説明

5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンおよびその誘導体を調製するためのプロセス



本発明は、高収率および高純度の5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンの合成のためのプロセスに関する。本発明はまた、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン誘導体の合成のためのプロセスにも関する。これらのプロセスは、生物学的活性のある化合物、具体的には、特定のGSK−3阻害剤またはその誘導体の調製に有用である。試薬と条件:i.Pd(OAc)、PPh、EtN、HCO;ii.1)(COCl)、CHCl、cat.DMF;2)NH3(g)、ジオキサン、iii.TFAA、Et3N、CHCl、0℃;iv.HNNH.HO、n−ブタノール、還流。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119の下、2007年7月31日に出願された米国仮出願第60/953,019号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)への利益を主張する。
【0002】
本発明の技術分野
本発明は、高収率および高純度の5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンの合成のためのプロセスに関する。本発明はまた、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン誘導体の合成のためのプロセスにも関する。このプロセスは、生物学的活性のある化合物、具体的には、特定のGSK−3阻害剤またはその誘導体の調製に有用である。
【背景技術】
【0003】
5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン誘導体はGSK−3阻害剤として知られている(特許文献1)。
【0004】
5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンの合成の鍵となる中間体のうちの1つである2−クロロ−5−フルオロニコチンアミドの大規模生産のこれまでの試みは、多量の触媒と水素ガスが必要であるとの理由から、再現性がなかった。さらに、中間体の大規模な合成により、出発材料と生成物の混合物が生じ、これには分離が必要であった。
【0005】
したがって、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン誘導体を高収率および高純度で得るためには、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンの容易な合成のためのプロセスが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/013140号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、式5:
【0008】
【化1】

の化合物を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスには以下が含まれる:
1)適切な脱塩素条件下で、式1:
【0009】
【化2】

の化合物を選択的に脱塩素し、式2:
【0010】
【化3】

の化合物を形成させる工程、
2)適切なアミド形成条件を用いて、式2の化合物を処理して、式3:
【0011】
【化4】

の化合物を形成させる工程、
3)適切な還元条件下で、式3の化合物を還元させ、式4:
【0012】
【化5】

の化合物を形成させる工程、
4)適切な環化条件下で、HNNH・HOを用いて式4の化合物を環化させ、式5の化合物を形成させる工程。
【0013】
本発明によってはまた、式I:
【0014】
【化6】

の化合物を作成するためのプロセスも提供され、式中、Rx、Ry、Z2、および環Dは、本明細書中で定義されるとおりである。本発明のプロセスには、式5の化合物を合成する工程と、これを式6の化合物と合わせる工程が含まれ:
【0015】
【化7】

式中、R、R、Z、および環Dは本明細書中に定義されるとおりであり、LGは、適切な離脱基であり;上記工程は、式Iの化合物を形成させるための適切な反応条件下で行われる。
【0016】
本発明のプロセスには、高収率および高純度の式Iの化合物の調製が可能となる利点があり、すなわち、この調製は大規模な調製のために容易にスケールアップされる。
【0017】
式Iのこれらの化合物は、GSK−3阻害剤として特に有用である。これらの化合物とその薬学的に許容される組成物はまた、様々な疾患、障害、または症状(自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、もしくは過増殖性疾患、神経変性疾患、または免疫介在性疾患を含むがこれらに限定されない)の処置あるいは予防にも有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の1つの態様により、式5:
【0019】
【化8】

の化合物を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスには以下の工程が含まれる:
1)適切な脱塩素条件下で、式1:
【0020】
【化9】

の化合物を選択的に脱塩素して、式2:
【0021】
【化10】

の化合物を形成させる工程。
【0022】
別の実施形態には、適切なアミド形成条件を用いて、式2の化合物を処理し、式3:
【0023】
【化11】

の化合物を形成させる工程がさらに含まれる。
【0024】
別の実施形態には、適切な還元条件下で、式3の化合物を還元させ、式4:
【0025】
【化12】

の化合物を形成させる工程がさらに含まれる。
【0026】
なお別の実施形態には、式5の化合物を形成させるための適切な環化条件下で、HNNH.HOを用いて式4の化合物を環化させる工程がさらに含まれる。
【0027】
脱塩素条件
1つの実施形態では、脱塩素条件には、パラジウム触媒(例えば、Pd(OAc))、PPh、適切な塩基(例えば、EtN)、および適切な酸(例えば、ギ酸HCOOH)の添加が含まれる。いくつかの実施形態では、この反応は、N雰囲気下でDMF中で行われる。この反応は、例えば、HNMR分析を用いて、反応混合物から採取したアリコートの分析によってモニターすることができる。いくつかの実施形態では、反応が不完全であれば、さらなる触媒とHCOOH/EtNが添加され得、そして反応がさらに長い時間攪拌され得る。いくつかの実施形態では、反応は、60℃未満の温度で行われる。いくつかの実施形態では50℃で行われる。いくつかの実施形態では、反応混合物は、反応が完了すると約0℃に冷却され、これに対して水が添加される。いくつかの実施形態では、反応混合物は、その後、セライトを通して濾過される。反応混合物はpH9に塩基性化され(30%のNaOH水溶液のような塩基を使用して)、そして続いて、有機溶媒(例えば、EtOAc)で洗浄される。混合物は、その後、pH1に酸性化され(12NのHClのような酸を使用して)、そして混合物はその後、飽和NaClで洗浄される。いくつかの実施形態では、有機相が減圧下で濃縮されて、88%の収率のベージュ色の固体が得られる。これは、それ以上精製されることなく次の工程で使用され得る。
【0028】
アミド形成条件
カルボン酸からの適切なアミド形成条件は当業者に公知である。1つの実施形態では、アミド形成条件には2工程のプロセスが含まれる。第1の工程では、酸塩化物が作成される(式2−1)。第2の工程では、アンモニア(NH)が添加される。
【0029】
【化13】

酸塩化物は、当業者に公知の様々な試薬を用いて、カルボン酸から形成され得る。そのような試薬の例としては、塩化オキサリルと塩化チオニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、そのような塩素化反応は、DMFとDCMの存在下で行われる。いくつかの実施形態では、炭酸の溶液が、塩素化試薬が添加される前に、約0℃になるように、DMFとDCMの溶液の中で冷却される。いくつかの実施形態では、得られる反応混合物は、反応が完了するまで室温で攪拌される。いくつかの実施形態では、得られる反応混合物は、酸塩化物を形成させるために減圧下で濃縮される。
【0030】
第2の工程では、アンモニアが、通常は、酸塩化物と適切な溶媒を含む溶液の中に泡立てられる。適切な溶媒としては非プロトン性溶媒が挙げられるが、これに限定されない。非プロトン性溶媒は、水素結合を提供することができない溶媒である。非プロトン性溶媒の例としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エーテル、CHCl、およびクロロホルムが挙げられる。
【0031】
還元条件
適切な還元条件は当業者に公知である。1つの実施形態では、還元条件には、2−クロロ−5−フルオロニコチンアミド、EtN、およびDCMの冷却された(例えば、0℃)懸濁液に対する、TFAAの滴下が含まれる。反応混合物は、0℃で90分間攪拌される。完了すると、反応混合物を、適切な溶媒(例えば、DCM)で希釈し、飽和NaHCOと塩水で洗浄し、そして適切な乾燥剤(例えば、NaSO、MgSO)で乾燥させる。有機層が濾過され、濃縮されて、所望される化合物が得られる。いくつかの実施形態では、所望される化合物は、カラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0032】
適切な環化条件
適切な環化条件は当業者に公知である。1つの実施形態では、2−クロロ−5−フルオロニコチノニトリルが、ブタノール中のヒドラジン一水和物とともに還流する。いくつかの実施形態では、上記反応は約4時間還流する。混合物は、その後、室温に冷却され、濃縮される。沈殿を、その後、水、EtOを用いてフィルター上で連続して洗浄し、減圧下で一晩乾燥し得て、所望される化合物が得られる。
【0033】
式5の化合物は、本明細書中に記載されるように式Iの化合物を調製するために使用され得る。
【0034】
別の実施形態では、式I:
【0035】
【化14】

の化合物を調製するためのプロセスが提供され、式中、
はNまたはCRであり;
はT−Rであり;
はT−R10であるか;または
とRは、それらの間に介在する原子と一緒になって、酸素、硫黄、または窒素から選択される0個〜3個の環ヘテロ原子を有している5〜8員の縮合された芳香環または非芳香環を形成し、ここでは、RとRによって形成された上記縮合環上にある任意の置換可能な炭素は、T−Rによって置換され、そしてRとRによって形成された上記環上にある任意の置換可能な窒素は、Rによって置換され;
は、H、ハロ、またはC1−6脂肪族であり、ここでは、脂肪族は、ハロ、−CN、および−ORから選択される1個〜5個の基で状況に応じて置換され;
TとTはそれぞれ独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり;
は独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり、ここでは、アルキリデン鎖の3個までのメチレン単位が、状況に応じて、−O−、−C(=O)−、−S(O)−、−S(O)−、−S−、または−N(R)−によって置換され;
環Dは、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、もしくはカルボシクリル環より選択される4〜7員の単環または、8〜10員の二環であり;上記ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環は、窒素、酸素、または硫黄より選択される1個〜4個の環ヘテロ原子を有しており、ここでは、環Dの置換可能な環炭素はそれぞれ独立して、オキソ、R、または−Rで置換され、そして任意の置換可能な環窒素は、独立して−Rで置換され;
は、ハロ、−CN、−NO、T−V−R、フェニル、5〜6員のヘテロアリール環、5〜6員のヘテロシクリル環、またはC1−6脂肪族基から選択され、上記フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル環はそれぞれ、状況に応じて、ハロ、オキソ、または−Rから独立して選択される3個までの基によって置換され、上記C1−6脂肪族基は、状況に応じて、ハロ、シアノ、ニトロ、または酸素で置換されるか、あるいは、Rと隣接する置換基とが、それらの間に介在する原子と一緒になって環Dに縮合された上記環を形成し;
Vは、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−N(R)−、−CO−、−CO−、−N(R)CO−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CON(R)−、−N(R)SON(R)−、−N(R)N(R)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−C(RO−、−C(RS−、−C(RSO−、−C(RSO−、−C(RSON(R)−、−C(RN(R)−、−C(RN(R)C(O)−、−C(RN(R)C(O)O−、−C(R)=NN(R)−、−C(R)=N−O−、−C(RN(R)N(R)−、−C(RN(R)SON(R)−、または−C(RN(R)CON(R)−であり;
とR10は、それぞれ独立して、−R、−ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
Rは、それぞれ独立して、水素、あるいは、C1−6脂肪族、C6−10アリール、5個〜10個の環原子を有しているヘテロアリール環、または4個〜10個の環原子を有しているヘテロシクリル環から選択される状況に応じて置換される基から選択され;Rはそれぞれ、状況に応じて、0個〜5個のRまたはJで置換され;
は、それぞれ独立して、−R、−COR、−COR”、−CON(R、もしくは−SOから選択されるか、または同じ窒素上の2つのRは、一緒になって3〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し;ここでは、上記ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜3個のJで置換され;
は、それぞれ独立して、−R、ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−SOR、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−C(=NH)N(R、−C(=NH)−OR、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
は、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜3個のJで状況に応じて置換されるC1−4脂肪族基から選択されるか;または、同じ窒素原子上の2つのR基は、該窒素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJで置換され;
は、それぞれ独立して、水素もしくはR”から選択されるか;または、同じ窒素上の2つのRは、該窒素と一緒になって5〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJ”で置換され;
は、それぞれ独立して、−OR、−SR、−COR、−SO2R、−N(R、−N(R)N(R、−CN、−NO、−CON(R、−CO、またはC1−4脂肪族基から選択され、ここでは、上記C1−4脂肪族基は、状況に応じて、0個〜3個のJで置換され;
はそれぞれ、−R’、−ハロ、−OR’、−C(=O)R’、−COR’、−COCOR’、COCHCOR’、−NO、−CN、−S(O)R’、−S(O)R’、−SR’、−N(R’)、−CON(R’)、−SON(R’)、−OC(=O)R’、−N(R’)COR’、−N(R’)CO(C1−6脂肪族)、−N(R’)N(R’)、−N(R’)CON(R’)、−N(R’)SON(R’)、−N(R’)SOR’、−OC(=O)N(R’)、=NN(R’)、=N−OR’、または=Oであり;
R’は、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜4個のJ’で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基であるか;または、2つのR’が、それらに結合した原子(単数または複数)と一緒に、3から6員のカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここでは、上記カルボシクリルもしくはヘテロシクリルは、0個〜4個のJ’で状況に応じて置換され、そしてここでは、上記ヘテロシクリルには、O、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子が含まれ;
R”は、それぞれ独立して、0個〜4個のJ”で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族であり;そして
、J’、およびJ”は、それぞれ独立して、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族であり;
Jはそれぞれ、ハロ、OH、またはC1−6脂肪族であり;
とJは、それぞれ独立して、−ハロ、−OR、オキソ、C1−6脂肪族、−C(=O)R、−COR、−COCOR、COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)CO(C1−6脂肪族)、−N(R)N(R、=NN(R、=N−OR、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、もしくは−OC(=O)N(Rであるか;または、同じ原子上または異なる原子上の2つのJまたはJ基が、それらに結合した原子(単数または複数)と一緒に、O、N、もしくはSから選択される0個〜2個のヘテロ原子を有している3〜8員の飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環を形成し;
このプロセスには、式5の化合物を合成する工程と、これを式6の化合物と合わせる工程が含まれ:
【0036】
【化15】

式中、LGは適切な離脱基であり;そしてR、R、Z、および環Dは、式Iの化合物について本明細書中で定義されたとおりであり;
上記工程は式Iの化合物を形成させるための適切な反応条件下で行われる。
【0037】
いくつかの実施形態では、上記環Dは、−Rから独立して選択される1個または2個のオルト置換基を有し、環D上の任意の置換可能な非オルト炭素位置が、−Rによって独立して置換される。
【0038】
別の実施形態では、式I:
【0039】
【化16】

の化合物を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスには、式5の化合物を合成する工程と、これを式6の化合物と合わせる工程が含まれ:
【0040】
【化17】

式中、LGは適切な離脱基であり;そしてR、R、Z、および環Dは、式Iの化合物について以下で定義されるとおりであり;上記工程は、式Iの化合物を形成させるための適切な条件下で行われ;式中、
はNまたはCRであり;
はT−Rであり;
はT−R10であるか;または
とRは、それらの間に介在する原子と一緒になって、酸素、硫黄、または窒素から選択される0個〜3個の環ヘテロ原子を有している5〜8員の縮合された芳香環または非芳香環を形成し、ここでは、RとRによって形成された上記縮合環上にある任意の置換可能な炭素は、T−Rによって置換され、そしてRとRによって形成された上記環上にある任意の置換可能な窒素は、Rによって置換され;
は、H、ハロ、またはC1−6脂肪族であり、ここでは、脂肪族は、ハロ、−CN、および−ORから選択される1個〜5個の基で状況に応じて置換され;
TとTはそれぞれ独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり;
は独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり、ここでは、アルキリデン鎖の3個までのメチレン単位が、状況に応じて、−O−、−C(=O)−、−S(O)−、−S(O)−、−S−、または−N(R)−によって置換され;
環Dは、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、もしくはカルボシクリル環より選択される4〜7員の単環または、8〜10員の二環であり;上記ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環は、窒素、酸素、または硫黄より選択される1個〜4個の環ヘテロ原子を有しており、ここでは、環Dの置換可能な環炭素はそれぞれ独立して、オキソ、または−Rで置換され、そして任意の置換可能な環窒素は、独立して−Rで置換され;
とR10は、それぞれ独立して、−R、−ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
Rは、それぞれ独立して、水素、あるいは、C1−6脂肪族、C6−10アリール、5個〜10個の環原子を有しているヘテロアリール環、または4個〜10個の環原子を有しているヘテロシクリル環から選択される状況に応じて置換される基から選択され;Rはそれぞれ、状況に応じて、0個〜5個のR9で置換され;
は、それぞれ独立して、−R、−COR、−CO2R”、−CON(R、もしくは−SOから選択されるか、または同じ窒素上の2つのRは、一緒になって3〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し;
は、それぞれ独立して、−R、ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−SOR、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−C(=NH)N(R、−C(=NH)−OR、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
は、それぞれ独立して、水素もしくはR”から選択されるか;または、同じ窒素上の2つのRは、該窒素と一緒になって5〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJ”で置換され;
はそれぞれ、−R’、−ハロ、−OR’、−C(=O)R’、−COR’、−COCOR’、COCHCOR’、−NO、−CN、−S(O)R’、−S(O)R’、−SR’、−N(R’)、−CON(R’)、−SON(R’)、−OC(=O)R’、−N(R’)COR’、−N(R’)CO(C1−6脂肪族)、−N(R’)N(R’)、−N(R’)CON(R’)、−N(R’)SON(R’)、−N(R’)SOR’、−OC(=O)N(R’)、=NN(R’)、=N−OR’、または=Oであり;
R’は、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜4個のJ’で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基であるか;または、2つのR’が、それらに結合した原子(単数または複数)と一緒に、3から6員のカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここでは、上記カルボシクリルもしくはヘテロシクリルは、0個〜4個のJ’で状況に応じて置換され、そしてここでは、上記ヘテロシクリルには、O、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子が含まれ;
R”は、それぞれ独立して、0個〜4個のJ”で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族であり;そして
J’とJ”は、それぞれ独立して、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族である。
【0041】
いくつかの実施形態では、式5の化合物が、本明細書中に記載される方法にしたがって合成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、LGが、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br、またはI);電気陰性スルホニル基(例えば、アリールスルホニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、およびアルキルスルホキシド(例えば、メチルスルホキシド))から選択される。他の実施形態では、LGはハロゲンである。いくつかの実施形態では、LGはクロロである。
【0043】
いくつかの実施形態では、ZはNである。いくつかの実施形態では、CRZである。
【0044】
いくつかの実施形態では、このプロセスは、以下の式の1つの化合物を調製するために使用される。
【0045】
【化18】

いくつかの実施形態では、環Dは、5〜10員の脂環式または5〜10員のヘテロシクリルであり、ここでは、上記ヘテロシクリルには、O、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子が含まれ;ここでは、脂環式またはヘテロシクリルは、1個〜5個の−R基で状況に応じて置換される。いくつかの実施形態では、1個〜2個の−Rで置換される。いくつかの実施形態では、環Dは、炭素原子を介してピリミジンに結合する。いくつかの実施形態では、上記脂環式またはヘテロシクリルは、1個〜2個の−Rで状況に応じて置換され、ここでは、−Rは、ハロまたはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、−Rは、フルオロまたはメチルである。
【0046】
いくつかの実施形態では、環Dは、4〜7員の単環である脂環式もしくはヘテロシクリル環であるか、または8〜10員の二重脂環式もしくはヘテロシクリル環である。
【0047】
他の実施形態では、環Dは、5〜7員の脂環式である。いくつかの実施形態では、環Dは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、もしくはシクロヘプチル、またはアダマンチルである。他の実施形態では、環Dは、1個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクリルである。なお他の実施形態では、環Dは、1個の酸素原子を含む6員のヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、環Dには少なくとも1つの窒素原子が含まれる。いくつかの実施形態では、環Dは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドリル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、またはイソキノリニルから選択される、状況に応じて置換される環である。いくつかの実施形態では、環Dは、状況に応じて置換されるテトラヒドロナフチル、ベンゾジオキシニル、インダニル、インドリニル、またはイソキノリニルである。別の実施形態では、環Dは、テトラヒドロ−2H−ピランである。
【0048】
別の実施形態では、環Dは、5〜7員の単環アリールまたはヘテロアリール環であり、上記ヘテロアリール環は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1個〜4個の環ヘテロ原子を有している。いくつかの実施形態では、環Dは、フェニル、ピリジニル、キノリニル、またはナフチルから選択される、状況に応じて置換される環である。他の実施形態では、環Dは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、または1,2,4−トリアジニル環である。なお他の実施形態では、環Dは、フェニルまたはピリジニルである。いくつかの他の実施形態では、環Dは、フェニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル、キナゾリニル、イソベンゾフラン、インドリル、またはインダゾリルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、環Dは状況に応じて置換される。いくつかの実施形態では、環Dはフェニルであり、ここでは、フェニルは、1個〜5個の−Rで状況に応じて置換される。
【0050】
他の実施形態では、環Dは、−Rから独立して選択される1個または2個のオルト置換基を有し;そして環D上の任意の置換可能な非オルト炭素位置が、−Rで独立して置換される。なお他の実施形態では、環D上の2つの隣接している置換基が、それらの間に介在している原子と一緒になって、状況に応じて、酸素、硫黄、もしくは窒素から選択される0個〜3個のヘテロ原子を有している5〜6員の縮合環、不飽和環もしくは部分的不飽和環を形成する。ここでは、上記縮合環は、ハロ、オキソ、または−Rで状況に応じて置換される。
【0051】
いくつかの実施形態では、Rは、−ハロ、−CN、NO、T−V−R、フェニル、5〜6員のヘテロアリール環、5〜6員のヘテロシクリル環、またはC1−6脂肪族基から選択され;ここでは、上記フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル環は、それぞれ、ハロ、オキソ、または−Rから独立して選択される3個までの基で状況に応じて置換され;ここでは、上記C1−6脂肪族基は、ハロ、シアノ、ニトロ、OH、もしくはオキソで状況に応じて置換される。他の実施形態では、Rと隣接している置換基は、上記環Dに縮合された環が形成されるように、それらの間に介在している原子とともに、一緒に結合する。
【0052】
別の実施形態にしたがうと、Rは、−ハロ、状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基、フェニル、−COR、−OR、−CN、−SO、−SONH、−N(R、−CO、−CONH、−NHCOR、−OC(O)NH、または−NHSOである。いくつかの実施形態では、Rは、−ハロ、C1−6ハロ脂肪族基、状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基、フェニル、または−CNである。他の実施形態では、Rは、−ハロ、−CN、またはハロゲンで状況に応じて置換されるC1−4脂肪族基である。いくつかの実施形態では、Rは−ハロであり;いくつかの実施形態では、クロロである。いくつかの実施形態では、RはクロロまたはCFである。いくつかの実施形態では、Rは、−ハロ、C1−6ハロ脂肪族基、状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基、フェニル、または−CNであり、そしてRyはアゼチジンである。いくつかの実施形態では、上記C1−6脂肪族基は、ハロで状況に応じて置換される。
【0053】
いくつかの実施形態では、環Dは、1個〜2個のハロで状況に応じて置換される3〜8員のシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、上記ハロは、クロロまたはフルオロである。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜3個のJで状況に応じて置換されるC1−4脂肪族基から選択されるか;または、同じ窒素原子上の2つのR基は、該窒素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJで置換される。
【0055】
他の実施形態では、Rは、それぞれ独立して、−OR、−SR、−COR、−SO、−N(R、−N(R)N(R、−CN、−NO、−CON(R、−CO、またはC1−4脂肪族基から選択され、ここでは、上記C1−4脂肪族基は、状況に応じて、0個〜3個のJで置換され;
なお別の実施形態では、JとJは、それぞれ独立して、−ハロ、−OR、オキソ、C1−6脂肪族、−C(=O)R、−COR、−COCOR、COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)CO(C1−6脂肪族)、−N(R)N(R、=NN(R、=N−OR、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、もしくは−OC(=O)N(Rであるか;または、同じ原子上または異なる原子上の2つのJまたはJ基が、それらに結合した原子(単数または複数)と一緒になって、O、N、もしくはSから選択される0個〜2個のヘテロ原子を有している3〜8員の飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環を形成し;
いくつかの実施形態では、Rは、HまたはC1−6脂肪族であり、ここでは、脂肪族は、1個〜5個のハロで状況に応じて置換される。他の実施形態では、Rは、HまたはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、シクロプロピル、またはイソプロピルである。いくつかの実施形態では、ハロはフルオロである。なお他の実施形態では、Rは、水素、C1−4脂肪族、またはハロである。いくつかの実施形態では、Rは、水素、フルオロ、メチル、またはエチルである。他の実施形態では、Rは水素である。
【0056】
別の実施形態では、Rは、T−R10であり、ここでは、T2は結合である。いくつかの実施形態では、Rは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、またはモルホリニルである。
【0057】
他の実施形態では、Rは、0個〜2個のRで状況に応じて置換されるC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、R9は、OHまたはFである。いくつかの実施形態では、Ryは、CH、CF、Cl、またはC(CHOHである。他の実施形態では、Rはハロであり;いくつかの実施形態では、クロロである。
【0058】
他の実施形態では、RとRは、いずれもC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、RとRはメチルである。他の実施形態では、Rは水素であり、Rは水素ではない。いくつかの実施形態では、Rは水素であり、そしてRはT−R10であり、ここでは、T2は結合であり、R0は水素ではない。いくつかの実施形態では、Rxは水素であり、そしてRyは、CH、CF、Cl、またはC(CHOHである。
【0059】
他の実施形態では、Rは、式ii−a:
【0060】
【化19】

によって示される。
【0061】
いくつかの実施形態では、Tは結合である。いくつかの実施形態では、Rは、−R、−COR、−COR”、−CON(R、または−SOである。
【0062】
別の実施形態では、Rは、HまたはC1−4アルキルである。別の実施形態では、Rは、Hまたはメチルである。いくつかの実施形態では、R10は、状況に応じて置換されるアゼチジンである。別の実施形態では、Rは式i:
【0063】
【化20】

によって示される。
【0064】
2.なお別の実施形態では、Rは、式iii:
【0065】
【化21】

によって示される。
【0066】
いくつかの実施形態では、Rはアゼチジンであり、そして環Dは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,4−トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キナゾリニル、イソベンゾフラン、インドリル、インダゾリル、キノリニル、またはナフチルから選択される、状況に応じて置換される環である。
【0067】
別の実施形態により、式Iの化合物を調製するためのプロセスが提供される。式中、
は、水素またはC1−4脂肪族であり;
は、
【0068】
【化22】

、0個から2個のJで状況に応じて置換されるC1−4アルキル;またはO、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子を含む6員のヘテロシクリルであり;
Jは、ハロ、OH、またはC1−4脂肪族であり;
環Dは、フェニル、C3−10シクロアルキル、またはO、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクリルであり;
は、C1−4アルキル、CF、またはハロであり;
はHであり;式中、残りの変量は本明細書中で定義されるとおりである。
【0069】
別の実施形態により、式Iの化合物を調製するためのプロセスが提供される。式中、
は、水素、メチル、またはエチルであり;
は、
【0070】
【化23】

、メチル、CF、Cl、モルホリニル、またはC(CHOHであり;
環Dは、フェニル、テトラヒドロ−2H−ピラン、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルであり;
は、メチル、CF、またはハロであり;
はHであり;
式中、残りの変量は本明細書中で定義されるとおりである。
【0071】
別の実施形態により、式Iの化合物を調製するためのプロセスが提供される。式中、
は、水素またはメチルであり;
はメチルであり;
環Dは、フェニルまたはシクロヘキシルであり;
は、メチル、CF、またはClであり;
はHであり;
式中、残りの変量は本明細書中で定義されるとおりである。
【0072】
スキーム
以下は、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン中間体を使用して本発明の化合物を作成する方法を示す様々なスキームである。
【0073】
スキームI
【0074】
【化24】

試薬と条件:(i)HCl、EtO/MeOH、(ii)NH、EtOH;(iii)EtN、EtOH、還流;(iv)POCl、還流;(v)5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン、DIPEA、NaI、DMF、120℃。
【0075】
上記スキームIは、化合物I−5を調製するために使用される一般的な合成経路を示す。式I−5の化合物は、中間体I−1から調製され得る。アミジンI−2の形成は、メタノールの存在下で、ニトリル誘導体I−1をHClで処理すること、その後、中間体イミデートをエタノール中のNHで処理することによって行われる。中間体I−2は、その後、EtOH中での還流によって対応するβ−ケトエステルで処理される。対応するヒドロキシピリミジン中間体は、クロロ誘導体I−4を得るために、POClで処理される。この反応は、様々なアミジン(I−3)に適している。クロロピリミジンI−4は、最終化合物I−5を得るために、DIPEAとNaIの存在下で、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンで処理される。
【0076】
スキームII
【0077】
【化25】

試薬と条件:(i)EtONa、EtOH、還流;(ii)POCl、還流;(iii)5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン、NaI、DMF、110℃、(iv)R[ここでは、Rは、N原子を介して結合される]n−ブタノール、108℃。
【0078】
上記スキームIIは、化合物II−5を調製するために使用される一般的な合成経路を示し、ここでは、Rは、窒素原子を介してピリミジンに結合する。式II−5の化合物は、中間体II−3から調製され得る。中間体II−3の形成は、マロン酸ジエチル(II−1)を、還流しているエタノール中の塩基としてのEtONaの存在下で、対応するアミジン(II−2)と反応させることによって行われる。その後、粗生成物は、ジクロロピリミジン中間体II−3を得るために、POClで処理される。ジクロロピリミジン中間体は、最終化合物II−5を得るために、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンとRアミン誘導体で連続して処理される。。これらの2つの反応の連続は、複素環アミンおよびアルキルアミンのような様々なアミン(y)に適している。
【0079】
スキームIII
【0080】
【化26】

試薬と条件(i)mCPBA、EtOAc;(ii)POCl;(iii)PdPPhCl、Ba(OH)、DME−HO、110℃;(iv)5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン、Pd(OAc)、Xantphos、KCO、ジオキサン、120℃。
【0081】
上記スキームIIIは、化合物III−5を調製するために使用される一般的な合成経路を示す。式III−5の化合物は、中間体III−1から調製され得るククロロピリジン誘導体III−2の形成は、対応するピリジンIII−1をEtOAc中のm−CPBAで処理すること、続いて、対応するNオキサイドをPOClで処理することによる対応するN−オキサイドのクロロピリジンへの変換によって行われる。その後、中間体III−2は、当業者に周知のSuzukiカップリング条件を使用して化合物III−3を得るために、対応するボロン酸誘導体で処理される。この反応は、様々なボロン酸誘導体に適している次いで、工程1で使用されたものと同じ2工程の手順、m−CPBA酸化、それに続くPOCl処理を使用して、ピリジンIII−3が、クロロピリジン誘導体III−4に変換される。そその後、中間体III−4は、最終化合物III−5を得るために、触媒としてのPdの存在下で5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンで処理される。
【0082】
スキームIV
【0083】
【化27】

試薬と条件:(i)メルドラム酸、DMAP、CDI、CHCl(0℃から室温)、その後、EtOH、還流;(ii)Et3N、EtOH、還流;(iii)POCl、還流;(iv)5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン、DIPEA、NaI、DMF、120℃;(v)TFA、DCM。
【0084】
上記スキームIVは、式IV−5の化合物を調製するために使用される一般的な合成経路を示す。式5の化合物は、中間体IV−1から調製され得る。誘導体IV−2の形成は、CDIの存在下でメルドラム酸で中間体IV−1を処理することによって行われ、カップリングと脱カルボキシル化の後に、得られる酸は、エタノールを還流させることによる粗混合物の処理によってエステル化される。中間体IV−2は、その後、EtOH中での還流下でアミジンで処理され、対応するヒドロキシピリミジン中間体が、中間体IV−4を得るためにPOClで処理される。この反応は、様々なアミジンIV−3に適している。クロロピリミジンIV−4は、最終化合物IV−5を得るために、DIPEAとNaIの存在下で、5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミンで処理され、保護基を除去するためにTFAで最後に処理される。
【0085】
他の状況に応じて置換されるアゼチジン中間体は、WO2007/056221に記載されている方法にしたがって作製され得る。
【0086】
本発明の化合物には、上記に一般的に記載されたものが含まれ、本明細書中に開示されるクラス、サブクラス、および種によってさらに説明される。本明細書中で使用される場合は、他の場所に示されない限りは、以下の定義が適応されるはずである。本発明の目的のためには、化学元素は、元素の周期表(Periodic Table of the Elements,)、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics、第75版にしたがって識別される。加えて、有機化学の一般的原理は、以下に記載されている:「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」,第5版:Smith,M.B.and March,J.編,John Wiley & Sons,New York:2001(これらの内容は全て引用により本明細書中に組み入れられる)。
【0087】
本明細書中に記載される場合は、原子の特定の数の範囲には、その中の任意の整数が含まれる。例えば、1個〜4個までの原子を有している基は、1個、2個、3個、または4個の原子を有し得る。
【0088】
本明細書中に記載される場合は、本発明の化合物は、上記に一般的に説明されるような、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示されるような、1つ以上の置換基で状況に応じて置換され得る。表現「状況に応じて置換される」は、表現「状況に応じて置換される」は、表現「置換されたまたは置換されていない」と互換的に使用されると理解されるであろう。一般的には、用語「置換された」は、用語「状況に応じて」が前にあるかどうかにはかかわらず、特定の置換基のラジカルを持つ所定の構造の中の水素ラジカルの置換をいう。他の場所に示されない限りは、状況に応じて置換される基は、その基の個々の置換可能な位置に置換を有し得、任意の所定の構造の中の2つ以上の位置が、特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合は、置換基は全ての位置で同じであるっても、また異なっていてもいずれであってもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定であるかまたは化学的にふさわしい化合物の形成を生じる組み合わせである。
【0089】
用語「安定」は、本明細書中で使用される場合は、本明細書中に開示される目的のうちの1つ以上のためのそれらの生産、検出、回収、精製、および使用が可能な条件に供された場合に、実質的に変化しない化合物をいう。いくつかの実施形態では、安定な化合物または化学的にふさわしい化合物は、水分が存在しないか、または他の化学的反応条件下で、40℃またはそれ未満の温度で維持された場合に、少なくとも1週間実質的には変化しない化合物である。
【0090】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書中で使用される場合は、直鎖(すなわち、分岐していない)または環状の、分岐したまたは分岐していない、置換されたまたは未置換の炭化水素鎖を意味し、これには、完全に飽和しているか、あるいは、分子の残りの部分に対して1点で結合している1つ以上の不飽和のユニットが含まれる。他の場所に示されない限りは、脂肪族基には、1個〜20個の脂肪族炭素原子が含まれる。いくつかの実施形態では、脂肪族基には、1個〜10個の脂肪族炭素原子が含まれる。他の実施形態では、脂肪族基には、1個〜8個の脂肪族炭素原子が含まれる。なお他の実施形態では、脂肪族基には、1個〜6個の脂肪族炭素原子が含まれ、そしてなお他の実施形態では、脂肪族基には、1個〜4個の脂肪族炭素原子が含まれる。適切な脂肪族基としては、直鎖または分岐した、置換されたまたは未置換のアルキル、アルケニル、あるいはアルキニル基が挙げられるが、これらに限定されない。特異的な例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、sec−ブチル、ビニル、n−ブテニル、エチニル、およびtert−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
用語「脂環式」(または「炭素環」もしくは「カルボシクリル」もしくは「シクロアルキル」)は、単環のC−C炭化水素、または二環C−C12炭化水素をいい、これは、完全に飽和しているか、あるいは、これには分子の残りの部分に対して1点で結合している、不飽和であるが芳香族ではない1つ以上のユニットが含まれる。ここでは、上記二環系の中の任意の個々の環は、3〜7員を有する。適切な脂環式基としては、シクロアルキルとシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。特異的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル、および架橋された系(例えば、ビシクロデカンまたはビシクロへプタン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「ヘテロ環」は、本明細書中で使用される場合は、その中の1つ以上の環メンバーが別々に選択されたヘテロ原子である、芳香族ではない、単環、二環、または三重環系を意味する。いくつかの実施形態では、「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「ヘテロ環」基は、その中の1つ以上の環メンバーが、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されたヘテロ原子であり、この系の中の個々の環に3個から7個の環メンバーが含まれる、3個から14個の環メンバーを有する。
【0093】
適切な複素環としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オン。
【0094】
環式基(例えば、脂環式および複素環)は、直線的に縮合させることができ、架橋することができ、また、スピロ環でもあり得る。
【0095】
用語「ヘテロ原子」は、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、もしくはリン(窒素、硫黄、もしくはリンの酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態、または;複素環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののような)、NH(ピロリジニル中のもののような)、もしくはNR+(N置換ピロリジニル中のもののような)を含む)を意味する。
【0096】
用語「不飽和」は、本明細書中で使用される場合は、その部分が1つ以上の不飽和ユニットを有することを意味する。
【0097】
用語「アルコキシ」または「チオアルキル」は、本明細書中で使用される場合は、酸素(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して炭素主鎖に結合させられた、先に定義されたようなアルキル基をいう。
【0098】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」、および「ハロアルコキシ」は、アルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味し、場合によっては、これは1つ以上のハロゲン原子で置換され得る。用語「ハロゲン」、「ハロ」、および「ハル(hal)」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0099】
単独で使用されるか、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」においてそうであるように大きな部分の位置として使用される、用語「アリール」は、全部で5個から14個の環メンバーを有している、単環、二環、および三重環系をいう。ここでは、この系の中の少なくとも1つの環は芳香族であり、そしてここでは、この系の中の個々の環には、3個から7個の環メンバーが含まれる。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書中以下で定義されるように、ヘテロアリール環系もいう。
【0100】
単独で使用されるか、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」においてそうであるように大きな部分の位置として使用される、用語「ヘテロアリール」は、全部で5個から14個の環メンバーを有している、単環、二環、および三重環系をいう。ここでは、この系の中の少なくとも1つの環は芳香族であり、この系の中の少なくとも1つの環には1つ以上のヘテロ原子が含まれ、そしてここでは、この系の中の個々の環には、3個から7個の環メンバーが含まれる。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と互換的に使用され得る。適切なヘテロアリール環としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2−トリアゾリルおよび5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2−インドリル)、ピラゾリル(例えば、2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル(例えば、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)、ならびに、イソイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、または4−イソキノリニル)。
【0101】
用語「保護基(protecting group)」と「保護基(protective group)」は、本明細書中で使用される場合は互換的であり、多官能性化合物中の1つ以上の所望される反応性部位を一次的にブロックするために使用される物質をいう。特定の実施形態では、保護基は、以下の特徴のうちの1つ以上、または好ましくは全てを有する:a)保護された基質が生じるように、高収率で官能基に対して選択的に付加される、すなわち、b)他の反応性部位の1つ以上で起こる反応に対して安定であり;およびc)再生された、脱保護された官能基を攻撃しない試薬によって高収率で選択的に除去することができる。例示的な保護基は、Greene,T.W.,Wuts,P.G.「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版,John Wiley & Sons,New York:1999(およびこの本の別版)に詳細に記載されており、その内容は全体が引用により本明細書中に組み入れられる。用語「窒素保護基」は、本明細書中で使用される場合は、多官能性化合物の中の1つ以上の所望される窒素反応性部位を一次的にブロックするために使用される物質をいう。好ましい窒素保護基もまた、上記で説明された特徴を持つ。そして、特定の例示的な窒素保護基もまた、Greene,T.W.,Wuts,P.G.の「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版,John Wiley & Sons,New York,1999の第7章に詳細に記載されており、その内容は全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、アルキルまたは脂肪鎖の1つ以上のメチレン単位は、別の原子または複数の原子のグループで状況に応じて置換され得る。そのような原子またはグループの例としては、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)、−NRCO−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRSONR−、−SO−、または−SO−が挙げられるであろうが、これらに限定されない。式中、Rは本明細書中で定義される。他の場所に示されない限りは、随意の置換により化学的に安定な化合物が形成される。随意の置換は、鎖の内部と鎖のいずれかの末端の両方で行われ得る;すなわち、結合点および/または末端での両方で行われ得る。2つの随意の置換はまた、それにより化学的に安定な化合物が生じる限りは、鎖の中で互いに隣接していてもよい。随意の置換はまた、鎖の中の炭素原子を全て完全に置換することもできる。例えば、C脂肪族は、−NRC(O)NR−(尿素)が形成されるように、−NR−、−C(O)−、および−NR−によって状況に応じて置換され得る。
【0103】
他の場所に示されない限りは、置換が末端で行われる場合は、置換原子は、末端にあるHに結合する。例えば、−CHCHCHのメチレン単位が状況に応じて−O−で置換される場合には、得られる化合物は、−OCHCH、−CHOCH、または−CHCHOHであり得る。
【0104】
他の場所に示されない限りは、本明細書中に示される構造はまた、以下のような、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何異性体(または構造異性体))形態;例えば、個々の不斉中心についてのR立体配置とS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体構造異性体を含むようにも意味される。したがって、本発明の化合物の、1種類の立体化学的異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何異性体(または構造異性体)の混合物は、本発明の範囲に含まれる。
【0105】
他の場所に示されない限りは、本発明の化合物の全ての互変異性形態が、本発明の範囲に含まれる。
【0106】
他の場所に示されない限りは、置換基は、任意の回転可能な結合のまわりを自由に回転することができる。例えば、
【0107】
【化28】

として描かれる置換基は、
【0108】
【化29】

も示す。
【0109】
加えて、他の場所に示されない限りは、本明細書中に示される構造はまた、1つ以上の同位体標識された原子の存在だけが異なる化合物を含むようにも意味される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、または13C標識炭素もしくは14C標識炭素による炭素の置換を除いて本発明の構造を有している化合物は、本発明の範囲に含まれる。そのような化合物は、例えば、分析用ツールもしくは生物学的アッセイでのプローブとして有用である。
【0110】
本発明の化合物が、処置のためには遊離の形態で存在し得、また、適切である場合には、薬学的に許容される塩、塩類、もしくはそれらの混合物としても存在し得ることもまた理解されるであろう。
【0111】
本明細書中で使用される場合は、用語「薬学的に許容される塩」は、堅実な医学的判断(sound medical judgement)の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わない、妥当な治癒効果と副作用の比重(benefit/risk ratio)に見合う化合物の塩をいう。
【0112】
薬学的に許容される塩は当該分野で周知である。例えば、引用により本明細書中に組み入れられるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、S.M.Bergeらは、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導される塩が含まれる。これらの塩は、化合物の最終的な単離と精製の間にインサイチュで調製することができる。酸付加塩は、1)その塩を含まない形態(free−based form)である精製された化合物を、適切な有機酸または無機酸と反応させること、そして2)それによって形成された塩を単離することによって調製され得る。
【0113】
薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸)と、あるいは、有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはリンゴ酸)とともに形成されたか、あるいは、イオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用することによって形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪産塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩(palmitate)、パルミチン酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉相酸塩などが挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明ではまた、本明細書中に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定される。水溶性もしくは油溶性、または分散性の生成物は、そのような四級化によって得ることができる。
【0114】
塩基付加塩は、1)その酸の形態である精製された化合物を、適切な有機塩基または無機塩基と反応させること、そして2)それによって形成された塩を単離することによって調製することができる。塩基付加塩としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切である場合には、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、および対イオン(例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホネート、およびアリールスルホネート)を使用して形成されたアミン陽イオン(amine cation)が挙げられる。他の酸と塩基は、それ自体は薬学的に許容されない場合も、本発明の化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される酸付加塩または塩基付加塩を得ることにおいて中間体として有用な塩の調製に使用され得る。
【0115】
本発明がより完全に理解されるように、以下の調製例が示される。これらの例は、説明の目的のためのものにすぎず、いかなる方法においても本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0116】
本明細書中で使用される場合は、用語「HPLC Rt(分)」は、その化合物に関係するHPLCの保持時間を分でいう。他の場所に示されない限りは、報告する保持時間を得るために利用したHPLC法は以下のとおりであった:
カラム:ACE C8カラム、4.6×150mm
勾配:0〜100%のアセトニトリル+メタノール60:40(20mMのTrisリン酸)
流速:1.5mL/分
検出:225nm。
【0117】
本明細書中で使用される場合は、用語「LCMS Rt(分)」は、その化合物に関係するLCMSの保持時間を分でいう。質量スペクトル試料は、エレクトロスプレーイオン化を用いてシングルMSモード(single MS mode)で操作されるMicroMass Quattro Micro質量スペクトル計で分析した。試料は、クロマトグラフィーを使用して質量スペクトル計に導入した。全ての質量スペクトル分析について、移動相は、10mM、pH7の酢酸アンモニウムと1:1のアセトニトリル−メタノール混合物からなり、カラム勾配条件は、ACE C8 3.0×75mmカラム上で、3.5分間の勾配時間と5分間の実行時間にわたる、5%〜100%のアセトニトリル−メタノールであった。流速は1.2ml/分であった。
【0118】
実施例1
5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン(5)の合成のための全体的合成スキームを以下に示す。
【0119】
スキームV
【0120】
【化30】

試薬と条件:i.Pd(OAc)、PPh、EtN、HCO;ii.1)(COCl)2、CHCl、cat.DMF;2)NH(g)、ジオキサン、iii.TFAA、EtN、CHCl、0℃;iv.HNNH・HO、n−ブタノール、還流
2−クロロ−5−フルオロニコチン酸(2)
窒素雰囲気下にある丸底フラスコに、脱気したDMF(270mL)、Pd(OAc)(0.05等量、2.7g、11.9mmol)、PPh(0.1等量、6.2g、23.8mmol)、および脱気したEtN(6等量、200mL、1428.6mmol)を添加した。PPh(0.1等量、6.2g、23.8mmol)、および脱気した混合物を20分間攪拌し、その後、HCOOH(3等量、28mL、714.3mmol)を添加し、続いて5分後に、2,6−ジクロロ−5−フルオロニコチン酸(50g、238.1mmol)を添加し、混合物を50℃で攪拌した。反応を、精密(worked−up)アリコートの分析(1H NMR)によって追跡した。出発材料が全て消費された時点(24時間)で、混合混合物を、30%のNaOH水溶液でpH9になるように塩基性化し、EtOAcで洗浄した(2回)。ドを通して濾過し、これを水で濯いだ。混合物を、30%のNaOH水溶液でpH9になるように塩基性化し、EtOAcで洗浄した(2回)。HCl(12N)を、pH1になるまでゆっくりと添加し、この溶液をNaClで飽和させた。この混合物をEtOAcで抽出した(3回)。合わせて1つにした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして減圧下で濃縮すると、37g(88%)のベージュ色の固体が得られ、これをそれ以上精製することなく次の工程で使用した。H NMR(DMSO−d, 300 MHz): δ 8.16(dd, 1H); 8.58(d, 1H)。
【0121】
2−クロロ−5−フルオロニコチンアミド(3)
0℃のDCM(400mL)中の2−クロロ−5−フルオロ0℃のDCM(400mL)中の2−クロロ−5−フルオロニコチン酸6(50g、285mmol)とDMF(2mL、28mmol)の溶液に対して、塩化オキサリル(64mL、741mmol)を1滴ずつ添加した。た黄色の液体を、1,4−ジオキサン(600mL)中に溶解させ、0℃に冷却し、そしてNH(g)を、30分間、溶液全体にあわ立てた。この混合物を、室温で一晩攪拌した。得られた混合物を濾過し、濾液を濃縮すると、化合物3(44g、89%)がベージュ色の固体として得られた。H NMR(DMSO−d, 300 MHz): δ 7.84(s, 1H), 7.96(dd, 1H), 8.09(s, 1H), 8.49(d, 1H).。
【0122】
2−クロロ−5−フルオロニコチノニトリル(4)
DCM(700mL)中の粗化合物3(65g、372.4mmo得られた黄色の溶液を0℃で90分間攪拌し、DCMで希釈し、飽和NaHCO水溶液と食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。た。得られた黄色の溶液を0℃で90分間攪拌し、DCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液と食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO4)。この混合物を濾過し、濃縮した。残渣のクーゲルロール蒸留(Kugel化合物4はまた、カラムクロマトグラフィー(SiO、8:1のヘプタン:EtOAc)によって精製することもできる。として得られた。
【0123】
化合物4はまた、カラムクロマトグラフィー(SiO、8:1のヘプタン:EtOAc)によって精製することもできる。H NMR(CDCl, 300 MHz): δ 7.78(dd, 1H); 8.49(d, 1H)。
【0124】
5−フルオロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン(5)
1−ブタノール(1L)中の化合物4(50g、321.7mmol)の溶液に対して、ヒドラジン一水和物(150mL、3.2mol)を添加し、この混合物を4時間還流させた。この混合物を室温に冷却し、濃縮した。沈殿を、フィルター上で、水(2回)とEt2O(2回)で連続して洗浄し、減圧下で一晩乾燥させると、化合物5(44g、88%)が黄色の固体として得られた。H NMR(DMSO−d, 300 MHz): δ 5.53(s, 2H); 7.94(dd, 1H); 8.35(dd, 1H); 12.02(s, 1H)。
【0125】
以下の化合物をスキームIIにしたがって作成した:
【0126】
【表1−1】

【0127】
【表1−2】

以下の化合物をスキームIにしたがって作成した:
【0128】
【表2−1】

【0129】
【表2−2】

【0130】
【表2−3】

【0131】
【表2−4】

【0132】
【表2−5】

以下の化合物をスキームIIIにしたがって作成した:
【0133】
【表3−1】

【0134】
【表3−2】

以下の化合物をスキームIにしたがって作成した:
【0135】
【表4】

以下の化合物を、WO2004/013140に記載されている方法にしたがって作製した。
【0136】
【表5】

本発明の化合物は、引用により本明細書中に組み入れられるWO2004/013140とWO2002/022607に記載されている方法にしたがって試験することができる。
【0137】
本発明者らは本発明の多数の実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例が、本発明の化合物と方法を利用する他の実施形態を提供するように変更され得ることことは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例示の目的で示されている特異的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式5:
【化31】

の化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
適切な脱塩素条件下で、式1:
【化32】

の化合物を選択的に脱塩素して、式2:
【化33】

の化合物を形成させる工程、
を含む、プロセス。
【請求項2】
適切なアミド形成条件を用いて、式2の化合物を処理して、式3:
【化34】

の化合物を形成させる工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
適切な還元条件下で、式3の化合物を還元させ、式4:
【化35】

の化合物を形成させる工程をさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
適切な環化条件下で、HNNH.HOを用いて式4の化合物を環化させ、式5の化合物を形成させる工程をさらに含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記脱塩素条件に、パラジウム触媒、適切な塩基、および適切な酸の添加が含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記パラジウム触媒が、Pd(OAc)またはPPhから選択され、前記塩基がEtNであり、そして前記酸がギ酸である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記脱塩素還元が60℃未満の温度で行われる、請求項5または請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記脱塩素反応が約50℃の温度で行われる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記脱塩素反応がDMF中で行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応が、完了すると約0℃に冷却され、そして水と混合される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記混合物がセライトを通して濾過される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アミド形成条件に、以下の2工程が含まれる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス:
(a)式2のカルボン酸からの酸塩化物の形成;
(b)該酸塩化物のアンモニアとの反応。
【請求項13】
前記カルボン酸が、DMFまたはDCMの存在下で、塩化オキサリルまたは塩化チオニルから選択される塩素化試薬と混合される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
アンモニアが、非プロトン性溶媒中の前記酸塩化物の溶液の中に泡立てられる、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記還元条件に、塩基と溶媒の存在下にある前記アミドの冷却懸濁液に対するTFAAの滴下が含まれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記環化条件が、完了するまで、ブタノールの存在下でヒドラジン一水和物とともに出発材料を加熱することから選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
式I:
【化36】

の化合物を調製するためのプロセスであって、式中、
はNまたはCRであり;
はT−Rであり;
はT−R10であるか;または
とRは、それらの間に介在する原子と一緒になって、酸素、硫黄、または窒素から選択される0個〜3個の環ヘテロ原子を有している5〜8員の縮合された芳香環または非芳香環を形成し、ここでは、RとRによって形成された該縮合環上にある任意の置換可能な炭素は、T−Rによって置換され、そしてRとRによって形成された該環上にある任意の置換可能な窒素は、Rによって置換され;
は、H、ハロ、またはC1−6脂肪族であり、ここでは、該脂肪族は、ハロ、−CN、および−ORから選択される1個〜5個の基で状況に応じて置換され;
TとTはそれぞれ独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり;
は独立して、結合であるかまたはC1−4アルキリデン鎖であり、ここでは、該アルキリデン鎖の3個までのメチレン単位が、状況に応じて、−O−、−C(=O)−、−S(O)−、−S(O)−、−S−、または−N(R)−によって置換され;
環Dは、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、もしくはカルボシクリル環より選択される4〜7員の単環または8〜10員の二環であり;該ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環は、窒素、酸素、または硫黄より選択される1個〜4個の環ヘテロ原子を有しており、ここでは、環Dの置換可能な環炭素はそれぞれ独立して、オキソ、R、または−Rで置換され、そして任意の置換可能な環窒素は、独立して−Rで置換され;
は、−ハロ、−CN、−NO、T−V−R、フェニル、5〜6員のヘテロアリール環、5〜6員のヘテロシクリル環、またはC1−6脂肪族基から選択され、該フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル環はそれぞれ、状況に応じて、ハロ、オキソ、または−Rから独立して選択される3個までの基によって置換され、該C1−6脂肪族基は、状況に応じて、ハロ、シアノ、ニトロ、または酸素で置換されるか、あるいは、Rと隣接する置換基とが、それらの間に介在する原子と一緒になって、環Dに縮合させられた該環を形成し;
Vは、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−、−N(R)−、−CO−、−CO−、−N(R)CO−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CON(R)−、−N(R)SON(R)−、−N(R)N(R)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−C(RO−、−C(RS−、−C(RSO−、−C(RSO−、−C(RSON(R)−、−C(RN(R)−、−C(RN(R)C(O)−、−C(RN(R)C(O)O−、−C(R)=NN(R)−、−C(R)=N−O−、−C(RN(R)N(R)−、−C(RN(R)SON(R)−、または−C(RN(R)CON(R)−であり;
とR10は、それぞれ独立して、−R、−ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
Rは、それぞれ独立して、水素、あるいは、C1−6脂肪族、C6−10アリール、5個〜10個の環原子を有しているヘテロアリール環、または4個〜10個の環原子を有しているヘテロシクリル環から選択される状況に応じて置換される基から選択され;Rはそれぞれ、状況に応じて、0個〜5個のRまたはJで置換され;
は、それぞれ独立して、−R、−COR、−COR”、−CON(R、もしくは−SOから選択されるか、または同じ窒素上の2つのRは、一緒になって3〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し;ここでは、該ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜3個のJで置換され;
は、それぞれ独立して、−R、ハロ、−OR、−C(=O)R、−COR、−COCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−SOR、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、−N(R)COR、−N(R)COR”、−N(R)N(R、−C(=NH)N(R、−C(=NH)−OR、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、または−OC(=O)N(Rから選択され;
は、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜3個のJで状況に応じて置換されるC1−4脂肪族基から選択されるか;または、同じ窒素原子上の2つのR基は、該窒素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、該ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJで置換され;
は、それぞれ独立して、水素もしくはR”から選択されるか;または、同じ窒素上の2つのRは、該窒素と一緒になって5〜8員のヘテロシクリル環もしくはヘテロアリール環を形成し、ここでは、該ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環は、状況に応じて、0〜4個のJ”で置換され;
は、それぞれ独立して、−OR、−SR、−COR、−SO、−N(R、−N(R)N(R、−CN、−NO、−CON(R、−CO、またはC1−4脂肪族基から選択され、ここでは、該C1−4脂肪族基は、状況に応じて、0個〜3個のJで置換され;
はそれぞれ、−R’、−ハロ、−OR’、−C(=O)R’、−COR’、−COCOR’、COCHCOR’、−NO、−CN、−S(O)R’、−S(O)R’、−SR’、−N(R’)、−CON(R’)、−SON(R’)、−OC(=O)R’、−N(R’)COR’、−N(R’)CO(C1−6脂肪族)、−N(R’)N(R’)、−N(R’)CON(R’)、−N(R’)SON(R’)、−N(R’)SOR’、−OC(=O)N(R’)、=NN(R’)、=N−OR’、または=Oであり;
R’は、それぞれ独立して、水素、もしくは0個〜4個のJ’で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族基であるか;または、2つのR’が、それらに結合した単数または複数の原子と一緒に、3から6員のカルボシクリルもしくはヘテロシクリルを形成し、ここでは、該カルボシクリルもしくはヘテロシクリルは、0個〜4個のJ’で状況に応じて置換され、そしてここでは、該ヘテロシクリルには、O、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子が含まれ;
R”は、それぞれ独立して、0個〜4個のJ”で状況に応じて置換されるC1−6脂肪族であり;そして
、J’、およびJ”は、それぞれ独立して、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロゲン、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族であり;
Jはそれぞれ、ハロ、OH、またはC1−6脂肪族であり;
とJは、それぞれ独立して、−ハロ、−OR、オキソ、C1−6脂肪族、−C(=O)R、−COR、−COCOR、COCHCOR、−NO、−CN、−S(O)R、−S(O)R、−SR、−N(R、−CON(R、−SON(R、−OC(=O)R、=N−OR、−N(R)COR、−N(R)CO(C1−6脂肪族)、−N(R)N(R、=NN(R、−N(R)CON(R、−N(R)SON(R、−N(R)SOR、もしくは−OC(=O)N(Rであるか;または、同じ原子上または異なる原子上の2つのJまたはJ基が、それらに結合した単数または複数の原子と一緒に、O、N、もしくはSから選択される0個〜2個のヘテロ原子を有している3〜8員の飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環を形成し;該プロセスは:
請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセスにしたがって式5:
【化37】

の化合物を合成する工程、ならびに、
適切な反応条件下で、該化合物を式6:
【化38】

の化合物と合わせ、式Iの化合物を形成させる工程であって、式中、LGは適切な離脱基であり;そしてR、R、Z、および環Dは、式Iの化合物について以下で定義されるとおりである、工程
を含む、プロセス。
【請求項18】
前記環Dが、−Rから独立して選択される1個または2個のオルト置換基を有し、環D上の任意の置換可能な非オルト炭素位置が、−Rによって独立して置換される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記化合物が以下:
【化39】

の式の1つから選択される、請求項17または請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
LGが、F、Cl、Br、I、Cアリールスルホニルオキシ、C1−4アルキルスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、C1−6アルキルスルホニル、またはC1−6アルキルスルホキシドである、請求項17〜19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
LGがハロである、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
LGがクロロである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
環Dは、5〜10員の脂環式または5〜10員のヘテロシクリルであり、ここでは、該ヘテロシクリルには、O、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子が含まれ;ここでは、該脂環式またはヘテロシクリルは、1個〜5個の−R基で状況に応じて置換される、請求項17〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
環Dが、5〜10員の脂環式である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
環Dがシクロヘキシルである、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
環Dが、5〜7員の単環アリールまたはヘテロアリール環であり、該ヘテロアリール環が、窒素、酸素、または硫黄から選択される1個〜4個の環ヘテロ原子を有している、請求項17〜22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
環Dがフェニルまたはピリジニルである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
環Dがフェニルである、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
環Dが、−Rから独立して選択される1個または2個のオルト置換基を有し;そして環D上の任意の置換可能な非オルト炭素位置が、−Rで独立して置換される、請求項26〜28に記載のプロセス。
【請求項30】
環Dが、−Rから選択される1つのオルト置換基を有している、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
が、−ハロ、−CN、またはハロゲンで状況に応じて置換されるC1−4脂肪族基である、請求項29または請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
がClであり、Rが水素である、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
が、水素、C1−4脂肪族、またはハロである、請求項17〜32のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項34】
がメチルである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
がC1−4アルキルである、請求項17〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項36】
がメチルである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
が、以下:
【化40】

である、請求項17〜34のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項38】
請求項17に記載のプロセスであって、式中:
は、水素またはC1−4脂肪族であり;
は、
【化41】

、0個から2個のJで状況に応じて置換されるC1−4アルキル;またはO、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子を含む6員のヘテロシクリルであり;
Jは、ハロ、OH、またはC1−4脂肪族であり;
環Dは、フェニル、C3−10シクロアルキル、またはO、N、もしくはSから選択される1個〜2個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクリルであり;そして
は、C1−4アルキル、CF、またはハロである、プロセス。
【請求項39】
請求項17に記載のプロセスであって、式中:
は、水素、メチル、またはエチルであり;
は、
【化42】

、メチル、CF、Cl、モルホリニル、またはC(CHOHであり;
環Dは、フェニル、テトラヒドロ−2H−ピラン、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルであり;

は、メチル、CF、またはハロであり;そして
はHである、プロセス。
【請求項40】
請求項17に記載のプロセスであって、式中:
は、水素またはメチルであり;
はメチルであり;
環Dは、フェニルまたはシクロヘキシルであり;
は、メチル、CF、またはClであり;そして
はHである、プロセス。
【請求項41】
前記化合物が、以下:
【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

から選択される、請求項17に記載のプロセス。

【公表番号】特表2010−535241(P2010−535241A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520181(P2010−520181)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071714
【国際公開番号】WO2009/018415
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】