説明

ACAT阻害活性を有するα−フェニルアセトアニリド誘導体およびその治療的適用

本発明は、一般式(I)[式中、Rはアミノ基またはヒドロキシル基を表し、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、水素またはフッ素原子を表し、Aは、a)式(II)の基{式中、nは5〜11の整数を表し(両端を含む)、RおよびRは同一であっても異なってもよく、互いに独立して水素またはフッ素原子を表す};b)式(III)の基{式中、RおよびRは上記と同じ意味である}を表す]を有する新規な誘導体に関する。本発明はまた、有効成分として少なくとも1種類の前述の化合物を含んでなる医薬組成物に関し、高コレステロール血症またはアテローム性動脈硬化症の治療用の薬剤の製造のための前記誘導体の使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なα−フェニルアセトアニリド誘導体、その製造およびその治療的適用に関する。
【0002】
本発明はまた、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症の治療用の医薬品の製造のための、これらの誘導体の使用に関する。
【0003】
背景技術
ACAT阻害化合物は、既に本出願者により明らかにされている(WO97/19918)。それらは脂質の量および脂質の質の双方に作用することを可能とする、血中コレステロール低下特性および抗酸化特性を有し、従って血管壁でアテロームが生成する可能性および長期の有害作用を減少させる。しかし、これらの化合物はバイオアベイラビリティが低く、酸化に対する感受性があるため、バイオアベイラビリティを向上させやすい配合剤の使用が制限される。
【0004】
テトラゾールの性質を持つ複素環構造を有する化合物は、そのACAT阻害特性およびその血中コレステロール低下効果について記載されている(WO93/04052)。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、出願者により記載のもの(WO97/19918)に匹敵する、バイオアベイラビリティが高く化学および代謝安定性の高い活性プロフィールを有する新規な誘導体を得ることに向けられる。
【0006】
本発明の化合物は、下記一般式Iに相当する:
【化1】

[式中、
は、ヒドロキシル基またはアミノ基を表し、
は、水素またはメチル基を表し、
は、水素またはフッ素原子を表し、
Aは、a)下記の基II
【化2】

{式中、
nは、5〜11の整数を表し(両端を含む)、
およびRは、同一であっても異なってもよく、互いに独立して水素またはフッ素原子を表す}、または
b)下記の基III
【化3】

{式中、RおよびRは上記と同じ意味である}
を表す]。
【0007】
一般式Iの化合物は1以上の不斉中心を有するので、本発明は、その種々の立体異性体または鏡像異性体、およびそれらの混合物を包含する。これらは、例えばキラルカラムでのクロマトグラフ分離などの従来の方法によって得ることができる。
【0008】
本発明はまた、塩形成作用を有する一般式Iの化合物の治療上許容される無機または有機酸塩を包含する(R=アミノ)。一般式Iの化合物は、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症のような疾病の治療用の医薬組成物または医薬品の製造に使用できる。
【0009】
本発明の化合物は、予想外にも、既に記載されている化合物よりも大きい、in vivoで血中コレステロールを低下させる働きを提示した。
【発明の具体的説明】
【0010】
式Iの化合物の合成:
一般式Iの化合物は、必要に応じて塩酸塩形態の、アニリンIVを、誘導体V(ここで、基R、R、R、およびAは上記と同じ意味である)を用いて、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージドなどの活性化剤およびトリエチルアミンの存在下、処理することによって得ることができる。
【0011】
【化4】

芳香族アミンIVは市販されているか、または当業者に公知の合成法により得ることができる。
【0012】
Aが上記定義の基IIを表し、R=OHかつR=水素である化合物Iは、アセトン水溶液中のオキソンでの酸化により、対応するチオエーテルVI(WO97/19918に従って製造される)から得ることができる。
【化5】

【0013】
式Vの化合物の合成:
Aが上記定義の基IIを表し、R=水素である式Vの化合物は、ジクロロメタン中のm−クロロ過安息香酸などの過酸を用いてエステルVIIを酸化してアルカリ加水分解することによって得ることができる。
【化6】

【0014】
およびRがフッ素原子を表す化合物VIIは、ブロモアルデヒドVIIIをDASTフッ素化し、次にチオマンデル酸エステルIXで得られた誘導体を反応させるによって製造できる。
【化7】

【0015】
Aが上記定義の基IIを表し、Rがフッ素原子を表す一般式Vの化合物は、A=IIおよびR=Hである誘導体Vのエステルから、THF中の水素化ナトリウムで処理し、その後DMF中のセレクト−フルオル(select-fluor) [1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンビス(テトラフルオロホウ酸塩)]で処理して、アルカリ加水分解することによって得ることができる。
【化8】

【0016】
Aが上記定義の基IIIを表し、R=水素である式Vの化合物は、公知の方法、例えば、J. Med. Chem. 1996, 39, 2354-2366に従って得ることができる。
【0017】
Aが上記定義の基IIIを表し、R=フッ素である式Vの化合物は、誘導体Xから、THF中の水素化ナトリウムなどの塩基で処理し、その後DMF中のセレクト−フルオルで処理して、アルカリ加水分解することにより得ることができる。
【化9】

【0018】
Aが上記定義の基IIIを表し、RおよびRがフッ素原子である式Vの化合物は、エステルXIをトリエチルアミンの存在下でアセトニトリル中の臭素化誘導体IXで処理して、アルカリ加水分解することによって得ることができる。
【化10】

【0019】
以下、本発明を以下の限定されない例によって説明するが、これらは本発明の化合物の有利な実施形態を示す。
【実施例】
【0020】
実施例1
(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルスルホニル−α−フェニルアセトアニリド
【化11】

アセトン中の2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルチオ−α−フェニルアセトアニリド(23.5g;0.05mol)の溶液に、水(150ml)中のオキソン(32.43g;0.053mol)溶液を一度に加えた。
【0021】
周囲温度で攪拌しながら24時間後、この溶液を濾過し、蒸発乾固させた後、酢酸エチル(800ml)にとり、0.1N塩酸およびブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濃縮乾固させた後、残渣をエチルエーテル(100ml)にとり、濾過し、乾燥後、固体を得た(21g)。
【0022】
90−10のCHCl−EtOAc混合物で溶出するフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、溶媒の除去および乾燥後、化合物を得た(13.4g)。
白色結晶
融点=115℃
α25=12.9°(EtOH;c=0.46)
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf:0.87(70−30 CHCl−EtOAc)
NMR (DMSO d6) δ: 0.85 (t, 3H); 1.2-1.4 (m, 18H); 1.60 (m, 2H); 1.95 (s, 3H); 2.09 (s, 3H); 2.11 (s, 3H); 2.98-3.25 (m, 2H); 5.42 (s, 1H); 6.74 (s, 1H), 7.4-7.5 (m, 3H); 7.6-7.7 (m, 2H), 8.15 (s, 1H); 9.77 (s, 1H).
【0023】
実施例2
(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(12,12−ジフルオロドデシルスルホニル)−α−フェニルアセトアニリド
a)12,12−ジフルオロ−1−ブロモドデカン 2a
【化12】

ジクロロメタン(90ml)中のクロロクロム酸ピリジニウム(14.2g;0.066mol)の溶液に、ジクロロメタン(70ml)中の12−ブロモ−1−デカノール(12.31g;0.046mol)溶液を手早く加えた。周囲温度で5時間攪拌した後、反応混合物をエチルエーテルで豊富に希釈し、セライトで濾過した。蒸発およびシリカでの精製の後、5−95のEtOAc−石油エーテル混合物で溶出して、粗12−ブロモドデカナル(8.74g)を得た。
【0024】
アルデヒド(8.74g;0.033mol)を塩化メチレン(170ml)にとり、そこへ塩化メチレン(120ml)中のジエチルアミノスルフィドトリフルオリド(DAST)(5.3ml;0.04mol)を滴下する。
【0025】
周囲温度で4時間反応させた後、混合物を濃縮乾固して酢酸エチルにとり、水およびブラインで洗浄した。乾燥(MgSO)後、溶媒を濾過し、蒸発させて暗色のオイルを得、これをシリカでのクロマトグラフィーにより精製した。石油エーテルでの溶出によって、化合物2a(6.18g)を得た。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.2(石油エーテル)
【0026】
b)(S)−α−(12,12−ジフルオロドデシルチオ)−フェニル酢酸 2b
【化13】

【0027】
エタノール(70ml)中の(S)−チオ−マンデル酸(3.04g;0.018mol)に、エタノール(15ml)中の化合物2a(6.18g;0.022mol)の溶液を加え、その後水(70ml)中の重炭酸ナトリウム(3.64g)を少量ずつ加える。
【0028】
7時間還流で反応させた後、エタノールを蒸発除去する。次に溶液を酸性化し(1N HCl)、その後、酢酸エチルで抽出した。
乾燥(MgSO)後、濾過し、蒸発乾固して、オイルを回収し、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。98−2 CHCl−MeOH混合物での溶出によって、化合物2b(4.0g)を溶媒を除去した後に得た。
融点=48℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.34(95−5 CHCl−MeOH)
【0029】
c)(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(12,12−ジフルオロドデシルチオ)−α−フェニルアセトアニリド
【化14】

【0030】
窒素下で維持されるジクロロメタン(100ml)中、2,3,5−トリメチル−4−アミノフェノールヒドロクロリド(1.76g;0.0095mol)の溶液に、トリエチルアミン(1.33ml)および次にジクロロメタン(45ml)中の化合物2b(3.8g;0.01mol)の溶液およびジシクロヘキシルカルボジイミド(2.2g;0.01mol)を加えた。
【0031】
周囲温度で8時間攪拌した後、生じたジシクロヘキシル尿素を濾過し、濾液を濃縮乾固した後、酢酸エチルにとる。
【0032】
0/1N塩酸および水で洗浄後、乾燥(MgSO)させ、次に真空蒸発させると赤色の固体が得られ、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
EtOAc−石油エーテル混合物で溶出して、溶媒を蒸発させ、化合物2c(4.12g)を得た。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.2(30−70 EtOAc−石油エーテル)
【0033】
d)(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(12,12−ジフルオロドデシルスルホニル)−α−フェニルアセトアニリド
【化15】

【0034】
この化合物は、上記で得られた化合物2cを用いて、実施例1に記載の方法に従って製造した。
白色結晶
融点=106℃
α25=+20℃(EtOH;c=0.310)
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.46(70−30 EtOAc−石油エーテル)
NMR (DMSO d6) δ: 1.20-1.35 (m, 18H); 1.6 (m, 2H); 1.95 (s, 3H); 2.09 (s, 3H); 2.11 (s, 3H); 2.98-3.25 (m, 2H); 5.42 (s, 1H); 6.03 (t, 1H); 6.74 (s, 1H); 7.4-7.5 (m, 3H); 7.6-7.7 (m, 2H); 8.15 (s, 1H); 9.78 (s, 1H).
【0035】
実施例3
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルスルホニル−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド
a)α−ドデシルスルホニルフェニル酢酸メチル 3a
【化16】

ジクロロメタン(120ml)中のα−ドデシルチオフェニル酢酸メチル(8.6g;0.025mol)溶液に、m−クロロ過安息香酸(11.53g;0.05mol)を徐々に加えた。
【0036】
周囲温度で攪拌しながら2時間後、反応混合物を濾過し、蒸発させる。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0037】
EtOAc−石油エーテル混合物で溶出して、溶媒を蒸発させ、化合物3a(7.62g)を得た。
融点=59℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.45(20−80 EtOAc−石油エーテル)
【0038】
b)α−フルオロ−α−ドデシルスルホニルフェニル酢酸メチル 3b
【化17】

【0039】
THF(50ml)中の水素化ナトリウム(0.8g;0.02mol)の懸濁液に、窒素下0℃にて、THF(200ml)中の化合物3a(7.62g;0.02mol)の溶液を、温度を7℃より下に維持しながら加えた。
【0040】
0℃で30分、周囲温度で30分後、DMF(20ml)およびセレクト−フルオル(7.07g;0.02mol)を加え、次に混合物を攪拌しながら周囲温度で5時間維持した。
【0041】
THFの蒸発後に得られた残渣を N塩酸にとり、酢酸エチルで抽出する。水およびブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、オイルが得られ、蒸発後、このオイルをフラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【0042】
EtOAc−石油エーテル混合物で溶出して、溶媒を蒸発させ、化合物3b(6.49g)を得た。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.37(10−90 EtOAc−石油エーテル)
【0043】
c)α−フルオロ−α−ドデシルスルホニルフェニル酢酸 3c
【化18】

エタノール(160ml)中の化合物3b(6.49g;0.016mol)の溶液に、1N水素化ナトリウム(31.7ml)を加えた。
【0044】
周囲温度で2時間後、攪拌しながら、このメタノールを蒸発除去し、濃縮物を1N塩酸で酸性化し、次に酢酸エチルで抽出した。
【0045】
乾燥(MgSO)および溶媒の除去後に、オイルが回収され、これを石油エーテルにとる。生じた結晶を濾去し、乾燥させると化合物3cが得られた。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.3(85−15 CHCl−MeOH)
【0046】
d)2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルスルホニル−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド
【化19】

【0047】
この化合物は、実施例2cで記載の方法に従って、上記で得られた化合物3cを化合物2bの代わりに用いて製造した。
白灰色結晶
融点=81℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.23(20−80 EtOAc−石油エーテル)
NMR (DMSO d6) δ: 0.85 (t, 3H), 1.19-1.35 (m, 18H); 1.60 (m, 2H); 1.92 (s, 3H); 2; 09 (s, 3H); 2.11 (s, 3H); 3.1-3.30 (m, 2H); 6.65 (s, 1H); 7.53-7.59 (m, 3H); 7.82-7.84 (m, 2H); 8.21 (s, 1H); 10.24 (s, 1H).
【0048】
実施例4
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド
a)α−(2H−5−テトラゾリル)フェニル酢酸エチル 4a
【化20】

【0049】
トルエン(225ml)中のフェニルシアノ酢酸エチル(17.4ml;0.1mol)の溶液に、トリメチルシリルアジド(22.6g;0.17mol)および次にジブチル錫オキシド(2.49g;0.01mol)を加え、反応混合物を85℃で6時間加熱した。
【0050】
トルエンの蒸発後、油状の残渣をエタノール(200ml)にとり、次にもう一度蒸発させた。残渣を酢酸エチルにとった。溶液を1N塩酸、水、次にブラインで洗浄し、溶液を乾燥させ(MgSO)、真空蒸発させるとオイルが得られ、これをエチルエーテルから結晶化させた(16g)。
融点=107〜108℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.42(90−10 CHCl−MeOH)
【0051】
b)α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)フェニル酢酸エチル 4b
【化21】

【0052】
アセトニトリル(250ml)中のトリメチルアミン(16.7ml;0.12mol)および臭化ドデシル(15.8ml;0.066mol)の化合物4a(13.9g;0.06mol)の溶液を20時間還流した。溶媒の真空蒸発後、残渣を酢酸エチルにとり、臭化水素酸トリエチレンを濾過により除去した。濾液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。10−90 EtOAc−石油エーテル混合物での溶出により、油状化合物4b(16.5g)が溶媒の除去後に得られた。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.24(5−95 EtOAc−石油エーテル)
【0053】
c)α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)フェニル酢酸 4c
【化22】

【0054】
エタノール(100ml)中の化合物4b(10g;0.025mol)に、水酸化ナトリウムペレット(2g;0.05mol)を加え、混合物を周囲温度で5時間攪拌した。濃縮乾固後、残渣を水にとり、1N塩酸で酸性化し、エチルエーテルで抽出した。水で洗浄した有機相を乾燥させ(NaSO)、真空濃縮するとオイルが得られ、これを石油エーテルから結晶化させた(8.9g)。
融点=58℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.38(95−5 CHCl−MeOH)
【0055】
d)2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド
【化23】

【0056】
この化合物は、実施例2cで記載の方法に従って、上記で得られた化合物4cを化合物2bの代わりに用いて製造した。
白色結晶
融点=94℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.64(50−50 EtOAc−ヘキサン)
NMR (DMSO d6) δ: 0.84 (t, 3H), 1.21-1.34 (m, 18H); 1.87 (m, 5H); 2.06 (s, 3H); 2.08 (s, 3H); 4.58 (t, 2H); 5.5 (s, 1H); 6.7 (s, 1H); 7.25-7.40 (m, 3H); 7.51-7.53 (m, 2H); 8.06 (s, 1H); 9.60 (s, 1H).
【0057】
実施例5
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド
化合物4(23.9g)を少量のエタノールにとり、キラルパックADカラムのクロマトグラフィーに付した。20−80 EtOH−ヘキサン混合物での溶出によって化合物5(10.9g)が溶媒の蒸発後に得られた。
白色結晶
融点=105℃
α25=42.3°(EtOH;c=0.362)
【0058】
実施例6
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ヘキシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド
【化24】

この化合物は、実施例4に記載の方法に従って、4bの段階で臭化ドデシルを臭化ヘキシルに置換することにより得られ、次に実施例5に記載の方法に従って、70−30 ヘキサン−エタノール混合物での溶出により分離した。
白色結晶
融点=108℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.14(10−90 EtOAc−石油エーテル)
NMR (DMSO d6) δ: 0.84 (t, 3H); 1.24 (m, 6H); 1.87 (m, 5H); 7.06 (s, 3H); 2.08 (s, 3H); 4.64 (t, 2H); 5.5 (s, 1H) 6.7 (s, 1H); 7.29-7.39 (m, 3H); 7.51-7.53 (m, 2H), 8.05 (s, 1H); 9.60 (s, 1H).
【0059】
実施例7
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−デシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド
【化25】

この化合物は、実施例4に記載の方法に従って、4bの段階で臭化ドデシルを臭化デシルに置換することにより得た。
白色結晶
融点=87℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.71(80−20 CHCl−EtOAc)
【0060】
実施例8
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−[(2−(6,6−ジフルオロヘキシル)−2H−テトラゾリル]−α−フェニルアセトアニリド
【化26】

この化合物は、実施例4に記載の方法に従って、4bの段階で臭化ドデシルを、それ自体実施例2aに従って12−ブロモデカノールを6−ブロモヘキサノールに置換することにより得られる、1−ブロモ−6,6−ジフルオロヘキサンに置換することにより得られた。
白色結晶
融点=120℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.53(70−30 CHCl−EtOAc)
NMR (DMSO d6) δ: 1.26-1.41 (m, 4H); 1.75-1.90 (m, 4H); 1.92 (s, 3H); 2.06 (s, 3H); 2.08 (s, 3H); 4.65 (t, 7H); 5.52 (s, 1H); 6.01 (t, 1H); 6.71 (s, 1H), 7.30-7.40 (m, 3H); 7.51-7.54 (m, 2H); 8.05 (s, 1H), 9.60 (s, 1H).
【0061】
実施例9
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド
a)α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロフェニル酢酸エチル 9a
【化27】

THF(60ml)中の水素化ナトリウム(1.06g;0.027mol)の懸濁液に、窒素下−8℃で、THF(120ml)中の溶液の化合物4b(10.65g;0.027mol)を滴下した。30分後、DMF(35ml)およびセレクト−フルオロ(9.61g;0.027mol)を加え、周囲温度で20時間攪拌を維持した。
【0062】
真空濃縮後得られた残渣をエチルエーテルにとり、塩酸、水およびブラインで洗浄した。乾燥(NaSO)後、粗油状化合物9a(10.9g)を得た。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.66(5−95 EtOAc−石油エーテル)
【0063】
b)α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロフェニル酢酸 9b
【化28】

【0064】
この化合物は実施例4cに記載の方法に従って、上記で得られた化合物9bから出発することにより得られた。
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.45(85−15 CHCl−MeOH)
【0065】
c)(+)−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロフェニル酢酸 9c
【化29】

【0066】
−10℃で維持されるジクロロメタン(300ml)中の化合物9b(35g;0.09mol)の溶液に、クロロギ酸イソブチル(13.3ml;0.1mol)および次にN−メチルモルホリン(11.5ml;0.1mol)を加えた。30分間の攪拌後、(+)−ノルエフェドリンを加え、混合物を周囲温度で3時間攪拌する。反応混合物を水、重炭酸ナトリウム水溶液、およびブラインで洗浄し、次に乾燥(NaSO)させ、真空濃縮した。
【0067】
このようにして得られたジアステレオ異性体アミドをフラッシュクロマトグラフィーにより分離した。20−80 EtOAc−石油エーテル混合物での溶出によって、最も極性の低いアミドを単離し(14.9g)、ジオキサン(300ml)中の濃塩酸(300ml)で処理した。還流で3時間攪拌した後、混合物を濃縮し、次にジクロロメタンにとり、水、1N塩酸およびブラインで洗浄した。乾燥(NaSO)および溶媒の真空除去後、化合物9cが得られた。
【0068】
d)(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−テトラゾリル)−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド
【化30】

【0069】
この化合物は実施例2cに記載の方法に従って、化合物2bの代わりに上記で得られた化合物9cを用いて製造した。
白色結晶
融点=126℃
α25=66.1°(EtOH;c=0.31)
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.40(EtOAc)
NMR (DMSO d6) δ: 0.85 (t, 1s); 1.23 (m, 18H); 1.90 (m, 2H); 1.92 (s, 3H); 2.08 (s, 3H); 2.11 (s, 3H); 4.71 (t, 2H); 6.67 (s, 1H); 7.48-7.51 (m, 3H); 7.59-7.62 (m, 2H), 8.13 (s, 1H); 10.17 (s, 1H).
【0070】
実施例10
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−[2−(12,12−ジフルオロドデシル)−2H−5−テトラゾリル]−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド 10
【化31】

この化合物は実施例4bに記載の方法に従って、臭化ドデシルを、実施例2aに記載のように得られた1−ブロモ−12,12−ジフルオロドデカンに置き換えることにより製造した。従って得られる中間体化合物を実施例9a、b、dに記載の方法に従って処理すると化合物10が得られた。
白色結晶
融点=96℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.44(30−70 EtOAc−石油エーテル)
NMR (DMSO d6) δ: 1.22-1.35 (m, 16H); 1.76-1.78 (m, 2H); 1.79-1.92 (m ;5H); 2.08 (s, 3H); 2.11 (s, 3H); 4.72 (t, 2H); 6.03 (t, 1H); 6.67 (s, 1H); 7.48-7.50 (m, 3H); 7.60-7.62 (m, 2H); 8.13 (s, 1H); 10.06 (s, 1H).
【0071】
実施例11
2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−アミノ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド;塩酸塩 11
【化32】

実施例9で得られた化合物9b(0.80g;0.002mol)のTHF(5ml)溶液を、窒素下0℃にてTHF(5ml)中の塩化オキサリル(0.2ml)の溶液で滴下処理した。周囲温度で攪拌しながら4時間後、反応混合物を窒素下で維持されるTHF中のジイソプロピルエチルアミン(0.42ml)および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(0.37g;0.0022mol)の溶液へ滴下した。
【0072】
3時間の攪拌後、混合物を真空濃縮し、酢酸エチルにとり、水およびブラインで洗浄した。乾燥(MgSO)および溶媒の真空除去後、オイルが回収され、これを95−5 CHCl−EtOAc混合物で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0073】
溶離剤を真空濃縮し、アセトン(10ml)にとり、イソプロパノール(0.18ml)中の3.16N塩酸で処理した。
【0074】
生じた沈殿を濾別し、エチルエーテルで洗浄し、乾燥させると化合物11(220mg)が得られた。
白色結晶
融点=168℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.20(95−5 CHCl−EtOAc−石油エーテル)
NMR (DMSO d6) δ: 0.85 (t, 3H); 1.23 (m, 18H); 1.94 (s, 3H); 1.88-1.92 (m, 2H); 1.99 (s, 3H); 2.05 (s, 3H); 2.07 (s, 3H); 4.73 (t, 2H); 7.49-7.50 (m, 3H); 7.61-7.63 (m, 2H); 10.28 (s, 1H).
【0075】
実施例12
2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−アミノ−α−(2−ヘキシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド塩酸塩 12
【化33】

この化合物は、実施例2cに記載の方法に従って、2,3,5−トリメチルアミノフェノールを2,3,5,6−テトラメチルフェニレンジアミンに、またα−(12,12−ジフルオロドデシルチオ)フェニル酢酸をα−(2−ヘキシル−2H−5−テトラゾリル)フェニル酢酸に置き換えることにより得た。
【0076】
塩酸で塩形成した後、イソプロパノール中の化合物12がエチルエーテルでの沈殿により得られた。
白色結晶
融点=252℃
TLC:Merckシリカゲル60 F254
Rf=0.48(82−20 CHCl−EtOAc)
【0077】
本発明の化合物に対して薬理学的試験を行ったところ、高コレステロール血症の治療およびアテローム性疾患の治療において有利である可能性を示した。
【0078】
この化合物を、in vitroでのACAT阻害効果およびラットでの血中コレステロール低下効果に関して試験した。
【0079】
1−ACAT阻害
化合物のACAT(アシルCOA:コレステロールO−アシルトランスフェラーゼ酵素)阻害活性を、H. Chautan et al. (Analytical Biochemistry, 173, 436-439, 1988)の技術を用いてラット肝臓ミクロソームでin vitroにて評価した。
【0080】
本発明の特定の産物およびエフルシミブ(eflusimibe)(本出願者により出願されたWO97/19918の実施例16)を用いて得られた、50%阻害濃度(IC50)として表される活性を、例として下の表1に報告する。
【表1】

【0081】
2−血中コレステロール低下活性
雄ラット(160〜180g)に、4日間、Altromin C 1061高コレステロール血症飼料を与え、並行して蒸留水中の2%Tween 80溶液の懸濁液化合物で経口的に処置した。
【0082】
5日目に、絶食していない動物をエチルエーテルで麻酔し、腹大動脈を経由してEDTA上に放血させた。この血液を直ちに遠心分離し、血漿を4℃で保存した。
【0083】
血漿コレステロールを次にCHOD−PAP法(Boehringer Mannheim Ref. 237574)により測定した。50%有効量(ED50)は、血漿コレステロール濃度を対照動物と比較して半分に減少させる投与量に相当する。
【0084】
【表2】

【0085】
本発明の化合物は、高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症などの疾病の治療に使用され得る、有力なACAT阻害血中コレステロール低下剤である。
【0086】
医薬組成物は、経口、非経口または局所投与に好適な形態、例えばカプセル、錠剤、顆粒、ゼラチンカプセル、液体固体、シロップ、または経口懸濁液の形態で提供することができ、好適な賦形剤を含んでもよい。
【0087】
一日当たりの投与量は5〜1000mgの範囲であることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iに相当する、アニリド誘導体、1以上の不斉炭素を有するその種々の立体異性体、鏡像異性体、およびそれらの混合物の形態、ならびに塩形成可能な前記化合物の治療上許容される無機または有機酸塩の形態:
【化1】

[式中、
は、ヒドロキシル基またはアミノ基を表し、
は、水素またはメチル基を表し、
は、水素またはフッ素原子を表し、
Aは、a)下記の基II
【化2】

{式中、
nは、5〜11の整数を表し(両端を含む)、
およびRは、同一であっても異なってもよく、互いに独立して水素またはフッ素原子を表す}、または
b)下記の基III
【化3】

{式中、RおよびRは上記と同じ意味を有する}
を表す]。
【請求項2】
以下から選択される、請求項1に記載の一般式Iの化合物:
(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルスルホニル−α−フェニルアセトアニリド、
(S)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(12,12−ジフルオロドデシルスルホニル)−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−ドデシルスルホニル−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド、
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド、
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ヘキシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−デシル−2H−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−[(2−(6,6−ジフルオロヘキシル)−2H−テトラゾリル]−α−フェニルアセトアニリド、
(+)−2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’−トリメチル−4’−ヒドロキシ−α−[2−(12,12−ジフルオロドデシル)−2H−5−テトラゾリル]−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド、
2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−アミノ−α−(2−ドデシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フルオロ−α−フェニルアセトアニリド塩酸塩、
2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−アミノ−α−(2−ヘキシル−2H−5−テトラゾリル)−α−フェニルアセトアニリド塩酸塩。
【請求項3】
医薬品、特に高コレステロール血症またはアテローム性動脈硬化症のような疾病の治療に有用な医薬品としての、請求項1または2に記載の一般式Iの化合物。
【請求項4】
薬学上許容される担体と、少なくとも1種の請求項1または2に記載の一般式Iの化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項5】
高コレステロール血症またはアテローム性動脈硬化症のような疾病の治療用の医薬品の製造のための、請求項1または2に記載の一般式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2006−512302(P2006−512302A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544391(P2004−544391)
【出願日】平成15年10月15日(2003.10.15)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003038
【国際公開番号】WO2004/035552
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【Fターム(参考)】