6−11二環式ケトライド誘導体の多型形態
本発明は、異なる物理特性を有する、EP-13420多型結晶性形態:形態I、形態II、形態Ia、および一水和物ならびに非晶質EP-13420を含む。本発明の別の態様では、純粋な形態、または相互に組み合わせた種々の多型形態を製造する方法が提供される。本発明はまた、多型および非晶質形態を含有する医薬組成物および製剤、ならびに細菌感染の治療を必要とする被験体に該医薬組成物を投与することによって細菌感染を治療する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、EP-13420として知られている6-11二環式ケトライド誘導体の多型形態に関する。
【0002】
発明の背景
マクロライド抗生物質は、特に新規病原体の出現に伴い、治療に重要な役割を演じる。構造的差異は、ラクトン環のサイズならびに糖の数および性質(中性または塩基性)に関する。マクロライドは、ラクトン環のサイズ(12、14、15または16原子)によって分類される。マクロライド抗生物質ファミリー(14、15および16員環誘導体)は、広範な特徴(抗菌スペクトル、副作用およびバイオアベイラビリティ)を示す。一般に使用されるマクロライドとしては、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシンがある。3-クラジノース糖の代わりに3-オキソ部分を有するマクロライドは、ケトライドとして知られており、グラム陰性細菌およびマクロライド耐性グラム陽性細菌に対する活性の増大を示した。安定性、耐性および薬物動態に関するマクロライドの全体のプロフィールを保持することと共に、MLSB耐性株(MLSB=マクロライド-リンコサミド-B型ストレプトグラミン)に対して活性があるマクロライド化合物を捜すことは主要な目的になった。
【0003】
それ自身が投与されるか、または原薬(最終または完成投薬形態としても知られる)として製剤化される所定の薬物またはAPIの多型形態は、例えば、原薬の溶解性、安定性、流動性、フラクタビリティおよび圧縮性、ならびに製剤の安全性および有効性に影響することが医薬分野において周知である(例えば、Knapman、K.Modern Drug Discoveries 53(2000年3月)参照)。各々の製剤の安全性および有効性に対する単一の原薬の種々の多型形態の潜在的な影響は非常に重要であり、米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも、種々の各々の多型形態(存在する場合)のパーセンテージがバッチ間でコントロールされ、一致し、かつFDAにより承認される原薬/製剤規定内にあるように合成プロセスを制御することを各原薬製造業者に要求している。
【0004】
発明の要旨
本発明は、以下の式:
【0005】
【化1】
【0006】
を有するEP-13420の多型形態に関する。
【0007】
本発明は、異なる物理特性を有する、多型結晶性形態:形態I、形態II、形態Ia、および非晶質ならびに一水和物EP-13420を含む。本発明の別の態様では、純粋な形態、または相互に組み合わせた種々の多型形態を製造する方法が提供される。本発明の方法により製造される他の塩および多型体としては、EP13420リンゴ酸塩、HBr、L-酒石酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、DLマンデル酸塩、オロチン酸塩、S-マンデル酸塩、サリチル酸塩、ゲンチシン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、スルホン酸塩、HCl、マロン酸塩、およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。本発明はまた、多型、非晶質、または一水和物形態のEP-13420を含有する医薬組成物および医薬製剤を提供する。本発明の医薬製剤としては、細菌および原生動物感染ならびに炎症性状態の治療に使用するための、EP13420の多型形態または他の形態および1つ以上の薬学的に許容されうる賦形剤を含有する懸濁投薬形態のための錠剤、カプセル、液剤、小袋または粉剤が挙げられる。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、形態I、II、Ia、および一水和物EP-13420ならびに非晶質EP-13420、ならびにそれらの調製方法、ならびに該多型および非晶質形態のEP-13420またはその医薬組成物を用いて、細菌感染の治療を必要する被験体において細菌感染を治療する方法に関する。下記に考察されるように、本発明の多型および非晶質形態を示差走査熱量測定(DSC)およびX線粉末回折(XRD)分析を用いて特徴付けた。これらの技術のいずれかを用いた特徴付けは、純粋な状態であろうとなかろうと各々の特定の多型形態について独特のピークを示した。例えば、純粋な形態Iは、XRDにより分析される場合、独特のピークの範囲を提供する。これらの有意なピークは、純粋な形態IおよびEP-13420の他の多型形態と組み合わせた形態Iを含むサンプルに関するXRD分析で示される。
【0009】
図1は、約173℃の吸熱(endothermic)ピーク(約167℃で開始)を提供する形態I EP-13420のDSC温度記録図を示す。図2は、形態I EP-13420のXRDパターンを示し、その有意なピーク値は下記の表1に提供される。図3は、約163℃の吸熱ピーク(約158℃で開始)を提供する形態II EP-13420のDSC温度記録図を提供する。図4は、形態IIのEP-13420のXRDパターンを表し、その有意なピーク値は下記の表2に提供される。図5は、約169℃で吸熱ピーク(約164℃で開始)を提供する形態Ia EP-13420のDSC温度記録図を表す。図6は、形態Ia EP-13420のXRDパターンを示し、その有意なピーク値は下記の表3に提供される。図7は、約170℃の吸熱ピーク(約159℃で開始)を提供する非晶質EP-13420のDSC温度記録図を示す。図8は、非晶質EP-13420のXRDパターンを示す。結晶形状および/またはサイズのロット間変動、ならびにかかる装置間の変動およびかかる装置の較正がX線回折パターンにおいて好ましい方向として現れうることは、当業者に周知である。上記の好ましいパターンは、約20%までの量で変動として見られうる。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
1vs=非常に強い(I>50%);s=強い(I>20%);m=中程度(20%>I>8%);w=弱い(8%>I>4%);vw=非常に弱い(I<4%)。
【0014】
表1に示されるXRDピークは、形態I(8%よりも大きい)の有意なピークが、約6.1、7.7、9.3、9.8、11.1、12.2、13.0、14.3、14.5、15.1、15.5、16.9、17.8、18.8、19.4、19.8、20.5、20.8、21.4、23.2、24.4、24.9、25.6、27.9、28.3、29.0、30.0、32.8、33.2、34.1、35.7、37.7、38.1、38.9、および40.4°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置することを示した。形態IIについては、表2に示されるように、有意なXRDピーク(8%よりも大きい)は、約6.1、9.3、9.8、11.2、12.2、13.0、14.6、15.5、16.3、17.0、17.8、18.7、19.9、20.8、21.6、23.1、24.0、25.5、27.9、28.3、30.1、32.8、33.3、および38.0°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態Iaについては、図3に示されるように、有意なXRDピーク(8%よりも大きい)は、約6.1、7.7、9.3、9.7、11.1、11.8、12.2、13.0、13.2、14.2、14.6、14.9、15.5、16.3、16.9、17.8、18.7、19.4、19.8、20.4、20.8、21.4、21.7、23.1、24.0、24.4、25.4、27.8、28.3、30.0、32.8、33.2、34.0、35.7、38.0、40.6、および44.7°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。
【0015】
より好ましくは、本発明の多型形態は、各形態の強いXRDパターンのピーク(I>20%)に対応する2-シータ(2θ)角により特徴付けられうる。形態Iに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、13.0、14.3、14.5、15.1、15.5、16.9、17.8、18.8、19.4、19.8、20.5、20.8、21.4、23.2、24.4、24.9、27.9、28.3、30.0、32.8および33.2°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態IIに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、9.3、9.8、12.2、13.0、14.6、15.5、17.0、17.8、18.7、19.9、21.6、24.0、27.9、28.3、および30.1°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態Iaに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、9.7、11.8、12.2、13.0、13.2、14.2、14.6、14.9、15.5、16.9、17.8、18.7、19.4、19.8、20.4、21.4、21.7、23.1、24.0、24.4、25.4、27.8、28.3、30.0、および32.8°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。
【0016】
本発明の最も好ましい態様は、2-シータ角14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1、38.9、および40.4°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークによって特徴付けられるEP-13420の多型形態I;2-シータ角11.2、17.0、19.9、21.6、25.5、30.1、および33.3°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークにより特徴付けられるEP-13420の多型形態II;または9.7、11.8、13.2、14.2、14.9、20.4、21.7、25.4、27.8、34.0、40.6、および44.7°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークにより特徴付けられる多型形態Iaである。
【0017】
本発明はまた、実質的に純粋な形態I、実質的に純粋な形態II、実質的に純粋な形態Ia、実質的に純粋な一水和物EP-13420または実質的に純粋な非晶質EP-13420を単独の有効成分として、またはEP-13420の他の多型形態もしくは他の薬学的に活性のある薬剤が挙げられるがこれらに限定されない他の有効成分と組み合わせて、少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体、希釈剤、および/または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。1つより多くのEP-13420の多型形態の組み合わせは、記載される結晶化手順により、またはより正確な組み合わせについては純粋もしくは既知の多型の比のブレンドにより調製される。好ましい多型の組み合わせとしては、形態Iと、形態II、形態Ia、一水和物EP-13420および/または非晶質EP-13420;形態IIと、形態I、形態Ia、一水和物EP-13420および/または非晶質EP-13420;一水和物EP-13420と、形態I、形態II、および/または形態Ia EP-13420および/または非晶質EP-13420;または非晶質EP-13420と形態I、形態II、形態Ia EP-13420および/または一水和物EP13420が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
定義
本発明を説明するために使用される種々の用語の定義を下記に挙げる。これらの定義は、特定の場合において限定しない限り、個々にまたはより大きい群の一部としてのいずれかで、本明細書および請求の範囲を通してそれらが使用される用語に適用する。
【0019】
本明細書中で使用される「実質的に純粋」は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の純度を有する化合物を意味する。
【0020】
本明細書中で使用される用語「有効成分」または「活性のある化合物」は、本明細書中に詳細に示される任意の多型形態、またはその組み合わせ(すなわち、形態I、形態II、形態Ia、非晶質EP-13420もしくは一水和物EP-13420またはその組み合わせ、もしくはEP-13420の他の多型形態との組み合わせ)をいう。好ましくは、純粋な形態の形態Iまたは形態II EP-13420が、本発明の医薬組成物および製剤に使用される。
【0021】
本明細書中で使用される用語「被験体」は動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。被験体はまた、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚、鳥等をいう。
【0022】
本発明の有効成分の「治療有効量」は、任意の医学的治療に適用可能である合理的な利益/リスク比で治療される被験体に治療効果を付与する有効成分の量を意味する。治療効果は、客観的(すなわち、ある試験またはマーカーにより測定可能である)または主観的(すなわち、被験体が効果を示唆するか、または効果を感じる)でありうる。本明細書中に記載される有効成分の有効量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲でありうる。有効な投与量はまた、投与の経路、および他の薬剤との同時使用の可能性に応じて変化する。しかし、本発明の組成物の全体的な一日当たりの使用量は、堅実な医学的判断の範囲内で主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての特定の治療有効量のレベルは、治療対象の障害および障害の重篤さ;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;投与の時間、投与の経路、ならびに使用される特定の化合物の排泄の速度;治療の期間;使用される特定の有効成分と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野で周知の因子等を含む同様の因子による。
【0023】
本発明の治療方法によれば、治療有効量の本発明の有効成分を所望の結果を達成するのに必要な量および時間で患者に投与することにより、ヒトまたは別の動物等の被験体において細菌感染、嚢胞性線維症、および炎症状態が治療または予防される。
【0024】
本明細書中で使用される場合、他に指示されていなければ、用語「細菌感染」または「原生動物感染」は、本発明の多様な形態等の抗生物質を投与することによって治療または予防され得る、哺乳類、魚類および鳥類において起こる細菌感染および原生動物感染、ならびに細菌感染および原生動物感染に関連する障害を含むが、これらに限定されない。かかる細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連する障害としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、モラクセラカタラーリス、黄色ブドウ球菌、ペプトストレプトコッカス種またはシュードモナス種による感染に関連した、肺炎、中耳炎、静脈洞炎、気管支炎、扁桃炎、嚢胞性線維症(CF)および乳様突起炎;化膿連鎖球菌、C群およびG群連鎖球菌、ジフテリア菌(Clostridium diptheriae)またはアクチノバシラスヘモリティクムによる感染に関連した、咽頭炎(pharynigitis)、リウマチ熱および糸球体腎炎;肺炎マイコプラズマ、レジオネラニューモフィラ菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌またはクラミジア肺炎病原体による感染に関連した気道感染;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(すなわち、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカスヘモリティクス(S. hemolyticus)等)、化膿連鎖球菌、ストレプトコッカスアガラクティー、連鎖球菌のC〜F群(微小コロニー連鎖球菌)、ヴィリダンス連鎖球菌、コリネバクテリウム種、クロストリジウム種またはバルトネラヘンセレによる感染に関連した、合併症を伴わない皮膚および柔組織感染、膿瘍および骨髄炎、ならびに産褥熱;スタフィロコッカスサプロフィティクスまたはエンテロコッカス種による感染に関連した、合併症を伴わない急性尿路感染;尿道炎および子宮頚管炎;ならびに、トラコーマクラミジア、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマウレアリティカムまたは淋菌(Nesseria gonorrheae)による感染に関連した性感染病;黄色ブドウ球菌による感染に関連した毒素疾患(食中毒およびトキシックショック症候群)またはA、S.およびC群連鎖球菌による感染に関連した毒素疾患;ヘリコバクターピロリによる感染に関連した潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連した全身性の発熱症候群;ボレリアブルグドルフェリーによる感染に関連したライム病;トラコーマクラミジア、淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌またはリステリア種による感染に関連した、結膜炎、角膜炎および涙嚢炎;トリ型結核菌またはマイコバクテリウムイントラセルラーレによる感染に関連した播種性トリ型結核菌群(MAC)疾患;カンピロバクタージェジュニによる感染に関連した胃腸炎;クリプトスポリジウム種による感染に関連した腸内原生動物、ヴィリダンス連鎖球菌による感染に関連した歯原性感染;百日咳菌による感染に関連した持続性の咳;ウェルチ菌またはバクテロイデス種による感染に関連したガス壊疽;黄色ブドウ球菌、ざ瘡プロピオンバクテリウムによる皮膚感染;ヘリコバクターピロリまたはクラミジア肺炎病原体による感染に関連したアテローム性動脈硬化症;等。
【0025】
動物において治療または予防され得る、細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連した障害としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:パスツレラヘモリティカ、パスツレラムルトシダ、マイコプラズマボビスまたはボルデテラ種による感染に関連した、ウシ呼吸器疾患;大腸菌または原生動物(すなわち、コクシジウム、クリプトスポリジウム等)による感染に関連したウシ腸疾患、黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカスウベリス、ストレプトコッカスアガラクティエ、ストレプトコッカスディスガラクティエ、クレブシエラ種、コリネバクテリウム種またはエンテロコッカス種による感染に関連した乳牛乳腺炎;アクチノバシラスプルロニューモニエ、パスツレラムルトシダまたはマイコプラズマ種による感染に関連したブタ呼吸器疾患;大腸菌、ローソニアイントラセルラーリス、サルモネラ種またはセルプリラハイオディイスインテリエ(Serpulina hyodyisinteriae)による感染に関連したブタ腸疾患;フゾバクテリウム種による感染に関連したウシ腐蹄症;大腸菌による感染に関連したウシ子宮筋層炎;壊死杆菌またはバクテロイデスノドススによる感染に関連したウシ有毛いぼ;モラクセラボビスによる感染に関連したウシ急性カタル性結膜炎、原生動物による感染に関連したウシ早流産(すなわち、ネオスポリウム(neosporium));大腸菌による感染に関連した、イヌおよびネコにおける尿路感染;表皮ブドウ球菌、ストレプトコッカスインターメディウス(S. intermedius)、コアグラーゼ陰性スタフィロコッカスまたはパスツレラムルトシダによる感染に関連した、イヌおよびネコにおける皮膚および柔組織感染;ならびにアルカリゲネス種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、エンテロコッカス種、ユーバクテリウム種、ペプトストレプトコッカス種、ポルフィロモナス(Porphfyromonas)種、カンピロバクター種、放線菌種、エリジペロスリックス種、ロドコッカス種、トリパノソーマ種、プラスモディウム種、バベジア種、トキソプラズマ種、ニューモシスティス種、リーシュマニア種およびトリコモナス種またはプレボテラ種による感染に関連した、イヌおよびエンバク(oats)における歯牙感染または口の感染。本発明の方法に合わせて治療または予防され得る他の細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連した障害は、J.P. Sanfordら、「The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy」第26版(Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)において参照される。
【0026】
本発明はさらに、炎症状態を患っている患者を治療する化合物および方法を提供し、該方法は、それらを必要とする患者に、治療上有効な量の少なくとも一つの本発明の化合物を投与することを含む。本発明に従って治療できる炎症状態の特定の例としては、強膜炎;上強膜炎;アレルギー性結膜炎;肺炎症性疾患、特に嚢胞性線維症(CF)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)およびサルコイドーシス;直腸S字結腸炎;アレルギー性鼻炎;関節炎;腱炎;アフタ性(apthous)口内炎;ならびに炎症性腸疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明はさらに、i)CFに関連した肺感染および炎症を含む症状CFの疑いのある患者の予防療法、ii)CFに関連した肺感染および炎症の症状の初期の徴候における治療、ならびにiii)CFに関連した感染および炎症の進行中または再発の症状の治療のための組成物および方法を提供する。本発明に従って、CFの治療を必要とする患者に、慢性肺炎症および感染を含むCFの症状を予防するか、減少させるか、または皆無にするのに十分な量、本発明の化合物が投与される。
【0028】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、治療上有効な量のいずれか一つの本発明の有効成分またはその組み合わせを含み、任意に1つ以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤とともに製剤化される。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は、任意の型の、非毒性で不活性な固形、半固形または液状の充填剤、希釈剤、被包材料または製剤化補助を意味する。薬学的に許容され得る担体として役立ち得る物質のいくつかの例は、ラクトース、ブドウ糖およびショ糖等の糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプン等のデンプン;セルロース、およびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ワックス等の賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油等の油;プロピレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液であり、また、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および香料、保存薬ならびに抗酸化剤もまた、処方者の判断によって組成物中に存在し得る。
【0030】
本発明の医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、または埋め込まれたレザバーを媒介として、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体、佐剤またはビヒクルを含み得る。ある場合においては、製剤化のpHは、薬学的に許容され得る酸、塩基または緩衝剤を用いて、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を増強するように調節され得る。用語非経口は、本明細書中で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0031】
経口投与のための液状投薬形態としては、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性のある化合物に加えて、液状投薬形態は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等の他の溶媒、可溶化剤および乳化剤等の当該分野で慣用の不活性な希釈剤を含み得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤および香料等の佐剤を含み得る。
【0032】
ある態様において、本発明の好ましい懸濁剤製剤は、単純なシロップ:滅菌水(4:56、v:v)溶液中に60〜1600 mgの非晶質のEP-13420を含む。
【0033】
別の態様において、懸濁剤は、本明細書中に参照によって援用される米国特許公報第2004/0142029号に記載されるように、医薬成分の味が有利にマスキングされるように製造される。味をマスキングされた、好ましくは水性のビヒクル中の懸濁液の形の、EP 13420のある好ましい医薬製剤(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの組み合わせ)は、a)有機溶媒に可溶性だが、pHにかかわらず水には実質的に不溶性のセルロースの重合体;酸性の媒質に可溶性で中性またはアルカリ性pHでは実質的に不溶性のメタクリル酸塩の重合体、ならびに混合物中で一様な様式および分子状態で分配された、噴霧されたマトリックスの形の有効成分;b)薬学的に許容され得る、有機性の性質のアルカリ化剤またはアルカリ塩;ならびにc)吸着剤を含む。セルロースの重合体およびメタクリル酸の重合体は、好ましくは、それぞれエチルセルロース、ならびにメタクリル酸2-ジメチルアミノエチルおよび中性メタクリル酸塩から形成されたカチオン重合体である。アルカリ化剤および吸着剤は、好ましくはクエン酸メグルミン、クエン酸リシン、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムならびに炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムならびにタルクである。セルロースの重合体は、噴霧されたマトリックス中に、約30重量%〜約50重量%の範囲の割合で存在し、メタクリル酸塩の重合体は、約10重量%〜約25重量%の範囲の割合で存在し;かつEP 13420は、噴霧されたマトリックス中に、約50重量%という最大のレベルで存在する。ある態様において、マトリックス中のセルロースの重合体およびメタクリル酸塩の重合体の好ましい割合は、それぞれ約40重量%〜約45重量%および約15重量%〜約20重量%であり、ここでマトリックス中のEP 13420の最大量は約30重量%である。製剤は、マトリックス内に疎水性の可塑化剤および/または酸化防止剤を任意に含み得る。製剤はまた、防腐剤、甘味料、濃化剤および香味剤から選択される1つ以上の要素を任意に含み得る。
【0034】
味をマスキングする別の態様において、製剤は、約60%〜約80%のグリセロールまたは脂肪酸のエステルと混合された約15〜約30%のEP 13420を、任意の形態または任意の組み合わせの形態で含有し、ここにワックスが任意に添加され、界面活性剤が添加され、かつここで組成物は約350ミクロン未満の粒子径を生じさせることができる噴霧冷却処理によって調製される。この態様において用いられるグリセロールまたは脂肪酸のエステルは、以下の特徴:約25℃〜約100℃、好ましくは約25℃〜約70℃の範囲の融解温度および融解状態での安定性を有する。グリセロールのエステルは、ステアリン酸グリセリルまたはパルミトステアリン酸グリセリル、特にPrecirol(登録商標)から選択され得る。グリセロールのエステルは、有利には、組成物の全混合物の50〜85重量%の間であり;好ましくは60〜80重量%の間、より詳しくは70〜80重量%の間である。任意に添加され得るワックスは、有利にはカルナウバワックスであり得、パラフィンまたは蜜蝋もしくはカンデリラ蝋から選択されてもよい。ワックスを組成物に添加する場合、組成物の全混合物の約4重量%〜約10重量%の割合で、かつ導入されるグリセロールのエステルに関して約5%〜約20%の割合で添加し得る。脂肪酸を組成物中に導入する場合、この脂肪酸は、有利にはパルミチン酸、ミリスチン酸またはステアリン酸から選択される。脂肪酸は、組成物の全混合物の約60重量%〜約80重量%の割合で導入される。組成物に導入される界面活性剤は、有利にはレシチン、特にダイズレシチン、または7未満のHLBを有するソルビタンエステルのファミリーの界面活性剤から選択される。界面活性剤は、組成物の全混合物の約1重量%〜約3重量%の割合で添加される。
【0035】
注射可能な調製物、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いた公知の技術に従って製剤化され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤、懸濁剤または乳剤、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。用いられ得る、許容され得るビヒクルおよび溶媒に、水、リンガー液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒質として慣例的に用いられている。この目的のために、合成のモノまたはジグリセリドを含む任意の刺激のない固定油が用いられ得る。また、オレイン酸等の脂肪酸が、注射可能物質の調製に用いられる。
【0036】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用の前に滅菌水または他の無菌の注射可能な媒質に溶解または分散し得る無菌の固形組成物の形の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。
【0037】
薬物の効果を長くするために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合が多い。これは、水溶解性の低い結晶性または非晶質の物質の液状懸濁物の使用によって達成され得る。このとき、薬物の吸収の速度は、その溶解の速度に依存し、同様に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能な蓄積形態は、ポリ乳酸−コグリコライド等の生分解性の重合体中で薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。重合体に対する薬物の割合および用いられる特定の重合体の性質に依存して、薬物放出の速度は制御され得る。他の生分解性重合体の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射可能な製剤はまた、薬物を体組織適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョン中に閉じ込めることによって調製される。
【0038】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体だが体温では液体であり、そのため直腸または膣腔で融解して活性のある化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得る坐剤である。
【0039】
経口投与のための固形の投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤および顆粒剤が挙げられる。かかる固形の投薬形態において、活性のある化合物は少なくとも1つの、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体および/またはa)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ショ糖およびアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤(humectant)、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第四アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤(wetting agent)、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。同様の型の固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のようなかかる賦形剤を用いたソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられ得る。
【0040】
本発明は、2つの好ましいカプセル処方または「ブレンド」を提供する。2つの好ましいブレンドの製剤は、それぞれ:
【0041】
【表0】
【0042】
を含む。
【0043】
別の態様において、上記のブレンド番号1および番号2を含む噛むタイプのソフトカプセル剤(soft bite capsules)が提供される。噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は当該分野で周知である。
【0044】
別の態様において、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、約0.01〜85重量%の少なくとも1つの形態の本発明の有効成分、非極性溶媒約4〜99.99%、乳化剤約0〜20%を含んで提供され、好ましくはここで任意の充填組成物は約10%未満の水を含み、また任意に組成物の重量で、香味剤約0.01〜10%(全てのパーセンテージは全組成物の重量%)も含む。好ましくは、噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、非極性溶媒約21.5〜99.975重量%、乳化剤約0〜15重量%、有効成分約0.025〜70重量%、香味剤約1〜8重量%を含み、さらにより好ましくは、非極性溶媒約28.5〜97.9重量%、乳化剤約0〜10重量%、有効成分約0.1〜65.0重量%、香味剤約2〜6%を含む。別の態様において、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、約0.01〜65%の有効成分、極性溶媒約25〜99.89%、乳化剤約0〜20%、有効成分を含んで提供され、好ましくはかかる組成物は約10重量%未満の水を含み、また任意に香味剤約01〜10重量%を含む。好ましくは、噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、極性溶媒約37〜99.95%、乳化剤約0〜15%、有効成分約0.025〜55%、香味剤約約1〜8%、より好ましくは極性溶媒約44〜96.925%、乳化剤約0〜10%、有効成分約0.075〜50%、香味剤約2〜6%(全てのパーセンテージは全組成物の重量%)を含む。
【0045】
別の態様において、本発明は、水溶性アルギン酸塩およびアルギン酸の錯塩、本明細書中に記載されるEP 13420の任意の形態である有効成分またはそれらの組み合わせ、プロトンを供与できて水中のpKa値が4.0〜9.0である無機塩からなるアルギン酸塩マトリックスを含む錠剤を提供する。アルギン酸塩製剤は、一般的に、本明細書中に参照によって援用されるWO 2004/056344に記載されている。本発明に適切なアルギン酸塩マトリックスは、水溶性アルギン酸塩およびアルギン酸の錯塩を含む。組成物中の水溶性アルギン酸塩は、典型的にはカリウム塩またはナトリウム塩等のアルギン酸のアルカリ塩またはアンモニウム塩である。アルギン酸の錯塩は、典型的にはアルギン酸のナトリウム−カルシウム錯塩である。可溶性アルギン酸塩の、アルギン酸の錯塩に対する重量比は、約16:1〜1:1の間、好ましくは約8:1〜2:1の間を変動し得る。同じ比が、アルギン酸ナトリウムのアルギン酸カルシウムナトリウムに対する比に適用される。好ましくは、組成物中の可溶性アルギン酸塩の量は、組成物の総重量の約6%〜約25%の間を変動し、アルギン酸の錯塩の量は、組成物の総重量の約0.5%〜約10%の間を変動する。混合物は、慣例的な顆粒化技術に従って、かつ得られた顆粒を慣例的な乾燥技術を用いて乾燥することによって顆粒化され得る。乾燥した顆粒は、任意に大きさを変更されてもよい。組成物がカプセル剤である場合、顆粒はカプセル(例えばゼラチンカプセル)に充填される。組成物が錠剤である場合、顆粒は、慣例的な技術を用いて破砕剤(glindant)/潤滑剤と混合され得、錠剤中に圧縮され得る。
【0046】
別の態様において、本発明は、「迅速融解」製剤を提供する。かかる迅速融解製剤は、典型的には、水または咀嚼の必要なく患者の口内ですぐに溶解または分散する錠剤またはロゼンジの形である。かかる迅速融解製剤は、本明細書中に参照によって援用されるWO 03/074029に記載されている。特定の態様において、製剤は、少なくとも1つの形態の本発明のEP 13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む、圧縮されていない、自由流動する複数の粒子および水溶性の賦形剤を含み、該粒子は10ミクロン〜約1 mmより大きい平均直径を有し、該粒子は少なくとも約50%有効成分を含み、製剤は流体の同時投与なしに患者の口内で投与後1分以内に溶解する。製剤の水溶性賦形剤は、ソルビトール、マンニトール(manitol)、マルチトール、還元デンプン糖類、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトールならびにそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない糖アルコールを含み得る。他の適切な水溶性賦形剤としては、ゼラチン、一部加水分解されたゼラチン、加水分解デキストラン、デキストリン、アルギン酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。クエン酸、炭酸塩源等の唾液腺刺激薬ならびにサッカリン塩およびアスパルテーム等の甘味料が任意に含まれてもよい。
【0047】
錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形の投薬形態は、腸溶性剤皮および薬学の製剤化技術において周知の他の剤皮等の剤皮および外皮を用いて調製され得る。これらは任意に混濁剤を含み得、また1つまたは複数の有効成分を、腸管のある部位のみで、または腸管のある部位で選択的に、任意に遅延した様式で放出する組成物でもあり得る。用いられ得る包埋組成物の例としては、重合体の物質およびワックスが挙げられる。
【0048】
本発明の化合物の局所的または経皮投与のための投薬形態としては、軟膏、泥膏、クリーム、ローション剤、ゲル、粉剤、液剤、スプレー、吸入薬または貼付剤が挙げられる。活性のある成分は、必要に応じて無菌条件下で薬学的に許容され得る単体および任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼の製剤、点耳剤、眼軟膏剤、粉剤および液剤もまた、本発明の範囲内であると企図される。
【0049】
軟膏、泥膏、クリームおよびゲルは、本発明の活性のある化合物の他に、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含んでもよい。
【0050】
粉剤およびスプレーは、本発明の化合物の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含み得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素等の慣例的な高圧ガスをさらに含み得る。ある態様において、本発明は、少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む製剤を、本明細書中に参照によって援用されている米国特許公報第2003/0082107号に記載されるものと同様な極性または非極性溶媒を含む口内のエアロゾルスプレーにおいて提供する。この態様において、経粘膜投与のための高圧ガス不含口内スプレー製剤は、少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)および極性または非極性溶媒を、約30〜99%の間の量含む。高圧ガス口内スプレーが所望される場合、任意に、高圧ガスを全組成物の約2〜10重量%の量用いてもよい。
【0051】
経皮貼付剤は、体への化合物の制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる投薬形態は、化合物を適切な媒質に溶解または分散させることによって作ることができる。吸収促進薬もまた、皮膚を横切る化合物の流速を高めるのに使用され得る。速度は、速度制御膜を提供するか、重合体マトリックスまたはゲルに化合物を分散するかのいずれかによって制御され得る。
【0052】
ヒトまたは他の動物に単回用量で、または分割量で投与される本発明の医薬組成物の総日用量は、例えば0.01〜50 mg/kg体重、より通常には0.1〜25 mg/kg体重の量であり得る。単回投与組成物は、かかる量を含んでもよく、日用量を構成するようにその約量を含んでもよい。一般的に、本発明の治療計画は、かかる治療を必要とする患者への、単回または複数回用量で一日あたり約10 mg〜約1000 mgの1つまたは複数の本発明の化合物の投与を含む。
【0053】
医薬組成物は、本明細書中で使用される場合、例えば、注射によって、静脈内に、動脈内に、皮下に(subdermally)、腹腔内に、筋肉内にもしくは皮下に(subcutaneously);または経口で、口内に、鼻に、経粘膜で、局所的に、眼の調製物において、もしくは吸入によって、約0.1〜約500 mg/kg体重の範囲の投薬量か、あるいは1 mg〜1000 mg/用量の間の投薬量で、4〜120時間ごとに、または特定の薬物の必要しだいで投与され得る。本明細書中の方法は、所望の、または定まった効果を獲得するための治療上有効な量の医薬組成物の投与を企図する。典型的には、本発明の医薬組成物は、一日あたり約1〜約6回、あるいは継続的な注入として投与される。かかる投与は、慢性の、または急性の治療として用いられ得る。賦形剤または担体と薬学的に組み合わせて単回投薬形態を形成し得る有効成分の量は、治療される宿主および投与の個々の様式に依存して変化する。典型的な調製物は、約5%〜約95%有効成分(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は、約20%〜約80%有効成分を含み得る。
【0054】
上で列挙したものより低いか、または高い用量も必要とされ得る。任意の特定の患者のための特定の投薬量および治療養生法は、用いられる特定の医薬組成物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態または症状の重症度および経過、疾患、状態または症状に対する患者の素質、ならびに治療する医師の判断を含む様々な因子に依存する。
【0055】
患者の状態の向上に際して、維持量の、本発明のいずれか1つの有効成分、またはその組み合わせが、必要ならば投与され得る。続いて、投薬量もしくは投与の頻度またはそれら両方は、症状が所望のレベルまで緩和された場合に、症状に応じて、向上した状態が維持されるレベルまで減らされ得る。しかしながら、患者は、疾患症状の任意の再発の際に長期的に断続的な治療を必要とし得る。
【0056】
本発明の医薬組成物が本発明の有効成分と1つ以上のさらなる治療剤または予防剤との組み合わせを含む場合、化合物およびさらなる薬は、単剤療法養生法で通常投与される投薬量の約1〜100%の間、より好ましくは約5〜95%の間の投薬量レベルで存在するべきである。さらなる薬は、別々に、複数用量養生法の一部として、本発明の化合物から投与され得る。あるいは、これらの薬は単回投薬形態の一部であり得、単一の組成物中に本発明の有効成分とともに混合され得る。
【0057】
ある好ましい態様において、本発明の治療組成物は肺送達によって投与される。肺送達のために、本発明の治療組成物は調製され、固形または液状粒状形態で、直接投与、例えば呼吸器系への吸入によって患者に投与される。本発明を実施するために調製される活性のある化合物の固形または液状粒状形態としては、呼吸に適するサイズの粒子:すなわち、吸入の際に口および咽頭を通過するのに十分小さく、肺の気管支および肺胞に入るのに十分小さいサイズの粒子が挙げられる。一般的に、サイズが約1〜10ミクロンの範囲の粒子が、呼吸に適する範囲内である。少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む治療組成物は、好ましくは、霧もしくは他のエアロゾル、または乾燥粉末として、送達のための呼吸器系への直接の吸入によって投与される。エアロゾルに含まれる呼吸に適さないサイズの粒子は、咽頭に沈積して嚥下される傾向があり;そのためエアロゾル中の呼吸に適さない粒子の量は、好ましくは最小限度にされる。エアロゾル化された療法の送達、特にエアロゾル化した抗生物質は、当該分野で公知である(例えば、VanDevanterらに対する米国特許第5,767,068号、Smithらに対する米国特許第5,508,269号およびMontgomeryに対するWO 98/43,650参照、これらは全て本明細書中に参照によって援用される)。抗生物質の肺送達の議論はまた、本明細書中に参照によって援用される米国特許第6,014,969号に見出すことができる。
【0058】
肺経路を介した送達の活性のある化合物の投薬量は、治療される状態および被験体の状態によって異なるが、一般的に、被験体の気道表面上で活性のある化合物が溶解する濃度を達成するのに十分な量であり得る。投与される活性のある化合物の特定の製剤の溶解度に依存して、日用量は1つまたはいくつかの単位用量投与に分割してもよい。体重あたりの日用量は、被験体の年齢および状態によって異なる。活性のある化合物のかかる日用量は、一日あたり約0.20 mg/kg〜一日あたり約2.0 mg、より好ましくは約0.1〜約1 mg/kg、最も好ましくは約0.200 mg/kg〜約0.650 mg/kgの範囲で変化する。活性のある化合物の用量は、1つまたはいくつかの、予めパッケージに組んだ単位として提供され得る。
【0059】
本発明の医薬組成物は、該医薬組成物を魚の飼料に混合することによって魚に経口投与し得るか、または該医薬組成物は、感染した魚が入れられている水に溶解し得、方法は通例薬浴と呼ばれる。魚の治療のための投薬量は、投与の目的(疾患の予防または治療)および投与の型、治療する魚の感染の範囲および程度によって異なる。一般に、魚の体重1 kgあたり5〜1000 mg、好ましくは20〜100 mgの投薬量が、一回で、または数回に分けて、一日あたり投与され得る。上で特定した投薬量は、一般的な範囲であるだけで、魚の年齢、体重、疾患の状態等によって減少または増加し得ることが理解されよう。
【0060】
他に規定されない場合、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に通例公知の意味に一致する。今明細書中に引用される全ての参考文献は、印刷物、電子、コンピュータ可読の記憶媒体または他の形態であれ、要約、記事、雑誌、刊行物、テキスト、論文、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公報を含むがこれらに限定されず、その全体が参照によって明白に援用される。
【0061】
実施例
本発明の化合物および方法は、以下の実施例と関連して、よりよく理解されよう。以下の実施例は、実例としてのみ意図されており、本発明の範囲を限定しない。開示される態様に対する様々な変化および変更は、当業者に明白であろう。かかる変化および変更は、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤化および/または方法に関するものを含み、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなくなされ得る。
【0062】
実施例1:形態I EP-13420の調製
酢酸エチル中の粗EP-13420(0.65 kg)を、およそ1.5 Lが残るまで真空中で濃縮した。次いで残渣をエタノール(5.0 L)で希釈し、およそ3.5 Lが残るまで濃縮した。この残渣に、真空を維持し、かつおよそ80℃の温度を維持しながら精製水を加えた。真空を開放し、水溶液をさらに75℃で振盪し、溶液を3時間に亘って、およそ20℃の温度まで冷却した。一旦溶液が20℃の温度に達すると、水性のスラリーをさらに2時間の間振盪し、続いて濾過した。濾過した物質を、冷却した(5℃未満)(1:2)エタノール/水(0.3 L)で洗浄し、母液および洗浄液は今後の使用のために確保した。結晶性物質を乾燥した後、それを再びエタノールに溶解し、前述したのと同じ方法で再結晶化し、EP-13420の形態Iに到達した。
【0063】
実施例2:形態II EP-13420の調製
EP-13420(100 mg)をエタノール(0.35 mL)に溶解し、生じた溶液を攪拌しながら蒸留水(2 mL)にゆっくりと加え、スラリーを形成した。次いでスラリーを室温で2時間攪拌した。白色の結晶性固体を濾過し、乾燥して形態II EP-13420を生じた。
【0064】
実施例3:形態Ia EP-13420の調製
酢酸エチル(0.24 mL)中のEP-13420(100 mg)の溶液に、攪拌しながらn-ヘプタン(2 mL)をゆっくりと加え、スラリーを形成した。次いでスラリーを室温で2時間攪拌した。次いで得られた結晶性物質を濾過および乾燥し、EP-13420の形態Iaを生じた。
【0065】
実施例4:非晶質形態EP-13420の調製
EP-13420(100 mg)を酢酸エチル(1 mL)に溶解し、得られた溶液を、50℃で攪拌することによって濃縮した。得られた個体を真空中で乾燥し、非晶質形態EP-13420を生じた。
【0066】
第二の実験において、EP-013420(67.5 g、80 mmol)をエタノール(250 ml、3.7容積)に40℃で溶解した。ロータリーエバポレーター(rotavap)(槽温:40℃)による溶媒の除去およびそれに続く30℃での48時間の乾燥によって、EP-013420が白色の非晶質の固体(融点<140℃)として提供された。
【0067】
様々な他の有機溶媒が、非晶質形態の形成に適切である、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール性溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルエチル等の有機エステル;ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等の有機エーテル;およびアセトニトリル、MEK、THF、DMF等の他の一般的な有機溶媒。
【0068】
第三の実験において、非晶質EP13420は、EP-13420を非晶質形態の形成の適切な上記いずれかの有機溶媒に溶解することによって工業規模で調製され、溶媒は噴霧乾燥によって除去される。適切な噴霧乾燥技術は、当該分野で周知であり、K Masters, Spray Drying Handbook(第5版), John Wiley and Sons, Inc., New York, NY(1991)に見出すことができる。
【0069】
実施例5:エバポレーションによるEP-13420一水和物の調製
EP-13420(31 mg、純度>98%、HPLC面積)を1ドラムバイアルに充填し、アセトン(1.6 ml)に溶解した。精製水(0.8 ml)を加えた。必要に応じて混合物を加温し、無色透明の溶液を得た。2週間に亘る低速エバポレーションにより、EP-13420一水和物の単結晶を得た。このようにして得られた結晶は、図9に示すように、針晶のようであった。
【0070】
実施例6:アンチソルベント添加による形態Iの調製
薬物物質を室温で溶媒に加え、次いで全ての固体が溶解するまで加熱することによって薬物物質の飽和溶液を調製した。アンチソルベントを添加し、より高いエネルギー形態の沈殿を誘導した。代表的な溶媒、アンチソルベントおよび結晶溶媒(crystalline solvent)を選択した。以下の溶媒/アンチソルベントは形態Iの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;MeOH/水;EtOac/ヘプタン;THF/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;EtOH/水;MIBK/ヘプタン。以下の溶媒/アンチソルベントは形態Iaの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;EtOac/ヘプタン;THF/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;およびMIBK/ヘプタン。EtOH/水はまた、形態IIの形成をもたらした。
【0071】
実施例7:
溶媒中で飽和またはほぼ飽和の溶液を調製し、より体積の大きい混和性のアンチソルベントに、同じかまたはより低い温度で添加した。以下の溶媒/アンチソルベントは、形態IIの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;MeOH/水;THF/ヘプタン;およびEtOH/水。以下の溶媒/アンチソルベントは、形態IまたはIaの形成をもたらした:/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;およびMIBK/ヘプタン。
【0072】
実施例8:抗菌活性
所定の分離細菌に対する抗菌剤のインビトロ活性を定量的に測定するために感受性試験を用い得る。マイクロ希釈法によってインビトロ抗菌活性に関して化合物を試験する。最小発育阻止濃度(MIC)を、観察された細菌分離菌に適切なミュラーヒントンブロス培地(CAMHB)を利用して96ウェルマイクロタイタープレート中で測定する。抗菌剤をDMSO中に連続的に希釈し(2倍)、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの濃度範囲を生じる。次いで、希釈した化合物(2μl/ウェル)を、滅菌した、96固定チップピペッティングステーションの使用によって接種されていないCAMHB(0.2 mL)に移す。各細菌株に対する接種材料は、0.5 McFarland濁度標準に対する光学的な比較によって5×105 CFU/mLに標準化される。プレートに10μl/ウェルの、調節された細菌接種材料を接種する。96ウェルプレートに蓋をし、35 +/- 2℃で24時間、周囲空気環境中でインキュベートする。インキュベーションの後に、光学密度測定によって、増殖の存在(濁度)に関してプレートのウェルを視覚的に調べる。抗菌剤の、視覚的な増殖が全く生じない最低の濃度を、MICと定義する。本発明の有効成分は、典型的には、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの範囲のMICを示す。
【0073】
全てのインビトロ試験は、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)発行の推奨標準M7-A4プロトコルに記載されている指針に従う。
【0074】
本発明を種々の好ましい態様に関して説明してきたが、本発明をこれらに限定することは意図されておらず、むしろ本発明において変化および変更がなされ得、これらは本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲内であることは、当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、EP-13420の形態Iに関する示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を図解する。
【図2】図2は、形態I EP-13420に関するX線粉末回折(XRD)パターンを図解する。
【図3】図3は、形態II EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図4】図4は、形態II EP-13420のXRDパターンを図解する。
【図5】図5は、形態Ia EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図6】図6は、形態Ia EP-13420のXRDパターンを図解する。
【図7】図7は、非晶質EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図8】図8は、非晶質EP-13420に対するCXRDパターンを図解する。
【図9】図9は、EP-13420形態IのSEMイメージである。
【図10A】図10Aおよび10Bは、EP-13420形態Iおよび一水和物それぞれの結晶構造の図である。
【図10B】図10Aおよび10Bは、EP-13420形態Iおよび一水和物それぞれの結晶構造の図である。
【図11A】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図11B】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図11C】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図12】図12は、EP-13420形態IaのSEMイメージである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、EP-13420として知られている6-11二環式ケトライド誘導体の多型形態に関する。
【0002】
発明の背景
マクロライド抗生物質は、特に新規病原体の出現に伴い、治療に重要な役割を演じる。構造的差異は、ラクトン環のサイズならびに糖の数および性質(中性または塩基性)に関する。マクロライドは、ラクトン環のサイズ(12、14、15または16原子)によって分類される。マクロライド抗生物質ファミリー(14、15および16員環誘導体)は、広範な特徴(抗菌スペクトル、副作用およびバイオアベイラビリティ)を示す。一般に使用されるマクロライドとしては、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシンがある。3-クラジノース糖の代わりに3-オキソ部分を有するマクロライドは、ケトライドとして知られており、グラム陰性細菌およびマクロライド耐性グラム陽性細菌に対する活性の増大を示した。安定性、耐性および薬物動態に関するマクロライドの全体のプロフィールを保持することと共に、MLSB耐性株(MLSB=マクロライド-リンコサミド-B型ストレプトグラミン)に対して活性があるマクロライド化合物を捜すことは主要な目的になった。
【0003】
それ自身が投与されるか、または原薬(最終または完成投薬形態としても知られる)として製剤化される所定の薬物またはAPIの多型形態は、例えば、原薬の溶解性、安定性、流動性、フラクタビリティおよび圧縮性、ならびに製剤の安全性および有効性に影響することが医薬分野において周知である(例えば、Knapman、K.Modern Drug Discoveries 53(2000年3月)参照)。各々の製剤の安全性および有効性に対する単一の原薬の種々の多型形態の潜在的な影響は非常に重要であり、米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも、種々の各々の多型形態(存在する場合)のパーセンテージがバッチ間でコントロールされ、一致し、かつFDAにより承認される原薬/製剤規定内にあるように合成プロセスを制御することを各原薬製造業者に要求している。
【0004】
発明の要旨
本発明は、以下の式:
【0005】
【化1】
【0006】
を有するEP-13420の多型形態に関する。
【0007】
本発明は、異なる物理特性を有する、多型結晶性形態:形態I、形態II、形態Ia、および非晶質ならびに一水和物EP-13420を含む。本発明の別の態様では、純粋な形態、または相互に組み合わせた種々の多型形態を製造する方法が提供される。本発明の方法により製造される他の塩および多型体としては、EP13420リンゴ酸塩、HBr、L-酒石酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、DLマンデル酸塩、オロチン酸塩、S-マンデル酸塩、サリチル酸塩、ゲンチシン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、スルホン酸塩、HCl、マロン酸塩、およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。本発明はまた、多型、非晶質、または一水和物形態のEP-13420を含有する医薬組成物および医薬製剤を提供する。本発明の医薬製剤としては、細菌および原生動物感染ならびに炎症性状態の治療に使用するための、EP13420の多型形態または他の形態および1つ以上の薬学的に許容されうる賦形剤を含有する懸濁投薬形態のための錠剤、カプセル、液剤、小袋または粉剤が挙げられる。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、形態I、II、Ia、および一水和物EP-13420ならびに非晶質EP-13420、ならびにそれらの調製方法、ならびに該多型および非晶質形態のEP-13420またはその医薬組成物を用いて、細菌感染の治療を必要する被験体において細菌感染を治療する方法に関する。下記に考察されるように、本発明の多型および非晶質形態を示差走査熱量測定(DSC)およびX線粉末回折(XRD)分析を用いて特徴付けた。これらの技術のいずれかを用いた特徴付けは、純粋な状態であろうとなかろうと各々の特定の多型形態について独特のピークを示した。例えば、純粋な形態Iは、XRDにより分析される場合、独特のピークの範囲を提供する。これらの有意なピークは、純粋な形態IおよびEP-13420の他の多型形態と組み合わせた形態Iを含むサンプルに関するXRD分析で示される。
【0009】
図1は、約173℃の吸熱(endothermic)ピーク(約167℃で開始)を提供する形態I EP-13420のDSC温度記録図を示す。図2は、形態I EP-13420のXRDパターンを示し、その有意なピーク値は下記の表1に提供される。図3は、約163℃の吸熱ピーク(約158℃で開始)を提供する形態II EP-13420のDSC温度記録図を提供する。図4は、形態IIのEP-13420のXRDパターンを表し、その有意なピーク値は下記の表2に提供される。図5は、約169℃で吸熱ピーク(約164℃で開始)を提供する形態Ia EP-13420のDSC温度記録図を表す。図6は、形態Ia EP-13420のXRDパターンを示し、その有意なピーク値は下記の表3に提供される。図7は、約170℃の吸熱ピーク(約159℃で開始)を提供する非晶質EP-13420のDSC温度記録図を示す。図8は、非晶質EP-13420のXRDパターンを示す。結晶形状および/またはサイズのロット間変動、ならびにかかる装置間の変動およびかかる装置の較正がX線回折パターンにおいて好ましい方向として現れうることは、当業者に周知である。上記の好ましいパターンは、約20%までの量で変動として見られうる。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】
1vs=非常に強い(I>50%);s=強い(I>20%);m=中程度(20%>I>8%);w=弱い(8%>I>4%);vw=非常に弱い(I<4%)。
【0014】
表1に示されるXRDピークは、形態I(8%よりも大きい)の有意なピークが、約6.1、7.7、9.3、9.8、11.1、12.2、13.0、14.3、14.5、15.1、15.5、16.9、17.8、18.8、19.4、19.8、20.5、20.8、21.4、23.2、24.4、24.9、25.6、27.9、28.3、29.0、30.0、32.8、33.2、34.1、35.7、37.7、38.1、38.9、および40.4°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置することを示した。形態IIについては、表2に示されるように、有意なXRDピーク(8%よりも大きい)は、約6.1、9.3、9.8、11.2、12.2、13.0、14.6、15.5、16.3、17.0、17.8、18.7、19.9、20.8、21.6、23.1、24.0、25.5、27.9、28.3、30.1、32.8、33.3、および38.0°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態Iaについては、図3に示されるように、有意なXRDピーク(8%よりも大きい)は、約6.1、7.7、9.3、9.7、11.1、11.8、12.2、13.0、13.2、14.2、14.6、14.9、15.5、16.3、16.9、17.8、18.7、19.4、19.8、20.4、20.8、21.4、21.7、23.1、24.0、24.4、25.4、27.8、28.3、30.0、32.8、33.2、34.0、35.7、38.0、40.6、および44.7°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。
【0015】
より好ましくは、本発明の多型形態は、各形態の強いXRDパターンのピーク(I>20%)に対応する2-シータ(2θ)角により特徴付けられうる。形態Iに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、13.0、14.3、14.5、15.1、15.5、16.9、17.8、18.8、19.4、19.8、20.5、20.8、21.4、23.2、24.4、24.9、27.9、28.3、30.0、32.8および33.2°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態IIに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、9.3、9.8、12.2、13.0、14.6、15.5、17.0、17.8、18.7、19.9、21.6、24.0、27.9、28.3、および30.1°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。形態Iaに特徴的な強いXRDパターンのピークは、約6.1、9.7、11.8、12.2、13.0、13.2、14.2、14.6、14.9、15.5、16.9、17.8、18.7、19.4、19.8、20.4、21.4、21.7、23.1、24.0、24.4、25.4、27.8、28.3、30.0、および32.8°の2-シータ(2θ)角に典型的に位置する。
【0016】
本発明の最も好ましい態様は、2-シータ角14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1、38.9、および40.4°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークによって特徴付けられるEP-13420の多型形態I;2-シータ角11.2、17.0、19.9、21.6、25.5、30.1、および33.3°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークにより特徴付けられるEP-13420の多型形態II;または9.7、11.8、13.2、14.2、14.9、20.4、21.7、25.4、27.8、34.0、40.6、および44.7°から選ばれる少なくとも1つの強いXRDピークにより特徴付けられる多型形態Iaである。
【0017】
本発明はまた、実質的に純粋な形態I、実質的に純粋な形態II、実質的に純粋な形態Ia、実質的に純粋な一水和物EP-13420または実質的に純粋な非晶質EP-13420を単独の有効成分として、またはEP-13420の他の多型形態もしくは他の薬学的に活性のある薬剤が挙げられるがこれらに限定されない他の有効成分と組み合わせて、少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体、希釈剤、および/または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。1つより多くのEP-13420の多型形態の組み合わせは、記載される結晶化手順により、またはより正確な組み合わせについては純粋もしくは既知の多型の比のブレンドにより調製される。好ましい多型の組み合わせとしては、形態Iと、形態II、形態Ia、一水和物EP-13420および/または非晶質EP-13420;形態IIと、形態I、形態Ia、一水和物EP-13420および/または非晶質EP-13420;一水和物EP-13420と、形態I、形態II、および/または形態Ia EP-13420および/または非晶質EP-13420;または非晶質EP-13420と形態I、形態II、形態Ia EP-13420および/または一水和物EP13420が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
定義
本発明を説明するために使用される種々の用語の定義を下記に挙げる。これらの定義は、特定の場合において限定しない限り、個々にまたはより大きい群の一部としてのいずれかで、本明細書および請求の範囲を通してそれらが使用される用語に適用する。
【0019】
本明細書中で使用される「実質的に純粋」は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の純度を有する化合物を意味する。
【0020】
本明細書中で使用される用語「有効成分」または「活性のある化合物」は、本明細書中に詳細に示される任意の多型形態、またはその組み合わせ(すなわち、形態I、形態II、形態Ia、非晶質EP-13420もしくは一水和物EP-13420またはその組み合わせ、もしくはEP-13420の他の多型形態との組み合わせ)をいう。好ましくは、純粋な形態の形態Iまたは形態II EP-13420が、本発明の医薬組成物および製剤に使用される。
【0021】
本明細書中で使用される用語「被験体」は動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。被験体はまた、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚、鳥等をいう。
【0022】
本発明の有効成分の「治療有効量」は、任意の医学的治療に適用可能である合理的な利益/リスク比で治療される被験体に治療効果を付与する有効成分の量を意味する。治療効果は、客観的(すなわち、ある試験またはマーカーにより測定可能である)または主観的(すなわち、被験体が効果を示唆するか、または効果を感じる)でありうる。本明細書中に記載される有効成分の有効量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲でありうる。有効な投与量はまた、投与の経路、および他の薬剤との同時使用の可能性に応じて変化する。しかし、本発明の組成物の全体的な一日当たりの使用量は、堅実な医学的判断の範囲内で主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての特定の治療有効量のレベルは、治療対象の障害および障害の重篤さ;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;投与の時間、投与の経路、ならびに使用される特定の化合物の排泄の速度;治療の期間;使用される特定の有効成分と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野で周知の因子等を含む同様の因子による。
【0023】
本発明の治療方法によれば、治療有効量の本発明の有効成分を所望の結果を達成するのに必要な量および時間で患者に投与することにより、ヒトまたは別の動物等の被験体において細菌感染、嚢胞性線維症、および炎症状態が治療または予防される。
【0024】
本明細書中で使用される場合、他に指示されていなければ、用語「細菌感染」または「原生動物感染」は、本発明の多様な形態等の抗生物質を投与することによって治療または予防され得る、哺乳類、魚類および鳥類において起こる細菌感染および原生動物感染、ならびに細菌感染および原生動物感染に関連する障害を含むが、これらに限定されない。かかる細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連する障害としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、モラクセラカタラーリス、黄色ブドウ球菌、ペプトストレプトコッカス種またはシュードモナス種による感染に関連した、肺炎、中耳炎、静脈洞炎、気管支炎、扁桃炎、嚢胞性線維症(CF)および乳様突起炎;化膿連鎖球菌、C群およびG群連鎖球菌、ジフテリア菌(Clostridium diptheriae)またはアクチノバシラスヘモリティクムによる感染に関連した、咽頭炎(pharynigitis)、リウマチ熱および糸球体腎炎;肺炎マイコプラズマ、レジオネラニューモフィラ菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌またはクラミジア肺炎病原体による感染に関連した気道感染;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(すなわち、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカスヘモリティクス(S. hemolyticus)等)、化膿連鎖球菌、ストレプトコッカスアガラクティー、連鎖球菌のC〜F群(微小コロニー連鎖球菌)、ヴィリダンス連鎖球菌、コリネバクテリウム種、クロストリジウム種またはバルトネラヘンセレによる感染に関連した、合併症を伴わない皮膚および柔組織感染、膿瘍および骨髄炎、ならびに産褥熱;スタフィロコッカスサプロフィティクスまたはエンテロコッカス種による感染に関連した、合併症を伴わない急性尿路感染;尿道炎および子宮頚管炎;ならびに、トラコーマクラミジア、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマウレアリティカムまたは淋菌(Nesseria gonorrheae)による感染に関連した性感染病;黄色ブドウ球菌による感染に関連した毒素疾患(食中毒およびトキシックショック症候群)またはA、S.およびC群連鎖球菌による感染に関連した毒素疾患;ヘリコバクターピロリによる感染に関連した潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連した全身性の発熱症候群;ボレリアブルグドルフェリーによる感染に関連したライム病;トラコーマクラミジア、淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌またはリステリア種による感染に関連した、結膜炎、角膜炎および涙嚢炎;トリ型結核菌またはマイコバクテリウムイントラセルラーレによる感染に関連した播種性トリ型結核菌群(MAC)疾患;カンピロバクタージェジュニによる感染に関連した胃腸炎;クリプトスポリジウム種による感染に関連した腸内原生動物、ヴィリダンス連鎖球菌による感染に関連した歯原性感染;百日咳菌による感染に関連した持続性の咳;ウェルチ菌またはバクテロイデス種による感染に関連したガス壊疽;黄色ブドウ球菌、ざ瘡プロピオンバクテリウムによる皮膚感染;ヘリコバクターピロリまたはクラミジア肺炎病原体による感染に関連したアテローム性動脈硬化症;等。
【0025】
動物において治療または予防され得る、細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連した障害としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:パスツレラヘモリティカ、パスツレラムルトシダ、マイコプラズマボビスまたはボルデテラ種による感染に関連した、ウシ呼吸器疾患;大腸菌または原生動物(すなわち、コクシジウム、クリプトスポリジウム等)による感染に関連したウシ腸疾患、黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカスウベリス、ストレプトコッカスアガラクティエ、ストレプトコッカスディスガラクティエ、クレブシエラ種、コリネバクテリウム種またはエンテロコッカス種による感染に関連した乳牛乳腺炎;アクチノバシラスプルロニューモニエ、パスツレラムルトシダまたはマイコプラズマ種による感染に関連したブタ呼吸器疾患;大腸菌、ローソニアイントラセルラーリス、サルモネラ種またはセルプリラハイオディイスインテリエ(Serpulina hyodyisinteriae)による感染に関連したブタ腸疾患;フゾバクテリウム種による感染に関連したウシ腐蹄症;大腸菌による感染に関連したウシ子宮筋層炎;壊死杆菌またはバクテロイデスノドススによる感染に関連したウシ有毛いぼ;モラクセラボビスによる感染に関連したウシ急性カタル性結膜炎、原生動物による感染に関連したウシ早流産(すなわち、ネオスポリウム(neosporium));大腸菌による感染に関連した、イヌおよびネコにおける尿路感染;表皮ブドウ球菌、ストレプトコッカスインターメディウス(S. intermedius)、コアグラーゼ陰性スタフィロコッカスまたはパスツレラムルトシダによる感染に関連した、イヌおよびネコにおける皮膚および柔組織感染;ならびにアルカリゲネス種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、エンテロコッカス種、ユーバクテリウム種、ペプトストレプトコッカス種、ポルフィロモナス(Porphfyromonas)種、カンピロバクター種、放線菌種、エリジペロスリックス種、ロドコッカス種、トリパノソーマ種、プラスモディウム種、バベジア種、トキソプラズマ種、ニューモシスティス種、リーシュマニア種およびトリコモナス種またはプレボテラ種による感染に関連した、イヌおよびエンバク(oats)における歯牙感染または口の感染。本発明の方法に合わせて治療または予防され得る他の細菌感染および原生動物感染ならびにかかる感染に関連した障害は、J.P. Sanfordら、「The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy」第26版(Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)において参照される。
【0026】
本発明はさらに、炎症状態を患っている患者を治療する化合物および方法を提供し、該方法は、それらを必要とする患者に、治療上有効な量の少なくとも一つの本発明の化合物を投与することを含む。本発明に従って治療できる炎症状態の特定の例としては、強膜炎;上強膜炎;アレルギー性結膜炎;肺炎症性疾患、特に嚢胞性線維症(CF)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)およびサルコイドーシス;直腸S字結腸炎;アレルギー性鼻炎;関節炎;腱炎;アフタ性(apthous)口内炎;ならびに炎症性腸疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明はさらに、i)CFに関連した肺感染および炎症を含む症状CFの疑いのある患者の予防療法、ii)CFに関連した肺感染および炎症の症状の初期の徴候における治療、ならびにiii)CFに関連した感染および炎症の進行中または再発の症状の治療のための組成物および方法を提供する。本発明に従って、CFの治療を必要とする患者に、慢性肺炎症および感染を含むCFの症状を予防するか、減少させるか、または皆無にするのに十分な量、本発明の化合物が投与される。
【0028】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、治療上有効な量のいずれか一つの本発明の有効成分またはその組み合わせを含み、任意に1つ以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤とともに製剤化される。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は、任意の型の、非毒性で不活性な固形、半固形または液状の充填剤、希釈剤、被包材料または製剤化補助を意味する。薬学的に許容され得る担体として役立ち得る物質のいくつかの例は、ラクトース、ブドウ糖およびショ糖等の糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプン等のデンプン;セルロース、およびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ワックス等の賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油等の油;プロピレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質不含水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液であり、また、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および香料、保存薬ならびに抗酸化剤もまた、処方者の判断によって組成物中に存在し得る。
【0030】
本発明の医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、または埋め込まれたレザバーを媒介として、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の、従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体、佐剤またはビヒクルを含み得る。ある場合においては、製剤化のpHは、薬学的に許容され得る酸、塩基または緩衝剤を用いて、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を増強するように調節され得る。用語非経口は、本明細書中で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0031】
経口投与のための液状投薬形態としては、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性のある化合物に加えて、液状投薬形態は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等の他の溶媒、可溶化剤および乳化剤等の当該分野で慣用の不活性な希釈剤を含み得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤および香料等の佐剤を含み得る。
【0032】
ある態様において、本発明の好ましい懸濁剤製剤は、単純なシロップ:滅菌水(4:56、v:v)溶液中に60〜1600 mgの非晶質のEP-13420を含む。
【0033】
別の態様において、懸濁剤は、本明細書中に参照によって援用される米国特許公報第2004/0142029号に記載されるように、医薬成分の味が有利にマスキングされるように製造される。味をマスキングされた、好ましくは水性のビヒクル中の懸濁液の形の、EP 13420のある好ましい医薬製剤(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの組み合わせ)は、a)有機溶媒に可溶性だが、pHにかかわらず水には実質的に不溶性のセルロースの重合体;酸性の媒質に可溶性で中性またはアルカリ性pHでは実質的に不溶性のメタクリル酸塩の重合体、ならびに混合物中で一様な様式および分子状態で分配された、噴霧されたマトリックスの形の有効成分;b)薬学的に許容され得る、有機性の性質のアルカリ化剤またはアルカリ塩;ならびにc)吸着剤を含む。セルロースの重合体およびメタクリル酸の重合体は、好ましくは、それぞれエチルセルロース、ならびにメタクリル酸2-ジメチルアミノエチルおよび中性メタクリル酸塩から形成されたカチオン重合体である。アルカリ化剤および吸着剤は、好ましくはクエン酸メグルミン、クエン酸リシン、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムならびに炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムならびにタルクである。セルロースの重合体は、噴霧されたマトリックス中に、約30重量%〜約50重量%の範囲の割合で存在し、メタクリル酸塩の重合体は、約10重量%〜約25重量%の範囲の割合で存在し;かつEP 13420は、噴霧されたマトリックス中に、約50重量%という最大のレベルで存在する。ある態様において、マトリックス中のセルロースの重合体およびメタクリル酸塩の重合体の好ましい割合は、それぞれ約40重量%〜約45重量%および約15重量%〜約20重量%であり、ここでマトリックス中のEP 13420の最大量は約30重量%である。製剤は、マトリックス内に疎水性の可塑化剤および/または酸化防止剤を任意に含み得る。製剤はまた、防腐剤、甘味料、濃化剤および香味剤から選択される1つ以上の要素を任意に含み得る。
【0034】
味をマスキングする別の態様において、製剤は、約60%〜約80%のグリセロールまたは脂肪酸のエステルと混合された約15〜約30%のEP 13420を、任意の形態または任意の組み合わせの形態で含有し、ここにワックスが任意に添加され、界面活性剤が添加され、かつここで組成物は約350ミクロン未満の粒子径を生じさせることができる噴霧冷却処理によって調製される。この態様において用いられるグリセロールまたは脂肪酸のエステルは、以下の特徴:約25℃〜約100℃、好ましくは約25℃〜約70℃の範囲の融解温度および融解状態での安定性を有する。グリセロールのエステルは、ステアリン酸グリセリルまたはパルミトステアリン酸グリセリル、特にPrecirol(登録商標)から選択され得る。グリセロールのエステルは、有利には、組成物の全混合物の50〜85重量%の間であり;好ましくは60〜80重量%の間、より詳しくは70〜80重量%の間である。任意に添加され得るワックスは、有利にはカルナウバワックスであり得、パラフィンまたは蜜蝋もしくはカンデリラ蝋から選択されてもよい。ワックスを組成物に添加する場合、組成物の全混合物の約4重量%〜約10重量%の割合で、かつ導入されるグリセロールのエステルに関して約5%〜約20%の割合で添加し得る。脂肪酸を組成物中に導入する場合、この脂肪酸は、有利にはパルミチン酸、ミリスチン酸またはステアリン酸から選択される。脂肪酸は、組成物の全混合物の約60重量%〜約80重量%の割合で導入される。組成物に導入される界面活性剤は、有利にはレシチン、特にダイズレシチン、または7未満のHLBを有するソルビタンエステルのファミリーの界面活性剤から選択される。界面活性剤は、組成物の全混合物の約1重量%〜約3重量%の割合で添加される。
【0035】
注射可能な調製物、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いた公知の技術に従って製剤化され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤、懸濁剤または乳剤、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。用いられ得る、許容され得るビヒクルおよび溶媒に、水、リンガー液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒質として慣例的に用いられている。この目的のために、合成のモノまたはジグリセリドを含む任意の刺激のない固定油が用いられ得る。また、オレイン酸等の脂肪酸が、注射可能物質の調製に用いられる。
【0036】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用の前に滅菌水または他の無菌の注射可能な媒質に溶解または分散し得る無菌の固形組成物の形の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。
【0037】
薬物の効果を長くするために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合が多い。これは、水溶解性の低い結晶性または非晶質の物質の液状懸濁物の使用によって達成され得る。このとき、薬物の吸収の速度は、その溶解の速度に依存し、同様に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能な蓄積形態は、ポリ乳酸−コグリコライド等の生分解性の重合体中で薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。重合体に対する薬物の割合および用いられる特定の重合体の性質に依存して、薬物放出の速度は制御され得る。他の生分解性重合体の例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射可能な製剤はまた、薬物を体組織適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョン中に閉じ込めることによって調製される。
【0038】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体だが体温では液体であり、そのため直腸または膣腔で融解して活性のある化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得る坐剤である。
【0039】
経口投与のための固形の投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤および顆粒剤が挙げられる。かかる固形の投薬形態において、活性のある化合物は少なくとも1つの、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体および/またはa)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ショ糖およびアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤(humectant)、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶解遅延剤、f)第四アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤(wetting agent)、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。同様の型の固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のようなかかる賦形剤を用いたソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられ得る。
【0040】
本発明は、2つの好ましいカプセル処方または「ブレンド」を提供する。2つの好ましいブレンドの製剤は、それぞれ:
【0041】
【表0】
【0042】
を含む。
【0043】
別の態様において、上記のブレンド番号1および番号2を含む噛むタイプのソフトカプセル剤(soft bite capsules)が提供される。噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は当該分野で周知である。
【0044】
別の態様において、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、約0.01〜85重量%の少なくとも1つの形態の本発明の有効成分、非極性溶媒約4〜99.99%、乳化剤約0〜20%を含んで提供され、好ましくはここで任意の充填組成物は約10%未満の水を含み、また任意に組成物の重量で、香味剤約0.01〜10%(全てのパーセンテージは全組成物の重量%)も含む。好ましくは、噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、非極性溶媒約21.5〜99.975重量%、乳化剤約0〜15重量%、有効成分約0.025〜70重量%、香味剤約1〜8重量%を含み、さらにより好ましくは、非極性溶媒約28.5〜97.9重量%、乳化剤約0〜10重量%、有効成分約0.1〜65.0重量%、香味剤約2〜6%を含む。別の態様において、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、約0.01〜65%の有効成分、極性溶媒約25〜99.89%、乳化剤約0〜20%、有効成分を含んで提供され、好ましくはかかる組成物は約10重量%未満の水を含み、また任意に香味剤約01〜10重量%を含む。好ましくは、噛むタイプのソフトゼラチンカプセル剤は、極性溶媒約37〜99.95%、乳化剤約0〜15%、有効成分約0.025〜55%、香味剤約約1〜8%、より好ましくは極性溶媒約44〜96.925%、乳化剤約0〜10%、有効成分約0.075〜50%、香味剤約2〜6%(全てのパーセンテージは全組成物の重量%)を含む。
【0045】
別の態様において、本発明は、水溶性アルギン酸塩およびアルギン酸の錯塩、本明細書中に記載されるEP 13420の任意の形態である有効成分またはそれらの組み合わせ、プロトンを供与できて水中のpKa値が4.0〜9.0である無機塩からなるアルギン酸塩マトリックスを含む錠剤を提供する。アルギン酸塩製剤は、一般的に、本明細書中に参照によって援用されるWO 2004/056344に記載されている。本発明に適切なアルギン酸塩マトリックスは、水溶性アルギン酸塩およびアルギン酸の錯塩を含む。組成物中の水溶性アルギン酸塩は、典型的にはカリウム塩またはナトリウム塩等のアルギン酸のアルカリ塩またはアンモニウム塩である。アルギン酸の錯塩は、典型的にはアルギン酸のナトリウム−カルシウム錯塩である。可溶性アルギン酸塩の、アルギン酸の錯塩に対する重量比は、約16:1〜1:1の間、好ましくは約8:1〜2:1の間を変動し得る。同じ比が、アルギン酸ナトリウムのアルギン酸カルシウムナトリウムに対する比に適用される。好ましくは、組成物中の可溶性アルギン酸塩の量は、組成物の総重量の約6%〜約25%の間を変動し、アルギン酸の錯塩の量は、組成物の総重量の約0.5%〜約10%の間を変動する。混合物は、慣例的な顆粒化技術に従って、かつ得られた顆粒を慣例的な乾燥技術を用いて乾燥することによって顆粒化され得る。乾燥した顆粒は、任意に大きさを変更されてもよい。組成物がカプセル剤である場合、顆粒はカプセル(例えばゼラチンカプセル)に充填される。組成物が錠剤である場合、顆粒は、慣例的な技術を用いて破砕剤(glindant)/潤滑剤と混合され得、錠剤中に圧縮され得る。
【0046】
別の態様において、本発明は、「迅速融解」製剤を提供する。かかる迅速融解製剤は、典型的には、水または咀嚼の必要なく患者の口内ですぐに溶解または分散する錠剤またはロゼンジの形である。かかる迅速融解製剤は、本明細書中に参照によって援用されるWO 03/074029に記載されている。特定の態様において、製剤は、少なくとも1つの形態の本発明のEP 13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む、圧縮されていない、自由流動する複数の粒子および水溶性の賦形剤を含み、該粒子は10ミクロン〜約1 mmより大きい平均直径を有し、該粒子は少なくとも約50%有効成分を含み、製剤は流体の同時投与なしに患者の口内で投与後1分以内に溶解する。製剤の水溶性賦形剤は、ソルビトール、マンニトール(manitol)、マルチトール、還元デンプン糖類、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトールならびにそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない糖アルコールを含み得る。他の適切な水溶性賦形剤としては、ゼラチン、一部加水分解されたゼラチン、加水分解デキストラン、デキストリン、アルギン酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。クエン酸、炭酸塩源等の唾液腺刺激薬ならびにサッカリン塩およびアスパルテーム等の甘味料が任意に含まれてもよい。
【0047】
錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形の投薬形態は、腸溶性剤皮および薬学の製剤化技術において周知の他の剤皮等の剤皮および外皮を用いて調製され得る。これらは任意に混濁剤を含み得、また1つまたは複数の有効成分を、腸管のある部位のみで、または腸管のある部位で選択的に、任意に遅延した様式で放出する組成物でもあり得る。用いられ得る包埋組成物の例としては、重合体の物質およびワックスが挙げられる。
【0048】
本発明の化合物の局所的または経皮投与のための投薬形態としては、軟膏、泥膏、クリーム、ローション剤、ゲル、粉剤、液剤、スプレー、吸入薬または貼付剤が挙げられる。活性のある成分は、必要に応じて無菌条件下で薬学的に許容され得る単体および任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼の製剤、点耳剤、眼軟膏剤、粉剤および液剤もまた、本発明の範囲内であると企図される。
【0049】
軟膏、泥膏、クリームおよびゲルは、本発明の活性のある化合物の他に、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含んでもよい。
【0050】
粉剤およびスプレーは、本発明の化合物の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含み得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素等の慣例的な高圧ガスをさらに含み得る。ある態様において、本発明は、少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む製剤を、本明細書中に参照によって援用されている米国特許公報第2003/0082107号に記載されるものと同様な極性または非極性溶媒を含む口内のエアロゾルスプレーにおいて提供する。この態様において、経粘膜投与のための高圧ガス不含口内スプレー製剤は、少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)および極性または非極性溶媒を、約30〜99%の間の量含む。高圧ガス口内スプレーが所望される場合、任意に、高圧ガスを全組成物の約2〜10重量%の量用いてもよい。
【0051】
経皮貼付剤は、体への化合物の制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる投薬形態は、化合物を適切な媒質に溶解または分散させることによって作ることができる。吸収促進薬もまた、皮膚を横切る化合物の流速を高めるのに使用され得る。速度は、速度制御膜を提供するか、重合体マトリックスまたはゲルに化合物を分散するかのいずれかによって制御され得る。
【0052】
ヒトまたは他の動物に単回用量で、または分割量で投与される本発明の医薬組成物の総日用量は、例えば0.01〜50 mg/kg体重、より通常には0.1〜25 mg/kg体重の量であり得る。単回投与組成物は、かかる量を含んでもよく、日用量を構成するようにその約量を含んでもよい。一般的に、本発明の治療計画は、かかる治療を必要とする患者への、単回または複数回用量で一日あたり約10 mg〜約1000 mgの1つまたは複数の本発明の化合物の投与を含む。
【0053】
医薬組成物は、本明細書中で使用される場合、例えば、注射によって、静脈内に、動脈内に、皮下に(subdermally)、腹腔内に、筋肉内にもしくは皮下に(subcutaneously);または経口で、口内に、鼻に、経粘膜で、局所的に、眼の調製物において、もしくは吸入によって、約0.1〜約500 mg/kg体重の範囲の投薬量か、あるいは1 mg〜1000 mg/用量の間の投薬量で、4〜120時間ごとに、または特定の薬物の必要しだいで投与され得る。本明細書中の方法は、所望の、または定まった効果を獲得するための治療上有効な量の医薬組成物の投与を企図する。典型的には、本発明の医薬組成物は、一日あたり約1〜約6回、あるいは継続的な注入として投与される。かかる投与は、慢性の、または急性の治療として用いられ得る。賦形剤または担体と薬学的に組み合わせて単回投薬形態を形成し得る有効成分の量は、治療される宿主および投与の個々の様式に依存して変化する。典型的な調製物は、約5%〜約95%有効成分(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は、約20%〜約80%有効成分を含み得る。
【0054】
上で列挙したものより低いか、または高い用量も必要とされ得る。任意の特定の患者のための特定の投薬量および治療養生法は、用いられる特定の医薬組成物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態または症状の重症度および経過、疾患、状態または症状に対する患者の素質、ならびに治療する医師の判断を含む様々な因子に依存する。
【0055】
患者の状態の向上に際して、維持量の、本発明のいずれか1つの有効成分、またはその組み合わせが、必要ならば投与され得る。続いて、投薬量もしくは投与の頻度またはそれら両方は、症状が所望のレベルまで緩和された場合に、症状に応じて、向上した状態が維持されるレベルまで減らされ得る。しかしながら、患者は、疾患症状の任意の再発の際に長期的に断続的な治療を必要とし得る。
【0056】
本発明の医薬組成物が本発明の有効成分と1つ以上のさらなる治療剤または予防剤との組み合わせを含む場合、化合物およびさらなる薬は、単剤療法養生法で通常投与される投薬量の約1〜100%の間、より好ましくは約5〜95%の間の投薬量レベルで存在するべきである。さらなる薬は、別々に、複数用量養生法の一部として、本発明の化合物から投与され得る。あるいは、これらの薬は単回投薬形態の一部であり得、単一の組成物中に本発明の有効成分とともに混合され得る。
【0057】
ある好ましい態様において、本発明の治療組成物は肺送達によって投与される。肺送達のために、本発明の治療組成物は調製され、固形または液状粒状形態で、直接投与、例えば呼吸器系への吸入によって患者に投与される。本発明を実施するために調製される活性のある化合物の固形または液状粒状形態としては、呼吸に適するサイズの粒子:すなわち、吸入の際に口および咽頭を通過するのに十分小さく、肺の気管支および肺胞に入るのに十分小さいサイズの粒子が挙げられる。一般的に、サイズが約1〜10ミクロンの範囲の粒子が、呼吸に適する範囲内である。少なくとも1つの形態のEP-13420(形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質またはそれらの任意の組み合わせ)を含む治療組成物は、好ましくは、霧もしくは他のエアロゾル、または乾燥粉末として、送達のための呼吸器系への直接の吸入によって投与される。エアロゾルに含まれる呼吸に適さないサイズの粒子は、咽頭に沈積して嚥下される傾向があり;そのためエアロゾル中の呼吸に適さない粒子の量は、好ましくは最小限度にされる。エアロゾル化された療法の送達、特にエアロゾル化した抗生物質は、当該分野で公知である(例えば、VanDevanterらに対する米国特許第5,767,068号、Smithらに対する米国特許第5,508,269号およびMontgomeryに対するWO 98/43,650参照、これらは全て本明細書中に参照によって援用される)。抗生物質の肺送達の議論はまた、本明細書中に参照によって援用される米国特許第6,014,969号に見出すことができる。
【0058】
肺経路を介した送達の活性のある化合物の投薬量は、治療される状態および被験体の状態によって異なるが、一般的に、被験体の気道表面上で活性のある化合物が溶解する濃度を達成するのに十分な量であり得る。投与される活性のある化合物の特定の製剤の溶解度に依存して、日用量は1つまたはいくつかの単位用量投与に分割してもよい。体重あたりの日用量は、被験体の年齢および状態によって異なる。活性のある化合物のかかる日用量は、一日あたり約0.20 mg/kg〜一日あたり約2.0 mg、より好ましくは約0.1〜約1 mg/kg、最も好ましくは約0.200 mg/kg〜約0.650 mg/kgの範囲で変化する。活性のある化合物の用量は、1つまたはいくつかの、予めパッケージに組んだ単位として提供され得る。
【0059】
本発明の医薬組成物は、該医薬組成物を魚の飼料に混合することによって魚に経口投与し得るか、または該医薬組成物は、感染した魚が入れられている水に溶解し得、方法は通例薬浴と呼ばれる。魚の治療のための投薬量は、投与の目的(疾患の予防または治療)および投与の型、治療する魚の感染の範囲および程度によって異なる。一般に、魚の体重1 kgあたり5〜1000 mg、好ましくは20〜100 mgの投薬量が、一回で、または数回に分けて、一日あたり投与され得る。上で特定した投薬量は、一般的な範囲であるだけで、魚の年齢、体重、疾患の状態等によって減少または増加し得ることが理解されよう。
【0060】
他に規定されない場合、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に通例公知の意味に一致する。今明細書中に引用される全ての参考文献は、印刷物、電子、コンピュータ可読の記憶媒体または他の形態であれ、要約、記事、雑誌、刊行物、テキスト、論文、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公報を含むがこれらに限定されず、その全体が参照によって明白に援用される。
【0061】
実施例
本発明の化合物および方法は、以下の実施例と関連して、よりよく理解されよう。以下の実施例は、実例としてのみ意図されており、本発明の範囲を限定しない。開示される態様に対する様々な変化および変更は、当業者に明白であろう。かかる変化および変更は、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤化および/または方法に関するものを含み、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなくなされ得る。
【0062】
実施例1:形態I EP-13420の調製
酢酸エチル中の粗EP-13420(0.65 kg)を、およそ1.5 Lが残るまで真空中で濃縮した。次いで残渣をエタノール(5.0 L)で希釈し、およそ3.5 Lが残るまで濃縮した。この残渣に、真空を維持し、かつおよそ80℃の温度を維持しながら精製水を加えた。真空を開放し、水溶液をさらに75℃で振盪し、溶液を3時間に亘って、およそ20℃の温度まで冷却した。一旦溶液が20℃の温度に達すると、水性のスラリーをさらに2時間の間振盪し、続いて濾過した。濾過した物質を、冷却した(5℃未満)(1:2)エタノール/水(0.3 L)で洗浄し、母液および洗浄液は今後の使用のために確保した。結晶性物質を乾燥した後、それを再びエタノールに溶解し、前述したのと同じ方法で再結晶化し、EP-13420の形態Iに到達した。
【0063】
実施例2:形態II EP-13420の調製
EP-13420(100 mg)をエタノール(0.35 mL)に溶解し、生じた溶液を攪拌しながら蒸留水(2 mL)にゆっくりと加え、スラリーを形成した。次いでスラリーを室温で2時間攪拌した。白色の結晶性固体を濾過し、乾燥して形態II EP-13420を生じた。
【0064】
実施例3:形態Ia EP-13420の調製
酢酸エチル(0.24 mL)中のEP-13420(100 mg)の溶液に、攪拌しながらn-ヘプタン(2 mL)をゆっくりと加え、スラリーを形成した。次いでスラリーを室温で2時間攪拌した。次いで得られた結晶性物質を濾過および乾燥し、EP-13420の形態Iaを生じた。
【0065】
実施例4:非晶質形態EP-13420の調製
EP-13420(100 mg)を酢酸エチル(1 mL)に溶解し、得られた溶液を、50℃で攪拌することによって濃縮した。得られた個体を真空中で乾燥し、非晶質形態EP-13420を生じた。
【0066】
第二の実験において、EP-013420(67.5 g、80 mmol)をエタノール(250 ml、3.7容積)に40℃で溶解した。ロータリーエバポレーター(rotavap)(槽温:40℃)による溶媒の除去およびそれに続く30℃での48時間の乾燥によって、EP-013420が白色の非晶質の固体(融点<140℃)として提供された。
【0067】
様々な他の有機溶媒が、非晶質形態の形成に適切である、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール性溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルエチル等の有機エステル;ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等の有機エーテル;およびアセトニトリル、MEK、THF、DMF等の他の一般的な有機溶媒。
【0068】
第三の実験において、非晶質EP13420は、EP-13420を非晶質形態の形成の適切な上記いずれかの有機溶媒に溶解することによって工業規模で調製され、溶媒は噴霧乾燥によって除去される。適切な噴霧乾燥技術は、当該分野で周知であり、K Masters, Spray Drying Handbook(第5版), John Wiley and Sons, Inc., New York, NY(1991)に見出すことができる。
【0069】
実施例5:エバポレーションによるEP-13420一水和物の調製
EP-13420(31 mg、純度>98%、HPLC面積)を1ドラムバイアルに充填し、アセトン(1.6 ml)に溶解した。精製水(0.8 ml)を加えた。必要に応じて混合物を加温し、無色透明の溶液を得た。2週間に亘る低速エバポレーションにより、EP-13420一水和物の単結晶を得た。このようにして得られた結晶は、図9に示すように、針晶のようであった。
【0070】
実施例6:アンチソルベント添加による形態Iの調製
薬物物質を室温で溶媒に加え、次いで全ての固体が溶解するまで加熱することによって薬物物質の飽和溶液を調製した。アンチソルベントを添加し、より高いエネルギー形態の沈殿を誘導した。代表的な溶媒、アンチソルベントおよび結晶溶媒(crystalline solvent)を選択した。以下の溶媒/アンチソルベントは形態Iの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;MeOH/水;EtOac/ヘプタン;THF/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;EtOH/水;MIBK/ヘプタン。以下の溶媒/アンチソルベントは形態Iaの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;EtOac/ヘプタン;THF/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;およびMIBK/ヘプタン。EtOH/水はまた、形態IIの形成をもたらした。
【0071】
実施例7:
溶媒中で飽和またはほぼ飽和の溶液を調製し、より体積の大きい混和性のアンチソルベントに、同じかまたはより低い温度で添加した。以下の溶媒/アンチソルベントは、形態IIの形成をもたらした:MEK/ヘプタン;MeOH/水;THF/ヘプタン;およびEtOH/水。以下の溶媒/アンチソルベントは、形態IまたはIaの形成をもたらした:/ヘプタン;IPAc/ヘプタン;およびMIBK/ヘプタン。
【0072】
実施例8:抗菌活性
所定の分離細菌に対する抗菌剤のインビトロ活性を定量的に測定するために感受性試験を用い得る。マイクロ希釈法によってインビトロ抗菌活性に関して化合物を試験する。最小発育阻止濃度(MIC)を、観察された細菌分離菌に適切なミュラーヒントンブロス培地(CAMHB)を利用して96ウェルマイクロタイタープレート中で測定する。抗菌剤をDMSO中に連続的に希釈し(2倍)、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの濃度範囲を生じる。次いで、希釈した化合物(2μl/ウェル)を、滅菌した、96固定チップピペッティングステーションの使用によって接種されていないCAMHB(0.2 mL)に移す。各細菌株に対する接種材料は、0.5 McFarland濁度標準に対する光学的な比較によって5×105 CFU/mLに標準化される。プレートに10μl/ウェルの、調節された細菌接種材料を接種する。96ウェルプレートに蓋をし、35 +/- 2℃で24時間、周囲空気環境中でインキュベートする。インキュベーションの後に、光学密度測定によって、増殖の存在(濁度)に関してプレートのウェルを視覚的に調べる。抗菌剤の、視覚的な増殖が全く生じない最低の濃度を、MICと定義する。本発明の有効成分は、典型的には、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの範囲のMICを示す。
【0073】
全てのインビトロ試験は、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)発行の推奨標準M7-A4プロトコルに記載されている指針に従う。
【0074】
本発明を種々の好ましい態様に関して説明してきたが、本発明をこれらに限定することは意図されておらず、むしろ本発明において変化および変更がなされ得、これらは本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲内であることは、当業者に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、EP-13420の形態Iに関する示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を図解する。
【図2】図2は、形態I EP-13420に関するX線粉末回折(XRD)パターンを図解する。
【図3】図3は、形態II EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図4】図4は、形態II EP-13420のXRDパターンを図解する。
【図5】図5は、形態Ia EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図6】図6は、形態Ia EP-13420のXRDパターンを図解する。
【図7】図7は、非晶質EP-13420のDSC温度記録図を図解する。
【図8】図8は、非晶質EP-13420に対するCXRDパターンを図解する。
【図9】図9は、EP-13420形態IのSEMイメージである。
【図10A】図10Aおよび10Bは、EP-13420形態Iおよび一水和物それぞれの結晶構造の図である。
【図10B】図10Aおよび10Bは、EP-13420形態Iおよび一水和物それぞれの結晶構造の図である。
【図11A】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図11B】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図11C】図11A、11Bおよび11Cは、EP-13420形態IIのSEMイメージである。
【図12】図12は、EP-13420形態IaのSEMイメージである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1、38.9、および40.4°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態I EP-13420と呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項2】
173℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(differential scanning calorimetry endotherm)(167℃で開始)を有する請求項1記載の多型形態I。
【請求項3】
実質的に純粋な形態の請求項1記載の多型形態I。
【請求項4】
11.2、17.0、19.9、21.6、25.5、30.1、および33.3°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態IIと呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項5】
163℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(158℃で開始)を有する請求項3記載の多型形態II。
【請求項6】
実質的に純粋な形態の請求項4記載の多型形態II。
【請求項7】
9.7、11.8、13.2、14.2、14.9、20.4、21.7、25.4、27.8、34.0、40.6、および44.7°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態Iaと呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項8】
169℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(164℃で開始)を有する請求項7記載の多型形態Ia。
【請求項9】
実質的に純粋な形態である請求項7記載の多型形態I。
【請求項10】
図8に示されるX線回折パターンを有するEP-13420の非晶質形態。
【請求項11】
170℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(159℃で開始)を有する請求項7記載のEP-13420の非晶質形態。
【請求項12】
図1のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項13】
図3のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項14】
図5のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項15】
図7のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項16】
EP-13420一水和物。
【請求項17】
薬学的に許容されうる担体と組み合わせた、形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる、治療有効量のEP-13420の形態を含有してなる医薬組成物。
【請求項18】
経口投与用の請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
カプセル形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
錠剤形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項21】
エリキシル剤形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体が、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸着促進剤、湿潤剤、吸収剤、潤滑剤、緩衝剤、被覆剤、および不透明化剤からなる群より選ばれる請求項17記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、細菌感染の治療を必要とする被験体における細菌感染の治療方法。
【請求項24】
形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれるEP13420の形態を含有してなる薬学的有効成分。
【請求項25】
約60%〜約80%(w/w)のグリセロールまたは脂肪酸のエステルと混合した約15〜約30%(w/w)の有効成分を含有してなり、ワックスが任意に添加され、界面活性剤が添加され、医薬製剤が約350ミクロン未満の粒子サイズを生成しうる噴霧冷却処理により調製される、請求項24記載の有効成分を含有してなる、味がマスキングされた医薬製剤。
【請求項26】
水性ビヒクル中の懸濁物の形態で請求項24記載の有効成分を含有し、a)有機溶媒に可溶性であり、任意のpHで水に実質的に不溶性であるセルロースポリマー;b)酸媒体に可溶性であり、中性またはアルカリ性のpHで実質的に不溶性であるメタクリルポリマー、ここで有効成分は均一な様式で、かつ分子状態で混合物中に分布し、これは噴霧マトリックスの形態である;c)有機性質の薬学的に許容されうるアルカリ剤またはアルカリ塩;およびd)吸着剤をさらに含有してなる、味がマスキングされた医薬製剤。
【請求項27】
マトリックス中のセルロースポリマーおよびメタクリルポリマーの比が、それぞれ約40重量%〜約45重量%および約15重量%〜約20重量の範囲であり、マトリックス中の有効成分の最大量が約30重量%である請求項26記載の医薬製剤。
【請求項28】
以下:
【表1】
からなる群より選ばれる製剤を含有してなる経口投与用カプセル。
【請求項29】
請求項24記載の有効成分、水溶性アルギン酸塩からなるアルギン酸塩マトリックス、アルギン酸の錯塩、および無機塩を含有してなり、無機塩がプロトンを供与可能であり、水中で4.0〜9.0のpKa値を有することを特徴とする医薬製剤。
【請求項30】
請求項24記載の有効成分を含有する非圧縮の自由流動性の複数の粒子、および水溶性賦形剤を含有してなる、迅速に融解するロゼンジまたは錠剤用の医薬製剤であって、該粒子が10ミクロンより大きく約1mmまでの平均直径を有し、該粒子が少なくとも約50%の有効成分を含有し、該製剤が、流体の同時投与なしで投与後1分以内に患者の口腔内で溶解する、医薬製剤。
【請求項31】
請求項24記載の約0.01〜85重量%の有効成分、約4〜99.99重量%の非極性溶媒、および約0〜20重量%の乳化剤を含有してなる、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル用の医薬製剤。
【請求項32】
請求項24記載の有効成分および約30〜99%の量の極性または非極性溶媒を含有してなる、経粘膜投与のための高圧ガス非含有口腔スプレー製剤用の医薬製剤。
【請求項33】
請求項24記載の有効成分、約30〜99重量%の量の極性または非極性溶媒、および約2〜10重量%の量の高圧ガスを含有してなる、経粘膜投与のための口腔スプレー製剤用の医薬製剤。
【請求項34】
噴霧製剤中に請求項24記載の有効成分を含有してなる、肺送達製剤用の医薬製剤。
【請求項35】
エアロゾル化製剤中に請求項24記載の有効成分を含有してなる、肺送達製剤用の医薬製剤。
【請求項36】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、炎症の治療を必要とする被験体における炎症の治療方法。
【請求項37】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、嚢胞性線維症の治療を必要とする被験体における嚢胞性線維症の治療方法。
【請求項1】
14.3、14.5、15.1、18.8、20.5、23.2、24.9、25.6、29.0、34.1、37.7、38.1、38.9、および40.4°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態I EP-13420と呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項2】
173℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(differential scanning calorimetry endotherm)(167℃で開始)を有する請求項1記載の多型形態I。
【請求項3】
実質的に純粋な形態の請求項1記載の多型形態I。
【請求項4】
11.2、17.0、19.9、21.6、25.5、30.1、および33.3°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態IIと呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項5】
163℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(158℃で開始)を有する請求項3記載の多型形態II。
【請求項6】
実質的に純粋な形態の請求項4記載の多型形態II。
【請求項7】
9.7、11.8、13.2、14.2、14.9、20.4、21.7、25.4、27.8、34.0、40.6、および44.7°から選ばれる2-シータ(2θ)角に位置する少なくとも1つの強いピークを有するX線回折パターンを有する、形態Iaと呼ばれるEP-13420の多型形態。
【請求項8】
169℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(164℃で開始)を有する請求項7記載の多型形態Ia。
【請求項9】
実質的に純粋な形態である請求項7記載の多型形態I。
【請求項10】
図8に示されるX線回折パターンを有するEP-13420の非晶質形態。
【請求項11】
170℃で示差走査熱量測定において吸熱反応(159℃で開始)を有する請求項7記載のEP-13420の非晶質形態。
【請求項12】
図1のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項13】
図3のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項14】
図5のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項15】
図7のXRDパターンにより特徴付けられるEP-13420の多型形態。
【請求項16】
EP-13420一水和物。
【請求項17】
薬学的に許容されうる担体と組み合わせた、形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる、治療有効量のEP-13420の形態を含有してなる医薬組成物。
【請求項18】
経口投与用の請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
カプセル形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
錠剤形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項21】
エリキシル剤形態の請求項18記載の医薬組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの薬学的に許容されうる担体が、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸着促進剤、湿潤剤、吸収剤、潤滑剤、緩衝剤、被覆剤、および不透明化剤からなる群より選ばれる請求項17記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、細菌感染の治療を必要とする被験体における細菌感染の治療方法。
【請求項24】
形態I、形態Ia、形態II、一水和物、非晶質、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれるEP13420の形態を含有してなる薬学的有効成分。
【請求項25】
約60%〜約80%(w/w)のグリセロールまたは脂肪酸のエステルと混合した約15〜約30%(w/w)の有効成分を含有してなり、ワックスが任意に添加され、界面活性剤が添加され、医薬製剤が約350ミクロン未満の粒子サイズを生成しうる噴霧冷却処理により調製される、請求項24記載の有効成分を含有してなる、味がマスキングされた医薬製剤。
【請求項26】
水性ビヒクル中の懸濁物の形態で請求項24記載の有効成分を含有し、a)有機溶媒に可溶性であり、任意のpHで水に実質的に不溶性であるセルロースポリマー;b)酸媒体に可溶性であり、中性またはアルカリ性のpHで実質的に不溶性であるメタクリルポリマー、ここで有効成分は均一な様式で、かつ分子状態で混合物中に分布し、これは噴霧マトリックスの形態である;c)有機性質の薬学的に許容されうるアルカリ剤またはアルカリ塩;およびd)吸着剤をさらに含有してなる、味がマスキングされた医薬製剤。
【請求項27】
マトリックス中のセルロースポリマーおよびメタクリルポリマーの比が、それぞれ約40重量%〜約45重量%および約15重量%〜約20重量の範囲であり、マトリックス中の有効成分の最大量が約30重量%である請求項26記載の医薬製剤。
【請求項28】
以下:
【表1】
からなる群より選ばれる製剤を含有してなる経口投与用カプセル。
【請求項29】
請求項24記載の有効成分、水溶性アルギン酸塩からなるアルギン酸塩マトリックス、アルギン酸の錯塩、および無機塩を含有してなり、無機塩がプロトンを供与可能であり、水中で4.0〜9.0のpKa値を有することを特徴とする医薬製剤。
【請求項30】
請求項24記載の有効成分を含有する非圧縮の自由流動性の複数の粒子、および水溶性賦形剤を含有してなる、迅速に融解するロゼンジまたは錠剤用の医薬製剤であって、該粒子が10ミクロンより大きく約1mmまでの平均直径を有し、該粒子が少なくとも約50%の有効成分を含有し、該製剤が、流体の同時投与なしで投与後1分以内に患者の口腔内で溶解する、医薬製剤。
【請求項31】
請求項24記載の約0.01〜85重量%の有効成分、約4〜99.99重量%の非極性溶媒、および約0〜20重量%の乳化剤を含有してなる、経粘膜投与のための噛むタイプのソフトゼラチンカプセル用の医薬製剤。
【請求項32】
請求項24記載の有効成分および約30〜99%の量の極性または非極性溶媒を含有してなる、経粘膜投与のための高圧ガス非含有口腔スプレー製剤用の医薬製剤。
【請求項33】
請求項24記載の有効成分、約30〜99重量%の量の極性または非極性溶媒、および約2〜10重量%の量の高圧ガスを含有してなる、経粘膜投与のための口腔スプレー製剤用の医薬製剤。
【請求項34】
噴霧製剤中に請求項24記載の有効成分を含有してなる、肺送達製剤用の医薬製剤。
【請求項35】
エアロゾル化製剤中に請求項24記載の有効成分を含有してなる、肺送達製剤用の医薬製剤。
【請求項36】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、炎症の治療を必要とする被験体における炎症の治療方法。
【請求項37】
請求項17記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、嚢胞性線維症の治療を必要とする被験体における嚢胞性線維症の治療方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【公表番号】特表2007−505150(P2007−505150A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526446(P2006−526446)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/004718
【国際公開番号】WO2005/081821
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/004718
【国際公開番号】WO2005/081821
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】
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