3次元表示装置及びデジタルズーム補正方法
【課題】3次元表示装置において、3次元表示された画像をデジタルズームしたときに生じる立体視を行うユーザの疲労感や不快感を軽減する。
【解決手段】視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置において、デジタルズーム手段による2次元画像のデジタルズーム率を取得し、取得したデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の複数の2次元画像間の視差量を、デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、デジタルズームされた複数の2次元画像間の視差量が拡大視差量となるようにデジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、修正した複数の2次元画像に基づいて表示手段に3次元表示をさせる。
【解決手段】視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置において、デジタルズーム手段による2次元画像のデジタルズーム率を取得し、取得したデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の複数の2次元画像間の視差量を、デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、デジタルズームされた複数の2次元画像間の視差量が拡大視差量となるようにデジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、修正した複数の2次元画像に基づいて表示手段に3次元表示をさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な3次元表示装置及び該3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を組み合わせて3次元表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視は、同一の被写体を異なる位置から複数のカメラを用いて撮影することにより、視差を有する複数の画像(視差画像とする)を取得し、複数の視差画像に含まれる被写体の視差を利用して複数の画像を3次元表示させることにより行うことができる。
【0003】
具体的には、複数の画像の色を例えば赤と青のように異ならせて重ね合わせたり、複数の画像の偏光方向を異ならせて重ね合わせることにより、複数の画像を合成して立体画像を生成することができる。この場合、立体画像を表示して、赤青メガネや偏光メガネ等の画像分離メガネを用いて表示された立体画像を目の自動焦点機能により融合視することにより、画像を立体視することができる(アナグリフ方式、偏光フィルタ方式)。
【0004】
また、偏光メガネ等を使用しなくても、パララックスバリア方式およびレンチキュラー方式のように、立体画像を立体視可能な3D液晶に表示して立体視することも可能である。この場合、複数の画像を垂直方向に短冊状に切り取って交互に配置することにより、立体画像が生成される。また、画像分離メガネを使用したり、光学素子を液晶に貼ることで左右の画像の光線方向を変えながら、左右の画像を交互に表示することにより、画像を立体視することも可能である(時分割方式)。
【0005】
一方、デジタルズームが可能な表示装置では、画像をデジタルズームによって拡大することにより画質は粗くなるが大きな画像の表示を行うことができる。また上記のような立体視可能な3次元表示装置において、3次元表示される画像をデジタルズームしようとした場合に、複数の2次元の視差画像を各々デジタルズームするため、表示箇所毎に視差画像間の視差量に誤差が生じてしまい3次元表示されたときに3次元画像が歪んでしまったり、立体感が少なすぎたり、又は過剰な立体感が生じたりして、立体視を行うユーザに疲労感や不快感を与えてしまうことがある。
【0006】
立体視を行うユーザに疲労感や不快感を与えないための方法としては、例えば立体視を行うユーザの視線検出を行って、ユーザが見ている位置に表示面を常に移動するようにすることにより、輻輳と焦点調節の矛盾から生じる疲労感が少ない立体画像を表示するようにした3次元表示方法(特許文献1)や、予め定められた複数の視差パターンの判定を行い、この判定結果に基づいて少なくとも1つの視差画像を補正することにより立体画像の歪みを抑えるようにする方法(特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−223609号公報
【特許文献2】特開2001−128195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記特許文献1,2に記載された方法は、3次元表示された画像をデジタルズームしたときに生じる立体視を行うユーザの疲労感や不快感等については記載されていない。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、3次元表示された画像をデジタルズームしたときに生じる立体視を行うユーザの疲労感や不快感を軽減することができる3次元表示装置及びデジタルズーム補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の3次元表示装置は、視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段と、
該デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得するズーム率取得手段と、
該ズーム率取得手段により取得された前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正する視差修正手段と、
該修正された複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示を行わせる表示制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の3次元表示装置においては、前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであり、
前記視差修正手段が、前記デジタルズームされた前記低解像度画像に対して前記修正を行うものであって、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理する伸張手段をさらに備え、
前記表示制御手段が、前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせるものであってもよい。
【0012】
また本発明の3次元表示装置においては、前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記表示制御手段が、前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記表示制御手段が前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから前記伸張処理された複数の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから前記伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定する時間設定手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明のデジタルズーム補正方法は、視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法において、
前記デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得し、
該取得した前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、
該修正した複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示をさせることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のデジタルズーム補正方法においては、前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであって、
前記視差量の前記修正を前記低解像度画像に対して行い、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理し、
前記視差量を修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行ってもよい。
【0015】
また本発明のデジタルズーム補正方法においては、前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記修正した複数の低解像度画像に基づいて3次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記3次元表示するまでに要する時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記2次元表示するまでに要する時間を短く設定してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の3次元表示装置及びデジタルズーム補正方法によれば、視差を有する複数の2次元画像のデジタルズーム率を取得し、取得した前デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の複数の2次元画像間の視差量を、デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、デジタルズームされた複数の2次元画像間の視差量が拡大視差量となるようにデジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、修正した複数の2次元画像に基づいて表示手段に3次元表示をさせるので、デジタルズームにより拡大された複数の2次元画像間の視差量を弱めることができ、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】デジタル拡大ズームを説明する図
【図3】デジタル拡大ズーム時の視差量を説明する図
【図4】視差量の修正を説明する図
【図5】図1の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図7】従来のデジタル拡大ズームを説明する図
【図8】第2の実施形態のデジタル拡大ズームを説明する図
【図9A】図6の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その1)
【図9B】図6の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その2)
【図10】本発明の第3の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図11A】図10の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その1)
【図11B】図10の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その2)
【図12】時間設定部13による時間設定を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明にかかる第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による3次元表示装置1の構成を示す概略ブロック図、図2はデジタル拡大ズームを説明する図、図3はデジタル拡大ズーム時の視差量を説明する図である。図1に示すように第1の実施形態による3次元表示装置1は、画像入力部2、デジタルズーム部3、ズーム率取得部(ズーム率取得手段)4、視差修正部(視差修正手段)5、各種入力を行うキーボード、マウス、デジタルズーム部3における縮小ズーム又は拡大ズームのズーム量を指示するズームボタン6A等からなる操作部6、各種表示を行う液晶モニタ等の表示部(表示手段)7、表示部7に2次元表示又は3次元表示を行わせる表示制御部8、各種情報を記憶する内部メモリ9、入力された画像データを伸張する伸張部(伸張手段)10並びに制御部11を備え、各部がバス12により接続されている。
【0019】
画像入力部2は、3次元表示装置1において表示部7に3次元表示を行うための視差を有する複数の2次元画像が格納された3次元表示用の画像ファイルを装置1に入力するものであり、3次元表示用の画像ファイルが記録されたメディア2Aから画像ファイルを読み出すメディアドライブ、ネットワーク経由で画像ファイルの入力を受け付ける有線または無線のインターフェース等、画像ファイルを入力するための公知の種々の手段を用いることができる。本実施形態においては、画像入力部2をメディア2Aから画像ファイルを読み出すものとする。
【0020】
なお、画像ファイルに格納された2次元画像はJPEG等の圧縮方式により圧縮されているため、入力された2次元画像を伸張部10によって伸張して、その後の処理に使用する。
【0021】
ここで、視差を有する複数の2次元画像とは、異なる複数の撮影位置において被写体を撮影することにより取得されるものであり、複数の2次元画像に含まれる被写体が撮影位置の違いに応じた視差を有するものとなっている。なお、本実施形態では視差を有する2次元画像を2つとして以下説明するものとし、2つの2次元画像は、2つの撮影位置すなわち左側および右側の撮影位置において取得されるものであるため、右画像及び左画像と称するものとする。
【0022】
デジタルズーム部3は、操作部6としてのズームボタン6Aの操作量に応じて左画像と右画像をそれぞれデジタルズームするものである。具体的には左画像と右画像を、例えば図2に示す如く、左図の画像P中の人物の顔Fの画像データのみを拡大し、周囲の画像データを切り捨てて右図のような人物の顔Fのみの画像を生成する。
【0023】
ズーム率取得部4は、デジタルズーム部3による右画像及び左画像のデジタルズーム率を取得するものであり、上記ズームボタン6Aの操作量を検出することにより取得することができる。
【0024】
視差量修正部5は、ズーム率取得部4により取得されたデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされた右画像と左画像との間の視差量を修正するものである。例えばデジタルズームされる前の左画像と右画像が、各々160×120ピクセルの画像であり、画像中にそれぞれ円が存在しているものとする。左画像と右画像とは視差を有しているので、右画像中の円と左画像中の円とでは各々の画像中での位置が異なっており、図3の左図に示す如く、それぞれの円の水平方向の位置のずれが視差量A0となる。そしてデジタルズーム部3によって左画像と右画像をそれぞれ円を中心として例えば400%つまり640×480ピクセルに拡大すると、図3の右図に示す如く、デジタルズームされる前の画像よりも画像の解像度が低くなるため、デジタルズームされる前の画像と比較して円周が滑らかではなくガタガタした形状になってしまい、デジタルズームされた後の画像(図3の右図)における視差量Aがデジタルズームされる前の画像(図3の左図)における視差量A0の4倍とはならずに誤差が生じてしまう。
【0025】
この誤差が生じることにより、表示制御部8がデジタルズームされた後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせると、立体視を行うユーザが表示部7を観察したときにデジタルズームされる前の左画像と右画像に基づいた3次元表示と比較して、3次元画像に歪みが生じたり、画像の奥行き感すなわち立体感が変わってしまい、視差量Aが視差量A0の4倍よりも小さい場合には立体感が弱く感じられてしまい、視差量Aが視差量A0の4倍より大きい場合には立体感が強く感じられてしまう。
【0026】
通常立体感が弱くなった場合にはより2次元画像に近い表示になるため、特に問題は生じないが、例えば立体感が強くなった場合には立体視を行うユーザが疲労感や不快感を感じてしまう虞れがある。
【0027】
そこで本実施形態では視差量修正部5が、デジタルズーム後の左画像と右画像に基づいた3次元表示の立体感が強くならないように視差量Aが視差量A0の4倍よりも小さくなるように視差量を修正する。
【0028】
以下に本実施形態における視差量の修正について説明する。図4は視差量の修正を説明する図である。一般的に1ピクセルとはコンピュータで画像を扱うときの最小単位で、色情報(色調や階調)を持つ画素のこといい、整数で表わされる。本実施形態ではピクセル単位の計算時には小数点以下を四捨五入するものとし、0.6〜1.4ピクセルを1ピクセルとして計算する。従って1ピクセルが取り得る誤差の最大値は0.4ピクセルとなる。
【0029】
図3においてデジタルズーム前の左画像と右画像との間の視差量A0が例えば100ピクセルであった場合には、400%でデジタルズームした後の視差量Aは計算上では100×4=400ピクセルとなるが、この400ピクセルには0.4×4=1.6≒2ピクセル分の誤差が含まれている可能性があるので、図4に示すように視差量Aすなわち400ピクセルから含まれている可能性のある誤差の分である2ピクセル分だけ視差量を小さくなるように修正して、修正後の視差量Bが400−2=388ピクセルとなるようにする。
【0030】
このとき視差量の修正は、左画像中の円の位置を2ピクセル分だけ水平方向に右画像中の円の位置とのずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにする。なお本実施形態では、左画像を修正したが本発明はこれに限られるものではなく、右画像中の円の位置を2ピクセル分だけ水平方向に左画像中の円の位置とのずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにしてもよいし、左画像と右画像中の円の位置をそれぞれ1ピクセル分だけ水平方向に前記ずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにしてもよい。
【0031】
このようにデジタルズーム後の左画像と右画像との間の視差量Bを誤差が生じていない本来の視差量よりも小さくなるように修正することにより、デジタルズームにより拡大された左画像と右画像の間の視差量を弱めることができ、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0032】
なお本実施形態では視差量の修正を上述のようにして行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、ズーム率取得部4により取得されたデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の左画像と右画像との間の視差量A0を、ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量Bに基づき、デジタルズームされた左画像と右画像との間の視差量A0が拡大視差量Bとなるようにデジタルズームされた左画像を修正してもよい。具体的には、デジタルズームされる前の左画像と右画像との間の視差量A0が100ピクセルであった場合には、デジタルズーム率が400%のときには割引デジタルズーム率を388%、デジタルズーム率が1000%のときには割引デジタルズーム率を996%とすると、拡大視差量Bはデジタルズーム率が400%のときには388ピクセル、デジタルズーム率が1000%のときには966ピクセルとなる。なお割引デジタルズーム率の値は適宜変更することができる。
【0033】
表示制御部8は、メディア2A又は内部メモリ9に記録されている左画像や右画像を表示部7に2次元表示させたり、表示部7に左画像と右画像に基づいた3次元表示を行わせるものであり、3次元表示を行うときには表示部7の3次元表示方式に合わせた3次元処理を行って表示部7に3次元表示を行わせる。なお本実施形態における3次元表示としては、公知の任意の方式を用いることができる。例えば、左画像と右画像を並べて表示して裸眼平衡法により立体視を行う方式、または表示部7にレンチキュラーレンズを貼り付け、表示部7の表示面の所定位置に左画像と右画像を表示することにより、左右の目に左画像と右画像を入射させて3次元表示を実現するレンチキュラー方式を用いることができる。さらに、表示部7のバックライトの光路を光学的に左右の目に対応するように交互に分離し、表示部7の表示面に左画像と右画像をバックライトの左右への分離にあわせて交互に表示することにより、3次元表示を実現するスキャンバックライト方式等を用いることができる。
【0034】
なお、表示部7は3次元表示方式に応じた加工がなされている。例えば、3次元表示方式がレンチキュラー方式の場合には、表示部7の表示面にレンチキュラーレンズが取り付けられており、スキャンバックライト方式の場合には、左右の画像の光線方向を変えるための光学素子が表示部7の表示面に取り付けられている。
【0035】
なお2次元表示と3次元表示との切り替えは自動で行ってもよく、操作部6を用いての立体視を行うユーザからの指示により行ってもよい。また表示モードが3次元表示に切り替えられた場合には、左画像と右画像の双方が表示に用いられ、2次元表示に切り替えられた場合は左画像と右画像のいずれか一方が表示に用いられる。本実施形態においては、左画像を2次元表示に用いるものとする。
【0036】
制御部11は、CPU11A、各種処理を行う際の作業領域となるRAM11B、並びに装置1の動作プログラム、各種定数および後述する各種テーブル等を記憶したROM11Cを備えてなり、装置1の各部の動作を制御する。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1は構成されている。
【0037】
次に本実施形態の3次元表示装置1におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。図5は3次元表示装置1におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャートである。なお3次元表示装置1は予め、メディア2Aに記録された視差を有する2次元画像の左画像と右画像とが格納された3次元表示用の画像ファイルを画像入力部2によって読み出して、読み出した左画像と右画像とを伸張部10によって伸張しておき、表示制御部7が伸張された左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示又は伸張された左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせておく。
【0038】
そして次に図5に示す如く、CPU11Aが、ズームボタン6Aが操作されたか否かを判別することによりデジタルズーム部3によるデジタルズームが開始されたか否かを判別し、デジタルズームが開始されていない場合(ステップS1;NO)には、デジタルズームが開始されるまで表示部7に上記3次元表示を行わせたままステップS1の処理を繰り返し行う。
【0039】
ステップS1にてデジタルズームが開始されたと判別されると(ステップS1;YES)、ズーム率取得部4がデジタルズーム部3によるデジタルズームが拡大ズームであるか否かすなわちデジタルズーム率が100%よりも大きいか否かを判別し、100%よりも小さいと判別されると(ステップS2;NO)、デジタルズームが縮小ズームであると判別して、左画像と右画像をそれぞれズームボタン6Aの操作量に応じて縮小ズームして、表示制御部8が表示部7が3次元表示されている場合には縮小ズーム後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせ、表示部7が2次元表示されている場合には縮小ズーム後の左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS8)。
【0040】
一方、ステップS2にてデジタルズームが拡大ズームであると判別されると(ステップS2;YES)、次にCPU11Aが表示部7に3次元画像が表示されているか否かを判別し、3次元表示がされていない、つまり2次元表示がされている場合(ステップS3;NO)には、左画像と右画像をそれぞれズームボタン6Aの操作量に応じて拡大ズームして、拡大ズーム後の左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS8)。
【0041】
ステップS3にて3次元表示がされていると判別された場合(ステップS3;YES)には、デジタルズーム部3がズームボタン6Aの操作量に応じて左画像と右画像を拡大ズームし(ステップS4)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS5)。
【0042】
次に視差修正部5が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像との間の視差量Aが少なくなるように上述のようにして修正を行い(ステップS6)、表示制御部8が修正された左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS7)。なお本実施形態では、表示部7にデジタルズームされる前の左画像と右画像に基づいた3次元表示が行われているときに、上記ズームボタン6Aが操作される場合には、このズームボタン6Aの操作が終了した後に左画像と右画像についてズームボタン6Aの操作量に応じて上記デジタルズーム処理及び視差量の修正を行い、表示制御部8がデジタルズーム処理後でかつ視差量修正後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる。
【0043】
なお本実施形態ではズームボタン6Aの操作後にデジタルズーム処理を行うようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばズームボタン6Aの操作中に、所定の時間間隔毎に左画像と右画像について上記デジタルズーム処理と上記視差量の修正を行い、表示制御部8がデジタルズーム処理後でかつ視差量修正後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせてもよい。本実施形態の3次元表示装置1による一連の処理は以上のようにして行う。
【0044】
このように、本実施形態の3次元表示装置1によれば、左画像と右画像に基づく3次元表示をデジタルズーム拡大表示するときに、デジタルズーム率に応じた分だけ、つまりズーム率が大きければ大きい程視差量が小さくなるように視差量を修正することにより、誤差が生じていないときの視差量よりも大きな視差量とならないようにする。これにより立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0045】
次に図面を参照して本発明にかかる第2の実施形態について説明する。図6は本発明の第2の実施形態による3次元表示装置1−2の構成を示す概略ブロック図、図7は従来のデジタル拡大ズームを説明する図、図8は第2の実施形態のデジタル拡大ズームを説明する図である。なお図6は便宜上、図1の3次元表示装置1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。
【0046】
本実施形態の3次元表示装置1−2は、高速表示が可能であり、図6に示す如く、メディア2Aから画像入力部2を介して装置1−2に入力される画像ファイルが左画像及び右画像を格納するものであり、左画像と右画像は、各々データ圧縮された低解像度画像と高解像度画像とを有している。なお本実施形態では低解像度画像と高解像度画像がデータ圧縮されているが、低解像度画像については必ずしもデータ圧縮されていなくてもよい。また本実施形態のデジタルズーム部3−2は、左画像と右画像の低解像度画像に対してデジタルズームを行うものであり、本実施形態の視差修正部5−2は、デジタル拡大ズームされた左画像と右画像の低解像度画像に対して視差量の修正を行うものである。
【0047】
高速表示が可能な2次元表示や3次元表示を行う表示装置では、一般的に、図7に示す如く、表示部7に画像を表示するときに、先ず解像度が低く、画像の処理速度が速い低解像度画像を表示部7の表示面に合わせてデジタルズーム拡大して表示した後で、このデジタルズーム後の低解像度画像の表示に置き換えて、伸張処理された高解像度画像をデジタルズーム後の低解像度画像の表示範囲に合わせて表示させることにより、表示部7に高速で画像の表示を行っている。
【0048】
上記のようにして3次元表示を高速で行う場合には、図7に示す如く、低解像度画像をデジタル拡大ズームしたときに、上述した実施形態と同様に、デジタルズームされた後の低解像度画像(図7の真ん中図)における視差量Aがデジタルズームされる前の低解像度画像(図7の左図)における視差量A0の4倍とはならずに誤差が生じてしまい、この誤差が生じることにより、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像に基づいた3次元表示をしたときに、視差量Aが視差量A0の4倍より大きい場合には立体視を行うユーザは立体感を強く感じてしまい、疲労感や不快感を感じてしまう虞れがある。
【0049】
低解像度画像の解像度は通常、表示部7の画面解像度よりも低い解像度であるため、画像中の一部を拡大して表示させる場合には、デジタルズームを行うことにより画像をさらに低い解像度にしてつまり画質を粗くして拡大表示させている。一方、高解像度画像の解像度は通常、表示部7の画面解像度よりも高い解像度であるため画像を表示させるときには表示部7の画面解像度に合わせた解像度にして表示させている。また画像中の一部を拡大して表示させる場合には、デジタルズームを行う必要はなく、画像中の拡大表示させたい部分を画面解像度に合わせた解像度にして表示させているため、拡大前と拡大後の画像の表示解像度は同じものとなる。
【0050】
従って、高解像度画像をデジタルズーム後の低解像度画像の表示範囲に合わせて3次元表示させたときには、例えばデジタルズーム率が400%のときには左画像と右画像の低解像度画像間の視差量A0を4倍した値が左画像と右画像の高解像度画像間の視差量A0’となるので、視差量に誤差が生じない。
【0051】
本実施形態の表示制御部8−2は、図8に示す如く、視差修正部5−2が、デジタルズーム部3−2によってデジタルズームされた左画像と右画像の低解像度画像(図8の左図)に対して視差量の修正を上記実施形態と同様にして行い、修正した左画像と右画像の低解像度画像(図8の真ん中図)に基づく3次元表示を行った後に、この3次元表示に置き換えて、伸張部10−2によって伸張処理された高解像度画像に基づき、修正された左画像と右画像の低解像度画像の3次元表示範囲に合わせた(図8の右図)3次元表示を行わせるものである。
【0052】
このように表示部7に処理速度の速い低解像度画像を表示させた後で高解像度画像を表示させることにより高速表示を可能にすると共に、デジタルズーム後の左画像と右画像との間の視差量Bを誤差が生じていない本来の視差量よりも小さくなるように修正することにより、デジタルズームにより拡大された左画像と右画像の間の視差量を弱めることができるので、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1−2は構成されている。
【0053】
次に本実施形態の3次元表示装置1−2におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。図9A及び図9Bは3次元表示装置1−2におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャートである。なお3次元表示装置1−2は予め、メディア2Aに記録された視差を有する2次元画像の左画像と右画像が格納された3次元表示用の画像ファイルを画像入力部2によって読み出して、読み出した左画像と右画像を伸張部10によって伸張しておく。
【0054】
そして次に図9Aに示す如く、CPU11Aが画像入力部2により読み出された左画像と右画像が各々低解像度画像と高解像度画像とを有しているか否かを判別して、有していない場合(ステップS11;NO)には、図9Bに示す如く、表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示を表示する場合、つまり2次元表示を表示する場合(ステップS23;NO)には、左画像の低解像度画像又は高解像度画像を表示部7の表示面に合わせて2次元表示する(ステップS30)。
【0055】
ステップS23にて3次元表示をすると判別された場合(ステップS23;YES)には、CPU11Aが画像が低解像度画像であるか否かを判別し(ステップS24)、低解像度画像である場合(ステップS24;YES)には、デジタルズーム部3が表示部7の表示面に合わせて左画像と右画像の低解像度画像を拡大ズームし(ステップS25)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS26)。
【0056】
次に視差修正部5−2が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像間の視差量Aが少なくなるように上記実施形態と同様にして修正を行い(ステップS27)、表示制御部8−2が修正された左画像と右画像の低解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS28)。
【0057】
一方、ステップS24にて、低解像度画像でないと判別された場合(ステップS24;NO)には、伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS29)、CPU11AがステップS28へ処理を移行し、表示制御部8−2が伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS28)。
【0058】
また、図9Aに示す如く、ステップS11にて、CPU11Aが画像入力部2により読み出された左画像と右画像が各々低解像度画像と高解像度画像とを有しているか否かを判別して、有していると判別した場合(ステップS11;YES)には、表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示を表示しない、つまり2次元表示する場合(ステップS12;NO)には、図9Bに示す如く、デジタルズーム部3−2が左画像の低解像度画像を表示部7の表示面に合わせて拡大ズームして、拡大ズーム後の左画像の低解像度画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS20)。
【0059】
次に伸張部10−2が左画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS21)、表示制御部8−2が低解像度画像の2次元表示に置き換えて、伸張処理後の高解像度画像に基づき、低解像度画像に基づく2次元表示範囲に合わせた2次元表示を行わせる(ステップS22)。
【0060】
一方、図9Aに示す如く、ステップS12にて3次元表示する場合(ステップS12;YES)には、デジタルズーム部3−2が左画像と右画像の低解像度画像を表示部7の表示面に合わせてそれぞれ拡大ズームし(ステップS13)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS14)。
【0061】
次に視差修正部5−2が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像間の視差量Aが少なくなるように上記実施形態と同様にして修正を行い(ステップS15)、表示制御部8−2が修正された左画像と右画像の低解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS16)。
【0062】
次に伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS17)、表示制御部8−2が低解像度画像の3次元表示に置き換えて、伸張処理後の高解像度画像に基づき、低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせる(ステップS18)。本実施形態の3次元表示装置1−2による一連の処理は以上のようにして行う。
【0063】
このように本実施形態の3次元表示装置1−2によれば、表示部7に処理速度の速い低解像度画像を表示させた後で高解像度画像を表示させることにより高速表示を可能にすると共に、左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示をデジタルズーム拡大表示するときに、デジタルズーム率に応じた分だけ、つまりズーム率が大きければ大きい程視差量が小さくなるように視差量を修正することにより、誤差が生じていないときの視差量よりも大きな視差量とならないようにするので、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0064】
次に図面を参照して本発明にかかる第3の実施形態について説明する。図10は本発明の第3の実施形態による3次元表示装置1−3の構成を示す概略ブロック図、図11A及び図11Bは3次元表示装置1−3におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート、図12は後述する時間設定部13による時間設定を説明する図である。なお図10は便宜上、図6の3次元表示装置1−2と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。
【0065】
本実施形態の3次元表示装置1−3は、表示部7が2次元表示と3次元表示を可能なものであり、時間設定部(時間設定手段)13は図12に示す如く、デジタルズーム部3−2によるデジタル拡大ズーム後の視差修正部5−2により視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから伸張部10−2により伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間T’よりも、デジタルズーム部3−2によるデジタル拡大ズーム後の左画像の低解像度画像に基づく2次元表示を開始してから伸張部10−2により伸張処理された左画像の高解像度画像に基づく2次元表示を開始するまでの時間Tを短く設定するものである。
【0066】
立体視はユーザの頭の中において画像の立体感を実現するものであるため、表示の切り替わり時に画像の立体感が突然切り替わることとなる。ここで、立体視は立体画像を目の自動焦点機能によって融合視することにより行っているため、表示が切り替わる毎に立体感が突然切り替わると、立体視を行うユーザに非常に疲労感が残るものとなる。
【0067】
従って上記のように時間設定部13が3次元表示するときの上記時間T’を2次元表示するときの時間Tよりも長く設定することにより、視差を有する2つの画像に基づく3次元表示すなわち視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示が長くなるので、立体視を行うユーザはこの3次元表示にある程度眼が慣れてから次の3次元表示すなわち伸張処理後の高解像度画像に基づく3次元表示を見ることになり、視差の急激な変化によるユーザの疲労感を軽減させることができる。
【0068】
表示制御部3は、上記時間設定部13により設定された時間に合わせて低解像度画像に基づく2次元表示又は3次元表示を行うものである。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1−3は構成されている。
【0069】
次に本実施形態の3次元表示装置1−3におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。なお図11A及び図11Bは便宜上、図9A及び図9Bのフローチャートと同様の処理については同じステップ番号で示して説明は省略する。
【0070】
本実施形態の3次元表示装置1−3は、図11Aに示す如く、ステップS12にて表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示をしない、つまり2次元表示をする場合(ステップS12;NO)には、図11Bに示す如く、ステップS19以降の処理を行う。
【0071】
そしてステップS21にて伸張部10−2が左画像の高解像度画像に対して伸張処理を行った後で(ステップS21)、CPU11AがステップS20にて左画像の低解像度画像に基づく2次元表示が開始されてから時間設定部13が設定した上記T秒経過したか否か、すなわち左画像の低解像度画像が表示部7にT秒表示されたか否かを判別し、T秒表示されていない場合(ステップS32;NO)には、T秒表示されるまでステップS32の処理を繰り返し行う。一方、T秒表示された場合(ステップS32;YES)には、表示制御部8−3が表示されている左画像の低解像度画像に置き換えて、ステップS21にて伸張処理された左画像の高解像度画像に基づき、表示部7に左画像の低解像度画像の2次元表示範囲に合わせた2次元表示を行う(ステップS22)。
【0072】
また、図11Aに示す如く、ステップS17にて伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像に対して伸張処理を行った後で(ステップS17)、CPU11Aが左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示が開始されてから時間設定部13が設定した上記T’秒経過したか否か、すなわち表示部7に左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示がT秒よりも長くされたか否かを判別し、T秒よりも長く表示されていない場合(ステップS31;NO)には、T秒よりも長く表示されるまでステップS31の処理を繰り返し行う。一方、T秒よりも長く表示された場合(ステップS31;YES)には、表示制御部8−3が表示されている左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示に置き換えて、ステップS17にて伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づき、表示部7に左画像と右画像の低解像度画像の3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行う(ステップS18)。本実施形態の3次元表示装置1−3による一連の処理は以上のようにして行う。
【0073】
このように本実施形態の3次元表示装置1−3によれば、視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間T’よりも、デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定することにより、視差を有する2つの画像に基づく3次元表示すなわち視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を長くすることができるので、立体視を行うユーザはこの3次元表示にある程度眼が慣れてから次の3次元表示すなわち伸張処理後の高解像度画像に基づく3次元表示を見ることになり、視差の急激な変化によるユーザの疲労感を軽減させることができる。
【0074】
なお本実施形態では図11AのステップS15にて視差修正部5−2による視差量の修正を行ったが、視差量の修正は行わずに時間設定部13により高解像度画像に置き換えられるまでに要する時間T,Tのみを上記のように設定してもよい。
【0075】
上述した実施形態の3次元表示装置1,1−2,1−3は上記のように構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1−2,1−3 3次元表示装置
3 デジタルズーム部(デジタルズーム手段)
4 ズーム率取得部(ズーム率取得手段)
5 視差修正部(視差修正手段)
7 表示部(表示手段)
8,8−2,8−3 表示制御部(表示制御手段)
10,10−2 伸張部(伸張手段)
13 時間設定部(時間設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な3次元表示装置及び該3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を組み合わせて3次元表示することにより、視差を利用して立体視できることが知られている。このような立体視は、同一の被写体を異なる位置から複数のカメラを用いて撮影することにより、視差を有する複数の画像(視差画像とする)を取得し、複数の視差画像に含まれる被写体の視差を利用して複数の画像を3次元表示させることにより行うことができる。
【0003】
具体的には、複数の画像の色を例えば赤と青のように異ならせて重ね合わせたり、複数の画像の偏光方向を異ならせて重ね合わせることにより、複数の画像を合成して立体画像を生成することができる。この場合、立体画像を表示して、赤青メガネや偏光メガネ等の画像分離メガネを用いて表示された立体画像を目の自動焦点機能により融合視することにより、画像を立体視することができる(アナグリフ方式、偏光フィルタ方式)。
【0004】
また、偏光メガネ等を使用しなくても、パララックスバリア方式およびレンチキュラー方式のように、立体画像を立体視可能な3D液晶に表示して立体視することも可能である。この場合、複数の画像を垂直方向に短冊状に切り取って交互に配置することにより、立体画像が生成される。また、画像分離メガネを使用したり、光学素子を液晶に貼ることで左右の画像の光線方向を変えながら、左右の画像を交互に表示することにより、画像を立体視することも可能である(時分割方式)。
【0005】
一方、デジタルズームが可能な表示装置では、画像をデジタルズームによって拡大することにより画質は粗くなるが大きな画像の表示を行うことができる。また上記のような立体視可能な3次元表示装置において、3次元表示される画像をデジタルズームしようとした場合に、複数の2次元の視差画像を各々デジタルズームするため、表示箇所毎に視差画像間の視差量に誤差が生じてしまい3次元表示されたときに3次元画像が歪んでしまったり、立体感が少なすぎたり、又は過剰な立体感が生じたりして、立体視を行うユーザに疲労感や不快感を与えてしまうことがある。
【0006】
立体視を行うユーザに疲労感や不快感を与えないための方法としては、例えば立体視を行うユーザの視線検出を行って、ユーザが見ている位置に表示面を常に移動するようにすることにより、輻輳と焦点調節の矛盾から生じる疲労感が少ない立体画像を表示するようにした3次元表示方法(特許文献1)や、予め定められた複数の視差パターンの判定を行い、この判定結果に基づいて少なくとも1つの視差画像を補正することにより立体画像の歪みを抑えるようにする方法(特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−223609号公報
【特許文献2】特開2001−128195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記特許文献1,2に記載された方法は、3次元表示された画像をデジタルズームしたときに生じる立体視を行うユーザの疲労感や不快感等については記載されていない。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、3次元表示された画像をデジタルズームしたときに生じる立体視を行うユーザの疲労感や不快感を軽減することができる3次元表示装置及びデジタルズーム補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の3次元表示装置は、視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段と、
該デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得するズーム率取得手段と、
該ズーム率取得手段により取得された前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正する視差修正手段と、
該修正された複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示を行わせる表示制御手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の3次元表示装置においては、前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであり、
前記視差修正手段が、前記デジタルズームされた前記低解像度画像に対して前記修正を行うものであって、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理する伸張手段をさらに備え、
前記表示制御手段が、前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせるものであってもよい。
【0012】
また本発明の3次元表示装置においては、前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記表示制御手段が、前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記表示制御手段が前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから前記伸張処理された複数の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから前記伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定する時間設定手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明のデジタルズーム補正方法は、視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法において、
前記デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得し、
該取得した前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、
該修正した複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示をさせることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のデジタルズーム補正方法においては、前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであって、
前記視差量の前記修正を前記低解像度画像に対して行い、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理し、
前記視差量を修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行ってもよい。
【0015】
また本発明のデジタルズーム補正方法においては、前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記修正した複数の低解像度画像に基づいて3次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記3次元表示するまでに要する時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記2次元表示するまでに要する時間を短く設定してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の3次元表示装置及びデジタルズーム補正方法によれば、視差を有する複数の2次元画像のデジタルズーム率を取得し、取得した前デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の複数の2次元画像間の視差量を、デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、デジタルズームされた複数の2次元画像間の視差量が拡大視差量となるようにデジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、修正した複数の2次元画像に基づいて表示手段に3次元表示をさせるので、デジタルズームにより拡大された複数の2次元画像間の視差量を弱めることができ、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】デジタル拡大ズームを説明する図
【図3】デジタル拡大ズーム時の視差量を説明する図
【図4】視差量の修正を説明する図
【図5】図1の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図7】従来のデジタル拡大ズームを説明する図
【図8】第2の実施形態のデジタル拡大ズームを説明する図
【図9A】図6の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その1)
【図9B】図6の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その2)
【図10】本発明の第3の実施形態による3次元表示装置の構成を示す概略ブロック図
【図11A】図10の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その1)
【図11B】図10の3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート(その2)
【図12】時間設定部13による時間設定を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明にかかる第1の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による3次元表示装置1の構成を示す概略ブロック図、図2はデジタル拡大ズームを説明する図、図3はデジタル拡大ズーム時の視差量を説明する図である。図1に示すように第1の実施形態による3次元表示装置1は、画像入力部2、デジタルズーム部3、ズーム率取得部(ズーム率取得手段)4、視差修正部(視差修正手段)5、各種入力を行うキーボード、マウス、デジタルズーム部3における縮小ズーム又は拡大ズームのズーム量を指示するズームボタン6A等からなる操作部6、各種表示を行う液晶モニタ等の表示部(表示手段)7、表示部7に2次元表示又は3次元表示を行わせる表示制御部8、各種情報を記憶する内部メモリ9、入力された画像データを伸張する伸張部(伸張手段)10並びに制御部11を備え、各部がバス12により接続されている。
【0019】
画像入力部2は、3次元表示装置1において表示部7に3次元表示を行うための視差を有する複数の2次元画像が格納された3次元表示用の画像ファイルを装置1に入力するものであり、3次元表示用の画像ファイルが記録されたメディア2Aから画像ファイルを読み出すメディアドライブ、ネットワーク経由で画像ファイルの入力を受け付ける有線または無線のインターフェース等、画像ファイルを入力するための公知の種々の手段を用いることができる。本実施形態においては、画像入力部2をメディア2Aから画像ファイルを読み出すものとする。
【0020】
なお、画像ファイルに格納された2次元画像はJPEG等の圧縮方式により圧縮されているため、入力された2次元画像を伸張部10によって伸張して、その後の処理に使用する。
【0021】
ここで、視差を有する複数の2次元画像とは、異なる複数の撮影位置において被写体を撮影することにより取得されるものであり、複数の2次元画像に含まれる被写体が撮影位置の違いに応じた視差を有するものとなっている。なお、本実施形態では視差を有する2次元画像を2つとして以下説明するものとし、2つの2次元画像は、2つの撮影位置すなわち左側および右側の撮影位置において取得されるものであるため、右画像及び左画像と称するものとする。
【0022】
デジタルズーム部3は、操作部6としてのズームボタン6Aの操作量に応じて左画像と右画像をそれぞれデジタルズームするものである。具体的には左画像と右画像を、例えば図2に示す如く、左図の画像P中の人物の顔Fの画像データのみを拡大し、周囲の画像データを切り捨てて右図のような人物の顔Fのみの画像を生成する。
【0023】
ズーム率取得部4は、デジタルズーム部3による右画像及び左画像のデジタルズーム率を取得するものであり、上記ズームボタン6Aの操作量を検出することにより取得することができる。
【0024】
視差量修正部5は、ズーム率取得部4により取得されたデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされた右画像と左画像との間の視差量を修正するものである。例えばデジタルズームされる前の左画像と右画像が、各々160×120ピクセルの画像であり、画像中にそれぞれ円が存在しているものとする。左画像と右画像とは視差を有しているので、右画像中の円と左画像中の円とでは各々の画像中での位置が異なっており、図3の左図に示す如く、それぞれの円の水平方向の位置のずれが視差量A0となる。そしてデジタルズーム部3によって左画像と右画像をそれぞれ円を中心として例えば400%つまり640×480ピクセルに拡大すると、図3の右図に示す如く、デジタルズームされる前の画像よりも画像の解像度が低くなるため、デジタルズームされる前の画像と比較して円周が滑らかではなくガタガタした形状になってしまい、デジタルズームされた後の画像(図3の右図)における視差量Aがデジタルズームされる前の画像(図3の左図)における視差量A0の4倍とはならずに誤差が生じてしまう。
【0025】
この誤差が生じることにより、表示制御部8がデジタルズームされた後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせると、立体視を行うユーザが表示部7を観察したときにデジタルズームされる前の左画像と右画像に基づいた3次元表示と比較して、3次元画像に歪みが生じたり、画像の奥行き感すなわち立体感が変わってしまい、視差量Aが視差量A0の4倍よりも小さい場合には立体感が弱く感じられてしまい、視差量Aが視差量A0の4倍より大きい場合には立体感が強く感じられてしまう。
【0026】
通常立体感が弱くなった場合にはより2次元画像に近い表示になるため、特に問題は生じないが、例えば立体感が強くなった場合には立体視を行うユーザが疲労感や不快感を感じてしまう虞れがある。
【0027】
そこで本実施形態では視差量修正部5が、デジタルズーム後の左画像と右画像に基づいた3次元表示の立体感が強くならないように視差量Aが視差量A0の4倍よりも小さくなるように視差量を修正する。
【0028】
以下に本実施形態における視差量の修正について説明する。図4は視差量の修正を説明する図である。一般的に1ピクセルとはコンピュータで画像を扱うときの最小単位で、色情報(色調や階調)を持つ画素のこといい、整数で表わされる。本実施形態ではピクセル単位の計算時には小数点以下を四捨五入するものとし、0.6〜1.4ピクセルを1ピクセルとして計算する。従って1ピクセルが取り得る誤差の最大値は0.4ピクセルとなる。
【0029】
図3においてデジタルズーム前の左画像と右画像との間の視差量A0が例えば100ピクセルであった場合には、400%でデジタルズームした後の視差量Aは計算上では100×4=400ピクセルとなるが、この400ピクセルには0.4×4=1.6≒2ピクセル分の誤差が含まれている可能性があるので、図4に示すように視差量Aすなわち400ピクセルから含まれている可能性のある誤差の分である2ピクセル分だけ視差量を小さくなるように修正して、修正後の視差量Bが400−2=388ピクセルとなるようにする。
【0030】
このとき視差量の修正は、左画像中の円の位置を2ピクセル分だけ水平方向に右画像中の円の位置とのずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにする。なお本実施形態では、左画像を修正したが本発明はこれに限られるものではなく、右画像中の円の位置を2ピクセル分だけ水平方向に左画像中の円の位置とのずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにしてもよいし、左画像と右画像中の円の位置をそれぞれ1ピクセル分だけ水平方向に前記ずれが小さくなる方向に向けて移動させるようにしてもよい。
【0031】
このようにデジタルズーム後の左画像と右画像との間の視差量Bを誤差が生じていない本来の視差量よりも小さくなるように修正することにより、デジタルズームにより拡大された左画像と右画像の間の視差量を弱めることができ、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0032】
なお本実施形態では視差量の修正を上述のようにして行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、ズーム率取得部4により取得されたデジタルズーム率が100%よりも大きいときに、デジタルズームされる前の左画像と右画像との間の視差量A0を、ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量Bに基づき、デジタルズームされた左画像と右画像との間の視差量A0が拡大視差量Bとなるようにデジタルズームされた左画像を修正してもよい。具体的には、デジタルズームされる前の左画像と右画像との間の視差量A0が100ピクセルであった場合には、デジタルズーム率が400%のときには割引デジタルズーム率を388%、デジタルズーム率が1000%のときには割引デジタルズーム率を996%とすると、拡大視差量Bはデジタルズーム率が400%のときには388ピクセル、デジタルズーム率が1000%のときには966ピクセルとなる。なお割引デジタルズーム率の値は適宜変更することができる。
【0033】
表示制御部8は、メディア2A又は内部メモリ9に記録されている左画像や右画像を表示部7に2次元表示させたり、表示部7に左画像と右画像に基づいた3次元表示を行わせるものであり、3次元表示を行うときには表示部7の3次元表示方式に合わせた3次元処理を行って表示部7に3次元表示を行わせる。なお本実施形態における3次元表示としては、公知の任意の方式を用いることができる。例えば、左画像と右画像を並べて表示して裸眼平衡法により立体視を行う方式、または表示部7にレンチキュラーレンズを貼り付け、表示部7の表示面の所定位置に左画像と右画像を表示することにより、左右の目に左画像と右画像を入射させて3次元表示を実現するレンチキュラー方式を用いることができる。さらに、表示部7のバックライトの光路を光学的に左右の目に対応するように交互に分離し、表示部7の表示面に左画像と右画像をバックライトの左右への分離にあわせて交互に表示することにより、3次元表示を実現するスキャンバックライト方式等を用いることができる。
【0034】
なお、表示部7は3次元表示方式に応じた加工がなされている。例えば、3次元表示方式がレンチキュラー方式の場合には、表示部7の表示面にレンチキュラーレンズが取り付けられており、スキャンバックライト方式の場合には、左右の画像の光線方向を変えるための光学素子が表示部7の表示面に取り付けられている。
【0035】
なお2次元表示と3次元表示との切り替えは自動で行ってもよく、操作部6を用いての立体視を行うユーザからの指示により行ってもよい。また表示モードが3次元表示に切り替えられた場合には、左画像と右画像の双方が表示に用いられ、2次元表示に切り替えられた場合は左画像と右画像のいずれか一方が表示に用いられる。本実施形態においては、左画像を2次元表示に用いるものとする。
【0036】
制御部11は、CPU11A、各種処理を行う際の作業領域となるRAM11B、並びに装置1の動作プログラム、各種定数および後述する各種テーブル等を記憶したROM11Cを備えてなり、装置1の各部の動作を制御する。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1は構成されている。
【0037】
次に本実施形態の3次元表示装置1におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。図5は3次元表示装置1におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャートである。なお3次元表示装置1は予め、メディア2Aに記録された視差を有する2次元画像の左画像と右画像とが格納された3次元表示用の画像ファイルを画像入力部2によって読み出して、読み出した左画像と右画像とを伸張部10によって伸張しておき、表示制御部7が伸張された左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示又は伸張された左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせておく。
【0038】
そして次に図5に示す如く、CPU11Aが、ズームボタン6Aが操作されたか否かを判別することによりデジタルズーム部3によるデジタルズームが開始されたか否かを判別し、デジタルズームが開始されていない場合(ステップS1;NO)には、デジタルズームが開始されるまで表示部7に上記3次元表示を行わせたままステップS1の処理を繰り返し行う。
【0039】
ステップS1にてデジタルズームが開始されたと判別されると(ステップS1;YES)、ズーム率取得部4がデジタルズーム部3によるデジタルズームが拡大ズームであるか否かすなわちデジタルズーム率が100%よりも大きいか否かを判別し、100%よりも小さいと判別されると(ステップS2;NO)、デジタルズームが縮小ズームであると判別して、左画像と右画像をそれぞれズームボタン6Aの操作量に応じて縮小ズームして、表示制御部8が表示部7が3次元表示されている場合には縮小ズーム後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせ、表示部7が2次元表示されている場合には縮小ズーム後の左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS8)。
【0040】
一方、ステップS2にてデジタルズームが拡大ズームであると判別されると(ステップS2;YES)、次にCPU11Aが表示部7に3次元画像が表示されているか否かを判別し、3次元表示がされていない、つまり2次元表示がされている場合(ステップS3;NO)には、左画像と右画像をそれぞれズームボタン6Aの操作量に応じて拡大ズームして、拡大ズーム後の左画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS8)。
【0041】
ステップS3にて3次元表示がされていると判別された場合(ステップS3;YES)には、デジタルズーム部3がズームボタン6Aの操作量に応じて左画像と右画像を拡大ズームし(ステップS4)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS5)。
【0042】
次に視差修正部5が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像との間の視差量Aが少なくなるように上述のようにして修正を行い(ステップS6)、表示制御部8が修正された左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS7)。なお本実施形態では、表示部7にデジタルズームされる前の左画像と右画像に基づいた3次元表示が行われているときに、上記ズームボタン6Aが操作される場合には、このズームボタン6Aの操作が終了した後に左画像と右画像についてズームボタン6Aの操作量に応じて上記デジタルズーム処理及び視差量の修正を行い、表示制御部8がデジタルズーム処理後でかつ視差量修正後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる。
【0043】
なお本実施形態ではズームボタン6Aの操作後にデジタルズーム処理を行うようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばズームボタン6Aの操作中に、所定の時間間隔毎に左画像と右画像について上記デジタルズーム処理と上記視差量の修正を行い、表示制御部8がデジタルズーム処理後でかつ視差量修正後の左画像と右画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせてもよい。本実施形態の3次元表示装置1による一連の処理は以上のようにして行う。
【0044】
このように、本実施形態の3次元表示装置1によれば、左画像と右画像に基づく3次元表示をデジタルズーム拡大表示するときに、デジタルズーム率に応じた分だけ、つまりズーム率が大きければ大きい程視差量が小さくなるように視差量を修正することにより、誤差が生じていないときの視差量よりも大きな視差量とならないようにする。これにより立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0045】
次に図面を参照して本発明にかかる第2の実施形態について説明する。図6は本発明の第2の実施形態による3次元表示装置1−2の構成を示す概略ブロック図、図7は従来のデジタル拡大ズームを説明する図、図8は第2の実施形態のデジタル拡大ズームを説明する図である。なお図6は便宜上、図1の3次元表示装置1と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。
【0046】
本実施形態の3次元表示装置1−2は、高速表示が可能であり、図6に示す如く、メディア2Aから画像入力部2を介して装置1−2に入力される画像ファイルが左画像及び右画像を格納するものであり、左画像と右画像は、各々データ圧縮された低解像度画像と高解像度画像とを有している。なお本実施形態では低解像度画像と高解像度画像がデータ圧縮されているが、低解像度画像については必ずしもデータ圧縮されていなくてもよい。また本実施形態のデジタルズーム部3−2は、左画像と右画像の低解像度画像に対してデジタルズームを行うものであり、本実施形態の視差修正部5−2は、デジタル拡大ズームされた左画像と右画像の低解像度画像に対して視差量の修正を行うものである。
【0047】
高速表示が可能な2次元表示や3次元表示を行う表示装置では、一般的に、図7に示す如く、表示部7に画像を表示するときに、先ず解像度が低く、画像の処理速度が速い低解像度画像を表示部7の表示面に合わせてデジタルズーム拡大して表示した後で、このデジタルズーム後の低解像度画像の表示に置き換えて、伸張処理された高解像度画像をデジタルズーム後の低解像度画像の表示範囲に合わせて表示させることにより、表示部7に高速で画像の表示を行っている。
【0048】
上記のようにして3次元表示を高速で行う場合には、図7に示す如く、低解像度画像をデジタル拡大ズームしたときに、上述した実施形態と同様に、デジタルズームされた後の低解像度画像(図7の真ん中図)における視差量Aがデジタルズームされる前の低解像度画像(図7の左図)における視差量A0の4倍とはならずに誤差が生じてしまい、この誤差が生じることにより、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像に基づいた3次元表示をしたときに、視差量Aが視差量A0の4倍より大きい場合には立体視を行うユーザは立体感を強く感じてしまい、疲労感や不快感を感じてしまう虞れがある。
【0049】
低解像度画像の解像度は通常、表示部7の画面解像度よりも低い解像度であるため、画像中の一部を拡大して表示させる場合には、デジタルズームを行うことにより画像をさらに低い解像度にしてつまり画質を粗くして拡大表示させている。一方、高解像度画像の解像度は通常、表示部7の画面解像度よりも高い解像度であるため画像を表示させるときには表示部7の画面解像度に合わせた解像度にして表示させている。また画像中の一部を拡大して表示させる場合には、デジタルズームを行う必要はなく、画像中の拡大表示させたい部分を画面解像度に合わせた解像度にして表示させているため、拡大前と拡大後の画像の表示解像度は同じものとなる。
【0050】
従って、高解像度画像をデジタルズーム後の低解像度画像の表示範囲に合わせて3次元表示させたときには、例えばデジタルズーム率が400%のときには左画像と右画像の低解像度画像間の視差量A0を4倍した値が左画像と右画像の高解像度画像間の視差量A0’となるので、視差量に誤差が生じない。
【0051】
本実施形態の表示制御部8−2は、図8に示す如く、視差修正部5−2が、デジタルズーム部3−2によってデジタルズームされた左画像と右画像の低解像度画像(図8の左図)に対して視差量の修正を上記実施形態と同様にして行い、修正した左画像と右画像の低解像度画像(図8の真ん中図)に基づく3次元表示を行った後に、この3次元表示に置き換えて、伸張部10−2によって伸張処理された高解像度画像に基づき、修正された左画像と右画像の低解像度画像の3次元表示範囲に合わせた(図8の右図)3次元表示を行わせるものである。
【0052】
このように表示部7に処理速度の速い低解像度画像を表示させた後で高解像度画像を表示させることにより高速表示を可能にすると共に、デジタルズーム後の左画像と右画像との間の視差量Bを誤差が生じていない本来の視差量よりも小さくなるように修正することにより、デジタルズームにより拡大された左画像と右画像の間の視差量を弱めることができるので、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1−2は構成されている。
【0053】
次に本実施形態の3次元表示装置1−2におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。図9A及び図9Bは3次元表示装置1−2におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャートである。なお3次元表示装置1−2は予め、メディア2Aに記録された視差を有する2次元画像の左画像と右画像が格納された3次元表示用の画像ファイルを画像入力部2によって読み出して、読み出した左画像と右画像を伸張部10によって伸張しておく。
【0054】
そして次に図9Aに示す如く、CPU11Aが画像入力部2により読み出された左画像と右画像が各々低解像度画像と高解像度画像とを有しているか否かを判別して、有していない場合(ステップS11;NO)には、図9Bに示す如く、表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示を表示する場合、つまり2次元表示を表示する場合(ステップS23;NO)には、左画像の低解像度画像又は高解像度画像を表示部7の表示面に合わせて2次元表示する(ステップS30)。
【0055】
ステップS23にて3次元表示をすると判別された場合(ステップS23;YES)には、CPU11Aが画像が低解像度画像であるか否かを判別し(ステップS24)、低解像度画像である場合(ステップS24;YES)には、デジタルズーム部3が表示部7の表示面に合わせて左画像と右画像の低解像度画像を拡大ズームし(ステップS25)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS26)。
【0056】
次に視差修正部5−2が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像間の視差量Aが少なくなるように上記実施形態と同様にして修正を行い(ステップS27)、表示制御部8−2が修正された左画像と右画像の低解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS28)。
【0057】
一方、ステップS24にて、低解像度画像でないと判別された場合(ステップS24;NO)には、伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS29)、CPU11AがステップS28へ処理を移行し、表示制御部8−2が伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS28)。
【0058】
また、図9Aに示す如く、ステップS11にて、CPU11Aが画像入力部2により読み出された左画像と右画像が各々低解像度画像と高解像度画像とを有しているか否かを判別して、有していると判別した場合(ステップS11;YES)には、表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示を表示しない、つまり2次元表示する場合(ステップS12;NO)には、図9Bに示す如く、デジタルズーム部3−2が左画像の低解像度画像を表示部7の表示面に合わせて拡大ズームして、拡大ズーム後の左画像の低解像度画像に基づいて表示部7に2次元表示を行わせる(ステップS20)。
【0059】
次に伸張部10−2が左画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS21)、表示制御部8−2が低解像度画像の2次元表示に置き換えて、伸張処理後の高解像度画像に基づき、低解像度画像に基づく2次元表示範囲に合わせた2次元表示を行わせる(ステップS22)。
【0060】
一方、図9Aに示す如く、ステップS12にて3次元表示する場合(ステップS12;YES)には、デジタルズーム部3−2が左画像と右画像の低解像度画像を表示部7の表示面に合わせてそれぞれ拡大ズームし(ステップS13)、ズーム率取得部4が上述のようにしてデジタルズーム拡大率を取得する(ステップS14)。
【0061】
次に視差修正部5−2が、デジタル拡大ズーム後の左画像と右画像の低解像度画像間の視差量Aが少なくなるように上記実施形態と同様にして修正を行い(ステップS15)、表示制御部8−2が修正された左画像と右画像の低解像度画像に基づいて表示部7に3次元表示を行わせる(ステップS16)。
【0062】
次に伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像を伸張処理し(ステップS17)、表示制御部8−2が低解像度画像の3次元表示に置き換えて、伸張処理後の高解像度画像に基づき、低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせる(ステップS18)。本実施形態の3次元表示装置1−2による一連の処理は以上のようにして行う。
【0063】
このように本実施形態の3次元表示装置1−2によれば、表示部7に処理速度の速い低解像度画像を表示させた後で高解像度画像を表示させることにより高速表示を可能にすると共に、左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示をデジタルズーム拡大表示するときに、デジタルズーム率に応じた分だけ、つまりズーム率が大きければ大きい程視差量が小さくなるように視差量を修正することにより、誤差が生じていないときの視差量よりも大きな視差量とならないようにするので、立体視を行うユーザが視差量が強すぎて立体感を強く感じることにより生じるユーザの疲労感や不快感を軽減することができる。
【0064】
次に図面を参照して本発明にかかる第3の実施形態について説明する。図10は本発明の第3の実施形態による3次元表示装置1−3の構成を示す概略ブロック図、図11A及び図11Bは3次元表示装置1−3におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理を示すフローチャート、図12は後述する時間設定部13による時間設定を説明する図である。なお図10は便宜上、図6の3次元表示装置1−2と同様の箇所は同符号で示して説明を省略する。
【0065】
本実施形態の3次元表示装置1−3は、表示部7が2次元表示と3次元表示を可能なものであり、時間設定部(時間設定手段)13は図12に示す如く、デジタルズーム部3−2によるデジタル拡大ズーム後の視差修正部5−2により視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから伸張部10−2により伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間T’よりも、デジタルズーム部3−2によるデジタル拡大ズーム後の左画像の低解像度画像に基づく2次元表示を開始してから伸張部10−2により伸張処理された左画像の高解像度画像に基づく2次元表示を開始するまでの時間Tを短く設定するものである。
【0066】
立体視はユーザの頭の中において画像の立体感を実現するものであるため、表示の切り替わり時に画像の立体感が突然切り替わることとなる。ここで、立体視は立体画像を目の自動焦点機能によって融合視することにより行っているため、表示が切り替わる毎に立体感が突然切り替わると、立体視を行うユーザに非常に疲労感が残るものとなる。
【0067】
従って上記のように時間設定部13が3次元表示するときの上記時間T’を2次元表示するときの時間Tよりも長く設定することにより、視差を有する2つの画像に基づく3次元表示すなわち視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示が長くなるので、立体視を行うユーザはこの3次元表示にある程度眼が慣れてから次の3次元表示すなわち伸張処理後の高解像度画像に基づく3次元表示を見ることになり、視差の急激な変化によるユーザの疲労感を軽減させることができる。
【0068】
表示制御部3は、上記時間設定部13により設定された時間に合わせて低解像度画像に基づく2次元表示又は3次元表示を行うものである。以上のようにして本実施形態の3次元表示装置1−3は構成されている。
【0069】
次に本実施形態の3次元表示装置1−3におけるデジタルズーム補正方法を含む一連の表示処理について以下説明する。なお図11A及び図11Bは便宜上、図9A及び図9Bのフローチャートと同様の処理については同じステップ番号で示して説明は省略する。
【0070】
本実施形態の3次元表示装置1−3は、図11Aに示す如く、ステップS12にて表示部7に3次元画像を表示するか否かを判別し、3次元表示をしない、つまり2次元表示をする場合(ステップS12;NO)には、図11Bに示す如く、ステップS19以降の処理を行う。
【0071】
そしてステップS21にて伸張部10−2が左画像の高解像度画像に対して伸張処理を行った後で(ステップS21)、CPU11AがステップS20にて左画像の低解像度画像に基づく2次元表示が開始されてから時間設定部13が設定した上記T秒経過したか否か、すなわち左画像の低解像度画像が表示部7にT秒表示されたか否かを判別し、T秒表示されていない場合(ステップS32;NO)には、T秒表示されるまでステップS32の処理を繰り返し行う。一方、T秒表示された場合(ステップS32;YES)には、表示制御部8−3が表示されている左画像の低解像度画像に置き換えて、ステップS21にて伸張処理された左画像の高解像度画像に基づき、表示部7に左画像の低解像度画像の2次元表示範囲に合わせた2次元表示を行う(ステップS22)。
【0072】
また、図11Aに示す如く、ステップS17にて伸張部10−2が左画像と右画像の高解像度画像に対して伸張処理を行った後で(ステップS17)、CPU11Aが左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示が開始されてから時間設定部13が設定した上記T’秒経過したか否か、すなわち表示部7に左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示がT秒よりも長くされたか否かを判別し、T秒よりも長く表示されていない場合(ステップS31;NO)には、T秒よりも長く表示されるまでステップS31の処理を繰り返し行う。一方、T秒よりも長く表示された場合(ステップS31;YES)には、表示制御部8−3が表示されている左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示に置き換えて、ステップS17にて伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づき、表示部7に左画像と右画像の低解像度画像の3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行う(ステップS18)。本実施形態の3次元表示装置1−3による一連の処理は以上のようにして行う。
【0073】
このように本実施形態の3次元表示装置1−3によれば、視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから伸張処理された左画像と右画像の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間T’よりも、デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定することにより、視差を有する2つの画像に基づく3次元表示すなわち視差量を修正した左画像と右画像の低解像度画像に基づく3次元表示を長くすることができるので、立体視を行うユーザはこの3次元表示にある程度眼が慣れてから次の3次元表示すなわち伸張処理後の高解像度画像に基づく3次元表示を見ることになり、視差の急激な変化によるユーザの疲労感を軽減させることができる。
【0074】
なお本実施形態では図11AのステップS15にて視差修正部5−2による視差量の修正を行ったが、視差量の修正は行わずに時間設定部13により高解像度画像に置き換えられるまでに要する時間T,Tのみを上記のように設定してもよい。
【0075】
上述した実施形態の3次元表示装置1,1−2,1−3は上記のように構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1−2,1−3 3次元表示装置
3 デジタルズーム部(デジタルズーム手段)
4 ズーム率取得部(ズーム率取得手段)
5 視差修正部(視差修正手段)
7 表示部(表示手段)
8,8−2,8−3 表示制御部(表示制御手段)
10,10−2 伸張部(伸張手段)
13 時間設定部(時間設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段と、
該デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得するズーム率取得手段と、
該ズーム率取得手段により取得された前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正する視差修正手段と、
該修正された複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示を行わせる表示制御手段とを備えてなることを特徴とする3次元表示装置。
【請求項2】
前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであり、
前記視差修正手段が、前記デジタルズームされた前記低解像度画像に対して前記修正を行うものであって、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理する伸張手段をさらに備え、
前記表示制御手段が、前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせるものであることを特徴とする請求項1に記載の3次元表示装置。
【請求項3】
前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記表示制御手段が、前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記表示制御手段が前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから前記伸張処理された複数の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから前記伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定する時間設定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項4】
視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法において、
前記デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得し、
該取得した前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、
該修正した複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示をさせることを特徴とするデジタルズーム補正方法。
【請求項5】
前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであって、
前記視差量の前記修正を前記低解像度画像に対して行い、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理し、
前記視差量を修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行うことを特徴とする請求項4に記載のデジタルズーム補正方法。
【請求項6】
前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記修正した複数の低解像度画像に基づいて3次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記3次元表示するまでに要する時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記2次元表示するまでに要する時間を短く設定することを特徴とする請求項5に記載のデジタルズーム補正方法。
【請求項1】
視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段と、
該デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得するズーム率取得手段と、
該ズーム率取得手段により取得された前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正する視差修正手段と、
該修正された複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示を行わせる表示制御手段とを備えてなることを特徴とする3次元表示装置。
【請求項2】
前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであり、
前記視差修正手段が、前記デジタルズームされた前記低解像度画像に対して前記修正を行うものであって、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理する伸張手段をさらに備え、
前記表示制御手段が、前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行わせるものであることを特徴とする請求項1に記載の3次元表示装置。
【請求項3】
前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記表示制御手段が、前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張手段により伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記表示制御手段が前記修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を開始してから前記伸張処理された複数の高解像度画像に基づく3次元表示を開始するまでの時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を開始してから前記伸張処理された高解像度画像の2次元表示を開始するまでの時間を短く設定する時間設定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の3次元表示装置。
【請求項4】
視差を有する複数の2次元画像に基づいて3次元表示を行う表示手段と、
前記複数の2次元画像を各々デジタルズームするデジタルズーム手段とを備えてなる3次元表示装置におけるデジタルズーム補正方法において、
前記デジタルズーム手段による前記2次元画像のデジタルズーム率を取得し、
該取得した前記デジタルズーム率が100%よりも大きいときに、前記デジタルズームされる前の前記複数の2次元画像間の視差量を、前記デジタルズーム率を該ズーム率が大きい程大きな割引率で割り引いた割引デジタルズーム率で拡大した拡大視差量に基づき、前記デジタルズームされた前記複数の2次元画像間の視差量が前記拡大視差量となるように前記デジタルズームされた複数の2次元画像の少なくとも1つを修正し、
該修正した複数の2次元画像に基づいて前記表示手段に3次元表示をさせることを特徴とするデジタルズーム補正方法。
【請求項5】
前記複数の2次元画像が、各々低解像度画像とデータ圧縮された高解像度画像を有するものであり、
前記デジタルズーム手段が、前記低解像度画像に対して前記デジタルズームを行うものであって、
前記視差量の前記修正を前記低解像度画像に対して行い、
前記データ圧縮された高解像度画像を伸張処理し、
前記視差量を修正した複数の低解像度画像に基づく3次元表示を行った後に、該3次元表示に置き換えて、前記伸張処理された複数の前記高解像度画像に基づき、前記修正された複数の低解像度画像に基づく3次元表示範囲に合わせた3次元表示を行うことを特徴とする請求項4に記載のデジタルズーム補正方法。
【請求項6】
前記表示手段が、前記複数の2次元画像に基づく3次元表示と前記2次元画像の2次元表示が可能なものであり、
前記2次元画像を2次元表示する際、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行わせた後に、該2次元表示に置き換えて、前記伸張処理された前記高解像度画像を前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示範囲に合わせて2次元表示させるものであって、
前記修正した複数の低解像度画像に基づいて3次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記3次元表示するまでに要する時間よりも、前記デジタルズームされた低解像度画像の2次元表示を行ってから前記高解像度画像を前記2次元表示するまでに要する時間を短く設定することを特徴とする請求項5に記載のデジタルズーム補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2010−263342(P2010−263342A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111710(P2009−111710)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]