説明

3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシナフトニトリルの合成方法

式I


[式中、RはCN、FまたはClであり;RはHまたはBrであり;ならびにRおよびRは各々独立してHまたはFである]
の化合物の製造方法。これらの化合物は、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患の処置において有用である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシナフトニトリルの製造方法、エストロゲン受容体βの選択的リガンド、および関連するアナログならびに中間化合物に関する。
【0002】
(背景技術)
エストロゲンは多数の器官系に作用し、結果として、多数の状態または疾患状態に関与し得る。エストロゲン受容体は、リガンド活性化転写因子であり、そして、プロゲステロン、アンドロゲン、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体を含んでなる核内ホルモン受容体スーパーファミリーに属する。リガンドを認識する際に、これらの受容体は二量体化し、そして、特定のDNA配列に直接結びつくかまたは他の転写因子と相互作用するかのいずれかにより、遺伝子転写を活性化し得る。蛋白質の一の類も該受容体と相互作用し、かつその転写活性を調節し得る。
【0003】
最も強力な内因性エストロゲンは17β−エストラジオールであり、そして、このエストロゲンの活性は多数の化合物により模倣されるかまたは阻害され得る。幾つかの化合物は雑多な活性を有し得、ある組織においてはアゴニストとして、そして他においてはアンタゴニストとして作用する;これらは選択的エストロゲン受容体修飾因子と言われ、かつ潜在的に有用な治療剤である。かかる治療的に有用な化合物およびそれらの効率的な製造方法を見出すことは、医薬産業における重要な目標である。
【0004】
David C.Pryde,ら,Synthesis of 2−Tetralones Via A Novel 1,2−Carbonyl Transposition of 1−Tetralones,Tetrahedron Lett.(1996),37(19),3243−3246によれば、α−テトラロンAは、ZnI触媒の存在下、トリメチル−SiCNと反応させ、つづいてPOClおよびピリジンを加えることにより、ニトリルBに変換されてもよい:
【化1】

【0005】
以下の、7−メトキシ−1−テトラロンから7−メトキシ−1−ナフトニトリルへの複数工程の変換は、T.Hayashi,ら,Preparation And Binding Affinity of New Porphyrin Host Molecule for Ubiquinone Analogs,Chem.Lett.(1994),(9),1749−52により記載されている:
【化2】

【0006】
ボールミリング条件下でPd(PPh触媒を使用する、無溶媒条件下でのフェニルボロン酸と様々なアリールハライドのカップリング反応が、報告されている。不活性なNaClを反応混合物へ加えて、十分に粉末状にした。その反応の次数が、通常の鈴木反応を補完した。S.F.Nielsen,ら,The Suzuki Reaction Under Solvent−Free Conditions,Den.Synthetic Communications(2000),30(19),3501−3509.
【0007】
(発明の開示)
本発明は、式I
【化3】

[式中、
は、CN、FまたはClであり;
は、HまたはBrであり;
ならびにRおよびRは、各々独立してHまたはFである]
の化合物の製造方法であって、以下の反応工程:
【0008】
【化4】

を含んでなる方法を包含する。
好ましくは、RはCNであり、RはHであり、RはFであり、および/またはRはHである。
【0009】
本発明は、式II[ここで、RはCNであり、かつRはHである]の化合物の製造方法であって、式III
【化5】

の化合物を酢酸および濃塩酸の混合物中で塩化スズと共に加熱することを含んでなる方法をさらに包含する。
好ましくは、この方法は約100℃の温度で行われる。
【0010】
本発明は、式IIIの新規化合物、ならびに酢酸中、約2−6当量の臭素を用いて、約40−70℃の温度、好ましくは約65℃で、7−メトキシ−1−ナフトニトリルを二臭素化することによるそれらの製造方法も提供し;亜硫酸水素ナトリウムを反応の終わりに加えて、過剰な臭素を還元してもよい。7−メトキシ−1−ナフトニトリルを製造するための新規の方法も提供され、該方法は、
a)7−メトキシ−1−テトラロンおよびヨウ化亜鉛の溶液をトリメチルシリルシアニドと、好ましくはトルエン溶媒中、約60℃で混合して反応混合物を形成し;
b)オキシ塩化リンおよびピリジンを反応混合物に加え、好ましくは約6−9時間還流して、不飽和ニトリルを形成し;次いで、
c)不飽和ニトリルを2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンと、好ましくはトルエン中、約60℃で反応させて、7−メトキシ−1−ナフトニトリルを生じる:
ことを含む。
【0011】
本発明の様々な目的および利点は、以下の説明および添付の請求の範囲から当業者に明かであろう。
【0012】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
スキーム1にて示される本発明の非常に好ましい態様において、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリルの大規模な製造のための、新規かつ改良された方法が提供される(1)。市販物質、3,4−ジヒドロ−7−メトキシ−1(2H)−ナフタレノン(7−メトキシ−1−テトラロン)は、スキーム1に示されるように、不飽和ニトリルへ変換されてもよい(3)。該反応はトルエン溶液中で行われる。反応完了の際には、腐食性溶液によりクエンチされる。反応混合物はトルエンで抽出される。トルエン溶液を洗浄した後、粗不飽和ニトリル(3)は、このトルエン溶液中で、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)と共に、60℃、2時間、攪拌することにより、直接的に、芳香族化される。固体を濾過により除き、濾液を水酸化ナトリウム溶液およびブラインそれぞれで洗浄する。大部分の溶媒を蒸留により除き、ヘプタンを加えて、生成物を沈殿させる。7−メトキシ−1−ナフトニトリル(4)が単離される。これらの2工程を通しての予想収率は少なくとも70−75%である。2つの反応を同じ溶媒中で行うことにより、低融点の中間体(3)の単離が回避され得、効率および収率が改善される。
【0013】
酢酸中、臭素を用いた7−メトキシ−1−ナフトニトリル(4)の臭素化は、非常に温度感受性な反応である。化合物、8−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリルは、2当量の臭素を用いて室温で迅速に生じる。温度が70℃を超える場合には、多数の、ポリ臭素化された不純物を生じる。本発明の方法において、7−メトキシ−1−ナフトニトリル(4)は、酢酸中、2−6当量の臭素を用いて、40−70℃で、二臭素化される。反応完了の際には、反応混合物を過剰な亜硫酸水素ナトリウムでクエンチし、過剰な臭素を還元し、そして生成物が沈殿し、高純度、90−95%の程度の予想収率で、単離される。このジブロミドは、さらに精製されることなく、酢酸および濃HClの混合物中、100℃で、塩化スズと共に加熱される。8位の臭素が特異的に還元される。その生成物、3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(6)は、反応完了後に、反応混合物から濾過される。典型的に、2工程を通しての収率は70−80%であり、HPLC純度は95%+である。
【0014】
本発明の非常に好ましい方法において、3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(6)は、よく知られた鈴木条件下、水および1,2−ジメトキシエタンの混合物中、炭酸水素ナトリウムおよび触媒量のジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を用いて、市販の3−フルオロ−4−メトキシフェニルボロン酸と共にカップリングされて、3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(8)を生じる;典型的に、収率は約98%であり、HPLC純度は約95%+である。最終的に、この非常に好ましい方法において、3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(8)は、約83℃で、三臭化ホウ素を用いて脱メチル化され、そして水およびエタノールの混合物から再結晶されて、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル(1)を生じ、典型的に収率は約73%、HPLC純度は99%+である。
【0015】
【化6】

【0016】
本発明のより広範な態様において、式I
【化7】

[式中、
は、CN、FまたはClであり;
は、HまたはBrであり;
ならびにRおよびRは、各々独立してHまたはFである]
の化合物の調製方法であって、以下の反応工程:
【化8】

を含んでなる方法が提供される。
【0017】
式Iの化合物は、エストロゲン受容体βの経口活性型の選択的リガンドである。それは、古典的なエストロゲン作用を欠いている一方で、慢性炎症性疾患の処置に有用性を与えるかもしれない。関節リウマチは、該化合物の主要な治療適応症である。
本発明の好ましい実施態様において、式IIの化合物は、式III
【化9】

の化合物を、酢酸および濃塩酸の混合物中、最も好ましくは約100℃で、反応が完了するまで塩化スズと共に加熱することにより得られる。式IIIの化合物は新規であり、かつ本発明の方法におけるこの化合物を介する経路は、知られている合成方法に比べて、比較的高い純度で、式IおよびII[ここで、R=CNかつR=Hである]の化合物を合成するために、非常に効果的な方法を提供する。
【0018】
本発明の好ましい方法によれば、式IIIの化合物は、7−メトキシ−1−ナフトニトリルを二臭素化することにより、好ましくは、酢酸中、臭素を用いて約70℃を超えない温度で、好ましくは、約40−70℃の範囲の温度で、最も好ましくは、約65℃で、形成される。反応完了の際には、反応混合物を亜硫酸水素ナトリウムでクエンチし、過剰な臭素を還元する。式IIIの化合物は、驚くほど高い収率(典型的には、約90−95%)および純度(典型的には、約93−95%)を伴って沈殿する。有利なことに、この高い純度により、この化合物はさらなる精製工程に付されることなく式IIの化合物を製造するために用いられ得る。
【0019】
本発明の別の新しい態様は、化合物、7−メトキシ−1−ナフトニトリルが、7−メトキシ−1−テトラロン(3,4−ジヒドロ−7−メトキシ−1(2H)−ナフタレノン)から開始されて、中間体の不飽和ニトリルを単離することなく提供される、高度に効果的な様式である。本方法の特に新しい態様は、DDQを使用して、好ましくは、トルエン中、約40−80℃の範囲の温度で、より好ましくは、約50−70℃で、および最も好ましくは、約60℃で、不飽和ニトリル中間体を比較的高い収率で7−メトキシ−1−ナフトニトリルに変換することである。
【0020】
本発明の化合物が塩基性部分を含む場合には、医薬上許容される塩は、有機および無機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、洒石酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸ならびに同様に知られている許容される酸から形成され得る。本発明の化合物が酸性部分を含む場合には、塩は、有機および無機塩基、例えば、アルキル金属塩(例えば、ナトリウム、リチウムまたはカリウム)アルキル土類金属塩、アンモニウム塩、1−6個の炭素原子をもつアルキルアンモニウム塩、または各アルキル基に1−6個の炭素原子をもつジアルキルアンモニウム塩、および各アルキル基に1−6個の炭素原子をもつトリアルキルアンモニウム塩から形成されてもよい。
医薬上許容されるエステルは、C−Cアルカノイック酸との反応により形成されるものを含む。
【0021】
以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を説明するために提供され、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
(実施例)
実施例1
7−メトキシ−1−ナフトニトリル
トルエン(600mL)中の3,4−ジヒドロ−7−メトキシ−1(2H)−ナフタレノン(200g,1.14mol)およびヨウ化亜鉛(9.09g,0.0285mol)の溶液へ、45℃、20分間にわたって、トリメチルシリルシアニド(120g,1.21mol)を加える。混合物を60℃に加温し、2時間攪拌する。混合物を35℃に冷却し、ピリジン(79.1g,1.71mol)およびオキシ塩化リン(262g,1.71mol)をそれぞれ加えた。混合物を100℃に加温し、6時間攪拌する。反応混合物を50℃に冷却し、15分間にわたって、予め冷却した水酸化ナトリウム溶液(3N,2L,3℃)へ加える。トルエン(1.2L)を加えて、混合物を室温へ冷却する。有機相を分けて、水酸化ナトリウム溶液(1N,2×1L)、水(1L)、塩酸(3N,3×1L)、水(1L)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1L)およびブライン(1L)でそれぞれ洗浄する。
【0023】
有機相を45℃に加温し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(207g,0.912mol)を20分間にわたって少しずつ加える。混合物を60℃に加温して2時間攪拌し、次いで室温に冷却する。固体を濾過により除き、濾液を水酸化ナトリウム溶液(2×0.8L)およびブライン(0.8L)でそれぞれ洗浄する。大部分の溶媒を蒸留により除き、ついでヘプタン(1L)を加える。固体を0℃で濾過し、乾燥して表題化合物(白色固体,130g,73%)を得る。H NMR(CDCl):δ8.00(d,1H,J=8.2Hz),7.94(dd,1H,J=1.1Hz,7.3Hz),7.81(d,1H,J=8.9Hz),δ7.47(d,1H,J=2.4Hz),7.38(dd,1H,J=7.9Hz,8.0Hz),7.26(dd,1H,J=2.4Hz,8.9Hz),4.00(s,3H).
【0024】
実施例2
3,8−ジブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル
酢酸(5L)中の7−メトキシ−1−ナフトニトリル(500g,2.73mol)のスラリーへ、40ないし55℃、15分間にわたって、臭素(2.55kg,16.0mol)を加える。次いで、混合物を65℃に加温し、3時間攪拌する。混合物を室温に冷却する。水(3.0L)中の亜硫酸水素ナトリウム(1.3kg)の溶液を、反応温度を40℃未満に保ちながら、60分間にわたって加える。固体を濾過し、水(4×2.5L)で洗浄する。少量の試料を乾燥して分析する。残りの湿った生成物は、以下の実施例3の反応に直接的に用いる。乾燥した化合物は白色固体である。H NMR(CDCl):δ8.15(d,1H,J=2.1Hz),8.10(d,1H,J=2.1Hz),7.81(d,1H,J=9.1Hz),7.38(d,1H,J=9.1Hz),4.06(s,3H).
【0025】
実施例3
3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル
酢酸(5L)中の3,8−ジブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(1.62kg)および塩化スズ(II)二水和物(1.24kg,5.50mol)のスラリーへ、濃HCl(37重量%,2.50L)を、100℃、2時間にわたって、滴下漏斗から、加える。混合物を100℃で4時間攪拌する。次いで、混合物を室温に冷却する。固体を濾過し、1重量%のHCl(2×1.00L)、水(1.00L)で洗浄して乾燥し、表題化合物を白色固体(524g,73%)として得る。H NMR(CDCl):δ8.13(d,1H,J=1.8Hz),7.93(d,1H,J=1.9Hz),7.72(d,1H,J=9.0Hz),7.41(d,1H,J=2.4Hz),7.28(dd,1H,J=2.4Hz,9.0Hz),3.99(s,3H).
【0026】
実施例4
3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−メトキシ−1−ナフトニトリル
3−ブロモ−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(100g,0.382mol)、炭酸ナトリウム(121g,1.15mol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.27g、0.0004mol)、3−フルオロ−4−メトキシフェニルボロン酸(71.3g,0.420mol)、水(600mL)および1,2−ジメトキシエタン(1000mL)の混合物を、80℃に加温し、2時間攪拌し、次いで、水(600mL)を加える。混合物を室温に冷却する。固体を濾過し、水(2×200mL)で洗浄して乾燥し、表題化合物を白色固体(118g,98%)として得る。H NMR(CDCl):δ8.10(d,1H,J=1.6Hz),8.06(d,1H,J=1.9Hz),7.84(d,1H,J=9.0Hz),7.27−7.47(m,4H),7.08(t,1H,J=8.4Hz),4.01(s,3H),3.96(s,3H).
【0027】
実施例5
3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル
1,2−ジクロロエタン(2000mL)中の3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−7−メトキシ−1−ナフトニトリル(200g,0.651mol)のスラリーへ、反応温度を40℃未満に保ちながら、20分間にわたって、BBr(511g,2.04mol)を加える。次いで、混合物を83℃に加温し、4時間攪拌する。反応混合物を3℃に冷却して、冷水(2000mL)へ20分間にわたって加える。固体を濾過し、0.5NのHCl(4×1000mL)、水(1000mL)および冷エタノール(400mL)で洗浄、乾燥して粗生成物を得、これは、エタノールおよび水から再結晶され得、表題化合物を淡黄色固体(174g,96%)として得る。H NMR(DMSO−d6):δ10.48(s,1H),10.10(s,1H),8.44(s,1H),8.37(d,1H,J=1.8Hz),8.01(d,1H,J=9.0Hz),7.71(dd,1H,J=2.1Hz,10.8Hz),7.52(dd,1H,J=2.1Hz,8.4Hz),7.36(d,1H,J=2.1Hz),7.26(dd,1H,J=2.1Hz,8.7Hz),7.07(t,1H,J=9.0Hz).
【0028】
本明細書にて説明されていない本発明の多数のバリエーションが、当業者により想到されるだろう。本発明は、本明細書にて説明されかつ記載された実施態様に限定されないが、添付の請求の範囲内にある全ての対象物を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式V
【化1】

[式中、
は、CN、FまたはClであり;
は、HまたはBrであり;
ならびにRおよびRは、各々独立してHまたはFである]
の化合物の製造方法であって、式(II)
【化2】

[式中、RおよびRは、上記と同意義である]
の化合物を、式(IV)
【化3】

[式中、RおよびRは、上記と同意義である]
の化合物と、Pd(PPhClの存在下、反応させることを含んでなる、方法。
【請求項2】
反応が、NaCOの存在下、DME/水中で行われる、請求項1の方法。
【請求項3】
がCNである、請求項1または2の方法。
【請求項4】
がHである、請求項1ないし3いずれか1項の方法。

【化4】

[式中、R、R、RおよびRは、請求項1と同意義である]
【請求項6】
式(I)の化合物を与えるための式(V)の化合物の変換が、BBrとの反応により達成される、請求項5の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物を与えるための式(V)の化合物の変換が、ClCHCHCl中、BBrとの反応、続いてEtOH/HO/Cでの処理により達成される、請求項5または6の方法。
【請求項8】
式Iの化合物を医薬上許容される塩またはそのエステル形態に変換することをさらに含んでなる、請求項5ないし7いずれか1項の方法。
【請求項9】
式III
【化5】

の化合物を酢酸および濃塩酸の混合物中で塩化スズと共に加熱することにより式IIの化合物を製造することをさらに含んでなる、請求項1ないし8いずれか1項の方法。
【請求項10】
約40−70℃の温度で、酢酸中、約2−6当量の臭素を用いて、7−メトキシ−1−ナフトニトリルを二臭素化することにより、式IIIの化合物を製造することをさらに含んでなる、請求項9の方法。
【請求項11】
a)7−メトキシ−1−テトラロンおよびヨウ化亜鉛の溶液をトリメチルシリルシアニドと混合して反応混合物を形成し;
b)オキシ塩化リンおよびピリジンを反応混合物へ加えて不飽和ニトリルを形成し;次いで、
c)その不飽和ニトリルと2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを反応させる:
工程により、7−メトキシ−1−ナフトニトリルを製造することをさらに含んでなる、請求項10の方法。
【請求項12】
がFである、請求項1の方法。
【請求項13】
がHである、請求項12の方法。
【請求項14】
がCNであり、かつRがHである、請求項12の方法。
【請求項15】
a)7−メトキシ−1−テトラロンおよびヨウ化亜鉛の溶液をトリメチルシリルシアニドと混合して反応混合物を形成し;
b)オキシ塩化リンおよびピリジンを反応混合物へ加えて不飽和ニトリルを形成し;次いで、
c)その不飽和ニトリルと2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを反応させる:
ことを含んでなる、7−メトキシ−1−ナフトニトリルの製造方法。
【請求項16】
工程c)がトルエン中、約60℃で行われる、請求項15の方法。
【請求項17】
7−メトキシ−1−ナフトニトリルを二臭素化して式III
【化6】

の化合物を形成することをさらに含んでなる、請求項15の方法。
【請求項18】
式III
【化7】

の化合物。
【請求項19】
式Iの化合物の製造方法であって、以下の反応順序:
【化8】

[ここで、DMEは1,2−ジメトキシエタンをいい、TMSCNはトリメチルシリルシアニドをいい、およびDDQは2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンをいう]
を含んでなる、方法。


【公表番号】特表2007−505119(P2007−505119A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526182(P2006−526182)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028645
【国際公開番号】WO2005/026105
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】