説明

4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩またはその溶媒和物の結晶およびそれらの製造方法

【課題】医薬品としての有用性が高い4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩またはその溶媒和物の結晶およびそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩酸塩、臭化水素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩またはそれらの溶媒和物の結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩またはその溶媒和物の結晶およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の実施例368に記載されている、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(別名:4−[3−クロロ−4−(N’−シクロプロピルウレイド)フェノキシ]−7−メトキシキノリン−6−カルボキサミド)は、遊離体として、優れた血管新生阻害作用を示すことが知られている。また、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドは、強いc−Kitキナーゼ阻害作用を示すことも知られている(非特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの遊離体と比較して、物性面および動態面において、より優れた性質を有しており、医薬品としての有用性が高い血管新生阻害剤またはc−Kitキナーゼ阻害剤の提供が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第02/32872号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/080462号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】95th Annual Meeting Proceedings,AACR(American Association for Cancer Research),Volume 45,Page 1070−1071,2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、医薬品としての有用性が高い4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩またはその溶媒和物の結晶およびそれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は
<1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩酸塩、臭化水素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩またはそれらの溶媒和物の結晶;
<2> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶;
<3> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶;
<4> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶;
<5> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の水和物の結晶;
<6> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶;
<7> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶;
<8> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶;
<9> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶;
<10> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)9.65°および18.37°に回折ピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<11> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約162.4ppm、約128.0ppm、約102.3ppmおよび約9.9ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<11−1> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約162.4ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<11−2> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約128.0ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<11−3> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約102.3ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<11−4> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約9.9ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<12> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1161±1cm−1および1044±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<12−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1161±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<12−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1044±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(A);
<13> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.72°および13.84°に回折ピークを有する、<4>記載の結晶(B);
<14> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1068±1cm−1および918±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(B);
<14−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1068±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(B);
<14−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数918±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(B);
<15> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)14.20°および17.59°に回折ピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<16> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約160.2ppm、約126.6ppm、約105.6ppmおよび約7.8ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<16−1> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約160.2ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<16−2> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約126.6ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<16−3> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約105.6ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<16−4> 13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約7.8ppmにピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<17> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1324±1cm−1および579±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<17−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1324±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<17−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数579±1cm−1に吸収ピークを有する、<4>記載の結晶(C);
<18> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)8.02°および18.14°に回折ピークを有する、<5>記載の結晶(F);
<19> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)9.36°および12.40°に回折ピークを有する、<7>記載の結晶(I);
<20> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1750±1cm−1および1224±1cm−1に吸収ピークを有する、<7>記載の結晶(I);
<20−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1750±1cm−1に吸収ピークを有する、<7>記載の結晶(I);
<20−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1224±1cm−1に吸収ピークを有する、<7>記載の結晶(I);
<21> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)15.70°および17.18°に回折ピークを有する、<8>記載の結晶(α);
<22> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1320±1cm−1および997±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(α);
<22−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1320±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(α);
<22−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数997±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(α);
<23> 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)6.48°および9.58°に回折ピークを有する、<8>記載の結晶(β);
<24> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1281±1cm−1および985±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(β);
<24−1> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数1281±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(β);
<24−2> 赤外吸収スペクトルにおいて、波数985±1cm−1に吸収ピークを有する、<8>記載の結晶(β);
<25> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、溶媒およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)の製造方法;
<25−1> 溶媒がメタノール、エタノールまたは2−プロパノールである<25> 記載の製造方法;
<26> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)の製造方法。
<26−1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させた後、貧溶媒を加えることを特徴とする、<26>記載の製造方法;
<26−2> 貧溶媒がメタノールまたはエタノールである<26−1>記載の製造方法;
<27> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の酢酸和物の結晶(I)を乾燥させて、酢酸を除去することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(B)の製造方法;
<28> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶を加熱することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法;
<29> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の酢酸和物の結晶(I)および溶媒を混合することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法;
<29−1> 溶媒がメタノール、エタノールまたは2−プロパノールである<29>記載の製造方法;
<30> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法;
<30−1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させた後、貧溶媒を加えることを特徴とする、<30>記載の製造方法;
<30−2> 貧溶媒が2−プロパノールである<30−1>記載の製造方法;
<31> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の結晶(B)を加湿することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法;
<32> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)の製造方法;
<32−1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させた後、貧溶媒を加えることを特徴とする、<32>記載の製造方法;
<32−2> 貧溶媒が酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルである<32−1>記載の製造方法;
<33> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)の製造方法。
<33−1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させた後、貧溶媒を加えることを特徴とする、<33>記載の製造方法;
<33−2> 貧溶媒が1−プロパノール、1−ブタノールまたはtert−ブタノールである<33−1>記載の製造方法;
<34> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、溶媒およびエタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)の製造方法;
<34−1> 溶媒がジメチルスルホキシドである<34>記載の製造方法;
<35> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)、溶媒および水を混合することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)の製造方法;
<35−1> 溶媒がメタノール、エタノールまたは2−プロパノールである<27>記載の製造方法;
<36> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびエタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)の製造方法;
<36−1> 4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させた後、貧溶媒および水を加えることを特徴とする、<36>記載の製造方法;
<36−2> 貧溶媒がエタノールまたは2−プロパノールである<36−1>記載の製造方法;
<37> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する医薬組成物;
<38> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する、血管新生阻害作用が有効な疾患に対する予防または治療剤;
<39> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する血管新生阻害剤;
<40> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する抗腫瘍剤;
<41> 腫瘍が膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、脳腫瘍、血液癌または卵巣癌である<40>記載の抗腫瘍剤;
<42> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する血管腫治療剤;
<43> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する癌転移抑制剤;
<44> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する網膜血管新生症治療剤;
<45> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する糖尿病性網膜症治療剤;
<46> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する炎症性疾患治療剤;
<47> 炎症性疾患が変形性関節炎、リューマチ性関節炎、乾癬または遅延性過敏反応である<46>記載の炎症性疾患治療剤;
<48> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有するアテローム性動脈硬化治療剤;
<49> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶の薬理学的有効量を患者に投与して、血管新生阻害作用が有効な疾患を予防または治療する方法および
<50>血管新生阻害作用が有効な疾患に対する予防または治療剤の製造のための<1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶の使用;
を提供する。
また、本発明は
<51> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有するc−Kitキナーゼ阻害剤;
<52> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有するc−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌を治療する抗癌剤;
<53> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、肥満細胞性白血病、小細胞肺癌、GIST、睾丸腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳腫瘍、神経芽細胞腫または大腸癌である<52>記載の抗癌剤;
<54> c−Kitキナーゼを過剰発現する、あるいは変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、小細胞肺癌またはGISTである<52>記載の抗癌剤;
<55> 患者から取り出した癌細胞がc−Kitキナーゼを過剰発現する、あるいは変異型c−Kitキナーゼを発現することを確認した後に投与することを特徴とする、<52>〜<54>いずれか1記載の抗癌剤;
<56> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶を含有する、肥満細胞症、アレルギーまたは喘息の治療剤;
<57> <1>〜<24−2>いずれか1記載の結晶の薬理学上有効量を、c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌を患った患者に投与する、癌の治療方法;
<58> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、肥満細胞性白血病、小細胞肺癌、GIST、睾丸腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳腫瘍、神経芽細胞腫または大腸癌である<57>記載の方法;
<59> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、小細胞肺癌またはGISTである<57>記載の方法;
<60> 癌の治療方法であって、
癌を患った患者から癌細胞を取り出す工程と、
当該癌細胞がc−Kitキナーゼを過剰発現している、または変異型c−Kitキナーゼを発現していることを確認する工程と、
<51>記載のc−Kitキナーゼ阻害剤の薬理学的有効量を当該患者に投与する工程と、
を含む癌の治療方法;
<61> 肥満細胞症、アレルギーまたは喘息の治療方法であって、<51>記載のc−Kitキナーゼ阻害剤の薬理学上有効量を、前記疾患を患った患者に投与する、治療方法;
<62> <51>記載のc−Kitキナーゼ阻害剤の薬理学上有効量を、c−Kitキナーゼを過剰発現しているまたは変異型c−Kitキナーゼを発現している細胞に適用する、c−Kitキナーゼ活性を阻害する方法;
<63> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌を治療する抗癌剤の製造のための、<51>記載のc−Kitキナーゼ阻害剤の使用;
<64> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、肥満細胞性白血病、小細胞肺癌、GIST、睾丸腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳腫瘍、神経芽細胞腫または大腸癌である<63>記載の使用;
<65> c−Kitキナーゼを過剰発現する、または変異型c−Kitキナーゼを発現する癌が、急性骨髄性白血病、小細胞肺癌またはGISTである<63>記載の使用および
<66> 肥満細胞症、アレルギーまたは喘息の治療剤の製造のための、<51>記載のc−Kitキナーゼ阻害剤の使用
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(以下、カルボキサミド)の塩またはその溶媒和物の結晶は、物性面(特に溶解速度)および動態面(特にバイオアベイラビリティ(BA))において優れた性質を有し、血管新生阻害剤またはc−Kitキナーゼ阻害剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ビーグル犬における薬物動態試験において、カルボキサミドの遊離体の結晶、カルボキサミドの臭化水素酸塩の結晶およびカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(A)を投与した場合の、時間と血中濃度の関係を表す図である。
【図2】図2は、製造例1で得られたカルボキサミドの遊離体の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図3】図3は、実施例1で得られたカルボキサミドの塩酸塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図4】図4は、実施例2で得られたカルボキサミドの臭化水素酸塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図5】図5は、実施例3で得られたカルボキサミドのp−トルエンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図6】図6は、実施例4で得られたカルボキサミドの硫酸塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図7】図7は、実施例5で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(A)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図8】図8は、実施例6で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(B)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図9】図9は、実施例7で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(C)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図10】図10は、実施例9で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図11】図11は、実施例10で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図12】図12は、実施例11で得られたカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶(α)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図13】図13は、実施例12で得られたカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶(β)の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図14】図14は、実施例5で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(A)の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図15】図15は、実施例7で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(C)の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図16】図16は、実施例5で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(A)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【図17】図17は、実施例6で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(B)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【図18】図18は、実施例7で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶(C)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【図19】図19は、実施例10で得られたカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【図20】図20は、実施例11で得られたカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶(α)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【図21】図21は、実施例12で得られたカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶(β)の赤外吸収スペクトルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の内容について詳細に説明する。
【0010】
本発明に係る、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(以下、カルボキサミド)の塩としては、例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
【0011】
本発明に係る、カルボキサミドの塩は、常法(例えば、カルボキサミドおよび対応する酸を、溶媒の存在下または非存在下、適当な比率で混合すること)により製造することができる。
【0012】
なお、カルボキサミドは、国際公開第02/32872号パンフレットに記載の方法のほか、以下の製造例1〜3に記載の方法で製造することもできる。
【0013】
本発明に係る、カルボキサミドの塩の溶媒和物としては、例えば水和物、ジメチルスルホキシド和物、酢酸和物、N,N−ジメチルホルムアミド和物等が挙げられる。
【0014】
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じうるから、上記回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折における回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2°の誤差範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0015】
本明細書において、「回折角度(2θ±0.2°)9.65°および18.37°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)9.45°〜9.85°および18.17°〜18.57°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)5.72°および13.84°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)5.52°〜5.92°および13.64°〜14.04°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)14.20°および17.59°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)14.00°〜14.40°および17.39°〜17.79°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)8.02°および18.14°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)7.82°〜8.22°および17.94°〜18.34°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)9.36°および12.40°に回折ピークを有する」「回折角度(2θ)9.16°〜9.56°および12.20°〜12.60°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)15.70°および17.18°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)15.50°〜15.90°および16.98°〜17.38°に回折ピークを有する」ということを意味し、「回折角度(2θ±0.2°)6.48°および9.58°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)6.28°〜6.68°および9.38°〜9.78°に回折ピークを有する」ということを意味する。
【0016】
本明細書において、「化学シフト約162.4ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体核磁気共鳴スペクトル(以下、13C固体NMRスペクトル)測定を行い、化学シフト162.4ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約128.0ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト128.0ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約102.3ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト102.3ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約9.9ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト9.9ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味する。
【0017】
本明細書において、「化学シフト約160.2ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト160.2ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約126.6ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト126.6ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約105.6ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト105.6ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味し、「化学シフト約7.8ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト7.8ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味する。
【0018】
本明細書において、「波数1161±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1160〜1162cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数1044±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1043〜1045cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0019】
本明細書において、「波数1068±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1067〜1069cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数918±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数917〜919cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0020】
本明細書において、「波数1324±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1323〜1325cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数579±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数578〜580cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0021】
本明細書において、「波数1750±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1749〜1751cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数1224±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1223〜1225cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0022】
本明細書において、「波数1320±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1319〜1321cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数997±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数996〜998cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0023】
本明細書において、「波数1281±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数1280〜1282cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味し、「波数985±1cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数984〜986cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0024】
[一般製造方法]
本発明に係る、カルボキサミドの塩またはその溶媒和物の結晶の製造方法を以下に詳述する。
【0025】
1.塩酸塩または臭化水素酸塩の結晶の製造方法
カルボキサミドおよび溶媒を混合し、カルボキサミドを溶解させた後、塩酸または臭化水素酸を加えることで、塩酸塩または臭化水素酸塩の結晶を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミドおよび溶媒を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、塩酸または臭化水素酸を加え、この溶液を室温まで徐冷することで、塩酸塩または臭化水素酸塩の結晶を製造することができる。
溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類を用いることができ、好ましくはエタノールである。また、場合によりアルコール類に水を添加して用いてもよい。
溶媒量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。
塩酸または臭化水素酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.1当量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは60℃〜還流温度であり、より好ましくは還流温度である。
加熱温度から室温までの徐冷は、10分〜24時間で行うことができる。
【0026】
2.p−トルエンスルホン酸塩または硫酸塩の結晶の製造方法
カルボキサミド、溶媒およびp−トルエンスルホン酸または硫酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、p−トルエンスルホン酸塩または硫酸塩の結晶を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、溶媒およびp−トルエンスルホン酸または硫酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、この溶液を室温まで徐冷することで、p−トルエンスルホン酸塩または硫酸塩の結晶を製造することができる。
溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を用いることができ、好ましくはジメチルスルホキシドである。
溶媒量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。
p−トルエンスルホン酸または硫酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは60℃〜還流温度であり、より好ましくは70℃〜100℃であり、さらに好ましくは80℃である。
加熱温度から室温までの徐冷は、10分〜24時間で行うことができる。
【0027】
3.メタンスルホン酸塩の結晶(A)の製造方法
(製法1)
カルボキサミド、溶媒およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の結晶(A)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、溶媒およびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、この溶液を室温まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の結晶(A)を製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等を用いることができ、好ましくはメタノールである。
溶媒量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは60℃〜還流温度であり、より好ましくは70℃〜80℃である。
加熱温度から室温までの徐冷は、1時間〜24時間で行うことができ、好ましくは3時間から12時間である。
(製法2)
カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の結晶(A)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を室温まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の結晶(A)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(A)の種結晶を添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜2.5当量用いることができ、好ましくは1.4当量〜2.2当量用いる。
貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等を用いることができ、好ましくはエタノールである。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜3:1であり、好ましくは3:2である。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは50℃〜還流温度であり、より好ましくは50℃である。
加熱温度から室温までの徐冷は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは1時間から2時間である。
【0028】
4.メタンスルホン酸塩の結晶(B)の製造方法
メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)を通風乾燥させること等の方法で酢酸を除去することで、メタンスルホン酸塩の結晶(B)を製造することができる。
【0029】
5.メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法
(製法1)
メタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶を加熱し、室温まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。
本製法は、溶媒存在下または非存在下で実施することができる。
溶媒を用いる場合、該溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等を用いることができ、好ましくは酢酸n−ブチルである。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは70℃〜還流温度であり、より好ましくは還流温度である。
(製法2)
メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)および溶媒を混合し、攪拌することで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類を用いることができ、好ましくはエタノールである。
攪拌温度は特に制限されないが、好ましくは20℃〜60℃であり、より好ましくは40℃である。
(製法3)
カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒として2−プロパノールを加え、この溶液を15℃付近まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(C)の種結晶を添加し、さらに析出速度を速めるため、酢酸イソプロピルを添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜10倍量、より好ましくは7〜8倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の2〜10倍量、より好ましくは4〜5倍量用いる。
酢酸イソプロピルを添加する場合、その量は特に限定されないが、好ましくは基質の2〜10倍量、より好ましくは5倍量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは40℃である。
加熱温度から15℃付近までの徐冷は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは1時間から2時間である。
(製法4)
カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、室温(または30℃付近)でカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒として2−プロパノールを加え、この溶液を15℃付近まで徐冷し、析出した結晶を濾取し、さらに該結晶および溶媒を混合し、攪拌することで、メタンスルホン酸塩の結晶(C)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(C)の種結晶を添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜2.5当量用いることができ、好ましくは1.8当量〜2.2当量用いる。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。
室温(または30℃付近)から15℃付近までの徐冷は、10分〜4時間で行うことができ、好ましくは30分から2時間である。
濾取した結晶と混合する溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類を用いることができ、好ましくはエタノールである。
(製法5)
メタンスルホン酸の結晶(B)を加湿することで、メタンスルホン酸の結晶(C)を製造することができる。
【0030】
6.メタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶の製造方法
カルボキサミド、ジメチルスルホキシドおよびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を15℃付近まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(A)の種結晶を添加するのが好ましい。
ジメチルスルホキシドの量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは8〜10倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜4.0当量用いることができ、好ましくは1.2当量〜3.5当量用いる。
貧溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、1−プロパノール、2−プロパノール等を用いることができ、好ましくは酢酸エチル、2−プロパノールである。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜1:5であり、好ましくは1:4である。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは50℃〜100℃であり、より好ましくは60℃〜80℃である。
加熱温度から15℃付近までの徐冷は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは1時間から2時間である。
【0031】
7.メタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)の製造方法
カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を室温まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(A)の種結晶を添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜2.0当量用いることができ、好ましくは1.3当量〜1.6当量用いる。
貧溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピルを用いることができ、好ましくは酢酸エチルである。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜30倍量、より好ましくは20倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜1:5であり、好ましくは1:3である。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは40℃〜60℃であり、より好ましくは50℃である。
加熱温度から室温までの徐冷は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは2時間から4時間である。
【0032】
8.メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)の製造方法
カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を室温まで徐冷することで、メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにメタンスルホン酸塩の結晶(C)の種結晶を添加し、さらに析出速度を速めるため、酢酸イソプロピルを添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜10倍量、より好ましくは7〜8倍量用いる。
メタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
貧溶媒としては、例えば1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等を用いることができ、好ましくは1−プロパノールである。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは8〜10倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜1:5であり、好ましくは1:3.5である。
酢酸イソプロピルを添加する場合、その量は特に限定されないが、好ましくは基質の2〜10倍量、より好ましくは5倍量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは40℃である。
加熱温度から室温までの徐冷は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは1時間から2時間である。
【0033】
9.エタンスルホン酸塩の結晶(α)の製造方法
カルボキサミド、溶媒およびエタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、エタンスルホン酸塩の結晶(α)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、溶媒およびエタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を室温まで冷却することで、エタンスルホン酸塩の結晶(α)を製造することができる。
溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド等を用いることができる。
溶媒量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
エタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
貧溶媒としては、例えば酢酸エチル等を用いることができる。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは50℃〜70℃であり、より好ましくは60℃である。
加熱温度から室温までの冷却は、5分〜2時間で行うことができ、好ましくは5分から1.5時間である。
【0034】
10.エタンスルホン酸塩の結晶(β)の製造方法
(製法1)
エタンスルホン酸塩の結晶(α)に溶媒および水を加え、室温で攪拌させることで、エタンスルホン酸塩の結晶(β)を製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等を用いることができ、好ましくはエタノールである。
溶媒量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
水の量は特に制限されないが、好ましくはエタノールの1/10〜1/2、より好ましくは1/6用いる。
(製法2)
カルボキサミド、酢酸およびエタンスルホン酸を混合し、カルボキサミドを溶解させることで、エタンスルホン酸塩の結晶(β)を製造することができる。
より詳細には、例えば、カルボキサミド、酢酸およびエタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒および水を加え、この溶液を0℃まで冷却することで、エタンスルホン酸塩の結晶(β)を製造することができる。なお、貧溶媒とともにエタンスルホン酸塩の結晶(β)の種結晶を添加するのが好ましい。
酢酸の量は特に制限されないが、好ましくは基質の2.5〜10倍量、より好ましくは5倍量用いる。
エタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
貧溶媒としては、例えばエタノール、2−プロパノール等を用いることができ、好ましくは2−プロパノールである。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の10〜40倍量、より好ましくは30倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜1:5であり、好ましくは1:1.5〜1:2である。
水の量は特に制限されないが、好ましくは貧溶媒の1/10〜1/30、より好ましくは1/20用いる。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは50℃〜70℃であり、より好ましくは60℃である。
加熱温度から0℃までの冷却は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは2時間から4時間である。
【0035】
11.エタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶の製造方法
カルボキサミド、ジメチルスルホキシドおよびエタンスルホン酸を混合し、加熱してカルボキサミドを溶解させた後、貧溶媒を加え、この溶液を0℃まで冷却することで、エタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶を製造することができる。なお、貧溶媒とともにエタンスルホン酸塩の結晶(β)の種結晶を添加するのが好ましい。
ジメチルスルホキシドの量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。
エタンスルホン酸の量は、基質に対して1.0当量〜1.5当量用いることができ、好ましくは1.2当量用いる。
貧溶媒としては、例えば酢酸エチル等を用いることができる。
貧溶媒の量は特に制限されないが、好ましくは基質の5〜20倍量、より好ましくは10倍量用いる。また、貧溶媒は一度に、または2〜4回に分けて加えることもでき、好ましくは2回に分けて加える。この場合、初回に加える溶媒量および2回目に加える溶媒量の容積比としては、1:1〜3:1であり、好ましくは3:2である。
加熱温度は特に制限されないが、好ましくは50℃〜70℃であり、より好ましくは60℃である。
加熱温度から0℃までの冷却は、10分〜6時間で行うことができ、好ましくは1時間から2時間である。
【0036】
本発明の結晶を医薬として使用する場合、通常、本発明の結晶と適当な添加剤とを混和し、製剤化したものを使用する。ただし、前記は、本発明の結晶を原体のまま医薬として使用することを否定するものではない。
上記添加剤としては、一般に医薬に使用される、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等を挙げることができ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
上記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を挙げることができ、
上記結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を挙げることができ、
上記滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカ等を挙げることができ、
上記崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等を挙げることができる。
上記着色剤としては、例えば、三ニ酸化鉄、黄色三ニ酸化鉄、カルミン、カラメル、β−カロチン、酸化チタン、タルク、リン酸リボフラビンナトリウム、黄色アルミニウムレーキ等、医薬品に添加することが許可されているものを挙げることができ、
上記矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等を挙げることができ、
上記乳化剤または界面活性剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができ、
上記溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等を挙げることができ、
上記懸濁化剤としては、前記界面活性剤のほか、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子を挙げることができ、
上記等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができ、
上記緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液を挙げることができ、
上記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等を挙げることができ、
上記抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等を挙げることができる。
また、上記製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤のような経口剤;坐剤、軟膏剤、眼軟膏剤、テープ剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤のような外用剤または注射剤を挙げることができる。
上記経口剤は、上記添加剤を適宜組み合わせて製剤化する。なお、必要に応じてこれらの表面をコーティングしてもよい。
上記外用剤は、上記添加剤のうち、特に賦形剤、結合剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
上記注射剤は、上記添加剤のうち、特に乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
【0037】
本発明の結晶を医薬として使用する場合、その使用量は症状、年齢、投与形態により異なるが、通常成人に、100μg乃至10gを1日に1回投与または数回に分けて使用する。
【0038】
本発明の結晶は、血管新生阻害剤として極めて有用であり、血管新生阻害作用が有効な疾患に対する予防または治療剤、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、血管腫治療剤、癌転移抑制剤、網膜血管新生症治療剤、糖尿病性網膜症治療剤、炎症性疾患治療剤、変形性関節炎、リューマチ性関節炎、乾癬または遅延性過敏反応からなる炎症性疾患治療剤、アテローム性動脈硬化症治療剤として有用である。
【0039】
なお、本発明の結晶を抗腫瘍剤として用いる場合、腫瘍として、例えば膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、脳腫瘍、血液癌または卵巣癌が挙げられ、特に胃癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌または腎癌が好ましい。
【0040】
また、本発明の結晶は、強いc−Kitキナーゼ阻害活性を示し、c−Kitキナーゼの活性化により悪性化した癌(急性骨髄性白血病、肥満細胞性白血病、小細胞肺癌、GIST、睾丸腫瘍、卵巣癌、乳癌、脳腫瘍、神経芽細胞腫または大腸癌)に対する抗癌剤として有用である。さらに、本発明の結晶は、c−Kitキナーゼが原因と考えられるMastcytosis、アレルギー、喘息などの疾患に対する治療剤としても有効である。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明の理解を更に容易にするために実施例を掲げるが、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0042】
製造例1.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの製造(1)
国際公開第02/32872号パンフレットに記載の、フェニル N−(4−(6−カルバモイル−7−メトキシ−4−キノリル)オキシ−2−クロロフェニル)カルバメート(17.5g、37.7mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(350mL)に溶解し、窒素雰囲気下にて反応液にシクロプロピルアミン(6.53mL、94.25mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を水(1.75L)に加え、攪拌した。析出した粗結晶を濾取して、水洗後、70℃で50分間乾燥した。得られた粗結晶にエタノール(300mL)を加え、約30分間加熱還流して溶解させ、その後、攪拌下にて一晩かけて室温まで徐冷した。析出した結晶を濾取した後、吸引乾燥し、さらに70℃で8時間乾燥して、標記結晶(12.91g、80.2%)を得た。
【0043】
製造例2.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの製造(2)
【0044】
(1)フェニル N−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)カーバメートの製造
【0045】
【化1】

【0046】
4−アミノ−3−クロロフェノール(23.7g)をN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)に懸濁し、氷冷下ピリジン(23.4mL)を加えた後、20℃以下でクロロギ酸フェニル(23.2mL)を滴下した。室温にて30分間攪拌の後、水(400mL)、酢酸エチル(300mL)、6N-HCl(48mL)を加え攪拌の後、有機層を分離した。有機層を10%食塩水(200mL)で2回洗浄の後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより標記化合物46gを固体として得た。
H−NMRスペクトル(CDCl)δ(ppm):5.12(1h,br s),6.75(1H,dd,J=9.2,2.8Hz),6.92(1H,d,J=2.8Hz),7.18−7.28(4H,m),7.37−7.43(2H,m),7.94(1H,br s)
【0047】
(2)1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレアの製造
【0048】
【化2】

【0049】
フェニル N−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)カーバメートを、N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解し、氷冷下シクロプロピルアミン(22.7mL)を加え、室温にて終夜攪拌した。水(400mL)、酢酸エチル(300mL)、6N-HCl(55mL)を加えて攪拌の後、有機層を分離した。有機層を10%食塩水(200mL)で2回洗浄の後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮して得られるプリズム晶をヘプタンで洗浄濾過し、標記化合物22.8gを得た。(4−アミノ−3−クロロフェノールからの収率77%)
H−NMRスペクトル(CDCl)δ(ppm):0.72−0.77(2H,m),0.87−0.95(2H,m),2.60−2.65(1H,m),4.89(1H,br s),5.60(1H,br s),6.71(1H,dd,J=8.8,2.8Hz),6.88(1H,d,J=2.8Hz),7.24−7.30(1H,br s),7.90(1H,d,J=8.8Hz)
【0050】
(3)4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの製造
ジメチルスルホキシド(20mL)に、7−メトキシ−4−クロロキノリン−6−カルボキサミド(0.983g)、1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレア(1.13g)および炭酸セシウム(2.71g)を加え、70℃にて23時間加熱攪拌した。反応液を室温に戻した後、水(50mL)を加え、生じた結晶を濾取することで標記化合物1.56gを得た。(収率88%)
【0051】
製造例3.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの製造(3)
窒素雰囲気下、反応容器に7−メトキシ−4−クロロキノリン−6−カルボキサミド(5.00kg、21.13mol)、ジメチルスルホキシド(55.05kg)、1−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロプロピルウレア(5.75kg、25.35mol)およびカリウムt−ブトキシド(2.85kg、25.35mol)を順次投入した。その後、20℃で30分攪拌し、その後、2.5時間かけて温度を65℃まで上昇させた。同温度で19時間攪拌した後、33%(v/v)アセトン水(5.0L)および水(10.0L)を3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌し、33%(v/v)アセトン水(20.0L)および水(40.0L)を55℃以上で1時間かけて滴下した。40℃で16時間攪拌した後、析出した結晶を窒素圧式ろ過器を用いてろ取し、33%(v/v)アセトン水(33.3L)、水(66.7L)およびアセトン(50.0L)で順次結晶を洗浄した。得られた結晶をコニカル式減圧乾燥機を用いて、60℃で22時間乾燥し、標記化合物7.78kgを得た。(収率96.3%)
【0052】
なお、上記製造例1〜3で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの1H-NMRの化学シフト値は、いずれも国際公開第02/32872号パンフレットに記載の、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの1H-NMRの化学シフト値と一致した。
【0053】
実施例1.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド 塩酸塩の結晶
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(854mg,2.0mmol)をエタノール(17mL)に懸濁させて攪拌し、外温100℃の油浴を用いて還流下、2N塩酸(1.1mL,2.2mmol)を反応液に滴下した。懸濁液が溶液に変化したことを確認後、油浴の加熱を止め、室温まで油浴につけた状態で徐冷し、反応液を一晩攪拌した。反応液にエタノール(8.6mL)を加えた後、結晶をろ取し、エタノール(4.3mLx2)で洗浄し、ろ紙上で通気乾燥(1.5時間)後、70℃にて温風乾燥(23時間)し、標記結晶(786.1mg,85%)を得た。
H−NMRスペクトル(DMSO−d)δ(ppm):0.30−0.50(2H,m),0.60−0.70(2H,m),2.56(1H,m),4.06(3H,s),6.86(1H,d,J=6.4Hz),7.29−7.35(2H,m),7.60(1H,d,J=2.8Hz),7.64(1H,s),7.88(1H,s),7.95(1H,s),8.07(1H,s),8.34(1H,d,J=9.2Hz),8.70(1H,s),8.91(1H,d,J=6.4Hz)
【0054】
実施例2.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド 臭化水素酸塩の結晶
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(500mg,1.17mmol)をエタノール(10mL)に懸濁させて攪拌し、外温100℃の油浴を用いて還流下、1N臭化水素酸水溶液(1.3mL,1.3mmol)を反応液に滴下した。反応液に水(2.0mL)を徐々に加えて溶液とした後、油浴の加熱を止め、室温まで油浴につけた状態で徐冷し、反応液を一晩攪拌した。析出した結晶をろ取し、エタノール(2.5mLx2)で洗浄し、ろ紙上で通気乾燥(15分間)後、100℃にて温風乾燥(22時間)し、標記結晶(483.7mg,81%)を得た。
H−NMRスペクトル(DMSO−d)δ(ppm):0.40−0.50(2H,m),0.60−0.70(2H,m),2.58(1H,m),4.09(3H,s),6.89(1H,d,J=6.4Hz),7.26(1H,d,J=2.8Hz),7.33(1H,dd,J=2.8,9.2Hz),7.59(1H,s),7.62(1H,d,J=2.8Hz),7.90(1H,s),7.96(1H,s),8.06(1H,s),8.36(1H,d,J=9.2Hz),8.72(1H,s),8.93(1H,d,J=6.4Hz)
【0055】
実施例3.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩の結晶
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(150mg,0.351mmmol)に、室温でジメチルスルホキシド(1.5mL)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(80mg,0.422mmol)を加えた。一旦溶液となったが、すぐに結晶が析出したため、80℃で反応液にジメチルスルホキシド(2.25mL)を加え、結晶を溶解させた。この溶液を室温まで徐冷し、そのまま14時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(177mg)を得た。
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):0.39(2H,m),0.63(2H,m),2.24(3H,s),2.54(1H,m),4.04(3H,s),6.88(1H,d,J=6.4Hz),7.05(1H,s),7.07(1H,s),7.21(1H,d,J=2.8Hz),7.31(1H,dd,J=2.6,9.3Hz),7.41(1H,s),7.43(1H,s),7.59(1H,d,J=2.8Hz),7.86(1H,s),7.92(1H,s),8.02(1H,s),8.32(1H,d,J=9.6Hz),8.68(1H,s),8.91(1H,d,J=6.4Hz)
【0056】
実施例4.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド 硫酸塩の結晶
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(150mg,0.351mmmol)に、室温でジメチルスルホキシド(1.5mL)および硫酸(23μL,0.422mmol)を加えた。一旦溶液となったが、すぐに結晶が析出したため、80℃で反応液にジメチルスルホキシド(2.25mL)を加え、結晶を溶解させた。この溶液を室温まで徐冷し、そのまま16時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(174mg)を得た。
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ(ppm):0.39(2H,m),0.63(2H,m),2.46(2H,d,J=1.2Hz),2.52(1H,m),4.04(3H,s),6.88(1H,d,J=5.8Hz),7.21(1H,s),7.31(1H,d,J=8.2Hz),7.56(1H,s),7.59(1H,s),7.86(1H,s),7.93(1H,s),8.02(1H,s),8.33(1H,d,J=8.2Hz),8.68(1H,s),8.91(1H,d,J=5.8Hz)
【0057】
実施例5.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)
(製法1)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(700mg,1.64mmol)をメタノール(14mL)およびメタンスルホン酸(143μL,1.97mmol)の混合溶液に70℃で溶解させた。4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの溶解を確認した後、5.5時間かけて反応液を室温まで冷却し、さらに室温で18.5時間攪拌し、結晶を濾取した。得られた結晶を60℃で乾燥し、標記結晶(647mg)を得た。
(製法2)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(600mg,1.41mmol)を、酢酸(6mL)およびメタンスルホン酸(200μL,3.08mmol)の混合溶液に50℃で溶解させた。4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの溶解を確認した後、エタノール(7.2mL)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(A)(12mg)を反応液に順次加え、さらにエタノール(4.8mL)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で1時間、室温で9時間攪拌し、結晶を濾取した。得られた結晶を60℃で乾燥し、標記結晶(545mg)を得た。
【0058】
実施例6.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(B)
実施例10で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 酢酸和物の結晶(I)(250mg)を30℃で3時間、40℃で16時間通風乾燥し、標記結晶(240mg)を得た。
【0059】
実施例7.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)
(製法1)
実施例8の(製法1)で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 ジメチルスルホキシド和物の結晶(600mg,1.15mmol)に、酢酸n-ブチル(12mL)を加え、反応液を115℃で10時間攪拌し、さらに室温で1.5時間攪拌後、結晶を濾取した。60℃で乾燥後、標記結晶(503mg)を得た。
(製法2)
実施例10で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 酢酸和物の結晶(I)(1.28g)にエタノール(6.4mL)を加え、40℃で溶解させ、同温度で反応液を36時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、50℃で乾燥し、標記結晶(0.87g)を得た。
(製法3)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(2.00g,4.69mmol)を酢酸(14mL)とメタンスルホン酸(0.37mL,5.62mmol)の混合溶液に加え、40℃で溶解させた。溶解を確認した後、反応液に2−プロパノール(9mL)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(C)(100mg)を順次加えた後、反応液を20分攪拌し、さらに酢酸イソプロピル(10mL)を30分かけて滴下した。酢酸イソプロピルの滴下終了後、反応液を1.5時間攪拌し、さらに15℃で14時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(2.22g)を得た。
(製法4)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(1.28g,3mmol)および酢酸(12.8ml)を混合し、この懸濁液にメタンスルホン酸(0.408ml,6.3mmol)を加え、室温で攪拌して溶解させた。反応液を浴温度30℃にて加熱し、2−プロパノール(7.7ml)を添加した。4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(C)を加え、更に2−プロパノールを1.28mlずつ14回に分け、44分かけて添加した。温浴を除去し、室温にて10分間攪拌した後に、水浴にて5分間攪拌し、さらに少量の氷を加えた水浴にて25分間攪拌した(内温17.6℃)。得られた結晶を濾取し、2−プロパノール(10ml)にて洗浄した。濾取後に得られた結晶を、エタノール(6.4ml)中で室温にて1時間攪拌した。得られた結晶を濾取した後、エタノール(4ml)にて洗浄し、60℃にて乾燥し、標記結晶(1068mg)を得た。
【0060】
実施例8.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 ジメチルスルホキシド和物の結晶
(製法1)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(700mg,1.640mmol)に、室温でジメチルスルホキシド(7mL)を加え、80℃で溶解させた。60℃でメタンスルホン酸(143μL,1.97mmol)、酢酸エチル(1.4mL)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(A)を反応液に順次加え、さらに酢酸エチル(5.6mL)を45分かけて滴下した。酢酸エチルの滴下終了15分後、反応液を1時間かけて室温まで冷却し、同温度で18時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(746mg)を得た。
(製法2)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(854mg,2mmol)に、室温でジメチルスルホキシド(6.8mL)を加え、60℃で溶解させた。同温度でメタンスルホン酸(389μL,6mmol)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(A)を反応液に順次加え、2−プロパノール(6.8mL)を30分かけて滴下した。2−プロパノールの滴下終了後、反応液を2時間かけて15℃まで冷却し、同温度で30分攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(1095mg)を得た。
(製法3)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(854mg,2mmmol)に、室温でジメチルスルホキシド(6.8mL)を加え、62℃で溶解させた。同温度でメタンスルホン酸(454μL,7mmol)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(A)を反応液に順次加え、2−プロパノール(13.6mL)を1時間かけて滴下した。2−プロパノールの滴下終了後、反応液を2時間かけて15℃まで冷却し、同温度で30分攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(1082mg)を得た。
【0061】
実施例9.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 水和物の結晶(F)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(150mg,0.351mmol)を、酢酸(1.5mL)およびメタンスルホン酸(31μL,0.422mmol)の混合溶液に50℃で溶解させた。溶解を確認した後、酢酸エチル(0.6mL)および実施例5の(製法1)で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)を反応液に順次加え、さらに酢酸エチル(1.8mL)を2時間かけて滴下した。酢酸エチルの滴下終了後、反応液を50℃で30分攪拌し、次いで室温で7.5時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(176mg)を得た。
【0062】
実施例10.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩 酢酸和物の結晶(I)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(2.00g,4.69mmol)を、酢酸(14mL)およびメタンスルホン酸(0.36mL,5.62mmol)の混合溶液に40℃で溶解させた。溶解を確認した後、1−プロパノール(4mL)および4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の種結晶(C)(100mg)を反応液に順次加え、さらに1−プロパノール(14mL)および酢酸イソプロピル(10mL)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を40℃で1時間攪拌し、さらに25℃で40分攪拌した。析出した結晶を濾取し、標記結晶(2.61g)を得た。
【0063】
なお、メタンスルホン酸塩の1H-NMRの化学シフト値は以下のとおりである。
H−NMRスペクトル(DMSO−d)δ(ppm):0.44(2H,m),0.67(2H,m),2.36(3H,s),2.59(1H,m),4.09(3H,s),6.95(1H,d,J=7Hz),7.25(1H,d,J=2Hz),7.36(1H,dd,J=3,9Hz),7.63(1H,d,J=3Hz),7.65(1H,s),7.88(1H,br s),7.95(1H,br s),8.06(1H,s),8.37(1H,d,J=9Hz),8.73(1H,s),8.97(1H,d,J=7Hz)
【0064】
実施例11.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)
(製法1)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(150mg,0.351mmol)に、室温でジメチルスルホキシド(1.5mL)およびエタンスルホン酸(34μL,0.422mmol)を加え溶解させた。60℃で、反応液に酢酸エチル(1.5mL)を1.5時間かけて滴下し、酢酸エチルの滴下を終了して30分経過後から、1.5時間かけて反応液を室温まで冷却し、さらに室温で7時間攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(176mg)を得た。
(製法2)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(2.00g,4.685mmol)に、室温でエタノール(40mL)およびエタンスルホン酸(459μL,5.622mmol)を加え、65℃で溶解させた。反応液を、22℃の浴温度にて冷却し、反応液に4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の種結晶(α)を加えた。さらに反応液を7時間攪拌し、析出した結晶を濾取した後、70℃で乾燥し、標記結晶(1.55g)を得た。
【0065】
実施例12.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)
(製法1)
実施例11で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)(198mg)にエタノール(3mL)および水(0.5mL)を加え、室温で反応液を3時間攪拌した。結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(89mg)を得た。
(製法2)
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(150mg,0.351mmmol)に、室温で酢酸(0.75mL)およびエタンスルホン酸(34μL,0.422mmol)を加え、60℃で溶解させた。水(0.225mL)、2−プロパノール(2mL)、実施例12の(製法1)で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)および2−プロパノール(2.5mL)を反応液に順次加えた後、反応液を2.5時間かけて0℃まで冷却し、30分攪拌した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(139mg)を得た。
【0066】
実施例13.4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩 ジメチルスルホキシド和物の結晶
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(400mg,0.937mmmol)に、室温でジメチルスルホキシド(4mL)を加え、60℃で溶解させた。エタンスルホン酸(92μL,1.124mmol)、酢酸エチル(2.4mL)および実施例12の(製法1)で得られた4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)を反応液に順次加え、60℃で20分攪拌した。さらに反応液に酢酸エチル(1.6mL)を加え、反応液を一旦80℃に加熱し、1.5時間かけて0℃まで冷却した。析出した結晶を濾取した後、60℃で乾燥し、標記結晶(523mg)を得た。
【0067】
なお、エタンスルホン酸塩の1H-NMRの化学シフト値は以下のとおりである。
H−NMRスペクトル(DMSO−d)δ(ppm):0.43(2H,m),0.66(2H,m),1.05(3H,t,J=7.4Hz),2.38(2H,q,J=7.4Hz),2.58(1H,m),4.08(3H,s),6.88(1H,s),7.24(1H,s),7.34(1H,d,J=9.0Hz),7.60(1H,s),7.61(1H,s),7.88(1H,s),7.94(1H,s),8.05(1H,s),8.36(1H,d,J=9.0Hz),8.72(1H,s),8.92(1H,s)
【0068】
試験例1.溶解速度測定試験
[方法]
カルボキサミドの遊離体の結晶(製造例1で得られたもの)、カルボキサミドの塩酸塩の結晶(実施例1で得られたもの)、カルボキサミドの臭化水素酸塩の結晶(実施例2で得られたもの)、カルボキサミドのメタンスルホン酸塩(以下、メシル酸塩)の結晶(A)(実施例5で得られたもの)、カルボキサミドのメシル酸塩の結晶(C)(実施例7で得られたもの)およびエタンスルホン酸塩(以下、エシル酸塩)の結晶(β)(実施例12で得られたもの)の溶解速度を、回転ディスク法(J.H.Woodら、J.Pharm.Soc.,54,1068(1955)を参照)により以下の条件にて測定した。なお、溶解速度は溶解初期における時間と濃度との関係に直線性が保たれている範囲に基いて算出した。
(回転ディスク法の条件)
溶媒:第14改正日本薬局方の一般試験法(崩壊試験法)に記載された第2液(pH6.8、500mL)
温度:37℃
ディスクの回転速度:50rpm
ディスクにおける溶媒と接する粉体の面積:1cm
サンプリング量:約1mL
(HPLCの条件)
カラム:Cadenza CD−18(インタクト株式会社製;内径4.6mm、カラム長100mm、粒子径3μm)
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
移動相:
A液 HO:CHCN:HClO=990:10:1(v/v/v)
B液 CHCN:HO:HClO=900:100:1(v/v/v)
B液の濃度:20%
注入量:100μL
検出:紫外吸光光度計(測定波長:252nm)
オートサンプラー温度:25℃
[結果]
溶解速度を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
いずれの塩の結晶においても、遊離体の結晶と比較して溶解速度が大きく上昇した。特に、メシル酸塩の結晶およびエシル酸塩の結晶については、溶解速度の増加が顕著であった。
【0071】
試験例2.ビーグル犬における薬物動態試験
[方法]
カルボキサミドの遊離体の結晶(製造例1で得られたもの)、カルボキサミドの臭化水素酸塩の結晶(実施例2で得られたもの)およびカルボキサミドのメシル酸塩の結晶(A)(実施例5で得られたもの)を乳鉢内で粉砕した後、ゼラチンカプセルに封入し、ビーグル犬に経口投与した(n=3)。投与後、10mLの水をさらに経口投与した。なお、投与量は、遊離体として3mg/kgとなるように設定し、ビーグル犬は投与前日から絶食とし、投与8時間後から給餌を再開した。
また、バイオアベイラビリティ(BA)を算出するため、単回静脈内投与試験を行った。
具体的には、カルボキサミドの遊離体の結晶を10% ジメチルスルホキシド/50% ポリエチレングリコール400/40% 0.1M塩酸水溶液に溶解させ、前腕橈側皮静脈より静脈内投与した。
血漿中におけるカルボキサミドの濃度は、前腕橈側皮静脈より血液を採取し、HPLC−UV法により測定した。また、前記濃度をもとに、モーメント法により薬物動態パラメーターを各個体ごとに算出した。さらに、算出されたパラメーターをもとに、その平均値および標準誤差を算出した。
[結果]
薬物動態の各パラメータを表2に、時間と血漿中濃度の関係を図1に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
いずれの塩の結晶においても、遊離体の結晶と比較して最大血漿中濃度およびBAが大きく上昇した。
【0074】
試験例3.吸湿性評価および固体安定性評価
[方法]
カルボキサミドのメシル酸塩の結晶(A)(実施例5で得られたもの)、カルボキサミドのメシル酸塩の結晶(C)(実施例7で得られたもの)、カルボキサミドのメシル酸塩の酢酸和物の結晶(I)(実施例10で得られたもの)およびカルボキサミドのエシル酸塩の結晶(β)(実施例12で得られたもの)の吸湿性および固体安定性を、以下の保存条件にて測定した。
1.吸湿性保存条件(期間:1週間)
a−1.25℃、相対湿度75%
b−1.25℃、相対湿度93%
2.固体安定性保存条件(期間:2週間)
a−2.−20℃(密閉)
b−2.25℃、光照射(1000ルクス;ただしアルミ箔で遮光、密閉)
c−2.25℃、光照射(1000ルクス、密閉)
d−2.40℃、相対湿度75%
e−2.60℃(密閉;ただし、メシル酸塩の酢酸和物の結晶(I)についてはわずかに開放)
3.HPLCによる不純物量の測定法
保存後、各結晶に水およびメタノールの混液(3:1)を加えて最終濃度が0.1mg/mLになるように調製し、試料溶液とした。
試料溶液について、以下に示す測定条件でHPLC法により試験を行い、溶出されるピーク面積を測定し、相対面積法により総不純物量を求めた。(0.05%以上の不純物をカウントした。)
(総不純物量の算出式)
個々の不純物量(%)=(個々の不純物のピーク面積)×100/{(カルボキサミドのピーク面積)+(個々の不純物のピーク面積の合計)}
総不純物量(%)=個々の不純物量の合計
(HPLC測定条件)
カラム:Mightysil RP−18GP(関東化学株式会社製;内径4.6mm、カラム長150mm、粒子径3μm)
カラム温度:40℃付近の一定温度
流速:1.0mL/分
移動相:
A液 HO:CHCN:HClO=990:10:1(v/v/v)
B液 CHCN:HO:HClO=900:100:1(v/v/v)
グラジエント条件
【0075】
【表3】

【0076】
注入量:10μL
検出:紫外吸光光度計(測定波長:252nm)
オートサンプラー温度:10℃付近の一定温度
4.粉末X線回折
第14改正日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法(B−614〜619)に従い、以下の測定条件で行った。
使用装置:RINT−2000(理学電機株式会社製)
使用X線:CuKα線
モノクロメーター:湾曲結晶モノクロメーター
ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
カウンター:シンチレーションカウンター
管電圧:40kV
管電流:200mA
スキャンスピード:5°/分
走査軸:2θ/θ
走査範囲:2θ=5°〜40°
発散スリット:0.5°
散乱スリット:0.5°
受光スリット:0.3mm
5.水分含量測定
第14改正日本薬局方の一般試験法に記載された水分測定法(B−318〜331)に従い、各結晶6〜10mgを用いて行った。
[結果]
吸湿性評価の結果を表4〜表7に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
メシル酸塩の結晶(A)、メシル酸塩の結晶(C)およびエシル酸塩の結晶(β)に関しては、水分含量に顕著な変化はなく、吸湿性は認められなかった。また、外観の顕著な変化および結晶転移は認められなかった。
一方、メシル酸塩の酢酸和物の結晶(I)に関しては、水分含量の減少が認められるとともに、メシル酸塩の結晶(C)への転移が認められた。
固体安定性評価の結果を表8〜表11に示す。
【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
メシル酸塩の結晶(A)、メシル酸塩の結晶(C)およびエシル酸塩の結晶(β)に関しては、水分含量および外観の顕著な変化および結晶転移は認められなかった。
一方、メシル酸塩の結晶(I)に関しては、密閉条件下では総不純物量、水分含量および外観の顕著な変化および結晶転移は見られなかった。しかしながら、40℃、相対湿度75%条件下で保存した試料では水分含量の減少が認められるとともに、メシル酸塩の結晶(C)への転移が認められた。また、60℃でわずかに開放させた試料では水分含量の減少が認められるとともに、メシル酸塩の結晶(B)への転移が認められた。
【0087】
試験例4.メシル酸塩の結晶(B)(実施例6で得られたもの)の調湿粉末X線回折
[方法]
粉末X線回折は試験例3の4.(粉末X線回折)と同様の測定条件で行った。なお、調湿は湿度発生装置HUM−1A(理学電機株式会社製)を用いて、室温下において、順次3%、30%、50%、60%、70%、75%、80%および85%に調整した。
[結果]
相対湿度3%〜70%ではメシル酸塩の結晶(B)の状態で結晶転移は認められなかったが、相対湿度75%および80%でメシル酸塩の結晶(B)およびメシル酸塩の結晶(C)の混合物となり、メシル酸塩の結晶(C)への転移が観測された。相対湿度85%で全てメシル酸塩の結晶(C)に転移した。
【0088】
試験例5.メシル酸塩のジメチルスルホキシド和物(実施例8の(製法1)で得られたもの)結晶の昇温粉末X線回折
[方法]
粉末X線回折は試験例3の4.(粉末X線回折)と同様の測定条件で行った。なお、昇温は以下の条件で行った。
温度コントローラー:PCT−20(理学電機株式会社製)
昇温速度:2℃/分
測定温度:30℃、40℃、60℃、80℃、120℃、140℃、180℃、200℃、205℃、210℃および215℃
[結果]
30℃〜80℃では結晶転移は認められなかったが、120℃以上の温度でメシル酸塩の結晶(C)への転移が認められた。
【0089】
(粉末X線回折測定)
製造例1、実施例1、2、3、4、5、6、7、9、10、11および12で得られた結晶について、第14改正日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法(B−614〜619)に従い、以下の測定条件で行った。
使用装置:RINT−2000(理学電機株式会社製)
使用X線:CuKα線
モノクロメーター:湾曲結晶モノクロメーター
ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
カウンター:シンチレーションカウンター
管電圧:40kV
管電流:200mA
スキャンスピード:5°/分(製造例1で得られた遊離体の結晶、実施例1で得られた塩酸塩の結晶、実施例2で得られた臭化水素酸塩の結晶および実施例10で得られたメシル酸塩の酢酸和物の結晶(I)については、2°/分)
走査軸:2θ/θ
走査範囲:2θ=5°〜40°
発散スリット:0.5°
散乱スリット:0.5°
受光スリット:0.3mm
【0090】
製造例1、実施例1、2、3、4、5、6、7、9、10、11および12で得られた各結晶の粉末X線回折パターンをそれぞれ図2〜図13に示し、製造例1、実施例5、6、7、9、10、11および12で得られた各結晶の回折角(2θ)のピークおよび強度をそれぞれ表12〜表19に示した。
【0091】
【表12】

【0092】
【表13】

【0093】
【表14】

【0094】
【表15】

【0095】
【表16】

【0096】
【表17】

【0097】
【表18】

【0098】
【表19】

【0099】
13C固体NMRスペクトルの測定)
実施例5および7で得られた結晶の13C固体NMRスペクトルの測定を、以下の測定条件で行った。
使用装置:CMX−300(Chemagnetics)
測定温度:室温(22℃)
基準物質:ポリ(ジメチルシロキサン)(内部基準:1.56ppm)
測定核:13C(75.497791MHz)
パルス繰り返し時間:25秒
パルスモード:TOSS測定
【0100】
実施例5および7で得られた各結晶の13C固体NMRスペクトルをそれぞれ図14および図15に示し、化学シフトをそれぞれ表20および表21に示した。
【0101】
【表20】

【0102】
【表21】

【0103】
(赤外吸収スペクトルの測定)
実施例5、6、7、10、11および12で得られた結晶の赤外吸収スペクトル測定は、第14改正日本薬局方の一般試験法に記載された赤外吸収スペクトル測定法(ATR法)に従い、FT−IR Spectrum−One(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、測定範囲4000〜400cm−1、分解能4cm−1で行った。
【0104】
実施例5、6、7、10、11および12で得られた各結晶の赤外吸収スペクトルをそれぞれ図16〜図21に示し、吸収ピークの波数(cm−1)および透過率(%T)をそれぞれ表22〜表27に示した。
【0105】
【表22】

【0106】
【表23】

【0107】
【表24】

【0108】
【表25】

【0109】
【表26】

【0110】
【表27】

【0111】
(医薬組成物の製造)
1mg錠
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)(以下、結晶(C))24gと無水軽質ケイ酸(ゲル化防止剤、商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル株式会社)192gを20Lスーパーミキサーで混合後、さらにD−マンニトール(賦形剤、東和化成工業株式会社)1236g、結晶セルロース(賦形剤、商品名アビセルPH101、旭化成工業株式会社)720g、ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤、商品名HPC−L、日本曹達株式会社)72gを加えて混合した。その後、無水エタノールを適量添加し結晶(C)を含有する造粒物を得た。この造粒物を棚式乾燥機(60℃)で乾燥後、パワーミルを用いて整粒し、顆粒を得た。この顆粒とともに、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤、商品名Ac−Di−Sol、FMC International Inc.)120g、フマル酸ステアリルナトリウム(滑沢剤、JRS Pharma LP)36gを20Lタンブラーミキサーに入れて混合後、打錠機で製錠し、1錠あたり総質量100mgの錠剤を得た。さらに錠剤コーティング機で、コーティング液として10%オパドライイエロー(OPADRY 03F42069 YELLOW、日本カラコン株式会社)水溶液を用いて、錠剤にコーティングし、1錠あたり総質量105mgのコーティング錠を得た。
【0112】
10mg錠
結晶(C)60gと無水軽質ケイ酸(ゲル化防止剤、商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル株式会社)192gを20Lスーパーミキサーで混合後、さらにD−マンニトール(賦形剤、東和化成工業株式会社)1200g、結晶セルロース(賦形剤、商品名アビセルPH101、旭化成工業株式会社)720g、ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤、商品名HPC−L、日本曹達株式会社)72gを加えて混合した。その後、無水エタノールを適量添加し結晶(C)を含有する造粒物を得た。この造粒物を棚式乾燥機(60℃)で乾燥後、パワーミルを用いて整粒し、顆粒を得た。この顆粒とともに、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤、商品名Ac−Di−Sol、FMCInternational Inc.)120g、フマル酸ステアリルナトリウム(滑沢剤、JRS Pharma LP)36gを20Lタンブラーミキサーに入れて混合後、打錠機で製錠し、1錠あたり総質量400mgの錠剤を得た。さらに錠剤コーティング機で、コーティング液として10%オパドライイエロー(OPADRY 03F42069 YELLOW、日本カラコン株式会社)水溶液を用いて、錠剤にコーティングし、1錠あたり総質量411mgのコーティング錠を得た。
【0113】
100mg錠
結晶(C)31.4gと無水軽質ケイ酸(ゲル化防止剤、商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル株式会社)4gを1Lスーパーミキサーで混合後、さらに、無水リン酸水素カルシウム(賦形剤、協和化学工業株式会社)40.1g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤、商品名L−HPC(LH−21)、信越化学工業株式会社)10g、ヒドロキシプロピルセルロース(結合剤、商品名HPC−L、日本曹達株式会社)3gを加えて混合した。その後、無水エタノールを適量添加し結晶(C)を含有する造粒物を得た。この造粒物を棚式乾燥機(60℃)で乾燥後、パワーミルを用いて整粒し、顆粒を得た。この顆粒とともに、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤、商品名Ac−Di−Sol、FMC International Inc.)10g、フマル酸ステアリルナトリウム(滑沢剤、JRS Pharma LP)1.5gを混合後、打錠機で製錠し、1錠あたり総質量400mgの錠剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩およびその溶媒和物ならびにそれらの結晶は、物性面および体内動態面において優れた性質を有し、血管新生阻害剤またはc−Kitキナーゼ阻害剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドの塩酸塩、臭化水素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩またはそれらの溶媒和物の結晶。
【請求項2】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶。
【請求項3】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩またはその溶媒和物の結晶。
【請求項4】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶。
【請求項5】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の水和物の結晶。
【請求項6】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶。
【請求項7】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶。
【請求項8】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩の結晶。
【請求項9】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのエタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶。
【請求項10】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)9.65°および18.37°に回折ピークを有する、請求項4記載の結晶(A)。
【請求項11】
13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約162.4ppm、約128.0ppm、約102.3ppmおよび約9.9ppmにピークを有する、請求項4記載の結晶(A)。
【請求項12】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1161±1cm−1および1044±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項4記載の結晶(A)。
【請求項13】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.72°および13.84°に回折ピークを有する、請求項4記載の結晶(B)。
【請求項14】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1068±1cm−1および918±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項4記載の結晶(B)。
【請求項15】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)14.20°および17.59°に回折ピークを有する、請求項4記載の結晶(C)。
【請求項16】
13C固体核磁気共鳴スペクトルにおいて、化学シフト約160.2ppm、約126.6ppm、約105.6ppmおよび約7.8ppmにピークを有する、請求項4記載の結晶(C)。
【請求項17】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1324±1cm−1および579±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項4記載の結晶(C)。
【請求項18】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)8.02°および18.14°に回折ピークを有する、請求項5記載の結晶(F)。
【請求項19】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)9.36°および12.40°に回折ピークを有する、請求項7記載の結晶(I)。
【請求項20】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1750±1cm−1および1224±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項7記載の結晶(I)。
【請求項21】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)15.70°および17.18°に回折ピークを有する、請求項8記載の結晶(α)。
【請求項22】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1320±1cm−1および997±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項8記載の結晶(α)。
【請求項23】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)6.48°および9.58°に回折ピークを有する、請求項8記載の結晶(β)。
【請求項24】
赤外吸収スペクトルにおいて、波数1281±1cm−1および985±1cm−1に吸収ピークを有する、請求項8記載の結晶(β)。
【請求項25】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、溶媒およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)の製造方法。
【請求項26】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(A)の製造方法。
【請求項27】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の酢酸和物の結晶(I)を乾燥させて、酢酸を除去することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(B)の製造方法。
【請求項28】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩のジメチルスルホキシド和物の結晶を加熱することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法。
【請求項29】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の酢酸和物の結晶(I)および溶媒を混合することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法。
【請求項30】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法。
【請求項31】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸の結晶(B)を加湿することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の結晶(C)の製造方法。
【請求項32】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の水和物の結晶(F)の製造方法。
【請求項33】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびメタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド メタンスルホン酸塩の酢酸和物の結晶(I)の製造方法。
【請求項34】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、溶媒およびエタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)の製造方法。
【請求項35】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(α)および溶媒を混合することを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)の製造方法。
【請求項36】
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、酢酸およびエタンスルホン酸を混合し、溶解させることを特徴とする、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド エタンスルホン酸塩の結晶(β)の製造方法。
【請求項37】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する医薬組成物。
【請求項38】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する、血管新生阻害作用が有効な疾患に対する予防または治療剤。
【請求項39】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する血管新生阻害剤。
【請求項40】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する抗腫瘍剤。
【請求項41】
腫瘍が膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腎癌、脳腫瘍、血液癌または卵巣癌である請求項40記載の抗腫瘍剤。
【請求項42】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する血管腫治療剤。
【請求項43】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する癌転移抑制剤。
【請求項44】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する網膜血管新生症治療剤。
【請求項45】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する糖尿病性網膜症治療剤。
【請求項46】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有する炎症性疾患治療剤。
【請求項47】
炎症性疾患が変形性関節炎、リューマチ性関節炎、乾癬または遅延性過敏反応である請求項46記載の炎症性疾患治療剤。
【請求項48】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶を含有するアテローム性動脈硬化治療剤。
【請求項49】
請求項1〜24いずれか1項記載の結晶の薬理学的有効量を患者に投与して、血管新生阻害作用が有効な疾患を予防または治療する方法。
【請求項50】
血管新生阻害作用が有効な疾患に対する予防または治療剤の製造のための請求項1〜24いずれか1項記載の結晶の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−280713(P2010−280713A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196072(P2010−196072)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【分割の表示】特願2005−516605(P2005−516605)の分割
【原出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】