説明

3.5インチ定形型ディスク形状を持ったデータトランスミッション装置

【課題】コンピュータ性能をハードディスク性能に依存されること無く、全体性能を大幅にアップし、従来のハードディスク装置では達成できなかった小規模なファイルの検索性能劣化問題を解決し、電源ダウン時のデータの消失という問題も解決するデータトランスミッション装置1を実現する。
【解決手段】DRAMメモリーからなるメモリーキャッシュテーブル4と、定形型2.5インチハードディスク5と、コントロールCPU7と、FPGA6(又はASIC)と、ディスクインターフェース3、3と、バックアップ用電池とを備え、外形が3.5インチサイズの定形型のハードディスクと同じ形状にユニット化されており、ディスクインターフェース3を介して外部コンピュータ2に接続されて使用され、FPGA6(又はASIC)は、CPU7の制御に基づきメモリーキャッシュテーブル4のメモリー管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部コンピュータのデータを効率的にハードディスクに転送して、効果的なコンピュータ環境を実現することを可能にする装置(これを本明細書等では「データトランスミッション装置」(データ・トランスミッション・システム)と言う。その頭文字で「DTS」ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、汎用コンピュータサーバーにおいては、ますます集中・高速処理の要求が高まってきている。従来の汎用コンピュータサーバーでは、そのCPU 処理は、オンボード上のローカルメモリーで行われ、必要に応じてハードディスク装置、シリコンディスク等の外部記憶装置にデータの要求、格納、処理をシステムバスを介して行うものである。
【0003】
そして、上記外部記憶装置としては、従来、ハードディスク装置、半導体メモリーを使用したシリコンディスクが使用されている。従来のハードディスク装置では、アルミ円盤をシリコン蒸着した円盤にデータ読み取り用のディスクヘッドが配置され、必要に応じてそのセクター、ブロックのデータを読み書きするものである。
【0004】
ところで、本発明者は、実データを記憶するデータメモリーとして半導体メモリを利用するダイレクトメモリ接続型サーバーコンピュータにおいて、データメモリーは、設定された一定のサンプリング時間内に通過した頻度の高いデータについてのアドレスデータを固定エリアとして認識し、該アドレスデータを次のサンプリングタイムが終了するまでの間、データメモリーに固定エリアとして常駐させて高速化を図ることのできる自己学習機能を有する技術を開発している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−304325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のハードディスク装置へのアクセスは、その構造からディスクヘッドのシークタイムの手順を踏むため、極端に待ち時間が掛かかってしまい、結果としてコンピュータ全体のスピード低下の原因となっていた。これは、近年のコンピュータの全性能におけるCPU性能向上のみでは解決できない現状での性能向上の壁となっている。
【0006】
即ち、前述のとおり、従来のハードディスク装置では、必要に応じて、データ読み取り用のディスクヘッドのセクター、ブロックのデータを読み書きするものであるが、このような手段では、小さなアクセスが集中する場合の追従性が悪く、運用性に難のあるコンピュータとなっていた。
【0007】
また、従来の半導体メモリーを使用したシリコンディスクでは、使用できるデータの領域が搭載するシリコンディスクと同等の容量であったため、全体のアプリケーションを乗せることは出来ない。また、DRAMは揮発性のデータデバイスであるため、常に通電していなければならず、万が一電源を不良した場合にはデータがすべて消失する危険性をはらんでいた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とし、コンピュータ性能をハードディスク性能に依存されること無く、全体性能を大幅にアップし、従来のハードディスク装置では達成できなかった小規模なファイルの検索性能劣化問題を解決するものであり、しかも従来の半導体ディスクにある電源ダウン時のデータの消失という問題も解決することを課題とするものである。
【0009】
換言すれば、外部ホストコンピュータからハードディスク装置にアクセスをする際に発生する処理能力の低下(特に小規模データアクセス時およびランダムデータ検索での性能低下)を、独自のキャッシュアルゴリズムと、そのメモリーキャッシュテーブルで使用する半導体メモリーの効果によって解決して、飛躍的に検索能力をアップすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、DRAMメモリーからなるメモリーキャッシュテーブルと、定形型2.5インチハードディスクと、コントロールCPUと、FPGA又はASICと、ディスクインターフェースと、バックアップ用電池とを備え、外形が3.5インチサイズの定形型のハードディスクと同じ形状にユニット化されており、前記ディスクインターフェースコンピュータに接続されて使用されるデータトランスミッション装置において、前記FPGA又はASICは、前記CPUの制御に基づきメモリーキャッシュテーブルのメモリー管理を行うことを特徴とするデータトランスミッション装置を提供する。
【0011】
前記FPGA又はASICは、接続されたコンピュータからアクセスされるデータの単位時間当たりのアクセス頻度をサンプリングし、該サンプリング結果に基づいて、そのデータの重要度を自動学習して認識し、前記メモリーキャッシュテーブルは、アクセス頻度の高く、重要度の高いと認識されたデータは保存し、コンピュータから高速且つ効率的なアクセスを可能とすることを特徴とするデータトランスミッション装置を提供する。
【0012】
前記FPGA又はASICは、接続されたコンピュータからアクセスされるデータを前記メモリーキャッシュテーブルに書き込むとともに、同時に該データを前記2.5インチハードディスクに転送し書き込むか、又は前記メモリーキャッシュテーブルに書き込んでから所定時間再度の書き込みがない場合に該データを前記2.5インチハードディスクに転送し書き込む構成であることを特徴とするデータトランスミッション装置を提供する。
【0013】
前記FPGA又はASICは、専用のデータトランスミッション装置のメモリー管理ソフトウエアモジュールと相まって、接続されたコンピュータからのアクセス情報をどれからのものであるかを判断でき、それによってアクセス権限の無いものからのアクセスを拒否する構成のものである。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成から成る本発明に係るデータトランスミッション装置によると、次のような効果が生じる。
(1)汎用ハードディスクにあらかじめ頻度の高いデータをそのデータのハードディスクキャッシュ領域として常駐させる、即ち、その運用におけるデータのサイズ、頻度、およびリアルタイムな運用性を自動学習するキャッシュプログラムを介して事前に必要なデータをそのメモリーキャッシュテーブル内に常駐させることで、高速なCPUは、その処理に必要なデータ領域として外部記憶装置のアクセス頻度の高いデータを常にローカルメモリー内のキャッシュ領域のメモリー内に効果的に置く事が出来る。
【0015】
これにより、コンピュータ性能をハードディスク性能に依存されること無く、全体性能で大幅にアップでき、従来のハードディスク装置では達成できなかった小規模なファイルの検索性能劣化問題を、専用の半導体キャッシュユニットで解決可能である。
【0016】
(2)キャッシュソフトウエアドライバーの機能であるデータ書き込み能力から、安全にデータを2.5インチハードディスクに退避させ、運用にあわせて、データを自由に出し入れする事が出来るから、従来型の半導体ディスクにある電源ダウン時のデータの消失という問題も解決可能である。
【0017】
(3)接続された外部コンピュータからのデータサイズは、バックアップ退避用の2.5インチハードディスクの容量サイズを使用可能なエリア(接続している外部コンピュータからは、2.5インチハードディスクの容量(例えば40GB)がその接続しているディスクとして使用可能。)として見えているので、高いコストパーフォーマンスを維持することが出来るものである。
【0018】
(4)以上のとおり、本発明によれば、外部ホストコンピュータからハードディスク装置にアクセスをする際に発生する処理能力の低下(特に小規模データアクセス時およびランダムデータ検索での性能低下)を、独自のキャッシュアルゴリズムと、そのキャッシュ部に使用する半導体メモリーの効果によって飛躍的に検索能力をアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るデータトランスミッション装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
【実施例】
【0020】
この発明に係るデータトランスミッション装置は、外部コンピュータ(例.汎用コンピュータ、ホストコンピュータ等)のデータを効率的にハードディスクにトランスミッション(転送)して、効果的なコンピュータ環境を実現することを可能にする装置である。なお、本明細書等では、本発明のデータトランスミッション装置1が接続されるコンピュータを「外部コンピュータ」と言う。
【0021】
図1は本発明に係るデータトランスミッション装置1の実施例の全体構成を説明する図である。本発明のデータトランスミッション装置1は、外部コンピュータ2にインタフェース3を介して接続されるものであり、ここでは、外形が3.5インチサイズの定形型のハードディスクと同じ形状にユニット化されている。
【0022】
そして、本発明に係るデータトランスミッション装置1は、DRAMメモリーからなるメモリーキャッシュテーブル4(本発明では、自己学習型機能を有する半導体メモリーとしての機能を有する。)と、定形型2.5インチハードディスク5と、FPGA6(「ASIC(Application Specific Integrated Circuit)」でも可能であるが本実施例では「FPGA」で説明する。)と、コントロールCPU7と、データバス8と、標準のディスクインターフェース3(例.Serial ATA/ Parallel ATA/ SCSI /FC)とを備え、さらに、バックアップ用電池(図示せず)を備えている。
【0023】
メモリーキャッシュテーブルと2.5インチハードディスクは、互いにFPGA、データバス、及び標準のディスクインターフェース(Serial ATA/ Parallel ATA/ SCSI /FC)を介して接続されている。
【0024】
一方、FPGA6は、データバス及び標準のディスクインターフェース3(Serial ATA/ Parallel ATA/ SCSI /FC)を介して、外部コンピュータ2に接続可能な構成とされている。即ち、本発明は、3.5インチサイズの定形型のハードディスクの外形を有し、メモリーキャッシュテーブル4を備えたデータトランスミッション装置1であり、外部コンピュータ2に接続されて使用されるものである。
【0025】
外部コンピュータ2は、ハードディスクインターフェースを持っているものであれば、本発明の装置を利用することができる。一般的には、SCSI接続またはIDE接続で、本発明のデータトランスミッション装置1を利用することができる。
【0026】
FPGA6はコントロールCPU7に接続されているが、このCPU7は、近接して設けられたローカルメモリー9に記憶されたOS及びドライバソフトにより、FPGA6の制御を行い、FPGA6を次に説明するような複数のモジュールとして機能を発揮させることが可能となる。
【0027】
本発明では、専用ハードウエアロジック設計されたFPGA6にて、メモリー制御部、外部通信部、バス制御部を構築し、メモリーキャッシュテーブル4の動作を管理するメモリー管理モジュール、バス上のデータ転送を制御するバス制御モジュール、外部通信モジュールとして機能する。また、本発明では、データトランスミッション装置1におけるメモリーキャッシュテーブル4のメモリー管理モジュール機能を搭載したキャッシュアルゴリズムソフトウエアにより、従来のハードディスクの数十倍から数百倍のデータ検索能力を実現している。
【0028】
データ書き込み時には、外部コンピュータ2からのデータは、インタフェース3、データバスを8介して送信され、CPU7及びFPGA6の制御により、メモリーキャッシュテーブル4に書き込まれるとともに、バス8を介して2.5インチハードディスク5に送信され、書き込まれる。
【0029】
なお、後述するが、メモリーキャッシュテーブル4及び2.5インチハードディスク5へのデータの書き込みには、「ライトスルーバック」と「ライトバック」の2種類のモードがあり、使用用途に応じて選択できる。
【0030】
そして、データ検索時には、外部コンピュータ2からのデータ検索指令は、インタフェース3、データバス8、FPGA6を介してCPU7に送信される。CPU7は、FPGA6を制御し2.5インチハードディスク5からデータを取り出して、データをデータバス8、インタフェース3を介して外部コンピュータ2に送る。この際、FPGA6は、外部コンピュータ2に送ったデータをキャッシュしてメモリーキャッシュテーブル4に保存する。
【0031】
このように、データ書き込み時及びデータ検索時等のアクセスの際には、メモリーキャッシュテーブル4に書き込まれた(キャッシュした)データは、CPU7で制御されるFPGA6により、後述する本発明独自のデータ格納アルゴリズムに従って、メモリーキャッシュテーブル4への書き込みに加えて、定形型2.5インチハードディスク5へデータの保管、維持を常時行い、常にデータを保護する。
【0032】
そして、FPGA6は、外部コンピュータ2からアクセスされるデータの大きさ、データの単位時間当たりのアクセス頻度(データの保存や引き出しのためのアクセスの頻度)をサンプリングする。このサンプリングによるデータへのアクセスの単位時間当たりの頻度に基づいて、そのデータの重要度を自動学習して認識する。
【0033】
このようにして、本発明では、常にアクセス頻度が高く、重要度の高いと認識されたデータは、メモリーキャッシュテーブル4内に保存して確保し、外部コンピュータ2から高速且つ効率的なアクセスを可能とする。これにより、本装置に接続された外部コンピュータ2にとって、最適なアクセス環境を実現することが可能となる。
【0034】
本発明で使用する制御ソフトウエアは、Linux OS環境配下で動作実行する複数の専用ソフトウエアモジュール群である。これらのソフトウエアモジュール群を同時に実行することで、前述のとおり、外部コンピュータ2からのデータ検索アクセスをリアルタイムに把握することを可能とする。
【0035】
これを利用して、単位時間当たりのデータのアクセス頻度をサンプリングして、このサンプリングデータから、検索転送性能をシステム全体からみてトータルで大幅にアップすることが可能となるような最適値(アクセス頻度の高いデータのみを抽出して、ワーキングテーブルに載せ、キャッシュヒット率の期待を高める値)を探しだし、外部コンピュータ2からの次のデータ検索要求に対して、高速でデータを引き出せるようにするものである。このようにして、メモリーキャッシュテーブル4は自己学習型のキャッシュテーブル4として構成されることとなる。
【0036】
このように、本発明のデータトランスミッション装置1では、接続された外部コンピュータ2から発生したデータのアクセス頻度を、特定時間についてサンプリングして、常にアクセス頻度の高いデータのみを本発明のキャッシュ内に保存して確保することによって、CPUからの検索処理指令の多くがメモリーキャッシュテーブル4で再度検索される可能性が高くなる。この結果、相対的に直接ハードディスクへのアクセス頻度が少なくなり、高速のデータ検索に対応可能となる。その結果として、例えば32ビットCPUの実行アドレス空間である、4GBを超えたデータ検索処理にも直接ハードディスクへのアクセスが必要なく、高いトランザクション能力を維持できる。
【0037】
従って、IO集中型の運用形態(コンピュータ処理のプロセスにおいて計算に主眼をおいたものではなく、データの出し入れ、書き込み更新処理のほうが大きい運用形態。特に多重通信によるデータの更新などが、挙げられる。)でも、コンピュータの性能低下を生じることが少ないので、運用するデータタイプ、及び演算型、IO集中型、データ検索型を問わず、広範囲の用途についてカバーすることの出来るコンピュータシステムを構成することが出来るものである。
【0038】
次に、本発明のメモリーキャッシュテーブル4によるキャッシュ動作を制御するキャッシュアルゴリズムを説明する。本発明のキャッシュキャッシュアルゴリズムは、「ライトスルーバック(write though/back)」と、「ライトバック(write back)」の2つのモードがあり、使用する用途に応じた選択が出来る様になっている。
【0039】
「ライトスルーバックモード」は、図3(a)に示すように、メモリーキャッシュテーブル4(図3(a)中の「DTSキャッシュテーブル4」)への書き込みと、2.5インチハードディスク5装置へのデータの書き落としを同時に処理するモードである。
【0040】
「ライトバックモード」は、図3(b)に示すように、メモリーキャッシュテーブル4(図3(b)中の「DTSキャッシュテーブル4」)への書き込みは行うが、この書き込みから、接続したコンピュータから0.01秒の間(これを「書き落とし時間」という。)に次の書き込み要求がなければ、2.5インチハードディスク5へのデータの書き落としを行うモードである。この書き落とし時間は、標準で0.01秒とするが、最大100分間の範囲で設定することも出来る。
【0041】
以上のとおり、本発明のデータトランスミッション装置1は、メモリーキャッシュテーブル4と2.5インチハードディスク5を3.5インチサイズの定形型ディスク形状にユニット化したものであるが、上記の本発明の機能は全て、その専用ハードウエア(具体的には、FPGA6)上で実現される。
【0042】
ここで、本発明のデータトランスミッション装置1のメモリーキャッシュテーブル4へのストレージキャッシュ(キャッシュのための書き込み)に関するアルゴリズムについて、図5を参照して説明する。データトランスミッション装置1のストレージキャッシュのアルゴリズムは、次の手順のとおりである。
【0043】
(1)サンプリングタイムを設定する(例.1分間)。このサンプリングタイムは、通常は1分間であるが、変更を可能とする。
(2)データトランスミッション装置1を通過検索されるデータのブロックアドレスを特定のロー・カラムグラフ上にプロットし、単位時間当たりのアクセスされるデータのブロックアドレス値、アクセスの頻度(回数)を検出する(図5の上のグラフ参照)。
(3)このデータを基に自己学習キャッシュ運用テーブルを作成してゆく(図5の下のグラフ参照)。
【0044】
(4)このサイクル((2)及び(3)から成るサイクル)を、順次、3つのサンプリング区間(サイクル)A、B、Cで実施し、二つ前までのサンプリング区間(図5の場合はサンプリング区間A、B)で入手したアクセス頻度をもとに、運用テーブル4(図5の場合はCの下のグラフ)をリアルタイムに更新、維持してゆく。
(5)その都度データは、バックアップストレージとして機能する2.5インチハードディスク5に格納されてゆく。このときのデータ書き込みは、バックグラウンド処理にて行う。
【0045】
(6)使用頻度の低いデータは、次のサンプリング時間では、完全に書き落とされるが、頻度の高いものでも、ライトバックモード時では、本装置が接続されるコンピュータの書き込み要求が0.01秒以上こない場合には、バックグラウンド処理で2.5インチハードディスク5へ書き落とされる。
【0046】
ライトスルーバックモードでは、前述の通りメモリーキャッシュテーブル4への書き込みと、2.5インチハードディスク5へのデータの書き落としが同時に処理されるために、常時2.5インチハードディスク5へのデータの書き落としが行われ、データは保護されることとなる(図4(a)参照)。
【0047】
なお、ライトスルーモードでは、サンプリングの結果、アクセス頻度の少ないデータは、メモリーキャッシュテーブル4から随時、消去されるが、2.5インチハードディスク5へのデータの書き落としが行われるためにデータは保護されることとなる(図4(b)参照)。
【0048】
(7)設定方法
以上のようなメモリーキャッシュテーブル4の動作はメモリー管理モジュールソフトウエアにより行われ、基本的なキャッシュパラメターは、工場出荷時に設定、組み込みされている。
【0049】
(適用例)
本発明に係るデータトランスミッション装置1(図2中では「DTS」と記載)の、適用例を図2(a)、(b)で説明する。図2(a)は、外部コンピュータ2として、通常の汎用コンピュータ10に接続した適用例を示す。この接続は、汎用コンピュータ10にデータトランスミッション装置1を装着し内蔵してもよいし、外部接続でもよい。
【0050】
接続される汎用コンピュータは、ハードディスクインターフェース(図中の「Disk I/O」)を持っていれば良い。一般には、SCSI接続またはIDE接続にて、本発明に係るデータトランスミッション装置1が接続でき、その特徴とするメモリーキャッシュテーブル4の機能を利用できる。
【0051】
図2(b)は、外部コンピュータ2としてホストコンピュータ11に、複数のデータトランスミッション装置1を接続した適用例である。この適用例では、ホストコンピュータ11との間にRAIDコントローラー12を設け、並列にデータの書き込みを行うことのできる構成(ハードウエアRAID構成)が特徴である。この適用例のように、本発明は、既存のストレージシステム、例えばRAID装置(Redundant Array of Inexpensive Disks:データを分割して、複数の時期ディスク装置に対して並列にデータの読み書きを行う装置。)、JBOD装置(Just Bunch Of Disks:複数ディスクユニットの集合体)に組み込みが容易に行うことも可能である。
【0052】
本発明では、自己学習型のメモリーキャッシュテーブル4を、2.5インチハードディスク5とともに、汎用の3.5インチサイズの定形型ハードディスク形状にユニット化した構成とすることにより、上記適用例のように、汎用コンピュータ10、ホストコンピュータ11等の外部コンピュータに接続可能となるが、これによる運用面でのメリットをまとめると次のとおりである。
【0053】
(a)既存の汎用コンピュータに高速検索型内臓ディスク装置として、組み込みが容易に行える。
(b)接続するコンピュータのOS及びアプリケーションソフトウエアに依存されない。
(c)通常のディスクケースに装着することが出来るため、運用中の取り外しが可能となり、メインテナンスが容易である。
(d)前段に他のRAIDコントローラを用意してハードウエアRAID構成が可能である。
(e)既存のストレージシステム(RAID装置、JBOD装置)に組み込みが容易に行える。
【0054】
本発明に係るデータトランスミッション装置1は、高度の拡張性、セキュリティ性を有するが、この点について説明する。本発明の適用例の一例は図2において説明したとおりであるが、本発明のデータトランスミッション装置1は、定形型3.5インチハードディスク形状を採用したので、広く一般のハードディスクを使用するコンピュータに入れ替えて使用が可能である。
【0055】
このことから、本発明に係るデータトランスミッション装置1は、上記適用例以外にも様々な態様で応用する事が可能である。また、ユーザーは必要に応じて複数同時にデータトランスミッション装置1を使用することで、必要な容量を確保する事が出来き、拡張性がきわめて高く、常にコンピュータ市場の進化に追従できるものである。
【0056】
セキュリティ性については次のとおりである。アクセス件数の多いファイルサーバー構成において常に接続されたハードディスク装置にデータを読み書きしている。その場合、ある特定のユーザーにアクセス権を与え、そのほかのユーザーにはアクセス制限を掛けることが可能となる。
【0057】
例えば、図4に示すように、本発明のデータトランスミッション装置1(図4中では「DTS」と記載)を適用したファイルサーバーに、なりすましユーザー(他人のIDを不正に利用する者)がiSCSI等を介して外部からアクセスしてきた場合、iSCSI ではハードディスクの内部データを直接アクセスできるため、外部侵入者が盗難しようとした場合比較的セキュリティが甘くなってしまう問題点が挙げられていた。しかし、本発明では、管理者が第3者からのアクセスを拒否する設定にする事で、たとえ、iSCSI ベースのアクセス要求でも、このユーザーにアクセス権がない場合にはアクセス否定が可能となり、事前にデータ漏洩を防ぐものである。
【0058】
従来のコンピュータでは、ユーザーのアクセス権限を決定して、専用ソフトウエアで監視・セキュリティを掛ける方法に頼らざるを得なかった。しかし、本発明では、このアクセス権限の管理・制御が実データの格納されているディスクデバイス上で行えるということが大きなメリットであり、これによって、物理的なディスクの盗難にもセキュリティが保てることになる。
【0059】
以上、本発明に係るデータトランスミッション装置の最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、以上の構成であるから、汎用コンピュータをはじめ、ホストコンピュータ、プロキシサーバ等各種のサーバーコンピュータに接続して、家庭用、業務用にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るデータトランスミッション装置の実施例の全体構成を説明する図である。
【図2】本発明に係るデータトランスミッション装置の適用例の全体構成を説明する図である。
【図3】本発明のメモリーキャッシュテーブルの動作モードを説明する図である。
【図4】本発明のデータトランスミッション装置のユーザーロックを説明する図である。
【図5】本発明のデータトランスミッション装置のサンプリングテーブルを説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
1 データトランスミッション装置
2 外部コンピュータ
3 インタフェース
4 メモリーキャッシュテーブル
5 定形型2.5インチハードディク
6 FPGA
7 コントロールCPU
8 データバス9
9 ローカルメモリー
10 汎用コンピュータ
11 ホストコンピュータ
12 RAIDコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DRAMメモリーからなるメモリーキャッシュテーブルと、定形型2.5インチハードディスクと、コントロールCPUと、FPGA又はASICと、ディスクインターフェースと、バックアップ用電池とを備え、外形が3.5インチサイズの定形型のハードディスクと同じ形状にユニット化されており、前記ディスクインターフェースコンピュータに接続されて使用されるデータトランスミッション装置において、
前記FPGA又はASICは、前記CPUの制御に基づきメモリーキャッシュテーブルのメモリー管理を行うことを特徴とするデータトランスミッション装置。
【請求項2】
前記FPGA又はASICは、専用のデータトランスミッション装置のメモリー管理ソフトウエアモジュールと相まって、接続されたコンピュータからアクセスされるデータの単位時間当たりのアクセス頻度をサンプリングし、該サンプリング結果に基づいて、そのデータの重要度を自動学習して認識し、
前記メモリーキャッシュテーブルは、アクセス頻度の高く、重要度の高いと認識されたデータは保存し、コンピュータから高速且つ効率的なアクセスを可能とすることを特徴とする請求項1記載のデータトランスミッション装置。
【請求項3】
前記FPGA又はASICは、専用のデータトランスミッション装置のメモリー管理ソフトウエアモジュールと相まって、接続されたコンピュータからアクセスされるデータを前記メモリーキャッシュテーブルに書き込むとともに、同時に該データを前記2.5インチハードディスクに転送し書き込むか、又は前記メモリーキャッシュテーブルに書き込んでから所定時間再度の書き込みがない場合に該データを前記2.5インチハードディスクに転送し書き込む構成であることを特徴とする請求項1又は2記載のデータトランスミッション装置。
【請求項4】
前記FPGA又はASICは、専用のデータトランスミッション装置のメモリー管理ソフトウエアモジュールと相まって、接続されたコンピュータからのアクセス情報をどれからのものであるかを判断でき、それによってアクセス権限の無いものからのアクセスを拒否する構成であることを特徴とする請求項1又は2記載のデータトランスミッション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18602(P2006−18602A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195981(P2004−195981)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(399004175)イーストレージネットワークス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】