説明

4輪駆動車用駆動力配分装置

【課題】摩擦クラッチの作動中に発生するシフト動作を回避することを可能とした4輪駆動車用駆動力配分装置を提供する。
【解決手段】制御装置70は、位置検出器65からの信号に基づいてモータ正逆回転を制御することで、シフト操作、及び伝達トルク調整を行う。制御装置70は、モータ印加電圧がシフト方向への電圧である場合に電圧時間積分を行い、その電圧時間積分値が所定の閾値を超えた場合にモータ61に摩擦クラッチ駆動方向の電流を流すことで、モータ回転方向を反転させるとともに、位置検出器65からの信号に所定の閾値を超える変化があった場合には電圧時間積分値をゼロリセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4輪駆動車に好適に用いられる駆動力配分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動力配分装置の一例としては、例えば副変速機の切換えと摩擦クラッチのクラッチ押付力とを1つのアクチュエータで制御する4輪駆動車用の駆動力配分装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された4輪駆動車用駆動力配分装置は、アクチュエータの回転運動を直線運動に変換する変換機構を介して第1出力軸の軸方向に移動する作用板を備えており、この作用板の押圧操作により摩擦クラッチの伝達トルクが制御される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−249974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の4輪駆動車用駆動力配分装置においては、1つのアクチュエータの回転位置をパルスセンサにより検出した現在のアクチュエータ回転位置と、摩擦クラッチにより伝達すべきトルクに相当するアクチュエータ回転位置との偏差が求められ、その偏差に基づいて摩擦クラッチの押付荷重を制御することが一般的に行われている。この駆動力配分制御が、例えば4輪駆動オートモードである場合においてパルスセンサからのパルス変化が認識できなくなり、車両からのトルク指令が現在のトルクより小さくなると、摩擦クラッチが作動していないものとしてトルクを低下させる方向、すなわちアクチュエータを逆回転方向に回転し続けることになる。この状態が続くと、摩擦クラッチの作動中においてシフト動作が発生することになるため、この異常な状態を回避する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、摩擦クラッチの作動中に発生するシフト動作を回避することを可能とした4輪駆動車用駆動力配分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、入力軸への動力を少なくとも高速と低速の2段に切換えて主出力軸へ伝達する副変速機構と、前記主出力軸の動力を副出力軸に伝達する摩擦クラッチと、モータと減速機から構成される1つのアクチュエータと、前記アクチュエータの連続的回転により、前記副変速機構の切換えを行うシフト操作、もしくは前記摩擦クラッチの伝達トルク調整を選択的に行う回転駆動部材と、前記モータの回転位置を検出する位置検出器と、前記位置検出器からの信号に基づいて前記モータの正逆回転を制御することで、前記回転駆動部材を介して前記シフト操作及び前記伝達トルク調整を行う制御装置とを備えてなり、前記制御装置は、前記モータの電圧の時間積分を行い、前記摩擦クラッチの作動中において前記モータの電圧が前記副変速機構のシフト方向への電圧である場合に、前記電圧の時間積分値が所定の閾値を超えた場合に前記モータに摩擦クラッチ駆動方向の電流を流すことで、前記モータの回転方向を反転させるとともに、前記位置検出器からの信号に所定の閾値を超える変化があった場合には前記電圧の時間積分値をゼロリセットすることを特徴とする4輪駆動車用駆動力配分装置にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記モータの印加時間に対するモータ逆回転方向の電圧の大きさの関数として形成される評価関数を有し、前記モータへの印加電圧を前記評価関数により変換したのち、時間積分することを特徴とする。
[3]上記[2]記載の発明にあって、前記評価関数が微小逆電圧に対しては評価を低くすることを特徴とする。
[4]上記[1]又は[2]記載の発明にあって、前記位置検出器からの信号が前記所定の閾値に達する前に、前記電圧の時間積分値が前記所定の閾値を超えた場合に、モータ電流を調整することで、前記シフト操作、及び前記伝達トルク調整を行い、バックアップ制御することを特徴とする。
[5]上記[4]記載の発明にあって、前記摩擦クラッチの伝達トルクとモータ電流との対応関係を表す関数として形成されるモータ電流設定マップを有し、前記モータ電流設定マップを参照して、目標伝達トルクに基づいて流すべき前記モータ電流を求め、そのモータ電流が前記モータに流れるように調整することを特徴とする。
[6]上記[5]記載の発明にあって、前記摩擦クラッチの伝達トルクとモータ電流との関係が、目標トルクが上昇方向の場合と低減方向の場合とで異なる関係を持つことを特徴とする。
[7]上記[4]記載の発明にあって、前記バックアップ制御は、一旦、摩擦クラッチ駆動方向の電流を所定時間流した後、シフト方向の電流を所定時間流し、再び、前記摩擦クラッチ駆動方向の電流を流すことで、前記シフト操作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、摩擦クラッチの作動中に発生するシフト動作を回避する高い精度をもって効率的に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係わる典型的な実施の形態である4輪駆動車用トランスファの内部構造を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の制御装置によって構成される制御系を説明するためのブロック構成図である。
【図3】図2のクラッチコントローラのブロック構成図である。
【図4】図3のクラッチコントローラの動作を説明するための図である。
【図5】図2のモータコントローラのブロック構成図である。
【図6】図5のモータコントローラの動作を説明するための図である。
【図7】図3のクラッチコントローラの他の動作を説明するための図である。
【図8】バックアップ動作機能の処理内容の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0011】
(トランスファの全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、この実施の形態に係る典型的なトランスファの全体構成を概略的に示している。図示例によるトランスファ1は、例えばFR(フロントエンジン、リヤドライブ)方式をベースにした4輪駆動(4WD)車に適用されるものである。
【0012】
このトランスファ1は、図1に示すように、フロントケース2及びリアケース3からなるトランスファケースを有している。このフロントケース2の前側部位には、図示しないエンジンからの回転を同じく図示を省略した自動変速機あるいは手動変速機を介して入力する入力軸4がベアリング5を介して回転可能に固定支持されている。この入力軸4には、フロントケース2内に同軸的に配された副変速機20を介してリアケース3内に同軸的に配された主出力軸である後輪出力軸6が直結されている。
【0013】
このトランスファケースの後輪出力軸6と平行な部位には、図1に示すように、主出力軸に対する副出力軸となる前輪出力軸7が設けられている。この後輪出力軸6の同一軸上には、駆動スプロケットギヤ8が設けられている。一方の前輪出力軸7の同一軸上には、駆動スプロケットギヤ8に対する従動スプロケットギヤ9が設けられている。この駆動スプロケットギヤ8、及び従動スプロケットギヤ9の間には、環状のチェーン10が掛け回されている。
【0014】
この副変速機20は、図1に示すように、入力軸4に入力するエンジンの駆動力をシフト装置30により高速段Hと低速段Lとの走行変速切換えを行う。このシフト装置30は、副変速機20の遊星歯車機構に同軸的に配されたH−L切換え用のクラッチスリーブ11に連結されている。
【0015】
この遊星歯車機構は、図1に示すように、入力軸4の外周に形成された高速用ギヤ(サンギヤ)21と、フロントケース2に固定されたリングギヤ22と、このサンギヤ21の外周に噛み合うとともに、リングギヤ22の内周に噛み合う複数のピニオンギヤ(プラネタリギヤ)23,…,23とを備えている。複数のピニオンギヤ23は、同一の位相差をもって配された支軸24を介して円形のキャリアケース25に自転可能に固定支持されている。このキャリアケース25は、サンギヤ21と相対回転可能に入力軸4の軸回りに固定支持されている。このキャリアケース25の後端部には、内スプライン(歯部)26aを有する円形のリング体26が一体に固定されており、支軸24の両端がキャリアケース25と円形のリング体26とに支持固定されている。
【0016】
低速状態においては、クラッチスリーブ11のスプラインが高速用ギヤ21から脱することで、リング体26の内スプライン26aにクラッチスリーブ11のスプラインをスプライン係合させ、ピニオンギヤ23から伝達された回転動力が、低速回転駆動力として後輪出力軸6に伝達される。
【0017】
一方、図1に示す高速状態においては、クラッチスリーブ11のスプラインと高速用ギヤ21とが互いに噛合して連結されており、入力軸4の回転駆動力が、高速回転駆動力として入力軸4から駆動スプロケットギヤ8、前輪駆動用チェーン10、及び従動スプロケットギヤ9を介して後輪出力軸6に伝達される。
【0018】
後輪出力軸6の同一軸上には、図1に示すように、4WDモードにおける前後輪駆動力の配分制御を行う駆動力配分装置を構成する摩擦クラッチ装置40が設けられている。トランスファケースには、副変速機20のシフト装置30の作動、及びトルク配分クラッチとして機能する摩擦クラッチ装置40の作動を制御する駆動源となる単一のアクチュエータ60が設けられている。このアクチュエータ60は、モータ61とモータトルクを増幅する減速機62とにより構成されている。
【0019】
このアクチュエータ60による回転駆動は、シフト装置30をシフトロッド31に沿って直線移動させるシフトカム32と、摩擦クラッチ41のクラッチ押付力を変化させる板カム55とを個別に回転駆動させる回転駆動部材56を介してシフト装置30及び摩擦クラッチ装置40に伝達される。図示例によれば、モータ正逆回転を制御することに応じてモータ61へ駆動指令信号が出力されることで、その回転駆動部材56を介してシフト装置30のシフト操作と摩擦クラッチ装置40の接断操作とが個別に実行される。
【0020】
(シフト装置の構成)
このシフト装置30は、図1に示すように、H−L切換え用のH−Lフォーク本体33及び摺動ホルダ34がコイルバネ35を介して相対移動可能な二部材により主に構成されている。このH−Lフォーク本体33の一側は、シフトロッド31に移動可能に挿通支持されている。このH−Lフォーク本体33の他側には、H−L切換え用のクラッチスリーブ11に係合した二股状のフォークが延出されている。H−Lフォーク本体33の幅方向両側に相対する立設側壁の内面には、内方に膨出した細長い柱状の一対のバネ荷重受部33a,33aがシフトロッド軸方向両側にそれぞれ形成されている。
【0021】
一方の摺動ホルダ34は、図1に示すように、シフトロッド31と同軸上に挿通支持される一対の摺動脚部34a,34aを介してH−Lフォーク本体33に相対移動可能に設けられている。この摺動脚部34aは、H−Lフォーク本体33のバネ荷重受部33a間の間隔より小さく設定されている。この一対の摺動脚部34aの間の間隔は、H−Lフォーク本体33の長さ方向両側一対のバネ荷重受部33a間の間隔に略等しく設定されている。
【0022】
この一対の摺動脚部34aの対向内面には、図1に示すように、一対の円形のワッシャ36,36がシフトロッド31と同軸上に配されている。このワッシャ36には、H−Lフォーク本体33の幅方向両側一対のバネ荷重受部33a間の間隔より大径に形成されている。この一対の摺動脚部34a及びワッシャ36は、コイルバネ35の両端を保持するバネ保持機能と、コイルバネ35を作動させるバネ作動機能とを兼ね備えている。H−Lフォーク本体33のバネ荷重受部33aと摺動ホルダ34の摺動脚部34aとの相対移動で生じるコイルバネ35の圧縮力及び復元力によってシフト操作力を蓄積する待ち機構が構成される。
【0023】
この摺動ホルダ34の長さ方向一端部には、図1に示すように、シフトロッド31に沿って延びるアーム部34bが一体に形成されている。このアーム部34bの先端部には円柱状のシフターピン34cが突出して支持されている。このシフターピン34cは、シフトカム32の回転運動をシフト装置30の直線運動に変換するカム溝32a内に摺動自在に所定の間隙をもって遊嵌されている。シフターピン34cは、アーム部34bを介してH−Lフォーク本体33よりもシフトカム32側に配置される構成となっている。
【0024】
このシフトカム32の回転運動は、カム溝32aの傾斜部に沿って移動するシフターピン34cを介して摺動ホルダ34へと伝達され、摺動ホルダ34の直線運動に変換される。この直線運動は、コイルバネ35を介してシフトロッド31に沿ってH−Lフォーク本体33を直線運動させる。このH−Lフォーク本体33の直線運動により、副変速機20のサンギヤ21とピニオンギヤ23との間で駆動力の連結・切断を行うクラッチスリーブ11をシフトさせ、高速と低速の切換えが行われる。
【0025】
(摩擦クラッチ装置の構成)
この摩擦クラッチ装置40は、図1に示すように、後輪用出力軸6と前輪用出力軸7とを断続するための多板式の摩擦クラッチ41と、その摩擦クラッチ41の押圧及び開放を行うクラッチ押付部材42と、アクチュエータ60の回転運動を直線運動に変換するボールカム機構50とを備えている。
【0026】
この摩擦クラッチ41は、図1に示すように、トルク伝達を行う多数枚のクラッチプレートを有している。このクラッチプレートは、駆動スプロケットギヤ8に固定されたクラッチドラム43と、後輪用出力軸6の外周に固定されたクラッチハブ44との間に形成された第1環状空間内に軸方向移動自在に支持されている。クラッチ押付部材42は、クラッチドラム43とクラッチハブ44との間の第2環状空間内に設けられたリターンスプリング45により摩擦クラッチ41の開放方向に付勢されており、アクチュエータ60の回転駆動により軸方向へ移動されるようになっている。
【0027】
このボールカム機構50は、図1に示すように、摩擦クラッチ41のクラッチ締結力を無段階に調整するボールカムからなる。このボールカムは、駆動側の駆動カムプレート51、及び反力側の反力カムプレート52を有する。この駆動カムプレート51は、クラッチ押付部材42にスラスト軸受53を介して配されており、後輪用出力軸6の外周に回転自在に支持されている。駆動カムプレート51の先端部分に回転自在に軸支されたカムフォロア54が板カム55のカム面に常時接触されており、アクチュエータ60の回転駆動をボールカム機構50に伝達するようになっている。
【0028】
一方の反力カムプレート52は、図1に示すように、固定部材57にスラスト軸受58を介して配されており、後輪用出力軸6の外周に回転自在に支持されている。このカムプレート51,52が互いに対向するカム面には、その回転中心を中心とする同一円周上に所定の位相差をもって傾斜溝状をなす複数のカム溝がそれぞれ形成されている。このカム溝内にはボール59が回動自在に挟持されている。
【0029】
この摩擦クラッチ41を締結する場合は、駆動カムプレート51のカムフォロア54が板カム55のカム面上を回転駆動することで、駆動カムプレート51が反力カムプレート52に対して回転駆動される。この駆動カムプレート51がカム溝内のボール59による押圧を受けながら、後輪出力軸6の軸方向に移動すると、クラッチ押付部材42は、後輪出力軸6の軸方向前方に押されて摩擦クラッチ41を押す。一方、摩擦クラッチ41の締結を解除する場合は、アクチュエータ60が逆方向に回転駆動することで、上記操作とは逆の操作を行うことになる。これにより、クラッチ押付部材42は上記操作とは逆の軸方向へ移動する。
【0030】
(統合コントローラの全体構成)
この実施の形態に係る主要な基本の構成は、シフト装置30及び摩擦クラッチ装置40を制御する統合コントローラ70(以下、「制御装置70」ともいう。)にある。従って、上記のように構成されたトランスファ1の構成部分に特に限定されるものではないことは勿論である。
【0031】
図2を参照すると、図2には、この実施の形態に係る典型的な制御装置70の制御系の一構成例が例示されている。この制御装置70は、モータ駆動回路64を介してモータ正回転方向の電圧を印加してモータ61を正回転駆動させることで摩擦クラッチ装置40を制御するとともに、モータ逆回転方向の電圧を印加してモータ61を逆回転駆動させることでシフト装置30を制御する。
【0032】
この制御装置70は、図2に示すように、クラッチコントローラ72、副変速機コントローラ73、及びモータコントローラ90を備えている。これらのコントローラ70,72,73,及び90は、CPU、RAM、ROM、及び入出力部71等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成されており、バックアップRAMの一時記憶機能とROMに記憶された制御プログラムに従って信号処理を行う。
【0033】
この制御装置70には、図2に示すように、モータ61の回転駆動を検出するアップダウン式のロータリエンコーダ65が電気的に接続されている。このロータリエンコーダ65は、回転方向、回転位置(回転角)や回転速度(回転数)等を検出する位置検出器であり、例えば光学式ロータリエンコーダ、あるいは磁気式ロータリエンコーダ等が使用される。
【0034】
このロータリエンコーダ65は、アクチュエータ60の出力軸63に合わせて、位相のずれたA相とB相の2つのパルス信号を制御装置70に出力する。この2相の位相差(進み・遅れ)をアップダウンパルスに変換して出力されるので、モータ61の正回転と逆回転とでは出力タイミングが互いに逆となり、モータ61の回転方向が判断できるようになっている。
【0035】
図1に示すトランスファ1による後輪出力軸6及び前輪出力軸7への駆動力配分比は、図2に示すように、クラッチコントローラ72により決定される。このクラッチコントローラ72は、乗員により操作される操作スイッチ100及び各種の車両状態センサ200等からの情報を入力するとともに、制御装置70からのトルク指令に対してモータ61の電流(電圧)指令値を達成するように、摩擦クラッチ装置40のクラッチ締結指令値を出力する。
【0036】
この車両状態センサ200は、例えばステアリングの舵角を検出する舵角センサ、車両の速度を検出する車速センサ、車両の横方向加速度を検出する加速度センサ、前輪の回転数を検出する前輪回転センサ、後輪の回転数を検出する後輪回転センサ、エンジンにおけるスロットル開度を検出するスロットルセンサ、及びエンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ等からなる。操作スイッチ100に入力されるモードの一例としては、例えば2WDモード、4WDオートモード、及び4WDロックモードの3つのモードが挙げられる。
【0037】
この操作スイッチ100により2WDモードが選択されると、後輪出力軸6に全ての駆動力が伝達され、前輪出力軸7には駆動力が伝達されないようにトランスファ1が制御される。一方、操作スイッチ100により4WDロックモードが選択されると、後輪出力軸6と前輪出力軸7とには、例えば50:50の割合で駆動力が伝達されるようにトランスファ1が制御される。この操作スイッチ100により4WDオートモードが選択されると、車両状態センサ200の車両の状態に応じて、後輪出力軸6と前輪出力軸7とへ伝達される駆動力の配分を調整するようにトランスファ1が制御される。
【0038】
このクラッチコントローラ72は、図3に示すように、目標トルク演算部81と、パルス検出部82と、伝達トルク推定部83と、加減算部84と、PID(Proportional Integral Differential)制御部85とを有している。この目標トルク演算部81は、図3及び図4に示すように、操作スイッチ100及び車両状態センサ200等からの信号に基づいて後輪出力軸6及び前輪出力軸7に要求される目標トルクを演算する(図4に示すステップS1)。このパルス検出部82は、ロータリエンコーダ65から取得したモータ61の現在位置情報に関する信号を保持する(図4のステップS2)。
【0039】
この伝達トルク推定部83には、図3及び図4に示すように、現在位置情報を表すパルス数に対する推定トルク値の関数として形成される現在トルク推定マップが保持されている。この伝達トルク推定部83では、パルス検出部82からの推定トルク値を入力して現在トルク推定マップを参照することで、パルス数に対する推定トルク値を求め(図4のステップS3)、摩擦クラッチ41の推定トルク値を加減算部84のマイナス側へ出力する。
【0040】
この加減算部84は、目標トルク演算部81の目標トルク及び推定トルク演算部83の推定トルクの偏差を求める(図4のステップS4)。このPID制御部85は、加減算部84からの偏差に基づいて推定トルクが目標トルクに一致するように制御する。このPID制御部85では、例えば目標トルク−推定トルクがプラス、即ち偏差がプラスの場合にはモータ61を正回転駆動すべく、モータ駆動回路64に駆動パルス信号を送り、偏差がマイナスの場合にはモータ61を逆回転駆動するように駆動パルス信号をモータ駆動回路64に送る(図4のステップS5)。このPID制御部85からの駆動パルス信号により、モータ駆動回路64を介してモータ61の駆動及び回転方向が制御される。
【0041】
図1に示す副変速機コントローラ73は、制御装置70からの制御信号を受けて、制御装置70からの変速指令に対してモータ61の電流(電圧)指令値を達成するように、シフト装置30を介して副変速機20の高速と低速の切換え指令値を出力する。
【0042】
(パルス異常検出、及びシフト防止緊急処理)
一方のモータコントローラ90は、図2及び図5に示すように、モータ61とアップダウン式のロータリエンコーダ65とを常時監視しており、モータ61の状態とロータリエンコーダ65の状態とを判定する異常判定手段を有している。この異常判定手段では、摩擦クラッチ装置40の摩擦クラッチ作動中においてモータ61の回転数や回転方向等が認識され、この認識結果に基づき意図しないシフト動作が発生したか否かを判定するようになっている。
【0043】
図5を参照すると、この実施の形態に係る典型的なモータコントローラ90は、印加電圧を所定時間毎の評価値に変換する電圧変換部91と、その評価値を時間積分演算処理する時間積分演算部92と、その時間積分値が所定の閾値と比較して異常であるか否かを判定する電圧状態判定部93とを備えている。この電圧変換部91と、時間積分演算部92と、電圧状態判定部93とにより第1の異常判定手段が構成される。
【0044】
この電圧変換部91は、モータ印加時間に対するモータ逆回転方向(副変速機20のシフト方向)の電圧の大きさの関数として形成される所定の評価関数を保持している。電圧変換部91において印加電圧信号を取得すると、この評価関数を参照することでモータ61に供給するモータ逆回転方向の電圧(以下、「逆電圧」という。)を評価する。
【0045】
この評価関数を用いて逆電圧を評価する際に、微小な逆電圧に対しては評価が低下する関数を含むように重み付け処理を行う。この評価関数に対する重み付け処理は、モータ逆回転方向の所定の電圧よりも微小な逆電圧であるときに評価が低くなるように関数を定義することで、微小な逆電圧に対しては評価を低くすることができる。これにより、微小な逆電圧を排除しながら、評価関数の評価を向上させることが可能になり、微小逆電圧の検出による誤検出を防止することが可能となる。
【0046】
この電圧変換部91は、図5に示すように、所定の評価関数に従って所定時間毎に検出された逆電圧を評価値に変換し、時間積分演算部92に出力する。この時間積分演算部92は、電圧変換部91における評価値の時間積分演算を行い、電圧状態判定部93に出力する。
【0047】
この電圧状態判定部93は、図5及び図6に示すように、時間積分演算部92における逆電圧の時間積分値が、例えば摩擦クラッチ作動中におけるモータ61の逆回転の許容回転角度(例えば、20°)に相当する所定の閾値(例えば、0.5)を超えたか否かを判定する(図6に示すステップS11)。
【0048】
この電圧状態判定部93における判定の結果、時間積分演算部92における逆電圧の時間積分値が所定の閾値を超えた場合は、モータ61が副変速機20をシフト動作可能に逆回転する異常状態であると判断し、モータ61に正回転方向の所定の電圧(電流)(例えば、プラス電流0.5A)を通電する。
【0049】
このシフト防止緊急処理を行う監視制御により、摩擦クラッチ作動中においてモータ61がシフト方向に逆回転駆動していることを検出したならば、直ちに、モータ61に摩擦クラッチ押付方向(正回転方向)の電流(電圧)を通電することでモータ61を反転させる。このモータ61には、シフト装置30がシフト動作を発生しないモータ回転角度の許容範囲内に抑えるのに必要とする電流(電圧)が流れる。連続通電によるモータ61の加熱を抑えるために、通電時間の経過とともに電流(電圧)を低減させることが好適である。
【0050】
このモータコントローラ90は更に、図5に示すように、時間積分演算部92の時間積分値をリセットする積分値リセット部94と、ロータリエンコーダ65から入力した2相のパルスを計数するパルスカウンタ95と、そのパルスカウンタ95からのカウント数の変化に基づいてパルス数を監視するパルス数判定部96とを備えている。この積分値リセット部94、パルスカウンタ95、及びパルス数判定部96により第2の異常判定手段が構成され、ロータリエンコーダ65からの信号を検出する機能が正常であるか否かを監視している。
【0051】
この第2の異常判定手段では、ロータリエンコーダ65から位相差をもって出力されるA相とB相の2つのパルス信号のレベルの推移に基づいて、パルス検出機能が正常である場合に最低限発生するパルス変化(閾値)以上の変化があれば、モータ61の回転変位が正常であると判定し、時間積分演算部92の時間積分値を強制的にゼロにリセットすることで第1の異常判定手段が動作するのを防止する。
【0052】
このパルスカウンタ95は、図5及び図6に示すように、ロータリエンコーダ65から出力されるパルス信号のパルス数をカウントし、パルス数判定部96に出力する。このパルス数判定部96は、パルスカウンタ95からのパルス信号のパルス数が所定の閾値(例えば、カウント3以上)に達しているか否かを判定する(図6に示すステップS12)。
【0053】
そのパルス数判定部96における判定の結果、パルス数が所定の閾値を超えた場合、即ち所定の閾値以上のパルス変化を認識できた場合には、パルス検出機能が正常であると判断する。その判定結果に基づき、積分値リセット部94により、時間積分演算部92の時間積分値を強制的にゼロにリセットする(図6のステップS13)。それと同時に、パルスカウンタ95はゼロにリセットされ(図6のステップS14)、パルス信号のパルス数を再度カウントする。これにより、パルス検出機能が正常である場合に、第1の異常判定手段が誤判定することを防止している。
【0054】
これとは逆に、計数されたパルス数が所定の閾値に達しない場合は、パルス検出機能が正常であるとは判断できないので、時間積分演算部92の時間積分値を強制的にゼロにリセットすることなく放置するため、第1の異常判定手段の判定により異常を判断する。その判定結果に基づき、モータ61に連動する回転駆動部材56を介して副変速機20、及び摩擦クラッチ40のバックアップ制御が行われる。
【0055】
(バックアップ制御)
ロータリエンコーダ65からのパルス信号が所定の閾値を超える前に、第1の異常判定手段の逆電圧積分値が閾値を超えた場合は、上記シフト防止緊急処理を行ったのち(図7に示すステップS21)、所定の時間が経過したならば(図7のステップS22)、モータ電流を調整することでバックアップ制御を行う(図7のステップS23)。
【0056】
このクラッチコントローラ72には、パルス検出機能に異常を生じた場合のバックアップ制御用として、図8に示すように、指令トルクに対するモータ電流の関数として形成される指令電流設定マップ(モータ電流設定マップ)86が保持されている。この指令電流設定マップ86は、摩擦クラッチ伝達トルクとモータ電流とがトルク上昇方向の場合とトルク低減方向の場合とで異なる関係を有しており、指令トルクが上昇する場合の目標電流を表す目標電流線T1と、指令トルクが低下する場合のモータ電流を表す目標電流線T2とにより基本的に構成される。この指令電流設定マップ86に従い、指令トルクが上昇する場合には目標電流線T1上において第1のモータ指令電流が推定計算され、指令トルクが低下する場合には目標電流線T2上において第2のモータ指令電流が推定計算される。
【0057】
そのモータ指令電流に対応する電流がモータ駆動回路64を介してモータ61に流れるように調整する。モータ61に連動する回転駆動部材56を介して副変速機20の切換えを行うシフト操作、及び摩擦クラッチ装置40の伝達トルク調整が行われる。
【0058】
このバックアップ制御によりシフト操作を行う場合には、一旦、摩擦クラッチ41の押付方向(モータ回転方向)に電流(電圧)を所定時間だけ流した後、副変速機20におけるシフト方向(モータ逆回転方向)に電流(電圧)を所定時間だけ流す。そして再び、摩擦クラッチ押付方向に電流を流すことで達成される。
【0059】
(実施の形態の効果)
以上のように構成された実施の形態に係る制御装置70では、以下の効果が得られる。
(1)摩擦クラッチ41の作動中において、モータ61に逆電圧(モータ61をシフト方向に回転駆動する電圧)を印加した場合には、モータ61は必ず逆転駆動し、その回転数は電圧に比例するという高効率な機械システムの特徴がある。この特徴を踏まえ、逆電圧の大きさと印加時間の時間積分値(モータ回転角に比例)を監視することで、副変速機20のシフト方向へのモータ回転を把握する。摩擦クラッチ41の作動中において、モータ61が逆回転しているときにパルス変化がないままの状態で、時間積分演算部92の時間積分値が閾値(モータの許容回転角相当)を超えたならば、異常事態であると判定し、即座に、モータ61に摩擦クラッチ41の駆動方向の電流を強制的に流すことでモータ61の回転を反転させ、摩擦クラッチ作動中におけるシフト操作を確実に防止することができる。
(2)摩擦クラッチ41の作動中において、モータ61に高い逆電圧が印加されたときには速やかに反応し、低い逆電圧のときには時間的な余裕をもって反応すれば、誤判定に対する余裕が充分に取れる。
(3)パルス変化が確認できる度に時間積分演算部92の時間積分値(逆電圧積分値)をゼロリセットすることで、パルスが正常なときに逆電圧積分値が閾値を超えることを確実に防止することができる。
(4)電圧変換部91における所定の評価関数を介して所定以上の逆電圧のみを積分することで、微小電圧を積分することで発生する誤検出を防止することができる。
【0060】
本発明の4輪駆動車用駆動力配分装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態及び図示例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。本発明にあっては、次に示すような他の実施の形態も可能である。
【0061】
上記実施の形態では、モータ61の変位を検出する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば減速機62の回転位置を検出してもよい。
【0062】
上記実施の形態では、モータ61の回転運動を直線運動に変換するボールカム機構50としては、駆動カムプレート51の先端部分に回転自在に軸支されたカムフォロア54が板カム55のカム面に常時接触する構造を例示したが、これに代えて、例えば駆動カムプレートの先端部分に形成された歯車とアクチュエータ出力軸上に固定されたピニオンギヤとを噛み合わす構造などであってもよい。
【0063】
上記実施の形態では、前輪のみ、あるいは後輪のみを駆動する2WDモード、車両状態に応じて前後輪間の駆動力を自動制御する4WDオートモード、及び最大駆動力に保持する4WDロックモードの3つのモードに切り換えられる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば少なくとも4WDオートモードを備えた構成、あるいは4WDオートモードと4WDロックモードの2つのモードに切り換えられる構成のものにも適用が可能である。
【0064】
上記実施の形態では、FRタイプの4WD車における前後輪間の駆動力を制御する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばFRタイプの4WD車における左右前輪間、あるいは左右後輪間の駆動力を制御する構成のもの、FFタイプの4WD車における前後輪間、左右前輪間、あるいは左右後輪間の駆動力を制御する構成のものにも適用することができる。
【0065】
上記実施の形態では、トランスファ1に制御装置70を適用した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではないことは勿論であり、例えばデファレンシャルなどの各種の駆動伝達経路上に制御装置70を効果的に使用することができる。
【0066】
なお、制御装置70の各構成要素は、ECU、メモリ、各構成要素を実現する制御プログラム、制御プログラムを格納する記憶ユニット、外部接続用インターフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現されるものである。その方法や装置としては、従来周知の各種の方法や装置を使用することができることは当業者には理解されるところであり、上記実施の形態、及び図示例に特定されるものではない。
【0067】
以上の説明から明らかなように、本発明は、上記実施の形態、及び図示例に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。本発明は、例えば農業機械、建設土木機械、運搬機械等の作業用車両、不整地用4輪走行車(ATV)等の各種の車両にも適用可能であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 トランスファ
2 フロントケース
3 リアケース
4 入力軸
5 ベアリング
6 後輪出力軸
7 前輪出力軸
8 駆動スプロケットギヤ
9 従動スプロケットギヤ
10 チェーン
11 クラッチスリーブ
20 副変速機
21 高速用ギヤ(サンギヤ)
22 リングギヤ
23 ピニオンギヤ(プラネタリギヤ)
24 支軸
25 キャリアケース
26 リング体
26a 内スプライン
30 シフト装置
31 シフトロッド
32 シフトカム
32a カム溝
33 H−Lフォーク本体
33a バネ荷重受部
34 摺動ホルダ
34a 摺動脚部
34b アーム部
34c シフターピン
35 コイルバネ
36 ワッシャ
40 摩擦クラッチ装置
41 摩擦クラッチ
42 クラッチ押付部材
43 クラッチドラム
44 クラッチハブ
45 リターンスプリング
50 ボールカム機構
51 駆動カムプレート
52 反力カムプレート
53 スラスト軸受
54 カムフォロア
55 板カム
56 回転駆動部材
57 固定部材
58 スラスト軸受
59 ボール
60 アクチュエータ
61 モータ
62 減速機
63 出力軸
64 モータ駆動回路
65 ロータリエンコーダ
70 制御装置
71 入出力部
72 クラッチコントローラ
73 副変速機コントローラ
81 目標トルク演算部
82 パルス検出部
83 伝達トルク推定部
84 加減算部
85 PID制御部
86 モータ電流設定マップ
90 モータコントローラ
91 電圧変換部
92 時間積分演算部
93 電圧状態判定部
94 積分値リセット部
95 パルスカウンタ
96 パルス数判定部
100 操作スイッチ
200 車両状態センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸への動力を少なくとも高速と低速の2段に切換えて主出力軸へ伝達する副変速機構と、
前記主出力軸の動力を副出力軸に伝達する摩擦クラッチと、
モータと減速機から構成される1つのアクチュエータと、
前記アクチュエータの連続的回転により、前記副変速機構の切換えを行うシフト操作、もしくは前記摩擦クラッチの伝達トルク調整を選択的に行う回転駆動部材と、
前記モータの回転位置を検出する位置検出器と、
前記位置検出器からの信号に基づいて前記モータの正逆回転を制御することで、前記回転駆動部材を介して前記シフト操作及び前記伝達トルク調整を行う制御装置とを備えてなり、
前記制御装置は、前記モータの電圧の時間積分を行い、前記摩擦クラッチの作動中において前記モータの電圧が前記副変速機構のシフト方向への電圧である場合に、前記電圧の時間積分値が所定の閾値を超えた場合に前記モータに摩擦クラッチ駆動方向の電流を流すことで、前記モータの回転方向を反転させるとともに、前記位置検出器からの信号に所定の閾値を超える変化があった場合には前記電圧の時間積分値をゼロリセットすることを特徴とする4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項2】
前記モータの印加時間に対するモータ逆回転方向の電圧の大きさの関数として形成される評価関数を有し、
前記モータへの印加電圧を前記評価関数により変換したのち、時間積分することを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項3】
前記評価関数が微小逆電圧に対しては評価を低くすることを特徴とする請求項2記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項4】
前記位置検出器からの信号が前記所定の閾値に達する前に、前記電圧の時間積分値が前記所定の閾値を超えた場合に、モータ電流を調整することで、前記シフト操作、及び前記伝達トルク調整を行い、バックアップ制御することを特徴とする請求項1又は2記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項5】
前記摩擦クラッチの伝達トルクとモータ電流との対応関係を表す関数として形成されるモータ電流設定マップを有し、
前記モータ電流設定マップを参照して、目標伝達トルクに基づいて流すべき前記モータ電流を求め、そのモータ電流が前記モータに流れるように調整することを特徴とする請求項4記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項6】
前記摩擦クラッチの伝達トルクとモータ電流との関係が、目標トルクが上昇方向の場合と低減方向の場合とで異なる関係を持つことを特徴とする請求項5記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。
【請求項7】
前記バックアップ制御は、一旦、摩擦クラッチ駆動方向の電流を所定時間流した後、シフト方向の電流を所定時間流し、再び、前記摩擦クラッチ駆動方向の電流を流すことで、前記シフト操作を行うことを特徴とする請求項4記載の4輪駆動車用駆動力配分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91643(P2012−91643A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239708(P2010−239708)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000154347)株式会社ユニバンス (132)
【Fターム(参考)】