説明

6−置換エストラジオール誘導体およびその使用方法

本発明は、下記化学式(I)の化合物:


式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−OH、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−N(CH、ホスフェート基、およびホスフィン酸塩基から選択され;Rは、水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され;R11は、H、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN−、−NHCN−、−CHO、=CHOCH、−COO塩、−OSOアルキル、−NH、および−NHCO(CHからなる群から選択され;R12は、H、C〜Cのアルキル、硫酸塩、グルクロニド、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、C〜C12のアルキニル、ハロゲン、グルクロニド、−NH、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN、−NHCN、−CHO、−COO塩、−OSOアルキル、−SH、−SCH、−CH[(CHCH]COOCH、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−NH−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−N(CH、−(CH(NH)CHOH、−NHCOOH、−(CHNHCOOH、−NO、−SCN、−SOアルキル、−B(OH)、−(CHN(CH)−SO−NH、−(CH−NH−SO−NH、−NHC(=S)CH、および−NHNHからなる群から選択され;Yは、水素原子、=O、−OCO(R)および−OHから選択され;mは0〜20の整数であり;nは0〜8の整数であり;記号


は、3位または7位にケト基を形成しうる単結合または二重結合のいずれかを表し;および記号


は、立体化学に関わらず任意の種類の結合を表し;ならびに、前記化合物の各エナンチオマー、立体化学の異性体、水和物、溶媒和物、互変異性体および製薬上許容されうる塩を提供する。これらの化合物は、様々な類型の癌の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照
本発明は、2009年11月30日に出願され米国出願第12/627,874号の利益を主張する。参照された出願の教示は、全体として本出願に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明は、6−置換エストラジオール化合物およびそれらの薬学上許容されうる塩またはそれらのプロドラッグの組成物ならびに製造および使用方法に関する。本発明はまた、インビトロとインビボの両方で癌のような増殖状態の診断と治療の両方を可能にするそれらの化合物を含む医薬組成物に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
特に腫瘍や初期の悪性腫瘍(ここでいう癌)のような増殖細胞疾患は、周囲の細胞を侵入し、体内の遠位組織に移転することで問題を起こす。現時点で、新生物の治療、特に新生物の固形癌形成の治療は、外科手術、放射線治療、投薬治療、および前述治療の組み合わせでしばしば行われている。
【0004】
米国では毎年100万以上の癌検診で、50万以上の癌患者が見つかっていて、このような状況に対して新たな治療法の需要が増加している。男性では、前立腺癌、肺癌、および結腸癌がもっとも多い癌であり、一方、女性では、乳癌、結腸癌、および肺癌がもっとも多い癌である。
【0005】
近年、これらの症状の管理において重要な進展が見られている。癌治療における少なくとも一つの成功例として、初期乳癌の早期診断や治療選択肢が現在では利用可能である。他の一つは、受容体部位または合成点のいずれかでエストロゲンの作用を妨害する効果的なかつ無毒な抗エストロゲン剤の使用である。
【0006】
明らかに、エストロゲン受容体の機能および活性、構造およびそれらの機能における研究が、多くの最近の調査の対象となってきた。エストロゲン受容体は、構造的に関連するリガンド誘導の(ligand−inducible)転写因子の大きなファミリーに属し、それらは、核内受容体として知られる、ステロイド受容体、甲状腺/レチノイド受容体、ビタミンD受容体を含む。核内受容体の真のリガンドは解明されていないが、そのような受容体に結合し細胞応答を誘発することができる、確かな小分子が存在する。
【0007】
エストロゲンおよびエストロゲン受容体モジュレータは、エストロゲン受容体に結合し、以下の二種類に分類される;αおよびβ、目的の遺伝子発現のモジュレートによって多面的な組織特異性の効果を発揮する別々の分子錯体を形成する。リガンド結合エストロゲン受容体は、様々な分子経路において重要な転写因子として働き、ER発現量のモジュレーションは細胞増殖の潜在力を決定するのに重要である。
【0008】
これらの種類の受容体は双方が、他のアゴニストおよびアンタゴニストと同様にエストロゲンに結合する一方で、二つの受容体は、体内で際立って異なる局在化濃度を有している。αおよびβ型のいくらかの構造的な相違を別にしても、エストロゲンとの錯体となると、二者は、エストロゲンによりエストロゲン受容体α(ERa)の存在下での転写の活性化、および、エストロゲン受容体β(ERβ)の存在下での転写の阻害、という反対方向のシグナルを示す。
【0009】
タモキシフェンはそもそも最初の選択的なエストロゲン受容体モジュレータの一つであり、乳癌の初期のホルモン治療療法で施される。また転移性疾患の補助治療や療法のためにも施される。タモキシフェンは、DNAのエストロゲン結合部位へのエストロゲン結合を阻害する、エストロゲン受容体へのエストロジオール結合に対する拮抗阻害剤である。エストロゲン受容体へのタモキシフェンの結合は、エストロゲン受容体の構造的配置を大幅に変化させ、結合部位を内因性エストロゲンに対して機能不全にするとの説が提唱されてきた。このような受容体の構造的変形は、タモキシフェン使用に伴う深刻な副作用プロフィールを説明し得る。
【0010】
少なくともタモキシフェンの他の問題点は、非エストロゲン依存性の腫瘍に対して効果がないことおよび閉経期前の女性における効果が低いことである。加えて、タモキシフェンは、生理学的条件によっては、治療上有用な抗エストロゲン化合物からエストロゲン依存性腫瘍細胞の増殖を誘発し得るエストロゲン異性体へ異性化し、特にエストロゲン依存性腫瘍によって苦しむ患者の間に望ましくない臨床上の結果をもたらす。
【0011】
米国特許第4,732,904号明細書は、ヒドラゾン化合物として従来公知の他の種類のエストロゲン受容体アンタゴニストを開示している。これらの抗エストロゲンヒドラゾン化合物は生理学的条件によってエストロゲン物質への異性化が起こらず、タモキシフェンについて観察されるエストロゲンの副作用はないと考えられる。これらヒドラゾン化合物エストロゲン依存性乳癌の代替療法として提案されてきた。これらのうち、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル、ヒドラゾン等の置換ベンゾフェノンニトロフェニルヒドラゾンは特に優れていることが記載されている。
【0012】
受容体およびヒドラゾン系化合物またはタモキシフェン等の抗エストロゲンの錯体(complex)は、核クロマチンに通常のホルモン受容体錯体よりも非定型で長時間結合し得る。抗エストロゲンは自由な受容体の細胞質を枯渇させ得る。これらの効果の双方または一方は、エストロゲン依存性腫瘍の連続的な増殖を大幅に弱めることができる。
【0013】
乳癌のようなホルモン応答性疾患に本質的に寄与する局部的なエストロゲンの増加を特に妨げるアロマターゼ阻害剤の使用に対する関心も増加している。アロマターゼ(CYP19)は、更年期前や更年期女性のアンドロゲンをエストロゲンへ変換する基本的な酵素であると言われている。アロマターゼ阻害によるエストロゲン欠乏はホルモン依存性乳癌である更年期患者の効果的で選択的な治療であると言われている。
【0014】
エキセメスタン(アロマシンとして市販されている、6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン)は不可逆なステロイドアロマターゼ不活性剤として作用する。これはアロマターゼ酵素の偽基質として作用すると考えられており、不活性の原因として酵素の活性部位に不可逆に結合する中間体へとプロセシングを受ける。米国特許第4,808,616号明細書および第4,904,650号明細書(これらの教示は全体として本出願に組み込まれる)はエキセメスタンのような6−アルキリデンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン誘導体およびその製造方法について開示している。米国特許第4,876,045号明細書はアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンの6−メチレン誘導体の合成法を開示している。米国特許第4,990,635号明細書はアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンの6−メチレン誘導体の合成法を開示している。
【0015】
エキセメスタンの調製に有用でありうる中間体の合成法は、米国特許第3,274,176号明細書に開示されている。ドイツ国特許第DD258820号明細書にはアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンから1,3−ジピロリジノアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを経る6−ヒドロキシメチル−アンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンの合成法が示されている。
【0016】
同時に継続する2005年1月14日に出願された国際出願第PCT/US2005/001248号(PCT公開第WO2005/070951号)には、エキセメスタンの調製に有用な中間体の合成法が示されており、この出願は参照により本出願に全体が組み込まれる。エキセメスタンの構造を以下に示す。
【0017】
【化1】

【0018】
SchneiderらはHelvetica Chimica Acta (1973),56(7),2396−2404の“Course of the reaction of steroidal 3,5−dienamines with formadehyde”に次の化合物を示している。
【0019】
【化2】

【0020】
式中、記号:
【0021】
【化3】

【0022】
が二重結合を示す時、ケト基を意味し、Rが存在しないことを意味する;および、記号:
【0023】
【化4】

【0024】
が単結合を示す時、Rが水素原子(すなわち、アルコール基)である。本発明の化合物とは異なり、Schneiderの化合物にはエストロジオール、テストストロン、またはジヒドロテストストロン変異体は含まれていない。
【0025】
エストランの3つのヒドロキシ置換誘導体は米国特許第3,377,363号明細書にTadanierらにより開示されているが、本発明の化合物の芳香環上の3−ヒドロキシ置換基は開示されていない。
【0026】
米国特許第5,914,324号明細書にDe Funariらは、高血圧や心不全治療薬として6−ヒドロキシおよびオキシアンドロスタンを開示している。米国特許第6,384,250号明細書にGobbiniらは、(E,Z)−3−(2−アミノエトキシイミノ)−アンドロスタン−6,17−ジオンの合成において6位のヒドロキシ置換基とケトン置換基を開示している。これらの化合物は心不全治療薬として用いられた。6位にアルキルヒドロキシ置換基を有する置換体の効果は示されていない。
【0027】
TanenbaumらはProc.Natl.Acad.Sci.USA,Biochemistry,Vol.95,pp5998−6003の“Crystallographic comparison of the estrogen and progestone receptor’s ligand binding domains”においてER受容体のメカニズムを開示し、3−ヒドロキシ置換した芳香環を含むエストラジオールはERリガンド結合領域との結合が良好であることを記載している。19メチル置換基のない平面芳香族基が望ましいことも開示されている。
【0028】
D’Amatoの米国特許第5,892,069号明細書は、エストラジオール誘導体が細胞有糸分裂の間にチューブリン重合を阻害すると記載している。上記のように、癌を治療するための新規で効果的な薬剤を発見する必要性がいまだ存在している。
【0029】
この技術分野における他の関心点は、いくつかのエストロゲン依存性癌、例えば乳癌、がエストロゲン非依存性型に最終的に変換されることである。これは、腫瘍細胞の分化の自然損失により説明され得る。エストロゲン依存性癌細胞はしばしば、エストロゲン結合タンパク受容体を生成する能力を最終的に損ない、より悪性のエストロゲン非依存性の生命を脅かす癌に悪化することが観察されてきた。実際、エストロゲン依存性腫瘍を治療するための抗エストロゲンの使用は、エストロゲン非依存性腫瘍細胞のクローンを選択することにつながり、したがって、エストロゲン依存性癌の非エストロゲン依存性癌への変換を促進する恐れがある。
【0030】
肺および結腸等の他の臓器の癌は、エストロゲン結合タンパク受容体に関連はないと考えられ、細胞複製はエストロゲンと独立していると考えられる。このようなエストロゲン非依存性腫瘍は、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤等の薬剤の抗エストロゲン特性には敏感ではない。したがって、他の化学療法の薬剤がそのような腫瘍を治療するために使用されなければならない。多数の化合物がエストロゲン非依存性腫瘍の段階を変化させるのに効果的であることが報告されてきた。
【0031】
これらの化合物は多数の文献を参照でき、典型的には、患者に実質的な副作用を引き起こす、化学療法の治療計画と組み合わせて投与される。一般的な細胞毒性薬化学療法を使用する際の原理は、悪性腫瘍細胞は正常体細胞よりも速い速度で複製されるとの観察に基づいており、したがって、それに対応してこれらの化合物により敏感である。同様に、急速に増殖する正常組織(例えば、骨髄および腸上皮)は、これら有効な細胞毒性薬にさらされると、実質的な損傷を被るため、そのような毒性はしばしば有用性を制限することになる。
【0032】
一方、小さい増殖分画で緩やかに増殖する腫瘍、例えば結腸または肺の細胞癌(carcinomas)、はしばしば細胞毒性薬に反応しない。エストロゲン依存性およびエストロゲン非依存性腫瘍の治療は別にしても、多数の細胞毒性薬は、現状では、非癌性のまたは非悪性の過剰増殖性条件を含む、急速に増殖する細胞を伴う他の増殖性疾患に使用されている。
【0033】
特に免疫抑制患者の間で、AIDS、ヘルペス、多種の肝炎、および細菌感染症などのウイルス性疾患の効果的な治療管理の重要性が増しており、好ましい副作用プロフィールの代替治療方法が求められている。
【0034】
したがって、エストロゲン依存性およびエストロゲン非依存性腫瘍を、虚弱な患者の生活の質を損なう恐れのある全身毒性を、最小のリスクで、共に治療し得る新規な向上された癌化学治療法の必要性のみならず、エストラジオール誘導体の効果的な投与から利益を得ることのできる非癌性の過剰増殖性条件を狙いとする治療上の救済の必要性がある。過剰増殖性の細胞は、正常で急速に増殖する細胞または異常細胞であり得、急速に増殖する内因性細胞、もしくはそれらの異常亜種を有する組織、または患者にとって一般的に外因性の他の組織を含み得る。
【0035】
従来技術の教示はいずれも、これらの種類の条件で使用される、望ましい副作用プロフィールを有する治療用エストラジオール誘導体を提供していない。
【発明の概要】
【0036】
発明の概要
上述のように、本発明は、化学療法化合物、組成物ならびにそれらの使用および製造の方法に関し、それにより、上述した内容を含む従来技術の様々な問題点を解消する。したがって、本発明の一つの目的は、より良好な患者の許容量(torelance)、予後およびコンプライアンスをもたらす、エストロゲン依存性条件および腫瘍の治療に有用な化合物を提供することである。
【0037】
本発明の他の目的は、化合物、および、患者に現在入手可能なものよりも実質的に副作用の少ない化合物でエストロゲン−非依存性腫瘍を治療する方法を提供することである。
【0038】
さらに本発明の他の目的は、化合物、ならびに、ウイルスおよび細菌感染症を含む、過剰増殖状態に苦しむ組織の代替の治療の方式を提供することである。
【0039】
本発明は、化学式I〜IVで表される以下の化合物群のいずれか1つを含む。本発明の一実施態様は、化学式IおよびIIの化合物に関する。
【0040】
【化5】

【0041】
式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキルもしくは置換アルキル、ハロゲン、硫酸塩、およびグルクロニド部分からなる群から選択され;および記号
【0042】
【化6】

【0043】
は、単結合または二重結合を表し、ただし、前記記号
【0044】
【化7】

【0045】
が二重結合であり、3位または17位にケト基を形成する時、RまたはRは、ぞれぞれ存在しないものとする;記号
【0046】
【化8】

【0047】
は、10位に結合が存在するかまたは存在しないことを表し;および記号
【0048】
【化9】

【0049】
は、立体化学に関わらず任意の種類の結合を表す。前記化合物は、エナンチオマー、他の立体化学的異性体、水和物、溶媒和物、互変異性体、および製薬上許容されうる塩を含む。
【0050】
本発明の他の実施態様において、化学式IIIを有する化合物が開示され、式中、Rは上記説明と同様である。
【0051】
【化10】

【0052】
式中、Rは上記説明と同様である。
【0053】
化学式I〜IIIの例は、以下のように示す:
【0054】
【化11−1】

【0055】
【化11−2】

【0056】
本発明の他の態様は、化学式(I)〜(III)の化合物のアミン誘導体に関する。少なくとも本発明のこの態様では、アミン部分は、物理的および臨床上の特性を改善するため、分子コアの適切な位置に配置される。化学式(IV)は、本発明のための一般的なコア構造を表す。化学式(IV)は、下記の構造を有する化合物:
【0057】
【化12】

【0058】
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−OH、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−N(CH;ホスフェート基、およびホスフィン酸塩基であり;R11は、H、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN−、−NHCN−、−CHO、=CHOCH、−COO塩、−OSOアルキル、−NH、および−NHCO(CHからなる群から選択され;R12は、H、C〜Cのアルキル、硫酸塩、グルクロニド、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、C〜C12のアルキニル、ハロゲン、グルクロニド、−NH、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN、−NHCN、−CHO、−COO塩、−OSOアルキル、−SH、−SCH、−CH[(CHCH]COOCH、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−NH−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−NH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−N(CH、−(CH(NH)CHOH、−NHCOOH、−(CHNHCOOH、−NO、−SCN、−SOアルキル、−B(OH)、−(CHN(CH)−SO−NH、−(CH−NH−SO−NH、−NHC(=S)CH、および−NHNHからなる群から選択され;およびYは、水素原子、=O、−OCO(R)および−OHから選択され;式中、mは0〜20の整数であり、nは0〜8の整数であり、記号
【0059】
【化13】

【0060】
は、3位または7位にケト基を形成しうる単結合または二重結合のいずれかを表し;記号
【0061】
【化14】

【0062】
は、立体化学に関わらず任意の種類の結合を表し;ならびに、前記化合物の各エナンチオマー、立体化学の異性体、水和物、溶媒和物、互変異性体および製薬上許容されうる塩、として表される。
【0063】
化学式(IV)で表す化合物の具体例は以下に示す:
【0064】
【化15−1】

【0065】
【化15−2】

【0066】
本発明の他の実施態様は、化学式I〜IVのプロドラッグを患者に投与することを含み、癌細胞の増殖を阻害する方法に関する。そのため、本発明の化合物は、薬剤、プロドラッグまたは活性な代謝産物の形態で対象哺乳類に投与するために使用することができる。しかしながら、このような化合物は、ナノ粒子、リポソームもしくは重合性マトリックスシステム、または適当な標的薬剤を介して、固体塊に直接搬送しうる対象組織を標的とする他のデリバリーシステムに組み込まれたときに最も効果的であることが予想される。
【0067】
本発明はまた、対象哺乳類(例えば、ヒト患者)における癌を治療する方法に関する。本発明のこの態様において、対象哺乳類における腫瘍または癌細胞の増殖を阻害する
ための方法が提供される。このような方法において、細胞は、本明細書に記載の化合物I〜IV、またはそれらの製薬上許容されうるエナンチオマー、他の立体化学的異性体、水和物、溶媒和物、互変異性体、もしくは塩にさらされるまたは接触される。本発明の方法の具体的な非限定的実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物は、本明細書に記載される特定の癌状態を治療するために使用される。本発明の方法の他の具体的な非限定的実施形態において、化学式(I)〜(IV)の化合物を含む組成物は、本明細書に記載される特定の癌状態を治療するために使用される。
【0068】
少なくとも本発明の他の態様は、その治療活性を発揮するために患者に投与した後、インビボで(in vivo)特定の活性化合物に変換しうる適切な類似物質を変換させるデリバリーシステムに関連する。
【0069】
本発明の化合物は、ホルモンおよび/またはエストロゲン関連活性に直接または間接に影響され得る任意の腫瘍を治療することに使用され得る。それら腫瘍には、これらに限定はされないが、乳房、膵臓、肺、結腸、前立腺、卵巣の癌に伴う固形癌、同様に、脳、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節、小腸、血液細胞、骨、胃、子宮内膜、精巣、卵巣、中枢神経、肌、頭、首、食道または骨髄癌、さらに、白血病、急性前骨髄球性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成、骨髄増殖性疾患または不応性貧血等の血液癌が同様に含まれる。
【0070】
本発明の化合物は、対象哺乳類に対して組み合わせに基づく癌治療に用いられてもよい。このような方法は、化学式(I)〜(IV)の化合物を、化学療法、放射線治療、遺伝子治療、ホルモン治療および他の公知の癌治療などの補助的な癌治療法と組み合わせて投与することを含む。
【0071】
本発明のいずれの化合物は、薬剤、プロドラッグまたはなお活性な代謝産物の形態で対象哺乳類に投与することを考慮してもよい。本発明の治療方法において、「投与」の語は、具体的に開示された化合物、または具体的に開示されていないが、患者に投与された後インビボで具体的な化合物に変換され治療効果を示す化合物、と共に記載される多様な状態の治療を含むものである。
【0072】
本発明の他の目的、特徴、効果および優位点は、この概要および以下の一定の実施形態の説明から明らかとなり、多様な化学療法の化合物、方法および/または実施方法の知識を有する当業者には、容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0073】
発明の詳細な説明
特に別途定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的な用語は本発明の属する技術分野の通常の知識を有する者に共通に同じ意味で理解され、以下に記載された意味を有すると理解される。本願に参照されているすべての出版物や特許にある参考文献は参照により全体として本出願に組み込まれる。特に指定されていなければ、化合物はそのラセミ体などすべての異性体、およびそれらの混合物を含む。特に指定されなければ、特定の化合物を参照するときは、例えば、ここで議論されているような、当該化合物のイオン、塩、溶媒和物(例えば水和物)、保護された形態、プロドラッグおよび他のそれらの立体異性体をも含む。
【0074】
例えば製薬上許容されうる塩のような、活性化合物に相当する塩の合成、精製、および/または取り扱い方法は、便利なまたは望まれる方法であり得る。製薬上許容され得る塩の例は、1977年、J.Pharm.Sci.,66巻,1−19ページの”Pharmaceutically Acceptable salts“にBergeらにより議論され、ここでも議論される。
【0075】
本発明の抗増殖性化合物は、癌の治療に応用でき、したがって本発明は さらに抗癌剤を提供する。ここで用いる「抗癌剤」とは、癌を治療し、進行を遅らせ、再発までの期間を延ばし、症状の制御をする化合物(すなわち、癌の治療に有益な化合物)に関連する。抗癌効果はひとつ以上のメカニズムを経ており、これに限定はされないが、細胞増殖の制御、血管形成(新たな血管の形成)阻害、癌の転(癌の源からの広がり)移阻害、侵食(癌細胞の近隣の正常な細胞への広がり)の阻害、アポトーシス(プログラム細胞死)の促進、腫瘍の壊死もしくは自食作用、またはこれらの組み合わせを含む。
【0076】
本発明はさらに、治療によるヒトまたは動物身体の治療方法に使用するための活性化合物を提供する。このような方法は、治療上有効な量の活性化合物、好ましくは、本明細書でさらに議論するように、薬剤組成物の形態を対象に投与することを含み得る。
【0077】
本明細書で使用する「エストロゲン」の語は、自然に生成され、細胞膜を透過しエストロゲン受容体と結合することにより細胞内で活性を示すことのできる、ステロイド様のホルモンを包含する。そのような化合物の例としては、これらに限定されないが、エストラジオール、エストロールおよびエステレン(esterene)が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用する「治療(treatment)」または「療法(therapy)」の語は、疾患の治療に照らして、ヒトまたはヒト以外の動物(例えは、獣医学的に)のいずれでも、対象哺乳類の一般的な治療や療法に関連し、例えば、病気の進行の阻害、進行の減速や進行速度の停止、状態の改善および/または回復などの望まれる治療効果を示すものである。疾病予防としての治療も含まれており、経時的または同時に併用される2種またはそれ以上の治療と療法の併用も含む。以下のような治療や療法には限らないが、治療および療法としては、例えば化学療法(例えば、薬剤、抗体(例えば免疫治療で用いるもの)、プロドラッグ(例えば3位や17位の適当な位置にリン酸誘導体やリン酸エステルを保護基に有するものや光力学療法、GDEPT、ADEPTなどに用いる他の化合物)等の活性薬剤の投与);外科手術;放射線治療;および遺伝子治療が含まれる。
【0079】
本明細書で使用する「立体異性体」の語は、空間で原子の配向のしかたのみが互いに異なる異性体を意味する。本発明において特に重要な二つの立体異性体は、互いに鏡像関係であるかどうかによって決まるエナンチオマーとジアステレオマーである。好ましい実施形態では、単離され光学分割されたそのような化合物を含み、特許請求される製剤は「実質的に他の異性体を含まない」。
【0080】
本明細書で使用する「治療上有効な量」の語は、活性化合物の量、または、活性化合物を含む材料、組成物もしくは薬剤の形態の量に関し、妥当な利益/リスク比率に見合う何らかの所望の治療効果を与えるのに効果的である。
【0081】
本明細書で使用する「患者」の語は哺乳類を含む動物をいい、好ましくはヒトである。
【0082】
「患者の領域」の語は特定の領域または例えば増殖性疾患、癌や腫瘍に苦しむ患者の部分を参照し、時には患者の全体の領域をいう。そのような領域は、例えば、肺領域、胃腸領域、胸部領域、腎臓領域であり、同様に他の体の領域、細胞、リンパ球、感覚器、血管および循環系を含む器官など、並びに癌組織である。「患者の領域」は例えば開示された化合物および組成物で治療される領域を含む。「患者の領域」は外部であることもあるが、好ましくは内部である。
【0083】
「組織」の語は一般的に特定の機能を果たす分化した細胞をいう。「組織」の語は個々の細胞または複数の細胞もしくは、例えば細胞膜や血液、器官のような集合体の細胞をいう。「組織」は個々の異常細胞や複数の異常細胞も含む。例えば、組織は胸部細胞を含む胸部組織、内皮、上皮を含む細胞組織、薄膜組織、結合組織、間質組織、腫瘍組織を含む。
【0084】
本発明における「アルキル」の語は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに制限されない。各々のアルキル基は、任意に、1個、2個または3個の、例えばハロ、シクロアルキル、アリール、アルケニルまたはアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
【0085】
「アリール」の語は、単員環(例えば、フェニル)、多員環(例えば、ビフェニル)または少なくとも一つが芳香族性である多員縮合環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル)を有する芳香族性の炭素環式基を意味する。当該アリール基はまた、任意に、例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはアルコキシなどの置換基でモノ−、ジ−、またはトリ置換されていてもよい。
【0086】
「ヘテロアリール」の語は、窒素原子、酸素原子またはイオ原子から選択される少なくとも1個および最大4個のヘテロ原子を含む5−、6−または7−員環の単員または多員の芳香族環系を意味する。例えば、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリルおよびベンゾオキサゾリルなどが挙げられるが、これらに制限されない。当該ヘテロ基はまた、任意に、例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはアルコキシなどの置換基でモノ−、ジ−、またはトリ置換されていてもよい。
【0087】
「シクロアルキル」の語は、単員環(例えば、シクロヘキシル)、多員環(例えば、ビシクロヘキシル)または多員縮合環(例えば)を有する炭素環式基を意味する。当該シクロアルキル基は、任意に、1〜4個のヘテロ原子を含むことができる。さらに、当該シクロアルキル基は、1個または多個の二重結合を有していてもよい。当該シクロアルキル基はまた、任意に、例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、アリールまたはアルコキシなどの置換基でモノ−、ジ−、またはトリ置換されていてもよい。
【0088】
「アルコキシ」の語は、アルキル部分を有するオキシ基含有の基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert−ブトキシなどが挙げられるが、これらに制限されない。当該アルコキシ基はまた、任意に、例えば、ハロ、アリール、シクロアルキルまたはアルコキシなどの置換基でモノ−、ジ−、またはトリ置換されていてもよい。
【0089】
「アルケニル」の語は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、1個〜3個の二重結合を形成する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、プロペンニル、1−ブト−3−エニル、1−ペント−3−エニル、1−ヘキサ−5−エニルなどを含む。当該アルケニル基はまた、任意に、例えば、ハロ、アリール、シクロアルキルまたはアルコキシなどの置換基でモノ−、ジ−、またはトリ置換されていてもよい。
【0090】
「ハロ」または「ハロゲン」の語は、フッ素、塩素、ブロモまたはヨウ素のハロゲン基である。
【0091】
「グルクロニド」の語は、グルクロン酸のグリコシド基を意味する。
【0092】
「サルフェート(硫酸塩)」の語は、一般式−OS(O)−OR’を有する基を意味し、この際、R’は水素原子、金属原子またはアルキル基である。
【0093】
「ホスフェート(リン酸塩)」の語は、一般式-OP(O)(OR’)を有する基を意味し、この際、各々のR’はそれぞれ独立して水素原子、金属原子またはアルキル基である。
【0094】
「ホスフィナート(ホスフィン酸塩)」の語は、一般式−OP(O)(R’)を有する基を意味し、この際、各々のR’はそれぞれ独立して水素原子、金属原子またはアルキル基である。
【0095】
「嵩高い基(bulky group)」の語は、空間的に立体障害を生じる置換基(例えば、tert−ブチル基)を意味する。
【0096】
本明細書に用いられる「アミノアルキル」の語は、アミノ基を有するアルキル基を意味し、例えば、結合点がアルキル鎖の炭素であるHN−CH−、HN−CHCH−、MeNCH−などが挙げられる;本明細書に用いられる「アルキルアミノ」の語は、窒素原子に結合するアルキル基を有するアミノ基を意味し、例えば、結合点がアミノ基の窒素原子を介しているCHNH−、EtNH−、iPr−NH−、などが挙げられる。一連の置換基を使用される他のすべての語は類似な規則に従う。
【0097】
本明細書に用いられる「増殖性細胞疾患」の語は、腫瘍、初期悪性腫瘍、および他の箇条増殖性の状態などの疾患を意味する。「初期悪性腫瘍」および「癌」の語は、区別せず使用される。
【0098】
化合物
本発明は、特に、エストラジオールのB環の6位に特定の修飾があるエストラジオール誘導体に関する。本発明の少なくとも一つの態様は、前記化学式(IV)に表される一般構造を有するそのような化合物を対象とする。
【0099】
本発明の一実施形態において、好ましい化合物は、下記化学式(IVa)に表される一般構造を有する:
【0100】
【化16】

【0101】
式中、R、R、R、XおよびYは、前記化学式(IV)の場合と同義である。より好ましくは、Yは=Oおよび−OHからなる群から選択され;Rは、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;Rは、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;ならびにXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;mは1〜20の整数であり;nは0〜8の整数であり;および記号
【0102】
【化17】

【0103】
は、単結合または二重結合のいずれかを表す。よりさらに好ましくは、Yは、(s配置)−OHであり;Rは、水素原子またはアルキルから選択され;Rは水素原子であり;Rは水素原子であり;ならびにXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;mは1〜12の整数であり;nは0〜4の整数であり;およびC−13メチルは(s)配置に存在する。
【0104】
本発明のさらに他の実施形態は、化学式(IVb)で表される化学療法化合物を対象とする:
【0105】
【化18】

【0106】
式中、R1、R、R、R、およびXは、前記化学式(IV)の場合と同義である。より好ましくは、Rは、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;Rは水素原子およびハロから選択され;Rは、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;ならびにXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;mは1〜20の整数であり;nは0〜8の整数である。よりさらに好ましくは、Rは水素原子であり;Rは、水素原子またはアルキルから選択され;Rは水素原子であり;Rは水素原子であり;ならびにXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHから選択され;mは1〜12の整数であり;nは0〜4の整数であり;ならびにC−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する。
【0107】
本発明のさらに他の実施形態は、化学式(IVc)で表される化合物を対象とする:
【0108】
【化19】

【0109】
式中、R11、R、R、R、およびXは、前記化学式(IV)の場合と同義である。より好ましくは、R11は、水素原子またはC〜Cのアルキルであり;Rは、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;Rは、水素原子およびハロから選択され;Rは、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;およびXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;mは1〜20の整数であり、およびnは0〜8の整数である。よりさらに好ましくは、R11は水素原子であり;Rは、水素原子またはアルキルから選択され;Rは水素原子であり;Rは水素原子であり;およびXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CHおよび−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;mは1〜12の整数であり、およびnは0〜4の整数であり;ならびにC−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する。
【0110】
本発明のさらに他の実施形態は化学式(IVd)で表される化学療法化合物を対象とする:
【0111】
【化20】

【0112】
式中、R1、R、およびXは、前記化学式(IV)の場合と同義である。より好ましくは、R1は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;Rは、水素原子およびハロから選択され;およびXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C−Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;およびXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;mは1〜20の整数であり;およびnは0〜8の整数である。さらにより好ましくは、R1、R、RおよびRは水素原子であり;mは1〜12の整数であり;nは0〜4の整数であり;ならびに、C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する。
【0113】
本発明のさらに他の実施形態は化学式(IVe)で表される化学療法化合物を対象とする:
【0114】
【化21】

【0115】
式中、m、n、R1、R、RおよびRは、前記化学式(IV)の場合と同義であり;およびzは、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択される。より好ましくは、mは1〜12であり;nは0〜4であり;R1は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;Rは、水素原子およびハロから選択され;Rは、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;zは、−O−および−S−から選択され;ならびに、C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する。
【0116】
本発明のさらに他の実施形態は化学式(IVf)で表される化学療法化合物を対象とする:
【0117】
【化22】

【0118】
式中、R1、R、R、RおよびXは、前記化学式(IV)の場合と同義である。より好ましくは、R1は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;Rは、水素原子およびハロから選択され;Rは、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;およびXは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C−Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;mは1〜20の整数であり;およびnは0〜8の整数である。さらにより好ましくは、R1、R、RおよびRは水素原子であり;mは1〜12の整数であり;およびnは0〜4の整数である。
【0119】
本発明の実施形態化合物は、医薬組成物に用いられる。そのような組成物は、上述したもの、下記に例証されるもの、その他に本明細書で推測されるもの、およびそれらの組み合わせから選択される一つ以上の化合物を含むことができる。ある実施形態では、そのような組成物は、製薬上許容されうる担体(carrier)成分を含むことができる。そのような組成物は、特に制限されず、化合物のラセミ混合物を含むことができる。ある実施形態では、そのような化合物は、SおよびRエナンチオマーで存在することができ、好ましくは、実質的に他の異性体を含まず、それらの単離されたかつ精製された形態であり、RまたはRは、H、C〜Cのアルキルもしくは置換アルキル、およびハロゲンからなる群から選択することができる。
【0120】
本発明の化合物は、非対称中心を有していてもよく、ラセミ化合物、ラセミ混合物として存在していてもよく、または以下のような個別の精製されたジアステレオマーもしくはエナンチオマーとして存在していてもよく、例えば、(ChemDraw Ultra、バージョン11.0(3)または12.0により命名された)(6S,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,15,16−オクタヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(14H)−オン(化合物1);(6R,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,15,16−オクタヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(14H)−オン(化合物2);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物3);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物4);(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−17−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(化合物5);(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−17−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(化合物6);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(ヒドロキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物7);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(ヒドロキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物8);(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物9);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物10);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物11);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−17−ヒドロキシ−13−メチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(化合物12);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−17−ヒドロキシ−13−メチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(化合物13);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(((メトキシメチル)アミノ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物14);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(((メトキシメチル)アミノ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物15);1−((((6R,8R,9S,13S,14S)−3,17−ジヒドロキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)メチル)アミノ)プロパン−2−オン(化合物16);1−((((6S,8R,9S,13S,14S)−3,17−ジヒドロキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)メチル)アミノ)プロパン−2−オン(化合物17);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−メトキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物18);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(2−メトキシエチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物19);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(4−メトキシブチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物20);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシヘキシル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物21);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシオクチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物22);(6R,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル ステアレート(化合物23);(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−7,8,9,10,11,12,13,14,15,16−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17(6H)−ジオン(化合物24);(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−7,8,9,10,11,12,13,14,15,16−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17(6H)−ジオン(化合物25);(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物26);(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物27);(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−17−オキソ−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル 硫酸水素塩(化合物28);(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−17−オキソ−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル 硫酸水素塩(化合物29);(6R,8R,9S,13S,14S)−13−メチル−6−(4−プロポキシブチル)−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物30);および(6R,8R,9S,13S,14S)−13−メチル−6−(5−エトキシペンチル)−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物31)。
【0121】
本発明の一実施形態は、6−置換エストラジオールのRまたはSエナンチオマー、および/またはRまたはSジアステレオマーの製造に関する。それら異性体の製造(例えば、不斉合成)および分離(例えば、分別結晶およびクロマトグラフィー法)方法は、いずれも一般的にこの技術分野で公知であり、本明細書に教示される方法を適用することにより容易に得ることができる。そのような方法の一つは、例えば、同時に係属する米国特許出願第11/541,987号に記載され、その教示は全体として本明細書に組み入れる。
【0122】
本発明の他の実施形態は、エストラジオールの6−ヒドロキシメチル、6−アルコキシアルキル、6−アルキルチオアルキル、6−アミノメトキシ、6−メチルアミノメトキシ、または6−メトキシアミン誘導体の製造方法に関する。エストラジオール誘導体を製造するための反応スキームは、スキーム1〜3として以下に示される。このような方法は、6−ヒドロキシル化された化合物を得るために、以下のステップにより、エストラジオールのt−ブチルジメチルシリル誘導体のLIDAKOR/THF/ホルムアルデヒドとの反応を含むことができる:(i)エストラジオールの6−ヒドロキシメチル誘導体を得るための加水分解;および/または(ii)エストラジオールの6−メトキシメチル誘導体を得るための加水分解に続いてのジメチル硫酸塩での処理。NDC−1088は、NDC−1033のC−17ヒドロキシ位置でのさらなる酸化によって得られる。
【0123】
選択的なアプローチでは、本発明の化合物は、以下のようなステップを含む方法によって製造できる:(i)エストラジオール化合物の保護(ii)LIDAKOR/ブチル−リチウム/ジイソプロピルアミン/カリウムtert−アミラートを用いて、保護されたエストラジオール化合物の6−ベンジル位でのアシル化、(iii)リチウムアルミニウムハイドレートを用いて、6位のアルデヒドの還元、(iv)エストラジオール化合物の保護された部位の脱保護。エストラジオール誘導体を製造するための反応スキームは、以下のスキーム2に示す。
【0124】
本発明の化合物は、以下のスキームに記載された方法に従って製造することができる。
【0125】
【化23】

【0126】
【化24】

【0127】
本発明による多様なアルキルオキシアルキル誘導体には、アルキル化剤の選択が含まれる。このような誘導体には、当業者に理解され、本明細書に記載された分類の合成手順によって入手可能である。したがって、特に制限なく、多様なC〜Cアルキルおよび置換アルキル試薬が、本明細書に記載されるように、対応するアルキルオキシアルキル誘導体を製造するために使用できる。
【0128】
本発明の他の態様において、エストラジオールの6−アミノ誘導体を製造する方法が以下の反応スキームに記載される。したがって、スキーム1〜2に記載された6−メトキシ化エストラジオールが使用され、それぞれの各アミノ誘導体に転換される。
【0129】
【化25】

【0130】
使用方法
本発明は、対象哺乳類(例えば、ヒトの患者)における癌を治療する方法に関する。本発明のこの態様では、腫瘍または癌細胞増殖を抑制する方法が提供される。このような方法では、細胞は、化学式I〜IVの化合物、IVa〜IVfの化合物も含み、またはそれらの製薬上許容されうる塩もしくは水和物に曝されるあるいは接触される。
【0131】
本発明の少なくとも他の態様において、化学式IVa〜IVfを含み化学式(I)〜(IV)を有する化合物の有効量を、そのような治療が必要としている患者に投与する。
【0132】
これらの方法は、ホルモンおよび/またはエストロゲン−関連の活性により直接または間接的に影響を受ける任意の腫瘍の治療に用いることができ、それらの腫瘍には、乳房、膵臓、肺、結腸、前立腺、卵巣の癌に伴う固形癌、同様に、脳、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節、小腸、血液細胞、骨、胃、子宮内膜、精巣、卵巣、中枢神経系、肌、頭および首、食道、または骨髄癌;さらに、白血病、急性前骨髄球性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成、骨髄増殖性疾患または不応性貧血等の血液癌が同様に含まれる。
【0133】
特に、本発明者は、エストロゲン依存性または非依存性の腫瘍を治療するための新規な作用様式を提供する。従来のアプローチに使用される薬剤は、ひとたびERに結合すると、ERを破壊するまでERを修飾してしまう。したがって、そのように結合したERの破壊は、細胞の生命力に不可欠な外部および内部の全てのシグナル伝達を中断させることになり、細胞増殖を停止させる。
【0134】
ここに開示した化合物は、エストロゲン、テストステロンおよびアンドロゲン受容体を含む多数の受容体に結合できることは確実である。発明者は、予想外に、本発明の化合物が、結合によって、経路をシグナルする細胞の第1または第2のメッセンジャーを調節する(modulate)ことができ、さらに遺伝子依存性または遺伝子非依存性のメカニズムを介してそれらの臨床効果が向上することを観察した。メカニズムとして例えば、遺伝子依存性のエストロゲン活性は、この技術分野で十分に説明され、当業者はエストロゲン依存性遺伝子の不活性化が関与する経路を確認できる。
【0135】
しかしながら、本発明では、発明者がクレームした化合物は、従来の遺伝子制御メカニズムとは独立したレベルで細胞活動を調節することができる。本発明のこの態様では、本発明の化合物は、細胞膜における多数のステロイド受容体に直接結合する能力があり、内部の細胞が介在する小胞体での小胞体ストレス応答(「UPR」)が関与するストレス機構を引き起こす。UPRストレス応答は、続いて増殖抑制、GADD153、TRIB3等と同様に公知のCHOP等の、ストレス応答遺伝子の調節による細胞死をもたらす。
【0136】
加えて、多様な癌の態様を治療するための本発明の化合物の投与は、化学療法、放射線治療、遺伝子治療、ホルモン治療およびその他の公知の癌治療等の補助的な癌治療法と組み合わせた、化学式I〜IV(IVa〜IVfを含む)の化合物の投与を含んでもよい。本明細書で開示した化合物を他の抗癌または化学療法の薬剤と組み合わせることは、本発明の範囲内である。そのような薬剤の例は、V.T.DevitaおよびS.Hellman(編集者)による、Cancer Principles and Practice of Oncology、第6版(2011年2月15日)、Lippincott Williams&Wilkins出版社から探し出すことができる。当業者である医師、獣医師または臨床医師には、どのような薬剤の組み合わせが、薬剤の特有の特性および関与する癌に基づいて有用であるかを識別することができる。そのような抗癌剤は以下を含む:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性薬、抗増殖剤、プレニル−タンパク移転酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、EHVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、アロマターゼ阻害剤、および血管形成阻害剤。
【0137】
例示化合物
発明の少なくとも一態様において、本発明の化合物は下記表Iに記載のものを含む:
【0138】
【化26】

【0139】
、R、R、R:それぞれ独立して、H、C〜Cアルキル、置換アルキルまたはハロゲン
、R:H、C〜Cアルキル、置換アルキル、硫酸塩、またはグルクロニド

【0140】
【化27】

【0141】
が単結合である時は、H、C〜Cアルキル、または置換アルキル、硫酸塩、又はグルクロニド;
【0142】
【化28】

【0143】
が二重結合である時は存在しない。
【0144】
【表1−1】

【0145】
【表1−2】

【0146】
【表1−3】

【0147】
表I中好ましい化合物としては、化合物1、2、3、4、7、8、10、11、23、28および29が挙げられる。本発明の少なくとも一態様は、これらの好ましい化合物、それらの使用および製造方法を対象とする。
【0148】
本発明の少なくとも他の態様において、本発明の化合物は、下記表IIに説明される。
【0149】
【化29】

【0150】
、R、R、R:それぞれ独立して、H、C〜Cアルキル、置換アルキルまたはハロゲン
:H、C〜Cアルキル、置換アルキル、硫酸塩、またはグルクロニド
:H、C〜Cアルキル、または置換アルキル、硫酸塩、またはグルクロニド

【0151】
【化30】

【0152】
が単結合である時は、H、C〜Cアルキル、または置換アルキル;
【0153】
【化31】

【0154】
が二重結合である時は存在しない。
【0155】
【表2−1】

【0156】
【表2−2】

【0157】
表II中好ましい化合物としては、化合物5、6、12、13、24、および25が挙げられる。本発明の少なくとも一態様は、これらの好ましい化合物、それらの使用および製造方法を対象とする。
【0158】
本発明のさらなる他の態様において、発明者は、本発明の化合物を下記表IIIにおいて説明する。
【0159】
【化32】

【0160】
、R、R、R:それぞれ独立して、H、C〜Cアルキル、置換アルキル、またはハロゲンおよび
【0161】
【化33】

【0162】
が単結合または二重結合である;存在しない。
【0163】
【表3−1】

【0164】
【表3−2】

【0165】
【表3−3】

【0166】
【表3−4】

【0167】
【表3−5】

【0168】
表III中好ましい化合物としては、化合物14、15、16、17、18、19、20、21、22、および31が挙げられる。本発明の少なくとも一態様は、これらの好ましい化合物、それらの使用および製造方法を対象とする。
【0169】
本明細書に記載する、特定された癌状態の治療のための、非制限的な具体的な例示の一つは、以下の化学式IVを有する化合物を含む:
【0170】
【化34】

【0171】
上記の活性化合物は、インビトロ分析の一部として使用してもよい、例えば、あるホスト候補が対象の化合物を用いた治療から利益を得られそうかどうかを決定するためにである。任意の本発明の活性化合物は、標準として使用してもよい、例えば、分析において、他の活性化合物、他の抗癌剤、他の抗炎症薬等を識別するためにである。
【0172】
本発明の少なくとも一態様では、候補化合物はそれらのエストロゲン受容体拮抗作用が評価される。ある化合物がエストロゲン受容体拮抗薬であるかどうかについての評価は、この技術分野で公知の多様な方法で実施することができる。ここでの応用において、そのような可能性は、本明細書に記載するスクリーニング方法によるルシフェラーゼ結合分析を実施して決定した。
【0173】
本発明の本態様のより好適な実施形態では、エストロゲン受容体結合能は、ER(α)またはER(β)プラスERE−tk−ルシフェラーゼレポーター構造のいずれかの発現構築物を、CV−1細胞に一時的に導入することによって評価された。その後、その細胞を対象群および候補群に分け、ここで、対象群は未処理またはエストラジオールのみ(1nM)で処理するおよび候補群は本発明の化合物を様々な濃度でエストラジオールに加えて処理する。16〜24時間後、その細胞を採取し、市販の分析キットを用いてルシフェラーゼ活性を分析した。
【0174】
さらに本発明の他の態様では、候補化合物のIC50すなわち最大阻害濃度の半分の濃度を、薬効およびインビボ用の効果的な薬剤投与法を評価するために決定した。当業者であれば、一般的に知られる方法でかような情報を確認することができる。本技術分野においてよく開示されているように、IC50は、何らかの生化学的プロセスの50%を阻害するのにどれぐらいの量を要するかを測定し、示す。本発明の場合において、候補化合物のIC50は、ビヒクル対象細胞に比べて50%の応答を示す濃度として決定した。
【0175】
本明細書で記載するように、本発明の化合物の塩は、無毒な「製薬上許容されうる塩」を意味する。しかしながら、他の塩もまた、本発明の化合物の調製やそれらの製薬上許容されうる塩の調製に有益である。本発明の化合物が塩基性の置換基を含む場合、用語「製薬上許容されうる塩」に含まれる塩は、一般的に遊離塩基と適当な有機酸または無機酸との反応によって調製される無毒な塩を意味する。代表的な塩は、本技術分野で知られる任意の塩を含む。本発明の化合物が酸性部分を有すると、それの適当な製薬上許容されうる塩は、カルシウムまたはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムまたはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、および四級アンモニウム塩のような適当な有機配位子を持つ塩を含むことができる。
【0176】
ヒト患者などの対象哺乳類を治療するため、癌細胞または標的腫瘍増殖への曝露またはその接触を促進されるように、本発明の一つ以上の化合物を有効量で多少哺乳類に投与する。効果的な投与形態、投与方式および投与量は、経験的に決定され、その決定は当該分野の技術的常識の範囲内である。その投与量は、当業者である医師、獣医師または臨床医師により、使用する特定の化合物の活性、病状の経過および/または進行、投与の手段、化合物の排泄速度、患者の腎機能および肝機能、治療の持続期間、患者に投与される他の任意の薬の同一性、年齢、大きさおよび医学領域に知られる類似のファクターによって変化することが理解される。本明細書で議論するように、本発明の化合物は、錠剤、カプセル(それぞれ持続性放出や時間放出製剤)、ピル、粉末、微粉化された組成物、顆粒剤、エリキシル剤、チンク剤、懸濁剤、シロップ、エマルジョンとして経口投与形態で投与される。同様に、それらは静脈(大量静注、点滴)や、服膣内、局所(例えば点眼剤)、皮下、筋肉内、経皮的(例えば、パッチ)形態、医薬分野の当業者に周知のすべての形態で投与され得る。さらに、通常の技術的知識を有する医師、獣医師、臨床医師は、症状の進行を予防し、処置し、停止するのに必要とされる効果的な量を容易に決定し、処方することができる。
【0177】
本発明の経口投薬量は、示された効果を得るために使用するには、日あたり体重kgあたり約0.01mg(mg/kg/day)〜役100mg/kg/dayの範囲であり、好ましくは0.01〜10mg/kg/dayの範囲であり、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/dayの範囲である。経口投与では、組成物は好ましくは、治療される患者に応じて症状の調整をするために、活性成分を0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500ミリグラム含む錠剤の形態で提供される。薬剤は典型的には活性成分を約0.01mgから約500mg含み、好ましくは活性成分を約1mgから100mg含む。静脈投与では、一定速度の点滴で、約0.1〜約10mg/kg/分の範囲の投与がもっとも好ましい。本発明の化合物は毎日1回で投与してもよく、合計日用量を毎日2回、3回、または4回の投与に分けてもよい。
【0178】
上述のように、本発明の化合物は、他の抗癌剤または対象哺乳類の治療計画を向上する薬剤と組み合わせて利用可能である。そのような組み合わせの個々の成分は、治療過程における異なった時点で別々に、または分けられたもしくは単一の組み合わせの形態で同時に、患者または患者のそのような治療の必要な部位に投与することができる。したがって、本発明は、このような全ての同時に行われるまたは交互に行われる治療の形態を含むものとして理解され、用語「投与」はそのように理解される。当然のことながら、標的とする癌症状を治療するのに有用な他の薬剤と本発明の化合物との組み合わせの範囲は、原則としてエストロゲン機能に関連する疾患の治療に有効な任意の薬剤組成物との任意の組み合わせを含む。
【0179】
プロドラッグの形態で活性化合物の調製、精製、および/または取り扱うことは簡易または望ましいでありうる。本明細書で用いる「プロドラッグ」の語は、代謝されたときに、所望の活性化合物を生成し、またはそのもの自体の内部に活性化合物が存在する化合物に関連する。これは、例えば3、6、10または17位などの適当な位置にリン酸エステル部位を加えることを含む。典型的には、プロドラッグは不活性であるか、または活性化合物より不活性であるが、取扱い、投与、または代謝特性が有利でありうる。例えば、あるプロドラッグは、活性化合物のエーテルであり;代謝過程においてエステル基が開裂し活性薬物を生成する。また、あるプロドラッグは、酵素作用により活性化され、活性化合物、またはさらなる化学反応により活性化合物を生成する化合物を生成する。したがって、本明細書が開示する本発明の治療方法において、用語「投与」は、具体的に開示されたまたは具体的に開示されていないが、患者に投与後にインビボで特定の化合物に変換する化合物を用いた多様な状態の治療を含む。これらの化合物の代謝産物は、本発明の化合物を対象哺乳類に導入することにより生成された活性種を含む。
【0180】
本発明の化合物は、効果的な抗増殖剤のプロドラッグであってもよい。低いまたは穏和な固有活性を示す化合物は、プロドラッグとして作用する可能性があり、代謝により活性化され(例えば、インビボ)より効果的な化合物を生成し得る。代謝活性化が腫瘍内で発現する酵素によって実現できることは、癌治療において特に有用である。基質として作用するプロドラッグは、CYP19、17β−HSD、HS−デメチラーゼまたはその他のステロイドの結合した酵素によって代謝され、効果的な抗癌剤を生成し得る。エキセメスタンの(R)または(S)−6−メチルオキソアルキル誘導体は、乳癌以外にも多くの癌の形態に対して活性を示し得る。胸、肺、結腸、前立腺、子宮内膜、卵巣癌などに由来する細胞株の中での癌細胞増殖阻害活性は、NDC−1011のエナンチオマーで観察された。例えば、腫瘍細胞増殖のインビトロ研究は、CYP19陽性型(MDA−MB−213およびSK−OV−3)である細胞株で最も高く、CYP19陰性型(MCF−7およびNIH:OVCAR−3)である細胞株は減少し、このことは、化合物24はプロドラッグとして作用し得ることを示している。
【0181】
どんな理論にも拘束されないが、例えば、化合物24がプロドラッグである場合、いくつも生体中の通常のステロイド産生酵素が化合物24に対して活性なはずであり、それにより、化合物24を活性な代謝物に転換させる。本発明のこの態様は、SおよびRジアステレオマーの両方に対して同様に適用することができる。
【0182】
本発明のプロドラッグ化合物は、内因性のアンドロステンジオンで観察されるのと類似の方式で作用する。化合物24は、CYP19を介して化合物24のC−3炭素をヒドロキシル化することにより芳香族環へと変換され、代謝産物化合物2を生み出す。化合物2は、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)可逆的作用を介してC−17炭素にさらなるヒドロキシル化されることができ、ジオール化合物4を生成する。
【0183】
エストラジオールと同様にジオール化合物4が芳香族環を有するが、C−6炭素にメチルオキシアルキル置換基が結合している点でエストラジオールと異なる。化合物24がジオール化合物4への代謝はどのような順番であっても起こり得る。例えば、17β−HSDによって形成された化合物6は、CYP19の芳香族化活性により化合物4へと変換される。
【0184】
どんな理論にも拘束されることなく、エストラジオールが、C17−OH(His524を介して);およびC3−OH(Arg394およびGlu353を介して)を介して、エストロゲン受容体(ERαおよびERβの両方)の受容体リガンドポケットに結合することは、報告されている。エストラジオールと同様に、化合物4ジオールは、類似のアミノ酸結合を介してERαおよびERβの同様なリガンドポケットに結合し得る。さらに、化合物4のC−6炭素にメチルオキシアルキル置換基の存在は、通常のリガンド結合受容体の配座を変え、観察される抗腫瘍活性の原因となる修飾された活性をもたらすことができる。
【0185】
さらに、化合物24(または化合物24の代謝産物の一つ)のC−6メチル基に作用するデメチラーゼ酵素活性は、トリオール体の代謝産物化合物8の構造を示すことができる。C−3、C−6およびC−17炭素のアルコール基によって、このような化合物8のトリオール代謝産物は、C−3、C−6およびC−17アルコールの様々な組み合わせを含む組織領域内のステロイド受容体の幅広いスペクトルに結合することができる。
【0186】
組成物
本明細書で使用するように、「組成物」の語は、特定の量の特定の成分の組み合わせから直接または間接に結果として得られる任意の製品と同様に、特定の量で特定の成分を含む製品を包含することを意図する。
【0187】
本発明の医薬製剤は、経口投与、経鼻投与、局所投与(口腔および舌下を含む)、経肛門投与、経膣投与、および/または非経口投与を含む。投与経路にかかわらず、活性成分は本技術分野において公知の慣用法により製薬上許容されうる薬剤形態に製剤化される。
【0188】
担体材料と結合される活性成分の量は、単一の薬剤形態に製造するには、治療されるホスト、特定の投与方式および上記した他の全てのファクターに応じて変化させる。一般的に、活性成分の量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い投与量である。
【0189】
医薬製剤または組成物を調製する方法は、担体および選択的に一以上の補助的な成分の組み合わせに活性成分を導入するステップを含む。一般的に、製剤は均一かつ密接に活性成分を液体担体の組み合わせ、微細に分割した固体担体またはその両方に導入して調製され、必要に応じて製品に成型する。
【0190】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセルやカシェ剤、ピル、錠剤、ロゼンジ剤(普通スクロースやアカシア、トラガカントなど矯味ベースを使用する)、粉末剤、顆粒剤の形態で、または、水もしくは水以外の液体の溶液もしくは懸濁液、または水中油系、油中水系エマルジョンとして、またはエリキシルやシロップとして、またはさらにはトローチ(ゼラチンやグリセリン、スクロース、アカシアのような不活性ベースを使用する)として、および/または口腔洗浄剤として、提供され得、それぞれ所定量の活性成分を含む。活性成分はボーラス、舐剤または糊剤としても投与される。
【0191】
経口投与(カプセル、錠剤、ピル、糖衣剤、粉末剤、顆粒剤など)のための本発明の固体薬剤形態においては、プロドラッグ、活性成分(微小な形態で)クエン酸ナトリウムやリン酸ジカルシウムおよび/または以下に示すような一つ以上の製薬上許容される担体と混合され得る:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、および/またはマンニトールサリチル酸等の充填剤またはエクステンダー;(2)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸エステル、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア等の結合剤;(3)グリセロール等の保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、芋デンプン、タピオカデンプン、アルギニン酸、ある種の珪酸塩、炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の溶液遅延剤(solution retarding agent);(6)4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン等の湿潤剤;(8)カオリン、ベントナイト粘度等の吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固化ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、それらの混合物のような潤滑剤:(10)着色剤。カプセルや錠剤、ピルの場合、医薬成分は緩衝剤をも含む。同様のタイプの固体組成物は、高分子量のポリエチレングリコール等と同様に、ラクトースや乳糖等の賦形剤を使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内で、充填物として用いられ得る。
【0192】
錠剤は、選択的に一以上の補助的な成分と共に圧縮成型や鋳型成型により製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えばゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、グルコース酸ナトリウムデンプンや類似のカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性または分散剤を用いて製造され得る。鋳型錠剤は、不活性な液体希釈剤に湿らせた粉末状の活性成分の混合物を適当な機械内で成型することで製造し得る。
【0193】
錠剤や、糖衣剤、カプセル、ピル、顆粒剤等の本発明の他の固体投薬形態の医薬組成物は、任意に分割できるようにしてもよく、また、医薬調合技術において周知の腸溶コーティングおよび他のコーティング等のコーティングや外殻と共に製造してもよい。それらは、内部の活性成分が緩やかにまたは制御されて放出するように、例えば、所望の放出プロフィールを提供するために種々の比率で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはミクロ球状物を用いて製剤化されてもよい。それらは、例えば細菌捕捉フィルターでの濾過により殺菌されてもよい。それら組成物は、選択的に乳白剤を含んでもよく、活性成分を消化管の特定の部分でのみ、または優先して、選択的に、遅延して放出する組成物であってもよい。使用し得る包埋組成物の例は、高分子物質とワックスを含んでいる。活性成分はマイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0194】
活性成分の経口投与のための液体薬剤形態は、製薬上許容し得るエマルジョンやマイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル液を含む。活性成分に加えて、液体薬剤形態は、例えば水または他の溶媒、溶解剤、および、エチルアルコールやイソプロピルアルコール、酢酸エチル、ブチルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、グリコール、オイル(特に、綿実油や落花生油、とうもろこし油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ごま油)、グリセロール、アミルアルコール、テトラヒドロフリルポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル等の乳化剤、並びにそれらの混合物等の不活性希釈剤を含み得る。
【0195】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味、矯味、着色、芳香および防腐剤等の補助物質をも含むことができる。懸濁液は、活性成分に加えて、エトキシル化アルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、ならびにそれらの混合物等の懸濁剤を含んでもよい。
【0196】
経肛門や経膣投与のための発明の薬剤組成物の剤形は、活性成分と一以上の適当な非刺激性賦形剤、またはココアバター、ポリエチレングリコール、ワックス、サリチル酸エステル等の担体とを混合して調製され得、室温で固体であるが体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔で融解し活性成分を放出する、座薬として提供され得る。経膣投与に適した本発明の剤形は、適当な技術分野で公知の担体を含む、ペッサリーやタンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、スプレー剤形であってもよい。
【0197】
活性成分の局所的または経皮投与のための薬剤形態は、パウダースプレー、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、吸引剤を含む。活性成分は、製薬上許容されうる担体、および任意の緩衝剤、または必要な噴射剤と共に、無菌状態で混合さ得る。
【0198】
活性成分に加えて、軟膏剤、ペースト、クリームおよびゲルは、動物脂肪や植物脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルク、酸化亜鉛またはそれらの混合物等の賦形剤を含んでいてもよい。粉末やスプレーは、活性成分に加えて、ラクトースやタルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、ポリアミドパウダーおよびこれらの混合物等の賦形剤を含んでいてもよい。スプレーは、さらに、クロロフルオロヒドロカーボン等の一般的な噴射剤、ブタンおよびプロパン等の揮発性の無置換炭化水素を含む。
【0199】
本発明の化合物は、適当な鼻腔用ビヒクルの局所的使用を介して、鼻腔投与形態で投与されてもよいし、または当該技術分野の技術者に周知の経皮用皮膚パッチの形態を使用し、経皮経路で投与されてもよい。経皮のデリバリーシステムは、その薬剤処方の連続的な投与を提供する。経皮パッチは活性成分を制御して体に供給する付加的な利点がある。そのような薬剤形態は、エラストマーマトリックス材料等の適当な媒体中に、溶解させるか、分散させるか、または、組み込むことで製造できる。吸収促進剤は皮膚を透過した活性成分の流れを増加するために使用される。そのような流れの速度は、速度制御膜を供給することまたは高分子マトリックスやゲルに活性成分を分散させることのいずれかで制御可能である。
【0200】
本発明の化合物は、小型単層ベシクルや大型単層ベシクル、多層ベシクル等のリポソームデリバリーシステムの形態で投与され得る。リポソームは、コレステロールやステアリルアミンまたはフォスファチジルコリン等の様々なリン脂質から形成され得る。
【0201】
本発明の化合物の他のデリバリー方式は、その化合物の分子が結合する個々の担体としてのモノクローナル抗体の利用によるデリバリーであり得る。本発明の化合物は標的指向性の薬剤担体としての可溶性ポリマーとも結合し得る。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパートアミド‐フェノール、パルミトイル残基のあるポリエチレンオキシド−ポリリシンが含まれる。さらに本発明の化合物は、薬剤の放出を制御するときに有用な生分解性ポリマーの一群に結合する。生分解性ポリマーは例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体である。
【0202】
非経口的投与に適した本発明の薬剤組成物は、一以上の製薬上許容され得る無菌等張水性もしくは非水性溶液、懸濁液もしくはエマルジョン、または、抗酸化剤、緩衝液、患者の血液と等張にするための処方の溶質、懸濁もしくは増粘剤を含む、使用前に無菌注射溶液や分散液を再構成する無菌粉末と活性成分とを組み合わせて含む。
【0203】
発明の医薬組成物に使用される、適した水性もしくは非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロールやプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの適当な混合物、オリーブ油等の植物油、エチルオレエート等のな注射可能な有機エステルを含む。適正な流動性が、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用や、要求される粒子サイズの維持、界面活性剤の使用により維持され得る。
【0204】
これらの組成物は湿潤剤や乳化剤、分散剤のような補助剤をも含んでいてもよい。またその成分の中に砂糖や、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含むことが好ましい場合がある。さらに、注射可能な薬理形態の遅延型吸収はモノステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような吸収を遅らせる試薬の含有によりもたらされ得る。
【0205】
ある場合には、活性成分の効果を持続させるために、皮下、または筋肉注射から、薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは水に溶解しにくい結晶質のまたは非晶質の懸濁液を使用することで達成され得る。活性成分の吸収速度は、むしろ、結晶サイズや結晶形に依存し得る、結晶質や非晶質の溶解速度に依存する。代わりに、活性成分の非経口的投与の吸収遅延はオイルビヒクルに活性成分を溶解または懸濁させることで達成される。
【0206】
注射可能な蓄積形態(injectable depot form)は、持続型はポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー内に活性成分のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する活性成分の割合や使用されるポリマーの性質に依存して、活性成分の放出速度は制御されうる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)が含まれる。注射可能な蓄積処方は、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに活性成分を封じ込めて調製される。注射可能な材料は細菌捕捉フィルターを用いた濾過によって滅菌することも可能である。
【0207】
好ましくは、注射可能な薬剤形態でデリバリーされる組成物は、生体適合性高分子、ここで開示した化合物および生体適合性高分子を溶解させる生体適合性溶媒との適合形態を含み、生体適合性高分子、前記化合物(the instant)および生体適合性溶媒の重量%は完成した組成物の全重量に基づき;さらに、十分な量の前記高分子を前記組成物内で使用し、血管部位への運搬により、高分子は沈殿でき、腫瘍増殖を停止するのに十分な量の活性化合物を放出することができる。
【0208】
本実施形態の他の態様では、前記組成物の適当な粘度が、好ましくは、40℃で10〜200cStの範囲で観察される。
【0209】
より好ましくは、固形癌へ局所的にデリバリーされる組成物は、生体適合性高分子を約1〜95重量%の濃度で、活性化合物を約5〜約75重量%の濃度で、および、生体適合性溶媒を約5〜約95重量%で含み、全成分の重量パーセントは、完成した組成物の全重量に基づいており、さらに、組成物は、40℃で少なくとも10〜約200およびより好ましくは、少なくとも約200cStの粘度を有する。
【0210】
生分解性高分子は、本技術分野で知られている。例えば、Dunnらの米国特許第4,938,763号明細書は、以下の生分解性高分子の例を開示している:ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリフォスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンサクシネート、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キトサンおよびコポリマー、ターポリマーおよびこれらの組み合わせ等の直鎖高分子。他の生分解性高分子は、例えば、ゼラチン、コラーゲンなどを含む。
【0211】
適当な非生分解性生体適合性高分子は、例示として、セルロースアセテート、エチレンビニルアルコールコポリマー、ヒドロゲル(例えば、アクリル)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、ウレタン/カーボネートのコポリマー、スチレン/マレイン酸のコポリマー、およびそれらの組み合わせを含む。
【0212】
好ましい生体適合性高分子は、アクリル系高分子、セルロースジアセテートおよびエチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン並びにゼラチンを含み得る。そのような高分子は、市販品を入手するかこの分野で認められている手順で製造できる。好ましい実施形態では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ組成で決定した数平均分子量が、約5、000〜約200、000、より好ましくは約25,000〜約180,000、さらに好ましくは約50,000〜100,000である。
【0213】
組成物中に生体適合性造影剤を使用する本発明の他の態様は、関心のある局所的な部位の臨床上の進行を観察しモニターすることである。これらの造影剤は、水溶性造影剤および非水溶性造影剤を含む。好ましくは、非水溶性造影剤は、硫酸バリウム、タンタル粉末および酸化タンタルからなる群から選択される生体適合性材料である。さらに好ましい実施形態では、生体適合性溶媒は水、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、エタノール、乳酸エチルまたはアセトンである。
【0214】
製剤は、例えば、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量密封容器に入れて提供でき、注射のために使用直前に滅菌液体担体(例えば水)を添加することのみが必要とされる凍結乾燥した状態で貯蔵することができる。即席注射用液体および懸濁液は、前記の種類の滅菌粉末、顆粒剤、ナノ粒子および錠剤から調製されてもよい。
【0215】
本発明の医薬組成物は、以下の適合を含む動物用製剤の形態で使用してもよい:(1)例えば、飲薬方(水性または非水性溶液、懸濁液)、錠剤、丸薬、粉末、顆粒剤、飼料と混ぜるペレット、舌に適用するペースト等の経口投与、(2)「アンプル」として、例えば無菌溶液もしくは懸濁液を経皮もしくは筋肉内、静脈注射による、または適当な場合には、乳頭から動物の乳房に懸濁液または溶液を導入する乳房注射による、非経口的投与、(3)例えば、クリーム、軟膏剤もしくはスプレーとして皮膚に塗布する局所適用、(4)例えば膣座薬、クリーム、泡、または当業者による関心のある領域に適した他の方法として、膣内投与。
【0216】
本発明は特定の実施例を参照して記載しているが、本技術分野の当業者は、本発明は記載した実施例以外によっても実施され、これらは説明のための目的で示され限定の目的で示されていないことを理解するだろう。したがって、請求の範囲はここに含まれている実施例の記述に限定されるものではない。
【0217】
上記表I、IIおよびIIIおよび化学式I〜IVで例示される化合物の製造について、スキーム1、2、および3に示される一般的な方法を、以下の実施例によってさらに説明する。具体的には、スキーム1および2に示される6−アルコキシアルキルエストラジオール化合物を調製するための方法は下記実施例1〜5によって説明され、スキーム3は、エストラジオールの6−アミノ誘導体を製造するためのものである。エストロゲン受容体の結合能力の評価の例は、実施例4にまとめられ、最終的に本発明の好ましい化合物のIC50によって評価され、それらの比較的な効力は実施例5に示されている。特に規定されない限り、すべての原料および試薬は標準的な市販グレードのものであり、さらに精製することなく使われているか、通常の方法でそのような材料から容易に調製されている。有機合成分野の当業者は出発原料や反応条件は所望の最終生成物を得るために変更し得ることを理解するであろう。
【0218】
実施例1
6−ヒドロキシメチル−アンドロスタ−1,4−ジエン−3,17ジオンの製造方法。
【0219】
反応系において、十分な量の+)アンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン(ADD)と12.2当量のピロリジン、触媒の酢酸、変性エタノール(95/5 エタノール/メタノール)、および6〜7%のテトラヒドロフラン(THF)を30℃〜40℃にて少なくとも16時間加熱し、1,3−ジピロリジノアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを生成した。一旦、ADD含有量がHPLC面積によれば3%未満になる、または定常的になる、または最終的なジピロリジノアンドロスタジエンがADDに戻り始めたら、反応混合物を5±5℃に冷やす。その後、得られた化合物を集め、冷変性エタノールで洗浄する。収率は通常乾燥後で70〜80%であり、純度はHPLCの面積パーセントによれば通常90〜95%である。
【0220】
得られた1,3−ジピロリジノアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン1当量を、室温にて10ml/gのジクロロメタン中の2.6当量のホルマリン(ホルムアルデヒド)と混合する。反応混合物を2%硫酸溶液でpH約2に酸性化する。その結果、有機層が形成され、それを2%硫酸および1:1の水/食飽和食塩水で洗浄する。溶媒をトルエン(約10ml/g)に変え、トルエン交換が進むにつれ、生成物が結晶化する。前記生成物を集め、洗浄し、乾燥して、6−ヒドロキシメチル−アンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオンを得る。もし望めば、当業者は6位の立体化学を当該技術分野の既知技術によりさらに修飾することができる。
【0221】
実施例2
化合物3および4の製造方法。
【0222】
スキーム2に示されるように、エストラジオール化合物3および4は、以下の方法に従って合成される。保護したエストラジオールは、トルエンスルホン酸またはカンファ―スルホン酸を触媒として用いて、β−エストラジオールとジヒドロピランとのTHF中での反応により合成される。当業者であれば、この反応は平衡反応でありこのような条件下では完了しないことが理解できる。したがって、反応混合物中に、一ヶ所のみ保護された(mono−protected)エストラジオールも一緒に確認される。このような粗反応混合物は、アセトニトリルで粉体化過程を経て、約70%収率で望ましいビス−THPエストラジオールを析出し得る。
【0223】
スキーム2に示されるように、中間体であるアルデヒドは、LIDAKOR(ブチルリチウム、ジイソプロピルアミン、およびtert−アルミオキシカリウム)と呼ばれる強塩基混合物を用いて、ベンジル6−位でのアシル化を介して、得られる。当業者であれば、−70℃の条件下では、ベンジル位のプロトンが引き抜かれることを十分理解できる。その後、中間アルデヒドをカラムクロマトグラフィーで精製し、約50%の収率でシロップを得る。過剰の水素化リチウムアルミニウムを用いて当該アルデヒドの還元を行い、その結果、ガラス状の泡であるラセミ体のヒドロキシメチルエストラジオール化合物を高収率で得る。
【0224】
化合物3および4を製造する目的で、メトキシメチル中間化合物は、水素化ナトリウム及びヨウ化メチルを用いてラセミ体のヒドロキシメチルエストラジオール化合物のメチル化により製造される。当該メトキシメチル中間体をカラムクロマトグラフィーによって精製し、ガラス状の泡を得る。保護基の脱保護により、脱保護されたラセミ体の6−メトキシメチルエストロジオールが得られる。キラル分離HPLCを用いてエナンチオマーの分離を行い、化合物3および4が得られる。化合物4は、キラル純度>95:5(R:S)が実現される。化合物3は、86:14(S:R)のキラル純度が実現される。当業者であれば、4−および6−プロトンが特徴的であって、NMRを用いて6−位の絶対立体化学を決めるのが十分可能である。
【0225】
実施例3
化合物7および8の製造方法。
【0226】
実施例2に記載の方法と同様の方法を用いて、ラセミ体のヒドロキシメチルエストラジオール化合物が合成される。その後、脱保護はメタノールにおいて触媒である塩化水素を用いて達成され、ラセミ体のトリオールはキラル分離HPLCによって2つのフラクションに分けられ、一つは化合物7を多く含み、もう一つは化合物8を多く含む。それぞれの化合物は、キラル純度>95:5(R:SおよびS:R)がそれぞれ実現される。4−および6−プロトンが特徴的であって、NMRにより6−位の絶対立体化学が確立される。
【0227】
実施例4
化合物10の製造方法。
【0228】
実施例1〜2に記載の方法と同様の方法を用いて、化合物4が合成される。化合物4(0.32g、1mmol)のDCM(30ml)溶液中に、無水酢酸(0.6ml、6mmol、3当量)、TEA(0.5ml、3.6mmol、1.8当量)およびDMAP(50mg)を加える。反応液を室温で3時間撹拌する。薄層クロマトグラフィー(「TLC」)により反応が完了するまで追跡する。
【0229】
反応溶液を1MのHCl(20ml)、飽和NaHCO(20ml)および食塩水(20ml)のそれぞれで洗浄する。DCM層をMgSOにより乾燥し濾過する。当該濾液を濃縮し、60℃で3時間および室温で一晩高真空乾燥し、スキーム3の望ましい保護された純メトキシ化合物(0.4g、白色、定量的)が得られる。
【0230】
スキーム3の保護されたメトキシ化合物(0.35g、0.87mmol)のDCM溶液中に、室温でトリメチルシランヨウ化物(6ml、44mmol、50当量)を加える。得られた黄色の溶液をアルゴン雰囲気下38℃で一晩撹拌する。
【0231】
反応溶液を氷浴において冷却する。過剰量の飽和NaHCO(10ml)をゆっくり加え、反応を停止させる。反応混合物を分離した後、有機層を食塩水で洗浄し、3%MeOHが含有されるDCMを移動相として用いるシリカゲル精製を行うために濃縮する。スキーム3の純ヒドロキシル化合物(収率80%、270mg)が得られる。
【0232】
スキーム3のヒドロキシル化合物(250mg、0.65mmol)、トリフェニルホスフィン(222mg、0.85mmol、1.3当量)、およびN−ヒドロキシフタルイミド(140mg、0.85mmol、1.3当量)のTHF溶液(20ml)を氷浴において冷却する。冷却された溶液中に、アゾジカルボン酸ジエチル(0.6ml、1mmol、1.5当量)を加える。反応混合物を室温に戻し、一晩撹拌させる。
【0233】
次いで、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をDCM(50ml)で希釈し、食塩水で洗浄する。その後、3%MeOH/DCMを移動相として用いるシリカゲル精製を行うために濃縮し、スキーム3の望ましい白色のフタルイミド化合物260mg(収率75%)が得られる。
【0234】
スキーム3のフタルイミド化合物(580mg、1.1mmol)の無水DCM(30ml)溶液を氷浴において冷却する。その中にメチルヒドラジン(0.22ml、2.2mmol、4当量)を加える。混合物を室温に戻し、3時間撹拌させる。LC−MSにより反応が完了するまで追跡する。
【0235】
反応溶液を食塩水と飽和NaHCO(1:1、10ml)との溶液で洗浄する。水層をDCM(10ml)で洗浄する。集めたDCM層を乾燥状態まで高真空で濃縮する。スキーム3の二つ主要なアミノオキシ生成物が粗生成物中に含まれることがLC−MSにより確認される。
【0236】
スキーム3のアミノオキシ化合物の粗混合物(〜0.7mmol)のMeOH(60ml)溶液を氷浴において冷却する。その後、炭酸ナトリウム(0.5g、4.7mmol)の水溶液(10ml)およびNaOH(0.8g、20mmol)の水溶液(10ml)を加える。当該反応系を室温に戻し、一晩撹拌させる。
【0237】
最終反応溶液のpHは約14である。pHを10に調整するために、飽和炭酸ナトリウム(〜10ml)を加える。次いで、混合物を濃縮し、大部分のメタノールを除去する。抽出のために、得られた混合物の中に、DCM(100ml)および飽和重曹(30ml)を加える。水層をDCM(2×50ml)で洗浄する。集めたDCM層を乾固するまで濃縮し、400mgの粗混合物を得る。
【0238】
得られた粗混合物を 5%MeOH/DCMを移動相として用いるシリカゲルカラムによって精製し、好ましい最終生成物である化合物10(135mg、オフホワイト、収率60%、HPLC純度98%、NMRおよびLC−MSにて確認された)を得る。
【0239】
実施例5
化合物21の製造方法。
【0240】
a)(8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン
β−エストラジオール(5g、18.4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(16.0mL、92mmol)のTHF溶液100mlに、クロロメチルメチルエーテル(7.0mL、92.0mmol)を加える。反応混合物を還流するように加熱し、18時間撹拌させる。THFを真空により除去し、水とCHClの間に黄色/茶色オイルが分離される。有機層を分離し、食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、その後真空濃縮し、金色オイルが得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc/Hex)によって精製し、粘性のあるクリアオイルとしての表題化合物(5.7g、86%)が得られる。
【0241】
b)(8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン
−78℃に冷やされたカリウムtert−ブトキシド(8.87g、79.0mmol)およびジイソプロピルアミン(11.2mL、79.0mmol)の脱水THF溶液80mL中に、アルゴン雰囲気下において、n−ブチルリチウム(49.4mL、79.0mmol, ヘキサン中1.6M)を滴下する。反応混合物を−78℃で30〜45分間撹拌する。次いで、a)から得られた化合物(5.7g、15.8mmol)のTHF溶液45mLを滴下し、反応混合物を−78℃で3時間撹拌する。a)から得られた化合物を添加する間に、反応系が深紅色に変わる。その後、ホウ酸トリメチル(10.6mL、94.8mmol)をゆっくり加え、反応混合物を0℃に温め、2時間撹拌する。その後、過酸化水素(30%水溶液の24mL)を加え、反応混合物を室温に温め、さらに1時間を撹拌する。反応系を0℃まで冷やし、慎重に10%のNa水溶液(70mL)でクエンチする。生成混合物をEtOAc(2×)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、その後真空濃縮し、黄色/茶色オイルが得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%EtOAc/Hex)によって精製し、白色固体としての表題化合物(3.5g、59%)が得られる。
【0242】
c)(8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−one
デス・マーチンペルヨージナン(9.46g、22.3mmol)をb)から得られた化合物(7.0g、18.6mmol)のCHCl溶液300mL中に少しずつ加える。反応混合物を室温で3時間撹拌する。当該混合物を水中に流し込み、層が分離される。水層をCHClで抽出し、合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、その後真空濃縮し、ネバネバした茶色の固体が得有れる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%EtOAc/Hex)によって精製し、淡黄色の粘性のあるオイルとしての表題化合物(6.0g、86%)が得られる。
【0243】
d)エチル2−(((8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イリデン)アセテート
室温において、ホスホノ酢酸トリエチル(4.1mL、20.8mmol)を水素化ナトリウム(832mg、20.8mmol)のTHF混合溶液25mL中に加える。約10分後、c)から得られた化合物(3.9g、10.4mmol)のTHF溶液10mLを滴下する。反応混合物をシールド管中において加熱し72時間還流させる。混合物を真空濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/Hexから40%EtOAc/Hexまでの勾配)によって精製し、透明な粘性のあるオイルとしての表題化合物(3.4g、74%)が得られる。
【0244】
e)2−((8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イリデン)エタノール
0℃で、d)から得られた化合物(3.1g、6.97mmol)のTHF溶液65mLに水素化アルミニウムリチウム(5.2mL、10.46mmol、THF中2M)を滴下し処理する。冷水浴を撤去し、反応混合物を室温で15分間撹拌する。反応を再び0℃まで冷やし、慎重に1.3mLの水を加え、クエンチし、その後、2.6mLの2NのNaOH、および1.3mLの水を加える。混合物を白色の固形になるまで激しく撹拌する。混合物を濾過し、濾液を真空濃縮し、透明なオイルとしての表題化合物(2.8g、99%)が得られる。
【0245】
f)2−((6S,8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)アセトアルデヒド
e)で得られた化合物(3.09g、7.68mmol)および10%Pd/C(500mg)の酢酸エチル溶液100mLを水素(g)の40psi雰囲気下室温で5時間撹拌する。混合物をセライト濾過し、当該セライトを酢酸エチルでよく洗浄する。濾液を真空濃縮し、淡黄色のオイル(3.1g)が得られる。当該オイルを100mLのジクロロメタン中に溶解させ、デス・マーチンペルヨージナン(3.9g、9.22mmol)を少しずつ加える。反応混合物を室温で30分撹拌する。当該混合物を水中に注入し、CHClで抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、その後真空乾燥し、茶色固体が得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%EtOAc/Hex)によって精製し、透明なオイルとしての表題化合物(2.0g、65%)が得られる。
【0246】
g)4−((6R,8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)ブト−2−エン−1−オール
0℃で、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(18.4mL、18.4mmol、THF中1.0M)を臭化(2−ヒドロキシエチル)トリフェニルホスホニウム(3.37g、8.70mmol)の60mLのTHF懸濁液中に滴下する。一時間後、この琥珀色の溶液にf)から得られた化合物(1.4g、3.48mmol)の10mLTHF溶液を滴下し処理する。反応混合物を0℃で40分間撹拌し、その後飽和NHCl水でクエンチする。得られた混合物をEtOAc(2×)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、濃縮し、茶色オイルが得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/Hexから75%EtOAc/Hexまでの勾配)によって精製し、黄色粘性のあるオイルとしての表題化合物(680mg、45%)が得られる。
【0247】
h)4−((6R,8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)ブト−2−enal
室温において、デス・マーチンペルヨージナン(437mg、1.03mmol)をg)から得られた化合物(370mg、0.86mmol)の15mlのCHCl溶液中に加える。反応混合物を10分間撹拌した後、水中に注入する。層が分離され、水層をCHCl(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濾過し、その後真空濃縮し、茶色オイルが得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/CHClから10%EtOAc/CHClまでの勾配)によって精製し、淡黄色粘性のあるオイルとしての表題化合物(358mg、86%)が得られる。
【0248】
i)6−((6R,8R,9S,13S,14S,17S)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−イル)ヘキサ−2,4−ジエン−1−オール
0℃で、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(4.3mL、4.29mmol、THF中1.0M)を臭素(2−ヒドロキシエチル)トリフェニルホスホニウム(786mg、2.03mmol)の14mLのTHF懸濁液中に滴下する。30分間後、この琥珀色の溶液にh)から得られた化合物(345mg、0.81mmol)の2mLTHF溶液を滴下し処理する。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、その後飽和NHCl水でクエンチする。得られた混合物をEtOAc(2×)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、濃縮し、茶色オイルが得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/CHClから40%EtOAc/CHClまでの勾配)によって精製し、黄色粘性のあるオイルとしての表題化合物(140mg、38%)が得られる。
【0249】
j)(6R,8R,9S,13S,14S,17S)−6−(6−メトキシヘキサ−2,4−ジエン−1−イル)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン
i)の化合物(135mg、0.3mmol)を0℃まで冷やし、水素化ナトリウム(120mg、3.0mmol)を少しずつ添加する。5〜10分間後、ヨウ化メチル(0.19mL、3.0mmol)を滴下し、得られた反応混合物を室温に戻し、4時間撹拌する。EtOAcを加え、水で慎重に反応をクエンチする。層が分離され、有機層を乾燥(NaSO)し、濾過し、その後濃縮し、茶色の油上残渣が得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%EtOAc/Hexから20%EtOAc/Hexまでの勾配)によって精製し、透明なオイルとしての表題化合物(92mg、65%)が得られる。
【0250】
k)(6R,8R,9S,13S,14S,17S)−6−(6−メトキシヘキシル)−3,17−ビス(メトキシメトキシ)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン
5〜10mLの酢酸エチル溶液におけるj)の化合物(90mg、0.19mmol)および10%Pd/C(100mg)の混合物を水素(g)風船と繋いで室温で16時間撹拌する。混合物をセライト濾過し、酢酸エチルでセライトをよく洗浄する。濾液を真空濃縮し、透明なオイルとしての表題化合物(90mg、99%)が得られる。
【0251】
1)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシヘキシル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール(化合物21)k)から得られた化合物(90mg、0.19mmol)のそれぞれ1.5mLずつの6NHClおよびTHF溶液を室温で5時間撹拌する。反応混合物を水で薄め、EtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)し、濾過し、その後真空濃縮し、透明な油状残渣が得られる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHClから30%EtOAc/CHClまでの勾配)によって精製し、白色の固体状の泡としての化合物21(38mg、52%)が得られる。
【0252】
実施例6
化合物30および31の製造方法
化合物30および31はスキーム4によって合成される(実際の収率が示されている)。
【0253】
【化35】

【0254】
実施例7
ルシフェラーゼ活性を利用したエストロゲン受容体結合能力の決定方法
エストロゲン受容体−ネガティブCV−1腎細胞は湿潤5%CO雰囲気下、37℃で、10%の牛血清と100単位/mlのペニシリン−ストレプトマイシンが添加された、4.5g/Lグルコースを含有するダルベッコ改変イーグル培地に維持した。上記細胞を、10%木炭−デキストラン−ストリップ牛血清を含むフェノールレッドフリーのダルベッコ改変イーグル培地中でウェルあたり2×10の密度で6−ウェルシャーレに培養する。製造者のプロトコルに従って、LipofectAMINE試薬を使用してCV−1細胞に核酸を導入する。核酸導入は、1.5μgのレポータープラスミド(チミジンキナープロモーター上流をクローンしたシングルERE並びにルシフェラーゼ遺伝子を含むERE−tk−ルシフェラーゼを含んでいる)および0.5μgのERαまたはERβ発現ベクター(それぞれ完全な長さのコード配列であるCMV−ERαまたはCMV−ERβを含む)を含む。翌日、細胞を未処理のまま(対照)、エストラジオールのみ(1nM)、またはエストラジオールにエンデン化合物を(濃度を変えながら)加えたものにより処理した。16〜24時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼ活性を分析する。
【0255】
開始時に、細胞単層を、氷冷下のリン酸緩衝生理食飽和食塩水で2度洗浄し、250μlの1X細胞培養溶解試薬(プロメガ、マディソン、WI)中で15分間培養する。細胞抽出液を新しい試験管に移し、ルシフェラーゼ分析システム(プロメガ)を使用して分析する。それぞれの分析では10μlの抽出液を90μlの1X細胞溶媒溶解試薬で希釈した。蛍光はAutoLumat LB953発光光度計を使って測定する。
【0256】
本明細書に記載する分析の組み合わせにより同定される化合物またはその塩は、エストロゲン受容体のリガンド結合部位でエストラジオールの結合を阻害する化合物である。具体的には、細胞増殖停止を引き起こし、したがって薬理活性を示すと想定されている化合物またはその塩である。
【0257】
CV−1細胞に、レポーター構築物ERE−tk−ルシフェラーゼおよびCMV−ER−β構築物の二つのプラスミド構築物を導入する。核酸導入対照(Ctrl)CV−1細胞は処理されず、エストラジオールで処理した細胞はエストラジオールE2)のみを10−9M(1nM)の濃度で加える。本発明の化合物の場合において、各々の化合物はそれぞれ10−8M(10nM)のみまたは10−8Mに加えて10−9Mのエストラジオール(E2)を加えたものを添加する。
【0258】
実施例8
候補化合物のIC50値の決定方法
細胞株を、当該細胞株に適した培地に約5%CO、37℃、95%相対湿度で維持する。細胞は、2、3日毎に継代培養され、きれいな96ウェル平面プレートに1×10細胞/ウェルの密度で植え、分析の開始前、約5%CO雰囲気下、37℃で一晩培養する。細胞の生存能力分析を開始するために、細胞プレート(100μL)中の培地を新しい培地(100μL)に置き換える。試験物質を新たな培地に連続的に1:2に希釈し、複製し、最終の試験物質濃度が200μLの総体積中において0.46、1.37、4.12、12.35、37.04、111.1、333.3、および1000μM(≦1%DMSO)となるように、細胞(100μL)に加える。細胞を含んでいないウェルと、0.1%トリトン−Xで溶解させた細胞を含むウェルとを、ベースライン対照として使用される。タモキシフェンを各分析の既知対照として用い、DMSOのみをビヒクル対照として用いる。試料は、湿潤5%CO雰囲気下で、約37℃で72時間培養する。培養期間中、プレートを1日1回モニタし、集密状態に特に注意を払う。もし細胞が72時間の培養時間経過前に集密したときは、実験をその時点で終了し、細胞の生存能力を以下に記載するように測定する。
【0259】
細胞の生存能を、蛍光によりATPレベルを決定するための市販キットを用いて決定する。つまり、細胞プレートから培地を除去し、100μLの新しい培地で置き換え、緩衝液および凍結乾燥した基質を室温まで平衡にする。細胞プレートのウェルへの添加前に、緩衝液を用いて基質を再構成する(ウェルあたり100μL)。プレートをInfinite M200プレートリーダー中に載置し、10分間振動させた後10分間静置し、プレートを0.5秒の積分時間で減衰なしで読み取る。
【0260】
そのウェルの正味の発光を得るため、対照の平均ベースライン(トリトンX−100または細胞のないウェル)は、全発光から差し引かれる。この全体をDMSOのみの対照と比較した。IC50は、ビヒクル対照細胞と比較して、50%の応答をもたらす濃度として計算した。図5および図6は試験の結果を示す。したがって、当業者はクレームした組成物のR配置(C−6において)は他の立体異性体よりも優れていることが理解できる。
【0261】
表IVは、本発明の化合物の様々な細胞株におけるIC50を示す。
【0262】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式を有する化合物:
【化1】

式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−OH、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−N(CH、ホスフェート基、およびホスフィン酸塩基から選択され;
は、水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され;
11は、H、C〜Cのアルキル、ハロゲン、硫酸塩、グルクロニド、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN−、−NHCN−、−CHO、=CHOCH、−COO塩、−OSOアルキル、−NH、および−NHCO(CHからなる群から選択され;
12は、H、C〜Cのアルキル、硫酸塩、グルクロニド、嵩高い基(bulky group)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、C〜C12のアルキニル、ハロゲン、グルクロニド、−NH、−SONH、−COOH、−CN、−CHCN、−NHCN、−CHO、−COO塩、−OSOアルキル、−SH、−SCH、−CH[(CHCH]COOCH、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−NH−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−N(CH、−(CH(NH)CHOH、−NHCOOH、−(CHNHCOOH、−NO、−SCN、−SOアルキル、−B(OH)、−(CHN(CH)−SO−NH、−(CH−NH−SO−NH、−NHC(=S)CH、および−NHNHからなる群から選択され;
Yは、水素原子、=O、−OCO(R)および−OHから選択され;
mは0〜20の整数であり;
nは0〜8の整数であり;
記号
【化2】

は、3位または17位にケト基を形成しうる単結合または二重結合のいずれかを表し;および
記号
【化3】

は、立体化学に関わらず任意の種類の結合を表す;
ならびに、前記化合物の各エナンチオマー、立体化学の異性体、水和物、溶媒和物、互変異性体および製薬上許容されうる塩。
【請求項2】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化4】

【請求項3】
Yは=Oおよび−OHからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;
は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;
mは1〜20の整数であり;
nは0〜8の整数であり;および
記号
【化5】

は、単結合または二重結合のいずれかを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yは、(S)配置−OHであり;
は、水素原子およびアルキルから選択され;
およびRは水素原子であり;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;
mは、1〜6の整数であり;
nは0〜3の整数であり;および
C−13メチル基は、(S)配置に存在する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化6】

【請求項6】
は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;
は、水素原子およびハロから選択され;
は、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;
mは、1〜20の整数であり;および
nは、0〜8の整数である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
は、水素原子であり;
は、水素原子またはアルキルから選択され;
およびRは、水素原子であり;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHから選択され;
mは1〜12の整数であり;および
nは0〜4の整数であり、
C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化7】

【請求項9】
11は、水素原子またはC〜Cのアルキルであり;
は、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;
は、水素原子およびハロから選択され;
は、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C〜Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;
mは1〜20の整数であり;および
nは0〜8の整数である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
11は、水素原子であり;
は、水素原子またはアルキルから選択され;
およびRは、水素原子であり;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;
mは1〜12の整数であり;および
nは0〜4の整数であり;
C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化8】

【請求項12】
1は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;
は、水素原子およびハロから選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C−Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;
mは1〜20の整数であり;および
nは0〜8の整数である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
1およびRは、水素原子であり;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;
mは1〜12の整数であり;および
nは0〜4の整数であり、
C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化9】

式中、Zは、−O−、−S−および−NH−からなる群から選択される。
【請求項15】
mは、1〜12であり;
nは、0〜4であり;
は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
は、水素原子およびハロから選択され;
は、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;および
Zは、−O−および−S−から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
mは、2〜8であり;
nは、0〜3であり;
〜Rは、水素原子であり;および
Zは、−O−であり、
C−13メチルおよびC−17ヒドロキシルは(S)配置に存在する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
下記化学式を有する、請求項1に記載の化合物:
【化10】

【請求項18】
1は、水素原子、−OHおよびハロからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロおよびC〜Cのアルキルからなる群から選択され;
は、水素原子およびハロから選択され;
は、水素原子、ハロおよび−OHからなる群から選択され;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CHCOOCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、−(CH−S−(CHCH、−(CH)m−N−(CHCH、−C〜Cアルケニル−O−(CHCH、−C〜Cアルケニル−S−(CHCH、−C〜Cアルケニル−N−(CHCH、−C−Cアルキニル−O−(CHCH、−C−Cアルキニル−S−(CHCH、−C−Cアルキニル−N−(CHCH、−(CH−OH、−(CH−O−NH、−(CH−S−NH、−NH(CHCH、−NH(CHOCH、−NH(CHCHOH−COOH、−(CH(NH)CHOH、−(CHNHCOOH、−(CHN(CH)−SO−NH、および−(CH−NH−SO−NHからなる群から選択され;
mは、1〜20の整数であり;および
nは、0〜8の整数である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
1、R、RおよびRは、水素原子であり;
Xは、C〜C12のアルキル、C〜C12のアルケニル、−(CH−O−CH、−(CH−O−(CHCH、(CH−S−CH、および−(CH−S−(CHCHからなる群から選択され;
mは、1〜12の整数であり;および
nは0〜4の整数である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
a)(6S,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,15,16−オクタヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(14H)−オン、
b)(6R,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,15,16−オクタヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17(14H)−オン、
c)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
d)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
e)(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−17−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン;
f)(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−17−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン、
g)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(ヒドロキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
h)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(ヒドロキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
i)(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチルヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
j)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
k)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
l)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−17−ヒドロキシ−13−メチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン、
m)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−((アミノオキシ)メチル)−17−ヒドロキシ−13−メチル−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン、
n)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(((メトキシメチル)アミノ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
o)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(((メトキシメチル)アミノ)メチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
p)1−((((6R,8R,9S,13S,14S)−3,17−ジヒドロキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−yl)メチル)アミノ)プロパン−2−オン、
q)1−((((6S,8R,9S,13S,14S)−3,17−ジヒドロキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−6−yl)メチル)アミノ)プロパン−2−オン、
r)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−メトキシ−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
s)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(2−メトキシエチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
t)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(4−メトキシブチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
u)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシヘキシル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
v)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシオクチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール;
w)(6R,8R,9S,13S,14S)−3−ヒドロキシ−6−(メトキシメチル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−yl ステアレート、
x)(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−7,8,9,10,11,12,13,14,15,16−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17(6H)−ジオン、
y)(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−7,8,9,10,11,12,13,14,15,16−デカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17(6H)−ジオン、
z)(6R,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
aa)(6S,8R,9S,10R,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−10,13−ジメチル−4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
bb)(6S,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−17−オキソ−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル 硫酸水素塩、
cc)(6R,8R,9S,13S,14S)−6−(メトキシメチル)−13−メチル−17−オキソ−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル 硫酸水素塩、
dd)(6R,8R,9S,13S,14S)−13−メチル−6−(4−プロポキシブチル)−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
ee)(6R,8R,9S,13S,14S)−13−メチル−6−(5−エトキシペンチル)−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
ff)(6R,8S,9S,14S)−6−(メトキシメチル)−2−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、
gg)(6R,8S,9S,14S)−6−(6−メトキシヘキシル)−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオール、および
hh)(6S,8S,9S,13S,14S)−6−(6−メトキシヘキシル)−13−メチル−7,8,9,11,12,13,14,15,16,17−デカヒドロ−6H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3,17−ジオールからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物を治療上有効量でホストに投与することを含む、哺乳類ホストにおける固形癌の増殖を阻害する方法。
【請求項22】
前記哺乳類ホストがヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記固形癌の増殖が、乳房、膵臓、肺、結腸、前立腺、卵巣、脳、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節、小腸、血液細胞、骨、胃、子宮内膜、精巣、卵巣、中枢神経系、肌、頭および首、食道、ならびに骨髄の癌からなる群から選択される癌と関連する固形癌を表す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物を選択的にエストロゲン受容体に結合させることを含み、染色体複製に関与する、またはそれらの産物が染色体複製に不可欠である、一つ以上の遺伝子の転写を減少させる方法。
【請求項25】
前記化合物が選択的にER−β受容体に結合する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容されうる担体を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2013−512260(P2013−512260A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541227(P2012−541227)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/058342
【国際公開番号】WO2011/066542
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512140016)エンディース インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】