ、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ又は(C1−C6)−アルキルチオの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されており、
【0010】
又はそうでなければ、R3及びR4は、それらの両方が結合している炭素原子と一緒になって3〜8個の炭素原子から構成されるスピロ結合を形成し、
又は、R1及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8個の炭素原子から構成される環構造を形成し、
【0011】
5は、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたアリール、又は好ましくは1〜9個の炭素原子並びにN、O及びSの群からの1個若しくはそれ以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4個、特に1〜3個のヘテロ原子を有する非置換の若しくは置換されたヘテロアリールであり、ここで、上記の炭素環式及びヘテロ環式基のそれぞれは、場合によりOH、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C6)−シクロアルケニル、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、N−(C1−C6)−アルカノイル)アミノ、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、(C3−C6)−アルケニルオキシ、(C3−C6)−アルキニルオキシ、(C3−C6)−シクロアルコキシ、(C4−C6)−シクロアルケニルオキシ、(C1−C6)−アルキルチオ、(C1−C6)−ハロアルキルチオ、(C3−C6)−シクロアルキルチオ、(C3−C6)−アルケニルチオ、(C4−C6)−シクロアルケニルチオ、(C3−C6)−アルキニルチオ、(C1−C6)−アルカノイル、(C2−C6)−アルケニルカルボニル、(C2−C6)−アルキニルカルボニル、アリールカルボニル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−ハロアルキルスルフィニル又は(C1−C6)−ハロアルキルスルホニルで置換されており、
そして
【0012】
6は、水素又は(C1−C6)−アルキルである]
の製造方法に関し、この方法は、
式(II)のアリールメチル−及びヘテロアリールメチルイソチウロニウム塩
【化5】

(式中、R5及びR6はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりであり、そしてLgは脱離基である)から出発し、
そして、それをワンポット法で水性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の存在下に式(IV)のイソオキサゾリン誘導体
【化6】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりであり、そしてLg’は脱離基である)と反応させて、
標的化合物、すなわち相当する式(I)の3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリンを与えることによる。
【0013】
式(II)の化合物は、式R56CHLgのアルキル化剤(式中、R5及びR6はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりであり、そしてLgは脱離基である)をチオ尿素と反応させることにより得ることができる。
【0014】
イソチウロニウム塩を加水分解し、そして中間体として形成されたメルカプタンの交換反応で変換するためにイソチウロニウム塩をワンポット法において使用することは、別の反応スキームについて DE 3942946 に記載されている。
【0015】
一般的に、この反応は下記式のスキームにより示される:
【化7】

【0016】
反応条件下で中間体として形成された式(III)のメルカプタン(式中、R5及びR6はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりである)
【化8】

は、その場で直ちに式(IV)のイソオキサゾリンによって捕捉される。本発明に係る方法では、上記の不快な特性を有するメルカプタンの取り扱いは回避される。加えて、製造は先
行技術の変法(a)に比べて一段階短縮される。
先行技術の変法(b)に比べると、本発明に係る方法は二つ少ない段階数を有する。
【0017】
好ましい脱離基Lgは、塩素、臭素、ヨウ素又はスルホネート基、例えばメタン−、トリフルオロメタン−、エタン−、ベンゼン−若しくはトルエンスルホネートである。
好ましい脱離基Lg’は、塩素、臭素又はスルホネート基、例えばメタン−、トリフルオロメタン−、エタン−、ベンゼン−若しくはトルエンスルホネート、又はメチルスルホニルであるが、特に塩素である。
【0018】
本発明に係る方法を用いる場合には、R1、R2が、それぞれ独立して(C1−C4)−アルキル、(C2−C3)−アルケニル、(C2−C3)−アルキニル、(C3−C6)−シクロアルキルであり、ここで、(C1−C4)−アルキル、(C2−C3)−アルケニル、(C2−C3)−アルキニル、(C3−C6)−シクロアルキル基のそれぞれは、場合によりハロゲン、シアノ又は(C3−C6)−シクロアルキルの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されている、式(I)の化合物が好ましい。
【0019】
本発明に係る方法を用いる場合には、R1及びR2が、それぞれ独立して(C1−C4)−アルキル又は(C1−C4)−ハロアルキルである、式(I)の化合物が特に好ましい。
本発明に係る方法を用いる場合には、更に、R1及びR2が、それぞれ独立してメチル又はエチルであり、それら自体は場合によりそれぞれ独立してモノ−又はポリハロゲン化されており、好ましくは−塩素化又は−臭素化されている、式(I)の化合物が好ましい。
【0020】
ハロゲン化された基のうち、クロロメチル及びフルオロメチルが好ましく、クロロメチルが実に特に好ましい。
本発明に係る方法を用いる場合には、更に、R3及びR4が、それぞれ独立して水素又は(C1−C4)−アルキルである、式(I)の化合物が好ましい。
本発明に係る方法を用いる場合には、R3及びR4が、それぞれ独立して水素に相当する、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0021】
本発明に係る方法を用いる場合には、更に、R5が、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたアリール、又はN、O及びSの群からの1〜3個のヘテロ原子、好ましくは1若しくは2個の同一の若しくは異なるヘテロ原子と共に、好ましくは1〜9個の炭素原子、好ましくは3〜5個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたヘテロアリールであり、ここで、上記の炭素環式及びヘテロ環式基のそれぞれは、場合によりハロゲン、シアノ、(C1−C3)−アルキル、(C1−C3)−ハロアルキル、(C2−C4)−アルケニル、(C2−C4)−アルキニル、(C3−C6)−シクロアルキル、(C3−C6)−シクロアルケニル、(C1−C4)−アルコキシ、(C1−C4)−ハロアルコキシ、(C3−C4)−アルケニルオキシ、(C3−C4)−アルキニルオキシ、(C3−C6)−シクロアルコキシ、(C4−C6)−シクロアルケニルオキシ、(C1−C4)−アルキルチオ、(C1−C4)−ハロアルキルチオ、(C3−C6)−シクロアルキルチオ、(C3−C4)−アルケニルチオ、(C4−C6)−シクロアルケニルチオ、(C3−C4)−アルキニルチオ、(C1−C4)−アルカノイル、(C2−C6)−アルケニルカルボニル、(C2−C6)−アルキニルカルボニル、アリールカルボニル、(C1−C4)−アルキルスルフィニル、(C1−C4)−アルキルスルホニル、(C1−C4)−ハロアルキルスルフィニル又は(C1−C4)−ハロアルキルスルホニルで置換されている、式(I)の化合物が好ましい。
【0022】
本発明に係る方法を用いる場合には、同様に、R5が、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたアリール、又はN、O及びSの群からの1〜3個のヘテロ原子、好ましくは1若しくは2個の同一の若しくは異なるヘテロ原子と共に、好ましくは3〜5個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたヘテロアリールであり
、ここで、上記の炭素環式及びヘテロ環式基のそれぞれは、場合によりハロゲン、シアノ、エチル、メチル、ハロエチル、ハロメチル、ハロメトキシ又はハロエトキシの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されている、式(I)の化合物が好ましい。
【0023】
本発明に係る方法を用いる場合には、R5が、非置換の又は置換されたフェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル又はオキサゾリルに相当し、最も好ましくはフェニル又はピラゾリルに相当し、それらのそれぞれは、置換されている場合には、好ましくはハロゲン、シアノ、エチル、メチル、ハロメトキシ又はハロメチルの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されている、式(I)の化合物が特に好ましく、ここで、ハロゲンのうち、塩素及び臭素が好ましく、そしてハロメトキシ及びハロメチルの場合にはフッ素が実に特に好ましい。
【0024】
Lg’が脱離基、例えばハロゲン、SO2Me、SOMe又は同様のものと定義される本発明に係る方法において出発物質として用いられる式(IV)のイソオキサゾリンは、当業者によく知られており、そして特に:Rohloff, J. C.; Robinson, J. I.; Gardner J. O.; Tetrahedron Lett. (1992) 33 3113、WO 2001 012613 及び WO 2002 062770 に記載されている。
【0025】
相当するアルキル化剤及びチオ尿素からのチウロニウム塩の製造は、文献記載の方法により、有利には、相当する式R56CHLgのアルキル化剤(式中、R5、R6及びLgはそれぞれ上記で明記したとおりである)を等モル量のチオ尿素と、不活性溶剤、例えば、低級アルコール、例えばメタノール、エタノール若しくはイソプロパノール;炭化水素、例えばベンゼン若しくはトルエン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン若しくはクロロホルム;又はエーテル誘導体、例えばメチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサンの中で、0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で反応させることにより行われる。
【0026】
多くの場合に結晶化により得られた式(II)のイソチウロニウム塩の化合物を、一般的に更なる精製段階を行わずに、本発明に係る方法において、相間移動条件下に激しく攪拌しながら等モル量の式(IV)の化合物と反応させる。
その場合には、強塩基性アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液(少なくとも2当量の塩基)だけでなく、二相系中で操作することが好ましく、有機相は不活性溶剤、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ニトロベンゼン又はこれらの溶剤の混合物である。
何れの場合にも、より有用な式(II)又は式(IV)の反応関与体を僅かに不足量で使用することも可能である。
【0027】
好適な相間移動触媒は、第四級アンモニウム又はホスホニウム塩、そしてまたクラウンエーテル、クリプタンド又はポリエチレングリコールである。このような触媒の例は、W.
P. Weber, G. W. Gokel; Phase Transfer Catalysis in Organic Synthesis, Springer-Verlag, Berlin 1977 又は E. V. Dehmlow, S. S. Dehmlow, Phase Transfer Catalysis,
Second Ed. Verlag Chemie, Weinheim 1983 に見出すことができる。
【0028】
イソチウロニウム塩(II)とイソオキサゾリン(IV)との反応は、相間移動触媒反応の条件下に−10°〜150℃の温度範囲内で行われる。
反応関与体及び触媒を、好ましくは保護ガス雰囲気下に20℃〜100℃の温度で激しく攪拌する。
得られた化合物を、必要に応じて、当業者に公知の反応により酸化及び/又はハロゲン化することができる。
以下の合成例により本発明に係る方法を説明する。パーセンテージは重量に基づく。
【実施例】
【0029】
〔合成例A〕
3−(2,6−ジフルオロベンジルチオ)−5−エチル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造
2.0g(14 mmol) の 3−クロロ−5−エチル−5−メチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(WO 2001 012613 により製造)及び 3.84g(14 mmol) の 2,6−ジフルオロベンジルイソチウロニウムブロミド(エタノール中で等モル量の 2,6−ジフルオロベンジルブロミド及びチオ尿素を反応させることにより製造)を、アルゴン下に室温で、100 ml のトルエン及び 28gの 50%水酸化ナトリウム溶液の混合物中の 1.22g(4 mmol) のテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドと共に6時間激しく攪拌した。水で希釈した後、有機相を乾燥し、濃縮した。精製するために、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(4:1 の酢酸エチル/ヘプタン)にかけた。
1.98g(理論値の 51.2%)の生成物を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CCCl3): (CDCl3): 2.80 (AB, 2H, イソオキサゾリン CH2); 4.36 (s, 2H, CH2S)
【0030】
〔合成例B〕
5,5−ジメチル−3−(2−トリフルオロメトキシベンジルチオ)−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造
0.81g(3 mmol) のテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、1.20g(9 mmol) の 3−クロロ−5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾール(WO 2001 012613 により製造)及び 2.98g(9 mmol) の 2−トリフルオロメトキシベンジルイソチウロニウムブロミド(エタノール中で等モル量の 2−トリフルオロメトキシベンジルブロミド及びチオ尿素を加熱することにより製造)を、アルゴン下に 50 ml のトルエン及び 21gの 50%水酸化ナトリウム水溶液の混合物に加えた。この混合物を室温で6時間激しく攪拌した。水で希釈した後、トルエン相を除去し、水相をトルエンと共に攪拌することによりもう1回抽出し、一緒にした有機相を乾燥し、濃縮した。精製するために、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(4:1 のヘプタン/酢酸エチル)にかけた。
1.68gの生成物(理論値の 58%)を無色油状物として得た。
NMR (300 MHz, CDCl3): 1.21 (s, 6H, 2CH3); 2.78 (s, 2H, イソオキサゾリン CH2); 4.24 (s, 2H, SCH2); 7.20-7.35 (m, 3H, フェニル H); 7.56 (dd, 1H フェニル H)
【0031】
〔合成例C〕
3−({[5−(ジフルオロメトキシ)−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}チオ)−5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールの製造
4.05g (13 mmol) のテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、13.67g (35 mmol) のイミドチオカルバミン酸 [5−(ジフルオロメトキシ)−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル臭化水素酸塩(WO 2004 013106 により製造)を、アルゴン雰囲気下に 74.000gの 50%水酸化ナトリウム水溶液及び 100 mlのトルエンの混合物に加えた。これに、少量のトルエン中の 6.000g (45 mmol) の 3−クロロ−5,5−ジメチル−4,5−ジヒドロイソオキサゾールを室温で激しく攪拌しながら滴下した。このバッチを室温で更に2時間攪拌し、水で希釈した。この混合物を酢酸エチルと共に攪拌することにより3回抽出し、一緒にした有機相を乾燥し、濃縮した。精製するために、粗生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(3:3 のヘプタン/酢酸エチル)にかけた。
8.28g(理論値の 64.9%)の生成物を無色油状物として得た。
NMR (400 MHz, CDCl3): 1.41 (s, 6H, 2CH3); 2.78 (s, 2H, イソオキサゾリン CH2);
3.82 (s, 3H, NCH3); 4.18 (s, 2H, SCH2); 6.73 (tr, 1H, OCF2H)
【0032】
下記の表Aに示す化合物は、上記の合成例A〜Cによるか又はそれらと同様にして得られる。
表中:
Me=メチル
Et=エチル
Ph=フェニル
【0033】
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
1、R2は、それぞれ独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキルであり、ここで、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキル基のそれぞれは、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、(C3−C8)−シクロアルキルの群からの1個若しくはそれ以上の同一の若しくは異なる基で、又はそうでなければ−OR7若しくは−S(O)m7で置換されており、ここで、m=0、1又は2であり、そしてR7は(C1−C6)−アルキル、(C3−C6)−アルケニル、(C3−C6)−アルキニル、(C3−C8)−シクロアルキルに相当し、後者のそれぞれは非置換であるか、又はハロゲン及びシアノの群からの1個若しくはそれ以上の同一の若しくは異なる基で置換されており、
又はそうでなければ、R1及びR2は、それらの両方が結合している炭素原子と一緒になって3〜8個の炭素原子から構成されるスピロ結合を形成し、
3、R4は、それぞれ水素、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル又は(C3−C8)−シクロアルキルであり、ここで、上記のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニルは、場合によりハロゲン、シアノ、(C3−C8)−シクロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ又は(C1−C6)−アルキルチオの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されており、
又はそうでなければ、R3及びR4は、それらの両方が結合している炭素原子と一緒になって3〜8個の炭素原子から構成されるスピロ結合を形成し、
又は、R1及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって5〜8個の炭素原子から構成される環構造を形成し、
5は、非置換の若しくは置換されたアリール、又は非置換の若しくは置換されたヘテロアリールであり、ここで、上記の炭素環式及びヘテロ環式基のそれぞれは、場合によりOH、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C3−C8)−シクロアルキル、(C3−C6)−シクロアルケニル、モノ−(C1−C6)−アルキルアミノ、ジ−((C1−C6)−アルキル)アミノ、N−(C1−C6)−アルカノイル)アミノ、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、(C3−C6)−アルケニルオキシ、(C3−C6)−アルキニルオキシ、(C3−C6)−シクロアルコキシ、(C4−C6)−シクロアルケニルオキシ、(C1−C6)−アルキルチオ、(C1−C6)−ハロアルキルチオ、(C3−C6)−シクロアルキルチオ、(C3−C6)−アルケニルチオ、(C4−C6)−シクロアルケニルチオ、(C3−C6)−アルキニルチオ、(C1−C6)−アルカノイル、(C2−C6)−アルケニルカルボニル、(C2−C6)−アルキニルカルボニル、アリールカルボニル、(C1−C6)−アルキルスルフィニル、(C1−C6)−アルキルスルホニル、(C1−C6)−ハロアルキルスルフィニル又は(C1−C6)−ハロアルキルスルホニルで置換されており、
そして
6は、水素又は(C1−C6)−アルキルである]
の3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリン誘導体の製造方法であって、
式(II)
【化2】

(式中、R5及びR6はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりであり、そしてLgは脱離基である)のアリールメチル−及びヘテロアリールメチルイソチウロニウム塩から出発し、
そして、それをワンポット法で水性アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の存在下に式(IV)
【化3】

(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ式(I)のために上記で定義したとおりであり、そしてLg’は脱離基である)のイソオキサゾリン誘導体と反応させて、
相当する式(I)の3−アリールメチルチオ−及び3−ヘテロアリールメチルチオ−4,5−ジヒドロイソオキサゾリンを得る、上記の製造方法。
【請求項2】
1及びR2が、それぞれ独立して(C1−C4)−アルキル、(C2−C3)−アルケニル、(C2−C3)−アルキニル、(C3−C6)−シクロアルキルであり、ここで、(C1−C4)−アルキル、(C2−C3)−アルケニル、(C2−C3)−アルキニル、(C3−C6)−シクロアルキル基のそれぞれは、場合によりハロゲン、シアノ又は(C3−C6)−シクロアルキルの群からの1個又はそれ以上の基で置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1及びR2が、それぞれ独立して(C1−C4)−アルキル又は(C1−C4)−ハロアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1及びR2が、それぞれ独立してメチル又はエチルであり、それら自体はまた場合によりそれぞれ独立してモノ−又はポリハロゲン化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1及びR2が、それぞれ独立してメチル、エチル又はクロロメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1及びR2が、それぞれ独立してメチル又はエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
3及びR4が、それぞれ独立して水素又は(C1−C4)−アルキルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
3及びR4が、それぞれ水素に相当する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
5が、6〜10個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたアリール、又はN
、O及びSの群からの1〜3個のヘテロ原子と共に3〜5個の炭素原子を有する非置換の若しくは置換されたヘテロアリールであり、ここで、上記の炭素環式及びヘテロ環式基のそれぞれは、場合によりハロゲン、シアノ、エチル、メチル、ハロエチル、ハロメチル、ハロメトキシ又はハロエトキシの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
5が、非置換の又は置換されたフェニル、ナフチル、チエニル、フリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル又はオキサゾリルであり、ここで、それらのそれぞれは、置換されている場合には、好ましくはハロゲン、シアノ、エチル、メチル、ハロメトキシ又はハロメチルの群からの1個又はそれ以上の同一の又は異なる基で置換されている、請求項1〜8ののいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
脱離基Lgが、塩素、臭素、ヨウ素又はスルホネート基、例えばメタン−、トリフルオロメタン−、エタン−、ベンゼン−若しくはトルエンスルホネートに相当する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
脱離基Lg’が、塩素、臭素又はスルホネート基、例えばメタン−、トリフルオロメタン−、エタン−、ベンゼン−若しくはトルエンスルホネート、又はメチルスルホニルに相当する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
脱離基Lg’が塩素に相当する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
結晶化により得られた式(II)のイソチウロニウム塩の化合物を、更なる精製段階を行わずに、相間移動条件下に激しく攪拌しながら等モル量の式(IV)の化合物と反応させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
強塩基性アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶液だけでなく二相系をも用い、有機相が不活性溶剤、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ニトロベンゼン又はこれらの溶剤の混合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
用いられる相間移動触媒が、第四級アンモニウム又はホスホニウム塩、そしてまたクラウンエーテル、クリプタンド又はポリエチレングリコールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
イソチウロニウム塩(II)とイソオキサゾリン(IV)との反応を−10℃〜150℃の温度範囲内で行う、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
反応関与体を保護ガス雰囲気下に20℃〜100℃の温度で激しく攪拌する、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2008−544996(P2008−544996A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519823(P2008−519823)
【出願日】平成18年6月24日(2006.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006123
【国際公開番号】WO2007/003295
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】