説明

3次元カメラモジュール、それを備えた携帯端末及び携帯電話機

【課題】3次元カメラモジュールにおいて、生産工程での2台のカメラの取付誤差を防ぐと共に、組立後の衝撃等により2台のカメラの取付位置がずれないようにする。
【解決手段】3次元画像を撮影可能な3次元カメラモジュール10において、フレキシブル基板11を有する直方体状の2台のカメラ12を、成型品よりなるホルダ20の左右に所定の間隔離れた一対の断面矩形状の収容凹部21にそれぞれ収容する。収容凹部21内に位置規制バネ40を嵌合させ、収容凹部21内で各カメラ12を収容凹部21の直交する2つの内面に押しつけてカメラ12の位置を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元カメラモジュール、3次元カメラモジュールを備えた携帯端末及び3次元カメラモジュールを備えた携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の間で3次元テレビや3次元立体視ゲームが普及してきている。3次元画像は、右目用画像と左目用の画像とをそれぞれ別のカメラで同時に撮影し、これら2つの画像を1つの画像に合成するように表示することで得られる。
【0003】
例えば、特許文献1のような撮像装置に同一方向を撮影するための2台のカメラを搭載し、その撮像から3次元画像を作り出すことが行われている。2台のカメラの距離や光軸の傾きの一定許容内で撮影された画像を画像処理することで3次元画像を生成するため、複数のカメラを位置や光軸のずれがないようにカメラ筺体に組み込む必要がある。
【0004】
また、特許文献2のように、携帯電話機等に使用される小型のカメラユニットが知られている。この種のカメラユニットは、厚さの薄い携帯電話機の筐体内に設けられるため、基板にフレキシブル基板を介して接続されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−141518号公報
【特許文献2】特開2005−157107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来より、カメラユニットを使用する場合には、例えば図12に示すように、カメラユニット110は、カメラ112をノイズ対策のシールド板金140で包んでホルダ120に嵌め込んで上下のクッション116,132で挟み込まれた状態でフレキシブル基板111を接続して基板104に固定される。このような構成では、生産工程でのバラツキが生じやすく、図13のようにホルダ120内での正規の取付位置に対してカメラ112は傾いたり、上下方向にずれたりして光軸112bが安定しない。このようなカメラユニット110を2台用いて特許文献1のように3次元画像を作り出そうとすると、一定の方向性を持って取り付けられることが困難となり、また、仮に出荷時に許容範囲内のずれで2台のカメラ112が取り付けられていても、落下等の衝撃によりカメラユニット110がずれてしまうことが発生し得る。許容範囲を超えて光軸112bがずれた状態で2台のカメラ112が取り付けられている場合に撮像を行うと、2台のカメラ112の画像の水平方向、垂直方向及び回転方向に画像のずれが生じる。ソフトウエアの処理によって各々のカメラ112で撮像したこれらの画像のずれを検出し、トリミング、回転、拡大縮小処理等を行ったとしても、2台のカメラ112が撮像した画像のずれやぶれが大きい場合には、整合性のとれた左目用と右目用の画像を生成ができなくなり、最悪の場合は3D画像の生成ができなくなるといった問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生産工程での2台のカメラの取付誤差を防ぐと共に、組立後の衝撃等により2台のカメラの取付位置がずれないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、位置規制バネにより、成型品のホルダ内でカメラを所定の方向に付勢するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
3次元画像を撮影可能な3次元カメラモジュールを前提とし、
上記3次元カメラモジュールは、
フレキシブル基板を有する直方体状の2台のカメラと、
上記2台のカメラをそれぞれ収容する左右に所定の間隔離れた一対の断面矩形状の収容凹部を有する、成型品よりなるホルダと、
上記収容凹部内に嵌合され、該収容凹部内で上記各カメラを該収容凹部の直交する2つの内面に押しつけて該カメラの位置を規制する位置規制バネとを備えている。
【0010】
上記の構成によると、成型品よりなるホルダは、複雑な形状でも精度良く成型でき、その収容凹部の直交する2つの内面にカメラを位置規制バネで押しつけるので、一対のカメラがそれぞれ収容凹部内に精度良く位置決めされる。このため、生産工程でのバラツキが生じにくく、収容凹部内でのカメラの傾き、ずれが発生しにくくなって光軸が安定する。しかも、衝撃を受けても位置規制バネがカメラを収容凹部の直交する2つの内面に押しつけているので、カメラが収容凹部内でずれるのが防止される。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記各カメラは、上記位置規制バネにより、上下いずれか同じ方向に付勢されると共に、左右のいずれかの方向に付勢されている。
【0012】
上記の構成によると、位置規制バネによって一対のカメラを同じ方向に付勢することで、ずれの影響を補正しにくい上下方向のずれを最小限にすることができる。一方、人間の目が左右に離れて配置されている関係上、多少のずれは許容される左右方向については、必ずしも同じ方向に付勢する必要はない。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記位置規制バネは、断面L字状に折り曲げ形成され、各収容凹部の隅角部に配置され、各カメラを左右方向及び上下方向に付勢するように配置されている。
【0014】
上記の構成によると、1つの位置規制バネでカメラを上下方向及び左右方向に押圧できるので、部品点数が減り、収容凹部への組付も容易である。
【0015】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
上記各収容凹部の底面側の隅角部には、各カメラが上記位置規制バネの付勢力よりも大きい力で該位置規制バネを押圧したときに該カメラの側面が当接する突起部が形成されており、
上記各位置規制バネは、先端が収容凹部の底面側に向かって先細となるバネ部を有する。
【0016】
上記の構成によると、突起部を設けることで過大な荷重がカメラに加わった場合にカメラの移動する範囲が制限される。また、位置規制バネのバネ部の先端を先細にしているので、突起部とバネ部とが干渉しない。更にバネ部の基端側を太くすることにより、必要な弾性係数を確保できる。
【0017】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記ホルダの底面側は、上記一対のカメラのレンズを露出するための一対の窓部を有するステンレスフレームで覆われている。
【0018】
上記の構成によると、平面度の高く剛性の高いステンレスフレームでホルダのレンズ側を覆うことにより、一対のカメラのレンズ面の平行度を一定に保ちながら剛性及び強度を高めることができるので、位置決めされた一対のカメラのずれを効果的に防止することができる。
【0019】
第6の発明では、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記一対のカメラは、上記フレキシブル基板で連結され、1つの信号送受信用コネクタを有すると共に、一対のグランド用配線を有する。
【0020】
上記の構成によると、信号送受信用コネクタを一対のカメラで共通にすることにより、メイン基板との接続を容易にすることができると共に、部品点数が減る。また、一対のグランド用配線をメイン基板に接続することで確実にノイズ対策が行われる。
【0021】
第7の発明では、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、
上記一対の収容凹部間には、上記一対のカメラを接続するメイン基板とは別のサブ基板を配置可能な基板嵌合凹部が形成されている。
【0022】
上記の構成によると、一対のカメラ間の余った空間にサブ基板を配置できるので、狭い空間に多くの電子部品を実装できるようになり、カメラを2台設けることによるメイン基板の電子部品の実装面積の減少を補うことができる。また、1つのホルダで一対のカメラとサブ基板とを固定できるので、部品点数が減る。
【0023】
第8の発明では、第7の発明の3次元カメラモジュールを備える携帯端末において、
上記3次元カメラモジュールは、該3次元カメラモジュールのフレキシブル基板をメイン基板上に接続した状態で、該メイン基板に貫通した一対の貫通孔内に上記一対のカメラをそれぞれ貫通させるように上記ホルダに設けた係止爪により該メイン基板に取り付けられ、
上記サブ基板は、上記メイン基板と距離をあけて上記基板嵌合凹部に配置されている。
【0024】
すなわち、カメラの性能を確保する必要性からカメラの厚みを薄くするには限度があり、このカメラをメイン基板の上に配置しようとすると、携帯端末の厚みを薄くすることができない。このため、一対のカメラを基板上に配置することができず、カメラユニットの外形面積分のメイン基板を削除し、その部分にカメラを挿通して、携帯端末の厚みが厚くならないようにしている。このため、2台のカメラを基板に挿通させて配置するので、より多くのメイン基板の面積を削除する必要がある。メイン基板の面積減少によってメイン基板への電子部品の実装面積が減少するので、メイン基板への電子部品の実装が阻害されるという問題が生じる。しかしながら、本発明によると、一対のカメラ間の基板嵌合凹部にメイン基板とは別のサブ基板を配置し、ホルダと共にメイン基板に取り付けられるので、取付が容易であると共に、電子部品の実装面積が確保される。
【0025】
第9の発明では、第8の発明において、
上記ホルダは、上記基板嵌合凹部に上記メイン基板に固定するためのボス部を有し、該ボス部は、上記サブ基板を該ホルダに固定する役割も果たす構成とする。
【0026】
上記の構成によると、基板嵌合凹部に設けたボス部にネジを挿通してメイン基板に固定することでサブ基板も固定できるので、取付が容易であると共に3次元カメラモジュールの周辺の剛性が更に向上する。
【0027】
第10の発明では、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、
上記一対のカメラを左右に並べた状態で正面側の表示部を見ながら3D画像を撮影するように構成されている。
【0028】
上記の構成によると、一対のカメラを正確に位置決めしてコンパクトに実装することができるので、携帯電話機のサイズを大きくすることなく、精度の良い3次元画像を撮影することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、成型品よりなるホルダ内に位置規制バネを嵌合し、ホルダ内で各カメラを収容凹部の直交する2つの内面に押しつけてカメラの位置を規制するようにしたことにより、生産工程での2台のカメラの取付誤差を防ぐと共に、組立後の衝撃等により2台のカメラの取付位置がずれないようにすることができるため2つのカメラレンズの光軸を一定方向に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態の3次元カメラモジュール及びメイン基板の分解斜視図である。
【図2】携帯電話機を正面側から見た斜視図である。
【図3】携帯電話機を背面側から見た斜視図である。
【図4】3次元カメラモジュールが取り付けられたメイン基板を示す斜視図である。
【図5】他の方向から見た図4相当図である。
【図6】一対のカメラを示し、(a)が正面図で、(b)が底面図で、(c)が背面図である。
【図7】ホルダを拡大して示す斜視図である。
【図8】ステンレスフレームの内面側を拡大して示す斜視図である。
【図9】位置規制バネを拡大して示し、(a)が内面側から見た斜視図で、(b)が外面側から見た斜視図である。
【図10】位置規制バネがカメラを付勢する様子の概略を示し、(a)が正面図で、(b)が(a)のXb−Xb線断面図である。
【図11】その他の実施形態に係る3次元カメラモジュールを示す斜視図である。
【図12】従来の3次元カメラモジュールを示す分解斜視図である。
【図13】従来の3次元カメラモジュールにおけるカメラの光軸のずれを説明する図であり、(a)が正面図で、(b)が(a)のXIIIb−XIIIb線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図2及び図3は、本発明の実施形態の3次元カメラモジュール10を備えた携帯端末としての携帯電話機1を示し、この携帯電話機1は、正面側に3D画像を表示可能な表示部2を備えている。また携帯電話機1は、樹脂成形品等よりなる筐体3の内部に、図1、図4及び図5に示すように、プリント基板よりなるメイン基板4を備え、このメイン基板4に3次元カメラモジュール10が取り付けられている。このことで、携帯電話機1は、図3に被写体側から見た様子を示すように、横長に手に持って、後述する一対のカメラ12を左右に並べた状態で正面側の表示部2を見ながら右手でシャッター3bを押して3D画像を撮影するように構成されている。
【0033】
本実施形態の3次元カメラモジュール10は、図6に拡大して示すように、フレキシブル基板11を有する直方体状の一対のカメラ12を備えている。カメラ12は、角筒状の金属製フレーム12aで覆われ、そのフレキシブル基板11と反対側の正面側からレンズ13が覗いている。一対のレンズ13は、筐体3のカメラ用窓3aから覗くことができるようになっている(図3参照)。一対のカメラ12は、各カメラ12に接続されたフレキシブル基板11の先端で連結され、この先端にメイン基板4に接続するための1つの信号送受信用コネクタ14が設けられている。各カメラ12は、それぞれグランド用配線15を有し、このグランド用配線15をメイン基板4に接続することでノイズ対策が行われている。このように信号送受信用コネクタ14を一対のカメラ12で共有することにより、メイン基板4との接続を容易にすることができると共に、部品点数が減っている。
【0034】
一対のカメラ12は、メイン基板4に固定されるABS樹脂その他のエンジニアリングプラスチック、Mg合金などの成型品よりなるホルダ20(図7に示す)に取り付けられている。ABS樹脂その他のエンジニアリングプラスチック、Mg合金などの比較的剛性が高く複雑な形状でも成型しやすいものがホルダ20の材料として適している。ホルダ20は、各カメラ12を収容する左右に所定の間隔離れた一対の断面矩形状(角筒状)の収容凹部21を有する。収容凹部21は、左右側壁21a及び上下側壁21bをそれぞれ有する。成型により左右側壁21a及び上下側壁21bの平面度が高く保たれている。ホルダ20は、メイン基板4側に鉤状の突起を有する複数の係合爪22を備え、図1に示すように、この係合爪22をメイン基板4に貫通形成した貫通孔としてのホルダ嵌合孔4aに挿入して鉤状の突起を係合させることで、メイン基板4に固定されている。
【0035】
一対の収容凹部21間には、一対のカメラ12を接続するメイン基板4とは別のサブ基板5を配置可能な基板嵌合凹部23が形成されている。図1に示すように、サブ基板5は、一方の収容凹部21の外周を避けるための矩形状の切欠5aを有する。また、切欠5aの近くに一対のネジ挿通孔5bを有する。
【0036】
そして、サブ基板5を基板嵌合凹部23に嵌め込んで、ホルダ20における一対の収容凹部21間に設けた一対のボス部24と、サブ基板5のネジ挿通孔5bとを位置合わせし、係合爪22をホルダ嵌合孔4aに係合させてホルダ20を係止し、ネジ挿通孔5bとボス部24とにホルダ取付用ネジ25を挿通してメイン基板4のネジ穴4bに締結することで、サブ基板5が嵌合されたホルダ20がメイン基板4に堅固に固定されるようになっている。このようにしてサブ基板5は、図4に示すように、メイン基板4と平行に距離をあけて基板嵌合凹部23に配置されている。なお、サブ基板5に実装する電子部品は、サブ基板5とメイン基板4との信号線を少なくするために、信号線の数が少ない、例えば記憶媒体接続部品等が適しており、そのことで、サブ基板5とメイン基板4との間の信号線をつなぐコネクタ(図示せず)が小さくなる。
【0037】
このように、一対のカメラ12間の余った空間にサブ基板5の一部を配置できるので、狭い空間に多くの電子部品を実装できるようになり、カメラ12を2台設けることによるメイン基板4の電子部品の実装面積の減少を補っている。また、ホルダ20が一対のカメラ12を保持する機能だけでなく、サブ基板5を保持する機能を有するので、部品点数が減ると共に省スペース化が図られる。
【0038】
図1及び図4に示すように、ホルダ20の底面側(携帯電話機1の背面側)は、例えば薄いステンレス鋼板をプレス成形したステンレスフレーム30で覆われている。ステンレスフレーム30は、一対のカメラ12のレンズを露出するための一対の窓部31を有し、図8に示すように、その背面側には、ホルダ20との間に緩衝材として直方体状の内面クッション32が貼り付けられている。ステンレスフレーム30は、複数の係合孔33を有し、この係合孔33にホルダ20の係合突起26を係合させることで、ステンレスフレーム30がホルダ20に嵌め込まれるようになっている。また、ステンレスフレーム30の外面には、防塵クッション34(図1にのみ示す)が貼り付けられて筐体3のカメラ用窓3aから埃などが侵入するのを防ぐようにしている。
【0039】
そして、ホルダ20の各収容凹部21には、それぞれ位置規制バネ40が嵌合されるようになっている。この位置規制バネ40は、収容凹部21内で各カメラ12を収容凹部21の内面に押しつけてカメラ12の位置を規制する役割を果たしている。具体的には、図9に示すように、位置規制バネ40は、断面L字状に直角に折り曲げ形成されたバネ本体41を有し、バネ本体41の一端側(携帯電話機1の正面側)にホルダ20に引っ掛かるための複数の係止部42が設けられている。そしてバネ本体41は、2つのバネ部43を有し、このバネ部43は、先端43aが収容凹部21の底面側に向かって先細となっている。一方、図7に示すように、各収容凹部21の底面側における位置規制バネ40が設けられる3つの隅角部には、各カメラ12が位置規制バネ40の付勢力よりも大きい力で位置規制バネ40を押圧したときにカメラ12の側面が当接する突起部27がそれぞれ形成されている。
【0040】
このように、1つの位置規制バネ40で1つのカメラ12を上下方向及び左右方向に押圧できるので、部品点数が減り、ホルダ20への組付も容易となっている。また、収容凹部21に突起部27を設けることで過大な荷重がカメラ12に加わった場合にカメラ12の移動する範囲が制限されている。また、位置規制バネ40のバネ部43の先端43aを先細にしているので、突起部27とバネ部43とが干渉せず、更にバネ部43の基端側を太くすることにより、必要な弾性係数を確保している。
【0041】
そして、図1に示すように、位置規制バネ40が装着された一対の収容凹部21に一対のカメラ12をメイン基板4の裏側(図1の下側)から装着し、フレキシブル基板11及びグランド用配線15をメイン基板4上に接続するようになっている。各カメラ12の背面側(フレキシブル基板11側)は、矩形状の背面クッション16が貼り付けられている。
【0042】
図10で概要を示すように、位置規制バネ40は、左右の収容凹部21の右上隅角部21cと左上隅角部21dに配置されている。右上隅角部21cに配置された位置規制バネ40の一対のバネ部43は、カメラ12を左側及び下側に付勢する。左上隅角部21dに配置された位置規制バネ40の一対のバネ部43は、カメラ12を右側及び下側に付勢する。このように各カメラ12は、位置規制バネ40により、いずれも下側に付勢されて下側壁21bに押圧されるので、その取付位置が上下方向にずれない。しかも、各カメラ12は、左右に近付くように付勢されているので、左右方向のずれも防止される。なお、一対のカメラ12をいずれも上方向に付勢するように位置規制バネ40を配置しても良い。位置規制バネ40によって一対のカメラ12をいずれも上下同じ方向に付勢することで、ずれの影響を補正しにくい上下方向のずれを最小限にすることができる。一方、多少のずれは許容される左右方向については、必ずしも同じ方向に付勢する必要はない。
【0043】
このように、樹脂成型品よりなるホルダ20は、複雑な形状でも精度良く成型でき、そのホルダ20の収容凹部21の内面にカメラ12を位置規制バネ40で押しつけるので、一対のカメラ12がそれぞれホルダ20内に精度良く位置決めされる。このため、生産工程でのバラツキが生じにくく、ホルダ20内でのカメラ12の傾き、ずれが発生しにくくなって光軸12bが安定する。しかも、衝撃を受けても位置規制バネ40がカメラ12を収容凹部21の内面に押しつけているので、カメラ12がホルダ20内でずれるのが防止される。
【0044】
また、平面度の高く剛性の高いステンレスフレーム30でホルダ20のレンズ13側の全体を覆うことにより、一対のカメラ12のレンズ面の平行度を一定に保ちながら、剛性及び強度を高めて位置決めされた一対のカメラ12のずれを防止することができる。
【0045】
更に、一対のカメラ12を正確に位置決めしてコンパクトに実装することができるので、携帯電話機1のサイズを大きくすることなく、3次元画像を撮影することができる。
【0046】
したがって、本実施形態に係る3次元カメラモジュール10によると、生産工程での2台のカメラ12の取付誤差を防ぐと共に、組立後の衝撃等により2台のカメラ12の取付位置がずれないようにすることができる。これにより、2つのカメラレンズの光軸を一定方向に保つことができる。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としても良い。
【0048】
すなわち、上記実施形態では、ホルダ20にサブ基板5を収容する基板嵌合凹部23を設けたが、ホルダ220には基板嵌合凹部23に相当する部分を設けず、図11に示すように、ユニット化した3次元カメラモジュール210としても良い。この場合には、予めユニット化された3次元カメラモジュール210をメイン基板4へ嵌合させれば良いので、取付が極めて容易であるとともに、メイン基板4への取付時に一対のカメラ12の光軸12bがずれることはない。
【0049】
上記実施形態では、携帯端末は、携帯電話機1としたが、PHS(Personal Handy-phone System )、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、モバイルツール、電子辞書、電卓、ゲーム機等であっても良い。
【0050】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明は、2台のカメラを有する3次元カメラモジュール、3次元カメラモジュールを備えた携帯端末及び3次元カメラモジュールを備えた携帯電話機について有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 携帯電話機(携帯端末)
2 表示部
4 メイン基板
4a ホルダ嵌合孔(貫通孔)
5 サブ基板
10 3次元カメラモジュール
11 フレキシブル基板
12 カメラ
13 レンズ
14 信号送受信用コネクタ
15 グランド用配線
20 ホルダ
21 収容凹部
21a 左右側壁
22 係合爪
23 基板嵌合凹部
24 ボス部
27 突起部
30 ステンレスフレーム
31 窓部
40 位置規制バネ
43 バネ部
43a 先端
210 次元カメラモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像を撮影可能な3次元カメラモジュールにおいて、
フレキシブル基板を有する直方体状の2台のカメラと、
上記2台のカメラをそれぞれ収容する左右に所定の間隔離れた一対の断面矩形状の収容凹部を有する、成型品よりなるホルダと、
上記収容凹部内に嵌合され、該収容凹部内で上記各カメラを該収容凹部の直交する2つの内面に押しつけて該カメラの位置を規制する位置規制バネとを備えている
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記各カメラは、上記位置規制バネにより、上下いずれか同じ方向に付勢されると共に、左右のいずれかの方向に付勢されている
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記位置規制バネは、断面L字状に折り曲げ形成され、各収容凹部の隅角部に配置され、各カメラを左右方向及び上下方向に付勢するように配置されている
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記各収容凹部の底面側の隅角部には、各カメラが上記位置規制バネの付勢力よりも大きい力で該位置規制バネを押圧したときに該カメラの側面が当接する突起部が形成されており、
上記各位置規制バネは、先端が収容凹部の底面側に向かって先細となるバネ部を有する
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記ホルダの底面側は、上記一対のカメラのレンズを露出するための一対の窓部を有するステンレスフレームで覆われている
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記一対のカメラは、上記フレキシブル基板で連結され、1つの信号送受信用コネクタを有すると共に、一対のグランド用配線を有する
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の3次元カメラモジュールにおいて、
上記一対の収容凹部間には、上記一対のカメラを接続するメイン基板とは別のサブ基板を配置可能な基板嵌合凹部が形成されている
ことを特徴とする3次元カメラモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の3次元カメラモジュールを有する携帯端末において、
上記3次元カメラモジュールは、該3次元カメラモジュールのフレキシブル基板をメイン基板上に接続した状態で、該メイン基板に貫通した一対の貫通孔内に上記一対のカメラをそれぞれ貫通させるように上記ホルダに設けた係止爪により該メイン基板に取り付けられ、
上記サブ基板は、上記メイン基板と距離をあけて上記基板嵌合凹部に配置されている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯端末において、
上記ホルダは、上記基板嵌合凹部に上記メイン基板に固定するためのボス部を有し、該ボス部は、上記サブ基板を該ホルダに固定する役割も果たす
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の3次元カメラモジュールを背面に備え、
上記一対のカメラを左右に並べた状態で正面側の表示部を見ながら3D画像を撮影するように構成されている
ことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−220942(P2012−220942A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90322(P2011−90322)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】