説明

3−[(2−{[4−(ヘキシルオキシカルボニルアミノ−イミノ−メチル)−フェニルアミノ]−メチル}−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−5−カルボニル)−ピリジン−2−イル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステルまたはその塩を含む錠剤

本発明は、活性成分エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナートおよび薬理学的に許容されるその塩の新規な錠剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、活性成分エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナートまたは薬理学的に許容されるその塩の錠剤に関する。以下の化学式



を有するこの活性物質はWO 98/37075から既に知られており、そこでは、トロンビン抑制活性およびトロンビン持続時間延長(time-prolonging)活性を有する化合物が、1-メチル-2-[N-[4-(N-n-ヘキシルオキシカルボニルアミジノ)フェニル]-アミノ-メチル]-ベンズイミダゾル-5-イル-カルボン酸-N-(2-ピリジル)-N-(2-エトキシカルボニルエチル)-アミドの名で開示されている。式Iの化合物は、以下の化合物



のダブルプロドラッグである、即ち、式Iの化合物は体内においてのみ、実際に効果を有する化合物(即ち式IIの化合物)に変換される。化学式Iの化合物の主な適用範囲は、術後深部静脈血栓症の予防である。
【0002】
本発明の目的は、式Iの化合物(本明細書において、以下、活性物質とも表す)についての、経口使用用の改良された調合物を提供することである。
驚いたことに、20℃における水への溶解度が1g/250mlより高い、好ましくは25℃において1g/160mlより高い医薬的に許容される有機酸を固形経口調合物に使用することによって、エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナートおよび医薬的に許容されるその塩の著しく改善された生薬形体(galenic form)が得られることが明らかになった。
本発明の目的において、医薬的に適した酸は、例えば、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸およびリンゴ酸であり、その水和物および酸性塩も含まれる。本発明の目的においては、フマル酸が特に適している。
【0003】
本発明の好ましい実施態様は錠剤である。
前記錠剤は、5〜50重量%の活性物質(メタンスルホナートを基準とする)、5〜50重量%の、20℃における水への溶解度が1g/250mlより高い、医薬的に許容される有機酸、さらには他の賦形剤および充填剤を含む。使用し得る他の賦形剤および充填剤としては、例えば、1〜80重量%の充填剤、必要により使用される10重量%までの結合剤(即ち0〜10重量%の結合剤)、1〜10重量%の崩壊補助剤および0.25〜10重量%の滑沢剤が挙げられ、ここで、これらすべての成分の合計は100重量%となる。
10〜30重量%の活性物質(メタンスルホナートを基準とする)、10〜40重量%の医薬的に許容される有機酸、5〜70重量%の充填剤、3〜5重量%の結合剤、2〜6重量%の崩壊補助剤および1〜5重量%の滑沢剤を含む錠剤が好ましい。
特に好ましいのは、15〜25重量%の活性物質(メタンスルホナートを基準とする)、10〜30重量%の医薬的に許容される有機酸、50〜65重量%の充填剤、3〜5重量%の崩壊補助剤および1.5〜2.5重量%の滑沢剤を含む錠剤である。
【0004】
使用される酸成分は、20℃における水への溶解度が1g/250mlより高い医薬的に許容される有機酸(例えば酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸およびリンゴ酸であり、その水和物および酸性塩を含む)であり得る。使用される医薬的に許容される有機酸は、好ましくは酒石酸、フマル酸、コハク酸またはクエン酸であり;フマル酸が特に好ましい。
活性物質とは、式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩の1つを意味する。式Iの化合物のメタンスルホナート(メシラート)が好ましい。
【0005】
前述した充填剤、結合剤、崩壊補助剤および滑沢剤は、医薬業界で一般的に使用される、特性の特定された既知の化合物である。
使用し得る好ましい充填剤は、マンニトール、エリスリトール、ラクトース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、特に低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびアルファー化デンプンである。マンニトールを使用することが特に好ましい。
使用される結合剤は、好ましくは、ポリビニルピロリドン(ポビドン)またはN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー(コポビドン)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される部分的若しくは完全な合成物質であり得る。
好ましい崩壊補助剤としては、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋型セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩(クロスカルメロースナトリウム)が挙げられる。クロスポビドンが特に好ましい。
好ましい滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。
錠剤は、以下に説明する方法によって調製し得る:
【0006】
錠剤の調製
本発明の錠剤は、材料を直接混合および圧縮すること、または乾式造粒および圧縮することによって調製することができる。本発明の錠剤を調製するためには、例えば以下の手順を使用し得る。
活性物質、酸および充填剤(例えばマンニトール)を練合機内でプレミックスし、その後篩過する。粉体混合物を重力式混合機内に移し、崩壊補助剤(例えばクロスポビドン)および必要により他の賦形剤(例えば、必要な場合、結合剤)を加え、そして一緒に混合する。滑沢剤(特にステアリン酸マグネシウムおよびショ糖脂肪酸エステル)を加えた後、材料を再び混合する。このようにして得られた活性物質と賦形剤の混合物は、その後、適切な打錠機を使用して圧縮され、本発明の錠剤が製造される。
医薬組成物における活性物質の含有量は5〜50%、好ましくは10〜30%であり;医薬的に許容される有機酸の含有量は通常5〜50%、好ましくは10〜40%である。
別途記載しない限り、示したパーセンテージは、各ケースにおいて重量パーセントである。
【0007】
式Iの化合物を含む従来の錠剤による初回の臨床試験においては、血漿濃度のばらつきが大きく、個別のケースでは吸収不良にまで変動することが判明した。式Iの化合物を経口液剤として投与した場合には血漿濃度パターンの変動度ははるかに低く、吸収不良の事例は観察されなかった。
式Iの化合物を含む本発明の調合物の1つの利点は、その使用により活性物質の十分な生物学的利用能が得られ(前記生物学的利用能は従来の医薬調製物で得られるものより良好であり、かつ、胃のpHからほぼ独立である)、活性物質の生物学的利用能のばらつきを減らし、吸収不良を防ぐことである。本発明の医薬組成物の別の有利な特性は、すべての患者(即ち、通常の生理学的変動、疾患または胃内pHを上昇させる薬剤(例えばパントプラゾール)との共投与の結果として胃内pHの上昇した患者も含む)に対する適合性である。
経口投与の用量は、適切には(1錠あたり)活性物質塩基25〜300mg、好ましくは50〜200mg、特に好ましくは活性物質塩基75〜150mgを、各ケースにおいて1日に1回または2回の用量である。
以下の実施例は、本発明の例証を目的とするものである:
(実施例)
【0008】
実施例1
BIBR 1048錠剤50mg











【0009】
実施例2
BIBR 1048錠剤100mg

【0010】
実施例3
BIBR 1048錠剤150mg

【0011】
実施例4
エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナート-メタンスルホナートの調製


【0012】
酢酸エチル25ml中に5.0mmolメタンスルホン酸を含む溶液を、周囲温度で、撹拌しながら、酢酸エチル250ml中に3139mg(5.0mmol)のエチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナート塩基(WO 98/37075の記載に従って調製)を含む溶液に滴下した。数分後に、生成物が結晶析出し始めた。周囲温度で1時、そして氷冷しながら更に1時間撹拌し、その後、沈殿物を吸引濾過し、約50mlの酢酸エチルおよび50mlのジエチルエーテルで洗浄し、そして50℃において循環式熱風乾燥機で乾燥させた。
収率:理論値の94%
融点:178-179℃
C34H41N7O5 x CH4SO3 (723.86)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナートまたは医薬的に許容されるその塩の1つ、および
b) 20℃における水への溶解度が1g/250mlより高い、医薬的に許容される1以上の有機酸、
を、従来からの賦形剤および充填剤と共に含む錠剤。
【請求項2】
医薬的に許容される有機酸が、酒石酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸若しくはリンゴ酸またはその水和物若しくは酸性塩の1つである、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
医薬的に許容される有機酸がフマル酸である、請求項2に記載の錠剤。
【請求項4】
医薬組成物におけるエチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナートまたはその塩の含有量が、メタンスルホナートを基準として5〜50%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項5】
医薬的に許容される有機酸の含有量が5〜50%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項6】
エチル 3-[(2-{[4-(ヘキシルオキシカルボニルアミノ-イミノ-メチル)-フェニルアミノ]-メチル}-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-5-カルボニル)-ピリジン-2-イル-アミノ]-プロピオナート メタンスルホナートが活性物質として使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の錠剤。

【公表番号】特表2007−502788(P2007−502788A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523572(P2006−523572)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008934
【国際公開番号】WO2005/018615
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】