説明

3D撮影装置および3D撮影方法

【課題】第1及び第2位置で撮影した画像を合成した3D画像の見栄えが悪くならないようにした3D撮影装置および3D撮影方法を提供する。
【解決手段】被写体を認識し、第1位置において被写体にピントを合わせるステップと(S3)、第1位置において被写体を撮影して第1画像データを生成するステップと(S11)、第1位置とは異なる第2位置において被写体にピントを合わせるステップと(S21)、第2位置において被写体を撮影して第2画像データを生成するステップと(S21)、第1画像データ及び第2画像データを用いて3D画像データを生成するステップと(S29)、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1位置と、この第1位置とは異なる第2位置で撮影を行い、3D画像を撮影する3D撮影装置および3D撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1及び第2位置で画像をそれぞれ撮影し、この2枚の撮影画像に基づいて立体的な画像を生成する3D撮影装置が種々、提案されている。例えば、特許文献1には、1枚目の撮影を行った後、ブレ補正レンズを撮影レンズの光軸と垂直な面内でシフトさせ、2枚目の撮影を行うようにした電子カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−41381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1位置から第2位置にシフトさせ、2枚の画像を撮影することにより、これらの画像から立体画像を生成することができる。しかしながら、従来の3D撮影装置においては、1枚目の撮影の際にピント合わせを行うが、2枚目の撮影の際にはピント合わせを行うことがなく、1枚目の撮影時のピント位置のままである。この時の不具合について、図4を用いて説明する。
【0005】
図4(a)は、1枚目の撮影を行った後に、カメラを横にずらし2枚目の撮影を行った場合を示しており、カメラから被写体までの距離が等距離である。この場合、1枚目の撮影の際に、ピントを合わせておけば、2枚目の撮影の際にもピントの合った写真となる。
【0006】
図4(b)は、カメラを保持した撮影者が、1枚目の撮影を行った後に、カメラを移動させ2枚目の撮影を行う場合を示す。撮影者は、水平にカメラを右方向に移動させたつもりでも、水平方向のみに移動させることは簡単ではなく、前後方向にも動いてしまうことが多々ある。この場合には、2枚目の撮影時にはピントが合わず、1枚目と2枚目の撮影ではカメラから被写体までの距離が異なってしまう。
【0007】
また、図4(c)は、被写体が1枚目撮影時の位置と2枚目撮影時の位置の中間になく、被写体からカメラまでの距離が1枚目撮影時と2枚目撮影時で異なる場合を示す。このように、1枚目と2枚目の撮影時では、カメラから被写体までの距離が異なることが多い。この場合には2枚目の画像のピントが合っていないことがあり、2枚の画像を合成して生成した3D画像の見栄えが悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、第1及び第2位置で撮影した画像を合成した3D画像の見栄えが悪くならないようにした3D撮影装置および3D撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる3D撮影装置は、撮影被写体を認識する画像認識部と、上記画像認識部により認識した被写体にピントを合わせるための焦点調節部と、第1位置及び該第1位置とは異なる第2位置で撮影を行い、画像データを生成する撮影部と、上記第1位置及び上記第2位置で撮影した画像データを用いて、3D画像データを生成する画像処理部と、を備え、上記第1位置及び第2位置における撮影において、上記画像認識部により認識した同一被写体に対して上記焦点調節部によりピントを合わせた後に、上記撮影部により撮影を行う。
【0010】
第2の発明に係わる3D撮影装置は、上記第1の発明において、焦点深度を演算する焦点深度演算部を更に備え、上記撮影部は、上記焦点深度が所定深度内のときは、上記第1位置でのみ焦点調節を行った後に撮影を行い、上記第2位置では焦点調節を行うことなく撮影を行う。
第3の発明に係わる3D撮影装置は、上記第1の発明において、上記撮影部は、上記画像認識部によって被写体の認識を行うことができなかった場合には、上記第1位置でのみ焦点調節を行った後に撮影を行い、上記第2位置では焦点調節を行うことなく撮影を行う。
【0011】
第4の発明に係わる3D撮影方法は、画像認識部により被写体を認識するステップと、焦点調節部により、第1位置において被写体にピントを合わせるステップと、撮影部により、上記第1位置において被写体を撮影して第1画像データを生成するステップと、上記焦点調節部により、上記第1位置とは異なる第2位置において上記被写体にピントを合わせるステップと、上記撮影部により、上記第2位置において被写体を撮影して第2画像データを生成するステップと、上記第1画像データ及び上記第2画像データを用いて3D画像データを生成するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1及び第2位置で撮影した画像を合成した3D画像の見栄えが悪くならないようにした3D撮影装置および3D撮影方法を提供することができる。特に、第1及び第4の発明によれば、被写体にピントが合った3D画像を生成することができる。また、第2の発明によれば、シフト式3D撮影を迅速に行うことができる。第3の発明によれば、被写体認識ができなかた場合には、ピントを固定にしているために、撮影者の意図しない被写体にピント合い、見栄えが悪くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるカメラの電気回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるカメラの撮影のメインフローを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係わるカメラの撮影のメインフローを示すフローチャートである。
【図4】従来の3D撮影装置における撮影方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい第1実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。また、3D撮影モードが設定されている場合には、第1位置で撮影した後に、3D撮影を補助する補助表示が表示部になされ、この補助表示に沿って第2の位置で撮影すると、カメラは3D画像を生成し、記録媒体に記録する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラ11の構成を示すブロック図である。フォーカスレンズ12の光軸上には、絞り機構13、シャッタ機構14、および撮像センサ15が配置されている。
【0016】
フォーカスレンズ12は、被写体像を形成するためのレンズであり、モータ17によってフォーカスレンズ12の光軸方向に沿って移動可能である。モータ17はフォーカス制御部16に接続されており、フォーカス制御部16は、後述するメインCPU(Central Processing Unit)26からの制御命令に従って、フォーカスレンズ12のピント合わせを行う。
【0017】
絞り機構13は、開口径が調節可能であり、フォーカスレンズ12を通過した被写体光束の光量調節を行う。絞り機構13の開口径はモータ19によって駆動され、モータ19は、絞り制御部18に接続されている。絞り制御部18は、メインCPU26からの制御命令に従って、絞り機構13の絞り値の制御を行う。
【0018】
シャッタ機構14は、レンズシャッタまたはフォーカルプレーンシャッタ等で構成され、撮影時にはフォーカスレンズ12を通過した被写体光束の露光時間を調節する。シャッタ機構14は制御回路21に接続され、制御回路21はシャッタ制御部20に接続されている。シャッタ制御部20は、メインCPU26からの制御命令に従って、シャッタ機構14によるシャッタ速度の制御を行う。なお、ライブビュー表示の際には、シャッタ機構14は開口状態にする。
【0019】
撮像センサ15は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子によって構成され、フォーカスレンズ12によって形成された被写体像を画像信号に変換する。撮像センサ15は、TG(Timing Generator)23に接続されており、TG23から出力されるタイミング信号に基づいて、画像信号の読み出し等、撮像センサ15の駆動を行う。TG23は、メインCPU26に接続されており、メインCPU26からの制御命令に従って、撮像センサ15の画像信号の蓄積や読み出し等、撮像センサ15の駆動制御用のタイミングパルスを発生する。
【0020】
信号処理回路24は、撮像センサ15の出力に接続されており、相関二重サンプリングCDS(Correlated Double Sampling)回路、信号レベルを増減させるアンプ回路、アナログ信号をデジタルデータに変換するADC(Analog to Digital Converter)等の回路を有し、これらの回路によって種々の信号処理を実行する。信号処理回路24によって処理された信号は、データバス25に出力される。なお、本実施形態においては、撮像センサ15によって出力される画像信号および信号処理回路24によって出力されるデジタルデータ、または画像処理回路30等において処理されたデータについても、画像データと称する。
【0021】
データバス25には、前述の信号処理回路24以外に、メインCPU26、AE(Automatic Exposure)処理部27、AF(Auto Focus)処理部28、画像処理回路30、LCD(Liquid Crystal)ドライバ31、不揮発性メモリ33、内蔵メモリ34、圧縮伸張部35、着脱メモリ36が接続されている。
【0022】
AE処理部27は、信号処理回路24から出力される画像データに基づいて、撮影画像の内の所定領域のAE評価値を算出し、算出結果をデータバス25を介してメインCPU26に出力する。AF処理部28は、信号処理回路24から出力される画像データに基づいて、所定領域の高周波成分を抽出し、AF評価値を算出する。算出結果は、データバス25を介してメインCPU26に出力される。
【0023】
画像処理回路30は、内蔵メモリ30に格納されている撮影画像に対してホワイトバランス調整、エッジ処理等の各種画像処理を行う。また、画像処理回路30は、信号処理回路24から出力される画像データに基づいて、画像の中に人物の顔等が含まれているか検出し、顔等が含まれている場合には、その位置や大きさ等を検出し、検出結果をメインCPU26に出力する。また、第1位置と第2位置で撮影された2枚の画像データを用いて、3D画像の生成を行う。
【0024】
LCDドライバ31の出力は、カメラ11の背面等に配置されたLCD32に接続されており、信号処理回路24から出力される画像データに基づいて、LCD32にライブビュー表示を行う。また着脱メモリ36に記憶されている画像データに基づいて、撮影画像の再生表示を行う。なお、画像データに基づいて表示できれば、LCDに限らず、例えば有機EL等のモニタを用いても構わない。
【0025】
不揮発性メモリ33は、例えばフラッシュメモリのような電気的書き換え可能な不揮発性メモリである。この不揮発性メモリ33には、メインCPU26において実行処理されるプログラムや、カメラ11の各種調整値等が記憶される。内蔵メモリ34は、一時的にデータ等が格納されるSDRAM(Dynamic Random Access Memory)や演算処理用に利用されるDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等である。
【0026】
圧縮伸張部35は、画像データを圧縮する。この圧縮された画像データは着脱メモリ36に記憶され、また、着脱メモリ36から読み出された圧縮画像データは、圧縮伸張部35によって伸張される。着脱メモリ36は、カメラ11の本体に対して着脱自在な記憶媒体である。
【0027】
メインCPU26は、カメラ11全体の動作を、不揮発性メモリ33に記憶されたプログラムに基づいて制御する。例えば、AE処理部27から出力されるAE評価値に基づいて絞り制御部18、シャッタ制御部20に制御命令を出力して自動露出制御(AE)を行い、またAF処理部28から出力されるAF評価値に基づいてフォーカス制御部16に制御命令を出力して自動焦点調節(AF)を行う。
【0028】
また、メインCPU26は、画像認識部としても機能し、画像処理部30による顔検出結果等に基づいて、被写体の主要部を認識する。さらに、メインCPU26は、焦点調節部の一部としても機能し、AF処理部28からAF評価値を入力し、フォーカスレンズ12のピントが合うようにフォーカス制御部16に制御命令を出力する。さらに、メインCPU26は、撮影部の一部としても機能し、第1位置及び第2位置で撮影を行わせ画像データの生成を行わせる。さらに、メインCPU26は、第1位置及び第2位置において撮影を行う際に、同一の被写体に対してピントを合わせた後に、撮影を行うように制御する。
【0029】
入力部37は、撮影モード等の設定を行う操作スイッチや、ズームスイッチ、レリーズ釦等の各種操作部材を有し、操作状態はメインCPU26に出力される。メインCPU26は操作状態の情報に基づいてカメラの制御を行う。電源部38は、バッテリや電池等からなり、メインCPU26等を動作させるための電圧、モータ17,19等を駆動する電圧、LCD32を駆動する電圧等を供給する。
【0030】
次に、本実施形態における動作について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、不揮発性メモリ33に記憶されているプログラムに従って、メインCPU26が実行する。
【0031】
図2のフローにおいて、撮影が開始されると、まず、1stレリーズ入力がなされたか否かを判定する(S1)。入力部37の1つであるレリーズ釦は、撮影者が半押しすると1stレリーズスイッチがオンとなり、さらに押し込んで全押しすると2ndレリーズスイッチがオンする。このステップでは、1stレリーズスイッチがオンとなったか否かを判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでなかった場合には、1stレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。
【0032】
ステップS1における判定の結果、1stレリーズ入力されると、次に、レンズを駆動し、被写体の主要部にピントを合わせる(S3)。まず、画像処理部30において検出された顔の部分や、またコントラスト値の高い部分等、被写体の主要部を認識する。続いて、認識された被写体の主要部について、AF処理部28はAF評価値を算出し、この算出されたAF評価値はメインCPU26に出力される。メインCPU26は、フォーカス制御部16に制御命令を出力し、AF評価値がピーク値となるように、フォーカスレンズ12を光軸方向に移動させる。
【0033】
ピント合わせを行うと、次に、被写体認識できた場合は、フラグを立てる(S5)。ここでは、ステップS3においてピント合わせを行うにあたって、顔検出できた場合、またはコントラスト値の高い部分を検出できた場合等、被写体の主要部を検出できた場合に被写体認識できたと判定し、被写体認識できた場合には、被写体認識フラグ=1とし、フラグをセットする。
【0034】
次に、AE動作を行う(S7)。ここでは、顔検出された部分等の被写体の主要部が適正露出となるように、絞り値やシャッタ速度等の露出制御値の算出を行う。AE動作を行うと、次に、2ndレリーズが入力されたか否かを判定する(S9)。撮影者が構図を決めると、レリーズ釦を全押しすることから、ここでは2ndレリーズスイッチがオンとなったか否かを判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでなかった場合には、2ndレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。
【0035】
ステップS9における判定の結果、2ndレリーズが入ると、次に、撮影動作を行い、画像を内部メモリに格納し、この画像を画像1とする(S11)。ここでは、撮像センサ15から画像データを取得し、画像処理回路30等において画像処理を施した後、内蔵メモリ34に画像データを格納する。
【0036】
続いて、カメラを移動して2枚目の撮影を行うよう、補助となる表示を背面パネルに表示する(S13)。3D画像を生成するためには、第1位置で撮影した画像データと、第1位置とは異なる第2位置で撮影した画像データが必要となる。そこで、本実施形態においては、3D撮影モードが設定されている場合には、1枚目の撮影を行うと、2枚目の撮影を行うための補助表示をLCD32に行う。なお、撮影者がこの補助表示に従ってカメラ11を移動させる間、ステップS3、S5において認識した被写体の主要部について公知の自動追尾を行う。自動追尾は、撮像センサ15から所定時間間隔で画像データを取得し、画像データの差分から認識した被写体の追跡を行う。
【0037】
ステップS13において補助表示を行うと、次に、1stレリーズ入力がなされたか否かの判定を行う(S15)。撮影者は補助表示に従ってカメラ11を移動させ、第2位置に達すると、補助表示に2枚目の撮影の指示がなされる。このステップでは、2枚目の撮影指示に従って、撮影者がレリーズ釦を半押し、1stレリーズスイッチがオンとなったか否かを判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでなかった場合には、1stレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。
【0038】
ステップS15における判定の結果、1stレリーズ入力がなされた場合には、次に、被写体認識フラグが立っているか否かを判定する(S17)。ステップS3、S5において、被写体認識ができた場合にはフラグを立てている。このステップでは、このフラグが立てられたか否かを判定する。
【0039】
ステップS17における判定の結果、被写体認識フラグが立っていた場合には、認識した被写体にAF動作を行う(S21)。ここでは、ステップS3においてピントを合わせた被写体の主要部に対して、AF動作を行う。前述したように、ステップS13において、カメラ11を移動する際に被写体の主要部に対して自動追尾を行っていることから、このステップでは自動追尾した被写体の主要部に対してピント合わせを行う。なお、被写体認識フラグが立っていなかった場合には、AF動作が行われないので、1枚目の撮影の際のピントに固定されたままである。被写体認識ができない場合に、AF動作を行うと、1枚目の撮影時にピントが合った被写体の主要部と異なる部分にピントが合い、立体感を損ない見栄えの悪い3D画像となるおそれがあるからである。
【0040】
ステップS21において認識した被写体にAF動作を行うと、またはステップS17における判定の結果、被写体認識フラグが立っていなかった場合には、次に、1枚目と同じ絞り値等の設定を行う(S23)。ここでは、AE動作は行わず、1枚目の撮影と同じ設定、すなわち、同じ絞り値、同じシャッタ速度、同じISO感度に設定する。2枚目の撮影時に適正露出となるように、再度、被写体輝度を測光し、絞り値およびシャッタ速度を算出する方法もあるが、3D画像を合成する際には2枚の撮影画像の明るさや被写界深度等は同じにすると、違和感が少ないことから、同一の設定としている。
【0041】
1枚目と同じ絞り値等の設定を行うと、次に、2ndレリーズが入力されたか否かを判定する(S25)。2枚目の撮影位置に達すると、撮影者はレリーズ釦を全押しすることから、ここでは2ndレリーズスイッチがオンとなったか否かを判定する。この判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでなかった場合には、2ndレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。
【0042】
ステップS25における判定の結果、2ndレリーズが入ると、次に、撮影動作を行い、画像を内部メモリに格納し、この画像を画像2とする(S27)。ここでは、1枚目の撮影と同様、撮像センサ15から画像データを取得し、画像処理回路30等において画像処理を施した後、内蔵メモリ34に画像データを格納する。
【0043】
画像2を内部メモリに格納とすると、次に、画像1と画像2を用いて3D画像を作成し、外部メモリに保存する(S29)。ここでは、内蔵メモリ34から画像1および画像2を読み出し、画像処理回路30において、3D画像を生成する。生成された3D画像は外部メモリとしての着脱メモリ36に記録する。なお、ステップS11およびS27で取得された画像1および画像2も原画像として着脱メモリ36に記録するようにしても構わない。3D画像を外部メモリに保存すると、撮影のフローを終了する。
【0044】
このように、本発明の第1実施形態においては、3D撮影を行うにあたって、被写体認識を行うことができた場合には、第2位置において撮影する場合に、焦点調節動作によって被写体に対してピント合わせを行った後に、撮影を行うようにしている。このため、第2位置で撮影した画像に対してもピントが合っており、第1及び第2位置で撮影した画像を合成した3D画像の見栄えが悪くなることがない。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。第1実施形態においては、1枚目の撮影で被写体を認識していた場合には、2枚目の撮影を行う際に、常時、AF動作を行っていた。第2実施形態においては、第2位置において被写体深度を算出し、被写体が被写界深度内に有る場合には、再度、AF動作を行わずに2枚目の撮影を行うようにしている。
【0046】
前述したように、被写体までの距離にズレがある場合に、ピントを固定して撮影した2枚の撮影画像を用いて3D画像を合成すると、被写体のピント位置が合わず、立体感が損なわれてしまう。この現象は、撮影時に被写界深度が浅い場合に顕著に生ずる。そこで、第1実施形態においては、2枚の撮影の際に、再度、AF動作を行っていた。しかし、被写界深度が十分深い場合には、ピントを固定したままでも十分被写体にピントが合った状態が保たれ、立体感が損なわれることがない。
【0047】
そこで、本実施形態においては、1枚目撮影の際の被写体までの距離と、2枚目撮影の際の被写体までの距離の差、すなわち被写体までの距離のばらつきが、撮影時の被写界深度よりも小さければ、2枚目の撮影でのピントは固定とし、逆に、2枚目撮影の際の被写体までの距離のばらつきが、被写界深度よりも大きければ、第1実施形態の場合と同様、被写体にピントを追従させるように切り替えを行う。
【0048】
本実施形態における構成は、図1に示したブロック図と同様であることから、詳しい説明は省略する。ただし、本実施形態におけるメインCPU26は、被写界深度を算出する機能を有する。ここで、被写界深度dの算出は、例えば、下記式(1)により行う。
d=(Dh×D)/(Dh−D)−(Dh×D)/(Dh+D)
={[(f/δF)D]/(f/δF)−D}−{[(f/δF)D]/(f/δF)+D}・・・(1)
ただし、
δ:許容錯乱円の直径
f:レンズの焦点距離
F:レンズの絞り値
Dh:過焦点距離
D:被写体距離
【0049】
次に、本実施形態における動作を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示したフローチャートは、図2に示した第1実施形態に係わるフローチャートのステップS17をステップS18およびS20に置き換えた点のみ相違する。したがって、この相違点を中心に説明する。なお、このフローチャートも、不揮発性メモリ33に記憶されているプログラムに従って、メインCPU26が実行する。
【0050】
図3のフローに入り、第1実施形態と同様に、ステップS1〜S13を実行すると、次に、1stレリーズ入力がなされたか否かの判定を行う(S15)。撮影者は補助表示に従ってカメラ11を移動させ、第2位置に達すると2枚目の撮影の指示がなされることから、レリーズ釦の半押しを行う。判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでなかった場合には、1stレリーズスイッチがオンとなるのを待つ。
【0051】
ステップS15における判定の結果、1stレリーズ入力がなされた場合には、次に、被写界深度を算出する(S18)。ここでは、前述の式(1)に従って被写界深度を算出する。
【0052】
ステップS18において被写界深度を算出すると、次に、被写体までの距離のばらつきよりが被写界深度よりも大きいか否かを判定する(S20)。ここでは被写体までの距離のばらつきと、ステップS18において算出した被写界深度を比較することにより判定する。被写体までの距離のばらつきは、加速度センサ、6軸センサ、ジャイロ等によって、第1位置から第2位置までのカメラ11の動きから算出する。すなわち、図4(b)(c)に示すカメラ11のレンズの向きや、移動方向や移動量から、幾何学的に被写体までの距離のずれを算出すればよい。
【0053】
ステップS20における判定の結果、被写体までの距離のばらつきが被写界深度よりも大きい場合には、認識した被写体にAF動作を行う(S21)。1枚目と2枚目の撮影時において被写体距離の差が被写界深度よりも大きい場合には、1枚目の撮影のピントを固定しておくと2枚目の撮影画像のピントがずれてしまうので、この場合には、AF動作を行って2枚目の撮影時にもピント合わせを行う。一方、ステップS20における判定の結果、被写体までの距離のばらつきが被写界深度よりも小さい場合には、AF動作を行わず、1枚目の撮影時のピントを固定したままとする。
【0054】
ステップS21においてAF動作を行うと、またはステップS20における判定の結果、被写体までの距離のばらつきが被写界深度よりも小さい場合には、次に、1枚目と同じ絞り値等の設定を行う(S23)。この後、ステップS25以下において2ndレリーズが入った場合には、2枚目の撮影を行い、3D画像を合成し外部メモリに保存する。これらの一連の動作を実行すると撮影動作を終了する。
【0055】
このように、本発明の第2実施形態においては、被写界深度が所定深度内のときは、第1位置でのみ焦点調節を行った後に撮影を行い、第2位置では焦点調節を行うことなく撮影を行うようにしている。このため、シフト式の3D撮影を迅速に行うことができる。すなわち、本実施形態においては、2枚目の撮影時に被写体までの距離のばらつきが被写界深度内にある場合にはAF動作を行うことないために迅速な3D撮影が可能となる。
【0056】
なお、本発明の第2実施形態においては、被写界深度と被写体までの距離のばらつきを比較していたが(S20参照)、被写体案での距離のばらつき以外にも、例えば、所定の基準値と比較するようにしてもよい。基準値としては、一般的なシフト時(第1位置から第2位置へのシフト)の被写体までの距離のズレ量にマージン等を考慮して、適宜、設計値として決めればよい。
【0057】
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、第1位置において被写体を撮影し、カメラを移動させた後、第2位置において被写体を撮影する際に、ピント合わせを行うようにしている。このため、第1及び第2位置で撮影した画像を合成した3D画像の見栄えが悪くならないにすることができる。
【0058】
なお、本発明の各実施形態においては、第1位置において被写体を認識した後、自動追尾し、第2位置において、この自動追尾した被写体に対して再度AF動作を実行していた。しかし、これに限らず、例えば、ステップS3において認識した被写体の主要部を記憶しておき、第2の位置において取得した画像から記憶した被写体の主要部を抽出し、この被写体の主要部に対してAF動作を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
【0060】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11・・・カメラ、12・・・フォーカスレンズ、13・・・絞り機構、14・・・シャッタ機構、15・・・撮像センサ、16・・・フォーカス制御部、17・・・モータ、18・・・絞り制御部、19・・・モータ、20・・・シャッタ制御部、21・・・制御回路、23・・・TG回路、24・・・信号処理回路、25・・・データバス、26・・・メインCPU、27・・・AE処理部、28・・・AF処理部、30・・・画像処理回路、31・・・LCDドライバ、32・・・LCD、33・・・不揮発性メモリ、34・・・内蔵メモリ、35・・・圧縮伸張部、36・・・着脱メモリ、37・・・入力部、38・・・電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影被写体を認識する画像認識部と、
上記画像認識部により認識した被写体にピントを合わせるための焦点調節部と、
第1位置及び該第1位置とは異なる第2位置で撮影を行い、画像データを生成する撮影部と、
上記第1位置及び上記第2位置で撮影した画像データを用いて、3D画像データを生成する画像処理部と、
を備え、
上記第1位置及び第2位置における撮影において、上記画像認識部により認識した同一被写体に対して上記焦点調節部によりピントを合わせた後に、上記撮影部により撮影を行うことを特徴とする3D撮影装置。
【請求項2】
焦点深度を演算する焦点深度演算部を更に備え、
上記撮影部は、上記焦点深度が所定深度内のときは、上記第1位置でのみ焦点調節を行った後に撮影を行い、上記第2位置では焦点調節を行うことなく撮影を行うことを特徴とする請求項1に記載の3D撮影装置。
【請求項3】
上記撮影部は、上記画像認識部によって被写体の認識を行うことができなかった場合には、上記第1位置でのみ焦点調節を行った後に撮影を行い、上記第2位置では焦点調節を行うことなく撮影を行うことを特徴とする請求項1に記載の3D撮影装置。
【請求項4】
画像認識部により被写体を認識するステップと、
焦点調節部により、第1位置において被写体にピントを合わせるステップと、
撮影部により、上記第1位置において被写体を撮影して第1画像データを生成するステップと、
上記焦点調節部により、上記第1位置とは異なる第2位置において上記被写体にピントを合わせるステップと、
上記撮影部により、上記第2位置において被写体を撮影して第2画像データを生成するステップと、
上記第1画像データ及び上記第2画像データを用いて3D画像データを生成するステップと、
を備えたことを特徴とする3D撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142856(P2012−142856A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−739(P2011−739)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】